JP5943543B2 - メラニン抑制剤およびその用途 - Google Patents

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本発明は、メラニン抑制剤およびその用途に関する。
メラニン抑制作用を示す様々な化学合成化合物および天然物由来成分が、医薬品、医薬部外品および化粧料として使用されている。近年は、安全性の観点から、化学合成化合物よりも天然物由来成分が注目されており、実際に様々な天然物由来成分が、メラニン抑制作用を示す有効成分として、実用化されている。
しかしながら、有効成分として知られているL−アスコルビン酸、ハイドロキノン配糖体、トラネキサム酸およびこれらの誘導体等は、親水性が高いため、皮膚浸透性が十分ではないという問題がある(特許文献1〜5)。このため、前記有効成分が、例えば、天然物由来成分であっても、実際に皮膚に透過させて効果を発揮するには、例えば、様々な経皮吸収促進剤と組み合わせた状態で製品化され、使用される。一方、近年、消費者の嗜好から、有効成分を浸透させるための添加剤を必須成分とせず、有効成分が単独であっても、皮膚に浸透して、メラニン抑制作用を発揮するメラニン抑制剤が求められている。しかし、天然物由来の有効成分であって、単独で前述のような浸透性を示し、メラニン抑制作用を発揮するものはなかった。
特開2006− 45140号公報 特開2003− 73251号公報 特開2005− 23042号公報 特開2006− 16401号公報 特開2006− 36656号公報
そこで、本発明は、例えば、単独でも生体への浸透性を示す天然物由来の新たなメラニン抑制剤およびその用途を提供することを目的とする。
本発明のメラニン抑制剤は、シデロフォアおよびその鉄錯体の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
本発明の皮膚外用剤は、前記本発明のメラニン抑制剤を含むことを特徴とする。
本発明の皮膚用化粧料は、前記本発明のメラニン抑制剤を含むことを特徴とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、天然物由来のシデロフォアおよびその鉄錯体がメラニン抑制活性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、特殊な添加物等を使用しなくても、単独で生体への透過性を示し、メラニン抑制効果を発揮できる。また、シデロフォアおよびその鉄錯体は、それぞれ、清酒等の米醸造物に含まれる物質であり、前記米醸造物の長年の使用履歴から、安全性に優れることは明らかである。このため、本発明のメラニン抑制剤は、極めて有用である。
図1は、本発明の実施例3において、産生メラノサイトの顕微鏡観察結果を示す写真である。
<メラニン抑制剤>
本発明のメラニン抑制剤は、前述のように、シデロフォアおよびその鉄錯体の少なくとも一方を含むことを特徴とする。本発明のメラニン抑制剤は、シデロフォアおよびその鉄錯体の少なくとも一方を含むことが特徴であり、その他の構成等は何ら制限されない。
本発明において、「メラニン抑制」とは、メラニンの生成抑制または生成したメラニンの分解を意味し、本発明のメラニン抑制は、メラニンの生成抑制および生成メラニンの分解のいずれの作用を奏してもよく、両方の作用を奏してもよい。
本発明において、前記シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、天然物でもよいし、合成物でもよいが、前記天然物が好ましい。シデロフォアおよびその鉄錯体の安全性は、前述のように、これまでの食の歴史によって証明されていることから、例えば、前記合成物であっても、同様である。シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、精製品、他の成分を含む部分精製品、非精製品等でもよいが、化粧料等へ適用することから、精製品が好ましい。
(1)シデロフォア
シデロフォアは、3価鉄イオン(Fe3+)をキレートする化合物であり、その鉄錯体は、シデロフォアが3価鉄イオン(Fe3+)をキレート化した錯体である。シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、120℃程度の高温処理および/または200kPa程度の高圧処理によっても、未変性または変性し難いため、非常に安定性に優れる。このため、例えば、製品化において、滅菌等の目的で、高温または高圧処理を施しても、品質の低下を防止できる。また、前述のように、シデロフォアは、例えば、それ自体が、生体への浸透性、特に皮膚への浸透性を示すため、有効成分を浸透させるための特殊な添加物の配合等が必須ではない。このため、本発明のメラニン抑制剤は、例えば、製造が非常に容易である。
前記シデロフォアは、例えば、天然型のシデロフォアでもよいし、3価鉄イオンのキレート作用を有する限りにおいて、前記天然型のシデロフォアの誘導体でもよい。前記誘導体は、例えば、シデロフォアの官能基が置換された化合物があげられる。前記誘導体は、例えば、アセチル化誘導体、ニトロ化誘導体等があげられ、また、アミノ酸を含む場合は、アミノ酸が他のアミノ酸に置換されてもよい。また、シデロフォアの鉄錯体は、例えば、天然型の鉄錯体、すなわち、天然型のシデロフォアに3価鉄がキレートしたものでもよいし、前記シデロフォア誘導体に3価鉄がキレートしたものでもよい。
シデロフォアの種類は、特に制限されず、カテコール類、ヒドロキサメート類、ポリカルボキシレート類等があげられる。前記カテコール類は、例えば、エンテロバクチン、ビブリオバクチン、アグロバクチン、アングイバクチン等があげられる。前記ヒドロキサメート類は、コプロゲン、フェリクローム類、フェリオキサミン、N,N’,N’’−トリアセチルフザリニンC等があげられる。前記ポリカルボキシレート類は、リゾフェリン等があげられる。これらの中でも、キレート作用の点で、ヒドロキサム酸を含むシデロフォアである前記ヒドロキサメート類が好ましく、この中でも、環状の前記フェリクローム類がより好ましい。
前記フェリクローム類は、3個のヒドロキサム酸を含む環状ペプチドの総称であり、例えば、下記一般式(1)で表される化合物を含む。前記一般式(1)において、
は、水素原子またはヒドロキシメチル基であり、
は、水素原子、メチル基またはヒドロキシメチル基であり、
、RおよびRは、それぞれ、メチル基、N−(トランス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基、N−(シス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基またはN−(トランス−4−カルボキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基であり、
、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記一般式(1)の化合物は、例えば、フェリクローム、ジグリシルフェリクローム、デフェリフェリクリシン(以下、Dfcyという)、フェリクロームC、フェリクロシン、アスペルクロームD1、アスペルクロームB1、フェリルビン、フェリロジン、フェリクロームA、デス(ジセリルグリシル)フェリロジンが好ましく、これらの中でも、Dfcyが最も好ましい。前記ジグリシルフェリクロームは、前記フェリクローム中のGly 3分子がGly 4分子になった化合物である。デス(ジセリルグリシル)フェリロジンは、前記フェリロジンにおいて、Ser−Ser−Glyの3分子を除いた化合物である。
下記表1に、前述した化合物について、前記一般式(1)におけるR〜Rの官能基を示す。下記表1において、前記ジグリシルフェリクロームは、(Gly)フェリクロームで示し、前記デフェリフェリクリシンは、フェリクリシン(Dfcyの鉄錯体、以下、Fcyという)で示し、前記デス(ジセリルグリシル)フェリロジンは、DDFで示す。下記表1において、Aは、前記N−(トランス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基を示し、Bは、前記N−(シス−5−ヒドロキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基を示し、Cは、前記N−(トランス−4−カルボキシ−3−メチルペント−2−エノイル)基を示す。
シデロフォアは、前述のように、天然物でもよいし、合成品でもよいが、前者が好ましい。シデロフォアが天然物の場合、例えば、由来は制限されず、微生物等の生物があげられる。中でも、以下の理由から、微生物由来またはその培養物由来であることが好ましい。シデロフォアは、一般的に、自然界において、微生物が生産していることが知られている。例えば、外界の鉄濃度が低い場合、多くの微生物は、必須成分の鉄を効率的に体内取り込むために、シデロフォアを生産する。微生物は、培養によって、容易に増殖させることが可能であるため、微生物培養により、大量生産が可能である。前記微生物は、例えば、本来、シデロフォアを生産可能な微生物、または、遺伝子工学的手法により、後発的に、シデロフォアを生産可能となった微生物もしくはシデロフォアを大量生産可能となった微生物でもよい。前者の微生物は、例えば、アスペルギルス オリゼ(Aspergillus oryzae)等のアスペルギルス属(Aspergillus)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、ウスティラゴ(Ustilago)属等があげられる。後者の微生物は、例えば、変異株、シデロフォア合成酵素群をコードする遺伝子の組換えにより得られた形質転換体等があげられる。前記変異株は、例えば、アスペルギルス属、ニューロスポラ属、ウスティラゴ属等の変異株があげられる。また、前記形質転換体となる宿主は、特に制限されず、例えば、アスペルギルス オリゼ等のアスペルギルス属、ニューロスポラ属、ウスティラゴ属等があげられる。
前記シデロフォアが前記フェリクローム類の場合、これを生産する微生物は、特に制限されず、例えば、糸状菌であるアスペルギルス属、ニューロスポラ属、ウスティラゴ属等の真菌等があげられる。前記アスペルギルス属は、例えば、アスペルギルス オリゼ等があげられる。前記アスペルギルス オリゼは、麹菌として、清酒、味噌、醤油等の米醸造物の生産に使用されており、ヒトは、古くから前記米醸造物を通じて、フェリクローム類を摂取してきた。したがって、前記フェリクローム類は、その安全性が歴史的に確認されているため、この点で好ましい。また、前記フェリクローム類は、例えば、前述のような米醸造物の醸造工程を経た後においても、清酒等に含まれていることから、安定性が高い。アスペルギルス オリゼが生産するフェリクローム類の中でも、前記デフェリフェリクリシンは、比較的多量に生産されるため、生産性が高い点で好ましい。
生物によってシデロフォアを生産する場合、例えば、生物の育種方法は、特に制限されない。生物に効率よくシデロフォアを生産させるには、例えば、鉄の量を制限した条件下で、生物を生育することが好ましい。具体例として、微生物を培養する場合、例えば、鉄の含有量を制限した培地を使用し、前記微生物にシデロフォアを生産させることが好ましい。前記培地は、例えば、鉄の含有量が低濃度の培地が好ましく、より好ましくは鉄未添加の培地が好ましい。このような培地を使用することによって、3価鉄がキレートしていないシデロフォア(デフェリ体)を効率良く得られる。前記培地は、例えば、液体培地でもよいし、固体培地でもよく、微生物の種類によって、適宜設定できる。
微生物の培養により生産されたシデロフォアは、例えば、微生物、微生物の抽出物(無細胞抽出物)、培養液、培養上清等から回収できる。シデロフォアは、前述のように精製品でも、非精製品でもよいが、前者が好ましい。シデロフォアの精製は、例えば、公知の方法によって行うことができる。例えば、まず、培養液を、微生物画分および液体画分(上清画分)に分離する。前記微生物画分は、例えば、超音波破砕等によって、微生物を破砕し、内容物を溶媒に抽出する。そして、抽出画分について、例えば、塩析法、透析法、限外ろ過法、等電点沈澱法、ゲルろ過法、電気泳動法、クロマトグラフィー等の精製処理を施す。前記クロマトグラフィーは、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー等のアフィニティークロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等があげられる。これらの精製処理は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を組合せて行ってもよい。他方、前記液体画分は、例えば、これらの精製処理を施す。このようにして、シデロフォアを精製できる。また、シデロフォアは、例えば、市販品を使用することもできる。
シデロフォアの製造方法の具体例として、Dfcyを一例にあげて、以下に説明する。なお、本発明は、以下の例示によって、何ら制限されない。
Dfcyは、例えば、前述のように、アスペルギルス オリゼの培養によって生産できる。使用する培地は、特に制限されず、例えば、ポテトデキストロース培地(ニッスイ社製)、Czapek−Dox最少培地、米麹等が使用できる。前記Czapek−Dox最少培地(pH6.0)の組成は、例えば、2% グルコースまたはスターチ、0.3% NaNO、0.2% KCl、0.1% KHPO、0.05% MgSOである。前記培地は、例えば、固体培地でも液体培地でもよく、前記Dfcyの回収が容易な点で、前記液体培地が好ましい。培養条件は、特に制限されず、アスペルギルス オリゼの生育可能な範囲であればよい。具体例として、温度は、例えば、25〜42℃の範囲であり、培養時間は、例えば、その他の条件によって異なるが、例えば、通常、2〜7日間である。
培養終了後、例えば、ろ過によって、菌体と培養上清とを分離し、前記培養上清から、Dfcyを回収する。前記Dfcyは、例えば、前述のように、前記培養上清に前記精製処理を施すことによって、精製品を回収することもできる。
Dfcyは、例えば、特開2008−54580号公報に記載の方法によって製造することもできる。
(2)シデロフォアの鉄錯体
シデロフォアの鉄錯体は、前述のように、シデロフォアに3価鉄がキレートした化合物である。したがって、前記鉄錯体は、前述したシデロフォアに3価鉄がキレートした以外は、シデロフォアの記載を参照できる。
前記鉄錯体は、シデロフォアと同様に、例えば、高温処理および/または高圧処理によっても、未変性または変性し難いため、非常に安定性に優れる。このため、例えば、製品化において、滅菌等の目的で、高温または高圧処理を施しても、品質の低下を防止できる。また、前述のように、シデロフォアの鉄錯体は、例えば、それ自体が、生体への浸透性、特に皮膚への浸透性を示すため、有効成分を浸透させるための特殊な添加物の配合等が必須ではない。このため、本発明のメラニン抑制剤は、例えば、製造が非常に容易である。
前記鉄錯体は、例えば、溶媒の存在下で、前記シデロフォアと3価鉄とを共存させることによって得られる。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、水、酸性緩衝液等の緩衝液があげられる。また、前記溶媒は、例えば、塩化鉄(III)水溶液または塩化鉄(III)を含む前記緩衝液等があげられる。
前記鉄錯体の中でも、例えば、前記ヒドロキサメート類の鉄錯体が好ましく、この中でも、前記フェリクローム類の鉄錯体がより好ましく、最も好ましくは、Dfcyの鉄錯体、すなわち、Fcyである。
本発明のメラニン抑制剤は、前述のように、シデロフォアおよびその鉄錯体のうち、いずれか一方のみを含んでもよいし、両方を含んでもよい。本発明のメラニン抑制剤において、シデロフォアは、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよく、シデロフォアの鉄錯体は、例えば、一種類でもよいし、二種類以上を併用してもよい。
シデロフォアおよびその鉄錯体の中でも、好ましくは、DfcyおよびFcyであり、より好ましくはDfcyである。複数のアミノ酸からなるペプチドは、皮膚における角層等により、皮膚透過性が低いことが知られている。これに対して、DfcyおよびFcyは、ペプチド構造を有するにもかかわらず、皮膚透過性に優れる。このため、例えば、皮膚透過性を向上するための他の添加剤によらず、皮膚を透過し、メラニン抑制作用を発揮することができる。このため、メラニン抑制剤の製造において、DfcyおよびFcyは、例えば、コスト面、安全面等において、非常に優れている。
本発明のメラニン抑制剤は、例えば、くすみ、シミ、ソバカス、雀卵班、老人性色素斑、肝斑、母斑、脂漏性角化症、炎症後の色素沈着、光線性花弁状色素斑等の色素沈着に対する、予防、改善、治療に有用である。
本発明のメラニン抑制剤の投与方法は、特に制限されず、例えば、経口投与、非経口投与があげられる。非経口投与は、例えば、経皮投与、皮下投与、静脈注射、筋肉注射、直腸投与、腹腔内投与、局所投与等があげられる。中でも、経皮投与が好ましい。本発明のメラニン抑制剤の投与対象は、特に制限されず、例えば、ヒト、または、マウス、ラット等の非ヒト動物等があげられる。本発明のメラニン抑制剤は、例えば、生体に投与してもよいし、生体から単離した組織、細胞、または培養組織もしくは培養細胞等に投与してもよい。
本発明のメラニン抑制剤は、例えば、医薬品、医薬部外品および化粧料等として使用できる。中でも、例えば、外用の医薬品および医薬部外品、すなわち、外用剤、ならびに化粧料であることが好ましく、より好ましくは、皮膚用の外用剤、ならびに皮膚用の化粧料である。本発明のメラニン抑制剤は、例えば、皮膚の美白用の外用剤および化粧料であることが好ましい。
本発明のメラニン抑制剤の形態は、特に制限されず、例えば、投与方法等によって適宜決定できる。前記形態は、液体、エマルジョン、クリーム、ゲル、粉末、固体等があげられる。前記液体状の場合、例えば、シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、溶媒に溶解されてもよいし、分散されてもよい。前記溶媒は、例えば、水、生理食塩水、緩衝液、有機溶媒、これらの混合溶媒等があげられる。前記エマルジョンは、例えば、W/O型、O/W型、O/W/O型、W/O/W型等の複合体があげられる。前記粉末または固体は、例えば、使用時において、溶媒に、溶解または分散させて、使用することもできる。
具体例として、前記医薬品および医薬部外品の剤型は、経口投与の場合、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤等があげられ、非経口投与の場合、例えば、外用剤、注射剤、点滴剤、座剤、軟膏剤等があげられる。前記化粧料の剤型は、例えば、液体、エマルジョン、クリーム、ゲル、軟膏、シート、ムース、粉末、エアゾール、パック等があげられる。具体的には、例えば、化粧水、乳液、クリーム、パック、美容液、軟膏、オイル等の基礎化粧料、石鹸、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングゲル、等の洗浄化粧料、ファンデーション、頬紅、口紅、白粉、アイシャドー、アイライナー等のメーキャップ化粧料、入浴剤等の浴用化粧料等があげられる。
本発明のメラニン抑制剤の投与量は、特に制限されず、シデロフォアまたはその鉄錯体の種類、投与方法、投与対象の種類、年齢、体重および症状等により、適宜決定できる。本発明のメラニン抑制剤において、シデロフォアおよびその鉄錯体の含有量は、特に制限されない。
本発明のメラニン抑制剤を経皮投与する場合、例えば、一回あたりのヒト成人の皮膚面積に対する塗布量は、前記メラニン抑制剤に含まれるシデロフォアおよび前記鉄錯体の合計量が、例えば、0.001〜0.5mg/cmの範囲であり、好ましくは0.05〜0.45mg/cmの範囲であり、さらに好ましくは0.05〜0.25mg/cmの範囲である。経皮投与の回数は、特に制限されず、例えば、一日あたり1〜8回であり、好ましくは1〜3回程度である。また、本発明のメラニン抑制剤を経皮投与する場合、例えば、前記塗布量となるように、含有量を設定すればよい。具体例としては、例えば、0.01〜99質量%の範囲であり、好ましくは、0.01〜50質量%、さらに好ましくは0.1〜25質量%の範囲である。前述のように、シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、単独でも皮膚への浸透性を示し、メラニン抑制効果を発揮する。
本発明のメラニン抑制剤を経口投与する場合、例えば、一日あたりのヒト成人に対する投与量は、例えば、500〜1000mgの範囲である。また、本発明のメラニン抑制剤を経口投与する場合、例えば、前記投与量となるように設定すればよい。具体例としては、内服用固形製剤の場合は、例えば、5〜30重量%程度であり、内服用液体製剤の場合、例えば、0.2〜1重量%程度であり、注射剤または点滴剤の場合、0.4〜2重量%程度であり、外用剤の場合、例えば、1〜10重量%程度であり、座剤の場合、例えば、2〜20重量%程度である。前記内服用固形製剤は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等の剤型があげられる。前記内服用液体製剤は、例えば、シロップ剤等の剤型があげられる。
本発明のメラニン抑制剤は、シデロフォアおよびその鉄錯体の他に、例えば、その剤型に応じて、添加剤を含んでもよい。前記添加剤は、薬学上許容される添加剤であることが好ましく、シデロフォアおよびその鉄錯体のメラニン抑制作用に、実質的に影響を与えないものが使用できる。前記添加剤は、例えば、医薬品、医薬部外品および化粧料の製造において、公知のものが使用できる。
前記添加剤は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、付湿剤、懸濁化剤、乳化剤、矯味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等があげられる。前記賦形剤は、例えば、乳糖、ショ糖、ブドウ糖等の各種の糖類;バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン等の各種デンプン類;結晶セルロース等の各種セルロース類;無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等の各種無機塩類;油剤等があげられる。前記結合剤は、例えば、結晶セルロース、プルラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等があげられる。前記崩壊剤は、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、デンプン、アルギン酸ナトリウム等があげられる。前記潤沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油等があげられる。前記付湿剤は、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、大豆リン脂質、グリセリン、ソルビトール等があげられる。前記懸濁化剤は、例えば、アラビアゴム、カンテン、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース等があげられる。前記乳化剤は、例えば、ポリソルベート80、アラビアゴム等があげられる。前記矯味剤は、例えば、単シロップ、ハチミツ、白糖、酒石酸等があげられる。前記芳香剤は、例えば、サリチル酸メチル、ウイキョウ油、オレンジ油、メントール等があげられる。前記保存剤は、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウムがあげられる。前記緩衝剤は、例えば、クエン酸緩衝液、炭酸水素ナトリウム緩衝液等があげられる。この他にも、例えば、界面活性剤、増粘剤等が前記添加剤としてあげられる。
本発明のメラニン抑制剤は、例えば、さらに、公知の美白剤を含んでもよい。前記美白剤は、例えば、アスコルビン酸またはその誘導体、アルブチン、リノール酸、ビタミンEまたはその誘導体、グリチルリチン酸またはその誘導体、トラネキサム酸、胎盤抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物等があげられる。
本発明のメラニン抑制剤は、さらに、保湿剤、細胞賦活剤/代謝活性化剤、脂肪代謝促進剤、紫外線防御剤/紫外線吸収促進剤、収斂剤、抗炎症剤/インターロイキン産生抑制剤/消炎剤、抗脂漏剤、抗菌剤/抗ウイルス剤、血流促進剤/血管刺激剤、抗アンドロゲン剤、構造タンパク質分解酵素の活性阻害剤、構造タンパク質合成促進剤、ムコ多糖類の分解酵素阻害剤、ムコ多糖類合成促進剤、細胞間脂質生成促進剤/細胞間脂質状態改善剤、角質溶解剤/角層剥離促進剤、プラスミノーゲンアクチベーター拮抗阻害剤、メイラード反応阻害剤、テストステロン5 α レダクターゼ活性阻害剤/毛乳頭活性化剤/発毛促進剤、毛母細胞増殖抑制剤/発毛抑制剤、毛髪膨潤剤/毛髪保護剤、有臭物質消去剤等があげられる。前記構造タンパク質分解酵素は、例えば、エラスターゼ、コラゲナーゼ、ケラチンプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、インテグリン分解酵素、インボルクリン分解酵素、フィラグリン分解酵素、ラミニン分解酵素、フィブロネクチン分解酵素、プロテオグリカン分解酵素等がある。前記ムコ多糖類は、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等がある。また、この他にも、例えば、植物系原料、動物系原料、微生物系原料、その他天然物原料等を由来とするエキスや代謝物等の成分等を含んでもよい。これらの他の成分は、特に制限されず、例えば、一般的に、0.0001〜50重量%の範囲である。
本発明のメラニン抑制剤の投与対象は、特に制限されず、例えば、ヒト、または、マウス、ラット等の非ヒト動物等があげられる。
<皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、前述のように、前記本発明のメラニン抑制剤を含むことを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、前記本発明のメラニン抑制剤を含むことが特徴であって、その他の構成等は何ら制限されない。本発明の皮膚外用剤は、特に示さない限り、前記本発明のメラニン抑制剤の説明を引用できる。本発明の皮膚外用剤は、美白用であることが好ましい。
<皮膚用化粧料>
本発明の皮膚用化粧料は、前述のように、前記本発明のメラニン抑制剤を含むことを特徴とする。本発明の皮膚用化粧料は、前記本発明のメラニン抑制剤を含むことが特徴であって、その他の構成等は何ら制限されない。本発明の皮膚用化粧料は、特に示さない限り、前記本発明のメラニン抑制剤の説明を引用できる。本発明の皮膚用化粧料は、美白用であることが好ましい。
<メラニン抑制方法等>
本発明のメラニン抑制方法は、本発明のメラニン抑制剤を投与する工程を含むことを特徴とする。本発明のメラニン抑制方法は、本発明のメラニン抑制剤を使用することが特徴であって、その他の工程および条件等は何ら制限されない。本発明において、メラニン抑制とは、前述のように、メラニンの生成抑制でもよいし、生成メラニンの分解でもよい。
本発明において、投与方法および投与対象は、特に制限されず、前述の通りである。本発明のメラニン抑制剤は、例えば、生体に投与してもよいし、生体から単離した組織、細胞、または培養組織もしくは培養細胞等に投与してもよい。中でも、投与方法は、生体の皮膚への投与が好ましい。
本発明は、メラニン抑制に使用するためのシデロフォアまたはその鉄錯体である。前記メラニン抑制は、前述の通りであり、例えば、メラニンの生成抑制でもよいし、生成メラニンの分解でもよい。本発明において、メラニン生成による疾患の治療、改善または予防の意味でもよい。前記メラニン生成による疾患とは、メラニンが生成されることによる、くすみ、シミ、ソバカス、雀卵班、老人性色素斑、肝斑、母斑、脂漏性角化症、炎症後の色素沈着、光線性花弁状色素斑等の色素沈着の疾患があげられる。
つぎに、本発明の実施例について説明する。本発明は、以下の実施例により制限されない。
[実施例1]
本例では、Dfcyについて、DPPHラジカル消去活性およびSOD様活性により抗酸化活性を評価した。
(1)Dfcy調製
アスペルギルス オリゼを、Czapek−Dox最少培地を用いて、30℃で7日間振とう培養した。前記培地(pH6.0)の組成は、2% グルコース、0.3% NaNO、0.2% KCl、0.1% KHPO、0.05% MgSOとした。培養終了後、ろ過により菌体と培養上清とを分離した。得られた前記培養上清から、限外ろ過膜を用いて分子量5000以上のタンパク質等の高分子を除去した後、得られたろ液を、下記疎水性カラムクロマトグラフィーに供した。そして、100% エタノールで溶出された溶出液を、Dfcy含有画分として回収した。
カラム:商品名アンバーライト(登録商標)XAD、オルガノ社製
前記溶出液において、Dfcyが精製されていることは、以下の方法により確認した。Fcyは、波長430nmに極大吸収を示す(Agr.Biol.Chem.,Vol.31,No.12,p1482)。そこで、前記溶出液と、前記溶出液に塩化第二鉄溶液を添加したものとを、それぞれ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して分析した。この結果、前記塩化第二鉄溶液を添加した場合にのみ、波長430nmに極大吸収を示したことから、前記操作により、Dfcyが精製されていることを確認した。
そして、前記溶出液を凍結乾燥して、Dfcyを得た。このDfcyを用いて、以下の試験を行った。
(2)2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)のラジカル消去活性
前記Dfcyについて、以下の方法によりDPPH消去活性を測定した。DPPHのラジカル消去活性は、50%のラジカルを消去するのに必要なDfcy濃度(ppm)として求めた。
まず、前記Dfcyを、所定の濃度となるように、0.1mol/L 酢酸ナトリウムバッファー(pH5.5)に溶解し、Dfcy溶液を調製した。DPPHを、0.5mmol/Lとなるように、エタノールに溶解して、DPPH溶液を調製した。そして、前記各Dfcy溶液10μLを、96穴ウエルプレートの各ウェルに添加し、さらに、0.1mol/L 酢酸ナトリウムバッファー(pH5.5)30μL、エタノール40μL、前記DPPH溶液20μLを、この順序で添加した。37℃で30分間静置した後、波長517nmの吸光度を測定した。コントロールは、前記Dfcy溶液に代えて、0.1mol/L 酢酸ナトリウムバッファー(pH5.5)10μLを添加した以外は、同様にして、吸光度を測定した。Dfcyを使用した反応液の吸光度およびコントロールの反応液の吸光度を、下記式に代入して、ラジカル消去活性(%)を算出した。
ラジカル消去活性(%)=[1−(X/Y)]×100
X:Dfcyを使用した反応液の吸光度
Y:コントロールの反応液の吸光度
対照例として、フェルラ酸(商品名trans-4-Hydroxy-3-methoxycinnamic acid 99%、ALDRICH社製)についても、前記Dfcyと同様にして、DPPH消去活性を測定した。
(3)SOD(スーパーオキシドジムスターゼ)様活性
前記Dfcyについて、以下の方法によりSOD様活性を測定した。SOD様活性は、50%のラジカルを消去するのに必要なDfcy濃度(ppm)として求めた。SOD様活性は、SODテストワコー(和光純薬工業社製)を用いて、その取り扱い説明書に従って測定し、値を求めた。
対照例として、フェルラ酸(商品名trans-4-Hydroxy-3-methoxycinnamic acid 99%、ALDRICH社製)について、前記Dfcyと同様にして、SOD様活性を測定した。
前記(2)および(3)の結果を、下記表2に示す。表2に示すように、Dfcyは、優れたDPPHのラジカル消去活性を示し、特に、SOD様活性は、強力な抗酸化活性で知られるフェルラ酸よりも優れた活性を示した。
(4)公知物質とのSOD様活性の比較
Dfcyの終濃度2000ppmの条件下とした以外は、前記(3)と同様にして、SOD様活性を測定した。
また、公知の抗酸化物質として、アルブチン、ビタミンC、ビタミンE、α−リポ酸についても、同様に、SOD様活性を測定した。
これらの結果を下記表3に示す。表3に示すように、Dfcy存在下でのスーパーオキシドアニオンの減少率は、72%であり、他の公知物質よりも格段に優れた結果を示した。
[実施例2]
実施例1のDfcyを用いて、in vitroでのメラニン生成の抑制効果を確認した。
(1)Dfcyのメラニン生成抑制
培養細胞として、マウスメラノーマB16のin vitro培養系である、マウスメラノーマ細胞4A5(独立行政法人理化学研究所)を使用した。前記細胞を、24穴プレートに、1ウェルあたり5×10個/mLとなるように播種し、37℃で7日間培養した。培地は、Dfcyを終濃度100−800ppmとなるように添加したDMEM培地を使用した。そして、培養後に、生成されたメラニンによる着色を目視で確認した。コントロールは、Dfcy未添加のDMEM培地を使用した。目視による判断は、以下の評価基準に従って行った。
(評価基準)
−:培地と同じ赤色
+:ピンク色
++:黄色
+++:薄い茶色
++++:濃い茶色
下記表4に、目視確認の結果を示す。表4に示すように、コントロールは、メラニン生成が進行したのに対して、Dfcyは、ほとんどメラニン生成が進行しなかった。
(2)公知物質とのメラニン生成抑制能の比較
Dfcyの終濃度を100ppmまたは200ppmとした以外は、前記(1)と同様にして、培養を行い、メラニン生成による着色を目視で確認した。また、比較例として、ビタミンEについても、同様に確認を行った。
下記表5に、目視確認の結果を示す。表5に示すように、コントロールは、メラニン生成が進行した。ビタミンEは、いずれの濃度でも、コントロールより、メラニン生成が若干抑制されたが、両濃度において、その結果はほぼ変わらなかった。これに対して、Dfcyは、200ppmにおいて、効果的にメラニン生成を抑制し、さらに、低濃度の100ppmにおいても、メラニン生成の十分な抑制が確認された。
[実施例3]
実施例1のDfcyを用いて、より生体に近いヒト三次元皮膚モデルでのメラニン生成の抑制効果を確認した。
評価は、メラノサイト含有ヒト3次元培養表皮モデル(商品名ラボサイト メラノ・モデル、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング社製)を使用し、その取り扱い説明書に従って行った。評価物質は、水で所定濃度に調製したDfcy溶液50μLを使用した。前記所定濃度は、500ppm、1000ppmとした。コントロールは、前記Dfcy溶液に代えて、水50μLを使用した。比較例は、水で100ppmまたは1000ppmに調製したビタミンC溶液50μLを使用した。そして、培養16日目に、色素沈着(メラニン生成)、産生メラノサイト、および、細胞の生存の確認を行った。
細胞の生存率は、MTT(3-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyltetrazolium Bromide)試薬を使用して、前記取り扱い説明書に従って求めた。そして、コントロールの生細胞数を1として、相対値を求めた。この結果を、下記表6に示す。
色素沈着、すなわち、メラニン生成は、前記取り扱い説明書に従って、以下の方法により定量した。まず、培養した3次元培養表皮をマイクロチューブに回収し、緩衝液(1% SDS、0.05mmol/L EDTA、10 mmol/L Tris−HCl)150μLを加えて浸漬させた。これに、プロテアーゼK(5mg/mL)3μLを添加し、45℃で16時間処理し、さらに、プロテアーゼK(5mg/mL)3μLを添加し、45℃で4時間処理した。前記処理後、500mmol/L 炭酸ナトリウムを含有する30% 過酸化水素水25μLを添加し、80℃で30分反応させた。前記反応液を遠心分離(15,000rpm、10分)して、上清を回収した。前記上清について、波長405nmの吸光度(Abs.405nm)と波長570nmの吸光度(Abs.570nm)とを測定し、Abs.405nmからAbs.570nmを差し引いた。そして、別途作成した検量線から、ウェルあたりのメラニン量を算出した。また、生成メラニン量について、コントロールにおける生成メラニン量を1として、相対値を求めた。さらに、生細胞あたりのメラニン量について、コントロールにおける値を1として、相対値を求めた。
産生メラノサイトは、培養した3次元培養表皮について、顕微鏡(33倍)により確認した。この結果を、図1に示す。図1において、黒い部分がメラノサイトを示す。
表6に示すように、ビタミンCは、コントロールと比較して、生成メラニン量が若干増加しているのに対して、Dfcyは、生成メラニン量が抑制され、添加濃度の増加に伴って、さらに効率よくメラニン生成を抑制できた。また、生細胞数は、コントロールと比較して、若干の減少にとどまっており、ビタミンCと同程度であることから、安全性に関しても問題ないことがわかった。また、図1に示すように、Dfcyによれば、コントロールおよびビタミンCよりも、メラノサイトの産生が抑制されており、特にDfcy 1000ppmでは、メラノサイトは確認されなかった。また、本実施例において、Dfcyは、水に分散させて添加したのみであるにもかかわらず、3次元培養表皮に浸透して、メラノサイトの産生の抑制、これに伴うメラニン生成の抑制を優れた効率で行うことができた。このため、Dfcyによれば、例えば、従来のメラニン抑制剤のように、有効成分を皮膚に浸透させるために、様々な添加剤を添加することなく、製剤化することが可能である。
以上のように、本発明のメラニン抑制剤によれば、シデロフォアまたはその鉄錯体を含むことによって、メラニン抑制が可能である。シデロフォアおよびその鉄錯体は、例えば、特殊な添加物等を使用しなくても、単独で生体への透過性を示し、メラニン抑制効果を発揮できる。また、シデロフォアおよびその鉄錯体は、その安全性に優れることからも、メラニン抑制剤として有用である。

Claims (2)

  1. デフェリフェリクリシンおよびその鉄錯体の少なくとも一方からなることを特徴とするメラニン抑制剤。
  2. メラニン生成を抑制する、請求項1記載のメラニン抑制剤。
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