JP5940460B2 - 有機el装置の製造方法、有機el装置の製造装置、光電変換装置の製造方法及び光電変換装置の製造装置 - Google Patents

有機el装置の製造方法、有機el装置の製造装置、光電変換装置の製造方法及び光電変換装置の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換装置の製造方法及びその製造装置に関するものである。また本発明は有機EL(Electro Luminescence)装置を製造する方法及び当該方法に使用する装置に関するものである。さらに本発明は、太陽電池の製造方法及び製造装置にも応用できる。
近年、白熱灯や蛍光灯に替わる照明装置として有機EL装置が注目され、多くの研究がなされている。また、テレビに代表されるディスプレイ部材においても液晶方式やプラズマ方式に替わる方式として有機EL方式が注目されている。
ここで有機EL装置は、ガラス基板や透明樹脂フィルム等の基材に、有機EL素子を積層したものである。
また有機EL素子は、一方又は双方が透光性を有する2つの電極を対向させ、この電極の間に有機化合物からなる発光層を積層したものである。有機EL素子は、電気的に励起された電子と正孔との再結合のエネルギーによって発光する。
有機EL装置は、自発光デバイスであるため、ディスプレイ材料として使用すると高コントラストの画像を得ることができる。また、発光層の材料を適宜選択することにより、種々の波長の光を発光することができる。また白熱灯や蛍光灯に比べて厚さが極めて薄く、且つ面状に発光するので、設置場所の制約が少ない。
有機EL装置の代表的な層構成は、図46の通りである。図46に示される有機EL装置200は、ボトムエミッション型と称される構成であり、ガラス基板201に、透明電極層202と、機能層203と、裏面電極層205が積層され、これらが封止部206によって封止されたものである。
また機能層203は、複数の有機化合物の薄膜が積層されたものである。代表的な機能層203の層構成は、図47の通りであり、正孔注入層210、正孔輸送層211、発光層212、及び電子輸送層213を有している。
有機EL装置は、ガラス基板201上に、前記した層を順次成膜することによって製造される。
ここで上記した各層の内、透明電極層202は、酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電膜層であり、主にスパッタ法あるいはCVD法によって成膜される。
機能層203は、前記した様に複数の有機化合物の薄膜が積層されたものであり、各薄膜はいずれも真空蒸着法によって成膜される。
裏面電極層205は、アルミニウムや銀等の金属薄膜であり、真空蒸着法によって成膜される。
この様に有機EL装置を製造する際には、真空蒸着法が多用される。ここで真空蒸着法は、例えば特許文献1に開示された様な真空蒸着装置を使用して成膜する技術である。
即ち真空蒸着装置は、真空室と、薄膜材料を蒸発させる蒸発装置によって構成されるものである。真空室は、ガラス基板を設置することができるものである。
蒸発装置は電気抵抗や電子ビームを利用した加熱装置と、薄膜材料を入れる坩堝とによって構成されている。
そして多くの場合、ガラス基板は、真空室の天井側に水平姿勢に設置される。一方、蒸発装置の坩堝は、ガラス基板の下部に設置されている。
そして坩堝内の薄膜材料が、電気抵抗等によって加熱され、蒸発して上方に向かって飛散し、ガラス基板の下面に付着して成膜される。
また照明用の有機EL装置として、平面上で複数の有機EL素子を直列に接続した構造のものが特許文献2に提案されている。
特開2006−274370号公報 特開2004−134359号公報
本発明者らは、平面上で複数の有機EL素子を直列に接続した構造の有機EL装置に興味を持ち、独自の構造の有機EL装置を開発した。
本発明者らが開発した有機EL装置100は、集積型の有機EL装置である。集積型の有機EL装置100は、短冊状に形成された有機EL素子(以下、「単位EL素子」と称する)を電気的に直列に接続したものである。
集積型有機EL装置100の層構成は図44の通りであり、前記した基本構成の有機EL装置200(図46)と同一であるが、複数の溝が設けられていて一つの平面状の有機EL素子が短冊状の単位EL素子に分割されている。
即ち、集積型の有機EL装置100は、ガラス基板101に透明電極層102と機能層103及び裏面電極層104が順次積層されたものであるが、各層に溝110,111,112,113が形成されている。
具体的に説明すると、透明電極層102に第一溝たる透明電極層分離溝110が形成され、透明電極層102が複数に分割されている。また機能層103には第二溝たる発光層分離溝111が形成され、機能層103が複数に分割され、さらに当該発光層分離溝111の中に裏面電極層104の一部が進入して溝底部で透明電極層102と接している。
さらに機能層103の第三溝112と裏面電極層104に設けられた第四溝113が連通し、全体として深い共通溝たる単位EL素子分離溝115が形成されている。
集積型有機EL装置100は、透明電極層102に設けられた透明電極層分離溝110と、機能層103(具体的には正孔注入層210、正孔輸送層211、発光層212、及び電子輸送層213)及び裏面電極層104に設けられた単位EL素子分離溝115によって各薄膜層が区画され、独立した単位EL素子120a,120b・・・が形成されている。そして前記した様に、発光層分離溝111の中に裏面電極層104の一部が進入し、裏面電極層104の一部が透明電極層102と接しており、一つの単位EL素子120aは隣接する単位EL素子120bと電気的に直列に接続されている。
即ち外部から供給される電流は、透明電極層102側から機能層103を経て裏面電極層104側に向かって流れるが、裏面電極層104の一部が発光層分離溝111を介して透明電極層102と接しており、最初の単位EL素子120aを経て隣の単位EL素子120bの透明電極層102に流れる。この様に集積型の有機EL装置100では、各単位素子が全て直列に電気接続され、全ての単位素子が発光する。
本発明者らは、前記した集積型有機EL装置100を真空蒸着装置と、レーザースクライブ装置を使用して製造した。
即ち集積型の有機EL装置100を製造する際には、最初の工程として図45(a)の様にガラス等の透光性を有する基材101の上に、透明電極層102を成膜する。
透明電極層102には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫(SnO2 )酸化亜鉛(ZnO)等が用いられる。透明電極層102はスパッタ法やCVD法によって基板101に形成される。
そして続いて、第一レーザースクライブ工程を行い、図45(b)の様に、透明電極層102に対して透明電極層分離溝110を形成する。
この工程は、透明電極層102が蒸着された基板101を真空蒸着装置から取り出し、レーザースクライブ装置に設置して行う。即ち大気環境下で第一レーザースクライブ工程を行う。
なおレーザースクライブ装置は、X・Yテーブルと、レーザー発生装置及び光学系部材を有するものである。そして第一レーザースクライブ工程は、真空蒸着装置1等から取り出した基板101をX・Yテーブル上に設置し、レーザー光線を照射しつつ、基板を縦方向に直線移動させることによって行う。そしてX・Yテーブルを横方向に移動してレーザー光線の照射位置をずらし、レーザー光線を照射しつつ基板101を再度縦方向に直線移動させることによって行う。
第一レーザースクライブ工程を終えた基板101は、飛散した皮膜を除去するために表面を洗浄する必要がある。
次に、この基板101を真空蒸着装置に入れ、正孔注入層210、正孔輸送層211、発光層212、及び電子輸送層213を順次堆積し、図45(c)に示すように、機能層103を形成する。
即ち第一レーザースクライブ工程を終え、さらに洗浄を終えた基板101を別途用意した真空蒸着装置に入れ、正孔注入層210を成膜する。
その後に基板101を真空蒸着装置から取り出し、さらに別途用意した真空蒸着装置に入れて正孔輸送層211を成膜する。
同様の手順で、発光層212及び電子輸送層213を別々の真空蒸着装置で成膜する。
そして真空蒸着装置から取り出した基板101に対して第二レーザースクライブ工程を行い、図45(d)の様に機能層103に発光層分離溝111を形成する。
第二レーザースクライブ工程についても、基板101を真空蒸着装置から取り出し、レーザースクライブ装置に設置して行う。即ち大気環境下で第二レーザースクライブ工程を行う。また第二レーザースクライブ工程を終えた基板101は、飛散した皮膜を除去するために表面を洗浄する必要がある。
続いて、真空蒸着装置に前記基板101を挿入し、図45(e)の様に機能層103の上に、アルミニウム(Al)や銀(Ag)などの金属材料からなる裏面電極層104を形成する。
さらに続いて第三レーザースクライブ工程を行い、図45(f)の様に裏面電極層104と機能層103の双方に単位EL素子分離溝115を形成する。
そしてさらに図示しない給電電極の成形や、その外側における分離溝(図示せず)の成形、分離溝の外側部分の裏面電極層104等の除去及び封止部による封止の作業が行われて有機EL装置が完成する。
ところが、この工程によって有機EL装置を製造すると、有機EL装置を長期的に使用した場合の信頼性が低いことが判明した。
即ち上記した製造方法では、機能層103を大気雰囲気中でレーザースクライブ(第二レーザースクライブ工程)する。また第二レーザースクライブ工程の後に、飛散した皮膜を除去するために表面を洗浄する。
しかしながら、有機EL素子を構成する膜のなかで、機能層103は酸化されやすい性質を持つ。また機能層103は吸湿性を持っている。そのため機能層103が露出した状態で基板101を大気中に暴露すると、大気中の湿度を吸収してしまう。また大気中の酸素によって酸化されてしまう。
さらに表面を洗浄する工程においても、吸湿や酸化の危険がある。
そのため、上記した工程を経て有機EL装置を製造すると、機能層103の信頼性が低下する。
また酸化や吸湿を少しでも抑えるために、レーザースクライブ後の洗浄を省略することも考えられるが、大気中でレーザースクライブを行うと、スクライブした粉や飛沫が溝内に残留している場合があり、隣接する単位EL素子がショートしてしまう懸念がある。
さらに、上記した工程によると、真空蒸着装置内を減圧して機能層103を成膜し、真空室内を大気圧に戻して真空室からガラス基板101を取り出し、第二レーザースクライブ工程を行った後に、再度、真空蒸着装置内にガラス基板101を入れる必要がある。そして再度、真空蒸着装置内を減圧して裏面電極層104を成膜する。
この様にガラス基板の出し入れと、その前後の真空室内の圧力を大気圧に戻す作業と、真空室を高真空状態に減圧する作業を繰り返す必要があり、一枚のガラス基板に有機EL素子を積層するのに時間が掛かる。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、信頼性の高い有機EL装置を製造することができる方法と、その方法の使用に適した製造装置を開発することを課題とするものである。
上記した課題を解決するための本発明の一つの様相は、基材上に少なくとも第1電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置の製造方法において、少なくとも第1電極層が成膜された基材を真空室に設置して少なくとも有機発光層を真空蒸着法によって成膜し、前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材にレーザー光線を照射して前記発光層分離溝を形成し、さらに前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材に第2電極層を積層することを特徴とする有機EL装置の製造方法である。
本様相の有機EL装置の製造方法では、第1電極層が成膜された基材を真空室に設置して少なくとも有機発光層を真空蒸着法によって成膜する。第1電極層の成膜は、有機発光層を成膜する真空室と同一の真空室で行ってもよく、他の真空室で成膜してもよい。また第一レーザースクライブ工程についても有機発光層を成膜する真空室内でおこなってもよく、予め外部で第一レーザースクライブ工程を行ってもよい。
即ち他の真空室で第1電極層を成膜し、第一レーザースクライブ工程を実施した後に、有機発光層を成膜する真空室に導入してもよい。もちろん、第1電極層の成膜と、有機発光層の成膜を同一の真空室で行ってもよい。
本様相の有機EL装置の製造方法では、有機発光層等の機能層の成膜と、機能層に対するレーザースクライブ工程を、真空雰囲気中で行う。加えて、本様相によると、レーザースクライブ工程を終えた基材を真空環境に維持した状態で、第2電極層を積層する。そのため真空環境下で、機能層に第2電極層を設けることができる。この状態で大気中に暴露しても、機能層が第2電極層によって被覆されているので、機能層が吸湿することはなく、機能層が酸化することもない。
さらに本様相では、レーザースクライブ工程を真空中で行うので、レーザースクライブ後の洗浄を省略することができる。即ち真空中でレーザースクライブを行うと、加熱部の周囲の気圧が低いので、レーザーによって瞬間的に蒸発した気体が急激に拡散する。そのため真空中でレーザースクライブを行うと、スクライブの際に発生する粉や飛沫が溝内に止まることは少ない。
そのためレーザースクライブ後に洗浄を行わなくても粉や飛沫が溝内に止まることは少ない。
さらに本様相の有機EL装置の製造方法によると、基材の出し入れ作業や、真空室内の圧力を大気圧に戻す作業、真空室を高真空状態に減圧する作業の回数が軽減される。
本様相の有機EL装置の製造方法では、前記基材上に積層される各層を形成する薄膜のうち、複数の薄膜を同一の真空室で成膜することが好ましい。
また、好ましくは、有機EL装置は、有機発光層の小片部と第2電極層の小片部を一組とする単位EL素子に分割されており、有機発光層と第2電極層とを連通する単位EL素子分離溝によって単位EL素子が隣接する単位EL素子と分離され、第2電極層を積層した後に基材にレーザー光線を照射して前記単位EL素子分離溝を形成する。
また単位EL素子分離溝の形成は、真空環境下で行ってもよく、大気中で行ってもよい。
また基材側からレーザー光線を照射して前記発光層分離溝を形成することが好ましい。
本発明の他の様相は、基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、前記真空室中において前記基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに前記真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに前記真空室中において前記基材に第二電極層を成膜可能であることを特徴とする有機EL装置の製造装置である。
本発明のさらに他の様相は、前記した製造方法を実現するための装置であり、基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であることを特徴とする有機EL装置の製造装置である。
本様相の有機EL装置の製造装置では、有機発光層等の機能層の成膜と、機能層に対するレーザースクライブ工程を、真空雰囲気中で行うことができる。加えて、本様相の有機EL装置の製造装置では、レーザースクライブ工程を終えた基材を真空環境に維持した状態で、第2電極層を積層することができる。そのため真空環境下で、機能層に第2電極層を設けることができる。この状態で大気中に暴露しても、機能層が第2電極層によって被覆されているので、機能層が吸湿することはなく、機能層が酸化することもない。
また本様相によると、基材の出し入れ作業や、真空室内の圧力を大気圧に戻す作業、真空室を高真空状態に減圧する作業の回数が軽減される。
本様相では、レーザースクライブ装置はレーザー光学系部材と、レーザー光学系部材を移動させる光学系移動装置を備え、前記光学系移動装置は真空室の外にあることが好ましい。
また本様相では、レーザースクライブ装置はレーザー光学系部材と、基材又はレーザー光学系部材を移動させる移動装置を備え、真空室は一部又は全部が透光性を有し、レーザー光学系部材は真空室の外にあって、真空室の外からレーザー光線を照射して有機発光層に発光層分離溝を形成することが可能であることが好ましい。
この好ましい様相によると、大型で且つ動きのある移動装置を真空室の外に設置したので、真空室を小型化することができる。
本様相では、レーザー光学系部材を移動させる光学系移動装置と、基材を移動させる基材側移動装置を有し、光学系移動装置は真空室の外にあり、基材側移動装置は真空室の中にあり、光学系移動装置と基材側移動装置はそれぞれの移動対象物を相対的に直交方向に移動するものであることが好ましい。
この好ましい様相は、レーザー光学系部材を移動させる光学系移動装置と、基材を移動させる基材側移動装置を分離し、一方を真空室の中に置き、他方を真空室の外に出したものである。
本様相の有機EL装置の製造装置では、真空室内に基材を搬入したり、基材を搬出する用途のために基材を直線的に移動させる機能を持つことが推奨される。そこで本様相では、真空室内に基材側移動装置を設け、基材側移動装置と直交する方向にレーザー光学系部材を移動させる光学系移動装置を真空室の外に設けることとした。
また本様相では、基材を真空室内で移動させる基材側移動装置を備え、前記真空室は一部又は全部が透光性を有するものであり、前記基材は、前記真空室の透光性を有する部位に対して、前記真空室の内部側から近接可能及び/又は離反可能であることが好ましい。
また、真空室の透光性を有する部位は、スリット状であることが好ましい。
真空室の透光性を有する部位は、アクリル等の透明性の高い樹脂やガラスで作る必要があり、金属に比べて剛性が劣る。そのため透光性を有する部位は、できるだけ小さいことが望ましい。
一方、発光層分離溝は、直線状であり、且つ幅が狭いからレーザー光線を透過する幅は狭く且つ長いものであれば足る。
そこで本様相では、上記したように、真空室の透光性を有する部位をスリット状に構成することが好ましい。
また、上記した様相の有機EL装置の製造装置は、レーザースクライブ装置は、真空室内にあってもよい。
上記様相の有機EL装置の製造装置では、レーザースクライブ装置はレーザー光線の焦点を変更可能であることが好ましい。
この好ましい様相によると、レーザー光線の焦点を変更することによって溝の深さを変更することができる。そのため本様相の有機EL装置の製造装置によると、発光層分離溝だけでなく、単位EL素子分離溝を形成することもできる。
また、基材を移動させる基材側移動装置を備え、蒸着装置とレーザースクライブ装置とが基材の移動方向において離反した位置に設けられ、前記基材上に積層される薄膜のうちの少なくとも1つの薄膜の成膜と、レーザースクライブ装置による溝の形成とを同一の真空室内の異なる領域で実施することも推奨される。
また、基材を移動させる基材側移動装置を備え、複数の蒸着装置を有し、当該蒸着装置が同一真空室内の離反した位置にそれぞれ設けられており、前記基材上に積層される薄膜のうちの少なくとも1つの薄膜と、他の少なくとも1つの薄膜とを同一真空室内の異なる位置で成膜することも推奨される。
さらに、前記蒸着装置は、基材上に積層される薄膜の材料を貯蔵可能な坩堝と、蒸着装置の内外を連通する薄膜材料放出部とを備え、薄膜材料放出部は、複数設けられており、前記蒸着装置の内部は、複数の領域に仕切られており、仕切られた領域のうちの複数の領域は、前記坩堝が配される坩堝配置領域を形成するものであって、複数の坩堝配置領域がそれぞれ別の薄膜材料放出部と連続していることも推奨される。
また、前記蒸着装置は、基材上に積層される薄膜の材料を貯蔵可能な坩堝と、蒸着装置の内外を連通する薄膜材料放出部とを備え、前記蒸着装置の内部は、複数の領域に仕切られており、仕切られた領域のうちの複数の領域は、前記坩堝が配される坩堝配置領域を形成するものであって、複数の坩堝配置領域が1つの薄膜材料放出部と連続していることも推奨される。
本発明の他の様相は、 基材上に少なくとも第1電極層と、光発電機能又は発光機能を有する機能層と、第2電極層が積層され、機能層が機能層分離溝によって複数の小領域に分割され、前記小領域が直列に接続された光電変換装置の製造方法において、少なくとも第1電極層が成膜された基材を真空室に設置して機能層を成膜し、前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材にレーザー光線を照射して前記機能層分離溝を形成し、さらに前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材に第2電極層を積層することを特徴とする光電変換装置の製造方法である。
ここで光電変換装置とは、EL装置と、太陽電池の双方を含む概念である。
また本発明の他の様相は、 基材上に少なくとも第一電極層と、光発電機能又は発光機能を有する機能層と、第2電極層が積層され、機能層が機能層分離溝によって複数の小領域に分割され、前記小領域が直列に接続された光電変換装置を製造する製造装置において、真空室と成膜装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、前記真空室中において前記当該基材に機能層を成膜可能であり、さらに前記真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって機能層分離溝を形成可能であり、さらに前記真空室中において前記基材に第二電極層を成膜可能であることを特徴とする光電変換装置の製造装置である。
本発明の有機EL装置の製造方法は、機能層の吸湿や酸化を防止することができ、機能層の劣化を阻止することができる。そのため、本発明の有機EL装置の製造方法で製造された有機EL装置は、品質が均一であり、信頼性が高い。
また本発明の有機EL装置の製造装置で製造された有機EL装置は、製造時における機能層の吸湿や酸化が少なく、品質が均一であり、信頼性が高い。
本発明の製造装置及び製造方法で製造された太陽電池にも同様の効果が期待できる。
本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の製造装置の外観形状を示し、(a)は斜視図、(b)は分解斜視図である。 図1の製造装置の真空室を二点鎖線で表示し、真空室内部の構造を図示した分解斜視図である。 図1の製造装置で採用する蒸気チャンバーの斜視図である。 図3の蒸気チャンバーの外郭を二点鎖線で表示し、蒸気チャンバー内部の構造を図示した斜視図である。 図1の製造装置のレーザースクライブ装置におけるレーザー光学系部材及び真空室内部の構造を示す説明図である。 第一レーザースクライブ工程において、レーザー光線を照射しつつ移動テーブルをY方向に移動させる工程を表す説明図である。 図6の工程で形成された4条の透明電極層分離溝を表す説明図である。 図6の工程を繰り返して形成された透明電極層分離溝を表す説明図である。 機能層を成膜する工程を表す説明図である。 第二レーザースクライブ工程において、レーザー光線を照射しつつ移動テーブルをY方向に移動させる工程を表す説明図である。 図10の工程を繰り返して形成された発光層分離溝を表す説明図である。 裏面電極層を成膜する工程を表す説明図である。 第三レーザースクライブ工程において、レーザー光線を照射しつつ移動テーブルをY方向に移動させる工程を表す説明図である。 本発明の第2実施形態における真空室を表す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る有機EL装置の製造装置を示す斜視図である。 図15の製造装置において、ガラス基板が移動した状態を表す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係る有機EL装置の製造装置を示す斜視図である。 本発明の第5実施形態に係る有機EL装置の製造装置を示す斜視図である。 図18の製造装置の真空室を二点鎖線で表示し、真空室内部の構造を図示した斜視図である。 本発明の第6実施形態に係る有機EL装置の製造装置の構成を表す説明図である。 本発明の第7実施形態に係る有機EL装置の製造装置の構成を表す斜視図である。 本発明の第8実施形態に係る有機EL装置の製造装置の構成を表す斜視図である。 本発明の第9実施形態に係る有機EL装置の製造装置の構成を表す斜視図である。 本発明の実施形態の有機EL装置の製造装置を使用した製造ラインの斜視図である。 図24の製造ラインで採用する有機EL装置の製造装置の斜視図である。 本発明の第10実施形態の真空蒸着装置の概念図である。 図26の真空蒸着装置の内部の斜視図である。 図26の真空蒸着装置で採用する坩堝の斜視図である。 図26の真空蒸着装置で採用する真空チャンバーと坩堝設置室の構造を示す分解斜視図である。 図26の真空蒸着装置で採用する薄膜材料放出部の正面図である。 (a)と(b)は、図26の真空蒸着装置を使用して有機EL装置の機能層を成膜する際の工程を示す説明図である。 (c)と(d)は、図26の真空蒸着装置を使用して有機EL装置の機能層を成膜する際の工程を示す説明図であり、図31に続く工程を示す。 (e)と(f)は、図26の真空蒸着装置を使用して有機EL装置の機能層を成膜する際の工程を示す説明図であり、図32に続く工程を示す。 (g)と(h)は、図26の真空蒸着装置を使用して有機EL装置の機能層を成膜する際の工程を示す説明図であり、図33に続く工程を示す。 (i)と(j)は、図26の真空蒸着装置を使用して有機EL装置の裏面電極層を成膜する際の工程を示す説明図であり、図34に続く工程を示す。 本発明の第11実施形態の真空蒸着装置の薄膜材料放出部とガラス基板の斜視図である。 本発明の第12実施形態の真空蒸着装置の薄膜材料放出部とガラス基板の斜視図である。 本発明の第13実施形態の真空蒸着装置の概念図である。 本発明の第14実施形態の真空蒸着装置の概念図である。 本発明の第15実施形態の真空蒸着装置の概念図である。 本発明の第16実施形態の真空蒸着装置の概念図である。 本発明の第17実施形態の真空蒸着装置の坩堝設置室の配置を示す斜視図である。 本発明の第18実施形態の真空蒸着装置の概念図である。 集積型の有機EL装置の層構成を簡単に説明する有機EL装置の概念図である。 (a)〜(f)は、図42の有機EL装置の製造方法の各工程を示す基板の断面図である。 有機EL装置の代表的な層構成を示す断面図である。 有機EL素子の代表的な層構成を示す断面図である。 本発明の第19実施形態に係る有機EL装置の製造装置を示す斜視図である。 本発明の第19実施形態に係る有機EL装置の製造装置において、ガラス基板が移動する様子を示す説明図である。 本発明の第20実施形態に係る有機EL装置の製造装置において、ガラス基板が移動する様子を示す説明図である。 本発明の第21実施形態に係る有機EL装置の製造装置において、ガラス基板が移動する様子を示す説明図である。 本発明の第22実施形態に係る有機EL装置の製造装置において、2つのガラス基板が成膜室内で移動する様子を示す説明図である。 本発明の第23実施形態に係る有機EL装置の製造装置を示す斜視図である。 本発明の第23実施形態に係る有機EL装置の製造装置において、ガラス基板が移動する様子を示す説明図である。
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1,2に示す本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の製造装置(以下、「有機EL製造装置」と略する)250は、真空室251と、蒸着装置252と、レーザースクライブ装置301を有する。ここで、真空室251と蒸着装置252によって、1つの真空蒸着装置254が構成されている。換言すると、有機EL製造装置250は、真空蒸着装置254とレーザースクライブ装置301とで構成されている。
真空室251は、密閉空間を作ることができる部屋であり、本実施形態では、略直方体をしている。
真空室251の内部には、図示しない真空ポンプが配置されており、真空室251内を真空にすることができる。
本実施形態では、真空室251の一つの壁面がガラス板253で構成されている。ガラス板253は透明であって当然に透光性を有しており、図1の様に外から真空室251の内部が見える。
図3に示す様に、蒸着装置252は、リニアソース形式の蒸着装置252であり、蒸気チャンバー255と、蒸気チャンバー255内に配された5個の坩堝256a,256b,256c,256d,256eによって構成されている。
蒸気チャンバー255は、厚みがある直方体の壁状をしている。即ち蒸気チャンバー255は、大面積の表面部257と裏面部258を有し、これと小面積の天面部260と側面部261,262及び底面部263によって直方体を構成している。
蒸気チャンバー255の表面部257には、多数の孔265が設けられており、薄膜材料放出部267として機能する。本実施形態では、薄膜材料放出部267は、5個のエリアに分かれている。即ち蒸気チャンバー255の表面部257は、5個の薄膜材料放出部267a,267b,267c,267d,267eを構成している。5個の薄膜材料放出部267a,267b,267c,267d,267eは、いずれも天地方向に縦長であり、横方向に並んでいる。
図4に示す様に、蒸気チャンバー255の内部は、5個の薄膜材料放出部267a〜267eに対応して、5室の小部屋266a,266b,266c,266d,266eに仕切られている。
そして各小部屋266a,266b,266c,266d,266eには坩堝256a,256b,256c,256d,256eが一個ずつ内蔵されている。坩堝256a,256b,256c,256d,256eには図示しない電気ヒータが内蔵されており、薄膜材料を加熱して蒸発させることができる。
前記した蒸気チャンバー255は、真空室251の中にあり、真空室251の一面を構成するガラス板253と対向している。
また蒸気チャンバー255は図示しない移動装置上に設置されており、直線的に移動することができる。即ち蒸気チャンバー255は、ガラス板253と平行に直線移動することができる。
また図1,2に示す様に、成膜対象たるガラス基板(基材)7は、真空室251に配置され、ガラス板253と蒸気チャンバー255の間に置かれる。従って成膜対象たるガラス基板7は、蒸気チャンバー255と真空室251の一面たるガラス板253の双方に対して平行である。
次にレーザースクライブ装置301について説明する。
本実施形態のレーザースクライブ装置301は、X・Yテーブル(移動装置)302と、レーザー光学系部材306によって構成されている。またレーザー光学系部材306は、4基のレーザー発生装置303a,303b,303c,303dと光学系部材305によって構成されている。
レーザー発生装置の台数は、レーザースクライブ工程の処理時間に応じて決まり、台数が多いほど処理時間は短くなるが、設備コストは上昇する。通常は2台〜8台程度が処理時間とコストを両立させる点から望ましい。
X・Yテーブル302は、公知のそれと同一であり、ベース枠310に二列一組のY方向ガイド311と、これに直交する二列一組のX方向ガイド312を持ち、X方向ガイド312上の移動テーブル315を平面的に移動させることができるものである。即ちX・Yテーブル302は、Y方向ガイド311の上に、二列一組のX方向ガイド312が載置されている。そしてY方向ガイド311と平行にY方向送りネジ320があり、Y方向送りネジ320を回転させることによってX方向ガイド312を移動テーブル315を含めてY方向に移動させることができる。またX方向ガイド312と平行にX方向送りネジ321があり、X方向送りネジ321を回転させることによって移動テーブル315をX方向に移動させることができる。
そのため移動テーブル315は平面上を移動可能である。
本実施形態では、X・Yテーブル302は真空室2の外であって、透明なガラス板253に面した位置に縦姿勢で設置されている。そのためX・Yテーブル302では移動テーブル315が垂直姿勢に設置される。
また本実施形態では、移動テーブル315上にレーザー光学系部材306が載置される。そのためレーザー光学系部材306は、移動テーブル315と共に垂直平面上を移動する。
レーザー発生装置303a,303b,303c,303dは、本実施形態では、いずれもファイバーレーザー装置が採用されている。ここでファイバーレーザー装置とは、光ファイバー内に有するレーザー活性物質に励起光を供給することによってレーザー発振を行わしめる装置である。
さらに具体的には、本実施形態で採用するレーザー発生装置303a,303b,303c,303dは、2重クラッド型ファイバーレーザー装置である。2重クラッド型ファイバーレーザー装置で使用する光ファイバーは、コア部の周囲に当該コア部よりも屈折率の低い第一クラッド部があり、その外側にさらに屈折率が低い第二クラッド部を備える。
そして2重クラッド型ファイバーレーザー装置では、例えば半導体レーザーが励起光として光ファイバー内に導入される。
光ファイバー内に導入された励起光は、第一クラッド部と第二クラッド部の屈折率差による全反射により第一クラッド部に閉じ込められた状態を保ちながら伝搬する。そしてこの伝搬の際に励起光はコア部を繰り返し通過し、コア部のレーザー活性物質を励起する。
本実施形態で採用するレーザー発生装置303a,303b,303c,303dは、レーザーを発生させる光ファイバーの線径が25μm以下である。
レーザースクライブ装置301の光学系部材305は、図5に示すようなテレセントリック光学系であり、第一レンズ313と第2レンズ314によって構成されている。第一レンズ313は、レーザー発生装置303の、光ファイバー316の先端部分が焦点となる位置に配される。また第2レンズ314は、集光レンズであり、前記した第一レンズ313と平行位置であり且つ後記するガラス基板(基材)7が焦点となる位置に配されている。
本実施形態では、図示しない駆動装置によって第2レンズ314の位置を変更することができ、焦点の位置を変更することができる。
レーザー発生装置303a,303b,303c,303dでは、光ファイバー316の先端部からレーザー光線が拡散光として発せられる。そして第一レンズ313でレーザー光が平行光に変換され、さらに第2レンズ304によってガラス基板7に集光される。
前記した様に光学系部材305によってレーザー光が絞られるが、ガラス基板7に照射されるレーザー光は、その直径(ビーム径)が25μm未満であることが望ましい。
本実施形態では、4基のレーザー発生装置303a,303b,303c,303dに対応して4系統の光学系部材305が設けれており、それぞれのレーザ光が光学系部材305によってガラス基板7に照射されるが、各レーザ光の照射点は、略水平に並んでいる。
次に本実施形態の有機EL製造装置250の作用を、集積型の有機EL装置100(図44,45)の製造工程に沿って説明する。即ち前記した図45の工程図を参照しつつ、有機EL製造装置250の作用を説明する。
本実施形態の有機EL製造装置250で有機EL装置100を製造する場合は、前記した5個の坩堝256a,256b,256c,256d,256eの内、4個の坩堝256a,256b,256c,256dに機能層103(正孔注入層210、正孔輸送層211、発光層212、及び電子輸送層213からなる)を形成する成膜材料を入れ、残る一つの坩堝256eに裏面電極層104を形成する成膜材料を入れる。
より具体的には、第1坩堝256aに正孔注入層210用の薄膜材料を入れ、第2坩堝256bに正孔輸送層211の薄膜材料を入れ、第3坩堝256cに発光層212の薄膜材料を入れ、第4坩堝設置室256dに電子輸送層213用の薄膜材料を入れる。
また残る第5坩堝256eに裏面電極層104を形成する成膜材料を入れる。
そして有機EL製造装置250の真空室251に、既に透明電極層102が成膜されたガラス基板7を入れる。即ちガラスそのものではなく、説明外の工程を経て、透明電極層102が成膜されたガラス基板7を入れる。即ち前記した図45(a)に相当するガラス基板101を真空室251に入れ、図45(b)以降の工程を有機EL製造装置250で実施する。
真空室251におけるガラス基板7の設置位置は、前記した様に蒸気チャンバー255と真空室251の一面たるガラス板253の間であり、ガラス基板7は双方に対して平行姿勢となっている。
またガラス基板7の向きは、ガラス基板7側が真空室251の一面たるガラス板253に面し、透明電極層102は、蒸気チャンバー255側に面している。
ガラス基板7を真空室251の所定位置に配置した後、図示しない真空ポンプで、真空室251内を減圧する。
そして前記した図45(b)の工程を実施する。即ち第一レーザースクライブ工程を行い、図45(b)の様に、透明電極層102に対してレーザースクライブによって透明電極層分離溝110を形成する。
本実施形態では、この工程は、ガラス基板7を真空室251に設置した状態で行う。即ちガラス基板7を真空雰囲気中に置き、真空室251の外に設けられたレーザースクライブ装置301を使用して第一レーザースクライブ工程を行う。
より具体的には、真空室251外に設けられたX・Yテーブル302を使用し、X方向ガイド312に隣接するX方向送りネジ321を回転して移動テーブル315のX方向(水平方向)の位置を決め、レーザー光線を照射する。
ここでX・Yテーブル302は、真空室251の外であって、真空室251の一面を構成する透明なガラス板253に面した位置に設置されている。そのためレーザー光線は、図5に示すようにガラス板253を透過し、真空室251内のガラス基板7に照射される。ここでレーザー光線の焦点は、図5の様にガラス基板7と透明電極層102との境界部分に合わされる。その結果、透明電極層102のガラス基板7との境界部分が瞬間的に爆発し、そのガスで透明電極層102が吹き飛ばされる。
ここで真空室251内は真空であり、圧力が低いから、前記した爆発の勢いは大気中よりも強く、溝内に残渣を残さない。
そしてレーザー光線を照射しつつ、図6の様にY方向ガイド311に隣接するY方向送りネジ320を回転させて、移動テーブル315をY方向(天地方向)に一定速度で移動させる。例えば、Y方向ガイド311を上から下に向かって移動させる。
その結果、透明電極層102に透明電極層分離溝110が形成される。
なお本実施形態では、4基のレーザー発生装置303a,303b,303c,303dを備えており、レーザ光の照射点は、略水平に並んでいるから、図7の様に、4条の透明電極層分離溝110が一度に形成される。
そして透明電極層分離溝110を下端まで引き終えると、一旦レーザー光線の照射を停止してY方向ガイド311側のY方向送りねじ320を動作させて移動テーブル315を上端に戻し、X方向ガイド312側の送りネジ321を動作させて移動テーブル315の位置をX方向(水平方向)にずらす。そして再度、レーザー光線を照射しつつ、図6の様にY方向ガイド311を一定速度で駆動し、移動テーブル315をY方向(天地方向)に一定速度で移動させて、新たに4条の透明電極層分離溝110を形成する。
この工程を繰り返すことにより、図8に示す様に、ガラス基板7の全面に透明電極層分離溝110を形成する。
ガラス基板7の全面に透明電極層分離溝110を形成し終えると、図45(c)の工程たる機能層103の成膜を行う。
機能層103の成膜は、最初の工程として、5個の坩堝256a,256b,256c,256d,256eの内の第1坩堝256a内の電気ヒータを昇温し、第1坩堝256a内に入れられた正孔注入層210用の薄膜材料を蒸発させる。
正孔注入層210用の薄膜材料は、第1坩堝256aから蒸発し、蒸気チャンバー255内部の第1小部屋266aを通過し、薄膜材料放出部267aからガラス基板7に向かって正孔注入層210用の薄膜材料を放出する(図9)。
また図示しない移動装置を動作させて、蒸気チャンバー255を直線的に移動させ、ガラス基板7上の透明電極層102の全面に、正孔注入層210を成膜する。
正孔注入層210の成膜を終えると、第1坩堝256a内の電気ヒータを停止し、薄膜材料放出部267aから放出される蒸気を停止する。
続いて、第2坩堝256b内に入れられた正孔輸送層211の薄膜材料を蒸発させ、薄膜材料放出部267bからガラス基板7に向かって正孔輸送層211の薄膜材料を放出し、同時に蒸気チャンバー255を直線的に移動させて、ガラス基板7上の正孔注入層210の全面に、正孔輸送層211を積層する。
以下、同様の手順を踏んで、発光層212と電子輸送層213用を積層し、図45(c)の機能層103の成膜を終える。
そして続いて図45(d)の工程たる第二レーザースクライブ工程を行って発光層分離溝111を形成する。
第二レーザースクライブ工程は、前記した図45(b)の第一レーザースクライブ工程と同様の作業であり、本実施形態では、この工程をガラス基板7を真空室251に設置した状態で行う。即ち、先の工程たる機能層103の成膜に引き続いて第二レーザースクライブ工程を実行するものであり、真空室251は真空状態を維持している。
本実施形態では、ガラス基板7の位置及び姿勢ならびにガラス基板7が置かれる環境は、先の工程たる機能層103の成膜終了直後と何ら変わらず、ガラス基板7は真空雰囲気中に置かれ、且つガラス基板7の裏面側(成膜面とは反対側)は、真空室251の一面を構成する透明なガラス板253に面している。
そして先と同様に、レーザースクライブ装置301を使用して第二レーザースクライブ工程を行い、発光層分離溝111を設ける。
即ち真空室251外に設けられたX・Yテーブル302を使用し、X方向ガイド312を動作させて移動テーブル315のX方向(水平方向)の位置を決め、レーザー光線を照射しつつ移動テーブル315をY方向(垂直方向)に移動させる(図10)。
X・Yテーブル302は、真空室251の外であって、真空室251の一面を構成する透明なガラス板253に面した位置に設置されており、レーザー光線は、図10に示すようにガラス板253を透過し、真空室251内のガラス基板7に照射される。ここでレーザー光線の焦点は、図10の様に透明電極層102と機能層103の境界部分に合わされる。その結果、透明電極層102と機能層103の境界部分が瞬間的に爆発し、そのガスで機能層103が吹き飛ばされる。
前記した様に、真空室251内は真空状態を維持しており、圧力が低いから、前記した爆発の勢いは大気中よりも強く、溝内に機能層103の残渣を残さない。
その結果、機能層103に発光層分離溝111が形成される。今回も4条の発光層分離溝111が一度に形成される。そして発光層分離溝111を下端まで引き終えると、一旦レーザー光線の照射を停止してY方向送りネジ320を動作させて移動テーブル315を上端に戻し、X方向送りネジ321を動作させて移動テーブル315の位置をX方向(水平方向)にずらし、再度、レーザー光線を照射しつつ、移動テーブル315を一定速度で下方向に移動させ、新たに4条の発光層分離溝111を形成する。
この工程を繰り返すことにより、図11に示す様に、ガラス基板7の全面に発光層分離溝111を形成する。これにより、有機発光層たる機能層103が複数の小発光領域に分割される。
ガラス基板7の全面に発光層分離溝111を形成し終えると、図45(e)の工程たる裏面電極層104の成膜を行う。
即ち第5坩堝256e内の電気ヒータを昇温し、第5坩堝256e内に入れられた裏面電極層104用の薄膜材料を蒸発させる。
裏面電極層104用の薄膜材料は、第5坩堝256eから蒸発し、蒸気チャンバー255内部の第5小部屋266eを通過し、薄膜材料放出部267eからガラス基板7に向かって裏面電極層104用の薄膜材料を放出する(図12)。
また図示しない移動装置を動作させて、蒸気チャンバー255を直線的に移動させ、ガラス基板7上の機能層103の全面に、裏面電極層104を成膜する。
裏面電極層104の成膜を終えると、第5坩堝256e内の電気ヒータを停止し、薄膜材料放出部267eから放出される蒸気を停止する。
そして続いて図45(f)の工程たる第三レーザースクライブ工程を行って単位EL素子分離溝115を形成する。単位EL素子分離溝115の形成により、有機発光層たる機能層103の小片部と第2電極層たる裏面電極層104の小片部とを一組とする単位EL素子が形成されると共に、隣接する単位EL素子が分離される。
第三レーザースクライブ工程は、前記した第一及び第二レーザースクライブ工程と同様の作業であり、本実施形態では、この工程をガラス基板7を真空室251に設置した状態で行う。即ち、先の工程たる裏面電極層104の成膜に引き続いて第三レーザースクライブ工程を実行するものであり、真空室251は真空状態を維持している。
またガラス基板7の位置及び姿勢ならびにガラス基板7が置かれる環境は、先の工程たる裏面電極層205の成膜終了直後と何ら変わらず、ガラス基板7は真空雰囲気中に置かれ、且つガラス基板7の裏面側(成膜面とは反対側)は、真空室251の一面を構成する透明なガラス板253に面している。
そして先と同様に、レーザースクライブ装置301を使用して第三レーザースクライブ工程を行い、単位EL素子分離溝115を設ける。
単位EL素子分離溝115を形成する手順は、図13に示すとおりであり、前述した第一レーザースクライブ工程による透明電極層分離溝110の形成や、第二レーザースクライブ工程による発光層分離溝111の形成と同一であるから詳細な説明を省略する。
一つ特記すべき事項として、レーザー光線の焦点は、図13の様に透明電極層102と機能層103の境界部分に合わせる。その結果、透明電極層102と機能層103の境界部分が瞬間的に爆発し、そのガスで機能層103とその上の裏面電極層104が共に吹き飛ばされ、共通の溝たる単位EL素子分離溝115が形成される。
単位EL素子分離溝115の形成をもって本実施形態の有機EL製造装置250を使用する工程を終える。従って有機EL製造装置250の真空室251内に空気を導入して大気圧に戻し、内部から成膜後のガラス基板(基材)7を取り出す。取り出されたガラス基板7は、既に機能層103が裏面電極層104によって被覆されており、空気に晒しても吸湿したり酸化したりする懸念は無い。また第一及び第二レーザースクライブ工程の後の洗浄工程が略されているので、洗浄による吸湿の心配も無い。
以上説明した実施形態では、レーザー装置として、ファイバーレーザー装置を採用したが、本発明は、ファイバーレーザー装置の採用に限定されるものではなく、他の公知のレーザー装置を採用することもできる。
例えばYAGレーザーや、炭酸ガスレーザーを使用することもできる。
また前記した実施形態では、4基のレーザー発生装置303a,303b,303c,303dを有し、それぞれに光学系部材305を有する構成を例示した。即ち先の実施形態では、1基のレーザー発生装置303が一系統の光学系部材305を有し、1基のレーザー発生装置303で1本の分離溝を形成する。そして上記した実施形態では、4基のレーザー発生装置303a,303b,303c,303dを備えているから、4本の分離溝を同時に形成することができる。
この様に上記した実施形態では、1基のレーザー発生装置303で1本の分離溝を形成するものであるが、レーザー発生装置303が発生するレーザ光を分岐することにより、1基のレーザー発生装置303を使用して複数本の分離溝を同時に形成することも可能である。例えば1基のレーザー発生装置303が発生するレーザ光を分岐して2〜8本の溝を同時に形成することができる。
前記した実施形態では、単位EL素子分離溝115の形成をもって有機EL製造装置250を使用する工程を終えることとしたが、さらに他の工程を有機EL製造装置250内で実施してもよい。
例えば発光領域と非発光領域を分離するための溝や空隙を形成する工程を有機EL製造装置250内で行ってもよい。
具体的には、レーザースクライブ装置301を利用して真空室251内に設置したガラス基板7にレーザ光線を照射しつつ移動テーブル315を移動させ、所望の領域の積層体を除去する。
同様に非発光領域の積層物を除去する工程を有機EL製造装置250内で行ってもよい。非発光領域の積層物を除去する工程は、例えばガラス基板7の縁部分の積層体を除去する工程であり、当業者の間で、縁研磨スクライブとも称すべき工程である。実際の方法は、前記した溝や空隙を形成する方法と同様である。
また前記した実施形態では、有機EL製造装置250の真空室251に、既に透明電極層102が成膜されたガラス基板7を入れ、真空室251内で第一レーザースクライブ工程を行い、透明電極層分離溝110を形成する方策を例示した。しかしながら本発明は、この方策に限定されるものではなく、真空室251の外で第一レーザースクライブ工程や洗浄工程を行ってもよい。逆にガラス基板7を真空室251に搬入し、有機EL製造装置250を使用して透明電極層102を成膜してもよい。
また上記した実施形態では、真空室251の一面を構成するガラス板253は、相当に大きな四角形であるが、例えば図14に示す真空室350の様に、スリット状のガラスを使用してもよい(第2実施形態)。
即ちレーザースクライブ工程は、レーザー光線の焦点を直線状に移動させて所望の溝を設けるものであるから、レーザー光線が通過可能な幅のガラス等を真空室350の壁面にはめ込んだものであってもよい。
図14に示す真空室350では、真空室350の外郭が金属で作られている。そして真空室350の一面の壁に複数のスリット351が平行に設けられている。そして細長いガラス352がはめ込まれている。
本実施形態で採用する真空室350は、ガラス部分が小さいので、ガラス自体の剛性は低いもので足る。
本実施形態では、スリット351に沿って、移動テーブル315を移動させることとなる。
また先の実施形態では、ガラス基板7を固定した状態で、成膜と、レーザースクライブを実行したが、図15に示す有機EL製造装置360の様に、成膜を行う場所と、レーザースクライブを行う場所を分け、ガラス基板7を移動させてもよい(第3実施形態)。
図15に示す有機EL製造装置360では、真空室361が横長であり、内部に成膜部363とレーザースクライブ部365が設けられている。
そしてレーザースクライブ部365を構成する外郭の一面にガラス板362がはめ込まれている。またレーザースクライブ装置301は、真空室361の外であって、ガラス板362の近傍に設けられている。
成膜部363の構造は、ガラス板が存在しない点を除いて先の実施形態の有機EL製造装置250と同一であり、内部に蒸気チャンバー255が設けられている。
また真空室361の内部には、ガラス基板7を搬送する搬送装置(図示せず)が設けられており、当該搬送装置によってガラス基板7は成膜部363とレーザースクライブ部365の間を行き来する。
本実施形態の有機EL製造装置360についても、図45(b)以降の工程を真空室361内で実施する。
即ち既に透明電極層102が成膜されたガラス基板7を真空室361に入れ、図16で示されるように、ガラス基板7をレーザースクライブ部365に移動させて第一レーザースクライブ工程を行い、図45(b)の様に、透明電極層分離溝110を形成する。
続いて図15の様にガラス基板7を成膜部363に移動させて図45(c)の工程たる機能層103の成膜を行う。
その後に再度ガラス基板7をレーザースクライブ部365に移動させて図45(d)の工程たる第二レーザースクライブ工程を行い、発光層分離溝111を形成する。
さらにその後、ガラス基板7を成膜部363に移動させ、図45(e)の工程たる裏面電極層104の成膜を行う。
そしてさらに再度ガラス基板7をレーザースクライブ部365に移動させて図45(f)の工程たる第三レーザースクライブ工程を行って単位EL素子分離溝115を形成する。
先の実施形態では、いずれも一か所で機能層103の成膜を行い、裏面電極層104の成膜を行ったが、これらを別の場所で行ってもよい。即ち機能層103の成膜材料は、有機化合物であり、裏面電極層104の成膜材料は金属であるから、沸点が大きく相違し、同一のエリアでは成膜しにくい場合がある。
そこで図17に示す有機EL製造装置370(第4実施形態)の様に、成膜部371,372を二箇所に設け、その間にレーザースクライブ部373を設ける。
本実施形態では、例えば第1成膜部371で機能層103を成膜し、第2成膜部372で裏面電極層104を成膜する。
そして第1成膜部371で機能層103の成膜を終えたガラス基板7を図示しない移動装置で、レーザースクライブ部373に移動させ、第二レーザースクライブ工程を行い、発光層分離溝111を形成する。
その後に、ガラス基板7を第2成膜部372に移動させて裏面電極層104を成膜する。
さらに後に、ガラス基板7を中央のレーザースクライブ部373に移動させ、第三レーザースクライブ工程を行って、単位EL素子分離溝115を設ける。
図17に示す実施形態では、成膜に供する空間(成膜部371,372)が二箇所であるが、さらに多くの成膜部を設けてもよい。また汚染(コンタミネーション)を防ぐために、成膜部371,372同士の間や、レーザースクライブ部373の境界にシャッターやカーテンを設けてもよい。
さらに、有機EL製造装置370を改良した構成として、図18,図19に示す有機EL製造装置380(第5実施形態)が考えられる。
図18,19に示す有機EL製造装置380は、真空室381の外部にレーザースクライブ装置382を備えているが、レーザースクライブ装置382は、Y軸方向にのみレーザー光線の焦点を移動させることができるものである。即ちレーザースクライブ装置382の移動装置(光学系移動装置)383は、二列一組のY方向ガイド385を備え、このY方向ガイド385に移動テーブル386が取り付けられている。従って移動テーブル386は、上下方向にのみ移動し、左右には動かない。
また真空室381の中央には、スリット状のガラス板387がはめ込まれている。
また真空室381の内部には、ガラス基板7を直線移動させる移動装置(基材側移動装置)388が設けられている。本実施形態の有機EL製造装置370では、ガラス基板7を一旦ガラス板387の前で停止し、レーザー光線を照射しつつ移動テーブル386を上下に移動させて、レーザースクライブを行う。
あるいは、ガラス基板7を直線移動しつつ、レーザー光線をガラス基板7に照射し、水平方向に延びる溝を形成してもよい。
また上記した実施形態では、ガラス基板7は直線方向にのみ移動するが、図20に示す有機EL製造装置390(第6実施形態)の様に、真空室251の壁面を構成するガラス板253に対して近接・離反方向に移動できる様にすることも有効である。
図20に示す有機EL製造装置390では、成膜時には、ガラス基板7が蒸気チャンバー255側の位置にあり、均一に蒸着を行うことができる。
一方、スクライブ工程を行う場合には、ガラス基板7を真空室251の壁面を構成するガラス板253側に移動させる。例えばガラス基板7をガラス板253に密着させる。
また上記した実施形態では、ガラス基板7を立て姿勢にして成膜やレーザースクライブを行ったが、図21に示す有機EL製造装置400(第7実施形態)の様に、ガラス基板7を水平方向に保持するものであってもよい。
また上記した実施形態では、いずれもレーザースクライブ装置301を真空室361の外に設けたが、図22に示す有機EL製造装置410(第8実施形態)の様に、レーザースクライブ装置301を真空室391の中に設けてもよい。
また先に示した実施形態では、4基のレーザー発生装置303a,303b,303c,303dを有し、それぞれのレーザ光が光学系部材305によってガラス基板7に照射される。そして各レーザ光の照射点は、略水平に並べられている。しかしながら本発明は、この構成に限定されるものではなく、図23に示す様に、各レーザ光の照射点を、略垂直に並べてもよい(第9実施形態)。本構成を採用する場合は、Y方向ガイド311に隣接するY方向送りネジ320を回転させて、移動テーブル315のY方向(天地方向)の位置を決め、レーザー光線を照射する。
そしてレーザー光線を照射しつつ、X方向ガイド312に隣接するX方向送りネジ321を回転させて、移動テーブル315をX方向(水平方向)に一定速度で移動させる。例えば、Y方向ガイド311を上から下に向かって移動させる。
その結果、透明電極層102に4条の透明電極層分離溝110が一度に形成される。
有機EL製造装置250等と他の設備とのレイアウトは任意であるが、例えば図24に示すような製造ライン500を構成することも考えられる。図24に示す製造ライン500では、有機EL製造装置503が、二列に対向して多数設置され、両者の間に搬送レール501が設けられている。そして搬送レール501に搬送チャンバー502が移動可能に設置されている。
本実施形態で採用する有機EL製造装置503は、図25に示されるように、先に説明した有機EL製造装置250等の機能を備える他、正面側に開閉扉505が設けられている。
そして本実施形態の製造ライン500では、開閉扉505が搬送レール501側に向くように配置されている。
搬送チャンバー502は、搬送レール501に沿って直線移動することができる他、有機EL製造装置250に向かって近接離反することができる。そして搬送チャンバー502は、有機EL製造装置250に向かって近接し、有機EL製造装置250とドッキングすることができる。また搬送チャンバー502にも開閉扉506がある。
また搬送チャンバー502内には、図示しない搬送レール及び搬送駆動装置があり、有機EL製造装置250からガラス基板7を受け渡しすることができる。
本実施形態では、搬送チャンバー502内に成膜前のガラス基板7を設置し、搬送チャンバー502を搬送レール501に沿って走行させ、任意の有機EL製造装置250の前で停止させる。続いて搬送チャンバー502を有機EL製造装置250に向かって前進させ、搬送チャンバー502を有機EL製造装置250にドッキングさせる。その後に、有機EL製造装置250の開閉扉505及び搬送チャンバー502の開閉扉506を開く。そして搬送チャンバー502内の図示しない搬送駆動装置を駆動してガラス基板7を移動し、有機EL製造装置250にガラス基板7を受け渡す。
その後、有機EL製造装置250内でガラス基板7に所定の成膜とスクライブが実行される。
その間、搬送チャンバー502は、他の有機EL製造装置250に対してガラス基板7の受け渡しを行う。
先にガラス基板7を搬入した有機EL製造装置250内で所定の工程を終えたならば、搬送チャンバー502が再度その有機EL製造装置250の前に移動し、さらに前進してドッキングする。そして成膜されたガラス基板7を有機EL製造装置250側から搬送チャンバー502に移載し、搬送チャンバー502を走行して成膜されたガラス基板7を所定の位置に搬送する。
また上記した実施形態では、一つの真空室内で複数種類の層を積層することができる様にするため、5個の薄膜材料放出部267a,267b,267c,267d,267eを備えた蒸気チャンバー255を採用し、蒸気チャンバー255の内部を薄膜材料放出部267a,267b,267c,267d,267eに対応して複数の小部屋266a,266b,266c,266d,266eに分割した。
しかしながら、一つの真空室内で複数種類の層を積層するための方策は、これに限定されるものではなく、各種の構造が考えられる。以下、この構成を説明する(第10〜第18実施形態)。以下の説明において、レーザースクライブ装置301は、先の実施形態と同一であるから図示するだけに止め、詳細な説明を省略する。
本発明の第10実施形態における真空蒸着装置1は、図26に示す様に、真空室2を有し、真空室2内に、基板保持壁3と、5台の蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eと蒸気チャンバー6及び5個の坩堝設置室(蒸発装置設置部)12a,12b,12c,12d,12eを内蔵したものである。即ち真空蒸着装置1は、第1蒸発装置5aと、第2蒸発装置5bと、第3蒸発装置5cと、第4蒸発装置5dと、第5蒸発装置5eを持つ。
また真空蒸着装置1は、第1坩堝設置室12aと、第2坩堝設置室12bと、第3坩堝設置室12cと、第4坩堝設置室12dと、第5坩堝設置室12eを持つ。
さらに真空蒸着装置1は、各部の温度を調節するための制御装置62を備えている。
真空室2は、公知のそれと同様に、ガラス基板(基材)7を設置することができる広い空間8を有する部材である。
真空室2は、気密性を有している。また真空室2には、真空ポンプ9が接続されており、内部を高真空雰囲気に保つことができる。また真空室2の一つの壁面520には、先の実施形態と同様にガラス板253で作られている。
基板保持壁3は、壁状の部位であり、図示しない基板保持具が設けられている。また基板保持壁3の裏面には、冷却配管33が取り付けられている。冷却配管33には冷却液が循環し基板保持壁3の温度を一定の温度に維持する。
蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eは、公知の坩堝10と気化用電気ヒータ11によって構成されている。坩堝10は、図28に示すような溝型のものである。即ち坩堝10は、長細い形状をしている。蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eの坩堝10は、いずれも同一の構造であるが、説明上、第1蒸発装置5aに内蔵されている坩堝を第1坩堝10aとし、第2蒸発装置5bに内蔵されている坩堝を第2坩堝10bとし、以下、蒸発装置5と坩堝10の番号に付されたアルファベットを統一する。
蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eの構造及び機能は、公知のそれと同一であり、坩堝10内に薄膜材料を入れ、気化用電気ヒータ11で薄膜材料を溶融し、さらに気化させることができる。
坩堝設置室(蒸発装置設置部)12a,12b,12c,12d,12eは、蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eを入れる小部屋であり、それぞれ独立しており、いずれも内部に空間がある。また坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの上部には、開口14a,14b,14c,14d,14eがあり、当該開口14にそれぞれ切り換えシャッター(切り換え手段)17a,17b,17c,17d,17eが設けられている。なお切り換えシャッター(切り換え手段)17a,17b,17c,17d,17eは、それぞれ開口14a,14b,14c,14d,14eを全閉止することができるものであり、開閉弁として機能している。
坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの外周面には、設置室側電気ヒータ(発生部保温手段)18a,18b,18c,18d,18eが取り付けられている。さらに坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eには設置室側温度センサー28a,28b,28c,28d,28eが設けられている。
坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの内部には、それぞれ蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eが一個ずつ収納されている。
蒸気チャンバー6は、坩堝設置室(蒸発装置設置部)12a,12b,12c,12d,12eを収容する空間を形成すると共に、薄膜材料の蒸気が通過する通路として機能するものであり、坩堝設置部16と縦流路形成部26と薄膜材料放出部25とが一体化されたものである。また蒸気チャンバー6の内部は蒸気通過部13として機能する。
即ち蒸気チャンバー6の坩堝設置部16は、最も下部の位置にあって比較的広い空間を有し、その内部に前記した坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eが並べて設置されている。また前記した様に坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12e内には、それぞれ蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eが一個ずつ収納されている。
各坩堝設置室(蒸発装置設置部)12a,12b,12c,12d,12eの上面65と、蒸気チャンバー6における坩堝設置部16の天井面66との間には空間があり、この空間は、横方向蒸気通過部67として機能する。なお横方向蒸気通過部67は、主流路部としての機能を兼ねている。また坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの開口14a,14b,14c,14d,14eの部分が短い分岐流路部として機能する。
本実施形態では、横方向蒸気通過部67と蒸気チャンバー6の外部とを接続する給気配管43が設けられている。この給気配管43は、真空室2の壁面を貫通し、外部と連通している。なお給気配管43には、開閉弁45、減圧弁46を介してアルゴンや窒素等の不活性ガスのボンベ47が接続されている。減圧弁46は、ボンベ47の圧力を大気圧よりも相当に低い圧力に減圧することができる。
縦流路形成部26は、坩堝設置部16の上部にあり、坩堝設置部16と連通する縦方向蒸気通過部15を形成している。
本実施形態で採用する縦流路形成部26は、図27、図29に示す様に、外形形状が長方形の板状であり、正面側と裏面側に大面積の平面部20,21がある。平面部20,21は何れも長方形である。
平面部20,21を繋ぐ側壁部22,23及び天面壁部24は、前記した平面部20,21よりも面積が小さい。
本実施形態では、平面部20,21と側壁部22,23及び天面壁部24によって縦方向蒸気通過部15が囲まれ、この縦方向蒸気通過部15が図26の様に坩堝設置部16と連通している。
本実施形態では、縦流路形成部26の平面部20が、薄膜材料放出部25として機能する。即ち平面部20には、図27、図30の様に多数の孔27が設けられている。孔27の大きさは、一様ではなく、上部側に配されたものが下部側に配されたものよりも大きい。
薄膜材料放出部25は、当業者の間で、エリアソースと称される原料供給方式を採用するものであり、後記する様に各孔27から気化した薄膜材料を放出する。
また本実施形態では、蒸気チャンバー6の外周部に流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)35,36,37が取り付けられている。さらに蒸気チャンバー6には通路側温度センサー38が取り付けられている。
本実施形態の真空蒸着装置1は、前記した様に真空室2に、基板保持壁3と、5台の蒸発装置5a,5b,5c,5d,5e及び5個の坩堝設置室(蒸発装置設置部)12a,12b,12c,12d,12eを含む蒸気チャンバー6と、を内蔵したものであり、蒸気チャンバー6は、真空室2の下部に設置されている。
即ち図26のレイアウトに示す様に、蒸気チャンバー6の坩堝設置部16は真空室2の下部にあり、蒸気チャンバー6の縦流路形成部26は真空室2の一方側に寄った位置に立設している。縦流路形成部26の平面部20(薄膜材料放出部25)は、真空室2の一方の壁面520に面し、薄膜材料放出部25の孔27は、いずれも当該壁面520側に向かって開いている。
また蒸気チャンバー6の坩堝設置部16の上に基板保持壁3が設けられている。そのためガラス基板7が無い状態においては、基板保持壁3が蒸気チャンバー6の縦流路形成部26と対向する。
本実施形態の真空蒸着装置1では、ガラス基板7は、基板保持壁3に載置される。即ちガラス基板7は、基板保持壁3に縦置き状に設置される。そしてガラス基板7の一方の面が、基板保持壁3と接し、ガラス基板7は図示しない基板保持具で基板保持壁3に固定されている。
なおガラス基板7の大きさは、薄膜材料放出部25と略等しい。
前記した設置室側温度センサー28a,28b,28c,28d,28eの信号と、通路側温度センサー38の信号が制御装置62に入力されている。また前記した設置室側電気ヒータ(発生部保温手段)18a,18b,18c,18d,18eと、流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)35,36,37は、制御装置62から出力される信号によって制御される。
本実施形態では、5組の設置室側電気ヒータ(発生部保温手段)18a,18b,18c,18d,18eは、それぞれ個別に制御される。そのため本実施形態では、坩堝設置室(蒸発装置設置部)12a,12b,12c,12d,12eの温度を個別に制御することができる。即ち本実施形態では、坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの目標温度を制御装置62によって個別に制御することができる。
より具体的には、制御装置62は、第1坩堝設置室12aの目標温度を設定する第1温調節器62aと、第2坩堝設置室12bの目標温度を設定する第2温調節器62bと、第3坩堝設置室12cの目標温度を設定する第3温調節器62cと、第4坩堝設置室12dの目標温度を設定する第4温調節器62dと、第5坩堝設置室12eの目標温度を設定する第5温調節器62eとを備えている。
また本実施形態では、流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)35,36,37についても制御される。そのため本実施形態では、蒸気通過部13たる縦流路形成部26と、横方向蒸気通過部67が坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eとは別個独立して温度制御される。
より具体的には、制御装置62は、蒸気通過部13の目標温度を設定する第5温調節器63を備えている。
次に本実施形態の真空蒸着装置1の作用を、有機EL装置の機能層103を成膜する工程を例に説明する。
本実施形態の真空蒸着装置1で有機EL素子の機能層103を成膜する場合は、第1坩堝設置室12aの坩堝10aに正孔注入層210用の薄膜材料を入れ、第2坩堝設置室12bの坩堝10bに正孔輸送層211の薄膜材料を入れ、第3坩堝設置室12cの坩堝10cに発光層212の薄膜材料を入れ、第4坩堝設置室12dの坩堝10dに電子輸送層213用の薄膜材料を入れる。残る一つの第5坩堝設置室12eには裏面電極層104を形成する成膜材料を入れる。
そしてそれぞれの薄膜材料を蒸発させる。なお各坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの切り換えシャッター17a,17b,17c,17d,17eは閉じておく。
またそれぞれの坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eを各層の薄膜材料に適した温度に保温する。
即ち第1温調節器62aの設定温度を正孔注入層210用の薄膜材料の蒸気を保温するのに適する温度に設定する。同様に第2温調節器62bの設定温度を正孔輸送層211用の薄膜材料の蒸気を保温するのに適する温度に設定し、第3温調節器62cの設定温度を発光層212用の薄膜材料の蒸気を保温するのに適する温度に設定し、第4温調節器62dの設定温度を電子輸送層213用の薄膜材料の蒸気を保温するのに適する温度に設定する。また第5温調節器62eの設定温度を裏面電極層104用の薄膜材料の蒸気を保温するのに適する温度に設定する。
なお、薄膜材料の蒸気を保温するのに適する温度は、真空下における各薄膜材料の沸点よりも、摂氏10度から摂氏30度程度高い温度である。
各坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eでは、薄膜材料が気化し、かつ各坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの切り換えシャッター17a,17b,17c,17d,17eは閉じられているから、各坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12e内に薄膜材料の蒸気が充満する。しかしながら、坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eは各層の薄膜材料に適した温度に保温されているから、薄膜材料の劣化や壁に対する薄膜材料の付着は起こらない。
また蒸気通過部13を前記した坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの目標温度の中で最も高い温度(最高目標温度)に保温する。
即ち第5温調節器63の設定温度を、第1温調節器62aから第5温調節器62eの設定温度の中で、最も高い温度に一致させる。
これと並行して真空室2内に、透明電極層102が成膜されたガラス基板7を設置し、真空室2内を高真空状態に減圧する。
まず、第一レーザースクライブ工程を行い、透明電極層分離溝110(図44,45)を形成する。
続いて、ガラス基板7に正孔注入層210を成膜する。
即ち、図31(a)の様に、第1坩堝設置室12aに設けられた切り換えシャッター17aを開き、第1坩堝設置室12aの開口14aを開放する。その結果、第1坩堝10aで蒸発した正孔注入層210用の薄膜材料の蒸気が、切り換えシャッター17aから横方向蒸気通過部67内に入り、さらに縦方向蒸気通過部15を経て薄膜材料放出部25の孔27からガラス基板7に向かって放出される。
より具体的には、第1坩堝設置室12a内の薄膜材料の蒸気は、横方向蒸気通過部67(各坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの上面65と、蒸気チャンバー6における坩堝設置部16の天井面66との間に形成された空間)を図面横方向に流れる。そしてさらに蒸気は、横方向蒸気通過部67から縦流路形成部26内に形成された縦方向蒸気通過部15に入る。さらにその蒸気は、薄膜材料放出部25の孔27からガラス基板7に向かって放出される。
薄膜材料放出部25に設けられた孔27は、面状の広がりをもって分布している。そして薄膜材料放出部25はガラス基板7に対向している。さらに薄膜材料放出部25の大きさは、ガラス基板7と略等しく、且つ両者は平行に向き合っている。
さらにガラス基板7の外側の面には、基板保持壁3が接しており、基板保持壁3には冷却機能があるから、ガラス基板7の温度は、低温に維持されている。
そのため薄膜材料放出部25の孔27から放出された薄膜材料の蒸気は、ガラス基板7の全面に均等に吹きつけられ、ガラス基板7の表面で熱を奪われて固化する。その結果、ガラス基板7の表面に正孔注入層210用の薄膜材料の層が成膜される。
また正孔注入層210用の薄膜材料の蒸気が通過する蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)は、共に坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの目標温度の中で最も高い温度に保温されており、少なくとも正孔注入層210用の薄膜材料の沸点よりも高いから、蒸気通過部13内で蒸気が凝縮することはない。
また蒸気が蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)を通過するのに要する時間は、極めて短いから、薄膜材料が変質することもない。
正孔注入層210が成膜されている間は、その他の坩堝設置室12b,12c,12d,12e内では、それぞれの薄膜材料の蒸気が充満しているが、各坩堝設置室12b,12c,12d,12eは、それぞれの薄膜材料に適した温度に保温されているから、薄膜材料が変質したり、内壁に凝縮することはない。
正孔注入層210の成膜を終えると、前記した蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)を掃気する。
即ち、図31(b)の様に、第1坩堝設置室12aに設けられた切り換えシャッター17aを閉じ、開閉弁45を短時間だけ開いて、蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)に不活性ガスを極僅かだけ導入する。
前記した様に、横方向蒸気通過部67は給気配管43を介して真空室2の外部と連通しており、給気配管43には開閉弁45、減圧弁46を介して不活性ガスのボンベ47が接続されている。また減圧弁46は、ボンベ47の圧力を大気圧よりも相当に低い圧力に減圧するものである。そのため、開閉弁45を短時間だけ開くと、ボンベ47の不活性ガスが横方向蒸気通過部67に導入される。
即ちボンベ47から供給される不活性ガスは、大気圧以下の圧力であるが、横方向蒸気通過部67は、高真空に減圧されているから、不活性ガスが横方向蒸気通過部67に導入され、さらに縦方向蒸気通過部15を通過して薄膜材料放出部25の孔27から放出される。
その結果、蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)内に残留する薄膜材料の蒸気は、不活性ガスに押し出され、蒸気通過部13内が不活性ガスで置換される。
ただし導入される不活性ガスは、極めて微量であるから、真空室2内の真空度を過度に低下させることはない。また真空ポンプ9は、常時運転されているので、たとえ、真空度が低下しても、すぐに元の真空度に復帰する。
蒸気通過部13内の掃気工程が終わると、続いて正孔輸送層211を成膜する。具体的には、図32(c)の様に、第2坩堝設置室12bに設けられた切り換えシャッター17bを開き、第2坩堝設置室12bを開放する。その結果、第2坩堝10bから蒸発した正孔輸送層211用の薄膜材料の蒸気が、切り換えシャッター17bから横方向蒸気通過部67内に入り、さらに縦方向蒸気通過部15を経て薄膜材料放出部25の孔27から、ガラス基板7に向かって放出される。
蒸気の流れの詳細は、前記した正孔注入層210の成膜と同様であり、横方向蒸気通過部67を横切って縦流路形成部26内に形成された縦方向蒸気通過部15に入り、さらに薄膜材料放出部25の孔27からガラス基板7に向かって放出される。
この場合も、正孔輸送層211の薄膜材料の蒸気が通過する蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)は、共に坩堝設置室12a,12b,12c,12d,12eの目標温度の中で最も高い温度(最高目標温度)に保温されており、少なくとも正孔輸送層211の薄膜材料の沸点よりも高いから、蒸気通過部13内で蒸気が凝縮することはない。
また蒸気が蒸気通過部13を通過するのに要する時間は、極めて短いから、薄膜材料が変質することもない。
正孔輸送層211が成膜されている間の時間は、その他の坩堝設置室12a,12c,12d,12e内では、それぞれの薄膜材料の蒸気が充満しているが、各坩堝設置室12a,12c,12d,12eは、それぞれの薄膜材料に適した温度に保温されているから、薄膜材料が変質したり、内壁に凝縮することはない。
正孔輸送層211の成膜を終えると、図32(d)の様に前記した蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)を掃気する。
掃気の方法及び作用は、前記した正孔注入層210の成膜後の掃気と同一である。
蒸気通過部13内の掃気工程が終わると、続いて発光層212を成膜する。
具体的には、図33(e)の様に、第3坩堝設置室12cに設けられた切り換えシャッター17cを開き、第3坩堝設置室12cを開放する。その結果、第3坩堝10cから蒸発した発光層212用の薄膜材料の蒸気が、切り換えシャッター17cから横方向蒸気通過部67内に入り、さらに縦方向蒸気通過部15を経て薄膜材料放出部25の孔27から、ガラス基板7に向かって放出される。
発光層212の成膜を終えると、前記した蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)を掃気する(図33(f))。
そしてさらに続いて電子輸送層213を成膜する。
具体的には、図34(g)の様に、第4坩堝設置室12dに設けられた切り換えシャッター17dを開き、第4坩堝設置室12dを開放する。その結果、第4坩堝10dから蒸発した電子輸送層213用の薄膜材料の蒸気が、切り換えシャッター17dから横方向蒸気通過部67内に入り、さらに縦方向蒸気通過部15を経て薄膜材料放出部25の孔27から、ガラス基板7に向かって放出される。
電子輸送層213の成膜を終えると、前記した蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)を掃気し(図34(h))、機能層103の一連の成膜工程を終える。
その後、レーザースクライブ装置301によって真空室2内で第二レーザースクライブ工程による発光層分離溝111を形成する。
さらにその後、真空室2内で裏面電極層104の成膜を行う。
即ち図35(i)の様に、第5坩堝設置室12eに設けられた切り換えシャッター17eを開き、第5坩堝設置室12eを開放する。その結果、第5坩堝10dから蒸発した裏面電極層104用の薄膜材料の蒸気が、切り換えシャッター17eから横方向蒸気通過部67内に入り、さらに縦方向蒸気通過部15を経て薄膜材料放出部25の孔27から、ガラス基板7に向かって放出される。
裏面電極層104の成膜を終えると、前記した蒸気通過部13(横方向蒸気通過部67と縦方向蒸気通過部15)を掃気し(図35(j))する。
そして続いてレーザースクライブ装置301を利用して第三レーザースクライブ工程を行い、真空室2内で単位EL素子分離溝115を形成する。
その後、ガラス基板7を真空室2から搬出し、封止部206の形成、等を経て、集積型の有機EL装置100が完成する。
次に、一つの真空室内で複数種類の層を積層するための方策に関し、第10実施形態以外の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態において、第10実施形態と同一の部材には同一の番号を付し、重複した説明を省略する。
第10実施形態では、多数の孔27を有する薄膜材料放出部25を例示した。即ち、第10実施形態では、いずれもエリアソース(area source)と称される原料供給方式を採用するものであり、多数の孔27が面状に分布しているが、他の方式の原料供給方式を採用してもよい。
図36(第11実施形態)は、ポイントソース(point source)と称される原料供給方式を採用するものであり、一つの開口から原料を放出するものである。
即ち図36に示す真空蒸着装置70では、坩堝設置部71から管状の蒸気通過部72が突出している。そして蒸気通過部72は先端部分が水平方向に折り曲げられ、その開口75が、ガラス基板7に対向している。
また蒸気通過部72には、流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)73が取り付けられている。
本実施形態においても、各坩堝設置室(蒸発装置設置部)の保温温度をそれぞれ個別に設定及び制御することができる。また蒸気通過部72の目標温度についても、各坩堝設置室とは独立して個別に設定及び制御することができる。
他の構成は、第10実施形態と同一である。
また図37(第12実施形態)は、リニアソース(linear source)と称される原料供給方式を採用するものであり、縦に配された開口列77から原料を放出するものである。本実施形態では、開口列77が薄膜材料放出部として機能する。
なお図37の構成を採用する場合には、ガラス基板7を開口列77に対して相対的に移動させる必要がある。
開口列77の近傍には、流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)76が取り付けられている。
本実施形態においても、各坩堝設置室(蒸発装置設置部)の保温温度をそれぞれ個別に設定及び制御することができる。また蒸気通過部の目標温度についても、各坩堝設置室とは独立して個別に設定及び制御することができる。
他の構成は、第10実施形態と同一である。
また前記した第10〜第12実施形態では、坩堝10等の蒸発装置5を真空室2内に配置したが、蒸発装置5を真空室2の外に設置してもよい。
図38(第13実施形態)に示す真空蒸着装置85では、5個の坩堝設置室(蒸発装置設置部)93a,93b,93c,93d,93eを有し、5個の坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93eは、いずれも真空室2の外にある。また真空室2内には、前記した蒸気チャンバー6の蒸気通過部13に相当する蒸気チャンバー86が設けられている。そして5個の坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93eと真空室2内の蒸気通過部13が管路88で接続されている。
管路88は主管部(主流路部)83と当該主管部83に接続された複数の分岐管部(分岐流路部)87とを有している。具体的には、管路88は、6個の導入側ポートと1個の吐出側ポートを有するマニホールド96を有し、吐出側ポートが真空室2内の蒸気通過部13に接続されている。
一方、5個の導入側ポートは、それぞれ開閉弁97a,97b,97c,97d,97eを介してそれぞれの坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93eに接続されている。
本実施形態で採用する開閉弁(切り換え手段)97a,97b,97c,97d,97eは、全閉状態にすることが可能である。
また、残る導入側ポート98には、開閉弁45と減圧弁46を介して不活性ガスのボンベ47が接続されている。
本実施形態の真空蒸着装置85では、各坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93e内の坩堝10a,10b,10c,10d,10eに異なる種類の薄膜材料が投入される。
本実施形態の真空蒸着装置85では、開閉弁97a,97b,97c,97d,97eを切り換えることにより、ガラス基板7に向かって放出される薄膜材料を変更することができる。
前記した第10〜第13実施形態における蒸気チャンバー6と同様に、本実施形態においても、蒸気チャンバー86に流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)50が取り付けられている。またマニホールド96にも流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)51が取り付けられている。さらにマニホールド96と蒸気チャンバー86の間の配管52にも流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)53が取り付けられている。
また坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93eの外周面には、設置室側電気ヒータ(発生部保温手段)18a,18b,18c,18d,18eが取り付けられている。
第10実施形態の真空蒸着装置1(図26)と同様に、本実施形態の真空蒸着装置85においても、制御装置62によって流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)50,51,53と設置室側電気ヒータ(発生部保温手段)18a,18b,18c,18d,18eが制御されている。そして、流路保温用電気ヒータ(通路保温手段)50,51,53と、設置室側電気ヒータ(発生部保温手段)18a,18b,18c,18d,18eとは、別個に温度設定が可能である。また設置室側電気ヒータ(発生部保温手段)18a,18b,18c,18d,18eは、それぞれ、個別に温度設定が可能である。
第10実施形態の真空蒸着装置1(図26)と同様に、本実施形態の真空蒸着装置85においても、坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93e内の坩堝10a,10b,10c,10d,10eに異なる種類の薄膜材料を投入することにより、異なる種類の薄膜を順次成膜することができる。この際の管路88及び蒸気通過部13の目標温度については、第10実施形態における蒸気通過部13と同様に設定することができる。即ち、管路88及び蒸気通過部13を、坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93eの目標温度の中で最も高い温度(最高目標温度)に保温する。これにより、管路88と蒸気チャンバー86の温度が各薄膜材料の沸点よりも十分に高い温度に維持されるから、いずれの薄膜材料を気化させても管路88や蒸気チャンバー86内で固化してしまうことはない。この構成によれば、蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eの切り換え時(薄膜材料の切り換え時)に管路88や蒸気チャンバー86の温度を変える必要がない。
また本実施形態においても、第10実施形態(図31〜図35)と同様に、蒸発装置5a,5b,5c,5d,5eの切り換え時には、不活性ガスを管路88と蒸気通過部13に通し、残留した薄膜材料の蒸気を押し出して取り除く(掃気工程)。
前記した第10〜第13実施形態では、蒸気通過部を掃気するために、ボンベから不活性ガスを導入した。
他の掃気方法としては、例えば図39(第14実施形態)の様に、空の小チャンバー55をマニホールド96の1つの導入側ポートに開閉弁56を介して接続し、掃気に際して開閉弁56を開き、小チャンバー55内の空気を真空室2の真空で吸引させる構成を採用することもできる。また小チャンバー55内を予め低真空に減圧しておき、真空室2内に吸引させる気体の量を少量に制限することもできる。同様の理由から、小チャンバー55の容積を真空室2や管路88及び蒸気チャンバー86の容積に対して十分小さなものとすることによって、真空室2内に吸引させる気体の量を少量に制限する方策も考えられる。
上記した第10〜第14実施形態では、蒸発装置及び坩堝設置室を5個有するものを例に説明したが、それ以上の数やそれ以下の数であってもよい。要するに、積層する膜の層数に応じた数の蒸発装置及び坩堝設置室を有することが望ましく、10以上の蒸発装置及び坩堝設置室を有していてもよい。
上記した第10〜第14実施形態では、5個の坩堝設置室をそれぞれ個別の温度に設定できる構成を示したが、坩堝設置室を温度領域ごとに区分し、複数の坩堝設置室をまとめて温度調節する構成も可能である。
例えば図40(第15実施形態)に示す真空蒸着装置の様に、8個の坩堝設置室93a,93b,93c,93d,93e,93f,93g,93hを有する場合、この8個の坩堝設置室93を高温保温、中温保温、低温保温という様に複数の区分に分割し、区分に含まれる坩堝設置室93を一まとめにして温度調節してもよい。
また上述した第10〜第15実施形態は、いずれもガラス基板7を縦置き姿勢にして成膜を行うものであったが、水平姿勢に保持して成膜を行うものであってもよい。
図41(第16実施形態)は、ガラス基板7を水平姿勢に保持して成膜を行う真空蒸着装置の例を示すものである。
図41に示す真空蒸着装置80は、基板保持壁81が真空室2の天面側に水平に配されている点と、薄膜材料放出部25及びこれを構成する流路形成部82が水平姿勢である点を除いて、図38に示す真空蒸着装置と同一の構造である。
そのため同一の部材に同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
上述した第10〜第16実施形態では、複数の坩堝設置室が一列に並べて配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図42に示すように、坩堝設置室を複数列に並べて配置されたものでもよい。図42に示す例(第17実施形態)では、9個の坩堝設置室12a〜12iが、3個を1列として計3列に並べて配置されている。本実施形態においても、坩堝設置室12a〜12iは、図26の様に真空室2内に設置してもよいし、図38の様に真空室2外に設置してもよい。
また上述した第10〜第17実施形態では、いずれもガラス基板7を一枚づつ成膜する方策を開示したが、複数のガラス基板7を真空室2に入れて複数のガラス基板7を同時に成膜してもよい。このとき、図43に示す有機EL製造装置620の様に、二枚のガラス基板7の間に蒸気チャンバー510を設けるとともに、蒸気チャンバー510の両面から蒸気を噴射させる構成を採用することが望ましい(第18実施形態)。
図43に示す有機EL製造装置620では、真空室2の二面にレーザースクライブ装置301が設けられている。
以上説明した製造装置は、いずれも有機EL装置を製造することを目的として開発されたものであるが、同様の構成の装置をそのまま太陽電池の製造装置に転用することができる。即ち有機EL製造装置250等は、太陽電池の製造装置としても使用することができる。また製造工程についても、有機EL装置の製造工程に準じて太陽電池を製造することができる。
先の第3実施形態では、成膜を行う場所と、レーザースクライブを行う場所とを分け、ガラス基板7を移動させる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。この構成に加えて、ガラス基板7を昇温(又は降温)する場所を設けてもよい。例えば、図48で示されるように、成膜を行う場所とレーザースクライブ行う場所の間に、さらにガラス基板7を昇温又は降温する場所を設けてもよい(第19実施形態)。以下、第19実施形態につき詳細に説明するが、上記した実施形態と同様のものについては、同じ符号を付して説明を省略する。
図48に示す有機EL製造装置600では、真空室601が横長であり、内部に成膜部363と、レーザースクライブ部365と、基板温度調整部602とがそれぞれ設けられている。そして、真空室601の内部には、ガラス基板7を搬送する搬送装置(図示せず)が設けられており、この搬送装置によって、ガラス基板7は成膜部363、レーザースクライブ部365、基板温度調整部602の間を行き来する。
基板温度調整部602では、縦方向(有機EL製造装置600長手方向に略直交する方向)で対向する内壁面近傍に、加熱装置603と冷却装置604とがそれぞれ配されている。
加熱装置603は、例えば、電熱線、セラミックヒータ、石英加熱管のような加熱機構によって構成される加熱源(図示せず)を備えており、ガラス基板7を昇温可能な構成となっている。
本実施形態では、加熱装置603は、加熱源を内部に擁するプレート部分(図示せず)を備え、このプレート部分にガラス基板7を接触させてガラス基板7を加熱可能な構成となっている。また、プレート部分の横方向の中心部分と、その中心部分の外側に位置する両端部分の3つの部分がそれぞれ独立して温度調節可能となっている。そして、プレート部分にガラス基板7を接触させて加熱するとき、ガラス基板7の横方向の中心部部分とその両端部分とを、それぞれ独立して温度調節しつつ加熱可能となっている。このことにより、ガラス基板7をプレート部分に接触させて加熱するとき、ガラス基板7の横方向の中心部部分とその両端部分との間で温度のムラを無くし、ガラス基板7を均一に加熱することができる。
冷却装置604は、例えば、冷却液又は冷却ガスといった冷媒が流動する配管部材のような冷却機構によって構成される冷却源(図示せず)を備えており、ガラス基板7を降温可能な構成となっている。
本実施形態では、冷却装置604は、冷却源を内部に擁するプレート部分(図示せず)を備え、このプレート部分にガラス基板7を接触させてガラス基板7を冷却可能な構成となっている。この冷却装置604のプレート部分もまた、プレート部分の横方向の中心部分と、その中心部分の外側に位置する両端部分の3つの部分がそれぞれ独立して温度調節可能となっている。そして、プレート部分にガラス基板7を接触させて冷却するとき、ガラス基板7の横方向の中心部部分とその両端部分とを、それぞれ独立して温度調節しつつ冷却可能となっている。このことにより、ガラス基板7をプレート部分に接触させて冷却するとき、ガラス基板7の横方向の中心部部分とその両端部分との間で温度のムラを無くし、ガラス基板7を均一に冷却することができる。
次に、本実施形態の有機EL製造装置600の作用を、有機EL装置100(図44,45)の製造工程に沿って説明する。
本実施形態の有機EL製造装置600についても、上記した第3実施形態と同様に、図45(b)以降の工程を真空室601内で実施する。
即ち、既に透明電極層102が成膜されたガラス基板7を真空室601に入れ、ガラス基板7をレーザースクライブ部365に移動させてレーザースクライブ工程(第一レーザースクライブ工程)を行い、図45(b)の様に、透明電極層分離溝110を形成する。続いて、ガラス基板7を成膜部363に移動させて図45(c)の工程たる機能層103の成膜を行う。
このように、ガラス基板7をレーザースクライブ部365と成膜部363との間で移動させ、レーザースクライブ工程と、ガラス基板7に対する成膜とをそれぞれ実施していく。
ここで、本実施形態では、レーザースクライブ工程を実施する直前にガラス基板7を冷却する冷却工程と、ガラス基板7に対する成膜を実施する直前にガラス基板7を加熱する加熱工程とをそれぞれ実施する。
具体的に説明すると、図49で示されるように、本実施形態では、ガラス基板7がレーザースクライブ部365と成膜部363との間を移動するとき、基板温度調整部602を通過する。ここで、ガラス基板7がレーザースクライブ部365側から成膜部363側へと移動するとき、基板温度調整部602まで移動したガラス基板7は、搬送装置(図示せず)によって加熱装置603側へと移動させられ、加熱装置603に接触させられる。そして、加熱装置603によってガラス基板7が加熱される。そして、所定の温度まで昇温されたガラス基板7は、加熱装置603から離反する方向へと移動させられて、再び、成膜部363側へと移動していく。
このように、ガラス基板7がレーザースクライブ部365側から成膜部363側へと移動するとき、基板温度調整部602で加熱してから成膜部363側へと移動させることで、成膜部363で成膜を行う前にガラス基板7を予備加熱することができる。
ここで、ガラス基板7を予備加熱すると、ガラス基板7の温度を素早く成膜可能な温度とすることができる。詳説すると、ガラス基板7を真空室601内へと入れた直後、又は、レーザービームを照射する工程とガラス基板7を冷却する工程とを有するレーザースクライブ工程を実施した直後では、ガラス基板7の温度は成膜可能な温度より低くなっている。しかし、本実施形態によると、成膜を行う前に予備加熱を実施してガラス基板7を昇温できるので、成膜開始までに必要な時間を短縮できる。
またさらに、ガラス基板7が成膜部363側からレーザースクライブ部365側へと移動するとき、基板温度調整部602まで移動したガラス基板7は、搬送装置(図示せず)によって冷却装置604側へと移動させられ、冷却装置604に接触させられる。そして、冷却装置604によってガラス基板7が冷却される。そして、所定の温度まで降温されたガラス基板7は、加熱装置603から離反する方向へと移動させられて、再び、レーザースクライブ部365側へと移動していく。
このように、ガラス基板7が成膜部363側からレーザースクライブ部365側へと移動するとき、基板温度調整部602で冷却してからレーザースクライブ部365側へと移動させることで、十分に冷却したガラス基板7に対してレーザースクライブ工程を実施することができる。
具体的には、成膜部363で成膜を行うとき、ガラス基板7は成膜可能な温度まで昇温されている。そのため、成膜部363での成膜が終了したとき、ガラス基板7の温度は比較的高くなっている。ここで、ガラス基板7の温度が高い状態でレーザースクライブ工程を実施すると、ガラス基板7が反ってしまう場合がある。これに対し、本実施形態の有機EL製造装置600では、ガラス基板7を冷却してからレーザースクライブ工程を実施できるので、ガラス基板7の温度が高い状態でレーザースクライブ工程が行われてしまうことがない。
上記した第19実施形態では、基板温度調整部602に加熱装置603と冷却装置604との双方を設ける構成であったが、図50で示されるように、基板温度調整部602に加熱装置603のみを設ける構成(第20実施形態)であってもよく、図51で示されるように、基板温度調整部602に冷却装置604のみを設ける構成(第21実施形態)であってもよい。
また、上記した第19実施形態では、ガラス基板7を基板温度調整部602で加熱装置603と冷却装置604のそれぞれに対して近接、離反させる構成であったがガラス基板7の搬送経路はこれに限るものではない。
例えば、図50で示されるように、レーザースクライブ部365側から成膜部363側へと向かうとき、真空室601の縦方向の片側よりの位置(図50における下側の位置であって、加熱装置603に近接する端部側の位置)でガラス基板7を移動させ、その後に、基板温度調整部602と成膜部363の間でガラス基板7を縦方向の他方側よりの位置(図50における上側の位置)へと移動させてもよい。
またその場合、成膜部363側からレーザースクライブ部365側へと向かうとき、そのまま縦方向の他方側よりの位置(図50における上側の位置)でガラス基板7を移動させてもよい。
また、図51で示されるように、レーザースクライブ部365側から成膜部363側へと向かうときは、真空室601の縦方向の片側よりの位置(図50における下側の位置)でガラス基板7を移動させ、成膜部363側からレーザースクライブ部365側へと向かうとき、成膜部363と基板温度調整部602の間でガラス基板7を縦方向の他方側よりの位置(図50における上側の位置)へと移動させてもよい。
ガラス基板7の搬送経路は、適宜変更してよい。
ここで、上記した第19実施形態乃至第21実施形態では、いずれも1つのガラス基板7を真空室601内で搬送する例を示したが、有機EL製造装置におけるガラス基板7の搬送方法はこれに限るものではない。例えば、図52で示されるように、2つのガラス基板7a,7bを真空室601内で搬送する構成であってもよい(第22実施形態)。詳説すると、レーザースクライブ部365で一方のガラス基板7aに対してレーザースクライブ工程を行うとき、成膜部363で他方のガラス基板7bに対して成膜を実施してもよい。そして、一方のガラス基板7aをレーザースクライブ部365側から成膜部363側へと搬送するとき、他方のガラス基板7bを成膜部363側からレーザースクライブ部365側へと搬送してもよい。このとき、2つのガラス基板7a,7bが基板温度調整部602で衝突してしまうことのないように、それぞれの搬送方向における基板温度調整部602より手前の部分で、レーザースクライブ部365側から成膜部363側へと搬送されるガラス基板7aを加熱装置603側へ近接するように移動させ、成膜部363側からレーザースクライブ部365側へと搬送されるガラス基板7bを加熱装置603側へ近接するように移動させてもよい。
ところで、上記した第19実施形態のように(図48参照)、横長の真空室601でガラス基板7を横方向に搬送する場合、ガラス基板7を横方向に移動させる移動装置としてレール部材を使用すると、レール部材は、レーザースクライブ部365と成膜部363との間に跨って設ける必要がある。このように、レール部材が横長となると、レール部材の一端は成膜部363に位置し、他端はレーザースクライブ部365に位置してしまう。このとき、比較的温度の高い成膜部363に位置するレール部材の一端は、温度の高い状態となり、比較的温度の低いレーザースクライブ部365に位置するレール部材の他端は、温度の低い状態となる。このように、レール部材の両端部分で温度が異なる状態では、その温度差によって、レール部材が反ってしまったり、歪んでしまったりするおそれがある。
そこで、図53で示されるように、横長の真空室601内でガラス基板7を横方向に移動させる移動装置として、真空室601の横方向で複数に分断したレール部材605(605a,605b,605c)を採用する構成であってもよい(第23実施形態)。
本実施形態のレール部材605は、図53で示されるように、真空室601の横方向に延びており、レーザースクライブ部365と基板温度調整部602の間と、基板温度調整部602と成膜部363の間とでそれぞれ分断されている。即ち、本実施形態では、真空室601において、レーザースクライブ工程を実施する部分、基板の温度調整を実施する部分、成膜を実施する部分といった、それぞれ異なる工程を実施する各部分の境界近傍で横方向に延びるレール部材605を分断する構成となっている。そのことにより、レール部材605を分断することで形成される3つの小レール部605a,605b,605cは、レーザースクライブ部365、基板温度調整部602、成膜部363のそれぞれの内部に1つずつ配された状態となっている。換言すると、真空室601のそれぞれ異なる工程を実施する各部分に、それぞれ別途、小レール部605a,605b,605cが設けられている。
このような構成によると、小レール部605a,605b,605cが温度の異なるレーザースクライブ部365、基板温度調整部602、成膜部363のそれぞれの間に跨って配されることがない。そのため、例えば、レーザースクライブ部365に配された小レール部605aは、小レール部605aの全ての部分がレーザースクライブ部365に位置することとなる。ここで、真空室601のレーザースクライブ部365では、いずれの部分においても、比較的温度が均一となっている。即ち、レーザースクライブ部365の各部は、別工程を行うレーザースクライブ部365と成膜部363との間のように大きく雰囲気温度が異なることがない。このことにより、小レール部605aを形成する各部は比較的温度が均一となる部分に配されることとなり、小レール部605aの各部で温度が異なることがない。そのため、小レール部605aは、1つの部材の各部の温度差に起因する反りや歪みの発生を確実に防止できる。このことは、基板温度調整部602に配される小レール部605b、成膜部363に配される小レール部605cについても同様である。
また、この3つの小レール部605a,605b,605cは、真空室601の横方向に所定の間隔を空けて並列して配されており、ガラス基板7を連続して搬送可能となっている。
即ち、図54で示されるように、3つの小レール部605a,605b,605cの間に形成される隙間L1、L2の横方向(図53の真空室601の横方向)の長さは、いずれも、ガラス基板7の同方向(図53の真空室601の横方向)の長さL3より短くなっている。換言すると、レーザースクライブ部365に配された小レール部605aと、基板温度調整部602に配された小レール部605bとの間に形成される隙間L1の横方向の長さは、ガラス基板7の同方向の長さL3より短くなっている。さらに、基板温度調整部602に配された小レール部605bと、成膜部363に配された小レール部605cとの間に形成される隙間L2の横方向の長さもまた、ガラス基板7の同方向の長さL3よりも短くなっている。このため、レール部材605によって、レーザースクライブ部365側から成膜部363側へとガラス基板7を搬送するとき、ガラス基板7が小レール部605a,605b,605cの間に形成される隙間L1、L2を乗り越えて進むことができる。
具体的に説明すると、図54で示されるように、レーザースクライブ部365側から成膜部363側へとガラス基板7を搬送するとき、ガラス基板7は、まずレーザースクライブ部365に配された小レール部605a上を移動する。そして、ガラス基板7は、レーザースクライブ部365に配された小レール部605aの端部(成膜部363側の端部)まで到達する。このとき、ガラス基板7がそのまま進行方向に移動することにより、ガラス基板7の一部が基板温度調整部602に配された小レール部605b上に位置し、ガラス基板7の他の一部がレーザースクライブ部365に配された小レール部605a上に位置した状態となる。さらにこの状態から、ガラス基板7がそのまま進行方向に移動することで、ガラス基板7が基板温度調整部602に配された小レール部605b上に位置することとなる。このようにして、ガラス基板7は、レーザースクライブ部365に配された小レール部605aと、基板温度調整部602に配された小レール部605bとの間に形成される隙間L1を乗り越えて進んでいく。また同様に、ガラス基板7が成膜部363へと移動していくことで、基板温度調整部602に配された小レール部605bと、成膜部363に配された小レール部605cとの間に形成される隙間L2を乗り越えて進んでいく。このように移動したガラス基板7が成膜部363の所定の位置に到達したことをもって、レーザースクライブ部365側から成膜部363側へのガラス基板7の搬送が完了する。
なお、成膜部363側からレーザースクライブ部365側へガラス基板7を搬送する場合も同様に、ガラス基板7が隙間L2,L1を乗り越えて進んでいく。

Claims (18)

  1. 基材上に少なくとも第1電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置の製造方法において、少なくとも第1電極層が成膜された基材を真空室に設置して少なくとも有機発光層を真空蒸着法によって成膜し、前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材にレーザー光線を照射して前記発光層分離溝を形成し、さらに前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材に第2電極層を積層することを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  2. 前記基材上に積層される各層を形成する薄膜のうち、複数の薄膜を同一の真空室で成膜することを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  3. 有機EL装置は、有機発光層の小片部と第2電極層の小片部を一組とする単位EL素子に分割されており、有機発光層と第2電極層とを連通する単位EL素子分離溝によって単位EL素子が隣接する単位EL素子と分離され、第2電極層を積層した後に基材にレーザー光線を照射して前記単位EL素子分離溝を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置の製造方法。
  4. 基材側からレーザー光線を照射して前記発光層分離溝を形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、前記真空室中において前記基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに前記真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに前記真空室中において前記基材に第二電極層を成膜可能であることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  6. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    前記レーザースクライブ装置はレーザー光学系部材と、レーザー光学系部材を移動させる光学系移動装置を備え、前記光学系移動装置は真空室の外にあることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  7. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    前記レーザースクライブ装置はレーザー光学系部材と、基材又はレーザー光学系部材を移動させる移動装置を備え、真空室は一部又は全部が透光性を有し、レーザー光学系部材は真空室の外にあって、真空室の外からレーザー光線を照射して有機発光層に発光層分離溝を形成することが可能であることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  8. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    レーザー光学系部材を移動させる光学系移動装置と、基材を移動させる基材側移動装置を有し、光学系移動装置は真空室の外にあり、基材側移動装置は真空室の中にあり、光学系移動装置と基材側移動装置はそれぞれの移動対象物を相対的に直交方向に移動するものであることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  9. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    基材を真空室内で移動させる基材側移動装置を備え、前記真空室は一部又は全部が透光性を有するものであり、
    前記基材は、前記真空室の透光性を有する部位に対して、前記真空室の内部側から近接可能及び/又は離反可能であることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  10. 真空室の透光性を有する部位は、スリット状であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の有機EL装置の製造装置。
  11. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    レーザースクライブ装置は、真空室内にあることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  12. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    レーザースクライブ装置はレーザー光線の焦点を変更可能であることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  13. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    基材を移動させる基材側移動装置を備え、
    蒸着装置とレーザースクライブ装置とが基材の移動方向において離反した位置に設けられ、
    前記基材上に積層される薄膜のうちの少なくとも1つの薄膜の成膜と、レーザースクライブ装置による溝の形成とを同一の真空室内の異なる領域で実施することを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  14. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    基材を移動させる基材側移動装置を備え、
    複数の蒸着装置を有し、当該蒸着装置が同一真空室内の離反した位置にそれぞれ設けられており、
    前記基材上に積層される薄膜のうちの少なくとも1つの薄膜と、他の少なくとも1つの薄膜とを同一真空室内の異なる位置で成膜することを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  15. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    前記蒸着装置は、基材上に積層される薄膜の材料を貯蔵可能な坩堝と、蒸着装置の内外を連通する薄膜材料放出部とを備え、
    薄膜材料放出部は、複数設けられており、
    前記蒸着装置の内部は、複数の領域に仕切られており、仕切られた領域のうちの複数の領域は、前記坩堝が配される坩堝配置領域を形成するものであって、
    複数の坩堝配置領域がそれぞれ別の薄膜材料放出部と連続していることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  16. 基材上に少なくとも第一電極層と、有機発光層と、第2電極層が積層され、有機発光層が発光層分離溝によって複数の小発光領域に分割され、前記小発光領域が直列に接続された有機EL装置を製造する有機EL装置の製造装置において、真空室と蒸着装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、当該基材に少なくとも有機発光層を成膜可能であり、さらに真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって発光層分離溝を形成可能であり、さらに当該基材に第二電極層を成膜可能であり、
    前記蒸着装置は、基材上に積層される薄膜の材料を貯蔵可能な坩堝と、蒸着装置の内外を連通する薄膜材料放出部とを備え、
    前記蒸着装置の内部は、複数の領域に仕切られており、仕切られた領域のうちの複数の領域は、前記坩堝が配される坩堝配置領域を形成するものであって、
    複数の坩堝配置領域が1つの薄膜材料放出部と連続していることを特徴とする有機EL装置の製造装置。
  17. 基材上に少なくとも第1電極層と、光発電機能又は発光機能を有する機能層と、第2電極層が積層され、機能層が機能層分離溝によって複数の小領域に分割され、前記小領域が直列に接続された光電変換装置の製造方法において、少なくとも第1電極層が成膜された基材を真空室に設置して機能層を成膜し、前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材にレーザー光線を照射して前記機能層分離溝を形成し、さらに前記真空室にある基材を前記真空室内で真空環境下においた状態で基材に第2電極層を積層することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  18. 基材上に少なくとも第一電極層と、光発電機能又は発光機能を有する機能層と、第2電極層が積層され、機能層が機能層分離溝によって複数の小領域に分割され、前記小領域が直列に接続された光電変換装置を製造する製造装置において、真空室と成膜装置とレーザースクライブ装置を有し、真空室中に少なくとも第1電極層が成膜された基材を設置可能であると共に、前記真空室中において前記当該基材に機能層を成膜可能であり、さらに前記真空室中に基材を設置した状態でレーザースクライブ装置によって機能層分離溝を形成可能であり、さらに前記真空室中において前記基材に第二電極層を成膜可能であることを特徴とする光電変換装置の製造装置。
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