以下、この発明にかかる電動格納式車両用周辺視認装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる電動格納式車両用周辺視認装置を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
なお、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、また、ハッチングの一部を省略する。さらに、図5および図7は、車両の後側から見た斜視図である。一方、図6は、車両の前側から見た分解斜視図である。このため、図5および図7に示す電動格納ユニット6の構成部品の配置と、図6に示す電動格納ユニット6の構成部品の配置とは、左右反転している。
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置(以下、単に「視認装置」と称する)である。
(電動格納式車両用周辺視認装置1の説明)
視認装置1は、図1に示すように、車両(自動車)Vの左右のドア(車体)Dにそれぞれ装備されている。視認装置1は、車両用リヤビュミラー、例えば、車両Vの左右のドアDに装備されるドアミラー装置などのアウトサイドミラー装置(図示せず)の代替えである。
以下、車両Vの左側のドアDに装備されている視認装置1について説明する。なお、車両Vの右側のドアDに装備されている視認装置1は、車両Vの左側のドアDに装備されている視認装置1とほぼ同様の構成をなすものであるから、説明を省略する。
視認装置1は、図1から図5に示すように、ベース2と、シャフト3と、視認アセンブリ4と、表示装置(モニタ)5M、5ML、5MRと、を備えるものである。ベース2、シャフト3および視認アセンブリ4は、ドアDに装備され、表示装置5M、5ML、5MRは、車両Vの室内(車内)に装備される。
すなわち、左側の表示装置5MLは、左側の視認アセンブリ4の近傍に装備される。右側の表示装置5MLは、右側の視認アセンブリ4の近傍に装備される。中央の表示装置5Mは、運転席の近傍に装備される。なお、左側の表示装置5MLおよび右側の表示装置5MLと、中央の表示装置5Mとは、少なくともいずれか一方を装備すれば良い。
図3において、符号Aは、視認アセンブリ4の使用位置である。符号Bは、視認アセンブリ4の後方格納位置である。符号Cは、視認アセンブリ4の前方格納位置(または、前方傾倒位置。以下、「前方格納位置」と称する)である。図1において、符号Eは、車両Vの後方である。符号Fは、車両Vの前方である。また、図3において、符号Oは、視認アセンブリ4の回転中心線であり、また、シャフト3の軸部30の中心線でもあり、さらに、回転中心線でもある。
同じく、図3において、符号θBは、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置B側に回転して後方格納位置Bに格納されるまでの回転角度、すなわち、後方格納回転角度である。後方格納回転角度θBは、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転する角度、すなわち、電動回転角度でもある。後方格納回転角度θBは、この例では、約60°である。
同じく、図3において、符号θCは、視認アセンブリ4が使用位置Aから前方格納位置C側に回転して前方格納位置Cに格納されるまでの回転角度、すなわち、前方格納回転角度である。前方格納回転角度θCは、この例では、約80°である。
後方格納回転角度θBおよび前方格納回転角度θCは、後記する回転角規制機構により、それぞれ、規制されかつ設定されている。
後方格納回転角度θBおよび前方格納回転角度θCは、視認アセンブリ4の後記する視認ユニット5がカメラの場合、左側の視認装置1と右側の視認装置1とにおいて、同じ角度である。一方、視認ユニット5がミラーの場合、左側の視認装置1の角度と右側の視認装置1の角度とは、異なる。
(ベース2の説明)
ベース2は、ベース部材と、ベース部材をカバーするカバー部材と、から構成されている。ベース2は、図1、図3および図4に示すように、垂直板形状の第1固定部21と、水平板形状の第2固定部22と、を有する。ベース2の内部は、ドアDの車体パネルやドアパネルに設けられている開口(図示せず)を介して車両Vの内部と連通している。
第1固定部21は、ドアDにスクリューなど(図示せず)により固定される。この結果、ベース2は、ドアDすなわち車体に固定される。第2固定部22には、シャフト3がスクリューなどにより固定されている。なお、第2固定部22には、シャフト3の固定部32が固定されている。
(シャフト3の説明)
シャフト3は、図5、図6、図7、図10、図11、図19および図20に示すように、中空の円筒形状の軸部30と、載置部としての円板形状の円板部31と、四角板形状の固定部32と、から構成されている。円板部31の上面の中央部分には、軸部30の下端部が一体に設けられている。円板部31の下面には、固定部32が一体に設けられている。
軸部30の中心線すなわち回転中心線Oは、円板部31の中心を通る。固定部32の一部(四角板部)は、軸部30および円板部31に対してドアD側に突出している。円板部31および固定部32には、軸部30の中空部に連通する円形もしくは任意形状の透孔が設けられている。
軸部30の上端部から中間部にかけての外周面には、係合部33が設けられている。軸部30の上端部の外周面には、円形の係止溝34が設けられている。
固定部32は、ベース2の第2固定部22にスクリューなどにより固定される。この結果、シャフト3は、ベース2に固定される。
図10および図11に示すように、円板部31の上面において、中央部分310は、円周縁部分311よりも下側に若干凹んでいる。この凹んでいる円板部31の上面の中央部分310は、載置面310を形成する。
載置面310の軸部30側には、後記するストッパ機構9Sのストッパ部としての固定側ストッパ凸部35が、上側に一体に突設されている。固定側ストッパ凸部35は、図11に示すように、上側から見て、回転中心線Oを中心とする周方向あるいは円周方向(以下、「回転中心線Oの周方向」と称する)に、2個等間隔に円弧形状に設けられている。固定側ストッパ凸部35の半径R2は、軸部30の半径よりも大きい。
固定側ストッパ凸部35の周方向側の一端面36は、下側から上側にかけて、固定側ストッパ凸部35の周方向の幅が狭くなるように傾斜している傾斜面をなす。この一端面36は、上側から見て、固定側ストッパ凸部35の反時計方向側の端面である。この一端面36は、以下、「固定側ストッパ当接面36」と称する。
固定側ストッパ凸部35は、この例では、2個設けられているが、固定側ストッパ凸部35の個数は、特に、限定しない。すなわち、固定側ストッパ凸部35は、1個でも、3個以上でも良い。
また、円板部31の上面の円周縁部分311の固定部32側には、回転角規制機構の固定側回転角規制凸部37が、上側に一体に突設されている。固定側回転角規制凸部37は、図11に示すように、上側から見て、回転中心線Oの周方向に円弧形状に設けられている。
固定側回転角規制凸部37の周方向側の両端面38、39は、垂直面をなす。この一方の端面38は、上側から見て、固定側回転角規制凸部37の時計方向側の端面である。この一方の端面38は、以下、「第1固定側回転角規制当接面38」と称する。また、この他方の端面39は、上側から見て、固定側回転角規制凸部37の反時計方向側の端面である。この他方の端面39は、以下、「第2固定側回転角規制当接面39」と称する。
(視認アセンブリ4の説明)
視認アセンブリ4は、図1、図3および図4に示すように、シャフト3の軸部30(以下、「軸部30」と称する)に回転可能に取り付けられている。視認アセンブリ4は、ハウジング4Hと、視認ユニット5と、電動格納ユニット6と、を有する。
(ハウジング4Hの説明)
ハウジング4Hは、図3および図4に示すように、中空状の箱形形状をなしている。ハウジング4Hは、この例では、上下に2分割に構成されていて、相互に嵌合、接着、溶着などにより水密に取り付けられている。ハウジング4Hのシャフト3に対して反対側の端部の後面には、円形の透孔40が設けられている。
ハウジング4H内には、視認ユニット5および電動格納ユニット6の一部が収容されている。すなわち、電動格納ユニット6のシャフト3の固定部32は、ハウジング4Hの外側に位置していて、ベース2の第2固定部22に固定されている。従って、ハウジング4H内には、電動格納ユニット6のうち、シャフト3の固定部32を除いた大部分が、収容されている。なお、ハウジング4H内には、視認ユニット5と別個のカメラ(図示せず)が収容されている場合がある。このカメラは、下方を視認するカメラである。
(視認ユニット5の説明)
視認ユニット5は、この例では、車両V周辺の情報を画像として撮像する撮像装置(カメラ)である。視認ユニット5は、図2および図4に示すように、本体と、レンズ51と、ハーネス52と、を有する。視認ユニット5は、ハウジング4Hに収容されていて、かつ、ハウジング4Hに装備されている。
本体は、スクリューなどによりハウジング4Hに固定されている。レンズ51は、ハウジング4Hの透孔40に臨んでいる。ハーネス52は、本体に接続されている。ハーネス52は、ハウジング4H内からシャフト3内およびベース2内を通って車両Vの内部に配線されている。ハーネス52には、電動格納ユニット6と電気的に接続するコネクタが設けられている。
視認ユニット5により、既存のアウトサイドミラー装置(図示せず)の車両Vの側方および後方の視野範囲と同等もしくは広い視野範囲を撮像するためには、視認ユニット5をドアDから外側に突出させて位置させる必要がある。このため、視認アセンブリ4が使用位置Aに位置するとき、内部に視認ユニット5を収容装備するハウジング4Hは、ドアDから外側に突出している。なお、ハウジング4Hの突出量は、既存のアウトサイドミラー装置の突出量よりも小さい。
視認ユニット5は、図2に示すように、ハーネス52を介して、画像処理装置(画像処理ECU)54に接続されている。画像処理装置54は、信号線55、56を介して、検出装置57と表示装置5M、5ML、5MRとにそれぞれ接続されている。
撮像装置としての視認ユニット5は、車両Vの周辺であって、車両Vの後方および側方の情報を画像として撮像し、撮像した車両Vの後方および側方の情報の画像を、ハーネス52を介して、画像処理装置54に出力するものである。
検出装置57は、車両Vに装備されている。検出装置57は、信号線55を介して画像処理装置54に接続されている。検出装置57は、車両情報を検出し、検出した車両情報を検出信号として信号線55を介して画像処理装置54に出力するものである。検出装置57としては、たとえば、ステアリング角度検出部(ステアリング角度センサ)、ギアポジション検出部(ギアポジションセンサ)、方向指示検出部(方向指示センサ)、車速検出部(車速センサ)、車両位置検出部(車両位置センサ)、超音波検出部(超音波センサ)、その他の検出部などを単独であるいは複数使用するものである。
画像処理装置54は、車両Vに装備されている。画像処理装置54は、ハーネス52、信号線55、56を介して、視認ユニット5、検出装置57、表示装置5M、5ML、5MRにそれぞれ接続されている。画像処理装置54は、視認ユニット5により撮像された車両Vの後方および側方の情報の画像を検出装置57からの車両情報に基づいて適宜に処理するものである。なお、画像処理装置54は、視認ユニット5により撮像された車両Vの後方および側方の情報の画像を、検出装置57の車両情報ではなく、ドライバーの手動操作により処理する場合もある。画像処理装置54は、処理した画像を表示装置5M、5ML、5MRに出力する。
表示装置5M、5ML、5MRは、車両Vの室内(車内)のうちドライバーの視野範囲に装備されている。表示装置5Mは、信号線56を介して、画像処理装置54に接続されている。表示装置5M、5ML、5MRは、画像処理装置54により処理された画像を表示するものである。ドライバーは、表示装置5M、5ML、5MRに表示された画像を視認することにより、車両Vの後方および側方を視認することができる。すなわち、ドライバーは、車両Vの後方視界を確認できる。
(電動格納ユニット6の説明)
電動格納ユニット6は、図5から図20に示すように、一部がハウジング4H内に収容されている。電動格納ユニット6は、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転させるものである。電動格納ユニット6は、前記のシャフト3と、ケーシング6U、6Dと、介在構成体と、を有する。
ケーシング6U、6Dは、シャフト3に回転可能に取り付けられ、かつ、ハウジング4Hに固定されている。
介在構成体は、固定側のシャフト3と回転側のケーシング6U、6Dとの間に介在されている。介在構成体は、電動回転装置と、ストッパ機構9Sと、保持部材(プレート、保持プレート)7Hと、荷重付与部材としてのコイルスプリング900と、ワッシャ901と、を有する。
電動回転装置は、モータ7Mと、減速機構7と、クラッチ機構8と、回転力伝達機構9と、を有する。この電動回転装置のモータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9は、ケーシング6U、6Dおよびハウジング4Hを介して、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転させる。
軸部30、電動回転装置(モータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9)および保持部材7Hは、ケーシング6U、6D内に収容されている。モータ7M、減速機構7、保持部材7Hおよびクラッチ機構8は、軸部30の軸方向に対して交差する方向(直交もしくはほぼ直交する方向)に配置されている。また、モータ7Mの駆動軸(出力軸、回転軸)の軸方向と軸部30の軸方向とは、相互に交差(直交もしくはほぼ直交)している。ここで、軸部30の軸方向とは、回転中心線O方向である。
図6および図7に示すように、クラッチ機構8は、回転力伝達機構9とモータ7Mとの間に配置されている。回転力伝達機構9、クラッチ機構8およびモータ7Mの配置方向と、モータ7Mの駆動軸の軸方向とは、交差(直交もしくはほぼ直交)している。この結果、ケーシング6U、6D、すなわち、視認アセンブリ4の突出量(図1において、左右方向の寸法)は、既存のアウトサイドミラー装置の突出量よりも小さい。なお、配置方向は、回転中心線Oと後記の軸心線O1とを結ぶ方向である。
(モータ7Mの説明)
モータ7Mは、保持部材7Hに保持されている。モータ7Mは、保持部材7Hを介して、ケーシング6U、6Dに取り付けられ、かつ、ケーシング6U、6D内に収容されている。
図6および図7に示すように、モータ7Mには、スイッチ回路基板70Mが設けられている。スイッチ回路基板70Mには、ターミナルが設けられている。ターミナルは、下側ケーシング6Dのコネクタ部中に配置されている。ハーネス52のコネクタが下側ケーシング6Dのコネクタ部に着脱可能に嵌合してターミナルに電気的に接続することにより、モータ7Mは、ハーネス52、コネクタ、ターミナルおよびスイッチ回路基板70Mを介して給電される。
前記モータ7Mは、駆動軸と、本体部と、筒部と、エンドキャップ部と、を有する。すなわち、本体部の一面には、筒部が設けられている。筒部から駆動軸が回転可能に突出している。本体部の一面に対して反対側の他面には、エンドキャップ部が設けられている。
(減速機構7の説明)
減速機構7は、モータ7Mと共に、保持部材7Hに保持されている。減速機構7は、モータ7Mと共に、保持部材7Hを介して、ケーシング6U、6Dに取り付けられ、かつ、ケーシング6U、6D内に収容されている。
減速機構7は、図6および図7に示すように、第1ウォームギヤ71と、第2ウォームギヤ72と、中間ギヤのヘリカルギヤ73と、を有する。
第1ウォームギヤ71は、モータ7Mの駆動軸Mに取り付けられている。第2ウォームギヤ72の軸部には、ヘリカルギヤ73が固定されている。この結果、ヘリカルギヤ73と第2ウォームギヤ72とは、同一軸において、同時に回転する。ヘリカルギヤ73は、第1ウォームギヤ71に噛み合っている。
(クラッチ機構8の説明)
クラッチ機構8は、図8に示すように、ケーシング6U、6Dに取り付けられ、かつ、ケーシング6U、6D内に収容されている。クラッチ機構8は、図6に示すように、クラッチシャフト80と、第1クラッチとしての第1クラッチギヤ81と、第2クラッチとしての第2クラッチギヤ82と、クラッチ86と、ワッシャ83と、コイル状のクラッチスプリング84と、Cリング85と、を有する。
なお、この例の第2クラッチギヤ82とクラッチ86とをそれぞれ別個に構成したものである。第2クラッチギヤ82とクラッチ86とは、相互に回転不可能に嵌合されている。しかしながら、第2クラッチギヤ82とクラッチ86とを一体に構成したものであっても良い。
クラッチシャフト80は、下側ケーシング6Dのシャフト69に取り付けられている。クラッチシャフト80の中心線(以下、「軸心線」と称する)O1は、シャフト3すなわち回転中心線Oに対して平行もしくはほぼ平行である。
クラッチシャフト80には、下から上に順に、クラッチスプリング84、第1クラッチギヤ81、クラッチ86、第2クラッチギヤ82、ワッシャ83およびCリング85が外側から嵌合されている。これにより、クラッチ機構8は、クラッチシャフト80の下端フランジ部からクラッチシャフト80の上端のCリング85までの間において、完結された1つのユニットとして構成される。第2クラッチギヤ82には、第2ウォームギヤ72が噛み合っている。
図8および図14に示すように、第1クラッチギヤ81の上面には、複数個この例では3個のノッチ凹部87が、軸心線O1を中心とする周方向あるいは円周方向(以下、「軸心線O1の周方向」と称する)に等間隔もしくはほぼ等間隔に設けられている。クラッチ86の下面には、複数個この例では3個のノッチ凸部88が、軸心線O1の周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に、第1クラッチギヤ81の3個のノッチ凹部87に対応して設けられている。なお、第1クラッチギヤ81にノッチ凸部88を設け、クラッチ86にノッチ凹部87を設けても良い。また、第2クラッチとしての第2クラッチギヤ82とクラッチ86とが一体の場合には、第2クラッチギヤ82にノッチ凸部88またはノッチ凹部87を設ける。さらに、ノッチ凹部87およびノッチ凸部88の個数は、この例の3個以外であっても良い。
第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87とクラッチ86のノッチ凸部88とは、通常の時には、クラッチスプリング84のばね力により嵌合していて継状態にあり、モータ7Mの回転力では外れず、モータ7Mの回転力を減速機構7を介して回転力伝達機構9に伝達する。また、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87とクラッチ86のノッチ凸部88とは、クラッチスプリング84のばね力よりも大きい外部からの力がケーシング6U、6D、すなわち、視認アセンブリ4に加わった時には、クラッチスプリング84のばね力に抗して嵌合状態が外れて断状態となって、前記の力(すなわち、クラッチスプリング84のばね力よりも大きい外部からの力)を減速機構7に伝達させず、ケーシング6U、6D、すなわち、視認アセンブリ4を回転させる。
なお、この例のクラッチ機構8の全部が、ケーシング6U、6D内に収容されている。しかしながら、クラッチ機構8の一部、たとえば、クラッチシャフト80の一部やクラッチスプリング84を、ケーシング6U、6Dの外側に配置させても良い。
(回転力伝達機構9の説明)
回転力伝達機構9は、図6、図9および図10に示すように、シャフト3に取り付けられていて、かつ、ケーシング6U、6D内に収容されている。回転力伝達機構9は、モータ7Mのストールトルクを利用して、軸部30の軸方向(上下方向)のガタと軸部30の周方向(回転方向)のガタとを止めるものである。
また、回転力伝達機構9は、モータ7Mの回転力を減速機構7およびクラッチ機構8を介してケーシング6U、6Dに伝達して、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとの間において回転させるものである。
回転力伝達機構9は、第1リフト部材としてのリフトギヤ91と、第2リフト部材としてのリフトホルダ92と、Cリング93と、を有する。リフトギヤ91、リフトホルダ92およびCリング93は、軸部30に下側から順次嵌合されている。リフトギヤ91には、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81が噛み合っている。
リフトギヤ91の中央には、円形の透孔が設けられている。一方、リフトホルダ92は、上部分の大径部分と、下部分の小径部分と、から構成されている。大径部分の中央には、ほぼ八角形(セレーションやスプラインでも良い)の透孔(係合孔)が設けられている。小径部分の中央には、円形の透孔が設けられている。円形の透孔の内径は、八角形の透孔の内径よりも大きい。
リフトホルダ92の大径部分は、軸部30の係合部33に、回転中心線Oの周方向に回転不可能であり、かつ、回転中心線Oの方向に移動可能に嵌合されている。リフトホルダ92の小径部分は、軸部を構成する。リフトホルダ92の小径部分には、リフトギヤ91が、回転中心線Oの周方向に回転可能であり、かつ、回転中心線Oの方向に移動可能に嵌合されている。
このように、リフトギヤ91とリフトホルダ92とは、軸部30の径方向に並列に配置されている。リフトホルダ92には、荷重付与部材としてのコイルスプリング900の荷重が作用している。一方、リフトギヤ91には、荷重付与部材としてのコイルスプリング900の荷重が作用していない。
Cリング93は、リフトホルダ92の上において、軸部30の係止溝34に嵌合されている。リフトギヤ91、リフトホルダ92およびCリング93は、ケーシング6U、6D内に収容されている。
リフトギヤ91の上面には、複数個この例では5個のガタ止め部としてのガタ止め凸部(ノッチ凸部)94が、回転中心線Oの周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に設けられている。リフトホルダ92の下面には、複数個この例では5個のガタ止め部としてのガタ止め凹部(ノッチ凹部)95が、回転中心線Oの周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に、リフトギヤ91の3個のガタ止め凸部94に対応して設けられている。なお、ガタ止め凸部94およびガタ止め凹部95の個数は、この例の5個以外であっても良い。
図15に示すように、ガタ止め凸部94の周方向の両端面(両側面)には、上側から下側にかけて幅が広くなるように傾斜している嵌合斜面96が、それぞれ、設けられている。一方、ガタ止め凹部95の周方向の両端面(両側面)には、上側から下側にかけて幅が広くなるように傾斜している嵌合斜面97が、それぞれ、設けられている。
ガタ止め凸部94の嵌合斜面96とガタ止め凹部95の嵌合斜面97とは、視認アセンブリ4が使用位置Aまたは後方格納位置Bに位置した時に、軸部30の軸方向(回転中心線Oの方向)のクリアランスと軸部30の周方向のクリアランスとを詰めて、嵌合遊びが無い状態になる。
すなわち、視認アセンブリ4が使用位置Aまたは後方格納位置Bに位置した時に、リフトギヤ91に加わるモータ7Mのストールトルクが嵌合斜面96、97に作用することにより、嵌合斜面96、97における軸方向のクリアランスと周方向のクリアランスとが詰められて、嵌合斜面96、97は、嵌合遊びが無い状態になる。
この例においては、視認アセンブリ4が使用位置Aまたは後方格納位置Bに位置した時に、嵌合斜面96、97の嵌合遊びが無い状態になるものである。なお、視認アセンブリ4が使用位置Aに位置した時にのみ、嵌合斜面96、97の嵌合遊びが無い状態になるものであっても良い。
(ストッパ機構9Sの説明)
ストッパ機構9Sは、図6、図10、図13、図19および図20に示すように、ストッパ部材90Sと、ストッパ部としての回転側ストッパ凸部91Sおよび前記の固定側ストッパ凸部35と、ガイド凹部92Sおよび前記のガイド凸部64と、を有する。
ストッパ機構9Sは、ケーシング6U、6D内に収容されている。ストッパ機構9Sのストッパ部材90Sは、軸部30に嵌合されていて、かつ、下側ケーシング6Dに装着されている。また、ストッパ部材90Sは、下側ケーシング6Dの載置段部641と回転力伝達機構9のリフトホルダ92およびコイルスプリング900との間に介在されている。ストッパ機構9Sは、後方格納位置Bから回転する視認アセンブリ4を使用位置Aに停止させる、いわゆる、セット位置出し機構である。
図13に示すように、ストッパ部材90Sは、中心部分に円形の透孔が設けられていて、板状の円環状形状をなしている。ストッパ部材90Sは、軸部30に、軸部30の周方向に回転可能にかつ軸部30の軸方向に移動可能に装着されている。かつ、ストッパ部材90Sは、ケーシング6U、6Dに、軸部30の周方向に回転不可能にかつ軸部30の軸方向に移動可能に装着されている。
ストッパ部材90Sの下面には、回転側ストッパ凸部91Sが、下側に一体に突設されている。回転側ストッパ凸部91Sは、図13(C)に示すように、下側から見て、円弧形状に2個等間隔に設けられている。ストッパ部材90Sの中心は、回転中心線O上に位置する。この結果、回転側ストッパ凸部91Sは、固定側ストッパ凸部35と同様に、回転中心線Oの周方向に円弧形状に設けられている。
回転側ストッパ凸部91Sの周方向側の一端面95Sは、上側から下側にかけて、回転側ストッパ凸部91Sの周方向の幅が狭くなるように傾斜している傾斜面をなす。この一端面95Sは、下側から見て、回転側ストッパ凸部91Sの反時計方向側の端面である。この一端面95Sは、以下、「回転側ストッパ当接面95S」と称する。
回転側ストッパ凸部91Sは、シャフト3の固定側ストッパ凸部35と共に、ストッパ機構9Sのストッパ部を構成する。ストッパ機構9Sのストッパ部35、91Sは、相互に当接して後方格納位置Bから回転するストッパ部材90Sを使用位置Aに停止させる。すなわち、後方格納位置Bから回転する視認アセンブリ4が使用位置Aに位置した時に、回転側ストッパ凸部91Sの回転側ストッパ当接面95Sと固定側ストッパ凸部35の固定側ストッパ当接面36とが相互に当接する。
2個の回転側ストッパ凸部91Sの外周面の半径は、固定側ストッパ凸部35の半径R2と同等であり、かつ、ストッパ部材90Sの外周面の半径よりも小さい。この結果、2個の回転側ストッパ凸部91Sの外周面は、ストッパ部材90Sの外周面よりも内側(回転中心線O側)に位置する。
ストッパ部材90Sの円周縁部分であって、回転側ストッパ凸部91Sよりも縁側(外側)の円周縁部分には、載置部94Sが設けられている。
2個の回転側ストッパ凸部91Sの外周面の中間部分およびストッパ部材90Sの外周面には、ガイド凹部92Sが設けられている。ガイド凹部92Sの平面視形状(上から見た形状)は、この例では、半長円形形状をなす。また、ストッパ部材90Sの外周面には、4個の追加ガイド凹部93Sが設けられている。追加ガイド凹部93Sの平面視形状(上から見た形状)は、この例では、矩形形状をなす。2個のガイド凹部92Sおよび4個の追加ガイド凹部93Sは、回転中心線Oの周方向に設けられている。
2個のガイド凹部92Sおよび4個の追加ガイド凹部93Sが、下側ケーシング6Dのガイド凸部64および追加ガイド凸部640に、軸部30の周方向に回転不可能にかつ軸部30の軸方向に移動可能に嵌合されている。これにより、ストッパ部材90Sは、ケーシング6U、6Dに、軸部30の周方向に回転不可能にかつ軸部30の軸方向に移動可能に装着されている。
回転側ストッパ凸部91Sは、この例では、2個設けられているが、回転側ストッパ凸部91Sの個数は、特に、限定しない。すなわち、回転側ストッパ凸部91Sは、1個でも、3個以上でも良い。また、この例では、2個のガイド凹部92Sおよび4個の追加ガイド凹部93Sが設けられているが、ガイド凹部92Sおよび追加ガイド凹部93Sの個数は、特に、限定しない。すなわち、ガイド凹部92Sまたは追加ガイド凹部93Sの少なくとも一方が、1個から5個、または、7個以上設けられていれば良い。さらに、ガイド凹部92Sおよび追加ガイド凹部93Sの平面視形状も、特に限定しない。
(保持部材7Hの説明)
保持部材7Hは、図6に示すように、モータ7Mおよび減速機構7を保持し、ケーシング6U、6Dに保持されている。この結果、保持部材7Hは、モータ7Mおよび減速機構7と共に、ケーシング6U、6Dに取り付けられ、かつ、ケーシング6U、6D内に収容されている。保持部材7Hは、弾性部材、たとえば、POMなどの部材から構成されている。保持部材7Hの剛性は、ケーシング6U、6Dの剛性よりも低い(小さい)。保持部材7Hは、モータ7Mおよび減速機構7を、ケーシング6U、6Dに、一部をラップ篏合することによって、高精度に取り付けることができる。
保持部材7Hは、ギヤ保持部と、モータ保持部73H、74Hと、を有する。この例の保持部材7Hは、2つの部材(2つの部品)、たとえば、第1保持部材7H1と第2保持部材7H2とに別個に金型成型により製造されている。
(ケーシング6U、6Dの説明)
ケーシング6U、6Dは、図5、図6、図8、図9、図10および図12に示すように、シャフト3に回転可能に取り付けられ、かつ、スクリューなどによりハウジング4Hに固定されている。
ケーシング6U、6Dは、上側ケーシング(カバー)6Uと下側ケーシング(ギヤケース)6Dとからなる。上側ケーシング6Uと下側ケーシング6Dとは、複数本この例では4本のスクリュー60により相互に固定されている。ケーシング6U、6Dは、剛性が保持部材7Hの剛性より高い部材、たとえば、ガラス繊維入りの合成樹脂材(PA材)などから構成されている。この結果、ケーシング6U、6Dは、剛性がケーシング6U、6Dの剛性よりも低い部材と比較して、寸法安定性が良い。すなわち、ケーシング6U、6Dは、剛性がケーシング6U、6Dの剛性よりも低い部材と比較して、製造上の寸法公差が小さい。
下側ケーシング6Dには、収容凹部61やシャフト69が設けられている。収容凹部61内には、軸部30、電動回転装置(モータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9)および保持部材7Hが収容されている。シャフト69には、クラッチシャフト80が嵌合されている。
上側ケーシング6Uは、下側ケーシング6Dの上面開口部を閉塞するカバーである。上側ケーシング6Uの一端部には、円形の透孔60Uが設けられている。一方、下側ケーシング6Dは、上面が開口されていて、下面が閉塞されているギヤケースである。下側ケーシング6Dの一端部には、円形の透孔60Dが設けられている。
上側ケーシング6Uの透孔60U中および下側ケーシング6Dの透孔中60Dには、軸部30が嵌合されている。この結果、ケーシング6U、6Dは、軸部30に、電動回転装置(モータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9)を介して、回転中心線Oの周方向に回転可能に装着され、かつ、シャフト3の円板部31に、回転中心線Oの周方向に回転可能に載置されている。
図10に示すように、下側ケーシング6Dの透孔60D中には、ストッパ部材90Sが収容されている。また、図10および図12(B)に示すように、下側ケーシング6Dの下面において、透孔60Dの円周縁部分62は、他の部分63よりも下側に突出している。この突出している下側ケーシング6Dの下面の円周縁部分62は、シャフト3の載置面310上に載置されるワッシャ901の上面に載置する載置面62を形成する。
この結果、図9および図10に示すように、下側ケーシング6Dの載置面62が、シャフト3の載置面310上に載置されるワッシャ901の上面に載置した状態において、下側ケーシング6Dがシャフト3に対して回転する。すなわち、下側ケーシング6Dの載置面62が、シャフト3の載置面310上のワッシャ901の上面を摺動(スライド)する。これにより、視認アセンブリ4がシャフト3に対して回転する。
図12(A)および(B)に示すように、透孔60Dの内周面には、2個のガイド凸部64が、ストッパ部材90Sの2個のガイド凹部92Sに対応して一体に設けられている。ガイド凸部64の平面視形状(上から見た形状)は、この例では、半長円形形状をなす。
また、透孔60Dの内周面であって、2個のガイド凸部64の間の内周面には、載置段部641が一体に設けられている。載置段部641は、図12(A)に示すように、上側から見て、回転中心線Oの周方向に、2個等間隔に円弧形状に設けられている。この2個の載置段部641の上面には、ストッパ部材90Sの載置部94Sの下面が載置されている。
6個の載置段部641には、4個の追加ガイド凸部640が、ストッパ部材90Sの4個の追加ガイド凹部93Sに対応して設けられている。追加ガイド凸部640の平面視形状(上から見た形状)は、この例では、矩形形状をなす。2個のガイド凸部64および4個の追加ガイド凸部640は、回転中心線Oの周方向に等間隔に設けられている。
この2個のガイド凸部64および追加ガイド凸部640には、ストッパ部材90Sのガイド凹部92Sおよび4個の追加ガイド凹部93Sが、それぞれ、嵌合されている。この結果、ストッパ部材90Sは、ケーシング6U、6Dに、軸部30の周方向に回転不可能にかつ軸部30の軸方向に移動可能に装着されている。
また、この例では、2個のガイド凸部64および4個の追加ガイド凸部640が設けられているが、ガイド凸部64および追加ガイド凸部640の個数は、特に、限定しない。すなわち、ガイド凸部64または追加ガイド凸部640の少なくとも一方が、1個から5個、または、7個以上設けられていれば良い。さらに、ガイド凸部64および追加ガイド凸部640の平面視形状も、特に限定しない。
図12(B)に示すように、下側ケーシング6Dの下面の他の部分63には、回転角規制機構の回転側回転角規制凹部65が、設けられている。回転側回転角規制凹部65は、下側から見て、回転中心線Oの周方向に円弧形状に設けられている。回転側回転角規制凹部65の下面は、円周縁部分62および他の部分63の下面よりも上側に凹んでいる。回転側回転角規制凹部65は、円周縁部分62の外周の約4分の3を囲んでいる。
回転側回転角規制凹部65の周方向側の両端面66、67は、垂直面をなす。この一方の端面66は、シャフト3の第1固定側回転角規制当接面38に対向する第1回転側回転角規制当接面である。また、この他方の端面67は、シャフト3の第2固定側回転角規制当接面39に対向する第2回転側回転角規制当接面である。
シャフト3の第1固定側回転角規制当接面38と下側ケーシング6Dの第1回転側回転角規制当接面66とは、視認アセンブリ4の使用位置Aから後方格納位置Bまでの回転角、すなわち、後方格納回転角度θBを規制する。また、シャフト3の第2固定側回転角規制当接面39と下側ケーシング6Dの第2回転側回転角規制当接面67とは、視認アセンブリ4の使用位置Aから前方格納位置Cまでの回転角、すなわち、前方格納回転角度θCを規制する。
(コイルスプリング900の説明)
コイルスプリング900は、図10に示すように、ケーシング6U、6D内に収容されている。また、コイルスプリング900は、軸部30に嵌合されている。さらに、コイルスプリング900は、回転力伝達機構9のリフトホルダ92の小径部分の円形の透孔中に収納されていて、リフトホルダ92の大径部分の下面と、ストッパ機構9Sのストッパ部材90Sの上面との間に介在されている。これにより、リフトホルダ92には、コイルスプリング900の荷重が作用している。さらにまた、コイルスプリング900は、軸部30の軸方向に弾性力を有する。
荷重付与部材としてのコイルスプリング900は、視認アセンブリ4が、使用位置Aに位置する時、後方格納位置Bに位置する時、および、電動回転する時において、図9中の下向きの実線矢印に示すように、ストッパ部材90Sの載置部94S、下側ケーシング6Dの載置段部641と円周縁部分62、および、ワッシャ901を介してシャフト3の円板部31の中央部分310に荷重を付与する。
また、荷重付与部材としてのコイルスプリング900は、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4が前方に回転する時において、図20(E)に示すように、下側ケーシング6Dおよびワッシャ901を介さずに、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sを介して、シャフト3の固定側ストッパ凸部35に荷重を付与する。
さらに、荷重付与部材としてのコイルスプリング900は、ストッパ部材90Sに荷重を付与し、回転側ストッパ当接面95Sと固定側ストッパ当接面36とが相互に当接している状態、すなわち、ストッパ部91S、35が相互に当接している状態を維持して、視認アセンブリ4を使用位置Aに停止させる。すなわち、コイルスプリング900は、ストッパ機能を有するものである。
コイルスプリング900の荷重は、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4に、前方に回転させる方向の力が作用した時に、回転側ストッパ当接面95Sと固定側ストッパ当接面36との相互当接状態(すなわち、ストッパ部91S、35の相互当接状態)が解除される、荷重である。
さらにまた、荷重付与部材としてのコイルスプリング900は、視認アセンブリ4の電動回転時において、図9中の下向きの実線矢印に示すように、ストッパ部材90Sの載置部94S、下側ケーシング6Dの載置段部641と円周縁部分62、および、ワッシャ901を介してシャフト3の円板部31の中央部分310に荷重を付与して、視認アセンブリ4の傾きを緩和させることができる。すなわち、コイルスプリング900は、傾き緩和機能を有するものである。このように、コイルスプリング900は、前記のストッパ機能と、この傾き緩和機能とを、兼備するものである。
(ワッシャ901の説明)
ワッシャ901は、図9および図10に示すように、軸部30に嵌合されている。さらに、ワッシャ901は、下側ケーシング6Dの載置面62と、シャフ3の円板部31の中央部分310の上面である載置面との間に介在されている。
図11に示すように、ワッシャ901の半径R12は、シャフト3の固定側ストッパ凸部35の半径R2よりも大きい。
ここで、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を回転する時に、回転側の下側ケーシング6Dの載置面62が、ワッシャ901を介して、固定側のシャフト3の載置面310において摺動回転する。すなわち、回転側の下側ケーシング6Dの載置面62とワッシャ901とが摺動回転する場合と、ワッシャ901と固定側シャフト3の載置面310とが摺動回転する場合とがある。回転側の下側ケーシング6Dの載置面62とワッシャ901とが摺動回転する場合の摺動回転の半径は、下側ケーシング6Dの載置面62の半径R11が半径となる。ワッシャ901と固定側シャフト3の載置面310とが摺動する場合の摺動回転の半径は、ワッシャ901の半径R12が半径となる。
一方、視認アセンブリ4が使用位置Aとシャフト3の円板部の前方Fとの間を回転する時に、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sの下面が、シャフト3の固定側ストッパ凸部35の上面において摺動回転する。このストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sとシャフト3の固定側ストッパ凸部35との摺動回転の半径は、固定側ストッパ凸部35の半径R2である。
図10および図11に示すように、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sとシャフト3の固定側ストッパ凸部35との摺動回転の半径R2は、使用位置Aと後方格納位置Bとの間を回転するときの摺動回転の半径、すなわち、下側ケーシング6Dの載置面62の半径R11、または、ワッシャ901の半径R12よりも小さい。
なお、ワッシャ901を使用しない場合においては、回転側の下側ケーシング6Dの載置面62が、固定側のシャフト3の載置面310において摺動回転する。この下側ケーシング6Dとシャフト3の円板部31との摺動回転の半径は、下側ケーシング6Dの載置面62の半径である。下側ケーシング6Dの載置面62の半径は、固定側ストッパ凸部35の半径R2よりも大きい。
この結果、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sとシャフト3の固定側ストッパ凸部35との摺動回転の半径R2は、下側ケーシング6Dとシャフト3の円板部31との摺動回転の半径よりも小さい。
ワッシャ901と下側ケーシング6Dの円周縁部分62とが相互に当接する2つの当接面、ワッシャ901とシャフト3の円板部31の中央部分310とが相互に当接する2つの当接面のうち、少なくとも、1つの当接面には、非平面部902が設けられている。この例では、ワッシャ901の1つの当接面または2つの当接面に非平面部902が設けられている。
非平面部902は、シボ加工されたシボである。非平面部902の詳細は、特開2009-90926号公報を参照。
なお、非平面部902は、ワッシャ901の1つの当接面または2つの当接面以外に、下側ケーシング6Dの円周縁部分62の当接面(載置面62)、シャフト3の円板部31の中央部分310の当接面(載置面310)、に設けても良い。
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
(電動回転装置の電動駆動の説明)
電動回転装置のモータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9の電動駆動について、図7を参照して説明する。
図7において、破線矢印の方向は、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bに回転する時(後方格納時)における電動回転装置の構成部品の回転方向を示す。また、図7において、実線矢印の方向は、視認アセンブリ4が後方格納位置Bから使用位置Aに回転する時(復帰時)における電動回転装置の構成部品の回転方向を示す。
ここで、視認アセンブリ4は、シャフト3に、回転可能に取り付けられている。シャフト3は、車体のドアDに固定されているベース2に固定されている。この結果、回転側の視認アセンブリ4は、固定側のシャフト3、ベース2およびドアDに対して、回転可能である。
まず、モータ7M、減速機構7において、スイッチ回路基板70Mのスイッチに入力(供給)された電流により、モータ7Mが駆動(正回転もしくは逆回転)する。モータ7Mのモータ軸(駆動軸)に回転方向の遊び(アイドル)を持って嵌合している第1ウォームギヤ71が回転する。第1ウォームギヤ71に歯面で噛み合っているヘリカルギヤ73と、ヘリカルギヤ73が嵌合している第2ウォームギヤ72とが、同軸で共に回転する。
つぎに、クラッチ機構8において、第2ウォームギヤ72に歯面で噛み合っている第2クラッチギヤ82と、第2クラッチギヤ82に嵌合しているクラッチ86と、クラッチ86にノッチ凸部88とノッチ凹部87とのノッチ嵌合している第1クラッチギヤ81とが、一緒に、軸心線O1の周方向の回転を開始する。
それから、回転力伝達機構9において、第1クラッチギヤ81の回転力が、第1クラッチギヤ81に歯面で噛み合っているリフトギヤ91に伝達される。しかしながら、リフトギヤ91は、リフトホルダ92にノッチ嵌合(ガタ止め凸部94とガタ止め凹部95との嵌合)している。また、リフトホルダ92は、シャフト3に回転中心線(軸部30の中心線)Oの周方向に回転不可能に嵌合されている。これにより、リフトギヤ91は、回転中心線Oの周方向に回転することができない。このため、第1クラッチギヤ81は、リフトギヤ91に噛み合いながら回転する。
この結果、モータ7M、減速機構7およびクラッチ機構8は、回転中心線Oの周方向に回転する。このクラッチ機構8のクラッチシャフト80は、下側ケーシング6Dのシャフト部69に嵌合している。また、下側ケーシング6Dには、上側ケーシング6Uがスクリュー60により固定されている。これにより、ケーシング6U、6Dも、回転中心線Oの周方向に回転する。さらに、ケーシング6U、6Dには、ハウジング4Hがスクリューなどによりに固定されている。よって、視認アセンブリ4は、回転中心線Oの周方向に回転する。
(使用位置Aにおける電動停止状態の説明)
視認アセンブリ4が後方格納位置Bから回転して使用位置Aに位置する。すると、下側ケーシング6Dに装着されているストッパ部材90Sの回転側ストッパ当接面95Sが、シャフト3の固定側ストッパ当接面36に当接する(図20(A)を参照)。これにより、ケーシング6U、6Dおよびストッパ部材90Sの回転中心線Oの周方向の回転は、停止する。
この時、リフトギヤ91の嵌合斜面96は、リフトホルダ92の嵌合斜面97に当接している(図15(A)を参照)。リフトホルダ92は、回転中心線Oの周方向に回転不可能であるから、リフトギヤ91の嵌合斜面96は、リフトホルダ92の嵌合斜面97に、回転中心線Oの周方向に押し当てられていて(図15(A)中の右向きの実線矢印を参照)、リフトギヤ91の回転中心線Oの周方向の回転は、停止している。これにより、リフトギヤ91に噛み合いながら回転していた第1クラッチギヤ81の回転は、停止する。また、減速機構7の回転も、停止する。
視認アセンブリ4が後方格納位置Bから回転して使用位置Aに位置するまでの間において、電動回転装置は、ほとんど負荷が無い状態である。このため、モータ7Mに流れる(供給される)電流は、小さく、出力されている電動トルクも、小さい。しかしながら、減速機構7の回転の停止により、モータ7Mがストールして、ロック電流が流れて、最大の電動トルクが出力される。
最大の電動トルクによる力が、減速機構7に伝達され、減速機構7を介して、相互当接するリフトギヤ91の嵌合斜面96とリフトホルダ92の嵌合斜面97とに、それぞれ、作用する。すなわち、最大の電動トルクによる力は、図15(A)に示すように、嵌合斜面96、97において、上方向(上向きの実線矢印)、下方向(下向きの実線矢印)および回転方向(右向きの実線矢印)に、それぞれ、作用する。
この上下方向および回転方向に作用する力により、図9中の回転力伝達機構9に示すように、固定側のシャフト3と、回転側の電動回転装置およびケーシング6U、6Dとの間における上方向の遊び(上向きの実線矢印)、下方向の遊び(下向きの実線矢印)および回転方向の遊び(右向きの実線矢印)が、密着される。
すると、回転側の視認アセンブリ4は、回転側の電動回転装置およびケーシング6U、6Dを介して、固定側のシャフト3に、ガタが無い状態で、使用位置Aに停止する。視認アセンブリ4のガタが無い状態は、クラッチ機構8の第2クラッチギヤ82と減速機構7の第2ウォームギヤ72とのセルフロック効果により、維持される。これにより、車両Vの走行時および停車時において、視認アセンブリ4のガタが抑制されるので、視認ユニット5を介して、車両V周辺(特に、車両Vの後側)の良好な視界が確保される。
(使用位置Aから後方格納位置Bへの電動格納の説明)
視認アセンブリ4が図3に示す使用位置Aに位置する時に、スイッチ回路基板70Mのスイッチに電流を入力(供給)して、モータ7Mを駆動(正回転もしくは逆回転)させる。すると、前記の電動回転装置の電動駆動において、説明したように、電動回転装置のモータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9の各構成部品は、それぞれ、図7中の破線矢印方向に回転する。以下、詳細に説明する。
まず、リフトギヤ91が回転中心線Oの周方向(図15(B)中の実線矢印方向)に回転して、リフトギヤ91の嵌合斜面96がリフトホルダ92の嵌合斜面97に当接して、リフトギヤ91の回転中心線Oの周方向の回転が停止する(図15(B)を参照)。リフトギヤ91が回転を開始して回転を停止するまでの間(リフトギヤ91の回転状態が図15(A)に示す状態から図15(B)に示す状態までの間)において、ケーシング6U、6Dおよびストッパ機構9Sは、回転しない。
リフトギヤ91の回転が停止した後に、モータ7Mから伝達された動力(駆動力)により、リフトギヤ91に噛み合っている第1クラッチギヤ81が、図7中の破線矢印に示すように、軸心線O1の周方向に回転しながら(自転しながら)、回転中心線Oの周方向に回転する(公転する)。
この時、第1クラッチギヤ81の回転軸であるクラッチシャフト80によって、ケーシング6U、6Dが、図16に示す状態(視認アセンブリ4が使用位置Aに位置する状態)から図17に示す状態(視認アセンブリ4が後方格納位置Bに位置する状態)に、回転中心線Oの周方向に回転する(図16および図17中の反時計方向の実線矢印を参照)。また、ハウジング4Hが、ケーシング6U、6Dの回転と共に、回転中心線Oの周方向に回転する。よって、視認アセンブリ4は、回転中心線Oの周方向に、使用位置Aから後方格納位置Bに電動回転する。
視認アセンブリ4が図3に示す後方格納位置Bに位置したところで、下側ケーシング6Dの回転側回転角規制凹部65と、シャフト3の固定側回転角規制凸部37との規制作用により、視認アセンブリ4の電動回転は、後方格納位置Bにおいて、停止する。すなわち、図17に示すように、下側ケーシング6Dの第1回転側回転角規制当接面66が、シャフト3の第1固定側回転角規制当接面38に当接して、視認アセンブリ4が、後方格納位置Bに停止する。
すると、モータ7Mがストールし、ロック電流が流れて、モータ7Mのトルクが最大のトルクとして出力される。一方、スイッチ回路基板70Mが、ロック電流の高い電流値を感知(検出)して、回路が遮断される。これにより、電動回転装置の電動回転が停止する。
なお、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bに回転している間、ストッパ機構9Sにおいて、回転側のストッパ部材90Sが固定側のシャフト3に対して回転する。すなわち、図20(A)および(B)に示すように、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sが、シャフト3の2個の固定側ストッパ凸部35の間を回転する。この時、図20(A)および(B)に示すように、回転側ストッパ凸部91Sの下面は、シャフト3の載置面310に対して直接摺動せず一定の隙間を維持して回転移動する。
また、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bに回転している間は、リフトギヤ91とリフトホルダ92とによる上下方向のガタ止め効果が無い状態である。この上下方向のガタ止め効果が無い状態においては、コイルスプリング900の傾き緩和機能により、視認アセンブリ4の傾きが緩和されている。すなわち、視認アセンブリ4の電動回転時において、図9および図10に示すように、リフトホルダ92とストッパ部材90Sとの間に介在されているコイルスプリング900の軸部30の軸方向(上下方向)の弾性力により、視認アセンブリ4の傾きが緩和される。
コイルスプリング900の傾き緩和機能は、視認アセンブリ4の電動回転時において、図9中の下向きの実線矢印に示すコイルスプリング900の弾性力が、ストッパ部材90Sの載置部94S、下側ケーシング6Dの載置段部641と円周縁部分62、および、ワッシャ901を介してシャフト3の円板部31の中央部分310に、荷重として付与されることにより、視認アセンブリ4の傾きが緩和されるものである。
(後方格納位置Bから使用位置Aへの電動復帰の説明)
視認アセンブリ4が図3に示す後方格納位置Bに位置する時に、スイッチ回路基板70Mのスイッチに電流を入力(供給)して、モータ7Mを駆動(正回転もしくは逆回転)させる。すると、前記の電動回転装置の電動駆動において、説明したように、電動回転装置のモータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9の各構成部品は、それぞれ、図7中の実線矢印方向に回転する。以下、詳細に説明する。
まず、リフトギヤ91が回転中心線Oの周方向(図15(B)中の実線矢印方向に対して逆方向)に回転して、リフトギヤ91の嵌合斜面96がリフトホルダ92の嵌合斜面97に当接して、リフトギヤ91の回転中心線Oの周方向の回転が停止する(図15(A)を参照)。リフトギヤ91が回転を開始して回転を停止するまでの間(リフトギヤ91の回転状態が図15(B)に示す状態から図15(A)に示す状態までの間)において、ケーシング6U、6Dおよびストッパ機構9Sは、回転しない。
リフトギヤ91の回転が停止した後に、モータ7Mから伝達された動力(駆動力)により、リフトギヤ91に噛み合っている第1クラッチギヤ81が、図7中の実線矢印に示すように、軸心線O1の周方向に回転しながら(自転しながら)、回転中心線Oの周方向に回転する(公転する)。
この時、第1クラッチギヤ81の回転軸であるクラッチシャフト80によって、ケーシング6U、6Dが、図17に示す状態から図16に示す状態に、回転中心線Oの周方向(図17中の反時計方向の実線矢印に対して逆方向)に回転する。また、ハウジング4Hが、ケーシング6U、6Dの回転と共に、回転中心線Oの周方向に回転する。よって、視認アセンブリ4は、回転中心線Oの周方向に、後方格納位置Bから使用位置Aに電動回転する。
視認アセンブリ4が図3に示す使用位置Aに位置したところで、前記の使用位置Aにおける電動停止状態の説明の通り、図20(A)に示すように、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ当接面95Sがシャフト3の固定側ストッパ当接面36に当接する。これにより、ケーシング6U、6Dおよびストッパ部材90Sの回転中心線Oの周方向の回転は、停止して、視認アセンブリ4が、使用位置Aに停止する。
すると、モータ7Mがストールし、ロック電流が流れて、モータ7Mのトルクが最大のトルクとして出力される。一方、スイッチ回路基板70Mが、ロック電流の高い電流値を感知(検出)して、回路が遮断される。これにより、電動回転装置の電動回転が停止する。
このモータ7Mがロックした時の最大の電動トルクが、減速機構7を介して、相互当接するリフトギヤ91の嵌合斜面96とリフトホルダ92の嵌合斜面97とに、それぞれ、作用する(図15(A)中の3方向の実線矢印を参照)。すると、図9に示すように、上下方向および回転方向の3方向の遊び(クリアランス、アイドル)が、詰められて締め付けられる。
すると、回転側の視認アセンブリ4は、回転側の電動回転装置およびケーシング6U、6Dを介して、固定側のシャフト3に、ガタが無い状態で、使用位置Aに停止する。視認アセンブリ4のガタが無い状態は、クラッチ機構8の第2クラッチギヤ82と減速機構7の第2ウォームギヤ72とのセルフロック効果により、維持される。これにより、車両Vの走行時において、視認アセンブリ4のガタが抑制されるので、視認ユニット5を介して、車両V周辺(特に、車両Vの後側)の良好な視界が確保される。
なお、視認アセンブリ4が後方格納位置Bから使用位置Aに回転している間、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sは、図20(B)に示す状態から図20(A)に示す状態に、シャフト3の2個の固定側ストッパ凸部35の間を回転する。この時、前記の通り、回転側ストッパ凸部91Sの下面は、シャフト3の載置面310との間に一定の隙間を維持しているので直接は摺動しない。
また、視認アセンブリ4が後方格納位置Bから使用位置Aに回転している間は、リフトギヤ91とリフトホルダ92とによる上下方向のガタ止め効果が無い状態である。この上下方向のガタ止め効果が無い状態においては、前記の使用位置Aから後方格納位置Bへの電動格納の通り、コイルスプリング900の傾きが緩和機能により、視認アセンブリ4の傾きが緩和されている。
(使用位置Aから後方格納位置Bへの手動格納の説明)
視認アセンブリ4が図3に示す使用位置Aに位置する時に、手動により、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4を車両Vの後方Eに回転させる。すなわち、手動により、視認アセンブリ4を、使用位置Aから後方格納位置Bに回転(傾倒)させる。
すると、視認アセンブリ4のハウジング4Hから電動格納ユニット6のケーシング6U、6Dに、手動による回転力がかかる。この時、ケーシング6U、6Dに収容保持されている減速機構7およびクラッチ機構8が、回転中心線Oの周方向であって、図7中の破線矢印方向に回転しようとする。
クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81は、回転力伝達機構9のリフトギヤ91に噛み合っている。リフトギヤ91のガタ止め凸部94は、リフトホルダ92のガタ止め凹部95に嵌合(ノッチ嵌合)している。また、リフトホルダ92は、シャフト3に回転中心線(軸部30の中心線)Oの周方向に回転不可能に嵌合されている。これにより、リフトギヤ91は、回転中心線Oの周方向に回転することができない。
このため、第1クラッチギヤ81は、リフトギヤ91に噛み合いながら、図7中の破線矢印に示すように、軸心線O1の周方向に回転しようとする(自転しようとする)。また、同時に、第1クラッチギヤ81は、リフトギヤ91に噛み合いながら、図7中の破線矢印に示すように、クラッチシャフト80と共に、回転中心線Oの周方向に回転しようとする(公転しようとする)。
しかしながら、図14(A)に示すように、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87は、クラッチ86のノッチ凸部88にノッチ嵌合している。第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87は、クラッチスプリング84により、クラッチ86のノッチ凸部88に押し付けられている。クラッチ86は、第2クラッチギヤ82に軸心線O1の周方向に回転不可能に嵌合されている。
また、第2クラッチギヤ82は、第2ウォームギヤ72に噛み合っている。このため、第2クラッチギヤ82は、第2ウォームギヤ72とのセルフロック効果により、前記の手動で、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4を車両Vの後方Eに回転させる力(外力)、すなわち、第2クラッチギヤ82側の力では、回転しない。
そこで、クラッチスプリング84のばね力よりも大きい力であって、車両Vの後方Eに回転させる方向の力を、手動により、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4に、さらに加える。すると、図14(B)に示すように、ノッチ嵌合している第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87の斜面とクラッチ86のノッチ凸部88の斜面とにおける分力作用により、クラッチスプリング84は、ばね力に抗して、短縮する。これに伴って、第1クラッチギヤ81は、第2クラッチギヤ82およびクラッチ86に対して、図14(B)中の実線矢印に示すように、下がりながら、軸心線O1および回転中心線Oの周方向に回転する。
そして、図14(C)に示すように、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87とクラッチ86のノッチ凸部88とのノッチ嵌合が、完全に外れる。すると、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4の車両Vの後方Eへの回転負荷が下がって、視認アセンブリ4は、小さい回転荷重により後方格納位置Bに回転する。
視認アセンブリ4が図3に示す後方格納位置Bに位置したところで、前記の使用位置Aから後方格納位置Bへの電動格納と同様に、下側ケーシング6Dの回転側回転角規制凹部65と、シャフト3の固定側回転角規制凸部37との規制作用により、視認アセンブリ4の手動回転は、後方格納位置Bにおいて、停止する。すなわち、図17に示すように、下側ケーシング6Dの第1回転側回転角規制当接面66が、シャフト3の第1固定側回転角規制当接面38に当接して、視認アセンブリ4が、後方格納位置Bに停止する。
図3に示す後方格納位置Bに位置する視認アセンブリ4を、車両Vの前方Fに回転させて、使用位置Aに復帰位置させる場合は、前記の後方格納位置Bから使用位置Aへの電動復帰と、手動復帰とがある。手動復帰は、前記の電動復帰の電動の代わりに手動により行われる。なお、手動復帰の説明は、電動復帰の説明と、電動と手動との違いであるから、省略する。
(使用位置Aから前方格納位置Cへの手動格納(手動傾倒)の説明)
視認アセンブリ4が図3に示す使用位置Aに位置する時に、手動により、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4を車両Vの前方Fに回転させる。すなわち、手動により、視認アセンブリ4を、使用位置Aから前方格納位置Cに回転させる。
この時、視認アセンブリ4のハウジング4Hから電動格納ユニット6のケーシング6U、6Dに、手動による回転力がかかる。すると、図20(A)に示すように、下側ケーシング6Dに装着されているストッパ部材90Sの回転側ストッパ当接面95Sが、シャフト3の固定側ストッパ当接面36に、強く押される。
さらに、手動による力(視認アセンブリ4を使用位置Aから前方格納位置Cに回転させる力)を強める。このさらに強める力は、コイルスプリング900のばね力およびクラッチスプリング84のばね力よりも大きい力とする。
すると、図20(C)に示すように、ストッパ部材90Sの斜面の回転側ストッパ当接面95Sが、シャフト3の斜面の固定側ストッパ当接面36に沿って乗り上がる。これに伴って、ストッパ部材90Sは、コイルスプリング900のばね力に抗して、コイルスプリング900を圧縮して、上方向に移動しながら、回転中心線Oの周方向に回転し始める。
この段階において、ストッパ部材90Sが装着されている下側ケーシング6Dと、この下側ケーシング6Dに収容保持されている構成部品(モータ7M、減速機構7およびクラッチ機構8)と、リフトギヤ91とは、回転中心線Oの周方向の回転を開始する。
その後、リフトギヤ91の嵌合斜面96がリフトホルダ92の嵌合斜面97に当たるまで(図15(B)を参照)、下側ケーシング6D、構成部品(モータ7M、減速機構7およびクラッチ機構8)およびリフトギヤ91は、回転中心線Oの周方向に回転し続ける。
この下側ケーシング6D、構成部品(モータ7M、減速機構7およびクラッチ機構8)およびリフトギヤ91が回転している分、ストッパ部材90Sの斜面の回転側ストッパ当接面95Sは、図20(C)に示すように、シャフト3の斜面の固定側ストッパ当接面36に沿って乗り上がる。
この後、回転側ストッパ凸部91Sの下面は、シャフト3の固定側ストッパ凸部35の上面上において、摺動(スライド)する。
そして、図15(B)に示すように、リフトギヤ91の嵌合斜面96がリフトホルダ92の嵌合斜面97に当たって、リフトギヤ91の回転中心線Oの周方向の回転が停止する。すると、第1クラッチギヤ81には、軸心線O1の周方向に回転する力が、クラッチスプリング84のばね力よりも大きい力で作用して、クラッチ機構8において、第1クラッチギヤ81は、第2クラッチギヤ82およびクラッチ86に対して、図14(A)に示す状態から図14(D)に示す状態に回転する。
ここで、前記の使用位置Aから後方格納位置Bへの手動格納と同様に、図14(E)に示すように、ノッチ嵌合している第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87の斜面とクラッチ86のノッチ凸部88の斜面とにおける分力作用により、クラッチスプリング84は、ばね力に抗して、短縮する。これに伴って、第1クラッチギヤ81は、第2クラッチギヤ82およびクラッチ86に対して、図14(E)中の実線矢印に示すように、下がりながら、軸心線O1および回転中心線Oの周方向に回転する。
さらに、図14(F)に示すように、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部87とクラッチ86のノッチ凸部88とのノッチ嵌合が、完全に外れる。すると、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4の車両Vの前方Fへの回転負荷が下がって、視認アセンブリ4は、小さい回転荷重により前方格納位置Cに回転し始める。
この視認アセンブリ4が前方格納位置Cに回転し始める作動中において、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sは、図20(D)および(E)に示すように、シャフト3の固定側ストッパ凸部35に、完全に乗り上がる。
この視認アセンブリ4が回転するのに伴って、ケーシング6U、6Dも、同様に、図16に示す状態から図18に示す状態(視認アセンブリ4が前方格納位置Cに位置する状態)に、回転中心線Oの周方向に回転し始める(図16および図18中の時計方向の実線矢印を参照)。
視認アセンブリ4が図3に示す前方格納位置Cに位置したところで、下側ケーシング6Dの回転側回転角規制凹部65とシャフト3の固定側回転角規制凸部37との規制作用により、視認アセンブリ4の電動回転は、前方格納位置Cにおいて、停止する。すなわち、図18に示すように、下側ケーシング6Dの第2回転側回転角規制当接面67が、シャフト3の第2固定側回転角規制当接面39に当接して、視認アセンブリ4が、前方格納位置Cに停止する。
図3に示す前方格納位置Cに位置する視認アセンブリ4を使用位置Aに復帰位置させる場合は、前方格納位置Cに位置する視認アセンブリ4を電動または手動により車両Vの後方Eに回転させる。すると、各構成部品が、電動または手動により、前記の後方格納位置Bから使用位置Aへの電動復帰の場合と逆方向に作用する。これにより、図3に示す前方格納位置Cに位置する視認アセンブリ4は、一度、後方格納位置Bに移動した後にその後方格納位置Bから使用位置Aへの電動復帰と同じ作用をして使用位置Aに復帰位置する。
(ストッパ機構9Sのストッパ部材90Sと下側ケーシング6Dとの説明)
ストッパ機構9Sのストッパ部材90Sは、下側ケーシング6Dに、ガイド凹部92Sとガイド凸部64との嵌合、および、追加ガイド凹部93Sと追加ガイド凸部640との嵌合を介して、軸部30の周方向に回転不可能にかつ軸部30の軸方向に移動可能に装着されている。
このため、図3に示す使用位置Aに位置する視認アセンブリ4が、電動または手動により、車両Vの後方Eに回転して、後方格納位置Bに格納される時、ストッパ部材90Sと下側ケーシング6Dとは、軸部30に対して、回転中心線Oの周方向(図16および図17中の実線矢印の向きの反時計方向)に一緒に回転する。
また、図3に示す後方格納位置Bに位置する視認アセンブリ4が、電動または手動により、車両Vの前方Fに回転して、使用位置Aに復帰される時、ストッパ部材90Sと下側ケーシング6Dとは、軸部30に対して、回転中心線Oの周方向(図17中の実線矢印の向きと反対の時計方向)に一緒に回転する。
さらに、図3に示す使用位置Aに位置する視認アセンブリ4が、手動により、車両Vの前方Fに回転して、前方格納位置Cに格納(傾倒)される時、ストッパ部材90Sと下側ケーシング6Dとは、軸部30に対して、回転中心線Oの周方向(図16および図18中の実線矢印の向きの時計方向)に一緒に回転する。
このストッパ部材90Sと下側ケーシング6Dとの回転と同時に、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ当接面95Sがシャフト3の固定側ストッパ当接面36を乗り越える。この時、ガイド凹部92Sおよび追加ガイド凹部93Sは、ガイド凸部64および追加ガイド凸部640に沿って上方向(図20(C)、(D)および(E)中の上向きの実線矢印の方向)にスライドする。なお、図20(C)、(D)および(E)中において、ガイド凸部64および追加ガイド凸部640の図示は、省略されている。
さらにまた、図3に示す前方格納位置Cに位置する視認アセンブリ4が、手動により、車両Vの後方Eに回転して、使用位置Aに復帰される時、ストッパ部材90Sと下側ケーシング6Dとは、回転中心線Oの周方向(図18中の実線矢印の向きと反対の反時計方向)に一緒に回転する。
このストッパ部材90Sと下側ケーシング6Dとの回転と同時に、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ当接面95Sが下側ケーシング6Dの固定側ストッパ当接面36を下る。この時、ガイド凹部92Sおよび追加ガイド凹部93Sは、ガイド凸部64および追加ガイド凸部640に沿って下方向(図20(C)、(D)および(E)中の上向きの実線矢印の方向と逆方向)にスライドする。
このように、視認アセンブリ4が、手動により、使用位置Aと前方格納位置Cとの間を回転する時、ストッパ機構9Sのストッパ部材90Sは、下側ケーシング6Dと一緒に、軸部30に対して回転しながら、下側ケーシング6Dに対して軸部30方向に上下移動する。
(摺動回転の半径R1、R2の説明)
以下、視認アセンブリ4がシャフト3に対して回転する時に、視認アセンブリ4とシャフト3との摺動部の摺動回転の半径R1、R2について説明する。
まず、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を回転する時は、下側ケーシング6Dの載置面62が、固定側シャフト3上のワッシャ901との間で摺動回転する。この場合の摺動回転の半径は、下側ケーシング6Dの載置面62の半径R11が半径となる。また、下側ケーシング6Dの載置面62が、ワッシャ901を介して、固定側シャフト3の載置面310において摺動する。この場合の摺動回転の半径は、ワッシャ901の半径R12が半径となる。
一方、視認アセンブリ4が使用位置Aとシャフト3の円板部の前方Fとの間を回転する時は、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sの下面が、シャフト3の固定側ストッパ凸部35の上面において摺動回転する。このストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sとシャフト3の固定側ストッパ凸部35との摺動部の摺動回転の半径は、固定側ストッパ凸部35の半径R2である。
そして、図10および図11に示すように、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sとシャフト3の固定側ストッパ凸部35との摺動回転の半径R2は、下側ケーシング6Dとワッシャ901との摺動回転の半径R11または、ワッシャ901とシャフト3の載置面310との摺動回転の半径R12よりも小さい。
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、電動回転装置の一部である回転力伝達機構9のリフトホルダ92とストッパ機構9Sの一部であるストッパ部材90Sとの間に、荷重付与部材としてのコイルスプリング900を、介在したものである。このコイルスプリング900は、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を回転する時において、下側ケーシング6D、リフトホルダ92、ストッパ部材90Sおよびワッシャ901を介してシャフト3に荷重を付与するものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動回転する時において、コイルスプリング900がリフトホルダ92、ストッパ部材90Sおよびワッシャ901を介してシャフト3に荷重を付与して、視認アセンブリ4のシャフト3に対する傾きを緩和させることができるので、視認アセンブリ4の電動回転時の見栄えを改善できる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、後方格納位置Bから回転する視認アセンブリ4を使用位置Aに停止させるストッパ機構9Sを有する。ストッパ機構9Sは、ストッパ部材90Sと、ストッパ部(ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sおよびシャフト3の載置部31の固定側ストッパ凸部35)と、ストッパ部材90Sがストッパ部(91Sおよび35)を介して使用位置Aに停止するための荷重を、ストッパ部材90Sに付与する荷重付与部材としてのコイルスプリング900と、を有するものである。
このストッパ機構9Sの荷重付与部材としてのコイルスプリング900は、ストッパ部材90Sに荷重を付与し、ストッパ部(回転側ストッパ当接面95Sと固定側ストッパ当接面36)が相互に当接している状態を維持して、視認アセンブリ4を使用位置Aに停止させるストッパ機能を有するものである。
また、前記の荷重付与部材としてのコイルスプリング900は、視認アセンブリ4の電動回転時において、リフトホルダ92、ストッパ部材90Sおよびワッシャ901を介してシャフト3に荷重を付与して、視認アセンブリ4のシャフト3に対する傾きを緩和させる傾き緩和機能を有するものである。
この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、荷重付与部材としてのコイルスプリング900がストッパ機能と傾き緩和機能とを兼備するものである。これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、構成部品の点数を軽減することができ、その分、小型化や低安価を図ることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、コイルスプリング900の荷重が、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4に、前方に回転させる力が作用した時に、ストッパ部(91Sおよび35)の相互当接状態が解除される、荷重である。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、コイルスプリング900の荷重として、大きな荷重を必要としないので、小さな荷重のコイルスプリング900を使用することができる。
これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4の回転負荷を最小限に抑えることができる。すなわち、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、電動回転時の負荷となる摩擦抵抗(摺動抵抗)を大幅に減らすことができるので、視認アセンブリ4を電動回転させる電動回転装置のモータ7Mの出力を小さく設定することができる。
しかも、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、モータ7Mの出力を小さく設定することができることにより、電動回転装置の減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9のギヤなどの各構成部品への負荷が減るので、同寿命であれば、低コスト材を採用でき、かつ、小型化が可能である。逆に、同材質であれば、高寿命化(長い寿命)が可能である。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4を手動により使用位置Aから前方格納位置Cに回転させた時、ストッパ部材90Sが軸部30の周方向に回転しながら軸部30の軸方向に移動し、一方、下側ケーシング6Dが軸部30の周方向に回転するだけで軸部30の軸方向に移動しない。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4が使用位置Aと前方格納位置Cとの間に位置している時、シャフト3の載置部31の上面と下側ケーシング6Dの下面との間の隙間を、視認アセンブリ4の回転に支障がない程度の小さい隙間に、保つことができる。
これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4が使用位置Aと前方格納位置Cとの間に位置している状態のままであっても、シャフト3の載置部31と下側ケーシング6Dとの間の隙間に、水や埃などの異物が入り込むのを抑制することができる。しかも、隙間への異物の侵入を抑制することにより、視認アセンブリ4をスムーズに回転させることができ、構成部品の耐久性を向上させることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を回転する時に、下側ケーシング6Dがシャフト3の載置面310に置かれたワッシャ901と摺動し、または、ワッシャ901がシャフト3の載置面310にて摺動回転し、視認アセンブリ4が使用位置Aと車両Vの前方F(たとえば、前方格納位置C)との間を回転する時に、ストッパ部材90Sの回転側ストッパ凸部91Sがシャフト3の円板部31の固定側ストッパ凸部35において摺動回転し、回転側ストッパ凸部91Sと固定側ストッパ凸部35との摺動回転の半径R2が下側ケーシング6Dとワッシャ901との摺動回転の半径である載置面62の半径R11、または、ワッシャ901とシャフト3の載置面310との摺動回転の半径であるワッシャ901の半径R12小さい。
この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4が使用位置Aと車両Vの前方F(たとえば、前方格納位置C)との間を回転する時において、ストッパ部(91Sおよび35)の相互当接状態が解除されて、コイルスプリング900の荷重が上がるが、回転側ストッパ凸部91Sと固定側ストッパ凸部35との摺動回転の半径R2を小さくすることができる。これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、回転側ストッパ凸部91Sと固定側ストッパ凸部35との摺動抵抗の増加を抑制することができるので、小さい力で、視認アセンブリ4を使用位置Aと車両Vの前方F(たとえば、前方格納位置C)との間を回転させることができる。特に、車両Vの前方F(たとえば、前方格納位置C)に位置する視認アセンブリ4を使用位置Aに電動により復帰させる場合においては、小さい電動出力で復帰させることができる。これにより、モータ7Mの出力を小さくすることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、下側ケーシング6Dとシャフト3の載置面310との間にワッシャ901を介在させたものであり、下側ケーシング6Dとワッシャ901とが摺動回転した場合の摺動回転の半径が下側ケーシング6Dの載置面62の半径R11となり、ワッシャ901とシャフト3の載置面310が摺動回転した場合の摺動回転の半径がワッシャ901の半径R12となる。
また、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、ワッシャ901と下側ケーシング6Dとが相互に当接する当接面、ワッシャ901と載置面310とが相互に当接する当接面のうち、少なくとも、1つの当接面に、非平面部902を設けたものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、下側ケーシング6Dとシャフト3の円板部31との間の摺動抵抗を小さく抑制することができるので、小さい力で、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとの間を回転させることができる。特に、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転させる場合においては、小さい電動出力で回転させることができる。これにより、モータ7Mの出力を小さくすることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、荷重付与部材として、軸部30の軸方向に弾性力を有するコイルスプリング900を使用するものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、板ばね構造からなる荷重付与部材と比較して、下記の効果を達成することができる。
すなわち、安価にコイルスプリング900からなる荷重付与部材を制作(製造)できる。また、コイルスプリング900により、応力的に余裕のある設定できる。さらに、コイルスプリング900の組み付けおよび部品管理が容易となる。さらにまた、コイルスプリング900の荷重(ばね力)のばらつきが小さいので、コイルスプリング900の製品の性能を安定させることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、回転力伝達機構9のリフトギヤ91とリフトホルダ92とに嵌合斜面96、97を設けたものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、電動回転装置の電動回転停止時(視認アセンブリ4が後方格納位置Bから電動回転して使用位置Aに停止する時)、モータ7Mのストールトルクをリフトギヤ91の嵌合斜面96とリフトホルダ92の嵌合斜面97とに作用させることにより、回転方向と上下方向(軸部30の周方向と軸方向)のクリアランスを詰めて嵌合遊びが無い状態にすることができる。
これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、車両Vの走行時および停車時において、視認アセンブリ4のガタが抑制されるので、視認ユニット5を介して、車両V周辺(特に、車両Vの後側)の良好な視界が確保される。しかも、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認ユニット5が軽量のカメラの場合、モータ7Mのストールトルクが小さい場合でも、確実に、回転方向と上下方向のクリアランスを詰めて嵌合遊びが無い状態にすることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1において、リフトギヤ91とリフトホルダ92とは、軸部30の径方向に並列に配置されている。すなわち、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、コイルスプリング900の荷重が作用している構成部品(下から直列に配置されているシャフト3の載置部31、ワッシャ901、下側ケーシング6D、ストッパ部材90S、コイルスプリング900、リフトホルダ92およびCリング93)と、コイルスプリング900の荷重が作用していない構成部品であるリフトギヤ91とが、軸部30の径方向に並列に配置されている。これにより、リフトギヤ91が、コイルスプリング900の荷重方向に対して、直列の配列から外れて、コイルスプリング900の外側に並列の配列に配置されている。
この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、コイルスプリング900の荷重方向である軸部30の軸方向の寸法(上下方向の寸法)を小さくすることができるので、視認アセンブリ4の高さを低く(小さく)することができる。これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認ユニット5が小型のカメラの場合、小型のカメラのサイズに合った造形デザインが可能である。また、車両Vの前方Fからの前面投影面積が小さくなるので、風の抵抗が減り、燃費の向上およびデザイン性の増大が図られる。さらに、後方Eからの後面投影面積も小さくなるので、車両Vの後方Eの後続車両から車両Vを通して前方Fの視界が改善される。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、クラッチ機構8が、クラッチシャフト80と、クラッチスプリング84と、第1クラッチ81と、クラッチ86と、第2クラッチ82と、ワッシャ83と、Cリング85と、を有する完結されたクラッチユニットを構成するものである。しかも、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、クラッチ機構8のクラッチシャフト80の中心線O1(軸心線O1)が、軸部30の中心線O(回転中心線O)に対して平行である。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4の高さをさらに低く(小さく)することができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認ユニット5が車両Vの周辺を撮像する撮像装置(カメラ)であるから、撮像装置である視認ユニット5を電動格納ユニット6と共に収容する視認アセンブリ4のハウジング4Hの寸法、すなわち、視認アセンブリ4のシャフト3の軸方向の寸法を、ミラーを使用するアウトサイドミラー装置と比較して、確実に小さくすることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、撮像装置である視認ユニット5で撮像された車両Vの後方および側方の情報の画像を表示装置5M、5ML、5MRに表示することができる。この結果、この実施形態にかかる電動格納ユニット6、電動格納式車両用周辺視認装置1は、ドライバーが表示装置5M、5ML、5MRに表示された画像を視認して、車両Vの後方および側方を視認することができる。これにより、この実施形態にかかる電動格納ユニット6、電動格納式車両用周辺視認装置1は、ミラーと同様に、交通安全に貢献することができる。
(実施形態以外の例の説明)
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。