沸騰水型原子力プラントでは、例えば、冷却水喪失事故が発生した場合に原子炉圧力容器内の炉心、すなわち、炉心に装荷されている、核燃料を含む燃料集合体を冷却するために、非常炉心冷却装置を備えている。この非常用炉心冷却装置の一例が特開昭62−217193号公報に記載されています。非常用炉心冷却装置は、原子炉格納容器内の圧力抑制プールの冷却水を、原子炉圧力容器内の炉心に供給する高圧炉心冷却装置及び低圧炉心冷却装置を備えている。高圧炉心冷却装置及び低圧炉心冷却装置は、圧力抑制プール内の冷却水の替りに、復水貯蔵タンク内の冷却水を炉心に供給できる構成を有する。
また、沸騰水型原子力プラントでは、タービンから排出された蒸気を復水器で冷却して凝縮している。蒸気の凝縮により生成された復水器内の水は、給水として、給水配管を通して原子炉圧力容器内に供給される。復水器では、伝熱管内に海水を供給し、伝熱管内の海水によりその蒸気を凝縮している。イオン交換樹脂を充填している復水脱塩装置が給水配管に設けられる。
この復水脱塩装置は、特開平6−170361号公報に記載されているように、海水を供給する、復水器内の伝熱管が損傷して海水が伝熱管から漏洩した場合に、海水成分を除去する。このため、復水器の伝熱管から復水器内に漏洩した海水成分の原子炉圧力容器内への流入が阻止される。
加圧水型原子力プラントにおいても、復水器の伝熱管から海水が漏えいしたときの対策案が提案されている(特開2009−162514号公報参照)。この加圧水型原子力プラントでは、蒸気発生器で発生した蒸気が蒸気管を通してタービンに供給され、タービンから排出された蒸気が復水器で凝縮される。この凝縮で得られた水が、給水として、給水配管を通して蒸気発生器に供給される。復水器から蒸気発生器に供給される給水の一部が復水脱塩装置に供給される。上記の加圧水型原子力プラントには、補給水供給設備が設けられており、補給水供給設備は原水を浄化する純水装置、浄化された純水を貯蔵する純水タンクが設けられる。純水装置及び純水タンクは配管に設けられ、この配管は給水配管に接続される。蒸気発生器と復水器が給水配管とは別に処理水管で連絡される。この処理水管に流出管が接続され、ブローダウン水循環ラインが流出管に接続されて純水装置に連絡される。純水装置には逆浸透膜純水装置が用いられる。純水装置に供給される補給水としての原水は、海水をろ過してろ過水タンクに貯蔵されているろ過水が用いられる。
沸騰水型原子力プラントでは、炉心から取り出された使用済燃料集合体が、原子炉格納容器の外部に設けられた燃料貯蔵プール内に保管され、燃料貯蔵プール内の冷却水によって冷却されている。燃料貯蔵プール内の冷却水は、燃料貯蔵プール内に保管されている多数の使用済燃料集合体で発生する崩壊熱により加熱されて温度が上昇する。温度が上昇した燃料貯蔵プール内の冷却水は、冷却装置で冷却され、再び、燃料貯蔵プールに供給される。燃料貯蔵プール内の冷却水の一部は、前述の崩壊熱により加熱されて蒸発する。この蒸発により燃料貯蔵プール内の冷却水が減少するために、冷却水の蒸発量に相当する量の冷却水が、復水貯蔵タンクまたは圧力抑制プールから燃料貯蔵プール内に供給される。
燃料貯蔵プールには、燃料貯蔵プール内の冷却水を冷却する冷却水冷却装置、及び蒸発量に相当する量の冷却水を供給する冷却水補給装置を有する核燃料冷却装置が設けられる。前述した非常用炉心冷却装置も、一種の核燃料冷却装置であり、原子炉圧力容器内の炉心に装荷された核燃料(燃料集合体)を冷却する。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の核燃料冷却方法を、図1を用いて説明する。本実施例の核燃料冷却方法は沸騰水型原子力プラントに適用される。
本実施例の核燃料冷却方法が適用される沸騰水型原子力プラントは、図1に示すように、原子炉圧力容器2、及び原子炉圧力容器2を取り囲む原子炉格納容器3を有する。原子炉格納容器3は原子炉建屋23内に設置される。原子炉格納容器3内には、互いに分離されたドライウェル4及び圧力抑制室5が形成される。冷却水37が充填された圧力抑制プール6が、圧力抑制室5内に形成される。
原子炉圧力容器2はドライウェル4内に配置される。核燃料を含んでいる複数の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心(図示せず)が、原子炉圧力容器2内に配置される。
本実施例の核燃料冷却方法に用いられる核燃料冷却装置である非常用炉心冷却装置1を、図1を用いて説明する。非常用炉心冷却装置1は、原子炉隔離時冷却装置16、高圧炉心注水装置8、低圧炉心注水装置(図示せず)、及び淡水化装置である逆浸透膜装置46を備えている。原子炉隔離時冷却装置16は、冷却水供給管18及び21、及び冷却水供給管18に設けられたポンプ17を有する。冷却水供給管18の一端が圧力抑制プール6内の冷却水37中に配置されたストレーナ19に接続される。冷却水供給管18の他端が原子炉圧力容器2に接続される。開閉弁20がポンプ17の上流で冷却水供給管18に設けられる。冷却水供給管21の一端が復水貯蔵タンク(冷却水源タンク)15に接続され、冷却水供給管21の他端が開閉弁20とポンプ17の間で冷却水供給管18に接続される。開閉弁22が冷却水供給管21に設けられる。ポンプ17には駆動用のタービンが設けられており、このタービンの蒸気供給口には原子炉圧力容器2に接続された蒸気供給管が接続される。タービンの蒸気排出口に接続された蒸気排出管は圧力抑制プール6の冷却水37中に達している。
高圧炉心注水装置8は、冷却水供給管10及び14、冷却水供給管10に設けられたポンプ9及び冷却水供給管14に設けられたポンプ12を有する。冷却水供給管10の一端が圧力抑制プール6内の冷却水37中に配置されたストレーナ11に接続される。冷却水供給管10の他端が原子炉圧力容器2に接続される。開閉弁44がポンプ9の上流で冷却水供給管10に設けられる。冷却水供給管14の一端が復水貯蔵タンク15に接続され、冷却水供給管14の他端がポンプ9の下流で冷却水供給管10に接続される。開閉弁13がポンプ12の下流で冷却水供給管14に設けられる。
逆浸透膜装置46は、後述の実施例2と同様に、逆浸透膜47及び高圧ポンプ48を有する(図2参照)。逆浸透膜装置46の詳細な構成を、図2を用いて説明する。逆浸透膜47は、容器52内に設置され、容器52内を被処理水(海水)領域と透過水領域に分離している。逆浸透膜47は、逆浸透圧に耐えるように、透過水を通す多孔質の支持部材(図示せず)に取り付けられている。高圧ポンプ48は容器52の上流に配置されて海水供給管24に設けられる。海水供給管24は海まで伸びている。高圧ポンプ48の下流で海水供給管24は、容器52に接続され、容器52内の被処理水領域に連絡される。逆浸透膜47を透過した透過水を導く配管26が、容器52に接続されて容器52内の透過水領域に連絡され、さらに、復水貯蔵タンク15に接続される。開閉弁53を設けた排出管51が、容器52に接続され、容器52内の被処理水領域に連絡される。
水位計21が復水貯蔵タンク15に設けられる。外部電源27(または非常用ディーゼル発電機)に接続されるケーブル28が遮断器29を介して高圧ポンプ48に接続される。また、電源車30に搭載された発電設備(図示せず)がケーブル45により高圧ポンプ48に接続される。
図示されていないが、低圧炉心注水装置では、高圧炉心注水装置8と同様に、一端が圧力抑制プール6内の冷却水37中に配置された他のストレーナに接続されてポンプが設けられた冷却水供給管の他端が原子炉圧力容器2に接続され、一端が復水貯蔵タンクに接続されてポンプ及び開閉弁が設けられた他の冷却水供給管の他端が前述の他のストレーナに接続された冷却水供給管に接続される。
冷却材喪失事故が発生したことを想定する。冷却水喪失事故では、原子炉圧力容器2に接続された配管、例えば、主蒸気配管が原子炉格納容器3内で破断し、原子炉圧力容器2内の高温高圧の冷却水が主蒸気配管の破断箇所からドライウェル4に高温の蒸気となって噴射される。このため、原子炉圧力容器2内の冷却水の水位が低下し、炉心に装荷された燃料集合体の冷却が阻害される危険性がある。このような状態を避けるために、非常用炉心冷却装置1の作動により原子炉圧力容器2内に冷却水を供給し、炉心の燃料集合体を冷却する。原子炉圧力容器2内の圧力が所定圧力よりも高いときには冷却水が高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16により原子炉圧力容器2内に供給され、原子炉圧力容器2内の圧力が所定圧力よりも高いときには冷却水が低圧炉心注水装置により原子炉圧力容器2内に供給される。このとき、原子炉圧力容器2内に注入される冷却水として、復水貯蔵タンク15内の冷却水36及び圧力抑制プール6内の冷却水37が使用される。
高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16が正常な場合には、冷却材喪失事故が発生したとき、開閉弁13及び22が開いてポンプ12及び17が駆動し、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16が作動する。ポンプ17は、原子炉圧力容器2内の蒸気がポンプ17の駆動用のタービンに導かれることにより駆動される。高圧炉心注水装置8では、復水貯蔵タンク15内の冷却水36が、冷却水供給管14及び冷却水供給管10を通って原子炉圧力容器2内に注入される。原子炉隔離時冷却装置16では、復水貯蔵タンク15内の冷却水36が、冷却水供給管21及び冷却水供給管18を通って原子炉圧力容器2内に注入される。冷却水36の原子炉圧力容器2内への注入によって炉心内の燃料集合体が冷却される。水位計21で計測された、復水貯蔵タンク15内の冷却水36の水位が下限の設定水位(以下、下限設定水位という)まで低下したとき、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16が正常な場合には開閉弁44及び20が開いてポンプ9が駆動され、圧力抑制プール6内の冷却水37が冷却水供給管10及び18を通して原子炉圧力容器2内に供給される。このとき、ポンプ12が停止され、開閉弁13及び22が閉じられる。
しかしながら、原子炉圧力容器2に供給する冷却水の水源を復水貯蔵タンク15から圧力抑制プール6に切り替えるとき、例えば、何らかの理由により開閉弁44及び20が開かなかったとする。この場合には、圧力抑制プール5内の冷却水37を原子炉圧力容器2に供給することができず、やがて、炉心内の燃料集合体の冷却が困難な事態に陥る。開閉弁44及び20のそれぞれの開度は検出されており、検出されたそれぞれの開度に基づいて、開閉弁44及び20が開状態になったか、閉状態のままかを知ることができる。
復水貯蔵タンク15内の冷却水36の水位が下限設定水位まで低下したときに、開閉弁44及び20が開かず、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16による冷却水37の原子炉圧力容器2への供給が不可能な事態に陥った場合には、本実施例では、逆浸透膜装置46の高圧ポンプ48が駆動される。海水供給管24内を導かれてこの高圧ポンプ48で昇圧された海水が、逆浸透膜装置46の容器52内の被処理領域に供給される。この海水は、高圧ポンプ48の駆動により、海から海水供給管24内に流入する。その被処理領域に到達した海水に含まれる水が逆浸透膜47を透過する。その被処理水領域内の被処理水である海水の圧力が所定の逆浸透圧になるように、排出管51に設けられた開閉弁53の開度を調節する。逆浸透膜47を透過した透過水は、海水に含まれる成分を含んでいなくて淡水であり、容器52内の透過水領域に達する。淡水であるその透過水は、配管26を通って復水貯蔵タンク15に供給される。供給される透過水によって復水貯蔵タンク15内の水位が上昇する。容器52内の被処理水領域に流入した海水は、含まれる海水成分が濃縮されて排出管51に排出され、海に戻される。
高圧ポンプ48の駆動は、以下のようにして行われる。水位計21で計測された、復水貯蔵タンク15内の水位が制御装置25に入力される。制御装置25は、水位計21から入力した水位の計測値が低下して下限設定水位になったときで開閉弁20及び44が開かないときに遮断器29を閉じる。外部電源27から電力がケーブル28を通して高圧ポンプ48に供給され、高圧ポンプ48が駆動される。このとき、ポンプ12及び開閉弁13及び22には、外部電源27から電力が供給される。もし、開閉弁20及び44が正常であれば、ポンプ9も含めて外部電源から供給される電力により作動される。外部電源27が喪失しているときには、高圧ポンプ48を含むそれらは駆動されているディーゼル発電機から供給される電力で作動される。また、所内電源及び外部電源が喪失し、ディーゼル発電機が駆動されない場合には、開閉弁20及び44が開かない状態で水位が下限設定水位に低下したとき、制御装置25は、電源車30に搭載された発電機を駆動する。この発電機で発生した電力がケーブル45を通して高圧ポンプ48に供給され、高圧ポンプ48が駆動して逆浸透膜47内に海水を供給することができる。電源車30に搭載された発電機を駆動するときには、ポンプ12及び開閉弁13及び22は、別の電源車から供給される電力で作動されている。
透過水の供給により復水貯蔵タンク15内の水位が下限設定水位よりも高い上限設定水位まで上昇したとき、制御装置25は、遮断器29を開いて高圧ポンプ48への電力の供給を停止する。これにより、逆浸透膜47内への海水の供給が停止される。復水貯蔵タンク15内の水位が、再度、下限設定水位まで低下したとき、遮断器29が閉じて高圧ポンプ48が駆動され、逆浸透膜47を透過した透過水が復水貯蔵タンク15に供給される。復水貯蔵タンク15内の水位が下限設定水位まで低下した場合には、その水位が上限設定水位になるまで、遮断器29が閉じており、高圧ポンプ48の駆動が継続され、配管26を通して透過水が復水貯蔵タンク15に供給される。
逆浸透膜47を透過して復水貯蔵タンク15内に供給された淡水の透過水は、冷却水36として、高圧炉心注水装置8の冷却供給管14及び10を通して、原子炉隔離時冷却装置16の冷却水供給管21及び18を通して原子炉圧力容器2に供給される。例えば、開閉弁44及び20の不具合により高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16により圧力抑制プール6の冷却水37を原子炉圧力容器2内に供給することができない事象が生じても、逆浸透膜装置46による海水の淡水化により生成された淡水が復水貯蔵タンク15に供給され、この淡水である冷却水36によって原子炉圧力容器2内の炉心に装荷された燃料集合体を継続して冷却することができる。
原子炉圧力容器2内の圧力が設定圧力まで低下したとき、前述の低圧炉心注水装置が作動され、低圧炉心注水装置が正常である場合には、圧力抑制プール6の冷却水が原子炉圧力容器2内に供給される。もし、高圧炉心冷却装置8と同様に、低圧炉心冷却装置においても、圧力抑制プール6内の冷却水37中に配置されたストレーナと原子炉圧力容器2を連絡する冷却水供給管に設けられた開閉弁が開かないときには、低圧炉心冷却装置によって冷却水37を原子炉圧力容器2に供給することができない。この場合には、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16の場合と同様に、逆浸透膜装置46によって生成されて復水貯蔵タンク15に蓄えられた淡水を、冷却水36として、復水貯蔵タンク15に接続される、低圧炉心冷却装置の冷却水供給管を利用して原子炉圧力容器2に供給することができる。このように、本実施例では、低圧炉心冷却装置により圧力抑制プール6内の冷却水37を原子炉圧力容器2に供給することができない事象が発生した場合でも、逆浸透膜装置46における海水の淡水化で生成された淡水を、冷却水36として原子炉圧力容器2に供給することができる。
本実施例では、圧力抑制プール6と燃料貯蔵プール7がポンプ(図示せず)を設けた冷却水供給管(図示せず)で連絡されている。燃料貯蔵プール内の冷却水38が燃料貯蔵プール7内に保管されている使用済燃料集合体(図示せず)で発生する崩壊熱による加熱により蒸発した冷却水38の量を補給するために、この冷却水供給管を通して圧力抑制プール6内の冷却水37が燃料貯蔵プール7に供給される。
さらに、燃料貯蔵プール7内に保管されている使用済燃料集合体を冷却するための冷却水冷却装置55が燃料貯蔵プール7に設けられている。冷却水冷却装置55は、冷却装置56及びポンプ57を有する。冷却装置56及びポンプ57は、一端部が燃料貯蔵プール7の上端部に接続されて他端部が燃料貯蔵プール7の底部に接続される冷却水配管58に設置されている。燃料貯蔵プール7内で使用済燃料集合体内を上昇して使用済燃料集合体で発生する崩壊熱によって温度が上昇した冷却水38は、ポンプ57の駆動により、使用済燃料集合体よりの上方で冷却水配管58に流入する。この冷却水38は、冷却装置56で冷却されて温度が低下し、燃料貯蔵プール7の底部に供給される。燃料貯蔵プール7内の使用済燃料集合体は冷却装置56で冷却されて温度が低下した冷却水38によって冷却される。
低圧炉心冷却装置により原子炉圧力容器2に冷却水を供給するとき、何らかの要因(例えば、原子炉圧力容器2に接続された配管に微小な貫通き裂が発生してこの貫通き裂から原子炉圧力容器2内の冷却水が漏洩)により原子炉圧力容器2内に冷却水を供給する期間が長くなり、復水貯蔵タンク15内の冷却水36及び圧力抑制プール6内の冷却水37のうち原子炉圧力容器2に供給できる容量を全部使い切ってそれ以上、復水貯蔵タンク15及び圧力抑制プール6から冷却水を原子炉圧力容器2に供給することができなる場合であっても、逆浸透膜装置46における海水の淡水化で生成された淡水を復水貯蔵タンク15に供給する本実施例は、その淡水を冷却水37として原子炉圧力容器2に供給することができる。この場合には、低圧炉心冷却装置の、圧力抑制プールと原子炉圧力容器を連絡する冷却水供給管に設けられた開閉弁は正常に開いている。
本実施例によれば、原子炉圧力容器2内の高温高圧の冷却水がドライウェル4に高温の蒸気となって放出される事象(例えば、冷却材喪失事故)が発生したとき、逆浸透膜装置46における海水の淡水化で生成された淡水を復水貯蔵タンク15内に供給することができるので、圧力抑制プール6内の冷却水37を原子炉圧力容器2に供給することができない事象が発生しても、その淡水を冷却水として原子炉圧力容器に供給することができ、炉心内の燃料集合体を冷却することができる。
また、本実施例では、海水の淡水化により生成された淡水を原子炉圧力容器2内に供給するので、海水成分(例えば、Cl−)が原子炉圧力容器2内に供給されることを防止できる。このため、冷却材喪失事故が発生した沸騰水型原子力プラントは、修復後に再利用することができる。
水位計21で計測された復水貯蔵タンク15内の水位に基づいて制御装置25が高圧ポンプ48の駆動及び停止を制御するので、運転員の負担を軽減することができる。制御装置25を用いないで運転員が水位計21の計測値に基づいて遮断器29のON、OFFを行って高圧ポンプ48の駆動及び停止を制御しても良い。
沸騰水型原子力プラントには、残留熱除去装置が設けられている。この残留熱除去装置は、原子炉の停止時に炉心で発生する崩壊熱を除去する機能を有し、原子炉圧力容器2内の冷却水を冷却装置に導いて冷却し、冷却された冷却水を原子炉圧力容器2に戻している。この残留熱除去装置の冷却装置の入口に接続される配管に、圧力抑制プール6の冷却水37中に浸漬される一端部を有する冷却水供給管及び復水貯蔵タンク15に接続される冷却水供給管を接続する。このような構成により、逆浸透膜装置46で淡水化されて復水貯蔵タンク15に供給された淡水を、冷却水37として残留熱除去装置の冷却装置を通して原子炉圧力容器2に供給することができる。このような残留熱除去装置に、逆浸透膜装置46に連絡される復水貯蔵タンク15を接続して構成される装置も、低圧炉心冷却装置として機能させることができ、冷却材喪失事故時において炉心の燃料集合体を冷却することができる。
本発明の好適な他の実施例である実施例2の核燃料冷却方法を、図2を用いて説明する。本実施例の核燃料冷却方法は沸騰水型原子力プラントに適用される。
本実施例の核燃料冷却方法に用いられる核燃料冷却装置である非常用炉心冷却装置1Aを、図2を用いて説明する。非常用炉心冷却装置1Aは、実施例1に用いられる非常用炉心冷却装置1に、開閉弁34が設けられて復水貯蔵タンク15をバイパスするバイパス配管33を追加した構成を有する。バイパス配管33の上流端部が配管26に接続され、バイパス配管33の下流端部が冷却水供給管14に接続される。開閉弁32が配管26とバイパス配管33の接続点よりも下流で配管26に設けられる。開閉弁31が高圧ポンプ48の上流で海水供給管24に設けられる。開閉弁32の下流側の配管26と高圧ポンプ48と開閉弁31の間の海水供給管24が、開閉弁37を設けた配管36によって接続される。開閉弁50を設けた配管49の一端部が高圧ポンプ48と容器52の間で海水供給管24に接続され、配管49の他端部が配管26とバイパス配管33の接続点よりも上流で配管26に接続される。逆止弁35がバイパス配管33と冷却水供給管14の接続点よりも上流で冷却水供給管14に設けられる。非常用炉心冷却装置1Aの他の構成は非常用炉心冷却装置1と同じである。
逆浸透膜装置46の詳細な構成の説明は、図2を用いて実施例1で行っているので、ここでは省略する。図2に示された逆浸透膜装置46は、前述の実施例1、及び後述の実施例3〜5においても用いられる。
万が一、冷却材喪失事故が発生したとき、実施例1と同様に、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16を用いて復水貯蔵タンク15内の冷却水37を原子炉圧力容器2内に供給する。また、水位計21で計測された復水貯蔵タンク15内の冷却水36が下限設定水位まで低下したときで、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16により圧力抑制プール6内の冷却水37の原子炉圧力容器2への注水ができない事象が発生したときには、実施例1と同様に、水位計21で計測された水位を入力する制御装置25が、遮断器29を閉じ、高圧ポンプ48を駆動させる。開閉弁31及び32が開いており、開閉弁34,37及び50が閉じている。海水供給管24によって導かれる海水が容器52内の被処理水領域に供給され、海水に含まれる水が逆浸透膜47を透過する透過水となって容器52内の透過水領域から配管26に排出される。この透過水は復水貯蔵タンク15に流入し、ポンプ12により昇圧されて冷却水供給管14及び10を通って原子炉圧力容器2に注入される。復水貯蔵タンク15内の透過水は、さらに、ポンプ17の駆動によって冷却水供給管21及び18を通って原子炉圧力容器2に注入される。容器52内の被処理水領域で塩分濃度が高くなった濃縮水は排出管51に排出される。
このとき、万が一、ポンプ12に不具合が生じてポンプ12が駆動されないときには、開閉弁31及び32が閉じられ、開閉弁34,37及び50が開けられる。ポンプ12に不具合が生じて冷却水36の昇圧が不可能になったときには、冷却水供給管14に設けられた圧力計54で計測される圧力が低下するので、圧力計54で計測された圧力を監視することによりポンプ12に不具合が生じていることを知ることができる。高圧ポンプ48が駆動されているので、復水貯蔵タンク15内の水(冷却水36)が配管26及び36を通って高圧ポンプ48に導かれて昇圧され、配管49及び26、及びバイパス配管33を通って冷却水供給管14に流入する。また、高圧ポンプ48で昇圧されたその水の一部は、容器52内の被処理水領域に流入する。開閉弁53が閉じているので、被処理水領域に流入したその水は、逆浸透膜47を透過して透過水となって、容器52内の透過水領域から配管26に排出され、配管26内で配管49から配管26に供給される水に混合されて冷却水供給管14に流入する。冷却水供給管14に流入したこの水は、冷却水として、冷却水供給管14及び10を通って原子炉圧力容器2に供給される。
復水貯蔵タンク15内の水位が下限設定水位まで低下したとき、水位計21の計測値を入力する制御装置25が、高圧ポンプ48を一旦停止させ、開閉弁31及び32を開いて開閉弁34,37及び50を閉じる。その後、高圧ポンプ48が制御装置25によって駆動され、海水供給管24で供給される海水が高圧ポンプ48で昇圧されて容器52内の被処理水領域に供給される。この被処理水領域内の海水に含まれる水が逆浸透膜27を透過して淡水となり、さらに、容器52内の透過水領域から配管26を通して復水貯蔵タンク15に供給される。復水貯蔵タンク15内に透過水が蓄えられ、復水貯蔵タンク15内の水位が上昇する。この水位が上限設定水位に達したとき、制御装置25の作用により、高圧ポンプ48の駆動が停止され、開閉弁31及び32が閉じられて開閉弁34,37及び50が開く。その後、高圧ポンプ48が駆動されると、復水貯蔵タンク15内の透過水が、冷却水として、前述したように、配管26,36,49及び26、及びバイパス配管33を通って冷却水供給管14内に流入する。この透過水は、冷却水供給管14及び10を通って原子炉圧力容器2に供給される。
前述の開閉弁31,32,34,37及び50の開閉操作は、図2に図示されていないが、制御装置25で行われる。
本実施例では、復水貯蔵タンク15内の水が高圧ポンプ48により原子炉圧力容器2内に供給されて復水貯蔵タンク15内の水位が下限設定水位まで低下した後で、逆浸透膜装置46で生成された淡水が復水貯蔵タンク15に供給されている間、復水貯蔵タンク15から原子炉圧力容器2への冷却水の注入が停止される。しかしながら、この冷却水の注入停止期間は短いので、その間、冷却水が原子炉圧力容器2に供給されなくても、原子炉圧威力容器2内の水位が炉心よりも上方に存在し、炉心内の燃料集合体は十分に冷却される。その淡水の供給により復水貯蔵タンク15内の水位が上限設定水位に達したとき、再び、復水貯蔵タンク5から原子炉圧力容器2に冷却水を注入することができる。
逆浸透膜装置46の基数を増加することにより、逆浸透膜装置46で生成される淡水の量を増加させることができる。このような対策を講じることにより、復水貯蔵タンク15内の水位を下限設定水位から上限設定水位まで上昇させる時間を短縮することができ、復水貯蔵タンク15から原子炉圧力容器2に冷却水が注入できなくなる時間を短縮することができる。このため、原子炉圧力容器2内の冷却水の温度上昇を抑制することができ、炉心内の燃料集合体の冷却効率が向上する。
バイパス弁34を有する他のバイパス配管33は、配管26、及び低圧炉心冷却装置の、復水貯蔵タンク15に連絡される冷却水供給管に接続される。このように、配管26に接続された他のバイパス配管33を、低圧炉心冷却装置の、復水貯蔵タンク15に連絡される冷却水供給管に接続することにより、低圧炉心冷却装置による圧力抑制プール6内の冷却水37の原子炉圧力容器2への供給が不可能な事象が発生し、低圧炉心冷却装置のその冷却水供給管に設けられたポンプに不具合が生じた場合でも、前述した高圧炉心注水装置8でポンプ12に不具合が生じた場合と同様に、逆浸透膜装置46による海水の淡水化で生成された淡水を、冷却水として、低圧炉心冷却装置により原子炉圧力容器2に供給することができる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は、高圧炉心注水装置8または低圧炉心注水装置の、復水貯蔵タンク15内の冷却水を原子炉圧力容器2に供給するポンプに不具合が生じた場合においても、逆浸透膜装置46の高圧ポンプ48を用いて逆浸透膜装置46で生成された透過水(淡水)を、冷却水として原子炉圧力容器2に供給することができ、炉心内の燃料集合体を冷却することができる。
本実施例では、ポンプ12に不具合が生じて高圧水ポンプ48を用いて復水貯蔵タンク15内の冷却水36(透過水)を原子炉圧力容器2に注水するとき、高圧ポンプ48で昇圧された冷却水36の一部が容器52内の被処理水領域に供給されるが、高圧ポンプ48で昇圧された大部分の冷却水36が配管49を通るので、逆浸透膜47の損傷を防止することができる。
本発明の好適な他の実施例である実施例3の核燃料冷却方法を、図3を用いて説明する。本実施例の核燃料冷却方法は沸騰水型原子力プラントに適用される。
本実施例の核燃料冷却方法に用いられる核燃料冷却装置である非常用炉心冷却装置1Bを、図3を用いて説明する。非常用炉心冷却装置1Bは、実施例1に用いられる非常用炉心冷却装置1に脱塩装置39、及び開閉弁41を設けたバイパス配管40を追加した構成を有する。脱塩装置39は配管26に設けられ、脱塩装置39をバイパスするバイパス配管40の両端部が配管26に接続される。非常用炉心冷却装置1Bの他の構成は実施例1に用いられる非常用炉心冷却装置1と同じである。
本実施例においても、実施例1と同様に、冷却材喪失事故が発生したとき、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16による復水貯蔵タンク15内の冷却水36の原子炉圧力容器2への注水が行われる。さらに、水位計21で計測された復水貯蔵タンク15内の冷却水36が下限設定水位まで低下したときで、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16により圧力抑制プール6内の冷却水37の原子炉圧力容器2への注水が不可能な事象が発生したときには、実施例1と同様に、逆浸透膜装置46による海水の淡水化で生成された淡水が、冷却水として、高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16により原子炉圧力容器2に注水することができる。低圧炉心注水装置を駆動しているときにおいても、圧力抑制プール6内の冷却水37の原子炉圧力容器2への注水が不可能な事象が発生したときには、逆浸透膜装置46により生成された淡水を、冷却水として、低圧炉心注水装置により原子炉圧力容器2に注水することができる。
逆浸透膜装置46の運転開始時及び運転末期では、逆浸透膜47の性能が低下するので、逆浸透膜装置46で生成される透過水の水質が悪化する。すなわち、逆浸透膜47を透過する透過水の導電率の値が高くなる。このため、本実施例では、逆浸透膜装置46の運転開始時及び運転末期において開閉弁41を閉じ、逆浸透膜装置46により生成された淡水である透過水を、脱塩装置39を通過させて復水貯蔵タンク15に供給する。その透過水が脱塩装置39に供給されるため、透過水が浄化され、透過水の導電率が低下する。このため、逆浸透膜装置46の運転開始時及び運転末期においても、導電率の低い透過水を、冷却水として高圧炉心注水装置8及び原子炉隔離時冷却装置16または低圧炉心注水装置により原子炉圧力容器2に注水することができる。
逆浸透膜装置46の運転開始時及び運転末期以外の逆浸透膜装置46の運転時においては、開閉弁41を開いて、逆浸透膜装置46で生成された淡水の透過水を、バイパス配管40を通して復水貯蔵タンク15に導く。このときの透過水の導電率は低いので、逆浸透膜装置46の、運転開始時及び運転末期以外の運転時においても、導電率の低い透過水を冷却水として原子炉圧力容器2に注水することができる。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、脱塩装置39を配管に設けているので、導電率の低い透過水を冷却水として原子炉圧力容器2に注水することができる。また、開閉弁41を設けたバイパス配管40を設けているので、透過水の導電率が低い、逆浸透膜装置46の、運転開始時及び運転末期以外の運転時において、脱塩装置39に透過水の供給量が低減され、脱塩装置39内に充填されたイオン交換樹脂の脱塩性能の劣化を抑制することができる。開閉弁41を設けたバイパス配管40を配管26に接続しなくても、導電率の低い透過水を冷却水として原子炉圧力容器2に注水することができる。
実施例2において用いられる構成、すなわち、開閉弁34を設けたバイパス配管33、開閉弁37を設けた配管36及び開閉弁50を設けた配管49、及び開閉弁31及び32を本実施例に適用することができる。この場合には、バイパス配管33と配管26の接続点、及び配管49と配管26の接続点は、脱塩装置39の下流に配置される。このような構成を用いることによって、本実施例は、実施例2と同様に、高圧ポンプ48を用いて復水貯蔵タンク15内の冷却水(例えば、逆浸透膜47の透過水)を原子炉圧力容器2に供給することができる。
本発明の好適な他の実施例である実施例4の核燃料冷却方法を、図4を用いて説明する。本実施例の核燃料冷却方法は、沸騰水型原子力プラントの燃料貯蔵プールに貯蔵される使用済燃料集合体の冷却に適用される。
本実施例の核燃料冷却方法に用いられる核燃料冷却装置1Cを、図4を用いて説明する。核燃料冷却装置1Cは、冷却水冷却装置55、冷却水補給装置59及び逆浸透膜装置46を備えている。冷却水冷却装置55は、実施例1と同じ構成を有する。
冷却水補給装置59は、冷却水供給管43及び14A、冷却水供給管43に設けられたポンプ42及び冷却水供給管14Aに設けられたポンプ12Aを有する。冷却水供給管43の一端が圧力抑制プール6内の冷却水37中に配置されたストレーナ19Aに接続される。冷却水供給管43の他端が原子炉圧力容器2に接続される。開閉弁44がポンプ42の上流で冷却水供給管43に設けられる。冷却水供給管14Aの一端が復水貯蔵タンク15に接続され、冷却水供給管14Aの他端がポンプ42の下流で冷却水供給管43に接続される。開閉弁13Aがポンプ12Aの下流で冷却水供給管14に設けられる。
逆浸透膜装置46は、実施例2と同様に、高圧ポンプ48、及び内部に逆浸透膜47を設置した容器52を有する。
原子炉圧力容器2の炉心から取り出された、核燃料を含む複数の使用済燃料集合体は、燃料貯蔵プール7内の冷却水中に設置された燃料貯蔵ラック(図示せず)内に収納されて保管される。これらの使用済燃料集合体は燃料貯蔵プール7内の冷却水38によって冷却される。冷却水38は、使用済燃料集合体内の核燃料の崩壊熱によって加熱され、温度が上昇する。温度が上昇した燃料貯蔵プール7内の冷却水38は、冷却水冷却装置55の冷却装置56に導かれて冷却され、底部から燃料貯蔵プール7内に供給される。
燃料貯蔵プール7内の冷却水の一部は、前述の崩壊熱により加熱されて蒸発する。この蒸発により燃料貯蔵プール7内の冷却水38が減少するために、冷却水の蒸発量に相当する量の冷却水が燃料貯蔵プール7に補給される。この冷却水の補給が冷却水補給装置59を用いて行われる。
冷却水補給装置59を用いた、燃料貯蔵プール7への冷却水の補給について具体的に説明する。燃料貯蔵プール7に設置された水位計(図示せず)で計測された燃料貯蔵プール7内の水位が計測され、計測されたこの水位が第1下限設定水位まで低下したとき、開閉弁13Aが開いてポンプ12Aが駆動される。ポンプ12Aの駆動によって復水貯蔵タンク15内の冷却水36が冷却水供給管14A及び43を通って燃料貯蔵プール7に供給される。このとき、開閉弁44は閉じており、ポンプ42も停止している。冷却水36の供給により燃料貯蔵プール7内の冷却水38の水位が第1上限設定水位まで上昇したとき、ポンプ42の駆動が停止され、燃料貯蔵プール7への冷却水36の供給が停止される。冷却水補給装置による燃料貯蔵プール7への冷却水の供給は、沸騰水型原子力プラントの運転停止中だけでなく、沸騰水型原子力プラントの運転中においても行われる。燃料貯蔵プール7内における冷却水38の水位は、燃料貯蔵プール7内に保管された使用済燃料集合体の冷却に支障が生じないように保持される。
復水貯蔵プール15内の冷却水36の水位が第2下限設定水位まで低下したとき、ポンプ12Aの駆動が停止されて開閉弁13Aが閉じられ、そして、開閉弁44が開けられてポンプ42が駆動される。ポンプ42の駆動によって圧力抑制プール6の冷却水37が冷却水供給管43を通して燃料貯蔵プール7に供給される。しかしながら、復水貯蔵プール15内の水位が第2下限設定水位まで低下したときにおいて、開閉弁44が開かず、圧力抑制プール6の冷却水37の燃料貯蔵プール7への供給が不可能な状態になった場合には、開閉弁13Aが開いてポンプ12Aが運転されたままの状態になっており、実施例1と同様に、高圧ポンプ48が駆動されて海水供給管24内を導かれる海水が逆浸透膜装置46の容器52内の被処理水領域に供給される。この海水に含まれる水が逆浸透膜47を透過して淡水になる淡水である透過水が、容器52内の透過水領域から排出され、配管26を通って復水貯蔵タンク15に供給される。この透過水が、冷却水36として、ポンプ12Aにより昇圧され、冷却水供給管14A及び43を通って燃料貯蔵プール7に供給される。結果的に、逆浸透膜装置46で生成された淡水が、燃料貯蔵プール7内で使用済燃料集合体の冷却に使用される。
燃料集合体の交換時等の沸騰水型原子力プラントの運転停止中では、高圧ポンプ48は外部電源27から供給される電力で駆動される。沸騰水型原子力プラントの運転時においては、高圧ポンプ48は内部電源から供給される電力で駆動される。なお、外部電源27、内部電源及びデ非常用ディーゼル発電機から高圧ポンプ48に電力が供給できないときには、電源車30からく高圧ポンプ48に電力が供給される。
本実施例によれば、逆浸透膜装置46における海水の淡水化で生成された淡水を復水貯蔵タンク15内に供給することができるので、圧力抑制プール6内の冷却水37を原子炉圧力容器2に供給することができない事象が発生しても、その淡水を冷却水として燃料貯蔵プール7に供給することができ、燃料貯蔵プール7内に保管されている使用済燃料集合体を冷却することができる。
また、本実施例では、海水の淡水化により生成された淡水を燃料貯蔵プール72内に供給するので、海水成分(例えば、Cl−)が燃料貯蔵プール7内に供給されることを防止できる。このため、燃料貯蔵プール7の内面を形成しているライニング材、及び燃料貯蔵プールに保管されている使用済燃料集合体に含まれる燃料棒の被覆管の、海水成分による腐食の危険性を解消することができる。
実施例1と同様に、水位計21で計測された復水貯蔵タンク15内の水位に基づいて制御装置25が高圧ポンプ48の駆動及び停止を制御するので、運転員の負担を軽減することができる。
本実施例においても、実施例2と同様に、開閉弁34を設けたバイパス配管33、開閉弁37を設けた配管36及び開閉弁50を設けた配管49、及び開閉弁31及び32を適用することができる。
本発明の好適な他の実施例である実施例5の核燃料冷却方法を、図5を用いて説明する。本実施例の核燃料冷却方法は、沸騰水型原子力プラントの燃料貯蔵プールに貯蔵される使用済燃料集合体の冷却に適用される。
本実施例の核燃料冷却方法に用いられる核燃料冷却装置1Dを、図5を用いて説明する。核燃料冷却装置1Dは、実施例4で用いる核燃料冷却装置1Cに、実施例3と同様に脱塩装置39、及び開閉弁41を設けたバイパス配管40を追加した構成を有する。核燃料冷却装置1Dの他の構成は核燃料冷却装置1Cと同じである。
本実施例における核燃料冷却装置1Cを用いた燃料貯蔵プール7内の使用済燃料集合体の冷却方法は、実施例4における核燃料冷却装置1Cを用いた燃料貯蔵プール7内の使用済燃料集合体の冷却方法と同様に行われる。
ただし、本実施例では、逆浸透膜装置46の運転開始時及び運転末期において開閉弁41を閉じ、逆浸透膜装置46により生成された淡水である透過水を、脱塩装置39を通過させて復水貯蔵タンク15に供給する。また、逆浸透膜装置46の運転開始時及び運転末期以外の逆浸透膜装置46の運転時においては、開閉弁41を開いて、逆浸透膜装置46で生成された淡水の透過水を、バイパス配管40を通して復水貯蔵タンク15に導く。
このため、本実施例では、導電率は低い透過水を、冷却水として燃料貯蔵プール7に供給することができる。本実施例は実施例4で生じる各効果を得ることができる。
本実施例においても、実施例3と同様に、開閉弁34を設けたバイパス配管33、開閉弁37を設けた配管36及び開閉弁50を設けた配管49、及び開閉弁31及び32を適用することができる。