以下、この発明にかかる電動格納式車両用周辺視認装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。この明細書および別紙の特許請求の範囲において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる電動格納式車両用周辺視認装置を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。なお、図面においては、概略図であるため、主要部品を図示し、主要部品以外の部品の図示を省略し、また、ハッチングの一部を省略する。
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置の構成について説明する。図中、符号1は、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置(以下、単に「視認装置」と称する)である。
(電動格納式車両用周辺視認装置1の説明)
視認装置1は、図1に示すように、車両(自動車)Vの左右のドア(車体)Dにそれぞれ装備されている。視認装置1は、車両用リヤビュミラー、例えば、車両の左右のドアDに装備されるドアミラー装置などのアウトサイドミラー装置(図示せず)の代替えである。アウトサイドミラー装置としては、たとえば、特許文献2の電動可倒式ドアミラーおよび特許文献3の自動車用ドアミラーなどがある。
以下、車両Vの左側のドアDに装備されている視認装置1について説明する。なお、車両Vの右側のドアDに装備されている視認装置1は、車両Vの左側のドアDに装備されている視認装置1とほぼ同様の構成をなすものであるから、説明を省略する。
視認装置1は、図1~図4、図8に示すように、ベース2と、シャフト3と、視認アセンブリ4と、表示装置(モニタ)5M、5ML、5MRと、を備えるものである。ベース2、シャフト3および視認アセンブリ4は、ドアDに装備され、表示装置5M、5ML、5MRは、車両Vの室内(車内)に装備される。
すなわち、左側の表示装置5MLは、左側の視認アセンブリ4の近傍に装備される。右側の表示装置5MLは、右側の視認アセンブリ4の近傍に装備される。中央の表示装置5Mは、運転席の近傍に装備される。なお、左側の表示装置5MLおよび右側の表示装置5MLと、中央の表示装置5Mとは、少なくともいずれか一方を装備すれば良い。
図2において、符号Aは、視認アセンブリ4の使用位置である。符号Bは、視認アセンブリ4の後方格納位置である。符号Cは、視認アセンブリ4の前方格納位置である。符号Eは車両Vの後方である。符号Fは車両Vの前方である。符号Oは、視認アセンブリ4の回転中心線であり、また、シャフト3の軸部30の中心線でもあり、以下、「回転中心線O」と称する。
同じく、図2において、符号θBは、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bに回転して後方格納位置Bに格納される角度、すなわち、後方回転格納角度である。後方回転格納角度θBは、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転する角度、すなわち、電動回転角度でもある。後方回転格納角度θBは、この例では、約60°である。
同じく、図2において、符号θCは、視認アセンブリ4が使用位置Aから前方格納位置Cに回転して前方格納位置Cに格納される角度、すなわち、前方回転格納角度である。前方回転格納角度θCは、この例では、約90°である。
後方回転格納角度θBおよび前方回転格納角度θCは、視認アセンブリ4の後記する視認ユニット5がカメラの場合、左側の視認装置1と右側の視認装置1とにおいて、同じ角度である。一方、視認ユニット5がミラーの場合、左側の視認装置1の角度と右側の視認装置1の角度とは、異なる。
(ベース2の説明)
ベース2は、ベース部材と、ベース部材をカバーするカバー部材と、から構成されている。ベース2は、図1~図4に示すように、直方体形状の連結部20と、垂直板形状の第1固定部21と、水平板形状の第2固定部22と、を有する。ベース2の内部は、ドアDの車体パネルやドアパネルに設けられている開口(図示せず)を介して車両Vの内部と連通している。
第1固定部21は、ドアDにスクリューなど(図示せず)により固定される。この結果、ベース2は、ドアDすなわち車体に固定される。第2固定部22には、シャフト3がスクリューなどにより固定されている。なお、第2固定部22には、凹部が設けられている。第2固定部22の凹部中にシャフト3の固定部32が嵌合されている。この結果、第2固定部22の平面(上面)とシャフト3の固定部32の平面(上面)とが面一となる。
(シャフト3の説明)
シャフト3は、図4~図6、図9~図13に示すように、中空の円筒形状の軸部30と、円板形状の円板部31と、四角板形状の固定部32と、から構成されている。すなわち、軸部30の下端部には、円板部31が一体に設けられている。円板部31の下面には、固定部32が一体に設けられている。
軸部30の中心線Oは、円板部31の中心を通る。固定部32の一部(四角板部)は、軸部30および円板部31に対してドアD側に突出している。円板部31および固定部32には、軸部30の中空部に連通する円形もしくは任意形状の透孔が設けられている。
軸部30の外周面には、八角形の係合部33が設けられている。なお、係合部33は、この例では八角形(多角形)であるがセレーションやスプラインの係合部でも良い。軸部30の上端部の外周面には、円形の係止溝34が設けられている。
固定部32は、ベース2の第2固定部22の凹部中に嵌合されていて、かつ、ベース2の第2固定部22にスクリューなどにより固定される。この結果、シャフト3は、ベース2に固定される。
(電動作動範囲規制凸部35の説明)
図13に示すように、円板部31の上面には、ストッパ機構の電動作動範囲規制部が設けられている。すなわち、円板部31の上面には、2個の電動作動範囲規制凸部35が、設けられている。2個の電動作動範囲規制凸部35は、軸部30に対して、固定部32の突出部側の部分と、固定部32の突出部側と反対側の部分とに、それぞれ、設けられている。
電動作動範囲規制凸部35は、後記するスプリング部材9Sの当接部93Sと共に、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転する範囲(電動作動範囲)を規制する。すなわち、電動作動範囲規制凸部35は、後記するスプリング部材9Sの当接部93Sと共に、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとにそれぞれ停止させるストッパ機構を構成する。
2個の電動作動範囲規制凸部35は、それぞれ、軸部30の中心線Oを中心とする円弧形状をなす。2個の電動作動範囲規制凸部35の円周方向の両端面には、それぞれ、第1当接面351と第2当接面352とが設けられている。第1当接面351および第2当接面352は、軸部30の中心線Oから外側にかけて末広がりに傾斜している。
一方(図13において右側)の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351から他方(図13において左側)の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352までの間の角度θは、電動作動範囲規制角度である。また、一方の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352から他方の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351までの間の角度θも、同様に、電動作動範囲規制角度である。電動作動範囲規制角度θは、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転する電動回転角度、すなわち、前記の後方回転格納角度θBよりも大きい。この電動作動範囲規制角度θが後方回転格納角度θBよりも大きい理由については、後記するスプリング部材9Sにおいて、説明する。
そして、一方の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351から他方の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352までの間の部分、および、一方の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352から他方の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351までの部分は、谷部を形成する。
(格納作動範囲規制凸部36の説明)
また、図13に示すように、円板部31の上面には、格納作動範囲規制部が設けられている。すなわち、円板部31の上面のうち、軸部30に対して反対側の外周縁部側であって、固定部32の突出部側の部分には、1個の格納作動範囲規制凸部36が設けられている。
格納作動範囲規制凸部36は、後記する下側ケーシング6Dの格納作動範囲規制部(格納作動範囲規制凸部65D)と共に、視認アセンブリ4の格納作動範囲を規制する。視認アセンブリ4の格納作動範囲の規制は、後記する下側ケーシング6Dにおいて、説明する。
格納作動範囲規制凸部36は、軸部30の中心線Oを中心とする円弧形状をなす。格納作動範囲規制凸部36の円周方向の両端面には、それぞれ第1当接面361と第2当接面362とが設けられている。
(視認アセンブリ4の説明)
視認アセンブリ4は、図1~図4に示すように、シャフト3の軸部30に回転可能に取り付けられている。視認アセンブリ4は、ハウジング4Hと、視認ユニット5と、電動格納ユニット6と、を有する。
(ハウジング4Hの説明)
ハウジング4Hは、図1~図3に示すように、中空状の箱形形状をなしている。ハウジング4Hは、この例では、2分割に構成されていて、相互に嵌合、接着、溶着などにより水密に取り付けられている。ハウジング4Hのシャフト3に対して反対側の端部の後面には、円形の透孔40が設けられている。
ハウジング4H内には、視認ユニット5および電動格納ユニット6の一部が収容されている。すなわち、電動格納ユニット6のシャフト3の固定部32は、ハウジング4Hの外側に位置していて、ベース2の第2固定部22に嵌合されている。従って、ハウジング4H内には、電動格納ユニット6のうち、シャフト3の固定部32を除いた大部分が、収容されている。
(視認ユニット5の説明)
視認ユニット5は、この例では、車両V周辺の情報を画像として撮像する撮像装置(カメラ)である。視認ユニット5は、図3、図4に示すように、本体50と、レンズ51と、ハーネス52と、を有する。視認ユニット5は、ハウジング4Hに収容されていて、かつ、ハウジング4Hに装備されている。
本体50は、スクリューなどによりハウジング4Hに固定されている。レンズ51は、ハウジング44の透孔40に臨んでいる。ハーネス52は、本体50に接続されている。ハーネス52は、ハウジング4H内からシャフト3内およびベース2内を通って車両Vの内部に配線されている。ハーネス52には、電動格納ユニット6と電気的に接続するコネクタが設けられている。
視認ユニット5により、既存のアウトサイドミラー装置(図示せず)の車両Vの側方および後方の視野範囲と同等もしくは広い視野範囲を撮像するためには、視認ユニット5をドアDから外側に突出させて位置させる必要がある。このため、視認アセンブリ4が使用位置Aに位置するとき、内部に視認ユニット5を収容装備するハウジング4Hは、ドアDから外側に突出している。なお、ハウジング4Hの突出量は、既存のアウトサイドミラー装置の突出量よりも小さくしても良い。
視認ユニット5は、図8に示すように、ハーネス52を介して、画像処理装置(画像処理ECU)54に接続されている。画像処理装置54は、信号線55、56を介して、検出装置57と表示装置5M、5ML、5MRとにそれぞれ接続されている。
撮像装置としての視認ユニット5は、車両Vの周辺であって、車両Vの後方および側方の情報を画像として撮像し、撮像した車両Vの後方および側方の情報の画像を、ハーネス52を介して、画像処理装置54に出力するものである。
検出装置57は、車両Vに装備されている。検出装置57は、信号線55を介して画像処理装置54に接続されている。検出装置57は、車両情報を検出し、検出した車両情報を検出信号として信号線55を介して画像処理装置54に出力するものである。検出装置57としては、たとえば、ステアリング角度検出部(ステアリング角度センサ)、ギアポジション検出部(ギアポジションセンサ)、方向指示検出部(方向指示センサ)、車速検出部(車速センサ)、車両位置検出部(車両位置センサ)、超音波検出部(超音波センサ)、その他の検出部などを単独であるいは複数使用するものである。
画像処理装置54は、車両Vに装備されている。画像処理装置54は、ハーネス52、信号線55、56を介して、視認ユニット5、検出装置57、表示装置5M、5ML、5MRにそれぞれ接続されている。画像処理装置54は、視認ユニット5により撮像された車両Vの後方および側方の情報の画像を検出装置57からの車両情報に基づいて適宜に処理するものである。なお、画像処理装置54は、視認ユニット5により撮像された車両Vの後方および側方の情報の画像を、検出装置57の車両情報ではなく、ドライバーの手動操作により処理する場合もある。画像処理装置54は、処理した画像を表示装置5M、5ML、5MRに出力する。
表示装置5M、5ML、5MRは、車両Vの室内(車内)のうちドライバーの視野範囲に装備されている。表示装置5Mは、信号線56を介して、画像処理装置54に接続されている。表示装置5M、5ML、5MRは、画像処理装置54により処理された画像を表示するものである。ドライバーは、表示装置5M、5ML、5MRに表示された画像を視認することにより、車両Vの後方および側方を視認することができる。
(電動格納ユニット6の説明)
電動格納ユニット6は、図4~図10に示すように、一部がハウジング4H内に収容されていて、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転させるものである。電動格納ユニット6は、前記のシャフト3と、ケーシング6U、6Dと、モータ7M、減速機構7と、保持部材(プレート、保持プレート)7Hと、クラッチ機構8と、回転力伝達機構9と、ストッパ機構のスプリング部材9Sと、を有する。
モータ7M、減速機構7、保持部材7H、クラッチ機構8の一部、回転力伝達機構9およびスプリング部材9Sは、ケーシング6U、6D内に収容されている。モータ7M、減速機構7、保持部材7Hおよびクラッチ機構8は、シャフト3の軸方向に対して交差する方向(直交もしくはほぼ直交する方向)に配置されている。また、モータ7Mの駆動軸(出力軸、回転軸)の軸方向とシャフト3の軸方向とは、相互に交差(直交もしくはほぼ直交)している。ここで、シャフト3の軸方向とは、回転中心線O方向である。
(ケーシング6U、6Dの説明)
ケーシング6U、6Dは、図4、図5、図7、図9~図12、図14に示すように、シャフト3に回転可能に取り付けられ、かつ、スクリューなどによりハウジング4Hに固定されている。
ケーシング6U、6Dは、上側ケーシング(カバー)6Uと下側ケーシング(ギヤケース)6Dとからなる。上側ケーシング6Uと下側ケーシング6Dとは、複数本この例では4本のスクリュー60により相互に固定されている。上側ケーシング6Uおよび下側ケーシング6Dの内側面には、減速機構7のギヤなどの回転軸を軸受する軸受部が設けられている。
図4、図5に示すように、上側ケーシング6Uの一端部には、円形の透孔60Uが設けられている。この透孔60Uの円周縁は、上側ケーシング6Uから凹んだ円筒部を形成する。上側ケーシング6Uの円筒部には、シャフト3の軸部30の上端部が外側から嵌合する。この結果、上側ケーシング6Uは、シャフト3の軸部30に回転可能に取り付けられる。上側ケーシング6Uの円筒部の中心線(透孔60Uの中心)は、シャフト3の軸部30の中心線O、すなわち、回転中心線Oと一致する。
図9~図12、図14に示すように、下側ケーシング6Dの一端部の底面(下面)には、載置部60Dが一体に設けられている。載置部60Dは、平面形状(上から見た形状)あるいは底面形状(下から見た形状)が円板形状をなすものである。載置部60Dの中央部には、円形の透孔63Dが設けられている。載置部60Dの中心と透孔63Dの中心とは、同心であって、かつ、回転中心線Oと一致する。
下側ケーシング6Dの透孔63D中には、シャフト3の軸部30が挿通されている。これにより、ケーシング6U、6Dは、シャフト3に回転可能に取り付けられる。
載置部60Dの円周縁部の4箇所には、保持部64Dが、それぞれ、設けられている。4個の保持部64Dは、それぞれ、2個のスプリング部材9Sの両端部(後記する保持部90S)を保持する。4個の保持部64Dは、載置部60Dの底面から下方に突出している。この保持部64Dの突出寸法は、スプリング部材9Sを収納できる程度の寸法である。
(格納作動範囲規制凸部65Dの説明)
また、下側ケーシング6Dの一端部のうち、載置部60Dよりも他端部側の部分には、格納作動範囲規制部としての格納作動範囲規制凸部65Dが、載置部60Dの円周縁部に対して外側に突出して設けられている。
格納作動範囲規制凸部65Dの後側の部分には、第1当接面61Dが、シャフト3の格納作動範囲規制凸部36の第1当接面361に対応して、設けられている。また、格納作動範囲規制凸部65Dの前側の部分には、第2当接面62Dが、シャフト3の格納作動範囲規制凸部36の第2当接面362に対応して、設けられている。
格納作動範囲規制凸部65Dは、シャフト3の前記の格納作動範囲規制凸部36と共に、視認アセンブリ4の格納作動範囲を規制する。以下、視認アセンブリ4の格納作動範囲の規制について、説明する。
すなわち、視認アセンブリ4が、回転中心線Oを中心として、使用位置A(図2、図9を参照)から回転して後方格納位置B(図2、図10を参照)に達する。すると、下側ケーシング6Dの格納作動範囲規制凸部65Dの第1当接面61Dが、シャフト3の格納作動範囲規制凸部36の第1当接面361に当接する。
これにより、視認アセンブリ4が後方格納位置Bからさらに後方(図10において、反時計方向)に回転するのを規制することができる。このように、視認アセンブリ4が使用位置A(図2、図9を参照)から後方格納位置B(図2、図10を参照)までの間を回転する範囲(格納作動範囲)であって、後方回転格納角度θBを規制する。
また、視認アセンブリ4が、回転中心線Oを中心として、使用位置A(図2、図9を参照)から回転して前方格納位置C(図2、図12を参照)に達する。すると、下側ケーシング6Dの格納作動範囲規制凸部65Dの第2当接面62Dが、シャフト3の格納作動範囲規制凸部36の第2当接面362に当接する。
これにより、視認アセンブリ4が前方格納位置Cからさらに前方(図12において、時計方向)に回転するのを規制することができる。このように、視認アセンブリ4は、使用位置A(図2、図9を参照)から前方格納位置C(図2、図12を参照)までの間を回転する範囲(格納作動範囲)であって、前方回転格納角度θCを規制する。
(スプリング部材9Sの説明)
図5、図6、図9~図12、図15(A)、図15(B)に示すように、ストッパ機構は、スプリング部材9Sを有する。この例におけるスプリング部材9Sは、2個の板ばねから構成されている。
スプリング部材9Sは、この例では、下側ケーシング6Dに保持されている保持部90Sと、シャフト3に当接している当接部93Sと、を有する。すなわち、スプリング部材9Sは、平面形状がほぼ半円形に湾曲している形状をなす。スプリング部材9Sの両端部分には、保持部90Sが、それぞれ、湾曲して設けられている。スプリング部材9Sの中間部分には、ほぼ三角形状(ほぼV字形状、山形状)の当接部93Sが、保持部90Sの湾曲方向側に突出して設けられている。すなわち、当接部93Sは、スプリング部材9Sの中間部分に凸部形状として設けられている。
2個のスプリング部材9Sの両端部分の保持部90Sは、それぞれ、下側ケーシング6Dの4個の保持部64Dに保持されている。この時、スプリング部材9Sの両端部分の保持部90Sは、外側(図15(A)中の二点鎖線にて示す状態)から内側(図15(A)中の実線にて示す状態)に撓んだ状態で、保持されている。この結果、スプリング部材9Sの保持部90Sの外側面は、下側ケーシング6Dの保持部64Dに弾性当接している。
2個のスプリング部材9Sの中間部分の当接部93Sの頂点部分は、それぞれ、シャフト3の2個の電動作動範囲規制凸部35の間の谷部に当接している。この結果、スプリング部材9Sの当接部93Sの頂点部分には、シャフト3の谷部からの反発力(図15(A)中の中央の実線矢印を参照)が、作用する。
このように、スプリング部材9Sは、図15(A)に示すように、両端部分の保持部90Sから中間部分の当接部93Sまでの部分であって全体に亘って、弾性変形する。そして、スプリング部材9Sは、シャフト3の軸方向すなわち回転中心線Oに対して交差する方向に、弾性変形する。
2個のスプリング部材9Sは、それぞれ、シャフト3の軸方向に対して交差する方向において、相互に対向するシャフト3と下側ケーシング6Dとの間であって、シャフト3の周囲に配置されている。すなわち、2個のスプリング部材9Sは、それぞれ、下側ケーシング6Dの載置部60Dに配置されている。
(当接部93Sの説明)
2個のスプリング部材9Sの当接部93Sは、前記の通り、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35と共に、視認アセンブリ4が使用位置Aと後方格納位置Bとの間を電動により回転する範囲(電動作動範囲)を規制する。すなわち、2個のスプリング部材9Sの当接部93Sは、前記の通り、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35と共に、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとにそれぞれ停止させるストッパ機構を構成する。
ほぼ三角形状をなす当接部93Sの両傾斜面には、それぞれ、第1当接面91Sと第2当接面92Sとが、シャフト3の第1当接面351と第2当接面352とに対応して、設けられている。以下、スプリング部材9Sの当接部93Sとシャフト3の電動作動範囲規制凸部35とから構成されているストッパ機構について、説明する。
すなわち、視認アセンブリ4が、電動により、回転中心線Oを中心として、使用位置A(図2、図9を参照)から回転して後方格納位置B(図2、図10を参照)に達する。すると、スプリング部材9Sの当接部93Sの第2当接面92Sが、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352に当接する。これにより、視認アセンブリ4は、後方格納位置Bに停止して位置する。
また、視認アセンブリ4が、電動により、回転中心線Oを中心として、後方格納位置B(図2、図10を参照)から回転して使用位置A(図2、図9を参照)に達する。すると、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sが、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351に当接する。これにより、視認アセンブリ4は、使用位置Aに停止して位置する。
この時、視認アセンブリ4は、電動により、使用位置Aと後方格納位置Bとの間の電動回転角度である後方回転格納角度θB分回転する。この後方回転格納角度θBは、シャフト3の2個の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351と第2当接面352との間の角度である電動作動範囲規制角度θよりも小さい。すなわち、後方回転格納角度θBは、電動作動範囲規制角度θよりも、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sと第2当接面92Sとの間の角度分、小さい。これにより、電動作動範囲規制角度θは、後方回転格納角度θBよりも、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sと第2当接面92Sとの間の角度分、大きい。これが、電動作動範囲規制角度θが後方回転格納角度θBよりも大きい前記の理由である。
(スプリング部材9Sの弾性変形の説明)
ストッパ機構のスプリング部材9Sは、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bと反対側すなわち前方側(図9、図11、図12において、時計方向側)に回転する時に、全体に亘って、シャフト3の軸方向に対して交差する方向に弾性変形する。
すなわち、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4に、車両Vの前方側に回転(傾倒)させる力が、加わると、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sが、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351に、強く押される。視認アセンブリ4に加わる力がさらに強くなると、スプリング部材9Sの第1当接面91Sがシャフト3の第1当接面351に沿って上りスライドする。これに伴って、スプリング部材9Sの当接部93Sが回転中心線Oに対して外側に弾性変形していく。
そして、スプリング部材9Sの当接部93Sの頂点部分は、図11、図12に示すように、シャフト3の第1当接面351を乗り越えて、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の外側面に達する。これにより、視認アセンブリ4は、使用位置Aから前方格納位置C側に回転(傾倒)することができる。
(モータ7Mの説明)
モータ7Mは、図5~図7に示すように、保持部材7Hを介して、ケーシング6U、6Dに取り付けられかつケーシング6U、6D内に収容されている。モータ7Mには、スイッチ回路70Mが設けられている。スイッチ回路70Mには、ターミナルが設けられている。ターミナルは、下側ケーシング6Dのコネクタ部中に配置されている。ハーネス52のコネクタが下側ケーシング6Dのコネクタ部に着脱可能に嵌合してターミナルに電気的に接続することにより、モータ7Mは、ハーネス52、コネクタ、ターミナルおよびスイッチ回路70Mを介して給電される。
(減速機構7の説明)
減速機構7は、図5~図7に示すように、モータ7Mおよび保持部材7Hと共に、ケーシング6U、6Dに取り付けられかつケーシング6U、6D内に収容されている。減速機構7は、第1ウォームギヤ71と、第2ウォームギヤ72と、ヘリカルギヤ73と、を有する。第1ウォームギヤ71は、モータ7Mの駆動軸に連結されていて、下側ケーシング6Dの軸受部に軸支されている。第2ウォームギヤ72は、上側ケーシング6Uの軸受部および下側ケーシング6Dの軸受部に軸支されている。ヘリカルギヤ73は、第2ウォームギヤ72の軸に固定されていて、第1ウォームギヤ71に噛み合っている。
(保持部材7Hの説明)
保持部材7Hは、図5、図7に示すように、モータ7Mを、保持して、モータ7Mおよび減速機構7と共に、ケーシング6U、6Dに取り付けられ、かつ、ケーシング6U、6D内に収容されている。保持部材7Hは、剛性がケーシング6U、6Dの剛性よりも低い(小さい)部材、たとえば、POMなどの部材から構成されている。保持部材7Hは、モータ7Mおよび減速機構7を、ケーシング6U、6Dに、高精度に取り付けることができる。
(クラッチ機構8の説明)
クラッチ機構8は、図5、図6に示すように、ケーシング6U、6Dに取り付けられかつケーシング6U、6D内に収容されている。クラッチ機構8は、クラッチシャフト80と、第1クラッチとしての第1クラッチギヤ81と、第2クラッチとしての第2クラッチギヤ82およびクラッチ86と、複数枚この例では2枚のワッシャ83と、コイル状のクラッチスプリング84と、Cリング85と、を有する。
なお、この例の第2クラッチは、第2クラッチギヤ82とクラッチ86とをそれぞれ別個に構成したものである。第2クラッチギヤ82とクラッチ86とは、相互に回転不可能に嵌合されている。しかしならが、第2クラッチとして、第2クラッチギヤ82とクラッチ86とを一体に構成したものであっても良い。
クラッチシャフト80の下端は、下側ケーシング6Dに取り付けられている。クラッチシャフト80の中心線(以下、「軸心線」と称する)O1は、シャフト3すなわち回転中心線Oに対して平行もしくはほぼ平行である。
クラッチシャフト80には、下から上に順に、クラッチスプリング84、第1クラッチギヤ81、クラッチ86、第2クラッチギヤ82、2枚のワッシャ83およびCリング85が外側から嵌合されている。これにより、クラッチ機構8は、クラッチシャフト80の下端フランジ部からクラッチシャフト80の上端のCリング85までの間において、1つのユニットとして構成される。第2クラッチギヤ82には、第2ウォームギヤ72が噛み合っている。
第1クラッチギヤ81の上面には、複数個この例では3個のノッチ凸部が、軸心線O1回りの円周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に設けられている。クラッチ86の下面には、複数個この例では3個のノッチ凹部が、軸心線O1回りの円周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に、第1クラッチギヤ81の3個のノッチ凸部に対応して設けられている。なお、第1クラッチギヤ81にノッチ凹部を設け、クラッチ86にノッチ凸部を設けても良い。また、第2クラッチとしての第2クラッチギヤ82とクラッチ86とが一体の場合には、第2クラッチギヤ82にノッチ凹部またはノッチ凸部を設ける。
第1クラッチギヤ81のノッチ凸部とクラッチ86のノッチ凹部とは、通常の時には、クラッチスプリング84のばね力により嵌合していて継状態にあり、モータ7Mの回転力では外れず、モータ7Mの回転力を減速機構7を介して回転力伝達機構9に伝達する。また、第1クラッチギヤ81のノッチ凸部とクラッチ86のノッチ凹部とは、モータ7Mの回転力よりも大きい外部からの力が視認アセンブリ4に加わった時には、クラッチスプリング84のばね力に抗して嵌合状態が外れて断状態となって、モータ7Mの回転力よりも大きい外部からの力を減速機構7に伝達させず、視認アセンブリ4を回転させる。
なお、この例のクラッチ機構8の全部が、ケーシング6U、6D内に収容されている。しかしながら、クラッチ機構8の一部、たとえば、クラッチシャフト80の一部やクラッチスプリング84を、ケーシング6U、6Dの外側に配置させても良い。
(回転力伝達機構9の説明)
回転力伝達機構9は、図5、図6に示すように、シャフト3に取り付けられていてかつケーシング6U、6D内に収容されている。回転力伝達機構9は、モータ7Mの回転力を減速機構7およびクラッチ機構8を介してケーシング6U、6Dに伝達して、視認アセンブリ4を使用位置Aと後方格納位置Bとの間において回転させる。
回転力伝達機構9は、ワッシャ90と、第1リフト部材としてのリフトギヤ91と、第2リフト部材としてのリフトホルダ92と、Cリング93と、を有する。リフトギヤ91の中央には、円形の透孔が設けられている。リフトホルダ92の中央には、ほぼ八角形(セレーションやスプラインでも良い)の透孔が設けられている。
ワッシャ90は、シャフト3の軸部30に上側から嵌合されている。リフトギヤ91は、ワッシャ90の上において、シャフト3の軸部30に上側から、回転中心線O回りに回転可能であり、かつ、回転中心線O方向に移動可能に嵌合されている。リフトホルダ92は、リフトギヤ91の上において、シャフト3の軸部30の係合部33に外側から、回転中心線O回りに回転不可能であり、かつ、回転中心線O方向に移動可能に嵌合されている。Cリング93は、リフトホルダ92の上において、シャフト3の軸部30の係止溝34に外側から嵌合されている。
ワッシャ90、リフトギヤ91、リフトホルダ92およびCリング93は、ケーシング6U、6D内に収容されている。リフトギヤ91には、第2クラッチギヤ82が噛み合っている。
リフトギヤ91の上面には、複数個この例では5個のガタ止め部としてのガタ止め凸部(ノッチ凸部)910が、回転中心線O回りの円周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に設けられている。リフトホルダ92の下面には、複数個この例では5個のガタ止め部としてのガタ止め凹部(ノッチ凹部)920が、回転中心線O回りの円周方向に等間隔もしくはほぼ等間隔に、リフトギヤ91の5個のガタ止め凸部910に対応して設けられている。
ガタ止め凸部910とガタ止め凹部920とは、視認アセンブリ4が使用位置Aまたは後方格納位置Bに位置した時に、リフトギヤ91に加わるモータ7Mの回転力によるシャフト3の回転方向(回転中心線O回り)の力を、シャフト3の軸方向とシャフト3の回転方向とに分散させるものである。これにより、シャフト3の軸部30において、シャフト3の軸方向のガタとシャフト3の回転方向のガタとを止めることができる。
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。なお、図6において、破線矢印の方向は、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bに回転する時(後方格納時)において、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9の構成部品が回転する方向を示す。また、図6において、実線矢印の方向は、視認アセンブリ4が後方格納位置Bから使用位置Aに回転する時(復帰時)において、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9の構成部品が回転する方向を示す。
(使用位置Aの説明)
視認アセンブリ4が図2に示す使用位置Aに位置する時の主要部品について説明する。まず、図9に示すように、ストッパ機構としてのスプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sは、シャフト3のストッパ機構としての電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351に当接している。また、クラッチ機構8において、第1クラッチとしての第1クラッチギヤ81のノッチ凸部と第2クラッチとしてのクラッチ86のノッチ凹部とは、クラッチスプリング84のばね力により相互に嵌合していて継状態にある。さらに、回転力伝達機構9において、第1リフト部材としてのリフトギヤ91は、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81の回転力により締め付けられている。この回転力とは、図6中の軸心線O1(以下、単に「軸心線O1」と称する)を中心とする時計方向(実線矢印方向)の回転力である。
この結果、リフトギヤ91には、シャフト3の回転方向の力が加わっている。このシャフト3の回転方向の力とは、図6中の回転中心線O(以下、単に「回転中心線O」と称する)を中心とする反時計方向(実線矢印方向)の力である。これにより、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面は、第2リフト部材としてのリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面を、シャフト3の軸方向(回転中心線O方向)の上方向(実線矢印方向)に押し上げている。この状態において、回転力伝達機構9のリフトギヤ91とリフトホルダ92とは、シャフト3の軸方向のガタと回転方向のガタとが止められた状態、すなわち、固定保持状態にある。
(電動による後方格納の説明)
視認アセンブリ4が図2に示す使用位置Aに位置する時に、モータ7Mの駆動軸を正回転(もしくは逆回転)させて、減速機構7の第1ウォームギヤ71を図6中の破線矢印方向に回転させる。すると、減速機構7の第1ウォームギヤ71、ヘリカルギヤ73、第2ウォームギヤ72を介して、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81、クラッチ86および第2クラッチとしての第2クラッチギヤ82は、軸心線O1を中心とする反時計方向(破線矢印方向)に回転する。
これに伴って、回転力伝達機構9において、リフトギヤ91がリフトホルダ92に対して回転中心線Oを中心とする時計方向(破線矢印方向)に回転して、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面がリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面に当たって、リフトギヤ91の回転が停止する。
なお、リフトホルダ92は、シャフト3の軸部30に対して、回転中心線O回りに回転不可能であり、かつ、回転中心線O方向に移動可能である。このため、リフトホルダ92は、リフトギヤ91が回転している間、回転しないで、シャフト3の軸方向(回転中心線O方向)の下方向(実線矢印に対して反対方向)に自重で下がる。また、ケーシング6U、6およびスプリング部材9Sは、モータ7Mの正回転からリフトギヤ91の回転停止までの間、回転しない。
リフトギヤ91の回転が停止すると、シャフト3からの反力が発生する。このため、第1クラッチギヤ81、クラッチ86および第2クラッチギヤ82は、軸心線O1を中心とする反時計方向に自転回転しつつ、回転中心線O回りに、反時計方向に公転回転する。これにより、第1クラッチギヤ81、クラッチ86および第2クラッチギヤ82は、クラッチシャフト80およびケーシング6U、6Dを、回転中心線O回りに、反時計方向に押圧する。
この結果、視認アセンブリ4は、使用位置Aから後方格納位置Bに電動回転する。このとき、ケーシング6U、6Dおよびスプリング部材9Sは、回転中心線O回りに、反時計方向に回転し、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sは、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351から離れる。
視認アセンブリ4が図2に示す後方格納位置Bに位置したところで、図10に示すように、スプリング部材9Sの当接部93Sの第2当接面92Sは、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352に当接する。それと同時に、下側ケーシング6Dの格納作動範囲規制凸部65Dの第1当接面61Dは、シャフト3の格納作動範囲規制凸部36の第1当接面361に当接する。すなわち、この例においては、格納作動範囲であって、視認アセンブリ4の使用位置Aから後方格納位置Bへの後方格納作動範囲を2重に規制する。
ここで、スプリング部材9Sの第2当接面92Sとシャフト3の第2当接面352とが当接するまでの間、クラッチ機構8のクラッチスプリング84の荷重の負荷がほとんどかからいない。このため、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bまで回転する作動には、負荷がほとんどかからない。この結果、モータ7Mに流れる電流は小さく、モータ7Mから出力されているトルクも小さい。
そして、第2当接面92S、352の当接で、減速機構7の回転が中止することにより、モータ7Mがストールし、ロック電流が流れて、モータ7Mのトルクが最大のトルクとして出力される。すると、スイッチ回路70Mの作用により、モータ7Mの正回転が停止して、視認アセンブリ4は、後方格納位置Bに停止して位置する。
この時、モータ7Mの最大動力(ストールトルク)により、回転力伝達機構9において、リフトギヤ91は、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81の回転力(軸心線O1を中心とする反時計方向の回転力)により締め付けられている。この結果、リフトギヤ91には、シャフト3の回転方向の力(回転中心線Oを中心とする時計方向の力)が加わっている。これにより、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面は、リフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面を、シャフト3の軸方向(回転中心線O方向)の上方向に押し上げている。
この状態において、回転力伝達機構9のリフトギヤ91とリフトホルダ92とは、シャフト3の軸方向のガタと回転方向のガタとが止められた状態、すなわち、固定保持状態にある。この固定保持のギヤ締結状態は、振動等により発生する緩みがリフトギヤ91からクラッチ機構8を介して第2ウォームギヤ72へ伝わるが、第2ウォームギヤ72および第2クラッチギヤ82のセルフロック効果により緩みを防止している。
(電動による使用位置復帰の説明)
視認アセンブリ4が後方格納位置Bに位置する時に、モータ7Mの駆動軸を逆回転(もしくは正回転)させる。すると、前記の電動による後方格納の時と逆に、減速機構7を介して、第1クラッチギヤ81、クラッチ86および第2クラッチギヤ82は、軸心線O1を中心とする時計方向に回転する。
これに伴って、リフトギヤ91がリフトホルダ92に対して回転中心線Oを中心とする反時計方向に回転して、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面がリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面に当たって、リフトギヤ91の回転が停止する。なお、ケーシング6U、6およびスプリング部材9Sは、モータ7Mの逆回転からリフトギヤ91の回転停止までの間、回転しない。
リフトギヤ91の回転が停止すると、シャフト3からの反力が発生する。このため、第1クラッチギヤ81、クラッチ86および第2クラッチギヤ82は、軸心線O1を中心とする時計方向に自転回転しつつ、回転中心線O回りに、時計方向に公転回転する。これにより、第1クラッチギヤ81、クラッチ86および第2クラッチギヤ82は、クラッチシャフト80およびケーシング6U、6Dを、回転中心線O回りに、時計方向に押圧する。
この結果、視認アセンブリ4は、後方格納位置Bから使用位置Aに電動回転する。このとき、ケーシング6U、6Dおよびスプリング部材9Sは、回転中心線O回りに、時計方向に回転し、スプリング部材9Sの当接部93Sの第2当接面92Sは、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352から離れる。
視認アセンブリ4が図2に示す使用位置Aに位置したところで、図9に示すように、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sは、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351に当接する。この第1当接面91S、351の相互当接までの間、クラッチ機構8のクラッチスプリング84の荷重の負荷がほとんどかからいない。このため、視認アセンブリ4が後方格納位置Bから使用位置Aまで回転する作動には、負荷がほとんどかからない。この結果、モータ7Mに流れる電流は小さく、モータ7Mから出力されているトルクも小さい。
そして、第1当接面91S、351の当接で、減速機構7の回転が中止することにより、モータ7Mがストールし、ロック電流が流れて、モータ7Mのトルクが最大のトルクとして出力される。すると、スイッチ回路70Mの作用により、モータ7Mの逆回転が停止して、視認アセンブリ4は、使用位置Aに復帰しかつ停止して位置する。
この時、モータ7Mの最大動力(ストールトルク)により、回転力伝達機構9において、リフトギヤ91は、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81の回転方向の力(軸心線O1を中心とする時計方向の回転力)により締め付けられている。この結果、リフトギヤ91には、シャフト3の回転方向の力(回転中心線Oを中心とする反時計方向の力)が加わっている。これにより、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面は、リフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面を、シャフト3の軸方向(回転中心線O方向)の上方向に押し上げている。
この状態において、回転力伝達機構9のリフトギヤ91とリフトホルダ92とは、シャフト3の軸方向のガタと回転方向のガタとが止められた状態、すなわち、固定保持状態にある。この固定保持のギヤ締結状態は、振動等により発生する緩みがリフトギヤ91からクラッチ機構8を介して第2ウォームギヤ72へ伝わるが、第2ウォームギヤ72および第2クラッチギヤ82のセルフロック効果により緩みを防止している。
(手動による後方格納の説明)
手動により、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4を車両Vの後方Eに回転させようとする。すると、視認アセンブリ4のハウジング4Hを介して、電動格納ユニット6のケーシング6U、6Dには、回転中心線Oを中心とする反時計方向の回転力が加わる。このため、ケーシング6U、6Dを介して、電動格納ユニット6のモータ7M、減速機構7およびクラッチ機構8(以下、「ケーシング6U、6Dに取り付けられている構成部品7M、7、8)と称する)は、回転中心線Oを中心とする反時計方向に回転しようとする。
この時、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81は、回転力伝達機構9のリフトギヤ91に噛み合っている。また、回転力伝達機構9において、リフトギヤ91は、リフトホルダ92を介して、シャフト3に回転不可能に固定されている。このため、第1クラッチギヤ81は、リフトギヤ91に噛み合いながら、クラッチシャフト80と共に、軸心線O1を中心とする反時計方向に自転回転しようとする。
ここで、第1クラッチギヤ81のノッチ凸部は、クラッチスプリング84のスプリング力により、クラッチ86のノッチ凹部に嵌合している。クラッチ86は、第2クラッチギヤ82に、軸心線O1回りに回転不可能に嵌合されている。第2クラッチギヤ82は、減速機構7の第2ウォームギヤ72に噛み合っている。この第2ウォームギヤ72および第2クラッチギヤ82のセルフロック効果により、視認アセンブリ4を車両Vの後方Eに回転させようとする外力による第2クラッチギヤ82側の力では、視認アセンブリ4を車両Vの後方Eに回転させることができない。
さらに、視認アセンブリ4を車両Vの後方Eに回転させようとする大きな力、たとえば、モータ7Mから伝達された回転力よりも大きい回転力を加える。すると、相互に嵌合している第1クラッチギヤ81のノッチ凸部の斜面およびクラッチ86のノッチ凹部の斜面の分力により、第1クラッチギヤ81を介して、クラッチスプリング84は、スプリング力に抗して、軸心線O1方向に圧縮する。このクラッチスプリング84の圧縮により、第1クラッチギヤ81は、ノッチ凸部の斜面およびノッチ凹部の斜面に沿って、軸心線O1方向の下方向に下がる。この結果、第1クラッチギヤ81は、軸心線O1を中心とする反時計方向に自転回転しつつ、回転中心線O回りに、反時計方向に公転回転する。
そして、第1クラッチギヤ81のノッチ凸部とクラッチ86のノッチ凹部との嵌合が完全に外れる。すると、ノッチ凸部とノッチ凹部との嵌合による回転負荷が低下して、視認アセンブリ4は、低い荷重(回転力)により、後方に格納される。視認アセンブリ4は、使用位置Aから後方に後方回転格納角度θB分回転したところで、図10に示すように、下側ケーシング6Dの格納作動範囲規制凸部65Dの第1当接面61Dは、シャフト3の格納作動範囲規制凸部36の第1当接面361に当接する。これにより、視認アセンブリ4の後方への回転が停止して、視認アセンブリ4は、後方格納位置Bに位置して、車両Vの後方Eに格納される。
なお、この時、図10に示すように、スプリング部材9Sの当接部93Sの第2当接面92Sは、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第2当接面352に当接している。このように、この例においては、格納作動範囲であって、視認アセンブリ4の使用位置Aから後方格納位置Bへの後方格納作動範囲を2重に規制する。
(手動による使用位置復帰の説明)
手動により視認アセンブリ4を車両Vの後方Eに回転させて後方格納位置Bに位置させた後に、後方格納位置Bに位置する視認アセンブリ4を手動により使用位置Aに回転させる。すると、前記の手動による後方格納の時と逆に、視認アセンブリ4のハウジング4Hを介して、電動格納ユニット6のケーシング6U、6Dには、回転中心線Oを中心とする時計方向の回転力が加わる。このため、ケーシング6U、6Dを介して、ケーシング6U、6Dに取り付けられている構成部品7M、7、8は、回転中心線Oを中心とする時計方向に回転する。
この時、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81は、回転力伝達機構9のリフトギヤ91に噛み合っている。このため、リフトギヤ91は、回転中心線Oを中心とする時計方向に、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面がリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面に当たるまで、回転する。なお、この間において、第1クラッチギヤ81は、リフトギヤ91と共に回転中心線Oを中心とする時計方向に回転するので、クラッチシャフト80に対して、軸心線O1を中心とする時計方向に回転しない。
さらに、視認アセンブリ4を手動により後方格納位置Bから使用位置Aに回転させる。すると、ケーシング6U、6Dに取り付けられている構成部品7M、7、8は、回転中心線Oを中心とする時計方向にさらに回転する。一方、リフトギヤ91の軸心線O1を中心とする時計方向の回転は、リフトギヤ91のガタ止め凸部910とリフトホルダ92のガタ止め凹部920との当接により制止されている。このため、第1クラッチギヤ81は、回転中心線O回りに時計方向に公転回転しつつ、クラッチシャフト80に対して、軸心線O1を中心とする時計方向に自転回転する。
そして、図9に示すように、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sがシャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351に当接するまで、視認アセンブリ4は、回転して、使用位置Aに停止して復帰する。視認アセンブリ4が復帰した時点では、第1クラッチギヤ81と第2クラッチギヤ82との軸心線O1回りにおいては、後方格納位置Bに停止している視認アセンブリ4を使用位置Aに回転させた時の第1クラッチギヤ81の軸心線O1回りの不回転によるわずかなずれが残っている。
しかしながら、このわずかなずれは、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部の傾斜面と第2クラッチギヤ82のノッチ凸部の傾斜面との範囲内である。このため、クラッチスプリング84のばね力により、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部と第2クラッチギヤ82のノッチ凸部とは、相互に嵌合して、クラッチ機構8は、元の継状態となる。これに伴って、リフトギヤ91は、回転中心線Oを中心とする反時計方向に、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面がリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面に当たるまで、回転する。この結果、回転力伝達機構9は、視認アセンブリ4が使用位置Aに位置する時の元の状態にある。すなわち、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面は、リフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面を、シャフト3の軸方向(回転中心線O方向)の上方向に押し上げている。
(手動による前方格納の説明)
視認アセンブリ4が使用位置Aに位置する時、ケーシング6U、6Dに取り付けられている減速機構7の第2ウォームギヤ72は、モータ7Mの回転力以外の外からの力では回転しない。この第2ウォームギヤ72に回転連動する第2クラッチギヤ82のノッチ凸部には、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部が嵌合している。この第1クラッチギヤ81は、リフトギヤ91に噛み合っている。ここで、手動により、使用位置Aに位置する視認アセンブリ4を車両Vの前方Fに回転させる。
すると、スプリング部材9Sの当接部93Sの頂点部分は、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351により、シャフト3の軸方向に対して交差する方向(図15(A)中の実線矢印方向)に押圧される。このシャフト3の軸方向に対して交差する方向とは、回転中心線Oを中心とする円の径方向である。
さらに、強い力により、視認アセンブリ4を車両Vの前方Fに回転させる。すると、スプリング部材9Sの当接部93Sの頂点部分は、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351の傾斜面に沿って、回転中心線Oから外側に向かって弾性変形していく。この時に、ケーシング6U、6Dに取り付けられている構成部品7M、7、8および回転力伝達機構9は、回転中心線Oを中心とする時計方向に回転し始める。
視認アセンブリ4の回転が進み、図11に示すように、スプリング部材9Sの当接部93Sの頂点部分は、シャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351を乗り上がる。この時、スプリング部材9Sの中間部分の当接部93Sは、図11中の実線矢印に示すように、外側に弾性変形する。一方、スプリング部材9Sの両端部分の保持部90Sは、図11中の実線矢印に示すように、中間部分の当接部93S側に引っ張られてずれる。このように、スプリング部材9Sにおいて、保持部90Sから当接部93Sまでの間の部分を含む全体が、シャフト3の軸方向に対して交差する方向、すなわち、回転中心線Oを中心とする円の径方向に弾性変形する。この結果、電動格納ユニット6全体がシャフト3に対して上側に持ち上がらない。
その後、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面がリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面に当たるまで、ケーシング6U、6Dに取り付けられている構成部品7M、7、8および回転力伝達機構9は、回転中心線Oを中心とする時計方向に回転する。リフトギヤ91のガタ止め凸部910がリフトホルダ92のガタ止め凹部920に当たって、リフトギヤ91の回転が止まる。すると、リフトギヤ91に噛み合っている第1クラッチギヤ81は、クラッチシャフト80と共に、軸心線O1を中心とする時計方向に自転回転しようとする。
ここで、前記の手動による後方格納の説明と同様に、さらに、視認アセンブリ4を車両Vの前方Fに回転させようとする大きな力、たとえば、モータ7Mから伝達された回転力よりも大きい回転力を加える。すると、相互に嵌合している第1クラッチギヤ81のノッチ凸部の斜面およびクラッチ86のノッチ凹部の斜面の分力により、第1クラッチギヤ81を介して、クラッチスプリング84は、スプリング力に抗して、軸心線O1方向に圧縮する。このクラッチスプリング84の圧縮により、第1クラッチギヤ81は、ノッチ凸部の斜面およびノッチ凹部の斜面に沿って、軸心線O1方向の下方向に下がる。この結果、第1クラッチギヤ81は、軸心線O1を中心とする時計方向に自転回転しつつ、回転中心線O回りに、時計方向に公転回転する。
そして、第1クラッチギヤ81のノッチ凸部とクラッチ86のノッチ凹部との嵌合が完全に外れる。すると、ノッチ凸部とノッチ凹部との嵌合による回転負荷が低下して、視認アセンブリ4は、低い荷重(回転力)により、前方に格納される。視認アセンブリ4は、使用位置Aから前方に前方回転格納角度θC分回転したところで、図12に示すように、下側ケーシング6Dの格納作動範囲規制凸部65Dの第2当接面62Dは、シャフト3の格納作動範囲規制凸部36の第2当接面362に当接する。これにより、視認アセンブリ4の前方への回転が停止して、視認アセンブリ4は、前方格納位置Cに位置して、車両Vの前方Fに格納される。
(手動による使用位置復帰の説明)
手動により視認アセンブリ4を車両Vの前方Fに格納させた後に、前方格納位置Cに位置する視認アセンブリ4を手動により使用位置Aに回転させる。すると、前記の手動による前方格納の時と逆に、ケーシング6U、6Dに取り付けられている構成部品7M、7、8は、回転中心線Oを中心とする反時計方向に回転する。
この時、クラッチ機構8の第1クラッチギヤ81は、回転力伝達機構9のリフトギヤ91に噛み合っている。このため、リフトギヤ91は、回転中心線Oを中心とする反時計方向に、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面がリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面に当たるまで、回転する。なお、この間において、第1クラッチギヤ81は、リフトギヤ91と共に回転中心線Oを中心とする反時計方向に回転するので、クラッチシャフト80に対して、軸心線O1を中心とする反時計方向に回転しない。
さらに、視認アセンブリ4を手動により前方格納位置Cから使用位置Aに回転させる。すると、ケーシング6U、6Dに取り付けられている構成部品7M、7、8は、回転中心線Oを中心とする反時計方向にさらに回転する。一方、リフトギヤ91の軸心線O1を中心とする反時計方向の回転は、リフトギヤ91のガタ止め凸部910とリフトホルダ92のガタ止め凹部920との当接により制止されている。このため、第1クラッチギヤ81は、回転中心線O回りに反時計方向に公転回転しつつ、クラッチシャフト80に対して、軸心線O1を中心とする反時計方向に自転回転する。
そして、図9に示すように、スプリング部材9Sの当接部93Sの第1当接面91Sがシャフト3の電動作動範囲規制凸部35の第1当接面351に当接するまで、視認アセンブリ4は、回転して、使用位置Aに停止して復帰する。視認アセンブリ4が復帰した時点では、第1クラッチギヤ81と第2クラッチギヤ82との軸心線O1回りにおいては、前方格納位置Cに停止している視認アセンブリ4を使用位置Aに回転させた時の第1クラッチギヤ81の軸心線O1回りの不回転によるわずかなずれが残っている。
しかしながら、このわずかなずれは、前記の手動による使用位置復帰の説明と同様に、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部の傾斜面と第2クラッチギヤ82のノッチ凸部の傾斜面との範囲内である。このため、クラッチスプリング84のばね力により、第1クラッチギヤ81のノッチ凹部と第2クラッチギヤ82のノッチ凸部とは、相互に嵌合して、クラッチ機構8は、元の継状態となる。これに伴って、リフトギヤ91は、回転中心線Oを中心とする時計方向に、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面がリフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面に当たるまで、回転する。この結果、回転力伝達機構9は、視認アセンブリ4が使用位置Aに位置する時の元の状態にある。すなわち、リフトギヤ91のガタ止め凸部910の傾斜側面は、リフトホルダ92のガタ止め凹部920の傾斜側面を、シャフト3の軸方向(回転中心線O方向)の上方向に押し上げている。
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、寸法を小さくすることができ、かつ、部品点数を少なくすることができる。以下、詳細に説明する。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、スプリング部材9Sを、シャフト3の軸方向に対して交差する方向において、相互に対向するシャフト3と下側ケーシング6Dとの間であって、シャフト3の周囲に、配置するものである。すなわち、スプリング部材9Sは、回転中心線Oを中心とする円の径方向において、相互に対向するシャフト3の軸部30と下側ケーシング6Dの保持部64Dとの間であって、シャフト3の軸部30の周囲に、配置されている。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、シャフト3の軸方向の寸法を、特許文献1の車両用視認装置および特許文献2の電動可倒式ドアミラーに比較して、小さくすることができる。また、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、シャフト3の軸方向に対して交差する方向の寸法を、特許文献3の自動車用ドアミラーに比較して、小さくすることができる。
しかも、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bと反対側すなわち前方格納位置Cに回転する時に、スプリング部材9S全体がシャフト3の軸方向に対して交差する方向に弾性変形するものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、シャフト3の軸方向の寸法をさらに小さくすることができる。
このように、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、寸法、すなわち、視認アセンブリ4の寸法を小さくすることができる。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、空気抵抗による燃費が改善され、デザイン性が向上され、後方車両からこの車両Vを通しての前方視界が改善され、使用状態において障害物が衝突する割合が低減される。
また、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、コイルスプリング以外に、円錐状凹体、一対の円錐状凸体およびスライド体を必要とする特許文献3の自動車用ドアミラーに比較して、部品点数を少なくすることができる。
さらに、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、前記の通り、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bと反対側すなわち前方格納位置Cに回転する時に、スプリング部材9S全体がシャフト3の軸方向に対して交差する方向に弾性変形するものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、電動格納ユニット6全体がシャフト3に対して上側に持ち上がらない。これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、異物が電動格納ユニット6とシャフト3と間に入り込むのを減らすことができる。このため、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、電動格納ユニット6すなわち視認アセンブリ4がスムーズに回転することができ、しかも、構成部品の耐久性が向上される。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、電動格納ユニット6が視認アセンブリ4のハウジング4H内に収容されていて、電動格納ユニット6のケーシング6U、6Dがハウジング4Hに固定されている。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、ケーシング6U、6Dがハウジング4H内のブラケットを兼用することができる。これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、補強用のブラケットが不要となり、その分、部品点数を軽減することができ、視認アセンブリ4の軽量化を図ることができ、かつ、製造コストを安価にすることができる。
また、この実施形態1にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、モータ7M、減速機構7、クラッチ機構8および回転力伝達機構9が、シャフト3の軸方向(回転中心線O方向)に対して交差する方向(直交もしくはほぼ直交する方向)に配置されている。この結果、この実施形態1にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4のシャフト3の軸方向の寸法(上下方向の寸法)を小さくできる。
しかも、この実施形態1にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1において、モータ7Mの駆動軸の軸方向をシャフト3の軸方向に対して交差させることにより、視認アセンブリ4のシャフト3の軸方向の寸法をさらに小さくできる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、ストッパ機構のスプリング部材9Sが、下側ケーシング6Dに保持されている保持部90Sと、シャフト3に当接している当接部93Sと、を有し、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bと反対側すなわち前方格納位置Cに回転する時に、スプリング部材9S全体がシャフト3の軸方向に対して交差する方向に弾性変形するものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、スプリング部材9Sの一部分に大きな応力集中が発生するのを防ぐことができ、スプリング部材9Sの耐久性を向上させることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、ストッパ機構のスプリング部材9Sが、2個の板ばねから構成されていて、板厚方向がシャフト3の軸方向に対して交差する方向に一致する。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、スプリング部材9S全体がシャフト3の軸方向に対して交差する方向に弾性変形するものに適している。しかも、シャフト3の軸方向に対して交差する方向の寸法を小さくすることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、回転力伝達機構9において、視認アセンブリ4が使用位置Aまたは後方格納位置Bに位置した時に、リフトギヤ91に加わるモータ7Mから伝達される回転力であって、リフトギヤ91を回転中心線O(シャフト3の軸部30の中心線)回りに回転させようとする力を、リフトギヤ91のガタ止め凸部910とリフトホルダ92のガタ止め凹部920とにより、シャフト3の軸方向と回転方向とに分散させる。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、モータ7Mの最大動力(ストールトルク)を利用して、シャフト3の軸方向と回転方向とに締め付けることができるので、視認アセンブリ4の回転部である回転力伝達機構9において、シャフト3の軸方向のガタと回転方向のガタとを止めることができる。
しかも、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、回転力伝達機構9により、コイルスプリングを使用しないで、リフトギヤ91に加わるモータ7Mから伝達される回転力すなわちモータ7Mの最大動力(ストールトルク)を利用して、視認アセンブリ4の回転部におけるシャフト3の軸方向のガタと回転方向のガタとを止めることができるものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、シャフト3にコイルスプリングを装備する必要がない分、シャフト3の軸方向の寸法をさらに小さくでき、部品点数を軽減できる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、軸心線(クラッチシャフト80の中心線)O1が回転中心線(シャフト3の軸部30の中心線)Oに対して平行もしくはほぼ平行であるクラッチシャフト80に第1クラッチギヤ81、第2クラッチギヤ82およびクラッチスプリング84を設けたものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、シャフト3にクラッチ用のコイルスプリングなどのスプリングを設定する必要が無いので、シャフト3の軸方向の寸法をさらに小さくすることができる。
しかも、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4の回転中心となるシャフト3と別個にクラッチ機構8を設けたものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、クラッチ機構8のクラッチスプリング84が、クラッチトルク専用となり、視認アセンブリ4のブレ(シャフト3の軸方向のガタと回転方向のガタ)を抑えるトルクを必要としない。これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、クラッチスプリング84のスプリング荷重を低く抑えることができ、その分、第1クラッチギヤ81と第2クラッチギヤ82との回転負荷、しいては、視認アセンブリ4の回転負荷を低く抑えることができる。
このように、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、回転負荷を小さくできることにより、クラッチ機構8を小さい力で作動させることができる。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、モータ7Mの出力を小さくでき、クラッチ機構8の構成部品の耐久性を向上させることができる。すなわち、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、モータ7Mおよびクラッチ機構8の構成部品において、同耐久性(同寿命)であれば、安価な材料を使用でき、かつ、小型化ができ、一方、同材料であれば、高耐久性(高寿命)が可能である。
その上、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4を回転可能に取り付けるシャフト3と、視認アセンブリ4の破損等を防止するクラッチ機構8のクラッチシャフト80とを、相互に平行もしくはほぼ平行にそれぞれ別個に分割するものである。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認アセンブリ4のシャフト3の軸方向の寸法を、シャフトとクラッチシャフトとを1本の軸部材で共有する電動格納式車両用画像表示装置に対して、小さくすることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、視認ユニット5が車両Vの周辺を撮像する撮像装置であるから、撮像装置である視認ユニット5を電動格納ユニット6と共に収容する視認アセンブリ4のハウジング4Hの寸法、すなわち、視認アセンブリ4のシャフト3の軸方向の寸法を、ミラーを使用するアウトサイドミラー装置と比較して、確実に小さくすることができる。
この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、撮像装置である視認ユニット5で撮像された車両Vの後方および側方の情報の画像を表示装置5M、5ML、5MRに表示することができる。この結果、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、ドライバーが表示装置5M、5ML、5MRに表示された画像を視認して、車両Vの後方および側方を視認することができる。これにより、この実施形態にかかる電動格納式車両用周辺視認装置1は、ミラーと同様に、交通安全に貢献することができる。
(スプリング部材の変形例の説明)
以下、スプリング部材の変形例について、図15(C)、(D)、(E)を参照して説明する。図15(C)、(D)、(E)中、図15(A)、(B)と同符号は、同一のものを示す。
図15(C)は、変形例1のスプリング部材9SCを示す斜視図である。変形例1のスプリング部材9SCは、前記の実施形態にかかるスプリング部材9Sが2個の板ばねから構成されているのに対して、1個の板ばねから構成されている。すなわち、変形例1のスプリング部材9SCは、2個の板ばね(すなわち、前記の実施形態にかかるスプリング部材9S)の一端を、弾性接続部94Sを介して接続してなるものである。
この変形例1のスプリング部材9SCは、前記の実施形態にかかるスプリング部材9Sと同様の作用効果を達成することができる。しかも、この変形例1のスプリング部材9SCは、1個の板ばねから構成されているので、部品点数および組み付け工程数を軽減でき、かつ、製造コストを安価にできる。
図15(D)は、変形例2のスプリング部材9SDを示す斜視図である。変形例2のスプリング部材9SDは、前記の実施形態にかかるスプリング部材9Sが2個の板ばねから構成されているのに対して、2個の線ばねから構成されている。
この変形例2のスプリング部材9SDは、前記の実施形態にかかるスプリング部材9Sと同様の作用効果を達成することができる。しかも、この変形例2のスプリング部材9SDは、2個の線ばねから構成されているので、寸法を小さくできる。
図15(E)は、変形例3のスプリング部材9SEを示す斜視図である。変形例3のスプリング部材9SEは、前記の実施形態にかかるスプリング部材9Sが2個の板ばねから構成されているのに対して、1個の線ばねから構成されている。
この変形例3のスプリング部材9SEは、前記の実施形態にかかるスプリング部材9Sと同様の作用効果を達成することができる。しかも、この変形例3のスプリング部材9SEは、1個の線ばねから構成されているので、部品点数および組み付け工程数を軽減でき、かつ、製造コストを安価にでき、その上、寸法を小さくできる。
(実施形態、変形例以外の例の説明)
なお、前記の実施形態において、ストッパ機構のスプリング部材9Sにおいて、保持部90Sが下側ケーシング6Dに保持されていて、当接部93Sがシャフト3に当接しているものである。しかしながら、この発明においては、保持部90Sがシャフト3に、または、ケーシング6U、6Dおよびシャフト3の双方に、保持されていて、当接部93Sがケーシング6U、6Dに、または、シャフト3およびケーシング6U、6Dの双方に当接しているものであっても良い。
また、前記の実施形態において、ストッパ機構のスプリング部材9Sの当接部93Sが内側に突出していて、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bと反対側すなわち前方格納位置Cに回転する時に、当接部93Sが外側に弾性変形するものである。しかしながら、この発明においては、当接部93Sが外側に突出していて、視認アセンブリ4が使用位置Aから後方格納位置Bと反対側すなわち前方格納位置Cに回転する時に、当接部93Sが内側に弾性変形するものである。
なお、この発明は、前記の実施形態、変形例により限定されるものではない。たとえば、前記の実施形態における減速機構7、クラッチ機構8、回転力伝達機構9などは、この出願人が先に出願した特願2017-149747に記載の減速機構、クラッチ機構、回転力伝達機構などを使用しても良い。また、前記の実施形態、変形例におけるスプリング部材9S、9SC、9SD、9SE以外のスプリング部材を使用しても良い。