JP2014015637A - 蒸着装置 - Google Patents

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健一 山本
Toshiaki Kusunoki
敏明 楠
Tatsuya Miyake
竜也 三宅
Takeshi Tamakoshi
武司 玉腰
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Abstract

【課題】蒸発源からの輻射熱による基板とマスクの合せずれを防止し、有機膜等の昇温ダメージを防止、真空チャンバ内の汚染を防止、メンテナンスを容易化する蒸着装置を提供する。
【解決手段】蒸着装置に、筒状冷却部12とマスク近接冷却板13を有する冷却部材6と角度制限板7を設け、冷却部材に角度制限板からの蒸着粒子飛散領域以上の広さに開口部5を設け、冷却部材と角度制限板を蒸発源2と同期して基板3及びマスク4を走査させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、蒸着膜を形成する蒸着装置に係り、特に有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を構成する有機材料および金属材料を蒸発させて基板上に薄膜を形成するために有効な蒸着装置に関する。
有機EL素子は現在および次世代素子として活発に開発が進められている。現在、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)は、携帯電話などの携帯機器やカーオーディオ等に使用されている。さらに、液晶やプラズマディスプレイなどに代わる次世代大型ディスプレイとして製品化されようとしている。また、有機EL照明は、普及し始めたLED照明の後を追うように開発が進められている。LED照明は、ほとんど点発光であるために小型化には向いても発熱という制約や光の拡散に工夫が求められる。一方、有機EL照明は、面発光、形状に制約がない、透明である等の特色を有し、今後住み分けが進むかさらにLEDを超えて普及する可能性があると考えられている。
有機EL表示装置や照明装置に用いられる有機EL素子は、有機材料層(有機層)を陰極と陽極で挟んだサンドイッチ状構造がガラス板やプラスチック板などの基板上に形成されたものである。この陰極と陽極に電圧を印加することにより各々から電子と正孔が有機層に注入され、それらが再結合して生じる励起子(エキシトン)の失活により発光する。
この有機層は、一般に電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層を含む多層膜構造になっている。この有機層に使用される有機材料には高分子と低分子がある。このうち低分子材料は、蒸着装置を用いて成膜される。
一般に電極には、陰極として金属材料、陽極として透明導電材料が用いられる。陰極は電子を有機層に注入するために仕事関数が小さい方が有利であり、陽極は正孔注入層や正孔輸送層などの有機層に正孔を注入するために仕事関数が大きいことが必要であるからである。具体的には、陽極にはインジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ(SnO2)などが用いられる。陰極には、MgAg合金、Alなどが用いられる。これらの陰極材料は成膜装置として蒸着装置を用いる場合が多い。
蒸着装置を用いた蒸着法では、真空チャンバ内に導入された基板の主面側に、画素配置に対応したパターンで開口された一般に金属材料からなるマスクが配置される。蒸発源を加熱して蒸発した有機、金属等の蒸着材料は、このマスクの開口を通して、蒸着、成膜される。なお、前記した発光層を蒸着する場合には、主材料となる有機材料と添加材料(例えば、他の有機材料)とを、基板に同時に蒸着する場合もある。
マスクは、一般にメタルマスクが用いられるが、その平面の平坦性を維持するために、金属製の枠であるマスクフレームにテンションをかけた状態で接着または溶接される。以下、マスクとマスクフレームの複合体を蒸着マスクと記述する。
坩堝に収容された蒸着材料を蒸発させて、真空チャンバ内に置かれた基板上に蒸着膜を形成する。この坩堝の開口部には、加熱されて蒸気になった蒸着材料が真空チャンバ内へ飛散する方向性と量を規定する噴出口(ノズル)が設けられる。
一般に、成膜法には、クラスタ方式とインライン方式がある。特許文献1に記載されたクラスタ方式では、中央に搬送用の真空チャンバ(搬送室)を有し、それを中心に成膜用の真空チャンバ(成膜室)が配置される。中央搬送室にはロボットが設けられ、基板のみを枚葉搬送する。基板を最初に加熱室で加熱し、次に酸素プラズマ処理室に搬送して表面の清浄化を行い、冷却室で基板を冷却した後に、別のクラスタ装置に搬送して成膜処理を行う。成膜する時には、各成膜室内では、まず成膜室毎に用意した蒸着マスクと基板とをアライメントし、重ね合わせてから成膜する。特許文献1では成膜前に基板を事前に冷却することにより、基板の熱膨張によるずれを防止していた。基板全面への成膜法としては、基板側を固定して蒸発源を走査して成膜する方法と、蒸発源を固定して基板側を走査する方法がある。
特許文献2に記載されたインライン方式では、成膜処理する順番に成膜室を配置し、蒸着マスクと基板を重ね合わせた複合体をキャリアに固定し、各成膜室に設置した搬送ローラによってキャリアを搬送する。各成膜室には固定した蒸発源を有し、キャリアが蒸発源の前を通過することにより成膜が行われる。
最近、有機ELディスプレイの大型化、高精細化に伴い、蒸着装置において蒸発源からの輻射熱によるマスクと基板の合せずれがより大きな問題になっている。また、金属膜蒸着の際には、前プロセスで基板に成膜された有機層の昇温ダメージ防止のため、蒸発源の基板への輻射熱による昇温低減が必要とされ、特に蒸気圧が低く高温加熱が必要なアルミ(Al)蒸着において重要な課題となっている。さらに、蒸発源、基板等を格納する真空チャンバ内の汚染による有機層への不純物混入により素子特性が劣化することを防止することも重要である。真空チャンバ内の汚染低減は、蒸着装置のメンテナンスを容易にするためにも重要である。
特許文献3では、インライン方式の成膜法において、マスクフレームの蒸発源ユニット側の面に対して非接触かつ近接して設けた冷却手段を持つ、部分的に開口部を有する冷却部材を設けることにより、蒸発源ユニットの蒸発源冷却プレートの開口部を通して蒸発源で発生した蒸気を蒸着マスク及び基板に吹き付ける。これにより、基板や蒸着マスク、キャリアの温度上昇を低減する方法が提案されている。
しかし、特許文献3では、有機層への不純物混入による素子特性の劣化防止や、蒸着装置のメンテナンスを容易にする真空チャンバ内の汚染低減または防止については考慮されていなかった。また、固定した蒸発源で蒸着するインライン方式のみしか考慮されておらず、クラスター方式で用いられる基板側を固定して蒸発源を走査して蒸着する方法については考慮されていなかった。
特開2006−260939号公報 特開2002−348659号公報 特開2009−019243号公報
上記のように、最近、有機ELディスプレイの大型化、高精細化に伴い、蒸着装置において蒸発源からの輻射熱によるマスクと基板の合せずれがより大きな問題になっている。また、金属膜蒸着の際には、前プロセスで基板に成膜された有機層の昇温ダメージ防止のため、蒸発源の基板への輻射熱による昇温低減が必要になっている。さらに、蒸発源、基板等を格納する真空チャンバ内の汚染による有機層への不純物混入による素子特性の劣化防止も重要である。
本発明の目的は、蒸発源からの輻射熱によるマスクと基板の合せずれ防止、有機層の昇温ダメージ防止のため、蒸発源の基板への輻射熱による昇温を低減し、有機層への不純物混入を防止し、蒸着装置のメンテナンスを容易化する真空チャンバ内の汚染を低減、防止できる蒸着装置であり、インライン方式およびクラスター方式の何れの方式で蒸着する場合にも適用できる蒸着装置を提供することである。
本発明は、蒸発源冷却板を有する蒸発源と、基板と、マスクを有し、蒸発源から噴出する蒸着粒子を含む蒸気をマスクを通して基板に蒸着する蒸着装置であって、蒸発源とマスクとの間に開口部を有する冷却部材を設け、該冷却部材の開口部と蒸発源の開口部との間に先端が位置する角度制限板を設け、基板及びマスクと、蒸発源及び角度制限板及び冷却部材の開口部とを相対的に移動可能に設けたことを特徴とする。
本発明は、蒸発源とマスクとの間に開口部を有する冷却部材を設けることにより、蒸発源から基板への輻射熱を低減することができ、蒸発源からの輻射熱によるマスクと基板の合せずれ防止、および有機層の昇温ダメージ防止ができる。また、冷却部材の開口部と蒸発源の開口部との間に先端が位置する角度制限板を設けることにより、蒸発源の開口部から飛散する蒸着粒子の冷却部材への飛散領域を狭めることができ、真空チャンバ内の汚染を低減し、蒸着装置のメンテナンス時間短縮、メンテナンス周期の長期化など、メンテナンスを容易にする効果がある。
実施例1の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例1の蒸着粒子飛散領域を示す模式図である。 有機ELディスプレイ生産工程の一例を示した工程図である。 実施例2の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例2のマスク近接冷却板と筒状冷却部の接続状態を示す模式図である。 実施例2のマスク近接冷却板と筒状冷却部の接続状態を示す模式図である。 実施例3の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例4の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例5の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例6の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例7の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例8の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例8の蒸着装置を示す斜視図である。 実施例9の蒸着装置を示す縦断面図である。 実施例9の蒸着装置の変形例を示す縦断面図である。 実施例10の蒸着装置を示す縦断面図である。
以下、実施例を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。尚、実施形態を説明する全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
実施例1を図1〜図3を用いて説明する。図1は実施例1の蒸着装置の蒸発源の縦断面図である。図示しない真空チャンバの内部に、蒸発源2、基板3、蒸着マスク4が設けられ、蒸発源2と蒸着マスク4との間に開口部5を有する冷却部材6が設けられる。さらに、冷却部材6の開口部5と蒸発源の開口部との間に先端が位置する筒状の角度制限板7が設けられている。
蒸発源2は、内部に蒸着材料が収納されて蒸気を噴出するノズル8を有する坩堝9と、坩堝9と蒸着材料を加熱するヒータなどの加熱手段10と、加熱によって高温になった坩堝9から発せられる輻射熱をできるだけ外部に逃さず坩堝に戻すリフレクタ11、および加熱手段10による輻射熱が蒸発源2の外部の基板3や蒸着マスク4等の真空チャンバ内部品を加熱することを防止する蒸発源冷却板1からなる。蒸発源冷却板1には開口部25が設けられている。角度制限板7は蒸発源2の蒸発源冷却板1に固定され、冷却部材6には直接接続されないように構成される。蒸発源冷却板1の、開口部25とノズル8の間には空隙があるので、高温のノズル8から直接冷却部材6に熱伝導することはない。
冷却部材6は、四面を覆われた筒状冷却部12と蒸着マスク4に近接して設けられ筒状冷却部12と接続されたマスク近接冷却板13および蒸発源2からの輻射熱を効率よく吸収する高輻射材14からなる。高輻射材14は冷却部材6の少なくとも一部に設けられ、実施例1の場合には筒状冷却部12の内部全面に設けられている。筒状冷却部12は蒸発源冷却板1に固定される。蒸発源2と、冷却部材6からなる蒸発源側ユニット15は、図示しない移動機構によって一体となって基板側ユニット16に対して図1のA方向に走査される。
一方、基板側ユニット16は、図示しないを有する基板固定台17に固定された基板3と、基板3の主面側に配置された蒸着マスク4から構成される。温度制御手段は冷却手段を含む。蒸着マスク4は、一般に基板3の所定の画素又は領域に蒸着、成膜できるように孔加工が施され、基板4に密着して配置されるメタルマスクと、メタルマスクに弛みが生じないようにテンションをかけるフレームからなる。蒸着マスクは蒸着処理中に温度変化するので、基板との合せ精度を確保するために、インバー材などの低膨張率金属材料を用いるのが好ましい。基板3は蒸着マスク4に対して位置決めされ、基板3を固定する基板固定台17に固定される。
坩堝9を加熱手段10で加熱することにより、坩堝9に収納された蒸着材料が溶融状態になり、あるいは直接昇華して坩堝内は蒸着材料の蒸気で満たされ、ノズル8から基板側ユニット16に蒸気が噴出する。蒸発源2から噴出した蒸気は筒状に設けられた角度制限板7によって蒸気の蒸発粒子飛散領域18が制限される。基板3、蒸着マスク4への蒸発粒子飛散領域は、最終的には冷却部材6の開口部5の領域で決まる。この蒸発粒子飛散領域18の基板3の蒸着マスク4によってパターニングされた領域に蒸着材料が蒸着される。蒸発源側ユニット15全体が、真空チャンバに固定された基板側ユニット16に対して図1のA方向(上下方向)に走査されることにより、基板4の所望の領域全体に蒸着材料が蒸着、成膜される。
図2は実施例1の蒸着粒子飛散領域を示す模式図である。図2に示すように、角度制限板7によって制限される蒸発粒子飛散領域18は、ノズルの開口部19と角度制限板7の基板側端部位置によって決まり、ノズルの開口部19の端と角度制限板7の基板側端部位置を結ぶ領域となる。基板3、蒸着マスク4への蒸発粒子飛散領域は、基本的には冷却部6の開口部5の領域で決まる。しかし、実施例1では、開口部5は、蒸発源2から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域18よりも大きく設けられる。あるいは、開口部5が蒸発源2から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域18よりも大きくなるように、角度制限板7が設定され、角度制限板7により、基板3、蒸着マスク4への蒸発粒子飛散領域が決定される。
以下に、実施例1の各部の機能および効果を述べる。
蒸発源2と蒸着マスク4との間に開口部5を有する冷却部材6が設けられることにより、蒸発源2から基板側ユニット16への輻射熱を低減することができ、蒸発源2からの輻射熱による蒸着マスク4と基板3の合せずれ防止、および基板3上に有機層がある場合には有機層の昇温ダメージ防止ができる。
また、冷却部材6の開口部から蒸発源2の開口部との間に先端が位置する角度制限板7が設けられることにより、蒸発源2の開口部から飛散する蒸着粒子の冷却部材6の筒状冷却部12への飛散領域を狭めることができ、真空チャンバ内の汚染を低減し、蒸着装置のメンテナンス時間短縮、メンテナンス周期の長期化など、メンテナンスを容易にする効果がある。
また、冷却部材6開口部が蒸発源2から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域18より大きいので、飛散する蒸着粒子の冷却部材6筒状冷却部12への飛散を防止、ないし著しく軽減する効果がある。さらに、メンテナンス時には、角度制限板7だけを清掃すればよいのでメンテナンスが容易になる。
また、冷却部材6、または角度制限板7により、基板3、蒸着マスク4への蒸着粒子飛散領域を制限し、蒸発源側ユニット15の走査方向に関して蒸気の指向性を狭めることにより、走査方向の画素内の膜厚分布変動を引き起こす蒸気の低指向性起因のシャドー効果を抑制できる。
また、冷却部材6は、マスク近接冷却板13を有し冷却部材6をより冷却制御できるので、基板3、蒸着マスク4の温度上昇がより抑制され、蒸着マスク4と基板3の合せずれを防止し、有機層がある場合には有機層の昇温ダメージを防止できる。さらに、汚染物質が冷却部材6にトラップされ易くなり、真空チャンバ内の汚染がより効果的にできるため、有機層への不純物混入による素子特性が劣化することを防止できる。
また、蒸発源冷却板1と冷却部材6とが接続されているので、蒸発源2と冷却部材6およびその開口部を同期して移動させることができ、基板側ユニット16を固定して蒸発源側ユニット15を走査して蒸着する蒸着装置を提供することもできる。
また、角度制限板7は蒸発源冷却板1に固定されるが、ノズル8からの輻射熱を受け、高温になっている。しかし、角度制限板7は冷却部材6に直接接続されていないので、角度制限板の熱が直接冷却部材6に伝導しないため、冷却部材6が昇温することがない。
また、冷却部材6の内側の少なくとも一部が、冷却部材6表面材に比べて輻射率の高い高輻射材14で覆われており、蒸発源2からの輻射熱を効果的に吸収、冷却されるので、蒸発源2からの輻射熱による蒸着マスク4と基板3の合せずれ防止、有機層がある場合には有機層の昇温ダメージ防止をより効果的に行うことができる。
また、冷却部材6が、蒸発源2から基板側ユニット16に伸びた筒状の筒状冷却部12を有し、蒸発源2から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域18が筒状冷却部12の開口部以上には広がらないので、真空チャンバ内の汚染を防止し、メンテナンスを容易にする効果がある。
また、冷却部材6に加熱手段を設ければ、メンテナンス時には、加熱手段により冷却部材6の汚染物をベーキングにより清浄化することができる。また、冷却部材6の温度調節もでき、基板3と蒸着マスク4の合せずれ防止をより効果的に行うこともできる。
また、角度制限板7の基板側端部は、冷却部材6の基板側端部よりも蒸発源側に位置し、冷却部材6の角度制限板7の基板側端部と基板2との間の部分に、角度制限板7にカバーされない露出部分が存在するので、この部分で蒸発源2からの輻射熱を吸収し、基板側ユニット16への輻射熱を低減することができる。これにより、基板3と蒸着マスク4の合せずれ防止、有機層がある場合には有機層の昇温ダメージ防止を効果的に行うことができる。
また、冷却部材6のマスク近接冷却板13の存在により、蒸着前後の蒸着マスク4、基板3からの輻射熱を吸収し、蒸着マスク4、基板3を冷却することができる。また、蒸発源2から冷却部材6の外側の真空チャンバ内部品(基板側ユニット16や、蒸着源側駆動機構部など)への蒸発粒子飛散、汚染を防止することができる。逆に、筒状冷却部12とともに、蒸着源側駆動機構部などからの汚染物質の混入を防ぐ効果もある。
また、基板固定台17に、冷却手段を含む温度制御手段を設けることができる。この場合は、基板固定台17が冷却または温度制御され、これと接触している基板3が熱伝導により冷却または温度制御される。基板固定台17に設けられた冷却手段ないし温度制御手段は、例えば、基板固定台17の中に真空チャンバの外部から水を導入する水冷手段ないし水による温度制御機構であり、この水の温度が低い場合は水冷手段、比較的高い場合は温度制御手段を用いる。水冷手段は、冷却部材6の冷却手段とは独立に設ける。水を導入して制御する場合は、これらの水路を別々にし、両者の温度が独立に制御できるようにする。例えば、何もしない時基板3より蒸着マスク4の方が温度が高くなりがちである場合には、基板固定台17の温度制御手段に流す水の温度を高くし、基板3と蒸着マスク4の合わせずれが防止できるように最適な温度に制御する。これにより、基板3と蒸着マスク4の合わせずれを効果的に防止することができる。
図3は、有機ELディスプレイ生産工程の一例を示した工程図である。図3において、有機層と有機層に流れる電流を制御する薄膜トランジスタ(TFT)が形成されたTFT基板と、有機層を外部の湿気から保護する封止基板は別々に形成され、封止工程において組み合わされる。
図3のTFT基板の製造工程において、ウェット洗浄された基板に対してドライ洗浄を行う。ドライ洗浄は紫外線照射による洗浄を含む場合もある。ドライ洗浄されたTFT基板に先ず、TFTが形成される。TFTの上にパッシベーション膜および平坦化膜が形成され、その上に有機EL層の下部電極が形成される。下部電極はTFTのドレイン電極と接続している。下部電極をアノードとする場合は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜が使用される。
下部電極の上に有機EL層が蒸着により形成される。有機EL層は複数の層から構成される。下部電極がアノードの場合は、下から、例えば、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層である。このような有機EL層は蒸着によって形成される。
有機EL層の上には、各画素共通に、ベタ膜で上部電極が金属蒸着または透明電極スパッタで形成される。有機EL表示装置がトップエミッションの場合は、上部電極にはIZO等の透明電極、あるいは、Ag、MaAg等の金属あるいは合金が使用され、有機EL表示装置がボトムエミッションの場合は、Ag、Mg、Al等の金属膜が使用される。以上で説明したAl蒸着等の例は本工程での上部電極の蒸着に相当する。
図3の封止基板工程において、ウェット洗浄およびドライ洗浄を行った封止基板に対してデシカント(乾燥剤)が配置される。有機EL層は水分があると劣化をするので、内部の水分を除去するためにデシカントが使用される。デシカントには種々な材料を用いることができるが、有機EL表示装置がトップエミッションかボトムエミッションかによってデシカントの配置方法が異なる。
このように、別々に製造されたTFT基板と封止基板は封止工程において、組み合わされる。TFT基板と封止基板を封止するシール材は、封止基板に形成される。封止基板とTFT基板を組み合わせた後、封止工程でシール部に紫外線を照射して、シール部を硬化させ、封止を完了させる。このようにして形成された有機EL表示装置に対して点灯検査を行う。点灯検査において、黒点、白点等の欠陥が生じている場合でも欠陥修正可能なものは修正を行い、有機EL表示装置が完成する。なお、封止基板が存在しない、いわゆる固体封止の有機EL表示装置の製造についても、本発明の蒸着装置を使用できることは言うまでもない。
本発明の実施例2を、図4、図5A、5Bを用いて説明する。以下、実施例1と異なる部分のみを説明する。図4は実施例2の蒸着装置の縦断面図である。実施例2の特徴は、冷却部材6のマスク近接冷却板13と、筒状冷却部12の間に開空間を有することと、マスク近接冷却板13の基板側表面が高輻射材14で覆われていることである。図5A、5Bは実施例2のマスク近接冷却板13と筒状冷却部12の接続部を示す模式図である。
図4には省略されているが、図5Aに示すように、マスク近接冷却板13は筒状冷却部12と棒状接続部19で接続されて固定されている。例えば、断面が矩形の細長い棒が複数本配置され接続されている。この棒は金属でもよいが、熱伝導率の小さい断熱材とする。あるいは、図5Bに示すように、金属棒とマスク近接冷却板13または筒状冷却部12の接続部の少なくとも一方の接続部に断熱材20を挟み、断熱してもよい。さらに、冷却部材6は図示しない冷却手段を有するが、マスク近接冷却板13と筒状冷却部12の冷却手段を独立に設ける。
実施例2では、蒸発源2、角度制限板7からの輻射熱の一部が開空間から逃げるので、マスク近接冷却板13開口部5から蒸着マスク4、基板3に入射する輻射熱が軽減される効果がある。また、マスク近接冷却板13は筒状冷却部12と棒状接続部19により断熱的に接続されるので、筒状冷却部12が輻射熱により多少温度が上がっても、マスク近接冷却板13に熱伝導しにくいので、マスク近接冷却板13をより低温に維持し易い。さらに、マスク近接冷却板13と筒状冷却部12の冷却手段が独立しているので、マスク近接冷却板13をより低温に維持し易い。さらに、マスク近接冷却板13の基板側表面が高輻射材14で覆われているので、基板、蒸着マスクからの輻射熱も吸収され易くなっている。これらにより、蒸着マスク4と基板3の昇温による合せずれ防止をより効果的に行うことができる。
図6は実施例3の蒸着装置の縦断面図である。実施例3の特徴は、冷却部材6と蒸発源2の間に開空間を有することである。実施例2と同様に、冷却部材6は蒸発源2と図示しない棒状接続部で接続されて蒸発源2に固定されている。例えば、断面が矩形の細長い棒が複数本配置され接続されている。この棒は金属でもよいが、熱伝導率の小さい断熱材とする。あるいは、金属棒と蒸発源2または冷却部材6の接続部の少なくとも一方の接続部に図示しない断熱材を挟み、断熱してもよい。さらに、冷却部材6の冷却手段と蒸発源冷却板1の冷却手段を独立に設ける。
実施例3によれば、蒸発源2、角度制限板7からの輻射熱のかなりの部分が開空間から逃げるので、マスク近接冷却板13開口部5から蒸着マスク4、基板3に入射する輻射熱が軽減される効果がある。また、冷却部材6は蒸発源冷却板1と棒状接続部により断熱的に接続されるので、蒸発源冷却板1が輻射熱により多少温度が上がっても、冷却部材6に熱伝導しにくいので、冷却部材6をより低温に維持し易い。さらに、冷却部材6と蒸発源冷却板1の冷却手段が独立しているので、冷却部材6をより低温に維持し易い。さらに、冷却部材6の基板側表面が高輻射材14で覆われているので、基板、蒸着マスクからの輻射熱も吸収され易くなっている。これらにより、蒸着マスク4と基板3の昇温による合せずれ防止をより効果的に行うことができる。
図7は実施例4の蒸着装置の縦断面図である。実施例3との違いは、基板3が水平に設置され、蒸発源2が基板3の下方に設置されていることである。蒸発源側ユニット15全体が、真空チャンバに固定された基板側ユニット16に対してB方向(水平方向)に走査されることにより、基板4の所望の領域全体に蒸着材料が蒸着、成膜される。
実施例4により、本発明が実施例1から3に記載の基板3を垂直に設置し蒸着する縦型蒸着以外に、基板3を水平に設置配置して蒸着する横型蒸着もできることを示す。
図8は、実施例5の蒸着装置の縦断面図である。実施例4との主な違いは、蒸発源側ユニット15が真空チャンバに固定され、基板側ユニット16が走査され、ないしは移動することにより基板の全面所望位置に蒸着するインライン方式の例を示す。インライン方式では、成膜処理する順番に成膜室を配置し、蒸着マスク4と基板3を重ね合わせて基板固定台17に固定してキャリア20に搭載し、各成膜室に設置した図示しない搬送ローラによってキャリア20を搬送する。
本蒸着工程において、蒸発源側ユニット15のマスク近接冷却板13は本工程の真空チャンバの両端まで延びている。基板3、蒸着マスク4、基板固定台17および開口部を有するキャリヤ20の複合体であるキャリアユニット21が、搬送ローラでB方向(水平方向)に移動することにより、基板3の全面所望位置に蒸着材料が蒸着される。基板固定台17は移動するので、基板固定台17は別室であらかじめ冷却手段により冷却されている。また、図示しないローラーを冷却することにより熱伝導でキャリア20を冷却し、蒸着マスク4、基板3を冷却してもよい。実施例5により、本発明がインライン方式にも適用できることを示す。
図9は、実施例6の蒸着装置の縦断面図である。実施例6の特徴は、角度制限板107の基板側端部を、冷却部材6の基板側端部と一致する位置に設けたことである。さらに、角度制限板107と冷却部材6を連結する第1連結部材を設け、この第一連結部に断熱部22を設けて接続した。また、冷却部材6は冷却部12のみでマスク近接冷却板を有しない。
実施例6によれば、角度制限板107と冷却部材6の先端位置が一致するので、蒸発源2からの蒸着粒子は冷却部材6に付着することがなく、冷却部材6のメンテナンスが不要になる。さらに、蒸着粒子の飛散が角度制限板107内に抑えられるので、真空チャンバ汚染が防止でき、蒸着装置のメンテナンスを容易にするとともに、有機層への不純物混入による素子特性劣化が防止できる。また、第一連結部に断熱部22を設けており、角度制限板107の熱が伝わり難く、冷却部材6の温度が低温に保たれ易いので、冷却部材6の外側から基板側ユニット16への輻射熱を防止できる。
図10は、実施例7の蒸着装置の縦断面図である。実施例7の特徴は、角度制限板107の基板側端部は、冷却部材6の基板側端部と一致する位置に設けたことである。さらに、角度制限板107と冷却部材6を連結する第1連結部材を設け、この第一連結部に断熱部22を設けて接続した。また、冷却部材6はマスク近接冷却板13のみでマスク冷却部を有しない。
実施例7によれば、角度制限板107と冷却部材6の先端位置が一致し、蒸発源2からの蒸着粒子は冷却部材6に付着することがないので、マスク近接冷却板のみの冷却部材6のメインテナンスが不要になる。さらに、蒸着粒子の飛散が角度制限板107内に抑えられるので、真空チャンバ汚染が防止でき、蒸着装置のメンテナンスを容易にするとともに、有機層への不純物混入による素子特性劣化が防止できる。
また、冷却部材6はマスク近接冷却板13のみなので、構造が簡単になり、第一連結部に断熱部22を設けており、角度制限板107の熱が伝わり難く、マスク近接冷却板13の温度が低温に保たれ易く、筒状冷却部12のみの冷却部材よりも、基板側からの輻射熱を冷却部材6によって吸収しやすくなるので、基板側ユニット16の昇温をより抑制できる。また、角度制限板107からの輻射熱は真空チャンバン内に散逸し、基板側ユニット16への輻射熱を抑えることができる。
図11は、実施例8の蒸着装置の縦断面図である。図12は、実施例8の蒸着装置の斜視図である。実施例7との違いは、角度制限板107が冷却部材6に接続されず、角度制限板107の基板側端部は、冷却部材6の基板側端部(マスク近接冷却板13の位置)よりも蒸発源側に位置することである。
実施例8によれば、角度制限板107が冷却部材6の先端位置、すなわちマスク近接冷却板13の位置よりも蒸発源側に位置し、空間的に離隔することで絶縁されており、角度制限板107の熱が冷却部材6に熱伝導しないので、マスク近接冷却板13が低温に保たれる。このため、基板側ユニット16の昇温が抑制される。また、角度制限板とマスク近接冷却板の間に空間があるので、角度制限板107の基板側ユニット16への放熱が抑制される。
図13は、実施例9の蒸着装置の縦断面図である。図1の実施例1との違いは、蒸発源2を蒸発源側ユニット15の走査方向Aに複数個並べ、冷却部12とマスク近接冷却板13からなる冷却部材6で全体を覆い、複数の角度制限板207を用いて、各蒸発源2から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域18を等しくしたことである。
例えば、有機層の成膜において、上の蒸発源2には主たる有機材料を、下の蒸発源2には有機ドーパント材料を収容して蒸発させることにより、ドーパントの入った有機層を形成することができる。また、電極形成において、上の蒸発源2にはAgを、下の蒸発源2にはMgを収容して蒸発させることにより、MgAg電極層を形成することができる。
図12と同様に、ある蒸着材料の蒸着に、蒸発源2を移動する方向Aに垂直な方向(紙面垂直方向)に並べて、各蒸発源からの上記の重ね合せにより基板3上で垂直な方向(紙面垂直方向)に一様な蒸着粒子分布になるようにする。さらに、図13のように、蒸発源2の下に他の蒸着材料を収容した蒸発源2を同様に並べる。すなわち、基板3、蒸着マスク4、開口部5、角度制限板207と、蒸発源2を相対的に移動する方向または垂直な方向の少なくとも一方向に複数の蒸発源を並べる。これらの蒸発源2群を有する蒸発源側ユニット15をA方向に走査することにより、基板3全面の所望位置に蒸着、成膜する。
図13では、角度制限板207を断面図表示で4枚使用したが、図14のように、中央の2枚をまとめて角度制限板307とし、断面図表示で3枚としてもよい。
実施例9によれば、実施例1と同様な効果を得ながら、複数の蒸着材料を共蒸着する装置を提供することができる。
図15は、実施例10の蒸着装置の縦断面図である。実施例10の特徴は、冷却部材として冷却シート23を用い、冷却シート23は両端がローラー24に巻き取られて固定され、ローラー24は冷却手段により冷却され、基板3、蒸着マスク4に対し、蒸発源2、角度制限板407、冷却シート開口部5が蒸発源2に同期して移動する図示しない移動機構を持つことである。
実施例10によれば、実施例1のマスク近接冷却板13と同様な効果を、より省スペースで実現できる効果がある。
以上で説明した構成では、主に基板3に対して蒸発源2が所定の方向に移動して、基板3に蒸着する構成である。しかし、本発明は、蒸発源2が固定され、基板3が所定の方向に移動する構成の蒸着装置に対しても適用することができる。すなわち、基板3に均一な蒸着膜を形成するには、基板3と蒸発源2とが相対的に移動すればよい。また、前述した各実施形態の諸組み合わせで、可能なもの全てが本発明として実施可能であることは言うまでもない。
以上、諸実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
本発明の各実施例のそれぞれについての効果を、整理して述べると以下の通りである。
(1)蒸発源と蒸着マスクとの間に開口部を有する冷却部材が設けられることにより、蒸発源から基板への輻射熱を低減することができ、蒸発源からの輻射熱による蒸着マスクと基板の合せずれ防止、および有機層の昇温ダメージ防止ができ、冷却部材の開口部から蒸発源の開口部との間に先端が位置する角度制限板が設けられることにより、蒸発源の開口部から飛散する蒸着粒子の冷却部材への飛散領域を狭めることができ、真空チャンバ内の汚染を低減し、蒸着装置のメンテナンス時間短縮、メンテナンス周期の長期化など、メンテナンスを容易にする効果がある。
(2)蒸発源から基板への輻射熱を低減することができる他に、冷却部材の開口部が蒸発源から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域以上であるので、飛散する蒸着粒子の冷却部材への飛散を著しく軽減され、冷却部材への汚染が著しく低減でき、蒸着装置のメンテナンス時間短縮、メンテナンス周期の長期化など、メンテナンスをより容易にする効果がある。
(3)蒸発源から基板への輻射熱を低減することができる他に、冷却部材の開口部から蒸発源の開口部との間に先端が位置する角度制限板が設けられ、蒸発源から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域が、角度制限板により冷却部材に対して制限されることにより、蒸発源の開口部から飛散する蒸着粒子の冷却部材への飛散領域を狭めることができ、真空チャンバ内の汚染を低減し、蒸着装置のメンテナンス時間短縮、メンテナンス周期の長期化など、メンテナンスを容易にする効果がある。
(4)蒸発源から基板への輻射熱を低減することができる他に、蒸着粒子飛散領域が、角度制限板によって規定され、冷却部材の開口部が蒸発源から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域以上なので、飛散する蒸着粒子の冷却部材への飛散を著しく軽減され、冷却部材への汚染が著しく低減でき、メンテナンスをより容易にする効果がある。
(5)冷却部材は、冷却手段を有し、冷却部材をより冷却制御できるので、基板、マスク温度上昇をより抑制され、蒸着マスクと基板の合せずれ、有機層の昇温ダメージ防止でき、さらに、汚染物質が冷却部材にトラップされ易くなり、真空チャンバ内の汚染がより効果的にできるため、有機層への不純物混入による素子特性が劣化することを防止できる効果がある。
(6)蒸発源冷却板と冷却部材とが接続されているので、蒸発源と冷却部材およびその開口部を同期して移動させることができ、基板側を固定して蒸発源を走査して蒸着する蒸着装置を提供することもできる効果がある。
(7)冷却部材の内側の少なくとも一部が、冷却部材表面材に比べて輻射率の高い高輻射材で覆われており、
蒸発源からの輻射熱を効果的に吸収、冷却されるので、蒸発源からの輻射熱による蒸着マスクと基板の合せずれ防止、有機層の昇温ダメージ防止をより効果的に行うことができる。
(8)冷却部材が、蒸発源から基板側に伸びた筒状冷却部であり、蒸発源から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域が、筒状冷却部の開口部以上には広がらないので、真空チャンバ内の汚染を防止し、メンテナンスを容易にする効果がある。
(9)冷却部材に加熱手段を設けることにより、冷却部材の温度調節ができ、基板と蒸着マスクの合せずれ防止をより効果的に行うことができる。
また、メンテナンス時には、加熱手段により冷却部材の汚染物をベーキングにより清浄化することができる効果がある。
(10)角度制限板の基板側端部は、冷却部材の基板側端部よりも蒸発源側に位置し、角度制限板の基板側端部と基板との間に、冷却部材の角度制限板に隠されない露出部分が存在するので、この部分で蒸発源からの輻射熱を吸収し、基板への輻射熱を低減することができる。
これにより、基板と蒸着マスクの合せずれ防止、有機層の昇温ダメージ防止を効果的に行うことができる。
(11)角度制限板と冷却部材の先端位置が一致するので、蒸発源からの蒸着粒子は冷却部材に付着することがないので、冷却部材のメインテナンスが不要になる。
さらに、蒸着粒子の飛散がほとんど角度制限板内に抑えられるので、真空チャンバ汚染が防止でき、
蒸着装置のメンテナンスを容易にするとともに、有機層への不純物混入による素子特性劣化が防止できる。
(12)蒸発源を複数個並べ、複数の角度制限板により、蒸発源から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域を等しくすることにより、複数の蒸着材料を共蒸着できる蒸着装置を提供することができる。
(13)蒸着マスクと反対側で基板を支持する基板固定台が、冷却手段または温度制御手段を有し、前期冷却部材の冷却手段と独立に制御されるので、基板と蒸着マスクを最適な温度に制御できる。これにより、基板と蒸着マスクの合わせずれを効果的に防止することができる。
(14)冷却部材は冷却シートであり、冷却シートは両端がローラーに巻き取られて固定され、ローラーは冷却手段により冷却されることにより、冷却シートが冷却され、基板、蒸着マスクに対し、蒸発源、角度制限板、冷却シート開口部を同期して移動させることにより、基板全面に蒸着材料を蒸着することができ、蒸着マスクと基板の合せずれ防止、有機層の昇温ダメージ防止ができる。
以上の実施例1から実施例10までに述べた本発明は、上記の形態のみに制限されず、上記で述べた様々な組合わせも含まれる。また、有機EL表示装置や照明装置に用いられる有機EL素子を製造する工程を例にして述べたが、磁気テープ、お菓子の袋のAl内装等、他分野の蒸着工程を含むものの全てに適用可能であることは言うまでもない。
本発明は、蒸着装置に関し、特に、有機材料および金属材料を蒸発させて基板上に薄膜を形成するために有効な蒸着装置に利用可能である。
1…蒸発源冷却板
2…蒸発源
3…基板
4…蒸着マスク
5…開口部
6…冷却部材
7、107、207、307、407…角度制限板
8…ノズル
9…坩堝
10…加熱手段
11…リフレクタ
12…筒状冷却部
13…マスク近接冷却板
14…高輻射材
15…蒸発源側ユニット
16…基板側ユニット
17…基板固定台
18…蒸発粒子飛散領域
19…棒状接続部
20…断熱材
21…キャリヤ
22…断熱部
23…冷却シート
24…ローラー
25…開口部

Claims (22)

  1. 蒸発源冷却板を有する蒸発源と、基板と、マスクを有し、蒸発源から噴出する蒸着粒子を含む蒸気を前記マスクを通して前記基板に蒸着する蒸着装置であって、前記蒸発源と前記マスクとの間に開口部を有する冷却部材を設け、前記蒸着粒子の噴出方向における前記冷却部材の開口部と前記蒸発源の開口部との間に先端が位置する角度制限板を設け、前記基板及び前記マスクと、前記蒸発源及び前記角度制限板及び前記冷却部材の開口部とを相対的に移動可能に設けたことを特徴とする蒸着装置。
  2. 請求項1に記載された蒸着装置において、前記冷却板開口部は、前記蒸発源から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域以上の大きさを有することを特徴とする蒸着装置。
  3. 請求項1に記載された蒸着装置において、前記角度制限板により前記蒸発源から噴出する蒸気の蒸着粒子飛散領域が前記冷却部材に対して制限されたことを特徴とする蒸着装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記冷却部材は冷却手段を有することを特徴とする蒸着装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記蒸発源冷却板と前記冷却部材とが接続されたことを特徴とする蒸着装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記冷却部材の内側の少なくとも一部が、前記冷却部材表面材に比べて輻射率の高い高輻射材で覆われたことを特徴とする蒸着装置。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記冷却部材は、マスク近傍に設けられ、開口部を有し前記基板に平行に配置されたマスク近接冷却板を有することを特徴とする蒸着装置。
  8. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記冷却部材は、前記基板側に開口部を有し、前記蒸発源から基板側に伸びた筒状冷却部を有することを特徴とする蒸着装置。
  9. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記冷却部材は、マスク近傍に設けられ、開口部を有し前記基板に平行に配置された板状のマスク近接冷却板と、前記蒸発源から基板側に伸びた筒状冷却部からなることを特徴とする蒸着装置。
  10. 請求項9に記載された蒸着装置において、前記蒸着粒子の噴出方向における前記マスク近接冷却板と前記筒状冷却部の間に、開空間を有することを特徴とする蒸着装置。
  11. 請求項9に記載された蒸着装置において、前記蒸着粒子の噴出方向における前記冷却部材と前記蒸発源冷却板の間に、開空間を有することを特徴とする蒸着装置。
  12. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記冷却部材に加熱手段を設けたことを特徴とする蒸着装置。
  13. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記角度制限板は前記蒸発源冷却板に固定されたことを特徴とする蒸着装置。
  14. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記角度制限板は前記冷却部材に間接的に接続されたことを特徴とする蒸着装置。
  15. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記角度制限板は前記蒸発源冷却板に直接に接続されたことを特徴とする蒸着装置。
  16. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記角度制限板の基板側端部は、前記蒸着粒子の噴出方向における前記冷却部材の基板側端部よりも前記蒸発源側に位置することを特徴とする蒸着装置。
  17. 請求項1乃至5のいずれかに記載された蒸着装置において、前記角度制限板の基板側端部を、前記冷却部材の基板側端部と一致する位置に設けたことを特徴とする蒸着装置。
  18. 請求項5に記載された蒸着装置において、前記マスクと反対側で前記基板を支持する基板固定台は温度制御手段を有し、該冷却手段または温度制御手段は前記冷却部材の冷却手段と独立に制御されることを特徴とする蒸着装置。
  19. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記角度制限板と前記冷却部材を連結する第1連結部材を設け、前記蒸発源冷却板と前記冷却部材を連結する第2連結部材を設け、前記第1連結部材または前記第2連結部材の少なくとも一方に断熱部を設けたことを特徴とする蒸着装置。
  20. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記蒸発源を複数個並べ、前記角度制限板を複数個設けて、前記複数の蒸発源から噴出する各蒸気の蒸着粒子飛散領域を等しく設定したことを特徴とする蒸着装置。
  21. 請求項20に記載された蒸着装置において、前記基板及び前記マスクと、前記冷却部材の開口部及び前記角度制限板及び前記蒸発源とを相対的に移動する方向またはこれと垂直な方向の少なくとも一方向に、前記複数の蒸発源を並べたことを特徴とする蒸着装置。
  22. 請求項1乃至3のいずれかに記載された蒸着装置において、前記冷却部材は開口部を有する冷却シートからなり、該冷却シートは両端がローラーに巻き取られて固定され、該ローラーは冷却手段により冷却され、前記基板及び前記マスクに対し、前記蒸発源及び前記角度制限板及び前記冷却シート開口部を移動可能に設けたことを特徴とする蒸着装置。
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