JP5970911B2 - 車両用アウトサイドミラー装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ミラーアセンブリがシャフトに緩衝機構を介して回転可能に取り付けられている車両用アウトサイドミラー装置に関するものである。
この種の車両用アウトサイドミラー装置は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の車両用アウトサイドミラー装置について説明する。従来の車両用アウトサイドミラー装置は、使用位置に位置するミラーアセンブリに電動回転力よりも大きい力が使用位置から前方傾倒位置への方向にかかると、ミラーアセンブリが緩衝のために回転する。
かかる車両用アウトサイドミラー装置においては、緩衝のために使用位置から前方傾倒位置に回転したミラーアセンブリを前方傾倒位置から使用位置に戻したときに、ミラーアセンブリが使用位置にずれずに正確に戻ることが重要である。前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置は、設計段階において、介在部材とシャフトとの間の摩擦力が介在部材とギアケースとの間の摩擦力よりも大きいので、介在部材とシャフトとは滑らず、介在部材とギアケースとは滑る。これにより、ミラーアセンブリが前方傾倒位置から使用位置に回転復帰する際に、ミラーアセンブリが使用位置にずれずに正確に戻ることができる。
特開2011−201447号公報
ところが、前記の従来の車両用アウトサイドミラー装置においては、潤滑油の状態、部品の表面状態、異物の噛み込み状態などにより、介在部材とギアケースとの間の摩擦力が介在部材とシャフトとの間の摩擦力よりも大きくなる場合がある。この場合においては、介在部材とシャフトとが滑って、介在部材とギアケースとが滑らず、介在部材の噛合い凸部とギアケースの噛合い凹部とが噛合わず、ミラーアセンブリが前方傾倒位置から使用位置に回転復帰する際に、ミラーアセンブリが停止する使用位置の位置がずれてしまう場合がある。
この発明が解決しようとする課題は、従来の車両用アウトサイドミラー装置では、ミラーアセンブリが前方から通常位置にずれずに正確に戻らない場合がある、という点にある。
この発明(請求項1にかかる発明)は、車体に固定されるベースと、電動格納ユニットと、ベースに前記電動格納ユニットを介して回転可能に取り付けられているミラーアセンブリと、を備え、電動格納ユニットが、ベースに固定されているシャフトと、シャフトに回転可能に取り付けられていてかつミラーアセンブリが取り付けられているケーシングと、緩衝機構と、ロック機構と、モータと、回転力伝達機構と、を備え、緩衝機構が、第1部材と、ケーシングである第2部材と、スプリングと、から構成されていて、第1部材と第2部材とには、ノッチ部がそれぞれ設けられていて、ミラーアセンブリが電動回転で使用位置と格納位置との間に位置するときには、スプリングのスプリング力により第1部材のノッチ部と第2部材のノッチ部とが相互に嵌合していて、ミラーアセンブリが緩衝のためにシャフトに対し使用位置から前方に回転するときには、スプリングのスプリング力に抗して第2部材のノッチ部が第1部材のノッチ部に乗り上がる機構であり、ロック機構が、ミラーアセンブリが使用位置と前方傾倒位置との間に位置するときには、第1部材がシャフトに対して前方傾倒位置から使用位置への方向に回転するのをロックし、ミラーアセンブリが前方傾倒位置から使用位置に復帰したときには、ロック状態を解除する機構である、ことを特徴とする。
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、ロック機構により、前方傾倒位置に位置するミラーアセンブリを使用位置に戻す際に、緩衝機構の第1部材がシャフトに対して前方傾倒位置から使用位置への方向に回転するのをロックされていて、かつ、ミラーアセンブリが前方傾倒位置から使用位置に復帰したときには、緩衝機構の第1部材のロック状態が解除される。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用アウトサイドミラー装置は、緩衝のために使用位置から前方傾倒位置に回転していたミラーアセンブリを前方傾倒位置から使用位置に回転して戻したときに、ミラーアセンブリが使用位置にずれずに正確に位置することができる。
図1は、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施形態を示す使用状態の平面図である。 図2は、電動格納ユニットを示す分解斜視図である。 図3は、図2におけるIII矢視図であって、クラッチホルダの下側から見た斜視図である。 図4は、図2におけるIV矢視図であって、クラッチの上側から見た斜視図である。 図5は、図2におけるV矢視図であって、ギアケースの底面図である。 図6は、図2におけるVI矢視図であって、ストッパ部材の平面図である。 図7は、図2におけるVII矢視図であって、ストッパ部材の底面図である。 図8は、図2におけるVIII矢視図であって、シャフトとシャフトホルダの平面図である。 図9は、カバーを取り除いた状態の電動格納ユニットを示す平面図である。 図10は、ケーシングを一部破断した電動格納ユニットを示す斜視図である。 図11は、ミラーアセンブリが使用位置、格納位置、前方傾倒位置にそれぞれ位置するときのシャフト、シャフトホルダ、ストッパ部材、ギアケースの相対位置関係を示す横断面図(水平断面図)である。 図12は、ミラーアセンブリが使用位置から格納位置に電動回転するときの第1緩衝機構の作用を示す説明図である。 図13は、ミラーアセンブリが使用位置から前方傾倒位置に緩衝のために傾倒(回転)するときの第1緩衝機構の作用を示す説明図である。 図14は、ミラーアセンブリが前方傾倒位置から使用位置に復帰(回転)するときの第1緩衝機構の作用を示す説明図である。 図15は、第2緩衝機構(クラッチ機構)の作用を示す説明図である。 図16は、第2緩衝機構(クラッチ機構)の作用を示す説明図である。
以下、この発明にかかる車両用アウトサイドミラー装置の実施形態(実施例)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態(実施例)によりこの発明が限定されるものではない。
「実施形態の構成の説明」
以下、この実施形態における車両用アウトサイドミラー装置の構成について説明する。
(電動格納式ドアミラー装置1の説明)
図1において、符号1は、この実施形態における車両用アウトサイドミラー装置であって、この例では、電動格納式ドアミラー装置(電動格納型のドアミラー)である。前記電動格納式ドアミラー装置1は、自動車の左右のドアD(左側のドアを図示、右側のドアを図示せず)にそれぞれ装備される。以下、自動車の左側のドアDに装備される電動格納式ドアミラー装置1の構成について説明する。なお、自動車の右側のドアに装備される電動格納式ドアミラー装置の構成は、この実施形態の電動格納式ドアミラー装置1の構成とほぼ同一であり、かつ、配置がほぼ左右逆であるから説明を省略する。
前記電動格納式ドアミラー装置1は、図1に示すように、ベース(ミラーベース)2と、電動格納ユニット3と、ミラーアセンブリ4と、から構成されているものである。前記ベース2は、前記ドアDに固定されるものである。前記ミラーアセンブリ4は、前記電動格納ユニット3を介して前記ベース2に回転可能に取り付けられるものである。すなわち、前記ミラーアセンブリ4は、前記電動格納ユニット3および前記ベース2を介して前記車体Dに回転可能に取り付けられるものである。
(ミラーアセンブリ4の説明)
前記ミラーアセンブリ4は、図1に示すように、ミラーハウジング5と、取付ブラケット(図示せず)と、パワーユニット(図示せず)と、図示しないミラー(ミラーユニット)と、から構成されている。前記ミラーハウジング5内には、前記取付ブラケットが取り付けられている。前記取付ブラケットには、前記パワーユニットが取り付けられている。前記パワーユニットには、前記ミラーが上下左右に傾動可能に取り付けられている。
(電動格納ユニット3の説明)
前記電動格納ユニット3は、図2、図9、図10に示すように、シャフトホルダ(シャフトベース)9と、シャフト10と、ケーシングとしてのギアケース11およびカバー12と、ミラーアセンブリ使用位置決定機構と、ミラーアセンブリ回転範囲規制機構と、第1緩衝機構59(ストッパ部材6)と、モータ13と、回転力伝達機構としての減速機構14およびクラッチ機構15と、第2緩衝機構と、ロック機構としてのストッパ部材ロック機構と、軸受部材16と、を備えるものである。
(シャフトホルダ9およびシャフト10の説明)
前記シャフトホルダ9は、前記ベース2に固定されている。なお、前記シャフトホルダ9を前記ベース2に一体に設けても良い。前記シャフトホルダ9の一方の面(上面)の中央には、前記シャフト10が一体に固定されている。なお、前記シャフトホルダ9に前記シャフト10を一体に設けても良い。前記シャフト10は、中空形状をなしていて、ハーネス(図示せず)が挿通するように構成されている。
(ギアケース11およびカバー12の説明)
前記ギアケース11と前記カバー12とは、相互に嵌合固定されていて、中空形状のケーシングを構成する。前記ギアケース11、前記カバー12には、挿入孔19、39がそれぞれ設けられている。前記挿入孔19、39中には、前記シャフト10が挿入されている。この結果、前記ギアケース11および前記カバー12は、前記シャフト10に前記シャフト10の回転中心O−O回りに回転可能に取り付けられている。
前記ギアケース11には、前記ミラーアセンブリ4の前記取付ブラケットが取り付けられている。この結果、前記ミラーアセンブリ4は、前記ギアケース11を介して前記シャフト10に前記シャフト10の回転中心O−O回りに回転可能に取り付けられている。
前記カバー12には、中空形状の前記シャフト10と連通するハーネス挿通筒部26が一体に設けられている。前記カバー12には、ソケット部7が設けられている。前記ソケット部7には、図示しない電源(バッテリー)側と電気的に接続されているコネクタ8が電気的に断続可能に接続しかつ機械的に着脱可能に取り付けられる。前記ソケット部7には、基板27が取り付けられている。前記基板27は、前記モータ13と電気的に接続されている。前記基板27には、前記モータ13の駆動停止を制御するスイッチ回路が実装されている。この結果、前記モータ13は、前記基板27および前記ソケット部7を介して前記コネクタ8と電気的に接続される。
前記ギアケース11、前記カバー12には、収納部18がそれぞれ設けられている。前記ギアケース11および前記カバー12の前記収納部18中には、前記ミラーアセンブリ使用位置決定機構と、前記ミラーアセンブリ回転範囲規制機構と、前記第1緩衝機構59(ストッパ部材6)と、前記モータ13と、前記回転力伝達機構としての前記減速機構14および前記クラッチ機構15と、前記第2緩衝機構と、前記ストッパ部材ロック機構と、前記軸受部材16と、前記基板27と、がスクリューなどによりそれぞれ固定収納されている。
(ストッパ部材6の説明)
前記ストッパ部材6は、筒部20と、鍔部23と、から一体に構成されている。前記筒部20中には、前記シャフト10が挿入されている。前記ストッパ部材6は、前記シャフト10に回転可能に嵌合されている。前記ストッパ部材6は、前記シャフトホルダ9と前記ギアケース11との間に設けられている。
(ミラーアセンブリ使用位置決定機構の説明)
図2、図8、図11に示すように、前記シャフト10の一方の面(上面)には、2個のストッパ凸部43が前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円周上に等間隔に一体に設けられている。一方、図2、図7、図11に示すように、前記ストッパ部材6の前記鍔部23の一方の面(下面)には、2個のストッパ凸部44が前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円周上に前記シャフト10の前記ストッパ凸部43と対応して等間隔に一体に設けられている。
図11(A)に示すように、前記ストッパ部材6の前記ストッパ凸部44の一方の面(当接面)45が前記シャフト10の前記ストッパ凸部43の一方の面(当接面)49に当接すると、図1に示すように、前記ミラーアセンブリ4が前記ベース2に対して使用位置Aに位置する。前記ストッパ部材6の前記ストッパ凸部44の前記当接面45と前記シャフト10の前記ストッパ凸部43の前記当接面49とは、前記ミラーアセンブリ使用位置決定機構を構成する。
(ミラーアセンブリ回転範囲規制機構の説明)
図2、図8に示すように、前記シャフトホルダ9の上面には、前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円弧形状の円弧凸部21が一体に設けられている。前記円弧凸部21の両端面には、当接面22がそれぞれ設けられている。一方、図2、図5に示すように、前記ギアケース11の下面には、前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円弧形状の円弧溝24が設けられている。前記円弧溝24の両端面には、当接面25がそれぞれ設けられている。
前記ギアケース11の前記円弧溝24には、前記シャフトホルダ9の前記円弧凸部21が係合されている。前記円弧凸部21と前記円弧溝24とは、前記ギアケース11が前記シャフトホルダ9に対して前記シャフト10の回転中心O−O回りに回転する際、すなわち、図1に示すように、前記ミラーアセンブリ4が前記ベース2に対して使用位置Aと格納位置(後方格納位置)Bとの間および使用位置Aと前方傾倒位置Cとの間を後方(上から見て反時計方向)または前方(上から見て時計方向)に回転する際のガイドとなるガイド部材を構成する。図1において、符号Eは、車両の後方を示し、符号Fは、車両の前方を示す。
前記円弧凸部21の前記当接面22と前記円弧溝24の前記当接面25とは、前記ミラーアセンブリ回転範囲規制機構を構成する。すなわち、前記ミラーアセンブリ4が前記格納位置Bに位置するときには、図11(B)に示すように、前記円弧凸部21の一方の前記当接面22と前記円弧溝24の一方の前記当接面25とが当接して、前記ミラーアセンブリ4の回転が規制される。前記ミラーアセンブリ4が前記前方傾倒位置Cに位置するときには、図11(C)に示すように、前記円弧凸部21の他方の前記当接面22と前記円弧溝24の他方の前記当接面25とが当接して、前記ミラーアセンブリ4の回転が規制される。
(第1緩衝機構59の説明)
前記ストッパ部材6は、前記第1緩衝機構59の第1部材を構成する。前記ギアケース11は、前記第1緩衝機構59の第2部材を構成する。前記クラッチ機構15のスプリング36は、前記第1緩衝機構59のスプリングを構成する。
図6に示すように、前記ストッパ部材6の前記鍔部23の他方の面(上面)には、2個の第1ノッチ部(凸部)47と2個の第2ノッチ部(凸部)50、51とが、前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円周上に、交互にかつほぼ等間隔に、一体に設けられている。2個の前記第1ノッチ部47と2個の前記第2ノッチ部50、51とは、前記ストッパ部材6の前記鍔部23の狭い円環状の上面に設けられている。2個の前記第1ノッチ部47の円周方向の長さは、2個の前記第2ノッチ部50、51の円周方向の長さより長い。2個の前記第2ノッチ部50、51の前記シャフト10の径方向の長さが異なる。すなわち、一方の前記第2ノッチ部50の径方向の長さが他方の前記第2ノッチ部51の径方向の長さより長い。この結果、一方の前記第2ノッチ部50は、他方の前記第2ノッチ部51より前記シャフト10の回転中心O−Oから外側に存在する。
2個の前記第1ノッチ部47の両側面と2個の前記第2ノッチ部50、51の両側面とには、斜面(ノッチ面)28、52がそれぞれ設けられている。2個の前記第1ノッチ部47には、1個の前記ノッチ部47に対して、複数この例では、平面から見て時計方向の4個の斜面28、および、平面から見て反時計方向の4個の斜面28がそれぞれ設けられている。すなわち、2個の前記第1ノッチ部47には、4個の小凸部がそれぞれ設けられていて、4個の前記小凸部の両側面には、前記斜面28がそれぞれ設けられている。前記ストッパ部材6において、平面から見て時計方向の前記斜面28、52の合計数は、10個であり、平面から見て反時計方向の前記斜面28、52の合計数は、10個である。
図5に示すように、前記ギアケース11の前記挿入孔19と前記円弧溝24との間であって前記鍔部23の上面と対向する面(下面)には、同じく、2個の第1ノッチ部(凹部)48と2個の第2ノッチ部(凹部)53、54とが、前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円周上に、交互にかつほぼ等間隔に、一体に設けられている。2個の前記第1ノッチ部48と2個の前記第2ノッチ部53、54とは、前記ギアケース11の前記挿入孔19と前記円弧溝24との間の狭い円環状の下面に設けられている。2個の前記第1ノッチ部48の円周方向の長さは、2個の前記第2ノッチ部53、54の円周方向の長さより長い。2個の前記第2ノッチ部53、54の前記シャフト10の径方向の長さが異なる。すなわち、一方の前記第2ノッチ部53の径方向の長さが他方の前記第2ノッチ部54の径方向の長さより長い。この結果、一方の前記第2ノッチ部53は、他方の前記第2ノッチ部54より前記シャフト10の回転中心O−Oから外側に存在する。
2個の前記第1ノッチ部48の両側面と2個の前記第2ノッチ部53、54の両側面とには、斜面(ノッチ面)34、55が前記ストッパ部材6の前記斜面28、52に対応してそれぞれ設けられている。2個の前記第1ノッチ部48には、1個の前記ノッチ部48に対して、複数この例では、底面から見て時計方向の4個の斜面34、および、底面から見て反時計方向の4個の斜面34がそれぞれ設けられている。すなわち、2個の前記第1ノッチ部48には、4個の小凹部がそれぞれ設けられていて、4個の前記小凹部の両側面には、前記斜面34がそれぞれ設けられている。前記ギアケース11において、底面から見て時計方向の前記斜面34、55の合計数は、10個であり、平面から見て反時計方向の前記斜面34、55の合計数は、10個である。
前記ストッパ部材6と前記ギアケース11と前記クラッチ機構15の前記スプリング36とは、前記第1緩衝機構59を構成する。すなわち、前記ミラーアセンブリ4が前記使用位置A前記格納位置Bとの間に位置するときには、図12、図13(A)、図14(B)に示すように、前記クラッチ機構15の前記スプリング36のスプリング力により前記ストッパ部材6の前記斜面28、52と前記ギアケース11の前記斜面34、55とが相互に当接している。前記ミラーアセンブリ4が緩衝のために前記シャフト10に対し前記使用位置Aから前方に回転するときには、図13(B)に示すように、前記スプリング36のスプリング力に抗して、前記ミラーアセンブリ4側の前記ギアケース11の前記斜面34、55が前記シャフト10側の前記ストッパ部材6の前記斜面28、52に沿って乗り上がる。前記ギアケース11の前記斜面34、55が前記ストッパ部材6の前記斜面28、53に沿って乗り上がると、図13(C)、(D)、(E)に示すように、前記ミラーアセンブリ4側の前記ギアケース11が前記シャフト10側の前記ストッパ部材6に対し前記使用位置Aから前方に回転する。
前記ストッパ部材6において、前記第2ノッチ部50、51の高さは、前記第1ノッチ部47の高さよりも高い。この結果、図13(C)に示すように、前記ギアケース11の前記第1ノッチ部48が前記ストッパ部材6の前記第1ノッチ部47から外れた段階では、前記ギアケース11の前記第2ノッチ部53、54の角部と前記ストッパ部材6の前記第2ノッチ部50、51の角部とが、重なり合う(図13(C)中の二点鎖線小円中を参照)。
前記ストッパ部材6の10個の前記斜面28、52の傾斜角度(乗り上げ角度)および前記ギアケース11の10個の前記斜面34、55の傾斜角度(乗り上げ角度)は、基本的に同一とする。基本的に同一にするとは、設計的に同一であって、実際の製品精度範囲内の誤差も含む。また、前記ストッパ部材6と前記ギアケース11の材質の組み合わせにより、どちらかの傾斜角度を大きくする場合がある。たとえば、前記ストッパ部材6の前記斜面28、52の傾斜角度に対して、前記ギアケース11の前記斜面34、55の傾斜角度に0°〜3°を足す。あるいは、前記ストッパ部材6の前記斜面28、52の傾斜角度に対して、前記ギアケース11の前記斜面34、55の傾斜角度に0°〜3°を引く。
(回転力伝達機構の説明)
前記回転力伝達機構の前記減速機構14および前記クラッチ機構15は、前記モータ13の出力軸(図示せず)と前記シャフト10との間に設けられ、前記モータ13の回転力を前記シャフト10に伝達するものである。前記モータ13および前記回転力伝達機構の前記減速機構14および前記クラッチ機構15は、前記ミラーアセンブリ4を前記シャフト10に対して前記シャフト10の回転中心O−O回りに電動回転させるものである。
(減速機構14の説明)
前記減速機構14は、第1段目のギアとしての第1ウォームギア29と、前記第1ウォームギア29に噛み合う第2段目のギアとしてのヘリカルギア30と、第3段目のギアとしての第2ウォームギア31と、前記第2ウォームギア31が噛み合う最終段目のギアとしてのクラッチギア32と、から構成されている。
前記第1ウォームギア29は、前記ギアケース11および前記軸受部材16に回転可能に軸受されている。前記第1ウォームギア29は、ジョイント17を介して前記モータ13の出力軸に連結されている。前記ヘリカルギア30は、前記軸受部材16に回転可能に軸受されている。前記第2ウォームギア31は、前記ギアケース11および前記軸受部材16に回転可能に軸受されている。前記ヘリカルギア30と前記第2ウォームギア31とは、一体に回転可能に連結されている。
(クラッチ機構15の説明)
前記クラッチ機構15は、前記クラッチギア32と、クラッチ33と、クラッチホルダ35と、前記スプリング36と、プッシュナット37と、を備える。前記クラッチギア32と前記クラッチ33とは、それぞれ別個のもので、一体に組み合わせてなるものであって、相互に一体で作動する。なお、前記クラッチギア32と前記クラッチ33とは、一体に構成したものであっても良い。前記クラッチ機構15は、前記シャフト10に、前記クラッチギア32、前記クラッチ33、前記クラッチホルダ35、前記スプリング36、を順次嵌め合せ、前記プッシュナット37を前記シャフト10に止めて、前記スプリング36を圧縮状態にすることによって構成されている。前記クラッチ33と前記クラッチホルダ35とは、断続可能に連結されている。前記減速機構14の前記第2ウォームギア31と前記減速機構14および前記クラッチ機構15の前記クラッチギア32とが噛合うことにより、前記モータ13の回転力が前記シャフト10に伝達されることとなる。
前記クラッチ33は、前記シャフト10に前記シャフト10の回転中心O−O回りに回転可能にかつ軸方向に移動可能に取り付けられている。前記クラッチホルダ35は、前記シャフト10に回転不可能にかつ軸方向に移動可能に嵌合状態で取り付けられている。図2〜図4に示すように、前記クラッチ33と前記クラッチホルダ35との相互に対向する面、すなわち、前記クラッチ33の一方の面(上面)側と前記クラッチホルダ35の一方の面(下面)側とには、山形形状のクラッチ凸部40と谷形形状のクラッチ凹部41とが設けられている。
前記クラッチ凸部40と前記クラッチ凹部41とが嵌合状態にあるときには、前記クラッチ33と前記クラッチホルダ35とが続状態(外れていない状態、つながっている状態)にあり、前記クラッチ凸部40と前記クラッチ凹部41とが嵌合解除状態にあるときには、前記クラッチ33と前記クラッチホルダ35とは、断状態(外れている状態、切れている状態)にある。前記クラッチ機構15は、前記モータ13および前記回転力伝達機構(前記減速機構14および前記クラッチ機構15)の電動回転力では外れず、かつ、前記電動回転力以上の力で外れて前記ミラーアセンブリ4を前記シャフト10に対して回転可能とする。
前記クラッチ部材のうち前記クラッチギア32の他方の面(下面)側は、前記ギアケース11の底部の一面(上面)に直接もしくはワッシャ46を介して当接する。一方、前記クラッチ部材のうち前記クラッチホルダ35の他方の面(上面)側は、前記スプリング36に直接当接する。
(第2緩衝機構の説明)
前記クラッチホルダ35は、前記第2緩衝機構の第1部材を構成する。前記クラッチ33は、前記第2緩衝機構の第2部材を構成する。前記クラッチ機構15の前記スプリング36は、前記第2緩衝機構のスプリングを構成する。前記クラッチ機構15の前記スプリング36は、前記第1緩衝機構59のスプリングと前記第2緩衝機構のスプリングとに兼用される。
図3に示すように、前記クラッチホルダ35の下面には、3個のノッチ部すなわち前記クラッチ凹部41が、前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円周上に等間隔に設けられている。3個の前記クラッチ凹部41は、前記クラッチホルダ35の狭い円環状の下面に設けられている。3個の前記クラッチ凹部41の両側面には、斜面(ノッチ面)38がそれぞれ設けられている。3個の前記クラッチ凹部41には、1個の前記クラッチ凹部41に対して、複数この例では、底面から見て時計方向の2個の斜面38、および、底面から見て反時計方向の2個の斜面38がそれぞれ設けられている。すなわち、3個の前記クラッチ凹部41には、2個の小凹部がそれぞれ設けられていて、2個の前記小凹部の両側面には、前記斜面38がそれぞれ設けられている。前記クラッチホルダ35において、底面から見て時計方向の前記斜面38の合計数は、6個であり、底面から見て反時計方向の前記斜面38の合計数は、6個である。
図4に示すように、前記クラッチ33の上面には、3個のノッチ部すなわち前記クラッチ凸部40が、前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円周上に等間隔に設けられている。3個の前記クラッチ凸部40は、前記クラッチ33の狭い円環状の上面に設けられている。3個の前記クラッチ凸部40の両側面には、斜面(ノッチ面)42が前記クラッチホルダ35の前記斜面38に対応してそれぞれ設けられている。3個の前記クラッチ凸部40には、1個の前記クラッチ凸部40に対して、複数この例では、平面から見て時計方向の2個の斜面42、および、平面から見て反時計方向の2個の斜面42がそれぞれ設けられている。すなわち、3個の前記クラッチ凸部40には、2個の小凸部がそれぞれ設けられていて、2個の前記小凸部の両側面には、前記斜面42がそれぞれ設けられている。前記クラッチ33において、平面から見て時計方向の前記斜面42の合計数は、6個であり、平面から見て反時計方向の前記斜面42の合計数は、6個である。
前記クラッチホルダ35と前記クラッチ33と前記スプリング36とは、前記クラッチ機構15を構成するとともに、前記第2緩衝機構を構成する。すなわち、図15(A)に示すように、前記スプリング36のスプリング力により前記クラッチホルダ35の前記クラッチ凹部41の前記斜面38と前記クラッチ33の前記クラッチ凸部40の前記斜面42とが相互に当接している。前記ミラーアセンブリ4が前記電動格納ユニット3の電動回転力以上の力で回転するときには、図15(B)に示すように、前記スプリング36のスプリング力に抗して、前記ミラーアセンブリ4側の前記クラッチ33の前記斜面42が前記シャフト10側の前記クラッチホルダ35を前記クラッチホルダ35の前記斜面38に沿って押し上げる。前記クラッチ33の前記斜面42が前記クラッチホルダ35を前記クラッチホルダ35の前記斜面38に沿って押し上げると、図16(A)、(B)に示すように、前記ミラーアセンブリ4側の前記クラッチ33が前記シャフト10側の前記クラッチホルダ35に対し前記使用位置Aから前方に回転する。
前記クラッチホルダ35の6個の前記斜面38の傾斜角度(乗り上げ角度)および前記クラッチ33の6個の前記斜面42の傾斜角度(乗り上げ角度)は、基本的に同一とする。基本的に同一にするとは、設計的に同一であって、実際の製品精度範囲内の誤差も含む。また、前記クラッチホルダ35と前記クラッチ33の材質の組み合わせにより、どちらかの傾斜角度を大きくする場合がある。たとえば、前記クラッチホルダ35の前記斜面38の傾斜角度に対して、前記クラッチ33の前記斜面42の傾斜角度に0°〜3°を足す。あるいは、前記クラッチホルダ35の前記斜面38の傾斜角度に対して、前記クラッチ33の前記斜面42の傾斜角度に0°〜3°を引く。
(ストッパ部材ロック機構の説明)
図7、図13、図14に示すように、前記ストッパ部材6の前記鍔部23の下面には、2個のロック凸部56が前記シャフト10の回転中心O−Oを中心とする円周上にかつ2個の前記ストッパ凸部44の間に等間隔に一体に設けられている。前記ロック凸部56と前記第2ノッチ部50、51とは、前記鍔部23を介して上下に位置する。
前記ストッパ部材6の前記鍔部23のうち前記ロック凸部56の両側には、肉薄部57がそれぞれ設けられている。すなわち、前記ストッパ部材6の前記鍔部23の下面のうち前記ロック凸部56の両側には、浅い凹部が設けられている。一方、前記ストッパ部材6の前記筒部20の前記鍔部23との接続部分のうち、前記第2ノッチ部50、51に対応する部分には、切欠58が設けられている。この結果、前記肉薄部57の可撓性および前記切欠58により、前記ロック凸部56は、前記ストッパ凸部44に対して前記シャフト10の軸方向(上下方向)に変形移動可能である。
前記ストッパ部材6の前記ロック凸部56と前記シャフト10の前記ストッパ凸部43とは、前記ストッパ部材ロック機構を構成する。すなわち、前記ミラーアセンブリ4が前記使用位置Aから前方(図1中の時計方向)に回転するときには、図13(D)、(E)に示すように、前記ギアケース11の下面が前記ストッパ部材6の前記ロック凸部56を実線矢印方向に押し下げる。このとき、前記ストッパ部材6の前記肉薄部57が弾性変形して、前記ストッパ部材6の前記ロック凸部56が実線矢印方向に押し下げられる。これにより、前記ストッパ部材6の前記ロック凸部56の一方の面が前記シャフト10の前記ストッパ凸部43の他方の面(前記当接面49と反対側の面)に当接する。この結果、前記前方傾倒位置Cに位置する前記ミラーアセンブリ4を前記使用位置Aに戻す際に、前記第1緩衝機構59の第1部材としての前記ストッパ部材6が前記シャフト10に対して図1中における反時計方向(前記前方傾倒位置Aから前記後方格納位置Bへの方向)に回転するのをロックすることができる。
この実施形態においては、前記ミラーアセンブリ4が前記使用位置Aから前方(図1中の時計方向)に回転するときには、図13(D)、(E)、図14(A)に示すように、前記ストッパ部材6の前記ストッパ凸部44の前記当接面45が前記シャフト10の前記ストッパ凸部43の前記当接面49に当接している。このために、前記ストッパ部材6の前記ロック凸部56の一方の面が前記シャフト10の前記ストッパ凸部43の他方の面に当接すると、前記ストッパ部材6の前記ストッパ凸部44と前記ロック凸部56とが前記シャフト10の前記ストッパ凸部43を両側から挟みこんだ状態となる。この結果、前記ストッパ部材6は、前記シャフト10にロックされた状態、すなわち、前記シャフト10に対して回転不可能な状態となる。
前記ミラーアセンブリ4が前記前方傾倒位置Cから前記使用位置Aに位置する直前のときには、図14(A)に示すように、前記ギアケース11の前記第2ノッチ部53、54が前記ストップ部材6の前記第2ノッチ部50、51に位置する。すると、今まで弾性変形していた前記ストップ部材6の前記肉薄部57が弾性復帰して、今まで前記ギアケース11の下面により下方に押し下げられていた前記ストップ部材6の前記第2ノッチ部50、51が実線矢印方向に上がる。これにより、前記ストッパ部材6の前記ロック凸部56の一方の面と前記シャフト10の前記ストッパ凸部43の他方の面との当接状態が解除される。この結果、前記ストッパ部材6は、前記シャフト10に対して前記使用位置Aから後方への回転が可能となる。
「実施形態の作用の説明」
この実施形態における電動格納式ドアミラー装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
(使用位置Aの説明)
まず、図1に示すように、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4を格納位置Bに電動回転させて格納させる場合について説明する。ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置する状態(セット状態、使用状態)のときにおいては、ミラーアセンブリ使用位置決定機構が図11(A)、図12(A)、図13(A)、図14(B)に示す状態にあり、ミラーアセンブリ回転範囲規制機構が図11(A)に示す状態にあり、第1緩衝機構59が図12(A)、図13(A)、図14(B)に示す状態にあり、第2緩衝機構としてのクラッチ機構15が図15(A)に示す状態にあり、ストッパ部材ロック機構が図12(A)、図13(A)、図14(B)に示す状態にある。
すなわち、ミラーアセンブリ使用位置決定機構は、図11(A)、図12(A)、図13(A)、図14(B)に示すように、ストッパ部材6のストッパ凸部44の当接面45がシャフト10のストッパ凸部43の当接面49に当接している状態にある。この結果、ストッパ部材6は、シャフト10に対して図11(A)中の時計方向の回転が阻止されている。すなわち、ミラーアセンブリ4は、使用位置Aから前方方向の回転が阻止されている。これにより、ミラーアセンブリ4は、振れることなく確実に使用位置Aに位置する。
ミラーアセンブリ回転範囲規制機構は、図11(A)に示すように、シャフトホルダ9の円弧凸部21の2個の当接面22と、ギアケース11の円弧溝24の2個の当接面25とが非当接状態にある。この結果、ギアケース11は、シャフトホルダ9に対して回転可能である。
第1緩衝機構59は、図12(A)、図13(A)、図14(B)に示すように、クラッチ機構15のスプリング36のスプリング力により、ストッパ部材6の第1ノッチ部47の斜面28および第2ノッチ部50の斜面52とギアケース11の第1ノッチ部48の斜面34および第2ノッチ部53の斜面55とが相互に当接している。この結果、ギアケース11とストッパ部材6とは、一体の状態にあるので、ギアケース11は、ストッパ部材6を介してシャフト10に対して、図11(A)中の時計方向の回転が阻止されている。すなわち、ミラーアセンブリ4は、使用位置Aから前方方向の回転が阻止されている。これにより、ミラーアセンブリ4は、振れることなく確実に使用位置Aに位置する。
第2緩衝機構としてのクラッチ機構15は、図15(A)に示すように、クラッチ33のクラッチ凸部40の斜面42とクラッチホルダ35のクラッチ凹部41の斜面38とが嵌合状態にあるので、クラッチギア32とクラッチホルダ35とが続状態にある。このために、クラッチギア32およびクラッチ33は、クラッチホルダ35と共に、シャフト10に対して回転不可能の状態にある。これにより、ミラーアセンブリ4は、振れることなく確実に使用位置Aに位置する。
ストッパ部材ロック機構は、図12(A)、図13(A)、図14(B)に示すように、ストッパ部材6のロック凸部56の一方の面とシャフト10のストッパ凸部43の他方の面とが非当接状態にある。この結果、ストッパ部材6は、シャフト10に対して、図11(A)中の反時計方向に回転可能である。
(使用位置Aから格納位置Bへの電動回転の説明)
このセット状態(使用状態)において、自動車の室内のスイッチ(図示せず)を操作して、コネクタ8、ソケット部7、基板27を介してモータ13に給電してモータ13を駆動させる。すると、モータ13の回転力は、出力軸、減速機構14を介してシャフト10に固定されたクラッチギア32に伝達される。このとき、クラッチギア32は、クラッチ33およびクラッチホルダ35と共に、シャフト10に対して回転不可能の状態にあるので、減速機構14の第2ウォームギア31がクラッチギア32を固定ギアとしてシャフト10の回転中心O−O回りに回転する。この回転により電動格納ユニット3を内蔵したミラーアセンブリ4は、図1に示すように、シャフト10の回転中心O−O回りに使用位置Aから格納位置Bへと上から見て反時計方向に回転する。
このミラーアセンブリ4が使用位置Aから格納位置Bへと上から見て反時計方向に回転すると、電動格納ユニット3のギアケース11とストッパ部材6がシャフト10に対して同様に上から見て反時計方向(図11(B)および図12(B)中の実線矢印方向)に回転する。これに伴って、ストッパ部材6のストッパ凸部44の当接面45がシャフト10のストッパ凸部43の当接面49から離れる。
ミラーアセンブリ4が格納位置Bに位置すると、図11(B)に示すように、ギアケース11の円弧溝24の一方の当接面25がシャフトホルダ9の円弧凸部21の一方の当接面22に当たって、ギアケース11の回転が停止する。これと同時に、モータ13に供給される電流(作動電流)の値が上昇して所定値に達して、基板27のスイッチ回路が作動してモータ13への電流供給が遮断される。この結果、ミラーアセンブリ4が図1に示す所定の位置の格納位置Bに停止して位置する。
(格納位置Bから使用位置Aへの電動回転復帰の説明)
つぎに、図1に示すように、格納位置Bに位置するミラーアセンブリ4を使用位置Aに電動回転させて復帰させる場合について説明する。ミラーアセンブリ4が格納位置Bに位置する状態(格納状態)において、自動車の室内のスイッチ(図示せず)を操作してモータ13を駆動させる。すると、モータ13の回転力が減速機構14を介して回転不可能の状態にあるクラッチギア32に伝達される。これにより、電動格納ユニット3を内蔵したミラーアセンブリ4は、図1に示すように、シャフト10の回転中心O−O回りに格納位置Bから使用位置Aへと上から見て時計方向に回転する。
このミラーアセンブリ4が格納位置Bから使用位置Aへと上から見て時計方向に回転していると、電動格納ユニット3のギアケース11とストッパ部材6がシャフト10に対して同様に上から見て時計方向(図11(B)および図12(B)中の実線矢印方向と逆方向)に回転している。これに伴って、ギアケース11の円弧溝24の一方の当接面25がシャフトホルダ9の円弧凸部21の一方の当接面22から離れる。
ミラーアセンブリ4が使用位置Aに位置すると、図11(A)に示すように、ストッパ部材6のストッパ凸部44の当接面45がシャフト10のストッパ凸部43の当接面49に当接する。この結果、ギアケース11とストッパ部材6との回転が停止する。これと同時に、モータ13に供給される電流(作動電流)の値が上昇して所定値に達して、基板27のスイッチ回路が作動してモータ13への電流供給が遮断される。この結果、ミラーアセンブリ4が図1に示す所定の位置の使用位置Aに停止して位置する。
(使用位置Aから前方傾倒位置Cへの緩衝傾倒の説明)
さらに、図1に示すように、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4を緩衝のために前方傾倒位置Cに傾倒させる場合について説明する。ミラーアセンブリ4のセット状態(使用状態)において、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4に上から見て時計方向の力であって、モータ13および減速機構14による電動回転力よりも大きい力(手動による力、何かがミラーアセンブリ4に当たったときの力)がかかる。すると、ミラーアセンブリ4に取り付けられているギアケース11が上から見て時計方向(図11(C)、図13(A)中の実線矢印方向)に回転しようとする。
すると、図13(B)中の実線矢印に示すように、スプリング36のスプリング力に抗して、ギアケース11の第1ノッチ部48の斜面34、第2ノッチ部53、54の斜面55がストッパ部材6の第1ノッチ部47の斜面28、第2ノッチ部50、51の斜面52に沿って乗り上がる。すなわち、ギアケース11がストッパ部材6およびシャフト10に対して移動(回転上昇)する。つぎに、ギアケース11がさらに上から見て時計方向に回転しようとする。すると、図9に示すように、クラッチギア32と第2ウォームギア31との間のバックラッシュが詰まり、その第2ウォームギア31のスラスト方向の隙間が詰まり、シャフト10とクラッチホルダ35との間の嵌合隙間が詰まる。
クラッチホルダ35は、シャフト10に回転不可能に嵌合されているので、図15(A)中の実線矢印に示すように、ギアケース11側のクラッチ33がシャフト10の固定側のクラッチホルダ35に対して回転しようとする。すると、図15(B)中の実線矢印に示すように、ギアケース11側のクラッチ33のクラッチ凸部40の斜面42がシャフト10の固定側のクラッチホルダ35のクラッチ凹部41の斜面38を乗り上げる。そして、図16(A)中の実線矢印に示すように、クラッチ33のクラッチ凸部40の斜面42とクラッチホルダ35のクラッチ凹部41の斜面38との嵌合状態が外れる。このとき、クラッチホルダ35は、スプリング36のスプリング力に抗してシャフト10に対して移動(回転上昇)し、クラッチ33は、図16(B)中の実線矢印に示すように、時計方向に回転する。
この結果、ギアケース11(カバー12、モータ13、減速機構14、軸受部材16、クラッチギア32、クラッチ33を含む)は、上から見て時計方向に回転する。このとき、図13(C)に示すように、ストッパ部材6において、第2ノッチ部50、51の高さが第1ノッチ部47の高さよりも高い。この結果、ギアケース11の第1ノッチ部48の斜面34がストッパ部材6の第1ノッチ部47の斜面28を乗り上げているが、ギアケース11の第2ノッチ部53、54の斜面55がストッパ部材6の第2ノッチ部50、51の斜面52を乗り上げていない。このために、図13(C)中の二点鎖線小円中に示すように、ギアケース11の第2ノッチ部53、54の角部とストッパ部材6の前記第2ノッチ部50、51の角部とが、重なり合う。
したがって、ギアケース11が時計方向(図13(D)中の実線矢印方向)に回転して、図13(D)に示すように、ギアケース11の下面(第1ノッチ部48と第2ノッチ部53、54との間の下面)がストッパ部材6の上面(第1ノッチ部47と第2ノッチ部50、51との間の上面)に乗り上げる。すると、ストッパ部材6の肉薄部57が弾性変形して、ストッパ部材6の第2ノッチ部50、51およびロック凸部56が図13(D)中の実線矢印方向に押し下げられる。
これにより、ストッパ部材6のロック凸部56の一方の面がシャフト10のストッパ凸部43の他方の面に当接する。すなわち、ストッパ部材6のストッパ凸部44とロック凸部56とがシャフト10のストッパ凸部43を両側から挟みこんだ状態となる。この結果、ストッパ部材6は、シャフト10にロックされた状態、すなわち、シャフト10に対して回転不可能な状態となる。
この状態において、ギアケース11が時計方向に回転する。すると、図1に示すように、ミラーアセンブリ4は、使用位置Aから前方傾倒位置Cへと上から見て時計方向に回転して、図11(C)に示すように、シャフトホルダ9の円弧凸部21の他方の当接面22がギアケース11の円弧溝24の他方の当接面25に当接した時点で、前方傾倒位置Cに位置する。このとき、図13(E)に示すように、ストッパ部材6のストッパ凸部44とロック凸部56とがシャフト10のストッパ凸部43を両側から挟みこんだ状態であるから、ストッパ部材6は、シャフト10にロックされた状態、すなわち、シャフト10に対して回転不可能な状態にある。
(前方傾倒位置Cから使用位置Aへの復帰の説明)
さらにまた、図1に示すように、前方傾倒位置Cに位置するミラーアセンブリ4を使用位置Aに電動回転または手動回転により復帰させる場合について説明する。ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cに位置する状態(前方傾倒状態)において、ミラーアセンブリ4を電動または手動により反時計方向に回転させる。すると、ミラーアセンブリ4に取り付けられているギアケース11(カバー12、モータ13、減速機構14、軸受部材16、クラッチギア32、クラッチ33を含む)が上から見て反時計方向(図11(C)および図13(D)中の実線矢印方向と逆方向、図14(A)中の実線矢印方向、図15、図16中の実線矢印方向と逆方向)に回転する。
これに伴って、ギアケース11の円弧溝24の他方の当接面25がシャフトホルダ9の円弧凸部21の他方の当接面22から離れる。また、図15(A)に示すように、スプリング36のスプリング力により、ギアケース11側のクラッチ33のクラッチ凸部40の斜面42がシャフト10の固定側のクラッチホルダ35のクラッチ凹部41の斜面38に嵌合する。このとき、クラッチホルダ35がシャフト10に対して移動(下降)する。
ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cから使用位置Aに位置する(戻る、復帰する)と、図14(A)に示すように、ギアケース11の第1ノッチ部48、第2ノッチ部53、54がストッパ部材6の第1ノッチ部47、第2ノッチ部50、51に対向位置する。この結果、いままで弾性変形していたストッパ部材6の肉薄部57が弾性復帰して、ギアケース11の下面により押し下げられていたストッパ部材6の第2ノッチ部50、51およびロック凸部56が図14(A)中の実線矢印方向に上がる。
このために、図14(B)に示すように、ストッパ部材6のロック凸部56の一方の面がシャフト10のストッパ凸部43の他方の面から離れる。これにより、ストッパ部材6は、シャフト10にロックされた状態から解放されて、シャフト10に対して、使用位置Aと格納位置Bとの間において回転可能な状態となる。
これと同時に、ギアケース11が、図14(B)中の実線矢印に示すように、スプリング36のスプリング力により、ストッパ部材6およびシャフト10に対して移動(回転下降)する。これに伴って、ギアケース11の第1ノッチ部48の斜面34と第2ノッチ部53、54の斜面55がストッパ部材6の第1ノッチ部47の斜面28および第2ノッチ部50、51の斜面52に嵌合する。この結果、図1に示すように、ミラーアセンブリ4は、使用位置Aに位置する。
(使用位置Aから格納位置Bへの緩衝傾倒の説明)
さらにまた、図1に示すように、使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4を緩衝のために格納位置Bに傾倒させる場合について説明する。使用位置Aに位置するミラーアセンブリ4に上から見て反時計方向の力であって、電動回転力よりも大きい力(手動による力、何かがミラーアセンブリ4に当たったときの力)がかかる。すると、ミラーアセンブリ4に取り付けられているギアケース11が上から見て反時計方向に回転しようとする。このとき、クラッチホルダ35は、シャフト10に回転不可能に嵌合されているので、ギアケース11側のクラッチ33のクラッチ凸部40の斜面42がシャフト10の固定側のクラッチホルダ35を押し上げて、クラッチ33のクラッチ凸部40とクラッチホルダ35のクラッチ凹部41との嵌合状態が外れる。このとき、クラッチホルダ35は、スプリング36のスプリング力に抗して移動(上昇)する。
この結果、ギアケース11(カバー12、モータ13、減速機構14、軸受部材16、クラッチギア32、クラッチ33を含む)は、上から見て反時計方向に回転する。これにより、図1に示すように、ミラーアセンブリ4は、使用位置Aから格納位置Bへと上から見て反時計方向に回転して、シャフトホルダ9の円弧凸部21の一方の当接面22がギアケース11の円弧溝24の一方の当接面25に当接する。この結果、ギアケース11の回転が停止して、ミラーアセンブリ4が格納位置Bに停止して位置する。
(格納位置Bから使用位置Aへの復帰の説明)
そして、図1に示すように、格納位置Bに位置するミラーアセンブリ4を電動回転力あるいは手動力により上から見て時計方向に回転させる。すると、ミラーアセンブリ4に取り付けられているギアケース11(カバー12、モータ13、減速機構14、軸受部材16、クラッチギア32、クラッチ33を含む)が上から見て時計方向に回転するので、図1に示すように、ミラーアセンブリ4が格納位置Bから使用位置Aへと上から見て時計方向に回転する。
すると、クラッチギア32のクラッチ凸部40の斜面42がクラッチホルダ35のクラッチ凹部41の斜面38に嵌合してクラッチ機構15が続状態となる。この結果、図1に示すように、ミラーアセンブリ4は、使用位置Aに位置する。
「実施形態の効果の説明」
この実施形態における電動格納式ドアミラー装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施形態における電動格納式ドアミラー装置1は、ロック機構により、前方傾倒位置Cに位置するミラーアセンブリ4を使用位置Aに戻す際に、第1緩衝機構59の第1部材としてのストッパ部材6がシャフト10に対して前方傾倒位置Cから使用位置Aへの方向に回転するのをロックされていて、かつ、ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cから使用位置Aに復帰したときには、第1緩衝機構59の第1部材としてのストッパ部材6のロック状態が解除される。この結果、この実施形態における電動格納式ドアミラー装置1は、緩衝のために使用位置Aから前方傾倒位置Cに回転していたミラーアセンブリ4を前方傾倒位置Cから使用位置Aに回転して戻したときに、ミラーアセンブリ4が使用位置Aにずれずに正確に位置することができる。
以下、詳細に説明する。ミラーアセンブリ4が使用位置Aから前方傾倒位置Cに回転し、かつ、ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cから使用位置Aに回転復帰するまでの間においては、図13(D)、(E)、図14(A)に示すように、ストッパ部材6のロック凸部56の一方の面がシャフト10のストッパ凸部43の他方の面に当接していてストッパ部材6のストッパ凸部44とロック凸部56とがシャフト10のストッパ凸部43を両側から挟みこんだ状態、すなわち、ストッパ部材6がシャフト10にロックされた状態であって、ストッパ部材6がシャフト10に対して回転不可能な状態である。
このために、この実施形態における電動格納式ドアミラー装置1は、ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cから使用位置Aに回転復帰する際に、ストッパ部材6とシャフト10との間の摩擦と、ストッパ部材6とギアケース11との間の摩擦と、の相対関係により、たとえば、潤滑油の状態、部品の表面状態、異物の噛み込み状態などにより、ストッパ部材6とギアケース11との間の摩擦力がストッパ部材6とシャフト10との間の摩擦力よりも大きくなったとしても、ストッパ部材6がギアケース11と共に回転するのを確実に防ぐことができる。この結果、ミラーアセンブリ4を所定の使用位置Aに確実に位置させることができる。
すなわち、ストッパ部材ロック機構が設けられていない場合においては、ミラーアセンブリ4が前方傾倒位置Cから使用位置Aに回転復帰する際に、ストッパ部材6とシャフト10との間の摩擦と、ストッパ部材6とギアケース11との間の摩擦と、の相対関係により、たとえば、潤滑油の状態、部品の表面状態、異物の噛み込み状態などにより、ストッパ部材6とギアケース11との間の摩擦力がストッパ部材6とシャフト10との間の摩擦力よりも大きくなったとすると、ストッパ部材6がギアケース11と共に回転する場合がある。この場合においては、ミラーアセンブリ4が停止する使用位置Aの位置がずれてしまう。ところが、この実施形態1における電動格納式ドアミラー装置1は、ストッパ部材ロック機構により、ミラーアセンブリ4が停止する使用位置Aの位置ずれを確実に防止することができる。
「実施形態以外の例の説明」
なお、前記の実施形態においては、電動格納式のドアミラー装置について説明するものである。ところが、この発明においては、電動格納式のドアミラー装置以外の車両用アウトサイドミラー装置にも適用できる。たとえば、電動格納式の車両用フェンダミラー装置などの電動格納式の車両用アウトサイドミラー装置に適用することができる。
また、前記の実施形態においては、肉薄部57の弾性変形により、ロック凸部56を移動させるものである。ところが、この発明においては、ロック凸部56を移動させる手段として、肉薄部57以外の手段、たとえば、ジャバラなどの弾性変形部材を使用しても良い。
1 電動格納式ドアミラー装置(車両用アウトサイドミラー装置)
2 ベース
3 電動格納ユニット
4 ミラーアセンブリ
5 ミラーハウジング
6 ストッパ部材(第1緩衝機構の第1部材)
7 ソケット部
8 コネクタ
9 シャフトホルダ
10 シャフト
11 ギアケース(第1緩衝機構の第2部材)
12 カバー
13 モータ
14 減速機構
15 クラッチ機構(第2緩衝機構)
16 軸受部材
17 ジョイント
18 収納部
19 挿入孔
20 筒部
21 円弧凸部
22 当接面
23 鍔部
24 円弧溝
25 当接面
26 ハーネス挿通筒部
27 基板
28 斜面
29 第1ウォームギア
30 ヘリカルギア
31 第2ウォームギア
32 クラッチギア
33 クラッチ(第2緩衝機構の第2部材)
34 斜面
35 クラッチホルダ(第2緩衝機構の第1部材)
36 スプリング
37 プッシュナット
38 斜面
39 挿入孔
40 クラッチ凸部(ノッチ部)
41 クラッチ凹部(ノッチ部)
42 斜面
43 ストッパ凸部
44 ストッパ凸部
45 当接面
46 ワッシャ
47 第1ノッチ部
48 第1ノッチ部
49 当接面
50、51 第2ノッチ部
52 斜面
53、54 第2ノッチ部
55 斜面
56 ロック凸部
57 肉薄部
58 切欠
59 第1緩衝機構
A 使用位置
B 格納位置
C 前方傾倒位置
D ドア(車体)
E 車両の後方
F 車両の前方
O−O シャフトの回転中心

Claims (1)

  1. 車体に固定されるベースと、
    電動格納ユニットと、
    前記ベースに前記電動格納ユニットを介して回転可能に取り付けられているミラーアセンブリと、
    を備え、
    前記電動格納ユニットは、前記ベースに固定されているシャフトと、前記シャフトに回転可能に取り付けられていてかつ前記ミラーアセンブリが取り付けられているケーシングと、緩衝機構と、ロック機構と、モータと、回転力伝達機構と、を備え、
    前記緩衝機構は、第1部材と、前記ケーシングである第2部材と、スプリングと、から構成されていて、前記第1部材と前記第2部材とには、ノッチ部がそれぞれ設けられていて、前記ミラーアセンブリが電動回転で使用位置と格納位置との間に位置するときには、前記スプリングのスプリング力により前記第1部材の前記ノッチ部と前記第2部材の前記ノッチ部とが相互に嵌合していて、前記ミラーアセンブリが緩衝のために前記シャフトに対し前記使用位置から前方に回転するときには、前記スプリングのスプリング力に抗して前記第2部材の前記ノッチ部が前記第1部材の前記ノッチ部に乗り上がる機構であり、
    前記ロック機構は、前記ミラーアセンブリが前記使用位置と前方傾倒位置との間に位置するときには、前記第1部材の前記ノッチ部に乗り上がる前記第2部材の前記ノッチ部を介して前記第1部材の一部が前記スプリング力を受け前記シャフト側に押されて弾性変形し、前記シャフトの一部に当接した状態になることによって前記第1部材が前記シャフトに対して前記前方傾倒位置から前記使用位置への方向に回転するのをロックし、前記ミラーアセンブリが前記前方傾倒位置から前記使用位置に復帰したときには、前記第1部材の前記ノッチ部と前記第2部材の前記ノッチ部とが相互に嵌合する位置に配置されることで前記第1部材の一部が弾性復帰し、前記シャフトの一部から離れた状態になることによって前記ロック状態を解除する機構である、
    ことを特徴とする車両用アウトサイドミラー装置。
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