JP5696316B2 - 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体を抗体ライブラリーから単離する方法及びかかる方法によって作製された抗体に関する。
抗体は特定の抗原を認識することで、様々な生体内現象を惹起し、生体内防御の担い手として重要な役割を果たしている。特に抗体による抗体依存性細胞障害(ADCC;antibody dependent cell−mediated cytotoxicity)活性や、補体依存性細胞障害(CDC;complement dependent cytotoxicity)活性は、ガン細胞等の除去に有効であることから、制ガン剤としての用途に用いられている。このような抗体の作用に着目し、実用化された抗体製剤も多く、良好な治療効果を示す製剤も少なくない。さらに、医薬製剤としの用途以外においても、例えば、種々の診断検査薬、あるいは、研究開発上の有効なツールとして広く使用されている。従って種々の生体内現象において重要な役割を果たすタンパク質を抗原として認識する抗体を作製することが必要となってくる。
生体内現象において重要な役割を果たすタンパク質として細胞膜を貫通するタンパク質(以下膜貫通タンパク質とする)が挙げられる。膜貫通タンパク質には、例えば、各種受容体タンパク質やイオンチャンネルタンパク質等を挙げることができる。その多くのものは、細胞内外での情報や物質の伝達・移動に関与することで細胞の生存・増殖・分化等に重要な役割を果たしているため、該膜貫通タンパク質を認識しうる抗体を作製することは、上記の医薬製剤、診断検査薬や研究開発ツールとして極めて大きな意味を持つ。
これまでに、任意の抗原に対する抗体作製法として様々な方法が開発されてきた(ハイブリドーマ作製法、DNA免疫法、ファージディスプレイ法など)。特に近年、高い特異性を持つ抗体を多量かつ容易に生産する技術として、ADLibシステム(又はADLib法)と称する方法が注目を浴びつつある(特許文献1,非特許文献1参照)。この方法によると、所望の特異性及び親和性を有する抗体を簡便な方法により提供することができる。
しかし、前記の各種抗体作製法による膜貫通タンパク質に対する抗体作製には以下のような問題点がある。
膜貫通タンパク質を発現した細胞を抗原として免疫動物に直接投与することで免疫反応を起こさせる方法においては、該膜貫通タンパク質は発現細胞膜上では生理的な立体構造で発現するが、該発現細胞は生体内でタンパク質分解を受けるため、生理的な条件下での膜貫通タンパク質に対して抗体を作製することは困難である。
DNA免疫法は、膜貫通タンパク質のcDNAを適当なほ乳類動物細胞用発現ベクターに組み込み、そのベクターを直接免疫動物に投与する方法である(非特許文献2参照)。この方法によると、生体内において、該膜貫通タンパク質の細胞膜上での立体構造は再現される可能性があるものの、該タンパク質の作用メカニズムに不明な点が多く、生理的な条件下における膜貫通タンパクに対して抗体が作製されているかどうか明らかではない。
ファージディスプレイ法は大腸菌ウイルスの一種である繊維状ファージのコートタンパク質にファージの感染能を失わないように抗体の可変領域遺伝子を融合タンパク質として発現させるシステムである(非特許文献3,4参照)。該方法では、ファージ粒子を膜貫通タンパク質と反応させて所望の抗体を選択する際に、精製した膜貫通タンパク質を使用する必要があり、ターゲットとする膜貫通タンパク質が生理的機能を保持しているかどうか保証されない。
これらの問題点は、免疫細胞で体細胞相同組換えを促進することで多様な抗体分子を該免疫細胞表面に提示させるADLib法においても該当し、生理的な状態での精製が困難な膜貫通タンパクに対する抗体の選択は必ずしも容易ではない。
以上のように、膜貫通タンパク質に対する抗体作製は、いずれの作製法においても困難であった。
国際公開公報WO2004/011644
Seoら、Nature Biotech. 23:731−735、2005 Tangら、Nature 356:152、1992 McCaffertyら、Nature 348:552−554、1990 Marksら、J. Mol. Biol 222:581−597、1991
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を行った結果、膜貫通タンパク質及びマーカータンパク質を細胞表面上に発現する細胞を利用し、抗体集団から、膜貫通タンパク質に対する抗体を調製することに成功した。
よって本発明は、細胞表面上に発現するタンパク質、特に膜貫通タンパク質に対する抗体作製方法の提供を目的とする。
本発明者らは、膜貫通タンパク質に対する抗体を作製するにあたり、ADLib法による抗体作製法において従来用いていた精製抗原をコートした磁気ビーズの代わりに、膜貫通タンパク質及びマーカータンパク質を細胞表面上に発現する細胞を準備し、該細胞を抗原として用いることにより、ADLibライブラリーからの抗体提示細胞のスクリーニングを行った。その後、該マーカータンパク質と特異的に結合する分子を用いて該細胞−抗体提示細胞の複合体を単離した。このような手法だけでは、生理的な状態の膜貫通タンパク質に対する特異的な抗体を的確に選択できるかは不明であったが、解析の結果、意外にも有効な特異性及び親和性をもつ抗体を獲得できることが確認された。この方法によれば、従来の方法によって作製が困難であった膜貫通タンパク質に対する抗体を得ることができ、該膜貫通タンパク質を生理的な状態で提示することで、該膜貫通タンパク質の機能に影響を及ぼす機能性抗体を取得する確度を高めることができる。また、細胞に任意の膜貫通タンパク質を発現することで、いかなる膜貫通タンパク質についても精製することなくスクリーニングすることが可能であるという利点もある。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)に関する。
(1)本発明の第1の態様は、「標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞に、抗体ライブラリーを接触させ、該細胞を単離することにより、該標的タンパク質と複合体を形成する抗体ライブラリーの構成物を分離する方法」である。
(2)本発明の第2の態様は、「抗体ライブラリーが細胞表面に抗体を提示した細胞集団である上記(1)記載の方法」である。
(3)本発明の第3の態様は、「標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞を単離する方法が、該細胞に発現している標的抗原タンパク質以外の細胞表面上の抗原であるマーカー抗原とマーカー抗原に対する抗体との結合を利用する上記(1)記載の方法」である。
(4)本発明の第4の態様は、「マーカー抗原が、外来タンパク質である上記(3)に記載の方法」である。
(5)本発明の第5の態様は、「標的抗原タンパク質が外来タンパク質である上記(4)に記載の方法」である。
(6)本発明の第6の態様は、「細胞表面に抗体を提示した細胞集団がDT40である上記(2)乃至(5)いずれか記載の方法」である。
本発明では、細胞膜上に発現する任意のタンパク質、特に膜貫通タンパク質遺伝子を組み込んだ発現ベクターを用いて抗原となる該タンパク質を任意の細胞(抗原分子発現細胞)の表面に発現させ、本細胞と、ADLib法における抗体発現細胞に代表される各種抗体ライブラリーを混合し、該抗体ライブラリーを構成する抗体発現細胞やウイルス等の内、該抗原分子発現細胞と結合するもののみを濃縮・単離することで、抗体の取得を可能にしている。
従来の抗体作製法と比較した場合、抗原タンパク質を精製する必要がないため、精製が困難である複数回膜貫通タンパク質についても抗体作製が可能である。また、該膜貫通タンパク質を生理的な状態で提示することで、該膜貫通タンパク質を認識できるのみならず、該膜貫通タンパク質の機能にも影響を及ぼすいわゆる機能性抗体を取得する確度を高めることが出来る。
図1は、細胞表面に発現した膜タンパク質を用いたADLibセレクションの流れを示す。 図2は、ヒトEGFR及びCD4共発現CHO−S細胞を用いて選択したADLibライブラリー構成細胞と陰性対照細胞におけるトリIgM及び抗ヒトEGFR抗体の両方を発現する細胞の割合をFACS解析にて解析した結果を示す。 図3は、ADLibライブラリーよりスクリーニングした抗ヒトEGFR抗体産生細胞と非産生細胞におけるトリIgM及び抗ヒトEGFR抗体の両方を発現する細胞の割合をFACS解析にて解析した結果を示す。 図4は、抗ヒトEGFR抗体産生細胞より産生された抗体の抗原特異性を示すELISAの結果を示す。 図5は、抗EGFR抗体産生細胞の培養上清を用いたA431細胞及びCHO−S細胞のFACS染色の結果を示す。 図6は、抗Claudin2抗体産生細胞の培養上清を用い、Claudin2発現CHO及び未処理CHO細胞への反応性を細胞ELISAで調べた結果を示す。
1.抗体ライブラリー
本発明において使用する抗体ライブラリーは、一群の抗体を提示するものであればいかなるものでも使用することが出来、細胞表面上に抗体を提示する細胞であっても、コートタンパク質に抗体を提示するウイルスであってもよく、適したライブラリーを選択することは当業者であれば容易に行うことが出来る。好ましくは、抗体を産生するB細胞が使用され、特に好ましくは、ニワトリ由来B細胞の株化培養細胞であるDT40細胞である。特に好ましい抗体ライブラリーは、ADLib法によって作製されたものである(ADLib法の詳細については、例えば、特許文献1を参照のこと)。
本発明で用いる抗体ライブラリーの維持条件は当該技術分野において周知の方法によって行われるが、選択される抗体ライブラリーに適した条件下で行われることは言うまでもない。しかして、選択される抗体ライブラリーがDT40細胞集団からなる場合、例えば、該細胞集団を維持するための培地はIMDM培地(Invitrogen社)を用い、5%のCO存在下39.5℃で培養する。
さらに、上記のDT40細胞は、体細胞相同組換えを促進し、多様な抗体分子を細胞表面に提示する処理を加えられているものも含む。体細胞相同組換えを促進する方法は、当業者であれば容易に選択できるものを含むが、例えばトリコスタチンA等のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤と接触等させることにより、該DT40細胞の抗体遺伝子座におけるクロマチン構造を弛緩させることで、該抗体遺伝子座における体細胞相同組換えを促進する方法、例えば、ADLib法などが挙げられる。
2.抗原タンパク質及びマーカー抗原
本発明を実施するにあたり、目的の抗原タンパク質は、細胞内にて発現後、細胞表面に提示されるタンパク質であれば、細胞に元々存在するものであっても、外来性のものであっても、いかなるものでも使用することが出来、好ましくは、細胞膜を貫通するタンパク質、例えば、EGFR、IGF−1Rなどの増殖因子受容体タンパク質群、CD81など4回膜貫通性タンパク質群、CXCR4などのケモカイン受容体及びスフィンゴ脂質受容体などを含む7回膜貫通タンパク質群などが挙げられる。
該細胞を上記の抗体ライブラリーと結合させた後、抗原タンパク質と抗体(又は抗体を提示した細胞)との複合体を単離するのに用いられるマーカー抗原は、抗原タンパク質を発現した細胞を特異的に識別するための、いわばタグのような機能を果たす分子であればいずれも使用することができる。マーカー抗原として使用できる分子は、例えば、タンパク質又は糖鎖など、該細胞膜上に存在する分子などを挙げることができ、該細胞膜上に元々存在するものであってもよく、又は、該細胞には元々存在していないかった外来性の分子であってもよい。該細胞膜上に元々存在するマーカー抗原は、抗原タンパク質を発現している細胞を識別するために使用できるものであれば、必ずしも分子として同定されている必要はない。例えば、抗原タンパク質を発現させた細胞の細胞表面上に存在する生体分子群に対し抗体(群)等が得られていれば、これらの抗体を使用して抗原タンパク質を識別又は選択することができるため、これらの生体分子群の素性が明らかになっていなくてもよい。マーカー抗原として外来性の分子を使用する場合、例えば、細胞表面上に発現するタンパク質などを使用することができる。マーカー抗原として外来性のタンパク質を使用する場合、細胞内にて発現後、細胞表面に提示されるタンパク質であればいかなるものでも使用することができ、細胞膜表面上に発現される膜タンパク質などは勿論のこと、分泌タンパク質など本来膜に表示されない分子であっても、膜貫通領域を融合させることにより、マーカー抗原として使用することができる。マーカー抗原としては、例えば、CD4、MHCクラス2分子等を使用することができる。
上記の抗原タンパク質及びマーカータンパク質(マーカー抗原としてタンパク質を用いる場合)の遺伝子の調製は、当該技術分野における通常の技術常識に基づいて行うことが出来る。例えば、適当な細胞等からRT−PCR法等を用いて、目的の抗原タンパク質及びマーカータンパク質の遺伝子領域を増幅し、適当なベクター等にクローニングすることが出来る。また、マーカータンパク質が融合タンパク質である場合には、融合される各々のタンパク質をコードする遺伝子を同様の方法で増幅し、各々を各別には又は融合した状態にて、適当なベクター等にクローニングすることが出来る。この場合、RT−PCR法に用いるプライマーは、目的とする抗原タンパク質及びマーカータンパク質(融合タンパク質の場合には、融合される各タンパク質)の遺伝子に関する公知のデータベース等から配列情報を取得し、この情報に基づいて容易に設計することが出来る。
3.抗原タンパク質及びマーカータンパク質を共発現する細胞
本発明を実施するにあたり、マーカーにタンパク質を使用する場合、上記の抗原タンパク質及びマーカータンパク質を共発現させる細胞は、これらのタンパク質が細胞内にて発現後、該細胞の表面に提示される細胞であればいかなるものでも使用することが出来、当業者であれば容易に選択することが出来る。特に、該抗原タンパク質及びマーカータンパク質がヒト由来である場合は、生理的な翻訳後修飾や細胞内局在が惹起されることが期待されるヒト由来の細胞が好ましく、また、取り扱いの簡便な株化培養細胞(例えばCHO−S細胞等)が好ましい。
作製した抗原タンパク質遺伝子及びマーカータンパク質遺伝子を、適当な発現ベクターに組み込むことにより、所望の抗原タンパク質及びマーカータンパク質を上記の細胞に発現させることが出来る。マーカータンパク質として融合タンパク質を使用する場合には、目的のアミノ酸配列を持つ所望の融合タンパク質が発現されるように、各遺伝子のフレームを調整して発現させる。発現ベクターとしては、該細胞内で目的タンパク質を発現可能にする、プロモーター、エンハンサー等の構成要素を有するものがよい。
作製した発現ベクターの上記細胞への導入は、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、カチオン性脂質による方法等、公知の方法を使用して容易に行うことが出来る。
4.抗原タンパク質及びマーカータンパク質共発現細胞による抗体ライブラリー内の所望するライブラリー構成物のセレクション
本実験を実施するにあたり、上記の抗原タンパク質及びマーカータンパク質を共発現する細胞を抗体ライブラリーと適当な条件下(例えば、生理的なイオン強度、pH)にて懸濁、混合し、適当な時間(例えば、1時間から一晩)及び温度(例えば、4℃〜37℃程度)にてインキュベートすることで、抗体ライブラリー中の該抗原タンパク質に特異性を有する特定の抗体に対応する抗体ライブラリー構成物(例えば、抗体発現細胞)との結合反応を行う。
結合反応を行った後、該共発現細胞及び抗体ライブラリー構成物の結合体を、マーカーを介した適当な方法で単離する。この際、回収する抗体ライブラリー構成物、例えば抗体発現細胞に対し非侵襲的な方法であることが好ましく、当業者であれば容易に選択できるすべてのものを含む。例えば、マーカーがタンパク質又は糖鎖などの生体分子である場合、これらの生体分子に対する特異的な抗体をコートした磁気ビーズ、例えば、MACSビーズ(Miltenyi Biotech社)、あるいは、Dynabeads(Veritas社)を用い、これを該結合体と適当な条件下にて混和した後、MACS法、あるいは、Dynabeadsスタンド法を用いた方法により単離することが出来る。また、Dynabeadsを用いた場合は、キングフィッシャー磁気粒子プロセッサ(Thermo Fisher Scientific社)を用いて単離することもできる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.細胞培養
DT40細胞の細胞培養は、基本的に以下の方法で行った。培養機はCO恒温槽を用い、5%のCO存在下39.5℃で培養した。培地は、IMDM培地(Invitrogen社)を用い、10%ウシ血清、1%ニワトリ血清、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mL,2−メルカプトエタノール 55μMを加えて使用した。また、トリコスタチンA(和光純薬)は、DMSOに2mg/mLの濃度で溶解したものをストックとし、最終濃度が1.25ng/mL、2.5ng/mLとなるように、適宜培地で希釈して用いた。
CHO−S細胞の細胞培養は、基本的に以下の方法で行った。培養機はCO恒温槽を用い、5%のCO存在下37℃で培養した。培地は、CHO−S SFM培地(Invitrogen社)を用いた。
EGFR#36クローンは、EGFR−Fc組換えタンパク(R&D systems社)を用い、ADLibシステムによるセレクションから、抗EGFR IgMを産生するクローンとして単離した。
ADLibシステムのライブラリーはトリコスタチンA(和光純薬社)を毎日最終濃度が1.25ng/mL、2.5ng/mLとなるように培地に添加して維持し、使用前日からはトリコスタチンAを除いた培地にて培養した。
2.CHO−S細胞へのEGFR、CD4遺伝子のトランスフェクション
EGFRの発現ベクターはPyrobest Polymerase(タカラバイオ社)によりPCRを用いて以下の手順で作製した。Human EGFR cDNAクローン(Open Biosystems社,Clone ID 30528231,Accession No.BC094761)を鋳型とし、プライマーはNheI_EGFR−F、hEGFRcDNA−3’(BC094761)を用いて全長cDNAを増幅した。反応条件は以下の通りである。95℃30秒の後、95℃30秒、58℃30秒、72℃3分を30サイクルの後、72℃で8分反応させた。ここで得られたHuman EGFR cDNAは、ExTaq(タカラバイオ社)を加えて72℃15分反応させることで「A」を付加し、DH5α株(タカラバイオ社)を用いてpGEM−T easy vector(Promega社)へサブクローニングした(クローン1)。このクローン1はexon4を欠いていたため、A431細胞からtotal RNAをQuickGene RNA cultured cell kit S(富士フイルム社)を用いて抽出し、Superscript III first strand synthesis system(Invitrogen社)を用いて、50℃50分、85℃5分で逆転写反応を行った。得られたfirst strand cDNAを鋳型として、PCRでcDNA合成を行い、pGEM−T easy vectorへサブクローニングした。プライマーはNheI_EGFR−F、EGFR−R(NM_005228)を用いた。
このクローン(クローン2)は、Exon4を含んでいたが、その他の配列に多数の突然変異を持っていたため、クローン2のExon4を、クローン1にPCRを用いて挿入することとした。クローン2からプライマーhEGFR_ex4−5’とhEGFR_ex4−3’を用いてExon4断片を合成した。合成したExon4断片とクローン1を混合したものを鋳型として、プライマーNheI_EGFR−FとhEGFR_ex4−3’(クローン1.1の合成に使用)、およびhEGFR_ex4−5’とhEGFRcDNA−3’(BC094761)(クローン1.2の合成に使用)を用いてそれぞれPCRを行った。得られたPCR産物(クローン1.1およびクローン1.2)を混合したものを鋳型として、プライマーNheI_EGFR−FとhEGFRcDNA−3’(BC094761)を用いてPCRを行い、pGEM−T easy vector(Promega社)へサブクローニングした(クローン3)。シークエンスの確認はABI社ABIprism377シーケンサーにより行った。
クローン3をHindIIIで切断後、Klenow fragment(タカラバイオ社)により平滑化し、さらにNheIにより切断し、インサート断片を得た。同様にpIRESpuro3(タカラバイオ社)を、EcoRIで切断後、平滑化した後NheIにより切断し、ベクター断片を得た。ベクター、インサート断片ともにQiaquick GelExtraction Kit(Qiagen社)により精製したのち、Ligation−Convenience Kit(ニッポンジーン社)よりライゲーションを行い、DH5α株にトランスフォーメーションし、pIRESpuro3EGFR発現ベクターを得た。
(プライマー配列)
NheI_EGFR−F;TTGCTAGCCCAGTATTGATCGGGAGAGC(配列番号1)
hEGFRcDNA−3’(BC094761);CAGGCTCGGTCATGTGTTTA(配列番号2)
EGFR−R(NM_005228);GCACCTGTAAAATGCCCTGT(配列番号3)
hEGFR_ex4−5’;GCCCATGAGAAATTTACAGGAAATC(配列番号4)
hEGFR_ex4−3’;CAGCTTGGATCACACTTTTGGCA(配列番号5)
hEGFR_ex4−5’;GCCCATGAGAAATTTACAGGAAATC(配列番号6)
hEGFR_ex4−3’;CAGCTTGGATCACACTTTTGGCA(配列番号7)
CD4の発現ベクターは、Miltenyi Biotech社のMACselect transfected cell selectionキットのpMACS4.1 plasmidを用いた。
トランスフェクションはCell Line Nucleofector Kit V(Amaxa biosystems社)を用い、基本的に添付のプロトコールに準じて行った。1x10個の細胞を回収しPBS100μLに懸濁した。懸濁した液にpIRESpuro3EGFR、pMACS4.1をそれぞれ1μg加えプログラムU−024を用いてトランスフェクションを行い、細胞を回収してCHO−S−SFM培地にて16時間培養した。
3.EGFRとCD4を発現するCHO−S細胞によるADLibライブラリー中の抗EGFR抗体発現細胞のセレクション
3−1.EGFRとCD4を発現するCHO−S細胞とADLibライブラリー中の抗EGFR抗体発現細胞の結合:
EGFRとCD4を発現するCHO−S細胞とADLibライブラリー 1x10細胞を2%ウシ血清(invitrogen社)を含むDMEM(invitrogen社)に懸濁、混合し4℃、1時間振とうしながらインキュベートし、ADLibライブラリー中の抗EGFR抗体発現細胞の結合反応を行った。インキュベートした細胞は120×g、5分の遠心にて回収し、10%のトリ血清を含むMACS buffer(Miltenyi Biotech社) に懸濁した。
3−2.MACSによる抗EGFR発現DT40とEGFR,CD4共発現CHO細胞結合体の濃縮:
基本的にMiltenyi Biotech社のプロトコールに従って行った。上記にてMACS bufferに懸濁した細胞に抗CD4マイクロビーズ200μLを加え混和し、15分間氷上に静置した。LS colomn(Miltenyi Biotech社)はまず10%トリ血清を含むMACS buffer 3mLにて平衡化した。次に上記の細胞・マイクロビーズ混合物に10%トリ血清を含むMACS buffer 1mLを加え総量2mLとし、カラムにアプライした。カラムは10%トリ血清を含むMACS buffer 5mLを3回アプライし、非特異的にカラムに結合する細胞を洗浄して除いた。その後、カラムを磁気スタンドからはずし、10%トリ血清を含まないMACS buffer 5mLによりCD4マイクロビーズに結合していた細胞を回収した。この操作は2回繰り返した。回収された細胞は上記のDT40培養用の培地にて一晩培養した。
3−3.抗EGFR発現DT40とEGFR,CD4共発現CHO細胞結合体の濃縮のFACS解析による確認:
3−2にて一晩培養された細胞を5x10個、1,100g、4℃、5分間の遠心にて回収し、FACS buffer(0.3%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水)で1回洗浄した後、EGFR−Fcタンパク(R&D systems社:リン酸緩衝生理食塩水で0.2μg/mLにて使用)にて細胞を懸濁し、氷上で20分静置した。この際、10分おきにタッピングを行い細胞の再懸濁を促した。上記と同様に細胞を回収し、FACS bufferで2回洗浄後、FITCコンジュゲート抗ヒトIgG抗体(eBioscience社、200倍希釈で使用)およびPEコンジュゲート抗トリIgM抗体(Beckmann courlter社:200倍希釈にて使用)にて細胞を懸濁し、氷上で20分静置した。このさい10分おきにタッピングを行い細胞の再懸濁を促した。上記と同様に細胞を回収し、FACS bufferで2回洗浄後、1μg/mL ヨウ化プロピジウムを含むFACS Buffer 400μLに細胞を懸濁したのちFACS解析に供し、FITC とPE 両方が陽性となる細胞(トリIgM、抗EGFR抗体の両方を発現する細胞)の割合を解析した。FACSにはCell Lab Quanta SP MPL (Beckmann coulter社)を用い、解析ソフトウェアとしてはFlowjo(Tree Star社)を用いた。図2にこの実験の結果の一例を示す。図2BはEGFRに反応するDT40クローンを含まない細胞集団に対してこの操作を行ったものであるが、四角の中で示される、EGFR特異的な細胞の濃縮は全く見られない。これに対し、ADLibライブラリー細胞を用いた実験結果を図2Aに示すが、四角の中に0.32%までの細胞の濃縮が見られ、これはこの実験が正しく行われたことを示している。
4.抗トリIgM抗体、EGFR Fcキメラ陽性細胞のFACSソーティングと、単離された細胞のFACS解析
ライブラリーから回収された細胞中で、3−3のFACS解析において抗トリIgM抗体およびEGFR−Fcタンパク共に陽性のシグナルを示した細胞群(図2Aにおいて四角枠で囲った部分 についてFACSソーティングを行った。ソーターはBeckmann coulter社EPICS Elite ESPを用いた。図2の枠内にある細胞を、DT40用メディウムを満たした96ウェルプレート(Nunc社)に分取した。これを約1週間培養し、1細胞由来からのコロニーを形成させた。55個のコロニーが回収された。これらについて、抗EGFR抗体の発現に関してFACS解析により確認した。染色、解析方法は3−2に準じて行った。その結果、55クローン中53クローンについてEGFR Fcキメラによる染色が認められ、EGFRに対する抗体を産生するものであることが確認された。このうちの1クローン(クローン#33)について図3Aに示す。2クローンに関しては抗EGFRの産生は認められなかった。これに属するクローンの一つ(クローン#11)を図3Bに示す。
5.単離されたクローンの特異性検討のためのELISA解析
ELISAは以下のとおりに行った。
まず4において単離した55クローンについて、各1X10細胞をそれぞれ1mL の、トリ血清を含まないDT40用培地にて2日間培養し、IgMを産生させ、この培養上清を回収した。培養上清中のIgM濃度は、Chicken IgM ELISA Quantification Kit(BETHYL社)を用い、添付のプロトコールにしたがって行った。ELISA解析は各クローンについて1μg/mLのIgM濃度で行った。
EGFR−Fcを1μg/mLで96穴イムノプレートU−96 Maxisorp (Nunc社)に100μLずつ分注し一晩インキュベートした。なお、抗体の特異性を検討するためのコントロールとしhuman IgG、BSAも同様にプレートに固定した。翌日プレートの中身を捨て、ブロッキングバッファー(0.5% スキムミルクを含むPBS)200μLを入れ、室温で2時間インキュベートした。ELISA洗浄バッファー(0.05% Tween20を含むPBS)200μLで3回洗浄した。その抗EGFR発現候補クローン53クローンとCL18クローン由来の培養上清それぞれ100μLを入れ、室温で1時間インキュベートした。ELISA洗浄バッファー200μLで5回洗浄したのち、二次抗体(anti−chicken IgM−HRP:BETHYL社)をPBSで5000倍に希釈したものを100μL入れ、室温で45分インキュベートした。なお二次抗体はanti−chicken IgM−HRP(BETHYL社)を使用した。ELISA洗浄バッファー200μLで5回洗浄したのち、TMB+(Dako社)を100μL入れ、10分インキュベートした。その後反応を1Nの硫酸100μLで停止し、450nmの吸光度を測定し、EGFRに特異的な抗体を産生するクローンの数と番号を解析した。クローン#33、#11および非特異的なクローン(CL18M+)についての結果をそれぞれ、図4A、4B、4Cに示す。これによりクローン#33が産生している抗体はEGFR特異的であることが明らかとなった。同様の結果は他の52クローンのEGFR特異的なクローンについても見られた。
6.単離されたクローンの特異性検討のためのFACS解析
単離されたクローンの特異性をさらに検討するため、EGFRを高いレベルで発現していることが知られている扁平上皮癌由来細胞株A431細胞を用いてFACS解析を行った。
A431の細胞培養は、基本的に以下の方法で行った。培養機はCO恒温槽を用い、5%のCO存在下37℃で培養した。培地は、DMEM培地(Invitrogen社)を用い、10%ウシ血清、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mLを加えて使用した。
FACS解析は以下の要領で行った。A431細胞を1サンプルあたり5X10個1.5mLチューブに回収し、FACS bufferにて1回洗浄した。その後5)で調製した55クローンの培養上清で細胞を懸濁し、氷上で20分放置した。その後FACS bufferにて2回洗浄し、FITCコンジュゲート抗トリIgM抗体(BETHYL社、1000倍希釈にて使用)にて懸濁し、20分間氷上で放置した。その後FACS bufferで2回洗浄後、1μg/mLヨウ化プロピジウムを含むFACS Buffer 400μLに細胞を懸濁したのちFACS解析に供した。用いた55クローンの培養上清のうち、A431細胞に対して結合を示したクローンの例を、図5に示す。FACSにはCell Lab Quanta SC MPL (Beckmann coulter社)を用い、解析ソフトウェアとしてはFlowjo (Tree Star社)を用いた。その結果を図5に示す。クローン#33および#11の培養上清を用いた実験を図5Aおよび5Bに、また図5Cには市販の抗EGFR抗体を用いた結果を示す。これにより、クローン#33の産生する抗体が、A431細胞上のEGFR分子に対して生理的条件下で反応することが明らかとなった。同様の結果は他の52クローンのEGFR特異的クローンについても得られた。ネガティブコントロールとしてA431細胞の変わりに浮遊系CHO細胞を用いて同様の解析を行った。
7.Claudin2発現ベクター作製とClaudin2安定発現CHO細胞の作製
4回膜貫通型蛋白質であるヒトClaudin2遺伝子のコーディング領域に相当する配列をpMC1neoベクター(Stratagene社)のマルチクローニングサイトに組み込みClaudin2発現ベクターとしてpMC−CL2を構築した。
これをCHO細胞にトランスフェクションし、次いでGeneticin(Invitrogen社)による薬剤セレクションを実施することでClaudin2安定発現CHO細胞としてCLCN2/CHOを確立した。
8.Claudin2一過性発現CHO−S細胞を用いたセレクション
8−1.ネガティブセレクションによるADLibライブラリー中の不要抗体発現DT40の除去:
CHO−S 1×10細胞にCD4発現ベクターであるpMACS4.1 plasmid 2.5μgをCell Line Nucleofector Kit Vを用いてトランスフェクションした。この操作を5回繰り返し、細胞を回収してCHO−S−SFM培地にて16時間培養した。次いでマイトマイシンC(ナカライテスク社)を終濃度10μg/mL添加し更に3時間培養を続けた。マイトマイシンC処理によってCHO−S細胞膜上へのCD4の発現は維持されつつ、細胞の増殖は抑制される。
マイトマイシンC処理後の細胞を回収し、生細胞として1×10細胞のCD4発現CHO-Sに対して予め調製したビオチン標識抗CD4マウスモノクローナル抗体(バイオレジェンド社)を固定化したストレプトアビジン標識Dynabeads(Veritas社)5×10個を反応させた。こうして調製されたDynabeadsが結合したCD4発現CHO−S全量(1×10細胞)をADLibライブラリー 1×10細胞に懸濁、混合し4℃、30分間振とうしながらインキュベートし、CD4発現CHO−SとADLibライブラリー中に含まれる不要抗体発現DT40と反応させた。反応終了後の細胞懸濁をキングフィッシャー磁気粒子プロセッサ(Thermo Fisher Scientific社)にセットし、磁気ビーズであるDynabeadsと細胞からなる複合体を磁石で吸着することでADLibライブラリー中に含まれる不要抗体発現DT40を除去した(ネガティブセレクション)。吸着しなかったDT40細胞集団を次のステップであるポジティブセレクションに使用するADLibライブラリーとした。
8−2.ポジティブセレクションによる抗Claudin2抗体産生DT40の単離:
CHO−S 1×10細胞にCD4発現ベクターであるpMACS4.1 plasmid 2.5μgおよびClaudin2発現ベクターであるpMC−CL2 2.5μgをCell Line Nucleofector Kit Vを用いてコトランスフェクションした。細胞を回収してCHO−S−SFM培地にて16時間培養した。次いでマイトマイシンC(ナカライテスク社)を終濃度10μg/mL添加し更に3時間培養を続けた。マイトマイシンC処理によってCHO−S細胞膜上へのCD4およびClaudin2の発現は維持されつつ、細胞の増殖は抑制される。
マイトマイシンC処理後の細胞を回収し、生細胞として1×10細胞のCD4およびClaudin2共発現CHO−Sに対して予め調製したビオチン標識抗CD4マウスモノクローナル抗体(バイオレジェンド社)を固定化したストレプトアビジン標識Dynabeads(Veritas社)5×10個を反応させた。こうして調製されたDynabeadsが結合したCD4およびClaudin2共発現CHO−S全量(1×10細胞)を上記のネガティブセレクションの処理を施したADLibライブラリー(約1×10細胞)に懸濁、混合し4℃、30分間振とうしながらインキュベートし、CD4およびClaudin2共発現CHO−SとADLibライブラリーとを反応させた。
反応終了後の細胞懸濁をキングフィッシャー磁気粒子プロセッサ(Thermo Fisher Scientific社)にセットし、磁気ビーズであるDynabeadsと細胞からなる複合体を磁石で吸着および解放することを洗浄液中で繰り返すことで非特異的に反応しているDT40を洗浄除去した。洗浄後に回収した細胞全量を96ウェルプレート2枚に撒き込み約10日後に培養上清を回収し、その培養上清中に含まれる抗Claudin2抗体の存在を細胞ELISAによって調べた。
細胞ELISAは以下の方法に準じて実施した。Cladin2安定発現細胞であるCLDN2/CHOあるいは未処理のCHO細胞を3×10細胞/ウェルで播種し、2日間、5%のCO存在下37℃で培養したプレートを用意した。このプレートの培養上清を除いた後、ポジティブセレクション後の細胞培養上清100μLを入れて室温で1時間反応させた。0.05% Tween20を含むPBSでウェルを洗浄し、次いで10,000倍に希釈したanti−chicken IgM−HRP(BETHYL社)100μLを二次抗体として反応させた。0.05% Tween20を含むPBSで洗浄したのち、発色液としてTMB+(Dako社)を100μL入れ、30分インキュベートした。その後反応を1Nの硫酸100μLで停止し、450nmの吸光度を測定することで、ポジティブセレクションで回収された細胞培養上清中の抗Claudin2抗体の存在を調べた。ポジティブセレクション回収後の細胞を撒き込んだ96ウェルプレート2枚について調べた結果、図6に示すように未処理のCHOに反応せず、Claudin2安定発現細胞であるCLDN2/CHOに特異的に反応するウェルが高率で認められた。図中、PCはClaudin2の細胞外ループのひとつに相当する合成ペプチドを抗原としてADLibセレクションによって確立された抗体であり陽性コントロールとして使用した。また、NCはADLibセレクションによって確立されたストレプトアビジンに対する抗体であり、陰性コントロールとして使用したものである。
以上のように、本発明は1回膜貫通型タンパク質であるEGFRのみならず、抗体取得が困難とされる4回膜貫通型タンパク質の抗体作製にも適用できることが証明された。
本発明は、従来抗体取得が困難であった所望の膜貫通タンパク質に対する抗体の作製を可能にし、かつ、該膜貫通タンパク質の機能にも影響を及ぼすいわゆる機能性抗体を取得する確度を高めることができるため、抗体製剤、抗体診断薬等の分野、または、研究上のツールとして広く利用可能である。

Claims (5)

  1. 複数回膜貫通タンパク質である標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞であって、マイトマイシンCで処理した該細胞に、細胞表面に抗体を提示した細胞集団である抗体ライブラリーを接触させ、該標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞を単離することにより、該標的抗原タンパク質と複合体を形成する抗体ライブラリーの構成物を分離する方法。
  2. 標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞を単離する方法が、該細胞に発現している標的抗原タンパク質以外の細胞表面上の抗原であるマーカー抗原とマーカー抗原に対する抗体との結合を利用する請求項1記載の方法。
  3. マーカー抗原が、外来タンパク質である請求項2に記載の方法。
  4. 標的抗原タンパク質が外来タンパク質である請求項3に記載の方法。
  5. 細胞表面に抗体を提示した細胞集団がDT40である請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
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