JP2009224399A - 有機elデバイス - Google Patents

有機elデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2009224399A
JP2009224399A JP2008064642A JP2008064642A JP2009224399A JP 2009224399 A JP2009224399 A JP 2009224399A JP 2008064642 A JP2008064642 A JP 2008064642A JP 2008064642 A JP2008064642 A JP 2008064642A JP 2009224399 A JP2009224399 A JP 2009224399A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
electrode
layer
substrate
series
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008064642A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5172402B2 (ja
Inventor
Shinji Nishiura
眞治 西浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Holdings Ltd filed Critical Fuji Electric Holdings Ltd
Priority to JP2008064642A priority Critical patent/JP5172402B2/ja
Publication of JP2009224399A publication Critical patent/JP2009224399A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5172402B2 publication Critical patent/JP5172402B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Non-Portable Lighting Devices Or Systems Thereof (AREA)
  • Planar Illumination Modules (AREA)

Abstract

【課題】製造歩留まりが良く長寿命な照明用有機ELデバイスの提供
【解決手段】基板と、基板上の少なくとも1つの直列接続有機EL素子群とを有する有機ELデバイスであって、直列接続有機EL素子群は、第1電極、有機EL層、および第2電極をこの順に有する複数の有機EL素子から構成され、複数の有機EL素子は有機EL層を共有し、各有機EL素子を構成する第2電極は、隣接する有機EL素子を構成する第1電極と、有機EL層に設けられた1つまたは複数の貫通孔の部分で電気的に接続され、それによって複数の有機EL素子は直列接続されていることを特徴とする有機ELデバイス。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機ELデバイスの構造、特に、照明用光源として用いられる有機ELデバイスの構造に関する。
近年、地球の温暖化問題に対して関心が高まっている。炭酸ガスの排出量を減らし、温暖化を低減するために、様々の省エネが模索されている。その中でも、照明器具のエネルギー利用の高効率化が、1つの重要なポイントとされている。現在、広く使われている白熱ランプおよび蛍光灯は発光効率の点から飽和状態となり、さらに発光効率のよい照明器具の研究開発が盛んに行われている。中でも、有機EL素子に関しては、将来技術として発光効率100〜200lm/W、寿命60,000時間が期待されており、白熱ランプの15lm/W、1,000〜2,000時間、および蛍光灯の50〜100lm/W、10,000時間に対して、地球環境に優しい照明になり得ると考えられている。今後の研究開発の課題は、上述の性能を実現していくとともに、その製造コストを削減することである。
図1は、次世代の照明として期待されて開発が進められている発光ダイオード(light emitting diode:LED)を用いた光源を示す図である(非特許文献1参照)。図1の光源は、反対面上にヒートシンク240を設けたセラミック基板210上の金属パターン220に、複数のLED230をフリップチップ実装して、その上に蛍光樹脂層250を設けたものであり、白色光を放射する。複数のLEDの高密度配置により発光強度ムラを減らしているが、高密度配置には限界がある。また、複数のLEDを実装していく必要があるので、組み立てコストが上昇し、および大面積の面発光光源の製造が困難であるという問題点を有している。
上記の問題点に関して、有機EL素子を用いる場合には、複数の有機EL素子を同一基板上に容易に作成できるという利点がある。したがって、前述したLEDを用いる場合と比べて、素子を実装するコストを削減することができ、より低コストな面発光光源器具が実現可能であると考えられている。しかしながら、大面積の面発光光源を作製する場合、短絡欠陥が発生しやすい。短絡欠陥が存在すると電流が欠陥部に集中して発光が著しく劣化する。
この問題を回避するために、複数の有機EL素子を直列に接続した大面積の面発光光源が提案されている(特許文献1参照)。図2に示されるように、直列接続構造とすることにより、一部の有機EL素子に短絡欠陥が生じても他の有機EL素子へ電流を流すことが可能であるため、光源全体としての発光の劣化を抑制することができる。
簡単な回路構成で所望の光量を得ると共に、有機EL素子の長寿命化を可能にする手段として、複数の有機EL素子を直列に接続した構成が提案されている(特許文献2)。しかしながら、有機ELデバイスとして実現する方法は具体的に示されていない。
また、有機EL素子を複数直列に接続することにより、有機EL素子1個当たりの駆動電圧を分圧し、高電圧時の発光効率を向上させるとともに有機EL素子の寿命特性を向上させる可能性が示されているが、有機ELデバイス形成についての具体的な開示はない(特許文献3参照)。
以上のように、現在のところ、所望の光量および長寿命を共に実現しうる照明光源としての有機ELデバイスは具体的に開示されていない。
特開2004−234868号公報 特開2007−122983号公報 特開2005−158483号公報 緒方ほか、98.高光束・コンパクトな白色LED光源、平成19年度照明学会第40回全国大会講演論文集(平成19年8月23、24日)、p183
有機EL素子を用いて所望の光量および長寿命を共に実現しうる照明光源を高効率および低コストに作製するためには、有機EL素子、電源および制御回路を含めた全体構成を考える必要がある。有機EL素子は、通常5〜10V程度で発光する低電圧素子である。低電圧で駆動する有機EL素子を高効率で発光させる構成として、直列的に接続された有機EL素子群を採用することで、現状のLEDを並べたものに比較して、有機ELデバイスの発光の均一性は抜群に優れたものが得られる。
一方、直列接続有機EL素子群の形成にあたり、メタルマスクを用いたパターニングを行うと、パターンのエッジ部がシャープに形成されず、端部で膜厚が薄いところができる可能性がある。このことが、電界の集中などによる寿命低下、および製造歩留まり低下の要因となりうる。
したがって、直列接続有機EL素子群を歩留まり良く製造し、および、製品の寿命を最大限に延ばすためには、有機EL層のパターニングが均一に行われることが重要である。また、有機EL層のパターニングが均一に行われた有機ELデバイスを低コストで製造することが重要である。
上記課題を解決するため、本発明は、基板と、基板上の少なくとも1つの直列接続有機EL素子群とを有する有機ELデバイスであって、
直列接続有機EL素子群は、基板側から、独立した複数の電極パターンとして配置された第1電極、第1電極を覆うように配置された有機EL層、および独立した複数の電極パターンとして配置された第2電極をこの順に有する複数の有機EL素子から構成され、
複数の有機EL素子は有機EL層を共有し、
有機EL層は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有し、
各有機EL素子を構成する第2電極は、隣接する有機EL素子を構成する第1電極と、1つまたは複数の貫通孔の部分で電気的に接続され、それによって複数の有機EL素子は直列接続され、
第1電極および第2電極の少なくとも一方は透明電極である
ことを特徴とする有機ELデバイスを提供する。
本発明の有機ELデバイスは、少なくとも1つの色変換層をさらに含むことができる。少なくとも1つの色変換層は、基板と第1電極との間;基板の直列接続有機EL素子群とは反対側の面上;および第2電極の上面からなる群から選択される少なくとも1つに配置されていることができる。
本発明の有機ELデバイスは、複数の直列接続有機EL素子群を含むことができる。
基板が透明基板であり、第1電極が透明電極であることができる。また、基板と第1電極との間に、パッシベーション層をさらに含んでもよい。第1電極および第2電極の両方が透明電極であってもよい。
第2電極上にパッシベーション層をさらに含むことができる。
直列接続有機EL素子群を含む有機ELデバイスにおいて、有機EL層を基板上に一体的に形成し、有機EL層を貫通する貫通孔を設け、貫通孔の部分で第1および第2電極を電気的に接続することで、歩留まりおよび信頼性が向上した有機ELデバイスを提供しうる。
以下、図を参照して、本発明について詳細に説明する。
図3に、本発明の直列接続有機EL素子群を含む有機ELデバイスの基本的構成を示す。本発明の有機ELデバイスは、基板10と、前記基板10上の少なくとも1つの直列接続有機EL素子群とを有する。直列接続有機EL素子群は、基板10側から、独立した複数の電極パターンとして配置された第1電極20、第1電極20を覆うように配置された有機EL層30、および独立した複数の電極パターンとして配置された第2電極40をこの順に有する複数の有機EL素子から構成される。複数の有機EL素子は、有機EL層30を共有する。有機EL層30は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔30hを有し、各有機EL素子を構成する第2電極40は、隣接する有機EL素子を構成する第1電極20と、1つまたは複数の貫通孔30hの部分で電気的に接続される(直列接続有機EL素子群の末尾に位置し外部回路(トランジスタなど)に接続される第2電極40を除く)。それによって、複数の有機EL素子は直列接続されている。第1電極20および第2電極40の少なくとも一方は透明電極である。
第1電極20と第2電極40に挟持された有機EL層30の領域の幅xは、各有機EL素子の有効発光領域を示す。有効発光領域の幅xを、発光領域間の距離yに比較して十分に大きくすることによって、面内均一性の高い発光を得ることができる。
本発明において、第1電極20は、有機EL層30に全面的に覆われている。第1電極20に関して、有機EL層30を挟んで、これに対向する第2電極40と、隣接する第1電極20とが存在する。これらの第2電極40と隣接する第1電極20とは、貫通孔30hの部分で電気的に接続されているため、等電位である。したがって、第1電極20からの正孔(または電子)は、有機EL層30を通過して、第2電極40および隣接する第1電極20の双方(あるいはどちらか一方)に向けて注入される可能性がある。隣接する第1電極20に向けて正孔(または電子)が注入される場合は、有機EL層30で正孔および電子が結合することがなく、発光が生じないため、望ましくない。したがって、正孔(または電子)が第1電極20から第2電極40に向けて選択的に注入されるために、隣接する第1電極20間の距離dは重要なファクターとなる。意図せぬ電流経路を防止するために、第1電極20間の距離dは、有機EL層30の膜厚tと比べて十分に大きい必要がある。距離dの膜厚tに対する比(d/t)は、10以上であることが好ましい。
図3には、パッシベーション層70が記載されている。パッシベーション層は、本発明において任意選択的な層である。しかしながら、パッシベーション層70は、有機EL層30の水分および酸素による劣化を防止するために、設けることが望ましい層である。
図4に本発明の有機ELデバイスの1つの実施形態を示す。本実施形態の有機ELデバイスは、基板10、色変換層50、パッシベーション層60、第1電極20、有機EL層30、第2電極40、パッシベーション層70をこの順に含む。本実施形態において、基板10は透明基板であり、第1電極20および第2電極40は、それぞれ透明電極および反射電極である。
本実施形態において、独立した複数の電極パターンとして配置された第1電極20は、有機EL層30によって全体的に覆われて、有機EL層30を挟んで対向する第2電極40との間の短絡および隣接する第1電極20との間の短絡が防止されている。有機EL層30には、厚さ方向に貫通し、および第1電極20の一端にその開口部が位置する貫通孔30hが設けられている。第2電極40は、独立した複数の電極パターンとして、有機EL層30に設けられた貫通孔30hを覆うように有機EL層30上に配置されている。第2電極40の一端は、有機EL層30に設けられた貫通孔30hの部分で、隣接する有機EL素子を構成する第1電極20の一端と電気的に接続している。独立した複数の電極パターンとして配置された第2電極40は、パッシベーション層70によって全体的に覆われている。
このような構成をとることによって、第1電極20、有機EL層30および第2電極40からなる複数の有機EL素子が直列に接続されて、本発明の直列接続有機EL素子群が形成される。本実施形態において、複数の直列接続有機EL素子群を形成してもよい。
パッシベーション層60および70は、前述の通り、任意選択的な層であるが、本実施形態においては、色変換層50に含まれる不純物または水分、酸素などが有機EL層30に影響を及ぼさないために設けることが望ましい。
図5に、本発明の有機ELデバイスの別の実施形態を示す。本実施形態の有機ELデバイスは、基板10の一方の面上に、透明第1電極20、有機EL層30、透明第2電極40、パッシベーション層70および色変換層52をこの順に含み、他方の面上に、第2色変換層54を含む。本実施形態において、基板10は透明基板である。このような構成をとることにより、基板10の両側から光を取り出す光源が得られる。色変換層52および第2色変換層54に異なる成分を使用することにより、両面から異なった光を取り出すことができる。
図6に、本発明の有機ELデバイスの別の実施形態を示す。図6(a)は、基板10上に配置された複数の直列接続有機EL素子群の概略図を示す。図中、91から9mはそれぞれ、本発明の1つの直列接続有機EL素子群を示す。直列接続有機EL素子群の末尾にトランジスタが接続され、これによって有機EL素子に流す電流が制御される(不図示)。電流の制御は、トランジスタに併設された電流センサのデータに基づいて、各有機EL素子の平均電流が同じとなるように、制御用LSIを用いて行われる(不図示)。複数の直列接続有機EL素子群は、母線(バス)によって、電気的に並列に接続されている(不図示)。こうすることにより、事前の特性試験のデータを考慮して、各列の電流値を適正化することができ、色度合いの調整を適切に行うことができる。また、直列接続有機EL素子群の中に短絡した有機EL素子が混入している場合でも、トランジスタのゲート電圧を調整することによって、他の直列接続有機EL素子群の列と同じとなるように電流を制御することが可能である。
図6(b)は、VIbの領域の拡大図である。直列接続有機EL素子群は、基板10上に、基板10側から第1電極20、有機EL層30および第2電極40をこの順に有する複数の有機EL素子を平面状に配置して構成される。有機ELデバイスの発光の面内均一性を実現するためには、直列接続有機EL素子群を構成する各有機EL素子の有効発光領域の面積を同一とすることが望ましい。本実施形態において、直列接続有機EL素子群を構成する有機EL素子は、直線状ではなく曲線状に配列されている。こうすることにより、2つの利点が見出される。1つは、光源のパターンをある程度自由に設計できると言う点である。他の1つは、各有機EL素子の間隔をランダムなパターンで設計することにより、配置の癖が見えにくくなるという点である。使う場所、雰囲気にふさわしい空間、光源条件を作り出す上で、大きな自由度を与えることになると思われる。なお、図6(b)においては、簡潔化のために、第1電極20、有機EL層30、第2電極40のみを示し、色変換層50他の層の表示を省略した。本実施形態において、図4および5に示すように、色変換層50他の層を設けることは理解できるであろう。
以下、本発明の有機ELデバイスの各層について説明する。
基板10
本発明の有機ELデバイスの基板10としては、当該技術において知られている、表面が平滑である様々な基板を用いることができる。たとえば、ガラス基板などの透明基板を用いることができる。透明基板は、光透過性に優れ(400〜700nmの波長域において80%以上の透過率を有する)、透明電極、有機EL層、反射電極等の積層される層の形成に用いられる条件(溶媒、温度等)に耐え、寸法安定性に優れていることが好ましい。透明基板の例としては、ガラス基板の他、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、あるいはポリイミド樹脂などの各種プラスチックで形成された剛直性樹脂基板もしくは可撓性フィルム等が挙げられる。
有機EL素子
本発明の有機ELデバイスの「有機EL素子」は、基板10側から少なくとも第1電極20、有機EL層30、および第2電極40をこの順に有するように構成され、基板10の上面に平面的に配置される。1つの有機EL素子の第2電極40は、有機EL層30に設けられた貫通孔30hを通して、隣接する有機EL素子の第1電極20と、それぞれの一端で電気的に接続されている。複数の有機EL素子は、有機EL層30を共有し、直列接続有機EL素子群を構成する。
(第1電極20)
本発明の有機EL素子の第1電極20は、陽極または陰極のいずれかとして機能する電極である。第1電極20は、透明電極または反射電極のいずれであってもよい。
(第2電極40)
本発明の有機EL素子の第2電極40は、陽極または陰極のいずれかとして機能する電極である。第2電極40は、反射電極または透明電極であることができる。ただし、第1電極20および第2電極40が同時に反射電極であることはなく、いずれか一方は透明電極である。
((透明電極))
透明電極は、波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の透過率を有することが好ましい。透明電極を形成するための材料は、ITO(In−Sn酸化物)、IZO(In−Zn酸化物)、Al−Sn酸化物(ATO)、NESA膜、Sn酸化物、In酸化物、Zn酸化物、Zn−Al酸化物、Zn−Ga酸化物、および、これらの酸化物に対してF、Sbなどのドーパントを添加した導電性透明金属酸化物を含む。透明電極は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。通常、透明電極は、導電性透明金属酸化物をスパッタ法を用いて堆積させることによって形成される。ここで、矩形状またはその他の所望の形状の部分電極からなる透明電極を形成する場合には、所望の形状を与えるマスクを用いる堆積法で形成してもよいし、あるいは有機EL層形成前であれば全面堆積の後にフォトリソグラフィ法を用いてパターニングしてもよい。
((反射電極))
反射電極を形成するための材料として、高反射率の金属、アモルファス合金、または微結晶性合金を用いることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。反射電極は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。反射電極を陰極として用いる場合には、前述の高反射率の金属、アモルファス合金または微結晶性合金に対して、仕事関数が小さい材料であるリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属を添加して合金化し、電子注入効率を向上させることができる。反射電極を陽極として用いる場合には、反射電極と有機EL層30との界面に、前述の導電性透明金属酸化物の層を設けて、有機EL層30に対する正孔注入の効率を向上させてもよい。反射電極は、それを形成する材料に依存して、蒸着法(抵抗加熱蒸着法または電子ビーム加熱蒸着法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザアブレーション法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。ここで、矩形状またはその他の所望の形状の部分電極からなる反射電極を形成する場合には、所望の形状を与えるマスクを用いる堆積法で形成してもよいし、あるいは有機EL層形成前であれば全面堆積の後にフォトリソグラフィ法を用いてパターニングしてもよい。
(有機EL層30)
本発明の有機EL素子の有機EL層30は、第1電極20および第2電極40から注入されるキャリアを再結合させて、所望の波長分布を有する光を発するための層である。有機EL層30によって、隣接する有機EL素子の第1電極20間、および第1電極20と第2電極40との間の短絡を防止することができる。本発明の有機EL層30は、第1電極20上に一体的に形成することができ、および、厚さ方向に貫通し、第1電極20の一端の上面に開口部が位置する貫通孔30hを有することを特徴とする。
本発明の有機EL層30は、有機発光層を少なくとも含み、必要に応じて正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および/または電子注入層を含む。
有機EL層30には、具体的には、下記のような層構成からなるものを採用することができる。陽極および陰極は、第1電極20または第2電極40のいずれかである。有機EL層30に含まれる各層は、それぞれにおいて所望される特性を実現するのに充分な膜厚を有して形成される。これら各層は、蒸着法などの当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。
(1)陽極/有機発光層/陰極
(2)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(3)陽極/有機発光層/電子注入層/陰極
(4)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/陰極
(5)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
有機EL層30は、任意の公知の材料を用いて形成することができる。有機発光層の材料としては、青色から青緑色の発光を得るためには、たとえばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、ポルフィリン系化合物、縮合芳香環化合物、環集合化合物、金属錯体(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体(Alq3)のようなアルミニウム錯体など)、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物(4,4’−ビス(ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)など)、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。あるいはまた、ホスト化合物にドーパントを添加することによって、青色成分および緑色成分を含む所望の波長域の光を発する有機発光層を形成してもよい。また、必要に応じて、有機発光層の発光色は白色であっても良い。その場合は公知の赤ドーパントを追加して使用される。
(貫通孔30h)
有機EL層30に設けられた貫通孔30hによって、第2電極40を第1電極20と電気的に接続することができる。貫通孔30hは、第1電極20上に設けられた有機EL層30を厚さ方向に貫通し、第1電極20の上面に達するように設定される。貫通孔30hの形状、大きさ、数(範囲)、位置は、実用しうる有機ELデバイスを得るために重要な変動要因である。貫通孔30hは、円形その他の任意の形状をとることができる。貫通孔30hが円形である場合は、製造のバラツキを考えると、好ましい孔径は10μmより大きい範囲である。貫通孔30hの好ましい数は、第1および第2電極20、40の大きさおよび貫通孔30hの形状、大きさ等に依存する。電極あたり1個であっても実用上問題がないが、製造のバラツキおよび電流のバランスを考えると複数個であることが好ましい。また、貫通孔30hは、第1電極20の端面から0.1mmから0.2mmの範囲に孔の端がくるように配置されていることが好ましい。たとえば、第1電極20のパターン形状を20mm角の正方形とした場合に、第1電極20の端面から0.6mmの位置に中心を有する孔径1mmの貫通孔を1mm間隔で10個形成することができる。
貫通孔30hは、たとえば、エキシマ、YAGなどのレーザー装置を用いたレーザー照射により形成することができる。図6は、本発明に用いることのできるレーザー加工装置の例を示す概略図である。レーザー処理中の導入ガスは、不活性のガスであれば特段の問題がなく、アルゴン、ヘリウム、窒素などを使用することができる。また、真空状態でもレーザー処理が可能であるが、その場合は、減圧/窒素ガス置換(窒素パージ)を数回行うことが好ましい。
パッシベーション層60、70
パッシベーション層は、可視域における透明性が高く(400〜700nmの範囲で透過率50%以上)、100℃以上のTgを有し、表面硬度が鉛筆硬度で2H以上である層である。第1電極20または第2電極40のいずれかに接触する位置に設けられる場合、パッシベーション層は絶縁性であることが要求される。パッシベーション層の材料は、たとえば、イミド変性シリコ−ン樹脂、無機金属化合物(TiO、Al23、SiO2等)をアクリル、ポリイミド、シリコ−ン樹脂等中に分散したもの、紫外線硬化型樹脂としてエポキシ変性アクリレ−ト樹脂、アクリレ−トモノマ−/オリゴマ−/ポリマ−の反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂、ゾル−ゲル法にて形成される無機化合物、フッ素系樹脂等を含む。前述の材料を用いるパッシベーション層の形成法には、たとえば、湿式法(スピンコ−ト法、ロ−ルコ−ト法、キャスト法等)およびゾル−ゲル法等の慣用の手法を用いることができる。また、パッシベーション層として、ガスおよび有機溶剤に対するバリア性を有し、可視域における透明性が高く(400〜700nmの範囲で透過率50%以上)、該パッシベーション層に、好ましくは2H以上の膜硬度を付与する無機材料を用いてもよい。たとえば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等が使用できる。これら無機酸化物または無機窒化物を用いるパッシベーション層の形成方法としては、たとえば、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法等の慣用の手法を用いることができる。上述のパッシベーション層は単層でも、あるいは複数の層が積層されたものでもよい。
色変換層50、52、54
本発明の色変換層は、少なくとも1種の蛍光材料を含む。本発明において好適に用いることができる蛍光材料は、Alq3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体)などのアルミキレート系色素、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素などの低分子有機蛍光色素を含む。また、蛍光材料として、ポリフェニレン系、ポリアリーレン系、ポリフルオレン系に代表される各種高分子発光材料を用いてもよい。別法として、前述の蛍光材料に第2蛍光材料を加えた2種の蛍光材料の混合物を用いて色変換層を形成してもよい。この構成においては、前述の蛍光材料が色変換層への入射光、好ましくは有機EL素子の発する青色〜青緑色の光を吸収し、吸収したエネルギーを第2蛍光材料に移動させ、第2蛍光材料が所望の波長の光を放射する。本発明において第2蛍光材料として好適に用いることができる蛍光材料は、ジエチルキナクリドン(DEQ)などのキナクリドン誘導体;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1、下記式(I))、DCM−2(下記式(II))、およびDCJTB(下記式(III))などのシアニン色素;ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素;ピリジン1などのピリジン系色素;4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(下記式(IV));ルモゲンFレッド;ナイルレッド(下記式(V))などの低分子有機蛍光色素を含む。あるいはまた、各種低分子発光材料、各種高分子EL発光材料も適用できる。
Figure 2009224399
第2蛍光材料を用いる場合、第2蛍光材料が濃度消光を起こさないことが重要である。なぜなら、第2蛍光材料が所望の光を放射する材料であり、その濃度消光は色変換の効率の低下をもたらすからである。本発明の色変換層における第2蛍光材料の濃度の上限は、用いる材料に依存して変化し得る。一般的には、本発明の色変換層における第2蛍光材料の好ましい濃度は、色変換層の総構成分子数を基準として、10モル%以下、好ましくは0.01〜10モル%、より好ましくは0.1〜5モル%の範囲内である。このような範囲内の濃度で第2蛍光材料を用いることによって、濃度消光を防止すると同時に、十分な変換光強度を得ることが可能となる。第2蛍光材料を添加する構成は、入射光の吸収ピーク波長と色変換の発光ピーク波長との差を大きくすることができるため、青色から赤色への変換時など波長シフト幅が大きい場合に有効である。さらに、機能が分離されたことによって、蛍光材料の選択肢を広げることが可能となる。
本発明の色変換層は、当該技術において知られている任意の方法を用いて形成することができる。たとえば、蒸着法、インクジェット法などを用いることができる。蒸着法を用いる場合、前述の蛍光材料の共蒸着によって色変換層を形成することができる。インクジェット法を用いる場合、最初に、前述の蛍光材料を適切な溶剤に溶解させて色変換層形成用インクを形成する。色変換層形成用インクは、その粘度などを調整するための添加剤を含んでもよい。適切なインクジェット装置(サーマルインクジェット方式およびピエゾインクジェット方式を含む)を用いて電色変換層形成用インクを付着させることによって、色変換層を形成することができる。
本発明の色変換層は、前記基板と前記第1電極との間;前記基板の前記直列接続有機EL素子群とは反対側の面上;および前記第2電極の上面からなる群から選択される少なくとも1つに配置されることができる。
本発明の色変換層は、単層であっても、あるいは複数の層が積層されたものでもよい。
(実施例1)
以下の工程に従い、本発明の有機ELデバイスを作製した(図4参照)。
(a) 基板10として、透明基板(1737ガラス、コーニング社製)を準備した。
(b) 基板10上に、蒸着法にて色変換層50を形成した。詳細には、第1蛍光材料:クマリン6と第2蛍光材料:DCM−2との混合物(モル比はクマリン6:DCM−2=48:2)を用いて、膜厚0.5μmの赤色変換層50Rを形成した。
(c) 工程(b)で得られた色変換層50上に、窒化シリコン(SiN)を厚さ100nmに積層して、パッシベーション層60とした。積層には、プラズマCVD法を用いた(原料ガスとしてモノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)および窒素(N2)を使用)。このとき、基板温度を100℃以下に保った。
(d) 工程(c)で得られたパッシベーション層60上に、スパッタ法で厚さ200nmのIZO(In−Zn酸化物、出光興産株式会社製)を全面蒸着した。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて、該IZOから所定のパターン状の透明第1電極20を形成した。ここで、所定のパターンとは、20個の20mm角の正方形を100μmの間隔で直線的に配置したものである。
(e) 透明第1電極20が有機EL層30によって覆われて、第1電極20と後に設ける第2電極40との間の短絡、および隣接する第1電極20同士の間の短絡を防止するように、蒸着法を用いて透明第1電極20以下の層を全面的に覆い、多層構造を有する有機EL層30を形成した。有機EL層30は、銅フタロシアニン(CuPc)からなる膜厚100nmの正孔注入層、α−NPDからなる膜厚20nmの正孔輸送層、DPVBiおよびルブレン(体積比で、DPVBi:ルブレン=95:5)からなる膜厚20nmの有機発光層、Alq3からなる膜厚20nmの電子輸送層、およびLiFからなる膜厚0.5nmの電子注入層から構成された。
(f) 工程(e)の後、有機EL層30まで設けられた基板10を、QスイッチYAGレーザー装置110内に導入し、真空度を10Torr(約1.3Pa)以下にし、その後、水分および酸素を含まない窒素ガスを大気圧まで導入した。シールドリング112でシールドされた石英窓111を通して、基板10に焦点を結ぶように制御された光学系から、YAGレーザー光113を照射して、第1電極20の上面に達する貫通孔30hを形成した(図7参照)。レーザー光113の波長は532nm(2倍波)、中心周波数は40kHz、平均出力は2Wを用いた。第1電極20の一端の端面から孔の端までの距離が0.1mmになるように孔の中心を設定し、貫通孔30hを配設した。貫通孔30hの孔径を0.01mmから1mmまで変動させ、および各電極の一端に配設される貫通孔30hの数を1個から10個まで変動させ、貫通孔30hの数が複数個の場合には、隣接する貫通孔30hの中心から中心までの間隔を貫通孔30hの数に応じて2mmから10mmに設定した。
Figure 2009224399
(g) 工程(f)の後、大気にさらすことなく、所定のパターンの開口部を有するメタルマスクを用いた蒸着法を用いて、有機EL層30以下の層を覆う複数の独立した電極パターンとしてAlを積層して、厚さ200nmの反射第2電極40とした。このとき、有機EL層30に形成された貫通孔に第2電極40の材料が充填され、これにより、第2電極と第1電極とが電気的に接続されるように設定した。
(h) 反射第2電極40以下の層を全面的に覆うように、窒化シリコン(SiN)を厚さ100nmに積層して、パッシベーション層70とした。積層には、プラズマCVD法を用いた(原料ガスとして、モノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)、及び窒素(N2)を使用)。このとき、基板温度を100℃以下に保った。
以上の工程により、透明第1電極20、有機EL層30および反射第2電極40からなる有機EL素子が20直列に接続される直列接続有機EL素子群を含む、本発明の有機ELデバイスが得られた。
(実施例2)
以下の工程に従い、本発明の有機ELデバイスを作製した(図5参照)。
(a) 基板10として、透明基板(1737ガラス、コーニング社製)を準備した。
(b) 基板10の一方の面上に、所定のパターンの開口部を有するメタルマスクを用いたスパッタ法でIZO(In−Zn酸化物、出光興産株式会社製)を積層して、所定のパターンを有する膜厚200nmの透明第1電極20を形成した。ここで、所定のパターンとは、20個の20mm角の正方形を100μmの間隔で直線的に配置したものである。
(c) 透明第1電極20が有機EL層30によって覆われて、第1電極20と後に設ける第2電極40との間の短絡、および隣接する第1電極20同士の間の短絡を防止するように、蒸着法を用いて透明第1電極20以下の層を全面的に覆い、多層構造を有する有機EL層30を形成した。有機EL層30は、銅フタロシアニン(CuPc)からなる膜厚100nmの正孔注入層、α−NPDからなる膜厚20nmの正孔輸送層、4,4−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(以下、DPVBiという)およびルブレン(体積比で、DPVBi:ルブレン=95:5)からなる膜厚20nmの有機発光層、Alq3からなる膜厚20nmの電子輸送層、およびLiFからなる膜厚0.5nmの電子注入層から構成された。
(d) 工程(c)の後、有機EL層30まで設けられた基板10を、QスイッチYAGレーザー装置110内に導入し、真空度を10Torr(約1.3Pa)以下にし、その後、水分および酸素を含まない窒素ガスを大気圧まで導入した。シールドリング112でシールドされた石英窓111を通して、基板10に焦点を結ぶように制御された光学系から、YAGレーザー光113を照射して、第1電極20の上面に達する貫通孔30hを形成した(図7参照)。レーザー光113の波長は532nm(2倍波)、中心周波数は40kHz、平均出力は2Wを用いた。第1電極20の一端の端面から孔の端までの距離が0.1mmになるように孔の中心を設定し、貫通孔30hを配設した。実施例1の場合と同様に、貫通孔30hの孔径を0.01mmから1mmまで変動させ、および各電極の一端に配設される貫通孔30hの数を1個から10個まで変動させ、貫通孔30hの数が複数個の場合には、隣接する貫通孔30hの中心から中心までの間隔を貫通孔30hの数に応じて2mmから10mmに設定した(第1表参照)。
(e) 工程(d)の後、大気にさらすことなく、得られた有機EL層30上に、所定のパターンの開口部を有するメタルマスクを用いたスパッタ法でIZO(In−Zn酸化物、出光興産株式会社製)を積層して、所定のパターンを有する膜厚200nmの透明第2電極40を形成した。このとき、有機EL層30に形成された貫通孔30hに第2電極40の材料が充填され、これにより、第2電極と第1電極とが電気的に接続されるように設定した。
(f) 透明第2電極40以下の層を全面的に覆うように、窒化シリコン(SiN)を厚さ100nmに積層して、パッシベーション層70とした。積層には、プラズマCVD法を用いた(原料ガスとして、モノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)、及び窒素(N2)を使用)。このとき、基板温度を100℃以下に保った。
(g) 工程(f)で得られたパッシベーション層70上に、蒸着法にて色変換層52を形成した。詳細には、第1蛍光材料:クマリン6と第2蛍光材料:DCM−2との混合物(モル比はクマリン6:DCM−2=48:2)を用いて、赤色変換層52Rを形成した。赤色変換層52Rの膜厚を、0.5μmとした。
(h) 基板10の他方の面上に、蒸着法にて第2色変換層54を形成した。詳細には、第1蛍光材料:クマリン6と第2蛍光材料:DEQとの混合物(モル比はクマリン6:DEQ=48:2)を用いて、緑色変換層54Gを形成した。緑色変換層54Gの膜厚を、0.5μmとした。
以上の工程により、透明第1電極20、有機EL層30および透明第2電極40からなる有機EL素子が20直列に接続される直列接続有機EL素子群を含む、本発明の有機ELデバイスが得られた。
(実施例3)
工程(d)において、所定のパターンを、20個の20mm角の正方形を100μmの間隔で曲線的に配置した以外は実施例1と同様にして、本発明の有機ELデバイスを作製した(図6参照)。
(比較例4)
以下の工程に従い、比較例の有機ELデバイスを作製した(図2参照)。
(a) 基板10として、透明基板(1737ガラス、コーニング社製)を準備した。
(b) 基板10上に、スパッタ法で厚さ200nmのIZO(In−Zn酸化物、出光興産株式会社製)を全面蒸着した。次いで、フォトリソグラフィ法を用いて、該IZOから所定のパターン状の透明第1電極20を形成した。ここで、所定のパターンとは、20個の20mm角の正方形を100μmの間隔で直線的に配置したものである。
(c) 透明第1電極20の一端が有機EL層30によって覆われて、第1電極20と後に設ける第2電極40との間の短絡を防止するように、所定のパターンの開口部を有するメタルマスクを用いた蒸着法を用いて透明第1電極20をパターン状に覆い、多層構造を有する有機EL層30を形成した。有機EL層30は、銅フタロシアニン(CuPc)からなる膜厚100nmの正孔注入層、α−NPDからなる膜厚20nmの正孔輸送層、DPVBiおよびルブレン(体積比で、DPVBi:ルブレン=95:5)からなる膜厚20nmの有機発光層、Alq3からなる膜厚20nmの電子輸送層、およびLiFからなる膜厚0.5nmの電子注入層から構成された。
(d) 所定のパターンの開口部を有するメタルマスクを用いた蒸着法を用いて、有機EL層30以下の層をパターン状に覆うように、Alを積層して、厚さ200nmの反射第2電極40とした。このとき、複数の有機EL素子の反射第2電極40を、有機EL層30上から隣接する有機EL素子の透明第1電極20の上まで連続して形成した。
(e) 反射第2電極40以下の層を全面的に覆うように、窒化シリコン(SiN)を厚さ100nmに積層して、パッシベーション層70(不図示)とした。積層には、プラズマCVD法を用いた(原料ガスとして、モノシラン(SiH4)、アンモニア(NH3)、及び窒素(N2)を使用)。このとき、基板温度を100℃以下に保った。
以上の工程により、透明第1電極20、有機EL層30および反射第2電極40からなる有機EL素子が20直列に接続される直列接続有機EL素子群を含む、比較例の有機ELデバイスが得られた。
(評価項目)
実施例および比較例の有機ELデバイスについて、直列接続有機EL素子群の製造歩留まり(%)を、電源−電圧特性(リーク不良の評価)および発光特性を測定することにより、総合的に評価した。発光特性は、大塚電子株式会社のマルチチャネルフォトデテクター(MCPD−3000)および株式会社トプコンの輝度計(BM−9)で測定した。実施例および比較例4について製造歩留まりを比較した。
(評価結果)
評価結果を、以下の第2表および第3表に示す。
Figure 2009224399
Figure 2009224399
実施例1および2の本発明の有機ELデバイスの直列接続有機EL素子群について、貫通孔30hの孔径および個数等に依存することなく、いずれも製造歩留まり90%以上の値を得た。実施例3に関しては、実施例1と同様の結果が得られた。一方、比較例4の本発明ではない有機ELデバイスの直列接続有機EL素子群については、製造歩留まりは60%程度であった。本発明により、有機ELデバイスの直列接続有機EL素子群の製造歩留まりが従来例と比べて30%程度改善する効果が見出された。本発明により直列接続有機EL素子群の製造歩留まりが向上し、その結果として、有機ELデバイスの製造歩留まりが、同様に、従来例と比べて30%程度改善する効果が見出された。
なお、貫通孔30hの孔径(mm)と、貫通孔30hによる第1電極20および第2電極40の電気的接続部(貫通部)の抵抗(Ω)との関係を、図8に示す。第2電極40の材料にIZOを用いた場合、すなわち第2電極40を透明電極とした場合においても、貫通孔30hの孔径0.01mm、第1電極20の端面から貫通孔30hの中心までの距離0.105mm、隣接する貫通孔30hの中心間の間隔2mm、および各電極の一端における貫通孔30hの個数10個の条件で、電気的接続部(貫通部)の抵抗は0.1Ω以下であり、IZOのシート抵抗値がおよそ10Ω/□であるのに比較して十分小さい値となった。したがって、本発明の直列接続有機EL素子群を含む有機ELデバイスは、何ら問題なく実用できることが見出された。
従来の発光ダイオードを用いた光源を示す図である。 従来の直列接続有機EL素子群を含む有機ELデバイスを示す図である。 本発明の直列接続有機EL素子群を含む有機ELデバイスを示す図である。 (a)および(b)は本発明の有機ELデバイスおよび直列接続有機EL素子群の1つの実施形態を示す図である。 本発明の有機ELデバイスの別の実施形態を示す図である。 (a)および(b)は本発明の有機ELデバイスおよび直列接続有機EL素子群の別の実施形態を示す図である。 レーザー加工装置の例を示す図である。 本発明の電気的接続部の抵抗と孔径との関係を示すグラフである。
符号の説明
10 基板
20 第1電極
30 有機EL層
30h 貫通孔
40 第2電極
50、52、54 色変換層
60、70 パッシベーション層
91〜9m 直列接続有機EL素子群
110 装置
111 石英窓
112 シールドリング
113 レーザー光
210 セラミック基板
220 金属パターン
230 LED
240 ヒートシンク
250 蛍光樹脂層
x 有効発光領域の幅
y 発光領域間の距離
d 隣接する第1電極20間の距離
t 有機EL層30の厚さ

Claims (8)

  1. 基板と、前記基板上の少なくとも1つの直列接続有機EL素子群とを有する有機ELデバイスであって、
    前記直列接続有機EL素子群は、前記基板側から、独立した複数の電極パターンとして配置された第1電極、前記第1電極を覆うように配置された有機EL層、および独立した複数の電極パターンとして配置された第2電極をこの順に有する複数の有機EL素子から構成され、
    前記複数の有機EL素子は前記有機EL層を共有し、
    前記有機EL層は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有し、
    各有機EL素子を構成する前記第2電極は、隣接する有機EL素子を構成する前記第1電極と、1つまたは複数の前記貫通孔の部分で電気的に接続され、それによって前記複数の有機EL素子は直列接続され、
    前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は透明電極である
    ことを特徴とする有機ELデバイス。
  2. 少なくとも1つの色変換層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の有機ELデバイス。
  3. 前記少なくとも1つの色変換層が、前記基板と前記第1電極との間;前記基板の前記直列接続有機EL素子群とは反対側の面上;および前記第2電極の上面からなる群から選択される少なくとも1つに配置されていることを特徴とする請求項2に記載の有機ELデバイス。
  4. 複数の直列接続有機EL素子群を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
  5. 前記基板が透明基板であり、第1電極が透明電極であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
  6. 前記基板と前記第1電極との間に、パッシベーション層をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の有機ELデバイス。
  7. 前記第1電極および前記第2電極の両方が透明電極であることを特徴とする請求項5または6に記載の有機ELデバイス。
  8. 前記第2電極上にパッシベーション層をさらに含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の有機ELデバイス。
JP2008064642A 2008-03-13 2008-03-13 有機elデバイス Active JP5172402B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008064642A JP5172402B2 (ja) 2008-03-13 2008-03-13 有機elデバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008064642A JP5172402B2 (ja) 2008-03-13 2008-03-13 有機elデバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009224399A true JP2009224399A (ja) 2009-10-01
JP5172402B2 JP5172402B2 (ja) 2013-03-27

Family

ID=41240909

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008064642A Active JP5172402B2 (ja) 2008-03-13 2008-03-13 有機elデバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5172402B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011134707A (ja) * 2009-11-26 2011-07-07 Kaneka Corp 発光部材およびその製造方法
WO2012073650A1 (ja) * 2010-11-30 2012-06-07 株式会社カネカ 有機el装置
WO2012081625A1 (ja) * 2010-12-18 2012-06-21 株式会社カネカ 有機el装置の製造方法、有機el装置の製造装置、光電変換装置の製造方法及び光電変換装置の製造装置
JP2012181931A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Kaneka Corp 有機el発光素子
DE102012109218A1 (de) * 2012-09-28 2014-04-03 Osram Opto Semiconductors Gmbh Verfahren zum Herstellen einer optoelektronischen Baugruppe und optoelektronische Baugruppe
JP5575133B2 (ja) * 2009-08-27 2014-08-20 株式会社カネカ 集積化有機発光装置、有機発光装置の製造方法および有機発光装置
WO2017056682A1 (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンスパネル
EP2665343A4 (en) * 2011-01-13 2017-11-01 Kaneka Corporation Organic el light emitting element and method for manufacturing same
JP2022191228A (ja) * 2018-09-27 2022-12-27 カティーバ, インコーポレイテッド 量子ドットカラーフィルタインク組成物、および量子ドットカラーフィルタインク組成物を利用したデバイス

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61199672A (ja) * 1985-02-28 1986-09-04 Fuji Electric Co Ltd 光起電力装置
JPS62232176A (ja) * 1986-03-31 1987-10-12 Kyocera Corp 光起電力装置
JP2003297551A (ja) * 2002-03-29 2003-10-17 Pioneer Electronic Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示パネル
JP2004134359A (ja) * 2002-08-05 2004-04-30 General Electric Co <Ge> 直列接続されたoled構造体及び製造方法
JP2005100939A (ja) * 2003-09-22 2005-04-14 Samsung Sdi Co Ltd カラー調節層を有するフールカラー有機電界発光素子
JP2006013456A (ja) * 2004-05-14 2006-01-12 Konarka Technologies Inc 少なくとも一つの活性有機層を有する電子構成要素を製造するための装置及び方法
JP2006505908A (ja) * 2002-11-12 2006-02-16 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ エレクトロルミネセント装置及びその製造
JP2006108651A (ja) * 2004-09-13 2006-04-20 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置
WO2006104544A1 (en) * 2005-03-29 2006-10-05 General Electric Company Full fault tolerant architecture for organic electronic devices

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61199672A (ja) * 1985-02-28 1986-09-04 Fuji Electric Co Ltd 光起電力装置
JPS62232176A (ja) * 1986-03-31 1987-10-12 Kyocera Corp 光起電力装置
JP2003297551A (ja) * 2002-03-29 2003-10-17 Pioneer Electronic Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示パネル
JP2004134359A (ja) * 2002-08-05 2004-04-30 General Electric Co <Ge> 直列接続されたoled構造体及び製造方法
JP2006505908A (ja) * 2002-11-12 2006-02-16 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ エレクトロルミネセント装置及びその製造
JP2005100939A (ja) * 2003-09-22 2005-04-14 Samsung Sdi Co Ltd カラー調節層を有するフールカラー有機電界発光素子
JP2006013456A (ja) * 2004-05-14 2006-01-12 Konarka Technologies Inc 少なくとも一つの活性有機層を有する電子構成要素を製造するための装置及び方法
JP2006108651A (ja) * 2004-09-13 2006-04-20 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置
WO2006104544A1 (en) * 2005-03-29 2006-10-05 General Electric Company Full fault tolerant architecture for organic electronic devices

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5575133B2 (ja) * 2009-08-27 2014-08-20 株式会社カネカ 集積化有機発光装置、有機発光装置の製造方法および有機発光装置
JP2011134707A (ja) * 2009-11-26 2011-07-07 Kaneka Corp 発光部材およびその製造方法
WO2012073650A1 (ja) * 2010-11-30 2012-06-07 株式会社カネカ 有機el装置
JPWO2012073650A1 (ja) * 2010-11-30 2014-05-19 株式会社カネカ 有機el装置
JP5894932B2 (ja) * 2010-11-30 2016-03-30 株式会社カネカ 有機el装置
JP5940460B2 (ja) * 2010-12-18 2016-06-29 株式会社カネカ 有機el装置の製造方法、有機el装置の製造装置、光電変換装置の製造方法及び光電変換装置の製造装置
WO2012081625A1 (ja) * 2010-12-18 2012-06-21 株式会社カネカ 有機el装置の製造方法、有機el装置の製造装置、光電変換装置の製造方法及び光電変換装置の製造装置
EP2665343A4 (en) * 2011-01-13 2017-11-01 Kaneka Corporation Organic el light emitting element and method for manufacturing same
JP2012181931A (ja) * 2011-02-28 2012-09-20 Kaneka Corp 有機el発光素子
US9553133B2 (en) 2012-09-28 2017-01-24 Osram Oled Gmbh Method for producing an optoelectronic assembly, and optoelectronic assembly
DE102012109218A1 (de) * 2012-09-28 2014-04-03 Osram Opto Semiconductors Gmbh Verfahren zum Herstellen einer optoelektronischen Baugruppe und optoelektronische Baugruppe
DE102012109218B4 (de) * 2012-09-28 2018-06-28 Osram Oled Gmbh Verfahren zum Herstellen einer optoelektronischen Baugruppe und optoelektronische Baugruppe
WO2017056682A1 (ja) * 2015-09-29 2017-04-06 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンスパネル
JP2022191228A (ja) * 2018-09-27 2022-12-27 カティーバ, インコーポレイテッド 量子ドットカラーフィルタインク組成物、および量子ドットカラーフィルタインク組成物を利用したデバイス
JP7522474B2 (ja) 2018-09-27 2024-07-25 カティーバ, インコーポレイテッド 量子ドットカラーフィルタインク組成物、および量子ドットカラーフィルタインク組成物を利用したデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP5172402B2 (ja) 2013-03-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5172402B2 (ja) 有機elデバイス
KR102113946B1 (ko) 유기 디바이스 상의 비공통 캡핑 층
KR102080638B1 (ko) 유기 전계발광 소자 및 표시장치
JP2009181752A (ja) 有機elデバイス
KR20090128437A (ko) 광 아웃커플링이 향상된 oled
JP2010192366A (ja) 有機電界発光素子および有機電界発光素子の製造方法
JP6342487B2 (ja) 有機電子装置の製造方法
JP5102533B2 (ja) 有機発光素子
KR101266828B1 (ko) 전사용 도너 기판, 디바이스의 제조 방법 및 유기 el 소자
JP2011065943A (ja) 有機電界発光素子
KR101347471B1 (ko) 유기 el 디바이스 및 유기 el 디바이스의 제조 방법
JP5791129B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス照明装置
JP2008140621A (ja) 有機elディスプレイおよびその製造方法
JP2009129586A (ja) 有機el素子
JP5729749B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP2009288476A (ja) 色変換基板の製造方法、色変換フィルタ基板の製造方法及び有機電界発光素子の製造方法
WO2009099009A1 (ja) 有機elディスプレイおよびその製造方法
WO2012105349A1 (ja) 真空蒸着装置、真空蒸着方法及び該真空蒸着装置または該真空蒸着方法を用いて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2020140956A (ja) El表示パネルおよびel表示パネルの製造方法。
KR20050102360A (ko) 유기 전계 발광 소자용 투명 전도성 전극의 형성방법
WO2022249750A1 (ja) トップエミッション方式の有機エレクトロルミネッセンス素子およびその設計方法
JP5561582B2 (ja) 有機el表示装置
JP2008085142A (ja) 有機el素子及び光配線モジュール
Forrest et al. OLED with minimal plasmonic losses
CN117397389A (zh) 顶部发射方式的有机电致发光元件及其设计方法

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20101215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120309

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20120313

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5172402

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150