JP4498859B2 - 熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその成形体に関する。
雨樋等の建材分野では、線膨張係数を低くする目的で、熱可塑性樹脂に無機物や木材粉を高濃度で配合する検討が行われている。例えば、ABS系樹脂にタルク、炭酸カルシウム、木材粉等の充填材を配合した低線膨張係数の部材が得られるABS系樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂と同量よりも多い量のフィラーと、熱可塑性樹脂100重量部当たり0.1〜20重量部のフッ素変性アクリル系加工助剤とを含有してなるフィラー高充填熱可塑性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。さらに、熱可塑性樹脂100重量部と、黒鉛又は針状もしくは板状無機物5〜100重量部と、有機繊維2〜100重量部とを含む樹脂組成物からなるプラスチック建材とその製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平10−195275号公報(明細書の段落[0005]〜[0007]) 特開2002−53758号公報(明細書の段落[0005]〜[0007]) 特開2003−3621号公報(明細書の段落[0008]〜[0016])
ところが、特許文献1の部材は、線膨張係数が4.0×10−5〜6.0×10−5(1/℃)であり、十分に線膨張係数が低いとは言えない。例えば、雨樋等の屋外用途で用いた場合には、昼夜や夏冬の気温の変化により特に長手方向の変化が大きく、接続部又は金属製の止め金具の部分で変形や破損が生じたり、日射を直接受けた部分が熱膨張して歪んだり、波打ったりする問題がある。また、充填材を10〜51重量%配合しているが耐衝撃性については特に考慮されていない。
また、特許文献2の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と同量以上の充填材を添加するので、線膨張係数は2.0×10−5〜3.0×10−5(1/℃)と低いが、比重の増加が著しく、耐衝撃性も十分とは言い難い。
また、特許文献3の場合は、無機物や有機繊維を個別にフィーダーを用いて押出機内に供給するので、フィーダーの調整に手間がかかるとともに、直接成形体を得ようとすると、押出し変動により無機物や有機繊維の濃度が変化することが問題となる。
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂成形体を押出成形可能な熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。また、第2の目的は軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂成形体を提供することにある。
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム成分を10〜70重量%含有する熱可塑性樹脂100重量部に対して、アスペクト比が10〜100で、かつエポキシシランで表面処理された無機充填材としてのホウ酸アルミニウムを40〜80重量部含有してなる。この発明の熱可塑性樹脂組成物を使用して、押出し成形することにより、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた成形体を得ることができる。また、押出し成形で軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた成形体をより容易に得ることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記熱可塑性樹脂は、ABS樹脂で、線膨張係数が5.0×10−5〜1.5×10−4(1/℃)である。ここで「ABS樹脂」とは、ブタジエンを主成分とするゴムに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物を含む単量体をグラフト重合して得られたABS樹脂に限らず、該ABS樹脂に別途製造したAS樹脂を混合してなる樹脂をも意味する。AS樹脂とは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物からなる共重合体、あるいは、これら単量体及びこれら単量体と共重合可能な単量体成分からなる共重合体である。この発明では、熱可塑性樹脂としてABS樹脂を使用しているため、他の熱可塑性樹脂を使用した場合に比較して、前記無機充填材との組合せにより、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた成形体を容易に得ることができる。
請求項に記載の発明は、請求項1又は請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体であって、該成形体の比重が1.2〜1.4であり、線膨張係数が1.0×10−5〜3.0×10−5(1/℃)であり、0℃における落錘50%破壊高さが0.3m以上である。ここで、「0℃における落錘50%破壊高さ」とは、JIS−K−7211の硬質プラスチックの落錘衝撃試験通則に類似の強度試験であり、0℃で、1kgの重錘を試験片に対して落下させ、試験片の50%が破壊する高さを意味し、高さの値が大きい方が強度が大きい。この発明の成形体は、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記成形体は、使用状態において日射を受ける面に、前記熱可塑性樹脂組成物より耐候性に優れた樹脂製の耐候性樹脂層が積層されている。この発明では、成形体の基材を構成する熱可塑性樹脂がABS樹脂等のように耐候性に劣るものであっても、日射を受ける状態で使用することができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記成形体は、その表裏層に、前記熱可塑性樹脂組成物より耐候性に優れた樹脂製の耐候性樹脂層が積層されている。この発明では、成形体の使用環境が屋外(日射を受ける場所)であっても支障なく使用できる。
請求項1又は請求項に記載の発明によれば、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂成形体を押出成形可能である。請求項〜請求項に記載の発明の成形体は、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れる。
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、ゴム成分を10〜70重量%含有する。熱可塑性樹脂のゴム成分含有率が10重量%より少ないと、耐衝撃性の改良効果が少なく、70重量%を超えると押出し成形時の負荷が高くなり、成形加工が困難となる。
線膨張係数の低い熱可塑性樹脂は、一般的にTg(ガラス転移点)及びTm(融点)が高く、成形加工温度が高くなる。線膨張係数が1.5×10−4(1/℃)よりも大きいと、線膨張係数が3.0×10−5(1/℃)以下の成形体を得るためには、無機充填材を多量に配合しなければならず耐衝撃性の低下が著しくなる。従って、熱可塑性樹脂は線膨張係数が5.0×10−5〜1.5×10−4(1/℃)のものが好ましい。
熱可塑性樹脂の比重が、1.1よりも大きいと無機充填材を配合した際に、成形体の比重を目的とする値以下にするのが難しくなるため、熱可塑性樹脂は、比重が1.0〜1.1のものが好ましい。
上記の特性を満足する熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン三元共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン三元共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン三元共重合体(ACS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン・プロピレンゴム−スチレン三元共重合体(AES樹脂)等が挙げられるが、押出加工性と耐衝撃性の点からABS樹脂が好ましい。
ここで、ABS樹脂とは、ブタジエンを主成分とするゴムに、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物を含む単量体をグラフト重合して得られたABS樹脂だけでなく、該ABS樹脂に別途製造したAS樹脂を混合してなる樹脂をも意味する。AS樹脂とは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物からなる共重合体、あるいは、これら単量体及びこれら単量体と共重合可能な単量体成分からなる共重合体であり、該ABS樹脂とほぼ同形状で混合されることが好ましい。ここで、「同形状で混合される」とは、ABS樹脂が粉体であれば、AS樹脂も粉体、ABS樹脂がペレットであれば、AS樹脂もペレットで混合することを意味する。形状が異なる場合は均一に混合することが困難になるが、同形状で混合することにより均一に混合するのが容易になる。
ABS樹脂に使用されるゴムは、ブタジエンを含むことが必須であり、その他に芳香族ビニル化合物やシアン化ビニル化合物、アクリル酸エステル、カルボン酸ビニル化合物等ブタジエンと共重合し得る他の単量体を含む共重合体であってもよい。ブタジエンは、ゴム中に70重量%以上含むことが好ましく、80重量%以上含むことが望ましい。例としては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等のジエン系共重合体、ジエン系重合体等が挙げられるが、この中でもポリブタジエンが望ましい。また、上記ABS樹脂の分子量は5万〜20万である。分子量が5万よりも低いと引張り強度等の機械的特性が低下し、20万よりも高いと流動性が悪くなり押出加工が困難となる。
無機充填材は、比重が2.5〜3.0、線膨張係数が1.0×10−6〜9.0×10−6(1/℃)で、アスペクト比が10〜100である。無機充填材の比重が3.0より大きいと成形体の比重を目的とする値(1.4以下)として、しかも成形体の線膨張係数や耐衝撃性を満足させるのが難しくなる。線膨張係数が9.0×10−6よりも大きいと成形体の線膨張係数を下げる効果が少ない。アスペクト比が10より小さいと線膨張係数を下げる効果が小さく、100より大きいと成形加工中に折損し、効果を発揮し難くなる。
アスペクト比、比重及び線膨張係数が前記条件を満たす特性を有する無機充填材としてホウ酸アルミニウムが入手し易く好ましい。また、ホウ酸アルミニウムはエポキシシランにて表面処理されている方が好ましい。エポキシシランにて表面処理されているホウ酸アルミニウムを無機充填材として使用すると、樹脂との親和性が向上して耐衝撃性の改良効果が大きくなる。エポキシシラン以外の表面処理、例えば、アミノシラン処理では耐衝撃性の改良効果が見られない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記の特性を損なわない範囲で必要に応じて、熱安定剤、滑剤、可塑剤、顔料の他、帯電防止剤、難燃剤、加工助剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
前記のように構成された熱可塑性樹脂組成物は、押出機により成形体に加工される。押出機としては、単軸押出機、2軸押出機又は多軸押出機が使用され、前記熱可塑性樹脂組成物を単層で押出成形することにより、又は多層で共押出成形することにより成形体が得られる。成形体は、比重が1.2〜1.4であり、線膨張係数が1.0×10−5〜3.0×10−5(1/℃)であり、0℃における落錘50%破壊高さが0.3m以上である。
成形体が、屋外で使用されたり、日光の照射を受ける環境で使用されたりするものの場合、ABS樹脂のように耐候性が劣る熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂組成物を原料とする場合には、該樹脂組成物からなる層の少なくとも日光の照射を受ける側に、該樹脂組成物より耐候性に優れた樹脂製の耐候性樹脂層が積層されているのが好ましい。例えば、雨樋として使用される成形体では、図1に示すように、樋状の成形体11は、前記ABS樹脂組成物からなるABS樹脂層12と、その表裏両側に設けられABS樹脂層12より耐候性に優れた耐候性樹脂層13とで構成される。また、図2(a)に示すように管状の成形体11では、ABS樹脂層12が内側に、耐候性樹脂層13が外側となるように構成される。なお、成形体11を構成するABS樹脂層12及び耐候性樹脂層13は、ABS樹脂層12の厚さの方が厚く形成されるが、模式的にABS樹脂層12及び耐候性樹脂層13の厚さを同じに描いている。
ABS樹脂よりも耐候性に優れている耐候性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂(PVC系樹脂)、AAS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂等が挙げられ、これらの耐候性樹脂を前記ABS樹脂と共押出成形することで耐候性に優れた熱可塑性樹脂成形体が得られる。コストの面からは、耐候性樹脂としてPVCを使用するのが好ましい。塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体に限らず、塩素化塩化ビニル重合体、塩化ビニルを主たる構成単位とした他の共重合可能な単量体との共重合体をも含む。 (実施例)
以下、実施例及び比較例により、更に詳しく説明する。
表1及び表2に示す配合で、熱可塑性樹脂及び充填材等を一般的な混合装置であるスーパーミキサーにて混合し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
熱可塑性樹脂として、実施例6及び比較例1を除き、ゴム成分を50重量%含有し、比重が1.03、線膨張係数が1.10×10−4(1/℃)のABS樹脂を使用した。実施例6ではゴム成分を10重量%含有し、比重が1.06、線膨張係数が6.80×10−5(1/℃)のABS樹脂を使用した。比較例1ではゴム成分を5重量%含有し、比重が1.07、線膨張係数が6.30×10−5(1/℃)のABS樹脂を使用した。
無機充填材として、比較例5を除き、ホウ酸アルミニウムを使用し、比較例5ではチタン酸カリウムを使用した。ホウ酸アルミニウムは、アスペクト比が10〜100、比重が2.9、線膨張係数が2.6×10−6(1/℃)のものを使用し、チタン酸カリウムは、アスペクト比が20〜100、比重が3.3、線膨張係数が6.8×10−6(1/℃)のものを使用した。
耐候性層用のPVCとして重合度1000で比重1.41のものを使用し、AASとしてゴム成分を40重量%含有し、比重が1.07のものを使用した。
得られた熱可塑性樹脂組成物を同方向2軸押出機に供給し、樹脂温度200℃にてそれぞれ厚さ1.5mm、幅120mmの押出板(成形体)を作製した(実施例1〜3,6、比較例1〜5)。
また、積層成形体については、表裏層、中間層用配合剤をそれぞれスーパーミキサーにて混合し、得られた熱可塑性樹脂組成物について、表裏層用組成物を異方向2軸押出機に、中間層用組成物を同方向2軸押出機にそれぞれ供給し、樹脂温度200℃にて共押出し成形を行った。そして、表裏層の厚さ各0.3mm、中間層0.9mmで全体の厚さ1.5mm、幅120mmの共押出板を作製した(実施例4,5、比較例6,7)。得られた成形体につき、比重、線膨張係数及び衝撃強度を測定した。結果を表1及び表2に示す。
(比重の測定)
比重は、JIS−K−7112に基づいて測定した。
成形体の比重が1.4以下を合格(○)、1.4を超えたものを不合格(×)とする。
(線膨張係数)
線膨張係数は、JIS−K−7197に基づいて測定した。
押出し成形時の流れ方向の線膨張係数が、3.0×10−5(1/℃)以下を合格とし、合格の中でも好ましいものを○とし、その他を△とした。×は不合格である。
(衝撃強度)
衝撃強度は、0℃で、1kgの重錘による、落錘50%破壊高さを測定した。「落錘50%破壊高さ」とは、JIS−K−7211の硬質プラスチックの落錘衝撃試験通則に類似の強度試験であり、複数の試験片(大きさ:5cm×5cm)に対して前記重錘を落下させ、試験片の50%が破壊する高さを意味する。破壊高さの値が大きい方が強度が大きい。衝撃強度は、0.3m以上を合格とし、合格の中でも好ましいものを○とし、その他を△とした。×は不合格である。
比重、線膨張係数及び落錘強度のすべてが合格の成形体が総合評価で最終的に合格となる。
Figure 0004498859
Figure 0004498859
表1から、ゴム成分を10〜70重量%含有する熱可塑性樹脂100重量部に対して、アスペクト比が10〜100で、かつエポキシシランで表面処理された無機充填材を40〜80重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物から得られた成形体は、所望の物性値を有することが確認された。即ち、成形体は、比重が1.2〜1.4であり、線膨張係数が1.0×10−5〜3.0×10−5(1/℃)であり、0℃における落錘50%破壊高さが0.3m以上である。
比較例1からゴム成分の含有量が10重量%未満の熱可塑性樹脂を使用した場合、衝撃強度が不十分であることを確認できる。
比較例2から無機充填材の充填量が40重量部未満では、成形体の線膨張係数が3.0×10−5(1/℃)以下という条件を満たさず不合格となり、比較例3から無機充填材の充填量が80重量部を超える場合は、成形体の比重が1.4以下という条件を満たさず不合格となることを確認できる。即ち、無機充填材の充填量が40重量部未満又は80重量部を超える場合は、他の条件が同じであっても目的の物性を有する成形体が得られないことを確認できる。
比較例4及び比較例5から、無機充填材に対してエポキシシラン以外の処理剤で表面処理を行った場合、成形体の衝撃強度(落錘強度)が0.3m以上という条件を満たさず不合格となることを確認できる。
実施例4及び実施例5から、表裏層に耐候性樹脂層を設けた場合でも、成形体は目的の物性を有することが確認できる。なお、耐候性樹脂層を設けた場合は、耐候性樹脂層を設けない場合に比較して、線膨張係数及び比重とも大きくなることが確認できる。従って、PVCあるいはAASからなる耐候性樹脂層は耐候性の改良以外の効果は期待できない。このことは、比較例6及び比較例7からも確認できる。
この実施の形態では次の効果を有する。
(1)熱可塑性樹脂組成物として、ゴム成分を10〜70重量%含有する熱可塑性樹脂100重量部に対して、アスペクト比が10〜100で、かつエポキシシランで表面処理された無機充填材を40〜80重量部含有してなるものを使用し、押出し成形することにより、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた成形体を得ることができる。
(2)熱可塑性樹脂として、線膨張係数が5.0×10−5〜1.5×10−4(1/℃)のABS樹脂を使用した場合、他の熱可塑性樹脂を使用した場合に比較して、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた成形体を容易に得ることができる。
(3)無機充填材として、アスペクト比が10〜100で、比重が2.5〜3.0、線膨張係数が1.0×10−6〜9.0×10−6(1/℃)のものを使用した場合、押出し成形で軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れた成形体をより容易に得ることができる。
(4)無機充填材としてホウ酸アルミニウムを使用する場合、アスペクト比が10〜100、比重が2.5〜3.0、線膨張係数が1.0×10−6〜9.0×10−6(1/℃)の無機充填材を容易に入手できる。
(5)熱可塑性樹脂組成物からなる成形体は、比重が1.2〜1.4であり、線膨張係数が1.0×10−5〜3.0×10−5(1/℃)であり、0℃における落錘50%破壊高さが0.3m以上であるため、軽量かつ低伸縮で耐衝撃性に優れる。
(6)成形体として、使用状態において日射を受ける面に、前記熱可塑性樹脂組成物より耐候性に優れた樹脂製の耐候性樹脂層が積層されている構成とした場合、成形体の基材を構成する熱可塑性樹脂がABS樹脂等のように耐候性に劣るものであっても、日射を受ける状態で使用することができる。
(7)成形体は、その表裏層に、前記熱可塑性樹脂組成物より耐候性に優れた樹脂製の耐候性樹脂層が積層されている構成とした場合、成形体の使用環境が屋外(日射を受ける場所)であっても支障なく使用できる。
(8)使用状態において日射を受ける面に、耐候性樹脂層13が積層されている構成の成形体11において、熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂としてABS樹脂を使用し、耐候性樹脂としてPVCやAAS樹脂を使用した場合、ABS樹脂層12と耐候性樹脂層13とを共押出しするだけで両層は必要な接着強度で積層される。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 一方の側からのみ日射を受ける状態で使用される板状の成形体の場合は、図2(b)に示すように、成形体11をABS樹脂層12と耐候性樹脂層13との2層構造の板状としてもよい。
前記実施形態から把握できる技術的思想(発明)について以下に記載する。
(1)請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の発明において、前記熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂は分子量が5〜20万のABS樹脂である。
(2)請求項又は請求項に記載の発明において、前記耐候性に優れた樹脂としてポリ塩化ビニル系樹脂が使用されている。
樋状の成形体の模式斜視図。 (a)は管状の成形体の模式斜視図、(b)は板状の成形体の模式斜視図。
符号の説明
11…成形体、13…耐候性樹脂層。

Claims (5)

  1. ゴム成分を10〜70重量%含有する熱可塑性樹脂100重量部に対して、アスペクト比が10〜100で、かつエポキシシランで表面処理された無機充填材としてのホウ酸アルミニウムを40〜80重量部含有してなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、ABS樹脂で、線膨張係数が5.0×10−5〜1.5×10−4(1/℃)である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体であって、該成形体の比重が1.2〜1.4であり、線膨張係数が1.0×10−5〜3.0×10−5(1/℃)であり、0℃における落錘50%破壊高さが0.3m以上であることを特徴とする成形体。
  4. 前記成形体は、使用状態において日射を受ける面に、前記熱可塑性樹脂組成物より耐候性に優れた樹脂製の耐候性樹脂層が積層されている請求項に記載の成形体。
  5. 前記成形体は、その表裏層に、前記熱可塑性樹脂組成物より耐候性に優れた樹脂製の耐候性樹脂層が積層されている請求項に記載の成形体。
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