WO2023181533A1

WO2023181533A1 - 建設機械

Info

Publication number: WO2023181533A1
Application number: PCT/JP2022/046598
Authority: WO
Inventors: 尚也岸本; 陽平岩元; 幸平前田; 在濬張
Original assignee: 株式会社日立建機ティエラ
Priority date: 2022-03-25
Filing date: 2022-12-19
Publication date: 2023-09-28
Also published as: EP4438818A1; JPWO2023181533A1; CN118510966A; KR20240110990A

Abstract

油圧ショベル（１）は、運転席（１０）の周囲に足場を形成するフロア部材（９）と、フロア部材（９）の上面を覆うフロアマット（２２）と、運転席（１０）の前側に設けられた走行操作装置（１２）とを備え、走行操作装置（１２）は、回動支点を中心として前後方向に回動操作される左走行ぺダル（１７）および右走行ペダル（２０）と、左走行ペダル（１７）に一体に取付けられた左走行レバー（１８）および右走行ペダル（２０）に一体に取付けられた右走行レバー（２１）とを備える。左走行ペダル（１７）および右走行ペダル（２０）の回動支点と運転席（１０）との間には、フロアマット（２２）から上方に突出し、左走行ペダル（１７）および右走行ペダル（２０）とフロアマット（２２）との間に作業者の爪先等の障害物が挟まるのを阻止する左突起部材（２８）および右突起部材（２９）が設けられている。

Description

建設機械

　本開示は、油圧ショベル等の建設機械に関し、特に運転席の周囲にフロアマットが設けられた建設機械に関する。

　建設機械を代表する油圧ショベルは、自走可能な車体と、車体に設けられた作業装置とにより大略構成されている。油圧ショベルの車体は、下部走行体と、下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体とを備え、上部旋回体には、運転室を画成するキャブが設けられている。キャブの内部には、作業者が座る運転席と、運転席の周囲に足場を形成するフロア部材が設けられ、フロア部材の上面はフロアマットで覆われている。

　運転席の前側には、下部走行体の走行動作を制御するための走行操作装置が設けられている。走行操作装置は、回動支点を中心として前後方向に回動する左右の走行ペダルと、これら左右の走行ペダルに基端が固定され、先端が上方に延びた左右の走行レバーとを備えている。運転席に座った作業者は、走行ペダルに対する踏込み操作、あるいは走行レバーに対する手動操作により、下部走行体の走行動作を制御する（特許文献１）。

特開２００７－０５０７２０号公報

　ここで、作業者が走行レバーを手動操作によって前傾させた場合には、走行ペダルが回動支点を中心として前傾することにより、走行ペダルの後側が上方に持上がる。このため、例えば、作業者がフロアマット上で不用意に足を動かすことにより、作業者の爪先、あるいはフロアマット上に落ちた工具類、書類、ペットボトル等の障害物が走行ペダルの後側とフロアマットとの間に挟まれることがある。これにより、走行ペダルまたは走行レバーに対する円滑な手動操作が阻害されるという問題がある。

　本発明の目的は、走行ペダルとフロアマットとの間に障害物が挟まれるのを阻止できるようにした建設機械を提供することにある。

　本発明は、自走可能な車体と、前記車体に設けられた運転席と、前記運転席の周囲に足場を形成するフロア部材と、前記フロア部材の上面を覆うフロアマットと、前記運転席の前側に設けられ前記車体の走行駆動を制御するために回動支点を中心として前後方向に回動操作されるペダルとを備えてなる建設機械において、前記ペダルの回動支点と前記運転席との間であって、前記フロア部材上における上面視で前記ペダルの前記運転席側の端部に対応する位置に、前記フロアマットから上方に突出する突起部材が設けられていることを特徴とする。

　本発明によれば、ペダルの後端がフロアマットの上面から上方に持上がったとしても、作業者の爪先等の障害物が突起部材に当接する。これにより、ペダルとフロアマットとの間の隙間に障害物が挟まるのを阻止することができる。

本発明の第１の実施形態が適用された油圧ショベルを示す左側面図である。キャブ内部の運転席、走行操作装置、フロアマット、突起部材等を拡大して示す斜視図である。走行操作装置、フロアマット、突起部材等を上方から見た平面図である。左走行ペダルおよび左走行レバーを取外した状態で、運転席、走行操作装置、フロアマット、突起部材等を示す図２と同様な斜視図である。フロアマットを単体で示す斜視図である。パイロット弁、走行レバー、走行ペダル等を示す側面図である。パイロット弁、走行レバー、走行ペダル、フロアマット等を示す側面図である。第２の実施形態による運転席、走行操作装置、フロアマット、突起部材等を拡大して示す図２と同様な斜視図である。第２の実施形態によるフロアマットを単体で示す斜視図である。変形例による運転席、走行操作装置、フロアマット、突起部材等を拡大して示す図２と同様な斜視図である。

　以下、本発明に係る建設機械の実施形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面に沿って詳細に説明する。なお、実施形態では、油圧ショベルの走行方向を前後方向とし、走行方向と直交する方向を左右方向として説明する。

　図１ないし図７は本発明の第１の実施形態を示している。図１において、油圧ショベル１は、自走可能なクローラ式の下部走行体２と、下部走行体２上に旋回可能に搭載された上部旋回体３と、上部旋回体３の前側に設けられた作業装置４とを含んで構成されている。下部走行体２と上部旋回体３とは、油圧ショベル１の車体を構成している。下部走行体２は、油圧モータからなる左右の走行モータ２Ａおよび左右の履帯２Ｂ（左側のみ図示）を有している。下部走行体２の走行モータ２Ａは、後述する走行操作装置１２の操作に応じて回転駆動されることにより履帯２Ｂを周回させ、油圧ショベル１を走行させる。

　上部旋回体３は、ベースとなる旋回フレーム５と、旋回フレーム５の左前側に搭載されたキャブ６と、旋回フレーム５の後端に設けられたカウンタウエイト７と、カウンタウエイト７の前側に設けられた外装カバー８とを含んで構成されている。キャブ６は作業者（オペレータ）が搭乗する運転室を画成している。キャブ６の左側面には、キャブ６に乗降するための乗降口６Ａと、乗降口６Ａを開閉するドア６Ｂが設けられている。カウンタウエイト７は、旋回フレーム５の前側に設けられた作業装置４との重量バランスを保っている。外装カバー８は、旋回フレーム５に搭載された原動機、油圧ポンプ、コントロールバルブ等の搭載機器（いずれも図示せず）を覆っている。

　カウンタウエイト７の外周面（後面）は、上部旋回体３の旋回中心を中心とする円弧状に形成され、かつカウンタウエイト７は、上部旋回体３の旋回中心寄りに配置されている。これにより、油圧ショベル１の上部旋回体３が下部走行体２上で旋回したときに、カウンタウエイト７の外周面が、下部走行体２の車幅の１２０％以内に収まる。このように、油圧ショベル１は、後方超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。

　キャブ６の内部には、フロア部材９、運転席１０、操作レバー装置１１、走行操作装置１２等が設けられている。フロア部材９は、旋回フレーム５の左前側に取付けられ、キャブ６に搭乗した作業者の足場を形成している。フロア部材９の後側には運転席支持台９Ａが設けられている。

　運転席１０は、フロア部材９の運転席支持台９Ａ上に設けられている。運転席１０には、油圧ショベル１を操縦する作業者（オペレータ）が座り、フロア部材９は運転席１０の周囲に足場を形成している。運転席１０の左右両側には、左右の操作レバー装置１１（左側のみ図示）が設けられている。操作レバー装置１１は、上部旋回体３の旋回動作、作業装置４の動作を制御するため、作業者によって手動操作される。

　走行操作装置１２は、運転席１０の前側に位置してフロア部材９に設けられ、下部走行体２の走行動作を制御するために作業者によって操作される。走行操作装置１２は、パイロット弁１３と、左走行ペダル１７および左走行レバー１８と、右走行ペダル２０および右走行レバー２１とを含んで構成されている。左走行ペダル１７および左走行レバー１８と、右走行ペダル２０および右走行レバー２１とは、運転席１０の左右方向の中心線に対して左右対称に配置されている。

　油圧ショベル１には、油圧アクチュエータに対する圧油の給排を制御するコントロールバルブ（図示せず）が搭載されている。パイロット弁１３は、コントロールバルブに対し、左右の走行モータ２Ａに対する圧油の給排を制御するためのパイロット信号（パイロット圧）を出力する。図４および図６に示すように、パイロット弁１３は、弁本体部１４と、左走行操作部１５と、右走行操作部１６とを有している。弁本体部１４は、運転席１０の左右方向の中心線上に配置され、フロア部材９にボルト１４Ａを用いて取付けられている。左走行操作部１５は、弁本体部１４の左側面に設けられ、右走行操作部１６は、弁本体部１４の右側面に設けられている。

　左走行操作部１５は、軸中心が左右方向に延びる回動軸１５Ａを有し、回動軸１５Ａは前後方向に回動する。回動軸１５Ａには、四角形の操作具取付部材１５Ｂが取付けられ、操作具取付部材１５Ｂには２個のボルト孔（雌ねじ孔）１５Ｃが形成されている。一方、右走行操作部１６も、左走行操作部１５と同様に、回動軸および操作具取付部材を有し、操作具取付部材には２個のボルト孔が形成されている（いずれも図示せず）。

　左走行ペダル１７は、パイロット弁１３の左走行操作部１５に設けられ、作業者によって足踏み操作される。図２および図６に示すように、左走行ペダル１７の下面には、下方に張出す板状の取付板１７Ａが設けられている。取付板１７Ａには、操作具取付部材１５Ｂに形成されたボルト孔１５Ｃに対応する２個のボルト挿通孔（図示せず）が形成されている。左走行ペダル１７は前後方向に延びる板体からなり、運転席１０側に位置する端部が後端１７Ｂとなっている。

　左走行レバー１８は、左走行ペダル１７と共にパイロット弁１３の左走行操作部１５に設けられ、作業者によって手動操作される。左走行レバー１８は、パイプ材等に曲げ加工を施すことにより、全体として上下方向に延びる棒状体として形成されている。左走行レバー１８の基端（下端）には取付板１８Ａが設けられ、取付板１８Ａには、操作具取付部材１５Ｂに形成されたボルト孔１５Ｃに対応する２個のボルト挿通孔（図示せず）が形成されている。左走行レバー１８の先端（上端）には、作業者が把持するグリップ１８Ｂが設けられている（図３参照）。

　左走行ペダル１７と左走行レバー１８とは、左走行操作部１５の操作具取付部材１５Ｂに、２本のボルト１９を用いて一体的に取付けられている（共締めされている）。即ち、左走行レバー１８の取付板１８Ａに設けられたボルト孔と、左走行ペダル１７の取付板１７Ａに形成されたボルト孔とにボルト１９を挿通し、これら２本のボルト１９を、操作具取付部材１５Ｂのボルト孔１５Ｃに螺合させる。これにより、左走行ペダル１７と左走行レバー１８とは、左走行操作部１５（操作具取付部材１５Ｂ）に一体的に取付けられ、左走行操作部１５の回動軸１５Ａを回動支点として前後方向に回動操作される。

　即ち、左走行ペダル１７および左走行レバー１８は、それらに対する操作が行われていない非操作状態では、図６に実線で示す中立位置を保持する。一方、運転席１０に座った作業者により、左走行ペダル１７に対する前進方向（図６中の矢示Ｆ方向）への足踏み操作、あるいは左走行レバー１８に対する前進方向（図６中の矢示ｆ方向）への手動操作が行われた場合には、左走行ペダル１７および左走行レバー１８は、回動軸１５Ａを回動支点として前傾姿勢（図６中の一点鎖線で示す姿勢）に変位する。これにより、パイロット弁１３から左側の走行モータ２Ａを前進方向へ回転させるパイロット信号が出力され、油圧ポンプから吐出した圧油は、コントロールバルブを通じて左側の走行モータ２Ａの前進側に供給される。

　また、左走行ペダル１７に対する後進方向（矢示Ｒ方向）への足踏み操作、あるいは左走行レバー１８に対する後進方向（矢示ｒ方向）への手動操作が行われた場合には、左走行ペダル１７および左走行レバー１８は、回動軸１５Ａを回動支点として後傾姿勢（図６中の二点鎖線で示す姿勢）に変位する。これにより、パイロット弁１３から左側の走行モータ２Ａを後進方向へ回転させるパイロット信号が出力され、油圧ポンプから吐出した圧油は、コントロールバルブを通じて左側の走行モータ２Ａの後進側に供給される。

　右走行ペダル２０および右走行レバー２１は、左走行ペダル１７および左走行レバー１８と同様に、パイロット弁１３の右走行操作部１６に取付けられている。右走行ペダル２０は前後方向に延びる板体からなり、運転席１０側に位置する端部が後端２０Ａとなっている。そして、運転席１０に座った作業者により、右走行ペダル２０に対する前進方向への足踏み操作、あるいは右走行レバー２１に対する前進方向への手動操作が行われた場合には、右走行ペダル２０および右走行レバー２１は、右走行操作部１６の回動軸（図示せず）を回動支点として前傾姿勢に変位する。これにより、パイロット弁１３から右側の走行モータ（図示せず）を前進方向へ回転させるパイロット信号が出力され、油圧ポンプから吐出した圧油がコントロールバルブを通じて右側の走行モータの前進側に供給される。

　また、右走行ペダル２０に対する後進方向への足踏み操作、あるいは右走行レバー２１に対する後進方向への手動操作が行われた場合には、右走行ペダル２０および右走行レバー２１は、右走行操作部１６の回動軸（図示せず）を回動支点として後傾姿勢に変位する。これにより、パイロット弁１３から右側の走行モータを後進方向へ回転させるパイロット信号が出力され、油圧ポンプから吐出した圧油は、コントロールバルブを通じて右側の走行モータの後進側に供給される。

　次に、第１の実施形態に用いられるフロアマット２２について、図２ないし図５を参照しつつ説明する。

　フロアマット２２は、運転席１０の前側に配置され、フロア部材９の上面を覆っている。フロアマット２２は、例えば弾性を有するゴム材料、樹脂材料等を用いて形成され、フロア部材９に対して着脱可能に取付けられている。図５に示すように、フロアマット２２は、中央マット部２３と、後壁２４と、右壁２５と、パイロット弁挿通開口２６と、周壁２７と、後述する左突起部材２８および右突起部材２９とを含んで構成されている。

　フロアマット２２の中央マット部２３は、フロア部材９のうち運転席支持台９Ａよりも前側の部位を覆っている。中央マット部２３の上面は、作業者の足裏が接する面であり、前端２３Ａから後端２３Ｂに向けて下り勾配となる傾斜面２３Ｃとなっている。これにより、フロアマット２２上に落下した土砂等は、中央マット部２３の前端２３Ａ側から傾斜面２３Ｃに沿って後端２３Ｂ側へと移動する。中央マット部２３の上面のうち後端２３Ｂ側には、緩やかに湾曲しつつ左右方向に延びる複数本の溝２３Ｄが設けられている。これら複数本の溝２３Ｄは、キャブ６内に搭乗した作業者がフロアマット２２に足を乗せたときの滑止めの機能と、フロアマット２２上に落下した土砂等をキャブ６の外部に掃き出すため、土砂等をキャブ６の乗降口６Ａへと案内する機能とを有している。このため、キャブ６の乗降口６Ａ側に配置される溝２３Ｄの左端は、外部に向けて開放されている。

　後壁２４は、中央マット部２３の後端２３Ｂに一体的に設けられている。後壁２４は、中央マット部２３の後端２３Ｂから上向きに立上り、左右方向に延在している。右壁２５は、中央マット部２３の右端に一体的に設けられている。右壁２５は、中央マット部２３の右端から上向きに立上り、前後方向に延在している。これら後壁２４および右壁２５は、中央マット部２３の周囲を取り囲むことにより、中央マット部２３上に落下した土砂等を、フロアマット２２の周囲に飛散しないように堰き止める。

　パイロット弁挿通開口２６は、中央マット部２３の前端２３Ａ側に設けられている。パイロット弁挿通開口２６は、全体として四角形状をなす角孔として形成され、フロア部材９に取付けられたパイロット弁１３に対応する位置に配置されている。これにより、パイロット弁１３は、パイロット弁挿通開口２６に挿通され、パイロット弁１３を構成する弁本体部１４、左走行操作部１５および右走行操作部１６の上側は、パイロット弁挿通開口２６を介してフロアマット２２（中央マット部２３）の上面側に突出する。

　周壁２７は、パイロット弁挿通開口２６の周縁部に設けられている。周壁２７は、パイロット弁挿通開口２６の周縁部から上向きに突出し、パイロット弁挿通開口２６を全周に亘って取り囲んでいる。中央マット部２３の上面は、前端２３Ａから後端２３Ｂに向けて下り勾配の傾斜面２３Ｃとなっているため、中央マット部２３の上面からの周壁２７の突出長さは、中央マット部２３の前端２３Ａ側から後端２３Ｂ側に向けて徐々に大きくなっている。周壁２７は、中央マット部２３に落下した土砂等が、パイロット弁挿通開口２６を通じて下方に飛散するのを堰き止め、パイロット弁１３を土砂等から保護する。

　左突起部材２８および右突起部材２９は、フロアマット２２の中央マット部２３に一体的に設けられている。図２および図３に示すように、左突起部材２８は、左走行ペダル１７の回動支点となる左走行操作部１５の回動軸１５Ａと運転席１０との間、具体的には、左走行ペダル１７に対応した位置で周壁２７と運転席１０との間に配置されている。また、左突起部材２８および右突起部材２９は、周壁２７に連続して形成されるものではなく、周壁２７の後側に一定の間隔を保った状態で配置されている。左突起部材２８は、中央マット部２３の上面から突出した三角形のブロック状に形成され、運転席１０から左走行ペダル１７の回動支点（左走行操作部１５の回動軸１５Ａ）に向けて先細りとなる尖端部２８Ａを有している。ここで、中央マット部２３の上面は、作業者の足裏が接する面であるのに対し、左突起部材２８の上面は、通常の作業時に作業者の足裏が接することはない。

　左突起部材２８は、左走行レバー１８が前進方向に操作されて左走行ペダル１７が前傾姿勢（図６中の一点鎖線で示す姿勢）となり、左走行ペダル１７の後端１７Ｂとフロアマット２２との間に大きな隙間が形成されたときに、この隙間内に作業者の爪先、フロアマット２２上に落ちた工具、書類等の障害物（以下、作業者の爪先を例に挙げて説明する）が挟まるのを阻止する。なお、中央マット部２３の上面からの左突起部材２８の突出長さは、左走行ペダル１７が後傾姿勢（図６中の二点鎖線で示す姿勢）となったときに、この左走行ペダル１７の後端１７Ｂと左突起部材２８の上端との間に僅かな（爪先が挟まらない程度の）隙間が確保できる長さに設定されている。

　右突起部材２９は、左突起部材２８と同様に、右走行ペダル２０の回動支点となる右走行操作部１６の回動軸（図示せず）と運転席１０との間、具体的には、右走行ペダル２０に対応した位置で周壁２７と運転席１０との間に配置されている。右突起部材２９は、中央マット部２３の上面から突出した三角形のブロック状に形成され、運転席１０から右走行ペダル２０の回動支点（右走行操作部１６の回動軸）に向けて先細りとなる尖端部２９Ａを有している。右突起部材２９の上面も、通常の作業時に作業者の足裏が接することはない。右突起部材２９は、右走行レバー２１が前進方向に操作されて右走行ペダル２０が前傾姿勢となり、右走行ペダル２０の後端２０Ａとフロアマット２２との間に大きな隙間が形成されたときに、この隙間内に作業者の爪先が挟まるのを阻止する。中央マット部２３の上面からの右突起部材２９の突出長さは、左突起部材２８の突出長さと等しく設定されている。

　ここで、左突起部材２８は、上面視で左走行ペダル１７の後端１７Ｂ側に覆われる位置に配置されている。具体的には、左走行ペダル１７が前傾姿勢となったときに、左走行ペダル１７の後端１７Ｂと、左突起部材２８の後端（最も運転席１０側に位置する端面）とが対応している。この場合、左突起部材２８の後端は、前傾姿勢となった左走行ペダル１７の後端１７Ｂの位置に正対する必要はなく、回動軸１５Ａ側に寄っていても良く、運転席１０側に寄っていても良い。右突起部材２９は、上面視で右走行ペダル２０の後端２０Ａ側に覆われる位置に配置されている。具体的には、右走行ペダル２０が前傾姿勢となったときに、右走行ペダル２０の後端２０Ａと、右突起部材２９の後端（最も運転席１０側に位置する端面）とが対応している。これにより、作業者がフロアマット２２上を歩行するときに、左突起部材２８あるいは右突起部材２９に足（爪先）を引っ掛けるのを防止できる構成となっている。また、左突起部材２８は、運転席１０から左走行ペダル１７の回動支点に向けて先細りとなる尖端部２８Ａを有し、右突起部材２９は、運転席１０から右走行ペダル２０の回動支点に向けて先細りとなる尖端部２９Ａを有している。これにより、フロアマット２２上に落下した土砂等が、中央マット部２３の前端２３Ａ側から傾斜面２３Ｃに沿って後端２３Ｂ側に移動するときに、左突起部材２８あるいは右突起部材２９の周囲に堆積してしまうのを防止できる構成となっている。

　第１の実施形態による油圧ショベル１は、上述の如き構成を有するもので、作業者（オペレータ）は、キャブ６のドア６Ｂを開き、乗降口６Ａを通じてキャブ６内に搭乗する。そして、作業者は運転席１０に座り、例えば左走行レバー１８および右走行レバー２１を前進方向に手動操作する。これにより、パイロット弁１３からコントロールバルブにパイロット信号が出力され、油圧ポンプから吐出した圧油が左側の走行モータ２Ａおよび右側の走行モータの前進側に供給される。このため、油圧ショベル１は、左走行レバー１８および右走行レバー２１に対する操作に応じて前進走行を行う。

　ここで、左走行レバー１８が前進方向に操作されたときには、左走行ペダル１７が前傾姿勢（図６中の一点鎖線で示す姿勢）となり、左走行ペダル１７の後端１７Ｂとフロアマット２２との間に大きな隙間が形成される。同様に、右走行レバー２１が前進方向に操作されたときには、右走行ペダル２０の後端２０Ａとフロアマット２２との間に大きな隙間が形成される。このため、これらの隙間内に作業者の爪先が挟まれた場合には、左走行レバー１８あるいは右走行レバー２１に対する円滑な操作が阻害されてしまう。

　これに対し、本実施形態では、フロアマット２２の周壁２７と運転席１０との間に、左走行ペダル１７に対応する左突起部材２８と右走行ペダル２０に対応する右突起部材２９とが隣接して設けられている。従って、左走行ペダル１７の後端１７Ｂとフロアマット２２との間に大きな隙間が形成されたとしても、作業者の爪先が左突起部材２８に当接することにより、この隙間内に作業者の爪先が挟まるのを左突起部材２８によって阻止することができる。同様に、右走行ペダル２０の後端２０Ａとフロアマット２２との間に大きな隙間が形成されたとしても、作業者の爪先が右突起部材２９に当接することにより、隙間内に作業者の爪先が挟まるのを右突起部材２９によって阻止することができる。この結果、左走行レバー１８および右走行レバー２１を常に円滑かつ正確に操作することができ、左走行レバー１８および右走行レバー２１を用いて油圧ショベル１の走行動作を的確に制御することができる。

　この場合、左突起部材２８は、上面視で左走行ペダル１７の後端１７Ｂ側に覆われる位置に配置され、右突起部材２９は、上面視で右走行ペダル２０の後端２０Ａ側に覆われる位置に配置されている。これにより、作業者がフロアマット２２上を歩行するときに、不用意に左突起部材２８あるいは右突起部材２９に足（爪先）を引っ掛けてしまうのを防止することができる。

　しかも、左突起部材２８は、運転席１０から左走行ペダル１７の回動支点に向けて先細りとなる尖端部２８Ａを有し、右突起部材２９は、運転席１０から右走行ペダル２０の回動支点に向けて先細りとなる尖端部２９Ａを有している。これにより、フロアマット２２上に落下した土砂等が、中央マット部２３の前端２３Ａ側から傾斜面２３Ｃに沿って後端２３Ｂ側に移動するときに、左突起部材２８あるいは右突起部材２９の周囲に堆積してしまうのを防止することができる。

　かくして、本実施形態による油圧ショベル１は、自走可能な車体と、前記車体に設けられた運転席１０と、運転席１０の周囲に足場を形成するフロア部材９と、フロア部材９の上面を覆うフロアマット２２と、運転席１０の前側に設けられ前記車体の走行駆動を制御するために回動支点を中心として前後方向に回動操作される左走行ぺダル１７および右走行ペダル２０とを備えてなる建設機械において、左走行ペダル１７および右走行ペダル２０の回動支点と運転席１０との間であって、フロア部材９上における上面視で左走行ぺダル１７および右走行ペダル２０の運転席１０側の端部に対応する位置に、フロアマット２２から上方に突出する左突起部材２８および右突起部材２９が設けられている。

　この構成によれば、左走行ペダル１７の後端１７Ｂとフロアマット２２との間に形成された隙間内に作業者の爪先、フロアマット２２上に落ちた工具、書類等の障害物が挟まるのを、左突起部材２８によって阻止することができる。一方、右走行ペダル２０の後端２０Ａとフロアマット２２との間に形成された隙間内に障害物が挟まるのを、右突起部材２９によって阻止することができる。この結果、左走行レバー１８および右走行レバー２１を常に円滑かつ正確に操作することができる。

　実施形態では、フロア部材９には、左走行ペダル１７および右走行ペダル２０が取付けられ左走行ペダル１７および右走行ペダル２０の回動に応じて走行用のパイロット信号を出力するパイロット弁１３が設けられ、フロアマット２２には、運転席１０の前側に位置してパイロット弁１３が挿通されるパイロット弁挿通開口２６と、パイロット弁挿通開口２６の周縁部から上方に立上る周壁２７とが設けられ、左突起部材２８および右突起部材２９は、フロアマット２２の周壁２７と運転席１０との間に配置されている。この構成によれば、フロアマット２２に落下した土砂等が、パイロット弁挿通開口２６を通じてパイロット弁１３に飛散するのを周壁２７によって防止しつつ、左走行レバー１８および右走行レバー２１を操作する作業者の爪先等の障害物が、フロアマット２２と左走行ペダル１７および右走行ペダル２０との間に挟まるのを、左突起部材２８および右突起部材２９によって阻止することができる。しかも、左突起部材２８および右突起部材２９は、周壁２７に連続して形成されるものではなく、周壁２７の後側に一定の間隔を保った状態で配置されている。これにより、左突起部材２８および右突起部材２９と周壁２７との間に土砂が堆積する面が確保され、周壁２７の上端を土砂が堆積する面よりも突出させることができる。この結果、土砂がパイロット弁挿通開口２６を通じてパイロット弁１３側に飛散するのを、周壁２７によって確実に防止することができる。

　実施形態では、左突起部材２８および右突起部材２９はフロアマット２２に設けられている。この構成によれば、既存のフロアマットに代えてフロアマット２２をフロア部材９に取付けるだけで、左走行ペダル１７および右走行ペダル２０とフロアマット２２との間に形成された隙間に障害物が挟まるのを、左突起部材２８および右突起部材２９によって阻止することができる。

　実施形態では、フロアマット２２は、左走行ペダル１７および右走行ペダル２０の回動支点から運転席１０に向けて下り勾配となる傾斜面２３Ｃを有している。さらに、左突起部材２８および右突起部材２９は、運転席１０から左走行ペダル１７および右走行ペダルの回動支点に向けて先細りとなる尖端部２８Ａおよび２９Ａを有している。換言すると、左突起部材２８および右突起部材２９は、フロアマット２２の基準面が高くなる前側ほど細く（狭幅に）、フロアマット２２の基準面が低くなる後側ほど太く（広幅に）形成されている。この構成によれば、フロアマット２２上に落下した土砂等が、中央マット部２３の前端２３Ａ側から傾斜面２３Ｃに沿って後端２３Ｂ側に移動するときに、左突起部材２８あるいは右突起部材２９の周囲に堆積するのを防止することができる。よって、フロアマット２２上の清掃のし易さを維持しつつ、左突起部材２８および右突起部材２９の後端面（ガード面）を大きく確保し、左走行ペダル１７または右走行ペダル２０とフロアマット２２との間に障害物が入り込むことを確実に防止することができる。

　実施形態では、左突起部材２８は、上面視で左走行ペダル１７に覆われる位置に配置され、右突起部材２９は、上面視で右走行ペダル２０に覆われる位置に配置されている。この構成によれば、運転席１０に座った作業者の足元の空間を広く確保することができる。また、作業者がフロアマット２２上を歩行するときに、左突起部材２８あるいは右突起部材２９に足（爪先）を引っ掛けてしまうのを防止することができる。

　次に、図８および図９は本発明の第２の実施形態を示し、本実施形態の特徴は、左右の突起部材をフロア部材に設けたことにある。なお、本実施形態では、第１の実施形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。

　第２の実施形態によるフロア部材３１は、第１の実施形態によるフロア部材９と同様に、キャブ６に搭乗した作業者の足場を形成し、フロア部材３１の後側には、運転席１０を支持する運転席支持台３１Ａが設けられている。しかし、フロア部材３１には、左走行ぺダル１７の回動支点と運転席１０との間に位置して左突起部材３２が設けられ、右走行ぺダル２０の回動支点と運転席１０との間に位置して右突起部材３３が設けられている点で、第１の実施形態によるフロア部材９とは異なっている。

　左突起部材３２は、左走行ペダル１７の回動支点（左走行操作部１５の回動軸１５Ａ）と運転席１０との間に位置してフロア部材３１の上面に設けられている。左突起部材３２は、フロア部材３１の上面から上向きに延びる三角柱状に形成され、運転席１０から左走行ペダル１７の回動支点に向けて先細りとなる尖端部３２Ａを有している。左突起部材３２は、後述するフロアマット３４の左突起部材挿通孔４０を通じてフロアマット３４上に突出し、左走行ペダル１７の後端１７Ｂとフロアマット３４との間に形成された隙間内に作業者の爪先が挟まるのを阻止する。また、左突起部材３２は、上面視で左走行ペダル１７の後端１７Ｂ側に覆われる位置に配置されている。

　右突起部材３３は、右走行ペダル２０の回動支点（右走行操作部１６の回動軸）と運転席１０との間に位置してフロア部材３１の上面に設けられている。右突起部材３３は、フロア部材３１の上面から上向きに延びる三角柱状に形成され、運転席１０から右走行ペダル２０の回動支点に向けて先細りとなる尖端部（図示せず）を有している。右突起部材３３は、フロアマット３４の右突起部材挿通孔４１を通じてフロアマット３４上に突出し、右走行ペダル２０の後端２０Ａとフロアマット３４との間に形成された隙間内に作業者の爪先が挟まるのを阻止する。また、右突起部材３３は、上面視で右走行ペダル２０の後端２０Ａ側に覆われる位置に配置されている。

　フロアマット３４は、運転席１０の前側に配置され、フロア部材３１の上面を覆っている。フロアマット３４は、第１の実施形態によるフロアマット２２と同様に、中央マット部３５と、後壁３６と、右壁３７と、パイロット弁挿通開口３８と、周壁３９とを含んで構成されている（図９参照）。中央マット部３５は、前端３５Ａから後端３５Ｂに向けて下り勾配となる傾斜面３５Ｃを有し、中央マット部３５の上面のうち後端３５Ｂ側には、緩やかに湾曲しつつ左右方向に延びる複数本の溝３５Ｄが設けられている。しかし、フロアマット３４は、第１の実施形態による左突起部材２８および右突起部材２９に代えて、後述する左突起部材挿通孔４０および右突起部材挿通孔４１が設けられている点で、第１の実施形態によるフロアマット２２とは異なっている。

　左突起部材挿通孔４０および右突起部材挿通孔４１は、フロアマット３４の中央マット部３５に設けられている。左突起部材挿通孔４０は、フロア部材３１の左突起部材３２に対応する位置、即ち上面視で左走行ペダル１７の後端１７Ｂ側に覆われる位置に、左突起部材３２に対応する三角形状の貫通孔として形成されている。右突起部材挿通孔４１は、フロア部材３１の右突起部材３３に対応する位置、即ち上面視で右走行ペダル２０の後端２０Ａ側に覆われる位置に、右突起部材３３に対応する三角形状の貫通孔として形成されている。

　従って、フロア部材３１の上面にフロアマット３４を配置した状態で、フロア部材３１の左突起部材３２は、フロアマット３４の左突起部材挿通孔４０を通じてフロアマット３４の上面側に突出する。同様に、フロア部材３１の右突起部材３３は、フロアマット３４の右突起部材挿通孔４１を通じてフロアマット３４の上面側に突出する。

　第２の実施形態による油圧ショベルは、上述の如きフロア部材３１とフロアマット３４とを有するもので、左走行レバー１８が前進方向に操作されることにより、左走行ペダル１７の後端１７Ｂとフロアマット３４との間に大きな隙間が形成されたとしても、この隙間内に作業者の爪先が挟まるのを、左突起部材３２によって阻止することができる。同様に、右走行レバー２１が前進方向に操作されることにより、右走行ペダル２０の後端２０Ａとフロアマット３４との間に大きな隙間が形成されたとしても、この隙間内に作業者の爪先が挟まるのを、右突起部材３３によって阻止することができる。

　なお、第１の実施形態では、フロアマット２２の上面に左突起部材２８と右突起部材２９とを隣接して配置した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図１０に示す変形例のように、左走行ペダル１７および右走行ペダル２０に対応する位置に、単一の突起部材４２を設ける構成としてもよい。即ち、上面視で左走行ペダル１７の後端１７Ｂ側および右走行ペダル２０の後端２０Ａ側に覆われる位置に、左右方向に延在する突起部材４２を設け、この突起部材４２により、左走行ペダル１７および右走行ペダル２０とフロアマット２２との間に形成された隙間内に作業者の爪先が挟まるのを阻止する構成としてもよい。

　また、第１の実施形態では、左突起部材２８および右突起部材２９を三角形のブロック状に形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば菱形、楕円形のブロック状に形成してもよい。このことは、第２の実施形態による左突起部材３２および右突起部材３３についても同様である。

　また、実施形態では、左走行レバー１８が一体化された左走行ペダル１７、および右走行レバー２１が一体化された右走行ペダル２０を備えた油圧ショベル１を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばレバーが一体化されていない単独のペダルを備えたホイール式の建設機械にも適用することができる。また、走行ペダルに限らず、例えばブレーキペダルとフロアマットとの間に障害物が挟み込まれるのを防止する突起部材を設ける構成としてもよい。

　さらに、実施形態では、建設機械としてクローラ（履帯）式の下部走行体２を備えた後方超小旋回仕様の油圧ショベル１を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、後方超小旋回仕様以外のクローラ式の油圧ショベル、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン等の走行ペダルおよび走行レバーを有する走行操作装置を備えた他の建設機械にも広く適用することができる。

　２　下部走行体（車体）
　３　上部旋回体（車体）
　９，３１　フロア部材
　１２　走行操作装置
　１３　パイロット弁
　１５Ａ　回動軸（回動支点）
　１７　左走行ペダル
　２０　右走行ペダル
　２２，３４　フロアマット
　２３Ｃ，３５Ｃ　傾斜面
　２６，３８　パイロット弁挿通開口
　２７，３９　周壁
　２８，３２　左突起部材
　２８Ａ，２９Ａ，３２Ａ　尖端部
　２９，３３　右突起部材
　４０　左突起部材挿通孔
　４１　右突起部材挿通孔
　４２　突起部材

Claims

　自走可能な車体と、前記車体に設けられた運転席と、前記運転席の周囲に足場を形成するフロア部材と、前記フロア部材の上面を覆うフロアマットと、前記運転席の前側に設けられ前記車体の走行駆動を制御するために回動支点を中心として前後方向に回動操作されるペダルとを備えてなる建設機械において、
　前記ペダルの回動支点と前記運転席との間であって、前記フロア部材上における上面視で前記ペダルの前記運転席側の端部に対応する位置に、前記フロアマットから上方に突出する突起部材が設けられていることを特徴とする建設機械。
　前記フロア部材には、前記ペダルが取付けられ前記ペダルの回動に応じて走行用のパイロット信号を出力するパイロット弁が設けられ、
　前記フロアマットには、前記運転席の前側に位置して前記パイロット弁が挿通されるパイロット弁挿通開口と、前記パイロット弁挿通開口の周縁部から上方に立上る周壁とが設けられ、
　前記突起部材は、前記フロアマットの前記周壁と前記運転席との間に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の建設機械。
　前記突起部材は、前記フロアマットに設けられていることを特徴とする請求項１に記載の建設機械。
　前記突起部材は前記フロア部材に設けられ、
　前記フロアマットには、上下方向に貫通し前記突起部材が挿通される突起部材挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項１に記載の建設機械。
　前記フロアマットは、前記ペダルの回動支点から前記運転席に向けて下り勾配となる傾斜面を有し、
　前記突起部材は、前記運転席から前記ペダルの回動支点に向けて先細りとなる尖端部を有していることを特徴とする請求項１に記載の建設機械。
　前記突起部材は、上面視で前記ペダルに覆われる位置に配置されていることを特徴とする請求項１に記載の建設機械。
　前記ペダルは、非操作状態である中立位置と、前記中立位置に対して回動支点を中心として前方に回動する前傾位置と、前記中立位置に対して回動支点を中心として後方に回動する後傾位置と、に移動可能に構成されることを特徴とする請求項１に記載の建設機械。