JP2018174162A - 有機el発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】不点灯及びダークスポット発生の原因となるリーク電流を抑制し、高い歩留まりで製造可能な有機EL発光装置を提供する。【解決手段】有機EL素子10が、透光性絶縁基板1側から、これと接する透光性金属酸化物電極層2、有機機能層3、及び反射性電極層6を含み、有機機能層が、透光性金属酸化物電極層側から、これと接する第1正孔輸送性層4、及び第1正孔輸送性層と接する第1発光層5を含み、有機EL素子に含まれる透光性金属酸化物電極層の側面の少なくとも一部が、有機機能層で覆われてなり、さらに、第1正孔輸送性層の平均厚みが、透光性金属酸化物電極層の平均厚みの0.5倍以上、1.5倍以下である、有機EL発光装置100。【選択図】図2

Description

本発明は、有機EL発光装置に関し、特に、リーク電流が抑制された高信頼性の有機EL発光装置に関する。
有機EL素子は電気エネルギーを光エネルギーに変える半導体素子である。近年、特に携帯電話やポータブルディスプレイの表示画面への適用を目指した有機EL素子の研究が盛んに行われている。また有機EL素子を構成する有機材料等の改良により、素子の駆動電圧が格段に下げられると共に、発光効率が高められていることに起因し、高輝度かつ高効率の有機EL素子を照明装置として実用化した有機EL発光装置の販売も開始されている。
照明用途に使用する場合には、高い輝度と効率が求められる。高い輝度を得るには投入電流を大きくする必要があり、即ち、発光面積当たりの電流密度を大きくすることとなる。このようにして高輝度は得られるものの、リーク電流が大きい素子で特に、素子全体が不点灯になったり、ダークスポットが増大したりして素子寿命は短命になり易く、その改善方法として例えば非特許文献1には、電荷発生層を含む積層型有機発光素子が報告されている。
また、特許文献1は、このようなリーク電流を抑制する方法として、点欠陥の発生が抑制された有機ELパネル及びその製造方法として、正孔輸送層の厚みを、150nmを超える値、好ましくは170nm以上とすることを開示しており、有機発光層の形成の際にダストが混入し、陰極の一部が正孔輸送層の表面に位置した場合においても、正孔輸送層が絶縁破壊することを防止でき、点欠陥の発生を抑制できるとしており、特にリーク電流については、正孔輸送層の厚みとリーク電流の関係を図5に示しており、正孔輸送層52の厚みを150nmを超えるよう(好ましくは、170nm以上)にすることで、有機EL素子における陽極、陰極間のリーク電流を少なくでき、絶縁破壊を防止できるとの結果を示している。
特開2003−338383号公報
Appl. Phys. Lett. Vol.80,p1667(2002)
特許文献1は、有機発光層の形成の際にダストが混入し、陰極の一部が正孔輸送層の表面に位置した場合においても、正孔輸送層が絶縁破壊することを防止でき、点欠陥の発生を抑制する技術を開示している。
しかし、特許文献1の方法は、ディスプレイ分野において、有機EL素子をマトリクス配置した有機ELパネルにおいて、マスクを使用せず全面に形成された正孔輸送層上に、マスクを使用して画素毎に離れて有機発光層を形成する場合に、正孔輸送層の表面にダストが混入する場合にのみ有効な技術であり、照明用の有機EL発光装置には適さない技術である。
即ち、照明用の有機EL発光装置では、ほぼ発光領域となるよう例えば矩形に、パターニングされた透光性金属酸化物電極層上に、この電極層を覆うように、高抵抗の有機機能層を同一のマスクを用いて連続して製膜し、その後、反射性電極層として金属電極層を形成することで、この高抵抗有機機能層を、透光性金属酸化物電極層と、反射性電極層との間に介在せしめ、即ち、後述する本発明に係る有機EL素子に含まれる透光性金属酸化物電極層の側面であって、有機機能層で覆われてなる側面が形成されるようにして、簡便かつ安価に、短絡やリーク電流の発生が抑止された素子形成をすることが一般的である。
従って、後述する本発明に係る有機EL素子に含まれる透光性金属酸化物電極層の側面であって、有機機能層で覆われてなる側面が存在するような照明用の有機EL発光装置には、特許文献1の方法は不適であり、前述した高抵抗有機機能層の介在によるリーク電流の発生抑止を、より効果的に発揮せしめることを可能とする技術、特に、透光性金属酸化物電極層の面の凹凸に対して有効な技術の開発が必要である。
このような課題に鑑み、本発明者らは鋭意検討し、正孔輸送性層の平均厚みを、透光性金属酸化物電極層の平均厚みの0.5倍以上、1.5倍以下となるようにすることで、リーク電流が抑制され、高電力効率で、かつ、安価な有機EL発光装置が提供できることを見出し、本発明を為すに至った。
即ち、本発明は、透光性絶縁基板上に形成された有機EL素子を含む有機EL発光装置であって、
該有機EL素子が、該透光性絶縁基板側から、これと接する透光性金属酸化物電極層、有機機能層、及び反射性電極層を含み、
該有機機能層が、該透光性金属酸化物電極層側から、これと接する第1正孔輸送性層、及び該第1正孔輸送性層と接する第1発光層を含み、
該有機EL素子に含まれる該透光性金属酸化物電極層の側面の少なくとも一部が、該有機機能層で覆われてなり、さらに、
該第1正孔輸送性層の平均厚みが、該透光性金属酸化物電極層の平均厚みの
0.5倍以上、1.5倍以下である、有機EL発光装置に関する。
このような本発明の有機EL発光装置は、透光性金属酸化物電極層と第1発光層との間の膜厚が所定の関係を満たすため、リーク電流発生の原因となる、素子面内での電荷の偏りや、透光性金属酸化物電極層上の突起と反射性電極層との間の発光に寄与しない予期しない導電パスが発生する可能性が低減できるので、リーク電流発生率が低減された高信頼性かつ高効率の有機EL素子を含み、かつ、高歩留まりにより安価な発光装置となる。また、発光層と透光性絶縁基板との間の光路長が最適化し易いので高輝度や高色温度とし易く、それにも関わらず、本発明に係る第1正孔輸送性層に起因する電圧上昇を抑制することが可能であるため、高電力効率とすることもできる。
また、前記正孔輸送性層の平均厚みが、60nm以上、180nm以下であることが好ましく、大面積でも均一に発光する有機EL発光装置となる。
また、前記正孔輸送性層が、前記透光性金属酸化物電極層と接し、電子受容性化合物を含み、かつ、その平均厚みを15nm以下である正孔注入層を含むことが好ましく、正孔注入における注入障壁を小さくすることにより駆動電圧を低減できる。
また、電力効率が20lm/W以上で白色発光する有機EL発光装置とすることが好ましく、前記有機機能層が、さらに、燐光発光性の第2発光層を含むことが好ましく、かつ、前記正孔輸送性層の平均厚みが、60nm以上、120nm以下であることが好ましく、当該燐光発光性の第2発光層からの光が光の干渉効果により増幅されることにより発光強度が強くなるので、高輝度の有機EL発光装置となる。
また、4000K以上の色温度で白色発光する有機EL発光装置とすることが好ましく、前記第1発光層が青色発光することが好ましく、前記有機機能層が、さらに、燐光発光性の第2発光層を含むことが好ましく、かつ、前記正孔輸送性層の平均厚みが、80nm以上、140nm以下であることが好ましく当該青色発光する第1発光層からの光が光の干渉効果により増幅されることにより発光強度が強くなるので、高色温度の有機EL発光装置となる。
また、4000K以上の色温度で、かつ、電力効率が20lm/W以上で、白色発光する有機EL発光装置とすることが好ましく、前記第1発光層が青色発光することが好ましく、前記有機機能層が、さらに、燐光発光性の第2発光層を含むことが好ましく、かつ、前記正孔輸送性層の平均厚みが、80nm以上、120nm以下であることが好ましく、前述の燐光発光性第2発光層及び青色発光第1発光層に係る光干渉効果が両方奏されることにより、高輝度かつ高色温度の有機EL発光装置となる。
また、前記正孔輸送性層は、正孔移動度が1.0×10−3cm/V・s以上である正孔輸送性材料を主成分とすることが好ましく、当該正孔輸送性層に起因する電圧上昇量を小さく抑えることが可能なので、電力効率が高い有機EL発光装置となる。
また、輝度1cd/mにおける駆動電圧を閾値電圧VthVとしたとき、マイナス(Vth−1.0)V以上、プラス(Vth−0.5)V以下の印加電圧における電流密度の絶対値が1.0×10−4mA/cm未満であることが好ましく高信頼性の有機EL発光装置となる。
本発明の有機EL発光装置は、リーク電流発生率が低減された高信頼性かつ高効率の有機EL素子を含み、かつ、高歩留まりにより安価な発光装置である。即ち、これに含まれる有機EL素子は、不点灯やダークスポットの発生原因となるリーク電流が抑制されている。
本発明の有機EL発光装置100の一実施形態の斜視図である。 本発明に係る有機EL素子10の一実施形態の断面模式図である。 実施例1の有機EL素子10の断面構成図である。 実施例1の有機EL素子10の形成手順、順に(a)、(b)、(c)を示す平面図であり、各層形成領域が判るように、上層により覆われた下層の形成領域も透かしてみえるようにしている。 実施例1の有機EL素子10の発光開始電圧前後の順バイアス、及び逆バイアス下における電流密度及び輝度の電圧依存性を示す図である。 実施例1及び比較例1の有機EL発光装置の発光スペクトルである。 実施例2及び実施例3の有機EL発光装置発1000の発光スペクトルである。
以下、本発明の実施態様について詳細に説明する。
(有機EL発光装置100)
以下、本発明の有機EL発光装置100について、図1を参照しつつ説明する。即ち、図1は、本発明の有機EL発光装置100の一実施形態の斜視図である。
本発明の有機EL発光装置は、発光面と裏面とを両主面とし、これに含まれる有機EL素子10の発光に基づき、その発光面側の発光領域20から発光、好ましくは白色発光する面状の広がりを有する部材、好ましくは板状部材であり、透光性絶縁基板1上に形成された有機EL素子10を含む。
本発明の有機EL発光装置は、特定の有機EL素子10を含むことに起因し、リーク電流が抑制された有機EL発光装置である。
本発明の有機EL発光装置は、輝度1cd/mにおける駆動電圧を閾値電圧VthVとしたときマイナス(Vth−1.0)V以上、プラス(Vth−0.5)V以下の電圧において電流密度の絶対値が1.0×10−4mA/cm未満であることが好ましい。
正常な有機EL素子の場合、有機EL自体がダイオード特性を持っているため、閾値電圧までは本来はほぼ絶縁体に近い特性を持つ。しかし、リーク電流が発生している素子では、電気が流れやすくなっている異常箇所があり、他の部分と比べて膜自体が劣化しやすい状態になっている。劣化が促進された場合、その部分には電流がながれにくくなり、発光しない領域が発生しダークスポットとなる。そのため、ダークスポットの発生しない有機EL発光装置を提供するためには、リーク電流を抑制した有機EL素子を用いる必要がある。
本発明の有機EL発光装置100は、前記有機EL素子10に対応してその発光面に前記発光領域20を有するが、水分の素子への浸入を防止することでダークスポットの発生を抑止する観点から、その裏面に平面視その発光領域20全面を覆う封止膜からなる封止領域70を備えることが好ましく、当該封止膜は、少なくとも、前記素子10に接する1μm以上、10μm以下の厚みの無機封止層、及びこれと接する粘着層を有することがより好ましく、さらに、その上に均熱フィルムや外装フィルムを備えることがさらに好ましい。
前記白色光は、そのスペクトルが、500nmから580nmの範囲に一の発光ピークを有し、かつ、590nmから650nmの範囲内に一の発光ピークを有することが好ましく、さらに好ましくは450nm以上、480nm以下に発光ピークを有することが好ましい。
本発明の有機EL発光装置100の発光色は、その色温度が2700K〜5000Kであることが好ましく、より好ましくは3000K以上であり、さらに好ましくは、その色温度が4000K以上である。
(透光性絶縁基板1)
図2は、本発明に係る有機EL素子10の一実施形態の断面模式図である。
本発明に係る透光性絶縁基板1は、面状に広がりを有し、かつ、透光性絶縁材料からなる部材であり、ガラス基板や樹脂フィルム基板とすることができ、性能低下原因となる有機EL素子10への水分侵入の抑止観点からガラス基板が好ましく、可撓性基板とすることもできる。
(有機EL素子10)
本発明に係る有機EL素子10は、本発明の有機EL発光装置100に含まれる透光性絶縁基板1上に形成されてなる多層膜からなる素子であり、当該多層膜は、前記透光性絶縁基板側1側から順に、前記透光性絶縁基板1と接する透光性金属酸化物電極層(TCO層)2、有機機能層3、及び反射性電極層6を含み、これらの全ての膜の重畳部分が本発明に係る有機EL素子10であり、平面視この重畳部分が、前記発光領域20に一致する。
本発明に係る有機EL素子10は、これに含まれるTCO層2の側面の少なくとも一部が有機機能層3、より具体的には、後述する第1正孔輸送性層4で覆われていることを一つの特徴としており、マスクパターンを変えることなく有機機能層3を蒸着して、照明用の有機EL発光装置を安価に提供できる。具体低には、後述する図4(b‘)太線に示される部分が、この本発明に係る有機EL素子10に含まれる透光性金属酸化物電極層2の側面であって、有機機能層3で覆われてなる側面である。
また、第1正孔輸送性層4の平均厚みがTCO層2の平均厚みの0.5倍以上、1.5倍以下であることを一つの特徴としリーク電流が抑制された有機EL発光装置となる。
さらに、本発明に係る有機EL素子10は、3000cd/mの輝度において電力効率が20lm/W以上で白色発光することが好ましく、より好ましくは30lmW以上であり、また、4000K以上の色温度で白色発光することが好ましい。
リーク電流の低減策として、一般的に有機層全体の膜厚を厚くする手法がとられている。本発明者は、キャリア移動度が比較的高くて厚膜化しても駆動電圧の上昇幅が小さく、かつ製造費の面でも安価な、ITO側のホール輸送層を厚膜化対象に選んだ。その結果、より効果的にリーク電流発生率を低減することができ、同時に、光路長が最適化されて輝度および電力効率も向上させることができた。
本発明に係る有機EL素子の輝度を向上させるため、透光性絶縁基板1及び透光性金属酸化物電極層2の界面から発光層の基板1側の界面までの間の膜厚(光路長)が下記数式1の発光強度増強条件を満たすことが好ましく各発光層からの発光強度が増強される。
(ただし、pの値は、1以上の正の整数であり、かつ、
qの値は−0.2<q<0.2、
より好ましくは−0.1<q<0.1となる小数とする。)
ここで、透光性金属酸化物電極層2から数えてk番目の発光層から発せられる光の極大波長をLとし、前記透光性金属酸化物電極層2の波長Lにおける屈折率をnk0、膜厚をd、透光性金属酸化物電極層2とk番目の発光層の間にあり、透光性金属酸化物電極層2側から数えてVth番目の有機層の屈折率をnkVth、膜厚をdVthとする。
(透光性金属酸化物電極層2)
本発明に係る透光性金属酸化物電極層(TCO層)2の材料主成分としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の透明導電性金属酸化物が採用でき、高性能素子とする観点から、高透明性のITOあるいはIZOが好ましく、輝度分布を改善する観点から、これらの材料中に金属細線を含むものとすることができ、その金属細線の径としては、1μm〜100μmとすることができる。
本発明に係るTCO層2は、その平均厚みが、50nm以上、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは70nm以上、160nm以下である。
(有機機能層3)
本発明に係る有機機能層3は、少なくとも、前記TCO層2と接する第1正孔輸送性層4、及び当該第1正孔輸送性層4と接する第1発光層5を有し、さらに、燐光発光性の第2発光層52を有することが好ましい。
(第1正孔輸送性層4)
本発明に係る第1正孔輸送性層4は、正孔輸送性材料を主成分とする材料から形成されていることが好ましく、より好ましくは、当該正孔輸送性材料の正孔移動度は、1.0×10−3cm/V・s以上であり、TCO層2と接し、かつ、電子受容性ドーパントを含む第1正孔注入層41を含むことが好ましく、当該第1正孔注入層41の平均厚みは15nm以下であることがより好ましく、当該第1正孔注入層41以外の第1正孔輸送性層4は、一般に、後述する第1発光層5と接する、正孔輸送性を有する正孔輸送層とされ、本明細書では、これを第1正孔輸送層と呼称することがある。
従来技術では、正孔注入層材料の代表例として、PEDOT:PSSなどの導電性ポリマーが挙げられる。しかし、ポリマー材料は塗布法で積層するために寿命が蒸着法で作製する有機EL素子に劣るため、高信頼性の有機EL素子であるためには正孔注入層も低分子を蒸着法で積層することが好ましい。
他に、MoO3などの金属酸化物が挙げられるが、一般的に無機化合物は蒸着温度が高いため、量産設備でこれらの化合物を使用することは現状困難である。
高信頼性であり、かつ安価に量産できる有機EL素子とするためには、HATCNなどのLUMOの深い有機材料、もしくはトリアリールアミン系の正孔輸送材料をホストとしてF4−TCNQなどのp−ドーパント材料を共蒸着した電荷移動錯体を正孔注入層に用いることが適切である。しかし、これらの材料は一般的に正孔輸送性材料よりも高価であり、厚膜化すると材料コストが高くなる。そのため、安価に量産できる有機EL素子とするためには、前記正孔注入層材料はできるだけ薄くなっていることが望ましい。
本発明に係る第1正孔輸送性層4は、その平均厚みが、60nm以上、180nm以下であることが好ましく、燐光発光性第2発光層含む輝度が向上された有機EL素子10とする観点からは、120nm以下であることがより好ましく、燐光発光性第2発光層含む高色温度の有機EL素子10とする観点からは、80nm以上、140nm以下とすることがより好ましく、燐光発光性第2発光層含む輝度が向上され、かつ、高色温度の有機EL素子10とする観点からは、120nm以下とすることがさらに好ましい。
本発明に係る第1正孔輸送性層4のような正孔輸送性層、特にこれに含まれる正孔輸送層の厚みを厚くした場合には、一般的に低抵抗の注入層を厚くした場合と比べ、駆動電圧が増大することが懸念される。
これらの層の抵抗に起因する駆動電圧の電圧上昇幅V(V)は、下記数式2で示される空間電荷制限電流(SCLC)の式を用いて見積もることが可能である。
ここで、Jは有機EL素子に流れる電流密度であり、この値を一般的な定格電流密度として5mA/cmと仮定し、正孔輸送材料の移動度μを1.0×10−3cm/V・s、比誘電率εを1と仮定し、真空誘電率ε0を8.854×10−12c/V・mとすると、正孔輸送層膜厚Lが100nmの時、駆動電圧の増加量Vは約0.2Vとなり、一般的な駆動電圧、例えば後述する実施例1の6.9Vと比べて、電圧上昇幅は十分に小さいと言える。
(第1発光層5)
本発明に係る第1発光層5は、前記第1正孔輸送性層4と接する発光層であり、好ましくは青色発光する、特に、高色温度の後述する燐光発光性第2発光層含む有機EL素子10とする場合に、青色発光する発光層とすることが好ましい。
(燐光発光性の第2発光層52)
本発明に係る燐光発光性の第2発光層52は、好ましくは、赤色、及び緑色を発光し、各色を発光する赤色サブ発光層、及び緑色サブ発光層を積層した構造としても良いが、好ましくは赤色燐光材料、緑色燐光材料、及び燐光発光層ホスト材料を、好ましくは均一に含む、単一発光層とすることである。
前記赤色燐光材料の最大発光ピーク波長と、前記緑色燐光材料の最大発光ピーク波長とが好ましくは50nm以上離れていることが、高演色性、例えば、大きいRaの発光、より好ましくは大きいRの発光とする観点からは好ましく、例えば、これらの値が90以上の発光を生じさせることもできる。
(反射性電極層6)
本発明に係る反射性電極層6は、導電性、及び光反射性を有する層であり、薄膜形成可能な材料を用いて形成でき、高輝度有機EL発光装置100とする観点から、各種金属材料その中でも、白色光沢金属の層とすることが好ましく、その中でも、銀(Ag)やアルミニウム(Al)がより好ましい。
(発光ユニット)
上述したように、本発明に係る有機機能層3は、少なくとも、第1正孔輸送性層4と接する第1発光層5を有し、好ましくは燐光発光性の第2発光層52を有するが、これらの発光層以外にも、別な発光層が含まれていても良く、これらの発光層間には、後述する接続層が介在していることが好ましい。
こうした接続層と、本発明に係る電極層2、及び6とからなる層の間に介在し発光層を含むユニットを発光ユニットと本明細書では呼称することとし、有機EL素子10において、このような発光ユニットは、主に有機化合物からなる複数の層から構成されている。そのような有機化合物としては、一般に有機EL素子に用いられている低分子系色素材料や、共役系高分子材料等公知のものを用いることができる。また、このような発光ユニットは、実際にその層中で発光する発光層を有していれば、その他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の複数の層を含むことができ、発光層以外のこれらの層は、主に発光層での発光を促進する機能を有する。
ここで、正孔注入層および電子注入層は、各々、後述する接続層の正孔注入性表面層または電子注入性表面層で代替可能である。
また、これらの層は真空蒸着法やスパッタ法、CVD法、ディッピング法、ロールコート法(印刷法)、スピンコート法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、フローコート法など適宜公知の方法によって成膜できるが、高性能の素子とする観点からは真空蒸着法で成膜することが好ましい。
(接続層)
前記接続層は、本発明の有機EL素子10への通電時に陽極側の発光ユニットに電子を注入し、かつ、陰極側の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する層であり、このような機能を有するのであれば、各種材料、例えば有機材料を用い、また、これらを組み合わせて用い、形成できる。
接続層について、その透明性を向上させ輝度向上を図る観点、及び、その各電荷の注入性を向上させ電気特性向上を図る観点から、各々の電荷の注入層を組み合わせて用いることが好ましい。
より好ましくは、各々の電荷の輸送性材料に、対応する電子受容性又は電子供与性ドーパントをドープした層とすることであり、例えば、正孔輸送性材料に電子受容性ドーパントをドープした正孔注入層と、電子輸送性材料に電子供与性ドーパントをドープした電子注入層を積層した構成とできる。接続層は、有機材料のみで構成することもできる。
(光取り出し層7)
本発明の有機EL発光装置100は、図2に示す様に、その輝度や色や角度依存の光学特性向上のため、前記発光面側の少なくとも発光領域20を含む領域の最表面、例えば、前記ガラス基板の光射出側に、光取り出し層7を備えることが好ましい。
この光取り出し層7を形成する方法としては、ガラス基板表面にアクリル等からなる樹脂を塗ってナノインプリントする方法やガラスビーズを含んだ樹脂をスプレーコートやスリットコートする方法があるが、一表面に微小な凹凸構造をもち、他表面に粘着材が付いた樹脂フィルム(光学フィルム)を、その一表面が前記最表面となるようにガラス基板表面に貼ることが好ましい。
このような光学フィルムは光散乱性であることが好ましく、その貼り付けは、フィルム表面にキズが付かないよう、有機EL素子10形成後が好ましい。
本発明のパネル100が、このような光取り出し層7を備える場合、本発明に係る演色性やスペクトル、色温度は、光取り出し層7を含むパネル100についてのものである。
以下、上記で用いた層や材料について詳細に説明する。
(正孔注入層)
正孔注入層は、例えば、正極から正孔を取り入れ、正孔輸送層に正孔を注入する層であり、その材料としては、例えば、アリールアミン類、フタロシアニン類、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、及び、これらの誘導体等の導電性高分子などが採用でき、また、正孔注入層の透明性を向上させることで輝度を向上させる観点から、正孔輸送性材料に電子受容性ドーパントをドープしたものも好ましく採用でき、その平均厚みは、0.1nm以上20nm以下であることが好ましい。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、正孔注入層側から発光層に正孔を効率的に輸送しつつ、正極側への電子の移動を制限する層であり、その材料としては、公知の正孔輸送性材料を使用することができ、その平均厚みは、1nm以上200nm以下であることが好ましい。
(発光層)
発光層は一般に、正孔輸送性又は電子輸送性を有するホスト材料に発光材料をドープした層であって、電界印加により正孔輸送層から流入する正孔と電子輸送層から流入する電子とが結合し、発光性励起子が発生する層であり、その厚みは、1nm以上40nm以下であることが好ましい。
(電子輸送層)
電子輸送層は、電子注入層側から発光層に電子を効率的に輸送しつつ、負極側への電子の移動を制限する層であり、その材料としては、公知の電子輸送性材料を使用することができ、その平均厚みは、1nm以上200nm以下であることが好ましい。
(電子注入層)
電子注入層は、例えば、負極から電子を取り入れ、電子輸送層に電子を注入する層であり、その材料としては、例えば、リチウム(Li)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属の化合物等が採用でき、また、電子注入層の透明性を向上させることで輝度を向上させる観点から、電子輸送性材料に電子供与性ドーパントをドープしたものも好ましく採用でき、その平均
厚みは、0.1nm以上20nm以下であることが好ましい。
(正孔輸送性材料)
正孔輸送性材料としては、例えば、トリフェニルアミン系化合物、カルバゾール系化合物等が採用できる。
トリフェニルアミン系化合物としては、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、4,4’,4”−トリス(N−(3−メチルフェニル)N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’,4”−トリス〔N,N−(2−ナフチル)フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(2−TNATA)等が挙げられる。
カルバゾール系化合物としては、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)、4,4′,4″−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−2,2’−ジメチルビフェニル(CDBP)等が挙げられる。
(電子輸送性材料)
電子輸送性材料としては、例えば、キノリノラト系金属錯体、アントラセン系化合物、オキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、フェナントロリン系化合物、シロール系化合物等が採用できる。
キノリノラト系金属錯体としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)等が挙げられる。
アントラセン系化合物としては、3−t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(TBADN)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)等が挙げられる。
オキサジアゾール系化合物としては、1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール]フェニレン(OVTHD−7)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、1,3,5−トリス(4−t−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾリル)ベンゼン(TPOB)等が挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等が挙げられる。
フェナントロリン系化合物としては、バソフェナントロリン(Bphen)、バソクプロイン(BCP)等が挙げられる。
シロール系化合物としては、2,5−ジ−(3−ビフェニル)−1,1,−ジメチル−3,4−ジフェニルシラシクロペンタジエン(PPSPP)、1,2−ビス(1−メチル−2,3,4,5−テトラフェニルシラシクロペンタジエニル)エタン(2PSP)、2,5−ビス−(2,2−ビピリジン−6−イル)−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシラシクロペンタジエン(PyPySPyPy)等が挙げられる。
(発光材料)
前記発光材料には、蛍光材料と、これよりも一般に発光効率が高い燐光材料とがある。
赤色系の蛍光発光材料としては、ルブレン、DCM、DCM2、DBzRなどが採用できる。
緑色系の蛍光発光材料としては、クマリン6、C545Tなどが採用できる。
青色系の蛍光発光材料としては、ペリレン4,4′−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1−ビフェニル(BCzVBi)、4,4′−ビス[4−(ジ−p−トリアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)などが採用できる。
赤色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、(bzq)2Ir(acac)、(btp)2Ir(acac)、Ir(bzq)3、Ir(piq)3などが採用できる。
緑色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、(ppy)2Ir(acac)、Ir(ppy)3などが採用できる。
青色系の燐光発光材料としては、イリジウム錯体である、FIrpic、FIr6、Ir(Fppy)3などが採用できる。
(電子受容性ドーパント)
電子受容性ドーパントとしては、テトラシアノキノジメタン系化合物、酸化モリブデン(MoO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化バナジウム(V2O5)等が採用できる。
テトラシアノキノジメタン系化合物としては、テトラシアノキノジメタン(TCNQ) 2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)等が挙げられる。
(電子供与性ドーパント)
電子供与性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、これらの金属の化合物、これらの金属を中心金属とするフタロシアニン錯体、ジヒドロイミダゾール化合物等が採用できる。
アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K))、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr))、バリウム(Ba)等が挙げられる。
ジヒドロイミダゾール化合物としては、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1:発光素子1a)
実施例1として図1、及び図2に示すような有機EL発光装置100を作製した。
具体的には、厚み120nmのITO膜が形成された、その外形が90mm×90mm、その厚みが0.7mmであるガラス基板1上に、図4(a)、(b)、(c)の順に示す手順で本発明に係る有機EL素子10として、80.4mm×80.4mmの発光領域20を有する素子を形成し、その後、平面視発光領域20を含んで、封止領域70を封止膜により形成し光学フィルム7(OCFフィルム)を貼付し、本発明の有機EL発光装置100を作製した。図3に、実施例1の有機EL素子10の断面構成図を示す。
最初に、前記ガラス基板1上の前記ITO膜をウェットエッチング法でパターニングすることで、図4(a)に示すITO層2を有する有機EL素子形成用基板を準備した。この有機EL素子形成用基板は、有機EL素子10となる中央のITO層2の周りに、これと同一のITO膜からなる、その4隅に陰極用給電パッドを8個、その4辺に陽極用給電延在領域を4領域備える。通常は、この後、TCO層表面を研磨することで、当該表面に由来するリーク欠陥の存在密度を低減する研磨処理を実施するが、実施例1では、この研磨処理を実施しなかった。
次に、この有機EL発光素子用基板の上に、図3に示す断面構成図となるように、有機機能層3(図4(b))を、さらに、アルミニウム(Al)層6(図4(c))を、各々所定のマスクを用いて真空蒸着法で積層することで、実施例1の有機EL素子10として発光素子1aを形成した。図4(b‘)には、本発明に係る有機EL素子10に含まれる透光性金属酸化物電極層2の側面であって、有機機能層3で覆われてなる側面が太線で記載されている。
なお、図3に示すように、第1正孔輸送性層4として、ITO層2側から、これと接する第1正孔注入層41であるHIL1、及びHTL1の2層を形成し、このHTL2に接して第1発光層5としてEML1を形成し、これらを含む有機機能層3は、さらに燐光発光性の第2発光層52として、EML2を含むように形成した。
また、その際の具体的な各層の膜厚構成としては、表1の発光素子1aに示す値となるように形成した。その際、真空度は、2×10−5Pa以上の高真空下とし、所定の速さで真空蒸着した。発光層等2つ以上の材料からなる層は、所定の混合比で共蒸着した。Al層6の製膜速度は、0.5〜2.0nm/secとなるように制御した。
さらに、実施例1の発光素子1aでは、EML1として発光極大波長が450〜480nmの間にある青色蛍光発光層、EML2として発光極大波長が500〜650nmの間にある燐光発光層を用いた。即ち、前記EML1は、本発明に係る第1発光層5であり、前記EML2は、本発明に係る燐光発光性の第2発光層52である。
またさらに、実施例1の発光素子1aの形成にあたって、その正孔輸送層(HTL1、HTL2)は、正孔移動度が2.3×10−3cm/V・sの正孔輸送性材料を蒸着することで形成し、正孔注入層(HIL1、HIL2)は、前記正孔輸送層材料、及び電子受容性ドーパントとなる有機材料を共蒸着することで形成した。
次に、この有機EL素子10上に、所定のマスクを用いCVD法で平均厚み約1.6μmのシリコン窒化膜を製膜し、続いてポリシラザンをスプレー法にて塗布し焼成して平均厚み約0.6μmのシリカ転化層を形成し、さらに、この封止された有機EL素子10上に、粘着材付きPETからなる保護フィルムを貼り付けることで、封止領域70を形成した。
最後に、ガラス基板1の素子を形成した面とは反対側の面にOCFフィルムを貼り付けて実施例1の有機EL発光装置100を作製した。

上記にようにして得た実施例1の有機EL発光装置100について、電流−電圧−輝度特性の測定、発光開始電圧前後の順バイアス、及び逆バイアス下における電流密度及び輝度の電圧依存性、リーク評価試験、及び3.4mA/cm(220mA)の定電流を通電したときのスペクトル測定を行った。なお、この実施例1の有機EL発光装置100の220mAの定電流通電時における発光電力効率は40.75lm/Wであった。表2に、3.4mA/cm(220mA)の一定電流で通電したときの電圧・輝度・発光色を、図5に、発光開始電圧前後の順バイアス、及び逆バイアス下における電流密度及び輝度の電圧依存性の測定結果を、表3に、後述するーク評価試験の結果を、図6に、有機EL発光装置100の中央部分での発光スペクトルを、各々示す。
(リーク評価試験)
図5に示すように、有機EL素子の発光開始電圧として、印加電圧を0Vから上昇させた際、輝度が1cd/mとなった際の電圧とすることとし、その値を閾値電圧(Vth)と定義することと本明細書ではする。図5で、Vthは約4.8Vである。
有機EL素子は、印加電圧が発光開始電圧を超えると急激に電流が流れ出す。そのため、リーク電流値の合否を判定する際に、閾値電圧以下での判定が必要となる。そこで閾値電圧以下での判定を実施するために、閾値電圧より0.5V低い値を順方向でのリーク電流の合否判定時の印加電圧の最大値と設定することとした。また、順バイアス下におけるリーク電流値の判定基準としては、0Vから閾値電圧−0.5Vにおいて1.0×10−4mA/cm未満とした。また、逆バイアス下におけるリーク電流値の判定基準としては、0Vから(閾値電圧−1.0)の絶対値の逆バイアスにおいてリーク電流の絶対値が1.0×10−4mA/cm未満とした。後述するように、リーク電流の絶対値がこの印加電圧範囲でこの基準値より小さいことが、有機EL素子の信頼性を確保するためには重用である。
即ち、リークが無く正常な有機EL素子では、0Vから発光開始電圧まで電流値は印加電圧に対して指数関数的に増大し、即ち、電流値の対数は電圧に対して比例し、発光開始電圧を超えると電荷注入が急激に増加することで電流値ば垂直的に立ち上がり発光が確認される。これに対してリークがある有機EL素子では、正常な有機EL素子に比べ、発光開始電圧までの電流値が大きくなる。
また、有機EL発光装置を実際に点灯させたときの状態である、順バイアス状態で将来的に問題となるリーク欠陥においても、初期のリーク検査ではリーク欠陥として発見できず、検出されない非顕在化リーク欠陥が不良も存在することを本発明者らは見出した。
そこで、前述の順バイアスにおけるリーク電流値の判断基準だけでなく、前述の逆バイアスにおけるリーク電流値の判定基準をも設定することとした。
リーク評価試験として、作製した有機EL素子100個に、非顕在化リーク欠陥を顕在化する為に3Vの逆バイアス電圧を印加した後、3.5Vの順バイアス電圧を印加し、そのときの電流密度をリーク電流としてした。
100個の実施例1の発光素子1aについて測定した結果を、リーク電流の各範囲における個数分布として、即ち、リーク電流密度分類による個数分布として表3に示す。
前述の判定基準における順バイアスにおいて1.0×10−4mA/cm2未満との部分を採用して判断すると、実施例1では全体の62%が合格となっている。
(比較例1:発光素子1b)
実施例1において60nmとしたHTL1の膜厚を24nmとしたこと以外は同様にして、比較例1の有機EL発光装置を作製し評価した。即ち、具体的な各層の膜厚構成としては、表1の発光素子1bに示す値とした。
また、この比較例1の有機EL発光装置について、実施例1と同様にして、電流−電圧−輝度特性の測定、リーク評価試験、及びスペクトル測定を行った。なお、この比較例1の有機EL発光装置の220mAの定電流通電時における発光電力効率は38.51lm/Wであった。実施例1の結果と比較して、比較例1の結果を、表2、表3、及び図6に示す。
表2に示すように、比較例1の有機EL発光装置に比べ、実施例1の有機EL発光装置100では輝度が約150cd/m向上していた。一方、実施例1の素子1aではHTL1が厚膜化されているにもかかわらず、電圧は比較例1の素子1bとほぼ同等であった。
また、表3に示すように、実施例1の素子1aでは全体の62%が合格となっていたのに対して、比較例1の素子1bでは、合格となったのは、全体の6%であり、本発明に係る第1正孔輸送性層4の厚膜化による効果が奏されたことによって合格率が大きく向上した改善た。
さらに、図6に示すように、実施例1の有機EL発光装置100は、比較例1の有機EL発光装置に比べ、ほぼ全波長域で発光強度が上回っており、特に、500nm〜650nmでそれが顕著となっている。このことが前述の輝度の結果に繋がっている。
ここで、その理由について考察すると、前述の発光強度増強条件を、実施例1の装置100は満たし、比較例1の装置は満たさないためと考えられる。即ち、ガラス基板1とITO層2との界面から燐光発光性の第2発光層52のITO層2側の界面であるHTL2/EML2界面までの光路長について、前記数式1におけるΣnkVthVthの値を求めると、実施例1の装置100の素子1aでは554nm、比較例1の装置の素子1bでは491nmとなり、素子1aでは緑色のピーク波長560nmにpが2、qが−0.02でほぼ一致するのに対して、素子1bではpが2、qが−0.25で一致しないため、素子1aでは素子1bに比べて燐光発光の強度が強くない高輝度になったと考えられる。尚、ここで、ITO層2および有機層機能層3の屈折率の値としては、表4に示す数値を使用した。
(実施例2:発光素子2a)
実施例1における各層の膜厚を表1の発光素子2aに示す値としたこと以外は同様にして、実施例2の有機EL発光装置100を作製し評価した。
また、この実施例2の有機EL発光装置100について、測定時の電流値を4.4mA/cm(285mA)としたこと以外は実施例1と同様にして、電流−電圧−輝度特性の測定、及びスペクトル測定を行った。なお、この実施例2の有機EL発光装置100の285mAの定電流通電時における発光電力効率は25.11lm/Wであった。
後述する実施例3の結果と比較して、実施例2の結果を、表5、及び図7に示す。
(実施例3:発光素子3a)
実施例2において100nmとしたHTL1の膜厚を60nmとしたこと以外は同様にして、実施例3の有機EL発光装置100を作製し評価した。即ち、具体的な各層の膜厚構成としては、表1の発光素子3aに示す値とした。
また、この実施例3の有機EL発光装置100について、実施例2と同様にして、電流−電圧−輝度特性の測定、及びスペクトル測定を行った。なお、この実施例3の有機EL発光装置100の285mAの定電流通電時における発光電力効率は25.06lm/Wであった。
実施例2の結果と比較して、実施例3の結果を、表5、及び図7に示す。
図6に示すように、実施例3の有機EL発光装置100に比べ、実施例2の有機EL発光装置100では青色発光のピークの強度が約8%向上しており、これに伴って表5に示すように、実施例3の有機EL発光装置100に比べ、実施例2の有機EL発光装置100では色温度は約200K向上した。一方、実施例3の素子3aに比べ、実施例2の素子2aではHTL1が厚膜化されているにもかかわらず、電圧は実施例3の素子3aとほぼ同等であった。
前述の実施例2における青色発光ピーク強度の向上理由について考察すると、青色光について前述の発光強度増強条件を、実施例2の装置100は満たし、実施例3の装置100は満たさないためと考えられる。即ち、ガラス基板1とITO層2との界面から第1正孔輸送性層4と第1発光層5との界面であるHTL1/EML1界面までの光路長について、前述したのと同様表4に示す数値を使用して前記数式1におけるΣnkVthVthの値を求めると、実施例2の装置100の素子2aでは452nm、実施例3の装置100の素子3aでは378nmとなり、素子2aでは青色のピーク波長470nmにpが2、qが−0.08でほぼ一致するのに対して、素子3aではpが2、qが−0.39で一致しないため、素子2aでは素子3aに比べて青色蛍光発光の強度が強く高色温度になったと考えられる。
1.透光性絶縁基板
2.透光性金属酸化物電極層(TCO層)
3.有機機能層
4.第1正孔輸送性層
5.第1発光層
6.反射性電極層
7.光取り出し層
10.有機EL素子
20.発光領域
41.第1正孔注入層
52.燐光発光性の第2発光層
70.封止領域
100.有機EL発光装置

Claims (8)

  1. 透光性絶縁基板上に形成された有機EL素子を含む有機EL発光装置であって、
    該有機EL素子が、該透光性絶縁基板側から、これと接する透光性金属酸化物電極層、有機機能層、及び反射性電極層を含み、
    該有機機能層が、該透光性金属酸化物電極層側から、これと接する第1正孔輸送性層、及び該第1正孔輸送性層と接する第1発光層を含み、
    該有機EL素子に含まれる該透光性金属酸化物電極層の側面の少なくとも一部が、該有機機能層で覆われてなり、さらに、
    該第1正孔輸送性層の平均厚みが、該透光性金属酸化物電極層の平均厚みの
    0.5倍以上、1.5倍以下である、有機EL発光装置。
  2. 前記正孔輸送性層の平均厚みが、60nm以上、180nm以下である、請求項1に記載の有機EL発光装置。
  3. 前記第1正孔輸送性層が、前記透光性金属酸化物電極層と接し、電子受容性化合物を含み、かつ、その平均厚みが15nm以下である第1正孔注入層を含む、請求項1、又は2に記載の有機EL発光装置。
  4. 電力効率が20lm/W以上で白色発光する請求項1〜3のいずれかに記載の有機EL発光装置であって、
    前記有機機能層が、さらに、燐光発光性の第2発光層を含み、かつ、
    前記正孔輸送性層の平均厚みが、60nm以上、120nm以下である、有機EL発光装置。
  5. 4000K以上の色温度で白色発光する請求項1〜3のいずれかに記載の有機EL発光装置であって、
    前記第1発光層が青色発光し、
    前記有機機能層が、さらに、燐光発光性の第2発光層を含み、かつ、
    前記正孔輸送性層の平均厚みが、80nm以上、140nm以下である、有機EL発光装置。
  6. 4000K以上の色温度で、かつ、電力効率が20lm/W以上で、白色発光する請求項1〜3のいずれかに記載の有機EL発光装置であって、
    前記第1発光層が青色発光し、
    前記有機機能層が、さらに、燐光発光性の第2発光層を含み、かつ、
    前記正孔輸送性層の平均厚みが、80nm以上、120nm以下である、有機EL発光装置。
  7. 前記第1正孔輸送性層が、正孔移動度が1.0×10−3cm/V・s以上である正孔輸送性材料を主成分とする、請求項1〜6のいずれかに記載の有機EL発光装置。
  8. 輝度1cd/mにおける駆動電圧を閾値電圧VthVとしたとき、マイナス(Vth−1.0)V以上、プラス(Vth−0.5)V以下の印加電圧において電流密度の絶対値が1.0×10−4mA/cm未満である、請求項1〜7のいずれかに記載の有機EL発光装置。
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WO2019160166A1 (ja) 2018-02-19 2019-08-22 株式会社ダイセル モールドの製造方法、及びこれを利用した成形体の製造方法

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