JP5956056B2 - 脚立 - Google Patents

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Description

本発明は、転倒リスクを低減させることができる脚立に関する。
従来より、脚立は高所における軽作業、例えば、樹木の剪定時に使用される。この種の脚立としては、四脚脚立や三脚脚立が知られている。例えば、図11に示す従来の四脚脚立20は、梯子状の前脚21と同じく梯子状の後脚22とを有し、前脚21及び後脚22が互いに連結されている。前脚21の左右の脚21L,21Rの接地点の間の間隔、及び、後脚22の左右の脚22L,22Rの接地点の間の間隔、即ち、横幅は一定である。左前脚21Lの接地点と、左後脚22Lの接地点との間の間隔も一定であり、右前脚21Rの接地点と右後脚22Rの接地点との間隔も一定である。脚立の高さが高い機種ほど、その横幅が広く設定される。
図12に示す従来の四脚脚立23は、長さを調節可能な左前脚21L、右前脚21R、左後脚22L、及び右後脚22Rを有している。従って、設置場所に多少の段差があっても、それに応じて、各脚の高さを変更することができる。
図13に示す従来の三脚脚立25は、梯子状の前脚23と棒状の後脚24とを備えている。前脚23の左前脚23Lと右前脚23Rとは所定の横幅をもって固定されており、脚立の高さが高い機種ほどその横幅が広く設定される。
図11から図13に示す従来の脚立以外にも、特許文献1から3に記載のものが知られている。
しかしながら、従来の四脚脚立や三脚脚立では、前脚と後脚との間の間隔を広くしたり、前脚の左右の脚の横幅を広く設定したりすると、脚立の占有する設置面積が広くなる。そのため、用途や機種に応じて、脚立の高さを増加させる場合でも、横幅の広がりの増加分は少なく抑えられる傾向にある。よって、脚立の高さが増加するほど、左右両横への転倒リスクが高くなるという問題があった。
また、従来の四脚脚立や三脚脚立では、前脚と後脚とは前後に開くだけの構造のため、前脚の支柱や後脚の支柱と、水平な設置面とがなす角度を小さく設定しても、左右両横への転倒リスクは低減できないという問題があった。さらに、前脚を兼用した梯子の脚部の横幅が広いため、各種の設備装置が予め設置された場所や植え込みのある場所などの狭小スペースには、梯子の脚部を配置できないという問題があった。また、前脚と後脚とが固定されているため、空中に設備配管や樹木の枝がある場所には脚立を設置できず、大幅な起伏や段差のある場所にも設置できないなどの問題があった。
実開平7−32198 実用新案登録第3111306号 登録実用新案第3031542号
本発明は、上記のような従来の欠点に鑑みてなされたものであって、その目的は、転倒リスクを低減でき、設置場所による制約を少なくすることが可能な脚立を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様によれば、連結枠と、その連結枠に連結されるとともに梯子を備えた前支柱と、後右側固定具を介して前記連結枠に連結される後右側支柱と、後左側固定具を介して前記連結枠に連結される後左側支柱と、前支柱、後右側支柱及び後左側支柱の開き止めを行うための開き止め具とによって構成された脚立が提供される。その脚立の特徴は、前記連結枠が正三角形状に形成され、その連結枠の各辺に前辺軸、右辺軸及び左辺軸が設けられ、連結枠の前辺軸に前支柱の連結パイプ部を回転可能に取り付け、右辺軸に後右側固定具の連結パイプ部を回転可能に取り付け、左辺軸に後左側固定具のパイプ部を回転可能に取り付け、前記後左側固定具及び後右側固定具に後左側支柱及び後右側支柱をそれぞれ着脱可能に装着し、前支柱、後左側支柱及び後右側支柱を含む三本の支柱で脚立を構成し、各支柱を前記開き止め具によって連結することにより、三本の支柱が正三角錐を構成するように配置され、三本の支柱の前方、右後方及び左後方を含む三方への変位を規制するように構成したことにある。
それにより、前後左右のいずれの方向から作用する外力に対しても、均等に平衡を保つことができ、左右両横への転倒リスクを低減することができる。
このような脚立において、以下の構成を備えることが望ましい。すなわち、前記後左側固定具及び後右側固定具はそれぞれ下端にて開口する中空のパイプ本体を備え、各固定具のパイプ本体の下部には、切り欠き溝が設けられ、後左側支柱及び後右側支柱の本体部分から上方へ延びる先端部分は、各固定具のパイプ本体に挿入する長さ分だけその外径を細くされ、さらに最先端部分はテーパー状に加工され、後左側支柱及び後右側支柱の先端部分には、位置決め用の突起が設けられ、後左側支柱及び後右側支柱の先端部分と本体部分との境界には段差部が形成され、各固定具の切り欠き溝の幅は、前記突起の外径より大きく設定され、切り欠き溝は、各固定具のパイプ本体の下部内側の切り口から固定具の軸線と平行に上方へ延びる第1直線部分と、上方へ延び終えた位置から外側へ斜め下方へ延びる傾斜部分と、下方へ延び終えた位置を起点として上下両方向に固定具の軸線と平行に延びる第2直線部分とから構成され、各固定具のパイプ本体に後左側支柱及び後右側支柱を挿入して取り付ける際に、後左側支柱及び後右側支柱の先端部分を挿入した後に突起を切り欠き溝の切り口に合わせ、突起と共に後左側支柱及び後右側支柱を切り欠き溝の第1直線部分に沿って上昇させ、上昇させ終えた位置から突起と共に後左側支柱及び後右側支柱を傾斜部分に沿って下降させ、下降させ終えた位置から突起と共に後左側支柱及び後右側支柱を第2直線部分に沿って上昇させ、上昇が完了した時、各固定具に対する後左側支柱及び後右側支柱の取り付けが完了するようにし、後左側支柱及び後右側支柱の取り付けが完了した時、各固定具のパイプ本体の下部が後左側支柱及び後右側支柱の段差部に接するものであり、さらに、後右側固定具のパイプ本体の下部の切り欠き溝の形状は、後左側固定具の切り欠き溝とは左右対称な形状を有するように構成する。
連結枠と前支柱との間に、天板作業床が設置され、その天板作業床は、パイプ部を介して連結枠に回動可能に連結され、かつ、別のパイプ部を介して前支柱に回動可能に連結されていることが望ましい。
本発明によれば、転倒リスクを低減でき、設置場所による制約を少なくすることが可能な脚立を提供することができる。
本発明の第一実施形態における脚立を示す全体斜視図である。 第一実施形態における脚立の構成部品の分解斜視図である。 (A)は第一実施形態における脚立の主要構成部品の分解斜視図であり、図3(B)は主要構成部品の組み付け状態を示す斜視図である。 (A)は、別の実施形態における脚立の主要構成部品を示す分解斜視図であり、図4(B)は主要構成部品の組み付け状態を示す斜視図である。 (A)、(B)、(C)は第一実施形態における脚立の支柱の分解及び組み付け状態を示す斜視図である。 第一実施形態の脚立の第一の使用状態を示す斜視図である。 第一実施形態の脚立の第二の使用状態を示す斜視図である。 第一実施形態の脚立の第三の使用状態を示す斜視図である。 第一実施形態の脚立を折り畳んだ状態を示す斜視図である。 (A)は、本発明の第二実施形態における脚立の使用状態を示す斜視図であり、図10(B)、(C)、(D)は第二実施形態の脚立に使用する開き止め具の取り付け手順を示す斜視図である。 第一従来例の四脚脚立を示す斜視図である。 第二従来例の四脚脚立を示す斜視図である。 第三従来例の園芸用三脚脚立を示す斜視図である。 本発明の第一実施形態の脚立、第三従来例の三脚脚立、及び、第一従来例の四脚脚立の転倒リスクを比較した説明図である。 第一実施形態の脚立の正面、平面及び右側面を示す等角投影図である。 第一実施形態の脚立の背面、底面及び左側面を示す等角投影図である。 本発明の別の実施形態における脚立の使用状態を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の第一実施形態における脚立Sを示す全体斜視図である。脚立Sは三脚式であり、パイプにより正三角形状に形成された連結枠Tcpと、梯子Lを有する前支柱PLと、後右側支柱用の後右側固定具Psrと、後右側の支柱Pudrと、後左側支柱用の後左側固定具Pslと、後左側の支柱Pudlと、チェーン式の開き止め具SOcとを備えている。
連結枠Tcpはその正三角形状の各辺に、互いに連結された前辺軸31、右辺軸33及び左辺軸35を備えている。連結枠Tcpの前辺軸31には前支柱PLの連結パイプ部32が取り付けられ、右辺軸33には後右側固定具Psrの連結パイプ部34が取り付けられ、左辺軸35には後左側固定具Pslの連結パイプ部36が取り付けられている。それにより、連結枠Tcpの3つの軸31、33、35の周りに三本の支柱PL,Pudr,Pudlがそれぞれ回転可能に連結されている。前辺軸31、右辺軸33及び左辺軸35は連結枠に設けられた3つの連結部位を構成している。
左右の固定具Psl,Psrには左右の支柱Pudl,Pudrがそれぞれ着脱可能に装着され、前支柱PLを含めた三本の支柱によって脚立Sが構成されている。各支柱Pudl,Pudr,PLはその長さを調節可能に構成されている。
脚立Sの使用時には、前支柱PL、後右側支柱Pudr、後左側支柱Pudlと設置面との角度を約70度にそれぞれ設定した状態で、各支柱が開き止め具SOcによって連結される.開き止め具SOcは二本のチェーンからなり、その一方のチェーンは、前支柱PLから始まり、後右側支柱Pudrの掛け金具に掛けられた後、後左側支柱Pudlの掛け金具に掛けられる。開き止め具SOcの他方のチェーンは、前支柱PLから始まり、後左側支柱Pudlの掛け金具に掛けられて、各支柱が固定された状態に保たれる。三本の支柱の設置面との角度は、上記の約70度に限定されることはなく、設置場所に応じて個別に任意の角度に設定できる。
開き止め具SOc及び連結枠Tcpにより、三本の支柱Pudl,Pudr,PLが正三角錐を構成するように連結され、前方、右後方及び左後方を含む三方への変位を規制されて配置される。それにより、前後左右のどのような方向からの外力に対しても、脚立の平衡を均等に保つことができ、転倒に対して最も安定した形態を維持することができる。
図2は、脚立Sの構成部品の分解斜視図である。連結枠Tcpは梯子付きの前支柱PLに対して予め組み付けられている。後右側固定具Psrには、後右側支柱Pudrが着脱可能に取り付けられ、後左側固定具Pslには、後左側支柱Pudlが着脱可能に取り付けられる。開き止め具SOcは前支柱PLに予め取り付けられている。梯子Lは前支柱PLから外した状態で示されているが、梯子付き前支柱PLは一体化した一つの部品である。
図3(A)は、第一実施形態における脚立Sの主要構成部品の分解斜視図であり、図3(B)は同じく組み付け状態を示す斜視図である。連結枠Tcpの前辺軸31に前支柱PLの連結パイプ部32が取り付けられ、右辺軸33に後右側固定具Psrの連結パイプ部34が取り付けられ、左辺軸35に後左側固定具Pslの連結パイプ部36が取り付けられている。それにより、正三角形状の連結枠Tcpの三辺を回転軸として、三本の支柱が各々回転可能に連結される。
図5(A),(B),(C)は、第一実施形態における脚立Sの支柱Pudr,Pudlの分解及び組み付け状態を示す斜視図である。各支柱Pudr,Pudlに取り付けられている開き止め具用の掛け金具や脚足は、取り付け位置に方向性を有しているため、着脱を繰り返すたびに同じ位置に装着するための位置決めの仕組みが必要である。
また、使用時に各支柱Pudr,Pudlが各固定具Psr,Pslから外れず、固定具Psr,Pslに加わる外力を支柱Pudr,Pudlで持ち堪える仕組みが必要である。さらに、脚立Sを立てたまま折り畳んで運搬する際に、各支柱Pudr,Pudlが各固定具Psr,Pslから外れないようにするための仕組みも必要である。これら三つの必要な仕組みを各固定具Psr,Pslの切り欠き溝Hr,Hlの形状と各支柱Pudr,Pudlの位置決め用突起PPと各支柱の段差部Guとの形状で実現した。
図5(A)は各支柱の取付け時の説明図である。後左側固定具Pslは下端にて開口する中空のパイプ本体を備えている。後左側固定具Pslのパイプ本体の下部には、文字Nに似た形に切り欠いた切り欠き溝Hlが設けられている。後左側支柱Pudlの本体部分40から上方へ延びる先端部分41は、後左側固定具Pslのパイプ本体に挿入する長さ分だけその外径を細くされ、さらに最先端部分42はテーパー状に加工されて挿入し易くされている。後左側支柱Pudlの先端部分41には、位置決め用の突起PPが設けられている。後左側支柱の先端部分41と本体部分40との境界には段差部Guが形成されている。
後左側固定具の切り欠き溝Hlの幅は、位置決め用突起PPの外径より若干大きく設定されている。切り欠き溝Hlは、後左側固定具Pslのパイプ本体の下部内側の切り口から固定具の軸線と平行に上方へ延びる第1直線部分45と、上方へ延び終えた位置から外側へ斜め下方へ延びる傾斜部分46と、下方へ延び終えた位置を起点として上下両方向に固定具の軸線と平行に延びる第2直線部分47とから構成されている。後右側固定具Psrのパイプ本体の下部の切り欠き溝Hrの形状は、後左側固定具Pslの切り欠き溝Hlとは左右対称な形状を有している。
後左側固定具Pslのパイプ本体に後左側支柱Pudlを挿入して取り付ける場合は、矢印で示したように、後左側支柱Pudlの先端部分41を少し挿入した後に突起PPを左側切り欠き溝Hlの切り口に合わせ、突起PPと共に支柱Pudlを切り欠き溝Hlの第1直線部分45に沿って上昇させ、上昇させ終えた位置から突起PPと共に支柱Pudlを傾斜部分46に沿って下降させ、下降させ終えた位置から突起PPと共に支柱Pudlを第2直線部分47に沿って上昇させる。上昇が完了した時、後左側固定具Pslに対する支柱Pudlの取り付けが完了する。
後右側固定具Psrのパイプ本体に後右側支柱Pudrを挿入して取り付ける場合には、矢印で示したように、後左側固定具の切り欠き溝Hlに支柱Pudlの突起PPを挿入する場合と左右対称な動きで、突起PPと共に後右側支柱Pudrを後右側固定具の切り欠き溝Hrに沿って移動させればよい。
図5(B)は支柱の固定時の説明図である。後左側固定具Pslの切り欠き溝Hlの第2直線部分47の最上位置に突起PPが配置された状態では、後左側固定具Pslのパイプ本体の下部が、後左側支柱Pudlの段差部Guに接しており、後左側支柱Pudlが後左側固定具Pslから外れず、矢印で示したように、後左側固定具Pslに加わる外力を後左側支柱Pudlで持ち堪える形態となっている。同様に、後右側固定具Psrに加わる外力を後右側支柱Pudrで持ち堪える形態となっている。
図5(C)は支柱の吊り下げ移動時の説明図である。図5(B)に示した支柱の固定状態から、脚立Sを立てたまま折り畳んで運搬する際には、左右に開いている2つの支柱Pudr,Pudlを、中央に位置する前支柱PLのもとへ、内方に引き寄せる動作が必要になる。この引き寄せ動作に対して、各支柱Pudr,Pudlの突起PPが対応する切り欠き溝Hr,Hlから外れないようにするため、第2直線部分47を各固定具Psr,Pslのパイプ本体の外側に配置することにより、各突起PPが対応する切り欠き溝Hr,Hlの第2直線部分47の内壁面と係合しながら上下動を行うような形態を採用している。各支柱Pudr,Pudlを前支柱PLのもとへ引き寄せた後は、各支柱の重みで突起PPが下降し、第2直線部分47の下端に係合して各支柱が対応する固定具Psr,Pslに吊り下げられた状態となる。よって、この状態で脚立を立てたまま運搬することができる。
運搬先で脚立Sを再び使用する場合には、左右の支柱Pudr,Pudlを外方に開きながら持ち上げる動作が必要になる。このような動作に対して支柱の突起PPが切り欠き溝Hr,Hlから外れないようにするため、第2直線部分47の下端に係合した突起PPの内方に逃げようとする動きに対抗する壁面が、図5(B)に示す支柱の固定位置に対応する最上部まで続いている形態が必要である。しかも、切り欠き溝Hr,Hlの切り口までその溝が繋がっていることも必要である。そのため、第2直線部分47の中間位置から内方へ斜めに上がる傾斜部分46が設けられている。
図6は、第一実施形態の脚立Sの一使用状態を示す斜視図である。使用場所の制約に合わせて、前支柱PLの脚部を伸ばし、後左側支柱Pudlの脚部を伸ばし、後右側支柱Pudrの脚部を縮めて設置した状態である。
図7は、第一実施形態の脚立Sの別の使用状態を示す斜視図である。使用場所における設置の制限に合わせて、前支柱PLの脚部を伸ばし、後左側支柱Pudlの脚部を伸ばして設置している。後右側支柱Pudrの脚部を縮めても設置できない場合には、後右側支柱Pudrを短いサイズの後右側支柱sPudrに取り替えて設置することができる。
図8は、第一実施形態の脚立Sのさらに別の使用状態を示す斜視図である。使用場所が平坦で設置の制限がない場合、前支柱PLの脚部を縮め、後左側支柱Pudlの脚部を縮め、さらに、後右側支柱Pudrの脚部を縮めて設置している。前支柱PLにおける梯子Lの両脚が接地されている。
図9は、第一実施形態の脚立Sを折り畳んだ状態を示す斜視図である。脚立Sを立てたまま折り畳んで移動する際に、左右に開いていた後右側支柱Pudr、後左側支柱Pudlを、梯子付き前支柱PLのもとへ内側方向に引き寄せることにより、脚立Sが折り畳まれる。従って、コンパクトに折り畳んだ形態で移動や保管ができる。
ここで、図14を参照して、本発明の第一実施形態の脚立S、第三従来例の三脚脚立25、及び、第一従来例の四脚脚立20における各脚部もしくは支柱の配置から、転倒リスクを比較する。
設置される水平面と各脚立S,25,20の脚部もしくは支柱とがなす角度を、一定の角度、すなわち、75度に維持し、各支柱の長さを360cmに設定した時の各脚部における接地点をaからjの記号で示した。第一実施形態の脚立Sの接地点a、b、cを点線で結んで囲まれた三角形の設置エリアSAの内側に、脚立Sの上方で作業する作業者の重心Ccがあれば、脚立Sは転倒しない。
三脚脚立25の接地点d、e、fを点線で結んで囲まれた三角形の設置エリア25Aの内側に、脚立25の上方で作業する作業者の重心Ccがあれば脚立は転倒しない。同様に、四脚脚立20の接地点g、h、i、jを点線で結んで囲まれた四角形の設置エリア20Aの内側に、脚立20の上方で作業する作業者の重心Ccがあれば、脚立は転倒しない。
水平面と各脚立S,20,25の脚部とがなす角度を、一定の75度に維持し、各支柱の長さを270cm及び150cmに、それぞれ順次変更した場合、各脚立S,25,20の設置エリアSA,25A,20Aは、図14に示すように順次縮小される。しかし、縮小された設置エリアSA,25A,20Aのさらに内側に、各脚立の上方で作業する作業者の重心Ccがあれば、脚立は転倒しない。
三つの脚立の転倒リスクを比較してみると、従来の三脚脚立25や四脚脚立20では、用途及び機種に応じて、脚立の高さが高く変更されても、左前脚及び右前脚の間の横幅の広がりの増加分は少なく抑制される。ここで、各脚立の横幅は、接地点c,b間の間隔、接地点d,e間の間隔、及び接地点g,h間の間隔に相当する。
従来の脚立では、前記横幅の増加分が抑制されるため、高さが高くなればなるほど、左右両横への転倒リスクが高くなる。それに比べ、第一実施形態の脚立Sでは、その高さに応じて、隣接する2つの接地点の間の間隔を大きくすることが可能であるため、脚立の高さが高くなればなるほど、左右両横への転倒リスクが低減されるといえる。
また、従来の三脚脚立25や四脚脚立20では、前脚と後脚とが前後に開くだけの構造のため、前脚支柱や後脚支柱の水平設置面との角度を小さくしても、接地点の間の間隔が前後に広がるだけで、左右両横への転倒リスクは低減できない。それに比べ、第一実施形態の脚立Sでは、脚立の各脚部と水平面とがなす角度を小さくすればするほど、図14に示す設置エリアSAが大きく広がり、左右両横への転倒リスクが低減されるといえる。
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)図1、図15、図16に示すように、正三角形状の連結枠Tcpの前辺軸31に前支柱PLの連結パイプ部32を取り付け、右辺軸33に後右側固定具Psrの連結パイプ部34を取り付け、左辺軸35に後左側固定具Pslの連結パイプ部36を取り付けることにより、連結枠Tcpの3つの回転軸31、33、35の周りに三本の支柱がそれぞれ回転可能に連結されている。したがって、三本の支柱が正三角錐を構成するように規制されて配置されることにより、前後左右のいずれの方向から作用する外力に対しても、均等に平衡を保つことができ、左右両横への転倒リスクを低減することができる。特に、従来の欠点であった脚立の高さが高くなるほど、左右両横への転倒リスクが高まることについては、脚立が高くなって長くなった三本の各支柱の脚部を、設置場所の制約が少ない状態で、連結枠から三方に容易に広げることができ、転倒リスクを低減することができる。
また、連結枠Tcpの3つの回転軸の周りに三本の支柱がそれぞれ回転可能に連結されていることにより、三本の支柱の水平設置面との角度を個別に任意の角度に設定でき、その角度を小さくすればするほど、設置エリアが拡大されるため、従来とは異なり、転倒リスクを低減することができる。
(2)三本のなかの一本の支柱に梯子を設けた形態であっても、安定していることで、予め設備装置が存在する場所や、植え込みのある場所などの狭小スペースであっても、梯子付きの前支柱PLを設置することができる。
(3)後右側固定具Psrに後右側支柱Pudrを装着し、後左側固定具Pslには後左側支柱Pudlを装着し、梯子付きの前支柱を含めた三本の支柱で、脚立を構成している。そして、左右の支柱を着脱可能に構成することにより、空中に横たわる設備配管や樹木の枝がある場所で、支柱を装着したまま脚立を設置することができない場合には、設置に支障のある支柱を一旦取り外し、設備配管や樹木の枝を越えた位置で、支柱を再び装着することにより、脚立を設置することができる。
(4)三本の支柱の脚部が伸縮できるようにすることで、段差のある様々な場所にも脚立を設置することができる。さらに、右側と左側の支柱を、別の短いサイズや長いサイズの支柱に交換することで、大きな起伏や段差のある場所にも設置することができる。
(5)三本の内の一本の支柱PLに梯子を設けた形態でも安定して設置できることにより、従来の四脚脚立や三脚脚立と比較して、梯子の前脚部を二脚に構成する必要がなく、梯子の幅を狭くしたり、後脚の踏ざんを無くしたりすることができ、脚立全体をスリムかつ軽量にすることができる。
図4(A),(B)は、連結枠の別の実施形態を示す斜視図であり、前記第一実施形態の第1連結枠Tcpとは、以下の点において相違する。正三角形状の第2連結枠Tcbには、等角度間隔を隔てて位置する3つの頂点から突出する連結片51、52、53、すなわち連結部位が設けられている。
第2連結枠Tcbの連結片51、52、53に対して、前支柱PL、後右側固定具Psr及び後左側固定具Pslが、3組のボルト、ワッシャ及びナットによって、それぞれ連結されている。前支柱PLは対応するボルトを回転軸として、回転可能に第2連結枠Tcbに連結されている。後右側支柱及び後左側支柱は対応する固定具Psr,Pslを介し、対応するボルトを回転軸として、回転可能に第2連結枠Tcbにそれぞれ連結されている。
このような構成の第2連結枠Tcbを備えた脚立においても、前記第一実施形態の脚立と同様の作用効果が得られる。
図10(A)は、本発明の第二実施形態の脚立の一使用状態を示す斜視図である。使用場所が平面で設置の制限がない場所でのみ使用する形態であるが、従来の四脚脚立や三脚脚立に比べて転倒リスクが低い利点がある。
第1連結枠Tcpの前辺軸31に前側梯子Lnの連結パイプ部32が取り付けられ、右辺軸33に後右側支柱Pnrの連結パイプ部34が取り付けられ、左辺軸35に後左側支柱Pnlの連結パイプ部36が取り付けられている。それにより、第1連結枠Tcpの三辺を回転軸として、三本の支柱が回転可能に第1連結枠Tcpに連結されている。前側梯子Lnの各脚部、後右側支柱Pnrの脚部、及び、後左側支柱Pnlの脚部には、滑り止め部材50が自在継手を介してそれぞれ装着されている。
開き止め具SOpは一つの固定片51と二つの可動片52とを備え、開き止め具SOpの固定片51が前側梯子Lnに固定された状態で、開き止め具SOpが前側梯子Lnから吊り下げられている。二つの可動片52は固定片51に回動可能に連結されている。開き止め具SOpの各可動片52の切り欠き穴部を、後右側支柱Pnrの掛け金具及び後左側支柱Pnlの掛け金具にそれぞれ引っ掛けて、各支柱の開き止めが行われる。また、前側梯子Ln、後右側支柱Pnr、後左側支柱Pnlの各々の支柱と水平面との角度は70度に保持されている。
開き止め具SOpの取り付け手順を図10(B)、(C)、(D)に示す。開き止め具SOpに三つの切り欠き穴を設けて、各支柱と水平設置面との角度を、75度、70度、65度のいずれかに選択的に設定するようにすることも可能である。
図17は、本発明の別の実施形態の脚立の一使用状態を示す斜視図である。この実施形態では、第1連結枠Tcpと前支柱PLとの間に、天板作業床TFLが設置されている点において、図1の第一実施形態と異なる。天板作業床TFLは広い面積を有しており、その上に立って作業することが可能である。天板作業床TFLは、前記第一実施形態と同様の連結パイプ部32を介して第1連結枠Tcpに回動可能に連結され、かつ、別の連結パイプ部53を介して前支柱PLに回動可能に連結されている。従って、前支柱PLは連結パイプ部53、天板作業床TFL及び連結パイプ部32を介して第1連結枠Tcpに回動可能に連結され、後左側支柱Pudl及び後右側支柱Pudrは前記パイプ部34、36を介して各々回転可能に第1連結枠Tcpに連結されている。
図17に示す別の実施形態における脚立では、第1連結枠Tcpと前支柱PLとの間に天板作業床TFLが設置されている。そのため、面積の広い安定した天板作業床TFLの上に立って作業することができる。それ以外の作用効果については、図1の第一実施形態と同一である。
S 脚立
Tcp 第1連結枠
Tcb 第2連結枠
Psr 後右側固定具
Psl 後左側固定具
PL 前支柱
L 梯子
Pudr 後右側支柱
Pudl 後左側支柱
Hr 右切り欠き溝
Hl 左切り欠き溝
PP 位置決め用突起
Gu 支柱の段差部
SOc 第1開き止め具
SOp 第2開き止め具
Ln 前側梯子
Pnr 後右側支柱
Pnl 後左側支柱
a 脚立Sの前脚の接地点
b 脚立Sの右後脚の接地点
c 脚立Sの左後脚の接地点
d 脚立25の左前脚の接地点
e 脚立25の右前脚の接地点
f 脚立25の後脚の接地点
g 四脚脚立20の左前脚の接地点
h 四脚脚立20の右前脚の接地点
i 四脚脚立20の右後脚の接地点
j 四脚脚立20の左後脚の接地点
Cc 作業者の重心
TFL 天板作業床

Claims (2)

  1. 連結枠と、その連結枠に連結されるとともに梯子及び伸縮可能な脚部を備えた前支柱と、後右側固定具を介して前記連結枠に連結されるとともに伸縮可能な脚部を備えた後右側支柱と、後左側固定具を介して前記連結枠に連結されるとともに伸縮可能な脚部を備えた後左側支柱と、前支柱、後右側支柱及び後左側支柱の開き止めを行うための開き止め具とによって構成された脚立において、
    前記連結枠が正三角形状に形成され、その連結枠の各辺に前辺軸、右辺軸及び左辺軸が設けられ、
    連結枠の前辺軸に前支柱の連結パイプ部を回転可能に取り付け、右辺軸に後右側固定具の連結パイプ部を回転可能に取り付け、左辺軸に後左側固定具のパイプ部を回転可能に取り付け、
    前記後左側固定具及び後右側固定具に後左側支柱及び後右側支柱をそれぞれ着脱可能に装着し、
    前支柱、後左側支柱及び後右側支柱を含む三本の支柱で脚立を構成し、
    各支柱を前記開き止め具によって連結することにより、三本の支柱が正三角錐を構成するように配置され、三本の支柱の前方、右後方及び左後方を含む三方への変位を規制するように構成し
    前記後左側固定具及び後右側固定具はそれぞれ下端にて開口する中空のパイプ本体を備え、
    各固定具のパイプ本体の下部には、切り欠き溝が設けられ、
    後左側支柱及び後右側支柱の本体部分から上方へ延びる先端部分は、各固定具のパイプ本体に挿入する長さ分だけその外径を細くされ、さらに最先端部分はテーパー状に加工され、
    後左側支柱及び後右側支柱の先端部分には、位置決め用の突起が設けられ、
    後左側支柱及び後右側支柱の先端部分と本体部分との境界には段差部が形成され、
    各固定具の切り欠き溝の幅は、前記突起の外径より大きく設定され、
    切り欠き溝は、各固定具のパイプ本体の下部内側の切り口から固定具の軸線と平行に上方へ延びる第1直線部分と、上方へ延び終えた位置から外側へ斜め下方へ延びる傾斜部分と、下方へ延び終えた位置を起点として上下両方向に固定具の軸線と平行に延びる第2直線部分とから構成され、
    各固定具のパイプ本体に後左側支柱及び後右側支柱を挿入して取り付ける際に、後左側支柱及び後右側支柱の先端部分を挿入した後に突起を切り欠き溝の切り口に合わせ、突起と共に後左側支柱及び後右側支柱を切り欠き溝の第1直線部分に沿って上昇させ、上昇させ終えた位置から突起と共に後左側支柱及び後右側支柱を傾斜部分に沿って下降させ、下降させ終えた位置から突起と共に後左側支柱及び後右側支柱を第2直線部分に沿って上昇させ、上昇が完了した時、各固定具に対する後左側支柱及び後右側支柱の取り付けが完了するようにし、後左側支柱及び後右側支柱の取り付けが完了した時、各固定具のパイプ本体の下部が後左側支柱及び後右側支柱の段差部に接するものであり、
    さらに、後右側固定具のパイプ本体の下部の切り欠き溝の形状は、後左側固定具の切り欠き溝とは左右対称な形状を有することを特徴とする脚立。
  2. 連結枠と、その連結枠に連結されるとともに梯子及び伸縮可能な脚部を備えた前支柱と、後右側固定具を介して前記連結枠に連結されるとともに伸縮可能な脚部を備えた後右側支柱と、後左側固定具を介して前記連結枠に連結されるとともに伸縮可能な脚部を備えた後左側支柱と、前支柱、後右側支柱及び後左側支柱の開き止めを行うための開き止め具とによって構成された脚立において、
    前記連結枠が正三角形状に形成され、その連結枠の各辺に前辺軸、右辺軸及び左辺軸が設けられ、
    連結枠の前辺軸に前支柱の連結パイプ部を回転可能に取り付け、右辺軸に後右側固定具の連結パイプ部を回転可能に取り付け、左辺軸に後左側固定具のパイプ部を回転可能に取り付け、
    前記後左側固定具及び後右側固定具に後左側支柱及び後右側支柱をそれぞれ着脱可能に装着し、
    前支柱、後左側支柱及び後右側支柱を含む三本の支柱で脚立を構成し、
    各支柱を前記開き止め具によって連結することにより、三本の支柱が正三角錐を構成するように配置され、三本の支柱の前方、右後方及び左後方を含む三方への変位を規制するように構成し、
    連結枠と前支柱との間に、天板作業床が設置され、その天板作業床は、パイプ部を介して連結枠に回動可能に連結され、かつ、別のパイプ部を介して前支柱に回動可能に連結されていることを特徴とする脚立。
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