JP2007053926A - 光毒性の高感度検出方法及び光毒性検出用キット - Google Patents

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Abstract

【課題】 様々な化学物質の光毒性を、簡便かつ迅速に、しかも極めて高感度に検出する方法及びそれに用いるキットを提供することを課題とする。
【解決手段】 被検物質を生体細胞と共に光照射した後、前記生体細胞中に誘発されたヒストン−H2AXのリン酸化を、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体を作用させ、次いで標識の結合した二次抗体を作用させる等の方法で標識し、蛍光顕微鏡検査法等の方法で測定し、これにより前記被検物質の光毒性を検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、化学物質の光毒性を高感度に検出する方法及び光毒性検出用キットに関する。詳しくは、本発明は、光増感性物質と光照射との複合曝露により生じる生体細胞中のDNA二本鎖切断に伴って誘発されるヒストン−H2AXのリン酸化を指標として、低い濃度の化学物質に対しても高感度に光毒性を検出できる方法、及び該方法を用いた光毒性検出用キットに関する。
(1)光毒性
太陽光を浴びることは、人間にとってビタミンDの合成、殺菌、消毒作用など、健康衛生面では有用であるが、その反面、日焼けによる肌荒れ、皮膚の老化、皮膚がんの誘発など有害な作用を持ち合わせてもいる。特に近年、化粧品の使用、農薬の使用、加工食品の摂取、医薬品の服用等のあとに太陽光に曝されると、湿疹、水疱、発赤、色素沈着等の皮膚トラブルが頻繁に発生したり、皮膚がんの発症率が上昇したりするなどの問題が多く見られるようになってきている。また、大気汚染物質や土壌汚染物質などの環境汚染物質が光照射に曝されてさらに高活性の有害物質に変化することも知られている。
これらは、化粧品、加工食品、医薬品等に含まれる成分や環境汚染物質等の化学物質が光エネルギーによって変化し毒性を持つに至る、すなわち光毒性を有するために起こるものと考えられる。
光毒性の発現メカニズムは必ずしも明らかではないが、光照射により化学物質が励起状態となり、励起された過剰エネルギーが周りの酸素にエネルギーを付与して活性酸素種を生じ、その活性酸素種が生体細胞に作用して細胞膜破壊、DNA損傷等をもたらし、ひいては細胞全体にダメージを与える、または、光照射により化学物質がよりDNAと反応性の高い化合物や活性酸素を産生する化合物に変化し、細胞に毒性を示すと考えられている。
(2)光照射と感光性物質による複合曝露の危険性
太陽光、特に紫外線照射へ曝されること(曝露)は、生体細胞におけるDNAの損傷を誘発するため、皮膚がん発症の重要な危険因子となりうることが、近年広く知られるようになっている。
地表へ到達する太陽光の紫外線に含まれるのは、主にUVB(280〜320nm)と、UVA(320〜400nm)であり、それらは異なった形のDNA損傷を引き起こす。UVBはDNAに直接吸収され、シクロブタンピリミジンダイマーなどのDNA損傷を誘導し、これは光(紫外線)発がんの主原因となる。
一方、UVAは太陽光の紫外線の大半を占めるが、DNAに吸収されないために、UVBより発がん性が低いと考えられている。それゆえに、これまで光発がん(光(紫外線)照射が原因でがんを発症する性質)に関してはUVAよりもUVBが注目されてきた。
しかしながら近年、UVAに関しても、感光性物質の存在下で照射を受けることにより、様々な形のDNA損傷を引き起こすことが知られてきた。例えば、8−メトキシ−ソラレン(よく知られた光増感剤)とUVAとの組み合わせが、DNA塩基の酸化体である8−オキソ−7,8−ジヒドロ−2’−デオキシグアノシン(8-oxodG)生成やDNAinter-strand cross links(DNAとの架橋形成)などのDNA損傷を引き起こし、皮膚がんの危険性の増大をもたらすことが報告されている。
同様に、生活環境中に存在する様々な化学物質、例えば大気汚染物質や、食品添加物、医薬品、香料、化粧品、化学工業製品、除草剤、殺虫剤等に含まれる化学物質も、外因性の光毒性化学物質として作用しうることから、皮膚がんやその他様々な皮膚のトラブル発生の原因となる可能性を有する。
このように、UVAは特定の化学物質との複合的作用あるいは複合曝露によって、光発がん性あるいは光毒性を発現する危険性を有することが知られてきている。われわれが日常的に接する化学物質の中で、従来毒性を有しないと思われていた化合物であっても、光の存在下で発がん性等の高い毒性を発現しうる新たな光毒性物質が存在する危険性があり、このような危険性をいち早く知ることが必要となっている。したがって、より高感度な光毒性物質の検出方法あるいはその光毒性の程度の評価方法(光毒性度の定量方法)が、今後重要な役割を果たすと思われる。
(3)従来の光毒性検出方法
光毒性物質は紫外線等の光照射をした場合、DNA損傷等を誘発し、皮膚がん等を引き起こす危険性があるため、光毒性物質を検出、評価、あるいはスクリーニングするための様々な方法がこれまでにも開発されている。
光毒性物質をスクリーニングすることを目的とした評価方法としては、インビボ評価法(in vivo test)とインビトロ評価法(in vitro test)との2通りが行われている。インビボ評価法としては、マウスやラット等の動物に薬剤を投与したのち光照射を行い、その反応を調べる方法が知られている。また、インビトロ評価法としては、単層細胞培養を用いたニュートラルレッド取り込み試験法、MTT還元測定法、DNA合成阻害、LDH漏出量測定法などがある。用いる培養細胞種としてはマウス繊維芽細胞、ヒトケラチノサイト、ヒトリンパ球等がある。
しかしながら、従来行われている方法では、様々な欠点があった。例えばインビボ評価法は、異種動物を用いた皮膚反応を見るものであり、また個体間で反応のバラツキが生じる可能性が大きいことから、迅速性、信頼性に欠けるものであった。一方、細胞を用いたインビトロ評価方法は、やはり細胞間での反応のバラツキが多く、また検査方法が複雑であったり費用がかかったりするという難点があった。さらにインビトロ法では、細胞死を指標とするため、非常に高い化合物濃度を使用しなければ評価できなかった。よって、簡便且つ迅速で、しかも低レベルの光照射及び化合物濃度によっても高感度に光毒性を検出する方法の開発が望まれている。
(4)多環芳香族炭化水素の光毒性
多環芳香族炭化水素の光毒性(光照射により毒性を生ずる性質)は、100年以上前に初めて確認された。これまで実験動物(急激な皮膚反応や発がん性の増大など)や様々な種類の細胞(細胞毒性の増大)において多くの報告がなされてきた。
最近になって、いくつかの研究グループが、多環芳香族炭化水素とUVAの複合曝露がDNAの一本鎖切断のようなDNA損傷及び8−oxodGの形成(これらは突然変異や発がん性と密接に関係している)を著しく増大させることを発表した。
しかしながら、UVAとの複合曝露がDNAの二本鎖切断(DSBs)を引き起こす可能性については、これまで知られていなかった。
(5)複合曝露によるDNA二本鎖切断の誘発とヒストン−H2AXのリン酸化
本発明者らは、多環芳香族炭化水素などの化学物質とUVAの複合曝露により生じるDNA損傷について研究を重ねた結果、多環芳香族炭化水素の一つであるベンゾ〔a〕ピレン(BaP)とUVAの複合曝露が、DNA二本鎖切断(DSBs)を誘発することを先に見いだし、発表した(非特許文献1)。
本発明者らはまた、BaPとUVAの複合曝露が、細胞外のDNAにおいても二本鎖切断を誘発すること、そしてそのようなDNA二本鎖切断がsinglet oxygen(12)の生成によるものであることを確認した(非特許文献2)。
DNA二本鎖切断は細胞にとって最も深刻なDNA損傷であると考えられ、修復されなかったりもしくは誤って修復されたりした場合には、突然変異や染色体の転移を生じ、最終的には発ガンに至る。よってそれを修復する機構は重要である。
DNA二本鎖切断直後に生じる初期現象として、ヒストン−H2AXのリン酸化があり、DNA損傷に対する修復作用と関係していると考えられている。すなわち、DNAの二本鎖切断等の損傷が起こると、その二本鎖切断部位を中心にその近傍(約2000個)のヒストン−H2AXがごく短時間のうちにリン酸化され、損傷部位にフォーカス(foci)を形成してDNAの修復を促すと考えられる。このリン酸化ヒストン−H2AXは「γ−H2AX」とも呼ばれる。
本発明者らは、低濃度の化学物質、低線量の紫外線の複合曝露によりリン酸化ヒストン−H2AXのフォーカスが急激に増大することを見いだしたのである。
DNA二本鎖切断によりリン酸化ヒストン−H2AXが誘発すること自体は知られている。例えば、放射線感受性の測定手段としてヒストン−H2AXのリン酸化が有用であることが発表されている(非特許文献3、非特許文献4)。また、DNA二本鎖切断を生じる化学療法薬の評価手段としてヒストン−H2AXのリン酸化の測定が有用であることが発表されている(非特許文献5)。
しかしながら、ヒストン−H2AXのリン酸化が光毒性誘導後に形成されることについては知られておらず、またヒストン−H2AXのリン酸化を光毒性の検知手段として用いることも知られていなかった。
Biochemical and Biophysical Research Communications 322, 631-636, 2004 Environmental and Molecular Mutagenesis(vol. 47#1)『Coexposure to Benzo[a]pyrene and UVA induce DNA damage』 Int. J. Radiation Oncology Biol. Phys., 58(2), 331-335, 2004 Journal of Biological Chemistry, 279(3), 2273-2280, 2004 Cancer Research 63, 4347-4350, 2003
本発明は、様々な化学物質の光毒性を、簡便かつ迅速に、しかも極めて高感度に検出する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述した課題に鑑み鋭意検討した結果、DNA二本鎖切断に伴って誘発されるヒストン−H2AXのリン酸化が、極めて低い濃度の光増感性物質とUVAとの組み合わせによる複合曝露によっても高感度に発現することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)に示す光毒性の検出方法を提供する。
(1) 被検物質の光毒性を高感度に検出する方法であって、前記被検物質を生体細胞と共に光照射した後、前記生体細胞中に誘発されたヒストン−H2AXのリン酸化を測定し、前記測定結果を指標として用いることを特徴とする、光毒性の検出方法。
(2) 前記被検物質が光増感性物質である、請求項1記載の光毒性の検出方法。
(3) 前記光毒性が、生体細胞中におけるDNAの二本鎖切断による損傷を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の光毒性の検出方法。
(4) 前記光照射が、紫外線又は可視光線の照射であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光毒性の検出方法。
(5) 前記紫外線が波長320〜400nmのUVAであり、前記可視光線が波長400〜750nmの可視光線であることを特徴とする、請求項4記載の光毒性の検出方法。
(6) 前記ヒストン−H2AXのリン酸化の測定が、以下の工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の光毒性の検出方法。
(A)前記生体細胞を固定する工程、
(B)固定細胞に、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体を作用させる工程、
(C)次いで、標識を結合させた二次抗体を作用させる工程、及び
(D)前記標識を測定する工程。
(7) 前記(C)工程における標識として蛍光物質を用い、前記(D)工程において蛍光物質により発現する蛍光を測定することを特徴とする、請求項6記載の光毒性の検出方法。
(8) 被検物質の光毒性を高感度に検出するためのキットであって、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体と、標識を結合させた二次抗体とを含む、光毒性検出用キット。
(9) 前記二次抗体が、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体と特異的に結合する蛍光標識された抗体である、請求項9記載の光毒性検出用キット。
本発明の方法を用いれば、ある化学物質が光存在下、生体組織においてDNA二本鎖切断等の損傷を誘発する可能性を有する場合、該化学物質の光毒性を高感度で検出することができる。そしてその結果、化粧品や香料、食品等に含まれる様々な化学物質における光毒性を従来法よりも高感度に簡易に検出することが可能となる。よって、本発明の方法は各種化学物質の一次スクリーニング等に有効である。
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
I.光毒性の検出方法
本発明の方法は、被検物質の光毒性を高感度に検出する方法であって、前記被検物質を生体細胞と共に光照射した後、前記生体細胞中に誘発されたリン酸化ヒストン−H2AXを測定し、前記測定結果により光毒性の検出を行うことを特徴とする。
(1)被検物質
本発明の光毒性の検出方法において対象となる被検物質は、一定波長の光を吸収し励起される化学物質や化学構造が反応性の高い物質に変化する化学物質、すなわち光増感性を示す可能性のある化学物質であれば特に限定されず、いかなる化学物質を対象とすることもできる。そのうち、本発明では特に環境化学物質を対象とするのが好ましい。環境化学物質は、人間の周囲の生活環境中に存在する様々な化学物質であって、例えば大気、水質、土壌汚染物質や、食品、医薬品、香料、化粧品、化学工業製品、除草剤、殺虫剤等に含まれる化学物質などが挙げられる。外因性の光増感性物質として作用しうることから、光毒性物質あるいは光発がん性物質となる可能性がある。
本発明の方法は、光毒性物質を極めて高感度に検出することができるので、このような環境化学物質を対象とすることにより、各種環境汚染物質の一次スクリーニングに好適に用いることができる。
環境化学物質のうち、特に近年、環境発がん性物質として広範囲に分布を広げている物質が、多環芳香族炭化水素(PAHs)である。本発明の方法は、特にこの多環芳香族炭化水素を対象とするのが好ましい。多環芳香族炭化水素としては、ベンゾ〔a〕ピレン(BaP)、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ベンゾ〔a〕アントラセン等が挙げられ、そのうち最も代表的なものはベンゾ〔a〕ピレン(BaP)である。また、その他に抗菌剤であるBithionol、Hexachlorophene、3,4,5-Tribromosalicylanilide、芳香剤である8-methoxy psoralen、5-methoxy psoralen、6-Methylcoumarin、さらにはPDT(Photo-dynamic therapy)療法に用いられるポルフィリン骨格を有した薬品群などを挙げることができるが、本発明における被検物質はこれらに限定されず、光を吸収し励起されたり、光により反応性の高い構造に変化したりする化学物質全般を対象とすることができる。
(2)光毒性
光毒性は一般に、化学物質が光照射によって毒性をもつに至る性質をいい、これにより細胞膜破壊、DNA損傷等が引き起こされ、ひいては細胞死をもたらす。
光毒性の発現メカニズムは必ずしも明らかではないが、光照射により化学物質が励起状態となり、励起された過剰エネルギーが周りの酸素にエネルギーを付与して活性酸素種を生じ、その活性酸素種(ROS)が生体細胞に作用して細胞膜破壊、DNA損傷等をもたらし、ひいては細胞全体にダメージを与える、または、光照射により化学物質がよりDNAと反応性の高い化合物や活性酸素を産生する化合物に変化し、細胞に毒性を示すと考えられている。
本発明の方法において検出する光毒性は、特に生体細胞中のDNA二本鎖切断による損傷に起因するものである。
ある光増感性化合物においては、光存在下、生体細胞中のDNA二本鎖切断を検出することができる。DNA二本鎖切断による損傷は、細胞に極めて深刻な脅威を与えるものである。損傷部位が修復されないか、或いは謝って修復された場合には、突然変異あるいは染色体異常を招き、発がんにつながる。よって、このような化合物は、光存在下で発がん性を有していると考えられる。放射線がDNA二本鎖切断を誘導することから発がん性を有することは周知であるが、これと同様のことが日常生活で接触する化学物質と太陽光とによって引き起こされているのである。
このような光増感性物質と光照射との複合曝露によってDNA二本鎖切断が誘発されることは、これまで確認されておらず、本発明者らの研究のなかではじめて確認されたものである。また、光増感性物質と光照射との複合曝露によるDNA二本鎖切断がヒストン−H2AXのリン酸化を伴うこと、及び複合曝露による活性酸素種(ROS)の生成がヒストン−H2AXのリン酸化を伴うDNA二本鎖切断に寄与していることをも同時に確認した。
(3)生体細胞
本発明で用いられる生体細胞としては特に制限はなく、一般に実験用として用いられる哺乳動物細胞等を用いることができる。具体的には、チャイニーズハムスター子宮細胞であるCHO−K1細胞、ヒト皮膚正常細胞であるHaCat細胞、ヒト白血病細胞であるHL−60細胞などが挙げられる。その他に、汎用性が高い3T3細胞などを用いることもできる。また、培養条件(培地、温度、培養時間など)については、細胞種等に応じて適宜従来公知の条件を採用することができる。
(4)光照射
本発明では、主として太陽光がもたらす光毒性を検出することから、本発明の方法に用いられる光照射は、太陽光に含まれる光線であれば可視光及び紫外線等のいずれであってもよい。
地表へ到達する太陽光の紫外線には、主にUVB(280〜320nm)とUVA(320〜400nm)が含まれているが、本発明の方法をより有効に活用する上で特に好ましいのはUVAである。また、化合物の構造によっては、紫外線よりさらに長波長の可視光、すなわち波長400〜750nmの可視光線のほうが好ましい場合がある。
UVBに比べて発がん性が低いと思われていたUVAや可視光と、従来光毒性を有しないと思われていた環境化学物質との組み合わせにより、予想外に高い光毒性を発現しうる場合があり、本発明の方法はそのような危険性を有する新たな光毒性物質を高感度に検出することができる。
光照射量は特に限定されないが、UVAの場合、好ましくは0.5〜5J/cm2である。照射量が少なすぎるとヒストン−H2AXのリン酸化が認められず、また、多すぎると細胞の光毒性が強く出すぎて細胞が即死状態になってしまい、リン酸化が確認できなくなることがある。
(5)リン酸化ヒストン−H2AXの測定
本発明の光毒性の検出方法は、光毒性物質と光照射との複合曝露により、生体細胞中においてヒストン−H2AXのリン酸化を伴うDNA二本鎖切断を誘発するという新たな知見に基づいており、このヒストン−H2AXのリン酸化を指標として用いることを特徴としている。
DNAの二本鎖切断が起こると、その損傷部位を中心にその近傍のヒストン−H2AXがごく短時間のうちにリン酸化され、損傷部位にフォーカス(foci)を形成してDNAの修復を促すと考えられる。
本発明におけるヒストン−H2AXのリン酸化の測定方法としては、生成するリン酸化ヒストン−H2AX(γ−H2AX)を検出しうる方法であれば特に限定されないが、より好ましくは以下の工程(A)〜(D)を含む種々の免疫測定法(イムノアッセイ)等を用いることができる。
(A)前記生体細胞を固定する工程、
(B)固定細胞にリン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体を作用させる工程、
(C)次いで、標識を結合させた二次抗体を作用させる工程、及び
(D)前記標識を測定する工程。
(A)工程;細胞の固定
(A)工程においては、一次抗体を作用させる前に、まず、被検物質で処理し光照射した後の生体細胞を固定する。細胞膜に細かい孔を開け、後に作用させる抗体が細胞内に入りやすくするために行う操作である。
細胞の固定は、具体的には以下の方法で行うことができる。
1.細胞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)等の洗浄剤で洗浄する。
2.室温で2%のPFA(パラホルムアルデヒド)で5分間程度固定する。(PFAによる固定は生体細胞に近い状態を保った固定である。)
3.PBS等で洗浄する。
4 あらかじめ−20℃で冷却しておいたメタノール等の低級アルコールを作用させ、−20℃で20分間程度静置する。
この方法は、細胞としてCHO−K1細胞を用いた場合に主に採用される固定方法の一例であるが、洗浄液、固定時間、メタノール処理温度・時間等の条件は、適宜変更可能である。また、用いる細胞種に応じて従来公知の適した条件を各々採用することができる。例えば、細胞種によっては、メタノール処理の後に、さらに例えばトリトン系非イオン性界面活性剤(TritonX等)、Tween系非イオン性界面活性剤などの界面活性剤による処理を組み合わせた方がよい場合もある。メタノール処理だけでは、抗体が細胞内に十分入る程度の孔が細胞膜に開かない場合があるからである。
(B)工程;一次抗体を作用させる工程
(B)工程においては、(A)工程で固定された細胞に、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体を作用させる。具体的には、一次抗体を1%BSA(ウシ血清アルブミン)に1:200になるように希釈したものを固定細胞に加え、インキュベーター内で反応させる。反応時間は1〜2時間程度で十分であるが、特に制限はない。反応終了後に、PBSで3回程度洗浄する。なお、用いられる一次抗体は、採用する測定法に応じて適宜選択することができる。BSA濃度や希釈濃度等の条件についても、適宜変更することができる。また、BSA以外にも、スキムミルクなど抗体の非特異吸着を阻害できるものであればいずれも使用可能である。
(C)工程;二次抗体を作用させる工程
(C)工程においては、(B)工程で一次抗体を作用させた細胞に、標識を結合させた
二次抗体(前記一次抗体に特異的に結合する第二の抗体)を作用させる。具体的には、一次抗体と同様に、1%BSAで1:200に希釈した標識二次抗体を細胞に加え、インキュベーター内で反応させる。反応時間は1〜2時間程度で十分であるが、特に制限はない。反応終了後に、PBSで3回程度洗浄する。なお、用いられる標識二次抗体は、採用する測定法によって適宜選択することができる。
(D)工程;標識の測定
(D)工程においては、(C)工程で作用させた二次抗体の標識を測定する。
測定方法としては、種々の免疫測定法が採用できるが、特に好ましいのは免疫蛍光測定法である。
測定の条件は、二次抗体の標識に対応した蛍光測定法における条件を採用することができる。蛍光値は、例えばフローサイトメータ等を用いて測定することができる(フローサイトメータ測定法)。また、ヒストン−H2AXのリン酸化に基づくフォーカス(Foci)の数を蛍光顕微鏡等を用いてカウントして蛍光値を評価することもできる(蛍光顕微鏡検査法)。これらの測定方法において従来から適用されている条件を適宜適用することができる。
Foci陽性細胞をカウントして評価する方法としては、例えば蛍光顕微鏡でサンプルの画像を撮影し、その画像をもとに、細胞内に一定以上のfoci数を有するものをリン酸化ヒストン−H2AX陽性細胞と判定し、該リン酸化ヒストン−H2AX陽性細胞を目視で数えて評価する方法が挙げられる。なお、fociの数をカウントする場合、蛍光顕微鏡の代わりに共焦点顕微鏡を用いることもできる。
上述した免疫蛍光測定法の場合、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体としては、UpState社製(Anti-phospho-H2AX, #07-164:Anti-phospho-H2AX clone JBW301, #05-636:Anti-phospho-H2AX clone JBW301 biotin conjugate, #16-193)、Chemicon社製(Histone H2A.X, phospho Ser139: AB3369)、Trevigen社製(Anti-Phosphorylated Histone H2AX: 4411-PC-020, 4411-PC-100)、R&D社製(Phospho-Histone H2AX Ser139 Affinity purified polyclonal: AF2288)(いずれも商品名)等が挙げられる。
また、使用される標識二次抗体としては、免疫蛍光測定法に使用されるものであれば制限はないが、例えばFITC(フルオレセインイソチオシアネート)、Cy2、Alexa-488、500等のシリーズ、Cy3、Rhodamine Red、Texas Red、Cy5等の蛍光色素で標識されている抗体が挙げられる。これらの蛍光標識抗体は、蛍光顕微鏡、フローサイトメータ等により検出することができる。
リン酸化ヒストン−H2AXの測定方法としては、上記蛍光測定法の他に、マイクロプレート法、ウエスタンブロティング法(分離したタンパク質を膜に移して抗体を反応させ検出する方法)など、公知の標識測定法を採用することができる。マイクロプレート法、ウエスタンブロッティング法ともに、蛍光標識の代わりにHRP等の酵素標識を用いることもできる。マイクロプレート法ではマイクロプレートリーダを用いて、蛍光又は酵素による発光を検出する。また、ウエスタンブロティング法では細胞を溶解する必要がある。
ウエスタンブロティング法によるリン酸化ヒストン−H2AXの検出は、具体的には以下のような手順で行うことができるが、使用する薬剤や測定条件はこれに限られず、従来からウエスタンブロッティング法において採用されているものから適宜選択することができる。
1.各処理後の細胞を適切なLysis Buffer(細胞溶解液)に溶解する。
2.適当量のタンパク質を適切な濃度のポリアクリルアミドゲル(12.5〜15%程度)にて電気泳動し、タンパク質の大きさに準じた分離を行う。
3.ゲル内のタンパク質を適切な方法で膜(PVDF膜等のmembrane)に転写する。
4.リン酸化ヒストン−H2AXに対する一次抗体以外のタンパク質が、PVDF膜に非特異的に結合するのを低減するために、タンパク質が転写された膜を〜10%程度のスキムミルクまたはBSAを含むPBSで30〜60分程度ブロッキングする。
5.0.1%Tweenを含むPBS(T−PBS)で3回洗浄する。一回洗浄は約5分程度である。
6.リン酸化ヒストン−H2AXの一次抗体を適切な希釈濃度で適切な時間作用させる。
7.0.1%T−PBSで3回程度洗浄する。
8.リン酸化ヒストン−H2AXに対する二次抗体を適切な希釈濃度で適切な時間作用させる。二次抗体は、酵素標識抗体、蛍光標識抗体、ビオチン標識抗体等いずれでもよい。
9.0.3%T−PBSで3回程度洗浄し、さらに0.1%T−PBSで2回程度洗浄する。
10.適切な試薬で二次抗体の検出を行う。
II.光毒性検出用キット
本発明の光毒性検出用キットは、上述した本発明の方法を用いて被検物質の光毒性を高感度に検出するためのキットであって、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体と、標識を結合させた二次抗体とを含む。
一次抗体は、リン酸化ヒストン−H2AXと特異的に結合する抗体であればよい。二次抗体としては、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体と特異的に結合する蛍光標識または酵素標識された抗体であればよく、具体的には本発明の方法に関する上記説明で挙げたFITC等の蛍光標識抗体や、HRP等の酵素標識抗体が挙げられる。
このキットは、上記抗体以外に種々の補助剤も含めて形成することができる。このような補助剤としては、例えば抗体を溶解させるための溶解剤(例えばリン酸緩衝液(PBS)、Tris-HCl緩衝液(TBS)等)、非反応抗体を洗浄するための洗浄剤、反応停止剤等、免疫測定用のキットとして通常使用されるものを挙げることができる。また、細胞培養用マイクロプレートを組み合わせることもできる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(1)培養細胞
CHO−K1細胞を、10%ウシ胎仔血清および100U/mlペニシリン/ストレプトマイシンを含む培地(Ham's F-12 medium;日本水産株式会社製)中に保持し、37℃、5%CO2インキュベーター内において、Lab-Tek chamber slide (Nalge Nunc International社製)のウェル上で培養した。
(2)ベンゾ〔a〕ピレンの曝露
被検物質としてベンゾ〔a〕ピレン(BaP)を、0.3mMのMg2+と0.9mMのCa2+を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS(+))で数種類の濃度に希釈した。上記方法で培養したCHO−K1細胞を、各濃度のBaP溶液で1時間処理した。
(3)UVA照射
BaP溶液で処理したCHO−K1細胞を、Mg2+とCa2+を含まないリン酸緩衝生理食塩(PBS(−))で洗浄後、培地をPBS(+)に置き換えて、いくつかの異なる照射量でUVA照射を行った。
(4)リン酸化ヒストン−H2AXの測定
本実験において、リン酸化ヒストン−H2AXの測定は、蛍光顕微鏡検査法により行った。
まず、BaP及び/又はUVAで処理したCHO−K1細胞を、2%パラホルムアルデヒド中で室温にて5分間固定し、PBS(−)で洗浄した。次いで、これを100%メタノール中で−20℃にて20分間透過処理し、PBS(−)で洗浄した。次にこれを1%BSAで37℃にて30分間ブロッキングした。
PBS(−)で洗浄後、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体(1:200)(Upstate Biotechnology社製,米国)で、37℃にて2時間培養した。
次いでFITCを結合させた二次抗体(Jackson Immuno Research Laboratories社製)で1時間培養した。フォーカスの分布を確認するため、蛍光顕微鏡を用いて画像を撮影した。画像上で5個以上の明るいフォーカスが認められた場合、その細胞はγ−H2AXに対し「陽性」であると判定した。各実験条件で少なくとも300以上の細胞数をカウントし、そのなかで陽性細胞の割合を計算した。
リン酸化ヒストン−H2AX陽性細胞の割合は、以下の数式(1)によって算出した。画像写真1枚あたりに写っている細胞は100個ほどであった。なお、数式(1)中、「P(%)」はγ−H2AX陽性細胞の割合を、「P0」は撮影した写真中のリン酸化ヒストン−H2AX陽性細胞の数を、「Q」は撮影した写真中の全細胞数(300以上)を、各々表す。
(数1)
P(%)=(P0/Q)×100 ・・・(1)
(5)実験結果
<ヒストン−H2AXリン酸化のBaP濃度依存性>
UVA照射量を1.2J/cm2に固定し、BaP濃度を0M、10-9M、10-8M及び10-7Mの4種類としてUVAとBaPを複合曝露した細胞について、上記蛍光顕微鏡検査法によりリン酸化ヒストン−H2AXを測定した。結果を図1に示す。図1によれば、リン酸化ヒストン−H2AX陽性細胞の割合(Percent of 繃-H2AX positive cells;%)は、BaP濃度に比例して急激に増加している。また、10-9Mという極めて低濃度のBaP投与に対しても、非処理(Untreated)の場合及び単にBaP(10-7M)投与のみの場合と比べて、リン酸化ヒストン−H2AXが著しく敏感に発現していることがわかる。
<ヒストン−H2AXリン酸化のUVA照射量依存性>
BaP濃度を10-9M及び10-7Mの2種類とし、それぞれに対してUVA照射量を0.6J/cm2、1.2J/cm2、及び2.4J/cm2として、UVAとBaPによる複合曝露処理した細胞について、上記蛍光顕微鏡検査法により処理直後のγ−H2AXを測定した。結果を図2に示す。図2によれば、リン酸化ヒストン−H2AX陽性細胞の割合は、UVA照射量に比例して急激に増加している。また、その割合はBaPの濃度にも依存している。また、10-9Mという極めて低濃度のBaP投与に対しても、非処理の場合及び単にBaP(10-7M)投与のみ及びUVA照射(2.4J/cm2)のみの場合と比べて、リン酸化ヒストン−H2AXが著しく敏感に発現していることがわかる。
(1)培養細胞
Lab-Tec chamber slide上にまいたヒト皮膚細胞であるHacat細胞を、10%ウシ胎仔血清および100U/mlペニシリン/ストレプトマイシンを含む培地(DMEM;日本製薬株式会社)中に保持し、37℃、5%CO2中で培養した。
(2)8−MOP(8-methoxy-psoralen)の曝露
被検物質である8−MOPを、最終濃度が、10-5M、10-7M、及び10-9Mとなるように前述のDMEMにて調整し、上記細胞に作用させた。
(3)UVA照射
線量1〜5J/cm2のUVAを照射した。
(4)リン酸化ヒストン−H2AXの測定
細胞固定の手順を以下のように変更した以外は、実施例1に準ずる方法で測定した。細胞固定の方法は、メタノールを−20℃で作用させた後、さらに、100mMのTris−HCl、50mMのEDTA、及び0.5%TritonX−100溶液を室温で15分間作用させる工程を加えた。Hacat細胞の細胞膜がCHO−K1細胞よりも強固であり、一次抗体が取り込まれにくいことを考慮したものである。
(5)実験結果
8−MOP濃度を10-5M、10-7M及び10-7Mの3種類とし、それぞれに対してUVA照射量を1J/cm2、2.5J/cm2、及び5J/cm2として、UVAと8−MOPによる複合曝露処理した細胞について、上記蛍光顕微鏡検査法により処理直後のリン酸化ヒストン−H2AXを測定した。結果を図3に示す。図3によれば、リン酸化ヒストン−H2AX陽性細胞の割合は、UVA照射量に比例して急激に増加している。また、その割合は8−MOPの濃度にも依存している。また、10-9Mという極めて低濃度の8−MOP投与に対しても、非処理の場合及び単に8−MOP(10-5M)投与のみ及びUVA照射(5J/cm2)のみの場合と比べて、リン酸化ヒストン−H2AXが著しく敏感に発現していることがわかる。
上記実施例1〜2からも明らかなように、BaP及び8−MOP等の化学物質とUVAの複合曝露処理により、生体細胞はDNA二本鎖切断及びそれに伴うヒストン−H2AXのリン酸化を誘導した。また、従来の電気泳動法などを用いたDNA損傷の検出手法では検出できなかった非常に低い化学物質濃度及びUVA照射量においても、その発現が検出可能であった。この化学物質濃度は実際の環境濃度レベルに近いものであり、このことは、UVA照射下における環境化学物質の存在によるDNA二本鎖切断損傷の危険性を示唆している。
以上のことから明らかなように、本発明の検出方法によれば、実際の環境濃度レベルに近い極めて近い濃度の環境化学物質の光毒性を、高感度で検出もしくは定量することができる。
本発明の方法は、簡便性、迅速性に優れ、且つ高感度な光毒性の検出方法であり、様々な環境化学物質における光毒性を従来法よりも著しく高感度に検出することが可能となる。よって、光毒性の一次スクリーニング等に有効である。
実施例1において、UVA照射量を一定とし、BaP濃度を変化させてCHO−K1細胞に複合曝露した場合の、リン酸化ヒストン−H2AX(γ―H2AX)の生成量を示す。 実施例1において、BaP濃度を一定(2種類)とし、UVA照射量を変化させてCHO−K1細胞に複合曝露した場合の、リン酸化ヒストン−H2AX(γ―H2AX)の生成量を示す。 実施例2において、8−MOP濃度を一定(3種類)とし、UVA照射量を変化させてHaCat細胞に複合曝露した場合の、リン酸化ヒストン−H2AX(γ―H2AX)の生成量を示す。

Claims (9)

  1. 被検物質の光毒性を高感度に検出する方法であって、前記被検物質を生体細胞と共に光照射した後、前記生体細胞中に誘発されたヒストン−H2AXのリン酸化を測定し、前記測定結果を指標として用いることを特徴とする、光毒性の検出方法。
  2. 前記被検物質が光増感性物質である、請求項1記載の光毒性の検出方法。
  3. 前記光毒性が、生体細胞中におけるDNAの二本鎖切断による損傷を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の光毒性の検出方法。
  4. 前記光照射が、紫外線又は可視光線の照射であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の光毒性の検出方法。
  5. 前記紫外線が波長320〜400nmのUVAであり、前記可視光線が波長400〜750nmの可視光線であることを特徴とする、請求項4記載の光毒性の検出方法。
  6. 前記ヒストン−H2AXのリン酸化の測定が、以下の工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の光毒性の検出方法。
    (A)前記生体細胞を固定する工程、
    (B)固定細胞に、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体を作用させる工程、
    (C)次いで、標識を結合させた二次抗体を作用させる工程、及び
    (D)前記標識を測定する工程。
  7. 前記(C)工程における標識として蛍光物質を用い、前記(D)工程において蛍光物質により発現する蛍光を測定することを特徴とする、請求項6記載の光毒性の検出方法。
  8. 被検物質の光毒性を高感度に検出するためのキットであって、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体と、標識を結合させた二次抗体とを含む、光毒性検出用キット。
  9. 前記二次抗体が、リン酸化ヒストン−H2AXを認識する一次抗体と特異的に結合する蛍光標識された抗体である、請求項9記載の光毒性検出用キット。


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