JP5971075B2 - 自動車のフロントピラー構造 - Google Patents
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Description
また、車体デザイン上、フロントピラー51の傾斜角度によっては、ドライブシャフトが車室寄り位置に配設され、前輪52が必然的にフロントピラー51の前端をフロントピラー51に沿った方向へ前方に延長した延長線Lよりも車体後側に配設されている。エンジンと駆動輪とが車両前部に集中して配置された前輪駆動のFF駆動車では、このような前輪配置が一般的である。図13に示すように、フロントピラートリム53は、フロントピラー51の延びる方向に沿ってフロントピラー51に対する相対位置が一定になるように設けられ、断面略C字状に形成されている。
舵角操作を行った運転者は前輪を実際に視認することができないため、左折や右折時における実際の前輪位置と運転者が予測した前輪位置とが異なる場合がある。このような場合、実際に車両が走行する軌跡と運転者が予測した車両軌跡とが相違しているため、運転者は自身が操作した操舵感と車両の挙動との間に違和感を覚える虞がある。
また、図12において、前輪52の位置をフロントピラー51に沿って延長した延長線Lの近傍位置に配置することによって、運転者の視界に入るフロントピラー51をコーナーポールのように見切り用ガイドとして用いることも考えられる。しかし、車体に対する前輪(ドライブシャフト)位置の移動は、パワートレイン全体に関わる大掛かりなレイアウトの変更を伴う上、FF駆動車の場合、前方へのオーバーハングが大きくなり、製造コストやデザイン等の観点から現実的な解決策ではない。
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記フロントピラートリムは運転者のアイポイントを中心として延びる前側境界視線と後側境界視線によって運転者の視野に対して妨害角を形成すると共に、水平断面視にて、前記前側境界視線上においてフロントウインドガラスとの境界付近に前側境界点と、前記後側境界視線上においてサイドウインドガラスとの境界付近に後側境界点と、前記前側境界点よりも前記アイポイントに近い位置に前側屈曲点と、前記前側屈曲点よりも後側で且つ前記後側境界点よりも前記アイポイントに近い位置に後側屈曲点とを設定したとき、前記フロントピラートリムの断面形状が、前記前側境界点と前側屈曲点と後側屈曲点と後側境界点とを結んだ形状に構成され、前記後側屈曲点の点列によって前記屈曲部を形成したことを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記前側屈曲点が前記前側境界視線上に位置することを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記前側屈曲点が前記前側境界視線上に位置することを特徴としている。
また、フロントピラートリムの屈曲部と後側面部とによって運転者の視線を実際の前輪位置に案内するため、視線案内機能を一層高くすることができる。
請求項3の発明によれば、フロントピラーとフロントピラートリムとの間に空間を確保しつつ視線案内機能を高くすることができる。
請求項4の発明によれば、運転者の前方視界の確保とフロントピラーとフロントピラートリムとの間の空間の容積確保とを両立することができる。
また、フロントピラーとフロントピラートリムとの間に空間を確保しつつ視線案内機能を高くすることができる。
請求項6の発明によれば、運転者の前方視界の確保とフロントピラーとフロントピラートリムとの間の空間の容積確保とを両立することができる。
図1,図2に示すように、本実施例では、ルーフパネル1と、前後方向に延びる左右1対のルーフサイドレール2と、上下方向に延びる左右1対のフロントピラー3と、これら左右1対のフロントピラー3の車室内側表面を夫々覆う左右1対のフロントピラートリム4等を備えた自動車Vを例として説明する。
この自動車Vは、エンジンを含むパワートレイン系機構(図示略)が車両前部に配置され、左右1対の前輪5が駆動輪とされたFF駆動車である。
左右1対のフロントピラー3は、左右1対のルーフサイドレール2の前端に夫々連結され、フロントウインドガラス11の左右側端部を支持可能に構成されている。
図1に示すように、左右1対のフロントピラー3は車体前後方向前側程下方に移行するように略ストレート状に形成され、これら左右1対のフロントピラー3の前端をフロントピラー3に沿った方向へ前方に延長した延長線Lは、側面視にて左右1対の前輪中心5aよりも水平方向に所定距離前側へ離間するように設定されている。尚、延長線Lは、フロントピラー3の水平断面の重心の点列、或いはフロントピラー3の前後端の中間点の点列を前方に延長して設定することができる。
左右1対のフロントピラートリム4は左右対称構造であるため、以下、運転席側の左側フロントピラートリム4について主に説明する。
図2〜図6に示すように、フロントピラートリム4は、断面略C字状且つフロントピラー3に沿って車体前後方向前側程下方に移行するように略ストレート状に形成され、ピラーインナ3bとの間にカーテンエアバッグ12が装備されている。
図7〜図10に示すように、フロントピラートリム4xを備えたフロントピラー構造は、アイポイントE(左右両眼の中心位置)から目視した際、運転者Hの視線を遮る妨害角θbを形成する。つまり、フロントピラートリム4xとフロントウインドガラス11との境界付近をアイポイントEと結ぶ線を前側境界視線αとし、フロントピラートリム4xとサイドウインドガラス13との境界付近をアイポイントEと結ぶ線を後側境界視線βとしたとき、これら両境界視線α,βがなす角度が妨害角θbである。
図4〜図6に示すように、前部内側面部4aは、フロントウインドガラス11との境界付近に前側境界視線α上に位置する前側境界部21を備え、その後端は前側屈曲部22を介して後部内側面部4bの前端に湾曲状に連なるように構成されている。
後部内側面部4bの後端は、後側屈曲部23を介して後側面部4cの車幅方向内側端に湾曲状に連なるように構成されている。
これにより、ピラーインナ3bとの間にカーテンエアバッグ12を収容するための空間Sを確保することができる。
図3〜図6,図11に示すように、前側屈曲点22aは前側境界視線α上に設定され、前側屈曲点22aの点列は上下方向に延びる前側屈曲部22を形成している。この前側屈曲点22aが下側程前側位置に設けられるため、前側屈曲部22は下側程前側へ移行するように構成される。以上により、見開き角θoを大きく確保できるため、運転者Hの前方視界を遮ることなく、空間Sの容積を拡大することができる。
この自動車のフロントピラー構造によれば、フロントピラートリム4の後側屈曲部23によって運転者Hの視線を実際に前輪5が存在している位置に案内させることができるため、パワートレインのレイアウトや剛性部材であるフロントピラー3の構造や閉断面形状に影響を与えることなく、運転者Hが実際に前輪5が存在している位置を認識することができ、車両の左折や右折時における運転者Hの操舵感と車両の挙動とを一致させることができる。
後側面部4c及び後側屈曲部23は側面視にて前輪中心5aへ指向するように湾曲して形成されているため、フロントピラートリム4の後側屈曲部23と後側面部4cとによって運転者Hの視線を実際の前輪5の位置に案内することができ、視線案内機能を一層高くすることができる。
これにより、フロントピラー3とフロントピラートリム4との間に空間Sを確保しつつ視線案内機能を高くすることができる。
1〕前記実施例においては、後側屈曲部と後側境界部との間に屈曲部を設けない例を説明したが、後側屈曲部と後側境界部との間に第2後側屈曲部を設けても良い。この場合、後側屈曲部及び第2後側屈曲部のフロントピラーに対する車幅方向の相対位置を、下側程車幅方向外側に移行するように設定することによって、フロントピラートリムのデザイン自由度を拡大しつつ視線案内機能を高くすることができる。
4 フロントピラートリム
4a 前部内側面部
4b 後部内側面部
4c 後側面部
5 前輪
5a 前輪中心
11 フロントウインドガラス
13 サイドウインドガラス
21a 前側境界点
22a 前側屈曲点
23 後側屈曲部
23a 後側屈曲点
24a 後側境界点
V 自動車
L 延長線
α 前側境界視線
β 後側境界視線
θb 妨害角
Claims (6)
- 運転席近傍に配設され且つ車体前後方向前側程下方に延びるフロントピラーと、このフロントピラーの前端をフロントピラーに沿った方向へ前方に延長した延長線よりも車体後側に配設された前輪と、前記フロントピラーの車室内側を覆うフロントピラートリムとを備えた自動車のフロントピラー構造において、
前記フロントピラートリムは、少なくとも、車幅方向内側に面する内側面部と、この内側面部と車体前側程下方に延びる屈曲部を介して連なる車体後側に面する後側面部とを備え、
前記屈曲部の前記フロントピラーに対する相対位置が下側程車幅方向外側に移行するように構成され、
前記後側面部及び屈曲部は側面視にて前記前輪中心へ指向するように湾曲して形成されたことを特徴とする自動車のフロントピラー構造。 - 前記後側面部は下側程車幅方向幅が狭くなるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のフロントピラー構造。
- 前記フロントピラートリムは運転者のアイポイントを中心として延びる前側境界視線と後側境界視線によって運転者の視野に対して妨害角を形成すると共に、
水平断面視にて、前記前側境界視線上においてフロントウインドガラスとの境界付近に前側境界点と、前記後側境界視線上においてサイドウインドガラスとの境界付近に後側境界点と、前記前側境界点よりも前記アイポイントに近い位置に前側屈曲点と、前記前側屈曲点よりも後側で且つ前記後側境界点よりも前記アイポイントに近い位置に後側屈曲点とを設定したとき、前記フロントピラートリムの断面形状が、前記前側境界点と前側屈曲点と後側屈曲点と後側境界点とを結んだ形状に構成され、
前記後側屈曲点の点列によって前記屈曲部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車のフロントピラー構造。 - 前記前側屈曲点が前記前側境界視線上に位置することを特徴とする請求項3に記載の自動車のフロントピラー構造。
- 運転席近傍に配設され且つ車体前後方向前側程下方に延びるフロントピラーと、このフロントピラーの前端をフロントピラーに沿った方向へ前方に延長した延長線よりも車体後側に配設された前輪と、前記フロントピラーの車室内側を覆うフロントピラートリムとを備えた自動車のフロントピラー構造において、
前記フロントピラートリムは、少なくとも、車幅方向内側に面する内側面部と、この内側面部と車体前側程下方に延びる屈曲部を介して連なる車体後側に面する後側面部とを備え、
前記屈曲部の前記フロントピラーに対する相対位置が下側程車幅方向外側に移行するように構成され、
前記フロントピラートリムは運転者のアイポイントを中心として延びる前側境界視線と後側境界視線によって運転者の視野に対して妨害角を形成すると共に、
水平断面視にて、前記前側境界視線上においてフロントウインドガラスとの境界付近に前側境界点と、前記後側境界視線上においてサイドウインドガラスとの境界付近に後側境界点と、前記前側境界点よりも前記アイポイントに近い位置に前側屈曲点と、前記前側屈曲点よりも後側で且つ前記後側境界点よりも前記アイポイントに近い位置に後側屈曲点とを設定したとき、前記フロントピラートリムの断面形状が、前記前側境界点と前側屈曲点と後側屈曲点と後側境界点とを結んだ形状に構成され、
前記後側屈曲点の点列によって前記屈曲部を形成したことを特徴とする自動車のフロントピラー構造。 - 前記前側屈曲点が前記前側境界視線上に位置することを特徴とする請求項5に記載の自動車のフロントピラー構造。
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