JP6858156B2 - 海水冷却システム - Google Patents
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Description
このため、海岸に海水の取水設備が設けられ、海水が、取水口からポンプにより汲み上げられて、蒸気や補機冷却水を除熱した後に海に排水されている。(以後、これらを補機冷却海水系と呼ぶ)
また、海水を汲み上げるポンプの定期検査のため、補機冷却海水系のポンプを停止することがある。
≪第1実施形態≫
図1は、海水冷却システムとしての、原子力発電所における原子炉補機冷却水系の冷却水を海水で除熱する原子炉補機冷却海水系やタービン補機冷却水系の冷却水を海水で除熱するタービン補機冷却海水系の構成を示す系統図である。また、火力発電所のタービン補機冷却海水系においても、同様の構成を採ることができる。
注水ライン202は、海水取水弁301を介して、海水ポンプ102a、102b(以下、総称して海水ポンプ102と記す)に接続している。海水ポンプ102は、取水ライン201a、201bから汲み上げた海水を注水ライン202に供給する。
海水放水弁302は、海水を海に放水するための放水ライン204に設けられ、熱交換器101の海水放水を制御する開閉弁である。
これにより、海水ポンプ102で汲み上げた海水は、注水ライン202から熱交換器101に注水され、熱交換器101で原子炉補機冷却水系やタービン補機冷却水系の冷却水から吸熱し、放水ライン204を通って海へ放水される。
また、海水ポンプ102も冗長構成となっているが、この構成に限定されない。
この代替運転は、海水冷却システムの海水ポンプ102の定期検査時に行ってもよい。
なお、本明細書では、冷却塔103と淡水ポンプ104と接続配管を合わせて、淡水循環冷却装置と記す。
冷却塔103は、例えば、特開2016-40031号公報(段落0038-0043、図1を参照)にも開示されている構造を有する。
詳細は後述するが、冷却塔103の貯水槽には、少なくとも、注水ライン202の海水取水弁301から熱交換器101を通って放水ライン204の海水放水弁302までの海水の流路の流路容量に相当する容量の淡水を貯水している。
水位計401は、冷却塔103の貯水槽に貯水されている淡水の貯水容量を検出する。詳細は後述するが、水位計401の検出結果に応じて淡水循環冷却装置が給水する淡水容量を把握し、実施形態の海水冷却システムの系統制御を行う。
これにより、海水が取水できない状態でも、淡水循環冷却装置によって補機冷却水系の冷却水の除熱を行うことができる。
また、冷却塔103は、媒体が大気と接触する開放型となるため、細菌汚染を引き起こす可能性がある。このため、淡水を使用する場合でも、塩素剤等の薬剤を投入することが望ましい。
淡水循環冷却装置が給水する淡水容量を把握できるセンサであれば、水位計401や流量計に限定されない。
淡水の補給機構を設けて、水位計401により一定量の淡水を貯水するようにすることが望ましい。
実施形態の海水冷却システムは、海水により原子炉補機冷却水系やタービン補機冷却水系の冷却水を除熱する通常運転の状態(S21)と、冷却塔103と淡水ポンプ104を有する淡水循環冷却装置と熱交換器101との間で、淡水を循環して原子炉補機冷却水系やタービン補機冷却水系の冷却水を除熱する代替運転の状態(S23)を有する。
この入替運転の状態(S22)は、つぎに説明するように、熱交換器101の海水を淡水循環冷却装置に貯水した淡水で押し出す運転状態となっている。
通常運転の状態(S21)への遷移時では、海水冷却システムは、淡水ポンプ104を停止し、淡水吐出弁303を閉じて淡水注水を停止するとともに、海水ポンプ102を動作し、海水取水弁301を開いて海水を取水し、注水ライン202に海水を注水する。
流路が海水で満たされるまでの間も、淡水が熱交換器101を通流するので、原子炉補機冷却水系やタービン補機冷却水系の冷却水の除熱は継続する。
この代替運転時に循環していた淡水を放水することで、熱交換器101や注水ライン202、放水ライン204の洗浄を兼ねることができる。
注水ライン202に海水が注水されることで、注水ライン202の海水取水弁301から、熱交換器101を通って、放水ライン204の海水放水弁302までの流路の淡水は押し出されて、淡水吸入弁304を通って、淡水循環冷却装置の冷却塔103の貯水槽に還流する。
この淡水の還流完了を検出すると、海水冷却システムは、淡水吸入弁304を閉じ、海水放水弁302を開いて、淡水の還流を停止し、海への放水に切り替える。
これにより、原子炉補機冷却水系やタービン補機冷却水系の冷却水の除熱が中断することがない。また、淡水に代替した後には、淡水循環冷却装置により熱交換器101を淡水の循環冷却により除熱するので、原子炉補機冷却水系やタービン補機冷却水系の動作に影響を与えることがなく運転継続できる。
図3の海水冷却システムは、図1の海水冷却システムの水位計401に替えて、放水ライン204を通流する流体の電気伝導率(導電率)を検出する電気伝導率センサ402を放水ライン204の海水放水弁302の海側に設けるようにしている。
電気伝導率センサ402以外の図3の海水冷却システムは、図1と同様であり、また、通常運転の状態(図2のS21)や代替運転の状態(図2のS22)も同様であるので、ここでは説明しない。
これにより、図3の海水冷却システムは、“淡水置換完了”の状態遷移条件が成立したとし、入替運転の状態(図2のS22)から代替運転の状態(図2のS23)に遷移する。
図4の海水冷却システムは、図1の冷却塔103の貯水槽に替えて、淡水循環冷却装置が淡水貯水タンク105と淡水放水弁305とを設けている。
この淡水貯水タンク105は、少なくとも、注水ライン202の海水取水弁301から熱交換器101を通って放水ライン204の海水放水弁302までの流路の流路容量に相当する容量の淡水を貯水している。
また、淡水放水弁305は、淡水貯水タンク105の淡水の放水を制御する開閉弁である。
図4の海水冷却システムの上記以外の構成は、図1と同様であり、また、通常運転の状態(図2のS21)や代替運転の状態(図2のS22)も同様であるので、ここでは説明しない。
これにより、図3の海水冷却システムは、“淡水置換完了”の状態遷移条件が成立したとし、入替運転の状態(図2のS22)から代替運転の状態(図2のS23)に遷移する。
代替運転の状態(S23)では、淡水放水弁305は閉じられる。
この構成では、淡水置換するための、注水ライン202の海水取水弁301から、熱交換器101を通って、放水ライン204の海水放水弁302までの流路の流路容量に相当する量の淡水を淡水貯水タンク105に予め貯水しておく。そして、入替運転の状態(図2のS22)で、貯水量検出センサにより淡水貯水タンク105が空になったことを検出することで、海水が淡水に置換したと判定する。
淡水貯水タンク105に、淡水置換するための水量よりも所定量多く貯水しておき、貯水量検出センサにより、貯水量がこの所定量より少なくなったことを検出することで、海水が淡水に置換したと判定してもよい。
この構成によれば、環境変化による冷却性能の調整を容易に行えるので、より安定した淡水の循環冷却を行うことができる。
102、102a、102b、 海水ポンプ
103 冷却塔
104 淡水ポンプ
105 淡水貯水タンク
201a、201b 取水ライン
202 注水ライン
203 熱交換器出口ライン
204 放水ライン
205 淡水吐出ライン
206 淡水吸入ライン
301 海水取水弁
302 海水放水弁
303 淡水吐出弁
304 淡水吸入弁
305 淡水放水弁
401 水位計
402 電気伝導率(導電率)センサ
Claims (9)
- 海水により冷却流体の除熱を行う熱交換器と、
海から取水した海水を前記熱交換器に注水する注水ラインと、
前記熱交換器で冷却流体から吸熱した海水を海に放水する放水ラインと、
前記熱交換器に並列接続するように前記注水ラインと前記放水ラインとに接続されて、前記熱交換器に淡水を循環注水するとともに、前記熱交換器で吸熱した淡水を冷却する淡水循環冷却装置と、を備え、
海水の取水異常が生じた際に、前記熱交換器への注水を海水から前記淡水循環冷却装置の淡水に切り替えて、前記淡水循環冷却装置から前記熱交換器へ所定量の淡水注水を行い、前記淡水注水された量に相当する海水を前記放水ラインから放水した後に、前記淡水循環冷却装置により淡水を循環する
ことを特徴とする海水冷却システム。 - 請求項1に記載の海水冷却システムにおいて、
前記淡水循環冷却装置から前記熱交換器へ注水される淡水の所定量は、前記注水ラインに設けられた海水の注入を遮断する海水取水弁から前記熱交換器を通って前記放水ラインに設けられた海への放水を遮断する海水放水弁までの流路の流路容量よりも大きい
ことを特徴とする海水冷却システム。 - 請求項2に記載の海水冷却システムにおいて、
前記淡水循環冷却装置から前記熱交換器へ注水される淡水が前記所定量に達したか否かの判定は、前記淡水循環冷却装置に貯水される淡水の水位を検出する水位計により行う
ことを特徴とする海水冷却システム。 - 請求項2に記載の海水冷却システムにおいて、
前記淡水循環冷却装置から前記熱交換器へ注水される淡水が前記所定量に達したか否かの判定は、前記海水放水弁の海側に設けられた前記放水ラインを通流する流体の電気伝導率を検出する電気伝導率センサにより行う
ことを特徴とする海水冷却システム。 - 海水により冷却対象流体の除熱を行う熱交換器と、
海から海水を汲み上げて前記熱交換器に注水する海水ポンプと、
前記熱交換器と前記海水ポンプとを接続する注水ラインの途中に設けられ、海水の注水を遮断する海水取水弁と、
前記熱交換器から海への放水ラインの途中に設けられ、海への放水を遮断する海水放水弁と、
前記注水ラインの前記熱交換器と前記海水取水弁との間および前記放水ラインの前記熱交換器と前記海水放水弁との間に、淡水吐出弁と淡水吸入弁を介して、前記熱交換器に並列に接続し、前記熱交換器に淡水を循環注水して前記熱交換器を冷却する淡水循環冷却装置と、を備え、
前記淡水循環冷却装置は、
冷却水としての淡水を除熱する冷却塔と、
前記冷却塔で除熱した淡水を前記熱交換器に注水する淡水ポンプと、
を備え
前記冷却塔は、前記注水ラインの前記海水取水弁から前記熱交換器を通って前記放水ラインの前記海水放水弁までの流路を満たす海水の容量に等しい容量の淡水を少なくとも貯水する淡水貯水槽を有し、
前記淡水循環冷却装置の淡水貯水槽の水位を検出する水位センサを備え、
前記海水取水弁を閉じるとともに前記淡水吐出弁を開いて前記淡水循環冷却装置から前記熱交換器に淡水を注水する場合において、前記水位センサで検出した水位が所定値より小さいときに、前記注水ラインの前記海水取水弁から前記熱交換器を通って前記放水ラインの前記海水放水弁までの流路の海水が淡水で置換されたと判定して、前記海水放水弁を閉じるとともに前記淡水吸入弁を開いて前記淡水循環冷却装置による淡水循環冷却を行う
ことを特徴とする海水冷却システム。 - 海水により冷却対象流体の除熱を行う熱交換器と、
海から海水を汲み上げて前記熱交換器に注水する海水ポンプと、
前記熱交換器と前記海水ポンプとを接続する注水ラインの途中に設けられ、海水の注水を遮断する海水取水弁と、
前記熱交換器から海への放水ラインの途中に設けられ、海への放水を遮断する海水放水弁と、
前記注水ラインの前記熱交換器と前記海水取水弁との間および前記放水ラインの前記熱交換器と前記海水放水弁との間に、淡水吐出弁と淡水吸入弁を介して、前記熱交換器に並列に接続し、前記熱交換器に淡水を循環注水して前記熱交換器を冷却する淡水循環冷却装置と、を備え、
前記淡水循環冷却装置は、
冷却水としての淡水を除熱する冷却塔と、
前記冷却塔で除熱した淡水を前記熱交換器に注水する淡水ポンプと、
前記注水ラインの前記海水取水弁から前記熱交換器を通って前記放水ラインの前記海水放水弁までの流路を満たす海水の容量に等しい容量の淡水を少なくとも貯水する淡水貯水タンクと、を有し、
前記淡水循環冷却装置の淡水貯水タンクの貯水量を検出する貯水量検出センサを備え、
前記海水取水弁を閉じるとともに前記淡水吐出弁を開いて前記淡水循環冷却装置から前記熱交換器に淡水を注水する場合において、前記貯水量検出センサで検出した貯水量により、前記注水ラインの前記海水取水弁から前記熱交換器を通って前記放水ラインの前記海水放水弁までの流路が海水から淡水に置換されたと判定して、前記海水放水弁を閉じるとともに前記淡水吸入弁を開いて前記淡水循環冷却装置による淡水循環冷却を行う
ことを特徴とする海水冷却システム。 - 海水により冷却対象流体の除熱を行う熱交換器と、
海から海水を汲み上げて前記熱交換器に注水する海水ポンプと、
前記熱交換器と前記海水ポンプとを接続する注水ラインの途中に設けられ、海水の注水を遮断する海水取水弁と、
前記熱交換器から海への放水ラインの途中に設けられ、海への放水を遮断する海水放水弁と、
前記注水ラインの前記熱交換器と前記海水取水弁との間および前記放水ラインの前記熱交換器と前記海水放水弁との間に、淡水吐出弁と淡水吸入弁を介して、前記熱交換器に並列に接続し、前記熱交換器に淡水を循環注水して前記熱交換器を冷却する淡水循環冷却装置と、
前記注水ラインの前記海水取水弁から前記熱交換器を通って前記放水ラインの前記海水放水弁までの流路が淡水で満たされたことを判定する淡水置換判定手段と、を備え、
前記海水の取水異常が生じた際に、前記海水の取水を停止して前記海水取水弁を閉じるとともに、前記淡水吐出弁を開いて前記淡水循環冷却装置から淡水の給水を開始し、
前記淡水置換判定手段により淡水で満たされたことを判定した際に、前記海水放水弁を閉じて海への放水を停止するとともに、前記淡水吸入弁を開いて前記淡水循環冷却装置による淡水循環冷却を行う
ことを特徴とする海水冷却システム。 - 請求項7に記載の海水冷却システムにおいて、
前記淡水循環冷却装置は、
前記注水ラインの前記海水取水弁から前記熱交換器を通って前記放水ラインの前記海水放水弁までの流路を満たす海水の容量に等しい容量の淡水を少なくとも貯水するとともに、淡水の冷却水を除熱する冷却塔と、
前記冷却塔で除熱した冷却水を前記熱交換器に注水する淡水ポンプと、
を備えたことを特徴とする海水冷却システム。 - 請求項7に記載の海水冷却システムにおいて、
前記海水の取水異常が解消した際には、
前記淡水吐出弁と前記淡水吸入弁とを閉じるとともに、前記海水取水弁と前記海水放水弁とを開いて前記海水ポンプにより海水を前記熱交換器に注水する
ことを特徴とする海水冷却システム。
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