JP6182838B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP6182838B2
JP6182838B2 JP2012187320A JP2012187320A JP6182838B2 JP 6182838 B2 JP6182838 B2 JP 6182838B2 JP 2012187320 A JP2012187320 A JP 2012187320A JP 2012187320 A JP2012187320 A JP 2012187320A JP 6182838 B2 JP6182838 B2 JP 6182838B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light emitting
layer
organic
light
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012187320A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014044894A (ja
Inventor
雄史 小野
雄史 小野
中山 知是
知是 中山
隼 古川
隼 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2012187320A priority Critical patent/JP6182838B2/ja
Publication of JP2014044894A publication Critical patent/JP2014044894A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6182838B2 publication Critical patent/JP6182838B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K2101/00Properties of the organic materials covered by group H10K85/00
    • H10K2101/27Combination of fluorescent and phosphorescent emission

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が挙げられる。
無機EL素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要となる。
有機EL素子は、0.1μm程度の有機膜で構成されており、低電圧駆動が可能なため、次世代平面ディスプレイや照明として期待されている。
ところで、有機EL素子において、混合色を得る方法としては、異なる発光色を積層する方法、異なる発光色のユニットを直列接続したマルチユニット構造とする方法、独立したピクセル状に発光色の異なる素子を並列する方法が知られている。
異なる発光色を積層する場合、製造が容易である利点がある一方、キャリアバランスにより再結合位置が移動し、駆動電圧変化に対する色変動や製造バラツキが大きくなる等のデメリットがある。
また、発光効率の観点からは、高い発光効率を有するリン光材料を使用することが望ましいが、青色リン光材料の寿命が短いため、混合色の寿命も実用レベルに達していない。
そこで、発光効率と長寿命とを両立するため、青色材料には蛍光材料を用い、緑色・赤色材料にはリン光材料を用いることが考えられるが、青色蛍光発光層と緑色・赤色リン光発光層とを積層した場合には、リン光ドーパントより蛍光材料の三重項エネルギーが低いことによる消光が生じる。
異なる発光色をマルチユニット構造とする場合、高輝度化、長寿命化に優れる利点がある一方、層数が増えることによる製造上のデメリットがある。また、各ユニットに供給される電荷量は同一なため、発光色の調整が困難である。
発光色の異なる独立したピクセルを並列する場合(たとえば、特許文献1参照)、発光色の調整が容易というメリットがある一方、ピクセルごとに製膜するため製造が複雑になるデメリットがある。また、照明等の光源の場合には、光取出しフィルム等の光の散乱・反射を繰り返して光を取り出す手段が有用であるが、独立したピクセルの場合、面内方向に有機層、反射電極が連続ではないため、光を反射し再利用する光取り出し機能が劣り発光効率が低くなってしまう。
一方で、色調整を行う有機EL素子として、陽極と陰極との間に、複数の発光層を有し、該発光層間に輸送層が配置された有機EL素子についての技術が開示されている(特許文献2参照)。当該特許文献では、発光させる層を適宜変更して色調整を行っている。
特開2002−164170号公報 特開2006−005012号公報
したがって、本発明の主な目的は、発光効率に優れ、駆動電圧や製造バラツキによる色変動を抑制しつつ、製造プロセスが簡便で、かつ、発光色の調整が容易な有機EL素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
一組の陽極と陰極との間に、複数の発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記複数の発光層が、面内方向において、すべて隣接した状態で区画されて設けられ、
前記一組の陽極と陰極との間に電圧を印加することで駆動される素子であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
本発明によれば、発光効率に優れ、駆動電圧や製造バラツキによる色変動を抑制しつつ、製造プロセスが簡便で、かつ、発光色の調整が容易な有機EL素子を提供することができる。
有機EL素子の概略構成の一例を示す断面図である。 発光層の概略構成の一例を示す平面図である。 発光層の概略構成の一例を示す平面図である。 発光層の概略構成の一例を示す平面図である。 有機EL素子の概略構成の一例を示す断面図である。 比較例にかかる有機EL素子の概略構成の一例を示す断面図である。 比較例にかかる有機EL素子の概略構成の一例を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[第1の実施形態]
《有機EL素子の層構成》
図1に示すとおり、有機EL素子1は、支持基板2上に、陽極4、有機化合物層6、陰極8が順次積層され、構成されている。支持基板2の陽極4側とは反対側には、光取出しフィルム10が形成されている。
有機化合物層6は、正孔注入層12、正孔輸送層14、発光層16,18、電子輸送層20、電子注入層22から構成されているが、特にこれに限定されるものではない。また、必要に応じて、正孔阻止層や電子阻止層等を設けることもできる。
発光層16,18は、正孔輸送層12上の同一平面上に隣接した状態で形成され、より詳しくは、左右方向Aに沿って、連続して交互に並列配置されている。
発光層16と発光層18とは、互いに異なる発光色を呈している。たとえば、発光層16に青色、発光層18に緑色・赤色を発光させる。それらの発光を光取出しフィルム10で散乱させ、白色発光させることが可能となる。
図2に示すとおり、発光層16,18はストライプ状(線状)に形成され、交互に連続して、並列配置されている。
発光層16,18の左右方向Aの幅(面積比)は、適宜変更可能となっており、たとえば、発光層16の幅を大きくした場合には、発光層18の幅を小さくし、反対に、発光層16の幅を小さくした場合には、発光層18の幅を大きくする。
また、発光層16,18の他の形状として、発光層16を窓状(矩形状)に複数形成し、その発光層16を囲むように発光層18を形成してもよい。詳しくは、図3に示すように、点状の発光層16を左右方向Aおよび前後方向Bに沿って、整列配置させてもよい。
この場合、発光層16の形状は、特に窓状には限定されず、その他の形状(円状等)としてもよい。
発光層16と発光層18との面積比は、適宜変更可能となっている。
また、発光層16,18を市松状に形成してもよい。詳しくは、図4に示すように、発光層16,18を、左右方向Aおよび前後方向Bに沿って、互い違いとなるように整列配置してもよい。
《有機化合物層の層構成》
次に、本発明の有機化合物層6の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)(陽極)/発光層/電子輸送層/(陰極)
(ii)(陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(陰極)
(iii)(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/(陰極)
(iv)(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/(陰極)
(v)(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/(陰極)
《発光層(リン光発光層、蛍光発光層)》
本発明にかかる発光層16,18は、電極4,8または電子輸送層20、正孔輸送層14から注入されてくる電子および正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層16,18の層内であっても発光層16,18と隣接層との界面であってもよい。本発明にかかる発光層16,18は、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成には特に制限はない。
発光層16,18の膜厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、5〜200nmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは10〜150nmの範囲に調整される。
発光層16,18を形成する方法としては、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、たとえば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
ところで、発光層を含む有機化合物層の製造方法としては、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法等)がある。
ウェットプロセスは、真空プロセスを必要とせず連続生産が簡便であるという理由で、近年注目を集める製造方法となっている。ウェットプロセスは、塗布液調液時の材料混合比を調製することにより、所望の組成の発光層を形成することができることから、混合比が大きく異なる組成の発光層を形成する場合において優位である。
発光層16,18を構成する層は、本発明で規定する要件を満たす構成を有していれば何層でもよく、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
各発光層16,18に含有されるリン光発光性または蛍光発光性発光ドーパントは、発光層16,18内においてその膜厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよいが、濃度分布を有していてもよい。
蛍光発光層は、好ましくは青色の蛍光発光ドーパントを含む青色蛍光発光層である。
当該青色蛍光発光層の青領域の発光とは、その発光極大波長が430〜480nmにあるものをいう。
リン光発光層は、好ましくは緑色および赤色のリン光発光ドーパントを含むリン光発光層で構成されるが、緑色と赤色との発光層を個別に設けた2層構成としてもよい。
(1)ホスト化合物
次に、発光層16,18に含まれるホスト化合物(発光ホスト化合物ともいう)について説明する。
本発明にかかる有機EL素子1のリン光発光層に含まれるリン光ホスト化合物とは、室温(25℃)におけるリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であることが好ましく、さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層16,18に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20質量%以上であることが好ましい。
リン光ホスト化合物としては、ホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。
本発明に用いられるリン光ホスト化合物としては、構造的には特に制限はないが、代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族ボラン誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するものやカルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
また、本発明に用いるリン光ホスト化合物は、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(蒸着重合性発光ホスト)でもよい。
リン光ホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
従来公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が好適である。たとえば、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−008860号公報、同2002−334787号公報、同2002−015871号公報、同2002−334788号公報、同2002−043056号公報、同2002−334789号公報、同2002−075645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−003165号公報、同2002−234888号公報、同2003−027048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等が挙げられる。
本発明においては、複数の発光層を有する場合には、ホスト化合物は発光層ごとに異なっていてもよいが、同一の化合物であることが優れた駆動寿命特性が得られることから好ましい。
また、リン光ホスト化合物は、その最低励起3重項エネルギー(T1)が、2.2eVより大きいことがより高い発光効率を得られることから好ましい。
本発明でいう最低励起3重項エネルギーとは、ホスト化合物を溶媒に溶解し、液体窒素温度において観測したリン光発光スペクトルの最低振動バンド間遷移に対応する発光バンドのピークエネルギーを言う。
本発明においては、ガラス転移点が90℃以上の化合物が好ましく、さらには130℃以上の化合物が優れた駆動寿命特性を得られることから好ましい。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
本発明の有機EL素子1においては、ホスト材料はキャリアの輸送を担うため、キャリア輸送能を有する材料が好ましい。キャリア輸送能を表す物性としてキャリア移動度が用いられるが、有機材料のキャリア移動度は、一般的に電界強度に依存性が見られる。電界強度依存性の高い材料は、正孔と電子注入・輸送バランスを崩しやすい為、中間層材料、ホスト材料は、移動度の電界強度依存性の少ない材料を用いることが好ましい。
なお、上記リン光ホスト化合物は、蛍光発光ドーパントに対するホスト化合物としても適宜用いることができる。
(2)発光ドーパント
次いで、本発明にかかる発光ドーパントについて説明する。
(2.1)蛍光発光ドーパント(蛍光性ドーパント、蛍光発光体)
本発明にかかる発光性材料として用いられる蛍光発光ドーパントとしては、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、または希土類錯体系蛍光体等が挙げられる。
また、従来公知のドーパントも本発明に用いることができ、たとえば、国際公開第00/70655号パンフレット、特開2002−280178号公報、同2001−181616号公報、同2002−280179号公報、同2001−181617号公報、同2002−280180号公報、同2001−247859号公報、同2002−299060号公報、同2001−313178号公報、同2002−302671号公報、同2001−345183号公報、同2002−324679号公報、国際公開第02/15645号パンフレット、特開2002−332291号公報、同2002−50484号公報、同2002−332292号公報、同2002−83684号公報、特表2002−540572号公報、特開2002−117978号公報、同2002−338588号公報、同2002−170684号公報、同2002−352960号公報、国際公開第01/93642号パンフレット、特開2002−50483号公報、同2002−100476号公報、同2002−173674号公報、同2002−359082号公報、同2002−175884号公報、同2002−363552号公報、同2002−184582号公報、同2003−7469号公報、特表2002−525808号公報、特開2003−7471号公報、特表2002−525833号公報、特開2003−31366号公報、同2002−226495号公報、同2002−234894号公報、同2002−235076号公報、同2002−241751号公報、同2001−319779号公報、同2001−319780号公報、同2002−62824号公報、同2002−100474号公報、同2002−203679号公報、同2002−343572号公報、同2002−203678号公報等が挙げられる。
(2.2)リン光発光ドーパント
本発明にかかるリン光発光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、たとえば、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明にかかるリン光発光体は、任意の溶媒のいずれかにおいても、上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光ドーパントの発光の原理としては、下記の2タイプが挙げられる。
一つのタイプは、キャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリア(電子、正孔)が結合し、ホスト化合物の励起状態が生成し、この励起エネルギーをリン光発光ドーパントに移動させることでリン光発光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。
もう一つのタイプは、リン光発光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光ドーパント上でキャリアの再結合が生じ、リン光発光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。
いずれの場合においても、リン光発光ドーパントの励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが高い発光効率を得る上で好ましい。
リン光発光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
本発明にかかるリン光発光ドーパントとしては、好ましくは元素の周期表で8族〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
《注入層:正孔注入層、電子注入層》
注入層は必要に応じて設けることができ、陽極4と発光層16,18または正孔輸送層14との間、および陰極8と電子輸送層20との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機化合物層間に設ける層のことで、たとえば、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)にその詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
正孔注入層12としては、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。また、特表2003−519432号公報に記載される材料を使用することも好ましい。
電子注入層22としては、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。
注入層はごく薄い膜であることが望ましく、使用する素材にもよるが、その膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
《正孔輸送層》
正孔輸送層14とは、正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。
正孔輸送層14は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。たとえば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、または、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、さらには、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物およびスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、たとえば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)、特表2003−519432号公報に記載されているような、いわゆるp型半導体的性質を有するとされる正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることから、これらの材料を用いることが好ましい。
正孔輸送層14は上記正孔輸送材料を、たとえば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
正孔輸送層14の膜厚については、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層14は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
《電子輸送層》
電子輸送層20とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層も電子輸送層に含まれる。
電子輸送層20は単層または複数層設けることができる。
電子輸送材料としては、陰極8より注入された電子を発光層16,18に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。たとえば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタンおよびアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、たとえば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、およびこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、ジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層12、正孔輸送層14と同様に、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層20は上記電子輸送材料を、たとえば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
電子輸送層20の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。
電子輸送層20は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)などに記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn型半導体的性質を有するとされる電子輸送材料を用いることも、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。たとえば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、および「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
本発明の有機EL素子1に設ける正孔阻止層は、発光層16,18に隣接して設けられていることが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、正孔輸送層14の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。
本発明にかかる正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
《陽極》
陽極4としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。
このような電極物質の具体例としてはAu等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極4はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により、薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。
この陽極4より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極4としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nm、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極8としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、たとえば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウムおよび銀等が好適である。
陰極8はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極8としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子1の陽極4または陰極8のいずれか一方が、透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極8に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極4の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極4と陰極8との両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の支持基板2としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。支持基板2側から光を取り出す場合には、支持基板2は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板2としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板2は、有機EL素子1にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリル或いはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)或いはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度が、0.01g/(m・24h・atm)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1992に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3g/(m・24h)以下、水蒸気透過度が、10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/(m・24h)以下であることが、さらに好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素など素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、たとえば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素などを用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については、特に限定はなく、たとえば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法などを用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものも好ましい。
不透明な支持基板2としては、たとえば、アルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子1の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極からなる有機EL素子1の作製法について説明する。
まず、適当な支持基板2上に所望の電極物質、たとえば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陽極4を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層12、正孔輸送層14、発光層16,18、正孔阻止層、電子輸送層20の有機化合物薄膜からなる有機化合物層6を形成する。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スロット型コータ法が特に好ましい。
さらに、層毎に異なる製膜法を適用してもよい。
製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度10−6〜10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
発光層16,18の形成方法としては、薄膜形成は前述の既知の方法を用いて形成すればよい。パターニング方法としては、たとえば、蒸着法ならばシャドーマスクを用いた方法、転写法等、ウェットプロセスならば、印刷パターンによるパターニング等で作製することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、たとえば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極8を設けることにより所望の有機EL素子1が得られる。
この有機EL素子1の作製は、一回の真空引きで一貫して正孔注入層12から陰極8まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
その後、有機EL素子1を封止・保護してもよい。
たとえば、陽極4および陰極8の一部または全部を露出させた状態で有機EL素子1を熱硬化性樹脂で被覆してこれを加熱硬化させ、有機EL素子1を封止する。
その後、有機EL素子1の封止体と、そこから露出した有機EL素子1の陽極4および陰極8の一部または全部とを、保護部材で被覆し、保護部材の重複部分を所定温度で加熱圧着する。2枚の保護部材を重ね合わせて有機EL素子1の封止体等を被覆し、その側縁部同士を加熱圧着してもよいし、1枚の保護部材を折り畳んで有機EL素子1の封止体等を被覆し、その側縁部(特に開放端)同士を加熱圧着してもよい。
以上の処理により、有機EL素子1を封止・保護した有機ELモジュールが製造される。
《光取り出し》
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、たとえば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(たとえば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(たとえば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(たとえば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(たとえば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(たとえば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)などが挙げられる。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子1と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明は、これらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど、外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、たとえば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましく、1.35以下であることがより好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは、媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは、低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面または、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち、層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは、発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。
しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては、いずれかの層間、もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
本発明の有機EL素子1は、支持基板2の光取出し側に、たとえばマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは、後述する集光シートと組み合わせたりすることにより、特定方向、たとえば素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、たとえば液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとしてたとえば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)などを用いることができる。プリズムシートの形状としては、たとえば基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、本発明にかかる光取出しフィルム10は、光放射角を制御するためだけでなく、面方向の領域で、異なる発光色を散乱させて白色発光を得る。光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。たとえば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)などを用いることができる。
以上の本実施形態によれば、発光層16と発光層18との面積比は、その製造工程において、マスクの開口率を変化させるだけで制御可能であるから、発光ドーパントのドープ量や膜厚等を変更することなく、容易に色調整を行うことができる。
さらに、従来の有機EL素子では、発光ドーパントのドープ量や膜厚等を変更して色調整を行い、これが素子性能を低下させる原因となっていたが、本発明の有機EL素子1では、発光ドーパントのドープ量や膜厚等の変化を伴うことなく色調整が可能であるから、素子性能を保持しつつ、色調整が可能となる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、主に下記の点で、第1の実施形態と異なっている。
図5に示すとおり、発光層18は間隔をあけて形成されている。発光層24は、発光層18を被覆するように形成されており、上記間隔は発光層24で充填された状態となっている。
すなわち、発光層18の面内方向においては、発光層18と発光層24とが隣接した状態で形成されており、より詳しくは、左右方向Aに沿って、連続して交互に並列配置された状態となっている。
発光層18上に積層されている発光層24の一部領域は、電子輸送層として機能している。すなわち、発光層18と発光層24との積層領域における発光色は、発光層18の発光色となる。
なお、発光層24には、発光層16,18と同様の材料、製造方法を用いることができる。
発光層18,24を形成する方法としては、たとえば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができるが、発光層24の形成にはパターニングを必要とせず、発光層18を被覆するように形成できればよいから、発光層18を塗布法により形成することもできる。この場合には、より有機EL素子1の製造が簡便となる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《サンプルの作製》
(1)有機EL素子のサンプル101の作製
陽極として、厚さ0.7mmのガラス基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を150nmの厚さで製膜し、パターニングを行った後、このITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、130℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
正孔注入層を設けた後、この透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量、充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物1を厚さ40nmになるよう蒸着し、正孔輸送層を形成した。
Figure 0006182838
次いで、化合物2が95体積%、化合物3が5体積%となるように蒸着し、青色発光を呈する厚さ10nmの蛍光発光層を形成した。
Figure 0006182838
Figure 0006182838
次いで、化合物4が79体積%、化合物5が20体積%、化合物6が1体積%となるように蒸着し、橙色発光を呈する厚さ15nmのリン光発光層を形成した。
Figure 0006182838
Figure 0006182838
Figure 0006182838
次いで、化合物4を厚さ10nmとなるように蒸着して、正孔阻止層を形成した。
次いで、ET−100を厚さ30nmとなるように蒸着して、電子輸送層を形成した。
Figure 0006182838
次いで、KFを厚さ2nmとなるように蒸着して、電子注入層を形成した。さらに、アルミニウムを厚さ150nmとなるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子(図6参照)を作製した。
図6に示すとおり、有機EL素子101は、支持基板2上に、陽極4、有機化合物層26、陰極8が順次積層され、構成されている。
有機化合物層26は、正孔注入層12、正孔輸送層14、蛍光発光層28、リン光発光層30、正孔阻止層32、電子輸送層20、電子注入層22から構成され、これら各層は平面視において重複した状態で形成されている。
次いで、上記素子の非発光面をガラスケースで覆い、ガラスケースと有機EL素子が作製されたガラス基板とが接触するガラスケース側の周囲に、シール剤としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラクストラックLC0629B)を適用し、これを陰極側に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラスケース側からUV光を照射して硬化させ、封止した。
なお、ガラスケースでの封止作業は、有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
次いで、ガラス基板の陽極とは反対側の発光領域に、マイクロレンズシートを貼合し、有機EL素子のサンプル101を作製した。
なお発光する領域は6cm×6cmとなるようにした。
(2)有機EL素子のサンプル102の作製
サンプル101の作製において、蛍光発光層の膜厚を15nm、リン光発光層の膜厚を10nmに変更した以外は同様にして、有機EL素子のサンプル102を作製した。
(3)有機EL素子のサンプル103の作製
サンプル101の作製において、蛍光発光層の膜厚を20nm、リン光発光層の膜厚を5nmに変更した以外は同様にして、有機EL素子のサンプル103を作製した。
(4)有機EL素子104の作製
サンプル101と同様にして正孔輸送層まで形成した後、ストライプ状にパターニングされたシャドーマスクを蒸着元と基板ホルダーの間に配置した。
次いで化合物2が95体積%、化合物3が5体積%となるように蒸着し、青色発光を呈する厚さ30nmの蛍光発光層を形成した。
次いで、サンプル101と同じ材料を用いて、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、陰極を形成し、ストライプ状に青色発光するピクセルを作製した。
次いで、青色発光するピクセルとは異なる領域にストライプ状にパターニングされたシャドーマスクを蒸着元と基板ホルダーの間に配置した。
次いで、化合物4が79体積%、化合物5が20体積%、化合物6が1体積%となるように蒸着し、橙色発光を呈する厚さ30nmのリン光発光層を形成した。
次いで、サンプル101と同じ材料を用いて、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、陰極を形成し、ストライプ状に橙色発光を呈するピクセルを作製し、その結果、青色発光するピクセルと橙色発光するピクセルとが間隔をあけて並列配置された有機EL素子が得られた(図7参照)。
図7に示すとおり、有機EL素子104は、支持基板2上に、陽極4、有機化合物層34、陰極8が順次積層され、構成されている。
詳しくは、支持基板2上に、陽極4、正孔注入層12、正孔輸送層14が順次積層され、その上に、蛍光発光層36とリン光発光層38とが発光層が形成されていない非発光領域を挟んで、交互に並列配置され形成されている。蛍光発光層36、リン光発光層38上には、それぞれ正孔阻止層32、電子輸送層20、電子注入層22、陰極8が積層されている。
次いで、サンプル101と同様にして封止作業を行い、マイクロレンズシートを貼合し、青色発光するピクセルと橙色発光ピクセルとが非発光領域を挟んで、交互に並列配置された有機EL素子のサンプル104を作製した。
なお、青色蛍光発光面積、橙色リン発光面積、非発光面積の比率は表1に記載のとおりである。
(5)有機EL素子のサンプル105,106の作製
サンプル104の作製において、青色蛍光発光面積、橙色リン発光面積、非発光面積の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、有機EL素子のサンプル105,106を作製した。
(6)有機EL素子のサンプル107の作製
サンプル101と同様にして正孔輸送層まで形成した後、ストライプ状にパターニングされたシャドーマスクを蒸着元と基板ホルダーの間に配置した。
次いで、化合物2が95体積%、化合物3が5体積%となるように蒸着し、青色発光を呈する厚さ30nmの蛍光発光層を形成した。
次いで、上記シャドーマスクを、蛍光発光層を蒸着した領域以外がパターニングされたシャドーマスクと交換し、化合物4が79体積%、化合物5が20体積%、化合物6が1体積%となるように蒸着し、橙色発光を呈する厚さ30nmのリン光発光層を形成した。
次いで、シャドーマスクを取り外し、サンプル101同様に正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、陰極を形成し、有機EL素子を作製した(図1参照)。
次いで、サンプル101同様にして封止作業を行い、マイクロレンズシートを貼合し、青色発光する領域と橙色発光領域とが面内に連続的に並列配置された有機EL素子のサンプル107を作製した。
なお、青色蛍光発光面積、橙色リン発光面積、非発光面積の比率は表1に記載のとおりであり、非発光部のない全面発光である。
(7)有機EL素子のサンプル108,109の作製
サンプル107の作製において、青色蛍光発光面積、橙色リン発光面積、非発光面積の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、有機EL素子のサンプル108,109を作製した。
(8)有機EL素子のサンプル110の作製
サンプル101と同様にして正孔輸送層まで形成した後、ストライプ状にパターニングされたシャドーマスクを蒸着元と基板ホルダーの間に配置した。
次いで、化合物4が79体積%、化合物5が20体積%、化合物6が1体積%となるように蒸着し、橙色発光を呈する厚さ30nmのリン光発光層を形成した。
次いで、シャドーマスクを取り外し、化合物2が95体積%、化合物3が5体積%となるように蒸着し、青色発光を呈する厚さ40nmの蛍光発光層を形成した。
次いで、サンプル101同様に正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、陰極を形成し、有機EL素子を作製した(図5参照)。
次いで、サンプル101と同様にして封止作業を行い、マイクロレンズシートを貼合し、ストライプ状の橙色リン光発光層が青色蛍光発光層に被覆された有機EL素子のサンプル110を作製した。
なお、リン光発光層上の蛍光発光層は電子輸送層として機能し、リン光発光層と蛍光発光層の積層領域は橙色発光をする。
また、青色蛍光発光面積、橙色リン発光面積、非発光面積の比率は表1に記載のとおりであり、非発光部のない全面発光である。
(9)有機EL素子のサンプル111,112の作製
サンプル110の作製において、青色蛍光発光面積、橙色リン発光面積、非発光面積の比率を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、有機EL素子のサンプル111,112を作製した。
《サンプルの評価》
有機EL素子101〜112に対し、下記の各評価を行った。
(1)電力効率の測定
積分球にサンプルを配置し、照度アダプタを取り付けた分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、電流密度が10mA/cmとなる時の、各有機EL素子の全光束、色度、相関色温度および電圧を測定し、電力効率を求めた。
なお、電力効率はサンプル101の電力効率を100とする相対値で表した。
評価結果を表1に示す。
(2)相関色温度の測定
相関色温度は、各サンプルの発光スペクトルを測定し、得られたスペクトルをCIE1931表色系で定められた原刺激[X],[Y],[Z]から三刺激値X,Y,Zを用いて色度座標u,vに変換を行う。得られた色度座標u,vをCIE1960uv色度図上に示された黒体軌跡および等色温度線と照らし合わせることで色温度を決定することができる。
なお、各サンプルの相関色温度は、得られた値の100の位を四捨五入した値で表した。
評価結果を表1に示す。
(3)駆動条件変化における色度安定性の評価
各サンプルの駆動条件を変化させ、上記同様に全光束、色度、相関色温度及び電圧を測定した。駆動条件変化における色度安定性の評価は、全光束が3〜30lmの範囲において、3lm毎に測定された10個の測定データ間でCIE1931、x、y値の色度変動距離ΔEを下記式で求め、色度変動距離ΔEが最大となる値を、下記基準で評価した。
評価結果を表1に示す。
ΔE=(Δx+Δy1/2
○:ΔEが0.02未満
△:ΔEが0.02以上0.04未満
×:ΔEが0.04以上
(4)連続駆動寿命の測定
上記方法にて測定した全光束30lmを与える駆動電流にて、室温において連続駆動を行い、全光束が15%減少するまでの時間を連続駆動寿命として求めた。
評価結果を表1に示す。
なお、連続駆動寿命はサンプル101の連続駆動寿命を100とする相対値で表した。
Figure 0006182838
表1からわかるように、本発明のサンプル107〜109は、比較例のサンプル101〜106と比較して、相関色温度が同一の場合、電力効率、駆動条件変化における色度安定性、連続駆動寿命の全てにおいて、優れていることが分かる。
以上から、複数の発光層を面内方向において、隣接した状態で区画して設けることが有用であることがわかる。
《有機EL素子のサンプル201の作製》
サンプル101と同様にして正孔注入層まで形成した後、窒素雰囲気下、JIS B9920に準拠し、測定した清浄度がクラス100で、露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmのグローブボックスへ移した。グローブボックス中にて、下記組成の正孔輸送層組成物を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、膜厚30nmの正孔輸送層とした。
(正孔輸送層組成物)
正孔輸送材料用高分子化合物(60)(重量平均分子量Mw=80000)
50mg
クロロベンゼン 10g
Figure 0006182838
次いで、下記組成の発光層用塗布液をインクジェット法にてストライプ状に発光面積の20%となるように塗布製膜した後、120℃にて30分乾燥し、膜厚30nmのリン光発光層を設けた。
(発光層形成用塗布液の調製)
化合物4 1.0g
化合物5 150mg
化合物6 2mg
トルエン 100g
リン光発光層を設けた後、この支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量、充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物2が95体積%、化合物3が5体積%となるように蒸着し、厚さ40nmの蛍光発光層を形成した。
なお、青色蛍光発光面積、橙色リン発光面積、非発光面積の比率は、サンプル110と同一とした。
次いで、サンプル101同様に正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層、陰極を形成し、有機EL素子を作製した。
次いで、サンプル101と同様にして封止作業を行い、マイクロレンズシートを貼合し、ストライプ状の橙色リン光発光層が青色蛍光発光層に被覆された有機EL素子のサンプル201を作製した。
なお、リン光発光層上の蛍光発光層は電子輸送層として機能し、リン光発光層と蛍光発光層の積層領域は橙色発光をする。
《有機EL素子サンプル201の評価》
有機EL素子201に対し、実施例1と同様にして、各評価を行った。
評価結果を表2に示す。
なお、電力効率、連続駆動寿命はサンプル101の値を100とする相対値で表した。
Figure 0006182838
表2に示すとおり、リン光発光層の製造方法を蒸着法からウェットプロセスに変更した場合であっても、実施例1と同様の効果を得られることがわかる。
1 有機EL素子
2 支持基板
4 陽極
6 有機化合物層
8 陰極
10 光取出しフィルム
12 正孔注入層
14 正孔輸送層
16,18,24 発光層
20 電子輸送層
22 電子注入層
26,34 有機化合物層
28,36 蛍光発光層
30,38 リン光発光層
32 正孔阻止層
101,104 有機EL素子
A 左右方向
B 前後方向

Claims (4)

  1. 一組の陽極と陰極との間に、複数の発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記複数の発光層が、面内方向において、すべて隣接した状態で区画されて設けられ、
    前記一組の陽極と陰極との間に電圧を印加することで駆動される素子であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記複数の発光層が、少なくとも青色蛍光発光層と橙色リン光発光層とを有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    前記複数の発光層のうち、少なくとも1層が塗布法により形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    区画して設けられた前記発光層が、塗布法により形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
JP2012187320A 2012-08-28 2012-08-28 有機エレクトロルミネッセンス素子 Active JP6182838B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012187320A JP6182838B2 (ja) 2012-08-28 2012-08-28 有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012187320A JP6182838B2 (ja) 2012-08-28 2012-08-28 有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014044894A JP2014044894A (ja) 2014-03-13
JP6182838B2 true JP6182838B2 (ja) 2017-08-23

Family

ID=50396023

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012187320A Active JP6182838B2 (ja) 2012-08-28 2012-08-28 有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6182838B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018174162A (ja) * 2015-09-03 2018-11-08 株式会社カネカ 有機el発光装置

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002260858A (ja) * 2001-02-28 2002-09-13 Matsushita Electric Ind Co Ltd 発光素子及びその製造方法
JP4816851B2 (ja) * 2001-07-26 2011-11-16 凸版印刷株式会社 El素子及び表示媒体
JP2003257653A (ja) * 2001-08-13 2003-09-12 Victor Co Of Japan Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2003123971A (ja) * 2001-10-11 2003-04-25 Sony Corp 有機電界発光素子およびその製造方法
US7275972B2 (en) * 2003-08-22 2007-10-02 3M Innovative Properties Company Method of making an electroluminescent device having a patterned emitter layer and non-patterned emitter layer
KR100712098B1 (ko) * 2004-01-13 2007-05-02 삼성에스디아이 주식회사 백색 발광 유기전계발광소자 및 그를 구비하는유기전계발광표시장치
KR100712096B1 (ko) * 2004-02-19 2007-04-27 삼성에스디아이 주식회사 유기전계 발광표시장치의 제조방법
DE502005002342D1 (de) * 2005-03-15 2008-02-07 Novaled Ag Lichtemittierendes Bauelement
JP5061184B2 (ja) * 2006-06-05 2012-10-31 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 有機発光ダイオードの形成方法、およびその方法によって製造されたデバイス
US20100314644A1 (en) * 2009-06-12 2010-12-16 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Organic electroluminescent device

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014044894A (ja) 2014-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5098645B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示装置及び照明装置
JP5413459B2 (ja) 白色発光有機エレクトロルミネッセンス素子
JP4830374B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示装置及び照明装置
JP5742581B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置
JP2009135183A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP5180429B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2007027620A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示装置及び照明装置
JP5186757B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2007180277A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP6417821B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置
JP5664715B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2011132550A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
KR102307090B1 (ko) 유기 일렉트로루미네센스 소자용 재료, 유기 일렉트로루미네센스 소자, 표시 장치 및 조명 장치
WO2007119420A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光色度安定化方法、照明装置及び電子ディスプレイ装置
JP2007059118A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示装置及び照明装置
JP5879737B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP4978034B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JPWO2012172883A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP6182838B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2010177338A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法
JPWO2006092964A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び有機エレクトロルミネッセンス照明装置
JP2009152033A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2008305613A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
JP5895699B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2007221028A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160830

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170421

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20170428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170710

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6182838

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250