JP2006002021A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐擦傷性、耐衝撃性に優れる熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】ゴム質重合体を含有するグラフト共重合体と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含有するビニル系共重合体と芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を含有するビニル系共重合体を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ゴム質重合体を含有するグラフト共重合体と、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含有するビニル系共重合体と芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体と不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を含有するビニル系共重合体を配合してなる熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は耐擦傷性、耐衝撃性に優れたゴム質重合体含有グラフト共重合体と芳香族ビニル系共重合体と不飽和カルボン酸エステル系共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物及び成形品に関するものである。
ジエン系ゴム等のゴム質重合体に、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;メタクリル酸メチル等の不飽和カルボン酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニルなどのビニル系単量体をグラフト共重合して得られるゴム質含有グラフト共重合体を用いたゴム強化スチレン系透明熱可塑性樹脂は、耐衝撃性、成形性、外観等に優れているので、OA機器、家電製品、一般雑貨等の種々の用途に幅広く利用されている。しかし、耐擦傷性および耐摩耗性が劣るため意匠材の使用に問題がある場合があった。その解決方法としてポリメタクリル酸メチルをブレンドすることで耐擦傷性の改善が見られたが、耐衝撃性で劣る結果であった(特許文献1参照)。
特開平01−278553号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。したがって本発明は、耐衝撃性、耐擦傷性にすぐれた熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究した結果、ゴム質重合体(a)に対し、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)及びその他のビニル系単量体(d)から選ばれたビニル系単量体の少なくとも1種からなる単量体または単量体混合物をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)、及びその他のビニル系単量体(f)から選ばれたビニル系単量体の少なくとも1種からなるビニル系共重合体(B−1)と芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)及び不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を除くその他のビニル系単量体(g)から選ばれたビニル系単量体の少なくとも1種からなるビニル系共重合体(B−2)を含有する熱可塑性樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明法によると、グラフト共重合体(A)、特定のビニル系共重合体(B−1)及び特定のビニル系共重合体(B−2)を含有する組成物であって耐衝撃性、耐擦傷性がともに優れた熱可塑性樹脂組成物及び成形品である。
以下に本発明の熱可塑性樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明における熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)と、ビニル系共重合体(B−1)及びビニル系共重合体(B−2)とを含有するものである。好ましくはグラフト共重合体(A)5〜50重量%と、ビニル系共重合体(B−1)及びビニル系共重合体(B−2)の組成比が(B−1)/(B−2)=90/10〜50/50で含有するビニル系共重合体(B)50〜95重量%を含有する。
本発明におけるグラフト共重合体(A)はゴム質重合体(a)に対し、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、その他のビニル系単量体(d)から選ばれたビニル系単量体をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体である。
好ましくはグラフト共重合体(A)においてゴム質重合体(a)の重量平均粒子径が0.1〜0.5μmであり、かつ、グラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体(a)と単量体混合物との重量比が20:80〜80:20の割合であり、前記グラフト共重合体(A)を構成する単量体混合物が、芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%およびその他のビニル系単量体(d)0〜90重量%からなるものである。さらに好ましくは芳香族ビニル系単量体(b)15〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜35重量%およびその他のビニル系単量体(d)0〜80重量%からなるものである。また、その他のビニル系単量体(d)として用いられる単量体は、耐擦傷性、耐衝撃性の面から不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体ではないことが好ましい。
本発明におけるグラフト共重合体(A)に用いられるゴム質重合体(a)としては、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴム等が挙げられる。それらの具体例としては、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリ(ブタジエン−アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン−メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン−アクリル酸エチル)、エチレン−プロピレンラバー、エチレン−プロピレン−ジエンラバー、ポリ(エチレン−イソプレン)、及びポリ(エチレン−アクリル酸メチル)等が挙げられる。これらのゴム質重合体(a)は、1種または2種以上の混合物で使用される。これらのゴム質重合体(a)のなかでも、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン−スチレン)、ポリ(ブタジエン−アクリロニトリル)、及びエチレン−プロピレンラバーが、耐衝撃性の点で好ましく用いられる。
本発明におけるグラフト共重合体(A)を構成するゴム質重合体(a)の重量平均粒子径には特に制限はないが、望ましい衝撃強度を確保するためには、0.1〜0.5μm、特に0.15〜0.4μmの範囲であることが好ましい。
本発明におけるグラフト共重合体(A)は5〜50重量%の範囲であり、好ましくは10〜45重量%である。5重量%未満では望ましい衝撃性を確保することができず、50重量%より多いと耐擦傷性を満足すること出来ず好ましくない。
本発明におけるビニル系共重合体(B−1)は芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)、その他のビニル系単量体(f)から少なくとも1種からなる単量体または単量体混合物を共重合せしめたビニル系共重合体である。
好ましくはビニル系共重合体(B−1)を構成する組成が芳香族ビニル系単量体(b)10〜40重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜20重量%、及び不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c)50〜90重量%、その他のビニル系単量体(f)0〜60重量%からなるものである。さらに好ましくはビニル系共重合体(B−1)を構成する組成が芳香族ビニル系単量体(b)15〜35重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜10重量%、及び不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(c)55〜80重量%、その他のビニル系単量体(f)0〜50重量%からなるものである。
本発明におけるビニル系共重合体(B−2)は芳香族ビニル系単量体(b)シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を除くその他のビニル系単量体(g)から少なくとも1種からなる単量体または単量体混合物を共重合せしめたビニル系共重合体である。
好ましくはビニル系共重合体(B−2)を構成する組成が芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、及び不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を除くその他のビニル系単量体(g)0〜90重量%からなるものである。さらに好ましくは芳香族ビニル系単量体(b)15〜85重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜35重量%および不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を除くその他のビニル系単量体(g)0〜80重量%からなるものである。
本発明におけるグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B−1)及びビニル系共重合体(B−2)に用いられる芳香族ビニル系単量体(b)の具体例としては、スチレン,α−メチルスチレン,オルソメチルスチレン,パラメチルスチレン,パラ−t−ブチルスチレン及びハロゲン化スチレン等が挙げられ、これらのなかから1種または2種以上を用いることができる。なかでもスチレン,α−メチルスチレンが好ましく、特に好ましくはスチレンである。
本発明におけるグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B−1)及びビニル系共重合体(B−2)に用いられるシアン化ビニル系単量体(c)の具体例としては、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種または2種以上を用いることができる。なかでもアクリロニトリルの使用が耐衝撃性の点で好ましい。
本発明におけるビニル系共重合体(B−1)に用いる不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)としては、炭素数1〜6のアルキル基または置換アルキル基を持つアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルが好適であり、これらの1種または2種以上を用いることができる。具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル及び(メタ)アクリル酸2−クロロエチル等が挙げられるが、なかでもメタクリル酸メチルの使用が好ましい。
本発明におけるグラフト共重合体(A)に用いるその他のビニル系共重合体(d)の具体例としてはN−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物及びアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表されるビニル化合物等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。ただし、耐擦傷性、耐衝撃性の観点から好ましくは不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体の使用は好ましくは無い。
本発明におけるビニル系共重合体(B−1)に用いるその他のビニル系単量体(f)の具体例としては、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物及びアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表されるビニル化合物等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明におけるビニル系共重合体(B−2)に用いる不飽和カルボン酸アクリルエステル系単量体を除くその他のビニル系単量体(g)の具体例としては、N−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド化合物、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸無水物及びアクリルアミド等の不飽和アミド化合物に代表されるビニル化合物等を挙げることができ、これらは単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明においてビニル系共重合体(B−1)とビニル系共重合体(B−2)の比率は(B−1)/(B−2)=90/10〜50/50であり、好ましくは85/15〜60/40である。90/10を越えると耐衝撃性が劣り、50/50未満であると耐擦傷性が劣り好ましくない。
本発明におけるグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B−1)及びビニル系共重合体(B−2)の製造方法には特に制限はなく、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、及び乳化重合等のいずれの方法であってもよい。単量体の仕込方法としては、初期一括仕込み、単量体の一部または全てを連続仕込み、あるいは単量体の一部または全てを分割仕込みのいずれの方法を用いてもよい。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、目的とする耐衝撃性、耐擦傷性を阻害しない限りにおいて、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンソフェノン系、サクシレート系などの紫外線吸収剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系などの光安定剤などの各種安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類などの可塑剤、臭素化化合物やリン酸エステル、赤燐等の各種難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどの難燃助剤、アルキルカルボン酸やアルキルスルホン酸の金属塩、カーボンブラック、顔料および染料などを添加することもでき、また、各種強化剤や充填材を配合することもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例にて詳細に説明するが、これをもって本発明を制限するものではない。なお、実施例及び比較例中、特にことわりのない限り「部」または「%」で表示したものは、すべて重量比率を表わしたものである。熱可塑性樹脂の特性について、分析方法を下記する。
本発明を具体的に説明するために以下に実施例および比較例をあげて説明を行う。
(1)重量平均ゴム粒子径
「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法によって求めた。すなわち、アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より、累積重量分率50%の粒子径を求めた。
「Rubber Age Vol.88 p.484〜490(1960)by E.Schmidt, P.H.Biddison」記載のアルギン酸ナトリウム法によって求めた。すなわち、アルギン酸ナトリウムの濃度によりクリーム化するポリブタジエン粒子径が異なることを利用して、クリーム化した重量割合とアルギン酸ナトリウム濃度の累積重量分率より、累積重量分率50%の粒子径を求めた。
(2)グラフト率
グラフト共重合体所定量(m:g)にアセトンを加え、3時間還流し、この溶液を8,800rpm(10,000G)で40分間遠心分離後、不溶分を濾取し、この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n:g)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。
グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100
ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有量(単位:%/100)である。
グラフト共重合体所定量(m:g)にアセトンを加え、3時間還流し、この溶液を8,800rpm(10,000G)で40分間遠心分離後、不溶分を濾取し、この不溶分を60℃で5時間減圧乾燥し、重量(n:g)を測定した。グラフト率は、下記式より算出した。
グラフト率(%)={[(n)−(m)×L]/[(m)×L]}×100
ここで、Lはグラフト共重合体のゴム含有量(単位:%/100)である。
(3)アイゾット衝撃強度
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度230℃に設定した東芝(株)製IS50A成形機内に充填し、射出成形により試験片を得た。ASTM D256に準拠し(12.7mmノッチ付き、23℃)、測定した。
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度230℃に設定した東芝(株)製IS50A成形機内に充填し、射出成形により試験片を得た。ASTM D256に準拠し(12.7mmノッチ付き、23℃)、測定した。
(4)曲げ強度、曲げ弾性率
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度230℃に設定した東芝(株)製IS50A成形機内に充填し、射出成形により試験片を得た。ASTM D790に準拠し(12.7mm(W)×127mm(L)×6.4mm(t)、23℃)、測定した。
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度230℃に設定した東芝(株)製IS50A成形機内に充填し、射出成形により試験片を得た。ASTM D790に準拠し(12.7mm(W)×127mm(L)×6.4mm(t)、23℃)、測定した。
(5)耐擦傷性試験
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度230℃に設定した東芝(株)製IS50A成形機内に充填し、射出成形により試験片(50mm(W)×90mm(L)×2.0mm(t)、23℃)を得た。試験片を協和界面化学社製 自動摩擦・摩耗試験機 DFPM−SS型により試験荷重:100g、相手材:キムワイプ S−200、環境条件:23℃、50%RH、ストローク:30mm、回数:40回で測定した。但し耐擦傷性は試験後の傷を目視にて確認し、傷の本数によって5段階に順位付けを行った。1:15本以上、2:10〜14本、3:5〜9本、4:1〜4本 5:無傷
(6)鉛筆硬度
上記(5)と同様な条件で成形した試験片をJIS K5400に準拠し、測定した。
(参考例1)グラフト共重合体(A)A1の製造方法
窒素置換した反応器に、純水120部、ブドウ糖0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部およびポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.3μm、ゲル含有率85%)60部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、モノマ(スチレン30部、アクリロニトリル10部)およびt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合物を5時間かけて連続滴下した。同時に並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25部、オレイン酸カリウム2.5部および純水25部からなる水溶液を7時間かけて連続滴下し、反応を完結させた。得られたスチレン系共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体(A)A1を得た。このグラフト共重合体(A)のグラフト率は35%、樹脂成分のηsp/cは0.35dl/gであった。
(参考例2)ビニル系共重合体(B−1)B1の製造方法
容量が20Lで、バッフル及びファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に下記混合物質を反応系を攪拌しながら添加し、60℃に昇温し重合を開始した。
メタクリル酸メチル 72重量%
スチレン 24重量%
アクリロニトリル 4重量%
t−ドデシルメルカプタン 0.2重量%
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量%
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、50分かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビニル系共重合体(B−1)B1を得た。このビニル系共重合体(B−2)の還元粘度ηsp/cは0.36dl/gであった。
(参考例3)ビニル系共重合体(B−2)B2の製造方法
スチレン70重量%、アクリロニトリル30重量%なる単量体混合物を塊状重合して、ペレット状の共重合体を得た。このビニル系共重合体(B−2)B2のηsp/cは0.53dl/gであった。
(実施例1〜3)
参考例1〜3で得られたグラフト共重合体(A)A1、ビニル系共重合体(B―1)B1、(B−2)B2を表1に記載の割合で、ヘンシェルミキサーを使用して配合した後、40mmφ単軸押出機を使用しバレル温度230℃で押出を行いペレット状の熱可塑性樹脂組成物を製造した。
(比較例1〜4)
参考例1〜3で得られたグラフト共重合体(A)A1、ビニル系共重合体(B―1)B1、(B−2)B2を表1に記載の割合で実施例と同様な方法で熱可塑性樹脂組成物を製造した。
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度230℃に設定した東芝(株)製IS50A成形機内に充填し、射出成形により試験片(50mm(W)×90mm(L)×2.0mm(t)、23℃)を得た。試験片を協和界面化学社製 自動摩擦・摩耗試験機 DFPM−SS型により試験荷重:100g、相手材:キムワイプ S−200、環境条件:23℃、50%RH、ストローク:30mm、回数:40回で測定した。但し耐擦傷性は試験後の傷を目視にて確認し、傷の本数によって5段階に順位付けを行った。1:15本以上、2:10〜14本、3:5〜9本、4:1〜4本 5:無傷
(6)鉛筆硬度
上記(5)と同様な条件で成形した試験片をJIS K5400に準拠し、測定した。
(参考例1)グラフト共重合体(A)A1の製造方法
窒素置換した反応器に、純水120部、ブドウ糖0.5部、ピロリン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.005部およびポリブタジエンラテックス(ゴム粒子径0.3μm、ゲル含有率85%)60部(固形分換算)を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、モノマ(スチレン30部、アクリロニトリル10部)およびt−ドデシルメルカプタン0.3部からなる混合物を5時間かけて連続滴下した。同時に並行してクメンハイドロパーオキサイド0.25部、オレイン酸カリウム2.5部および純水25部からなる水溶液を7時間かけて連続滴下し、反応を完結させた。得られたスチレン系共重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和後、洗浄、濾過、乾燥してグラフト共重合体(A)A1を得た。このグラフト共重合体(A)のグラフト率は35%、樹脂成分のηsp/cは0.35dl/gであった。
(参考例2)ビニル系共重合体(B−1)B1の製造方法
容量が20Lで、バッフル及びファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(特公昭45−24151号公報記載)0.05部をイオン交換水165部に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に下記混合物質を反応系を攪拌しながら添加し、60℃に昇温し重合を開始した。
メタクリル酸メチル 72重量%
スチレン 24重量%
アクリロニトリル 4重量%
t−ドデシルメルカプタン 0.2重量%
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 0.4重量%
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、50分かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビニル系共重合体(B−1)B1を得た。このビニル系共重合体(B−2)の還元粘度ηsp/cは0.36dl/gであった。
(参考例3)ビニル系共重合体(B−2)B2の製造方法
スチレン70重量%、アクリロニトリル30重量%なる単量体混合物を塊状重合して、ペレット状の共重合体を得た。このビニル系共重合体(B−2)B2のηsp/cは0.53dl/gであった。
(実施例1〜3)
参考例1〜3で得られたグラフト共重合体(A)A1、ビニル系共重合体(B―1)B1、(B−2)B2を表1に記載の割合で、ヘンシェルミキサーを使用して配合した後、40mmφ単軸押出機を使用しバレル温度230℃で押出を行いペレット状の熱可塑性樹脂組成物を製造した。
(比較例1〜4)
参考例1〜3で得られたグラフト共重合体(A)A1、ビニル系共重合体(B―1)B1、(B−2)B2を表1に記載の割合で実施例と同様な方法で熱可塑性樹脂組成物を製造した。
表1の結果より次のことが明らかである。本発明の熱可塑性樹脂(実施例1〜3)はいずれも耐擦傷性に優れ、なお耐衝撃性のバランスがよい。それに対し比較例1、2ではビニル系共重合体(B−1)/(B−2)比が50/50未満のため耐擦傷性が劣る。また比較例3ではグラフト重合体(A)A1が50重量%より多いため耐擦傷性が劣る。比較例4はグラフト重合体(A)A1が5重量%未満のため耐衝撃性が劣る。
Claims (5)
- ゴム質重合体(a)に対し、芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、その他のビニル系単量体(d)から選ばれたビニル系単量体の少なくとも1種からなる単量体または単量体混合物をグラフト共重合せしめたグラフト共重合体(A)5〜50重量%と芳香族ビニル系単量体(b)、シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)、その他のビニル系単量体(f)から選ばれたビニル系単量体の少なくとも1種からなる単量体または単量体混合物を共重合せしめたビニル系共重合体(B−1)と芳香族ビニル系単量体(b)シアン化ビニル系単量体(c)、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を除くその他のビニル系単量体(g)から選ばれた少なくとも1種からなる単量体または単量体混合物を共重合せしめたビニル系共重合体(B−2)を(B−1)/(B−2)=90/10〜50/50で含有するビニル系共重合体(B)50〜95重量%((B−1)と(B−2)の合計)を含有する熱可塑性樹脂組成物。但しグラフト共重合体(A)、ビニル系共重合体(B−1)及びビニル系共重合体(B−2)の合計量は100重量%である。
- グラフト共重合体(A)を構成する組成が重量平均粒子径0.1〜0.5μmであるゴム質重合体(a)20〜80重量%に対し、芳香族ビニル系単量体(b)10〜90重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、その他のビニル系単量体(d)0〜90重量%である単量体混合物20〜80重量%からなる請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ビニル系共重合体(B−1)を構成する組成が芳香族ビニル系単量体(b)10〜40重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜20重量%、及び不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(e)50〜90重量%、その他のビニル系単量体(f)0〜60重量%からなる請求項1,2いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- ビニル系共重合体(B−2)を構成する組成が芳香族ビニル系単量体(b)20〜80重量%、シアン化ビニル系単量体(c)0〜50重量%、及び不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体を除くその他のビニル系単量体(g)0〜80重量%からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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JP2004179315A JP2006002021A (ja) | 2004-06-17 | 2004-06-17 | 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 |
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JP2013040237A (ja) * | 2011-08-11 | 2013-02-28 | Techno Polymer Co Ltd | 熱可塑性樹脂組成物及び成形品 |
JP2013209556A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-10-10 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 |
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2004
- 2004-06-17 JP JP2004179315A patent/JP2006002021A/ja active Pending
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