JP3984522B2 - マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤に関し、詳しくは、ガンの転移、潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎、皮膚の老化等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防、抑制または症状の改善に効果が期待でき、かつ安全性の高いMMP阻害剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガンは、ほとんどの先進諸国における主要死亡原因の1つであり、我国では、およそ3割の人がガンで亡くなってい状況である。近年の外科療法、放射線療法の発達により、ガンの原発巣自体はほぼ取り除けるようになったが、それでも尚死亡率が高いのは、ガンが転移を起こす性質を有しているためと考えられており、転移が多発するようになったガンを治療することは現状では非常に困難であると言わざるをえない。従って、従来の原発巣の治療法に加えて、転移を抑制する方法を確立することが、ガン治療の大きな目的の1つであると考えられる。このような現況の中、徐々にではあるが転移のメカニズムが分子レベルで明らかになりつつあり、最近では、その転移プロセスの1つとして細胞外基質の分解系が注目されている。
【0003】
ガンの転移とは、原発部位から離脱したガン細胞が血流に乗って全身に散布され、他の臓器に生着し、その組織で再び増殖をはじめることである。一般に、腫瘍組織は、密な細胞外基質に囲まれているため、ガン細胞が原発部位からの移動を行うためには細胞外基質の酵素分解を必要とする。細胞外基質はコラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン等の多様な高分子によって構成されており、これら細胞外基質の分解に関わる主要な酵素群が、MMPである。MMPは、ガン組織中で血管が新生される際あるいはガンが転移する際に、発現量が上昇したり酵素の活性化が起こることが、例えば下記非特許文献1に記載されている。従って、これらの酵素の発現量の低下や活性阻害は、ガン細胞の浸潤性を抑制し、転移を抑えることに繋がると考えられる。
【0004】
【非特許文献1】
「腫よう湿潤およびマトリックスメタロプロティナーゼ合成のレチノイド仲介阻害」(Schoenermark M P等、『Annals New York Academy of Sciences』、Vol.878、第466−486頁、1999年)
【0005】
ガン細胞による高分子群の浸潤過程において、とりわけコラーゲンの分解は重要なステップである。例えば、ガン細胞が血管内へ侵入、および血管外へ脱出するためには、血管の基底膜に存在するIV型コラーゲンを分解する必要があるが、Liottaらはガン細胞が分泌するIV型コラーゲン分解酵素の作用がガンの転移能を決定する重要な因子であることを、下記非特許文献2において示している。MMPに属するゼラチナーゼは、線維芽細胞や内皮細胞、ガン細胞等が産生する酵素であり、IV型コラーゲン、ゼラチン、エラスチン等の基質を分解する。従って、例えばゼラチナーゼに対して阻害活性を有する物質は、ガン組織における血管新生やガンの転移を抑制する効果が期待され、ガン疾患の予防、治療に有用であると考えられる。
【0006】
【非特許文献2】
「転移可能性と基底膜コラーゲン酵素分解との相関」(Liotta LA等、『Nature』、Vol.284、第67−68頁、1980年)
【0007】
MMPはガン疾患のみならず、潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎等の種々の病態での細胞外基質の分解に中心的な役割を果たすことが、以下の非特許文献3に報告されている。さらに皮膚においては、紫外線等の外部刺激によって活性の亢進したMMPが皮膚の構造維持に重要な成分を分解することから、紫外線によって活性化する老化促進因子として最近特に注目されている。
【0008】
【非特許文献3】
「組織破壊性プロテアーゼとしてのマトリックスメタロプロテアーゼ」(中田光俊、岡田保典 『呼吸』、Vol.18、No.4、第365−371頁、1999年)
【0009】
それゆえMMPの阻害剤は、MMPの亢進が原因で起こる上記疾患の治療及び改善に有用であると考えられることから、各方面で盛んにスクリーニングが行われてきた。こうした阻害剤については、下記の文献に記載されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−40552号公報
【特許文献2】
特開平11−147833号公報
【特許文献3】
特開2000−226311号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明においては、高転移性悪性腫瘍細胞株により産生されるMMPに対して阻害活性を有し、ガンの転移等、MMPの亢進が原因として起こる疾患を予防及び改善しうるMMP阻害剤を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、安全性の高い植物抽出物に素材を求め、MMP阻害活性のスクリーニングを行った。その結果、マンネンタケの溶媒抽出物が優れたMMP阻害効果を有し、また実験的肺転移モデルを用いた動物実験においても、高いガン転移抑制効果を有していることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、上述の課題の少なくとも一つは、マンネンタケの溶媒抽出物を有効成分とすることを特徴とするMMP阻害剤によって達成される。
【0013】
また、本発明は、マンネンタケの溶媒抽出物を含有することを特徴とするMMP亢進性疾患の予防、抑制、または症状の改善などを目的とした医薬品、医薬部外品、化粧品または食品としても把握することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明に用いられるマンネンタケは、生薬「霊芝」に用いられる担子菌であり、マンネンタケ科(Ganodermataceae)、マンネンタケ属(Ganoderma)に属し、霊芝(赤芝)、黒霊芝(黒芝)、紫芝等が含まれる。その学名は、文献[Acta Microbiologica Sinica、19(3)、265−279、1979]によると、霊芝(赤芝)(学名:Ganoderma lucidum)、黒霊芝(学名:Ganoderma atrum)、紫芝(学名:Ganoderma sinense)に分類されているが、それに限定されるものではない。本発明に用いられるマンネンタケは、広く中国や日本市場で流通されているものを用いることができる。また、マンネンタケの中でも、霊芝(赤芝)及び黒霊芝が好ましく、黒霊芝が最も好ましい。
【0015】
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級1価アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1、3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、上記低級アルコール類及びケトン類等の極性溶媒が良い。これらの溶媒は1種でも2種以上を混合して用いても良い。また、内服に用いる場合は、この中から内服に適した溶媒を選択できる。
【0016】
マンネンタケの溶媒抽出物の配合量は特に限定されないが、MMP亢進性疾患の予防改善医薬品、医薬部外品、化粧品または食品の全量中、乾燥物として0.0005〜10.0重量%、好ましくは0.005〜5.0重量%である。0.0005重量%未満であると本発明の効果が十分に発揮されにくく、10.0重量%以上配合しても効果の増強はみられにくく不経済である。
【0017】
マンネンタケの溶媒抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて濃縮、希釈、濾過等の処理及び活性炭等による脱色、脱臭処理をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
【0018】
本発明のMMP阻害剤は、MMP亢進性疾患の予防、抑制あるいは症状の改善を目的とする医薬品、医薬部外品、化粧品または食品には、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲内で、通常の医薬品、医薬部外品、化粧品、食品に用いられる成分である賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤、油脂類、ロウ類等の成分を配合することもできる。
【0019】
本発明の剤型としては、例えば、散剤、丸剤、錠剤、注射剤、座剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤等を含む)、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、錠菓、飲料等が挙げられる。
【0020】
次に本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に示す配合量の部とは重量部を示す。
【0021】
製造例1 黒霊芝の熱水抽出物
黒霊芝の乾燥物20gに400mLの精製水を加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して黒霊芝の熱水抽出物を1.4g得た。
【0022】
製造例2 黒霊芝の50%エタノール抽出物
黒霊芝の乾燥物100gに900mLの50%エタノールを加えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、黒霊芝の50%エタノール抽出物を1.9g得た。
【0023】
製造例3 黒霊芝のエタノール抽出物
黒霊芝の乾燥物100gに900mLのエタノールを加えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、黒霊芝のエタノール抽出物を1.5g得た。
【0024】
製造例4 霊芝(赤芝)の熱水抽出物
霊芝(赤芝)の乾燥物20gに400mLの精製水を加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥して霊芝(赤芝)の熱水抽出物を2.0g得た。
【0025】
製造例5 霊芝(赤芝)の50%エタノール抽出物
霊芝(赤芝)の乾燥物100gに900mLの50%エタノールを加えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、霊芝(赤芝)の50%エタノール抽出物を3.1g得た。
【0026】
製造例6 霊芝(赤芝)のエタノール抽出物
霊芝(赤芝)の乾燥物100gに900mLのエタノールを加えて、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、霊芝(赤芝)のエタノール抽出物を2.5g得た。
【0027】
実施例1 散剤1
処方 配合量
1.黒霊芝の熱水抽出物(製造例1) 2.0部
2.乾燥コーンスターチ 38.0
3.微結晶セルロース 60.0
[製法]成分1〜3を混合し、散剤1とする。
【0028】
実施例2 散剤2
実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を黒霊芝の50%エタノール抽出物(製造例2)に置き換えたものを散剤2とする。
【0029】
実施例3 散剤3
実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)に置き換えたものを散剤3とする。
【0030】
実施例4 散剤4
実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を黒霊芝の熱水抽出物(製造例1)と霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)の等量混合物に置き換えたものを散剤4とする。
【0031】
比較例1 散剤A(マンネンタケの溶媒抽出物未配合の散剤)
実施例1において、黒霊芝の熱水抽出物を乾燥コーンスターチに置き換えたものを散剤Aとする。
【0032】
実施例5 錠剤
処方 配合量
1.黒霊芝のエタノール抽出物(製造例3) 5.0部
2.乾燥コーンスターチ 25.0
3.カルボキシメチルセルロースカルシウム 20.0
4.微結晶セルロース 40.0
5.ポリビニルピロリドン 7.0
6.タルク 3.0
[製法]成分1〜4を混合し、次いで成分5の水溶液を結合剤として加えて顆粒成形する。成形した顆粒に成分6を加えて打錠する。1錠0.52gとする。
【0033】
実施例6 錠菓
処方 配合量
1.霊芝(赤芝)の50%エタノール抽出物(製造例5) 2.0部
2.乾燥コーンスターチ 50.0
3.エリスリトール 40.0
4.クエン酸 5.0
5.ショ糖脂肪酸エステル 3.0
6.香料 適量
7.水 適量
[製法]成分1〜4及び7を混合し、顆粒成形する。成形した顆粒に成分5及び6を加えて打錠する。1粒1.0gとする。
【0034】
実施例7 飲料
処方 配合量
1.霊芝(赤芝)のエタノール抽出物(製造例6) 1.0部
2.ステビア 0.05
3.リンゴ酸 5.0
4.香料 0.1
5.水にて全量を100とする
[製法]成分2及び3を少量の水に溶解する。次いで、成分1、4及び5を加えて混合する。
【0035】
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
【0036】
実験例−1 MMP阻害試験
ゼラチンザイモグラフィーを用いて、マンネンタケの溶媒抽出物のゼラチナーゼ活性に対する阻害試験を行った。すなわち、0.6mg/mLのゼラチンを含む10%SDS−PAGEゲル(1mm厚)を作製し、B16マウスメラノーマ細胞の培養上清0.014mLを非還元条件下で電気泳動した。その後ゲルを2.5%TritonX−100(SIGMA社製)の溶液にて室温で30分間2回洗浄してSDSを除去し、200mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、0.01%brij−35(SIGMA社製)を含む30mMトリス塩酸緩衝液(pH7.6)中にて37℃で24時間インキュベートした。この際、黒霊芝の熱水抽出物(製造例1)、霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)または黒霊芝の熱水抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等量混合物をゲルを浸した緩衝液中に添加した。反応終了後ゲルを0.2%クマシーブリリアントブルーR(マクシー社製)の溶液にて染色し、5%メタノール−7.5%酢酸溶液にて脱色した。青色のゲル上で染色されないバンドとして検出されるゼラチナーゼ活性をデンシトメーター(アトー社製、アトーデンシトグラフ、AE−6905)にて定量化し、阻害率を算出した。阻害率(単位は%)の計算は、この例では、用いたデシントメータの数値を利用して、次式(1)により計算した。その結果、表1に示すように、マンネンタケの溶媒抽出物はB16マウスメラノーマ細胞の産生するゼラチナーゼを濃度依存的に阻害した。
【0037】
阻害率={1−(A/B)}×100 …(1)
A:マンネンタケの溶媒抽出液を添加した場合のデシントメータの数値
B:マンネンタケの溶媒抽出液を添加しない場合のデシントメータの数値
【0038】
【表1】
【0039】
実験例−2 MMP阻害試験
また、同様の阻害試験を、霊芝(赤芝)の50%エタノール抽出物(製造例5)、霊芝(赤芝)のエタノール抽出物(製造例6)、黒霊芝の50%エタノール抽出物(製造例2)、黒霊芝のエタノール抽出物(製造例3)を用いて行なった。この結果を、表2に示した。なお、この4つの例では反応中の終濃度は、いずれも0.03%と、極めて低濃度であった。にもかかわらず、エタノールを用いて抽出したマンネンタケの抽出物は、B16マウスメラノーマ細胞の産生するゼラチナーゼを、熱水抽出物より低濃度で効果的に阻害した。
【0040】
【表2】
【0041】
実験例−2 ガン転移抑制試験
C57BL/6マウスに対し、黒霊芝の熱水抽出物(製造例1)、霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)または黒霊芝の熱水抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等量混合物を1日1回、100mg/kgとなるように腹腔経路にて1週間連続投与を行った。対照群には生理食塩水を腹腔内投与した。動物の例数は一群8匹とした。次いで、B16マウスメラノーマ細胞をマウス1匹あたり1x105 個となるように尾静脈より注入した。その後も試料の投与は継続し、ガン細胞の接種から3週間後に肺を摘出し、10%ホルマリン溶液中で固定した。ホルマリン固定した肺を5葉に分割し、表面に形成された転移巣の数をカウントした。その結果、表3に示すように、マンネンタケの溶媒抽出物の投与により転移巣の形成は対照群と比較して有意に抑制され、十分な抗転移効果を有することがわかった。
【0042】
【表3】
【0043】
以上より、黒霊芝の熱水抽出物(製造例1)、霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)及び黒霊芝の熱水抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等量混合物は、MMP阻害作用とガン転移抑制効果に優れていた。また、黒霊芝と霊芝(赤芝)の50%エタノール抽出物及びエタノール抽出物(製造例2,3,5及び6)についても試験を行ったところ、同様にMMP阻害作用とガン転移抑制効果に優れていた。
【0044】
実験例−3 ガン転移抑制試験
市販の飼料(オリエンタル酵母工業製:マウス・ラット飼育用−MF)に、黒霊芝の熱水抽出物(製造例1)、黒霊芝の50%エタノール抽出物(製造例2)、霊芝(赤芝)の熱水抽出物(製造例4)または黒霊芝の熱水抽出物と霊芝(赤芝)の熱水抽出物の等量混合物をそれぞれ配合した本発明の散剤1〜4(実施例1〜4)をそれぞれ5.0%添加した飼料を調製し、自由に摂取させた。同様に、マンネンタケの抽出物未配合の散剤A(比較例1)を5.0%添加した飼料を調製し、自由に摂取させた(対照群)。動物の例数は一群8匹とした。散剤添加飼料による飼育開始から2週間後、実験例2の場合と同様にガン細胞の移植を行い、3週間後に転移巣の数をカウントした。その結果、表4に示すように、飼料にマンネンタケの溶媒抽出物を含む散剤を混合することにより、転移巣の形成は対照群(比較例)と比較して有意に抑制され、ガン転移の抑制に効果的であることが示された。
【0045】
【表4】
【0046】
実施例5の錠剤及び実施例6の錠菓については、乳鉢で粉末化した試料を用いて散剤と同様の試験を行った。また、実施例7の飲料については、試料0.3mLを胃ゾンデを用いて1日1回経口投与し、同様にガン転移に対する効果を調べた。その結果、実施例5〜7についても同様のガン転移抑制効果が認められた。
【0047】
【発明の効果】
以上より、マンネンタケの溶媒抽出物はガン細胞の産生するMMPに対する阻害効果を有し、MMPが関与して起こるガンの転移に対しても抑制効果を示した。本発明のMMP阻害剤は、ガンの転移、潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎、皮膚の老化等、MMPの亢進が原因で起こる各種疾患の予防、抑制、症状の改善に有用である。
Claims (1)
- 黒霊芝の溶媒抽出物を含有したマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を含有することを特徴とし、マトリックスメタロプロテアーゼ亢進性疾患であるガンの転移の予防、抑制または症状の改善を目的とする医薬品または医薬部外品。
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