JP2017192379A - 細胞におけるdna損傷の検出方法及びdna鎖切断応答性細胞表面抗原に対する抗体 - Google Patents
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Abstract
【課題】DNA鎖切断応答性分子を特異的に認識することによる細胞におけるDNA損傷の検出方法の提供。
【解決手段】ヒト抗体ライブラリーファージDisplay技術により細胞膜上にあるDNA二本鎖切断応答的に発現する抗原と反応するファージ抗体(scFv抗体)を取得し、その遺伝子配列の解析により見出された、重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)及び重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)として夫々特定のアミノ酸配列を有する、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体。抗体が、Fab、Fab’、F(ab)2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)又はCDRを含むペプチドから選ばれる抗体。
【選択図】なし
【解決手段】ヒト抗体ライブラリーファージDisplay技術により細胞膜上にあるDNA二本鎖切断応答的に発現する抗原と反応するファージ抗体(scFv抗体)を取得し、その遺伝子配列の解析により見出された、重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)及び重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)として夫々特定のアミノ酸配列を有する、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体。抗体が、Fab、Fab’、F(ab)2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)又はCDRを含むペプチドから選ばれる抗体。
【選択図】なし
Description
本発明は、細胞におけるDNA損傷の検出方法、DNA鎖切断応答性細胞表面抗原に対する抗体、並びに前記抗体を含むDNA損傷の検出試薬及び医薬組成物に関する。
DNA損傷を受けるとその状況にもよるがDNA鎖切断をもたらすことが知られている。DNA鎖切断とは、DNAを構成するリン酸基と水酸基が解離した状態であり、放射線などの外的要因やDNA消化などの内的要因によって生じる。DNA損傷は細胞周期停止、DNA修復、アポトーシス等いくつもの反応を引き起こす事が知られている(非特許文献1)。これら全ての反応はDNA損傷チェックポイント機構やDNA修復を制御する重要なPIKKファミリーに属するキナーゼATR,ATMによって誘起される(非特許文献2)。DNA損傷は細胞の整然としたメカニズムの破壊につながるため、多くのメカニズムがこの現象に対して進化、獲得されてきたと考えられる。よってDNA二本鎖切断をインタクトな生細胞として検出出来る事が出来れば、実験試薬、検査薬、医薬組成品として有用である。これらを満たすためには対象の細胞をインタクトな状態で容易にその変化を検出出来ねばならない。C型レクチン様受容体ファミリーに属するNKG2DはDNA損傷を受けた際に細胞の表面に発現する事が知られている。これは細胞が以前に考えられていたよりも広いレンジをもってDNA損傷に反応している事を示唆している。中でも、DNA2本鎖切断は、2重らせん構造を形成しているDNAの両鎖に切断が生じる損傷であり、がん細胞を含む生物にとっては、最も修復が困難な損傷である。しかしながら、修復系が応答しこれを修復した際には本細胞は生き残る。この応答の殆どは核内更にはサイトプラズム内で起こり細胞膜上での変化はほとんど知られていない。この様な状況の中、NKG2はDNAの損傷に応答的に膜上に発現するタンパクとして知られている。そしてこのタンパクの発現は前述のATMもしくはATR更にはその下流のCHK1とCHK2によって誘起される(非特許文献3)。
X線照射と非照射の細胞のマイクロアレイを用いたmRNAレベルでのプロファイリングはDNA損傷によって様々な遺伝子の発現が変化する事を示した(非特許文献4)。この方法は確かに多くのDNA損傷応答性遺伝子の候補を上げたが、多くの局面で見られるmRNAの発現レベルとタンパクの発現レベルの不一致という欠点によって実際の応用可能なマーカー分子の選別に困難があった(非特許文献5)。そこでこれらの問題を解決するため、二次元電気泳動を用いたプロテオミクス技術も取り入れ包括的解析が行われた。またこの際には膜タンパクは一般的に細胞内タンパクより圧倒的に存在比率が低い事を加味し、膜タンパクを選択的にラベルし、濃縮する技術も組み込まれて行われた(非特許文献6〜8)。
細胞膜上に発現するタンパクに対する抗体の取得の為に発明者らはまずその方法を作製した(特許文献1、非特許文献9及び10)。そして細胞表面上にある抗原の網羅的取得を成功させ、その方法の高い利用価値やポテンシャルを示した(非特許文献11)。
DNA損傷応答性のタンパク分子にはγ−H2AXというリン酸化ヒストン蛋白質分子が知られている。ヒストンとは、染色体を構成するタンパク質の一群であり、非常に長い分子である DNA を核内に収納する役割を担う。H2AXはこのヒストンの一種であり、DNA2本鎖切断が生じた場合の細胞応答の一つに、H2AXの139番セリン部位のリン酸化があり、これはγ-H2AX(リン酸化H2AX)とよばれる。γ-H2AXに特異的な蛍光標識抗体を用いることで、DNA2本鎖切断の場所を視覚的に検出することが可能となる。本分子は核内における反応を検知可能な環境下において利用可能である(非特許文献12)。
がんは、日本における死亡原因の第一位を占め、高齢化に伴って患者数は年々増加してきており、有効性及び安全性の高い薬剤や治療法の開発が強く望まれている。従来の化学療法や、放射線療法など、がん細胞を殺すと同時に、正常細胞にも損傷を与え、強い副作用を引き起こしている問題点がある。これを解決するために、がん細胞に特異的に発現する分子を標的として薬剤を設計し、治療を行う分子標的治療が盛んに研究されている。この分子標的がん治療薬の中、抗体薬は半減期が長く、副作用が少ないなどメリットがあるため大変注目を浴びる。開発の成功例として、CD20を標的としたキメラ抗体リツキサンや、Her2/neuを標的としたヒト化抗体ハーセプチン、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的としたヒト化抗体アバスチンなど挙げられる。これらの抗体ががんを対象疾患として使用されており、その治療効果が認められている。
治療薬としての抗体の使用は、非標識と標識抗体に分けられる。非標識抗体の作用メカニズムは、(1)免疫系細胞や分子を関与する抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)また補体依存性細胞傷害活性(CDC)、(2)標的分子により細胞内生存や増殖と関わるシグナルの阻害、(3)アポトーシスの誘導、(4)サイトカインの分泌調節などと考えられる。それぞれのメカニズムの組み合わせにより腫瘍細胞を死亡させたり増殖を停止させたりして、治療効果を発揮する。標識抗体は、抗体に放射線物質や、毒素、酵素、また薬剤など細胞傷害物質とリンカーさせ、抗体の特異性を利用し、がん組織だけにこれらの物質を送達し、治療効果の向上と副作用の低減を図る。
一般にヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗体をヒトに投与すると、異物として認識されることにより、ヒト体内にマウス抗体に対するヒト抗体(Human Anti Mouse Antibody:以下、HAMAと表記する)が誘導されることが知られている。HAMAは投与されたマウス抗体と反応し、副作用を引き起こしたり(非特許文献13から16)、投与されたマウス抗体の体内からの消失を速めたりをし(非特許文献14、17及び18)、マウス抗体の治療効果を減じてしまうことが知られている(非特許文献19及び20)。
このような問題を回避するためにキメラ抗体が開発された(特許文献2及び3)。キメラ抗体は、2つまたはそれ以上の種由来の抗体の一部(マウス抗体の可変領域及びヒト抗体の定常領域など)を含む。このようなキメラ抗体の利点はマウス抗体の特徴は保持するが、ヒトFcを持つためヒト補体または細胞傷害活性を刺激することができる。しかし、このようなキメラ抗体も依然として「ヒト抗キメラ抗体」すなわちHACA(Human Anti− Chimera Antibody)応答を惹起する。さらに、置換された抗体の一部のみが相補性決定領域(すなわち「CDR」)である組換え抗体が開発された(特許文献4及び5)。CDR移植技術を使用してマウスCDR、ヒト可変部フレームワーク及び定常領域からなる抗体、すなわち「ヒト化抗体」が産生されている。しかしながら、このようなヒト化抗体でも人に対して免疫原性があり、HAHA(Human anti−Human Antibody)反応を引き起こす(非特許文献21及び22)。従って、臨床応用において、より安全有効な免疫原性を持たない抗体治療薬を望まれている。
ところで、抗体創薬においては、細胞膜表面に存在する「インタクトな状態の」標的癌抗原を認識する抗体を取得することが不可欠といえるが、標的癌抗原が膜タンパク質であるという理由から、既知の癌抗原に対する抗体であってもその取得には困難が伴っていた。このような問題点を解消すべく、本発明者らはこれまでに1000億個もの独立したクローンからなる巨大なヒト抗体ライブラリーを作製し、それを利用した癌細胞及び組織の細胞膜表面に存在するタンパク質(細胞表面抗原)に対する抗体の網羅的取得法を確立した(特許文献6〜8)。
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本発明は、DNA鎖切断応答性分子を特異的に認識することによる細胞におけるDNA損傷の検出方法を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、DNA鎖切断応答性細胞表面抗原に対する抗体を提供することを解決すべき課題とした。さらに本発明は、前記抗体を用いたDNA損傷の検出試薬及び医薬組成物を提供することを解決すべき課題とした。
前記のように、細胞膜上抗原を標的とした抗体はDNA2本鎖切断検出試薬として開発されたが、対象の現象が核内でおこる事であり、複雑な経路を経て膜上に提示される事により、対象抗原の予想が困難であった。また、cDNAを用いたマイクロアレイや二次元電気泳動等を利用したプロテオミクス技術による網羅的解析の結果も、mRNAとタンパクの発現量の相関の不一致や、タンパクレベルでおこる翻訳後修飾といった翻訳後イベント、更には割合で見たときの膜タンパクの全タンパク量に対する絶対的な少なさ、親水性領域と疎水性領域を同一タンパクに保持する為におこる不安定さ等々さまざまな理由から開発が困難であった。そこで、本発明者らは、独自の抗体作成方法を鋭意に研究し、ヒト抗体ライブラリーファージ Display技術を応用して細胞膜上にあるDNA二本鎖切断応答的に発現する抗原と反応するファージ抗体(scFv抗体)を取得した。これらの抗体遺伝子配列の解析により、抗体のCDRが新規なアミノ酸配列を有することを見出した。上記方法で取得された抗体は、生細胞を用いたFACS等での検出に有効であり、DNA損傷の検出試薬及び医薬組成物へのの有用性を示した。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
本発明によれば、DNA損傷を生じる環境下においてDNA鎖切断を受けた細胞においてDNA鎖切断を起こしていない細胞と比較して発現が亢進する細胞膜上抗原に対する抗体を、インビボで細胞に投与し、前記細胞膜上抗原の発現状態を分析することを含む、細胞におけるDNA損傷の検出方法が提供される。
好ましくは、前記細胞膜上抗原が、Ly6Dである。
好ましくは、前記細胞が、がん細胞である。
好ましくは、前記抗体がヒト抗体である。
好ましくは、DNA鎖切断を放射線照射によって引き起こす。
好ましくは、検出されるLy6Dの発現もしくは発現亢進がATM/ATR媒介によるDNA二本鎖切断応答によって引き起こされる。
好ましくは、検出されるLy6DがATM/ATR媒介によるDNA二本鎖切断応答により、かつp53の関与によって発現もしくは発現亢進する。
好ましくは、前記細胞膜上抗原が、Ly6Dである。
好ましくは、前記細胞が、がん細胞である。
好ましくは、前記抗体がヒト抗体である。
好ましくは、DNA鎖切断を放射線照射によって引き起こす。
好ましくは、検出されるLy6Dの発現もしくは発現亢進がATM/ATR媒介によるDNA二本鎖切断応答によって引き起こされる。
好ましくは、検出されるLy6DがATM/ATR媒介によるDNA二本鎖切断応答により、かつp53の関与によって発現もしくは発現亢進する。
本発明によればさらに、重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)及び重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)としてそれぞれ配列番号3、4及び5に記載のアミノ酸配列を有する、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体が提供される。
好ましくは、配列番号3の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号4の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号5の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号6の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号7の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号8の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDRを有する軽鎖可変領域とを有する、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体が提供される。
本発明によればさらに、配列番号3〜8の何れかのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、付加、置換及び/または挿入されていて、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体が提供される。好ましくは、活性は、上記した配列番号3、4及び5に記載のアミノ酸配列を有する抗体、又は配列番号3〜8のアミノ酸配列を有する抗体と同等である。
好ましくは、抗体がヒト抗体又はヒト化抗体である。
好ましくは、抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドからなる群から選ばれる抗体断片である。
好ましくは、抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドからなる群から選ばれる抗体断片である。
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体をコードするDNAが提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明のDNAを含有する組換えベクターが提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株が提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明の形質転換株を培地に培養し、培養物中に本発明の抗体を生成蓄積させ、培養物から抗体を採取することを含む、本発明の抗体の製造方法が提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明のDNAを含有する組換えベクターが提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株が提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明の形質転換株を培地に培養し、培養物中に本発明の抗体を生成蓄積させ、培養物から抗体を採取することを含む、本発明の抗体の製造方法が提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体を含有する、DNA損傷の検出試薬が提供される。
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体を含有する、医薬組成物が提供される。
好ましくは、抗体に細胞傷害性物質が結合している。
好ましくは、細胞傷害性物質が薬剤、毒素、又は放射性物質である。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、抗がん剤として使用される。
好ましくは、がんは、固形がんまた血液がんである。
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体を含有する、医薬組成物が提供される。
好ましくは、抗体に細胞傷害性物質が結合している。
好ましくは、細胞傷害性物質が薬剤、毒素、又は放射性物質である。
好ましくは、本発明の医薬組成物は、抗がん剤として使用される。
好ましくは、がんは、固形がんまた血液がんである。
本発明によればさらに、上記した本発明の抗体を対象者に投与することを含む、がんを抑制又は治療する方法が提供される。
本発明によればさらに、DNA損傷の検出試薬、医薬組成物又は抗がん剤の製造のための、上記した本発明の抗体の使用が提供される。
本発明によればさらに、DNA損傷の検出試薬、医薬組成物又は抗がん剤の製造のための、上記した本発明の抗体の使用が提供される。
本発明によれば、放射線照射を受け、DNA二本鎖切断される状況におかれた細胞を特異的に認識し、作用できる抗体が提供される。本発明によれば、上記抗体を、インビボで細胞に投与し、前記細胞膜上抗原の発現状態を分析することによって、細胞におけるDNA損傷を検出することができる。本発明の抗体は、生細胞の状態でDNA切断を受けた細胞の変化を継時的に検出できる試薬、放射線照射後のがん患者の診断薬と治療薬として利用可能である。更に本発明によれば、ヒトLy6Dと特異的に認識し、Ly6D発現しているがん細胞の生存や増殖を阻害する完全なヒト抗体が提供される。ヒト抗体はヒトに投与する際、抗体の抗原性が回避され、HAHAが産生されないので、より副作用が少ない高い抗腫瘍作用を発揮できる。即ち、本発明の抗ヒトLy6D抗体は、抗がん剤として有用である。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
定義および一般的技術
本明細書において別段定義しない限り、本発明に関して使用した科学技術用語は、当業者に通常理解されている意味を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関して使用した命名法およびその技術は、当技術分野で周知のものであり、通常使用されている。本発明の方法および技術は一般に、別段示さない限り、当技術分野で周知である従来の方法に従って、本明細書全体にわたって引用し論じた種々の一般的参照文献およびより具体的な参照文献に記載されているように実施する。
定義および一般的技術
本明細書において別段定義しない限り、本発明に関して使用した科学技術用語は、当業者に通常理解されている意味を含むものとする。一般に、本明細書に記載の細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質および核酸化学ならびにハイブリダイゼーションに関して使用した命名法およびその技術は、当技術分野で周知のものであり、通常使用されている。本発明の方法および技術は一般に、別段示さない限り、当技術分野で周知である従来の方法に従って、本明細書全体にわたって引用し論じた種々の一般的参照文献およびより具体的な参照文献に記載されているように実施する。
Ly6D
Ly6DはE48抗原とも呼ばれる、約15KDaのGPIアンカー型膜タンパクである。Ly6遺伝子群はいくつかのファミリー遺伝子としてCD59、AgE48、TSA-1/Sca-2Agなどが知られている。これらの遺伝子のほとんどはリンパ球で発現しているが、少量他の組織でも発現が見られる。Ly6遺伝子群は、ヒトクロモゾーム8q24.3の位置に8個のファミリーがクラスターを形成して存在し、Ly6Dもこの中に含まれる。Ly6Dは、構造上特別に限定せず、単量体、多量体、細胞膜に発現しているintact form、細胞外領域に構成された可溶化form、truncted form、また、遺伝子の変異や、欠損などによりmutation form、リン酸化などにより翻訳後修飾を受けたformなども含め、すべてヒトLy6Dを意味する。
Ly6DはE48抗原とも呼ばれる、約15KDaのGPIアンカー型膜タンパクである。Ly6遺伝子群はいくつかのファミリー遺伝子としてCD59、AgE48、TSA-1/Sca-2Agなどが知られている。これらの遺伝子のほとんどはリンパ球で発現しているが、少量他の組織でも発現が見られる。Ly6遺伝子群は、ヒトクロモゾーム8q24.3の位置に8個のファミリーがクラスターを形成して存在し、Ly6Dもこの中に含まれる。Ly6Dは、構造上特別に限定せず、単量体、多量体、細胞膜に発現しているintact form、細胞外領域に構成された可溶化form、truncted form、また、遺伝子の変異や、欠損などによりmutation form、リン酸化などにより翻訳後修飾を受けたformなども含め、すべてヒトLy6Dを意味する。
反応する及び反応性
本明細書において、「反応する」と「反応性」は特別に示さない限り、同じのことを意味する。すなわち、抗体が抗原を認識すること。この抗原は、細胞膜に発現するintact Ly6Dでもよいし、truncted formや、可溶化formでも良い。また、立体構造を保ったLy6Dでもよいし、変性したLy6Dでもよい。反応性を検討する手段として、フローサイトメーター(FACS)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、western−blot、蛍光微量測定技術(FMAT)表面プラズモン共鳴(BIAcore)、免疫染色、免疫沈降などが挙げられる。
本明細書において、「反応する」と「反応性」は特別に示さない限り、同じのことを意味する。すなわち、抗体が抗原を認識すること。この抗原は、細胞膜に発現するintact Ly6Dでもよいし、truncted formや、可溶化formでも良い。また、立体構造を保ったLy6Dでもよいし、変性したLy6Dでもよい。反応性を検討する手段として、フローサイトメーター(FACS)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、western−blot、蛍光微量測定技術(FMAT)表面プラズモン共鳴(BIAcore)、免疫染色、免疫沈降などが挙げられる。
フローサイトメーターに用いる抗体としては、FITCなどの蛍光物質、ビオチンなどにより標識された抗体であっても、標識をされていない抗体であってもよい。用いた抗体の標識の有無、その種類により、蛍光標識アビジン、蛍光標識抗ヒト免疫グロブリン抗体などを使用する。反応性は、十分量の抗Ly6D抗体(通常最終濃度が0.01〜10μg/mL)を検体に加えて行い、陰性対照抗体、陽性対照抗体の反応性との比較を行うことにより評価することができる。
抗体
本明細書では必要に応じて、慣習に従い以下の略号(括弧内)を使用する。
重鎖(H鎖)、軽鎖(L鎖)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、相補性決定領域(CDR)、第1相補性決定領域(CDR1)、第2相補性決定領域(CDR2)、第3相補性決定領域(CDR3)重鎖の第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖の第2相補性決定領域(VH CDR2)、重鎖の第3相補性決定領域(VH CDR3)軽鎖の第1相補性決定領域(VL CDR1)、軽鎖の第2相補性決定領域(VL CDR2)、軽鎖の第3相補性決定領域(VL CDR3)。
本明細書では必要に応じて、慣習に従い以下の略号(括弧内)を使用する。
重鎖(H鎖)、軽鎖(L鎖)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)、相補性決定領域(CDR)、第1相補性決定領域(CDR1)、第2相補性決定領域(CDR2)、第3相補性決定領域(CDR3)重鎖の第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖の第2相補性決定領域(VH CDR2)、重鎖の第3相補性決定領域(VH CDR3)軽鎖の第1相補性決定領域(VL CDR1)、軽鎖の第2相補性決定領域(VL CDR2)、軽鎖の第3相補性決定領域(VL CDR3)。
本明細書において、「抗体」という用語は、イムノグロブリンと同義であり、当技術分野で通常知られている通りに理解されるべきである。具体的には、抗体という用語は、抗体を作製する任意の特定の方法により限定されるものではない。例えば、抗体という用語には、それだけに限らないが、組換え抗体、モノクローナル抗体、およびポリクローナル抗体がある。
本明細書において、「ヒト抗体」という用語は、可変領域および定常領域の配列がヒト配列である任意の抗体を意味する。その用語は、ヒト遺伝子に由来する配列を有するが、例えば、考えられる免疫原性の低下、親和性の増大、望ましくない折りたたみを引き起こす可能性があるシステインの除去などを行うように変化させている抗体を包含する。その用語はまた、ヒト細胞に特有でないグリコシル化を施すことができる、非ヒト細胞中で組換えにより作製されたそのような抗体をも包含する。これらの抗体は、様々な形で調製することができる。
本明細書において、「ヒト化抗体」という用語は、非ヒト由来の抗体を指し、非ヒト種の抗体配列に特徴的なアミノ酸残基が、ヒト抗体の対応する位置で認められる残基と置換されている。この「ヒト化」の工程が、その結果得られる抗体のヒトでの免疫原性を低下させると考えられる。当技術分野で周知の技術を使用して、非ヒト由来の抗体をヒト化できることが理解されるであろう。例えば、Winterら、Immunol.Today14:43〜46(1993)を参照されたい。対象とする抗体は、CH1、CH2、CH3、ヒンジドメイン、および/またはフレームワークドメインを対応するヒト配列と置換する組換えDNA技術によって工学的に作製することができる。例えば、WO92/02190、ならびに米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,761号、第5,693,792号、第5,714,350号、および第5,777,085号を参照できる。本明細書において、「ヒト化抗体」という用語は、その意味の範囲内で、キメラヒト抗体およびCDR移植抗体を含む。
本発明の抗体の可変領域においてフレームワーク領域(FR)の配列は、対応する抗原に対する特異的結合性に実質的な影響のない限り、特に限定されない。ヒト抗体のFR領域を用いることが好ましいが、ヒト以外の動物種(例えばマウスやラット)のFR領域を用いることもできる。
本明細書において、「ファージ抗体」という用語は、ファージにより産生されたscFv抗体を意味する。つまり、VH及びVLアミノ酸配列を含む抗体断片である。この断片は、Linkerとしてのアミノ酸以外、タグとしてのアミノ酸配列を含むことでもよい。
本発明の抗体の一態様において、可変領域に加えて定常領域を含む(例えばIgG型抗体)。定常領域の配列は特に限定されない。例えば、公知のヒト抗体の定常領域を用いることができる。ヒト抗体の重鎖定常領域(CH)としては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、更にhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、軽鎖定常領域(CL)としては、hIgに属すればいかなるものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。また、ヒト以外の動物種(例えばマウスやラット)の定常領域を用いることもできる。
本発明の抗体に用いられるFRまたは定常領域のアミノ酸配列は、由来となる元のFRまたは定常領域のアミノ酸配列をそのまま用いてもよいし、1または数個(例えば、1から8個、好ましくは1から5個、より好ましくは1から3個、特に好ましくは1または2個)のアミノ酸を欠失、付加、置換及び/または挿入して異なるアミノ酸配列にして用いてもよい。
本発明において、「活性が請求項に記載の抗体と同等である」とは、ヒトLy6Dへの結合活性および/または抗腫瘍活性が同等であることを意味する。結合活性としては、抗原を認識することを意味する。この抗原は、細胞膜に発現するintact Ly6Dでもよいし、truncted formや、可溶化formでも良い。また、立体構造を保ったLy6Dでもよいし、変性したLy6Dでもよい。たとえば、結合活性を検討する手段として、フローサイトメーター(FACS)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、western−blot、蛍光微量測定技術(FMAT)表面プラズモン共鳴(BIAcore)などが挙げられる。
本発明において、「同等」とは、必ずしも同程度の活性である必要はなく、活性が増強されていてもよいし、又、活性を有する限り活性が減少していてもよい。活性が減少している抗体としては、例えば、元の抗体と比較して30%以上の活性、好ましくは50%以上の活性、より好ましくは80%以上の活性、さらに好ましくは90%以上の活性、特に好ましくは95%以上の活性を有する抗体を挙げることができる。
上述の抗体は、Ly6Dに対する同等な結合活性を有する、限り、可変領域(CDR配列および/またはFR配列)のアミノ酸配列に1または複数のアミノ酸が置換、欠失、付加及び/又は挿入されていてもよい。アミノ酸配列において、1または数個(例えば、1から8個、好ましくは1から5個、より好ましくは1から3個、特に好ましくは1または2個)のアミノ酸が欠失、付加、置換及び/または挿入されており、Ly6Dに対する結合活性、および/または抗腫瘍活性を有する抗体のアミノ酸配列を調製するための、当業者によく知られた方法としては、タンパク質に変異を導入する方法が知られている。例えば、当業者であれば、部位特異的変異誘発法(Hashimoto-Gotoh, T, Mizuno, T, Ogasahara, Y, anDNAkagawa, M. (1995) An oligodeoxyribonucleotide-directed dual amber method for site-directed mutagenesis. Gene 152, 271-275、Zoller, MJ, and Smith, M.(1983) Oligonucleotide-directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors.Methods Enzymol. 100, 468-500、Kramer,W, Drutsa,V,Jansen,HW, Kramer,B, Pflugfelder,M, and Fritz,HJ(1984) The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed mutation construction. Nucleic Acids Res. 12,9441-9456、Kramer W, and Fritz HJ(1987) Oligonucleotide-directed construction of mutations via gapped duplex DNA Methods. Enzymol. 154, 350-367、Kunkel,TA(1985) Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection.Proc Natl Acad Sci U S A. 82, 488-492)などを用いて、Ly6Dに対する結合活性および/または抗腫瘍活性を有する抗体のアミノ酸配列に適宜変異を導入することにより、Ly6Dに対する結合活性を有する抗体と機能的に同等な変異体を調製することができる。
このように、可変領域において、1または数個のアミノ酸が変異しており、Ly6Dに対する結合活性を有する抗体もまた本発明の抗体に含まれる。
本発明の抗体は、その由来で限定されず、ヒト抗体、マウス抗体、ラット抗体など、如何なる動物由来の抗体でもよい。又、キメラ化抗体、ヒト化抗体などでもよい。本発明における抗体の好ましい様態の一つとして、ヒト抗体である。
本発明の抗体は、後述する抗体を産生する細胞や宿主あるいは精製方法により、アミノ酸配列、分子量、等電点又は糖鎖の有無や形態などが異なり得る。得られた抗体が、本発明の抗体と同等の活性を有している限り、本発明に含まれる。例えば、本発明で記載されているアミノ酸配列に翻訳後に修飾を受ける場合も本発明に含まれる。更に、既知の翻訳後修飾以外の部位に対する翻訳後修飾も、本発明の抗体と同等の活性を有している限り、本発明に含まれる。また、本発明の抗体を原核細胞、例えば大腸菌で発現させた場合、本来の抗体のアミノ酸配列のN末端にメチオニン残基が付加される。本発明の抗体はこのような抗体も包含する。既知の翻訳後修飾以外の部位に対する翻訳後修飾も、本発明の抗体と同等の活性を有している限り、本発明に含まれる。
抗体の作製
(1)ファージディスプレイライブラリーにより抗原と反応するscFv
本発明の抗体の取得は、当技術分野で知られているいくつかの方法に従って調製することができる。例えば、ファージディスプレイ技術を使用して、Ly6Dに対する親和性が様々である抗体のレパートリーを含むライブラリーを提供することができる。次いで、これらのライブラリーをスクリーニングして、Ly6Dに対する抗体を同定し単離することができる。好ましくは、ファージライブラリーは、ヒトB細胞から単離されたmRNAから調製されたヒトVLおよびVHcDNAを使用して生成されるscFvファージディスプレイライブラリーである。そのようなライブラリーを調製しスクリーニングする方法は当技術分野で知られている。ヒトLy6Dを抗原としてスクリーニングした反応性を示すファージクローンから遺伝物質を回収する。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするVH及びVLのDNA配列を決定することができる。このscFvの配列を用いて、scFvをIgG化すれば、ヒト抗体を取得することができる。
(1)ファージディスプレイライブラリーにより抗原と反応するscFv
本発明の抗体の取得は、当技術分野で知られているいくつかの方法に従って調製することができる。例えば、ファージディスプレイ技術を使用して、Ly6Dに対する親和性が様々である抗体のレパートリーを含むライブラリーを提供することができる。次いで、これらのライブラリーをスクリーニングして、Ly6Dに対する抗体を同定し単離することができる。好ましくは、ファージライブラリーは、ヒトB細胞から単離されたmRNAから調製されたヒトVLおよびVHcDNAを使用して生成されるscFvファージディスプレイライブラリーである。そのようなライブラリーを調製しスクリーニングする方法は当技術分野で知られている。ヒトLy6Dを抗原としてスクリーニングした反応性を示すファージクローンから遺伝物質を回収する。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするVH及びVLのDNA配列を決定することができる。このscFvの配列を用いて、scFvをIgG化すれば、ヒト抗体を取得することができる。
(2)scFvのIgG化(ヒト抗体の作製)
H鎖またL鎖の発現ベクターを作製し、宿主細胞に発現させ、分泌した上清の回収・精製によりヒト抗体を取得する。また、VH及びVLを同一ベクターに発現すること(タンデム型)によりヒト抗体の取得もできる。これらの方法は周知であり、WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、W093/19172、WO95/01438、WO95/15388、WO97/10354などを参考にすることができる。
H鎖またL鎖の発現ベクターを作製し、宿主細胞に発現させ、分泌した上清の回収・精製によりヒト抗体を取得する。また、VH及びVLを同一ベクターに発現すること(タンデム型)によりヒト抗体の取得もできる。これらの方法は周知であり、WO92/01047、WO92/20791、WO93/06213、WO93/11236、W093/19172、WO95/01438、WO95/15388、WO97/10354などを参考にすることができる。
具体的には、VHをコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする他のDNA分子と連結することによって、完全長重鎖遺伝子を取得することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で知られており(例えば、Kabat,E.A.ら、(1991)Sequencesof Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91−3242)、これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMまたはIgDの定常領域でよいが、最も好ましくはIgG1またはIgG2の定常領域である。IgG1定常領域配列は、Gm(1)、Gm(2)、Gm(3)やGm(17)など、異なる個人間で生じることが知られている任意の様々な対立遺伝子またはアロタイプでよい。これらのアロタイプは、IgG1定常領域中の天然に存在するアミノ酸置換に相当する。
VLをコードするDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする他のDNA分子と連結することによって、完全長L鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)を取得することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当技術分野で知られており(例えば、Kabat,E.A.ら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91−3242)、これらの領域を包含するDNA断片は標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、κまたはλの定常領域でよい。κ定常領域は、Inv(1)、Inv(2)やInv(3)など、異なる個人間で生じることが知られている任意の様々な対立遺伝子でよい。λ定常領域は、3つのλ遺伝子のいずれかに由来するものでよい。
上記のように得られたH鎖またL鎖コードするDNAを発現ベクター中に挿入することにより、発現ベクターを作製し、宿主細胞に発現させ、分泌した上清の回収・精製によりヒト抗体を取得する。発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、カリフラワーモザイクウイルスやタバコモザイクウイルスなどの植物ウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソームなどが挙げられる。発現ベクターおよび発現調節配列は、使用する発現用宿主細胞と適合するように選択する。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子は、別々のベクター中に挿入することができるし、また両方の遺伝子を同じ発現ベクター中に挿入することもできる。抗体遺伝子を、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片上の相補的な制限部位とベクターの連結、または制限部位が存在しない場合には平滑末端連結)によって発現ベクター中に挿入する。
好都合なベクターは、上記に記載のように任意のVHまたはVL配列を容易に挿入し発現させることができるように工学的に作製された適当な制限部位を有する機能的に完全なヒトCHまたはCLイムノグロブリン配列をコードするものである。そのようなベクターでは、通常、挿入されたJ領域中のスプライス供与部位とヒトCドメインに先行するスプライス受容部位の間で、またヒトCHエキソン内に存在するスプライス領域でもスプライシングが起こる。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流にある天然の染色体部位で起こる。組換え発現ベクターはまた、宿主細胞由来の抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることもできる。抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドがインフレームでイムノグロブリン鎖のアミノ末端と連結するようにベクター中にクローン化することができる。シグナルペプチドは、イムノグロブリンシグナルペプチドでもよく、あるいは異種性シグナルペプチド(すなわち非イムノグロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)でもよい。
本発明の抗体の発現ベクターは、抗体遺伝子および制御配列に加えて、宿主細胞中でのベクターの複製を制御する配列(例えば複製起点)や選択マーカー遺伝子などのさらなる配列を有してよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を促進する。例えば、通常、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞上に、G418、ハイグロマイシンやメトトレキセートなどの薬物に対する耐性を付与する。好ましい選択マーカー遺伝子には、デヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(dhfr−宿主細胞でメトトレキセート選択/増幅とともに使用する)、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(G418選択用)、およびグルタミン酸合成酵素遺伝子がある。
以上の方法で作製された抗体遺伝子発現ベクターにより宿主細胞を形質転換する。宿主細胞としては細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞など、本発明の抗体を産生させる可能であればいかなる細胞でもよいが、動物細胞が好ましい。動物細胞として、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHO/dhfr (−)細胞CHO/DG44細胞、サル由来細胞COS細胞(A.Wright& S.L.Morrison, J.Immunol.160, 3393-3402 (1998))、SP2/O細胞(マウスミエローマ)(K.Motmans et al., Eur.J.Cancer Prev.5,512-5199(1996),R.P.Junghans et al.,Cancer Res.50,1495-1502 (1990)) など挙げられる。また、形質転換にはリポフェクチン法(R.W.Malone et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86,6007 (1989), P.L.Felgner et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,7413 (1987)、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法(F.L.Graham & A.J.van der Eb,Virology 52,456-467(1973))、DEAE-Dextran法等が好適に用いられる。
形質転換体を培養した後、形質転換体の細胞内又は培養液よりヒト抗体を分離する。抗体の分離・精製には、遠心分離、硫安分画、塩析、限外濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーなどの方法を適宜組み合わせて利用することができる。
抗体断片
本発明の抗体を基にして又は本発明の抗体をコードする遺伝子の配列情報を基にして抗体断片を作製することができる。抗体断片としてはFab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体が挙げられる。
本発明の抗体を基にして又は本発明の抗体をコードする遺伝子の配列情報を基にして抗体断片を作製することができる。抗体断片としてはFab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体が挙げられる。
Fabは、IgGをシステイン存在下パパイン消化することにより得られる、L鎖とH鎖可変領域、並びにCH1ドメイン及びヒンジ部の一部からなるH鎖フラグメントとから構成される分子量約5万の断片である。本発明では、上記抗体をパパイン消化することにより得ることができる。また、上記抗体のH鎖の一部及びL鎖をコードするDNAを適当なベクターに組み込み、当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりFabを調製することもできる。
Fab'は、後述のF(ab')2のH鎖間のジスルフィド結合を切断することにより得られる分子量が約5万の断片である。本発明では、上記抗体をペプシン消化し、還元剤を用いてジスルフィド結合を切断することにより得られる。また、Fab同様に、Fab'をコードするDNAを用いて遺伝子工学的に調製することもできる。
F(ab')2は、IgGをペプシン消化することにより得られる、L鎖とH鎖可変領域、並びにCH1ドメイン及びヒンジ部の一部からなるH鎖フラグメントとから構成される断片(Fab')がジスルフィド結合で結合した分子量約10万の断片である。本発明では、上記抗体をペプシン消化することにより得られる。また、Fab同様に、F(ab')2をコードするDNAを用いて遺伝子工学的に調製することもできる。
scFvは、H鎖可変領域とL鎖可変領域とからなるFvを、片方の鎖のC末端と他方のN末端とを適当なペプチドリンカーで連結し一本鎖化した抗体断片である。ペプチドリンカーとしては例えば柔軟性の高い(GGGGS)3などを用いることができる。例えば、上記抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域をコードするDNAとペプチドリンカーをコードするDNAを用いてscFv抗体をコードするDNAを構築し、これを適当なベクターに組み込み、当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりscFvを調製することができる。
dsFvは、H鎖可変領域及びL鎖可変領域の適切な位置にCys残基を導入し、H鎖可変領域とL鎖可変領域とをジスルフィド結合により安定化させたFv断片である。各鎖におけるCys残基の導入位置は分子モデリングにより予測される立体構造に基づき決定することができる。本発明では例えば上記抗体のH鎖可変領域及びL鎖可変領域のアミノ酸配列から立体構造を予測し、かかる予測に基づき変異を導入したH鎖可変領域及びL鎖可変領域をそれぞれコードするDNAを構築し、これを適当なベクターに組み込み、そして当該ベクターを用いて形質転換した形質転換体よりdsFvを調製することができる。
尚、適当なリンカーを用いてscFv抗体、dcFv抗体などを連結させたり、ストレプトアビジンを融合させたりして抗体断片を多量体化することもできる。
DNA損傷の検出方法及びDNA損傷の検出試薬
本発明によれば、DNA損傷を生じる環境下においてDNA鎖切断を受けた細胞においてDNA鎖切断を起こしていない細胞と比較して発現が亢進する細胞膜上抗原に対する抗体を、インビボで細胞に投与し、前記細胞膜上抗原の発現状態を分析することによって、細胞におけるDNA損傷を検出することができる。DNA損傷を生じる環境下においてDNA鎖切断を受けた細胞としては、放射線照射を受けることによってDNA鎖切断を受けた細胞などを挙げることができる。細胞の種類は特に限定されないが、がん細胞などを挙げることができる。細胞膜上抗原としては、DNA損傷を生じる環境下においてDNA鎖切断を受けた細胞において、DNA鎖切断を起こしていない細胞と比較して発現が亢進するものであれば特に限定されない。そのような細胞膜上抗原の一例としては、Ly6Dを挙げることができる。即ち、上記した本発明のLy6Dに対する抗体は、DNA損傷の検出試薬として有用である。
本発明によれば、DNA損傷を生じる環境下においてDNA鎖切断を受けた細胞においてDNA鎖切断を起こしていない細胞と比較して発現が亢進する細胞膜上抗原に対する抗体を、インビボで細胞に投与し、前記細胞膜上抗原の発現状態を分析することによって、細胞におけるDNA損傷を検出することができる。DNA損傷を生じる環境下においてDNA鎖切断を受けた細胞としては、放射線照射を受けることによってDNA鎖切断を受けた細胞などを挙げることができる。細胞の種類は特に限定されないが、がん細胞などを挙げることができる。細胞膜上抗原としては、DNA損傷を生じる環境下においてDNA鎖切断を受けた細胞において、DNA鎖切断を起こしていない細胞と比較して発現が亢進するものであれば特に限定されない。そのような細胞膜上抗原の一例としては、Ly6Dを挙げることができる。即ち、上記した本発明のLy6Dに対する抗体は、DNA損傷の検出試薬として有用である。
医薬組成物
本発明によれば、本発明の抗体を含有する医薬組成物が提供される。本発明一つの実施形態としてはがんの治療であるが、これに限らない。Ly6Dの高発現によるがん以外の疾患でも本発明の範囲以内である。更に好ましい実施形態としてがんは、固形癌(例えば、肺がん、大腸がん、胃がん、膀胱がん、膵臓がん、前立腺がん、肝がん、子宮頸がん、子宮がん、卵巣がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がんなど)、または血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫など)である。
本発明によれば、本発明の抗体を含有する医薬組成物が提供される。本発明一つの実施形態としてはがんの治療であるが、これに限らない。Ly6Dの高発現によるがん以外の疾患でも本発明の範囲以内である。更に好ましい実施形態としてがんは、固形癌(例えば、肺がん、大腸がん、胃がん、膀胱がん、膵臓がん、前立腺がん、肝がん、子宮頸がん、子宮がん、卵巣がん、乳がん、頭頸部がん、皮膚がんなど)、または血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫など)である。
本発明の医薬組成物の一態様として、本発明の抗体が有効成分として利用される。これは、抗体の細胞増殖抑制活性、細胞死誘導活性、ADCC活性、CDC活性などを利用し、抗腫瘍効果を発揮する。抗体が、以上の活性を一つだけを持つことでもよいし、また複数の活性を同時に持つことでもよい。つまり、naked抗体が医薬組成物の有効成分である。
もう一つの態様では、本発明の抗体はがん治療薬としてがん組織に特異的にターゲティングさせるミサイル療法に用いることができる。すなわち、がん細胞に傷害をもたらす物質を結合させた抗体を投与することにより、がん部特異的に移行させ、治療効果および副作用の軽減を意図した治療方法である。
がん細胞に傷害する物質は、薬剤、毒素又は放射線物質などの細胞障害性物質を挙げられる。細胞障害性物質と抗体の結合は、当業者に公知の方法で行うことができる(Clin Cancer Res. 2004 Jul 1;10(13):4538-49。
抗体に結合させる薬剤は、がん細胞に傷害をもたらす公知の物質を用いることができる。例としては例えばデュオカルマイシン、デュオカルマイシンのアナログ及び誘導剤、CC−1065、CBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、MCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、CCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、ドキソルビシン、ドキソルビシンコンジュゲート、モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、ドラスタチン、ドレスタチン−10、コンブレタスタチン、カリケアマイシン(calicheamicin)、メイタンシン、メイタンシンアナログ、DM1,DM2,DM3,DM4、DMI、アウリスタチンE、アウリスタチンEB(AEB)、アウリスタチンEFP(AEFP)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、5−ベンゾイルバレリン酸AEエステル(AEVB)、チューブリシン、ジソラゾール、エポシロン、パクリタキセル、ドセタキセル、SN−38、トポテカン、リゾキシン、エキノマイシン、コルヒチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エストラムスチン、セマドチン、エリューテロビン、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、リューロシン、リューロシダイン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシンコンジュゲート、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カルミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシン、ポドフィロトキシン誘導体、エトポシド、エトポシドリン酸塩、ビンクリスチン、タキソール、タキソテールレチノイン酸、酪酸、N8−アセチルスペルミジン並びにカンプトセシン等をあげることができるが、これだけに限定されるわけではない。
抗体に結合させる薬剤は、がん細胞に傷害をもたらす公知の物質を用いることができる。例としては例えばデュオカルマイシン、デュオカルマイシンのアナログ及び誘導剤、CC−1065、CBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、MCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、CCBIを主成分とするデュオカルマイシンアナログ、ドキソルビシン、ドキソルビシンコンジュゲート、モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、ドラスタチン、ドレスタチン−10、コンブレタスタチン、カリケアマイシン(calicheamicin)、メイタンシン、メイタンシンアナログ、DM1,DM2,DM3,DM4、DMI、アウリスタチンE、アウリスタチンEB(AEB)、アウリスタチンEFP(AEFP)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)、5−ベンゾイルバレリン酸AEエステル(AEVB)、チューブリシン、ジソラゾール、エポシロン、パクリタキセル、ドセタキセル、SN−38、トポテカン、リゾキシン、エキノマイシン、コルヒチン、ビンブラスチン、ビンデシン、エストラムスチン、セマドチン、エリューテロビン、メトトレキサート、メトプテリン、ジクロロメトトレキサート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、リューロシン、リューロシダイン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシンコンジュゲート、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カルミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシン、ポドフィロトキシン誘導体、エトポシド、エトポシドリン酸塩、ビンクリスチン、タキソール、タキソテールレチノイン酸、酪酸、N8−アセチルスペルミジン並びにカンプトセシン等をあげることができるが、これだけに限定されるわけではない。
抗体と薬剤の結合には、それら自身が有する連結基などを介して直接結合されてもよいし、また、リンカーや他の物質を介して間接的に結合されてもよい。
薬剤が直接結合される場合の連結基は、例えばSH基を用いたジスルフィド結合やマレイミドを介する結合が挙げられる。例えば、抗体のFc領域の分子内ジスルフィド結合と、薬剤のジスルフィド結合を還元して、両者をジスルフィド結合にて結合する。また、マレイミドを介する方法もある。また別の方法として、抗体内にシステインを遺伝子工学的に導入する方法もある。
抗体と薬剤を、他の物質(リンカー)を介して間接的に結合することも可能である。リンカーには、抗体または薬剤または両方と反応する官能基を1または2種類以上有することが望ましい。官能基の例としてはアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、マレイミド基、ピリジニル基等をあげることができる。
リンカーの例としては、N−スクシンイミジル4−(マレイミドメチル)シクロヘキサンカルボキシレート(SMCC)、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシ−(6−アミドカプロエート) (LC−SMCC)、κ−マレイミドウンデカン酸N−スクシンイミジルエステル(KMUA)、γ−マレイミド酪酸N−スクシンイミジルエステル(GMBS)、ε−マレイミドカプロン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(EMCS)、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS)、N−(α−マレイミドアセトキシ)−スクシンイミドエステル(AMAS)、スクシンイミジル−6−(β−マレイミドプロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、N−スクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニル)−ブチレート(SMPB)、およびN−(p−マレイミドフェニル)イソシアネート(PMPI)、6-マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、p-アミノベンジルオキシカルボンイル(PAB)、N-スクシンイミジル4(2-ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP) 及びN-スクシンイミジル(4-イオド-アセチル)アミノ安息香酸エステル(SIAB)等があげられるが、これらに限定されるものではない。また、このリンカーは例えば、バリン-シトルリン(Val-Cit)、アラニン-フェニルアラニン(ala-phe)のようなペプチドリンカーであってもよいし、上記にあげたリンカーをそれぞれ適時組み合わせて使用しても良い。
薬剤と抗体との結合方法に関しては、例えば、Cancer Research ;68 (22) 9280(2008)、Nature Biotechnology;26(8) 925(2008)、Bio Conjugate Chemistry;19、1673 (2008)、Cancer Research ;68 (15) 6300(2008)、又は特表2008-516896号公報などに記載の方法に準じて行うことができる。
毒素としては、抗体に毒素を化学的または遺伝子工学的に結合した、いわゆるイムノトキシンをあげることができる。毒素として、たとえば、ジフテリアトキシンA鎖、シュードモナスエンドトキシン、リシン鎖;無糖鎖リシンA鎖ゲロニン(Gelonin)サポリン(Saporin)等をあげることができる。
利用する放射性物質は、当業者に公知の物質を用いることができるが。例えばイットリウム90(90Y)、レニウム186(186Re)、レニウム188(188Re)、銅67(67Cu)、鉄59(59Fe)、ストロンチウム89(89Sr)、金198(198Au)、水銀203(203Hg)、鉛212(212Pb)、ジスプロシウム165(165Dy)、ルテニウム103(103Ru)、ビスマス212(212Bi)、ビスマス213(213Bi)、ホルミウム166(166Ho)、サマリウム153(153Sm)、ルテチウム177(177Lu)などを挙げることができる。好ましくは、90Y 153Sm、177Luである。
抗体と放射性物質の結合は、当業者公知の方法により行うことができる(Bioconjug Chem. 1994 Mar-Apr;5(2):101-4.)。
抗体と放射性物質の結合は、当業者公知の方法により行うことができる(Bioconjug Chem. 1994 Mar-Apr;5(2):101-4.)。
放射性同位元素を含む化合物を結合させた抗体を用いたがん治療は、当業者公知の方法により行うことができる(Bioconjug Chem. 1998 Nov-Dec;9(6):773-82.)。具体的には、最初に少量の放射性同位元素を含む化合物を結合させた抗体を患者に投与し、全身のシンチグラムを行う。正常組織の細胞と抗体の結合が少なく、癌細胞と抗体の結合が多いことを確認した上で、放射性同位元素を含む化合物を結合させた抗体を大量に投与する。
本発明の抗ヒトLy6D抗体を含有する医薬組成物による製剤も本発明の範囲内に含まれる。このような製剤は、好ましくは、抗体を含有する医薬組成物に加え、生理学的に許容され得る希釈剤又はキャリアを含んでおり、他の抗体又は抗がん剤のような他の薬剤との混合物であってもよい。適切なキャリアには、生理的食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水グルコース液、及び緩衝生理食塩水が含まれるが、これらに限定されるものではない。或いは、抗体は凍結乾燥(フリーズドライ)し、必要とされるときに上記のような緩衝水溶液を添加することにより再構成して使用してもよい。投与形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与、又は、注射剤(皮下注、静注、筋注、腹腔内注など)、経皮、経粘膜、経鼻、経肺、坐薬等による非経口投与を挙げることができる。本発明の医薬組成物による製剤単独の投与でもよいし、他の薬剤と併用でもよい。
本発明の医薬組成物の投与量は、症状、年齢、体重などによって異なるが、通常、経口投与では、抗体の量として、成人に対して、1日約0.01mg〜1000mgであり、これらを1回、又は数回に分けて投与することができる。また、非経口投与では、1回約0.01mg〜1000mgを皮下注射、筋肉注射又は静脈注射によって投与することができる。
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実験材料及び方法)
(1)細胞、抗体および抗体ライブラリー
MCF10A細胞系は、St.Marianna University、Japan、のT. Ohta博士により提供された。FaDuおよびA431細胞系は、ATCCから購入した。マウス抗ヒトLY6DAbおよびマウス抗ヒトGMLは、Abnova Corp.から購入した。AIMS5抗体ライブラリーは以前に記載されている(Morinoら2001年、J. Immunol. Meth. 257: 175-184)。
(1)細胞、抗体および抗体ライブラリー
MCF10A細胞系は、St.Marianna University、Japan、のT. Ohta博士により提供された。FaDuおよびA431細胞系は、ATCCから購入した。マウス抗ヒトLY6DAbおよびマウス抗ヒトGMLは、Abnova Corp.から購入した。AIMS5抗体ライブラリーは以前に記載されている(Morinoら2001年、J. Immunol. Meth. 257: 175-184)。
(2)細胞培養
MCF10A細胞は、2.5%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、0.1μg/mlコレラトキシン、0.5μg/mlヒドロコルチゾン、20ng/ml上皮増殖因子(EGF)および10μg/mlインスリン血清を添加したダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)/F12で培養した。A431細胞は10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したDMEMで増殖させ、FaDu細胞は10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したイーグルの最少必須培地(EMEM)で培養した。
MCF10A細胞は、2.5%FBS、1%ペニシリン-ストレプトマイシン、0.1μg/mlコレラトキシン、0.5μg/mlヒドロコルチゾン、20ng/ml上皮増殖因子(EGF)および10μg/mlインスリン血清を添加したダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)/F12で培養した。A431細胞は10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したDMEMで増殖させ、FaDu細胞は10%FBSおよび1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したイーグルの最少必須培地(EMEM)で培養した。
(3)X線照射および薬剤
細胞をコンフルエントになるまで増殖させた後、キャビネット型のX線装置(SOFRON、軟X線反転システム)内にて10Gy(3mA/50kV)で照射した。照射後の所望の時間に細胞を回収した。所定の濃度を達成するように、ロスコビチン(100mM)、カフェイン(100mM)、ワートマニン(1mM)、CPT(29mM、DMSO)、MMC(0.5mg/ml、PBS)、カルボプラチン(0.1mg/ml)、ヒドロキシ尿素(1M、PBS)およびアフィジコリン(10μM)の保存溶液を細胞の培地に加えた。
細胞をコンフルエントになるまで増殖させた後、キャビネット型のX線装置(SOFRON、軟X線反転システム)内にて10Gy(3mA/50kV)で照射した。照射後の所望の時間に細胞を回収した。所定の濃度を達成するように、ロスコビチン(100mM)、カフェイン(100mM)、ワートマニン(1mM)、CPT(29mM、DMSO)、MMC(0.5mg/ml、PBS)、カルボプラチン(0.1mg/ml)、ヒドロキシ尿素(1M、PBS)およびアフィジコリン(10μM)の保存溶液を細胞の培地に加えた。
(4)抗体ライブラリーのスクリーニング
スクリーニングは、以下の通りに改変したICOS(Akahoriら、2009年、Biochem. Biophys. Res. Commun. 378: 832-835.)に準じた方法によって実施した。1.6mlの溶液A(1%BSA、MEMおよび0.1%NaN3)中で、合計1×108個のX線照射細胞を、AIMS5ライブラリーからのファージ(0.5〜1×1013cfu)と一緒にインキュベートした。細胞およびファージの懸濁液を次に有機溶液の上に置き、遠心分離を用いて細胞/ファージ複合体を回収した。回収した複合体を溶液Aに再懸濁させた。このプロセスを3回繰り返した後に、ファージの調製のために複合体をE.coli DH12Sと混合した。このスクリーニングを再び繰り返し、第2ラウンドのスクリーニングから回収されたファージを1×108個の非照射細胞と混合し、スクリーニングプロセスを繰り返した。第3のスクリーニングの終わりに、マスキング剤の役割をさせるために、回収されたファージからポリクローナル抗体を調製した。この段階では、cp3と融合させたscFv-CLをプロテインAドメインと融合させたscFv-CL(scFv-CL-PP)に変換し(ItoおよびKurosawa、1993年、J. Biol. Chem. 268: 20668-20675)、scFv-CL-PPの形のポリクローナル抗体をマスキング剤として生成および精製した。合計1×108個のX線照射細胞を500μgの抗体を含むマスキング剤と4℃で4時間インキュベートし、3×1010個のファージが第1ラウンドのスクリーニングから回収された。インキュベーションの後、ICOSを実施した。このマスク支援のスクリーニングラウンドを再び繰り返した。最後に、回収されたファージに感染させたE.coli DH12S細胞をプレート上に播種した。およそ300個のコロニーを選び出し、さらなる分析のためにcp3およびPP形のモノクローナル抗体を個々のファージから調製した。
スクリーニングは、以下の通りに改変したICOS(Akahoriら、2009年、Biochem. Biophys. Res. Commun. 378: 832-835.)に準じた方法によって実施した。1.6mlの溶液A(1%BSA、MEMおよび0.1%NaN3)中で、合計1×108個のX線照射細胞を、AIMS5ライブラリーからのファージ(0.5〜1×1013cfu)と一緒にインキュベートした。細胞およびファージの懸濁液を次に有機溶液の上に置き、遠心分離を用いて細胞/ファージ複合体を回収した。回収した複合体を溶液Aに再懸濁させた。このプロセスを3回繰り返した後に、ファージの調製のために複合体をE.coli DH12Sと混合した。このスクリーニングを再び繰り返し、第2ラウンドのスクリーニングから回収されたファージを1×108個の非照射細胞と混合し、スクリーニングプロセスを繰り返した。第3のスクリーニングの終わりに、マスキング剤の役割をさせるために、回収されたファージからポリクローナル抗体を調製した。この段階では、cp3と融合させたscFv-CLをプロテインAドメインと融合させたscFv-CL(scFv-CL-PP)に変換し(ItoおよびKurosawa、1993年、J. Biol. Chem. 268: 20668-20675)、scFv-CL-PPの形のポリクローナル抗体をマスキング剤として生成および精製した。合計1×108個のX線照射細胞を500μgの抗体を含むマスキング剤と4℃で4時間インキュベートし、3×1010個のファージが第1ラウンドのスクリーニングから回収された。インキュベーションの後、ICOSを実施した。このマスク支援のスクリーニングラウンドを再び繰り返した。最後に、回収されたファージに感染させたE.coli DH12S細胞をプレート上に播種した。およそ300個のコロニーを選び出し、さらなる分析のためにcp3およびPP形のモノクローナル抗体を個々のファージから調製した。
(5)ELISAによる陽性ファージのスクリーニング
放射線を照射した細胞並と非照射の細胞を用意して、放射線照射された細胞特異的な抗体を細胞ELISAにてスクリーニングを行った。すなわちこの両細胞のELISAによる抗体の反応性を検討した。両細胞にBlocking液(5% スキムミルク / 0.05% NaN3/ PBS)200μL/wellで添加し、37℃で2時間ブロッキングを行った。ブロッキング溶液を除き、PBSにより洗浄し、上記抗体発現培養上清を100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、PBS/0.05%Tween20で希釈した1μg/mLRabbit anti−cp3を100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、更にPBS/0.05%Tween20で2000倍希釈したanti−Rabbit IgG(H+L)−HRPを100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、OPD in 0.1Mクエン酸リン酸バーファー(pH5.1)+0.01%H2O2 を100μL/well添加し室温で5分間反応させた。 2NH2SO2を100μL/well加え、発色反応を停止した。その後、SPECTRAmax340PC(Molecular Devices)にて492nmの吸光度を測定した。放射線照射を行ってある細胞に対してのみ特異的に顕著な陽性反応を示すものを選び、ファージのDNA配列を解析した。その結果、新規ファージ抗体を得られた。
放射線を照射した細胞並と非照射の細胞を用意して、放射線照射された細胞特異的な抗体を細胞ELISAにてスクリーニングを行った。すなわちこの両細胞のELISAによる抗体の反応性を検討した。両細胞にBlocking液(5% スキムミルク / 0.05% NaN3/ PBS)200μL/wellで添加し、37℃で2時間ブロッキングを行った。ブロッキング溶液を除き、PBSにより洗浄し、上記抗体発現培養上清を100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、PBS/0.05%Tween20で希釈した1μg/mLRabbit anti−cp3を100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、更にPBS/0.05%Tween20で2000倍希釈したanti−Rabbit IgG(H+L)−HRPを100μL/well添加し、37℃で1時間反応させた。PBSで5回洗浄後、OPD in 0.1Mクエン酸リン酸バーファー(pH5.1)+0.01%H2O2 を100μL/well添加し室温で5分間反応させた。 2NH2SO2を100μL/well加え、発色反応を停止した。その後、SPECTRAmax340PC(Molecular Devices)にて492nmの吸光度を測定した。放射線照射を行ってある細胞に対してのみ特異的に顕著な陽性反応を示すものを選び、ファージのDNA配列を解析した。その結果、新規ファージ抗体を得られた。
(6)フローサイトメトリー(FCM)
FCM分析は、以前に記載されている(Kurosawaら2009年、Immunol. Meth. 351: 1-12.)方法に準じて行った。Ly6D発現細胞株、A431(ATCC CCL−243:CML)を用いて、取得した抗Ly6D抗体の反応性を検討した。A431細胞を遠心により回収した。回収した細胞をPBSで1回洗浄し、その後、FACS Buffer(1%BSA,2mM EDTA,0.1%NaN3 入りPBS)で細胞を1×106/mLなるように懸濁し、この細胞懸濁液100μLを96- well V底プレート(Costar 3897)に分注した。、それぞれのLy6D抗体をFACS Bufferで0.02〜2μg/mLに調製し、調製した抗体溶液100μLを細胞に添加し、4℃で1時間インキュベートした。細胞をFACS Bufferにより2回洗浄した後、FACS Buffer で750倍に希釈したAlexa−anti−human IgG (invitrogen )溶液100μLを添加し、更に4℃で1時間インキュベートした。FACS Buffer で遠心により2回洗浄した後、FACS Calibur(BD)のHTSにセットして各wellのFL1蛍光強度を測定した。
FCM分析は、以前に記載されている(Kurosawaら2009年、Immunol. Meth. 351: 1-12.)方法に準じて行った。Ly6D発現細胞株、A431(ATCC CCL−243:CML)を用いて、取得した抗Ly6D抗体の反応性を検討した。A431細胞を遠心により回収した。回収した細胞をPBSで1回洗浄し、その後、FACS Buffer(1%BSA,2mM EDTA,0.1%NaN3 入りPBS)で細胞を1×106/mLなるように懸濁し、この細胞懸濁液100μLを96- well V底プレート(Costar 3897)に分注した。、それぞれのLy6D抗体をFACS Bufferで0.02〜2μg/mLに調製し、調製した抗体溶液100μLを細胞に添加し、4℃で1時間インキュベートした。細胞をFACS Bufferにより2回洗浄した後、FACS Buffer で750倍に希釈したAlexa−anti−human IgG (invitrogen )溶液100μLを添加し、更に4℃で1時間インキュベートした。FACS Buffer で遠心により2回洗浄した後、FACS Calibur(BD)のHTSにセットして各wellのFL1蛍光強度を測定した。
(7)免疫蛍光検査
50〜75%のコンフルエントに到達するまで、細胞を6穴プレートの滅菌されたガラス製カバーガラスの上で増殖させた。免疫染色の前に、細胞をTBSで洗浄し、室温で15分間、1%のBSA/TBSブロック溶液でインキュベートした。次に、細胞を5〜10μg/mlの一次抗体と37℃で1時間インキュベートした。次にカバーガラスをTBSで2回洗浄し、二次抗体(2μg/ml)と37℃で30分間インキュベートした。細胞を4%ホルムアルデヒド溶液で10分間固定し、DAPIを含むマウント剤でガラススライドの上にカバーガラスをのせた。
50〜75%のコンフルエントに到達するまで、細胞を6穴プレートの滅菌されたガラス製カバーガラスの上で増殖させた。免疫染色の前に、細胞をTBSで洗浄し、室温で15分間、1%のBSA/TBSブロック溶液でインキュベートした。次に、細胞を5〜10μg/mlの一次抗体と37℃で1時間インキュベートした。次にカバーガラスをTBSで2回洗浄し、二次抗体(2μg/ml)と37℃で30分間インキュベートした。細胞を4%ホルムアルデヒド溶液で10分間固定し、DAPIを含むマウント剤でガラススライドの上にカバーガラスをのせた。
(8)免疫沈降(IP)および質量分析
免疫沈降の条件は、既報の通りとした(Kurosawaら、2009年、J. Immunol. Meth. 351: 1-12.)。液中消化のための相間移動界面活性剤(PTS)プロトコル(Masudaら、2009年、Mol. Cell. Proteomics. 8: 2770-2777.;及びIwasakiら、2009年、J. Proteome Res. 8: 3169-3175)に従って、免疫沈降生成物をトリプシン(Promega、Madison、WI)およびLys-C(WAKO Pure Chemical、Osaka、Japan)で消化し、C18 StageTips(Thermo-Fisher Scientific、Waltham、MA)で濃縮した。それらをLC/MSによって分析した。
免疫沈降の条件は、既報の通りとした(Kurosawaら、2009年、J. Immunol. Meth. 351: 1-12.)。液中消化のための相間移動界面活性剤(PTS)プロトコル(Masudaら、2009年、Mol. Cell. Proteomics. 8: 2770-2777.;及びIwasakiら、2009年、J. Proteome Res. 8: 3169-3175)に従って、免疫沈降生成物をトリプシン(Promega、Madison、WI)およびLys-C(WAKO Pure Chemical、Osaka、Japan)で消化し、C18 StageTips(Thermo-Fisher Scientific、Waltham、MA)で濃縮した。それらをLC/MSによって分析した。
(9)PI-PLC処理
ビオチン化細胞(1×107個)をPBSで洗浄し、次に37℃で1時間、PBS1ml中の1U/mlのPI-PLC(Sigma)で処理した。細胞を遠心分離し、上清および細胞ペレットを別々に免疫沈降にかけた。
ビオチン化細胞(1×107個)をPBSで洗浄し、次に37℃で1時間、PBS1ml中の1U/mlのPI-PLC(Sigma)で処理した。細胞を遠心分離し、上清および細胞ペレットを別々に免疫沈降にかけた。
(10)siRNA
Ly6Dを標的にするStealth(商標)RNAi(5'-UCCAAGUCAUCAGCAUUCCAUGCCC-3') (配列番号14)を、BLOCK-iT(商標)RNAiデザイナー(Invitrogen)を用いて設計した。DNA-PK siRNA(A1、GCAAAGAGGUGGCAGUUAA(配列番号15);A2、GAGCAUCACUUGCCUUUAA(配列番号16);A3、GAUGAGAAGUCCUUAGGUA(配列番号17);A4、GCAGGACCGUGCAAGGUUA(配列番号18))、ATM siRNA(B1、GCAAAGCCCUAGUAACAUA(配列番号19);B2、GGGCAUUACGGGUGUUGAA(配列番号20);B3、UCGCUUAGCAGGAGGUGUA(配列番号21);B4、UGAUGAAGAGAGACGGAAU(配列番号22))、およびATR siRNA(C1、GAACAACACUGCUGGUUUG(配列番号23);C2、GCAACUCGCCUAACAGAUA(配列番号24);C3、UCUCAGAAGUCAACCGAUU(配列番号25);C4、GAAUUGUGUUGCAGAGCUU(配列番号26))を標的にするsiGENOME SMARTpool siRNA、ならびにCHEK1(D1、CAAGAUGUGUGGUACUUUA(配列番号27);D2、GAGAAGGCAAUAUCCAAUA(配列番号28);D3、CCACAUGUCCUGAUCAUAU(配列番号29);D4、GAAGUUGGGCUAUCAAUGG(配列番号30))およびCHEK2(E1、CUCAGGAACUCUAUUCUAU(配列番号31);E2、GUUGUGAACUCCGUGGUUU(配列番号32);E3、GCAUAGGACUCAAGUGUCA(配列番号33);E4、GUAAGAAAGUAGCCAUAAA(配列番号34))を標的にするON-TARGETプラスSMART Pool siRNAは、Thermo Scientificから購入した。p53 siRNA(5'-CAGUCUACCUCCCGCCAUA-3'(配列番号35))は、Eurofins MWG Operonから購入した。AllStars RNAi対照(QIAGEN)は、陰性対照のために用いた。lipofectamin(商標)RNAiMAX(Invitrogen)またはDharmaFECT(ThermoScientific)のいずれかを製造業者のプロトコルに従って用いて、siRNA二重鎖(25nM)を細胞に2日間、一時的にトランスフェクトさせた。
Ly6Dを標的にするStealth(商標)RNAi(5'-UCCAAGUCAUCAGCAUUCCAUGCCC-3') (配列番号14)を、BLOCK-iT(商標)RNAiデザイナー(Invitrogen)を用いて設計した。DNA-PK siRNA(A1、GCAAAGAGGUGGCAGUUAA(配列番号15);A2、GAGCAUCACUUGCCUUUAA(配列番号16);A3、GAUGAGAAGUCCUUAGGUA(配列番号17);A4、GCAGGACCGUGCAAGGUUA(配列番号18))、ATM siRNA(B1、GCAAAGCCCUAGUAACAUA(配列番号19);B2、GGGCAUUACGGGUGUUGAA(配列番号20);B3、UCGCUUAGCAGGAGGUGUA(配列番号21);B4、UGAUGAAGAGAGACGGAAU(配列番号22))、およびATR siRNA(C1、GAACAACACUGCUGGUUUG(配列番号23);C2、GCAACUCGCCUAACAGAUA(配列番号24);C3、UCUCAGAAGUCAACCGAUU(配列番号25);C4、GAAUUGUGUUGCAGAGCUU(配列番号26))を標的にするsiGENOME SMARTpool siRNA、ならびにCHEK1(D1、CAAGAUGUGUGGUACUUUA(配列番号27);D2、GAGAAGGCAAUAUCCAAUA(配列番号28);D3、CCACAUGUCCUGAUCAUAU(配列番号29);D4、GAAGUUGGGCUAUCAAUGG(配列番号30))およびCHEK2(E1、CUCAGGAACUCUAUUCUAU(配列番号31);E2、GUUGUGAACUCCGUGGUUU(配列番号32);E3、GCAUAGGACUCAAGUGUCA(配列番号33);E4、GUAAGAAAGUAGCCAUAAA(配列番号34))を標的にするON-TARGETプラスSMART Pool siRNAは、Thermo Scientificから購入した。p53 siRNA(5'-CAGUCUACCUCCCGCCAUA-3'(配列番号35))は、Eurofins MWG Operonから購入した。AllStars RNAi対照(QIAGEN)は、陰性対照のために用いた。lipofectamin(商標)RNAiMAX(Invitrogen)またはDharmaFECT(ThermoScientific)のいずれかを製造業者のプロトコルに従って用いて、siRNA二重鎖(25nM)を細胞に2日間、一時的にトランスフェクトさせた。
(11)リアルタイムPCR
MCF10A細胞を10GyのX線照射にかけ、その後24時間培養した。QuickGeneRNA培養細胞キットS(FUJIFILM)を用いて、全RNAを抽出した。SuperScript III逆転写酵素(Invitrogen)を用いて、cDNAを合成した。製造業者の説明書に従ってSYBR Green Masterミックスを用いて、定量逆転写PCR(qRT-PCR)を実施した。グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を内部対照として用いた。既報の通り(Nieuwenhuisら、2003年、Lab. Invest. 83: 1233-1240)、Ly6Dプライマーを設計した。SIGMAによって合成された特異的なプライマーは、以下の通りであった。Ly6Dのフォワードプライマー、5'-AGATGAGGACAGCATTGCTGC-3'(配列番号36)、およびリバースプライマー、5'-GCAGACCACAGAATGCTTGC-3'(配列番号37)、GADPHのフォワードプライマー、5'-ACTTCAACAGCGACACCCAC-3'(配列番号38)、およびリバースプライマー、5'-CAACTGTGAGGAGGGGAGAT-3'(配列番号39)。
MCF10A細胞を10GyのX線照射にかけ、その後24時間培養した。QuickGeneRNA培養細胞キットS(FUJIFILM)を用いて、全RNAを抽出した。SuperScript III逆転写酵素(Invitrogen)を用いて、cDNAを合成した。製造業者の説明書に従ってSYBR Green Masterミックスを用いて、定量逆転写PCR(qRT-PCR)を実施した。グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)を内部対照として用いた。既報の通り(Nieuwenhuisら、2003年、Lab. Invest. 83: 1233-1240)、Ly6Dプライマーを設計した。SIGMAによって合成された特異的なプライマーは、以下の通りであった。Ly6Dのフォワードプライマー、5'-AGATGAGGACAGCATTGCTGC-3'(配列番号36)、およびリバースプライマー、5'-GCAGACCACAGAATGCTTGC-3'(配列番号37)、GADPHのフォワードプライマー、5'-ACTTCAACAGCGACACCCAC-3'(配列番号38)、およびリバースプライマー、5'-CAACTGTGAGGAGGGGAGAT-3'(配列番号39)。
(12)マスキング戦略の論理
前記の通り、抗体ライブラリー(1×1011個の独立クローンからなるAIMS5)をX線照射MCF10A細胞で2回、非照射MCF10A細胞で1回スクリーニングした。最後に単離された生じたファージ分画をプールして、scFv-CL-PPの形に変換した。この時点で、3つのスクリーニングの出力数が1.5×106、3.4×106および9×106であったので、クローンの変動は1×105個以下であると推定された。膜タンパク質の上のエピトープの総数が二、三千であると仮定すると、二、三百のクローンによって認識されるエピトープは優性であり、X線照射および非照射のMCF10A細胞に存在する可能性があり、したがって優先的にマスキングされるはずである。本実施例では、1.6mlの溶液でマスキング剤として500μgの総タンパクを用いた。scFv-CL-PPの分子量は50kDaであるので、これは6×1015個の分子に対応する。癌細胞に対する多数のスクリーニングの経験から、マスキング剤中の抗体の半分が前述の優性エピトープに結合すると予想した。この推定により、各優性エピトープに対して1.5×1013個の抗体分子が各優性エピトープに対する1.6mlの溶液に存在し、結果として15nMのマスキング抗体濃度になる。他方、1×108個の細胞をスクリーニングのために用いた。細胞表面に存在するそれぞれの優性エピトープの数が104であると仮定すると、各エピトープの濃度は1nMであると推定される。したがって、マスキング抗体の濃度は、標的抗原の濃度よりかなり高い。抗原/抗体平衡は抗体濃度によって決まるので、本実施例の実験では抗原の平均90%はマスキング抗体によってカバーされた。
前記の通り、抗体ライブラリー(1×1011個の独立クローンからなるAIMS5)をX線照射MCF10A細胞で2回、非照射MCF10A細胞で1回スクリーニングした。最後に単離された生じたファージ分画をプールして、scFv-CL-PPの形に変換した。この時点で、3つのスクリーニングの出力数が1.5×106、3.4×106および9×106であったので、クローンの変動は1×105個以下であると推定された。膜タンパク質の上のエピトープの総数が二、三千であると仮定すると、二、三百のクローンによって認識されるエピトープは優性であり、X線照射および非照射のMCF10A細胞に存在する可能性があり、したがって優先的にマスキングされるはずである。本実施例では、1.6mlの溶液でマスキング剤として500μgの総タンパクを用いた。scFv-CL-PPの分子量は50kDaであるので、これは6×1015個の分子に対応する。癌細胞に対する多数のスクリーニングの経験から、マスキング剤中の抗体の半分が前述の優性エピトープに結合すると予想した。この推定により、各優性エピトープに対して1.5×1013個の抗体分子が各優性エピトープに対する1.6mlの溶液に存在し、結果として15nMのマスキング抗体濃度になる。他方、1×108個の細胞をスクリーニングのために用いた。細胞表面に存在するそれぞれの優性エピトープの数が104であると仮定すると、各エピトープの濃度は1nMであると推定される。したがって、マスキング抗体の濃度は、標的抗原の濃度よりかなり高い。抗原/抗体平衡は抗体濃度によって決まるので、本実施例の実験では抗原の平均90%はマスキング抗体によってカバーされた。
(13)補足情報
表1は、MSによって同定されたタンパク質の一覧を示す。X線照射および非照射MCF10A細胞両方の免疫沈降からもたらされたタンパク質の相補配列全体をトリプシンで消化して、MS分析にかけた。免疫沈降のための抗体として、クローンE33-139およびE33-026を別々に用いた。各タンパク質の存在の可能性が98%を超える場合だけ、それらをこの表に記載する。過去にタンパク質が同定されていた場合、様々な細胞コンパートメントが分析された実験は、細胞コンパートメントのそれぞれのカラムに印を付ける。
表1は、MSによって同定されたタンパク質の一覧を示す。X線照射および非照射MCF10A細胞両方の免疫沈降からもたらされたタンパク質の相補配列全体をトリプシンで消化して、MS分析にかけた。免疫沈降のための抗体として、クローンE33-139およびE33-026を別々に用いた。各タンパク質の存在の可能性が98%を超える場合だけ、それらをこの表に記載する。過去にタンパク質が同定されていた場合、様々な細胞コンパートメントが分析された実験は、細胞コンパートメントのそれぞれのカラムに印を付ける。
(結果)
(1)X線照射によって誘導されるMCF10A細胞の表面の分子に結合するモノクローナル抗体E33-139の単離
本実施例では、X線照射細胞の表面に存在するが非照射細胞の表面には存在しないタンパク質に対するモノクローナル抗体を単離することを目指した。大多数の膜タンパク質の種類および量は、X線照射の前後に変化せず、標的タンパク質の存在度は小さいものと推定される。X線照射細胞が抗体ライブラリーのファージと単に混合されるだけならば、標的タンパク質とファージ抗体の間で形成される複合体の数は、スクリーニングによって効率的に選び出すには少な過ぎることになる。この問題を克服するために、本発明では以下のスクリーニング戦略を採用した。先ず、X線照射細胞でファージ抗体ライブラリーをスクリーニングし、次に非照射細胞で行った。その結果、生じたファージ分画の抗体はX線照射細胞と非照射細胞の両方の表面に存在する膜タンパク質に結合し、それぞれの抗体の分布は標的抗原の量を反映した。スクリーニング後に全抗体を回収し、マスキング剤として調製した。大過剰のマスキング抗体の存在下で、X線照射細胞は抗体ライブラリーのスクリーニングを受けた。この手法を用いて、X線照射細胞および非照射細胞の両方に存在する比較的豊富な膜タンパク質は優先的にマスキングされるはずであるから、X線照射細胞だけに存在する膜タンパク質に結合する抗体を単離する可能性は高まるでものと予想される。
(1)X線照射によって誘導されるMCF10A細胞の表面の分子に結合するモノクローナル抗体E33-139の単離
本実施例では、X線照射細胞の表面に存在するが非照射細胞の表面には存在しないタンパク質に対するモノクローナル抗体を単離することを目指した。大多数の膜タンパク質の種類および量は、X線照射の前後に変化せず、標的タンパク質の存在度は小さいものと推定される。X線照射細胞が抗体ライブラリーのファージと単に混合されるだけならば、標的タンパク質とファージ抗体の間で形成される複合体の数は、スクリーニングによって効率的に選び出すには少な過ぎることになる。この問題を克服するために、本発明では以下のスクリーニング戦略を採用した。先ず、X線照射細胞でファージ抗体ライブラリーをスクリーニングし、次に非照射細胞で行った。その結果、生じたファージ分画の抗体はX線照射細胞と非照射細胞の両方の表面に存在する膜タンパク質に結合し、それぞれの抗体の分布は標的抗原の量を反映した。スクリーニング後に全抗体を回収し、マスキング剤として調製した。大過剰のマスキング抗体の存在下で、X線照射細胞は抗体ライブラリーのスクリーニングを受けた。この手法を用いて、X線照射細胞および非照射細胞の両方に存在する比較的豊富な膜タンパク質は優先的にマスキングされるはずであるから、X線照射細胞だけに存在する膜タンパク質に結合する抗体を単離する可能性は高まるでものと予想される。
抗体ライブラリーからのクローンの選択は、以下の通りに行った。X線照射細胞による3回のスクリーニング(最初のスクリーニングはマスキング抗体なし;第2および第3のスクリーニングはマスキング抗体あり)の後、330個のクローンを選び出した。これらのクローンのうち、205個はファージ表面でそのままの状態の単鎖Fv(scFv)断片を発現し、配列分析はそれらが136個の異なるクローンで構成されることを示した。3つの異なる方法を用いてクローンを選択した。X線照射細胞および非照射細胞を用いる細胞ELISAに基づき、20個の候補クローンが選択された。6個のクローンの結果を図1Aに示したように、それらは非照射細胞より強くX線照射細胞に結合した。20個の候補を、フローサイトメトリー(FCM)によって分析した。X線照射細胞のそれらの蛍光強度が非照射細胞の蛍光強度より一貫して強かったので、6個のクローンをそれらの中から選択した(図1B)。最後に、共焦レーザー顕微鏡分析は、クローンE33-139が、X線照射細胞の表面により高い濃度で存在する分子に一貫して、および強く結合することを示した(図1C)。上記の通り、MCF10A細胞においてX線照射前への反応性が無く、X線照射後に反応性が高まった抗体はE33-139であった。
抗体E33-139のアミノ酸配列及び塩基配列を図10、並びに配列表の配列番号1及び2に示す。また、抗体E33-139のCDRのアミノ酸配列を、以下の通り、配列表の配列番号3から8にそれぞれ示す。重鎖CDR1(配列番号3)、重鎖CDR2(配列番号4)、重鎖CDR3(配列番号5)、軽鎖CDR1(配列番号6)、軽鎖CDR2(配列番号7)及び軽鎖CDR3(配列番号8)
(2)LY6Dは、抗体E33-139によって認識される抗原である
抗体E33-139によって認識される抗原を同定するために免疫沈降(IP)を実施した。X線照射細胞および非照射細胞の表面の分子をビオチン化し、次に界面活性剤の添加によって可溶化させた。免疫沈降を可溶化タンパク質で実施し、生じた沈殿物をSDS-PAGEにかけた。ゲルを次に2つの部分に分け、その1つを銀染色し、他はウェスタンブロット法にかけて過酸化西洋わさび(HRP)コンジュゲートストレプトアビジンで調査した。図2Aに示すように、X線照射細胞から調製される試料のウェスタンブロット分析の結果、14kDaで顕著なバンドが観察されたが、このバンドは非照射細胞から調製された試料ではかすかであった。SDS-PAGEの前に免疫沈降生成物をトリプシンまたはプロテイナーゼKで処理したときには14kDaバンドは消失し、それがタンパク質であることを示した。ゲルに存在する14kDaタンパク質の量が検出限界未満であることを銀染色が示唆したので、X線照射細胞および非照射細胞の両方の免疫沈降から生じるタンパク質相補体の全体をトリプシンで消化して、質量分光(MS)分析にかけた。MS分析によって150種類のタンパク質を同定した(表1)。それらの過半数は、リボソームタンパク質、ミオシン、アクチン、ATP合成酵素および熱ショックタンパク質およびそれらの類縁体であった。それらは、X線照射細胞および非照射細胞の両方に由来する免疫沈降生成物で同定された。それらは細胞質に豊富に存在するので、それらが沈殿物で非特異的に検出されると判断した。MS分析によって同定されたタンパク質の中で、LY6Dだけが膜タンパク質であった。LY6Dは、X線照射細胞に由来した沈殿物で同定されたが、非照射細胞に由来した分画では同定されなかった。LY6DはSDS-PAGEにおいて14kDaで移動することが知られていたので、LY6DがE33-139によって認識される抗原として有力な候補であると判断した。
抗体E33-139によって認識される抗原を同定するために免疫沈降(IP)を実施した。X線照射細胞および非照射細胞の表面の分子をビオチン化し、次に界面活性剤の添加によって可溶化させた。免疫沈降を可溶化タンパク質で実施し、生じた沈殿物をSDS-PAGEにかけた。ゲルを次に2つの部分に分け、その1つを銀染色し、他はウェスタンブロット法にかけて過酸化西洋わさび(HRP)コンジュゲートストレプトアビジンで調査した。図2Aに示すように、X線照射細胞から調製される試料のウェスタンブロット分析の結果、14kDaで顕著なバンドが観察されたが、このバンドは非照射細胞から調製された試料ではかすかであった。SDS-PAGEの前に免疫沈降生成物をトリプシンまたはプロテイナーゼKで処理したときには14kDaバンドは消失し、それがタンパク質であることを示した。ゲルに存在する14kDaタンパク質の量が検出限界未満であることを銀染色が示唆したので、X線照射細胞および非照射細胞の両方の免疫沈降から生じるタンパク質相補体の全体をトリプシンで消化して、質量分光(MS)分析にかけた。MS分析によって150種類のタンパク質を同定した(表1)。それらの過半数は、リボソームタンパク質、ミオシン、アクチン、ATP合成酵素および熱ショックタンパク質およびそれらの類縁体であった。それらは、X線照射細胞および非照射細胞の両方に由来する免疫沈降生成物で同定された。それらは細胞質に豊富に存在するので、それらが沈殿物で非特異的に検出されると判断した。MS分析によって同定されたタンパク質の中で、LY6Dだけが膜タンパク質であった。LY6Dは、X線照射細胞に由来した沈殿物で同定されたが、非照射細胞に由来した分画では同定されなかった。LY6DはSDS-PAGEにおいて14kDaで移動することが知られていたので、LY6DがE33-139によって認識される抗原として有力な候補であると判断した。
LY6DはGPIアンカー型タンパク質である(Brakenhoffら、1995年、J. Cell Biol. 129: 1677-1689)ので、膜タンパク質のビオチン化の後にX線照射細胞および非照射細胞をホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼC(PI-PLC)で処理した。PIーPLC処理された細胞を遠心分離によって回収し、上清を保存した。次に、上清へ放出されたタンパク質と界面活性剤で処理した細胞溶解物の両方を免疫沈降にかけた。沈殿物を、SDS-PAGEとウェスタンブロットに供した。図2Bに示されるように、PI-PLCによる処理の前に膜分画で検出された14kDaバンドの大部分は上清へ放出され、バンドの位置は酵素消化後のSDS-PAGEの結果、15kDaへ移動した。これらの結果から、14kDaで検出されたタンパク質がGPIアンカータンパク質であることが確認された。
抗体E33-139によって検出される抗原タンパク質139が実際にLY6Dであることを証明するために、X線照射の不在下でLY6Dを豊富に発現する細胞を先ず探した。LY6Dが頭頸部の扁平上皮癌で多量に発現されることが報告されている(Quakら、1990年、Am. J. Pathol. 136: 191-197)。フローサイトメトリーは、FaDu細胞が多量の抗原タンパク質139を発現することを示したが、発現の程度は細胞集団の中で不均一であった。抗原タンパク質139の発現は、LY6D siRNAの注入後に著しく減少した(図2C)。FaDu細胞に及ぼすPI-PLC処理の影響も検討した。PI-PLCによる消化の前に、ウェスタンブロット法によって14kDaバンドが検出された。このバンドは酵素消化の後に上清へ放出され、バンド位置は15kDaへ移動した(図2D)。同じ免疫沈降試料をウェスタンブロットにかけ、ブロットを市販の抗ヒトLY6D抗体で検出した。図2Bで検出されたバンドと同じ位置で、明瞭な14kDaバンドが抗ヒトLY6Dによって検出された。このタンパク質バンドは、銀染色によっても可視化された(図2E)。これらの結果に基づき、抗原タンパク質139がLY6Dであると結論づけた。
(3)決定された抗原との結合確認実験
癌細胞株を用いて、Ly6DのcDNAをPCR法により作製した。常法によりLy6D 細胞外ドメインのcDNAを調整し、pCMV-Script(クロンテク社製)に挿入することにより、可溶性Ly6D抗原発現ベクターを作製した。この発現ベクターを細胞株293Tへ導入し、可溶性Ly6D抗原を産生する発現細胞を作製した。
癌細胞株を用いて、Ly6DのcDNAをPCR法により作製した。常法によりLy6D 細胞外ドメインのcDNAを調整し、pCMV-Script(クロンテク社製)に挿入することにより、可溶性Ly6D抗原発現ベクターを作製した。この発現ベクターを細胞株293Tへ導入し、可溶性Ly6D抗原を産生する発現細胞を作製した。
その後この作製されたLy6D抗原を用いたELISAを行った。
Ly6D抗体の酵素免疫測定法(ELISA)による反応性測定は固相抗原としてプレートに上記強制発現組換体を100ng/well(1μg/mLの濃度)で加えて4℃で一昼夜静置した。次にブロックエースを200μL/wellで加えて室温で1時間ブロックした後、試料の抗体を各wellに加えて1時間インキュベーションして反応させた。PBST(0.05%Tween20、PBS)で5回洗浄後、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(マウス、ウサギ、ウシ、マウスIgGに対して吸収済み)-HRP(コスモバイオ:AQI,Cat.A-110PD)をPBSTで2000倍希釈した検出抗体溶液を100μL/wellの割合で加えた。1時間インキュベーション後、PBSTで5回洗浄してから基質緩衝液TMBを100μL/wellの割合で加えた。室温暗所で15分間インキュベーションした後、反応停止液を100μL/wellの割合で加えて反応を停止してから、450nmにおける吸光度を測定した。
Ly6D抗体の酵素免疫測定法(ELISA)による反応性測定は固相抗原としてプレートに上記強制発現組換体を100ng/well(1μg/mLの濃度)で加えて4℃で一昼夜静置した。次にブロックエースを200μL/wellで加えて室温で1時間ブロックした後、試料の抗体を各wellに加えて1時間インキュベーションして反応させた。PBST(0.05%Tween20、PBS)で5回洗浄後、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(マウス、ウサギ、ウシ、マウスIgGに対して吸収済み)-HRP(コスモバイオ:AQI,Cat.A-110PD)をPBSTで2000倍希釈した検出抗体溶液を100μL/wellの割合で加えた。1時間インキュベーション後、PBSTで5回洗浄してから基質緩衝液TMBを100μL/wellの割合で加えた。室温暗所で15分間インキュベーションした後、反応停止液を100μL/wellの割合で加えて反応を停止してから、450nmにおける吸光度を測定した。
(4)ファージ抗体(scFv)のIgG化
(4−1)抗Ly6DIgG抗体を発現するplasmidの作製
ファージ抗体のIgG化はLy6-DE33cloneのIgG化を例として下記のように説明する。他の抗体について同様な手法でIgG化した。
ファージ抗体(scFv)の遺伝子はVH-VLの順で並んでおり、VHとVLはリンカー(配列番号9)で接続したscFvの構造をしている。
(4−1)抗Ly6DIgG抗体を発現するplasmidの作製
ファージ抗体のIgG化はLy6-DE33cloneのIgG化を例として下記のように説明する。他の抗体について同様な手法でIgG化した。
ファージ抗体(scFv)の遺伝子はVH-VLの順で並んでおり、VHとVLはリンカー(配列番号9)で接続したscFvの構造をしている。
抗Ly6D抗体のVH,VLで使用していると推定されるヒト生殖系列の遺伝子をIMGT (*)で検索した結果を表2で示す。
(*) IMGT : http://www.imgt.org
(*) IMGT : http://www.imgt.org
IMGTの検索結果を参考にして、ファージ抗体のIgG化をおこなった。抗Ly6D抗体のVH(配列番号10)をヒトG1の定常領域(配列番号11)と連結した。抗Ly6D抗体のVL(配列番号12)はIGLJ3*2遺伝子と並列に並んでいるIGLC3*01(ヒト軽鎖λ定常領域:配列番号13)と連結した遺伝子配列を作製した。5'側にNheI、3'側にEcoRIを付加したH鎖、L鎖遺伝子をGenScript社で全合成した。。合成した重鎖、軽鎖の遺伝子はそれぞれ別々の発現ベクターに組み込んだ。すなわちH鎖、L鎖それぞれの人工合成遺伝子をNheIとEcoRIで切断し、発現ベクターpCAGGSのNheIとEcoRI部位に組み込み、抗Ly6D030抗体H鎖発現ベクター、およびL鎖発現ベクターを得た。
(4−2)IgG抗体の一過性発現
IgG抗体の一過性発現にはFreeStyle (ライフテクノロジーズ)を用いた。遺伝子導入用浮遊細胞である293-F(ライフテクノロジーズ)は前日に継代した。トランスフェクション当日、一種類の抗体発現には、1x106細胞/mLの細胞濃度に調整した400mLの細胞懸濁液を準備した。これに抗体重鎖発現ベクターを100μg、軽鎖発現ベクターを100μg合計200μgのプラスミドをOptiPro SFMに懸濁した溶液(I)を調整した。次に200μLのMAX reagentを8mLのOptiPRO SFMに加えた(溶液II)。溶液(I)と(II)を混合して室温で10分から20分静置した。この合計16mLの反応液を293-F細胞を懸濁した400mLの293発現培地に加え、6日から7日間37℃、8%CO2で細胞培養震盪機のTAITEC BioShaker BR-43FLで培養した。6日から7日間後、それぞれの組換え抗体を含む培養上清を回収し、これを材料に精製をおこなった。
IgG抗体の一過性発現にはFreeStyle (ライフテクノロジーズ)を用いた。遺伝子導入用浮遊細胞である293-F(ライフテクノロジーズ)は前日に継代した。トランスフェクション当日、一種類の抗体発現には、1x106細胞/mLの細胞濃度に調整した400mLの細胞懸濁液を準備した。これに抗体重鎖発現ベクターを100μg、軽鎖発現ベクターを100μg合計200μgのプラスミドをOptiPro SFMに懸濁した溶液(I)を調整した。次に200μLのMAX reagentを8mLのOptiPRO SFMに加えた(溶液II)。溶液(I)と(II)を混合して室温で10分から20分静置した。この合計16mLの反応液を293-F細胞を懸濁した400mLの293発現培地に加え、6日から7日間37℃、8%CO2で細胞培養震盪機のTAITEC BioShaker BR-43FLで培養した。6日から7日間後、それぞれの組換え抗体を含む培養上清を回収し、これを材料に精製をおこなった。
(4−3)IgG抗体の精製
上記で発現した培養上清に含まれるIgG抗体タンパク質は、AKTAprimeを用いたAb-Capcher ExTra(プロテノバ)アフィニティーカラムで精製した。得られたピークフラクションは、溶媒としてダルベッコのPBSで平衡化したセファクリルS-300カラムによるゲルろ過をして、さらに精製した。精製したIgG抗体タンパク質の定量は、吸光係数を用いて算出した。IgG抗体の吸光係数はEXPASYのProtParam(http://web.expasy.org/protparam/)に各抗体の全アミノ酸配列を用いて計算して求めた。
上記で発現した培養上清に含まれるIgG抗体タンパク質は、AKTAprimeを用いたAb-Capcher ExTra(プロテノバ)アフィニティーカラムで精製した。得られたピークフラクションは、溶媒としてダルベッコのPBSで平衡化したセファクリルS-300カラムによるゲルろ過をして、さらに精製した。精製したIgG抗体タンパク質の定量は、吸光係数を用いて算出した。IgG抗体の吸光係数はEXPASYのProtParam(http://web.expasy.org/protparam/)に各抗体の全アミノ酸配列を用いて計算して求めた。
(5)LY6Dの誘導は、転写レベルで起こり、様々なDNA傷害性ストレスによって引き起こされる
X線照射後のLY6D発現の時間経過を、転写産物およびタンパク質の両方のレベルで検討した。LY6D転写産物の量はqRT-PCRを用いて判定し、LY6Dタンパク質の量はFCMを用いて判定した。図3Aに示すように、転写産物レベルは照射後に徐々に増加し、照射の約20時間後にプラトーに到達した。細胞表面のLY6Dのタンパクレベルでの発現は、転写産物のそれに類似したパターンに従った(図3B)。これらの結果は、LY6Dの誘導が転写レベルで調節されることを示した。
X線照射後のLY6D発現の時間経過を、転写産物およびタンパク質の両方のレベルで検討した。LY6D転写産物の量はqRT-PCRを用いて判定し、LY6Dタンパク質の量はFCMを用いて判定した。図3Aに示すように、転写産物レベルは照射後に徐々に増加し、照射の約20時間後にプラトーに到達した。細胞表面のLY6Dのタンパクレベルでの発現は、転写産物のそれに類似したパターンに従った(図3B)。これらの結果は、LY6Dの誘導が転写レベルで調節されることを示した。
X線照射がDNAに傷害を起こし、主に二本鎖切断を引き起こすことは周知である。様々な化学試薬も細胞でDNA傷害性ストレスを引き起こす。そこで、MCF10A細胞でLY6D発現に及ぼすカンプトセシン(CPT)の影響を検討した。マイトマイシンC(MMC)、カルボプラチン、ヒドロキシ尿素およびアフィジコリンに接触することによっても、MCF10A細胞の表面でのLY6D発現を誘導した(図4)。したがって、MCF10A細胞の表面でのLY6D発現の誘導は、DNA傷害性ストレスに起因する一般現象であることが判明した。
(6)LY6Dの転写は、ATM/ATR媒介二本鎖切断応答によって引き起こされる
LY6D発現の誘導につながる経路を解明するために、化学的阻害剤を用いた。図5Aに示すように、照射によって誘導されたLY6Dの発現上昇は、ATMおよびATRなどのPI3キナーゼの阻害剤であるカフェインに感受性であった(Sarkariaら、1999年、Cancer Res. 59: 4375-4382)。同じ現象は、別のPI3キナーゼ阻害剤、ワートマニンで観察された(Powisら、1994年、Cancer Res. 54: 2419-2423)。siRNAを用いた実験により、ATMおよび/またはATRの関与をさらに検討した。X線によって誘導されたLY6Dの発現は、細胞にATM siRNAを投与した後に有意に減少したが、ATR siRNAのトランスフェクション後にはわずかに減少した(図5BおよびC)。これらの結果から、X線照射後のLY6D発現の誘導は、ATM/ATR媒介二本鎖切断応答によって引き起こされるDNA傷害関連のシグナル伝達によってもたらされること、そしてこの応答においてATMはATRよりも大きな役割を担うことが示された。
LY6D発現の誘導につながる経路を解明するために、化学的阻害剤を用いた。図5Aに示すように、照射によって誘導されたLY6Dの発現上昇は、ATMおよびATRなどのPI3キナーゼの阻害剤であるカフェインに感受性であった(Sarkariaら、1999年、Cancer Res. 59: 4375-4382)。同じ現象は、別のPI3キナーゼ阻害剤、ワートマニンで観察された(Powisら、1994年、Cancer Res. 54: 2419-2423)。siRNAを用いた実験により、ATMおよび/またはATRの関与をさらに検討した。X線によって誘導されたLY6Dの発現は、細胞にATM siRNAを投与した後に有意に減少したが、ATR siRNAのトランスフェクション後にはわずかに減少した(図5BおよびC)。これらの結果から、X線照射後のLY6D発現の誘導は、ATM/ATR媒介二本鎖切断応答によって引き起こされるDNA傷害関連のシグナル伝達によってもたらされること、そしてこの応答においてATMはATRよりも大きな役割を担うことが示された。
(7)p53-p21経路は、X線照射によって誘導されるLY6Dの発現に関与する
放射線に起因するDNA二本鎖切断に応じてATMが速やかに活性化されることが確立されているので、前記した実験結果は理にかなっている(Shiloh、2006年、Trend. Biochem. Sci. 31: 402-410)。活性化の後、ATMは様々な基質をリン酸化して活性化するが、いずれも傷害応答経路で重要な因子である。siRNAを用いてp53の関与を検討した(SenguptaおよびHarris、2005年、Nature Cell Biol. 6: 44-55)。図6Aに示されるように、X線照射の前後にMCF10A細胞にp53は等しい量で存在した。しかし、p53 siRNAによる細胞のトランスフェクションは、X線照射後のLY6D発現の誘導において有意な減少をもたらした(図6B)。
放射線に起因するDNA二本鎖切断に応じてATMが速やかに活性化されることが確立されているので、前記した実験結果は理にかなっている(Shiloh、2006年、Trend. Biochem. Sci. 31: 402-410)。活性化の後、ATMは様々な基質をリン酸化して活性化するが、いずれも傷害応答経路で重要な因子である。siRNAを用いてp53の関与を検討した(SenguptaおよびHarris、2005年、Nature Cell Biol. 6: 44-55)。図6Aに示されるように、X線照射の前後にMCF10A細胞にp53は等しい量で存在した。しかし、p53 siRNAによる細胞のトランスフェクションは、X線照射後のLY6D発現の誘導において有意な減少をもたらした(図6B)。
p53の関与を、p53の優性ネガティブ突然変異体(TP53DD:Addgeneプラスミド9058)およびトランス優性抑制突然変異体TP53G154Vを有するMCF10A細胞でも検討した。図6Cに示すように、X線照射によるLY6D発現の誘導は、TP53DDを有するMCF10A細胞とTP53G154Vを有するMCF10A細胞の両方で有意に減少した。X線照射によるp21発現の誘導は野生型TP53を有するMCF10Aで観察されたが、誘導の程度はTP53DDおよびTP53G154Vを有するMCF10A細胞でかなり低減した(図6D)。本結果は、p53-p21経路がX線照射によって誘導されるLY6Dの発現に関与することを実証ものである。
(8)LY6Dの発現は、ATM、CHK2およびp53によって調節される経路によって誘導される
DNA傷害の後にLY6Dの発現に導くシグナル伝達経路に、チェックポイントキナーゼ(BartekおよびLukas、2003年、Cancer Cell. 3: 421-429)などのATMおよびp53以外の因子が関与する可能性がある。図7に示すように、Chk2 siRNAによるMCF10A細胞のトランスフェクションは、X線照射後のLY6D発現の誘導を有意に抑制した。したがって、X線照射後のLY6D発現の誘導は、ATM、CHK2およびp53によって調節される経路によって媒介されることが示された。他方、Chk1 siRNAは、X線照射後のLY6D発現を阻害できなかった。LY6Dの発現はChk1 siRNAによって誘導され、発現の程度はX線照射で大きく増加した(図7)。これらの結果は、X線照射後のLY6D発現の誘導にChk1は直接に関与しないが、Chk1の阻害はDNA傷害を引き起こすという事実を反映するものであろう(Syljuasenら、2005年、Mol. Cell. Biol. 25:3553-3562)。
DNA傷害の後にLY6Dの発現に導くシグナル伝達経路に、チェックポイントキナーゼ(BartekおよびLukas、2003年、Cancer Cell. 3: 421-429)などのATMおよびp53以外の因子が関与する可能性がある。図7に示すように、Chk2 siRNAによるMCF10A細胞のトランスフェクションは、X線照射後のLY6D発現の誘導を有意に抑制した。したがって、X線照射後のLY6D発現の誘導は、ATM、CHK2およびp53によって調節される経路によって媒介されることが示された。他方、Chk1 siRNAは、X線照射後のLY6D発現を阻害できなかった。LY6Dの発現はChk1 siRNAによって誘導され、発現の程度はX線照射で大きく増加した(図7)。これらの結果は、X線照射後のLY6D発現の誘導にChk1は直接に関与しないが、Chk1の阻害はDNA傷害を引き起こすという事実を反映するものであろう(Syljuasenら、2005年、Mol. Cell. Biol. 25:3553-3562)。
(9)FaDuおよびA431細胞でのLY6Dの発現は、X線照射によってさらに亢進される
LY6Dは、HNSCC細胞によるマウスの免疫化の後に単離されていた、モノクローナル抗体 E48によって認識される抗原として当初同定された(Quakら、1990年、Am. J. Pathol. 136: 191-197)。X線照射に曝露されなかった12個の癌細胞系でLY6Dの発現を検討し、2つの細胞系、FaDuおよびA431だけがLY6Dを発現した。これらの細胞系でのLY6Dの発現に及ぼすX線照射の影響を次に検討した。X線照射後、FaDuおよびA431細胞でLY6Dの発現はさらに亢進された(図8)。さらに、2つの正常組織に由来する細胞系、ヒト哺乳動物上皮細胞(HMEC)および網膜色素上皮細胞(RPE)でもLY6Dの発現を検討した。正常な培養条件下で、またはX線照射に応じて、これらの細胞系のいずれにおいてもLY6Dが発現されないことを見出した。したがって、X線照射によるLY6D発現の誘導は、幾つかの特異的であるがまだ特定されていない条件下の細胞での現象と考えられる。
LY6Dは、HNSCC細胞によるマウスの免疫化の後に単離されていた、モノクローナル抗体 E48によって認識される抗原として当初同定された(Quakら、1990年、Am. J. Pathol. 136: 191-197)。X線照射に曝露されなかった12個の癌細胞系でLY6Dの発現を検討し、2つの細胞系、FaDuおよびA431だけがLY6Dを発現した。これらの細胞系でのLY6Dの発現に及ぼすX線照射の影響を次に検討した。X線照射後、FaDuおよびA431細胞でLY6Dの発現はさらに亢進された(図8)。さらに、2つの正常組織に由来する細胞系、ヒト哺乳動物上皮細胞(HMEC)および網膜色素上皮細胞(RPE)でもLY6Dの発現を検討した。正常な培養条件下で、またはX線照射に応じて、これらの細胞系のいずれにおいてもLY6Dが発現されないことを見出した。したがって、X線照射によるLY6D発現の誘導は、幾つかの特異的であるがまだ特定されていない条件下の細胞での現象と考えられる。
(実施例の考察)
本実施例では、X線照射に応じて発現される膜タンパク質の同定方法を開発した。本方法は、標的分子を発現する細胞および発現しない細胞の両方を利用できる状況で、他の生物学的現象の分析に適用できる。この手法を用いて、候補抗体クローンを選択できる。単離クローンの選択を促進するために、2つの細胞集団間の差が標的分子(複数可)の存在/非存在に限定されることが望ましい。この場合、所望のクローンは細胞ELISAを用いて容易に判定することができる。
本実施例では、X線照射に応じて発現される膜タンパク質の同定方法を開発した。本方法は、標的分子を発現する細胞および発現しない細胞の両方を利用できる状況で、他の生物学的現象の分析に適用できる。この手法を用いて、候補抗体クローンを選択できる。単離クローンの選択を促進するために、2つの細胞集団間の差が標的分子(複数可)の存在/非存在に限定されることが望ましい。この場合、所望のクローンは細胞ELISAを用いて容易に判定することができる。
本発明者らが開発した方法を用いて、MCF10A細胞表面の膜タンパク質LY6Dの発現が、X線照射によって誘導されることを見出した。これまでに検討された少数の正常な組織に由来する細胞系の中で、主にこの細胞系でこの現象が観察されたが、本実施例のデータは、MCF10A細胞表面のLY6D発現の誘導がDNA傷害性ストレスに起因する一般現象であることを示す。DNA傷害は細胞周期の停止、DNA修復機能の亢進およびアポトーシスの誘発を含むいくつかの影響を細胞に及ぼすが(ZhouおよびElledge、2000年、Nature. 408: 433-439)、これらの応答に関与する主要な因子は膜ではなく核または細胞質に位置する。NKG2DリガンドもDNA傷害によって誘導されることがわかっている膜タンパク質であり、NKG2Dリガンドの発現上昇は、ATMおよび/またはATRによって開始され、下流媒介因子CHK1およびCHK2に受け継がれる主要なDNA傷害応答経路によって媒介される(Gasserら、2005年、Nature. 436: 1186-1190)。しかし、p53はNKG2Dリガンドの発現上昇のために必要とされない(Gasserら、2005年、Nature. 436: 1186-1190)。対照的に、LY6D発現の誘導は、ATM、CHK2およびp53によって調節される。
LY6D遺伝子は、Ly6遺伝子ファミリーに属する。マウスのLy-6は、多分化能幹細胞および系統専属の前駆体細胞での造血の間に、末梢リンパ系組織の特定の白血球亜集団で発現される表面糖タンパク質として当初同定された(Gumleyら、1995年、Cell Biol. 73: 277-296)。ThBとしても知られるマウスLy6dは、全ての成熟B細胞および形質細胞様樹状細胞、ならびに発達中の未成熟の胸腺リンパ球で発現される(Gumleyら、1992年、J. Immunol. 149: 2615-2618及び;Inlayら、2009年、Gene. Develop. 23: 2376-2381)。しかし、マウスLy6dの同族体であると考えられるヒトLY6Dはリンパ球で発現されず(Brakenhoffら、1995年、J. Cell Biol. 129: 1677-1689;及びQuakら、1990年、Am. J. Pathol. 136: 191-197)、ヒトLY6DおよびマウスLy6dは異なって進化したことが示唆される(Brakenhoffら、1997年、J. Immunol. 159: 4879-4886)。
Ly6ファミリーメンバーをコードする遺伝子の多くは、ヒトでは染色体8q24.3に、マウスでは第15染色体に位置する(De Nooij-van Dalenら、2003年、Int. J. Cancer 103, 768-774;及びStroncekら、2004年、J. Translat.Med. 2:1-9)。ヒト染色体とマウス染色体の両方のLy6遺伝子領域の遺伝子組織の模式的比較を、図9に示す。8個のヒトLY6ファミリー遺伝子および13個のマウスLy6ファミリー遺伝子をこれらの領域にマッピングした。これらの遺伝子のうちの7つの同族体、LY6D、LY6E、LY6H、LY6K、GML、PSCAおよびSLURP1が、ヒトゲノムとマウスゲノムの両方で同定された。PSCA、LY6EおよびLY6H遺伝子は、ヒトおよびマウスゲノムの重要な位置に位置する。6つのLy6ファミリー遺伝子はマウスゲノムのLY6E遺伝子座とLY6H遺伝子座の間に集まるが、これらの遺伝子のいずれもヒトゲノムには存在しない。他方、5つのヒト遺伝子および4つのマウス遺伝子は、PSCA遺伝子座とLY6E遺伝子座の間に位置し、ヒトおよびマウスのゲノムで異なって組織される。
ヒトGML遺伝子の発現は、p53によって特異的に誘導される(Furuhataら、1996年、Oncogene. 13: 1965-1970)。ヒトゲノムでは、LY6DおよびGML遺伝子は、頭対頭で構成される隣どうしである。p53結合配列はGMLの5'隣接領域にGMLから19kb離れた位置にあるが、(El-Deiryら、1992年、Nature Genet. 1: 45-49;及びKimuraら、1997、Genomics. 41: 477-480)、その位置は、LY6Dから27kb離れたLY6Dの5'隣接領域にも対応する。マウスのLy6dおよびGmlは頭対頭の構成で配向されていない。さらに、Ly6kがマウスゲノムのLy6d遺伝子座とGml遺伝子座の間に埋め込まれている。HemT-3としても知られるマウスGmlは、ヒトGMLと完全に異なる方法で同定された(Xueら、1999年、Gene. 240: 193-199)。HemTはマウス赤白血病細胞で優先的に発現し、3種類のHemT転写産物、HemT-1、2および3が同定された。HemT-3のアミノ酸配列はGMLのそれと高い程度の同一性を有するので、それらの遺伝子は相同的であるとみなされる。したがって、ヒトのLY6DおよびGMLは、マウスのLy6dおよびGmlのそれらと異なる機能を発展させ、ヒトのLY6DおよびGMLはp53の調節を受けるようになったようである。
LY6Dの発現は、トポイソメラーゼ阻害剤イリノテカンによる化学療法処理によって大いに亢進されることが示された(Rubinfeldら、2006年、Nature Biotech. 24: 205-209)。この現象が本実施例の結果と関連があるならば、LY6D発現の誘導はDNA傷害への耐性獲得と関連しているかもしれない。興味深いことに、GML発現の存在とタキソールおよびシスプラチンなどの抗癌剤への癌細胞の感受性との間の相関が観察された(Furuhataら、1996年、Oncogene. 13: 1965-1970;Kimuraら、1997、Oncogene. 15: 1369-1374;及びHigashiyamaら、2000年、Eur. J. Cancer. 36: 489-495)。したがって、LY6DおよびGMLは、DNA傷害に応じて反対の方法で機能するようである。p53スキャンを用いてLY6D遺伝子とGML遺伝子の間の46kb領域でp53結合部位を捜したところ、(http://131.174.221.43/bioinfo/p53scan/default.asp)、この領域ではp53の1つのコンセンサス結合部位だけが見出された。したがって、両方の遺伝子が同じp53結合部位の下で調節される可能性がある。しかし、qRT-PCRおよびFCMを用いる分析は、MCF10A細胞でGMLの発現がX線照射によって誘導されないことが示された。したがって、p53に加えて、LY6DまたはGMLのいずれかの発現を支配するいくつかの因子があるはずである。
Claims (16)
- 重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)及び重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)としてそれぞれ配列番号3、4及び5に記載のアミノ酸配列を有する、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体。
- 配列番号3の重鎖第1相補性決定領域(VH CDR1)、配列番号4の重鎖第2相補性決定領域(VH CDR2)、配列番号5の重鎖第3相補性決定領域(VH CDR3)からなるCDRを有する重鎖可変領域と、配列番号6の軽鎖第1相補性決定領域(VL CDR1)、配列番号7の軽鎖第2相補性決定領域(VL CDR2)、配列番号8の軽鎖第3相補性決定領域(VL CDR3)からなるCDRを有する軽鎖可変領域とを有する、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体。
- 請求項2に記載の抗体において、配列番号3〜8の何れかのアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸が欠失、付加、置換及び/または挿入されていて、ヒトLy6Dと特異的に反応する抗体。
- 活性が請求項1又は2に記載の抗体と同等である、請求項3に記載の抗体。
- 抗体がヒト抗体又はヒト化抗体である、請求項1から4の何れか1項に記載の抗体。
- 抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(Diabody)、ジスルフィド安定化V領域(dsFv)およびCDRを含むペプチドからなる群から選ばれる抗体断片である、請求項1から5の何れか1項に記載の抗体。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の抗体をコードするDNA。
- 請求項7に記載のDNAを含有する組換えベクター。
- 請求項8に記載の組換えベクターを宿主細胞に導入して得られる形質転換株。
- 請求項9に記載の形質転換株を培地に培養し、培養物中に請求項1から6の何れか1項に記載の抗体を生成蓄積させ、培養物から抗体を採取することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の抗体の製造方法。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の抗体を含有する、DNA損傷の検出試薬。
- 請求項1から6の何れか1項に記載の抗体を含有する、医薬組成物。
- 抗体に細胞傷害性物質が結合している、請求項12に記載の医薬組成物。
- 細胞傷害性物質が薬剤、毒素、又は放射性物質である、請求項13に記載の医薬組成物。
- 抗がん剤として使用される、請求項12から14の何れか1項に記載の医薬組成物。
- がんが、固形がんまた血液がんである、請求項15に記載の医薬組成物。
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