JP4584863B2 - 配線ボックスの取付方法及び配線ボックス - Google Patents

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Description

本発明は、配線ボックスの軽量形鋼材への取付方法及び配線ボックスに関する。
従来より、建物の壁への配線器具の設置は、前記壁の構築前に、例えば造営材としての柱に配線ボックスを取り付けておき、壁の構築後に、壁の表側から壁材に穿孔を穿設して配線ボックスを壁の表側に臨ませ、さらに、前記穿孔から前記配線ボックスに配線器具を収容することで行われる。一般に、前記配線ボックスは前面に開口部を有する有底四角箱状に形成されており、前記穿孔が壁材に穿設されたとき、前記開口部が穿孔を介して壁の表側に臨むように柱に取り付けられている。また、配線器具の設置時、該配線器具が配線ボックス内へ収容されるようにするため、配線ボックスはその開口部が壁材の裏面の直近に位置するように柱に取り付けられる。このため、柱への配線ボックスの取り付けは、該配線ボックスの開口面が、柱において壁材の裏面に臨む面(以下、前面とする)と略同一平面上に位置するように柱に取り付けられる。
配線ボックスの柱への取付作業は、柱の前面と配線ボックスの開口面とが略同一平面上に位置するように、配線ボックスの側壁を柱の側面に当接させ、その当接状態を手で保持しながら配線ボックスの側壁を貫通させたねじを柱に強制的に螺入して行われる。そして、特許文献1には、配線ボックス(電線連結筐)の開口面と、柱(木柱)の前面とを略同一平面上に位置させることを容易とする配線ボックスが開示されている。特許文献1に開示された配線ボックスは、基板に筐体が組み付けられて四角箱状をなし、前記基板が柱に取り付けられた後、該基板に筐体が組み付けられることで柱に筐体が取り付けられるようになっている。前記基板には、該基板を柱に取り付ける際に、柱の前面に係止する係止片が設けられている。この係止片は、前記基板を柱の側面に当接させたときに柱の前面に係止し、この係止により基板の側面を柱の前面と略同一平面上に位置させるようになっている。そして、係止片を用いて基板の側面と柱の前面とを略同一平面上に位置させた状態で基板を柱に保持し、その保持状態のまま基板の柱への取付作業が行われ、その後、基板に筐体が取り付けられ、該筐体を基板に沿って移動させることで配線ボックスの開口面を柱の前面と略同一平面上に位置させることができるようになっている。
また、特許文献2には、配線ボックス(配線・配管用ボックス)の開口面と、前記造営材としての軽量形鋼材の前面とを略同一平面上に位置させることを容易とする配線ボックスが開示されている。なお、前記軽量形鋼材は、壁としての軽量間仕切壁を構築する際に用いられる薄鋼板(金属)製の柱である。また、前記軽量間仕切壁は、間隔をおいて立設された複数の軽量形鋼材を挟むように壁材が立設されて構築されるものである。この軽量間仕切壁を構築するには、まず、略コ字状をなす長尺状のランナーを、天井と床のそれぞれに該ランナーの開口が互いに対向するように固定する。次に、上下両ランナーの内側に各軽量形鋼材の上下両端部をそれぞれ差し込み、次いで、立設される壁材に合わせて軽量形鋼材をランナーの長さ方向へスライド移動させて位置調整し、その調整された位置で壁材を軽量形鋼材及びランナーに固定することにより、軽量間仕切壁が構築されるようになっている。
そして、特許文献2に開示の配線ボックスは、軽量形鋼材への取付の際、該軽量形鋼材に当接する側壁(当接部)の端面に一対の係合突片(係合突部)が設けられている。この係合突片は、前記側壁(当接部)を軽量形鋼材の側面に当接させたときに軽量形鋼材のコーナ角部に係合し、この係合により配線ボックスの開口面を、軽量形鋼材の前面と略同一平面上に位置させることが可能となっている。そして、係合突片を用いて配線ボックスの開口面を、軽量形鋼材の前面と略同一平面上に位置させた状態で配線ボックスを軽量形鋼材に保持し、その保持状態で配線ボックスの側壁を貫通させたねじを軽量形鋼材に強制的に螺入することで配線ボックスが軽量形鋼材へ取り付けられるようになっている。
実開昭56−73118号公報 特開平11−275732号公報
ところが、特許文献1及び特許文献2においては、柱に対して係止片を係止させた状態、又は軽量形鋼材に対して係合突片を係合させた状態を手により保持し、その保持状態のまま柱又は軽量形鋼材にねじが螺入されることで配線ボックスが柱又は軽量形鋼材に取り付けられる。しかし、手による配線ボックスの保持状態では、配線ボックスの位置ずれが生じやすい。特に、軽量形鋼材は金属製であるため、配線ボックスが軽量形鋼材に対して滑りやすい。したがって、ねじを柱又は軽量形鋼材に螺入する作業を行うとき、配線ボックスが位置ずれしやすく、配線ボックスを柱又は軽量形鋼材に取り付ける作業が行いにくいという問題があった。また、軽量間仕切壁の施工上、軽量形鋼材は壁材と固定されるまでランナーに沿って移動可能となっている。このため、ねじを軽量形鋼材に螺入するために、該ねじを軽量形鋼材に押し付けたとき軽量形鋼材がランナーに沿って移動し、配線ボックスも位置ずれしてしまうことがあり、配線ボックスを軽量形鋼材に取り付ける作業が非常に行いにくいという問題があった。
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、配線ボックスを造営材に仮固定することができ、造営材に配線ボックスを取り付ける作業を容易に行うことができる配線ボックスの取付方法及び配線ボックスを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、造営材に対する配線ボックスの取付方法であって、前記配線ボックスは、側壁によって囲み形成されたボックス開口部が前面及び後面のうち少なくとも前面に開口するボックス本体を備え、前記ボックス本体の側壁には、前記造営材の壁部に当接させる当接部が設けられているとともに、該当接部が設けられた側壁には、ボックス本体の外方へ突設され、かつ前記造営材の壁部に突き刺し可能な突刺体が設けられており、前記突刺体を前記造営材に突き刺して配線ボックスを造営材に仮固定し、前記突刺体が突き刺された前記造営材の壁部に、固定部材を挿通可能な固定孔が形成されている前記当接部を当接させ、前記固定孔から前記当接部が当接された造営材の壁部に固定部材を固定することによって配線ボックスを造営材に取り付けることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の配線ボックスの取付方法において、前記配線ボックスは、前記ボックス開口部の開口面が、前記当接部が当接された壁部に隣接し、かつ直交する別の壁部の壁面と略同一平面上に位置するように造営材に仮固定されることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、造営材に取り付けられる配線ボックスであって、側壁によって囲み形成されたボックス開口部が前面及び後面のうち少なくとも前面に開口するボックス本体を備え、前記ボックス本体の側壁には、前記造営材の壁部に当接させる当接部が設けられているとともに、該当接部が設けられた側壁には、ボックス本体の外方へ突設され、かつ前記造営材の壁部に仮固定する突き刺し可能な突刺体が設けられ、前記当接部には、当接させる造営材の壁部に固定する固定部材を挿通可能な固定孔が形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の配線ボックスにおいて、前記突刺体は、頭部と該頭部から延設された軸部とからなり、前記突刺体は、インサート成形によって前記頭部が前記当接部が設けられた側壁に一体化されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の配線ボックスにおいて、前記当接部が設けられた側壁における前記ボックス開口部側には、ボックス本体の外方へ延設され、かつ裏面が前記ボックス開口部の開口面と同一平面上に位置する突出部が設けられていることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の配線ボックスにおいて、前記造営材は、軽量間仕切壁を構築するための軽量形鋼材であり、該軽量形鋼材における前記壁部は、軽量形鋼材の立設方向へ延びる開口部を形成する一対のリップ部よりなり、前記突刺体は、前記突出部の裏面を軽量間仕切壁の壁表側に位置する壁部に当接させた状態で、該壁表側に位置する壁部に隣接するリップ部に対向した位置に設けられていることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の配線ボックスにおいて、前記突刺体において前記ボックス本体の側壁からの突出長さは、前記突出部において前記ボックス本体の側壁からの突出長さより短く設定されていることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の配線ボックスにおいて、前記突出部は、ボックス本体から除去可能であることを要旨とする。
本発明によれば、配線ボックスを造営材に仮固定することができ、造営材に配線ボックスを取り付ける作業を容易に行うことができる。
以下、本発明を具体化した配線ボックスの取付方法及び配線ボックスの一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。
まず、軽量間仕切壁Wについて説明する。図1に示すように、軽量間仕切壁Wは、天井(図示せず)と床(図示せず)に固定される上下一対のランナーRと、該ランナーR間に立設された造営材としての複数の軽量形鋼材Pと、該軽量形鋼材P及び前記ランナーRに固定されることで立設される壁材Waとから構築されている。前記壁材Waは、一般的に使用される石膏ボードが用いられる。前記ランナーRは長尺状をなすとともに、ランナーRの長さ方向に対して直交する断面視がコ字状をなし、長さ方向へ延びる開口を有する。そして、ランナーRが天井と床それぞれに固定された状態では、両ランナーRの開口が互いに対向している。
図1、図4及び図6に示すように、前記軽量形鋼材Pは配線ボックス10が取り付けられる造営材であって、薄鋼板からなり、軽量形鋼材Pの立設方向(長さ方向)に対して直交する方向への平断面視が略C字状をなすC型鋼である。軽量形鋼材Pは、立設方向に延びる開口部Paと、該開口部Paに相対向する背面板部Pbと、該背面板部Pbを挟む一対の側板部Pcとを備えている。また、前記開口部Paは、前記一対の側板部Pcから延設された相対向する一対のリップ部Pdの間に形成されているとともに、各リップ部Pdは前記背面板部Pbと相対向している。なお、軽量形鋼材Pにおいて、図1の矢印Y1に示す方向を該軽量形鋼材Pの立設方向とし、矢印Y2に示す方向を、軽量形鋼材Pの立設方向に対して直交する幅方向とする。
そして、軽量間仕切壁Wを構築するには、まず、図1に示すように、天井と床に固定された上下各ランナーRの内側へ軽量形鋼材Pの上端部及び下端部をそれぞれ挿入し、ランナーRを用いて軽量形鋼材Pを立設する。このとき、軽量形鋼材PはランナーRに対して固定されず、該ランナーRの長さ方向へ移動可能になっている。また、軽量形鋼材Pの開口部Paが同じ方向に向けられるとともに、前記壁材Waが設置される側の一対の側板部Pcの外壁面は、それぞれ同一平面上に配置される。次に、壁材Waの上下方向へ延びる両側縁部及び該両側縁部間の中央部に軽量形鋼材Pが位置するように軽量形鋼材PをランナーRに沿って移動させた後、壁材Waをビス(図示せず)によってランナーRに固定するとともに、壁材Waと軽量形鋼材Pとをビス(図示せず)によって固定すると、軽量間仕切壁Wが構築される。
次に、軽量間仕切壁Wに配線器具(例えば、コンセント)を設置するため、前記軽量形鋼材Pに取り付けられる配線ボックス10について説明する。図2及び図3に示すように、配線ボックス10は合成樹脂材料よりなり、有底四角箱状に形成されたボックス本体11を備えている。前記ボックス本体11は、四角板状をなす底壁12と、該底壁12の側縁に立設された側壁13〜16とから形成されているとともに、前記側壁13〜16によって囲み形成されたボックス開口部Saを前面に有している。図2及び図7の2点鎖線に示すように、ボックス本体11において、底壁12と相対向し前記ボックス開口部Saが開口する前記前面を、ボックス本体11の開口面Sとし、全ての側壁13〜16において、ボックス開口部Sa側の端面は全て開口面S上に位置している。なお、側壁13〜16のうち、ボックス本体11の短辺側の一対の側壁を上側壁13と下側壁14とし、長辺側の一対の側壁を左側壁15と右側壁16とする。
図2及び図3に示すように、前記左側壁15の開口面S側には、該左側壁15に隣接する上側壁13と下側壁14とを連結する方向(以下、左側壁15の長さ方向とする)に延びる延設部15aが設けられている。この延設部15aは、左側壁15の壁面に対して直交するように外方へ延設されているとともに、延設部15aにおけるボックス開口部Sa側の面は開口面S上に位置している。すなわち、延設部15aは、左側壁15におけるボックス開口部Sa側の端面の一部を構成している。また、左側壁15には、複数(本実施形態では3つ)の当接部21が、左側壁15の長さ方向に沿って等間隔おきに形成されている。各当接部21において、ボックス本体11の外方へ臨み、左側壁15の壁面に対して平行をなす面は、前記軽量形鋼材Pの壁部としての一対のリップ部Pdに当接させる当接面21aを構成している。この当接面21aは前記延設部15aにおいて左側壁15の壁面に対して平行をなす面と同一平面上に位置している。また、各当接部21には複数(本実施形態では2つ)の固定孔27が形成されているとともに、各固定孔27は配線ボックス10(ボックス本体11)を軽量形鋼材Pに固定する固定部材としてのねじNを挿通可能に形成されている(図7参照)。各固定孔27は、略円孔状に形成されている。
前記延設部15aには、2つの係合突部22が左側壁15の壁面に対して直交するように、外方へ突設されている。各係合突部22は、前記当接部21(当接面21a)をリップ部Pdに当接させた状態で、リップ部Pdと、該リップ部Pdに隣接する側板部Pcとの間のコーナ部Cに係合可能に形成されている。すなわち、各係合突部22は、前記コーナ部Cに沿った円弧状をなしている。図2〜図7に示すように、延設部15aにおいて、左側壁15の長さ方向における中央部であり、2つの係合突部22の間には突出部23が突設されている。この突出部23は、所要の厚みを有するとともに、成人男性の手、具体的には指によって押圧可能な平板状に形成されている。また、突出部23は、その表面23A及び裏面23Bが左側壁15の壁面に対して直交するようにボックス本体11の外方へ延設されている。なお、突出部23の表面23Aとは、配線ボックス10が軽量形鋼材Pに取り付けられたとき、壁表側に臨む面のことであり、突出部23の裏面23Bは前記表面23Aと相対向する面のことである。また、突出部23は、裏面23Bがボックス本体11の開口面Sと同一平面上に位置するように形成されている。
そして、突出部23の表面23Aには、複数の凹部23dが形成されているが何も突設されていない。このため、突出部23の表面23Aは、指で押圧することに不都合が発生せず、また、指で押さえるのに適したサイズに形成されている。すなわち、突出部23は、指より小さすぎず、また大きすぎないサイズに形成されている。そして、突出部23の表面23Aは、指で押圧するのに適した押圧部を構成している。突出部23の延設部15a側(基端側)には、突出部23を厚み方向へ貫通する透孔23aが形成されている。図9に示すように、該透孔23aには把持工具としてのペンチ50の一方の把持片50aの先端が挿入可能になっている。そして、透孔23aにペンチ50の一方の把持片50aを挿入し、該一方の把持片50aとペンチ50の他方の把持片50bとで、突出部23の一部を突出部23の短辺方向から把持することが可能となっている。すなわち、突出部23において、その短辺方向へ透孔23aと並ぶ部位はペンチ50によって把持される被把持部23bを構成している。
また、図8に示すように、突出部23の裏面23Bには、挿入凹所23cが凹設されている。この挿入凹所23cは、前記当接部21(当接面21a)がリップ部Pdに当接し、突出部23の裏面23Bが軽量形鋼材Pの側板部Pcに当接した状態において、突出部23の裏面23Bと側板部Pcの外壁面との間に隙間が形成されるように外方に向けて開放している。このため、前記隙間、すなわち、挿入凹所23cにドライバ(マイナス)Dの先端を挿入することが可能となっている。そして、挿入凹所23cにドライバDの先端が挿入された状態で該ドライバDを傾動させると、ドライバDの先端が挿入凹所23cの内面に係合するようになっている。図4に示すように、延設部15aにおいて、突出部23と延設部15aとの連結箇所の近傍には、それぞれ細溝状をなす挿入溝24が凹設されている。この挿入溝24には、前記ドライバDの先端を挿入することが可能となっている。
図2、図3、図5、図6及び図7に示すように、左側壁15において、隣り合う当接部21の間であり、左側壁15の長さ方向に沿ってボックス開口部Sa側の固定孔27と並ぶ位置には、2本の突刺体28がボックス本体11の外方へ突出するように設けられている。この突刺体28は、頭部28aと該頭部28aから延びる軸部28bとを備えたコンクリートピンよりなる。突刺体28は、配線ボックス10の成形時に、インサート成形によって頭部28aが左側壁15に埋め込まれ、かつ軸部28bを左側壁15を貫通させるようにすることでボックス本体11に一体化されている。このため、左側壁15の内壁面には、突刺体28の頭部28aが埋め込まれた膨出部15bが設けられている(図6参照)。また、左側壁15の外壁面からの突刺体28(軸部28b)の突出長さは、前記突出部23における左側壁15の外壁面からの突出長さより短くなっている。
次に、上記配線ボックス10の軽量形鋼材Pへの取付方法について説明する。
まず、図1に示すように、ランナーRに複数の軽量形鋼材Pが立設された状態において、図5に示すように、配線ボックス10を取り付ける軽量形鋼材Pに対し、突出部23の裏面23Bを側板部Pcの外壁面に当接させる。この突出部23の裏面23Bが当接される側板部Pcは、軽量間仕切壁Wの壁表側となる側板部Pcである。そして、突出部23の裏面23Bは、ボックス本体11の開口面Sと同一平面上に位置するように形成されているため、突出部23の裏面23Bが当接した側板部Pcの外壁面とボックス本体11の開口面Sとは略同一平面上に位置している。なお、この略同一平面とは、ボックス本体11の開口面Sと側板部Pcの外壁面とが同一平面上に位置する場合は当然のこと、ボックス本体11の開口面Sが側板部Pcの外壁面より僅かに後退した位置にある場合も含むものとする。
なお、突刺体28の突出長さは、突出部23の突出長さより短くなっている。このため、突刺体28の先端をリップ部Pdに接触させることなく突出部23の裏面23Bを側板部Pcの外壁面に当接させることができる。また、突出部23の裏面23Bが側板部Pcの外壁面に当接された状態では、該側板部Pcに隣接し、かつ直交するリップ部Pdと対向する位置に突刺体28が位置している。突出部23が当接された側板部Pcは、軽量間仕切壁Wの壁表側となる側板部Pcであるため、該側板部Pcに隣接するリップ部Pdは壁表側に位置し、この壁表側に位置するリップ部Pdに突刺体28が対向している。
次いで、治具(ウォータプライヤー)70を用いて左側壁15と軽量形鋼材Pの背面板部Pbとを挟み込み、突刺体28を前記リップ部Pdに向けて押し込むと、突刺体28がリップ部Pdに突き刺さる。さらに、治具70によって突刺体28をリップ部Pdに突き刺すと、当接部21の当接面21aがリップ部Pdに当接するとともに、係合突部22が、リップ部Pdと側板部Pcとの間のコーナ部Cに係合する。ここで、突出部23の裏面23Bが側板部Pcの外壁面に当接している。このため、突刺体28がリップ部Pdに刺し込まれていくとき、突出部23によってボックス本体11の開口面Sと側板部Pcの外壁面とが略同一平面上に位置した状態で配線ボックス10がスライド移動するようにガイドされる。そして、2本の突刺体28がリップ部Pdに突き刺さることにより、配線ボックス10が軽量形鋼材Pのリップ部Pd上で立設方向及び幅方向へ移動することが規制されるとともに、回転することも規制される。すなわち、図6に示すように、配線ボックス10は、ボックス本体11の開口面Sと側板部Pcの外壁面とが略同一平面上に位置し、かつ移動が規制された状態で軽量形鋼材Pに仮固定される。
この仮固定状態において、突出部23の裏面23Bが側板部Pcの外壁面に当接した状態では、突出部23は側板部Pcの幅方向の中心線よりリップ部Pd側に位置している。このため、図7に示すように、軽量形鋼材Pを背面板部Pb側から手で掴んだとき、指(親指)が位置する場所に突出部23が配設されており、突出部23の表面23Aを側板部Pcに向けて親指で押圧することができる。そして、該親指によって突出部23の表面23Aを押圧すると突出部23の裏面23Bが側板部Pcに押し当てられるとともに、親指と側板部Pcとの間に突出部23が挟持される。そして、手で軽量形鋼材Pを掴むとともに、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定した状態で、壁表側に位置する一方のリップ部Pdに対向する固定孔27のうち、左側壁15の長さ方向の中央部に位置する固定孔27にねじNを貫通させ、さらにねじNをリップ部Pdに強制的に螺入する。
このとき、配線ボックス10は2本の突刺体28により、軽量形鋼材Pに対して幅方向及び立設方向へ移動することが規制され、さらに、回転することも規制されている。そして、移動が規制された配線ボックス10の固定孔27から、一方のリップ部PdへのねじNの螺入により、軽量形鋼材PにはランナーRの長さ方向へ移動させる大きな力が作用するが、軽量形鋼材Pは手によって掴まれているため、軽量形鋼材Pが移動することが防止される。したがって、ねじNの螺入作業が行われる際、突刺体28による仮固定によって、配線ボックス10は移動することが規制され、さらに、軽量形鋼材Pの移動も無いため、配線ボックス10の軽量形鋼材Pへの取付作業が容易に行われる。
また、固定孔27は略円孔状をなす。このため、例えば、固定孔27がボックス本体11の深さ方向へ延びる長孔状に形成されている場合のように、ねじNをリップ部Pdに螺入するとき、ねじNが固定孔27に沿って移動してしまうことを防止することができる。したがって、固定孔27によってリップ部PdにガイドされたねじNをリップ部Pdへ螺入する作業性をより一層向上させることができる。
そして、ねじNがリップ部Pdに螺入され、配線ボックス10が軽量形鋼材Pに取付られた後は、突出部23がボックス本体11から除去される。配線ボックス10が軽量形鋼材Pに取り付けられた状態において、側板部Pcの外壁面と突出部23の裏面23Bとの間には、挿入凹所23cが側方へ開放されている。そして、図8に示すように、ドライバDの先端を挿入凹所23c内に挿入し、該ドライバDの先端を突出部23の裏面(挿入凹所23cの内面)に係合させた状態でドライバDを傾動させる。すると、図8の2点鎖線に示すように、突出部23が基端側から折り曲げられる。このドライバDの傾動を繰り返すことにより、突出部23が基端側から折り取られ、ボックス本体11から除去される。
又は、図9に示すように、ペンチ50の把持片50aを透孔23aに挿入し、両把持片50a,50bによって被把持部23bを把持する。その後、被把持部23bを把持したペンチ50によって突出部23をボックス本体11から切り離して除去してもよい。そして、配線ボックス10が軽量形鋼材Pに取り付けられ、さらに、突出部23がボックス本体11から除去された後、ランナーRに壁材Waが固定され、さらに、軽量形鋼材Pと壁材Waとが固定されて軽量間仕切壁Wが構築される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ボックス本体11の左側壁15に突刺体28を設け、配線ボックス10の軽量形鋼材Pへの取付時に突刺体28をリップ部Pdに突き刺して、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定可能にした。そして、突刺体28による配線ボックス10の仮固定により、軽量形鋼材Pに対する配線ボックス10の移動が規制されるため、配線ボックス10を保持する必要がない。したがって、配線ボックス10をねじNで軽量形鋼材Pに取り付ける作業を行う際に、配線ボックス10が移動することが無く、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付ける作業を容易に行うことができる。
(2)突刺体28によって配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定することができるため、ねじNを軽量形鋼材Pに螺入するとき、配線ボックス10が移動することを規制することができる。したがって、配線ボックス10を、ボックス本体11の開口面Sが軽量形鋼材Pの側板部Pcの外壁面と略同一平面上に位置するように軽量形鋼材Pに取り付ける作業を容易に行うことができる。
(3)突刺体28は、インサート成形によって左側壁15に一体化されている。このため、突刺体28をボックス本体11に容易に一体化することができるとともに、突刺体28がボックス本体11から脱落することを防止することができる。
(4)ボックス本体11のボックス開口部Sa側に突出部23を設け、この突出部23の裏面23Bを軽量形鋼材Pの側板部Pc(別の壁部)の外壁面に当接させた状態では、ボックス本体11の開口面Sが軽量形鋼材Pの側板部Pcの外壁面と略同一平面上に位置するようにした。このため、突出部23の裏面23Bを側板部Pcの外壁面に当接させながら突刺体28をリップ部Pdに突き刺すことにより、開口面Sが側板部Pcの外壁面と略同一平面上に位置する状態で配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定することができる。したがって、例えば、突出部23がボックス本体11に形成されておらず、開口面Sと側板部Pcの外壁面とが略同一平面上に位置するように手で保持しながら突刺体28をリップ部Pdに突き刺す作業を行う場合に比して、配線ボックス10の軽量形鋼材Pに仮固定する作業を簡単に行うことができる。
(5)突刺体28は配線ボックス10の仮固定用に設けられているが、ねじNによって配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付けた後は、突刺体28とねじNによって配線ボックス10が軽量形鋼材Pに取り付けられる。配線ボックス10は、該配線ボックス10に取り付けられる配線器具(例えば、コンセント)が引っ張られたり、押さえられたりすることによって負荷が作用する。このとき、配線ボックス10は突刺体28とねじNによって軽量形鋼材Pに取り付けられている。このため、例えば、配線ボックス10がねじNのみで軽量形鋼材Pに取り付けられている場合に比して、前記負荷に対する軽量形鋼材Pへの取付強度を高めることができる。
(6)突刺体28は、突出部23の裏面23Bを軽量形鋼材Pの壁表側に位置する側板部Pcに当接させた状態で、該側板部Pcに隣接するリップ部Pdと対向する位置に設けられている。このため、ボックス本体11の開口面Sが、側板部Pcの外壁面と略同一平面上に位置する状態で突刺体28を用いて仮固定することができる。
(7)突刺体28の左側壁15からの突出長さは、突出部23の突出長さより短く設定されている。このため、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定するとき、突出部23の裏面23Bを側板部Pcに当接させるより先に突刺体28がリップ部Pdに接触してしまい、突出部23によって開口面Sと側板部Pcの外壁面とを略同一平面上に位置させることが不可能となることを防止することができる。すなわち、突出部23の裏面23Bを側板部Pcの外壁面に当接させ、開口面Sと側板部Pcの外壁面とを略同一平面上に位置させた後、突刺体28をリップ部Pdに突き刺すことができる。
(8)突出部23は、軽量形鋼材Pを手で掴んだときにその表面23Aを指で押圧することが可能な位置に配置され、指によって突出部23を側板部Pcとの間に挟持することにより、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに保持することができる。このため、ねじNをリップ部Pdに螺入する際に、配線ボックス10や軽量形鋼材Pに大きな力が作用しても、手で掴まれた軽量形鋼材PがランナーRに沿って移動することが防止され、配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付ける作業を容易かつ正確に行うことができる。
(9)配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付けた後は、突出部23はボックス本体11から除去される。このため、配線ボックス10が軽量形鋼材Pへ取り付けられた後、突出部23が除去されず、側板部Pc上に突出部23が存在することで、突出部23の厚みによって壁材Waの立設位置が所定位置からずれてしまうことを防止することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、突刺体28は1本だけ設けられていてもよく、この場合は、突刺体28は左側壁15の長さ方向の中央部に設けられる。そして、突刺体28が軽量形鋼材Pの壁部(リップ部Pd)に突き刺して配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定した状態では、突刺体28を挟む位置で係合突部22が軽量形鋼材Pのコーナ部Cに係合しているため、該係合によって配線ボックス10が突刺体28を回転中心として回転することを防止することができる。
○ 実施形態において、突刺体28は3本以上設けられていてもよい。
○ 実施形態において、突出部23は無くてもよい。
○ 実施形態において、軽量形鋼材PはC型鋼ではなく角型鋼であってもよい。
○ 実施形態において、図10に示すように、配線ボックス10は、その深さ方向への長さが実施形態のものより短いタイプであってもよく、この場合、当接部21の当接面21aを一方のリップ部Pdに当接させ、突出部23の裏面23Bを側板部Pcの外壁面に当接させたとき、左側壁15は他方のリップ部Pdに当接しなくなる。このように深さ方向への長さが短くされた配線ボックス10を軽量形鋼材Pに取り付けるとき、突刺体28によって配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定することにより、左側壁15の底壁12側が軽量形鋼材Pの開口部Pa内へ入り込ませることなく軽量形鋼材Pへの取付作業を行うことができる。すなわち、配線ボックス10が開口部Paへ入り込みやすい状態であっても、該入り込みによる配線ボックス10の傾きを防止して軽量形鋼材Pへの取付作業を行うことができる。
○ 図11に示すように、配線ボックス10は、突刺体28を軽量形鋼材Pの背面板部Pbに突き刺して軽量形鋼材Pに仮固定してもよい。この場合、ねじNは、左側壁15の長さ方向中央部に位置する当接部21において、配線ボックス10の深さ方向の中央に位置する固定孔27から背面板部Pbに螺入される。
○ 図12に示すように、配線ボックス60は側壁61〜64よりなる四角枠状のボックス本体65を備え、前後両面にボックス開口部Saが開口する構成であってもよい。この配線ボックス60の深さ方向への長さは、軽量形鋼材Pの幅方向への長さと略同じとなっている。このため、突刺体28によって配線ボックス10を軽量形鋼材Pに仮固定するとき、ボックス本体65の前方の開口面Sは一方の側板部Pcの外壁面と略同一平面上に位置し、後方の開口面Sは他方の側板部Pcの外壁面と略同一平面上に位置している。そして、配線ボックス60の前後いずれのボックス開口部Saからも配線器具を収容し、取り付けることができる。
○ 配線ボックス10は、軽量形鋼材Pでなく造営材としての木柱に取り付けられてもよい
軽量間仕切壁を示す斜視図。 実施形態の配線ボックスを示す斜視図。 (a)は実施形態の配線ボックスを示す側面図、(b)は平面図。 軽量形鋼材に配線ボックスを仮固定した状態を示す斜視図。 治具を用いて突刺体を軽量形鋼材に突き刺す状態を示す断面図。 軽量形鋼材に配線ボックスを仮固定した状態を示す正面図。 軽量形鋼材に配線ボックスを仮固定した状態を示す断面図。 ドライバの傾動により突出部を折り曲げた状態を示す斜視図。 ペンチで突出部を把持した状態を示す斜視図。 配線ボックスの別例を示す断面図。 配線ボックスの軽量形鋼材への取付方法の別例を示す断面図。 配線ボックスの別例を示す斜視図。
符号の説明
N…固定部材としてのねじ、P…造営材としての軽量形鋼材、Pa…開口部、Pc…別の壁部としての側板部、Pd…壁部としてのリップ部、Sa…ボックス開口部、S…開口面、W…軽量間仕切壁、10,60…配線ボックス、11,65…ボックス本体、13〜16…側壁、21…当接部、23…突出部、23B…裏面、28…突刺体、28a…頭部、28b…軸部、61〜64…側壁。

Claims (8)

  1. 造営材に対する配線ボックスの取付方法であって、
    前記配線ボックスは、側壁によって囲み形成されたボックス開口部が前面及び後面のうち少なくとも前面に開口するボックス本体を備え、前記ボックス本体の側壁には、前記造営材の壁部に当接させる当接部が設けられているとともに、該当接部が設けられた側壁には、ボックス本体の外方へ突設され、かつ前記造営材の壁部に突き刺し可能な突刺体が設けられており、
    記突刺体を前記造営材に突き刺して配線ボックスを造営材に仮固定し、
    前記突刺体が突き刺された前記造営材の壁部に、固定部材を挿通可能な固定孔が形成されている前記当接部を当接させ、
    前記固定孔から前記当接部が当接された造営材の壁部に固定部材を固定することによって配線ボックスを造営材に取り付ける配線ボックスの取付方法。
  2. 前記配線ボックスは、前記ボックス開口部の開口面が、前記当接部が当接された壁部に隣接し、かつ直交する別の壁部の壁面と略同一平面上に位置するように造営材に仮固定される請求項1に記載の配線ボックスの取付方法
  3. 造営材に取り付けられる配線ボックスであって、
    側壁によって囲み形成されたボックス開口部が前面及び後面のうち少なくとも前面に開口するボックス本体を備え、
    前記ボックス本体の側壁には、前記造営材の壁部に当接させる当接部が設けられているとともに、該当接部が設けられた側壁には、ボックス本体の外方へ突設され、かつ前記造営材の壁部に仮固定する突き刺し可能な突刺体が設けられ
    前記当接部には、当接させる造営材の壁部に固定する固定部材を挿通可能な固定孔が形成されている配線ボックス。
  4. 前記突刺体は、頭部と該頭部から延設された軸部とからなり、前記突刺体は、インサート成形によって前記頭部が前記当接部が設けられた側壁に一体化されている請求項3に記載の配線ボックス。
  5. 前記当接部が設けられた側壁における前記ボックス開口部側には、ボックス本体の外方へ延設され、かつ裏面が前記ボックス開口部の開口面と同一平面上に位置する突出部が設けられている請求項3又は請求項4に記載の配線ボックス。
  6. 前記造営材は、軽量間仕切壁を構築するための軽量形鋼材であり、該軽量形鋼材における前記壁部は、軽量形鋼材の立設方向へ延びる開口部を形成する一対のリップ部よりなり、前記突刺体は、前記突出部の裏面を軽量間仕切壁の壁表側に位置する壁部に当接させた状態で、該壁表側に位置する壁部に隣接するリップ部に対向した位置に設けられている請求項5に記載の配線ボックス。
  7. 前記突刺体において前記ボックス本体の側壁からの突出長さは、前記突出部において前記ボックス本体の側壁からの突出長さより短く設定されている請求項5又は請求項6に記載の配線ボックス。
  8. 前記突出部は、ボックス本体から除去可能である請求項5〜請求項7のうちいずれか一項に記載の配線ボックス。
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