ところで、上述した特許文献1によるものでは、フロアマットを1枚の平坦なゴムマットとして形成しているから、フロアマットの乗降口側に付着した泥は、作業時、走行時の揺れや傾きによってフロアマットの全体に広がってしまう。このために、フロアマットを頻繁に清掃しなくてはならない上に、作業環境が悪くなるという問題がある。
一方、特許文献2によるものでは、足乗せ部位側のフロアマットとは別個のフロアマットをデッキ側にも設けているから、清掃作業時には、足乗せ部位側のフロアマットとデッキ側のフロアマットとをそれぞれ取外して清掃しなくてはならず、清掃作業に手間を要してしまうという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、乗降口側を除くフロアマットの大部分を清浄に保つことができ、清掃作業に際してフロアマットを容易に清掃できるようにした小型の油圧ショベルを提供することにある。
本発明による小型の油圧ショベルは、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に小さな旋回半径で旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置と、該作業装置とバランスさせるために前記上部旋回体の後側に設けられ後面が円弧状に湾曲して形成されたカウンタウエイトとからなり、前記上部旋回体は、支持構造体を形成する旋回フレームと、前記カウンタウエイトの前側に位置して前記旋回フレーム上に設けられたエンジンと、前記旋回フレーム上に設けられ後側が運転席を取付ける運転席取付部位となり、前側がオペレータが足を乗せる足乗せ部位となると共に該足乗せ部位の前側がレバー・ペダル取付部位となったフロア部材と、該フロア部材の足乗せ部位に敷設されたフロアマットとを備えている。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記フロア部材の足乗せ部位は、オペレータが足を乗せるために前記運転席の前側に平坦面として設けられ乗降口側の端部が前側から後側に向け該乗降口から離れる方向に傾斜した運転席前板と、該運転席前板の乗降口側の前記端部に立下がって設けられた立下り板と、該立下り板の下端から前記乗降口側に向けて延びオペレータが乗り降りするときの足掛けとなる足掛け板とによって構成し、前記フロアマットは、前記足乗せ部位の運転席前板の上側を覆い、前記乗降口側の端部が前記運転席前板の前記端部に沿うように前側から後側に向け前記乗降口から離れる方向に傾斜した前板マット部と、該前板マット部の前記端部から前記立下り板に沿って立下がり該立下り板の側方を覆い、前側から後側に向け前記乗降口から離れる方向に傾斜した立下りマット部と、該立下りマット部の下端から前記乗降口側に向けて延び前記足掛け板の上側を覆う足掛けマット部とを単一の部材として構成し、前記足掛けマット部には、前記乗降口側の端部と前記立下りマット部との間に位置して該立下りマット部の前記傾斜に沿わせて延び、かつ前記乗降口に対しては斜めに延びる複数本の滑止め溝を設ける構成としたことにある。
この構成によれば、フロア部材の足掛け板は、運転席前板から下げた低位置に配置できるから、オペレータは、フロア部材に乗り込むときに、運転席前板よりも下がった低位置にある足掛け板に、大きく足を上げることなく簡単に足を掛けることができる。これにより、オペレータは、フロア部材に容易に乗り込むことができ、同様に、フロア部材から容易に降りることができる。
この場合、運転席前板の乗降口側の端部は、前側から後側に向け乗降口から離れる方向に傾斜している。この結果、オペレータが運転席に着座した操作姿勢において、殆ど足が置かれることがない運転席に近い後側位置で、足掛け板の奥行き寸法を大きく確保することができる。これにより、小型の油圧ショベルのようにフロア部材が狭い場合でも、操作性を損なうことなく足掛け板の面積を大きく確保でき、乗降時には足掛け板に確実に足を掛けることができる。
一方、前板マット部と立下りマット部と足掛けマット部とにより単一の部材として形成されたフロアマットは、運転席前板と立下り板と足掛け板とによってステップ状に形成されたフロア部材の足乗せ部位を覆うことができる。このときに、フロアマットは、足掛けマット部を前板マット部よりも低い位置に設けているから、足掛けマット部に付着した泥、水等が前板マット部側に移動するのを立下りマット部によって阻止することができる。即ち、作業時、走行時に揺れや傾きが生じても、足掛けマット部に泥、水等を留めて置くことができる。しかも、フロアマットを清掃するときには、単一の部材からなるフロアマットは、1回の作業で全てを取外すことができ、簡単に清掃することができる。
さらに、足掛けマット部には、前側から後側に向け乗降口から離れる方向に傾斜した立下りマット部の傾きに沿わせて延び、かつ前記乗降口に対しては斜めに延びる複数本の滑止め溝を設けているから、乗り降りするときには、足掛けマット部に掛けた足を滑止め溝に引っ掛けて滑らないように安定させることができる。ここで、滑止め溝は、乗降口を通る乗降方向に対して斜めに延びているから、この滑止め溝に足(靴底)を確実に引っ掛けることができ、効果的に足の滑りを止めることができる。しかも、立下りマット部の傾きに沿って延びるように配置された滑止め溝は、泥等が堆積しても容易に掃き出すことができる。
この結果、泥等が付着した靴が最初に掛けられる足掛けマット部には、泥等が付着するものの、足掛けマット部を除くフロアマットの大部分、即ち、前板マット部を清浄に保つことができ、作業環境を良好にすることができる。この上で、フロアマットを清掃するときには、簡単な作業で清掃することができる。さらに、足掛けマット部に設けられた滑止め溝によって滑ることなく、安定的に乗り降りすることができる。
請求項2の発明によると、前記足掛けマット部のうち前記乗降口に沿う端部位置は、その上面を前記乗降口側に向け下向きに傾斜された傾斜面として形成したことにある。これにより、足掛けマット部の乗降口側を傾斜面によって低くすることができる。この結果、乗車時に足先が引っ掛かり難くすることができ、容易に乗り込むことができる。一方、足掛けマット部の上面では、乗降口側を低くすることにより泥等を自動的に排出することができる。
請求項3の発明によると、前記フロアマットは、その足掛けマット部を固定部材を用いて前記足乗せ部位の足掛け板に固定する構成としたことにある。これにより、フロアマットは、固定部材によって位置ずれしないように固定することができる。一方で、固定部材を外すことにより、足乗せ部位からフロアマットを取外すことができる。この場合、固定部材は、乗降口側に設けているから、容易に手を伸ばすことができ、簡単に脱着することができる。
請求項4の発明によると、前記レバー・ペダル取付部位の乗降口側の端部には、前側から後側に向け乗降口から離れる方向に傾斜した傾斜端部を設け、該傾斜端部は、前記足乗せ部位の立下り板と連続させることにより、該傾斜端部の位置に前記足掛け板の延長板部を延長して配置する構成としたことにある。
この構成によれば、レバー・ペダル取付部位の傾斜端部は、運転席前板の乗降口側の端部と連続させることができ、傾斜端部の位置に足掛け板の前部位置を延長して配置することができる。これにより、足掛け板は、前部位置を延長した分だけ前,後方向に広く形成することができる。この結果、オペレータは、足掛け板に確実に足を掛けることができる。
請求項5の発明によると、前記前板マット部には、前記運転席側を中心として円弧状に延びる複数本の滑止め溝を設ける構成としたことにある。これにより、足乗せ部位上に搭乗したオペレータは、円弧状に延びる前板マット部の滑止め溝に足を掛けることにより、安定状態で作業(操作)することができる。
請求項6の発明によると、前記前板マット部には、前記運転席取付部位側の端部を上側に立上がることにより立上り壁を設ける構成としたことにある。これにより、フロアマットに設けられた立上り壁は、フロアマット上に泥等が堆積しても、この泥等が周囲に飛散しないように堰き止めることができる。
請求項7の発明によると、前記フロアマットの前記足掛けマット部には、前記乗降口側の後端部に位置して前記運転席取付部位に向けて後側に延びる後延長部を設ける構成としたことにある。これにより、後延長部は、運転席取付部位に向けて後側まで足掛けマット部を延長させることができるから、この足掛けマット部の踏み代を後側にも広げることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械の代表例として、キャブを搭載したクローラ式の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
図1ないし図13は本発明に係る建設機械の実施の形態を示している。
図1、図2において、1は本実施の形態に適用される建設機械としてのキャブ仕様の油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載され、前記下部走行体2と共に車体を構成する上部旋回体3と、該上部旋回体3の前,後方向の前側に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4とにより構成されている。
ここで、油圧ショベル1は、上部旋回体3が小さな旋回半径で旋回することができる小旋回機として構成されている。この場合の上部旋回体3は、上方から見て略円形状をなし、全体としてコンパクトに形成されている。
上部旋回体3は、支持構造体を形成する旋回フレーム5と、該旋回フレーム5上に設けられた後述のエンジン6、カウンタウエイト7、フロア部材8、キャブボックス22とにより構成されている。旋回フレーム5の前側には、作業装置4が揺動可能かつ俯仰動可能に取付けられている。
エンジン6は旋回フレーム5の後側に搭載され(図1中に点線で図示)、該エンジン6は、油圧ポンプを回転駆動するものである。カウンタウエイト7は旋回フレーム5の後部に設けられ、該カウンタウエイト7は、作業装置4との重量バランスをとるものである。このカウンタウエイト7は、エンジン6を後側から覆うように円弧状に湾曲して形成されている。さらに、カウンタウエイト7は、後述のフロア部材8を構成する運転席取付部位9の取付板部9Dを旋回フレーム5側に取付けるための支持体を兼ねている。
8は旋回フレーム5上の左側寄りに設けられたフロア部材を示している。このフロア部材8は、例えば前側が後述のレバー・ペダル取付部位14を介して旋回フレーム5の前側位置に傾転可能に支持され、後側位置がカウンタウエイト7の上部に支持されている。これにより、フロア部材8は、運転席16、キャブボックス22等と一緒にレバー・ペダル取付部位14を支点としてチルトアップ、チルトダウンすることができる。図3ないし図8に示すように、フロア部材8は、後述の運転席取付部位9、足乗せ部位10およびレバー・ペダル取付部位14により構成されている。
図4、図5に示すように、運転席取付部位9はフロア部材8の後側に位置してステップ状に形成され、該運転席取付部位9は、後述の運転席16が取付けられるものである。運転席取付部位9は、足乗せ部位10の後部から上側に延びた前板部9Aと、該前板部9Aの上部から後側に延び運転席16を搭載する平坦な搭載板部9Bと、該搭載板部9Bの後部から上側に向けて延びた背板部9Cと、該背板部9Cの上部から後側に延びた取付板部9Dとにより構成されている。前記取付板部9Dは、フロア部材8をチルトダウンしたときにカウンタウエイト7上に支持される。
10は運転席16に着座したオペレータが足を乗せるために運転席取付部位9の前側に設けられた足乗せ部位を示している。この足乗せ部位10は、乗降口15に対応する前,後位置に設けられている。足乗せ部位10は、作業時にオペレータが足を乗せる部分と乗降時に足を掛ける部分との両方を備えている。即ち、足乗せ部位10は、後述の運転席前板11と立下り板12と足掛け板13とによってステップ状に形成されている。
運転席前板11は足乗せ部位10のうち運転席16の前側に対向して設けられ、該運転席前板11は、運転席取付部位9とレバー・ペダル取付部位14との間に設けられた長方形状の平坦な板体として形成されている。運転席前板11は、運転席16の幅寸法よりも左,右方向に広幅に形成しているから、オペレータの足を乗せるのに十分な広さとなっている。
ここで、運転席前板11は、乗降口15側となる左側端部11Aが前側から後側に向け該乗降口15から離れる方向(右方向)に傾斜している。この場合、運転席前板11のうち、運転席16に近い後側位置では、左側の幅寸法が小さく、乗降口15から離れるようになっている。即ち、運転席前板11の後側位置は、運転席16に着座した操作姿勢において殆ど足が置かれることがない場所であり、左側への幅寸法を狭くしても操作性を損なうことはない。その一方で、左側端部11Aの前側は、左側の幅寸法を大きく、乗降口15に近づくように形成している。このため、左側端部11Aの前側には、後述の予備用操作ペダル20を操作する足の踵や該操作ペダル20から外した足を置くことができる。
このように、運転席前板11では、左側端部11Aを前側から後側に向け該乗降口15から離れる方向に傾斜させたことにより、操作に支障を生じない後側のスペースを利用し、後述の足掛け板13の奥行き寸法を大きくすることができる。
立下り板12は運転席前板11の左側端部11Aから立下がって設けられ、該立下り板12は、左側端部11Aと同様に、前側から後側に向け乗降口15から離れる方向に傾斜するように延びて形成されている。これにより、立下り板12の下端部に設けられる足掛け板13は、前側から後側に向けて広幅となる三角形状に形成することができる。一方、立下り板12の前側位置には、後述するレバー・ペダル取付部位14の傾斜端部14Dと連続している。さらに、立下り板12は、上,下方向の寸法を大きく形成しているから、運転席前板11に比較し足掛け板13を足を掛け易い十分に低い位置に配置することができる。
13は立下り板12の下端から乗降口15側(左側)に向けて延びて設けられた平坦な足掛け板を示している。この足掛け板13は、オペレータがフロア部材8上に乗り降りするときに足を掛けるものである。足掛け板13は、足乗せ部位10の運転席前板11の高さ位置に拘束されることなく、立下り板12の高さ寸法に応じ、運転席前板11から大きく下げた低位置に設けられている。これにより、下部走行体2から足掛け板13までの高さ寸法を小さくすることができる。
ここで、実施の形態では、足掛け板13は、立下り板12に連続した板体からなる主ステップ部13Aと、追加ステップ13Dとにより構成されている。なお、足掛け板13を主ステップ部13Aと追加ステップ13Dとを分ける構成としたのは、部品の製造上の理由である。一方、これらの主ステップ部13Aと追加ステップ13Dとを溶接等の手段を用いて一体的に形成してもよい。
足掛け板13は、運転席16に着座したオペレータが足を置く範囲から外れている場所、具体的には、運転席取付部位9のレバー装置取付部9E(左側の操作レバー装置17)の前側位置に設けている。これにより、足掛け板13は、乗降時に足を掛け易く、また作業時に邪魔にならない位置に配置することができる。さらに、運転席前板11と立下り板12と足掛け板13の主ステップ部13Aとは、例えば長方形状の板材をクランク状に折り曲げることによって一体的に形成され、或いは、複数枚の板材を溶接手段で固着することによって一体的に形成されている。
一方、図5に示すように、足掛け板13の前側位置は、レバー・ペダル取付部位14との境界を越えて延びた延長板部13Bとなり、この延長板部13Bによって足を掛けることができる範囲を前側に広げることができる。具体的には、延長板部13Bは、主ステップ部13Aの前側位置と追加ステップ13Dの前側位置とが該当する。一方、足掛け板13の主ステップ部13Aの左側位置には、前,後方向に離間して例えば2個の雌ねじ孔13Cが設けられている。この雌ねじ孔13Cは、後述の追加ステップ13Dを取付けるためのボルト13Fが螺着されるものである。
追加ステップ13Dの前側位置には、雌ねじ孔13Eが設けられ、該雌ねじ孔13Eには、後述のフロアマット23を固定するためのボルト28が螺着される。そして、追加ステップ13Dは、中央ステップ板13D1のボルト挿通孔13D5にボルト13Fを挿通し、このボルト13Fを主ステップ部13Aの雌ねじ孔13Cに螺着することにより、この主ステップ部13Aの上面に一体的に取付けられている。このように、足掛け板13の一部として追加ステップ13Dを追加して取付けることにより、足掛け板13の足掛けスペースを左側に広げることができる。
レバー・ペダル取付部位14はフロア部材8の足乗せ部位10の前側に設けられ、該レバー・ペダル取付部位14は、運転席前板11の前端に沿って左,右方向に延びている。図3、図4に示すように、レバー・ペダル取付部位14には、左,右方向の中央に位置して後述する走行用の操作レバー・ペダル19を取付けるための中央開口14Aと、該中央開口14Aの左側に位置する左開口14Bと、前記中央開口14Aの右側に位置する右開口14Cとが設けられている。この左,右の開口14B,14Cには、作業装置4を揺動したり、オプションの油圧機器(図示せず)を駆動するための後述のペダル20,21が取付けられている。
レバー・ペダル取付部位14の乗降口15側の端部(左端部)は、運転席前板11の左側端部11Aから前側に連続するように傾斜した傾斜端部14Dとなっている。従って、レバー・ペダル取付部位14は、左端部を傾斜端部14Dとすることにより、予備用操作ペダル20を避けつつ、足掛け板13の延長板部13Bが前側に延びるのを許可し、この足掛け板13の足を掛けることができるスペースを広く形成している。
15は足掛け板13の左,右方向の左側の端部に位置する乗降口を示している。この乗降口15は、足掛け板13に足を掛けて乗り降りするときの出入口となるものである。乗降口15は、後述するキャブボックス22のドア22Fによって開閉することができる。
運転席16はフロア部材8上に設けられ、該運転席16は、運転席取付部位9を構成する搭載板部9Bの左,右方向の中央位置に搭載されている。運転席16は、油圧ショベル1を操縦するときにオペレータが着座するものである。
左側の操作レバー装置17は運転席16の左側に位置して運転席取付部位9に設けられている。一方、右側の操作レバー装置18は運転席16の右側に位置して運転席取付部位9に設けられている。左側の操作レバー装置17は、運転席取付部位9のレバー装置取付部9Eに取付けられ、右側の操作レバー装置18は、運転席取付部位9の搭載板部9Bの右側部分に取付けられている。
走行用の操作レバー・ペダル19は運転席16の前側となるレバー・ペダル取付部位14に設けられている。この操作レバー・ペダル19は、レバー・ペダル取付部位14の中央開口14Aに位置して前,後方向に傾転操作可能に設けられている。
予備用操作ペダル20は操作レバー・ペダル19の左側に位置してレバー・ペダル取付部位14の左開口14Bに設けられ、該操作ペダル20は、追加して設けられる油圧機器、例えばブレーカ、グラップル等(いずれも図示せず)を駆動するときに操作するものである。スイング用操作ペダル21は操作レバー・ペダル19の右側に位置してレバー・ペダル取付部位14の右開口14Cに設けられ、該操作ペダル21は、作業装置4を左,右方向に揺動操作(スイング操作)するものである。
22はフロア部材8上に設けられたキャブボックスで(図1、図2参照)、該キャブボックス22は、フロア部材8等の周囲と上方を覆うものである。このキャブボックス22は、前面22A、後面22B、左側面22C、右側面22Dおよび天面22Eによりボックス状に形成され、下端部がフロア部材8の周縁に取付けられている。これにより、キャブボックス22は、フロア部材8上にオペレータの居住スペースとなる運転室を形成している。
ここで、キャブボックス22の左側面22Cには、前述した乗降口15を開閉するドア22Fが設けられている。このドア22Fを開いたときには、乗降口15を通って運転室に乗込むことができ、または降車することができる。このときに、オペレータは、運転席前板11よりも低い位置に設けられた足掛け板13に足を掛けることにより、容易に乗り降りすることができる。
次に、フロア部材8の足乗せ部位10を覆うために設けられたフロアマット23と、レバー・ペダル取付部位14を覆うために設けられた取付マット29とについて、図8ないし図13を参照しつつ説明する。
即ち、23はフロア部材8の足乗せ部位10に敷設されたフロアマットを示している。このフロアマット23は、例えば弾性を有するゴム材料、樹脂材料等を用いてステップ状に形成されている。フロアマット23は、後述の取付マット29と別個に形成され、足乗せ部位10に対し単独で離脱、装着することができる。
図10ないし図12に示すように、フロアマット23は、足乗せ部位10の運転席前板11の上側を覆う前板マット部24と、該前板マット部24の乗降口15側となる左側端部24Aから立下り板12に沿って立下がり該立下り板12の側方を覆う立下りマット部25と、該立下りマット部25の下端から左側に向けて延び足掛け板13の上側を覆う足掛けマット部26とにより形成されている。従って、フロアマット23は、全体として単一の部材として構成されている。さらに、フロアマット23には、その後端から右端にかけて泥等の周囲への飛散を防止するための立上り壁27が設けられている。
前板マット部24は、運転席前板11の全体を覆う矩形状、詳しくは、前側から後側に向けて狭幅となる台形状をした平坦な板体として形成されている。前板マット部24は、運転席前板11の左側端部11Aに沿うように、左側端部24Aが前側から後側に向け乗降口15から離れる右方向に傾斜している。具体的には、図8に示すように、前板マット部24の左側端部24Aに沿う直線をPAとし、後述する足掛けマット部26の端縁26Eに沿う直線をPBとし、さらに直線PAと直線PBとの交点を点Pとすると、前板マット部24の左側端部24A(直線PA)は、足掛けマット部26の端縁26E(直線PB)に対し、乗降口15から離れる右方向に角度αだけ傾斜している。
さらに、前板マット部24の上面側には、例えば湾曲しつつ左,右方向に延びる複数本の滑止め溝24Bおよび滑止め突起24Cが設けられている。図10、図11に示すように、この複数本の滑止め溝24Bは、堆積した泥等を容易に掃き出すことができるように、乗降口15が設けられた左側が開放されている。
ここで、滑止め溝24Bおよび滑止め突起24Cは、運転席16側を中心として円弧状に延びて形成されている。従って、運転席16に着座したオペレータが足を踏ん張ったときに滑り易い方向、即ち、運転席16上の着座位置を中心として放射状に延びる方向に対し、滑止め溝24Bおよび滑止め突起24Cは交差して配置されている。これにより、運転席16に着座したオペレータは、各滑止め溝24Bおよび滑止め突起24Cによって足を滑止め状態とすることができ、安定した状態で作業することができる。
立下りマット部25は、前板マット部24の左側端部24Aから下側に延びて形成されることにより、後述する足掛けマット部26の境界位置26Aで立上がる絶壁を形成している。この絶壁構造をもった立下りマット部25は、足掛けマット部26に付着、堆積した泥、水等が前板マット部24側に移動するのを阻止することができる。さらに、立下りマット部25の前側部分は、前板マット部24の前端位置を超えて延びた立下り延長部25Aとなっている。この立下り延長部25Aは、後述する足掛けマット部26の足掛け延長部26Bから取付マット29側に泥等が移動するのを阻止する絶壁を構成している。
足掛けマット部26は、立下りマット部25の下端から左側に向けて延びた平板として形成されている。具体的には、足掛けマット部26は、立下りマット部25の下端との境界となる境界位置26Aが、前側から後側に向け右方向(乗降口15から離れる方向)に傾斜している。これにより、足掛けマット部26は、後側が広幅となる三角形状の板体として形成されている。足掛けマット部26の前側部分は、立下りマット部25の立下り延長部25Aに沿って伸びた足掛け延長部26Bとなっている。この足掛け延長部26Bを設けたことにより、乗降口15の幅方向(全体の前,後方向)に足掛けマット部26を広幅に形成することができ、乗降時に足を掛け易くなっている。
足掛けマット部26の足掛け延長部26Bには、ボルト挿通孔26Cが設けられている。このボルト挿通孔26Cは、足掛け板13の雌ねじ孔13Eに対応する位置に配置されている。これにより、フロアマット23を足乗せ部位10上に配置した状態で、ボルト挿通孔26Cに挿通した固定部材となるボルト28を足掛け板13の雌ねじ孔13Eに螺着することにより、足掛けマット部26を足掛け板13に固定することができる。
一方、足掛けマット部26の上面26Dには、左側の端縁26Eと立下りマット部25との間に複数本、例えば3本の滑止め溝26Fが形成され、該各滑止め溝26F間等は、上面26Dから突出した3本の滑止め突起26Gとなっている。これらの滑止め溝26Fと滑止め突起26Gは、前側から後側に向け右方向に傾斜した立下りマット部25の傾きに沿うように、例えば該立下りマット部25に倣うように平行に配設され、乗降口15に対しては斜めに延びるように配設されている。
具体的には、図8に示すように、各滑止め溝26Fと各滑止め突起26Gは、前板マット部24の左側端部24Aに沿う直線PAと平行に延びて形成されている。なお、この場合の平行とは、各滑止め溝26F、滑止め突起26Gと直線PA(前板マット部24の左側端部24A)とを目視したときに、この両者が平行に配置されているように見える程度の関係であればよく、完全な平行を意味するものではない。
従って、フロア部材8に乗り降りするときには、足掛けマット部26に掛けた足を滑止め溝26Fと滑止め突起26Gに引っ掛けて滑らないように安定させることができる。この場合、滑止め溝26Fと滑止め突起26Gは、乗降口15を通る乗降方向に対して交差しているから、足(靴底)を確実に引っ掛けることができる。しかも、立下りマット部25の傾きに沿うように平行に延びる滑止め溝26Fは、乗降口15に向けて延びており、泥等が堆積しても容易に掃き出すことができる。
さらに、足掛けマット部26のうち乗降口15に沿う左側の端部位置は、その上面26Dを左側に向け下向きに傾斜された傾斜面26D1として形成している(図13参照)。これにより、足掛けマット部26の乗降口15側を低く形成することができる。従って、フロア部材8に乗り込むときには、足掛けマット部26に足先が引っ掛かり難くすることができる。一方、足掛けマット部26の上面26Dでは、乗降口15側を低くすることにより傾斜を利用して泥等を自動的に排出することができる。
図10、図11に示すように、足掛けマット部26には、乗降口15側の後端を後側に延ばすことにより後延長部26Hが形成されている。この後延長部26Hは、運転席取付部位9よりも左側に延びた部位を、運転席取付部位9に向けて後側に延びている。これにより、後延長部26Hは、運転席取付部位9を回り込んだ後側位置まで足掛けマット部26を延長させることができるから、足掛けマット部26の踏み代を後側にも広げることができる。
フロアマット23に設けられた立上り壁27は、該フロアマット23の後側の端部(運転席取付部位9側の端部)を上側に立上げることにより形成されている。具体的には、立上り壁27は、前板マット部24の右端部に沿って前,後方向に延びた右壁部27Aと、前板マット部24の後端部に沿って左,右方向に延びた右後壁部27Bと、足掛けマット部26の後端部に沿って左,右方向に延びた左後壁部27Cとにより構成されている。このように構成された立上り壁27は、フロアマット23上に泥等が堆積しても、この泥等が周囲に飛散しないように堰き止めることができる。さらに、堆積した泥等を洗い流す場合でも、洗浄水がフロアマット23の周囲にこぼれないように堰き止めることができる。
取付マット29はフロアマット23の前側に隣接してレバー・ペダル取付部位14に敷設され、該取付マット29は、前述したフロアマット23と同様に、例えば弾性を有するゴム材料、樹脂材料等を用いて左,右方向に延びた平板状に形成されている。取付マット29には、レバー・ペダル取付部位14の中央開口14A、左開口14B、右開口14Cに対応する位置に中央開口29A、左開口29B、右開口29Cがそれぞれ設けられている。さらに、図8、図11に示すように、取付マット29の乗降口15側となる左端部には、前側から後側に向けて右方向に傾斜した傾斜端部29Dが設けられている。この傾斜端部29Dは、前板マット部24の左側端部24Aと連続的に接続するもので、該左側端部24Aの直線PAに沿って形成されている。これにより、傾斜端部29Dは、当該傾斜端部29Dの位置まで足掛けマット部26の足掛け延長部26Bを延長させることができる。
本実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
オペレータが乗降口15からフロア部材8に乗り込む場合、オペレータは、キャブボックス22のドア22Fを開き、下部走行体2上からフロア部材8の足乗せ部位10に形成した足掛け板13に足を掛ける。このときに、足掛け板13は、運転席前板11よりも下がった位置に設けているから、オペレータは、足掛け板13に簡単に足を掛けることができ、乗降口15を通ってフロア部材8上に乗り込むことができる。このように、足掛け板13に足を掛けたときには、フロアマット23の足掛けマット部26に形成した滑止め溝26Fおよび滑止め突起26Gに足を引っ掛けることができるから、滑ることなく容易に乗り込むことができる。乗込んだオペレータは、足掛け板13から運転席前板11に乗って運転席16に着座する。
運転席16に着座したオペレータは、走行用の操作レバー・ペダル19を操作することにより、下部走行体2を走行させる。一方、左,右の操作レバー装置17,18を操作することにより、作業装置4等を動作させ、土砂の掘削作業等を行うことができる。この走行時や作業時には、運転席16に着座したオペレータは、足をフロアマット23の前板マット部24上に載せて踏ん張ることにより身体を安定させている。この場合、前板マット部24には、運転席16上の着座位置を中心として円弧状に延びる滑止め溝24Bおよび滑止め突起24C設けているから、足の滑りを止めることができる。
一方、降車する場合、オペレータは、足掛け板13に足を掛けることにより、下部走行体2上に容易に足を伸ばすことができ、この下部走行体2を介して地面に降りることができる。
かくして、本実施の形態によれば、フロア部材8の足乗せ部位10を、オペレータが足を乗せる運転席前板11と、該運転席前板11の乗降口15側の左側端部11Aから立下がった立下り板12と、該立下り板12の下部から左側に向けて延びた足掛け板13とによって構成している。
従って、足乗せ部位10の足掛け板13は、運転席前板11から下げた低位置に配置できるから、オペレータは、フロア部材8に乗り込むときに、運転席前板11よりも下がった位置の足掛け板13に、大きく足を上げることなく簡単に足を掛けることができる。これにより、オペレータは、フロア部材8に容易に乗り込むことができ、同様に、フロア部材8から容易に降りることができる。
この場合、運転席前板11の左側端部11Aは、前側から後側に向け乗降口15から離れる右方向に傾斜している。これにより、運転席16に着座した操作姿勢において殆ど足が置かれることがない該運転席16に近い後側位置で、足掛け板13の奥行き寸法を大きく確保することができる。このように構成したことにより、例えば小型の油圧ショベル1のようにフロア部材8が狭い場合でも、操作性を損なうことなく足掛け板13の面積を大きく確保でき、乗降時には足掛け板13に確実に足を掛けることができる。
一方、足乗せ部位10に敷設されるフロアマット23は、単一の部材を用いて形成され、該フロアマット23は、前記運転席前板11の上側を覆う前板マット部24と、該前板マット部24の左側端部24Aから立下がって前記立下り板12の側方を覆う立下りマット部25と、該立下りマット部25の下部から左側に向けて延び前記足掛け板13の上側を覆う足掛けマット部26とにより構成されている。
従って、単一の部材として形成されたフロアマット23は、運転席前板11と立下り板12と足掛け板13とによってステップ状に形成されたフロア部材8の足乗せ部位10を覆うことができる。このときに、フロアマット23は、足掛けマット部26を前板マット部24よりも低い位置に設けているから、足掛けマット部26に付着した泥、水等が前板マット部24側に移動するのを立下りマット部25によって阻止することができる。即ち、作業時、走行時に揺れや傾きが生じても、足掛けマット部26に泥、水等を留めて置くことができる。しかも、フロアマット23を清掃するときには、単一の部材からなるフロアマット23は、1回の作業で全てを取外すことができ、簡単に清掃することができる。
さらに、足掛けマット部26には、前板マット部24の左側端部24A、立下りマット部25の傾き(直線PA)に倣うように沿わせ、かつ乗降口15に対しては斜めに延びる複数本の滑止め溝26Fと滑止め突起26Gを設けている。これにより、乗り降りするときには、足掛けマット部26に掛けた足を滑止め溝26Fと滑止め突起26Gに引っ掛けて滑らないように安定させることができる。ここで、滑止め溝26Fと滑止め突起26Gは、乗降口15を通る乗降方向に対して斜めに延びているから、足(靴底)を確実に引っ掛けることができ、効果的に滑りを止めることができる。しかも、立下りマット部25と平行に延びる滑止め溝26Fは、泥等が堆積しても容易に掃き出すことができる。
この結果、泥等が付着した靴が最初に掛けられる足掛けマット部26には、この泥等が付着するものの、足掛けマット部26を除くフロアマット23の大部分、即ち、前板マット部24を清浄に保つことができ、作業環境を良好にすることができる。この上で、フロアマット23を清掃するときには、簡単な作業で清掃することができる。さらに、足掛けマット部26に設けた滑止め溝26Fと滑止め突起26Gによって滑ることなく、安定的に乗り降りすることができる。
足掛けマット部26の上面26Dは、乗降口15に沿う左側の端縁26E側を、左側に向け下向きに傾斜された傾斜面26D1として形成し、足掛けマット部26の乗降口15側を低くする構成としている。これにより、乗車時に足先が足掛けマット部26に引っ掛かり難くすることができ、容易に乗り込むことができる。一方、足掛けマット部26の上面26Dでは、乗降口15側を低くすることにより、この傾斜を利用して泥等を自動的に排出することができる。
一方、フロアマット23は、その足掛けマット部26をボルト28を用いて足乗せ部位10の足掛け板13に固定しているから、フロアマット23が位置ずれしないように固定することができる。しかも、ボルト28を外すことにより、足乗せ部位10からフロアマット23を取外すことができる。この場合、ボルト28は、乗降口15側に設けているから、容易に手を伸ばすことができ、簡単に脱着することができる。
レバー・ペダル取付部位14の左側の端部には、前側から後側に向け乗降口15から離れる右方向に傾斜した傾斜端部14Dを設け、この傾斜端部14Dは、運転席前板11の左側端部11Aと連続させる構成としている。これにより、傾斜端部14Dの位置に足掛け板13の延長板部13Bを延長して配置することができる。この結果、足掛け板13は、延長板部13Bの分だけ前,後方向に広く形成することができ、足掛け板13に確実に足を掛けることができる。
フロアマット23の前板マット部24には、運転席16側を中心として円弧状に延びる複数本の滑止め溝24Bおよび滑止め突起24Cを設けている。これにより、足乗せ部位10上に搭乗したオペレータは、円弧状に延びる滑止め溝24Bおよび滑止め突起24Cに対し足を滑らないように掛けることができ、足元を安定させた状態で作業を行うことができる。
フロアマット23には、前板マット部24の右端部、後端部および足掛けマット部26の後端部から上側に立上がるようにして立上り壁27を設けているから、フロアマット23上に泥等が堆積しても、この泥等が周囲に飛散しないように立上り壁27により堰き止めることができる。さらに、堆積した泥等を洗い流す場合でも、立上り壁27は、洗浄水がフロアマット23の周囲にこぼれるのを防止することができる。この結果、立上り壁27は、フロアマット23の周囲を清浄に保つことができる。
さらに、フロアマット23の足掛けマット部26には、乗降口15側となる左後端部に位置して運転席取付部位9に向け後側に延びる後延長部26Hを設けている。これにより、後延長部26Hは、足掛けマット部26を後側に延長することができるから、この足掛けマット部26の踏み代を後側にも広げることができ、乗降動作を容易に行うことができる。
なお、実施の形態では、足掛けマット部26の上面26Dから上側に突出させて滑止め突起26Gを設け、該各滑止め突起26G間等を滑止め溝26Fとして形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、図14、図15に示す第1の変形例による足掛けマット部31のように構成してもよい。
即ち、足掛けマット部31は、境界位置31A、足掛け延長部31B、ボルト挿通孔31C、上面31Dを有している。この上面31Dの左側の端縁31Eは、右側から左側に向けて下向きに傾斜した傾斜面31D1となっている。一方、足掛けマット部31には、上面31Dを凹陥させて3本の滑止め溝31Fを設け、該各滑止め溝31F間には、上面26Dと同一面をなす2本の滑止め突起31Gが形成されている。さらに、足掛けマット部31の後端には、後側に延びて後延長部31Hが設けられている。
実施の形態では、滑止め溝26Fを立下りマット部25の傾きに沿わせた一例として、滑止め溝26Fを前板マット部24の左側端部24A、立下りマット部25の傾き(直線PA)と平行に配設した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、図16に示す第2の変形例による足掛けマット部41のように構成してもよい。
即ち、第2の変形例による足掛けマット部41は、境界位置41A、足掛け延長部41B、ボルト挿通孔41C、上面41D、端縁41E、滑止め溝41F、滑止め突起41G、後延長部41Hを有し、上面41Dの左側の端縁41Eは、右側から左側に向けて下向きに傾斜した傾斜面41D1となっている。ここで、例えば滑止め溝41Fを2本設け、滑止め突起41Gを3本設け、これらの滑止め溝41Fと滑止め突起41Gを、立下りマット部25の傾きに沿わせつつ、前板マット部24の左側端部24Aの傾き(直線PA)とは非平行、具体的には、前側から後側に向け立下りマット部25から離れるように配置する構成としてもよい。一方、滑止め溝と滑止め突起とを、立下りマット部25の傾きに沿わせつつ、前側から後側に向け立下りマット部25に近付くように配置する構成としてもよい。
さらに、図17に示す第3の変形例による足掛けマット部51のように構成してもよい。第3の変形例による足掛けマット部51は、境界位置51A、足掛け延長部51B、ボルト挿通孔51C、上面51D、端縁51E、滑止め溝51F、滑止め突起51G,51H、後延長部51Jを有し、上面51Dの左側の端縁51Eは、右側から左側に向けて下向きに傾斜した傾斜面51D1となっている。この上で、足掛けマット部51は、立下りマット部25の傾きに沿わせつつ、前板マット部24の左側端部24Aの傾き(直線PA)とは非平行な2種類の滑止め突起51G,51Hとを設ける構成としている。
即ち、足掛けマット部51には、前側から後側に向け立下りマット部25から離れるように傾斜して配置された2本の滑止め突起51Gと、前側から後側に向け立下りマット部25に近付くように傾斜して配置された2本の滑止め突起51Hとを交互に配置し、これらの間に立下りマット部25の傾きに沿わせた状態で3本の滑止め溝51Fを設ける構成としてもよい。
実施の形態では、滑止め溝26Fと滑止め突起26Gをそれぞれ3本設け、第3の変形例では、滑止め突起51G,51Hを合計4本設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、滑止め溝と滑止め突起は、2本または5本以上設ける構成としてもよい。さらに、滑止め溝24Bと滑止め突起24Cについても実施の形態の本数に限定されるものではない。
実施の形態では、足掛け板13の主ステップ部13Aと追加ステップ13Dとは、ボルト13Fを用いて一体的に取付けた場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、主ステップ部13Aと追加ステップ13Dとを溶接手段を用いて一体化する構成としてもよい。
実施の形態では、足掛け板13の主ステップ部13Aに追加ステップ13Dを取付けることにより、足を掛けることができる面積を拡大させた場合を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、組立作業等に係る構造の面で、足掛け板13自体を広く形成できる場合には、追加ステップを廃止する構成としてもよい。この場合には、図18に示す第4の変形例のように構成される。即ち、図18において、実施の形態に用いた雌ねじ孔13C、追加ステップ13Dおよびボルト13Fを廃止し、足掛け板13の主ステップ部13Aを乗降口15の位置まで延ばすと共に、レバー・ペダル取付部位14の左側の端部を乗降口15の位置まで延ばす構成とすればよい。
実施の形態では、フロア部材8を、旋回フレーム5に対し前側位置を支点としてチルトアップ、チルトダウン可能に構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回フレームに対してフロア部材を固定して設ける形式の油圧ショベルに適用することもできる。
実施の形態では、フロア部材8上にキャブボックス22を設けたキャブ仕様の油圧ショベル1を例示した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、フロア部材8上にキャノピを設けたキャノピ仕様の油圧ショベルに適用する構成としてもよい。
一方、実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベル等に適用してもよい。さらに、例えば油圧クレーン、ホイールローダ等の他の建設機械にも広く適用できるものである。