JP5937914B2 - プロセスチーズ類の製造方法、チーズ入り食品の製造方法、プロセスチーズ類、チーズ入り食品 - Google Patents

プロセスチーズ類の製造方法、チーズ入り食品の製造方法、プロセスチーズ類、チーズ入り食品 Download PDF

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Description

本発明は、プロセスチーズ類の製造方法、チーズ入り食品の製造方法、プロセスチーズ類、チーズ入り食品に関する。
チーズはそのまま食す以外に食品素材として用いられることがある。例えばチーズを他の食品素材と組み合わせて複合食品としたり、該複合食品を調理する(焼く、煮る、揚げる等)ことが行われる。食品素材として用いられる場合、チーズには、用途に応じて様々な機能性を求められる。例えばチーズに衣を付けて揚げる、水産練り製品に練りこんで揚げる等の油ちょう用途においては、高温の油中にて形状が崩れたり成分が溶出しないこと(耐油ちょう性)が求められる。
しかし、そのまま食されるようなプロセスチーズ類は耐油ちょう性が低く、油ちょう時にチーズの形状が崩れたり、チーズが溶出して油中に分散する問題が生じる。この問題は、プロセスチーズ類やこれを含む食品を、衣をつけずに素揚げした場合に顕著である。一般に食品素材を高温の油に投入すると、表面の水分が瞬間的に沸騰し蒸発する(揚げ物をする際に泡が出るのはこのためである)と同時に、油に直接接した部分は短時間で蛋白質等が熱変性し硬化する。食品素材の表面に硬い殻が出来た状態となるので、表面のみがサクッとした食感となり内部は水分が保たれ、軟らかさが残る。ところがプロセスチーズ類やこれを含む食品を素揚げした場合、油に直接接したチーズの表面が硬化せず、そのまま油中に溶出してしまう。
プロセスチーズ類は、ナチュラルチーズに水、溶融塩等を配合して加熱溶融し、乳化し、これを所定の形状として冷却、固化することにより製造されており、ナチュラルチーズに添加する成分の種類や配合量、各種製造条件を調整することにより、プロセスチーズ類に様々な機能性や形状を持たせることが行われている。
プロセスチーズ類を調理・加工用途で使用できるように、耐熱性、耐水性、耐油ちょう性等を付与する方法も検討されている。このような方法としては、ナチュラルチーズに、通常は添加されない他の成分を添加する方法が数多く検討されている。例えばアルブミンを添加する方法(特許文献1)、キトサンを添加する方法(特許文献2)、ポリリジンを添加する方法(特許文献3)、酸化澱粉、エステル化澱粉及びエーテル化澱粉から選ばれた1種以上の澱粉を添加する方法(特許文献4)、水酸化カルシウムを添加する方法(特許文献5)、ホエイタンパク質を添加する方法(特許文献6)等が提案されている。
また、ナチュラルチーズや溶融塩についての検討も行われている。例えば前述の特許文献6には、溶融塩としてピロリン酸塩と他の溶融塩との混合物を用いることが提案されている。また、原料チーズに、αSカゼイン比率が25重量%以上のチーズを20重量%以上含有させる方法が提案されている(特許文献7、8)。
特公昭54−92654号公報 特公平3−19649号公報 特公平4−152840号公報 特開平6−153791号公報 特開2005−295857号公報 特開2011−244791号公報 特開平10−262558号公報 特開平11−103773号公報
しかし、特許文献1〜8記載の方法により得られるプロセスチーズ類は、耐油ちょう性が充分ではない場合がある。
また、特許文献1〜6記載の方法によりプロセスチーズ類を製造する場合、アルブミン、キトサン、ポリリジン、澱粉、水酸化カルシウム、ホエイタンパク質等を添加するため、アレルゲンや添加物、原材料の表示が必要になると共に、チーズ本来の風味や組織を損ねたりする場合がある。
特許文献7、8記載の方法によりプロセスチーズ類を製造する場合、ナチュラルチーズの準備や需給に手間がかかる。また、安定剤等の添加も必要となる。
したがって、調理・加工用途に使用できるプロセスチーズ類、特に、耐油ちょう性に優れ、油ちょう用途において有用なプロセスチーズ類を、できるだけシンプルな原料を使用して簡便に(プロセスチーズ類を製造する上で必要な成分以外の余計な成分(例えば、ナチュラルチーズおよび溶融塩以外に、アレルゲンや添加物、原材料の表示が必要な成分)を用いたり、準備や需給に手間がかかる原料を用いることなく)製造できる技術が求められる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、耐油ちょう性に優れたプロセスチーズ類を簡便に製造できる製造方法、該製造方法を用いたチーズ入り食品の製造方法、耐油ちょう性に優れたプロセスチーズ類、該プロセスチーズ類を用いたチーズ入り食品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、ナチュラルチーズに、溶融塩としてピロリン酸塩を、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.5質量%となる量で添加するとともに、脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下となるように乳化を行うことで、ナチュラルチーズと溶融塩以外の原料を用いなくても、優れた耐油ちょう性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、ナチュラルチーズに溶融塩を添加して加熱溶融し、乳化して乳化物を得る工程を含むプロセスチーズ類の製造方法であって、
前記溶融塩が、ピロリン酸塩30〜95質量%と、ピロリン酸塩以外の溶融塩70〜5質量%とからなり、
前記ピロリン酸塩の添加量が、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.2質量%となる量であり、かつ前記溶融塩の全量が、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.4〜1.5質量%となる量であり、
前記乳化が、得られる乳化物に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下となるように行われ、
前記プロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下であり、
前記プロセスチーズ類は、前記ナチュラルチーズおよび前記溶融塩のみからなるプロセスチーズ類、または前記ナチュラルチーズ、前記溶融塩、および下記成分(P)から選ばれる1種以上のみからなるプロセスチーズ類である、ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法である。
成分(P):乳蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質、バター、バターオイル、大豆油、ヤシ油、菜種油、米油、食塩、糖質、香辛料、アミノ酸、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、グリセライド類、グリセリン脂肪酸エステル、寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、キサンタンガム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ナイシン、重曹、乳酸、クエン酸、酢酸、色素および香料からなる群。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の製造方法によりプロセスチーズ類を製造する工程と、
前記プロセスチーズ類と他の食品素材とを組み合わせて複合食品とする工程と、
前記複合食品を70〜200℃の油脂で加熱する工程と、
を含むチーズ入り食品の製造方法である。
本発明の第三の態様は、ナチュラルチーズおよび溶融塩のみからなるプロセスチーズ類、またはナチュラルチーズ、溶融塩、および前記成分(P)から選ばれる1種以上のみからなるプロセスチーズ類であって、
前記溶融塩が、ピロリン酸塩30〜95質量%と、ピロリン酸塩以外の溶融塩70〜5質量%とからなり、
前記ピロリン酸塩の含有量が、当該プロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.2質量%であり、かつ前記溶融塩の全量が当該プロセスチーズ類の総質量の0.4〜1.5質量%であり、
当該プロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下であることを特徴とするプロセスチーズ類である。
本発明の第四の態様は、前記第三の態様のプロセスチーズ類と他の食品素材とを組み合わせてなる複合食品を、油ちょうしてなるチーズ入り食品である。
本発明によれば、耐油ちょう性に優れたプロセスチーズ類を簡便に製造できる製造方法、該製造方法を用いたチーズ入り食品の製造方法、耐油ちょう性に優れたプロセスチーズ類、または該プロセスチーズ類を用いたチーズ入り食品を提供できる。
試験例1で製造した試料No.1〜6のプロセスチーズについて、耐油ちょう性を評価した結果を示す写真である。 実施例4で製造した、枝豆とチーズを含む水産練り製品(天ぷら)の写真である。 実施例5で製造した、チーズを含むゴボウ天風の水産練り製品(天ぷら)の写真である。
<プロセスチーズ類の製造方法>
本発明の第一の態様は、ナチュラルチーズにピロリン酸塩を含有する溶融塩を添加して加熱溶融し、乳化して乳化物を得る工程(以下、溶融乳化工程ということがある。)を含むプロセスチーズ類の製造方法であって、前記ピロリン酸塩の添加量が、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.5質量%となる量であり、前記乳化が、得られる乳化物に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下となるように行われることを特徴とする。
溶融塩としてピロリン酸塩を特定量添加し、かつ脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下となるように乳化を行うことで、優れた耐油ちょう性が得られる。例えば当該プロセスチーズ類を素揚げした場合でも、形状の崩れが生じにくい。
また、溶融塩として特定のものを用い、乳化条件を調整するだけで優れた耐油ちょう性が得られることから、余計な成分(例えばアレルゲンや添加物、原材料の表示が必要な成分)をさらに添加したり、準備や需給に手間がかかる原料を用いる必要がなく、製造が容易である。また、余計な成分を添加することによるプロセスチーズ類の風味の劣化も生じない。
前記乳化物に含まれる脂肪球の平均粒子径は、製造されるプロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径と一致する。
そのため、本態様の製造方法によれば、溶融塩を含有するプロセスチーズ類であって、前記溶融塩がピロリン酸塩を含有し、前記ピロリン酸塩の含有量が、当該プロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.5質量%であり、当該プロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下であるプロセスチーズ類、つまり本発明の第三の態様のプロセスチーズ類が得られる。
本発明において「プロセスチーズ類」は、乳等省令(「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」、昭和26年12月27日厚生省令第52号)及び公正競争規約に定められるプロセスチーズ及びチーズフード、ならびにナチュラルチーズを加熱溶融し、乳化する工程を経て得られるその他のチーズを意味し、チーズスプレッドを含むものとして定義される。
乳等省令において、プロセスチーズは、以下のように定められている。
すなわち、プロセスチーズとは、1種以上のナチュラルチーズを用いて食品衛生法で認められている添加物を添加するか又は添加せず粉砕し、混合し、加熱溶融し、乳化してつくられるもので乳固形分が40%以上のものをいう。乳固形分が40%未満のものはチーズフードに分類される。
また公正競争規約において、プロセスチーズは、以下のように定められている。
すなわち、プロセスチーズは、乳固形分(乳脂肪と乳蛋白質の総量)を40%以上含み、ナチュラルチーズ以外の添加成分として、脂肪量調整のためのクリーム、バター、バターオイルを含有することができる。水を含んでもよい。その他の添加成分として、味、香り、栄養成分、機能性および物性を付与する目的の食品を、製品の固形分重量の1/6以内で含有することができる。該その他の添加成分として前記クリーム、バター、バターオイル以外の乳等を添加する場合は、製品中における乳糖含量が5質量%を超えない範囲、かつ、製品の固形分重量の1/6以内とする。
チーズフードは、1種以上のナチュラルチーズ又はプロセスチーズを用いて、食品衛生法で認められている添加物を添加するか、又は添加せず粉砕し、混合し、加熱溶融してつくられるもので、製品中にチーズ分51質量%以上を含むものをいう。
本発明におけるプロセスチーズ類は、プロセスチーズまたはチーズフードであることが好ましく、プロセスチーズであることが特に好ましい。
以下、本態様の製造方法についてより詳細に説明する。
溶融乳化工程では、まず、ナチュラルチーズに対し、ピロリン酸塩を含む溶融塩、必要に応じて水、他の任意の成分等を添加して原料混合物を得る。得られた原料混合物を、ナチュラルチーズが溶融するように加熱し、乳化(均質化)を行う。
[ナチュラルチーズ]
ナチュラルチーズとしては、乳等省令において定められるナチュラルチーズを用いることができる。ただし、ナチュラルチーズの原料である乳は、乳等省令で定義される乳(生乳、牛乳、特別牛乳、生やぎ乳、生めん羊乳、殺菌やぎ乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳等)のほかに、水牛の乳、ラクダの乳など、チーズの原料として公知の動物一般の乳も含むことができる。
本態様においては、ナチュラルチーズとして、耐油ちょう性を付与するために、脂肪含量の低いナチュラルチーズや熟成度の低いナチュラルチーズを特に選んで使用する必要はなく、プロセスチーズに通常使用されるナチュラルチーズが使用できる。
ナチュラルチーズは、チーズから脂肪を除いた重量中の水分含量(MFFB)に基づいて、軟質チーズ、半硬質チーズ、硬質チーズ、および特別硬質チーズに分類される。本工程で用いるナチュラルチーズとしては、製造上の水分調整およびチーズ組織の適正化が比較的容易である点で、半硬質チーズ、硬質チーズ、および特別硬質チーズからなる群から選ばれる1種以上のナチュラルチーズが好ましい。
半硬質チーズの具体例としては、モッツァレラ、ストリング、エダム(ソフトエダム)、ステッペン、サムソー、マリボー、エグモント、チルジット、ダンボー、ロックフォール、ブルー、クリームハバティが挙げられる。
硬質チーズの具体例としては、エダム(ハードエダム)、ゴーダ、チェダー、エメンタール、グリィエール、プロボローネが挙げられる。
特別硬質チーズの具体例としては、パルメザン、グラナ、パルミジャーノレッジャーノ、ペコリーノ・ロマーノ、スブリンツが挙げられる。
これらのうち、製造上の水分調整およびチーズ組織の適正化が容易である点でチェダー、ゴーダ、エグモント、サムソーが好ましく、チェダー、ゴーダがより好ましい。
ナチュラルチーズとしては、予め粉砕された粉砕物を用いることが好ましい。
[溶融塩]
ナチュラルチーズには、溶融塩として少なくともピロリン酸塩を添加する。
溶融塩としてのピロリン酸塩としては、公知のものが利用でき、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。具体例としては、ピロリン酸四ナトリウム(無水)、ピロリン酸四ナトリウム(結晶)、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸水素三ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸二水素カルシウム等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ピロリン酸塩としては、ピロリン酸のナトリウム塩が好ましく、ピロリン酸四ナトリウム(無水)、ピロリン酸四ナトリウム(結晶)、ピロリン酸二水素二ナトリウムが特に好ましい。
ピロリン酸塩の添加量は、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.5質量%となる量であり、0.4〜1.2質量%となる量が好ましく、0.4〜1.0質量%となる量が特に好ましい。
ナチュラルチーズには、ピロリン酸塩以外の溶融塩を添加してもよい。ピロリン酸塩以外の溶融塩を添加することで、得られるプロセスチーズ類の風味、食感等を向上させることができる。
ピロリン酸塩以外の溶融塩としては、チーズの分野において公知の溶融塩を適宜使用でき、例えばオルソリン酸塩(リン酸水素二ナトリウム(無水)、リン酸水素二ナトリウム(結晶)、リン酸二水素ナトリウム(無水)、リン酸二水素ナトリウム(結晶)、リン酸三ナトリウム(無水)、リン酸三ナトリウム(結晶)等)、ポリリン酸塩(ポリリン酸ナトリウム等)、メタリン酸塩(メタリン酸ナトリウム等)、クエン酸塩(クエン酸三ナトリウム等)、等が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ピロリン酸塩以外の溶融塩の添加量は、耐油ちょう性を考慮すると、ナチュラルチーズに添加する溶融塩の全量に対するピロリン酸塩の割合が30質量%以上となる量であることが好ましい。ピロリン酸塩の割合が30質量%未満になると、耐油ちょう性の向上効果が充分に得られないおそれがある。溶融塩の全量に対するピロリン酸塩の割合は、60質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
溶融塩の全量に対するピロリン酸塩の割合の上限は、耐油ちょう性の観点からは特に限定されず、100質量%であってもよい。得られるプロセスチーズ類の風味、食感等を考慮すると、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
これらを考慮すると、ナチュラルチーズに添加する溶融塩は、ピロリン酸塩30〜100質量%と、ピロリン酸塩以外の溶融塩70〜0質量%とを含むものであることが好ましく、ピロリン酸塩60〜95質量%と、ピロリン酸塩以外の溶融塩40〜5質量%とを含むものであることがより好ましく、ピロリン酸塩80〜90質量%と、ピロリン酸塩以外の溶融塩20〜10質量%とを含むものであることが特に好ましい。
ナチュラルチーズに添加する溶融塩の全量は、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.3〜2.0質量%となる量が好ましく、0.4〜1.5質量%となる量がより好ましく、0.5〜1.2質量%となる量がさらに好ましい。
[水]
溶融乳化工程では、通常、加熱溶融前に、水がナチュラルチーズに添加される。
加熱溶融前に添加する水の量は、製造するプロセスチーズ類の水分量に応じて、ナチュラルチーズ中の水分、スチームを吹き込んで加熱する場合は該スチームにより添加される水量等を考慮して適宜設定される。
[他の任意成分]
前記ナチュラルチーズに対し、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、溶融塩以外の成分を添加してもよい。溶融塩以外の成分としては、プロセスチーズ類が含有してもよい成分として公知の成分を用いることができる。例えば、蛋白質、脂肪、調味料、溶融塩以外の乳化剤、増粘安定剤、ゲル化剤、保存料、pH調整剤、色素、香料等が挙げられる。
蛋白質としては、乳等を主要原料とするカゼイン等の乳蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質等が挙げられる。
脂肪としては、バター、バターオイル、大豆油、ヤシ油、菜種油、米油等が挙げられる。
調味料としては、食塩、糖質、香辛料、アミノ酸等が挙げられる。
溶融塩以外の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、グリセライド類、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
増粘安定剤およびゲル化剤としては、寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、キサンタンガム等が挙げられる。
保存料としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ナイシン等が挙げられる。
pH調整剤としては、重曹、乳酸、クエン酸、酢酸等が挙げられる。
得られた原料混合物の加熱、乳化は、常法により実施できる。例えば通常のプロセスチーズの製造に用いられる乳化機を用いて実施できる。
例えば上記の各原料を乳化機に投入し、それらの原料を撹拌しながら、所定の最終到達温度となるように加熱処理する。このときの加熱処理は、殺菌処理も兼ねている。
加熱処理は、好ましくは、直接蒸気を吹き込む方式、または蒸気を用いて間接的に加熱する方式にて行われる。
最終到達温度は、通常のプロセスチーズ等の最終到達温度と同様であってよく、85℃〜90℃程度が好ましい。
原料混合物の温度が最終到達温度に達したら、その温度を維持したまま乳化(均質化)処理を行って乳化物を得る。本態様においては、この乳化処理を、得られる乳化物に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下となるように行う。これにより、優れた耐油ちょう性が得られる。該脂肪球の平均粒子径は、耐油ちょう性の点から、3.6μm以下が好ましく、2.7μm以下がより好ましい。該平均粒子径の下限は、耐油ちょう性の観点では特に限定されない。
乳化物における脂肪球の平均粒子径は、得られるプロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径と一致する。そのため、プロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径を測定し、その値を乳化物における脂肪球の平均粒子径として用いることができる。
プロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径は、プロセスチーズ類の断面を走査電子顕微鏡で観察し、無作為に選択した100個の脂肪球の直径を測定し、それらの平均値を算出することにより求めることができる。
脂肪球の平均粒子径を3.6μm以下とし得る乳化方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。これらの中でも、追加設備のコスト、設置場所、メンテナンスコスト、製造効率の点で、(1)の方法が好ましい。
(1)せん断用の撹拌羽根を備える乳化機を使用し、該撹拌羽根の回転速度を調節する方法。
(2)ホモゲナイザーを使用し、均質圧力を調節する方法。
(3)ホモミキサー、ラインミキサー、マスコロイダー等を使用し、回転数を調節する方法。
(4)マルチミキサーを使用し、流量を調節する方法。
なお、(1)の方法の場合、撹拌羽根の回転速度が大きいほど、脂肪球の平均粒子径が小さくなる傾向がある。
せん断用の撹拌羽根としては、カッター刃等が挙げられる。
せん断用の撹拌羽根を備える乳化機としては、撹拌羽根を500rpm以上の回転数で回転させることができるものが好ましく、例えばステファン社製のクッカー、ニチラク社製のクッカー等が挙げられる。
(1)の方法において、回転数が同じでも、乳化機のスケール、該乳化機が備える撹拌羽根の種類等によって脂肪球の平均粒子径は異なってくる。そのため、脂肪球の平均粒子径を3.6μm以下とするために必要な回転数は、使用する乳化機によって異なるが、通常、500〜1500rpm程度である。
上記のようにして得られた乳化物を、例えば容器に充填する等の常法により成形し、冷却して固化させる。これによりプロセスチーズ類が得られる。
冷却は、徐冷でも急冷でもよい。徐冷とは、冷却前の乳化物の温度よりも高く且つ該乳化物が固化する温度(以下、固化温度)よりも高い温度(例えば50℃)で一定時間(例えば3時間)保持した後に冷蔵することをいい、急冷とは、例えば、容器に充填した乳化物を流水、チルド水、氷水などに浸漬する方法が挙げられる。チルドとは、JAS法により5℃以下とされている。なお、徐冷では、充填されたチーズを保温するための設備等が必要となったり、工程が複雑化されることが予測されるため、冷却は急冷が好ましい。
プロセスチーズ類には、副材料(具材)としての食品を含有させることができる。
この場合、該副材料を、加熱前のナチュラルチーズに添加してもよく、乳化後、冷却する前の乳化物に添加してもよい。
該副材料としては、肉類(例えば、ハム、ベーコン、サラミ等の食肉加工品)、魚介類(例えば水産加工品)、野菜、アーモンド等の植物の種子などの食品を粉砕した食品粉砕物;七味唐辛子や粉山葵等の粉末食品;明太子等のペースト状食品;ソースやシロップ等の液状食品が挙げられる。これらは一種あるいは複数種、適宜選択して使用することができる。
上記のように乳化物を冷却、固化して得られたプロセスチーズ類に、さらに加工を施してもよい。
例えば該プロセスチーズ類を任意の形状にカットしてもよい。
また、該プロセスチーズ類やこれをカットしたものに対し、油ちょうする、液体油脂や粉末油脂を塗布した後に焼成する等の処理を施してもよい。
本発明の第一の態様の製造方法により得られたプロセスチーズ類(第三の態様のプロセスチーズ類)は、そのまま食す用途に用いることができるが、好適には、食品素材として用いられる。食品素材としてのプロセスチーズ類は、他の食品素材と組み合わせてチーズ入り食品とされる。前記プロセスチーズ類は、耐油ちょう性に優れることから、耐油ちょう性が要求されるチーズ入り食品、例えば第二の態様に示すような、他の食品素材と組み合わせて複合食品とする工程と、これを70〜200℃の油脂で加熱(油ちょう)する工程とを経て得られるチーズ入り食品用として好適である。ただし本発明はこれに限定されるものではなく、耐油ちょう性が要求されないチーズ入り食品にも用いることができる。
プロセスチーズ類と組み合わせる他の食品素材としては特に制限はなく、従来、チーズ入り食品の製造にチーズ類と組み合わせて用いられている各種食品素材を用いることができる。
チーズ入り食品は、例えば他の食品素材と組み合わせただけのものであってもよく、他の食品素材と混合し、調理(揚げる、焼く、煮る等)したものであってもよい。チーズ入り食品の具体例としては、例えば水産練り製品(竹輪磯辺揚げ等の天ぷら類やフライ類、チーズ竹輪、チーズ蒲鉾等)、豆腐加工品(がんもどき、揚げ)、パン類(揚げパン等)、菓子類(ドーナツ、ワッフル、揚げ菓子、揚げ米菓、スナック菓子等)、珍味(フライ類)、レトルト食品(カレー類、調理缶詰、ペットフード等)、食肉加工品(ハンバーグ、肉団子、つくね、ささみフライ、チキンナゲット、メンチカツ、ハムカツ、サラミ、ウィンナー、ソーセージ等)、総菜(おにぎり、巻き寿司、サラダ、サンドイッチ等)、それらの冷凍品、調味料(ドレッシング等)等が挙げられる。
<チーズ入り食品の製造方法>
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の製造方法によりプロセスチーズ類を製造する工程と、
前記プロセスチーズ類と他の食品素材とを組み合わせて複合食品とする工程と、
前記複合食品を70〜200℃の油脂で加熱する工程と、
を含むチーズ入り食品の製造方法である。
プロセスチーズ類を製造する工程については、前記第一の態様の製造方法で説明したとおりである。
複合食品とする工程にて、プロセスチーズ類と組み合わせる他の食品素材としては特に制限はなく、製造しようとするチーズ入り食品に応じて適宜選択できる。本態様の製造方法で製造するチーズ入り食品は、前述したチーズ入り食品のうち、油ちょう処理が行われている任意のチーズ入り食品であってよい。
複合食品を70〜200℃の油脂で加熱する方法は、通常の油ちょう処理と同様に実施できる。油脂の温度(加熱温度)は、150〜200℃が好ましい。なお、前記温度範囲で、減圧下、例えば30torr以下、の条件で加熱する「バキュームフライ」の方法で製造することも可能である。
上述したように、本発明の第一の態様の製造方法により得られるプロセスチーズ類は、第三の態様のプロセスチーズ類に相当する。そのため、本態様の製造方法により得られるチーズ入り食品は、第四の態様のチーズ入り食品に相当する。
本発明の第一の態様の製造方法により得られたプロセスチーズ類(第三の態様のプロセスチーズ類)は、耐油ちょう性に優れることから、これを含有する複合食品を70〜200℃の油脂で加熱(油ちょう)したときに、形状の崩れが生じにくい。そのため、本態様の製造方法により得られるチーズ入り食品(第四の態様のチーズ入り食品)は、外観に優れる。
また、該プロセスチーズ類は、耐水性、耐熱湿性等にも優れる。そのため、水分量の多い他の食品素材と組み合わせた場合でも、油ちょう後に、経時的に吸水して形状が崩れたり、さらに煮込み等の処理を行ったときに吸水して形状が崩れる等の問題が生じにくい。
また、本態様の製造方法によれば、プロセスチーズ類の製造時に余計な成分を添加することによる風味の劣化を抑制できるため、風味の良好なチーズ入り食品が得られる。
次に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の各例(試験例、実施例、比較例)において、百分率は、特に断りのない限り、質量による表示である。
各例(試験例、実施例、比較例)において使用した原料、測定方法、評価方法は以下のとおりである。
<使用原料>
チェダーチーズ(ナチュラルチーズ):フォンテラ社製。
ピロリン酸四ナトリウム(結晶):太平化学産業(株)製。
クエン酸三ナトリウム(結晶):昭和化工(株)製。
リン酸水素二ナトリウム(結晶):米山化学工業(株)製。
キトサン:焼津水産化学工業(株)製。
ポリリジン:三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、ε−ポリリジン50%粉末。
リン酸三カルシウム:太平化学産業(株)製。
なお、後述する各例(試験例、実施例、比較例)で使用した原料のうち、ピロリン酸四ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムについては、無水物換算での使用量を記載した。すなわち、これらの溶融塩については結晶(水和物)を使用したため、下記のそれぞれの分子量から無水物換算での使用量を算出して記載した。
・ピロリン酸四ナトリウム(無水):分子量265.9
・ピロリン酸四ナトリウム(結晶、十水和物):分子量446.05
・クエン酸三ナトリウム(無水):分子量258.07
・クエン酸三ナトリウム(結晶、二水和物):分子量294.14
・リン酸水素二ナトリウム(無水):分子量141.96
・リン酸水素二ナトリウム(結晶、二水和物):分子量177.989
<脂肪球の平均粒子径の測定方法>
各例で製造したプロセスチーズを走査型電子顕微鏡((株)TOPCON製、SM−200)を用い、300〜2000倍程度の倍率に拡大して観察し、解析ソフト(MediaCybernetics.Inc.製、Image−Pro PLUS)により無作為に100個の脂肪球の直径を測定して平均を求めた。
<プロセスチーズの水分量の測定方法>
プロセスチーズの水分量は、水分計(Kett社製、FD−230)により、150℃、30分間の条件で測定した。
<耐油ちょう性の評価方法>
各例で製造したプロセスチーズを、ナイフを使用して20mm×20mm×20mmまたは10mm×10mm×10mmの立方体形状にカットして評価サンプルとした。
20mm×20mm×20mmの評価サンプル3個または10mm×10mm×10mmの評価サンプル10個を、180℃に加熱した油(市販のサラダ油)の中で2分間素揚げした。その後、油の中から取りだした評価サンプルの形状を目視で観察し、以下の評価基準で耐油ちょう性を評価した。
(評価基準)
◎:角があり、原形(立方体形状)がきれいに保たれていた。
○:角が若干とれていたが、原形がほぼ保たれていた。
△:原形がやや崩れていた。
×:原形が完全に崩れていた。
<試験例1>
本試験はピロリン酸塩の添加量が耐油ちょう性に与える影響を確認するために行った。
2枚のカッター刃が取り付けられた撹拌軸を回転させ、カッター刃で原料をせん断しながら撹拌するタイプのクッカー(ステファン社製ステファンクッカー)に、表1に示す原料を投入した。なお、該クッカーでは、スチームを吹き込むことにより加熱が行われるため、該スチームによって添加される水量を表1に示す水量から予め差し引いた量の水をクッカーに投入した。つまり使用原料量における水量は、最初に投入する水量と、スチームによって添加される水(凝縮水)量との合計量であり、以下の試験例・実施例・比較例においても同様とした。
次に、投入した原料を回転数750rpmで撹拌しつつ、スチームを吹き込んで90℃まで加熱した。90℃に達した時点でスチームの吹き込みを停止し、回転数1500rpmで1分間撹拌して乳化物を得た。
得られた乳化物を、該乳化物の温度が90℃以下の条件でパウチに充填した後、速やかに流水中で5℃まで冷却(急冷)して、水分量約43%のプロセスチーズ(試料No.1〜8)を得た。
得られたプロセスチーズを3日間以上冷蔵保管(5℃)した後、上記の手順で耐油ちょう性の評価を行った。本試験例では、耐油ちょう性の評価サンプルとして20mm×20mm×20mmのものを使用した。評価結果を表2に示す。また、試料No.1〜6のプロセスチーズの素揚げ後の写真を図1に示す。なお、試料No.7、No.8のプロセスチーズの素揚げ後の像は、それぞれNo.2、No.1のプロセスチーズの素揚げ後の像とほぼ同じであったため、記載を省略した。
また、表2にプロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度(%)(プロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度(プロセスチーズの総質量に対するピロリン酸四ナトリウムの含有量の割合)を併記した。なお、プロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度は、無水換算を考慮して計算により求めた値である。
上記結果から、プロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度が0.3〜1.5%となるようにピロリン酸四ナトリウムを添加することで、耐油ちょう性が向上すること、ピロリン酸四ナトリウム濃度が0.4〜1.0%の場合に特に優れた耐油ちょう性が得られることが確認できた。
なお、試料No.1〜8のプロセスチーズを走査型電子顕微鏡((株)TOPCON製、SM−200)を用いて観察し、解析ソフト(MediaCybernetics.Inc.製、Image−Pro PLUS)により脂肪球の直径を測定して平均を求めたところ、プロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度が0.3〜1.5%である試料2〜7のプロセスチーズに含まれる脂肪球の平均粒子径はいずれも3.6μm以下であることが判明した。
<試験例2>
本試験は脂肪球の平均粒子径が耐油ちょう性に与える影響を確認するために行った。
表3に示す原料を使用し、90℃に達する以前の攪拌および90℃に達した後の撹拌を表4に示す回転数(rpm)で行った以外は試験例1と同様にして、水分量約43%のプロセスチーズ(試料No.9〜12)を得た。
表3に示す原料を使用し、90℃に達した後の撹拌を表4に示す回転数(rpm)で行った以外は試験例1と同様にして、水分量約43%のプロセスチーズ(試料No.13〜15)を得た。
得られたプロセスチーズを3日間以上冷蔵保管(5℃)した後、上記の手順で脂肪球の平均粒子径の測定と耐油ちょう性の評価を行った。本試験例では、耐油ちょう性の評価サンプルとして10mm×10mm×10mmのものを使用した。評価結果を表4に示す。また、表4にプロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度(%)を併記した。
上記結果から、プロセスチーズ中の脂肪球の平均粒子径を3.6μm以下とすることで、耐油ちょう性が向上することが確認できた。
<比較例1>
表5に示す原料をケトル型乳化釜(クスナー型チーズ溶融ケトル、東北大江工業社製)に投入し、回転数120rpmで撹拌しながらスチームを吹き込んで90℃まで加熱した。90℃に達した時点でスチームの吹き込みを停止し、さらに240rpmで1分間撹拌して乳化物を得た。
得られた乳化物を、該乳化物の温度が90℃以下である状態でパウチに充填した後、速やかに流水中で2時間以上冷却し、その後冷蔵保存して、水分量約43%のプロセスチーズを得た。
得られたプロセスチーズを3日間以上冷蔵保管(5℃)した後、上記の手順で脂肪球の平均粒子径の測定と耐油ちょう性の評価を行った。本比較例では、耐油ちょう性の評価サンプルとして10mm×10mm×10mmのものを使用した。評価結果を表6に示す。また、表6にプロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度(%)を併記した。
上記結果に示すとおり、ピロリン酸四ナトリウム濃度が1.0%でも、脂肪球の平均粒子径が8.9μmでは、充分な耐油ちょう性は得られなかった。
<試験例3>
本試験は、ピロリン酸塩とピロリン酸塩以外の溶融塩とを併用する場合に、溶融塩全量に占めるピロリン酸塩の割合が耐油ちょう性に与える影響を確認するために行った。
表7に示す原料を使用した以外は試験例1と同様にして、水分量約43%のプロセスチーズ(試料No.16〜33)を得た。
得られたプロセスチーズを3日間以上冷蔵保管(5℃)した後、上記の手順で耐油ちょう性の評価を行った。本試験例では、耐油ちょう性の評価サンプルとして20mm×20mm×20mmのものを使用した。評価結果を表8に示す。また、表8にプロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度(%)、クエン酸三ナトリウム濃度(%)またはリン酸二ナトリウム濃度(%)、溶融塩全量に占めるピロリン酸塩(ピロリン酸四ナトリウム)の割合(%)を併記した。
上記結果から、溶融塩全量に占めるピロリン酸塩の割合が30.0%以上となる範囲内であれば、他の溶融塩を併用しても充分な耐油ちょう性向上効果が得られること、ピロリン酸塩の割合が高いほど耐油ちょう性向上効果が高まることが確認できた。
なお、試料No.17〜24、試料No.26〜33のプロセスチーズに含まれる脂肪球の平均粒子径を前記と同様の手順で測定したところ、いずれも3.6μm以下であることが判明した。
<比較例2〜5>
表9に示す原料を使用した以外は試験例1と同様にして、水分量約43%のプロセスチーズを得た。
なお、表9における溶融塩混合物Aは、溶融塩混合物A全量に対してピロリン酸四ナトリウム(無水)を8.8質量%含み、ピロリン酸四ナトリウム(無水)以外の溶融塩を91.2質量%(ただし、リン酸三ナトリウム(結晶)を9.0質量%含む)含む溶融塩混合物である。
また、溶融塩混合物Bは、溶融塩混合物B全量に対してピロリン酸四ナトリウム(無水)を2.4質量%含み、ピロリン酸四ナトリウム(無水)以外の溶融塩を97.6質量%(ただし、リン酸二水素ナトリウム(結晶)を19.1質量%含む)含む溶融塩混合物である。
得られたプロセスチーズを3日間以上冷蔵保管(5℃)した後、上記の手順で耐油ちょう性の評価を行った。これらの比較例では、耐油ちょう性の評価サンプルとして20mm×20mm×20mmのものを使用した。評価結果を表10に示す。また、表10に、プロセスチーズ中の、ナチュラルチーズおよび水以外の成分の濃度(%)を併記した。
上記結果に示すとおり、溶融塩として溶融塩混合物Aを濃度が1.1%となるように添加し、さらにキトサンまたはポリリジンを添加した比較例2〜3、溶融塩としてリン酸二ナトリウムを濃度が1.6%となるように添加し、さらに水酸化カルシウムを添加した比較例4、溶融塩として溶融塩混合物Bを濃度が1%となるように添加した比較例5では、充分な耐油ちょう性が得られなかった。
<実施例1〜3>
二枚のカッター刃が設置された攪拌軸を回転させて当該カッター刃で原料を剪断しながら攪拌するタイプのクッカー(ニチラク社製)に、表11に示される原料を投入し、各配合に基づいて実施例1〜3を製造した。具体的には、クッカーに原料を投入後、表12に示される各実施例の条件での回転数に基づいて攪拌させ、スチームを吹き込んで90℃まで加熱し、90℃に達した時点でスチームの吹き込みを停止して、各々の回転数でさらに1分間攪拌して乳化物を得た。得られた乳化物を、当該乳化物の温度が90℃以下の状態でパウチに充填した後、速やかに流水中で2時間以上冷却し、その後冷蔵保存して、水分量約43%のプロセスチーズ(実施例1〜3)を得た。
得られたプロセスチーズを3日間以上冷蔵保管(5℃)した後、上記の手順で脂肪球の平均粒子径の測定と耐油ちょう性の評価を行った。これらの実施例では、耐油ちょう性の評価サンプルとして10mm×10mm×10mmのものを使用した。評価結果を表12に示す。また、表12にプロセスチーズ中のピロリン酸四ナトリウム濃度(%)を併記した。
なお、実施例1〜3の撹拌時の回転数は500rpm、750rpm、1500rpmと異なっているが、得られたプロセスチーズの脂肪球の平均粒子径はほぼ同等であり、試験例2に比べ、回転数が脂肪球の平均粒子径に与える影響は少なかった。これは、試験例2で用いたクッカーよりもスケールの大きい、100kgスケールのクッカーを使用したためと考えられる。
実施例1〜3で得たプロセスチーズをそれぞれ、8mm×8mm×75mmのスティック形状にカットした。カットしたプロセスチーズを、市販の竹輪の軸部分に挿入してチーズ竹輪を得た。
このチーズ竹輪を、10℃で保管し、製造日から20日目に、包丁で竹輪に切り込みを入れてプロセスチーズを露出させ、その状態を観察した。その結果、プロセスチーズは若干軟化していたが、吸水による変形や竹輪の内周面への付着はほとんどみられなかった。このことから、実施例1〜3で得たプロセスチーズは、耐水性にも優れることが確認された。
<実施例4>
表13に示す材料を用い、以下の手順で調味すり身を調製した。
冷凍のスケトウダラのすり身を解凍し、フードカッターにて粉砕し、そこに食塩を投入し、撹拌した後、残りの材料を投入し、撹拌、混合して調味すり身を得た。
実施例3で得たプロセスチーズを8mm×8mm×8mmの立方体形状にカットした。
カットしたプロセスチーズ80gと、枝豆100gと、前記の調味すり身820gとを混合し、得られた混合物を30gずつに分け、それぞれ小判型に成型し、160℃程度の油に投入して4分間の油ちょう(揚げ)を行った。これにより、枝豆とチーズを含む水産練り製品(天ぷら)を得た。
図2に、得られた水産練り製品の製造直後の写真を示す。
該水産練り製品においては、プロセスチーズの一部がすり身の表面に露出しているにもかかわらず、油ちょう時にプロセスチーズが油中に溶け出したり、プロセスチーズ同士が付着することはなかった。また、油ちょう後、水産練り製品中のプロセスチーズの形状に欠けや崩れはなく、原形がきれいに保たれていた。
この水産練り製品を、10℃で保管し、製造日から2日目、6日目の水産練り製品中のプロセスチーズの状態を観察したところ、2日目、6日目のいずれにおいても、吸水による軟化はみられず、製造直後と同様の形状が保たれていた。
<比較例6>
実施例3で得たプロセスチーズの代わりに、従来の業務用耐熱タイプのプロセスチーズ(エムケーチーズ社製)を用いた以外は実施例4と同様にして、枝豆とチーズを含む水産練り製品(天ぷら)を得た。
該水産練り製品においては、油ちょう時にプロセスチーズが油中に溶け出していた。また、油ちょう後の水産練り製品中のプロセスチーズの形状は原形が保たれていなかった。
この水産練り製品を、10℃で保管し、製造日から2日目、6日目の水産練り製品中のプロセスチーズの状態を観察したところ、2日目にして吸水によりスプレッタブル状に軟化していた。
<実施例5>
実施例4と同様にして調味すり身を調製した。
実施例3で得たプロセスチーズを8mm×8mm×8mmのスティック形状にカットした。カットしたプロセスチーズの側面を前記の調味すり身50gで包んで棒状に成型し、160℃程度の油に投入し揚げた。なお、すり身から露出したチーズ部に打粉を施す等の特段の処理は実施しなかった。これにより、チーズを含むゴボウ天風の水産練り製品(天ぷら)を得た。
図3に、得られた水産練り製品の製造直後の写真を示す。
該水産練り製品においては、油ちょう時にプロセスチーズが油中に溶け出したり、プロセスチーズ同士が付着することはなかった。また、油ちょう後、水産練り製品中のプロセスチーズの形状に欠けや崩れはなく、原形がきれいに保たれていた。
この水産練り製品を、10℃で保管し、製造日から1日目、5日目の水産練り製品中のプロセスチーズの状態を観察した。その結果、1日目、5日目のいずれにおいても、吸水による軟化はみられず、製造直後と同様の形状が保たれていた。
また、製造日から6日目の水産練り製品を、75〜90℃のおでん用のだし汁中で7時間煮込んだ。該水産練り製品においては、煮込み時にプロセスチーズが液中に溶け出したり、プロセスチーズ同士が付着することはなかった。煮込み後、プロセスチーズは若干脆くなり、塩分が抜けていたが、形状に欠けや崩れはなく、原形がきれいに保たれていた。
<実施例6>
実施例3で得たプロセスチーズを4mm×4mm×4mmの立方体形状にカットした。
木綿豆腐約370gを約30分間水切りし、すりつぶした。そこに卵1個と、片栗粉大さじ2杯と、みりん大さじ1杯と、醤油小さじ2杯と、塩少々と、細かくカットした枝豆約30gと、上記でカットしたプロセスチーズ約60gとを加えて混合し、得られた混合物を10個に分け、それぞれ丸めて約170℃程度の油に投入し、5分間揚げた。これにより、チーズを含むがんもどきを得た。
得られたがんもどきにおいては、プロセスチーズの形状に欠けや崩れがなく、原形がきれいに保たれていた。

Claims (4)

  1. ナチュラルチーズに溶融塩を添加して加熱溶融し、乳化して乳化物を得る工程を含むプロセスチーズ類の製造方法であって、
    前記溶融塩が、ピロリン酸塩30〜95質量%と、ピロリン酸塩以外の溶融塩70〜5質量%とからなり、
    前記ピロリン酸塩の添加量が、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.2質量%となる量であり、かつ前記溶融塩の全量が、製造するプロセスチーズ類の総質量の0.4〜1.5質量%となる量であり、
    前記乳化が、得られる乳化物に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下となるように行われ、
    前記プロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下であり、
    前記プロセスチーズ類は、前記ナチュラルチーズおよび前記溶融塩のみからなるプロセスチーズ類、または前記ナチュラルチーズ、前記溶融塩、および下記成分(P)から選ばれる1種以上のみからなるプロセスチーズ類である、ことを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
    成分(P):乳蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質、バター、バターオイル、大豆油、ヤシ油、菜種油、米油、食塩、糖質、香辛料、アミノ酸、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、グリセライド類、グリセリン脂肪酸エステル、寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、キサンタンガム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ナイシン、重曹、乳酸、クエン酸、酢酸、色素および香料からなる群。
  2. 請求項1に記載の製造方法によりプロセスチーズ類を製造する工程と、
    前記プロセスチーズ類と他の食品素材とを組み合わせて複合食品とする工程と、
    前記複合食品を70〜200℃の油脂で加熱する工程と、
    を含むチーズ入り食品の製造方法。
  3. ナチュラルチーズおよび溶融塩のみからなるプロセスチーズ類、またはナチュラルチーズ、溶融塩、および下記成分(P)から選ばれる1種以上のみからなるプロセスチーズ類であって、
    前記溶融塩が、ピロリン酸塩30〜95質量%と、ピロリン酸塩以外の溶融塩70〜5質量%とからなり、
    前記ピロリン酸塩の含有量が、当該プロセスチーズ類の総質量の0.3〜1.2質量%であり、かつ前記溶融塩の全量が当該プロセスチーズ類の総質量の0.4〜1.5質量%であり、
    当該プロセスチーズ類に含まれる脂肪球の平均粒子径が3.6μm以下であることを特徴とするプロセスチーズ類。
    成分(P):乳蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質、バター、バターオイル、大豆油、ヤシ油、菜種油、米油、食塩、糖質、香辛料、アミノ酸、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、グリセライド類、グリセリン脂肪酸エステル、寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、グアガム、キサンタンガム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ナイシン、重曹、乳酸、クエン酸、酢酸、色素および香料からなる群。
  4. 請求項3に記載のプロセスチーズ類と他の食品素材とを組み合わせてなる複合食品を、油ちょうしてなるチーズ入り食品。
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