JP2012062409A - スチレン系熱可塑性樹脂組成物及びそれからなる成形品 - Google Patents

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美穂子 山本
Fumiki Murakami
史樹 村上
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Abstract

【課題】耐衝撃性、耐熱性、成形性、耐傷性、着色性、成形品外観に優れ、また低温雰囲気下に放置した後も色調の変化しない成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品を提供すること。
【解決手段】
ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)、並びにメタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(C)であって、該共重合体(C)における該メタクリル酸メチル単量体単位由来成分の平均含有量が70〜99.5質量%である上記共重合体(C)を含む熱可塑性樹脂組成物(D)であって、該熱可塑性樹脂組成物(D)における該共重合体(C)の含有量が30〜90質量%であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された該共重合体(C)の重量平均分子量が6万〜30万であり、GPC溶出曲線から得られるピーク分子量(Mp)の1/5以下の分子量成分が該共重合体(C)に対し7〜40%含まれていることを特徴とする上記熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐衝撃性、耐熱性、成形性、耐傷性、着色性、成形品外観に優れ、また低温雰囲気下に放置した後も色調の変化しない成形品を得ることのできる熱可塑性樹脂組成物、及びその成形品に関するものである。
従来より、スチレン系樹脂は、良好な成形加工性と機械的特性バランスを有し、電気絶縁性に優れていることから、電気・電子機器分野、OA機器分野など、広範な分野で用いられている。
しかし製品化の際、樹脂を成形して得られた成形品を、例えば組み立てラインまで輸送する際など、細かな擦過傷がつきやすく、これを防止する目的で柔らかい不織布等で一つずつ梱包する等の対応をしてきたが、多大な手間とコストが必要であった。
このような、使用時の製品の傷付きを防止する目的で、製品に全塗装、或いは部分塗装を施す場合がある。しかしながら、塗装処理は塗装不良による生産の歩留まり低下を生じやすいという問題点があり、加えて近年のVOC排出抑制の流れから、できるだけ塗装処理を省きたいとの要望が高まっている。
一方、塗装は製品に意匠性を持たせる目的でも行われるが、上記のような問題があることから、塗装を行わずに製品を着色したいとの要望も高まっており、樹脂に着色剤を混合させて意匠性を持たせる試みがなされている。このような中、近年では鮮やかな色、或いは深みのある色、金属調色やパール調色が好まれ、そのような色に着色しうる、透明性の高いスチレン系樹脂が望まれている。
これまでスチレン系樹脂においては、メチルメタクリレート系樹脂との混合により、透明性を発現した例が知られている(例えば特許文献1、2参照)。さらに、ゴム成分を導入することで、耐傷性と耐衝撃性などのバランス(例えば特許文献3参照)、透明性と耐衝撃性などのバランス(例えば特許文献4、5参照)を向上する方法が提案されている。
また、特定の組成範囲のスチレン系樹脂とメチルメタクリレート系樹脂を混合して透明性、耐傷性と耐衝撃性などのバランス(例えば特許文献6、7、8参照)を向上する方法や、特定の組成範囲のスチレン系樹脂と特定のメチルメタクリレートの含量をより絞り込んだメチルメタクリレート系樹脂を混合して、成形品を低温雰囲気下に数時間放置すると成形品の中心部が白化して色調が変化してしまう「低温白化」をも抑制する方法(例えば特許文献9参照)等が知られている。
特開昭58−194939号公報 特開平7−228740号公報 特開平11−1600号公報 特開平8−73685号公報 特開2001−226547号公報 特開2006−265407号公報 特開2008−291158号公報 特開2009−144008号公報 特開2007−91809号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の発明は耐衝撃性が十分でなく、特許文献3に記載の発明、特許文献4、5に記載の発明は、耐傷性が不充分である。
さらに、特許文献6、7、8に記載の発明は低温白化が生じてしまい、特許文献9参照に記載の発明は、成形性、耐衝撃性、耐熱性のバランスが劣っている。
上述の通り、従来においては耐衝撃性、耐熱性、成形性、耐傷性、着色性、成形品外観に優れ、且つ低温雰囲気下に放置した後も色調が変化しない成形品を得ることは困難であった。
本発明者らは、上述の問題を解決するために鋭意検討した結果、ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)、並びに特定の組成、及び特定の分子量分布を持つメタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(C)を配合することにより、課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
[1]ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)、並びにメタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(C)であって、該共重合体(C)における該メタクリル酸メチル単量体単位由来成分の平均含有量が70〜99.5質量%である上記共重合体(C)を含む熱可塑性樹脂組成物(D)であって、
該熱可塑性樹脂組成物(D)における該共重合体(C)の含有量が30〜90質量%であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された該共重合体(C)の重量平均分子量が6万〜30万であり、GPC溶出曲線から得られるピーク分子量(Mp)の1/5以下の分子量成分が該共重合体(C)に対し7〜40%含まれていることを特徴とする上記熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記共重合体(C)において、GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)が0〜2%である重量平均分子量成分を有する成分中の、メタクリル酸メチル単量体に共重合可能な他の単量体単位の平均組成比率Mh(wt%)と、累積エリア面積(%)が98〜100%である重量平均分子量成分を有する成分中の、メタクリル酸メチルに共重合可能な他の単量体単位の平均組成比率Ml(wt%)が、式(1)の関係である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
Mh ≧ Ml ≧ 0 ・・・(1)
[3]前記グラフト共重合体(A)が、ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を必須成分とする単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体であり、該グラフト共重合体においてジエン系ゴム質重合体を除く芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体単位由来成分中の芳香族ビニル系単量体単位由来成分の平均含有量が60〜90質量%である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記共重合体(B)が芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を必須成分とする単量体を共重合してなる共重合体であり、該共重合体中の芳香族ビニル系単量体単位由来成分の平均含有量が60〜90質量%である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
本発明により、耐衝撃性、耐熱性、成形性、耐傷性、着色性、成形品外観に優れ、また低温雰囲気下に放置した後も色調の変化しない成形品を得ることができる。
GPC溶出曲線におけるエリア面積の概略図 GPC溶出曲線における累積エリア面積の具体例 累積エリア0〜2%、98〜100%のGPC溶出曲線上での位置の概略図
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物(D)は、ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)、並びにメタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(C)であって、該共重合体(C)における該メタクリル酸メチル単量体単位由来成分の平均含有量が70〜99.5質量%である上記共重合体(C)を含む。
本発明におけるグラフト共重合体(A)に用いられるジエン系ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体等が挙げられ、これらは単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。この中で好ましいのは、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体である。これらを使用することで耐衝撃性及び意匠性に特に優れた熱可塑性樹脂組成物、及び成形品を得ることができる。
グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)における芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレンが挙げられ、これらは単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。この中で特に好ましいのは、スチレン、及びα−メチルスチレンである。
グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)において、芳香族ビニル系単量体と共重合可能な単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや、同様の置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられ、この中で好ましいのは、アクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレートであり、特に好ましいのはアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチルである。これらは単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
グラフト共重合体(A)において、ゴム質重合体を除く芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体単位由来成分中における芳香族ビニル系単量体由来成分の含有量は60〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは65〜85質量%、特に好ましくは70〜85質量%、最も好ましくは76〜83質量%である。芳香族ビニル系単量体の含有量がこの範囲にあると、特に意匠性に優れた組成物を得ることができる。
本発明において、グラフト共重合体(A)におけるゴム質重合体の体積平均粒子径は、耐衝撃性、成形性、成形品外観のバランスから、好ましくは0.1〜1.2μm、より好ましくは0.15〜0.8μm、さらに好ましくは0.15〜0.6μm、特に好ましくは0.2〜0.4μmである。
また、グラフト共重合体(A)におけるグラフト率は、好ましくは10〜150質量%、より好ましくは20〜110質量%、さらに好ましくは25〜60質量%である。グラフト率をこの範囲にすることで、耐衝撃性に優れ、成形性の良好な組成物を得ることができる。なお、グラフト率とは、ゴム質重合体にグラフト共重合した単量体の、ゴム質重合体に対する重量割合として定義される。
グラフト率の測定法は、以下の通りである。重合反応により生成したグラフト共重合体をアセトンに溶解し、遠心分離器によりアセトン可溶分と不溶分とに分離する。この時、アセトンに溶解する成分は重合反応した共重合体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成分)であり、これは本発明において「共重合体(B)」とみなすことができる。アセトン不溶分はゴム質重合体、及びゴム質重合体にグラフト反応した成分(グラフト成分)である。アセトン不溶分の重量からゴム質重合体の重量を差し引いた値がグラフト成分の重量として定義されるので、これらの値からグラフト率を求めることができる。
ゴム質重合体の屈折率は、20℃における屈折率として1.51〜1.54であることが好ましい。屈折率がこの範囲にあると、特に意匠性に優れた組成物を得ることができる。
共重合体(B)中の芳香族ビニル系単量体由来成分の含有量は60〜90質量%であることが好ましく、さらに好ましくは65〜85質量%、特に好ましくは70〜85質量%、最も好ましくは76〜83質量%である。芳香族ビニル系単量体の含有量がこの範囲にあると、特に意匠性に優れた組成物を得ることができる。
共重合体(B)の還元粘度(ηsp/c)は0.3〜1.0dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.35〜1.0dl/g、さらに好ましくは0.35〜0.8dl/g、特に好ましくは0.40〜0.8dl/gである。還元粘度がこの範囲にあると成形性、及び耐衝撃性に優れた組成物を得ることができる。還元粘度は、共重合体(B)0.50gを2−ブタノン100mlに溶解した溶液について、30℃にてCannon−Fenske型毛細管中の流出時間を測定することにより得られる。
グラフト共重合体(A)、共重合体(B)は、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、懸濁塊状重合、溶液重合等、公知の方法によって製造することができる。
共重合体(C)におけるメタクリル酸メチル単量体と共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル及び(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が挙げられ、これらは単独又は二種以上を組み合わせて使用することができる。この中で好ましいのは、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸メチルであり、特に好ましいのはアクリル酸メチルである。
共重合体(C)におけるメタクリル酸メチル単量体単位由来成分の平均含有量は70〜99.5質量%であり、好ましくは80〜99.5質量%、より好ましくは90〜99.5質量%、最も好ましくは90〜98質量%である。メタクリル酸メチル単量体がこの範囲にあると、耐衝撃性、耐熱性、成形性のバランスに優れるだけでなく、耐低温白化に優れた成形品を得ることができる。
共重合体(C)は、多段重合法で製造される。
一段目の重合工程でメタクリル酸メチル単量体及び/又はこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体との共重合体(C1)を重合し、二段目以降の重合工程では、その共重合体(C1)の存在下に、メタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体との共重合体との共重合体(C2)を製造する。この場合、共重合体(C1)の重合が完了しないうちに共重合体(C2)の原料組成混合物の一部重合が開始されている状態であっても良い。本発明で使用される多段重合法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法もしくは乳化重合法のいずれかが好ましく、より好ましくは塊状重合法、溶液重合法及び懸濁重合法であり、さらに好ましくは懸濁重合法である。
共重合体(C)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が6万〜30万、好ましくは6万〜25万、より好ましくは8万〜23万である。これがこの範囲にあると、耐衝撃性、耐熱性、成形性のバランスに優れた組成物を得ることが出来る。
また共重合体(C)の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量:Mw/Mn)は2.4〜5であることが好ましい。これがこの範囲にあると耐衝撃性、成形性、耐低温白化に優れた成形品を得ることが出来る。
共重合体(C)の重量平均分子量及び数平均分子量はGPCで測定される。予め、単分散の重量平均分子量が既知である標準メタクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。ここでメタクリル樹脂とは、メタクリル酸単量体とメタクリル酸メチル単量体からなる共重合体をいう。得られた検量線から各試料の分子量を求めることが出来る。
共重合体(C1)は、メタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体からなり、共重合体(C1)におけるメタクリル酸メチル単量体単位由来成分の含有量は好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%、最も好ましくは98〜100質量%である。またその分子量は、GPCで測定した重量平均分子量が好ましくは5000〜5万、より好ましくは1万〜5万であり、さらに好ましくは2万〜5万である。これらがこの範囲にあると、また耐衝撃性、耐熱性、成形性のバランスに優れるだけでなく、良外観の成形品を得られる成形条件幅が広く、また耐低温白化に優れた成形品を得ることが出来る。
また共重合体(C2)はメタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体からなり、共重合体(C2)におけるメタクリル酸メチル単量体単位由来成分の含有量は好ましくは70〜99.5質量%、より好ましくは75〜99質量%、さらに好ましくは80〜98.5質量%、特に好ましくは85〜98.5質量%、最も好ましくは85〜98質量%である。
またその分子量は、GPCで測定した重量平均分子量が好ましくは6万〜35万、より好ましくは7万〜32万、さらに好ましくは7.5万〜30万である。これらがこの範囲にあると、また耐衝撃性、成形性に優れるだけでなく、良外観の成形品を得られる成形条件幅が広くまた耐低温白化に優れた成形品を得ることが出来る。
共重合体(C)において、ピーク分子量(Mp)の1/5以下の分子量成分の含有量は7〜40%であり、好ましくは8〜35%、より好ましくは8〜30%である。耐衝撃性、耐熱性、成形性のバランスに優れるだけでなく、シルバーストリークスなどの成形不具合が生じ難く、また耐低温白化に優れた成形品を得ることが出来る。
ここで、ピーク分子量(Mp)とは、GPC溶出曲線においてピークを示す分子量を指す。GPC溶出曲線においてピークが複数存在する場合は存在量が最も多い分子量が示すピークを指す。
また、後述のGPC溶出曲線におけるエリア面積とは図1に示す斜線部分を指す。具体的な定め方は次のように行う。まず、GPC測定で得られた溶出時間とRI(示差屈折検出器)による検出強度から得られるGPC溶出曲線に対し、測定機器により自動で引かれるベースラインとGPC溶出曲線が交わる点Aと点Bを定める。点Aは、溶出時間初期のGPC溶出曲線とベースラインとが交わる点である。点Bは、原則として重量平均分子量が500以上でベースラインとGPC溶出曲線が交わる位置とする。もし重量平均分子量が500以上の範囲で交わらなかった場合には、重量平均分子量が500の溶出時間のRI検出強度の値を点Bとする。点A、B間のGPC溶出曲線と線分ABで囲まれた斜線部分がGPC溶出曲線におけるエリアである。この面積が、GPC溶出曲線におけるエリア面積である。本願では高分子量成分から溶出されるカラムを用いるため、溶出時間初期に高分子量成分が観測され、溶出時間終期に低分子量成分が観測される。
GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)は、図2に示す点Aを累積エリア面積(%)の基準である0%とし、溶出時間の終期に向かい、各溶出時間に対応する検出強度が累積して、GPC溶出曲線におけるエリア面積が形成されるという見方をする。累積エリア面積の具体例を図2に示す。この図2において、ある溶出時間におけるベースライン上の点をX、GPC溶出曲線上の点を点Yとする。曲線AYと、線分AX、線分XYで囲まれる面積の、GPC溶出曲線におけるエリア面積に対する割合を、ある溶出時間での累積エリア面積(%)の値とする。
累積エリア面積0〜2%にある重量平均分子量成分、すなわち高分子量を有する成分中のメタクリル酸メチル単量体に共重合可能な他の単量体の平均組成比率をMh(質量%)とし、累積エリア面積98〜100%、すなわち低分子量を有する成分中のメタクリル酸メチル単量体に共重合可能な他の単量体の平均組成比率をMl(質量%)とする。累積エリア0〜2%、98〜100%の測定グラフ上での位置の概略図を図3に示す。
MhやMlの値はGPCから得られた溶出時間を元にカラムのサイズに応じ数回もしくは数10回連続分取して求めることが可能である。分取したサンプルの組成を既知の熱分解ガスクロ法により求めることができる。
本発明において、Mh(質量%)とMl(質量%)の関係は式(1)であり、好ましくは式(2)、さらに好ましくは式(3)である。
Mh ≧ Ml ≧ 0 ・・・(1)
(Mh−0.8) ≧ Ml ≧ 0 ・・・(2)
(Mh−2) ≧ Ml ≧ 0 ・・・(3)
これがこの範囲にあると、また耐衝撃性、耐熱性、成形性のバランスに優れるだけでなく、良外観の成形品を得られる成形条件幅が広くまた耐低温白化に優れた成形品を得ることが出来る。
熱可塑性樹脂組成物(D)中における共重合体(C)の含有量は、30〜90質量%であり、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは40〜70質量%である。共重合体(C)の含有量がこの範囲にあると、耐衝撃性、耐熱性、成形性、耐傷性、意匠性のバランスに優れた組成物を得ることが出来る。
熱可塑性樹脂組成物(D)中における共重合体(A)及び共重合体(B)の合計含有量は、10〜70質量%であり、好ましくは15〜65質量%、より好ましくは20〜60質量%、さらに好ましくは30〜60質量%である。
本発明における熱可塑性樹脂組成物(D)の混合方法としては公知の溶融混合法を用いることができる。具体的には、ミキシングロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機、単軸押出機、ニ軸押出機等の連続式混練機が挙げられる。ニ軸押出機を用いた混練方法であれば、Mh<Mlである共重合体(C)を含む熱可塑性樹脂組成物(D)であっても、耐低温白化性が不足することもなく、またスパイラルフロー成形品の流動末端部に未溶融物が走った痕が見られることもないので、好ましい。
また、本発明の成形には、一般に熱可塑性樹脂の成形に用いられている公知の方法、例えば射出成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形、プレス成形等の方法を用いることができる。
特に射出成形においては、樹脂が金型キャビティに充填される直前のキャビティ表面温度は好ましくは60℃以上、さらに好ましくは80℃以上、特に好ましくは100℃以上であると、キャビティ表面への転写性が向上し、さらに意匠性に優れた成形品を得ることができる。一般に、キャビティ表面温度を高くすると冷却までの時間が長くなるため、成形サイクルが長くなるという問題があったが、キャビティ表面を短時間で加熱冷却するヒートサイクル成形法を用いることで、意匠性の向上と生産性を両立することができる。
本発明において、その目的に応じて公知の添加剤、例えば、可塑剤、滑剤(例えば、高級脂肪酸、及びその金属塩、高級脂肪酸アミド類等)、熱安定化剤、酸化防止剤(例えば、フェノール系、フォスファイト系、チオジブロプロピオン酸エステル型のチオエーテル等)、耐候剤(例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、蓚酸誘導体、ヒンダードアミン系等)、難燃助剤(例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等)、帯電防止剤(例えば、ポリアミドエラストマー、四級アンモニウム塩系、ピリジン誘導体、脂肪族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩、芳香族スルホン酸塩共重合体、硫酸エステル塩、多価アルコール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、抗菌剤、抗カビ剤、摺動性改良剤(例えば、低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフルエステル又は部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフルエステル又は部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)、難燃剤(例えば、有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等のリン系、ハロゲン系、シリカ系、シリコーン系等)等をその目的に合わせて任意の割合で配合することができる。
また、着色性を付与する目的で、公知の着色剤、例えば無機顔料、有機系顔料、メタリック顔料、染料を添加することができる。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、カーボンブラック、チタンイエロー、酸化鉄系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、スピネルグリーン、クロム酸鉛系顔料、カドミウム系顔料などが挙げられる。
有機顔料としては、例えばアゾレーキ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジアリリド顔料、縮合アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、アントラキノン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料などが挙げられる。
メタリック顔料としては、例えばリン片状のアルミのメタリック顔料、ウェルド外観を改良するために使用されている球状のアルミ顔料、パール調メタリック顔料用のマイカ粉、その他ガラス等の無機物の多面体粒子に金属をメッキやスパッタリングで被覆したものなどが含まれる。
染料としては、例えばニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン/ポリメチン染料、チアゾール染料、インダミン/インドフェノール染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン/オキシケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、フタロシアニン染料等が挙げられる。
これらの着色剤は、単体、或いは二種以上を組み合わせて使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。また、実施例における評価は以下の方法に従って行った。
(1)耐衝撃性
ISO179に準じて、ノッチ付シャルピー衝撃強度(kJ/m)を評価し、9kJ/m未満を不可(×)、9kJ/m以上を良(○)、10kJ/m以上を優良(◎)とした。
(2)耐熱性
ISO306に準じて、Vicat軟化温度(荷重50N)(℃)を評価し、95℃未満を不可(×)、95℃以上を良(○)、96℃以上を優良(◎)とした。
(3)着色性
東芝機械製射出成形機EC60Nを用いて、シリンダー温度=250℃、金型温度=60℃にて5cm×9cm、厚み2.5mmの平板を射出成形した。この平板を23℃雰囲気下に24時間放置した後、スガ試験機製多光源分光側色計MSC−5N−GV5にて明度(L*)を評価した。
明度評価条件は以下の通りである。
分光5nm光学反射
光源:C光2°視野
正反射光を除いた測定(d/8)条件
観察視野:直径15mm
尚、L*値が小さいほど着色性は良好であり、意匠性は高い。L*が、13以上を不可(×)、13未満を良(○)とした。
(4)耐低温白化性
(3)で成形された平板を、成形直後に−30℃雰囲気下に24時間放置した。これを取り出して、明度を測定し、低温雰囲気下に放置する前後の明度差(ΔL*)を求めた。
該ΔL*が小さいほど、耐低温白化性は良好である。ΔL*は、5超を不可(×)、5以下を良(○)、1未満を優良(◎)とした。
(5)成形性
断面積一定のスパイラル状のキャビティを樹脂が流れた距離によって、相対的流動性の判定する試験法である。以下の条件にて射出成形を行い、スパイラルフロー値の判定を行った。
射出成形機:東芝製IS130FB
測定用金型:金型内部溝幅10mm×厚み2mmのスパイラル金型
金型温度:45℃
射出圧力:100kg/cm
射出時間:10秒間
冷却時間:15秒間
スパイラルフロー値が200mm未満を不可(×)、200mm以上を良(○)とした。
(6)成形品外観
(5)で成形した成形品のゲート近傍、及び流動末端部の観察を行った。
ゲート近傍にシルバーストリークスの発生、流動末端部に未溶融物が走った痕の発生がいずれも見られなかった場合を合格(○)、それ以外は不合格(×)とした。
(7)耐傷性
(3)と同様にして平板を作成し、JIS K5400の鉛筆ひっかき値に準じて評価した。
鉛筆硬度は、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの順に硬くなり、傷付きにくくなる。鉛筆硬度がBよりも硬いものを良(○)、B以下の柔らかいものを不可(×)とした。
(8)総合判定
上記(1)〜(7)の全ての評価項目が良(○)、又は優良(◎)であった場合を総合判定合格(○)とし、1項目でも不可(×)があった場合を不合格(×)とした。
(9)共重合体(C)の重量平均分子量、分子量分布の測定
共重合体(C)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて評価した。
条件は以下の通りである。
測定装置:日本分析工業製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(LC−908)
カラム:JAIGEL−4H 1本及びJAIGEL−2H 2本を直列接続
検出器:RI(示差屈折)検出器
検出感度:2.4μV/sec
尚、単分散の重量平均分子量が既知で分子量の異なるメタクリル樹脂(重量平均分子量1020〜190万)を検量線用標準サンプルとして用いた。重合体(C1)と重合体(C2)が混合している場合には、予め重合体(C1)単独のGPC溶出曲線を測定して重量平均分子量を求めておき、重合体(C1)が存在している比率(本願では仕込み比率を用いた)を重合体(C1)のGPC溶出曲線に乗じ、その溶出時間における検出強度を重合体(C1)と重合体(C2)が混合しているGPC溶出曲線から減算することで、重合体(C2)単独のGPC溶出曲線が得られる。これから重合体(C2)の重量平均分子量を求めた。
GPC溶出曲線でのピーク分子量(Mp)をGPC溶出曲線と検量線から求める。Mpの1/5以下の分子量成分の含有量は次のように求めた。
まず、メタクリル系樹脂のGPC溶出曲線におけるエリア面積を求める。GPC溶出曲線におけるエリア面積とは図1に示す斜線部分を指す。具体的な定め方は次のように行った。
まず、GPC測定で得られた溶出時間とRI(示差屈折検出器)による検出強度から得られるGPC溶出曲線に対し、測定機器で得られる自動で引かれるベースラインを引いてGPC溶出曲線とが交わる点Aと点Bを定めた。点Aは、溶出時間初期のGPC溶出曲線とベースラインとが交わる点である。点Bは、原則として重量平均分子量が500以上でベースラインと溶出曲線が交わる位置とする。もし重量平均分子量が50%以上で交わらなかった場合は、重量平均分子量が500の溶出時間のRI検出強度の値を点Bとする。点A、B間のGPC溶出曲線と線分ABで囲まれた斜線部分がGPC溶出曲線におけるエリアである。この面積が、GPC溶出曲線におけるエリア面積である。本願では高分子量成分から溶出されるカラムを用いたため、溶出時間初期(点A側)に高分子量成分が観測され、溶出時間終期(点B側)に低分子量成分が観測された。
GPC溶出曲線におけるエリア面積を、Mpの1/5の分子量に対応する溶出時間で分割し、Mpの1/5以下の分子量成分に対応するGPC溶出曲線におけるエリア面積を求めた。その面積と、GPC溶出曲線におけるエリア面積の比から、Mpの1/5以下の分子量成分の比率を求めた。
(10)共重合体(C)の組成分析
共重合体(C)の組成分析は、熱分解ガスクロマトグラフィー及び質量分析方法で行った。
熱分解装置:FRONTIER LAB製Py−2020D
カラム:DB−1(長さ30m、内径0.25mm、液相厚0.25μm)
カラム温度プログラム:40℃で5min保持後、50℃/minの速度で320℃まで昇温し、320℃を4.4分保持
熱分解炉温度:550℃
カラム注入口温度:320℃
ガスクロマトグラフィー:Agilent製GC6890
キャリアー:純窒素、流速1.0ml/min
注入法:スプリット法(スプリット比1/200)
検出器:日本電子製質量分析装置Automass Sun
検出方法:電子衝撃イオン化法(イオン源温度:240℃、インターフェース温度:320℃)
サンプル:メタクリル樹脂0.1gのクロロホルム10cc溶液を10μl
サンプルを熱分解装置用白金試料カップに採取し、150℃で2時間真空乾燥後、試料カップを熱分解炉に入れ、上記条件でサンプルの組成分析を行った。メタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルのトータルイオンクロマトグラフィー(TIC)上のピーク面積と以下の標準サンプルの検量線を元に共重合体(C)の組成比を求めた。
検量線用標準サンプルの作成:メタクリル酸メチル、アクリル酸メチルの割合が(メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル)=(100%/0%)、(98%/2%)、(94%/6%)、(90%/10%)(80%/20%)の合計5種の溶液各50gにラウロイルパーオキサイド0.25%、n−オクチルメルカプタン0.25%を添加した。この各混合溶液を100ccのガラスアンプル瓶にいれて、空気を窒素に置換して封じた。そのガラスアンプル瓶を80℃の水槽に3時間、その後150℃のオーブンに2時間入れた。室温まで冷却後、ガラスを砕いて中のメタクリル樹脂を取り出し、組成分析を行った。検量線用標準サンプルの測定によって得られた(アクリル酸メチルの面積値)/(メタクリル酸メチルの面積値+アクリル酸メチルの面積値)及びアクリル酸メチルの仕込み比率とのグラフを検量線として用いた。
(11)共重合体(C)の高分子量成分及び低分子量成分におけるメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体の組成比率の測定
本測定では累積エリア面積0〜2%であるメタクリル酸メチル単量体に共重合可能な他の単量体の分子量成分と、98〜100%であるメタクリル酸メチル単量体に共重合可能な他の単量体の分子量成分の組成分析を行う。GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)は、図3に示す点Aを累積エリア面積(%)の基準である0%とし、溶出時間の終期に向かい、各溶出時間に対応する検出強度が累積して、GPC溶出曲線におけるエリア面積が形成されるという見方をする。累積エリア面積の具体例を図2に示す。この図2において、ある溶出時間におけるベースライン上の点を点X,GPC溶出曲線上の点を点Yとする。曲線AYと、線分AX、線分XYで囲まれる面積の、GPC溶出曲線におけるエリア面積に対する割合を、ある溶出時間での累積エリア面積(%)の値とする。
累積エリア面積0〜2%である分子量成分と、98〜100%である分子量成分を、対応する溶出時間を基にカラムから分取して、その組成分析を行った。測定と、各成分の分取は、(9)と同様の装置、条件で行った。
すなわち、分取を2回行い、分取したサンプルのうち10μlを、上記(10)で用いた熱分解ガスクロ分析及び質量分析方法の熱分解装置用白金試料カップに採取し、100℃の真空乾燥機に40分乾燥した。上記(9)と同様の条件で分取した累積エリア面積に対応する共重合体(C)の組成を求めた。
(参考例1)ポリブタジエンゴムラテックス(1)の製造
ブタジエンモノマー95質量部、アクリロニトリル5質量部、脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)135質量部、オレイン酸カリウム3.0質量部、過硫酸カリウム0.3質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.2質量部、及び水酸化カリウム0.18質量部を撹拌機の付いた耐圧容器に収納して、温度を70℃に上げ、重合を開始した。重合時間15時間で日機装(株)社製マイクロトラック粒度分析計「nanotrac150」(商品名)にて測定した体積平均粒子径80nm、固形分40質量%のポリブタジエンラテックス(1)を得た。
(参考例2)ポリブタジエンゴムラテックス(2)の製造
参考例1で得られたポリブタジエンゴムラテックス(1)に次の化学式(1)で示される乳化剤[化1]をラテックスの固形分100質量部に対して0.1質量部加え、5分間攪拌後、酢酸0.65質量部を添加した。ついで、水酸化カリウム0.65質量部を加えてポリブタジエンゴムラテックス(2)を得た。該ラテックスは、体積平均粒子径が250nmの粒子径分布を持ったラテックスであり、コアギュラムを副成せず、固形分37質量%の高濃度凝集ラテックスであった。350nm以上の粒子径のラテックスの質量分率は11質量%であった。
Figure 2012062409
(参考例3)ポリブタジエンゴムラテックス(3)の製造
参考例1で得られたポリブタジエンゴムラテックス(1)に乳化剤0.125質量部、酢酸0.75質量部、水酸化カリウム0.75質量部とした以外は参考例2と同様に製造し、ポリブタジエンゴムラテックス(3)を得た。該ラテックスは、体積平均粒子径が310nmの粒子径分布を持ったラテックスであり、コアギュラムを副成せず、固形分37質量%の高濃度凝集ラテックスであった。
(参考例4)ポリブタジエンゴムラテックス(4)の製造
参考例1で得られたポリブタジエンゴムラテックス(1)に乳化剤0.10質量部、酢酸1.5質量部、水酸化カリウム1.5質量部とした以外は参考例2と同様に製造し、ポリブタジエンゴムラテックス(4)を得た。該ラテックスは、体積平均粒子径が550nmの粒子径分布を持ったラテックスであり、コアギュラム率0.7質量%、固形分37質量%の高濃度凝集ラテックスであった。
(参考例5)グラフト共重合体(A−1)の製造
参考例2で製造したポリブタジエンゴムラテックス(2)135質量部に、ターシャリードデシルメルカプタン0.1質量部、及び脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)15質量部を加え、気相部を窒素置換し、これに脱イオン水25質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.06質量部、硫酸第一鉄0.0008質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.02質量部を溶解してなる水溶液を加えた後、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル10質量部、スチレンを40質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.4質量部、クメンハイドロパーオキシド0.15質量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水25質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.035質量部を溶解してなる水溶液を4時間にわたり添加した。添加終了後にクメンハイドロパーオキシド0.02質量部を加えた後、さらに1時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。
このようにして得られたABSラテックスに、シリコーン樹脂製消泡剤、及びフェノール系酸化防止剤エマルジョンを添加した後、固形分濃度が10質量%となるように脱イオン水を加えて調整し、70℃に加温した後、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝固させ、スクリュープレス機にて固液分離を行った。この時の含水率は10質量%であった。これを乾燥させてグラフト共重合体(A−1)を得た。
該共重合体の組成比は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリル9.7質量%、ブタジエン51.3質量%、スチレン39.0質量%であり、ジエン系ゴム質重合体を除くスチレンとアクリロニトリル単位由来成分中のスチレン単位由来成分の平均含有量は80.0質量%であった。またグラフト率は46質量%、非グラフト成分(アセトン可溶分)の還元粘度(0.50g/100ml、2−ブタノン溶液中、30℃測定)は0.31dl/gであった。
(参考例6)グラフト共重合体(A−2)の製造
参考例3で製造したポリブタジエンゴムラテックス(3)135質量部に、ターシャリードデシルメルカプタン0.075質量部、及び脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)15質量部を加え、気相部を窒素置換し、これに脱イオン水25質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.06質量部、硫酸第一鉄0.0008質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.02質量部を溶解してなる水溶液を加えた後、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル13.5質量部、スチレンを36.5質量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.25質量部、クメンハイドロパーオキシド0.1質量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水25質量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.035質量部を溶解してなる水溶液を4時間にわたり添加した以外は参考例5と同様にして、グラフト共重合体(A−2)を得た。該グラフト共重合体の組成比は、組成分析の結果、アクリロニトリル13.4質量%、ブタジエン50.2質量%、スチレン36.4質量%であり、従ってジエン系ゴム質重合体を除くスチレン、及びアクリロニトリル単位由来成分中のスチレン単位由来成分の平均含有量は73.1質量%であった。また、グラフト率は47質量%、非グラフト成分の還元粘度は0.38dl/gであった。
(参考例7)グラフト共重合体(A−3)の製造
参考例4で製造したポリブタジエンゴムラテックス(4)135質量部に、脱イオン水(鉄濃度:0.02ppm未満)15質量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.1質量部、硫酸第二鉄0.002質量部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3質量部を加え、気相部を窒素置換した後、60℃に昇温した。その後、スチレン15質量部、メタクリル酸メチル35質量部、クメンハイドロパーオキシド0.2質量部よりなる単量体混合液を3時間にわたり添加した。添加終了後2時間、反応槽を60℃に制御しながら重合反応を完結させた。
このようにして得られたラテックスを参考例5と同様に塩析・脱水・水洗を行った後、乾燥させてグラフト共重合体(A−3)を得た。該グラフト共重合体の組成比は、組成分析の結果、ブタジエン50.8質量%、スチレン14.7質量%、メタクリル酸メチル34.5質量%であり、従ってジエン系ゴム質重合体を除くスチレン、及びメタクリル酸メチル単位由来成分中のスチレン単位由来成分の平均含有量は29.9質量%であった。また、グラフト率は52質量%、非グラフト成分の還元粘度は0.67dl/gであった。
(参考例8)共重合体(B−1)の製造
特許1960531号公報実施例1に記載の方法にて、アクリロニトリル、及びスチレンを、溶媒としてセカンダリーブチルアルコールを用い、重合反応器に上記混合液を連続的に添加し、重合計の温度を140から160℃にコントロールして重合反応を行った。その後、未反応のモノマーを真空下にて除去し、共重合体(B−1)の固形粉末を得た。該共重合体の組成比は、組成分析の結果、アクリロニトリル20.8質量%、スチレン79.2質量%であった。また、還元粘度は0.75dl/gであった。
(参考例9)共重合体(B−2)の製造
単量体の混合比率を変更した以外は参考例8と同様に製造し、共重合体(B−2)を得た。該共重合体の組成比は、組成分析の結果、アクリロニトリル27.8質量%、スチレン72.2質量%であった。また、還元粘度は0.65dl/gであった。
(参考例10)共重合体(B−3)の製造
単量体の混合比率を変更した以外は参考例8と同様に製造し、共重合体(B−3)を得た。該共重合体の組成比は、組成分析の結果、アクリロニトリル22.1質量%、スチレン77.9質量%であった。また、還元粘度は0.52dl/gであった。
(参考例11)共重合体(C−1)の製造
攪拌機を有する容器に脱イオン水2000質量部、第三リン酸カルシウム65質量部、炭酸カルシウム39質量部、ラウリル酸ナトリウム0.39質量部を投入して混合液(A)を得た。ついで、反応槽に脱イオン水26000質量部を投入して80℃に昇温し、混合液(A)及びメタクリル酸メチル6935質量部、ラルロイロパーオキシサイド49.9質量部、2−エチルヘキシルチオグリコレート146.8質量部を投入して重合体(C1−1)の製造を行った。このとき、原料を投入してから80分後に発熱ピークが観測された。その後、1℃/minの速度で92℃まで昇温した後、30分間92〜94℃の温度を保持した。その後、1℃/minの速度で80℃まで降温した後、反応液の一部を分取してビーズ状ポリマーの分子量を測定したところ、GPCによる重量平均分子量は2.3万であった。次に重合体(C1−2)の原料としてメタクリル酸メチル16176質量部、アクリル酸メチル416質量部、ラウロイロパーオキサイド22.5質量部及びn−オクチルメルカプタン26.3質量部を投入し、反応槽内を80℃に保持して懸濁重合を行った。このとき、原料を投入してから130分後に発熱ピークが観測された。その後、92℃に1℃/minの速度で昇温した後、60分間保持し、重合反応を完結させた。次に50℃まで冷却して懸濁剤を溶解させるために20質量%硫酸を投入し、ついで重合反応溶液を1.68mmメッシュの篩にかけて凝集物を除去し、得られたビーズ状ポリマーを洗浄・脱水を行った後、乾燥させて共重合体(C−1)のパウダーを得た。該共重合体の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果11.5万であった。また共重合体(C−1)のGPCエリアの高分子量側から0〜2%部分のMhは2.5%質量%、GPCエリアの高分子量側から98〜100%部分のMlは0.4%質量%であった。また、Mpの1/5以下の分子量成分の存在量は25.3%であった。また、共重合体(C−1)における共重合体(C1−1)の含有量は、原料の仕込み比率から30質量%であり、共重合体(C1−2)の重量平均分子量は、先に測定した共重合体(C1−2)の分子量と原料の仕込み比率から算出すると15.2万であった。尚、仕込み量から算出される共重合体(C−1)中のメタクリル酸メチル単量体単位由来成分の平均含有量は、98.2質量%である。
得られた共重合体(C−1)のパウダーをφ30mmの二軸押出機にて240℃で溶融混練し、ストランドを冷却裁断して樹脂ペレットを得た。
(参考例12)共重合体(C−2)の製造
原料投入量を変更した以外は参考例10と同様にして共重合体(C−2)を得た。該共重合体の重量平均分子量は、GPCによる測定の結果10.2万であった。また該共重合体における共重合体(C2−1)成分の組成比は、メタクリル酸メチル90.2質量%、アクリル酸メチル9.8質量%であり、重量平均分子量は2.5万であった。また共重合体(C2−2)成分の組成比は、メタクリル酸メチル97.5質量%、アクリル酸メチル2.5質量%であり、重量平均分子量は28万であった。また、共重合体(C−2)における共重合体(C2−2)の含有量は、原料の仕込み比率から30質量%である。得られた共重合体(C−2)のパウダーを参考例10と同様にして樹脂ペレットを得た。
該共重合体のMpの1/5以下の分子量成分の存在量は29.8%であり、Mhは2.5質量%、Mlは10.1%質量%であった。また、仕込み量から算出される共重合体(C−2)中のメタクリル酸メチル単量体単位由来成分の平均含有量は、92.4質量%である。
(参考例13)共重合体(C−3)の製造
メタクリル酸メチル68.6質量部、アクリル酸メチル1.4質量部、エチルベンゼン30質量部からなる単量体混合物に、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.015質量部、及びn−オクチルメルカプタン0.15質量部を添加し、均一に混合した。この溶液を内容積10リットルの密閉式耐圧反応器に連続的に供給し、攪拌下に平均温度135℃、平均滞留時間2時間で重合した後、反応器に接続された貯槽に連続的に送り出し、260℃、10mmHgの高真空に保たれた揮発分除去装置へ導入し、未反応単量体、及び溶媒を脱揮回収し、さらに押出機に連続的に溶融状態で移送し、共重合体(C−3)のペレットを得た。該共重合体の組成比は、メタクリル酸メチル98質量%、アクリル酸メチル2質量%であり、重量平均分子量は10.2万であった。また、Mpの1/5以下の分子量成分の存在量は4.4%であり、Mhは2.0質量%、Mlは2.0質量%であった。
(参考例14)共重合体(C−4)の製造
メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、エチルベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は参考例12と同様に共重合体(C−4)のペレットを得た。該共重合体の組成比は、メタクリル酸メチル90.5質量%、アクリル酸メチル9.5質量%であり、重量平均分子量は8.1万であった。また、Mpの1/5以下の分子量成分の存在量は4.8%であり、Mhは9.5質量%、Mlは9.5質量%であった。
(参考例15)共重合体(C−5)の製造
メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、エチルベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は参考例12と同様に共重合体(C−5)のペレットを得た。該共重合体の組成比は、メタクリル酸メチル99.0質量%、アクリル酸メチル1.0質量%であり、重量平均分子量は4.5万であった。また、Mpの1/5以下の分子量成分の存在量は4.9%であり、Mhは1.0質量%、Mlは1.0質量%であった。
(参考例16)共重合体(C−6)の製造
メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、エチルベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びn−オクチルメルカプタンの量を変化させた以外は参考例12と同様に共重合体(C−6)のペレットを得た。該共重合体の組成比は、メタクリル酸メチル98質量%、アクリル酸メチル2質量%であり、重量平均分子量は17万であった。また、Mpの1/5以下の分子量成分の存在量は5.1%であり、Mhは2.0質量%、Mlは2.0質量%であった。
(実施例1)
充分に乾燥し、水分除去を行った後、表1に記載の配合組成のグラフト共重合体(A−1)22.5質量部、共重合体(B−1)27.5質量部、共重合体(C−1)50質量部を混合した後、これをホッパーに投入し、単軸押出機(HS−B型30mmベント式VB直結型、(株)石中鉄工所製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数300rpm、混練樹脂の吐出速度10kg/hrの条件で混練して樹脂ペレットを得、各特性の評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例2、4〜5)
実施例1と同様にして樹脂ペレットを得、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
二軸押出機(PCM−30、L/D=28、池貝鉄工(株)製)を使用して、シリンダー設定温度250℃、スクリュー回転数200rpm、混練樹脂の吐出速度15kg/hrの条件で混練して樹脂ペレットを得、評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1、2、4〜5)
実施例1と同様にして樹脂ペレットを得、評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例3と同様にして樹脂ペレットを得、評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2012062409
Figure 2012062409

実施例1〜5は、耐衝撃性、耐熱性、成形性、のバランスに優れ、また着色性、成形品外観、耐低温白化性、耐傷性に優れている。
一方、比較例1〜4は、共重合体(C)のMpの1/5以下の分子量成分が共重合体(C)に対して7%未満であり、更に比較例1、4は、共重合体(C)が単一の平均分子量を持つものからなり、比較例1〜4は重量平均分子量分布が本願の範囲外であるため、着色性、耐衝撃性、成形性、耐熱性、成形品外観、耐低温白化性、及び耐傷性の全てを満足することは出来ない。比較例5は熱可塑性樹脂組成物(D)における共重合体(C)の含有量が本願発明の範囲外であるため、意匠性、耐傷性の劣ったものとなる。
本発明の組成物を用いることにより、耐衝撃性、耐熱性、成形性、耐傷性、成形品外観に優れ、また寒冷地など低温雰囲気下に放置された後も色調の変化しない成形品を得ることができる。

Claims (5)

  1. ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(A)、芳香族ビニル系単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(B)、並びにメタクリル酸メチル単量体及びこれと共重合可能な一種又は二種以上の単量体を共重合してなる共重合体(C)であって、該共重合体(C)における該メタクリル酸メチル単量体単位由来成分の平均含有量が70〜99.5質量%である上記共重合体(C)を含む熱可塑性樹脂組成物(D)であって、
    該熱可塑性樹脂組成物(D)における該共重合体(C)の含有量が30〜90質量%であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定された該共重合体(C)の重量平均分子量が6万〜30万であり、GPC溶出曲線から得られるピーク分子量(Mp)の1/5以下の分子量成分が該共重合体(C)に対し7〜40%含まれていることを特徴とする上記熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記共重合体(C)において、GPC溶出曲線におけるエリア面積の累積エリア面積(%)が0〜2%である重量平均分子量成分を有する成分中の、メタクリル酸メチル単量体に共重合可能な他の単量体単位の平均組成比率Mh(wt%)と、累積エリア面積(%)が98〜100%である重量平均分子量成分を有する成分中の、メタクリル酸メチルに共重合可能な他の単量体単位の平均組成比率Ml(wt%)が、式(1)の関係である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    Mh ≧ Ml ≧ 0 ・・・(1)
  3. 前記グラフト共重合体(A)が、ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を必須成分とする単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体であり、該グラフト共重合体においてジエン系ゴム質重合体を除く芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体単位由来成分中の芳香族ビニル系単量体単位由来成分の平均含有量が60〜90質量%である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記共重合体(B)が芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体を必須成分とする単量体を共重合してなる共重合体であり、該共重合体中の芳香族ビニル系単量体単位由来成分の平均含有量が60〜90質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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JP2020524206A (ja) * 2018-03-20 2020-08-13 エルジー・ケム・リミテッド 熱可塑性樹脂組成物
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