JP5946740B2 - 無水塩化水素の精製方法および無水塩化水素精製装置 - Google Patents
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Description
前記塩素接触工程において塩素と接触させた後の原料塩化水素を凝縮することによって、塩化水素を含む気相成分と前記臭素を含む液相成分とに分離し、前記気相成分を無水塩化水素の精製物として得る凝縮工程と、を含むことを特徴とする無水塩化水素の精製方法である。
前記塩素接触部によって塩素と接触させた後の原料塩化水素を凝縮することによって、塩化水素を含む気相成分と前記臭素を含む液相成分とに分離し、前記気相成分を無水塩化水素の精製物として得る凝縮部と、を備えることを特徴とする無水塩化水素精製装置である。
2HBr+Cl2 → 2HCl+Br2 …(1)
([HCl]2[Br2])/([HBr]2[Cl2])=1.34×1014
…(2)
開始反応後、下記式(4)で表されるラジカル連鎖反応が継続する。ラジカル連鎖反応の反応速度は、反応温度には大きくは左右されないので、水素(H2)と塩素(Cl2)とが希薄状態となっても、このラジカル連鎖反応が連続的に継続し、反応は速やかに進行する。
H2+Cl(ラジカル) → HCl+H(ラジカル)
Cl2+H(ラジカル) → HCl+Cl(ラジカル) …(4)
H(ラジカル)+H(ラジカル) → H2
Cl(ラジカル)+Cl(ラジカル) → Cl2
H(ラジカル)+Cl(ラジカル) → HCl …(5)
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
直径3mmのガラスビーズを充填した内径30mm、長さ1000mmのガラス製配管(塩素接触反応器として機能する)の一方より、1分間当たり、臭化水素を1000ppm含む原料塩化水素ガス1Nリットル(Nは標準状態を表す)と塩素ガス1Nミリリットル(1000ppm相当)とを室温(25℃)で通気した。この配管を出てきた原料塩化水素ガスは、液化窒素−アセトン系寒剤(−94℃)に浸したガラス製トラップ管(有効伝熱面積20cm2、凝縮器として機能する)に供給した。2時間後、ガラス製トラップ管から導出されてきたガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマト分析装置(DX−100型、ダイオネクス社製、検出限界:0.1マイクログラム/L)で分析したところ、臭素、臭化水素および塩素は検出されなかった。また、2時間の間にガラス製トラップ管によって液相成分として分離回収された不純物分の重量は13gであり、これは原料塩化水素の約6.6モル%に相当した。
直径3mmのガラスビーズを充填した内径20mm、長さ1000mmのSUS316L製配管(塩素接触反応器として機能する)の一方より、1分間当たり、臭化水素を10ppm含む原料塩化水素ガス10Nリットルと塩素ガス10Nミリリットル(1000ppm相当)を室温(25℃)下0.2kPa(G)の圧力で通気した。この配管を出てきた原料塩化水素ガスをこの圧力のままで、ドライアイス−アセトン系寒剤(−78℃)に浸した内径5mm、長さ30000mmの蛇管(凝縮器として機能する)中に供給した。蛇管の曲がりの最終部分には液溜まりを設けた。2時間後、蛇管から導出されてきたガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマト分析装置(DX−100型、ダイオネクス社製、検出限界:0.1マイクログラム/L)で分析したところ、臭化水素および臭素は検出されず、塩素が32ppm検出された。また、液溜まりには、蛇管によって液相成分として分離された不純物分が25g回収されていた。この量は原料塩化水素の1.3モル%に相当した。
容積500ミリリットルの耐熱ガラス反応器(塩素接触反応器として機能する)の中央に、100W高圧水銀ランプ(UM102、ウシオ電機株式会社製)を配置した。実施例2と同様にして得られた、蛇管出口から導出される無水塩化水素の精製物を常圧に戻し、この精製物に、予め1時間当たり10Nミリリットルの水素ガスを混ぜ込んで、25℃の温度で、前記耐熱ガラス反応器に供給した。耐熱ガラス反応器から導出されてきたガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマト分析装置(DX−100型、ダイオネクス社製、検出限界:0.1マイクログラム/L)で分析したところ、臭化水素、臭素および塩素は検出されなかった。また、耐熱ガラス反応器から導出されてきた、精製後の無水塩化水素中に、未反応物として残存する水素の濃度は、950ppmであった。
実施例3と同様にして得られた、耐熱ガラス反応器から導出される無水塩化水素を圧縮器により0.9MPa(G)の圧力まで圧縮し、この圧縮した無水塩化水素を、ドライアイス−アセトン系寒剤(−78℃)で冷却された20リットル容器(冷却器として機能する)に供給して、無水塩化水素を液化した。このとき、水素を含む気相成分のガスは除害ラインからパージし、1時間運転を継続した。得られた液体状の無水塩化水素は928gであり、収率95モル%、不純物として含有される水素の濃度は、1ppm以下であった。
原料塩化水素と塩素との反応を行わないようにしたこと以外は、実施例1と同様にした。具体的には、臭化水素を1000ppm含む原料塩化水素ガスを、1分間当たり1Nリットル(Nは標準状態を表す)で、液化窒素−アセトン系寒剤(−94℃)に浸したガラス製トラップ管(有効伝熱面積20cm2)に供給した。2時間後、ガラス製トラップ管から導出されてきたガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマト分析装置(DX−100型、ダイオネクス社製、検出限界:0.1マイクログラム/L)で分析したところ、臭化水素が174ppm検出された。また、2時間の間にガラス製トラップ管によって液相成分として分離回収された不純物分の重量は15gであり、これは原料塩化水素の約7.7モル%に相当した。
2 塩素ガス貯留部
5 塩素接触反応器
6 凝縮器
7 水素ガス貯留部
9 水素接触反応器
100 無水塩化水素精製装置
Claims (4)
- 塩化水素を主成分とする気体状の原料塩化水素を気体状の塩素と接触させ、原料塩化水素に含まれる臭化水素を、臭素に変化させる反応を行う塩素接触工程と、
前記塩素接触工程において塩素と接触させた後の原料塩化水素を凝縮することによって、塩化水素を含む気相成分と前記臭素を含む液相成分とに分離し、前記気相成分を無水塩化水素の精製物として得る凝縮工程と、を含むことを特徴とする無水塩化水素の精製方法。 - 前記塩素接触工程では、前記原料塩化水素を、前記臭化水素に対して0.5倍モル以上の塩素と接触させることを特徴とする請求項1に記載の無水塩化水素の精製方法。
- 前記凝縮工程において得られた前記無水塩化水素の精製物を、気体状の水素と接触させることによって、前記精製物中に未反応物として残存する塩素を塩化水素に変化させる反応を行う水素接触工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1または2のいずれか1つに記載の無水塩化水素の精製方法。
- 塩化水素を主成分とする気体状の原料塩化水素を気体状の塩素と接触させ、原料塩化水素に含まれる臭化水素を、臭素に変化させる反応を行う塩素接触部と、
前記塩素接触部によって塩素と接触させた後の原料塩化水素を凝縮することによって、塩化水素を含む気相成分と前記臭素を含む液相成分とに分離し、前記気相成分を無水塩化水素の精製物として得る凝縮部と、を備えることを特徴とする無水塩化水素精製装置。
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