JP2005185281A - 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 - Google Patents
細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005185281A JP2005185281A JP2004349783A JP2004349783A JP2005185281A JP 2005185281 A JP2005185281 A JP 2005185281A JP 2004349783 A JP2004349783 A JP 2004349783A JP 2004349783 A JP2004349783 A JP 2004349783A JP 2005185281 A JP2005185281 A JP 2005185281A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- antibody
- antigen
- cell
- cell surface
- surface antigen
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明は、以下の特徴を有する細胞表面抗原に結合する抗体のスクリーニング方法を提供した。
抗原抗体複合体の低極性溶媒中での洗浄
既に取得済みの抗体(またはそれが結合する抗原)の存在下での抗原抗体反応
更に本発明は、抗体のスクリーニングに有用な、細胞表面抗原の可溶性分画の製造方法を提供する。本発明によって得られた可溶性分画は、抗体が認識する細胞表面抗原の単離にも有用である。
【選択図】なし
Description
(1)抗原物質として必要充分量の精製標品を有していること
(2)その物質が免疫される動物に対して免疫原性を示す必要があること
(3)モノクローン抗体を得るまでに多大な労力と日数を要すること
(2)大量の細胞とファージ粒子を混合した場合、ファージ粒子の非特異的な吸着がある頻度で必ず起こる。非特異的な吸着は、抗原抗体反応に基づかない結合である。
〔1〕次の工程を含む、細胞表面抗原に結合する抗体の取得方法。
(1)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画と抗体ライブラリーとを水性媒体中で接触させる工程
(2)(1)の水性媒体と界面を介して接触する低極性溶媒とからなる2相系を調製する工程、
(3)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を低極性溶媒に移動させる工程、および
(4)低極性溶媒に移動した細胞、またはその分画に結合している抗体を、細胞表面抗原に結合する抗体として回収する工程
〔2〕工程(3)と(4)の間に、付加的に次の工程(3-a)から(3-c)を含む、〔1〕に記載の方法。
(3-a)(3)において、低極性溶媒に移動された細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を、水性媒体に移動させる工程
(3-b)(3-a)の水性媒体と界面を介して接触する低極性溶媒とからなる2相系を調製する工程、および
(3-c)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を低極性溶媒に移動させる工程
〔3〕工程(3-a)における水性媒体が、(1)の水性媒体とは異なる水性媒体に接触させる工程である、〔2〕に記載の方法。
〔4〕工程(3-b)における低極性溶媒が、(2)の低極性溶媒と共通である〔2〕に記載の方法。
〔5〕工程(3-b)における低極性溶媒が、(2)の低極性溶媒と置き換えられた異なる低極性溶媒である〔2〕に記載の方法。
〔6〕(3-c)において低極性溶媒に移動された細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を、(3)において低極性溶媒に移動された細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画として、前記工程(3-a)から(3-c)を繰り返すことを特徴とする〔2〕に記載の方法。
〔7〕前記工程(3-a)から(3-c)を、1〜5回繰り返す、〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記工程(3-a)から(3-c)を、2〜3回繰り返す、〔7〕に記載の方法。
〔9〕抗体ライブラリーが抗体の可変領域を提示したrgdpライブラリーである〔1〕に記載の方法。
〔10〕rgdpライブラリーがファージライブラリーである〔9〕に記載の方法。
〔11〕工程(4)において回収された抗体を新たな抗体ライブラリーとして工程(1)-(3)を繰り返す工程を含む〔1〕に記載の方法。
〔12〕細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞の分画が、細胞表面抗原の可溶性分画である〔1〕に記載の方法。
〔13〕細胞表面抗原の可溶性分画を次の工程によって得ることを特徴とする〔12〕に記載の方法。
(1) 抗体を取得すべき抗原を発現している細胞を破砕する工程、
(2) 工程(1)の破砕物から細胞膜分画を回収する工程、
(3) 細胞膜分画を界面活性剤混合液によって可溶化する工程、および
(4) 工程(3)の上清を細胞表面抗原の可溶性分画として回収する工程
〔14〕界面活性剤混合液を構成する界面活性剤が、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤のいずれか、または両方である〔13〕に記載の方法。
〔15〕非イオン系界面活性剤が、NP-40、Triton X100、n-Dodecyl β-D-maltoside、n-Octyl β-D-glucoside、 n-Octyl β-D-maltopyranoside、およびn-Decyl β-D-maltosideからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である〔14〕に記載の方法。
〔16〕両性界面活性剤が、Deoxycholic acidである〔14〕に記載の方法。
〔17〕細胞表面抗原の可溶性分画が固相に結合されている〔12〕に記載の方法。
〔18〕固相が磁性粒子である〔17〕に記載の方法。
〔19〕細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞が、固相に固定化された細胞である〔1〕に記載の方法。
〔20〕固相がガラスビーズである〔19〕に記載の方法。
〔21〕ガラスビーズがコラーゲン処理されたガラスビーズである〔20〕に記載の方法。
〔22〕固相に固定化された細胞が、前記細胞をコラーゲン処理されたガラスビーズとともに培養することによって得られた細胞である〔21〕に記載の方法。
〔23〕水性媒体が、不活性蛋白質を添加した細胞培養液または緩衝液である〔1〕に記載の方法。
〔24〕不活性蛋白質がウシ血清アルブミンである〔23〕に記載の方法。
〔25〕細胞培養液が、MEM(Minimum EssentialMedium)、 Basal Medium, Eagle(BME)、 Eagle's Minimum Essential Medium(EMEM)、 Dulbecco's Modified Eagle's Medium(DME)、RPMI-1640 Medium(RPMI1640) 、およびES Medium(ES)からなる群から選択されるいずれかの細胞培養液である〔23〕に記載の方法。
〔26〕低極性溶媒が、シクロヘキサンおよびジフェニルエーテルを含む混合溶媒である〔1〕に記載の方法。
〔27〕シクロヘキサンとジフェニルエーテルの1:9の混合溶媒である〔26〕に記載の方法。
〔28〕低極性溶媒が、次のaおよびbに記載の溶媒を含む混合溶媒であり、かつ溶媒密度(d)1.0-1.09を有することを特徴とする〔1〕に記載の方法。
a:ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、およびジイソプロピルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒
b:フタル酸ジブチル、1,1,1-トリクロロエタン、およびジフェニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒
〔29〕水性媒体として、不活性蛋白質を添加した細胞培養液または緩衝液を組み合わせることを特徴とする〔26〕または〔28〕に記載の方法。
〔30〕以下の工程を含む、抗体の可変領域を提示したrgdpライブラリーから目的とする細胞の表面抗原に結合する活性を有するrgdpクローンをスクリーニングするための方法において、rgdpライブラリーと前記抗原とを水性媒体中で接触させた後に、低極性溶媒相に移動させることによって抗原抗体複合体の水素結合を安定化させる工程を含む方法。
(1)抗原抗体反応が可能な条件下でrgdpライブラリーおよび、目的とする抗原とを接触させる工程、および
(2)前記抗原に結合したrgdpクローンを回収する工程
〔31〕低極性溶媒で洗浄した後に前記抗原に結合したrgdpクローンを回収する工程を含む〔30〕に記載の方法
〔32〕前記細胞表面抗原が、細胞、または細胞表面抗原の可溶性分画を固定した固相である〔30〕に記載の方法。
〔33〕水性媒体が血清アルブミンを含むミニマムエッセンシャルメディウムである〔30〕に記載の方法。
〔34〕低極性溶媒が以下のa-dからなる群から選択されたいずれかの溶媒である〔30〕に記載の方法。
a.ジフェニルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合溶媒、
b.イソプロピルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合溶媒、および
c.フタル酸ジブチルとシクロヘキサンの混合溶媒
d.ジフェニルエーテルとシクロヘキサンの混合溶媒
〔35〕極性媒体として血清アルブミンを含むミニマムエッセンシャルメディウムを組み合わせることを特徴とする〔34〕に記載の方法。
〔36〕細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と抗体ライブラリーを接触させ、細胞表面抗原に結合する抗体を回収する工程を含む、細胞表面抗原に結合する抗体の取得方法において、以下のa)〜c)のいずれかの工程を含む方法であって、抗原マスキング剤と抗体マスキング剤がそれぞれ以下に定義される成分を含むことを特徴とする方法。
抗原マスキング剤:取得を望まない抗体を含む
抗体マスキング剤:取得を望まない抗体が認識する遊離の抗原を含む
a) 細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と抗体ライブラリーとが、抗原マスキング剤または抗体マスキング剤のいずれかの共存下で接触させられる、
b)抗体ライブラリーを抗体マスキング剤との接触後に細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と接触させる、または
c)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相を抗原マスキング剤と接触後に抗体ライブラリーと接触させる
〔37〕取得を目的とする抗体が認識する抗原が癌細胞の表面抗原であり、取得を望まない抗体が認識する抗原が正常細胞の表面抗原である〔36〕に記載の方法。
〔38〕正常細胞と前記癌細胞が由来する組織が共通である〔37〕に記載の方法。
〔39〕取得を目的とする抗体が認識する抗原が、特定のステージの癌細胞の表面抗原であり、取得を望まない抗体が認識する抗原が前記ステージとは異なるステージの同種の癌細胞の表面抗原である〔36〕に記載の方法。
〔40〕前記特定のステージと、特定のステージとは異なるステージのいずれかが、進行癌であり、他方が初期癌である〔39〕に記載の方法。
〔41〕取得を望まない抗体が、前記細胞表面抗原に結合する抗体であり、目的とする抗体が、取得を望まない抗体が認識する抗原または抗原決定基とは異なる抗原または抗原決定基に結合する抗体である〔36〕に記載の方法。
〔42〕取得を望まない抗体が、前記細胞表面抗原に結合する結合活性によって予め単離された抗体である〔41〕に記載の方法。
〔43〕次の工程を含む、〔36〕に記載の方法。
(1)前記細胞、またはその分画を保持した固相と抗体ライブラリーを含む水性媒体と、この水性媒体と接触した低極性溶媒で構成される2相系を調製する工程、
(2)標的抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相を低極性溶媒相に移動させる工程、および
(3)低極性溶媒相に移動した細胞、またはその分画を保持した固相に結合している抗体を、細胞表面抗原に結合する抗体として回収する工程
〔44〕〔1〕、または〔36〕のいずれかの方法によって得ることができる抗体またはその可変領域を含む断片。
〔45〕〔1〕、または〔36〕のいずれかの方法によって得ることができる抗体の可変領域をコードするポリヌクレオチド。
〔46〕次の工程を含む、特定の細胞の表面抗原に結合し、同じ条件で類似の細胞に接触させたときに類似の細胞には結合しない抗体のスクリーニング方法。
(1)〔1〕または〔36〕に記載の方法によって選択された抗体を、前記特定の細胞またはその分画を保持した固相、および前記類似の細胞またはその分画を保持した固相に共通の条件下で接触させる工程、および
(2)前記特定の細胞またはその分画を保持した固相に結合し、前記類似の細胞またはその分画を保持した固相に結合しなかった抗体を選択する工程
〔47〕特定の細胞が癌細胞であり、類似する細胞が当該癌細胞と同じ組織の正常細胞である〔46〕に記載の方法。
〔48〕特定の細胞があるステージの癌細胞であり、類似する細胞が別のステージの同種の癌細胞である〔46〕に記載の方法。
〔49〕工程(1)が、前記特定の細胞および前記類似する細胞の細胞固定試料に前記抗体を接触させる工程を含む、 〔46〕に記載の方法。
〔50〕工程(1)が、前記特定の細胞の抗原分画を保持した固相、および前記類似する細胞の抗原分画を保持した固相に前記抗体を接触させる工程を含む、 〔46〕に記載の方法。
〔51〕前記細胞、または細胞の抗原分画を保持した固相に結合した抗体を、その抗体を認識する標識抗体で検出する工程を含む、〔39〕または〔40〕に記載の方法。
〔52〕前記抗体ライブラリーが少なくとも109種類の抗体を含む抗体ライブラリーである〔1〕または〔36〕に記載の方法。
〔53〕前記抗体ライブラリーが、少なくとも1010種類の抗体を含む抗体ライブラリーである〔52〕に記載の方法。
〔54〕前記抗体ライブラリーが、少なくとも1011種類の抗体を含む抗体ライブラリーである〔53〕に記載の方法。
〔55〕次の工程を含む〔44〕に記載の抗体が結合する抗原の同定方法。
(1)〔44〕に記載の抗体と当該抗体の単離に用いた細胞表面抗原とを接触させる工程、
(2)前記抗体に結合した抗原を回収する工程、および
(3)回収された抗原を同定する工程
〔56〕付加的に、工程(3)で同定された抗原のアミノ酸配列を決定する工程を含む〔55〕に記載の方法。
〔57〕抗原を消化し、消化生成物を構成するアミノ酸を同定する工程を含む〔56〕に記載の方法。
〔58〕蛋白質分解酵素によって、抗原を消化する工程を含む〔57〕に記載の方法。
〔59〕蛋白質分解酵素がセリンプロテアーゼである〔58〕に記載の方法。
〔60〕セリンプロテアーゼがトリプシンである〔59〕に記載の方法。
〔61〕消化生成物を構成するアミノ酸を、質量分析によって同定する工程を含む〔57〕に記載の方法。
〔62〕〔55〕に記載の方法によって同定された抗原。
〔63〕次の工程を含む、細胞表面抗原の可溶性分画の製造方法。
(1) 目的とする細胞表面抗原を発現している細胞を破砕する工程、
(2) 工程(1)の破砕物から細胞膜分画を回収する工程、
(3) 細胞膜分画を界面活性剤混合液によって可溶化する工程、および
(4) 工程(3)の上清を細胞表面抗原の可溶性分画として回収する工程
〔64〕界面活性剤混合液を構成する界面活性剤が、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤のいずれか、または両方である〔63〕に記載の方法。
〔65〕非イオン系界面活性剤が、NP-40、Triton X100、n-Dodecyl β-D-maltoside、n-Octyl β-D-glucoside、 n-Octyl β-D-maltopyranoside、およびn-Decyl β-D-maltosideからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である〔64〕に記載の方法。
〔66〕両性界面活性剤が、Deoxycholic acidである〔64〕に記載の方法。
〔67〕細胞が癌細胞である〔63〕に記載の方法。
〔68〕次の工程を含む、抗体が認識する細胞表面抗原を単離する方法。
(1)〔63〕に記載の方法によって得ることができる細胞表面抗原の可溶性分画を抗体と接触させる工程、および
(2)抗体に結合した抗原を単離する工程
〔69〕抗体が、〔1〕または〔36〕に記載の方法によって選択された抗体である〔68〕に記載の方法。
〔70〕抗体が固相に結合されているか、または固相に結合可能なタグを有している〔68〕に記載の方法。
〔71〕細胞表面抗原の可溶性分画を抗体に接触させる工程において、反応液中の界面活性剤の濃度を0.01%w/v−5%w/vに調整する〔68〕に記載の方法。
〔72〕〔68〕に記載の方法によって単離された抗原を同定する工程を含む、抗体が認識する細胞表面抗原の同定方法。
〔73〕抗原を消化し、消化生成物を構成するアミノ酸を同定する工程を含む〔72〕に記載の方法。
〔74〕蛋白質分解酵素によって、抗原を消化する工程を含む〔73〕に記載の方法。
〔75〕蛋白質分解酵素が、セリンプロテアーゼである〔74〕に記載の方法。
〔76〕セリンプロテアーゼがトリプシンである〔75〕に記載の方法。
〔77〕消化生成物を構成するアミノ酸を、質量分析によって同定する工程を含む〔73〕に記載の方法。
〔78〕〔68〕に記載の方法によって単離された抗原。
〔79〕以下の組成を含む、細胞表面抗原の可溶化用界面活性剤混合液。
NP-40、
Triton X100、
n-Dodecyl β-D-maltoside、
n-Octyl β-D-glucoside、
n-Octyl β-D-maltopyranoside
n-Decyl β-D-maltoside、および
Deoxycholic acid
〔80〕各界面活性剤の使用量が0.01〜5%w/vである、〔79〕に記載の細胞表面抗原の可溶化用界面活性剤混合液。
〔81〕細胞表面抗原を不完全消化する工程と、不完全消化によって細胞から切り離された細胞表面抗原を回収する工程を含む、細胞表面抗原の可溶性分画の製造方法。
〔82〕不完全消化する工程が、細胞に蛋白質分解酵素を作用させる工程を含む〔81〕に記載の方法。
〔83〕蛋白質分解酵素が、セリンプロテアーゼである〔82〕に記載の方法。
〔84〕セリンプロテアーゼがトリプシンである〔83〕に記載の方法。
〔85〕〔81〕に記載の方法によって得ることができる、細胞表面抗原の可溶性分画。
〔86〕次の工程を含む、細胞表面抗原の同定方法。
(1)細胞表面抗原を認識する抗体と〔85〕に記載の細胞表面抗原の可溶性分画とを接触させる工程、
(2)前記抗体に結合した抗原を回収する工程、および
(3)回収された抗原を同定する工程
〔87〕抗体が〔1〕または〔36〕に記載の方法によって選択された抗体である〔86〕に記載の方法。
〔88〕付加的に、工程(3)で同定された抗原のアミノ酸配列を決定する工程を含む〔87〕に記載の方法。
〔89〕配列番号:82の塩基配列、または配列番号:83に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
〔90〕〔89〕に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
〔91〕配列番号:84の塩基配列、または配列番号:85に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
〔92〕〔91〕に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
〔93〕〔90〕に記載のポリペプチド、および〔92〕に記載のポリペプチドを含む、イムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
〔94〕CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:90、配列番号:91、および配列番号:92に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンH鎖、またはその可変領域を含む断片。
〔95〕CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:93、配列番号:94、および配列番号:95に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンL鎖、またはその可変領域を含む断片。
〔96〕〔94〕に記載のイムノグロブリンH鎖、および〔95〕に記載のイムノグロブリンL鎖を含むイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
〔97〕配列番号:86の塩基配列、または配列番号:87に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
〔98〕〔97〕に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
〔99〕配列番号:88の塩基配列、または配列番号:89に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
〔100〕〔99〕に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
〔101〕〔98〕に記載のポリペプチド、および〔100〕に記載のポリペプチドを含む、イムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
〔102〕CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:96、配列番号:97、および配列番号:98に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンH鎖、またはその可変領域を含む断片。
〔103〕CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:99、配列番号:100、および配列番号:101に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンL鎖、またはその可変領域を含む断片。
〔104〕〔102〕に記載のイムノグロブリンH鎖、および〔103〕に記載のイムノグロブリンL鎖を含むイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
〔105〕〔93〕、〔96〕、〔101〕、および〔104〕に記載されたイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片の少なくとも1種類と、薬学的に許容される担体を含む、肝臓癌の診断または治療のための医薬組成物。
〔106〕イムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片が、放射性同位元素、抗癌活性を有する薬物、磁性金属、蛍光色素、発光色素、および酵素からなる群から選択される分子のいずれかを結合されている〔105〕に記載の医薬組成物。
〔107〕次の要素を含む、肝臓癌の検査用キット。
i)〔93〕、〔96〕、〔101〕、および〔104〕に記載されたイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片の少なくとも1種類、
ii)正常な肝細胞組織、および
iii)肝臓癌の癌細胞組織
〔108〕次の工程を含む、抗原結合部位を含む抗体の断片の細胞障害作用を検出する方法。
(1)前記抗体断片と、抗体断片を認識する二次抗体と、そして前記抗体断片が認識する抗原を発現した細胞とを接触させる工程、および
(2)細胞障害作用を検出する工程
〔109〕抗体の抗原結合部位を含む断片と、前記抗体断片が認識する抗原を発現した細胞とを接触させた後に、抗体断片を認識する二次抗体とを接触させる〔108〕に記載の方法。
〔110〕抗体の抗原結合部位を含む断片が、Fab断片、またはscFvのいずれかである〔108〕に記載の方法。
〔111〕抗体の抗原結合部位を含む断片が、ファージ蛋白質と融合したscFvである〔110〕に記載の方法。
〔112〕二次抗体が前記ファージ蛋白質を認識する抗体である〔111〕に記載の方法。
〔113〕抗原結合部位を含む抗体の断片が、次のiからvに記載された断片およびrgdpクローンからなる群から選択されるいずれかの断片またはrgdpクローンである〔108〕に記載の方法。
i : 〔1〕に記載の方法によって取得された抗体の抗原結合部位を含む断片、
ii: 〔10〕に記載の方法によって取得されたrgdpクローン;
iii: 〔30〕に記載の方法によって取得されたrgdpクローン;
iv: 〔36〕に記載の方法によって取得された抗体の抗原結合部位を含む断片;、および
v: 〔46〕に記載の方法によって取得された抗体の抗原結合部位を含む断片
〔114〕細胞障害作用が抗体依存性細胞性細胞傷害である〔108〕に記載の方法。
〔115〕〔108〕〜〔114〕のいずれかに記載の方法によって細胞障害活性を検出し、細胞障害活性が検出された抗体断片を選択する工程を含む、細胞障害作用を有する抗体の抗原結合部位を含む断片を選択する方法。
〔116〕抗原結合部位を含む抗体の断片に、当該抗体断片を認識する二次抗体を結合させることによって前記抗体断片に細胞障害作用を付与する方法。
〔117〕抗原結合部位を含む抗体の断片が、ファージ蛋白質と融合したscFvであり、二次抗体が前記ファージ蛋白質を認識する抗体である〔116〕に記載の方法。
(1)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画と抗体ライブラリーを含む水性媒体と、この水性媒体と接触した低極性溶媒で構成される2相系を調製する工程、
(2)標的抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を低極性溶媒相に移動させる工程、および
(3)低極性溶媒相に移動した細胞、またはその分画に結合している抗体を、細胞表面抗原に結合する抗体として回収する工程
i)4℃から25℃の範囲で液体であり、水と混ぜ合わせたときに完全に混じりあい2相 を形成しない
ii)25℃において比誘電率kε(=ε/ε0)が80以上である
比誘電率(relative permittivity)kε(=ε/ε0)は、溶媒に接触させた電極の間に蓄えられる電気容量を電気的に測定することによって測定することができる。一般に、比誘電率の大きい溶媒は極性溶媒と言われ、塩を良く溶解する。したがって、本発明における水性媒体は、極性溶媒を含む。
i)4℃から25℃の範囲で液体であり、水と混ぜ合わせたときに2相を形成する
ii)25℃において比誘電率kε(=ε/ε0)が20以下1以上である
ただし、εは誘電率でε0は真空中の誘電率である
特異的抗原抗体反応には水素結合が積極的に関与して行われている。水性媒体中では含まれている水分子の作用によって水素結合が不安定化され、その結果特異的結合が弱められる。一方低極性溶媒中ではこの水素結合が安定であり、特異的結合が強力に保持されるため、数回の洗浄後に特異的結合抗体の効率的な濃縮が起こる。
a:ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、およびジイソプロピルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒
b:フタル酸ジブチル、1,1,1-トリクロロエタン、およびジフェニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒
ジフェニルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合溶媒、
イソプロピルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合溶媒、
フタル酸ジブチルとシクロヘキサンの混合溶媒、および
ジフェニルエーテルとシクロヘキサンの混合溶媒
本発明においてジフェニルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合比は44:27:33を示すことができる。イソプロピルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合比は20:50:30を示すことができる。またフタル酸ジブチルとシクロヘキサンの混合比は9:1を示すことができる。この割合で混合された混合溶媒は、1.0-1.09の溶媒密度(d)を有する。
本発明においては、固相に固定化した細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を用いることができる。固相の比重が大きい場合には、上記の比重の範囲を外れる低極性溶媒を用いることもできる。たとえばガラスビーズを固相として用いた場合には、より小さい比重の低極性溶媒を組み合わせることもできる。たとえば、ジフェニルエーテルとシクロヘキサンからなる混合溶媒は、ガラスビーズと組み合わせる溶媒として好ましい。ジフェニルエーテルとシクロヘキサンの混合物はファージライブラリーのスクリーニングにおいて、ファージの回収率を改善する好ましい混合溶媒である。本発明において、ジフェニルエーテルとシクロヘキサンの混合比は9:1を示すことができる。
(1)抗原抗体反応が可能な条件下でrgdpライブラリーおよび、目的とする抗原とを接触させる工程、および
(2)前記抗原に結合したrgdpクローンを回収する工程
抗原マスキング剤:取得を望まない抗体を含む
抗体マスキング剤:取得を望まない抗体が認識する遊離の抗原を含む
a) 細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と抗体ライブラリーとが、抗原マスキング剤または抗体マスキング剤のいずれかの共存下で接触させられる、
b)抗体ライブラリーを抗体マスキング剤との接触後に細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と接触させる、または
c)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相を抗原マスキング剤と接触後に抗体ライブラリーと接触させる
抗原マスキング剤は、取得を望まない抗体を含んでいる。上記抗体の取得方法においては、抗体に結合した抗体が、目的とする抗体として回収される。ここで予め取得を望まない抗体があるときには、その抗体を抗原マスキング剤として利用することができる。抗原マスキング剤は、それが認識する抗原に結合する。その結果、ライブラリー中の取得を望まない抗体は、抗原に結合することができなくなる。こうして、抗原のマスキングによって、取得を望まない抗体が回収されなくなる。
癌細胞と正常細胞
癌細胞とその癌細胞と同じ組織の正常細胞
ステージの異なる癌に由来する細胞
進行癌の細胞と初期癌の細胞
マスキング剤を利用した抗体の取得方法によれば、たとえば、同じ抗原を認識しながら、異なる抗原決定基を認識する抗体などが取得できる可能性が期待できる。
あるいは細胞の場合は固相化しなくても、遠心力を作用させることで細胞自身を沈降させ分離することができる。分離された細胞からは、固相と同様に、抗体を回収することができる。
(1)本発明に基づいて選択された抗体を、前記特定の細胞またはその分画を保持した固相、および前記類似の細胞またはその分画を保持した固相に共通の条件下で接触させる工程、および
(2)前記特定の細胞またはその分画を保持した固相に結合し、前記類似の細胞またはその分画を保持した固相に結合しなかった抗体を選択する工程
あるいは、ある細胞を対象として本発明によって取得された抗体を用いて、別の細胞を抗原とする細胞ELISAを行って、陽性率が90%を越える場合には、両者は類似の細胞と見なすこともできる。通常、両者がまったく異なる組織に由来する場合には、細胞ELISAの陽性率は、高くても60〜80%程度である。細胞ELISAは、実施例に記載の方法によって実施することができる。
更に、抗体ライブラリーがrgdpライブラリーであるときには、取得されたクローンが有する抗体可変領域遺伝子をシーケンスして、共通して取得されたクローンの割合を決定することもできる。
更にある細胞とその変異細胞を、類似する細胞の組み合わせとして示すこともできる。変異細胞とはウイルス感染細胞、疾患特異的な蛋白発現変異をもった細胞、癌細胞、外的損傷細胞などがあり、それぞれの病態ステージにおいて相互に蛋白発現が変異していく場合もある。
一方細胞またはその分画を保持した固相に対する抗体の結合活性に基づいて評価する場合には、たとえばELISAの原理を応用することができる。すなわち、固相に固定された細胞または細胞分画に、評価すべき抗体が結合する。次に、抗体を認識する抗体(第2抗体)によって、固相に結合した評価すべき抗体の量を検出する。第2抗体を酵素で標識したときには、酵素活性を指標として、評価すべき抗体の結合レベルを決定することができる。
(1)本発明の方法によって選択された抗体と当該抗体の単離に用いた細胞表面抗原とを接触させる工程、
(2)前記抗体に結合した抗原を回収する工程、および
(3)回収された抗原を同定する工程
抗体がrgdpライブラリーから選択された場合には、rgdpライブラリーにパッケージングされた抗体の遺伝子を取得し、それを発現させることによって、必要な抗体またはその断片を再構成することができる。
質量分析計を2台に搭載したタンデム質量分析(MS/MS)を行なうことでアミノ酸配列決定することやMALDI-TOFなどを用いてペプチドマスフィンガープリンティングをすることが可能である。タンデムMS以外でもPSD法(ポストソースディケイ法)やプロテインラダーシーケンス法などを用いればアミノ酸配列を決定することができる。またMALDI-TOFによれば、プロテアーゼ消化断片のサイズの決定のみならず、アミノ酸配列の決定にも利用することができる。
(1) 目的とする細胞表面抗原を発現している細胞を破砕する工程、
(2) 工程(1)の破砕物から細胞膜分画を回収する工程、
(3) 細胞膜分画を界面活性剤混合液によって可溶化する工程、および
(4) 工程(3)の上清を細胞表面抗原の可溶性分画として回収する工程
消化が完全である場合に得られる産物は理論的に類推することができる。もし、完全分解物よりも大きな(しかしながら、未分解の基質よりは小さな)分子種が得られれば、消化が完全には進行していないことになる。このことは、分子量を調べる手法であれば、電気泳動でも質量分析法でも確認できる。
(1)本発明に基づく細胞表面抗原の製造方法によって得ることができる細胞表面抗原の可溶性分画を抗体と接触させる工程、および
(2)抗体に結合した抗原を単離する工程
NP-40、
Triton X100、
n-Dodecyl β-D-maltoside、
n-Octyl β-D-glucoside、
n-Octyl β-D-maltopyranoside
n-Decyl β-D-maltoside、および
Deoxycholic acid
(1)前記抗体断片と、抗体断片を認識する二次抗体と、そして前記抗体断片が認識する抗原を発現した細胞とを接触させる工程、および
(2)細胞障害作用を検出する工程
あるいは本発明は、抗原結合部位を含む抗体の断片に、当該抗体断片を認識する二次抗体を結合させることによって前記抗体断片に細胞障害作用を付与する方法に関する。本発明において、抗原結合部位を含む抗体の断片(抗体断片)とは、抗体の抗原との結合活性を維持した断片を言う。たとえば、抗体の細胞障害作用に必要な定常領域を欠いた断片は、本発明の抗体断片に含まれる。具体的には、scFv、Fab、あるいはFab'2などを、抗体断片として示すことができる。抗体断片は、抗原との結合活性を維持する限り他の蛋白質と融合していてもよい。たとえば、scFvは、ファージ抗体として発現させたときにはファージ蛋白質と融合しているが、抗原との結合活性は維持している。すなわち、ファージ抗体は本発明の抗体断片に含まれる。たとえば、先に述べたような本発明の方法によって取得された抗体の抗原結合部位を含む断片、あるいはrgdpクローンは、本発明における抗原結合部位を含む抗体の断片(抗体断片)として好ましい。
i) 抗体断片を認識する二次抗体
ii)抗体断片が結合する抗原を発現した細胞
本発明のキットには、細胞障害作用を有することが明らかな抗体断片、あるいは有しないことが明らかな抗体断片を対照試料として組み合わせることができる。更に、細胞障害を検出するための試薬をキットに組み合わせることもできる。細胞障害を検出するための試薬としては、たとえば乳酸デヒドロゲナーゼ活性測定用試薬を示すことができる。乳酸デヒドロゲナーゼの検出用試薬としては、たとえばジアホラーゼ、テトラゾリウム化合物、およびNADを示すことができる。
これらのファージクローンが有する抗体可変領域をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は、それぞれ以下の配列番号に示した。
049-023 VH:配列番号:82 049-023 VL:配列番号:84
050-051 VH:配列番号:86 050-051 VL:配列番号:88
本発明は、これらのポリヌクレオチドによってコードされる以下のアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドは、肝癌の細胞表面抗原を認識する抗体の製造に有用である。
049-023 VH:配列番号:83 049-023 VL:配列番号:85
050-051 VH:配列番号:87 050-051 VL:配列番号:88
また本発明は、これらのアミノ酸配列をコードすることができる塩基配列を含むポリヌクレオチドに関する。本発明のポリヌクレオチドは、肝癌の細胞表面抗原を認識する抗体の製造に有用である。
CDR2 GFDPEDGETTYSQKFQG (配列番号:91)
CDR3 AGGYYYFGLDV (配列番号:92)
049-023L CDR1 RASQSVSSSYLA (配列番号:93)
CDR2 GASSRAT (配列番号:94)
CDR3 QQYGSSPWT (配列番号:95)
050-001H CDR1 SGYTFTSYGIS (配列番号:96)
CDR2 WISAYNGNTNYAQKLQG (配列番号:97)
CDR3 DFSNYAPFDY (配列番号:98)
050-001L CDR1 QGDSLRSYYAS (配列番号:99)
CDR2 GKNNRPS (配列番号:100)
CDR3 NSRDSSGNHVV (配列番号:101)
あるいは本発明は、前記アミノ酸配列を可変領域として含むイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片のいずれか、または両方を試料に接触させ、試料に結合するイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片を検出する工程を含む、肝臓癌の検査方法に関する。
i)前記アミノ酸配列を可変領域として含むイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片のいずれか、または両方、
ii)正常な肝細胞組織、および
iii)肝臓癌の癌細胞組織
以下実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明する。
1-1 scFv抗体遺伝子ライブラリーを作製するためのベクターの作製
図1に概念的に示すように、pTZ19Rファージミドベクター(ファルマシア)にM13ファージのpelB(シグナル配列)、His6タグ配列、M13ファージのcp3蛋白質(Δcp3(198aa-406aa)N端欠失キャプシド蛋白質3)配列、proteinA蛋白質配列を適当な制限酵素部位で組み込みベクターpFCAH9-E8dを作製した(Iba Y. et al., Gene 194 : 35-46, 1997. 参照)。このpFCAH9-E8dから、さらにscFv抗体ライブラリー用のベクターpscFvCA9-E8VHdVLdを作製した。
具体的には、以下のような操作を行った。
用いたプライマー:
527 Reverse(配列番号:1):
5'-CAGGAAACAGCTATGAC-3'
599 E8VHf-PstR:(配列番号:2)
3'-CGGCTCCAAGTCGACGTCGTCA-5'
544 E8VHf-PstF:(配列番号:3)
5'-CAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAAGCCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAA-3'
545 E8VHf-XbaR:(配列番号:4)
3'-AGACCGAAGTTGTAATTTCTGTGGATATACGTGACCCACTTCGTCTCCGGACTTTTCCCAGATCTCACCTAACCTTCCTAA-5'
546 E8VHf-XbaF:(配列番号:5)
5'-AAGGGTCTAGAGTGGATTGGAAGGATTGATCCTGCGAGTGGTAATACTAAATATGACCCGAAGGACAAGGCCACTATAACAGCA-3'
547 E8VHf-EcoR(配列番号:6)
3'-TTCCTGTTCCGGTGATATTGTCGTCTGTGTAGGAGGTTGTGTCGGATGGATGTCGACTTAAGGGAC-5'
548 E8VHf-EcoF(配列番号:7)
5'-CAGCTGAATTCCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTGCTGGT-3'
549 E8VHf-BstR(配列番号:8):
3'-CAGATAATGACACGACCAATACTAATGCCGTTGAAACTGATGACCCCGGTTCCGTGGTGCCAGTGGCACAAGG-5'
590 His6-SmaR(配列番号:9):
3'-GGTTCTCTAACAGTAGTGGTAGTAGTGGTAATTATTCTCGATAGGGCCCTCGAA-5'
542 E8VLf-SacF(配列番号:10):
5'-GACATCGAGCTCACCCAGTCTCCAGCCTCCCTTTCTGCGTCTGTGGGAGAAACTGTCACCATCACATGT-3'
539 E8VLf-KpnR(配列番号:11):
3'-TGACAGTGGTAGTGTACAGCTCGTTCACCCTTATAAGTGTTAATAAATCGTACCATGGTCGTC-5'
542 E8VLf-KpnF(配列番号:12):
5'-GCATGGTACCAGCAGAAACCAGGGAAATCTCCTCAGCTCCTGGTCTAT-3'
543 E8VLf-BamR(配列番号:13):
3'-GGAGTCGAGGACCAGATATTACGTTTTTGGAATCGTCTACCACACGGTAGTTCCAAGTCACCGTCACCTAGGCCTTGTGTT-5'
562 E8VLf-XhoR(配列番号:14):
3'-TCATGAGGCACCTGCAAGCCACCTCCGTGGTTCGAGCTCTAGTTT-5'
563 E8VLf-XhoF(配列番号:15):
5'-AGTACTCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTCGAGATCAAA-3'
613 NheR(配列番号:16):
3'-ATCGACAGCT-5'
600 E8VLKpnXhoR(配列番号:17):
3'-AAGCCACCTCCATGGTTCGAGCTCTAGTTT-5'
LCP3ASC(配列番号:18):
3'-TCGAAGTTGTCCTTACTCACAAGCCGCGCGGTCAGCTGAGGTAA-5'
hCH1Bst(配列番号:19):
5'-ACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCGGTCTTCCCCCTGG-3'
hCH1midAS(配列番号:20):
3'-GGGAGTCGTCGCAGCACTGGCACGGGAGGTCGTCGAA-5'
hCH1midS(配列番号:21):
5'-GGACTCTACTCCCTCAGCAGCGTCGTGACCGTGCCC-3'
hCH1H6(配列番号:22):
3'-GGGTCGTTGTGGTTCCACCTGTTCTTTCAACTCGGGTTTAGAACAGTAGTGGTAGTAGTGGTA-5'
hCH1H6Sma(配列番号:23):
3'-GGGTTTAGAACAGTAGTGGTAGTAGTGGTAATTATTCTCGATAGGGCCCTCGAACG-5'
702 BstXhoF(配列番号:24):
5'-GGCACCACGGTCACCGTCTCGAGCGCCTCCACC-3'
1)pAALFabを鋳型にして527-599を用いたPCR, 547-590を用いたPCRを行いDNA断片を作製した。
2)544-545,546-547,548-549にてPCRを行いDNA断片を作製した。
3)1)2)を混合し527,590によるPCRを行い、これをpAALFabのHindIII-SmaI siteにクローンニングした。
4)542-562, 561-613を用いたPCRを行いDNA断片を作製した。
5)538-539,542-543にてPCRを行いDNA断片を作製した。
6)4)5)を混合し538,562によるPCRを行い、これをpAALFabのSacI-NheI siteにクローンニングした。
7)VH stuffer部分の作製
pFCAH3-E8TをXbaI,EcoRIにて消化、klenow fragmentを作用させて平滑末端に変えた後self ligationさせてVH部分のstufferを作製した。
8)VH stuffer部分の作製
pFCAH3-E8Tを鋳型にして527-600にてPCR。7)のHindIII-XhoI siteにクローニングした。
9)これをKpnIにて消化、self ligationさせてVL部分のstufferを作製した。
10)SfiI,NcoI,SpeI siteの導入
pFCAH3-E8Tを鋳型にして527-663にてPCR。1)のHindIII-SacI siteにクローニングした。
11)AscI siteの導入
pFCAH3-E8Tを鋳型にして527-LCP3ASCにてPCRし、それをSacI完全消化、SalI部分消化した2)にクローニングした。
12)gammaCH1部分をヒト遺伝子に変換
ヒトgammaCH1部分にはBstPI siteが存在するためこれをなくす設計でクローニングを行った。ヘントウ腺cDNAを鋳型にしてhCH1Bst-hCH1midS, hCH1midAS-hCH1H6にてPCRしたのち、これを混合してhCH1Bst-hCH16SmaにてPCRし、そのDNA断片を3)のBstPI-Sma siteにクローニングした
13)Xho siteの導入
12)を鋳型に702-663にてPCRを行い、これを12)のBstPI-SacI siteにクローニングした。
pFCAH9-E8d 3μg(3μL)(図1Dを参照)をBstPI(3U/μL)3μL、10×H buffer 5μL、DW39μLと混合し、37℃で2時間、制限酵素処理を行った。処理後、エタノール沈殿して得られた沈殿を10μLのTEバッファーに溶解した。これに、SacI(10 U/μL )1μL、10×L buffer 5μL、DW34μLを混合して37℃で2時間、制限酵素処理した後、アガロースゲル電気泳動して、4.7kb断片を回収した。回収物をエタノール沈殿して10μLとした(pFCAH9-E8d BstPI- SacI断片)。
プライマーlinF(配列番号:27)
GTCACCGTCTCGAGAGGCGGTGGCGGATCAGGTGGCGGTGGAAGTGGCGGTGGTGGGTCCATGGCCGACATCGAGCT
プライマーlinR(配列番号:28)
CGATGTCGGCCATGGACCCACCACCGCCACTTCCACCGCCACCTGATCCGCCACCGCCTCTCGAGACG
公知の手法(Iba Y. et al., Gene 194:35-46, 1997.参照)に従って、まずpAALFabベクター(図1A)を作製した。pAALFabベクターのXbaIからEcoRIの間を欠落させ、新たに制限酵素切断部位Kpn I, Sfi I, Nco I, Spe Iを付加して、pFCAH3-E8T(図1B)を経て、VH(重鎖可変領域)をクローニング可能としたベクターpscFvCA-E8VHd(図1C)を作製し、重鎖可変領域を一時的にクローニングするためのベクターとした。図4−1〜図4−2にpscFvCA-E8VHdのインサートの塩基配列(配列番号:29)及び制限酵素サイトと塩基配列によってコードされるアミノ酸配列(配列番号:30)を示した。
610 scBstSpeSacF(配列番号:31):
5'-CACCACGGTCACCGTCTCCTCAGGCGGTGGCGGATCAGGTGGCGGTGGAAGTGGCGGTGGTGGGTCTACTAGTGACATCGAGCTCACCCAG-3'
611 scBstSpeSacR(配列番号:32):
3'-GTGGTGCCAGTGGCAGAGGAGTCCGCCACCGCCTAGTCCACCGCCACCTTCACCGCCACCACCCAGATGATCACTGTAGCTCGAGTGGGTC-5'
527 Reverse(配列番号:33):
5'-CAGGAAACAGCTATGAC-3'
619 E8VHf-SfiNcoPstR(配列番号:34):
3'-GACGCCGGGTCGGCCGGTACCGGCTCCAAGTCGACGTCGTCA-5'
2-1 PCRを用いたイムノグロブリン軽鎖遺伝子の単離
骨髄細胞(検体No.59)4×107 cells、および臍帯血と末梢血のリンパ球から、市販のキット(Pharmacia Biotech社製 QuickPrep Micro mRNA Purification Kit)を用いて、2.6μgのmRNAを得た。このmRNAからcDNAを作製した。cDNAは、GibcoBRL社製 SuperScript Preamplification Systemによって作製した。プライマーには、オリゴdTを用いた。得られたcDNAを鋳型にして、軽鎖遺伝子の取得用5’プライマー(κ1 〜κ6、λ1〜λ6 )と3'プライマー(hCKASCプライマーまたはhCLASCプライマー)を用いて、PCRを行った。PCR産物は、フェノール処理後、エタノール沈殿して10μLのTEバッファーに懸濁した。用いたプライマーの塩基配列とPCRの条件は以下のとおりである。軽鎖遺伝子取得用プライマーの塩基配列中、下線部はNcoIサイト、AscIサイトを示す。
hVK1a(配列番号:35):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GACATCCAGATGACCCAGTCTCC
hVK2a(配列番号:36):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GATGTTGTGATGACTCAGTCTCC
hVK3a(配列番号:37):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GAAATTGTGTTGACGCAGTCTCC
hVK4a(配列番号:38):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GACATCGTGATGACCCAGTCTCC
hVK5a(配列番号:39):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GAAACGACACTCACGCAGTCTCC
hVK6a(配列番号:40):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GAAATTGTGCTGACTCAGTCTCC
5’-プライマーλ1〜λ6
hVL1(配列番号:41):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGTCTGTGTTGACGCAGCCGCC
hVL2(配列番号:42):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGC
hVK3a(配列番号:43):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC TCCTATGTGCTGACTCAGCCACC
hVL3b(配列番号:44):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC TCTTCTGAGCTGACTCAGGACCC
hVL4(配列番号:45):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CACGTTATACTGACTCAACCGCC
hVL5(配列番号:46):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGCTGTGCTCACTCAGCCGCC
hVL6(配列番号:47):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC AATTTTATGCTGACTCAGCCCCA
3’-プライマーhCKASC(配列番号:48):
TCGACTGGCGCGCCGAACACTCTCCCCTGTTGAAGCTCTTTGTG
3’-プライマーHCLASC(配列番号:49):
TCGACTGGCGCGCCGAACATTCTGTAGGGGCCACTGTCTTCTC
cDNA 2μL
10× buffer ♯1(KODに添付) 10μL
dNTP mix(2.0mM) 10μL
25mM MgCl2 4μL
5'側プライマー(100pmol/μL) 1μL
3'側プライマー(100pmol/μL) 1μL
滅菌済MilliQ 71μL
KOD DNA polymerase(東洋紡2.5U/μL) 1μL
94℃ 1分、55℃ 2分、74℃ 1分を35サイクル
1で得たPCR産物を以下の条件で制限酵素処理した。
PCR産物 10μL
10×NEB4(AscIに添付) 5μL
滅菌済MilliQ 33μL
AscI (NEB社 10 U/μL) 1μL
NcoI (宝酒造社 10 U/μL) 1μL
制限酵素処理したpscFvCA9-E8VHdVLd 2μL
制限酵素処理したPCR産物 1μL
10×ligation buffer 1.5μL
(T4 DNA ligaseに添付)
10mM ATP 1.5μL
滅菌済MilliQ 8μL
T4 DNA ligase (宝酒造 10 U/μL) 1μL
得られたligated DNAを用いて以下のように大腸菌DH12Sを形質転換した。即ち、ligated DNA を一旦エタノール沈殿し、1/5TE(TEを滅菌済MilliQで5倍希釈したもの)3μLに溶解した。そのうち、1.5μLをコンピテントセルDH12S(GIBCO BRL製)20μLに懸濁し、以下の条件でエレクトロポレーションを行った。
エレクトロポレーター
BRL社Cell-Porator(Cat.series 1600)
設定条件;voltage booster 4kΩ
capacitance 330μF
DC volts LowΩ
charge rate Fast
bacto-tryptone 20g
bacto-yeast extract 5g
NaCl 0.5g
2×YT培地:900mLの精製水に次の成分を加えて振とうし、完全に溶解した後5N NaOHでpHを7.0に調製し、精製水を加えて1000mLとした。オートクレーブで20分間滅菌して使用した。
bacto-tryptone 16g
bacto-yeast extract 10g
NaCl 5g
その他の試薬は以下から購入した。
メーカー 品名
シグマ アンピシリンナトリウム
和光純薬 フェノール
シグマ BSA
DIFCO 2×YT培地
和光純薬 カナマイシン硫酸塩
ナカライテスク ポリエチレングリコール6000
ナカライテスク Tween20
片山化学 NaCl
和光純薬 IPTG
和光純薬 スキムミルク
和光純薬 アジ化ナトリウム
和光純薬 トリエチルアミン
和光純薬 過酸化水素
和光純薬 OPD錠
和光純薬 エタノール
-------------------------------------------------
family in vivoでの VLライブラリー KL200での
使用頻度(%)* での構成比率(%) 構成比率(%)
Vκ1 39 37 30.7
Vκ2 12 12 19.8
Vκ3 36 35 33.7
Vκ4 12 12 10.9
Vκ5 1 2 5.0
Vκ6 -** 2*** 0.0
-------------------------------------------------
* Griffith AD et al. EMBO J. (1994) 13, 3245-60.
**発表時記載なし。
*** プライマーVK6-2で作製したcDNAとプライマーVK6-3で作製したcDNAを等量混合。
-------------------------------------------------
family in vivoでの VLライブラリー KL200での
使用頻度(%)* での構成比率(%) 構成比率(%)
Vλ1 43 41 34.1
Vλ2 15 15*3 15.2
Vλ3 34 32*4 25.3
Vλ4 0 1.5*5 0.0
Vλ5 0 1.0*6 11.1
Vλ6 0 1.0 14.1
Vλ7 6 6 0.0
Vλ8 1 1 0.0
Vλ9 1 1 0.0
Vλ10 -*2 1 0.0
-------------------------------------------------
* Griffith AD et al. EMBO J. (1994) 13, 3245-60.
*2 発表時記載なし。
*3 プライマーVL2で作製したcDNA5%とプライマーVL2-2で作製したcDNA10%を混合。
*4 プライマーVL3a-2で作製したcDNA17%とプライマーVL3bで作製したcDNA15%を混合。
*5 プライマーVL4aで作製したcDNA0.5%とプライマーVL4bで作製したcDNA0.5%とプライマーVL4cで作製したcDNA0.5%を混合。
*6 プライマーVL5abdeで作製したcDNA0.5%とプライマーVL5cで作製したcDNA0.5%を混合。
3-1-1 PCRを用いたイムノグロブリン重鎖遺伝子の単離
2-1と同様の手順を用いて臍帯血、骨髄液、および末梢血のリンパ球、並びに扁桃腺からhuman μ primer(以下に示すプライマーの634)あるいはrandom hexamerを用いてcDNAを調製し、このcDNAを鋳型にして、以下に示すヒト抗体重鎖遺伝子の取得用5’プライマー(VH1〜VH7)と3’プライマー(human JHプライマー4種を等量混合したもの、以下に示すプライマーの697〜700)、または、humanμプライマー(以下に示すプライマーの634)を用いて、PCRを行った。表中、下線をつけた部分はSfiIサイトを示す。hVH2aはgerm line VH2 familyに対応していないため、新たにVH2a-2を設計した。またhVH4aではVH4ファミリー全体に対応していないため、新たにhVH4a-2を設計した。VH5aもgerm line VH5 subfamilyに対応していなかったため新たにVH5a-2を設計した。またVH7に対応するprimerとしてhVH7を設計した。これらについても遺伝子増幅を行い、pscFvCA-E8VHdに組み込み、どのような遺伝子がとれたのかを塩基配列決定した。hVH5a-2についてはhVH1aと配列が酷似しているため、hVH1aで増幅させたものと同様の遺伝子産物が得られることが予想されるためこれについては使用しなかった。PCR産物は、フェノール処理後、エタノール沈殿して10μLのTEバッファーに懸濁した。
ATGGAGTCGGGAAGGAAGTC
各VH familyの増幅に使用したprimer
Human VH primer SfiI siteを下線で示す。
628 hVH1a(配列番号:51):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGG
629 hVH2a(配列番号:52):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGTCAACTTAAGGGAGTCTGG
630 hVH3a(配列番号:53):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGG
631 hVH4a(配列番号:54):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGG
632 hVH5a(配列番号:55):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGTGCAGCTGTTGCAGTCTGC
633 hVH6a(配列番号:56):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGTACAGCTGCAGCAGTCAGG
629-2 hVH2a-2(配列番号:57):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGRTCACCTTGAAGGAGTCTGGTCC
631-2 hVH4a-2(配列番号:58):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGTGCAGCTACAGCAGTGGGG
632-2 hVH5a-2(配列番号:59):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC GAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGG
712 hVH7(配列番号:60):
GTCCTCGCAACTGCGGCCCAGCCGGCCATGGCC CAGGTGCAGCTGGTGCAATCTGGGTCTGAGT
Human JH primer BstPI, XhoI siteを下線で示す。
697 hJH1-2(配列番号:61):
GGTGGAGGCACTCGAGACGGTGACCAGGGTGC
698 hJH3(配列番号:62):
GGTGGAGGCACTCGAGACGGTGACCATTGTCC
699 hJH4-5(配列番号:63):
GGTGGAGGCACTCGAGACGGTGACCAGGGTTC
700 hJH6(配列番号:64):
GGTGGAGGCACTCGAGACGGTGACCGTGGTCC
cDNA 2μL
10× buffer ♯1(KODに添付) 10μL
dNTP mix(2.0mM) 10μL
25mM MgCl2 4μL
5'側プライマー(100pmol/μL) 1μL
3'側プライマー(100pmol/μL) 1μL
滅菌済MilliQ 71μL
KOD DNA polymerase(東洋紡2.5U/μL) 1μL
PCR条件:94℃ 1分、55℃ 2分、74℃ 1分を35サイクル
3-1-1で得たPCR産物を以下の条件で制限酵素処理した。
PCR産物 10μL
10×K buffer(宝酒造) 5μL
滅菌済MilliQ 33μL
SfiI (NEB社10 U/μL) 1μL
XhoI (宝酒造12 U/μL) 1μL
37℃で2時間反応後、そのうち10μL分をアガロース電気泳動し、400bp付近のバンドを切り出して、ジーンクリーンIIキット(フナコシ株式会社)で精製した。PCR産物と同様に制限酵素処理したpscFvCA-E8VHdをジーンクリーンIIキットで精製し、制限酵素処理したPCR産物と以下の条件で16℃で4時間〜一晩反応させることによりライゲーションした。
制限酵素処理したpscFvCA-E8VHd 2μL
制限酵素処理したPCR産物 1μL
10×ligation buffer 1.5μL
(T4 DNA ligaseに添付)
10mM ATP 1.5μL
滅菌済MilliQ 8μL
T4 DNA ligase (宝酒造 10 U/μL) 1μL
得られたDNAを大腸菌DH12Sに形質転換した。具体的には DNA を一旦エタノール沈殿し、1/5TE(TEを滅菌済MilliQで5倍希釈したもの)3μLに溶解する。そのうち、1.5μLをコンピテントセルDH12S(GIBCO BRL製)20μLに懸濁し、エレクトロポレーション法により形質転換を行った。
エレクトロポレーター
BRL社Cell-Porator(Cat.series 1600)
設定条件;voltage booster 4kΩ
capacitance 330μF
DC volts LowΩ
charge rate Fast
-------------------------------------
family in vivoでの VLライブラリー
使用頻度(%)* での構成比率(%)
VH1 25 29**
VH2 6.6 7
VH3 40 40
VH4 19 19***
VH5 5 - **
VH6 3.8 4
VH7 1.2 2
-------------------------------------
*Griffith AD et al. EMBO J. (1994) 13, 3245-60.
** 実際にはVH1とVH5は同一のプライマーで増幅されるため、分離して集計できない。
***VH4プライマーで作製したcDNAとVH4-2プライマーで作製したcDNAを混合してこの割合とした。
VHライブラリー200μgを下記条件でHindIIIとXhoIで消化し、重鎖遺伝子を切り出して、ジーンクリーンIIキットで精製した。
VHライブラリー200μg 100μL
10×K buffer(宝酒造) 40μL
滅菌済MilliQ 205μL
HindIII (宝酒造40 U/μL) 30μL
XhoI (宝酒造50 U/μL) 25μL
VLライブラリーの挿入されたベクターpscFvCA9-E8VHdVLdについても下記条件でHindIIIとXhoIで消化し、軽鎖遺伝子を含む断片を、ジーンクリーンIIキットで精製した。
VLライブラリーを挿入したpscFvCA9-E8VHdVLd 100μg 100μL
10×K buffer(宝酒造) 40μL
滅菌済Milli-Q 230μL
HindIII (宝酒造40 U/μL) 15μL
XhoI (宝酒造50 U/μL) 15μL
制限酵素処理した
VHライブラリー断片 10μg 50μL
制限酵素処理した
VLライブラリーの断片
を含むpscFvCA9-E8VHdVLd 40μg 50μL
10×ligation buffer
(T4 DNA ligaseに添付) 100μL
10mM ATP 100μL
滅菌済MilliQ 670μL
T4 DNA ligase (宝酒造 10 U/μL) 30μL
反応の終了したDNAを用いて大腸菌DH12Sを形質転換した。具体的にはDNAを一旦エタノール沈殿し、1/5TE(TEを滅菌済MilliQで5倍希釈したもの)30μLに溶解した。これをコンピテントセルDH12S(GIBCO BRL製)500μLに懸濁し、エレクトロポレーションを行った。
BRL社Cell-Porator(Cat.series 1600)
設定条件;voltage booster 4kΩ
capacitance 330μF
DC volts LowΩ
charge rate Fast
1%グルコース及び100μg/mL のアンピシリンを加えた2×YT培地300mLを入れた5リットルのフラスコ16本にAIMS-5懸濁液を2.5mLを加え、37℃で振とう培養し1時間おきに波長600nmにおける吸光度を測定しながら、吸光度が1.0になるまで増殖させた。培養液にヘルパーファージ液(M13KO7)をフラスコ当たり12mL加えてヘルパーファージを感染させ、37℃で2時間培養し、ヘルパーファージ感染済みDH12Sとした。
5リットルのフラスコ24本に2×YT培地600mLと100μg/mLのアンピシリン0.6mL、50μg/mLのカナマイシン0.8mL、ヘルパーファージ感染済みDH12S 200mLを加えて37℃で20時間振とう培養した。
回収したファージ溶液の力価は以下のようにチェックした。すなわち、ファージ溶液をPBSで106、107、108希釈し、その10μLをDH12S 990μLに感染させ、37℃で1時間培養した。これをLBGAプレートに100μL播いて30℃で18時間培養した。コロニーの数をカウントすることにより希釈前の原液の力価を算出した。ファージ溶液原液を0.05% NaN3を含むPBSに2×1014/mLになるよう懸濁した。
5-1 培養細胞を使用したスクリーニング
まず培養細胞を15cm デイッシュで培養し、それを2mg/ml collagenase I(Gibco BRL)/cell dissociation buffer(Gibco BRL)でデイッシュから解離させた。それを冷却したPBSで洗い、4x107を使用した。これに2x1013cfuのヒト抗体ファージライブラリーを混ぜ、反応液の終濃度を1%BSA-0.1%NaN3/MEM、容積1.6mlとし、4℃にて4時間ゆっくり回転させて反応させた。反応終了後、反応液を二つに分け、それぞれを0.6mlの有機溶液(dibutyl phtalate : cyclohexane = 9:1)の上に重層し、マイクロ遠心機にて3000rpmの遠心力を2分間作用させ、細胞をチューブの底に沈降させた。それぞれのチューブについて、溶液を捨て、細胞を0.7mlの1%BSA/MEMで懸濁、0.7mlの低極性溶媒の上に重層して遠心した。この操作をもう一度繰り返したのち、溶液を捨て、細胞を0.3mlのPBSで懸濁、液体窒素で凍結し、37℃で融解した。
2ndスクリーニングには培養細胞2x107と1stファージ1x1010を使用し、反応液の容積を0.8mlとした。反応液は1%BSA-0.1%NaN3/MEMで、全体のスケールを1stスクリーニングの半分で行った。3rdスクリーニングは2ndファージ1x109を使用する以外は2ndスクリーニングと同じ条件とした。
手術によって摘出した組織は、まず組織染色に用いる部分をとったのち、5mM HEPESを入れたMEMで灌流、デイスパーゼーコラゲナーゼ液で灌流したのち、コラゲナーゼ液で灌流した。デイスパーゼーコラゲナーゼ液とコラゲナーゼ液の組成を以下に示す。
デイスパーゼーコラゲナーゼ液:8mg/ml NaCl, 0.4mg/ml KCl, 0.56mg/ml CaCl2, 0.078mg/ml NaH2PO4-2H2O, 0.151mg/ml Na2HPO4-12H2O, 2.38mg/ml HEPES, 0.5mg/ml collagenaseI(SIGMA), 0.05mg/ml Tripsin inhibitor(WAKO), 0.35mg/ml NaHCl3, 112mg/ml Dispase(GIBCO)
コラゲナーゼ液:8mg/ml NaCl, 0.4mg/ml KCl, 0.56mg/ml CaCl2, 0.078mg/ml NaH2PO4-2H2O, 0.151mg/ml Na2HPO4-12H2O, 2.38mg/ml HEPES, 0.5mg/ml collagenaseI(SIGMA), 0.05mg/ml Tripsin inhibitor(SIGMA), 0.35mg/ml NaHCl3
スクリーニングによって得られた大腸菌を希釈して、100μg/mlのampicillinの入った普通寒天培地に蒔き、得られるコロニーをピックアップして2xYTGA培地にて30℃通夜培養、クラボウのPI-50にてDNAを抽出、dideoxy法で塩基配列を決定した。また、この通夜培養0.05mlを1.2mlの2xYTAI(2xYT, 200μg/ml ampicillin sulfate,0.5mM IPTG)に植えて30℃にて通夜培養、マイクロ遠心機にて15000rpm 5分間遠心して上清を回収した。
組織染色は以下のようにして行った。
まず、摘出された組織を5mm×5mm×10mmほどの大きさにした。それをあらかじめ4℃に冷やしておいた4%PFA/0.1%グルタールアルデヒド/0.1Mカコジル酸バッファー2mlに入れ(PFAは和光純薬、グルタールアルデヒドは関東化学、カコジル酸はSIGMA)、電子レンジ(SHARP)を用いて,マイクロウェーブ照射を14秒間行い固定した。そして、30mlのPLP(2%PFA/0.075M Lysine/0.01M NaIO4/0.0375PB)に移し、4℃にて1時間再固定したのち、10%sucrose/PBSに入れて4℃にて4時間浸漬後、15%sucrose/PBSに置換して4℃にて4時間浸漬したのち、20%/sucrose/PBSに置換して4℃にて一晩浸漬し、OTCコンパウンドにて包埋して急速凍結した。これを、クリオスタット(Reichert-Jung 2800 FRIGCUT E)にて5μmに薄切し,シランコートスライドガラス(MATSUNAMI)に貼り付け、冷風ドライヤーにて30分風乾した。このスライドガラスを1枚ずつキムワイプに包み,さらにその上からアルミ箔で包み、シリカゲルをいれた容器に入れ、-80℃にて保存した。
スライドガラスに霜がつかないようにゆっくりと室温に戻し、PBSを5分間ずつ3回浸漬して親水化した。次に50μlの0.3%H2O2/0.1%NaN3を滴下し、室温にて10分間反応させ、内因性ペルオキシダーゼをブロッキングした。その後、PBSにて5分間ずつ3回洗浄し、2%BSA/PBS中で室温で10分間反応させ、非特異反応をブロッキングした。そして、硫酸アンモニウムを使用して5倍濃縮したサンプル抗体50μlを滴下し,室温にて1時間反応させたのち、2%BSA/PBSで5分間ずつ3回の洗浄を行った。次に、50μlの抗CP3ウサギ抗体5μg/mlを加え、室温にて45分間二次抗体反応を行った。そして、2%BSA/PBSで5分間ずつ3回の洗浄後、これに50μlのパーオキシダーゼ標識デキストラン結合抗ウサギイムノグロブリン・ヤギポリクローナル抗体(DAKO)を滴下して、室温にて30分間三次抗体反応を行った。これを2%BSA/PBSにて5分間ずつ3回の洗浄したのち、50μlのDAB・H2O2発色液を加え、室温にて5分反応させて発色した。その後10分間水洗したのち、ヘマトキシリンによる核染後,脱水・透徹し、マリノールにて封入し、鏡検した。
PBSにて0.1mg/mlの濃度に調製したCEA(Lee Biosolutions)、TRAIL-R2/Fc chimera(Zenezyme) 0.1mlをF8 maxisorp looseに感作し、室温にて通夜静置し、液を捨て、2% skimmilk/PBSを入れ、室温にて2時間振とう、液を捨て、スクリーニングで得たファージ1x106を室温にて2時間反応、0.1% Tween/PBSにて20回洗浄したのち、PBSにて5回洗浄、0.1mlの50mM Glycine pH2.5にてファージを溶出し、これを1M Tris-HCl pH9.0にて中和、1mlの大腸菌DH12Sに感染させ、37℃にて1時間培養、LBGA寒天培地に蒔き、30℃にて通夜培養、大腸菌コロニーを得た。これから培養上清を得、DNAを調製して塩基配列を読み取った。
PBSにて0.1mg/mlの濃度に調製したCEA(Lee Biosolutions)、TRAIL-R2/Fc chimera(Zenezyme) 0.1mlをF8 maxisorp looseに感作し、室温にて通夜静置し、液を捨て、5% BSA/PBS 0.2mlを入れ37℃ 2時間静置、液を捨て、大腸菌培養上清0.1mlを加え37℃ 2時間静置、PBSにて洗浄し、6μg/ml PBS-0.05% Tween20濃度のrabbit anti cp3 IgGを0.1ml加え37℃ 1時間静置、PBSにて洗浄し、PBS-0.05% Tween20にて2000倍希釈したgoat anti rabbit IgG(MBL) 0.1mlを加え37℃ 1時間静置、PBSにて洗浄し、OPD発色を行い、SPECTRAmax 340PC(Molecular Devices)にて492nmの吸光度を測定した。
8-1 培養細胞からの膜タンパクの可溶化は以下のようにして行った。
細胞2x108をcollagenaseI/cell dissociation bufferにて培養デイッシュからはがして浮遊させ、それを氷冷のPBSで洗浄、3mlの0.25M sucroseに懸濁したのち、ダウンスホモジナイザーによってホモジナイズした。これを等量の2.5M sucroseと混ぜ、3mlずつ2本の日立13PAチューブに入れた。これにそれぞれ4mlの1.25M sucroseと3mlの0.25M sucroseを重層し、スイングローターRPS40T(日立)にて4℃24000rpm 16時間遠心し、0.25M sucroseと1.25M sucroseの間にある膜タンパクの層をぬきとった。これを10倍量のPBSで希釈し、4℃にて12000rpm 20分遠心して沈さをとり、これを界面活性剤混合液(NP-40(OIERCE), Triton X-100(PIERCE), n-Dodecyl β-D-maltoside(DOJINDO), n-Octyl β-D-glucoside(SIGMA), n-Octyl β-D-maltopyranoside(CALBIOCHEM), n-Decyl β-D-maltoside(,CALBIOCHEM), Deoxycholic acid(SIGMA)それぞれ0.25%)にて4℃ 6時間ゆっくりと混ぜながら懸濁したのち、マイクロ遠心機にて4℃ 15000rpm 20分遠心して上清を回収した。これが膜タンパクの可溶性分画である。
肝癌および肝正常組織の重量を測定し、約4gを使用した。これに20mlの0.25M sucroseを混ぜ、ポッター型ホモジナイザーで懸濁したのち、ダウンスホモジナイザーにてホモジナイズ、等量の2.5M sucroseを混ぜて3mlずつ13PAチューブに分注した。以降の操作は培養細胞の方法と同じである。
抽出した膜タンパク10μlをPIERCEのMICRO BCA 90μlと混ぜ、室温にて10分間反応させた。対照としては、BSAの希釈系列を作り、MICRO BCAと反応させたものを作製し、これをもとにした検量線を作製した。サンプルの吸光度に対応する検量線の数値が膜タンパクのタンパク濃度である。
抽出した膜タンパク0.5mg相当とPBSで洗浄したダイナビーズを混ぜ、それに終濃度0.3Mになるよう硫酸アンモニウムを加え、PBSにて全体量を1mlにした。これを24℃にて24時間ゆっくり回転させて反応させたのち、マグネットでビーズを捕らえ、反応液と分離した。マグネットビーズは5%BSA, 0.1%アザイドを加えて洗浄し、同液にて懸濁して4℃保存した。
24時間反応した後の反応液の一部をとってMICRO BCAと反応させ、これをBSAを用いた検量線に対応させ、反応しなかった膜タンパク量を計算した。使用したタンパク量からこの量を引き算したものがビーズに結合した膜タンパク量である。
膜タンパク量10μgに相当するマグネットビーズとファージ1x108を界面活性剤混合液と混ぜて全量を200μlとし、4℃にて4時間反応させたのち、LysisT buffer(50mM Tris-HCl pH7.5, 5mM EDTA, 1% NP40, 0.5% Triton X-100, complete)にて4回洗浄、それを1mlのDH12Sと混ぜて37℃ 1時間培養、アンピシリン寒天プレートにまいてコロニーを形成させ、その数を数えた。
膜タンパク共存実験においては、膜タンパク400μgを入れて膜タンパク結合ビーズとファージとの反応を行った。
肝癌膜タンパク20μg相当のマグネットビーズと、正常膜タンパク200μg相当、ヒト抗体ファージライブラリー1x1013を使用し、界面活性剤混合液にて全量を1mlにし、4℃にて4時間反応を行い、マグネットでビーズをトラップして液をLysisT bufferに交換、懸濁後マグネットでビーズをトラップして同液を交換、この操作をあと2回行ったのち、PBSで洗浄、5mlのDH12Sに感染させた。以降は細胞スクリーニングの操作と同じ。4回のスクリーニングを行ったのち、抗体クローンを単離、解析を行った。
SKOv-3をスクリーニングして得られた抗体クローン3またはpAALSCのファージ1x107と卵巣がん細胞SKOv-3 2x106、クローン3抗体0, 0.2μg, 20μgをまぜ、1%BSA/MEMで懸濁し、全量を0.3mlにし、4℃にて4時間ゆっくり回転させて反応させた。これを0.5mlの低極性溶媒溶液上に重層してマイクロ遠心機にて4℃にて3000rpm 2分遠心し、細胞を沈降させた。液を捨て、細胞を0.3mlの1%BSA/MEMで懸濁、0.5mlの低極性溶媒に重層して同様に遠心した。再度同じ操作を行ったのち、液を捨て、細胞を0.2mlのPBSにて懸濁、液体窒素にて凍結させたのち、37℃にて融解させ、これを1mlのDH12Sに感染させて37℃1時間培養、アンピシリン寒天培地にまいて大腸菌コロニーを形成させ、回収されたファージ数を計算した。
クローン3及びpAALSCのファージの調整は以下のようにして行った。cp3融合型の抗体遺伝子を持ったプラスミドで形質転換された大腸菌を2mlの2xYTGAにて30℃で通夜前培養し、そのうち1mlを20mlの2xYTAに混ぜて37℃1.5時間培養、KO7 1x1010を感染させ、37℃にて1時間さらに培養、これに80mlの2xYTGAKを入れて、30℃にて16時間培養、4℃にて10000rpm 10分間遠心を行って上清をとり、これに20mlのPEG溶液を入れて室温で30分かき混ぜた。室温にて10000rpm 10分間遠心を行って沈さをとり、これを2mlの0.1%NaN3/PBSにて懸濁した。ファージの力価の測定は上記で述べたとおりである。
肝細胞腫HepG2のスクリーニングを行い、240個のクローンをピックアップした。それらについてcp3型抗体の発現を調べたところ、162個が発現陽性であることがわかったので、これらのDNAを混合し、制限酵素SalIにて消化、自己再結合させてpp formに変換し、それを用いてDH12Sを形質転換し、500mlの2xYTGAにて30℃通夜培養した。この培養250mlを5lの2xYTAに混ぜて1.5時間培養したのち、2.5mlの1M IPTGを加えて30℃16時間培養、4℃800rpm 10分間遠心して上清をとり、これに1528gの硫酸アンモニウムをゆっくり加えて室温にて1時間かき混ぜたのち、4℃800rpm 10分間遠心して沈さをとり、これを100mlのPBSにて懸濁した。それについて、4℃12000rpm 20分間遠心して上清をとり、それを3mlのIgGセファロース(ファルマシア)と4℃にて2時間反応させた。セファロースをカラムに充填し、50mlのPBST(0.1% Tween20/PBS)、100mlのPBSにて洗浄した。これを10mlの50mMグリシンpH2.3にて溶出、3M TrisにてpHを7.0に合わせたのち、PBSにて透析、アミコンウルトラ(ミリポア)にて4℃6000rpm回転させ、濃縮した。吸光度計にて280nmの吸光度を測定し、タンパク濃度を計算した。
まずHepG2細胞4x107と上記の抗体集団2mgを混ぜたのち、ヒト抗体ライブラリー2x1013を入れ、1%BSA/MEMで全体の容量を1.6mlにし、4℃にて4時間ゆっくりと回転させて反応させた。以後の操作は上記5.と同じ。2ndと3rdのスクリーニング時にも抗体集団1mgを共存反応させた。
12-1 クローンのAvi, PPAvi formへの変換
ヒト抗体ファージライブラリー由来の抗体クローンはSfi-AscでDNA断片を切り出し、それをBirA-Aviベクター、BirA-PPAviベクターに組替えることができる。その結果、抗体PPAvi融合型もしくは抗体Avi融合型の分子が形成され、これはベクター上のBirA遺伝子によって発現される分泌型ビオチンリガーゼ分子によってビオチン化される。従ってビオチン化した抗体分子が形成される。
まず、ラクダ抗体クローンpscFvCA-cam167(図6−1〜図6−2/塩基配列を配列番号:67、アミノ酸配列を配列番号:68に示す)を鋳型にしてReverseプライマーと658プライマーにてPCRを行い、HindIIIとEcoRIにて消化してDNA断片を作製した。これをHindIIIとEcoRIにて消化したpBluscriptKS+に組み込んだプラスミドpBlue-cam167を作製した。次にINVITROGENより購入したAVB99を鋳型にしてプライマー677とプライマー678にてPCRを行ったのちさらにプライマー676とプライマー678にてPCRを行い、これを上記のpBlue-cam167のKpnIとHindIIIサイトに組み込み、プラスミドpBlueBirA-cam167を得た。
ビオチン化した抗体分子はストレプトアビジンの結合したセファロースに強固にトラップされる。約50μg相当のサンプル抗体分子を結合させたストレプトアビジン結合セファロースと培養細胞の膜タンパク100μg相当を混合したのち、界面活性剤混合液を足して300μlにした反応液にて4℃ 4時間反応し、lysisTにて4回洗浄したのち、acetate-lysisT(50mM acetate pH2.3とlysisTとを3:1の割合で混合したもの)40μlにて溶出したのち3M Trisにて中和して、それを7.5% SDS-PAGEにて泳動し、銀染色を行った。これを細胞膜タンパクなしで行ったものと比較して、抗原の位置を決定し、それを切り出した。
免疫沈降の反応は過剰量の界面活性剤の存在によって阻害されることもありうる。そこで発明者らは界面活性剤を希釈した条件での免疫沈降反応も検討した。膜タンパク溶液をPBSで希釈したのち、限外ろ過によって濃縮し、膜タンパクのロスが起きるかどうかをみた。実験した結果、40倍希釈でもロスは起きなかった。そこで、これを使用して界面活性剤濃度を1/40に下げた条件での免疫沈降を行いSDS-PAGE泳動、銀染MSキット(WAKO)によって調べた。
9.に示した方法により精製したPP融合型抗体をシアノジェンブロマイド活性化セファロースに結合させ、それを用いて12-3の方法による免疫沈降反応を行った。シアノジェンブロマイド活性化セファロースの作製およびそれへのPP融合型抗体の結合は以下のようにして行った。まずPP融合型抗体をカップリングバッファー(0.1M NaHCO3-NaOH pH9)にて4℃通夜透析した。シアノジェンブロマイド活性化セファロース粉末(Amersham Biosciences)0.2gを1mM HClに懸濁したのち、アスピレーターで吸引しながら、液をカップリングバッファーに置換し、セファロース上のシアノジェンブロマイド基を活性化した。これに透析を終えたPP融合型抗体と混ぜ、室温にて4時間ゆっくり回転しながら攪拌した。その後、これをカラムに充填し、カップリングバッファーにて洗浄、結合しなかったPP融合型抗体を除去した。液を0.2M Glycine-NaOH(pH8)で置換し、室温にて2時間放置、反応しなかったシアノジェンブロマイド基を不活化した。液を0.2M Glycine-NaOH(pH3)で置換、5分間室温放置したのち、液をPBSに置換した。
過剰な界面活性剤存在下では抗原抗体反応が阻害される可能性がある。そこで、膜タンパクをプロテアーゼで切り出し、得られるタンパク成分を用いての免疫沈降が可能かどうかを調べる実験を行った。
まず細胞1x107を300μlのSTN(150mM Tris-HCl pH7.4, 1.25% NP-40, 150mM NaCl)で懸濁し、それに終濃度が67ng/ml, 1000ng/ml, 33μg/mlになるようトリプシン(シグマ)を加え、反応温度25℃にて反応時間を30分、4時間とした。その条件にて反応したのち、氷上に置いて反応を止め、complete(最終量1 tablet/50ml)とPMSF(最終量20mM)を加えた。チューブより5μlをとり、β-mercapt Ethanolの入ったサンプルバッファー3μlを加えて5分煮沸したのち、10% SDS-PAGE、銀染MSキット(WAKO)にて得られるタンパクがどうなっているのかを検討した。その結果、トリプシン濃度67ng/ml、反応時間30分にて反応したものにおいて、十分な膜タンパクの切り出しが起こっていることが観察された。
そこで、これを用いて免疫沈降反応を行った。使用した抗体とストレプトアビジンビーズは上記3.と同じ。それにトリプシン処理膜成分10μlを混ぜ、PBSを加えて終量を300μlとし、室温にて4時間反応させ、それをPBSにて4回洗浄し、500μlの50mM Glycine pH2.5て溶出、1 Tris-HCl pH9.0にて中和したのち、アミコンウルトラ(ミリポア)による濃縮を行い、β-mercapt Ethanolの入ったサンプルバッファーを加えて5分煮沸したのち、10% SDS-PAGE、銀染MSキット(WAKO)にて得られるタンパクを検討した。
12-6-1 ゲル内トリプシン消化
SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を常法に従い行い、クマシーブリリアントブルーで染色することで得られたバンドを切り出した。これを200mM重炭酸アンモニウム-50%アセトニトリル溶液に浸し、37℃で45分間振盪後、溶液を廃棄して、同じ操作を2回繰り返すことでクマシーブリリアントブルーを除いた。このゲルを減圧乾燥し、それに40mM重炭酸アンモニウム(pH8.1)-10%アセトニトリルに溶かしたトリプシン(20μg/ml)をゲルスライスの単位面積(mm2)あたり4μl加えて、室温で1時間置いて充分に浸潤させた。これに先に加えた量の2.5倍量のトリプシン溶液を加えて、37℃で18時間静置した。これをポアサイズが0.22μmのフィルター付きチューブで濾過して、トリプシンにより抗原が切断されて生じたペプチドを回収した。
ゲル内トリプシン消化により得られた試料を、エレクトロスプレーイオン化方式イオントラップ四重極型質量分析装置につないだHPLCにかけた。HPLCの逆相クロマトグラフィーカラムから、0.1%TFAを含む0%から80%のアセトニトリルの直線濃度勾配変化により、疎水性の違いで順次溶出される各ペプチドをエレクトロスプレー法でイオン化し、各ペプチドの質量を分析した。
本発明で使用している低極性溶媒洗浄方法の効果を確認した。陽性抗体ファージとしてのクローン3、クローン126はSKOv-3細胞に対する抗体ファージであり、陰性抗体ファージとしてのpAALSCは抗HEL(hen egg lysozyme)抗体ファージである。SKOv-3細胞と各クローンのファージを1%BSA-0.1%NaN3/MEM中で混合後、4℃にて4時間反応、有機溶液(dibutyl phtalate: cyclohexane = 9:1)の上に重層し、マイクロ遠心機にて3000rpmの遠心力を2分間作用させ、細胞をチューブの底に沈降させた。以下同様に上記5-1の記載に準じ混合するファージ数は1x107 phageに固定し、1st、2nd、3rd、4th、5thと低極性溶媒洗浄を繰り返し回収されてくるファージのtiterを表4Aに記載した。
pAALSCはニワトリリゾチームに対する抗体で、SKOv-3細胞に対して反応しない。一方 clone3はSKOv-3細胞に対するスクリーニングによって単離された抗体クローンでSKOv-3細胞に反応する。
pAALSC とclone3の2種類のphage 1x107 とSKOv-3細胞1x107 を1%BSA 0.05%NaN3 MEMでサスペンドして全体を0.4mlとしたものを4時間4℃にてゆっくり回転させて反応させた。この懸濁液を、0.6mlの以下の溶液(1)、(2)、または(3)の上に重層し、3000回転にて2分間遠心した。
(1)1%BSA-MEM
(2)Diphenyl Ether: 1.1.1-Trichloroethane: Hexane=44:27:33
(3)Isopropyl Ether: 1.1.1-Trichloroethane: Hexane=20:50:30 、液を吸い取った後、回収された細胞を再び0.3mlの1%BSA-MEMに懸濁して(1)、(2)、または(3)液0.6mlの上に重層して3000回転にて2分間遠心した。液を吸い取ったのち、もう一度0.3mlの1%BSA-MEMに懸濁して(1)、(2)、または(3)液0.6mlの上に重層して3000回転にて2分間遠心し、液を吸い取った。
(1)液 (2)液 (3)液
pAALSCの回収 308 176 198
clone3の回収 8.36x105 1.13x106 1.16x106
(x2714) (x6420) (x5858)
低極性溶媒(2)あるいは(3)においては、ネガテイブコントロール(pAALSC)の回収が減少し、ポジテイブコントロールの回収が増加した。結果として水性媒体(1)で洗浄した場合に比較して2倍以上の洗浄効果を得た。
pAALSC とclone3の2種類のphage 1x107 とSKOv-3細胞1x107 を1%BSA 0.05%NaN3 MEMでサスペンドして全体を0.4mlとしたものを4時間4℃にてゆっくり回転させて反応させた。0.6mlの以下の溶液(1)または(2)の上に反応後のファージ懸濁液を重層し、3000回転にて2分間遠心した。
(1)1%BSA-MEM
(2)PBSで4倍希釈した Ficoll-Paque(Phalmacia Biotech)
遠心後、液を吸い取ったのち、回収された細胞を再び0.3mlの1%BSA-MEMに懸濁して(1)または(2)液0.6mlの上に重層して3000回転にて 2分間遠心した。液を吸い取ったのち、もう一度0.3mlの1%BSA-MEMに懸濁して(1)または(2)液0.6mlの上に 重層して3000回転にて2分間遠心し、液を吸い取った。
(1)液 (2)液
pAALSCの回収 1044 1044
clone3の回収 2.17x106 1.51x106
(x2078) (x1443)
pAALSCはニワトリリゾチームに結合する抗体で、SKOv-3細胞には反応しない。したがって洗浄によって除去されるべき抗体である。しかし上記のようにかなりの数のファージが回収されている。この結果は、2相を形成する水性溶媒では、洗浄効果が認められなかったことを示している。表4で確認された洗浄効果は、低極性溶媒の効果であることが裏付けられた。
−組織特異性抗体と抗HER2抗体の同定−
本低極性溶媒洗浄方法を用いてヒト抗体ファージライブラリーを用い実施した卵巣癌細胞株SKOv-3のスクリーニングの経過を表5に示す。5-1に記載のとおり、1st、2nd、3rdとスクリーニングを繰り返し3回のスクリーニングの結果回収率が上がってきたので、SKOv-3細胞に対する抗体の濃縮が行われたと判断した。そこで、3rdスクリーニングより得た大腸菌培養をLBGA寒天培地にまき、30℃にて通夜培養して大腸菌のコロニーを得た。これより528個のクローンを拾い、培養上清とDNAを調製し、まずcp3発現ELISAとSKOv-3細胞に対する細胞ELISAを行い、これらの結果が陽性と判断されたものについて、塩基配列の解析を行った。その結果は表6に示すとおり。528個のクローンを調べた結果240種類の細胞ELISA陽性の抗体クローンが得られ、98種であったことから網羅的抗体取得ができていることがわかった。
----------------------------
重複クローン数 種類数
----------------------------
41 1(clone 1)
36 1(clone 3)
27 1(clone 11)
8 1
7 1
6 2
4 1
3 2(clone 126)
2 11
1 77
----------------------------
解析:528
陽性:240
種類数:98
本低極性溶媒洗浄方法を用いてヒト抗体ファージライブラリーを用い胃癌細胞株MKN-45について行ったスクリーニングの経過を(表4B)に示す。5-1に記載のとおり、1st、2nd、3rdとスクリーニングを繰り返したスクリーニングより何種類の抗CEA抗体が得られるか調べる目的で、抗原を使用したファージ回収実験記載の方法に従い、maxisorp loose(NUNC)に固相化したCEAに対して3rdファージを用いたファージ回収実験を行った。ELISA陽性のもの48個を解析した結果、抗CEA抗体は6種類が存在していることがわかった(図11)。
本低極性溶媒洗浄方法を用いてヒト抗体ファージライブラリーを用い肝細胞癌HepG2に対して行ったスクリーニングの経過を表5Cに示す。5-1に記載のとおり1st、2nd、3rdとスクリーニングを繰り返したのち3rdスクリーニングより240個のクローンをピックアップし、SKOv-3と同様の解析を行った。細胞ELISA、cp3発現ELISAともに陽性のクローンは162個で、それらは83種類に分類された(表7)。これらの抗体クローンについて6(B)の記載どおり組織染色を行った結果、035-112が癌細胞の細胞質特異的認識をしていることが示された(図12)。
----------------------------
重複クローン数 種類数
----------------------------
20 1
17 1
9 1
5 1
4 1
3 5
2 16
1 56
----------------------------
解析:240
陽性:162
種類数:83 HepG2スクリーニングで何種類の抗TRAIL-R2抗体が得られるか調べる目的で、抗原を使用したファージ回収実験記載の方法に従い、maxisorp loose(NUNC)に固相化したTRAIL-R2に対して3rdファージを用いたファージ回収実験を行った。ELISA陽性のもの20個を解析した結果、抗TRAIL-R2抗体は3種類が存在していることがわかった(図13 Hep2,5,6クローン)。
本低極性溶媒洗浄方法を用いてヒト抗体ファージライブラリーを用いNuk-1(C型肝炎に感染した成人由来の肝癌細胞株)に対して5-1に記載のとおり細胞表面抗原抗体スクリーニングを行った結果得た抗体の種類数を表8に示す。由来の異なる肝癌細胞を用いると、得られる抗体の種類が大きく異なることがわかった。HepG2は胎児性肝細胞癌由来の細胞株であり、由来の異なる肝癌細胞を用いるとその表面抗原の組成が大きく異なることが原因と考えられる。
----------------------------
重複クローン数 種類数
----------------------------
39 1
15 1
9 1
7 1
3 1
2 8
1 45(1)
----------------------------
解析:144
陽性:135
種類数:58(1)
( )はHepG2共存抗体同一
本低極性溶媒洗浄方法を用いてヒト抗体ファージライブラリーを用い肝癌組織より単離した細胞に対して5-2に記載のとおり、行ったスクリーニングの経過を表9に示す。この細胞はファージとの反応の時点で破裂しやすいので、反応液には終濃度5%になるようスキムミルクを加えた。これについては5回のスクリーニングで回収率が上がったので5thスクリーニングより480個のクローンをピックアップし、SKOv-3と同様の解析を行った。細胞ELISA、cp3発現ELISAともに陽性のクローンは87個で、それらは68種類に分類された(表10)。これらの抗体クローンについて6(B)に示した方法に従い、癌部と非癌部についての組織染色を行った結果、3172-120は癌組織特異的な染色を行う抗体クローンであることが示された(図14)。
----------------------------
重複クローン数 種類数
----------------------------
59 1(1)
6 1
5 1
3 5
2 5
1 55(1)
----------------------------
解析:480
陽性:150
種類数:68(2)
( )はHepG2共存抗体同一
クローン3抗体は14.によって単離された細胞表面抗原に対する抗体である。9.に記載のとおりクローン3抗体(クローンプロテインA融合型)を共存させた状態でクローンファージとSKOv-3細胞とを反応させ、ファージを回収すると、クローン抗体を共存させなかった場合に比べ、ファージ回収が大きく減少した(表11)。それに対してpAALSC抗体(抗ニワトリリゾチーム抗体、SKOv-3細胞に結合しないことを確認済み)を共存させたときにはクローンファージの回収は変化しなかった。SKOv-3細胞に対してpAALSCファージを用いて行ったファージ回収は低く、クローン抗体を共存させてもほぼ同様であった。従って抗体共存によって同一クローン抗体ファージ回収が特異的に阻害されることが示された。すなわち、取得を望まない抗体は、当該抗体とは異なる結合特異性を有する抗体の取得のための、抗原マスキング剤として有用であることが確認された。
SKOv-3に対するスクリーニングでは3種類のもの(clone1,clone3、clone11)については多数の同一抗体がとれてきており(表6)、取得クローンに偏りがあることがわかる。そこで、9.記載に準じてこの3種類の抗体クローンそれぞれについて、SalIにて消化し自己再結合を行わせてプロテインA融合型の抗体分子を分泌させ、これを精製し、それぞれ100μgずつを加えてSKOv-3に対するスクリーニングを行った。3rdスクリーニングより48個のクローンを単離して、上記の手順に従い、解析した結果、45個が陽性で、それらは37種類に分類されたが、このなかには上記3種類のクローンは含まれていなかった。この37種類のうち5種類は最初のスクリーニングで得たクローンと同一であった。従って共存させた抗体クローンは選択的に除去されることが示された。すなわち、先に取得された抗体は、より多様な抗体の取得のための、抗原マスキング剤として有用であることが確認された。
抗体クローンによるマスキングを多種類の抗体集団によって行うことができる。
16で取得したHepG2のスクリーニングより得られた162個の陽性クローンのDNAを混ぜたのち、これを9.記載に準じてプロテインA融合型に変換してプロテインA融合型抗体として発現させ、IgGセファロースカラムで精製し、約5mgのプロテインA融合型抗体を得た。このうち1mgを共存させて再度16と同様にHepG2に対するスクリーニングを行い、3rdスクリーニングより得たクローンを解析したところ、16で取得したクローンとは96種類中1種類(ELISA陽性の128クローン中1個)が一致したのみで、他は違うクローンだった。
抗体共存スクリーニング
----------------------------
重複クローン数 種類数
----------------------------
7 1
5 1
4 3
3 2
2 9
1 80(1)
----------------------------
解析:288
陽性:128
種類数:96(1)
(HepG2同一):(1)
( )はHepG2共存抗体同一
抗体非共存スクリーニング
----------------------------
重複クローン数 種類数
----------------------------
8 1(1)
4 1(1)
3 1(1)
2 6(1)
1 35(4)
----------------------------
解析:192
陽性:62
種類数:44(8)
(HepG2同一):(21)
( )はHepG2共存抗体同一
8-1〜8-4に記載のとおりSKOv-3、肝癌組織について、膜タンパクを可溶化、それをダイナビーズに結合させたところ、SKOv-3では1mgを反応させて300μgが、肝癌組織については1mgを反応させて350μgがダイナビーズに結合した。
卵巣がんSKOv-3について、そのスクリーニングで単離されたクローン126を用いて回収実験を行った。膜タンパク10μg相当のダイナビーズを126ファージ1x108cfu(cfu; colony forming unit)とを反応させたところ、8.7x104cfuが回収された。一方SKOv-3と反応しない同数のpAALSCファージを用いて行った実験では、回収がわずか11cfuであった。したがって、膜タンパクを使用してのスクリーニングは十分可能であると判断した。前者の実験においてSKOv-3由来の膜タンパク400μg相当を共存させると回収は2.2x103cfu(約1/40)になったが、HeLa由来の膜タンパク400μg相当を共存させた場合の回収は5.0x104 cfuで、ほとんど変わらなかった。これらのことはSKOv-3由来の126ファージによって認識される抗原が水溶液中に大量に存在することによって126ファージのビーズによる回収を妨げたためと思われる。すなわち、取得を望まない抗体が認識する抗原は、目的とする抗体を取得するための抗体マスキング剤として有用であることが確認された。
[実施例11]を参考に、8.の記載のとおりに肝癌組織膜タンパクを結合させたダイナビーズを用い、肝正常膜タンパクを共存させたスクリーニングを実施した。その経過は表13に示すとおりである。4thで回収率が上がったので、これよりクローン336個をピックアップして解析し、74種類のクローンを得た。これらについて5-2、6(B)の記載どおり組織染色を行った結果、049-023が癌細胞の細胞質特異的認識をしていること、050-001が癌組織を部分的に認識していることが示された(図15)。
塩基配列:
049-023 VH:配列番号:82 049-023 VL:配列番号:84
050-051 VH:配列番号:86 050-051 VL:配列番号:88
アミノ酸配列:
049-023 VH:配列番号:83 049-023 VL:配列番号:85
050-051 VH:配列番号:87 050-051 VL:配列番号:89
14によって単離されたクローン抗体を12.に記載のとおりPPAvi型抗体に変換し作製、ストレプトアビジンセファロースに結合させた。これを8.に記載に準じて得たSKOv-3膜タンパク画分と反応させ、12-3〜12-6に記載のとおり免疫沈降させた結果、図16に示すように約130kDaバンドが得られた。このバンドについて12-3〜12-6に記載のとおりバンドを切り出してマススペクトル分析を行い、得られたペプチド配列が図16に示すものである。これらをヒトのゲノムデータベースに対応させた結果、Integrin alpha-3が最も確率の高い抗原遺伝子候補であることが判明した。
HepG2細胞株にスクリーニングによって得た035-003抗体を免疫沈降、マススペクトル解析 クローンのAvi, PPAvi formへの変換記載のとおりPPAvi型抗体に変換し作製、HepG2膜タンパクに対してPPAviを反応させた免疫沈降では、28kDa近辺にごく薄いバンドが観察されるのみであったが、膜タンパクと035-003抗体PPAvi form反応時の界面活性剤濃度を1/40に低下させたものでは28kDaに濃いバンドが観察できた(図17レーン8)。
SKOv-3細胞、HepG2細胞をトリプシンで処理して可溶性膜タンパク成分を調製し、それを上記の抗体を結合させたストレプトアビジンセファロースと反応させて免疫沈降させると、それぞれの抗体に特異的なバンドが得られる。SKOv-3細胞トリプシン処理成分とクローン抗体を反応させて免疫沈降したものものについては約130kDaに(図18レーン5)、HepG2細胞トリプシン処理成分と3172-120抗体を反応させて免疫沈降したものについては75kDaに(図18レーン1)、それぞれ特異的なバンドが得られた。3172-120は肝癌に対するスクリーニングによって得られた抗体であるが、その抗原がHepG2にも存在していることが細胞ELISAによる結果からも示された。
膜タンパクについての免疫沈降実験をするためには、膜タンパクを可溶化すること、その溶液中で抗原抗体反応が起こり、抗原を精製できる、ということが条件となる。
まず、1x108の細胞を、培養細胞を使用したスクリーニングに記載の方法に従って回収し、膜画分を調製した。これを20個に分注し、300μlの0.5%界面活性剤, 20mM Tris HCl pH8.0, 140mM NaCl, completeの組成の液で4℃6時間懸濁し、4℃15000rpmにて10分間遠心、上清を次のチューブに移し、そこにclone 3 PPAviを結合セファロースを30μl wet volume入れ、4℃にて6時間ゆっくり振とう後、免疫沈降に記載の方法に従って洗浄し、SDS-PAGEを行って銀染色し、どの界面活性剤で抗原のバンドを検出できるかを調べた。用いた界面活性剤を以下に示す。
Tween20(PIERCE)
Tween80(PIERCE)
TritonX-100(PIERCE)
TritonX-114(PIERCE)
NP-40(PIERCE)
Brij-35(PIERCE)
Brij-58(PIERCE)
n-Octyl β-D-glucoside(SIGMA)
n-Octyl β-D-Thioglucopyranoside (PIERCE)
CHAPS(SIGMA)
CHAPSO(DOJINDO)
n-Dodecyl β-D-maltoside (DOJINDO)
n-Dodecyl β-D-glucopyranoside (CALBIOCHEM)
SDS(WAKO)
Cholic acid(DOJINDO)
Deoxycholic acid(SIGMA)
sucrose monolaurate(DOJINDO)
n-Octyl β-D-maltopyranoside(CALBIOCHEM)
n-Decyl β-D-maltoside(,CALBIOCHEM)
MEGA-10(DOJINDO)
本発明によって単離されたファージ抗体クローンが、抗腫瘍活性を持つかどうかを確認するため、ADCC(Antibody-Dependent Cell-mediated Cytotoxicity、抗体依存性細胞性細胞傷害)試験を行った。試験には以下の材料を用いた。
BT-474:ヒト乳がん由来培養細胞HER2 過剰発現株
ヒトリンパ球:(新鮮末梢血単核球画分)
Herceptin:市販乳がん治療薬(ヒトIgG 抗体)
015-126:抗HER2 抗体(ヒトIgG 抗体、実施例14で得られたクローン126由来のFabをヒトIgGの定常領域と接合し、完全ヒト型にした抗体)
HR1-007:抗ハブ毒素HR1 抗体(ヒトIgG 抗体)
015-126 pIII:抗HER2 抗体(ファージpIII融合scFv型抗体、実施例14で得られたクローン126)
YA14 pIII:抗インフルエンザウィルス抗体(ファージpIII融合scFv型抗体)
抗pIII ウサギ抗体:ファージ抗体のpIII ドメインと特異的に結合するウサギポリクローナル抗体
CTM 培地(Cytotoxic Medium: RPMI-1640培地, 1%ウシ胎児血清, 1% ペニシリン、ストレプトマイシン混合液, 10 mM HEPES)
実験に用いた015-126のVHとVLのアミノ酸配列とそれをコードするDNAの塩基配列を、それぞれ次の配列番号に記載した。
重鎖可変領域(VH) 軽鎖可変領域(VL)
塩基配列 配列番号:102 配列番号:104
アミノ酸配列 配列番号:103 配列番号:105
1)乳がん由来BT-474 細胞をコラゲナーゼ処理により回収した。
2)遠心分離(250 x g、3分間)により細胞をペレットにした。
3)上清を除き、CTM へ懸濁させた。
4)1x105 細胞/ml になるようにCTM へ希釈し、100 μl ずつV 底96 ウェルプレートに分注した(1 ウェルあたり1x104 細胞)。
5)ヒトIgG 抗体またはファージ抗体を1 μg/ml になるように加え、液量を200 μl とし、氷上で30 分間反応させた。
6)遠心分離(350 x g、2分間)により細胞をペレットにした。
7)上清を除き、CTM へ懸濁させ、ただちに新しいU 底96 ウェルプレートに分注した。ファージ抗体を用いた系のみ抗pIII ウサギ抗体を5 μg/ml になるように加えた。
8)1ウェルあたり100 μl のヒトリンパ球懸濁液を加えた(4x106 細胞/ml、1 ウェルあたり4x105 細胞、Effector/Target 比= 40)。
9)遠心分離(60 x g、5 分間)により細胞を底に沈殿させた。
10)37℃、5% CO2、の条件で4 時間反応させた。
11)遠心分離(200 x g、2 分間)により細胞をペレットにした。
12)上清を100 μl 回収し、平底96 ウェルプレートへ移した。
13)乳酸デヒドロゲナーゼ活性測定液100 μl を添加し、室温で30分間反応させた。
14)吸光光度計でOD492nmの吸光度を測定した。OD492の吸光度は、傷害を受けた細胞から遊離してきた乳酸デヒドロゲナーゼの活性に比例し、どれだけの割合の細胞が傷害されたかの指標となる。
<ガラスビーズ上での細胞の培養(接着状況の確認)>
用いた細胞:ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)
1)ガラスビーズ(Sigma, G-8772, 425-600 microns)をPBSで洗浄し、オートクレーブで滅菌した。滅菌後のガラスビーズを、無菌のコラーゲン溶液(機能性ペプチド研究所製、IFP01111)で37℃で一晩処理し、再度PBSで洗浄した。
2)セルストレーナー(BD Falcon, 352340)の取っ手を切り落とし、35mmのシャーレ(IWAKI, 1000-035)の中に置いた(図20A)。
3)セルストレーナーの下部フィルターを覆うように、乾燥したビーズ、あるいはPBSに浸したビーズを入れた。後者は、約680μl(ビーズ約500個) 相当で、PBSは完全に除去した。
4)5 x 105細胞/ 500μlの細胞懸濁液を静かにかけた。この時セルストレーナーの下に漏れ出さないように注意する。
5)CO2インキュベーターで1時間培養後、HEC-C1培地で満たした。
6)24時間培養後、セルストレーナーの上からPBSを流して洗浄した(図20B)。
7)トリプシンEDTA溶液4.5mlで細胞を剥離し、液を回収、細胞数を計測した。
ウェットビーズ 2.2 x 105 44%
ウェットビーズで培養を行った場合は、380細胞/ビーズ1個の細胞が培養された。細胞液がガラスビーズ上でうまく保持されると吸着率が上がると考えられる、細胞の種類によっては、一部が付着できればその後の培養時間を長くすることで、細胞数を増加させることは可能だと考えられる。また上記実験では、細胞添加後1時間で培養液を加えているが、ビーズ表面が乾燥状態にならなければ、数時間〜一夜おいて加えた方が細胞を保持でき効率が上がると考えられる。
有機溶媒の組成によりファージの回収率が予想以上に振れることがあり、しかもサンプル数が多い場合、即ち長い時間を要している時に回収率の低下が起こったため、有機溶媒がファージに及ぼす影響を調べた。
1)ファージ溶液 5μl をエッペンドルフチューブに取った(約 2 X 106)。
2)有機溶媒 200μl を加えた。
3)転倒混和
4)室温、10分
5)1ml のPBSを加えた。
6)転倒混和
7)遠心 (10,000rpm、30秒間)
8)水層(上層)150μl を新しいチューブに移した。
9)-80℃で凍結(10分以上)
10)37℃で10分保温し融解
11)20μl の溶液を試験管に移し、1ml の大腸菌を加えた。
12)37℃で 1時間培養
13)0.1mlをLBGAプレートにまき、30℃で培養
結果を表14に示す。
------------------------------------------------------------------
サンプル
1. コントロール:希釈は0.1% BSA/PBSで行い、そのまま大腸菌と感染
2. 0.1% BSA/PBSで凍結
3. PBSで凍結
4. 組成A(フタル酸ジブチル+シクロヘキサン)、凍結
5. 組成B(ジフェニルエーテル+トリクロロエタン+ヘキサン)、凍結
6. 組成C(ジフェニルエーテル)、凍結
7. 組成D(ジフェニルエーテル:ジイソプロピルエーテル=9:1)、凍結
8. 組成E(ジフェニルエーテル:シクロヘキサン=9:1)、凍結
------------------------------------------------------------------
コロニー数 %
1. コントロール 1489 100
2. 0.1% BSA/PBS 793 53.3
3. PBS 513 34.5
4. 組成A 74 5.0
5. ジフェニルエーテル 226 15.2
6. ジフェニルエーテル:ジイソプロピルエーテル 21 1.4
7. ジフェニルエーテル:シクロヘキサン 207 13.9
------------------------------------------------------------------
10分間有機溶媒と混和させると、かなりのファージが失活する。組成Aは5%に対し、組成Cあるいは組成Eは13.9-15.2%であった。
No.1 HUVEC 1st & Freeze recovery 回収
100倍希釈 570 ==> 570 x 10 x 100 x 10ml = 5700000 = 5.7 x 106
1000倍希釈 62 ==> 62 x 10 x 1000 x 10ml = 6200000 = 6.2 x 106
No.2 HUVEC 1st & HCl recovery 回収
100倍希釈 -
1000倍希釈 453 ==> 453 x 10 x 1000 x 10ml = 45300000 = 4.5 x 107
この結果、Freeze : HCl = 1:7.9 と極端に凍結回収の方が回収率が悪かった。
<スクリーニング1>
以下のファージを使用した。
No.1 HUVEC Library :1X1012ファージ
No.2 HUVEC Library :1X1012ファージ
1%BSA, 0.1% NaN3, 100μg/ml Collagen in MEM alpha medium (reaction medium)
1)セルストレーナーが入っているシャーレから培地を除き、ファージ液を4ml加えた。
2)シーソー式のシェーカーに置き、6時間程度4℃で振とうした。
3)ピペットマンを使用し、シャーレからファージ液を除いた。
4)キムワイプなどを使い、できるだけファージ液を除去した。
5)あらかじめ2059チューブに有機溶媒ミックスを8ml入れておき、そのチューブをさらにブルーキャップチューブに入れた(図21)。
*有機溶媒ミックス ジフェニルエーテル : シクロヘキサン = 9:1
6)2059チューブに合わせて漏斗をセットし、その上でセルストレーナーのメッシュをカッターで切った。
7)ビーズの上からPBSをかけ、ビーズを流し入れた。(ビーズの固まりは、一気にチューブ底に落ちる。)
8)水層ができるだけ少なくなるように、有機溶媒ミックスを上から加えた。
9) 2000rpm, 1分間遠心
10) 水層をピペットマンでできるだけ除いた。水層は上部に数100μl程度の水滴状に存在している。
11) 水層が残らないように、キムワイプでチューブ内を拭いた。(一緒に有機溶媒層を吸ってしまう感じで行い、絶対に水層は残さないようにする。)
12) 静かにチューブを傾け、有機溶媒を捨てた。(ビーズはしっかりパックしていることもあるが、流れそうになることもある。)
13) キムワイプでチューブ内を拭いた。
14) ガラスビーズの近くは綿棒を使ってできるだけふき取った。
15) ガラスビーズに500μlの0.1M HCl (GlycineでpH2.2に調製)を加え室温で10分間放置
16) 2M Tris 30μlで中和
17) ファージ感染用大腸菌DH12S 10mlを加えた。
18) 37℃、1時間振とう培養
19) 15ml 遠心管に移し、5000rpm 5分間遠心分離し、上層を捨てた。
20) 2xTYGA (1%Glucose, 100ug/ml Amp) 10mlでサスペンド
21) タイターチェック
No.1 HUVEC 1st 1.7 x 108
No.2 HUVEC 2nd 1.3 x 108
存在している1 x 106の細胞に対し、1 x 108 のファージが結合しているとすると、1細胞から、100個のファージ、有機溶媒処理と回収操作でファージ活性が1/5くらいに低下しているとなると、1細胞に、500個程度のファージが結合していたと考えられる。従来法でのスクリーニングにおいて、1細胞あたり1個以下しか結合していないというようなファージ回収現象の説明がしかできなかったが、それに比べると妥当な数値だと思われる。
但し、これらスクリーニングで得られたクローンを解析したところ、半分ほどがコラーゲンに結合することがわかった。ガラスビーズ表面のコラーゲンに対してファージが結合したと考えられるため、ブロッキングが不十分であったと思われる。
スクリーニング1で、ブロッキングが不十分であったことが示唆されたため、スクリーニング溶液の組成を検討した。スクリーニング溶液の組成を以下に示す。
溶液1 Gelatin + BSA
イーグルMEM培地 (ニッスイ、粉末、code06900) 0.94 g
炭酸水素ナトリウム 2 g
BSA fraction V 1 g
10% gelatin /PBS 5 ml
5% NaN3 2 ml
溶液2 Gelatin + Skim milk
イーグルMEM培地 (ニッスイ、粉末、code06900) 0.94 g
炭酸水素ナトリウム 2 g
スキムミルク 2 g
10% gelatin /PBS 5 ml
5% NaN3 2 ml
ファージ溶液:
上記溶液1 or 2 4ml
3mg/ml Collagen 133μl
1stファージ Library 1 X 1012ファージ
結果を以下に示す。
No.1 HUVEC Gelatin + BSA 2.7 x 107
No.2 HUVEC Gelatin + Skim milk 1.6 x 107
Blank:細胞なし(コラーゲンコートしたガラスビーズのみ)
Gelatin + Skim milk 2.3 x 106
Gelatin添加により、リカバリーが1/2〜1/7 少なくなった。以後、溶液2を使用することにした。
2種のスクリーニング溶液由来のクローンを、それぞれ24クローン選び、コラーゲンへの反応性を確認した。
その結果、1時間の発色でもほとんどが0.1以下の値を示したことから、抗コラーゲン抗体クローンはほとんど含まれていないことが確認できた。
図22に細胞ELISAの結果を示す。HUVECとHeLaを交互に並べた。No.14,28は、PBSのみのレーンを示す。No.1-24が、溶液1由来、No.25-48が溶液2由来である。反応時間は30分とした。
各クローンについて、細胞ごとにduplicateで測定した(HUVEC, HeLa, HUVEC, HeLaの順)。
陰性対象クローン
NC1: 035-029
NC2: 035-283
NC3: YA14
陽性対象クローン
PC1: 048-006
PC2: 051-144
PC4: 052-054
PC5: 35-11
Blank
PC3:PBS
抗体発現の確認できた57クローン内で、HUVEC,HeLa 細胞を用いた細胞ELISAで陽性を示したクローンは16クローン(28%)であった
従来のスクリーニング法では、少なくとも3回のスクリーニングを行い濃縮されてくるクローンを取得し、その解析を行っている。そのため、濃縮されるファージ抗体は、その標的分子が多量に発現されているものである可能性が高くなる。それに対し、ここで行ったスクリーニング法は、1回のみのスクリーニング操作で取得しており、結合ファージの濃縮を繰り返す過程を含まないことから、低発現量の抗原に対するファージも含まれていることが期待できる(表15)。
Claims (117)
- 次の工程を含む、細胞表面抗原に結合する抗体の取得方法。
(1)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画と抗体ライブラリーとを水性媒体中で接触させる工程
(2)(1)の水性媒体と界面を介して接触する低極性溶媒とからなる2相系を調製する工程、
(3)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を低極性溶媒に移動させる工程、および
(4)低極性溶媒に移動した細胞、またはその分画に結合している抗体を、細胞表面抗原に結合する抗体として回収する工程 - 工程(3)と(4)の間に、付加的に次の工程(3-a)から(3-c)を含む、請求項1に記載の方法。
(3-a)(3)において、低極性溶媒に移動された細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を、水性媒体に移動させる工程
(3-b)(3-a)の水性媒体と界面を介して接触する低極性溶媒とからなる2相系を調製する工程、および
(3-c)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を低極性溶媒に移動させる工程 - 工程(3-a)における水性媒体が、(1)の水性媒体とは異なる水性媒体に接触させる工程である、請求項2に記載の方法。
- 工程(3-b)における低極性溶媒が、(2)の低極性溶媒と共通である請求項2に記載の方法。
- 工程(3-b)における低極性溶媒が、(2)の低極性溶媒と置き換えられた異なる低極性溶媒である請求項2に記載の方法。
- (3-c)において低極性溶媒に移動された細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を、(3)において低極性溶媒に移動された細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画として、前記工程(3-a)から(3-c)を繰り返すことを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記工程(3-a)から(3-c)を、1〜5回繰り返す、請求項6に記載の方法。
- 前記工程(3-a)から(3-c)を、2〜3回繰り返す、請求項7に記載の方法。
- 抗体ライブラリーが抗体の可変領域を提示したrgdpライブラリーである請求項1に記載の方法。
- rgdpライブラリーがファージライブラリーである請求項9に記載の方法。
- 工程(4)において回収された抗体を新たな抗体ライブラリーとして工程(1)-(3)を繰り返す工程を含む請求項1に記載の方法。
- 細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞の分画が、細胞表面抗原の可溶性分画である請求項1に記載の方法。
- 細胞表面抗原の可溶性分画を次の工程によって得ることを特徴とする請求項12に記載の方法。
(1) 抗体を取得すべき抗原を発現している細胞を破砕する工程、
(2) 工程(1)の破砕物から細胞膜分画を回収する工程、
(3) 細胞膜分画を界面活性剤混合液によって可溶化する工程、および
(4) 工程(3)の上清を細胞表面抗原の可溶性分画として回収する工程 - 界面活性剤混合液を構成する界面活性剤が、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤のいずれか、または両方である請求項13に記載の方法。
- 非イオン系界面活性剤が、NP-40、Triton X100、n-Dodecyl β-D-maltoside、n-Octyl β-D-glucoside、 n-Octyl β-D-maltopyranoside、およびn-Decyl β-D-maltosideからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である請求項14に記載の方法。
- 両性界面活性剤が、Deoxycholic acidである請求項14に記載の方法。
- 細胞表面抗原の可溶性分画が固相に結合されている請求項12に記載の方法。
- 固相が磁性粒子である請求項17に記載の方法。
- 細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞が、固相に固定化された細胞である請求項1に記載の方法。
- 固相がガラスビーズである請求項19に記載の方法。
- ガラスビーズがコラーゲン処理されたガラスビーズである請求項20に記載の方法。
- 固相に固定化された細胞が、前記細胞をコラーゲン処理されたガラスビーズとともに培養することによって得られた細胞である請求項21に記載の方法。
- 水性媒体が、不活性蛋白質を添加した細胞培養液または緩衝液である請求項1に記載の方法。
- 不活性蛋白質がウシ血清アルブミンである請求項23に記載の方法。
- 細胞培養液が、MEM(Minimum EssentialMedium)、 Basal Medium, Eagle(BME)、 Eagle's Minimum Essential Medium(EMEM)、 Dulbecco's Modified Eagle's Medium(DME)、RPMI-1640 Medium(RPMI1640) 、およびES Medium(ES)からなる群から選択されるいずれかの細胞培養液である請求項23に記載の方法。
- 低極性溶媒が、シクロヘキサンおよびジフェニルエーテルを含む混合溶媒である請求項1に記載の方法。
- シクロヘキサンとジフェニルエーテルの1:9の混合溶媒である請求項26に記載の方法。
- 低極性溶媒が、次のaおよびbに記載の溶媒を含む混合溶媒であり、かつ溶媒密度(d)1.0-1.09を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
a:ヘキサン、シクロヘキサン、イソオクタン、およびジイソプロピルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒
b:フタル酸ジブチル、1,1,1-トリクロロエタン、およびジフェニルエーテルからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒 - 水性媒体として、不活性蛋白質を添加した細胞培養液または緩衝液を組み合わせることを特徴とする請求項26または請求項28に記載の方法。
- 以下の工程を含む、抗体の可変領域を提示したrgdpライブラリーから目的とする細胞の表面抗原に結合する活性を有するrgdpクローンをスクリーニングするための方法において、rgdpライブラリーと前記抗原とを水性媒体中で接触させた後に、低極性溶媒相に移動させることによって抗原抗体複合体の水素結合を安定化させる工程を含む方法。
(1)抗原抗体反応が可能な条件下でrgdpライブラリーおよび、目的とする抗原とを接触させる工程、および
(2)前記抗原に結合したrgdpクローンを回収する工程 - 低極性溶媒で洗浄した後に前記抗原に結合したrgdpクローンを回収する工程を含む請求項30に記載の方法
- 前記細胞表面抗原が、細胞、または細胞表面抗原の可溶性分画を固定した固相である請求項30に記載の方法。
- 水性媒体が血清アルブミンを含むミニマムエッセンシャルメディウムである請求項30に記載の方法。
- 低極性溶媒が以下のa-dからなる群から選択されたいずれかの溶媒である請求項30に記載の方法。
a.ジフェニルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合溶媒、
b.イソプロピルエーテルと1,1,1-トリクロロエタンとヘキサンの混合溶媒、および
c.フタル酸ジブチルとシクロヘキサンの混合溶媒
d.ジフェニルエーテルとシクロヘキサンの混合溶媒 - 極性媒体として血清アルブミンを含むミニマムエッセンシャルメディウムを組み合わせることを特徴とする請求項34に記載の方法。
- 細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と抗体ライブラリーを接触させ、細胞表面抗原に結合する抗体を回収する工程を含む、細胞表面抗原に結合する抗体の取得方法において、以下のa)〜c)のいずれかの工程を含む方法であって、抗原マスキング剤と抗体マスキング剤がそれぞれ以下に定義される成分を含むことを特徴とする方法。
抗原マスキング剤:取得を望まない抗体を含む
抗体マスキング剤:取得を望まない抗体が認識する遊離の抗原を含む
a) 細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と抗体ライブラリーとが、抗原マスキング剤または抗体マスキング剤のいずれかの共存下で接触させられる、
b)抗体ライブラリーを抗体マスキング剤との接触後に細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相と接触させる、または
c)細胞表面抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相を抗原マスキング剤と接触後に抗体ライブラリーと接触させる - 取得を目的とする抗体が認識する抗原が癌細胞の表面抗原であり、取得を望まない抗体が認識する抗原が正常細胞の表面抗原である請求項36に記載の方法。
- 正常細胞と前記癌細胞が由来する組織が共通である請求項37に記載の方法。
- 取得を目的とする抗体が認識する抗原が、特定のステージの癌細胞の表面抗原であり、取得を望まない抗体が認識する抗原が前記ステージとは異なるステージの同種の癌細胞の表面抗原である請求項36に記載の方法。
- 前記特定のステージと、特定のステージとは異なるステージのいずれかが、進行癌であり、他方が初期癌である請求項39に記載の方法。
- 取得を望まない抗体が、前記細胞表面抗原に結合する抗体であり、目的とする抗体が、取得を望まない抗体が認識する抗原または抗原決定基とは異なる抗原または抗原決定基に結合する抗体である請求項36に記載の方法。
- 取得を望まない抗体が、前記細胞表面抗原に結合する結合活性によって予め単離された抗体である請求項41に記載の方法。
- 次の工程を含む、請求項36に記載の方法。
(1)前記細胞、またはその分画を保持した固相と抗体ライブラリーを含む水性媒体と、この水性媒体と接触した低極性溶媒で構成される2相系を調製する工程、
(2)標的抗原を細胞膜上に発現した細胞、またはその分画を保持した固相を低極性溶媒相に移動させる工程、および
(3)低極性溶媒相に移動した細胞、またはその分画を保持した固相に結合している抗体を、細胞表面抗原に結合する抗体として回収する工程 - 請求項1、または請求項36のいずれかの方法によって得ることができる抗体またはその可変領域を含む断片。
- 請求項1、または請求項36のいずれかの方法によって得ることができる抗体の可変領域をコードするポリヌクレオチド。
- 次の工程を含む、特定の細胞の表面抗原に結合し、同じ条件で類似の細胞に接触させたときに類似の細胞には結合しない抗体のスクリーニング方法。
(1)請求項1または請求項36に記載の方法によって選択された抗体を、前記特定の細胞またはその分画を保持した固相、および前記類似の細胞またはその分画を保持した固相に共通の条件下で接触させる工程、および
(2)前記特定の細胞またはその分画を保持した固相に結合し、前記類似の細胞またはその分画を保持した固相に結合しなかった抗体を選択する工程 - 特定の細胞が癌細胞であり、類似する細胞が当該癌細胞と同じ組織の正常細胞である請求項46に記載の方法。
- 特定の細胞があるステージの癌細胞であり、類似する細胞が別のステージの同種の癌細胞である請求項46に記載の方法。
- 工程(1)が、前記特定の細胞および前記類似する細胞の細胞固定試料に前記抗体を接触させる工程を含む、 請求項46に記載の方法。
- 工程(1)が、前記特定の細胞の抗原分画を保持した固相、および前記類似する細胞の抗原分画を保持した固相に前記抗体を接触させる工程を含む、 請求項46に記載の方法。
- 前記細胞、または細胞の抗原分画を保持した固相に結合した抗体を、その抗体を認識する標識抗体で検出する工程を含む、請求項39または請求項40に記載の方法。
- 前記抗体ライブラリーが少なくとも109種類の抗体を含む抗体ライブラリーである請求項1または請求項36に記載の方法。
- 前記抗体ライブラリーが、少なくとも1010種類の抗体を含む抗体ライブラリーである請求項52に記載の方法。
- 前記抗体ライブラリーが、少なくとも1011種類の抗体を含む抗体ライブラリーである請求項53に記載の方法。
- 次の工程を含む請求項44に記載の抗体が結合する抗原の同定方法。
(1)請求項44に記載の抗体と当該抗体の単離に用いた細胞表面抗原とを接触させる工程、
(2)前記抗体に結合した抗原を回収する工程、および
(3)回収された抗原を同定する工程 - 付加的に、工程(3)で同定された抗原のアミノ酸配列を決定する工程を含む請求項55に記載の方法。
- 抗原を消化し、消化生成物を構成するアミノ酸を同定する工程を含む請求項56に記載の方法。
- 蛋白質分解酵素によって、抗原を消化する工程を含む請求項57に記載の方法。
- 蛋白質分解酵素がセリンプロテアーゼである請求項58に記載の方法。
- セリンプロテアーゼがトリプシンである請求項59に記載の方法。
- 消化生成物を構成するアミノ酸を、質量分析によって同定する工程を含む請求項57に記載の方法。
- 請求項55に記載の方法によって同定された抗原。
- 次の工程を含む、細胞表面抗原の可溶性分画の製造方法。
(1) 目的とする細胞表面抗原を発現している細胞を破砕する工程、
(2) 工程(1)の破砕物から細胞膜分画を回収する工程、
(3) 細胞膜分画を界面活性剤混合液によって可溶化する工程、および
(4) 工程(3)の上清を細胞表面抗原の可溶性分画として回収する工程 - 界面活性剤混合液を構成する界面活性剤が、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤のいずれか、または両方である請求項63に記載の方法。
- 非イオン系界面活性剤が、NP-40、Triton X100、n-Dodecyl β-D-maltoside、n-Octyl β-D-glucoside、 n-Octyl β-D-maltopyranoside、およびn-Decyl β-D-maltosideからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である請求項64に記載の方法。
- 両性界面活性剤が、Deoxycholic acidである請求項64に記載の方法。
- 細胞が癌細胞である請求項63に記載の方法。
- 次の工程を含む、抗体が認識する細胞表面抗原を単離する方法。
(1)請求項63に記載の方法によって得ることができる細胞表面抗原の可溶性分画を抗体と接触させる工程、および
(2)抗体に結合した抗原を単離する工程 - 抗体が、請求項1または請求項36に記載の方法によって選択された抗体である請求項68に記載の方法。
- 抗体が固相に結合されているか、または固相に結合可能なタグを有している請求項68に記載の方法。
- 細胞表面抗原の可溶性分画を抗体に接触させる工程において、反応液中の界面活性剤の濃度を0.01%w/v−5%w/vに調整する請求項68に記載の方法。
- 請求項68に記載の方法によって単離された抗原を同定する工程を含む、抗体が認識する細胞表面抗原の同定方法。
- 抗原を消化し、消化生成物を構成するアミノ酸を同定する工程を含む請求項72に記載の方法。
- 蛋白質分解酵素によって、抗原を消化する工程を含む請求項73に記載の方法。
- 蛋白質分解酵素が、セリンプロテアーゼである請求項74に記載の方法。
- セリンプロテアーゼがトリプシンである請求項75に記載の方法。
- 消化生成物を構成するアミノ酸を、質量分析によって同定する工程を含む請求項73に記載の方法。
- 請求項68に記載の方法によって単離された抗原。
- 以下の組成を含む、細胞表面抗原の可溶化用界面活性剤混合液。
NP-40、
Triton X100、
n-Dodecyl β-D-maltoside、
n-Octyl β-D-glucoside、
n-Octyl β-D-maltopyranoside
n-Decyl β-D-maltoside、および
Deoxycholic acid - 各界面活性剤の使用量が0.01〜5%w/vである、請求項79に記載の細胞表面抗原の可溶化用界面活性剤混合液。
- 細胞表面抗原を不完全消化する工程と、不完全消化によって細胞から切り離された細胞表面抗原を回収する工程を含む、細胞表面抗原の可溶性分画の製造方法。
- 不完全消化する工程が、細胞に蛋白質分解酵素を作用させる工程を含む請求項81に記載の方法。
- 蛋白質分解酵素が、セリンプロテアーゼである請求項82に記載の方法。
- セリンプロテアーゼがトリプシンである請求項83に記載の方法。
- 請求項81に記載の方法によって得ることができる、細胞表面抗原の可溶性分画。
- 次の工程を含む、細胞表面抗原の同定方法。
(1)細胞表面抗原を認識する抗体と請求項85に記載の細胞表面抗原の可溶性分画とを接触させる工程、
(2)前記抗体に結合した抗原を回収する工程、および
(3)回収された抗原を同定する工程 - 抗体が請求項1または請求項36に記載の方法によって選択された抗体である請求項86に記載の方法。
- 付加的に、工程(3)で同定された抗原のアミノ酸配列を決定する工程を含む請求項87に記載の方法。
- 配列番号:82の塩基配列、または配列番号:83に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 請求項89に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
- 配列番号:84の塩基配列、または配列番号:85に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 請求項91に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
- 請求項90に記載のポリペプチド、および請求項92に記載のポリペプチドを含む、イムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
- CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:90、配列番号:91、および配列番号:92に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンH鎖、またはその可変領域を含む断片。
- CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:93、配列番号:94、および配列番号:95に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンL鎖、またはその可変領域を含む断片。
- 請求項94に記載のイムノグロブリンH鎖、および請求項95に記載のイムノグロブリンL鎖を含むイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
- 配列番号:86の塩基配列、または配列番号:87に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 請求項97に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
- 配列番号:88の塩基配列、または配列番号:89に記載のアミノ酸配列をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド。
- 請求項99に記載のポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド。
- 請求項98に記載のポリペプチド、および請求項100に記載のポリペプチドを含む、イムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
- CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:96、配列番号:97、および配列番号:98に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンH鎖、またはその可変領域を含む断片。
- CDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:99、配列番号:100、および配列番号:101に記載されたアミノ酸配列であるイムノグロブリンL鎖、またはその可変領域を含む断片。
- 請求項102に記載のイムノグロブリンH鎖、および請求項103に記載のイムノグロブリンL鎖を含むイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片。
- 請求項93、請求項96、請求項101、および請求項104に記載されたイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片の少なくとも1種類と、薬学的に許容される担体を含む、肝臓癌の診断または治療のための医薬組成物。
- イムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片が、放射性同位元素、抗癌活性を有する薬物、磁性金属、蛍光色素、発光色素、および酵素からなる群から選択される分子のいずれかを結合されている請求項105に記載の医薬組成物。
- 次の要素を含む、肝臓癌の検査用キット。
i)請求項93、請求項96、請求項101、および請求項104に記載されたイムノグロブリン分子、またはその可変領域を含む断片の少なくとも1種類、
ii)正常な肝細胞組織、および
iii)肝臓癌の癌細胞組織 - 次の工程を含む、抗原結合部位を含む抗体の断片の細胞障害作用を検出する方法。
(1)前記抗体断片と、抗体断片を認識する二次抗体と、そして前記抗体断片が認識する抗原を発現した細胞とを接触させる工程、および
(2)細胞障害作用を検出する工程 - 抗体の抗原結合部位を含む断片と、前記抗体断片が認識する抗原を発現した細胞とを接触させた後に、抗体断片を認識する二次抗体とを接触させる請求項108に記載の方法。
- 抗体の抗原結合部位を含む断片が、Fab断片、またはscFvのいずれかである請求項108に記載の方法。
- 抗体の抗原結合部位を含む断片が、ファージ蛋白質と融合したscFvである請求項110に記載の方法。
- 二次抗体が前記ファージ蛋白質を認識する抗体である請求項111に記載の方法。
- 抗原結合部位を含む抗体の断片が、次のiからvに記載された断片およびrgdpクローンからなる群から選択されるいずれかの断片またはrgdpクローンである請求項108に記載の方法。
i : 請求項1に記載の方法によって取得された抗体の抗原結合部位を含む断片、
ii: 請求項10に記載の方法によって取得されたrgdpクローン;
iii: 請求項30に記載の方法によって取得されたrgdpクローン;
iv: 請求項36に記載の方法によって取得された抗体の抗原結合部位を含む断片;、および
v: 請求項46に記載の方法によって取得された抗体の抗原結合部位を含む断片 - 細胞障害作用が抗体依存性細胞性細胞傷害である請求項108に記載の方法。
- 請求項108〜請求項114のいずれかに記載の方法によって細胞障害活性を検出し、細胞障害活性が検出された抗体断片を選択する工程を含む、細胞障害作用を有する抗体の抗原結合部位を含む断片を選択する方法。
- 抗原結合部位を含む抗体の断片に、当該抗体断片を認識する二次抗体を結合させることによって前記抗体断片に細胞障害作用を付与する方法。
- 抗原結合部位を含む抗体の断片が、ファージ蛋白質と融合したscFvであり、二次抗体が前記ファージ蛋白質を認識する抗体である請求項116に記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004349783A JP4870348B2 (ja) | 2003-12-04 | 2004-12-02 | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003406554 | 2003-12-04 | ||
JP2003406554 | 2003-12-04 | ||
JP2004349783A JP4870348B2 (ja) | 2003-12-04 | 2004-12-02 | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011157433A Division JP2011239784A (ja) | 2003-12-04 | 2011-07-19 | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005185281A true JP2005185281A (ja) | 2005-07-14 |
JP4870348B2 JP4870348B2 (ja) | 2012-02-08 |
Family
ID=34797612
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004349783A Active JP4870348B2 (ja) | 2003-12-04 | 2004-12-02 | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4870348B2 (ja) |
Cited By (32)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006106976A1 (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-12 | Osaka University | 細胞膜表面抗原に対する抗体のアッセイ法 |
WO2007055116A1 (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-18 | Tohoku University | 質量分析計を使った膜タンパク質の定量方法 |
WO2008007648A1 (fr) | 2006-07-10 | 2008-01-17 | Institute For Antibodies Co., Ltd. | Procédé de classification d'antigène, procédé d'identification d'antigène, procédé d'obtention d' un ensemble d'antigènes ou d'anticorps, procédés de construction d'un panel d'anticorps, anticorps et ens |
WO2008059959A1 (fr) | 2006-11-17 | 2008-05-22 | The Research Foundation For Microbial Diseases Of Osaka University | Agent promoteur de l'étirement des nerfs et agent inhibiteur de l'étirement des nerfs |
JP2008278792A (ja) * | 2007-05-10 | 2008-11-20 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | タンパク質含有溶液の製造方法 |
JP2008278794A (ja) * | 2007-05-10 | 2008-11-20 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 生細胞を含有しないタンパク質含有溶液の製造方法 |
WO2008156621A1 (en) * | 2007-06-12 | 2008-12-24 | Ac Immune S.A. | Monoclonal anti beta amyloid antibody |
JPWO2007055283A1 (ja) * | 2005-11-10 | 2009-04-30 | Jsr株式会社 | 核内受容体タンパク質複合体のプロテオミクス解析方法 |
US7728113B2 (en) | 2003-09-10 | 2010-06-01 | Amgen Fremont Inc. | Methods of treating arthritic conditions with antibodies to M-CSF |
WO2010064454A1 (ja) * | 2008-12-05 | 2010-06-10 | 株式会社カイオム・バイオサイエンス | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 |
US7772375B2 (en) | 2005-12-12 | 2010-08-10 | Ac Immune S.A. | Monoclonal antibodies that recognize epitopes of amyloid-beta |
US7892544B2 (en) | 2006-07-14 | 2011-02-22 | Ac Immune Sa | Humanized anti-beta-amyloid antibody |
US8048420B2 (en) | 2007-06-12 | 2011-11-01 | Ac Immune S.A. | Monoclonal antibody |
JP2012511033A (ja) * | 2008-12-08 | 2012-05-17 | テゴファーム コーポレーション | 多価化合物の可逆阻害用マスキングリガンド |
WO2012153707A1 (ja) | 2011-05-09 | 2012-11-15 | 株式会社ペルセウスプロテオミクス | トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 |
JP2013194043A (ja) * | 2012-03-23 | 2013-09-30 | Univ Of Miyazaki | トランスフェリン受容体抗体 |
US8613923B2 (en) | 2007-06-12 | 2013-12-24 | Ac Immune S.A. | Monoclonal antibody |
WO2014073641A1 (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-15 | 国立大学法人 宮崎大学 | トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 |
JP2014528081A (ja) * | 2011-09-22 | 2014-10-23 | エクスプレッション、パソロジー、インコーポレイテッドExpression Pathology, Inc. | 死受容体5タンパク質に対するmrm/srmアッセイ |
US8877190B2 (en) | 2006-11-30 | 2014-11-04 | Abbvie Inc. | Aβ conformer selective anti-Aβ globulomer monoclonal antibodies |
US8895004B2 (en) | 2007-02-27 | 2014-11-25 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Method for the treatment of amyloidoses |
WO2015034052A1 (ja) | 2013-09-05 | 2015-03-12 | 国立大学法人 宮崎大学 | ヒトインテグリンa6b4と特異的に反応する抗体 |
US8987419B2 (en) | 2010-04-15 | 2015-03-24 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid-beta binding proteins |
US9062101B2 (en) | 2010-08-14 | 2015-06-23 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid-beta binding proteins |
US9176150B2 (en) | 2003-01-31 | 2015-11-03 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid beta(1-42) oligomers, derivatives thereof and antibodies thereto, methods of preparation thereof and use thereof |
US9221900B2 (en) | 2010-07-30 | 2015-12-29 | Ac Immune S.A. | Methods for identifying safe and functional humanized antibodies |
US9273140B2 (en) | 2012-05-10 | 2016-03-01 | Fujita Health University | Antibody for detecting DNA damage in cells utilizing cell membrane surface antigen Ly6D |
US9403902B2 (en) | 2007-10-05 | 2016-08-02 | Ac Immune S.A. | Methods of treating ocular disease associated with amyloid-beta-related pathology using an anti-amyloid-beta antibody |
US9540432B2 (en) | 2005-11-30 | 2017-01-10 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Anti-Aβ globulomer 7C6 antibodies |
WO2017176055A1 (ko) * | 2016-04-06 | 2017-10-12 | 경희대학교산학협력단 | 세포 배양용 마이크로 비드 및 이를 이용한 세포 배양 모니터링 방법 |
KR20170114993A (ko) * | 2016-04-06 | 2017-10-16 | 경희대학교 산학협력단 | 세포 배양용 마이크로 비드 및 이를 이용한 세포 배양 모니터링 방법 |
US10208109B2 (en) | 2005-11-30 | 2019-02-19 | Abbvie Inc. | Monoclonal antibodies against amyloid beta protein and uses thereof |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011239784A (ja) * | 2003-12-04 | 2011-12-01 | Perseus Proteomics Inc | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 |
EP3037533A4 (en) | 2013-08-23 | 2017-07-05 | Fujita Health University | Anti-influenza virus-neutralizing antibody |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002020722A2 (en) * | 2000-09-08 | 2002-03-14 | Board Of Regents, The University Of Texas Syste | Methods and compositions for in vitro targeting |
-
2004
- 2004-12-02 JP JP2004349783A patent/JP4870348B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002020722A2 (en) * | 2000-09-08 | 2002-03-14 | Board Of Regents, The University Of Texas Syste | Methods and compositions for in vitro targeting |
WO2002020822A2 (en) * | 2000-09-08 | 2002-03-14 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Biopanning and rapid analysis of selective interactive ligands (brasil) |
WO2002020723A2 (en) * | 2000-09-08 | 2002-03-14 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Compositions and methods for targeting peptides in humans in vivo |
Cited By (67)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9176150B2 (en) | 2003-01-31 | 2015-11-03 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid beta(1-42) oligomers, derivatives thereof and antibodies thereto, methods of preparation thereof and use thereof |
US10464976B2 (en) | 2003-01-31 | 2019-11-05 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid β(1-42) oligomers, derivatives thereof and antibodies thereto, methods of preparation thereof and use thereof |
US9718883B2 (en) | 2003-09-10 | 2017-08-01 | Amgen Fremont Inc. | Antibodies to M-CSF |
US10280219B2 (en) | 2003-09-10 | 2019-05-07 | Amgen Fremont Inc. | Antibodies to M-CSF |
US7728113B2 (en) | 2003-09-10 | 2010-06-01 | Amgen Fremont Inc. | Methods of treating arthritic conditions with antibodies to M-CSF |
US8188249B2 (en) | 2003-09-10 | 2012-05-29 | Amgen Fremont Inc. | Nucleic acid molecules encoding antibodies to M-CSF |
WO2006106976A1 (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-12 | Osaka University | 細胞膜表面抗原に対する抗体のアッセイ法 |
US7901942B2 (en) | 2005-11-08 | 2011-03-08 | Tohoku University | Method of quantifying membrane protein by mass spectrometry using peptide selection criteria |
WO2007055116A1 (ja) * | 2005-11-08 | 2007-05-18 | Tohoku University | 質量分析計を使った膜タンパク質の定量方法 |
JPWO2007055116A1 (ja) * | 2005-11-08 | 2009-04-30 | 国立大学法人東北大学 | 質量分析計を使った膜タンパク質の定量方法 |
JP4670060B2 (ja) * | 2005-11-08 | 2011-04-13 | 国立大学法人東北大学 | 質量分析計を使った膜タンパク質の定量方法 |
JPWO2007055283A1 (ja) * | 2005-11-10 | 2009-04-30 | Jsr株式会社 | 核内受容体タンパク質複合体のプロテオミクス解析方法 |
US10323084B2 (en) | 2005-11-30 | 2019-06-18 | Abbvie Inc. | Monoclonal antibodies against amyloid beta protein and uses thereof |
US10208109B2 (en) | 2005-11-30 | 2019-02-19 | Abbvie Inc. | Monoclonal antibodies against amyloid beta protein and uses thereof |
US9540432B2 (en) | 2005-11-30 | 2017-01-10 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Anti-Aβ globulomer 7C6 antibodies |
US7772375B2 (en) | 2005-12-12 | 2010-08-10 | Ac Immune S.A. | Monoclonal antibodies that recognize epitopes of amyloid-beta |
WO2008007648A1 (fr) | 2006-07-10 | 2008-01-17 | Institute For Antibodies Co., Ltd. | Procédé de classification d'antigène, procédé d'identification d'antigène, procédé d'obtention d' un ensemble d'antigènes ou d'anticorps, procédés de construction d'un panel d'anticorps, anticorps et ens |
US9388249B2 (en) | 2006-07-10 | 2016-07-12 | Amano Enzyme Inc. | Method of classifying antibody, method of identifying antigen, method of obtaining antibody or antibody set, method of constructing antibody panel and antibody or antibody set and use of the same |
EP2975057A1 (en) | 2006-07-10 | 2016-01-20 | Fujita Health University | Novel anti-cd73 antibody |
JP2015143226A (ja) * | 2006-07-10 | 2015-08-06 | 学校法人藤田学園 | 抗体及びその用途 |
JP2017012181A (ja) * | 2006-07-10 | 2017-01-19 | 学校法人藤田学園 | 抗体及びその用途 |
US8124353B2 (en) | 2006-07-14 | 2012-02-28 | Ac Immune S.A. | Methods of treating and monitoring disease with antibodies |
US8246954B2 (en) | 2006-07-14 | 2012-08-21 | Ac Immune S.A. | Methods of treating amyloidosis with humanized anti-beta-amyloid antibodies |
US7892544B2 (en) | 2006-07-14 | 2011-02-22 | Ac Immune Sa | Humanized anti-beta-amyloid antibody |
US8796439B2 (en) | 2006-07-14 | 2014-08-05 | Ac Immune S.A. | Nucleic acid molecules encoding a humanized antibody |
WO2008059959A1 (fr) | 2006-11-17 | 2008-05-22 | The Research Foundation For Microbial Diseases Of Osaka University | Agent promoteur de l'étirement des nerfs et agent inhibiteur de l'étirement des nerfs |
US9951125B2 (en) | 2006-11-30 | 2018-04-24 | Abbvie Inc. | Aβ conformer selective anti-Aβ globulomer monoclonal antibodies |
US9359430B2 (en) | 2006-11-30 | 2016-06-07 | Abbvie Inc. | Abeta conformer selective anti-Abeta globulomer monoclonal antibodies |
US8877190B2 (en) | 2006-11-30 | 2014-11-04 | Abbvie Inc. | Aβ conformer selective anti-Aβ globulomer monoclonal antibodies |
US8895004B2 (en) | 2007-02-27 | 2014-11-25 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Method for the treatment of amyloidoses |
JP2008278792A (ja) * | 2007-05-10 | 2008-11-20 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | タンパク質含有溶液の製造方法 |
JP2008278794A (ja) * | 2007-05-10 | 2008-11-20 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 生細胞を含有しないタンパク質含有溶液の製造方法 |
US9585956B2 (en) | 2007-06-12 | 2017-03-07 | Ac Immune S.A. | Polynucleotides encoding anti-amyloid beta monoclonal antibodies |
WO2008156621A1 (en) * | 2007-06-12 | 2008-12-24 | Ac Immune S.A. | Monoclonal anti beta amyloid antibody |
US8048420B2 (en) | 2007-06-12 | 2011-11-01 | Ac Immune S.A. | Monoclonal antibody |
AU2008267037B2 (en) * | 2007-06-12 | 2014-08-07 | Ac Immune S.A. | Monoclonal anti beta amyloid antibody |
US8613923B2 (en) | 2007-06-12 | 2013-12-24 | Ac Immune S.A. | Monoclonal antibody |
US9146244B2 (en) | 2007-06-12 | 2015-09-29 | Ac Immune S.A. | Polynucleotides encoding an anti-beta-amyloid monoclonal antibody |
US9175094B2 (en) | 2007-06-12 | 2015-11-03 | Ac Immune S.A. | Monoclonal antibody |
EP2527366A1 (en) * | 2007-06-12 | 2012-11-28 | AC Immune S.A. | Monoclonal anti beta amyloid antibody |
US9403902B2 (en) | 2007-10-05 | 2016-08-02 | Ac Immune S.A. | Methods of treating ocular disease associated with amyloid-beta-related pathology using an anti-amyloid-beta antibody |
US9090672B2 (en) | 2008-12-05 | 2015-07-28 | Chiome Bioscience Inc. | Method for producing antibody directed against protein expressed on cell surface |
WO2010064454A1 (ja) * | 2008-12-05 | 2010-06-10 | 株式会社カイオム・バイオサイエンス | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 |
CN102282256B (zh) * | 2008-12-05 | 2014-09-17 | 凯奥目生物科学株式会社 | 针对在细胞表面表达的蛋白质的抗体制作方法 |
JP5696316B2 (ja) * | 2008-12-05 | 2015-04-08 | 株式会社カイオム・バイオサイエンス | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 |
JP2012511033A (ja) * | 2008-12-08 | 2012-05-17 | テゴファーム コーポレーション | 多価化合物の可逆阻害用マスキングリガンド |
US8987419B2 (en) | 2010-04-15 | 2015-03-24 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid-beta binding proteins |
US9822171B2 (en) | 2010-04-15 | 2017-11-21 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid-beta binding proteins |
US9221900B2 (en) | 2010-07-30 | 2015-12-29 | Ac Immune S.A. | Methods for identifying safe and functional humanized antibodies |
US9062101B2 (en) | 2010-08-14 | 2015-06-23 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid-beta binding proteins |
US10047121B2 (en) | 2010-08-14 | 2018-08-14 | AbbVie Deutschland GmbH & Co. KG | Amyloid-beta binding proteins |
WO2012153707A1 (ja) | 2011-05-09 | 2012-11-15 | 株式会社ペルセウスプロテオミクス | トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 |
JP5980202B2 (ja) * | 2011-05-09 | 2016-08-31 | 株式会社ペルセウスプロテオミクス | トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 |
US9598496B2 (en) | 2011-05-09 | 2017-03-21 | Perseus Proteomics Inc. | Antibody capable of specifically recognizing transferrin receptor |
JPWO2012153707A1 (ja) * | 2011-05-09 | 2014-07-31 | 株式会社ペルセウスプロテオミクス | トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 |
JP2014528081A (ja) * | 2011-09-22 | 2014-10-23 | エクスプレッション、パソロジー、インコーポレイテッドExpression Pathology, Inc. | 死受容体5タンパク質に対するmrm/srmアッセイ |
JP2013194043A (ja) * | 2012-03-23 | 2013-09-30 | Univ Of Miyazaki | トランスフェリン受容体抗体 |
US9273140B2 (en) | 2012-05-10 | 2016-03-01 | Fujita Health University | Antibody for detecting DNA damage in cells utilizing cell membrane surface antigen Ly6D |
US9593165B2 (en) | 2012-11-08 | 2017-03-14 | University Of Miyazaki | Antibody capable of specifically recognizing transferrin receptor |
WO2014073641A1 (ja) * | 2012-11-08 | 2014-05-15 | 国立大学法人 宮崎大学 | トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 |
JPWO2014073641A1 (ja) * | 2012-11-08 | 2016-09-08 | 国立大学法人 宮崎大学 | トランスフェリン受容体を特異的に認識できる抗体 |
US10030071B2 (en) | 2013-09-05 | 2018-07-24 | University Of Miyazaki | Antibody which specifically reacts with human integrin A6B4 |
WO2015034052A1 (ja) | 2013-09-05 | 2015-03-12 | 国立大学法人 宮崎大学 | ヒトインテグリンa6b4と特異的に反応する抗体 |
KR20170114993A (ko) * | 2016-04-06 | 2017-10-16 | 경희대학교 산학협력단 | 세포 배양용 마이크로 비드 및 이를 이용한 세포 배양 모니터링 방법 |
WO2017176055A1 (ko) * | 2016-04-06 | 2017-10-12 | 경희대학교산학협력단 | 세포 배양용 마이크로 비드 및 이를 이용한 세포 배양 모니터링 방법 |
KR101975100B1 (ko) * | 2016-04-06 | 2019-05-03 | 경희대학교 산학협력단 | 세포 배양용 마이크로 비드 및 이를 이용한 세포 배양 모니터링 방법 |
US11667888B2 (en) | 2016-04-06 | 2023-06-06 | University-Industry Cooperation Group Of Kyung Hee University | Microbeads for cell culture and method of monitoring cell culture using the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4870348B2 (ja) | 2012-02-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4870348B2 (ja) | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 | |
Krebs et al. | High-throughput generation and engineering of recombinant human antibodies | |
AU2016225810C1 (en) | Modified Antibody Compositions, Methods of Making and Using Thereof | |
CA2380443C (en) | Single-domain antigen-binding antibody fragments derived from llama antibodies | |
JP4564062B2 (ja) | 抗体ライブラリーをスクリーニングする方法 | |
US8003383B2 (en) | Vector for efficient selection and/or maturation of an antibody and uses thereof | |
JP2002514919A (ja) | 多価ライブラリーおよびポリクローナルライブラリー | |
JP2001512560A (ja) | 標的に対し特異的な親和性を有するペプチドおよびタンパク質の選択のための方法および手段 | |
JPH11266884A (ja) | 複合体特異的抗体、その製造方法及び使用 | |
JP2011239784A (ja) | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 | |
JPWO2001096401A1 (ja) | 蛍光タンパク質を融合したscFv抗体の作製方法 | |
EP1536005A1 (en) | Method of assaying interaction between proteins | |
Zhou et al. | Discovery of internalizing antibodies to tumor antigens from phage libraries | |
JP7062134B2 (ja) | 細胞の磁性ビーズ付着を用いた磁性基盤バイオパンニング方法 | |
Wilson et al. | A Sortase A programmable phage display format for improved panning of Fab antibody libraries | |
AU2020200325A1 (en) | Target antigen discovery, phenotypic screens and use thereof for identification of target cell specific target epitopes | |
US20100324271A1 (en) | Phage-displaying single-chain antibody capable of recognizing non-reduced mannose residue | |
JP2007516408A (ja) | コバラミン分析方法 | |
US20100216659A1 (en) | Methods and compositions for indentifying binding partners from libraries of biomolecules | |
JP2008515419A (ja) | 抗体ライブラリーをスクリーニングする方法 | |
Ravn et al. | Identification of phage antibodies toward the Werner protein by selection on Western blots | |
US20040214242A1 (en) | Method for the isolation of large variances of specific molecules for a target molecule from phagemid gene libraries, and a test kit | |
JP2008058208A (ja) | 単鎖可変部抗体を用いたイムノクロマト法 | |
Rönnmark | Affibody ligands in immunotechnology applications | |
Alturki | Expression of Biotinylated Multivalent Peptide Antigens in Bacteria for Rapid and Effective Generation of Single Domain Antibodies from Phage-displayed Antibody Libraries |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070912 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20071106 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100802 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20100929 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20100929 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20101001 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101004 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20100930 |
|
A072 | Dismissal of procedure [no reply to invitation to correct request for examination] |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072 Effective date: 20110315 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20110419 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20110616 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20110616 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110719 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110808 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111005 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20111011 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111101 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20111117 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4870348 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141125 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |