WO2012105349A1 - 真空蒸着装置、真空蒸着方法及び該真空蒸着装置または該真空蒸着方法を用いて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

真空蒸着装置、真空蒸着方法及び該真空蒸着装置または該真空蒸着方法を用いて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

 真空蒸着装置は、被蒸着部材を移動させる移動装置と、第1の蒸着材料を膜厚方向に濃度勾配が生じるよう放出する第1の分散容器と、第2の蒸着材料を膜厚方向に均一濃度になるよう放出する第2の分散容器と、を備え、第1の分散容器に、第1の蒸着材料の放出領域の一部を遮蔽する遮蔽部材が設けられ、第1の分散容器では、遮蔽部材によって第1の蒸着材料の放出領域の一部が遮蔽されることで、放出量が被蒸着部材の移動方向に沿って異なり、第2の分散容器では、第2の蒸着材料を被蒸着部材の成膜領域の略中央に放出することで、放出量が被蒸着部材の移動方向に沿って均一である。

Description

真空蒸着装置、真空蒸着方法及び該真空蒸着装置または該真空蒸着方法を用いて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子
 本発明は、真空蒸着装置、真空蒸着方法及び該真空蒸着装置または該真空蒸着方法を用いて形成された有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
 発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイがある。前記エレクトロルミネッセンスディスプレイの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子ともいう)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子、有機電界発光素子ともいう)が挙げられる。無機EL素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
 一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、該発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V~数十V程度の無機EL素子に比べ低電圧で発光が可能である。更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
 また、有機EL素子は、従来実用に供されてきた主要な光源、例えば、発光ダイオードや冷陰極管と異なり、面光源であることも大きな特徴である。この特性を有効に活用できる用途として、照明用光源や様々なディスプレイのバックライトがある。特に近年、需要の増加が著しい液晶フルカラーディスプレイのバックライトとして用いることも好適である。
 有機EL素子をこのような照明用光源、あるいはディスプレイのバックライトとして用いる場合には、白色もしくは、いわゆる電球色(以下、総合して白色と称す)を呈する光源として用いることになる。有機EL素子で白色発光を得るには、(i)1つの有機EL素子中に発光波長の異なる複数の発光ドーパントを調整し、混色により白色を得る方法、(ii)多色の発光画素を例えば、青・緑・赤の3色を塗りわけ、同時に発光させ混色して白色を得る方法、(iii)色変換色素を用いて白色を得る方法(例えば、青発光材料と色変換蛍光色素の組み合わせ)などがある。
 この中でも、低コスト、高生産性、簡便な駆動方法など照明用光源、バックライトに求められる様々な要求から判断すると、1つの有機EL素子中に発光波長の異なる複数の発光ドーパントを調整し、混色により白色を得る方法がこれらの用途には有効であり、近年、研究開発が意欲的に進められている。
 上述の方法により白色発光を得る方法について更に詳細に述べれば、有機EL素子中に補色の関係にある2色の発光ドーパント、例えば、青色発光ドーパントを含有する第1の発光層と黄色発光ドーパントを含有する第2の発光層を用い混色して白色を得る方法や、3色の発光ドーパント、例えば、青色と緑色と赤色の各色の発光ドーパントをそれぞれ別々の層に含有させて、混色して白色を得る方法が挙げられる。
 上記のように、青色と緑色及び赤色の3色の蛍光体を発光材料として別々の発光層にドープすることによって、白色の有機EL素子を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
 また、白色を得る方法として、上記のように発光色の異なる層を各々別個に設けるのではなく、2色以上の発光ドーパントとホスト化合物を1層の発光層中に共存させ、2色以上を発光させる方法がある。この方法は、有機EL素子の有機層の数を削減できること、また有機層の数を削減するので発光ドーパントの使用量を減少できることから、白色発光有機EL素子を得るにあたり有力な方法の一つである。
 このような方法を用い、陽極側から赤色発光層及び青色発光層が順次設けられてなり、かつ赤色発光層は少なくとも一つの緑色発光ドーパントを含有することを特徴とする有機電界発光素子が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
 ところで、近年、蛍光材料に対し、より高輝度の有機EL素子が得られる燐光発光ドーパントの開発が精力的に進められている(例えば、特許文献4、非特許文献1、2参照)。従来の蛍光材料からの発光は、励起一重項からの発光であり、一重項励起子と三重項励起子の生成比が1:3であるため、発光性励起種の生成確率は25%であるのに対し、励起三重項からの発光を利用する燐光発光ドーパントの場合では、励起子生成比率と一重項励起子から三重項励起子への内部変換により、内部量子効率の上限が100%となるため、蛍光発光ドーパントの場合に比べ、原理的に発光効率が最大4倍となる。
 このような燐光発光ドーパントを用いて、上述した態様のように発光効率が高い2色以上の燐光発光ドーパントを1層に共存させ、白色発光有機EL素子を得ようとした場合、発光色の異なる層を複数積層して白色を得る場合に比し、駆動条件(例えば、駆動電流や駆動電圧)の変化、環境変化及び経時に対する色度の安定性を確保することが比較的容易ではあるということが判ってきた。とりわけ照明光源用途においては、発光色の色度安定性や色度均一性に対する要求は厳しく、白色に発光する有機EL素子を照明光源用途に実用化するには、如何に色度の安定性や色度均一性を確保するかが重要な課題となっており、1層の発光層に各色の燐光発光ドーパントを含有させることが有用である。
 発光層1層内に、ホスト化合物、青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントが共存する場合、最低励起三重項エネルギー準位(T1)が高い青色発光ドーパントから、T1が低い赤色発光ドーパント及び/または緑色発光ドーパントに励起子のエネルギー移動がある。そのために、同一の発光層内の青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントの濃度を同じにした場合、青色がほとんど発光せず、赤色及び緑色が発光するために、全体として白色発光が得られない。白色発光を得るためには、青色発光ドーパントの濃度を発光層全体の10重量%から30重量%にするのに対して、緑色発光ドーパントと赤色発光ドーパントの濃度を発光層全体の0.05重量%から1重量%の低濃度にする必要がある。
 しかしながら、発光層内の赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントの濃度を青色発光ドーパントの濃度に対し低濃度とすると、赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントの小さな濃度バラツキが色度バラツキ(色ムラ)に繋がるという問題がある。そこで、色ムラを少なくするために、赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントのような低濃度ドーパントの発光層内での濃度均一性が重要となる。これに対して、白色を得るために青色発光ドーパントは、赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントに比べて濃度が10%以上存在するため、多少の濃度バラツキが起きても色度バラつきに繋がりにくくなっている。色ムラを起こさないためには、赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントの発光層内での濃度を均一にすることが特に重要である。
 また、有機EL素子をこのような照明用光源、あるいはディスプレイのバックライトとして実用する為に重要な課題として、発光効率と発光寿命の向上、特に発光寿命の向上が挙げられる。
 発光層において、発光ドーパントとして使用される青色発光ドーパントの中には正孔輸送性が高い物質がある。この正孔輸送性が高い物質を青色発光ドーパントとして使用し発光層内にドープさせる場合では、発光層内陽極側の界面付近で青色発光ドーパントの濃度を高くすると、陽極または陽極に形成される有機層から発光層に注入される正孔が発光層内陽極側の界面から早く離れ発光層中央部に移動し易くなるので、正孔及び電子が再結合し発光する場所が発光層中央部になる。そして、発光層内陰極側の界面の正孔輸送性が高い青色発光ドーパントは、青色発光ドーパンが電子の侵入を妨げる電子阻止材として働くため、陰極側界面付近では、青色発光ドーパントの濃度を低くし電子が入り易くすることで、電子が陰極側界面から早く離れて発光層中心部に移動し易くなる。その結果、正孔及び電子は発光層中央部で結合しやすくなり、発光層中央部で発光する。
 このように、他層との界面での発光はロスが大きいことが知られており、正孔輸送性が高い青色発光ドーパント使う場合において、陽極側界面付近の青色発光ドーパントの濃度が高く、陰極側界面付近の青色発光ドーパントの濃度が低い濃度勾配を持たせることにより、界面から早く離れて発光層中心部で発光するため、発光効率や発光寿命の向上、特に発光寿命の向上に繋がる。
 逆に青色発光ドーパントに電子輸送性が高い材料を使う場合には、発光層の陰極側界面付近の青色発光ドーパントの濃度を高くすることで、同様の効果が得られる。
 このように、色度安定性及び発光効率や発光寿命の向上、特に発光寿命の向上の課題を解決するためには、発光層の陽極界面側において、正孔輸送性が高い青色発光ドーパントの濃度を高くし、陰極界面側に向けて低濃度となるように濃度勾配を持たせるとともに、赤色発光ドーパントや緑色発光ドーパントは発光層内において低濃度で均一に分布させることが要求されている。
 ところで、発光層の形成方法として、一般に蒸着、塗布及び転写などの方法が挙げられるが、蒸着が好ましく用いられる。発光層を形成するために蒸着を使用した蒸着装置を用いて、蒸着材料を放出する放出口を複数有する分散容器を複数積層することで、各分散器から複数の材料を用いて共蒸着を行う技術が開示されている(例えば、特許文献5参照)。この技術によれば、成膜の面内のバラツキを低減することができる。
 しかしながら、上記特許文献5に記載の蒸着装置を用いた技術では、発光層の膜厚方向、発光層内に蒸着材料の濃度勾配を持たせ発光層を形成するように蒸着することはできない。
 そこで、発光層の膜厚方向、発光層内に蒸着材料の濃度勾配を持たせる共蒸着法として、2種類のそれぞれ異なる材料を有する2つの蒸着源を基板の搬送方向に沿い、互いの蒸着範囲がオーバーラップするように配置することで、蒸着された2種類の材料に膜厚方向で濃度勾配を持たし蒸着する技術や、2種類のそれぞれ異なる材料を有する2つの蒸着源を基板の搬送方向に沿って配置するとともに各蒸着源の開口径を搬送方向に沿って大きくなるように、あるいは小さくなるように変化させることで、蒸着された2種類の材料に膜厚方向で濃度勾配を持たし蒸着する技術が開示されている(例えば、特許文献6参照)。しかしながら、上記特許文献6に記載の蒸着装置においては、2種類の材料をそれぞれに濃度勾配を持たせ共蒸着することは開示されているものの、材料を膜厚方向で均一に共蒸着する技術は示されていない。
 このように、1つの層内の膜厚方向において、ある材料は濃度勾配が生じるように、他の材料は濃度均一になるように共蒸着して層を形成する技術は知られていない。
特開平6-207170号公報 特開2004-235168号公報 国際公開第2004/077886号パンフレット 米国特許第6,097,147号明細書 特開2008-075095号公報 特開2003-077662号公報
M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151~154頁(1998年) M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750~753頁(2000年)
 本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、1つの層内の膜厚方向において、ある材料は濃度勾配が生じるように、他の材料は濃度均一になるように共蒸着して層を形成することが可能な真空蒸着装置及び真空蒸着方法について提供することを目的としている。また、該真空蒸着装置または該真空蒸着方法によって形成された有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的としている。
 本発明の一の態様によれば、膜厚方向に濃度勾配を生じるように蒸着される第1の蒸着材料と膜厚方向に均一な濃度で蒸着される前記第1の蒸着材料とは異なる第2の蒸着材料とを少なくとも含む複数の蒸着材料を、被蒸着部材の同一面上に蒸着して成膜する真空蒸着装置であって、
 前記被蒸着部材を移動させる移動装置と、
 前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を放出する第1の分散容器と、
 前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を放出する第2の分散容器と、を備え、
 前記第1の分散容器には、前記第1の蒸着材料の放出領域の一部を遮蔽する遮蔽部材が設けられ、
 前記第1の分散容器では、前記遮蔽部材によって前記第1の蒸着材料の放出領域の一部が遮蔽されることにより、前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を膜厚方向に濃度勾配が生じるように放出し、
 前記第2の分散容器では、前記第2の蒸着材料を前記被蒸着部材の成膜領域 の略中央に放出することにより、前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を膜厚方向に均一な濃度になるように放出することを特徴とする真空蒸着装置が提供される。
 本発明の他の態様によれば、膜厚方向に濃度勾配を生じるように蒸着される第1の蒸着材料と膜厚方向に均一な濃度で蒸着される前記第1の蒸着材料とは異なる第2の蒸着材料とを少なくとも含む複数の蒸着材料を、被蒸着部材の同一面上に蒸着して成膜する真空蒸着方法であって、
 前記被蒸着部材を移動させつつ、
 前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を放出する際に、前記第1の蒸着材料の放出領域の一部を遮蔽することによって前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を膜厚方向に濃度勾配が生じるように放出し、
 前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を放出する際に、前記被蒸着部材の成膜領域の略中央に前記第2の蒸着材料を放出することにより、前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を膜厚方向に均一な濃度になるように放出することを特徴とする真空蒸着方法が提供される。
 本発明の他の態様によれば、基板上に、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に少なくとも1層の発光層を含む有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
 前記有機機能層の少なくとも1層を前記真空蒸着装置又は前記真空蒸着方法により形成したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
 本発明によれば、1つの層内の膜厚方向において、ある材料は濃度勾配が生じるように、他の材料は濃度均一になるように共蒸着して1つの層を形成することが可能な真空蒸着装置及び真空蒸着方法を提供することができる。
枚葉基材を使用する場合の真空蒸着装置の概略図である。 長尺基材を使用する場合の真空蒸着装置の概略図である。 図1の真空蒸着装置の変形例を示した図である。 有機EL素子の概略図である。 図4の有機EL素子の断面図である。
 以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
 図1及び図2は、真空蒸着装置の概略図である。
 真空蒸着装置100は、1つの成膜室1内で、形成される層の膜厚方向Xに濃度勾配を生じるように蒸着される濃度勾配用材料(第1の蒸着材料)と、膜厚方向Xに均一な濃度で蒸着される濃度均一用材料(第2の蒸着材料)と、を少なくとも含む複数の蒸着材料を基材2(被蒸着部材)の同一面上に蒸着して成膜する装置である。
 本発明の真空蒸着装置100は、例えば、後述の有機EL素子の、ホスト化合物、青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントの4種類の材料からなる1層の発光層を形成するのに好適である。
 図3は有機EL素子の一例を示した概略図であり、図4は有機EL素子の断面図を示している。有機EL素子101は、ガラス基板103上に設けられた陽極107と、陰極105とを有し、陽極107と陰極105との間に設けられた発光層を含む有機機能層106と、を有する。また、有機EL素子101の表示領域を覆うようにしてガラスカバー102が配置され、接着剤層104等を介してガラス基板103上に封止されている。図4中、108はガラスカバー102とガラス基板103によって形成された空間内に充填された窒素ガスで、109は捕水剤109である。
 本発明において、濃度勾配用材料としては、青色発光ドーパントが10重量%から30重量%、濃度均一用材料としては赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントを使用し、赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントは各ドーパント濃度が、発光層全体の0.05重量%から1重量%以下となるように濃度を設定することが好ましい。
 まず、本発明の真空蒸着装置100について説明する。
 《真空蒸着装置》
 真空蒸着装置100は、成膜室1と、成膜室1内で基材2を水平方向に移動させる移動装置3と、基材2の下面に該基材2と対向して設けられ、濃度勾配用材料を放出する複数の放出口43を有する濃度勾配用分散容器(第1の分散容器)4と、基材2に対向して設けられ、濃度均一用材料を放出する複数の放出口53を有する濃度均一用分散容器(第2の分散容器)5と、基材2に対向して設けられ、ホスト用材料(ホスト化合物:第3の徐癒着材料)を放出する複数の放出口63を有するホスト用分散容器6と、濃度勾配用分散容器4、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6にそれぞれ接続されて、濃度勾配用材料、濃度均一用材料及びホスト用材料を蒸発させる濃度勾配用蒸発セル(第1の蒸発セル)41、濃度均一用蒸発セル(第2の蒸発セル)51及びホスト用蒸発セル61と、を有する。
 ここでは、蒸着材料の蒸気を放出する分散容器と蒸着材料を加熱し蒸気を発生させる蒸発セルを分けたが、分散容器において、蒸着材料を加熱して蒸気を発生させても構わない。
 成膜室1内は、真空度10-6Pa~10-2Paの範囲であり所定の真空状態に保持されている。
 基材2の形状は特に限定されず、図1に示すように枚葉基材2Aでも、図2に示すようにロール状に巻いた長尺基材(帯状基材)2Bであっても良い。基材2の材料については、後述する。
 移動装置3は、枚葉基材2Aを使用する場合、図1に示すように、成膜室1内の上部で枚葉基材2Aを保持部材31に保持させるとともに、水平方向(図中、左右方向)に沿って移動させる構成のものとする。また、長尺基材2Bを使用する場合には、図2に示すように、1対の巻き取りローラ32で長尺基材2Bを巻き取ることによって長尺基材2Bを水平方向(図中、左右方向)に移動させる構成のものとする。
 成膜室1の下部には、基材2の移動方向Yに沿って(図中、左側から右側に向けて)順に濃度勾配用分散容器4、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6が配置されている。これら濃度勾配用分散容器4、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6は、基材2の移動方向Yに対して直交する方向(図中、紙面の手前から奥側)に沿って延在した長尺なリニアソースである。
 濃度勾配用分散容器4の上面には、長手方向に沿って延在する開口部が形成されており、これが濃度勾配用材料(例えば、青色発光ドーパント)を放出する放出口43とされている。濃度勾配用分散容器4は、放出口43の中心を通る中心線に対して基材2の移動方向Yが直交するように配置されている。
 濃度勾配用分散容器4の放出口43の直上には、放出口43のうち基材2の移動方向上流側の略半分を覆うように遮蔽部材81が設けられている。遮蔽部材81としては、蒸気の一部が基材2へ達することを遮られれば良く、例えば、板状の遮蔽部材81が考えられる。遮蔽部材81の材質としては、減圧下で使用でき、耐熱性の高い金属、例えばステンレス鋼(例えばJISSUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼、JIS SUS403、SUS410、SUS420J2等のマルテンサイト系ステンレス鋼)、熱間加工用合金工具鋼(例えばSKD61)等の耐熱鋼、ハステロイ、インコネル等の耐熱合金、モリブデン・タングステン等の高融点金属を挙げることができる。これらの中でも、磁力線の遮断の確実性の高い磁性金属(コスト面も考慮すると例えば、ステンレス鋼SUS420J2、SUS403、SUS410、SKD61)が好ましい。したがって、濃度勾配用材料の放出領域Hのうち、基材2の移動方向上流側の略半分が遮蔽部材81によって遮蔽されるので、基材2の移動方向Yに沿って基材2に放出される放出量が異なる。つまり、放出口43から放出された濃度勾配用材料は、基材2の移動方向Yに沿って基材2に放出される放出量が減少するので、基材2に蒸着される蒸着量も減少するようになっている。
 なお、遮蔽部材81の設ける位置は、上述したものに限らず、上記放出領域Hの一部を遮蔽できれば略半分でなくともよく、適宜変更可能である。
 図中、一点鎖線は、濃度勾配用分散容器4、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6内の各材料が放出される領域を示し、実線は、放出領域の中心を示している。
 濃度均一用分散容器5の上面には、長手方向に沿って延在する開口部が形成されており、これが濃度均一用材料(例えば、緑色発光ドーパント、赤色発光ドーパント)を放出する放出口53とされている。濃度均一用分散容器5は、放出口53から放出された濃度均一用材料が基材2の成膜領域Sの略中央に放出されるように、放出口53の中心を通る中心線と、基材2の移動方向Yとが直交するように配置されている。したがって、放出口53から放出された濃度均一用材料は、基材2の移動方向Yに沿って基材2に放出される放出量が均一とされる。
 ホスト用分散容器6の上面には、長手方向に沿って延在する開口部が形成されており、これがホスト用材料を放出する放出口63とされている。ホスト用分散容器6は、放出口63から放出されたホスト用材料が基材2の成膜領域Sの略中央に放出されるように傾斜して配置されている。したがって、放出口63から放出されたホスト用材料は、基材2の移動方向Yに沿って基材2に放出される放出量が均一とされる。
 なお、ホスト用分散容器6の直上の基材2の移動方向Yの下流側に、放出口63を覆わないように遮蔽部材82を設けても良い。このように遮蔽部材82を設けることで、ホスト用分散容器6から放出されたホスト用材料を、基材2の成膜領域にのみ確実に蒸着させることができ、ホスト用材料が成膜領域以外に飛散するのを防止することができる。
 成膜室1の外部には、各材料を蒸発させて、濃度勾配用分散容器4、ホスト用分散容器6及び濃度均一用分散容器5に、濃度勾配用材料、ホスト用材料及び濃度均一用材料をそれぞれ供給する濃度勾配用蒸発セル41、ホスト用蒸発セル61、2つの濃度均一用蒸発セル51(例えば、緑色濃度均一用蒸発セル51G及び赤色濃度均一用蒸発セル51R)が設けられている。
 濃度勾配用蒸発セル41は、成膜室1の内部または外部のいずれの場所に配置されていても問題ないが、好ましくは成膜室1の外部であり、濃度勾配用分散容器4の略中央部下面に、導入管45及び開閉弁46を介して接続されている。
 濃度均一用蒸発セル51(例えば、緑色濃度均一用蒸発セル51G及び赤色濃度均一用蒸発セル51R)は、成膜室1の内部または外部のいずれの場所に配置されていても問題ないが、好ましくは成膜室1の外部で、濃度均一用分散容器5の略中央部下面に、導入管55及び開閉弁56を介して接続されている。
 ホスト用蒸発セル61は、成膜室1の内部または外部のいずれの場所に配置されていても問題ないが、好ましくは成膜室1の外部で、ホスト用分散容器6の略中央部下面に、導入管65及び開閉弁66を介して接続されている。
 また、各開閉弁46,56及び66と各導入管45,55及び65には、図示しない加熱装置を設けることが好ましい。加熱装置によって、各蒸発材料の凝固や付着を防止することができる。
 なお、成膜室1内には、基材2に成膜された膜厚を検出する水晶振動子71が設けられており、この水晶振動子71で検出された値が、成膜室1外の膜厚センサ72に出力されて膜厚が測定される。測定された膜厚は、制御装置73に出力されて、制御装置73は所定の膜厚になると各開閉弁46,56及び/または66を閉鎖するように制御する。また、各分散容器4,5及び6には、蒸着レートを検出するための水晶振動子48,58及び68が設けられており、この水晶振動子48,58及び68で検出された値が、上記膜厚センサ72に出力されて蒸着レートを測定する。測定された蒸着レートは、制御装置73に出力されて、制御装置73は所定の蒸着レートになると各開閉弁46,56及び/または66を開放するように制御する。
 次に、上記構成の真空蒸着装置100を使用した真空蒸着方法について説明する。
 《真空蒸着方法》
 まず、濃度勾配用蒸発セル41では、濃度勾配用材料(例えば、青色発光ドーパント)の蒸発温度まで加熱して濃度勾配用材料を蒸発させる。また、ホスト用蒸発セル61ではホスト用材料(ホスト化合物)の蒸発温度、濃度均一用蒸発セル51では濃度均一用材料(例えば、緑色発光ドーパント、赤色発光ドーパント)の蒸発温度となるようにそれぞれの材料を加熱して蒸発させておく。
 次いで、各開閉弁46,56及び/または66を開放することによって、濃度勾配用蒸発セル41から蒸発した濃度勾配用材料を濃度勾配用分散容器4に供給し、ホスト用蒸発セル61から蒸発したホスト用材料をホスト用分散容器6に供給し、濃度均一用蒸発セル51から蒸発した濃度均一用材料を濃度均一用分散容器5に供給する。これによって、濃度勾配用分散容器4の放出口43から、蒸発した濃度勾配用材料が放出され、ホスト用分散容器6の放出口63からは蒸発したホスト用材料が放出され、さらに、濃度均一用分散容器5の放出口53からは蒸発した濃度均一用材料が放出される。
 このとき、濃度勾配用分散容器4では、放出口43の略半分が遮蔽部材81によって遮蔽されているので、放出口43から放出される濃度勾配用材料の放出領域Hの略半分が遮蔽される。そのため、基材2に放出される放出量が基材2の移動方向Yに沿って減少することになる。
 一方、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6では、放出口53,63から放出される各材料の放出領域は遮蔽されておらず、基材2の成膜領域Sの略中央に向けて放出されるので、基材2に放出される放出量は基材2の移動方向Yに沿って均一となる。
 そして、上述のように各材料が放出された成膜室1内において、枚葉基材2Aを使用する場合は、保持部材31に枚葉基材2Aを保持させて、所定の速度で枚葉基材2Aを移動させる。長尺基材2Bを使用する場合には、巻き取りローラ32を回転させながら長尺基材2Bを所定の速度で移動させる。
 このような方法で蒸着することで、濃度勾配用分散容器4から放出される濃度勾配用材料は、基材2の下面から膜厚方向X(図中、下向き)に向かって基材2に蒸着される濃度が薄くなるように蒸着される。また、ホスト用分散容器6から放出されるホスト用材料や、濃度均一用分散容器5から放出される濃度均一用材料は、いずれも膜厚方向X及び基材2の移動方向Yにおいて略均一濃度で蒸着されることになる。
 その後、所定の膜厚となったら、開放弁46,66及び/または56を閉鎖して蒸着を終了する。
 なお、上記実施形態において、濃度均一用分散容器5は、緑色発光ドーパント用の蒸発セル51Gと、赤色発光ドーパント用の蒸発セル51Rに接続されており、濃度均一用分散容器5には蒸発した緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントの混合材料が供給される構成となっているが、濃度均一用分散容器5を2つ設けて、それぞれに緑色発光ドーパント用の蒸発セル51G及び緑色発光ドーパント用の蒸発セル51Rを接続させるように構成しても良い。
 また、濃度均一用分散容器5と、ホスト用分散容器6の配置は、左右逆にしても構わない。
 また、上記濃度勾配用分散容器4、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6は、長尺なリニアソースであるとしたが、これに限らず、ポイントソースを複数個配置しても良い。この場合、濃度勾配用分散容器4においては、各ポイントソースの放出口に上述した遮蔽部材81と同様に放出領域Hの一部を遮蔽する遮蔽部材を設けるようにすれば良い。
 また、ホスト用分散容器6の放出口63からの放出量を均一となるようにしたが、濃度勾配用分散容器4とは反対側に遮光部材を付け放出口63からの放出量を、基材2の移動方向Y下流側に向けて増加させるように変化させても良い(図示しない)。つまり、濃度勾配用分散容器4から放出される放出量を、基材2の移動方向Y下流側に向けて減少するように変化させたが、これとは反対に、ホスト用分散容器6では、放出量を下流側に向けて増加させるように変化させることで、基材2の移動方向Y上流側に向けて放出量が減少する青色発光ドーパントの減少分を、ホスト用材料の増加分で補充することができる。
 さらに、上記実施形態では、濃度勾配用分散容器4、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6は、基材2に対して同じ高さ位置に配置するとしたが、図3に示すように、濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6を、濃度勾配用分散容器4よりも基材2から離れた位置、つまり下方に配置することが好ましい。このように濃度均一用分散容器5及びホスト用分散容器6と基材2の対向面までの距離を、濃度勾配用分散容器4と基材2の対向面までの距離よりも離して配置することによって、濃度均一用材料及びホスト用材料の放出領域が広がり、蒸着濃度の均一性をより高めることができる。
 次に、本発明の真空蒸着装置100を使用して形成した有機機能層を備えた有機EL素子について説明する。
 《有機EL素子の白色色度》
 本発明の有機EL素子や該有機EL素子に係る化合物の発光色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、有機EL素子からの発光を分光放射輝度計CS-1000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果を、CIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
 本発明における白色素子としての好ましい色度は、相関色温度が2500K~7000K、かつCIE1931表色系おいて、各色温度での黒体輻射線上からのy値乖離が0.1以下である。
 《有機EL素子の層構成》
 次に、有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
 (i)陽極/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
 (ii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/電子輸送層/陰極
 (iii)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
 (iv)陽極/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
 (v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層ユニット/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
 なお、本発明において陽極、陰極を除く層が本発明で言う有機機能層である。
 本発明の有機EL素子においては、発光層ユニットは、本発明で規定する要件を満たす構成を有する発光層を少なくとも1層有していれば、何層でもよいが、好ましくは本発明の規定を満たす要件を有する発光層1層のみからなるものである。
 《発光層》
 本発明における発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層等から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよいが、発光層の中央部において発光する方が好ましい。
 隣接層との界面での発光は発光輝度等ロスが大きく、発光層の中央部で発光させることにより、発光効率や発光寿命の向上、特に発光寿命の向上に繋がる。
 本発明に係る発光層は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
 発光層の膜厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、40nm~200nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは50nm以上、150nm以下の範囲に調整される。
 発光層を形成する方法としては、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、上述した本発明の真空蒸着方法を用いて形成することができる。
《発光ドーパント》
 次いで、本発明における発光ドーパントについて説明する。
 本発明における発光ドーパントとしては、燐光発光ドーパント(以下、燐光発光体、燐光性化合物、燐光発光性化合物ともいう)を用いることを特徴とする。
 (燐光発光体)
 本発明における燐光発光体は、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にて燐光発光する化合物であり、燐光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましい燐光量子収率は0.1以上である。
 上記燐光量子収率は、例えば、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中での燐光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係る燐光発光体は、任意の溶媒のいずれかにおいても、上記燐光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
 燐光発光体の発光の原理としては、2タイプが挙げられ、一つのタイプはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーを燐光発光体に移動させることで燐光発光体からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つのタイプは、燐光発光体がキャリアトラップとなり、燐光発光体上でキャリアの再結合が生じ、燐光発光体からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、燐光発光体の励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
 燐光発光体は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
 本発明における燐光発光体としては、好ましくは元素の周期表で8族~10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
 以下に、青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704~1711に記載の方法等により合成できる。
 《濃度勾配用材料》
 次に、濃度勾配用材料について説明する。濃度勾配用材料は、形成される層の膜厚方向に濃度勾配を持たせる材料であり、例えば、有機EL素子の発光層を形成する場合では、青色発光ドーパントを用いると好ましい。
 発光層内における濃度勾配用材料の濃度勾配分布について、例えば、青色発光ドーパントの濃度分布について説明する。本発明においては、青色発光ドーパントとして正孔輸送性が高い材料を用いることが好ましく、その場合、発光層内の陽極側端部において高濃度に含有されており、膜厚方向、陰極側へ向けて濃度が低くなるよう(低濃度)となるように発光層内に濃度分布を持っている。発光層の陽極側界面から発光層中央部までの部分の青色発光ドーパントの平均含有量が、陰極側界面から発光層中央部までの平均含有量より多いと好ましく、さらに好ましくは陽極側端部が最も高濃度であり、陽極側界端部から陰極側端部へかけて単調に青色発光ドーパント濃度が減少していくことである。単調に青色発光ドーパントが減少するとは発光層の陽極側端部を除き、極大濃度部分を有さないということである。本発明において、陽極側端部とは発光層の陽極側界面から5nm、もしくは発光層全体の1/20の厚さの内、薄い方の厚さの領域を指し、陰極側端部とは発光層の陰極側界面から5nm、もしくは発光層全体の1/20の厚さの内、薄い方の厚さの領域を指す。
 前記発光層における陽極側端部の前記青色発光ドーパントの含有量としては、青色発光ドーパントとして正孔輸送性が高い材料を用いる場合には、50重量%以上、100重量%未満であることが好ましい。この範囲であると、発光層の陽極側界面で青色発光ドーパント濃度が高くなり、正孔輸送性をさらに高めることができ、陽極側から注入されてくる正孔を効率良く発光層の中央に運ぶことができ該発光層の中央で発光する確率が飛躍的に向上するので発光効率や寿命の向上につながり、電力効率の低下を抑制すること、また駆動経時における色度安定性の低下も抑制することができる。
 逆に、青色発光ドーパントとして電子輸送性が高い材料を用いる場合には、発光層の陰極側端部において高濃度に含有させ、陽極側端部へ向けて低濃度となるように濃度分布となるように発光層内に濃度分布を持たせると上記と同様の効果が得られる。
 本発明の構成の発光層により、電力効率に優れ、寿命かつ色度の安定性や均一性に優れた有機EL素子が得られる。
 《濃度均一用材料》
 次に、濃度均一用材料について説明する。濃度均一用材料は、形成される層の膜厚方向に濃度均一で蒸着される材料であり、例えば、有機EL素子の発光層を形成する場合では、緑色発光ドーパント、赤色発光ドーパント及びホスト化合物を用いると好ましい。
 発光層内における濃度均一用材料の濃度均一分布について、例えば、緑色及び赤色の発光ドーパントの発光層内における濃度分布について説明する。本発明においては、青色、緑色及び赤色の発光ドーパントを発光層1層に含有する場合には、最低励起三重項エネルギー準位(T1)が高い青色発光ドーパントから最低励起三重項エネルギー準位の低い緑色発光ドーパント及び/または赤色発光ドーパントに励起子のエネルギー移動があるため、青色、緑色及び赤色の濃度を発光層内で同じにすると青がほとんど発光せずに、緑色及び赤色が発光してしまい、青色、緑色及び赤色のバランスが崩れ白色発光を得ることができない。そのため、蒸着により発光層を形成する場合には、例えば、青色、緑色及び赤色の発光ドーパントの濃度をそれぞれ15体積%、0.13体積%及び0.13体積%にして共蒸着することで白色の発光が得られる。しかしながら、この場合、各材料に比べ高濃度で含有されている青色発光ドーパントは濃度変動の影響を受けないが、青色発光ドーパントに比較し低濃度で含有される緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントは、蒸着レートを低レートにする必要があり、低レートのため蒸着レートが不安定な上に蒸着レートの僅かな変動により色ムラが生じ易い。
 そのため、緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントは、青色発光ドーパントに比較し低濃度で、かつ面内の濃度分布を均一にすることで、面内の色度バラツキ(色ムラ)を抑制することができる。
 《有機EL素子》
 本発明の有機EL素子の発光色は、白色であり、その白色発光スペクトルが、465~480nm、500~515nm、及び600~620nmの波長領域内に発光極大波長を有することが好ましい。青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント、及び赤色発光ドーパントを含有することが好ましい。有機EL素子の発光層は、上述の通り、ホスト化合物と、いずれも燐光発光性の青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントを含有する。
(青色発光ドーパント)
 本発明においては、青色発光ドーパントが、下記一般式(A)~(C)から選ばれる少なくとも1つの部分構造を有することが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 前記一般式(A)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 また、前記一般式(B)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rc、Rb1、Rc1は各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 また、前記一般式(C)において、Raは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表し、Rb、Rcは各々水素原子または置換基を表し、A1は芳香族環または芳香族複素環を形成するのに必要な残基を表し、MはIrまたはPtを表す。
 一般式(A)~(C)の構造は部分構造であり、それ自身が完成構造の発光ドーパントとなるには、中心金属の価数に対応した配位子が必要である。
 一般式(A)~(C)において、MはIr、Ptを表し、特にIrが好ましい。また一般式(A)~(C)の部分構造3個で完成構造となるトリス体が好ましい。
 以下、本発明における発光ドーパントの前記一般式(A)~(C)の部分構造を持つ化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。
 本発明において、青色発光ドーパントとして好適に用いられる化合物としては、以下の化合物(1-1)~(1-10)が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
(緑色発光ドーパント)
 本発明において、緑色発光ドーパントとして好適に用いられる化合物としては、次の化合物が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
(赤色発光ドーパント)
 本発明において、赤色発光ドーパントとして好適に用いられる化合物としては、次の化合物が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
(ホスト化合物)
 次に、発光層に含まれるホスト化合物について説明する。
 本発明の有機EL素子の発光層に含まれるホスト化合物とは、室温(25℃)における燐光発光の燐光量子収率が、0.1未満の化合物であることが好ましく、更に好ましくは燐光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20質量%以上であることが好ましい。
 ホスト化合物としては、ホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。
 本発明に用いられる発光ホスト化合物としては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
 本発明に係る発光層に用いられる発光ホスト化合物としては、下記一般式(a)で表される化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 一般式(a)において、Xは、NR′、O、S、CR′R″またはSiR′R″を表し、R′、R″は各々水素原子または置換基を表す。Arは芳香環を表す。nは0から8の整数を表す。
 Xとして好ましく用いられるのは、NR′またはOであり、R′としては芳香族炭化水素基、芳香族複素環基が特に好ましい。
 一般式(a)において、Arで表される芳香環としては、芳香族炭化水素環または芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよく、縮合環でもよく、更に未置換でも、後述するような置換基を有していてもよい。
 Arで表される芳香環として好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、特に好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環である。上記の中でも、置換基を有するベンゼン環が好ましく、特に好ましくは、カルバゾリル基を有するベンゼン環が好ましい。
 ここで、一般式(a)において、Arで表される芳香環が有してもよい置換基は、R′、R″で、各々表される置換基と同義である。
 また、一般式(a)において、nは0~8の整数を表すが、0~2であることが好ましく、特にXがO、Sである場合には1または2であることが好ましい。
 また、本発明に用いるホスト化合物は、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもいい。
 ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、且つ、発光の長波長化を防ぎ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
 本発明においては、複数の発光層を有する場合には、ホスト化合物は発光層ごとに異なっていてもよいが、同一の化合物であることが優れた駆動寿命特性が得られることから好ましい。
 また、前記ホスト化合物は、その最低励起3重項エネルギー(T1)が、2.7eVより大きいことがより高い発光効率を得られることから好ましい。本発明でいう最低励起3重項エネルギーとは、ホスト化合物を溶媒に溶解し、液体窒素温度において観測した燐光発光スペクトルの最低振動バンド間遷移に対応する発光バンドのピークエネルギーを言う。
 本発明においては、ガラス転移点が90℃以上の化合物が好ましく、更には130℃以上の化合物が優れた駆動寿命特性を得られることから好ましい。
 ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS-K-7121に準拠した方法により求められる値である。
 本発明の有機EL素子においては、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は、一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は、正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすい為、中間層材料、ホスト材料は、移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
 本発明において、ホスト化合物として好適に用いられる化合物としては、次の化合物が挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 《注入層:電子注入層、正孔注入層》
 注入層は必要に応じて設けることができ、陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
 注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設ける層のことで、例えば、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123~166頁)にその詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。陽極バッファー層(正孔注入層)としては、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
 陰極バッファー層(電子注入層)としては、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
 上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、使用する素材にもよるが、その膜厚は0.1nm~5μmの範囲が好ましい。
 《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
 阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
 正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、正孔阻止層として用いることができる。
 本発明の有機EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
 一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
 本発明に係る正孔阻止層、電子阻止層の膜厚としては、特に制限はないが、好ましくは3nm~100nmであり、更に好ましくは5nm~30nmである。
 《正孔輸送層》
 正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
 正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
 正孔輸送材料として好ましく用いられるのは、より高効率の発光素子が得られることから、いわゆるp型半導体的性質を有するとされる正孔輸送材料である。
 正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア-ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
本発明に係る電子阻止層、正孔輸送層の膜厚については、特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5nm~200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
 《電子輸送層》
 電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
 従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は、発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
 電子輸送材料として好ましく用いられるのは、より低消費電力の素子が得られることから、不純物をドープしたn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料である。
 電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア-ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm~5μm程度、好ましくは5~200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
 《被蒸着部材》
 本発明の被蒸着部材(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。前記被蒸着部材は、有機EL阻止の支持基板として用いることができ、有機EL阻止において支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
 樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129-1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度が、0.01g/m2・day・atm以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には、JIS K 7126-1992に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10-3g/m2/day以下、水蒸気透過度が、10-3g/m2/day以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10-5g/m2/day以下であることが、更に好ましい。
 バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
 バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004-68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものも好ましい。
 不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属基板や不透明樹脂フィルム、セラミック基板等が挙げられる。
 《封止》
 本発明の有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
 ガラス、ポリマー、金属等からなる封止部材が有機EL素子を覆うように配置されておればよく、封止部材は凹板状でも、平板状でもよい。凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。また、封止部材の透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
 本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルム(金属箔)を好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、酸素透過度10-3g/m2/day以下、水蒸気透過度10-3g/m2/day以下のものであることが好ましい。また、前記の水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10-5g/m2/day以下であることが、更に好ましい。
 接着剤として、光硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、湿気硬化型接着剤、熱及び化学硬化型(二液混合)、ホットメルト型接着剤、紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。
 なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
 接着剤は、ディスペンサーによる塗工やスクリーン印刷やラミネート等により、封止部材に形成することができる。
 また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に、該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ-イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができる。
 封止部材と有機EL素子との間隙には、気相および液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
 《保護膜、保護板》
 有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために、保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止部材に用いたのと同様の材料を用いることができる。
 《陽極》
 有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3-ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。更に膜厚は材料にもよるが、通常10nm~1000nm、好ましくは10nm~200nmの範囲で選ばれる。
 《陰極》
 一方、陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm~5μm、好ましくは50nm~200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
 また、陰極に上記金属を1nm~20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
 《有機EL素子の作製方法》
 本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子の作製方法について説明する。
 まず適当な支持基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10nm~200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層の有機機能層を形成させる。
 この有機機能層を薄膜化する方法としては、真空蒸着方法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、LB法(ラングミュア-ブロジェット法)、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等があるが、少なくとも一つの有機機能層は上述した本発明の真空蒸着装置又は真空蒸着方法により形成あれる。その他の層では、均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着方法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スロット型コータ法が特に好ましい。更に層毎に異なる製膜法を適用してもよい。
 本発明では、濃度勾配を有する有機機能層を形成する際、特に、発光層を形成する場合には、本発明の真空蒸着方法を用いることが好ましい。蒸着レートを経時で操作することや場所により操作することで膜厚方向での濃度を精密にコントロール可能であることから、本発明の真空蒸着方法を用いて濃度勾配を有する発光層を作製する。
 有機機能層を形成する際に、本発明の真空蒸着方法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般に蒸着させる材料の加熱温度50℃~450℃、真空度10-6Pa~10-2Pa、蒸着速度0.0002nm/秒~50nm/秒、基板温度-50℃~300℃の範囲で適宜選ぶことが望ましい。形成される膜厚は0.1nm~5μm、好ましくは5nm~200nmの範囲であることが望ましい。
 これらの有機機能層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50nm~200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。この有機EL素子の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層から陰極まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
 また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を-の極性として電圧2V~40V程度を印加すると、発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
 有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6~2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
 この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
 本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
 本発明の有機EL素子は、支持基板(基板)の光取出し側に、例えばマイクロレンズアレイ状の構造を設けるような加工あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。また、有機EL素子からの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。
 以上、本発明の実施形態によれば、濃度勾配用分散容器4の放出口43から放出した濃度勾配用材料は、遮蔽部材81によって濃度勾配用材料の放出領域Hの一部が遮蔽されることにより、濃度勾配用材料の放出量が基材2の下面から膜厚方向Xに向かって基材2に蒸着される濃度が薄くなるように蒸着される。また、濃度均一用分散容器5では、濃度均一用材料を基材2の成膜領域Sの略中央に放出することにより、基材2の膜厚方向X及び基材2の移動方向Yにおいて略均一濃度で蒸着されることになり、面内の濃度均一性を保つことができる。
 したがって、濃度勾配用材料として青色発光ドーパントを使用し、濃度均一用材料として赤色発光ドーパント及び緑色発光ドーパントを使用した場合、基材2の膜厚方向Xにおいて、陽極側端部に青色発光ドーパントを高濃度でドープすることができるため、発光層の陽極側端部で青色発光ドーパント濃度が高くなり、陽極側端部は正孔輸送性をさらに高めることができ、正孔を発光層の陽極側端部から発光層の中央部に輸送し易くなり、発光層の中央部で発光するので発光効率や寿命の向上につながる。また、赤色及び緑色発光ドーパントについては、青色発光ドーパントの濃度に比較し低濃度で、かつ面内の濃度を均一にすることができるので、面内の色度バラツキ(色ムラ)を抑制することができる。
 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下に実施例で使用する化合物の構造を示す。
 実施例1
 〔有機EL素子101の作製〕
 厚さ0.7mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を110nmの厚さで成膜しパターニングを行った後、このITOを成膜したガラス基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った後、このITO成膜ガラス基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
 市販の真空蒸着装置を用い、真空度1×10-4Paまで減圧した後、ITO成膜ガラス基板を移動させながら正孔輸送性の化合物HT-1を、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、20nmの正孔輸送層(HTL)を設けた。
 次いで、図1に示された本発明の真空蒸着装置を用い、基板の搬送速度を0.12m/minとし、化合物A-3(青色発光ドーパント)、化合物A-1(緑色発光ドーパント)、化合物A-2(赤色発光ドーパント)及び化合物H-1(ホスト化合物)からなる発光層を形成するために、化合物A-3が形成される発光層の膜厚に対し線形に35重量%から5重量%の濃度になるように場所による蒸着速度を変化させ、化合物A-1と化合物A-2は形成される発光層の膜厚に依存することなく各々0.2重量%の濃度になるように、蒸着速度0.0002nm/秒で、化合物H-1は64.6重量%から94.6重量%の濃度になるように場所により蒸着速度を変化させて、厚さ70nmになるよう共蒸着し発光層を形成した。
 その後、上記と同様の市販の真空蒸着装置を用い、電子輸送性の化合物ET-1を膜厚30nmに蒸着して電子輸送層を形成し、更にKF(フッ化カリウム)を厚さ2nmで形成した。更に、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 次いで、上記有機EL素子の非発光面をガラスカバーで覆い、図3、図4に示す構成からなる有機EL素子101を作製した。
 なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
[有機EL素子102の作製]
 上記で作製した有機EL素子101の作製において、厚さ0.7mmのガラス基板の代わりに、幅700mm、厚さ180μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)の両面に、アクリル系クリアハードコート層を塗布乾燥後、紫外線硬化させた基材フィルムに、大気圧プラズマCVDにより、酸化珪素からなる低密度層、中密度層、高密度層、中密度層からなるユニットを3ユニット積層して、総膜厚900nmの透明ガスバリア層を形成したPETフィルムを用い、図1に示された本発明の真空蒸着装置の代わりに、図2に示された本発明の真空蒸着装置を用いて作製した以外は、有機EL素子101の作製と同様にして有機EL素子102を作製した。
〔有機EL素子103の作製〕
 上記で作製した有機EL素子101の作製において、発光層の形成を市販の蒸着装置を用いて、有機EL素子101と同じ材料である青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント、赤色発光ドーパント及びホスト化合物を蒸着し形成した以外は同様にして、有機EL素子103を作製した。
 《有機EL素子の評価》
 〔TOF-SIMSによる濃度評価〕
TOF-SIMSによる濃度測定は、Physical Electronics社製の飛行時間型2次イオン質量分析計TRIFT2を用い、1次イオンとして加速電圧25kVのInイオン(ビーム電流は2nA)を用いて、有機EL素子101、102及び103の発光層の陽極側界面から陰極側界面までの各材料の濃度を測定した。
 有機EL素子101及び102の青色発光ドーパント、緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントの濃度は、設計通りの値であり、青色発光ドーパントは陽極側端部から陰極側端部に掛けて25重量%から2重量%の濃度勾配があり、かつ、緑色及び赤色発光ドーパントは、膜厚に対し各々0.02重量%であり、低濃度の均一化が達成できた。
 一方、有機EL素子103の発光層は、有機EL素子101のような各材料に濃度勾配はみられなかった。
 〔輝度ムラ・色度ムラの評価〕
 作製した有機EL素子101、102及び103を25A/m2の一定電流値で駆動し、発光面を正面から目視観察し、輝度ムラ及び色度ムラの観察を行った。
 有機EL素子101及び102は、面内輝度ムラ及び面内色度ムラは観察されず、良好な結果だった。一方、有機EL素子103では、面内輝度ムラ及び面内色度ムラが有機EL素子101に比べ観察された。
 〔色度変動幅の評価〕
 色度変動幅の評価は、正面輝度300cd/m2~1500cd/m2におけるCIE1931色度座標における、x、y値の変動最大距離ΔE(下式)で行った。
 ΔE=(Δx2+Δy2)1/2
 有機EL素子101及び102の変動最大距離ΔEは0.01未満であり、良好な結果だった。一方、有機EL素子103の変動大距離ΔEは0.01以上であった。
1 成膜室
2 基材(被蒸着部材)
4 濃度勾配用分散容器(第1の分散容器)
5 濃度均一用分散容器(第2の分散容器)
6 ホスト用分散容器
43,53,63 放出口
41 濃度勾配用蒸発セル(第1の蒸発セル)
51 濃度均一用蒸発セル(第2の蒸発セル)
61 ホスト用蒸発セル
81 遮蔽部材
100 真空蒸着装置
101 有機EL素子
102 ガラスカバー
103 ガラス基板
104 接着剤層
105 陰極
106 有機機能層
107 透明電極(陽極)
108 窒素ガス
109 捕水剤
X 膜厚方向
Y 移動方向
H 放出領域
S 成膜領域

Claims (5)

  1.  膜厚方向に濃度勾配を生じるように蒸着される第1の蒸着材料と膜厚方向に均一な濃度で蒸着される前記第1の蒸着材料とは異なる第2の蒸着材料とを少なくとも含む複数の蒸着材料を、被蒸着部材の同一面上に蒸着して成膜する真空蒸着装置であって、
     前記被蒸着部材を移動させる移動装置と、
     前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を放出する第1の分散容器と、
     前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を放出する第2の分散容器と、を備え、
     前記第1の分散容器には、前記第1の蒸着材料の放出領域の一部を遮蔽する遮蔽部材が設けられ、
     前記第1の分散容器では、前記遮蔽部材によって前記第1の蒸着材料の放出領域の一部が遮蔽されることにより、前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を膜厚方向に濃度勾配が生じるように放出し、
     前記第2の分散容器では、前記第2の蒸着材料を前記被蒸着部材の成膜領域の略中央に放出することにより、前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を膜厚方向に均一な濃度になるように放出することを特徴とする真空蒸着装置。
  2.  前記第2の分散容器と前記被蒸着部材に対する対向面との間の距離が、前記第1の分散容器と前記被蒸着部材に対する対向面との間の距離よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着装置。
  3.  膜厚方向に濃度勾配を生じるように蒸着される第1の蒸着材料と膜厚方向に均一な濃度で蒸着される前記第1の蒸着材料とは異なる第2の蒸着材料とを少なくとも含む複数の蒸着材料を、被蒸着部材の同一面上に蒸着して成膜する真空蒸着方法であって、
     前記被蒸着部材を移動させつつ、
     前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を放出する際に、前記第1の蒸着材料の放出領域の一部を遮蔽することによって前記被蒸着部材に向けて前記第1の蒸着材料を膜厚方向に濃度勾配が生じるように放出し、
     前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を放出する際に、前記被蒸着部材の成膜領域の略中央に前記第2の蒸着材料を放出することにより、前記被蒸着部材に向けて前記第2の蒸着材料を膜厚方向に均一な濃度になるように放出することを特徴とする真空蒸着方法。
  4.  基板上に、陽極と、陰極と、前記陽極及び前記陰極の間に少なくとも1層の発光層を含む有機機能層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
     前記有機機能層の少なくとも1層を請求項1または2に記載の真空蒸着装置又は請求項3に記載の真空蒸着方法により形成したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5.  前記有機機能層の少なくとも1層が発光層であることを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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