JP3681966B2 - 旋回作業機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バックホー、パワーショベル等の旋回作業機に係り、より具体的には当該作業機の操縦部に(操縦塔を含む)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の旋回作業機として、特開平9−198152号公報に記載されているものがある。
この公報記載の旋回作業機は、走行装置上に縦方向の旋回軸心廻りに回転自在に旋回台を備え、該旋回台の前端に作業装置の支持部を設け、旋回台上の前部に操縦フロアを形成して該フロアの前部に操縦塔を配置し、フロアの後部に運転者用のステップを配置したものであった。
【0003】
この旋回作業機は、旋回台の前部側をカバー体によって構成したものであり、前記フロアを構成する上壁部と、この上壁部の周縁から下方に一体的に延出されて旋回台の外周壁を形成する側壁部とを有し、このカバー体を左右中途部にて2分割形成して突き合わせることで一体となるようにしていた。
前記従来の旋回作業機においては、旋回台の左右側壁部と、フロアの左右とをそれぞれ一体に形成しているものであるため、例えば左右側壁部を内側から補修する必要が生じたときにフロアが障害となり、また、旋回台の内部機器を点検するためにフロア部分を取り外そうとすると側壁部ごと取り外すこととなって作業が大掛かりなものとなっていた。
【0004】
また、ステップを部分的に着脱可能にした技術が特開平7−127100号公報に記載されているが、操縦塔の下方の旋回台内には油圧アクチュエータの制御弁等を配置して操縦塔のレバーと連結してるため、ステップ部分を取り外せたとしても制御弁等の点検は行いがたく、結局のところ上記と同様の問題が残るものとなっていた。
このような課題を解決するため、特開平11−269936号公報には、「旋回台上に操縦フロアを形成し、該操縦フロアの前部に操作レバー等を備えた操作部を設け、該操縦フロアの後部に運転者用のステップ部を設けた旋回作業機において、
前記旋回台の外周壁を構成する側壁部を、左右に分割された個別の左右側壁部材にて構成し、前記操縦フロアを、前記ステップ部を構成するステップ部材と前記操作部を設けた床部材とにより分割して構成した旋回作業機。」が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
旋回台の内部機器(旋回モータ、ロータリジョイト、バルブ等をいう)と内部部材(走行ロッド、ケーブル、配線、配管等をいう)等を整備点検したり調整等したりするとき、フロア、ステップ等を着脱(取り外し)する必要がある。
しかしながら、フロア、ステップ、側カバー等を着脱自在(取り外し)としても、運転操縦装置における操縦部(走行レバー、ペダル等を含む操縦塔(操縦ボックス)をいい、以下同じ)とこれを支持する(組付けている)取付台が、上面開放の旋回台に残ったままであると、取付台を含む操縦部が旋回台内において占める割合(スペース)は広いため、旋回台の内装機器、内装部材等のメンテナンスを実施するとき、取付台を含む操縦部が障害となってメンテナンス性が大幅に困難(熟練を要するし、時間も掛る)であった。
【0006】
また、メンテナンス性(整備性)を向上するため、取付台を含む操縦部を個々に分解して取り外すようにすると、取付台と操縦部の再組立が面倒であるし、位置調整(組付け調整)にも狂いが発生し易いものであった。
そこで本発明は、取付台と操縦部とを組み付けて(アッセンブリにした組立体に構成する)おくことにより、この組立体を旋回台のベース板に着脱自在に載置して立設することで、旋回台内で占める割合が広い取付台等が整備(点検、微調整等を含むとともに、油差し等の潤滑整備も含む)に際して障害となることも少なく、取付台と操縦部とを組立体として着脱自在とすることで再組付けのときの狂いがないようにした旋回作業機を提供することが目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、操縦部23と運転席24とを前後に配置して構成した運転操縦装置7を、走行機体5上に備えている旋回作業機1において、前述の目的を達成するために次の技術的手段を講じている。
すなわち、請求項1に係る旋回作業機は、前記走行機体5を構成する旋回台10のベース板5Aに取付台22を載置して締結具22Aにより着脱自在に装着しており、この取付台22に前記操縦部23を組み付けて立設していることを特徴とするものである。
【0008】
このような構成を採用することによって、旋回台10において占有スペースが大きな取付台22を操縦部23と一体として着脱することによって旋回台10の内部機器、内部部材34の整備が障害なく実施できるとともに、障害物が少ないことからその整備も迅速かつ広いスペースで実施できるし、整備後の再組付(組立)も取付台22と操縦部23とを一体として(組立体として)できることから、取付台22と操縦部23との位置狂いも少なくなったのである。
前述した構成において、旋回台10は箱形に構成されており、この旋回台10における前側のベース板5Aに取付台22が載置されて着脱自在に装着されており、この取付台22に、運転席24から操作可能な走行レバー、ペダル等の操縦部23が組み付けられていることが望ましく、また、前述した構成において、取付台22はベース板5Aに重ね合されて載置される基板22Bとこの基板22Bの前方側にて起立されている前壁22Cとを備え、この取付台22には旋回台10の側カバー37Bの取付座22Gが備えられていることが推奨される。
【0009】
これによれば、取付台22は化粧カバーとなる側カバー37Bの取付けも兼用できるし、このときは、取付座22Gに締結する締結具を締結弛緩することで、取付台22を着脱することに支障はない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る旋回作業機1をバックホーで示しており、左右一対のクローラ形で例示する走行装置2を有する走行フレーム3上には旋回軸受4を介して走行機体5が搭載支持されていて縦軸心Oを中心として全旋回(360°回動)可能であり、この走行機体5の一側にバケット形で例示した掘削装置6が起状自在として装着されている。
【0011】
走行機体5上には運転操縦装置7が備えられ、この運転操縦装置7に対して乗降するためのステップ装置8が備えられているとともに、図示の実施形態では運転操縦装置7を包囲するキャビン9が搭載され、このキャビン9には乗降口に開閉ドア9Aを有する。
走行機体5は旋回軸受4上にボルト等で固着されているベース板(ベース台)5A上に旋回台10を定置固定しており、この旋回台10は図2で示すように前後方向の中間部分において左右方向に延伸して立設されている隔壁板11によって後方部位にエンジンルーム12を区画し、ここに、運転部を熱源から遮熱しているとともに騒音を遮音している。
【0012】
エンジンルーム12には防振ゴム支持体等を介して横向(左右向)に配置したエンジン13を弾持(弾性的に支持)しており、このエンジン13に並設してオイルフーラ14、ラジエータ15および油圧ポンプ16等を配置しており、このエンジン13およびエンジン補機(ラジエータ15、マフラー等を含む)は、バンパーウエイト(プロテクタ)17および開閉自在なボンネット18で包囲されている。
隔壁板11の前側の旋回台10上には、図2および図3で示すように、燃料タンク19と作動油タンク20が左右振り分け状に配置されており、これらタンク19、20も隔壁板11によって熱源(エンジン)から遮熱され、作動油タンク20の前側にはバルブ装置21が備えられ、このバルブ装置21は縦方向(上下方向)に各種バルブ(ドーザ、アーム、ブーム、バケット、スイング等のバルブ)を積層(重ね合せる)ことによって構成されている。
【0013】
運転操縦装置7は上面開放の箱形とされている旋回台10におけるベース板5Aの前側一側(左前側)に載置されてボルト等の締結具22A等で着脱自在に取付けられた取付台22に組付けられた(アッセンブリされた)走行レバー23A、増速ペダル、スイングペダル等のペダル装置23Bを有する操縦部23と、この操縦部23の後方において支持台24A等を介して装着されている運転席部24等を備えて構成され(操縦部23と運転席24とを前後に離間して配置)ており、運転席部24の左右両脇には手元操作部24B、24Cを備え、走行レバー23A、ペダル23Bは運転席24から操作(手動又は足動)可能とされている。
【0014】
取付台22は、ベース板5Aの前側で上面開放の旋回台10に内装され、図3で示すように平面視にて略台形状とされた基板22Bとこの基板22Bの前方側にて起立された前壁22Cとで図9等で示すように側面視で略L字形に形成されており、基板22Bをベース板5Aに重ね合せて締結具22Aにて着脱自在とされており、取付板22にはペダル装置23Bの軸支部22D、ステップ装置8の支持柱22Eおよびキャビン支柱の取付座22F並びに樹脂製又は板金製で化粧カバーとなる側カバー37Bの取付座22G等が備えられている。
【0015】
走行レバー23Aは図3で示すようにリンク22Hを介して走行ロッド22Iが枢支されており、この走行ロッド22Iは旋回モータ25等の上方を通ってリンク22Jを介してバルブ装置21に連動連結され、旋回モータ25は旋回軸受4の中心に備えているロータリバルブ(ロータリジョイント、スイベルジョイント)26の前側に装備されている。
従って取付台22をベース板5Aに対して載置して着脱自在とすることにより、この取付台22に備えた走行レバー23A、ペダル装置23Bを含む操縦部23の組立が容易であるとともに、この取付台22をベース板5Aから取外したとき、走行ロッド22I、旋回モータ25(これに対する配管を含む)およびロータリバルブ26(これに対する配管を含む)等の旋回台10の内部機器・内部部材等のメンテナンスが容易となるのである。
【0016】
ステップ装置8は、前述した支持柱22Eおよび旋回台10のベース板5Aに立柱した支柱27およびこの支柱27等に取付けたブラケット、ステー等を介して着脱固定自在に装着されたステップ板28を備え、このステップ板28は複数枚に分割されてステップ面28Aを形成すべく並設されている。
このステップ板28のうち旋回台10側にボルト等の締結具29によって支柱22E、27等に固定されているステップ板(第1ステップ板および第2ステップ板)30、31と位置決めピン33等によって板面方向に対して位置決めされているステップ板(第3ステップ板)32とを備え、このステップ板(第1ステップ板30と第2ステップ板31との間にあって上下方向に着脱自在な第3ステップ板)32が旋回台10の内部機器・内部部材(旋回モータ25、ロータリバルブ26、走行ロッド22I等をいう)34の上方において点検・整備孔34Aを形成すべく位置決めピン33等の抜差しで上下方向に着脱自在に備えられてステップ装置8を構成している。
【0017】
図5を参照すると、第1ステップ板30と第2ステップ板31はそれぞれ左右にも分割されており、左右の第1ステップ板30Aと30Bおよび左右の第2ステップ板31A、31Bとからなり、それぞれ支柱27等に締結具29によって固定するための取付孔(装着孔)30C、31Cの複数個を有し、第3ステップ板32は下方に突出する位置ピン33を有し、第1ステップ板30に形成した位置決め孔33Aに対して挿抜自在であり、この第3ステップ板32は左右方向で帯板状に形成されている。
【0018】
更に、ステップ板28は第4ステップ板35を含み、この第4ステップ板35はバルブ装置21側にあって前後方向で分割されており、この第4ステップ板35にも複数個の取付け孔35Aが形成されている。
ステップ板28は左右に分割されている第1ステップ板30をその取付孔30Cを介して締結具29で旋回台10側に固定(着脱自在に固定)するとともに左右に分割されている第2ステップ板31をその取付孔31Cを介して締結具29で運転席側の旋回台10に固定(着脱自在に固定)し、更に、前後に分割されている第4ステップ板35をその取付孔35Aを介して締結具29でバルブ側の旋回台10に固定したとき、その分割縁は互いに重ね合されるか沿接され、これら固定のステップ板30、31、35に対して第3ステップ板32が位置決め孔33Aに位置決めピン33を挿抜することによって板面方向に位置固定されて装着され、内部機器34を点検・整備等するときは、この第3ステップ板32を上下方向に挿抜することでこの第3ステップ板32の面積に相当する点検・整備孔34Aを形成するのである。
【0019】
なお、第1ステップ板30には走行レバー23A、ペダル装置23Bの挿通孔34Bが開口されている。
前述のように並設されている(分割縁を重ね合せ状乃至沿接状に並設した)ステップ板28のステップ板28A上に、全ステップ板28(実施形態では第1〜3ステップ板30、31および第4ステップ板35の前面側)を覆って図4で示すように弾性マット体36がめくり可能として敷設されており、この弾性マット体36で上下方向で着脱自在なステップ板(第3ステップ板)32を押え込んでおり、この弾性マット体36の押え込み(自重による押付け)によって位置決めピン33の差込にて横滑りだけを阻止され、上下方向には浮上可能な第3ステップ板32の浮き上り等を防止しているのである。
【0020】
弾性マット体36は、軟質樹脂、合成ゴム等の弾性材料(ファイバー、不織布等の強化材を混入したものを含む)で作成されており、外周縁部に立上り縁部36Aを有するとともにそのステップ面(上面)には滑り止め突条36Bが形成され、その下面には格子状のリブ36Cが形成され、前側には走行レバー23Aおよびペダル23Bの装着部(装着孔又は装着覆い等)36Dを備えており、この弾性マット体36は、固定ステップ板(第4ステップ板35の前側)および左右で前後に間隔をおいて形成した差込孔35Bに対して上下方向に抜差し自在なピン手段36E(合計5ヶ所)を備えて板面方向に位置決可能であり、この弾性マット体36又は第3ステップ板32によって左右方向のウオークスルーを構成している。
【0021】
この弾性マット体36は、ピン手段36Eによって位置決め(横滑り防止)されていることから、このピン手段36Eを挿脱することでめくり上げることが可能であり、このめくり上げにてステップ板28のステップ面28Aを露呈(露出)可能となり、この弾性マット体36をめくり取ってから、第3ステップ板32を位置決めピン33の挿脱で点検・整備孔34Aを造成して内部機器・内部部材34のメンテナンスが容易となっているのである。
なお、弾性マット体36は、これを分割構成するか走行レバー23Aの装着部36Dに前縁に開口する切込みを形成する等してめくり上げを容易にすることも可能である。
【0022】
また、旋回台10はこのベース板5Aの周縁(前部と左右側部等)に立上り側板を有して箱形に形成されており、この立上り側板の外面、特に左右側板部には、樹脂製カバー37A、37Bで覆われており、このカバーのうち左カバー37Bについては、前述した取付台22にこのカバー取付座22Gが形成され、更に、取付台22には手摺39の取付座39Aが形成されている。
更に、図1に示した掘削装置6は、スイングブラケット40を介して旋回台10の前側に固着した(一体形成した)取付ブラケット41に上下動及び左右動可能に支持されており、取付ブラケット41には図3で示すように後方に拡がり状の板材41Aが立設されてベース5A(旋回台10)の捻り剛性を向上している。
【0023】
また、図では走行レバー23Aはステップ装置8上に取付台22等を介して植立されているが、この操縦部23は、取付台22に操縦ボックス(操縦塔)を立設したものであっても良く、また、位置決めピン33は、第3ステップ板32の縁部に折返し縁を形成して(第1〜4ステップ板は板金製、硬質樹脂製等であることから折返し縁の形成は容易)、この折返し縁を固定側(第1・2ステップ板30、31に形成した折返し縁等)に係脱自在に係合したものでも良い。
更に、ステップ板28の分割形成は前後方向の第1〜3ステップ板30、31、32のように分割する必要はないが、図示のように、第1・2ステップ板30、31を前後としてこれらをそれぞれ旋回台10側に固定しておき、この第1・2ステップ板30、31間に第3ステップ板32を嵌入して位置決めピン33等で位置決め(締結具29による締結のない(省略)ものとする)するだけで、この第3ステップ板32の前後方向のスキマ調整が不要か若しくは容易(簡単)にできるのである。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば,旋回台の内装機器、内装部材の整備に際しての占有スペースが大きい取付台の着脱によって整備性(熟練度、時間等)が大幅に向上できるし、整備精度も向上できるのである。
また、取付台とともに操縦部を組み付けて(組立体として)これを一体に着脱できるので、整備後の再組立に際しての位置狂いが生じることも少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る旋回作業機の全体立面図である。
【図2】同作業機の要部(運転操縦装置を含むステップ部分)の平面図である。
【図3】ステップ装置下方の内装機器等の配置(配列)を示す平面図である。
【図4】ステップ装置を示し、(1)は平面図、(2)は正面(前面)図、(3)は側面図である。
【図5】ステップ装置におけるステップ板の分割形態を示す平面図である。
【図6】運転席の正面図である。
【図7】バルブ装置および運転操縦部を含む正面図である。
【図8】運転操縦部の正面図である。
【図9】図7の側面図である。
【符号の説明】
1 旋回作業機
5 走行機体
5A ベース板
7 運転操縦装置
10 旋回台
22 取付台
22A 締結具
23 操縦部
Claims (1)
- 運転操縦装置(7)を構成する操縦部(23)と運転席(24)とを走行機体(5)の前後に配置し、前記運転操縦装置(7)を包囲するキャビン(9)を備えている旋回作業機(1)において、
前記操縦部(23)の取付台(22)を基板(22B)と該基板(22B)の前方側にて起立されている前壁(22C)とで構成し、前記基板(22B)を前記走行機体(5)を構成する旋回台(10)のベース板(5A)に重ね合わせて締結具(22A)により着脱自在に装着し、
前記前壁(22C)には前記操縦部(23)を構成するペダル装置(23B)の軸支部(22D)と旋回台(10)の側カバー(37B)の取付座(22G)及びキャビン支柱の取付座(22F)を設けていることを特徴とする旋回作業機。
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