JP5952056B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 Download PDF

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Description

本発明は、透明性、及び耐衝撃性、耐擦過傷性、耐低温白濁性に優れる熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品に関するものである。
家電、ゲーム機、自動車の内装材等には、耐衝撃性を付与した熱可塑性樹脂が広く用いられている。このような製品の中には、低温雰囲気下において白濁することなく、高い透明性が求められるものがあり、これを満足する樹脂が開発されている(特許文献1参照)。このような樹脂を材料として使用する製品には、耐衝撃性、透明性、耐低温白濁性に加えて、耐擦過傷性を併せ持つ樹脂が求められている。
特開2007−91809号公報
本発明は、耐衝撃性、透明性、耐低温白濁性に加え、耐擦過傷性が特に優れる成形品を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
ゴム質重合体にシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフトしたグラフト共
重合体(A)10〜50質量%と、
シアン化ビニル系単量体由来の単位成分の含有量5〜15質量%、芳香族ビニル系単量体由来の単位成分の含有量40〜55質量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分の含有量25〜50質量%からなる熱可塑性樹脂(B)50〜90質量%からなる熱可塑性樹脂組成物であって、
(1)グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体が熱可塑性樹脂(B)中に分散している、
(2)グラフト共重合体(A)のゴム質重合体の体積平均粒子径が、0.10〜0.60μm、
(3)グラフト共重合体(A)の線膨張係数が12.5〜17.0×10-5/℃、
(4)熱可塑性樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による測定で検出される溶出曲線が、前記グラフト共重合体(A)を合成した際に形成される熱可塑性樹脂(B−I)を含む少なくとも2つのピークを有する、
(5)グラフト率が70〜180%である
前記熱可塑性樹脂組成物。
[2]
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分において、メタクリル酸メチル単量体由来の単位成分の含有量が92〜99.5質量%である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]
[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品。
本発明により、耐衝撃性、透明性、耐低温白濁性に加え、耐擦過傷性に優れる成形品を得ることができる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体にシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物がグラフトされる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)のゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム、及びこれらの水素添加物、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴム等が挙げられる。これらは単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。このうち、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンのブロック共重合体及びアクリロニトリル−ブタジエン共重合体が、耐衝撃性の点で好ましく用いられる。上記ゴム質重合体は、均一な組成であっても良いし、異なる組成の重合体を含むものでも良く、また、連続的に組成が変化しているものでも良い。これらの組成は、例えばフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により確認できる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)はゴム質重合体にシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフトしたグラフト共重合体であり、グラフト率は、好ましくは200%以下であり、より好ましくは60〜190%、さらに好ましくは70〜180%である。グラフト率をこの範囲とすることで、グラフト共重合体(A)の線膨張係数を12.5×10-5〜16.5×10-5/℃に制御しやすくなる。なお、グラフト率とは、ゴム質重合体にグラフト共重合した単量体の、ゴム質重合体に対する質量割合として定義される。
グラフト率の測定法は、以下の通りである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分とアセトン不溶分とに分離する。この時、アセトンに不溶な成分はゴム質重合体、及びゴム質重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)であり、本発明において「グラフト共重合体(A)」とみなすことができる。アセトンに溶解する成分は、本発明において「熱可塑性樹脂(B)」とみなすことができる。
アセトン不溶分であるグラフト共重合体(A)をオゾン分解法によりジエン系ゴムの二重結合を分解したものをアセトンに溶解させ、これをメタノールに加えることで沈殿物が得られる。これを分離・乾燥して、得られた成分の質量を測定する。この質量とアセトン不溶分の質量とを利用してグラフト率を算出する。
また、グラフト鎖の還元比粘度の測定には、グラフト共重合体(A)をオゾン分解法によりジエン系ゴムの二重結合を分解したものをアセトンに溶解させ、これをメタノールに加えることで沈殿物が得られる。これを分離・乾燥して、得られた成分0.50gを2−ブタノン100mlにて溶解した溶液を、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することによりグラフト鎖の還元比粘度が得られる。
グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体は、熱可塑性樹脂(B)の連続相の中に分散した形態をとっている。その形状は、不定形、棒状、平板状、粒子状等をとりうるが、耐衝撃性の点から、より好ましいのは粒子状である。これらが熱可塑性樹脂(B)の連続相中に一つ一つが独立して分散する場合、いくつかの集合体が分散する場合のいずれもとりうるが、耐衝撃性の点で一つ一つが独立した方が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物中に分散する上記ゴム質重合体の大きさは、体積平均粒子径として、熱可塑性樹脂組成物を用いた成形品の耐衝撃性の点で0.1μm以上、及び成形品の耐低温白濁性の点で0.6μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.15〜0.55μmである。ゴム質重合体の粒子径の分布は、目的とする物性に応じて、単分散、多分散、或いは二山分布を取ることができる。
ゴム質重合体の体積平均粒子径は以下のようにして求めることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のグラフト共重合体(A)をエポキシ樹脂に包埋させ、四酸化オスミウム、四酸化ルテニウム等の染色剤にて染色処理して、超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行い、超薄切片の任意の範囲10μm×10μmを撮影する。染色部が上記ゴム質重合体部分として観察され、染色部の体積平均粒子径を測定し、上記ゴム質重合体の体積平均粒子径とする。
体積平均粒子径は、例えば画像解析ソフト「A像くん」(旭化成エンジニアリング株式会社製」を用い、測定することができる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)は特定の線膨張係数を有することが必要である。グラフト共重合体(A)の線膨張係数は、12.5×10-5〜17.0×10-5/℃、好ましくは、12.5×10-5〜16.5×10-5/℃である。線膨張係数を17.0×10-5/℃以下とすることで、優れた耐低温白濁性が発現する。また12.5×10-5/℃以上とすることで、十分な耐衝撃性が得られる。
グラフト共重合体(A)の線膨張係数を制御する方法の具体例として、1)〜3)などが挙げられる。下記の方法を単独で、又は組み合わせて使用することも可能である。
1)グラフト重合における、ゴム質重合体に対するシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物の比率を増加させることで、グラフト共重合体(A)の線膨張係数を低下させることができる。
2)重合開始剤の添加量を増やすことで、グラフト共重合体(A)の線膨張係数を低下させることができる。
3)連鎖移動剤の初添及び追添を合計した総添加量を減らすことで、グラフト共重合体(A)の線膨張係数を低下させることができる。
本発明の熱可塑性組成物において、グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計を100質量%とした場合、グラフト共重合体(A)の量は好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。10質量%以上とすることは、耐衝撃性の点で好ましい。一方、グラフト共重合体(A)を50質量%以下とすることは、成形品の耐擦過傷性の効果が発現しやすくなる点で好ましい。さらに、グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体以外の組成と、熱可塑性樹脂(B)の組成を調整して相溶性を高めると、ゴム質重合体の分散状態が良好となり、成形品の耐衝撃性、外観性、耐擦過傷性をバランス化することができる。グラフト共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の好ましい組み合わせの例を以下に示す。
グラフト共重合体(A)のシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられ、このうち特に好ましいのはアクリロニトリルである。熱可塑性樹脂(B)のシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルが挙げられ、このうち特に好ましいのはアクリロニトリルである。熱可塑性樹脂(B)の芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンが挙げられ、このうち特に好ましいのはスチレン、α−メチルスチレンである。熱可塑性樹脂(B)の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルが挙げられ、このうち特に好ましいのはメタクリル酸メチル、アクリル酸メチルである。
熱可塑性樹脂(B)において、シアン化ビニル系単量体由来の単位成分の含有量5〜15質量%、芳香族ビニル系単量体由来の単位成分の含有量40〜55質量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分の含有量25〜50質量%からなることが好ましい。
グラフト共重合体(A)において、ゴム質重合体を除く単量体由来単位成分中のシアン化ビニル系単量体由来単位成分の含有量は(C)と、熱可塑性樹脂(B)において、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体を除く単量体由来単位成分中のシアン化ビニル系単量体由来単位成分の含有量(D)との差(|(C)−(D)|)は耐擦過傷性の点で、10質量%未満が好ましく、より好ましくは8%質量未満、さらに好ましくは5%質量未満、特に好ましくは3%質量未満である。この範囲にすることで、特に耐擦過傷性、透明性に優れた成形品を得ることができる。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分において、メタクリル酸メチル単量体由来の単位成分の含有量は耐熱性の点で、92〜99.5質量%が好ましく、さらに好ましくは95〜99.5質量%である。
また、グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の含有量、シアン化ビニル系単量体由来単位成分の含有量、ゴム質重合体を除く単量体由来単位成分中のシアン化ビニル系単量体由来単位成分の含有量、熱可塑性樹脂(B)における単量体由来単位成分中のシアン化ビニル系単量体由来単位成分、及びβ−不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来単位成分の含有量はフーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)により求めることができる。
具体的には以下の通りである。ゴム質重合体として乳化重合で得たポリブタジエンを用いた場合、967cm−1付近にCH面外変角振動(トランス構造)の吸収ピークが現れる。シアン化ビニル系単量体の場合、2260〜2240cm−1付近にCN伸縮振動の吸収ピークが現れる。シアン化ビニル系単量体としてアクリロニトリルを用いた場合、2245cm−1付近にCN伸縮振動の吸収ピークが現れる。シアン化ビニル系単量体と共重合可能な単量体としてスチレンを用いた場合、1602cm−1付近にベンゼン環のC=C伸縮振動の吸収ピークが現れる。α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体の場合、1700〜1750cm−1の範囲にC=O伸縮振動の吸収ピークが現れる。これらの吸収ピークの強度比から、検量線法等により求めることができる。
また、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分中のメタクリル酸メチル単量体由来の単位成分の含有量は熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析装置を用いて組成分析できる。
グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体の製造方法は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法、乳化重合等の方法が使用できる。このうち、粒子形状のゴム成分が得られ、その粒子径の制御が容易であることから、乳化重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法が好ましく用いられる。
乳化重合にて製造する際には、熱によりラジカルを発生する熱分解型の開始剤や、レドックス型の開始剤を用いることができる。また、別途乳化重合で得たゴム質重合体を使用し、さらにビニル単量体をグラフト重合させる方法等を用いることができる。ここで得られたグラフト部分は、熱可塑性樹脂(B)と相溶するものが耐衝撃性の点で好ましい。なお、粒子状のゴム質重合体を製造した後、同一の反応器で連続的にグラフト重合を行っても良いし、ゴム粒子を一旦ラテックスとして単離したのち、改めてグラフト重合を行っても良い。
具体的には、例えば、乳化重合で得たポリブタジエンラテックスに、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アクリル系単量体から選ばれる単量体を1種、又は2種以上を、ラジカルを開始させたグラフト重合を得る方法が挙げられる。上記1種又は2種以上の単量体としては、例えばスチレンとアクリロニトリル、スチレンとメタクリル酸メチル、スチレン、メタクリル酸メチル、及びアクリロニトリルからなる単量体等が挙げられる。
熱可塑性樹脂(B)の製造方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状懸濁重合法、乳化重合等の方法が挙げられる。芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アクリル系単量体の中から選ばれる少なくとも2つ以上の単量体の共重合体を製造するには、ラジカル重合により製造するのが好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂組成物の混合方法に特に制限は無いが、公知の溶融混合法を用いることができる。具体的には、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機、単軸押出機、2軸押出機等の連続式混練機が挙げられる。
また、本発明における熱可塑性樹脂組成物の成形には、一般に熱可塑性樹脂の成形に用いられている公知の方法、例えば射出成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形、プレス成形等の方法を用いることができる。
特に射出成形においては、樹脂が金型キャビティに充填される直前のキャビティ表面温度は好ましくは60℃以上、さらに好ましくは80℃以上、特に好ましくは100℃以上であると、キャビティ表面への転写性が向上し、さらに外観性に優れた成形品を得ることができる。一般に、キャビティ表面温度を高くすると冷却までの時間が長くなるため、成形サイクルが長くなるという問題があったが、キャビティ表面を短時間で加熱冷却するヒートサイクル成形法を用いることで、外観性の向上と生産性を両立することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品は、グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)以外に、摺動補助剤を含有しても良い。摺動補助剤は、射出成形品表面に滑性を付与することを目的とするものである。摺動補助剤の添加量はグラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)の合計質量に対し、0.05〜2質量%であることが耐衝撃性の点で好ましい。摺動補助剤を含有することにより、繊維摩擦試験がさらに良好となる。
摺動補助剤としては、例えば脂肪族金属塩等の滑剤、ポリオレフィン類、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等が挙げられる。
脂肪族金属塩等としては、脂肪酸金属塩及びアミド基又はエステル基を有する滑剤が少なくとも1種以上配合されることが耐擦過傷性の点で好ましい。脂肪酸金属塩とは、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛から選ばれる1種以上が含まれた金属と脂肪酸の塩である。
具体的には、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム(モノ、ジ、トリ)、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸カルシウムであり、更に好ましくは、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛がある。特に好ましくはステアリン酸系の金属塩であり、具体的にはステアリン酸カルシウムが耐擦過傷性の点で好ましい
ポリオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、α−オレフィンなどの少なくとも1種以上から生成される組成物が挙げられ、これらは該組成物を原料に誘導された組成物も含む。
具体的には、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリエチレン(高密度、低密度、直鎖状低密度)、酸化型ポリオレフィン、グラフト重合ポリオレフィンなどが挙げられる。
これらのうち、酸化型ポリオレフィンワックス、スチレン系樹脂をグラフトしたポリオレフィンが耐擦過傷性の点で好ましく、更に好ましくは、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリプロピレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体グラフトポリエチレン、スチレン重合体グラフトポリプロピレン、及びスチレン重合体グラフトポリエチレンである。
ポリエステルエラストマーとしては、ジカルボン酸化合物とジヒドロキシ化合物との重縮合、オキシカルボン酸化合物の重縮合ラクトン化合物の開環重縮合、或いはこれらの各成分の混合物の重縮合などによって得られるポリエステルが挙げられる。ホモポリエステル又はコポリエステルの何れを用いても良い。
上記ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル−4,4−ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、及びこれらのジカルボン酸の混合物などが挙げられ、これらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体なども含まれる。また、これらのジカルボン酸化合物は、エステル形成可能な誘導体、例えば、ジメチルエステルのような低級アルコールエステルの形で使用することも可能である。本発明においては、これらのジカルボン酸化合物を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
このうち、特にテレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アジピン酸及びドデカンジカルボン酸が重合性、色調及び耐衝撃性の点から好ましく用いられる。
上記ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブテンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、シクロヘキサンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられ、これらのポリオキシアルキレングリコール及びこれらのアルキル、アルコキシ又はハロゲン置換体が挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記オキシカルボン酸化合物としては、オキシ安息香酸、オキシナフトエ酸、ジフェニレンオキシカルボン酸などが挙げられ、これらのアルキル、アルコキシ及びハロゲン置換体も含まれる。これらのオキシカルボン酸化合物は、単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、ポリエステルエラストマーの製造のために、ε−カプロラクトンなどのラクトン化合物を用いることもできる。
ポリアミドエラストマーとしては、炭素数6以上のアミノカルボン酸もしくはラクタム、又はm+nが12以上のナイロンmn塩などが挙げられ、ハードセグメント(X)としては、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナン酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノベルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸;カプロラクタムラウロラクタムなどのラクタム類、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11,6、ナイロン11,10、ナイロン12,6、ナイロン11,12、ナイロン12,10、ナイロン12,12などのナイロン塩が挙げられる。
また、ポリオールなどのソフトセグメント(Y)としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−及び1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとのブロック又はランダム共重合体などが挙げられる。これらのソフトセグメント(Y)の数平均分子量は2.0×102〜6.0×103、好ましくは2.5×102〜4.0×103である。
なお、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールの両末端を、アミノ化又はカルボキシル化して用いてもよい。
これらの摺動補助剤の中では、耐擦過傷性の点で特にステアリン酸系金属塩とワックス類を併用したものが良い。
摺動補助剤を添加する場合には、その相容性を向上させる目的で、酸変性或いはエポキシ変性した変性樹脂を混合してもよい。また、グラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)の一部を、外観性を損なわない範囲で酸変性、エポキシ変性してもよい。このようなものとしては、例えば、熱可塑性樹脂(B)が芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、アクリル系単量体の中から選ばれる単量体の共重合体の場合、それらにカルボキシル基又はグリシジル基を含有したビニルモノマーを共重合させたものなどがあげられる。
カルボキシル基を含有するビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、イタコン酸、マレイン酸等の遊離カルボキシル基を含有する不飽和化合物、無水マレイン酸、無水イタコン酸、クロロ無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの酸無水物型カルボキシル基を含有する不飽和化合物等があげられるが、これらの中では、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸が耐擦過傷性の点で好適である。
グリシジル基を含有するビニルモノマーとしては、例えば、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、メチルグリシジルメタクリレート等が挙げられるが、これらの中ではメタクリル酸グリシジルが耐擦過傷性の点で好適である。
さらに本発明の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品においては、本発明の効果を損なわない範囲でホスファイト系、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエー系及びシアノアクリレート系の紫外線吸収剤及び酸化防止剤、高級脂肪酸や酸エステル系及び酸アミド系、さらに高級アルコールなどの滑剤及び可塑剤、モンタン酸及びその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステラアマイド及びエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤、1,3−フェニレンビス(2,6−ジメチルフェニル=ホスファート)、テトラフェニル−m−フェニレンビスホスファート、フェノキシホスホリル、フェノキシホスファゼンなどのリン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤などの添加剤を原材料として用いてもよい。これらの添加量はそれぞれ0.05〜1質量%が耐候性の点で好ましい。
外観性を付与する目的で、公知の着色剤、例えば無機顔料、有機系顔料、メタリック顔料、染料を添加することもできる。着色剤の中では、射出成形品の色を白、黒、赤にするものが、射出成形品の外観に、特に際立った高級感を付与するので、好ましく用いられる。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料などが挙げられる。
有機顔料としては、例えばアゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料などが挙げられる。
メタリック顔料としては、例えばリン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属をメッキやスパッタリングで被覆したものなどが挙げられる。
染料としては、例えばニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等が挙げられる。
これらの着色剤は、単体、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。これらの添加量は、色調の点でグラフト共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)の合計質量に対し0.05〜2質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.5質量%である。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。実施例における評価は以下の方法に従って行った。
本発明では、耐衝撃性の評価として、ノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m2)、及びデュポン衝撃強度(cm・kg)を用いる。
(1)ノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m2
ISO179に準じて評価した。ノッチ付シャルピー衝撃強度が5kJ/m以上で、家電、ゲーム機、自動車の内装材等で実用上問題なく使用できる。ノッチ付シャルピー衝撃強度が5kJ/m2未満のものを可、5kJ/m以上を良とした。
(2)デュポン衝撃強度(cm・kg)
ISO−6272に準じて評価した。デュポン衝撃強度が40cm・kg以上で、家電、ゲーム機、自動車の内装材等で実用上問題なく使用できる。デュポン衝撃強度が40cm・kg未満のものを不可、40cm・kg以上を良とした。
(3)曲げ弾性率(MPa)
ISO178に準じて評価した。
(4)ビカット軟化温度(℃)
ISO306に準じて評価した。
(5)透明性
透明性の基準として、全光線透過率(%)を用いた。東芝機械製射出成型機EC60Nを用いて、シリンダー温度=250℃、金型温度=60℃にて5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を射出成型した。得られた平板を、ISO13468に従って全光線透過率(%)の測定を行った。全光線透過率が70%以下のものを不可、70%以上を良とした。
(6)耐低温白化性
(5)で成形された平板を、−30℃雰囲気下に24時間放置し、透明性の保持率を観察した。透明性の保持率は以下の式により求めた。
保持率(%)=(低温白化試験後の全光線透過率)/(低温白化試験前の全光線透過率)×100
○:透明性保持率70%以上、100%未満
△:透明性保持率60%以上、70%未満
×:透明性保持率60%未満
(5)で成形された平板を、80℃の雰囲気下に24時間放置した後、−30℃雰囲気下に24時間放置し、同様にして透明性の保持率を観察した。
(7)耐擦過傷性
本発明の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品は、無塗装かつ高外観であることを実現したものであるが、実用的には、日常の使用において通常行われる程度の、汚れの清掃・ふき取り等の行為により、外観性が低下しないことが必要である。ふき取り作業により外観性が低下するのは、成形品表面に細かい傷が生じるためである。すなわち耐擦過傷性の尺度として、繊維摩擦試験を用いることができる。
繊維摩擦試験とは、成形品表面を、ティッシュペーパーで擦り、傷付きの程度を判定する試験である。拭き取り荷重1000g、ストローク60mm、スピード50mm/sec、往復回数20回での評価により、日常行われる成形品の清掃・ふき取りを再現することができる。
具体的には、熱可塑性樹脂組成物にカーボンブラック#2600(三菱化学製、平均粒子径=13nm、窒素吸着比表面積=370m/g、揮発分=1.8%)0.3質量部を混合して、東芝機械製射出成形機EC60Nを用いて、シリンダー温度=250℃、金型温度=60℃にて5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を射出成形した。
この平板を23℃雰囲気下に24時間放置した後、スガ試験機製多光源分光側色計MSC−5N−GV5にて明度(L*)を評価した。明度評価条件は以下の通りである。
・分光5nm光学反射
・光源:C光2°視野
・正反射光を除いた測定(d/8)条件
・観察視野:直径15mm
前述の平板を、学振磨耗試験機に固定し、以下の条件でステージ側を移動させて往復運動させた。試験後の試験片表面を前述と同条件にて明度(L*)を評価し、試験前後の差ΔL*を求めた。具体的には、本試験において、射出成型品表面に多くの傷がつけば、明度差(ΔL*)が大きくなる、すなわち耐擦過傷性に劣る熱可塑性樹脂組成物である。一方、少ない傷しかつかないのであれば、明度差(ΔL*)が小さくなる、すなわち耐擦過傷性に優れる熱可塑性樹脂組成物と評価することができる。
本発明では、耐擦過傷性の評価基準として明度差ΔL*を用いた。ΔL*が小さいほど耐擦過傷性は良好であり、ΔL*が3未満であれば日常の使用において実用上問題とならない。ΔL*が3以上のものを不可、3未満を良とした。
・ティッシュ : エルモア(カミ商事(株)製)、3回折(8枚重ね)
・摺動方向 : 繊維方向(裂け易い方向)に平行
・荷重 : 1000g
・ストローク : 60mm
・摺動スピード: 50mm/sec
・往復回数 : 20往復
(8)アセトン不溶分の測定法
乾燥した遠沈管を1サンプルにつき2本準備し、遠沈管はデシケーター中で15分以上放冷後、電子天秤で0.1mgまで精秤する。本発明の熱可塑性樹脂組成物約1gを遠沈管に計量し、0.1mgまで精秤する。メスシリンダーでアセトン約20mlを採取し遠沈管に入れ、シリコーン栓をして振とう機で2時間振とうする。振とう後、シリコーン栓に付着しているサンプルは、少量のアセトンを用いて遠沈管内へ落とす。2本の遠沈管を日立高速冷却遠心機のローターへ対角線上にセットする。遠心分離機を操作して、回転数20000rpmで60分間遠心分離する。遠心分離終了後、沈殿管をローターから取り出し、上澄み液をデカンテーションする。メスシリンダーでアセトン約20mlを採取し遠沈管に入れシリコーン栓をした後、振とう機で1時間振とうする。この操作をもう一度繰り返した後、回転数20000rpmで50分間遠心分離する。遠心分離終了後、沈殿管をローターから取り出し、上澄み液をデカンテーションする。2回目のデカンテーションと同様の操作をもう一度行う。メスシリンダーでメタノール約20mlを採取する。回転数20000rpmで30分間遠心分離する。遠心分離終了後、沈殿管をローターから取り出し上澄み液をデカンテーションする。80℃で30分間乾燥した後、130℃で30分間乾燥する。乾燥後デシケーター中で30分以上放冷する。十分に放冷後電子天秤で0.1mgまで精秤し、以下の式により算出する。
アセトン不溶分(質量%)=[アセトン不溶分量(g)÷サンプル採取量(g)]×100
(9)線膨張係数の測定法
グラフト共重合体(A)の線膨張係数測定試料は、(8)におけるデカンテーション後、沈殿物を乾燥させ、熱コンプレッション成形等で固めたものを用いる。線膨張係数の測定は、ASTM D696に従って行う。
(10)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の溶出曲線におけるピーク数
熱可塑性樹脂(B)をGPCにより測定した。条件は以下の通りである。
測定装置:日本分析工業製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(LC−908)
カラム:JAIGEL−4H 1本及びJAIGEL−2H 2本を直列接続
検出器:RI(示差屈折検出器)
検出感度:2.4μV/sec
GPC測定で得られた溶出時間とRI(示差屈折検出器)による検出強度から得られるGPC溶出曲線から、ピーク数が求められる。
(11)熱可塑性樹脂(B−III)及び、熱可塑性樹脂(B)の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分中のメタクリル酸メチル単量体由来の単位成分の含有量の測定
熱分解装置:FRONTIER LAB製Py−2020D
カラム:DB−1(長さ30m、内径0.25mm、液相厚0.25μm)
カラム温度プログラム:40℃で5min保持後、50℃/minの速度で320℃まで昇温し、
320℃を4.4分保持
熱分解炉温度:550℃
カラム注入口温度:320℃
ガスクロマトグラフィー:Agilent製GC6890
キャリアー:純窒素、流速1.0ml/min
注入法:スプリット法(スプリット比1/200)
検出器:日本電子製質量分析装置Automass Sun
検出方法:電子衝撃イオン化法(イオン源温度:240℃、インターフェース温度:320℃)
サンプル0.1gのクロロホルム10cc溶液を熱分解装置用白金試料カップ(10μl)に採取し、150℃で2時間真空乾燥後、試料カップを熱分解炉に入れ、上記条件でサンプルの組成分析を行った。メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルのトータルイオンクロマトグラフィー上のピーク面積と以下の標準サンプルの検量線を元に熱可塑性樹脂(B−III)及び、熱可塑性樹脂(B)の組成比を求めた。
検量線用標準サンプルの作成:メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルの割合が(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)=(100%/0%)、(98%/2%)、(94%/6%)、(90%/10%)(80%/20%)の合計5種の溶液各50gにラウロイルパーオキサイド0.25%、n−オクチルメルカプタン0.25%を添加した。この各混合溶液を100ccのガラスアンプル瓶にいれて、空気を窒素に置換して封じた。そのガラスアンプル瓶を80℃の水槽に3時間、その後150℃のオーブンに2時間入れた。室温まで冷却後、ガラスを砕いて中のメタクリル樹脂を取り出し、組成分析を行った。検量線用標準サンプルの測定によって得られた(メタクリル酸メチルの面積値)/(メタクリル酸メチルの面積値+アクリル酸メチルの面積値)及びメタクリル酸メチルの仕込み比率とのグラフを検量線として用いた。
(参考例1)ポリブタジエンゴムラテックス(L−1)の製造
ブタジエンモノマー95質量部、アクリロニトリル5質量部、脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)135質量部、オレイン酸カリウム3.0質量部、過硫酸カリウム0.3質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.2質量部、及び水酸化カリウム0.18質量部を撹拌機の付いた耐圧容器に収納して、温度を70℃に上げ、重合を開始した。重合時間15時間で日機装(株)社製マイクロトラック粒度分析計「nanotrac150」(商品名)にて測定した質量平均粒子径80nm、固形分40質量%のポリブタジエンラテックス(L−1)を得た。
(参考例2)ポリブタジエンゴムラテックス(L−2)の製造
参考例1で得られたポリブタジエンゴムラテックス(L−1)に次の化学式(1)で示される乳化剤をラテックスの固形分100質量部に対して0.1質量部加え、5分間攪拌後、酢酸0.65質量部を添加した。ついで、水酸化カリウム0.65質量部を加えてポリブタジエンゴムラテックス(2)を得た。該ラテックスは、質量平均粒子径が250nmの粒子径分布を持ったラテックスであり、コアギュラムを副成せず、固形分37質量%の高濃度凝集ラテックスであった。350nm以上の質量平均粒子径のラテックスの質量分率は11質量%であった。
Figure 0005952056
(参考例3)ポリブタジエンラテックス(L−3)の製造
ブタジエンモノマー18質量部、アクリロニトリル2質量部、脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)160質量部、ロジン酸カリウム0.067質量部、オレイン酸カリウム0.033質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1質量部、水酸化ナトリウム0.03質量部、過硫酸ナトリウム0.075質量部、重炭酸ナトリウム0.10質量部を真空に脱気した撹拌機の付いた耐圧容器に収納して、温度を65℃に上げ、重合を開始した。重合時間後2.5時間目から5時間かけて、ブタジエンモノマー80質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.3質量部、不均化ロジン酸カリウム0.67質量部、オレイン酸カリウム0.33質量部、過硫酸ナトリウム0.1質量部、水酸化ナトリウム0.05質量部、重炭酸ナトリウム0.15質量部、脱イオン水50質量部を連続的に添加した後、系を80℃に昇温し、重合開始後14時間目に冷却して重合を終了した。重合率は97%、質量平均粒子径は165nm、固形分41.8質量%であった。
(参考例4)ポリブタジエンゴムラテックス(L−4)の製造
参考例1で得られたポリブタジエンゴムラテックス(L−1)に酢酸と水酸化カリウムの量を変化させた以外は参考例2と同様の方法で製造した。ポリブタジエンゴムラテックス(L−4)は、質量平均粒子径が600nmの粒子径分布を持ったラテックスであり、コアギュラムを副成せず、固形分37質量%の高濃度凝集ラテックスであった。700nm以上の質量平均粒子径のラテックスの質量分率は11質量%であった。
(参考例5)重合体1の製造
参考例2で製造したポリブタジエンゴムラテックス(L−2)30質量部(固形分)に、脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)95質量部を加え、気相部を窒素置換し、これに脱イオン水20質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.0786質量部、硫酸第一鉄0.0036質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.0408質量部を溶解してなる水溶液を加えた後、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル24.5質量部、スチレンを45.5質量部、クメンハイドロパーオキシド0.1質量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水35質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1305質量部を溶解してなる水溶液を5時間にわたり添加した。添加終了後にクメンハイドロパーオキシド0.02質量部を加えた後、さらに1時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させ、ロジン酸カリウム0.5質量部を添加した。
このようにして得られたABSラテックスに、シリコーン樹脂製消泡剤、及びフェノール系酸化防止剤エマルジョンを添加した後、固形分濃度が10質量%となるように脱イオン水を加えて調整し、70℃に加温した後、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝固させ、スクリュープレス機にて固液分離を行った。この時の含水率は10質量%であった。これを乾燥させて重合体1を得た。この重合体1は、グラフト共重合体(A−1)と、熱可塑性樹脂(B−I−1)からなり、グラフト共重合体(A−1)は78.4質量%、熱可塑性樹脂(I−B−1)は21.6質量%であった。
(参考例6〜11)重合体2〜7の製造
表1に記載の処方とした以外は、参考例5と同様に製造した。
Figure 0005952056
(参考例12)熱可塑性樹脂(B―II−1)の製造
アクリロニトリル13質量部、スチレン52質量部、溶媒としてトルエン35質量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.05質量部からなる混合物を、窒素ガスを用いてバブリングさせた後、特許第3664576号の実施例2に記載されたものと同様の二段傾斜パドル型(傾斜角度45度)攪拌翼を供えた内容積150lの反応槽に、スプレーノズルを用いて連続的に37.5kg/時間の速度で供給した。重合温度は130℃とし、反応槽内での反応液の充満率が70容量%を維持できるように、供給液量と同量の反応液を連続的に抜き出した。反応槽の液相部相当部分には温調のためのジャケットが設けられ、ジャケット温度は128℃であった。また、攪拌所要動力は4kW/m、重合転化速度は39.8wt%/hrであった。抜き出した反応液は、250℃、10mmHgの高真空に保たれた揮発分除去装置へ導入し、未反応単量体、有機溶剤を脱気回収し、生成した熱可塑性樹脂(B―II−1)をペレットとして回収した。熱可塑性樹脂(B―II−1)の組成は、フーリエ変換赤外分光光度計を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル20.8質量%、スチレン79.2質量%であった。また、還元粘度は0.75dl/gであった。
(参考例13)熱可塑性樹脂(B―III−1)の製造
メタクリル酸メチル68.6質量部、アクリル酸メチル1.4質量部、エチルベンゼン30質量部からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン150ppm、及びn−オクチルメルカプタン1500ppmを添加し、均一に混合した。この溶液を内容積10リットルの密閉式耐圧反応器に連続的に供給し、攪拌下に平均温度135℃、平均滞留時間2時間で重合した。この重合液を反応器に接続された貯槽に連続的に送り出し、重合体と未反応単量体及び溶液と分離し、重合体を押出機にて連続的に溶融状態で押出して、熱可塑性樹脂(B―III−1)のペレットを得た。熱可塑性樹脂(B―III−1)の還元粘度は、0.35dl/gであり、熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析装置を用いて組成分析した結果、メタクリル酸メチル98質量%、アクリル酸メチル2質量%であった。
(参考例14)熱可塑性樹脂(B―III−2)の製造
メタクリル酸メチル63質量部、アクリル酸メチル7質量部、エチルベンゼン30質量部からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパ−オキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は参考例OOと同様の方法で製造した。熱可塑性樹脂(B―III−2)の還元粘度は、0.32dl/gであり、熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析装置を用いて組成分析した結果、メタクリル酸メチル90質量%、アクリル酸メチル10質量%であった。
(実施例1)
充分に乾燥し、水分除去を行った後、表1に記載の配合組成のグラフト共重合体(A−1)19.6質量部、熱可塑性樹脂(B―I−1)5.4質量部、熱可塑性樹脂(B―II−1)40質量部、熱可塑性樹脂(B―III−1)35質量部、エチレンビスステアロアマイド1質量部を混合した後、これをホッパーに投入し、二軸押出機(PCM−30、L/D=28、池貝鉄工(株)製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数200rpm、混練樹脂の吐出速度15kg/hrの条件で混練して樹脂ペレット(熱可塑性樹脂組成物)を得た。
配合組成を表2に記載した。
この熱可塑性樹脂組成物中に分散するゴム質重合体の体積平均粒子径は、グラフト共重合体(A−1)をエポキシ樹脂に包埋させ、四酸化オスミウムにて染色処理して、超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により求めたところ、0.39μmであった。
グラフト共重合体(A−1)の組成比は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル8.5質量%、スチレン34.0質量%、ブタジエン57.5質量%、であり、ゴム質重合体を除く単量体由来単位成分中のシアン化ビニル系単量体の平均含有量は20.0質量%であった。一方、熱可塑性樹脂(B)の組成比は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)及び、熱分解ガスクロマトグラフィー、質量分析装置を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル11.4質量%、スチレン45.1質量%、メタクリル酸メチル42.6質量%、アクリル酸メチル0.9質量%、であった。
また、グラフト共重合体(A)の線膨張係数15.7×10-5/℃、グラフト率は74%、グラフト鎖の還元比粘度は0.41dl/gであった。
評価結果を表3に記載した。
(実施例2〜5、比較例1〜7)
実施例1と同様にして樹脂ペレットを得て、評価を行った。評価結果を表3に示す。実施例1〜5は、透明性、及び耐衝撃性、耐擦過傷性、耐低温白濁性に優れている。
一方、比較例1、比較例2は、線膨張係数が本願の範囲外であるため、耐低温白濁性が不十分である。比較例3は、ゴム質重合体の質量平均粒子径が本願の範囲外であるため、耐低温白濁性が不十分である。比較例5は、アセトン可溶分中の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分の含有量が本願の範囲外であるため、透明性が不十分である。比較例6、7は、グラフト共重合体の含有量が本願の範囲外であるため、耐衝撃性が不十分である。
Figure 0005952056
Figure 0005952056
本発明の熱可塑性樹脂組成物は耐衝撃性、透明性、耐低温白濁性、耐擦過傷性のいずれをも満足するため、特に低温環境下で使用される家電、ゲーム機、自動車の内装材等に有効に利用できる。

Claims (3)

  1. ゴム質重合体にシアン化ビニル系単量体を含む単量体混合物をグラフトしたグラフト共重合体(A)10〜50質量%と、
    シアン化ビニル系単量体由来の単位成分の含有量5〜15質量%、芳香族ビニル系単量体由来の単位成分の含有量40〜55質量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分の含有量25〜50質量%からなる熱可塑性樹脂(B)50〜90質量%からなる熱可塑性樹脂組成物であって、
    (1)グラフト共重合体(A)中のゴム質重合体が熱可塑性樹脂(B)中に分散している、(2)グラフト共重合体(A)のゴム質重合体の体積平均粒子径が、0.10〜0.60μm、
    (3)グラフト共重合体(A)の線膨張係数が12.5〜17.0×10-5/℃、
    (4)熱可塑性樹脂(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による測定で検出される溶出曲線が、前記グラフト共重合体(A)を合成した際に形成される熱可塑性樹脂(B−I)を含む少なくとも2つのピークを有する、
    (5)グラフト率が70〜180%である
    熱可塑性樹脂組成物。
  2. 不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体由来の単位成分において、メタクリル酸メチル単量体由来の単位成分の含有量が92〜99.5質量%である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物を含む成形品。
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