JP5696316B2 - 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 - Google Patents
細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5696316B2 JP5696316B2 JP2010541252A JP2010541252A JP5696316B2 JP 5696316 B2 JP5696316 B2 JP 5696316B2 JP 2010541252 A JP2010541252 A JP 2010541252A JP 2010541252 A JP2010541252 A JP 2010541252A JP 5696316 B2 JP5696316 B2 JP 5696316B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cell
- antibody
- cells
- protein
- egfr
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
- C07K16/18—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
- C07K16/28—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K16/00—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
- C07K16/18—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
- C07K16/28—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
- C07K16/2863—Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants against receptors for growth factors, growth regulators
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K2317/00—Immunoglobulins specific features
- C07K2317/10—Immunoglobulins specific features characterized by their source of isolation or production
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C40—COMBINATORIAL TECHNOLOGY
- C40B—COMBINATORIAL CHEMISTRY; LIBRARIES, e.g. CHEMICAL LIBRARIES
- C40B30/00—Methods of screening libraries
- C40B30/06—Methods of screening libraries by measuring effects on living organisms, tissues or cells
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Immunology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
Description
膜貫通タンパク質を発現した細胞を抗原として免疫動物に直接投与することで免疫反応を起こさせる方法においては、該膜貫通タンパク質は発現細胞膜上では生理的な立体構造で発現するが、該発現細胞は生体内でタンパク質分解を受けるため、生理的な条件下での膜貫通タンパク質に対して抗体を作製することは困難である。
DNA免疫法は、膜貫通タンパク質のcDNAを適当なほ乳類動物細胞用発現ベクターに組み込み、そのベクターを直接免疫動物に投与する方法である(非特許文献2参照)。この方法によると、生体内において、該膜貫通タンパク質の細胞膜上での立体構造は再現される可能性があるものの、該タンパク質の作用メカニズムに不明な点が多く、生理的な条件下における膜貫通タンパクに対して抗体が作製されているかどうか明らかではない。
ファージディスプレイ法は大腸菌ウイルスの一種である繊維状ファージのコートタンパク質にファージの感染能を失わないように抗体の可変領域遺伝子を融合タンパク質として発現させるシステムである(非特許文献3,4参照)。該方法では、ファージ粒子を膜貫通タンパク質と反応させて所望の抗体を選択する際に、精製した膜貫通タンパク質を使用する必要があり、ターゲットとする膜貫通タンパク質が生理的機能を保持しているかどうか保証されない。
これらの問題点は、免疫細胞で体細胞相同組換えを促進することで多様な抗体分子を該免疫細胞表面に提示させるADLib法においても該当し、生理的な状態での精製が困難な膜貫通タンパクに対する抗体の選択は必ずしも容易ではない。
以上のように、膜貫通タンパク質に対する抗体作製は、いずれの作製法においても困難であった。
よって本発明は、細胞表面上に発現するタンパク質、特に膜貫通タンパク質に対する抗体作製方法の提供を目的とする。
(1)本発明の第1の態様は、「標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞に、抗体ライブラリーを接触させ、該細胞を単離することにより、該標的タンパク質と複合体を形成する抗体ライブラリーの構成物を分離する方法」である。
(2)本発明の第2の態様は、「抗体ライブラリーが細胞表面に抗体を提示した細胞集団である上記(1)記載の方法」である。
(3)本発明の第3の態様は、「標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞を単離する方法が、該細胞に発現している標的抗原タンパク質以外の細胞表面上の抗原であるマーカー抗原とマーカー抗原に対する抗体との結合を利用する上記(1)記載の方法」である。
(4)本発明の第4の態様は、「マーカー抗原が、外来タンパク質である上記(3)に記載の方法」である。
(5)本発明の第5の態様は、「標的抗原タンパク質が外来タンパク質である上記(4)に記載の方法」である。
(6)本発明の第6の態様は、「細胞表面に抗体を提示した細胞集団がDT40である上記(2)乃至(5)いずれか記載の方法」である。
従来の抗体作製法と比較した場合、抗原タンパク質を精製する必要がないため、精製が困難である複数回膜貫通タンパク質についても抗体作製が可能である。また、該膜貫通タンパク質を生理的な状態で提示することで、該膜貫通タンパク質を認識できるのみならず、該膜貫通タンパク質の機能にも影響を及ぼすいわゆる機能性抗体を取得する確度を高めることが出来る。
本発明において使用する抗体ライブラリーは、一群の抗体を提示するものであればいかなるものでも使用することが出来、細胞表面上に抗体を提示する細胞であっても、コートタンパク質に抗体を提示するウイルスであってもよく、適したライブラリーを選択することは当業者であれば容易に行うことが出来る。好ましくは、抗体を産生するB細胞が使用され、特に好ましくは、ニワトリ由来B細胞の株化培養細胞であるDT40細胞である。特に好ましい抗体ライブラリーは、ADLib法によって作製されたものである(ADLib法の詳細については、例えば、特許文献1を参照のこと)。
本発明を実施するにあたり、目的の抗原タンパク質は、細胞内にて発現後、細胞表面に提示されるタンパク質であれば、細胞に元々存在するものであっても、外来性のものであっても、いかなるものでも使用することが出来、好ましくは、細胞膜を貫通するタンパク質、例えば、EGFR、IGF−1Rなどの増殖因子受容体タンパク質群、CD81など4回膜貫通性タンパク質群、CXCR4などのケモカイン受容体及びスフィンゴ脂質受容体などを含む7回膜貫通タンパク質群などが挙げられる。
該細胞を上記の抗体ライブラリーと結合させた後、抗原タンパク質と抗体(又は抗体を提示した細胞)との複合体を単離するのに用いられるマーカー抗原は、抗原タンパク質を発現した細胞を特異的に識別するための、いわばタグのような機能を果たす分子であればいずれも使用することができる。マーカー抗原として使用できる分子は、例えば、タンパク質又は糖鎖など、該細胞膜上に存在する分子などを挙げることができ、該細胞膜上に元々存在するものであってもよく、又は、該細胞には元々存在していないかった外来性の分子であってもよい。該細胞膜上に元々存在するマーカー抗原は、抗原タンパク質を発現している細胞を識別するために使用できるものであれば、必ずしも分子として同定されている必要はない。例えば、抗原タンパク質を発現させた細胞の細胞表面上に存在する生体分子群に対し抗体(群)等が得られていれば、これらの抗体を使用して抗原タンパク質を識別又は選択することができるため、これらの生体分子群の素性が明らかになっていなくてもよい。マーカー抗原として外来性の分子を使用する場合、例えば、細胞表面上に発現するタンパク質などを使用することができる。マーカー抗原として外来性のタンパク質を使用する場合、細胞内にて発現後、細胞表面に提示されるタンパク質であればいかなるものでも使用することができ、細胞膜表面上に発現される膜タンパク質などは勿論のこと、分泌タンパク質など本来膜に表示されない分子であっても、膜貫通領域を融合させることにより、マーカー抗原として使用することができる。マーカー抗原としては、例えば、CD4、MHCクラス2分子等を使用することができる。
本発明を実施するにあたり、マーカーにタンパク質を使用する場合、上記の抗原タンパク質及びマーカータンパク質を共発現させる細胞は、これらのタンパク質が細胞内にて発現後、該細胞の表面に提示される細胞であればいかなるものでも使用することが出来、当業者であれば容易に選択することが出来る。特に、該抗原タンパク質及びマーカータンパク質がヒト由来である場合は、生理的な翻訳後修飾や細胞内局在が惹起されることが期待されるヒト由来の細胞が好ましく、また、取り扱いの簡便な株化培養細胞(例えばCHO−S細胞等)が好ましい。
作製した発現ベクターの上記細胞への導入は、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、カチオン性脂質による方法等、公知の方法を使用して容易に行うことが出来る。
本実験を実施するにあたり、上記の抗原タンパク質及びマーカータンパク質を共発現する細胞を抗体ライブラリーと適当な条件下(例えば、生理的なイオン強度、pH)にて懸濁、混合し、適当な時間(例えば、1時間から一晩)及び温度(例えば、4℃〜37℃程度)にてインキュベートすることで、抗体ライブラリー中の該抗原タンパク質に特異性を有する特定の抗体に対応する抗体ライブラリー構成物(例えば、抗体発現細胞)との結合反応を行う。
結合反応を行った後、該共発現細胞及び抗体ライブラリー構成物の結合体を、マーカーを介した適当な方法で単離する。この際、回収する抗体ライブラリー構成物、例えば抗体発現細胞に対し非侵襲的な方法であることが好ましく、当業者であれば容易に選択できるすべてのものを含む。例えば、マーカーがタンパク質又は糖鎖などの生体分子である場合、これらの生体分子に対する特異的な抗体をコートした磁気ビーズ、例えば、MACSビーズ(Miltenyi Biotech社)、あるいは、Dynabeads(Veritas社)を用い、これを該結合体と適当な条件下にて混和した後、MACS法、あるいは、Dynabeadsスタンド法を用いた方法により単離することが出来る。また、Dynabeadsを用いた場合は、キングフィッシャー磁気粒子プロセッサ(Thermo Fisher Scientific社)を用いて単離することもできる。
DT40細胞の細胞培養は、基本的に以下の方法で行った。培養機はCO2恒温槽を用い、5%のCO2存在下39.5℃で培養した。培地は、IMDM培地(Invitrogen社)を用い、10%ウシ血清、1%ニワトリ血清、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mL,2−メルカプトエタノール 55μMを加えて使用した。また、トリコスタチンA(和光純薬)は、DMSOに2mg/mLの濃度で溶解したものをストックとし、最終濃度が1.25ng/mL、2.5ng/mLとなるように、適宜培地で希釈して用いた。
CHO−S細胞の細胞培養は、基本的に以下の方法で行った。培養機はCO2恒温槽を用い、5%のCO2存在下37℃で培養した。培地は、CHO−S SFM培地(Invitrogen社)を用いた。
EGFR#36クローンは、EGFR−Fc組換えタンパク(R&D systems社)を用い、ADLibシステムによるセレクションから、抗EGFR IgMを産生するクローンとして単離した。
ADLibシステムのライブラリーはトリコスタチンA(和光純薬社)を毎日最終濃度が1.25ng/mL、2.5ng/mLとなるように培地に添加して維持し、使用前日からはトリコスタチンAを除いた培地にて培養した。
EGFRの発現ベクターはPyrobest Polymerase(タカラバイオ社)によりPCRを用いて以下の手順で作製した。Human EGFR cDNAクローン(Open Biosystems社,Clone ID 30528231,Accession No.BC094761)を鋳型とし、プライマーはNheI_EGFR−F、hEGFRcDNA−3’(BC094761)を用いて全長cDNAを増幅した。反応条件は以下の通りである。95℃30秒の後、95℃30秒、58℃30秒、72℃3分を30サイクルの後、72℃で8分反応させた。ここで得られたHuman EGFR cDNAは、ExTaq(タカラバイオ社)を加えて72℃15分反応させることで「A」を付加し、DH5α株(タカラバイオ社)を用いてpGEM−T easy vector(Promega社)へサブクローニングした(クローン1)。このクローン1はexon4を欠いていたため、A431細胞からtotal RNAをQuickGene RNA cultured cell kit S(富士フイルム社)を用いて抽出し、Superscript III first strand synthesis system(Invitrogen社)を用いて、50℃50分、85℃5分で逆転写反応を行った。得られたfirst strand cDNAを鋳型として、PCRでcDNA合成を行い、pGEM−T easy vectorへサブクローニングした。プライマーはNheI_EGFR−F、EGFR−R(NM_005228)を用いた。
(プライマー配列)
NheI_EGFR−F;TTGCTAGCCCAGTATTGATCGGGAGAGC(配列番号1)
hEGFRcDNA−3’(BC094761);CAGGCTCGGTCATGTGTTTA(配列番号2)
EGFR−R(NM_005228);GCACCTGTAAAATGCCCTGT(配列番号3)
hEGFR_ex4−5’;GCCCATGAGAAATTTACAGGAAATC(配列番号4)
hEGFR_ex4−3’;CAGCTTGGATCACACTTTTGGCA(配列番号5)
hEGFR_ex4−5’;GCCCATGAGAAATTTACAGGAAATC(配列番号6)
hEGFR_ex4−3’;CAGCTTGGATCACACTTTTGGCA(配列番号7)
CD4の発現ベクターは、Miltenyi Biotech社のMACselect transfected cell selectionキットのpMACS4.1 plasmidを用いた。
3−1.EGFRとCD4を発現するCHO−S細胞とADLibライブラリー中の抗EGFR抗体発現細胞の結合:
EGFRとCD4を発現するCHO−S細胞とADLibライブラリー 1x108細胞を2%ウシ血清(invitrogen社)を含むDMEM(invitrogen社)に懸濁、混合し4℃、1時間振とうしながらインキュベートし、ADLibライブラリー中の抗EGFR抗体発現細胞の結合反応を行った。インキュベートした細胞は120×g、5分の遠心にて回収し、10%のトリ血清を含むMACS buffer(Miltenyi Biotech社) に懸濁した。
基本的にMiltenyi Biotech社のプロトコールに従って行った。上記にてMACS bufferに懸濁した細胞に抗CD4マイクロビーズ200μLを加え混和し、15分間氷上に静置した。LS colomn(Miltenyi Biotech社)はまず10%トリ血清を含むMACS buffer 3mLにて平衡化した。次に上記の細胞・マイクロビーズ混合物に10%トリ血清を含むMACS buffer 1mLを加え総量2mLとし、カラムにアプライした。カラムは10%トリ血清を含むMACS buffer 5mLを3回アプライし、非特異的にカラムに結合する細胞を洗浄して除いた。その後、カラムを磁気スタンドからはずし、10%トリ血清を含まないMACS buffer 5mLによりCD4マイクロビーズに結合していた細胞を回収した。この操作は2回繰り返した。回収された細胞は上記のDT40培養用の培地にて一晩培養した。
3−2にて一晩培養された細胞を5x105個、1,100g、4℃、5分間の遠心にて回収し、FACS buffer(0.3%ウシ血清アルブミンを含むリン酸緩衝生理食塩水)で1回洗浄した後、EGFR−Fcタンパク(R&D systems社:リン酸緩衝生理食塩水で0.2μg/mLにて使用)にて細胞を懸濁し、氷上で20分静置した。この際、10分おきにタッピングを行い細胞の再懸濁を促した。上記と同様に細胞を回収し、FACS bufferで2回洗浄後、FITCコンジュゲート抗ヒトIgG抗体(eBioscience社、200倍希釈で使用)およびPEコンジュゲート抗トリIgM抗体(Beckmann courlter社:200倍希釈にて使用)にて細胞を懸濁し、氷上で20分静置した。このさい10分おきにタッピングを行い細胞の再懸濁を促した。上記と同様に細胞を回収し、FACS bufferで2回洗浄後、1μg/mL ヨウ化プロピジウムを含むFACS Buffer 400μLに細胞を懸濁したのちFACS解析に供し、FITC とPE 両方が陽性となる細胞(トリIgM、抗EGFR抗体の両方を発現する細胞)の割合を解析した。FACSにはCell Lab Quanta SP MPL (Beckmann coulter社)を用い、解析ソフトウェアとしてはFlowjo(Tree Star社)を用いた。図2にこの実験の結果の一例を示す。図2BはEGFRに反応するDT40クローンを含まない細胞集団に対してこの操作を行ったものであるが、四角の中で示される、EGFR特異的な細胞の濃縮は全く見られない。これに対し、ADLibライブラリー細胞を用いた実験結果を図2Aに示すが、四角の中に0.32%までの細胞の濃縮が見られ、これはこの実験が正しく行われたことを示している。
ライブラリーから回収された細胞中で、3−3のFACS解析において抗トリIgM抗体およびEGFR−Fcタンパク共に陽性のシグナルを示した細胞群(図2Aにおいて四角枠で囲った部分 についてFACSソーティングを行った。ソーターはBeckmann coulter社EPICS Elite ESPを用いた。図2の枠内にある細胞を、DT40用メディウムを満たした96ウェルプレート(Nunc社)に分取した。これを約1週間培養し、1細胞由来からのコロニーを形成させた。55個のコロニーが回収された。これらについて、抗EGFR抗体の発現に関してFACS解析により確認した。染色、解析方法は3−2に準じて行った。その結果、55クローン中53クローンについてEGFR Fcキメラによる染色が認められ、EGFRに対する抗体を産生するものであることが確認された。このうちの1クローン(クローン#33)について図3Aに示す。2クローンに関しては抗EGFRの産生は認められなかった。これに属するクローンの一つ(クローン#11)を図3Bに示す。
ELISAは以下のとおりに行った。
まず4において単離した55クローンについて、各1X106細胞をそれぞれ1mL の、トリ血清を含まないDT40用培地にて2日間培養し、IgMを産生させ、この培養上清を回収した。培養上清中のIgM濃度は、Chicken IgM ELISA Quantification Kit(BETHYL社)を用い、添付のプロトコールにしたがって行った。ELISA解析は各クローンについて1μg/mLのIgM濃度で行った。
EGFR−Fcを1μg/mLで96穴イムノプレートU−96 Maxisorp (Nunc社)に100μLずつ分注し一晩インキュベートした。なお、抗体の特異性を検討するためのコントロールとしhuman IgG、BSAも同様にプレートに固定した。翌日プレートの中身を捨て、ブロッキングバッファー(0.5% スキムミルクを含むPBS)200μLを入れ、室温で2時間インキュベートした。ELISA洗浄バッファー(0.05% Tween20を含むPBS)200μLで3回洗浄した。その抗EGFR発現候補クローン53クローンとCL18クローン由来の培養上清それぞれ100μLを入れ、室温で1時間インキュベートした。ELISA洗浄バッファー200μLで5回洗浄したのち、二次抗体(anti−chicken IgM−HRP:BETHYL社)をPBSで5000倍に希釈したものを100μL入れ、室温で45分インキュベートした。なお二次抗体はanti−chicken IgM−HRP(BETHYL社)を使用した。ELISA洗浄バッファー200μLで5回洗浄したのち、TMB+(Dako社)を100μL入れ、10分インキュベートした。その後反応を1Nの硫酸100μLで停止し、450nmの吸光度を測定し、EGFRに特異的な抗体を産生するクローンの数と番号を解析した。クローン#33、#11および非特異的なクローン(CL18M+)についての結果をそれぞれ、図4A、4B、4Cに示す。これによりクローン#33が産生している抗体はEGFR特異的であることが明らかとなった。同様の結果は他の52クローンのEGFR特異的なクローンについても見られた。
単離されたクローンの特異性をさらに検討するため、EGFRを高いレベルで発現していることが知られている扁平上皮癌由来細胞株A431細胞を用いてFACS解析を行った。
A431の細胞培養は、基本的に以下の方法で行った。培養機はCO2恒温槽を用い、5%のCO2存在下37℃で培養した。培地は、DMEM培地(Invitrogen社)を用い、10%ウシ血清、ペニシリン100単位/mL、ストレプトマイシン100μg/mLを加えて使用した。
FACS解析は以下の要領で行った。A431細胞を1サンプルあたり5X106個1.5mLチューブに回収し、FACS bufferにて1回洗浄した。その後5)で調製した55クローンの培養上清で細胞を懸濁し、氷上で20分放置した。その後FACS bufferにて2回洗浄し、FITCコンジュゲート抗トリIgM抗体(BETHYL社、1000倍希釈にて使用)にて懸濁し、20分間氷上で放置した。その後FACS bufferで2回洗浄後、1μg/mLヨウ化プロピジウムを含むFACS Buffer 400μLに細胞を懸濁したのちFACS解析に供した。用いた55クローンの培養上清のうち、A431細胞に対して結合を示したクローンの例を、図5に示す。FACSにはCell Lab Quanta SC MPL (Beckmann coulter社)を用い、解析ソフトウェアとしてはFlowjo (Tree Star社)を用いた。その結果を図5に示す。クローン#33および#11の培養上清を用いた実験を図5Aおよび5Bに、また図5Cには市販の抗EGFR抗体を用いた結果を示す。これにより、クローン#33の産生する抗体が、A431細胞上のEGFR分子に対して生理的条件下で反応することが明らかとなった。同様の結果は他の52クローンのEGFR特異的クローンについても得られた。ネガティブコントロールとしてA431細胞の変わりに浮遊系CHO細胞を用いて同様の解析を行った。
4回膜貫通型蛋白質であるヒトClaudin2遺伝子のコーディング領域に相当する配列をpMC1neoベクター(Stratagene社)のマルチクローニングサイトに組み込みClaudin2発現ベクターとしてpMC−CL2を構築した。
これをCHO細胞にトランスフェクションし、次いでGeneticin(Invitrogen社)による薬剤セレクションを実施することでClaudin2安定発現CHO細胞としてCLCN2/CHOを確立した。
8−1.ネガティブセレクションによるADLibライブラリー中の不要抗体発現DT40の除去:
CHO−S 1×107細胞にCD4発現ベクターであるpMACS4.1 plasmid 2.5μgをCell Line Nucleofector Kit Vを用いてトランスフェクションした。この操作を5回繰り返し、細胞を回収してCHO−S−SFM培地にて16時間培養した。次いでマイトマイシンC(ナカライテスク社)を終濃度10μg/mL添加し更に3時間培養を続けた。マイトマイシンC処理によってCHO−S細胞膜上へのCD4の発現は維持されつつ、細胞の増殖は抑制される。
CHO−S 1×107細胞にCD4発現ベクターであるpMACS4.1 plasmid 2.5μgおよびClaudin2発現ベクターであるpMC−CL2 2.5μgをCell Line Nucleofector Kit Vを用いてコトランスフェクションした。細胞を回収してCHO−S−SFM培地にて16時間培養した。次いでマイトマイシンC(ナカライテスク社)を終濃度10μg/mL添加し更に3時間培養を続けた。マイトマイシンC処理によってCHO−S細胞膜上へのCD4およびClaudin2の発現は維持されつつ、細胞の増殖は抑制される。
Claims (5)
- 複数回膜貫通タンパク質である標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞であって、マイトマイシンCで処理した該細胞に、細胞表面に抗体を提示した細胞集団である抗体ライブラリーを接触させ、該標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞を単離することにより、該標的抗原タンパク質と複合体を形成する抗体ライブラリーの構成物を分離する方法。
- 標的抗原タンパク質を細胞表面上に発現した細胞を単離する方法が、該細胞に発現している標的抗原タンパク質以外の細胞表面上の抗原であるマーカー抗原とマーカー抗原に対する抗体との結合を利用する請求項1記載の方法。
- マーカー抗原が、外来タンパク質である請求項2に記載の方法。
- 標的抗原タンパク質が外来タンパク質である請求項3に記載の方法。
- 細胞表面に抗体を提示した細胞集団がDT40である請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010541252A JP5696316B2 (ja) | 2008-12-05 | 2009-12-07 | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008311021 | 2008-12-05 | ||
JP2008311021 | 2008-12-05 | ||
JP2010541252A JP5696316B2 (ja) | 2008-12-05 | 2009-12-07 | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 |
PCT/JP2009/006657 WO2010064454A1 (ja) | 2008-12-05 | 2009-12-07 | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2010064454A1 JPWO2010064454A1 (ja) | 2012-05-10 |
JP5696316B2 true JP5696316B2 (ja) | 2015-04-08 |
Family
ID=42233112
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010541252A Expired - Fee Related JP5696316B2 (ja) | 2008-12-05 | 2009-12-07 | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US9090672B2 (ja) |
EP (1) | EP2374881A4 (ja) |
JP (1) | JP5696316B2 (ja) |
CN (1) | CN102282256B (ja) |
WO (1) | WO2010064454A1 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2098536A1 (en) | 2008-03-05 | 2009-09-09 | 4-Antibody AG | Isolation and identification of antigen- or ligand-specific binding proteins |
PL3138903T3 (pl) * | 2014-05-02 | 2022-04-25 | Chiome Bioscience Inc. | Komórki do wytwarzania przeciwciała ludzkiego |
EP3426686A4 (en) | 2016-04-15 | 2019-11-06 | Alder Biopharmaceuticals, Inc. | HUMANIZED ANTI-PACAP ANTIBODIES AND USES THEREOF |
CN105907722B (zh) * | 2016-04-22 | 2020-01-14 | 成都正能生物技术有限责任公司 | 一种表皮生长因子受体的单克隆抗体及其应用 |
JP6763529B2 (ja) * | 2016-12-28 | 2020-09-30 | 国立医薬品食品衛生研究所長 | 抗クローディン−2モノクローナル抗体 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004011644A1 (ja) * | 2002-07-30 | 2004-02-05 | Riken | 体細胞相同組換えの促進方法及び特異的抗体の作製方法 |
JP2005168437A (ja) * | 2003-12-12 | 2005-06-30 | Takara Bio Inc | 抗体の製造方法 |
JP2005185281A (ja) * | 2003-12-04 | 2005-07-14 | Mbl Venture Capital Co Ltd | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 |
US20060275288A1 (en) * | 2005-01-20 | 2006-12-07 | Grihalde Nelson D | GLP-1 receptor agonist and allosteric modulator monoclonal antibodies and uses thereof |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2408332A (en) * | 2004-04-13 | 2005-05-25 | Cambridge Antibody Tech | Phage display assay |
-
2009
- 2009-12-07 CN CN200980154881.XA patent/CN102282256B/zh not_active Expired - Fee Related
- 2009-12-07 JP JP2010541252A patent/JP5696316B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2009-12-07 WO PCT/JP2009/006657 patent/WO2010064454A1/ja active Application Filing
- 2009-12-07 EP EP09830224A patent/EP2374881A4/en not_active Withdrawn
- 2009-12-07 US US13/132,462 patent/US9090672B2/en not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004011644A1 (ja) * | 2002-07-30 | 2004-02-05 | Riken | 体細胞相同組換えの促進方法及び特異的抗体の作製方法 |
JP2005185281A (ja) * | 2003-12-04 | 2005-07-14 | Mbl Venture Capital Co Ltd | 細胞表面抗原に対する抗体取得とその抗原同定 |
JP2005168437A (ja) * | 2003-12-12 | 2005-06-30 | Takara Bio Inc | 抗体の製造方法 |
US20060275288A1 (en) * | 2005-01-20 | 2006-12-07 | Grihalde Nelson D | GLP-1 receptor agonist and allosteric modulator monoclonal antibodies and uses thereof |
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
JPN6010000757; SEO H., et al.: 'Rapid generation of specific antibodies by enhanced homologous recombination' Nat. Biotechnol. Vol.23, No.6, 200506, pp.731-735 * |
JPN6014020438; Eur. J. Biochem. Vol.260, No.3, 199903, p.774-784 * |
JPN6014020442; Cancer Immunol Immunother. Vol.57, No.3, 200805, p.367-378 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN102282256A (zh) | 2011-12-14 |
US20110306126A1 (en) | 2011-12-15 |
EP2374881A4 (en) | 2013-03-13 |
US9090672B2 (en) | 2015-07-28 |
WO2010064454A1 (ja) | 2010-06-10 |
CN102282256B (zh) | 2014-09-17 |
JPWO2010064454A1 (ja) | 2012-05-10 |
EP2374881A1 (en) | 2011-10-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7091447B2 (ja) | 新型なscFvアミノ酸配列、それを含むキメラ抗原受容体、およびその使用 | |
RU2755059C2 (ru) | Способы и составы для производства лимфоцитов и их регулируемого увеличения | |
JP7034950B2 (ja) | 抗hla-g特異的抗体 | |
JP2024028750A (ja) | 共有抗原を標的とする抗原結合タンパク質 | |
CN107880128B (zh) | 一种抗cd19的全人源抗体或抗体片段及其方法和应用 | |
JP2022084583A (ja) | 抗cd19抗体に対する抗イディオタイプ抗体 | |
JP7215759B2 (ja) | 4-1bb抗体およびその製造方法と使用 | |
KR102316091B1 (ko) | Bcma를 표적으로 하는 키메라 항원 수용체 및 이의 용도 | |
JP2018528786A (ja) | 腫瘍特異的抗egfr抗体およびその使用 | |
JP5696316B2 (ja) | 細胞表面に発現したタンパク質に対する抗体作製法 | |
CN107207608B (zh) | 双特异性抗体、其制备方法和用途 | |
JP2021533785A (ja) | 共有抗原を標的指向する抗原結合タンパク質 | |
KR20210143096A (ko) | Cd22에 특이적인 항체 및 이의 용도 | |
CN111093696A (zh) | 抗iii型纤连蛋白结构域的抗原结合区及其使用方法 | |
CN115386006A (zh) | 抗gprc5d抗体、其制备方法与用途 | |
JP2022550390A (ja) | iRhom2エピトープに結合するタンパク質バインダー | |
CN113004408A (zh) | 抗人程序死亡因子-1单克隆抗体 | |
CN115386007A (zh) | 抗gprc5d抗体、其制备方法与用途 | |
US20220249561A1 (en) | Chimeric antigen receptor-expressing cells targeting alk | |
KR102548256B1 (ko) | Cd22에 특이적인 항체 및 이의 용도 | |
CN116284389A (zh) | 抗afp/hla02 tcr样抗体及其用途 | |
CN116249559A (zh) | 抗独特型组合物及其使用方法 | |
JP2022543852A (ja) | 改変されたヒト可変ドメイン | |
KR20220155943A (ko) | Cd22에 특이적인 항체 및 이의 용도 | |
JP2014519337A (ja) | Abca1ポリペプチドに結合する抗体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20121205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140521 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140711 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150107 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150114 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5696316 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |