しかしながら、前述の図18(a)に示した従来例では、図18(b)に示すように、下地木材51の取り付け位置が柱1の表面1b側にずれてしまうと下地材2の表面2aが柱1の表面1bよりも突出してしまう。その結果、柱1の表面1b及び下地材2の表面2aに跨って取り付けられる石膏ボード4に段差52が生じてしまい、平滑な壁面が得られない。このため下地木材51を精度良く取り付ける必要があり、施工に手間がかかるといった問題があった。
また、特許文献1〜3の工法によれば、柱1の表面1bと、下地材2の表面2aとを容易に揃えて取り付けることができるものの、柱1の表面1bに取り付けられる下地金物の板厚分だけ、或いはそれに加えて下地金物を柱1の表面1bにビス止めした場合のビス頭分だけ壁面に不陸が生じるといった問題があった。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、建物の構造体に下地材を精度良く且つ容易に取り付けることができ、且つ該下地材の表面と構造体の表面に跨って設けられる壁面に不陸が生じない下地材取付部材を提供せんとするものである。
前記目的を達成するための本発明に係る下地材取付部材の第1の構成は、建物の構造体に下地材を取り付けるための下地材取付部材であって、前記構造体の固定面に当接して固定される構造体取付部と、前記構造体の固定面に対して略直角な前記下地材の裏面に当接する下地材取付部と、が形成された取付部材と、前記構造体の表面に当接する位置出し部と、前記取付部材に設けられた係合部に着脱可能に係合し得る位置決め係合部と、が形成された位置出し部材と、を有し、前記位置出し部材の位置決め係合部を前記取付部材の係合部に係合することで、前記位置出し部材の位置出し部の裏面と、前記取付部材の下地材取付部の表面との離間距離が前記下地材の厚さに対応した距離に設定され、前記位置出し部材の位置出し部を前記構造体の表面に当接した状態で前記取付部材の構造体取付部を前記構造体の固定面に当接して固定し、該取付部材の下地材取付部に下地材の裏面を当接して固定することで、前記構造体に取り付ける前記下地材の表面が該構造体の表面と略面一になるように設定されることを特徴とする。
また、本発明に係る下地材取付部材の第2の構成は、前記第1の構成において、前記位置出し部材の位置決め係合部又は前記取付部材に設けられた係合部が、前記下地材の厚さ方向に複数設けられ、前記位置出し部材の位置決め係合部と前記取付部材に設けられた係合部との係合位置を、前記下地材の厚さに対応して、適宜選択し得るように構成されたことを特徴とする。
また、本発明に係る下地材取付部材の第3の構成は、前記第1、第2の構成において、前記位置出し部材の前記位置出し部に至る途中に該位置出し部を切除可能な溝部が設けられ、該溝部よりも前記位置出し部側で該位置出し部に設けられた取手部を有することを特徴とする。
また、本発明に係る下地材取付部材の第4の構成は、前記第1〜第3の構成において、前記取付部材の前記下地材取付部に複数の固定孔が形成され、前記下地材を前記下地材取付部に固定する固定具が前記複数の固定孔の何れかに固定し得ることを特徴とする。
また、本発明に係る下地材取付部材の第5の構成は、建物の構造体に下地材を取り付けるための下地材取付部材であって、前記構造体の固定面に当接して固定される構造体取付部と、前記構造体に取り付ける前記下地材の表面が該構造体の表面と略面一になるように前記下地材の厚さに対応した位置で前記構造体の固定面に対して略直角な前記下地材の裏面または表面に当接する下地材取付部と、前記下地材の表面が該構造体の表面と略面一になる位置で前記構造体の表面に当接する位置出し部と、前記構造体取付部の前記位置出し部に至る途中に該位置出し部を切除可能な溝部と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る下地材取付部材の第6の構成は、建物の構造体に下地材を取り付けるための下地材取付部材であって、第一固定部と、前記第一固定部から略直角に持ち出される第二固定部と、前記第二固定部の略反対方向に延設される第一当接片と、前記第一固定部の略反対方向に延設される第二当接片とを有する位置出し部と、を有し、前記第一当接片を前記構造体表面に当接した場合には、前記第一固定部が前記構造体側面に固定され、前記第二固定部と前記下地材とが固定される構成になり、前記第二当接片を前記構造体表面に当接した場合には、前記第二固定部が前記構造体側面に固定され、前記第一固定部と前記下地材とが固定される構成になることを特徴とする。
また、本発明に係る下地材取付部材の第7の構成は、建物の構造体に下地材を取り付けるための下地材取付部材であって、前記構造体の固定面に当接して固定される構造体取付部と、表面が前記構造体の表面と略面一になる位置で前記構造体取付部と略直角に突出し、前記下地材の表面側に当接する第1の下地材取付部と、前記下地材の厚さに対応した位置で前記第1の下地材取付部の突出方向と同方向に前記構造体取付部と略直角に突出し、前記第1の下地材取付部と協働して前記下地材を挟み込むと共に、該下地材の裏面側に当接する第2の下地材取付部と、前記構造体の表面に当接した際に前記構造体に取り付ける前記下地材の表面に当接した前記第1の下地材取付部の表面が該構造体の表面と略面一になる位置で前記第1、第2の下地材取付部の突出方向と反対方向に前記構造体取付部と略直角に突出する位置出し部と、前記構造体取付部の前記位置出し部に至る途中に該位置出し部を切除可能な溝部とを有することを特徴とする。
本発明に係る下地材取付部材の第1の構成によれば、位置出し部材の位置決め係合部を取付部材の係合部に係合することで、位置出し部材の位置出し部の裏面と、取付部材の下地材取付部の表面との離間距離が下地材の厚さに対応した距離に設定される。そして、位置出し部材の位置出し部を構造体の表面に当接した状態で取付部材の構造体取付部を構造体の固定面に当接して固定し、該取付部材の下地材取付部に下地材の裏面を当接して固定することで、構造体に取り付ける下地材の表面と該構造体の表面とを略面一にすることが出来る。
本発明に係る下地材取付部材の第2の構成によれば、取付部材に設けられた係合部と、位置出し部材の位置決め係合部との係合位置を下地材の厚さに対応して適宜選択することで、共通の下地材取付部材を使用して厚さの異なる下地材を取り付ける場合に容易に対応出来る。
本発明に係る下地材取付部材の第3の構成によれば、取手部を把持して位置出し部を溝部で容易に切除することができる。
本発明に係る下地材取付部材の第4の構成によれば、下地材を下地材取付部に固定する際に、該下地材の表面側から固定孔が見えない状態であっても複数の固定孔の何れかに固定具を固定することが出来、作業性が良い。
本発明に係る下地材取付部材の第5の構成によれば、該下地材取付部材を柱、梁、屋根、天井、床などの構造体に固定する際に、位置出し部を該構造体の表面に当接し、構造体取付部を構造体の固定面に固定し、下地材取付部に下地材を固定することで、該下地材の表面と構造体の表面とを容易に面一にすることが出来る。そして、位置出し部を溝部で切除することで、下地材の表面と構造体の表面とに跨って設けられる壁面に不陸が生じない。
本発明に係る下地材取付部材の第6の構成によれば、該下地材取付部材を柱、梁、屋根、天井、床などの構造体に固定する際に、下地材の板厚に対応して、第一、第二固定部、並びに第一、第二当接片を適宜選択する。そして、位置出し部の第一、第二当接片を下地材の板厚に対応して適宜選択して該構造体の表面に当接する。下地材の板厚が小さいときは該下地材の裏面側に配置される一方の固定部に該下地材を当接して固定し、下地材の板厚が大きいときは該下地材の表面側に配置される他方の固定部に該下地材を当接して固定する。これにより、下地材の板厚が小さくビス等の固定具との係止長さが小さい場合には、ビスの頭部とビス止めされた固定部とにより下地材を挟持して固定出来、下地材の板厚が大きくビス等の固定具との係止長さが長い場合には、下地材の表面側から固定部のビス穴が見えるため固定作業が容易である。そして、位置出し部を溝部で切除することで、下地材の表面と構造体の表面とに跨って設けられる壁面に不陸が生じない。
本発明に係る下地材取付部材の第7の構成によれば、該下地材取付部材を柱、梁、屋根、天井、床などの構造体に固定する際に、位置出し部を該構造体の表面に当接し、構造体取付部を構造体の固定面に固定し、第1、第2の下地材取付部間に下地材を挟み込んで該第2の下地材取付部に固定することで、該下地材の表面に当接する第1の下地材取付部の表面と構造体の表面とを容易に面一にすることが出来る。そして、位置出し部を溝部で切除することで、下地材の表面に当接する第1の下地材取付部の表面と構造体の表面とに跨って設けられる壁面に不陸が生じない。また、固定ビスを第2の下地材取付部側から取り付けることが出来るためビスの頭部が下地材の表面側にならず不陸の発生をより精度良く防止できる。
図により本発明に係る下地材取付部材の一実施形態を具体的に説明する。
先ず図1及び図2を用いて本発明に係る下地材取付部材の第1実施形態の構成について説明する。建物の構造体となる柱1、梁、屋根、天井、床などに合板等の下地材2を取り付けるための本実施形態の下地材取付部材5は、図1に示すように、低発泡ポリスチレン製で断面L字形状で構成され、構造体となる柱1の固定面1aに当接して固定される構造体取付部5aと、下地材2の裏面2bに当接する下地材取付部5bと、が形成された取付部材11と、構造体となる柱1の表面1bに当接する断面コ字形状で構成される位置出し部5cと、取付部材11に設けられた係合部となる凹部5h1に着脱可能に係止し得る位置決め係合部となる凸部5g1とが形成された位置出し部材12とを有して構成される。本実施形態では、図1に示すように、取付部材11の構造体取付部5aに形成された溝部5h内に位置出し部材12の接合部5gが嵌入して接合される。
取付部材11の構造体取付部5aの底面には、位置出し部材12の接合部5gの板厚に対応する深さを有する溝部5hが形成されており、該溝部5hの4箇所に係合部となる凹部5h1が形成されている。一方、位置出し部材12の接合部5gにおいて取付部材11の溝部5hに対面する側には凹部5h1に対応する位置決め係合部となる凸部5g1が2箇所に設けられている。そして、取付部材11の溝部5hに設けられた複数の係合部となる二対の凹部5h1に、位置出し部材12の接合部5gに設けられた一対の凸部5g1を選択的に嵌合させることにより、取り付ける下地材2の厚さに対応して位置出し部材12の位置出し部5cの裏面となる脚部5c2の先端部と、取付部材11の下地材取付部5bの表面との離間距離が複数の離間距離の中から適宜設定され、取付部材11と位置出し部材12とが接合されて下地材取付部材5を構成する。位置出し部材12の断面コ字形状で構成される位置出し部5cと、平板状の接合部5gとの折曲部には該位置出し部5cを切除可能な溝部5dが形成される。
本実施形態の位置出し部5cは断面コ字形状で構成され、その脚部5c2が構造体となる柱1の表面1bに当接した際に該柱1に取り付ける下地材2の表面2aが該柱1の表面1bと略面一になり、脚部5c2に連続される梁部5c3を取手部として把持して位置出し部5cを溝部5dで切除可能とされる。
図2(a)に示すように、取付部材11の溝部5hに設けられた凹部5h1に、位置出し部材12の接合部5gに設けられた凸部5g1を選択的に嵌合させて取付部材11と位置出し部材12とを接合した下地材取付部材5の位置出し部5cの脚部5c2を構造体となる柱1の表面1bに当接し、構造体取付部5aに形成されたビス穴5a1にビス3を挿通して柱1にビス止めして構造体取付部5aを該構造体となる柱1の固定面1aに固定する。次に、下地材取付部5bに下地材2をビス3によりビス止めして固定する。図2(a)の左側では2枚の合板からなる下地材2を下地材取付部5bにビス止めし、図2(a)の右側では1枚の合板からなる下地材2を下地材取付部5bにビス止めした一例である。
そして、図2(a)の左側では梁部5c3を取手部として把持して溝部5dを中心にして図2(a)の時計回り方向に押し倒すことで位置出し部5cが溝部5dで切除され、図2(a)の右側では梁部5c3を取手部として把持して溝部5dを中心にして図2(a)の反時計回りに押し倒すことで位置出し部5cが溝部5dで切除される。溝部5dは柱1の表面1bと略面一になる箇所に形成されており、構造体取付部5aに接合して延長された接合部5gの先端部が柱1の表面1bから突出しない。そして、図18に示すと同様に、位置出し部5cを除去した後の下地材2の表面2aと柱1の表面1bとに跨って壁材となる石膏ボード4を当接し、ビス3により柱1にビス止めして壁材が取り付けられる。
上記構成によれば、位置出し部材12の位置決め係合部となる凸部5g1を、取付部材11の係合部となる凹部5h1に選択的に係合することで、位置出し部材12の位置出し部5cの裏面となる脚部5c2の先端部と、取付部材11の下地材取付部5bの表面との離間距離が下地材2の厚さに対応した距離に設定される。そして、位置出し部材12の位置出し部5cを構造体となる柱1の表面1bに当接した状態で取付部材11の構造体取付部5aを柱1の固定面1aに当接して固定し、該取付部材11の下地材取付部5bに下地材2の裏面2bを当接して固定することで、柱1に取り付ける下地材2の表面2aと該柱1の表面1bとを略面一にすることが出来る。
また、取付部材11に設けられた係合部となる凹部5h1と、位置出し部材12の位置決め係合部となる凸部5g1との係合位置を下地材2の厚さに対応して適宜選択することで、共通の下地材取付部材5を使用して厚さの異なる下地材2を取り付ける場合に容易に対応出来る。
また、位置出し部5cと取手部とが断面コ字形状の脚部5c2と梁部5c3とで一体的に形成されたことで構成が簡単である。
尚、前記実施形態では、屋内側の壁下地材を構造体としての柱1に取り付ける場合の一例について説明したが、屋外側の壁下地材を構造体に取り付ける場合や、屋根面、天井面、床面に設けられる各種の構造体に下地材を取り付ける場合にも適用可能である。
次に、図3〜図8を用いて本発明に係る下地材取付部材の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
図3〜図8において、本実施形態の下地材取付部材5は、断面L字形状で、構造体となる柱1の固定面1aに当接して固定される構造体取付部5aと、下地材2の裏面2bに当接する下地材取付部5bと、が形成された取付部材11と、柱1の表面1bに当接する位置出し部5cと、取付部材11に設けられた係合部となる係止片5iに着脱可能に係合し得る複数の位置決め係合部となる係止穴5jと、が形成された位置出し部材12とを有して構成される。複数の係止穴5jは位置出し部材12の長手方向に直線上に所定ピッチで形成されている。
そして、位置出し部材12の複数の係止穴5jから下地材2の厚さに対応する所定の係止穴5jを選択して該係止穴5jを取付部材11の係止片5iに係合することで、位置出し部材12の位置出し部5cの裏面5c4と、取付部材11の下地材取付部5bの表面5b2との離間距離が該下地材2の厚さに対応した距離に設定される。
そして、図6に示すように、位置出し部材12の位置出し部5cの裏面5c4を柱1の表面1bに当接した状態で取付部材11の構造体取付部5aを柱1の固定面1aに当接してビス3により固定し、該取付部材11の下地材取付部5bに下地材2の裏面2bを当接してビス3により固定する。これにより、柱1に取り付ける下地材2の表面2aが該柱1の表面1bと略面一になるように設定される。
本実施形態では、取付部材11に設けられた係合部となる係止片5iと、位置出し部材12の位置決め係合部となる係止穴5jとの係合に際して、複数の係止穴5jから下地材2の厚さに対応して所定の係止穴5jを適宜選択して該係止穴5jを係止片5iに係合して係止することで、該位置出し部材12の位置出し部5cの裏面5c4と、取付部材11の下地材取付部5bの表面5b2との離間距離が異なる複数の離間距離に設定される。
本実施形態では、図6に示すように、ビス3により柱1に取付部材11を固定した後、位置出し部材12の係止穴5jを取付部材11の係止片5iから脱離して該位置出し部材12を下地材取付部5bと係止片5iとの間に形成された間隙13から引き抜いて、図7(a)に示すように、位置出し部材12を除去することが出来る。
本実施形態では、取付部材11の下地材取付部5bにビス3の外径に対応する複数の固定孔5b3が形成され、下地材2を下地材取付部5bに固定する固定具となるビス3が複数の固定孔5b3の何れかに固定される。本実施形態の固定孔5b3は正三角形を複数組み合わせた形状の各頂点の位置に固定孔5b3を形成したものである。
上記構成によれば、位置出し部材12に複数設けられた係止穴5jのうちから下地材2の厚さに対応する所定の係止穴5jを選択して該係止穴5jを取付部材11の係止片5iに係合することで、位置出し部材12の位置出し部5cの裏面5c4と、取付部材11の下地材取付部5bの表面5b2との離間距離が下地材2の厚さに対応した距離に設定される。そして、位置出し部材12の位置出し部5cを柱1の表面1bに当接した状態で取付部材11の構造体取付部5aを柱1の固定面1aに当接して固定し、該取付部材11の下地材取付部5bに下地材2の裏面2bを当接して固定することで、柱1に取り付ける下地材2の表面2aと該柱1の表面1bとを略面一にすることが出来る。
また、取付部材11に設けられた係止片5jと、位置出し部材12の係止穴5jとの係合位置を下地材2の厚さに対応して複数の係止穴5jから所定の係止穴5jを適宜選択することで、共通の下地材取付部材5を使用して厚さの異なる下地材2を取り付ける場合に容易に対応出来る。
また、柱1に取付部材11を固定した後は、位置出し部材12の係止穴5jを取付部材11の係止片5iから脱離して該位置出し部材12を下地材取付部5bと係止片5iとの間に形成された間隙13から引き抜いて除去することが出来、前記第1実施形態のように位置出し部材12を埋め殺しとした構成とは異なり、本実施形態では、除去した位置出し部材12の再利用が可能である。
また、図7(a)に示すように、下地材2を下地材取付部5bに固定する際に、該下地材2の表面2a側から固定孔5b3が見えない状態であっても複数の固定孔5b3の何れかにビス3を固定することが出来、作業性が良い。
下地材取付部材5により下地材2を柱1に固定した後は、図7(b)及び図8に示すように、下地材2の表面2aと柱1の表面1bとに跨って壁材となる石膏ボード4を当接し、ビス3により柱1にビス止めして壁材が取り付けられる。他の構成は、前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図9及び図10を用いて本発明に係る下地材取付部材の第3実施形態の構成について説明する。図9及び図10は本発明に係る下地材取付部材の第3実施形態の構成を示す。図9及び図10において、5は建物の柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体に合板等の下地材2を取り付けるための下地材取付部材である。尚、前記実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
下地材取付部材5は、柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体の固定面1aに当接して固定される構造体取付部5aと、柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体に取り付ける下地材2の表面2aが該構造体の表面1bと略面一になるように該下地材2の厚さに対応した位置で構造体取付部5aと略直角に突出し、該下地材2の裏面2bに当接する下地材取付部5bと、柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体の表面1bに当接した際に該構造体に取り付ける下地材2の表面2aが該構造体の表面1bと略面一になる位置で下地材取付部5bの突出方向と反対方向に構造体取付部5aと略直角に突出する位置出し部5cと、構造体取付部5aの位置出し部5cに至る途中に該位置出し部5cを切除可能な溝部5dと、該溝部5dよりも位置出し部5c側で該位置出し部5cに設けられた取手部5eを有して構成される。本実施形態の取手部5eは構造体取付部5aの延長線上に形成されている。
本実施形態の下地材取付部材5はアルミニウム製の形材や亜鉛メッキ鋼板等をプレス成型されたものである。溝部5dの断面形状はV字形状やU字形状等の種々の断面形状で形成することができる。
そして、図10(a)に示すように、下地材取付部材5の位置出し部5cを構造体となる柱1の表面1bに当接し、該構造体取付部5aに設けられたビス穴5a1に皿ネジからなるビス3を挿入してビス止めすることで構造体取付部5aを該柱1の固定面1aに固定する。次に、下地材取付部5bに合板等の下地材2を当接して表面2a側からビス3によりビス止めして固定する。このとき、ビス3の頭部が下地材2の表面2aから突出しないようにビス止めする。尚、下地材2は合板以外にも木製角材、鋼製角材等も適用出来る。
次に図10(a)の状態から取手部5eを把持して溝部5dを中心にして図10(a)の反時計回りに押し倒すことで取手部5eと位置出し部5cとが一体的に溝部5dで切除される。溝部5dは柱1の表面1bと略面一になる箇所に形成されており、構造体取付部5aの先端部が柱1の表面1bから突出しない。そして、図10(b)に示すように、下地材2の表面2aと柱1の表面1bとに跨って壁材となる石膏ボード4を当接し、ビス3により柱1にビス止めして壁材が取り付けられる。
上記構成によれば、下地材取付部材5を柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体に固定する際に、位置出し部5cを該構造体の表面1bに当接し、構造体取付部5aを構造体の固定面1aに固定し、下地材取付部5bに下地材2を固定することで、該下地材2の表面2aと構造体の表面1bとを容易に面一にすることが出来る。そして、構造体に下地材2を固定した後は、不要となる位置出し部5cを溝部5dで切除することで、下地材2の表面2aと構造体の表面1bとに跨って設けられる石膏ボード4などからなる壁面に不陸が生じない。また、構造体に下地材2を固定した後は、不要となる位置出し部5cを取手部5eを把持して溝部5dで容易に切除することができる。
尚、本実施形態では構造体としての柱1と柱1との間に下地材2を横方向に掛け渡す場合について説明したが、構造体として梁や横架材相互の間に下地材2を上下方向に掛け渡す場合についても同様に適用出来る。
次に図11〜図13を用いて本発明に係る下地材取付部材の第4実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の下地材取付部材5は、第一固定部5kと、該第一固定部5kから略直角に持ち出される第二固定部5mと、該第一固定部5kの略反対方向に延設される第一当接片5pと、第二固定部5mの略反対方向に延設される第二当接片5nとを有する位置出し部とを有し、図12(a)に示すように、第一当接片5pを構造体となる柱1の表面1bに当接した場合には、第一固定部5kが柱1の側面となる固定面1aに固定され、該第二固定部5mと下地材2とが固定される構成になり、図13(a)に示すように、第二当接片5nを構造体となる柱1の表面1bに当接した場合には、第二固定部5mが柱1の側面となる固定面1aに固定され、第一固定部5kと下地材2とが固定される。
また、本実施形態の下地材取付部材5は、構造体となる柱1と、下地材2とが選択的に固定される断面L字形状の第一、第二固定部5k,5mと、該第二固定部5mに接続されると共に、柱1の表面1bに当接した際に該柱1に取り付ける下地材2の表面2aが該柱1の表面1bと略面一になる位置に設定し得る位置出し部となる第一、第二当接片5p,5nと、第二固定部5mと位置出し部となる第二当接片5nとの接続部で該第二当接片5nから先端部を切除可能な溝部5dとを有して構成されている。
図11に示すように、第二当接片5nは第二固定部5mに対して直角に折り曲げられ、第一固定部5kに延長した状態で、図12に示すように板厚の小さい下地材2の板厚に対応する長さを有している。第二固定部5mと第二当接片5nとの接続部(コーナー部近傍)には溝部5dが形成されている。第一当接片5pは第二当接片5nに対して直角に折り曲げられ、第二固定部5mに平行に配置されている。取手部5eは第一当接片5pに対して直角に折り曲げられ、第二当接片5nに平行に配置されている。
図11(b)に示すように、第一固定部5kには長穴により構成されるビス穴5k1が2つ設けられ、該ビス穴5k1の外側には皿ネジの頭部が嵌合し得るビス穴5k2が2つ設けられている。また、図11(b)に示すように、第二固定部5mには長穴により構成されるビス穴5m1が2つ設けられ、該ビス穴5m1の中央部と外側にはビス3の外径に対応する複数の固定孔5m2が形成され、図12に示すように、薄厚の下地材2を第二固定部5mに固定する固定具となるビス3が複数の固定孔5m2の何れかに固定される。本実施形態の固定孔5m2は正三角形を複数組み合わせた形状の各頂点の位置に固定孔5m2を形成したものである。
図12に示すように、板厚の小さい下地材2を柱1に取り付ける場合には、柱1の表面1bに第一当接片5pを当接した状態で第一固定部5kを柱1の固定面1aに当接し、第一固定部5kに設けられたビス穴5k1にビス3を挿通して該第一固定部5kを柱1の固定面1aに固定する。
次に図12(a)の状態から取手部5eを把持して溝部5dを中心にして図12(a)の反時計回りに押し倒すことで、図12(b)に示すように、取手部5eと第一、第二当接片5p,5nとが一体的に溝部5dで切除される。そして、図12(c)に示すように、下地材2の表面2a側からビス3を複数の固定孔5m2の何れかに固定する。その後、下地材2の表面2aと柱1の表面1bとに跨って壁材となる石膏ボード4を当接し、ビス3により柱1にビス止めして壁材が取り付けられる。
図13に示すように、板厚の大きい下地材2を柱1に取り付ける場合には、柱1の表面1bに第二当接片5nを当接した状態で第二固定部5mを柱1の固定面1aに当接し、第二固定部5mに設けられたビス穴5m1にビス3を挿通して該第一固定部5kを柱1の固定面1aに固定する。次に第一固定部5kの表面側から頭部が皿ネジのビス3をビス穴5k2に挿通して下地材2を固定する。
そして、図13(a)の状態から取手部5eを把持して溝部5dを中心にして図13(a)の反時計回りに押し倒すことで、図13(b)に示すように、取手部5eと第一、第二当接片5p,5nとが一体的に溝部5dで切除される。溝部5dは柱1の表面1bと略面一になる箇所に形成されており、第二固定部5mの端部が柱1の表面1bから突出しない。そして、図13(b)に示すように、その後、下地材2の表面2aと柱1の表面1bとに跨って壁材となる石膏ボード4を当接し、ビス3により柱1にビス止めして壁材が取り付けられる。
本実施形態によれば、該下地材取付部材5を柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体に固定する際に、下地材2の板厚に対応して、断面L字形状の第一、第二固定部5k,5m、並びに第一、第二当接片5p,5nを適宜選択して該柱1の表面1bに当接する。図12に示すように、下地材2の板厚が小さいときは該下地材2の裏面2b側に配置される一方の第二固定部5mに該下地材2を当接して固定し、図13に示すように、下地材2の板厚が大きいときは該下地材2の表面2a側に配置される他方の第一固定部5kに該下地材2を当接して固定する。これにより、下地材2の板厚が小さくビス3等の固定具との係止長さが小さい場合には、ビス3の頭部とビス止めされた第二固定部5mとにより下地材2を挟持して固定出来、下地材2の板厚が大きくビス3等の固定具との係止長さが長い場合には、下地材2の表面2a側から第一固定部5kのビス穴5k2が見えるため固定作業が容易である。そして、取手部5eと第一、第二当接片5p,5nとを一体的に溝部5dで切除することで、下地材2の表面2aと柱1の表面1bとに跨って設けられる石膏ボード4からなる壁面に不陸が生じない。
また、下地材2を第二固定部5mに固定する際に、該下地材2の表面2a側から固定孔5m2が見えない状態であっても複数の固定孔5m2の何れかにビス3等の固定具を固定することが出来、作業性が良い。他の構成は、前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に図14〜図17を用いて本発明に係る下地材取付部材の第5実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の下地材取付部材5は、図14及び図15に示すように、柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体の固定面1aに当接して固定される構造体取付部5aと、表面5f1が構造体となる柱1の表面1bと略面一になる位置で構造体取付部5aと略直角に突出し、下地材2の表面2a側(表面側)に当接する第1の下地材取付部5fと、下地材2の厚さに対応した位置で第1の下地材取付部5fの突出方向と同方向に構造体取付部5aと略直角に突出し、該第1の下地材取付部5fと協働して下地材2を挟み込むと共に、該下地材2の裏面2b側(裏面側)に当接する第2の下地材取付部5bと、構造体となる柱1の表面1bに当接した際に該柱1に取り付ける下地材2の表面2aに当接した第1の下地材取付部5fの表面5f1が該柱1の表面1bと略面一になる位置で第1、第2の下地材取付部5f,5bの突出方向と反対方向に構造体取付部5aと略直角に突出する位置出し部5cと、構造体取付部5aの位置出し部5cに至る途中に該位置出し部5cを切除可能な溝部5dと、該溝部5dよりも位置出し部5c側で該位置出し部5cに設けられた取手部5eを有して構成される。
本実施形態の溝部5dは、構造体取付部5aと、該構造体取付部5aから同一平面上に延長された取手部5eとの間に形成されており、該取手部5eと略直角で且つ第1、第2の下地材取付部5f,5bの突出方向と反対方向に位置出し部5cが突出したものである。
そして、図16及び図17(a)に示すように、下地材取付部材5の位置出し部5cを構造体となる柱1の表面1bに当接し、該位置出し部5cに設けられたビス穴5c1にビス3を挿通して仮止めする。そして、構造体取付部5aを構造体となる柱1の固定面1aに当接し、ビス穴5a1にビス3を挿通してビス止めして固定した状態で、図16に示すように、第1、第2の下地材取付部5f,5b間に下地材2を挿入して該下地材2を仮止めする。
このように、下地材取付部材5の位置出し部5cを構造体となる柱1の表面1bに当接した状態で、構造体取付部5aを該柱1の固定面1aに固定し、第1、第2の下地材取付部5f,5b間に下地材2を挟み込んだ状態で仮止めし、該第2の下地材取付部5bのビス穴5b1にビス3を挿通して下地材2をビス止めにより固定する。このとき下地材2のビス止めに使用するビス3の長さは該下地材2の板厚以下のものを使用する。本実施形態では下地材2の柱1内部側からビス止めできるためビス3の頭部が下地材2の表面2a側に突出ことがなく、壁面の不陸をより精度良く防止できる。
図17(b)は図17(a)に示すように、構造体取付部5aを柱1の固定面1aに固定し、第2の下地材取付部5bに下地材2を固定した状態から位置出し部5cを構造体となる柱1の表面1bに仮止めしていたビス3を取り外した後、取手部5eを把持して溝部5dを中心にして図17(a)の反時計回りに押し倒すことで取手部5eと位置出し部5cとが一体的に溝部5dで切除される。溝部5dは柱1の表面1bと略面一になる箇所に形成されており、構造体取付部5aの先端部が柱1の表面1bから突出しない。そして、図17(c)に示すように、下地材2の表面2aに当接する第1の下地材取付部5fの表面5f1と柱1の表面1bとに跨って壁材となる石膏ボード4を当接し、ビス3により柱1にビス止めして壁材が取り付けられる。
上記構成によれば、下地材取付部材5を柱1、梁、屋根、天井、床などの構造体に固定する際に、位置出し部5cを該構造体の表面1bに当接し、構造体取付部5aを構造体の固定面1aに固定し、第1、第2の下地材取付部5f,5b間に下地材2を挟み込んで該第2の下地材取付部5bに固定することで、該下地材2の表面2aに当接する第1の下地材取付部5fの表面5f1と構造体の表面1bとを容易に面一にすることが出来る。そして、構造体に下地材2を固定した後は、不要となる位置出し部5cを溝部5dで切除することで、下地材2の表面2aに当接する第1の下地材取付部5fの表面5f1と構造体の表面1bとに跨って設けられる石膏ボード4からなる壁面に不陸が生じない。また、固定ビス3を第2の下地材取付部5b側から取り付けることが出来るためビス3の頭部が下地材2の表面2a側にならず不陸の発生をより精度良く防止できる。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を奏する。