JP5929632B2 - 転炉精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、上吹きランスを有する転炉を使用した精錬方法に関するものである。
近年、製鋼プロセス全体の高能率・高効率化が進行し、溶鉄の脱炭精錬も高能率・高効率化することが強く求められている。溶鉄の脱炭精錬を効率よく進行させる手段としては、転炉内の溶鉄の攪拌を強化することが効果的であることは広く知られている。そのため、現在用いられている転炉の多くは、転炉上方からの酸素ジェットに加え、溶鉄の攪拌を強化するために転炉炉底部に底吹羽口を設けて、酸素、炭化水素、不活性ガス等を底吹羽口から吹き込んでいるのが現状である。
このような転炉精錬においては、上吹ランスから吹き込まれる超音速の酸素ジェットが溶鉄表面に衝突する。従って、溶鉄表面から溶鉄の一部が直接スピッティング粒鉄となって炉口へと飛散したり、脱炭によるガス発生に伴って派生するCOガス気泡がバーストしたもの、あるいは高温になっている火点での鉄分の蒸発により発生するヒューム等の微小なダスト粒子が飛散したりする。このような転炉上方へのスピッティング粒鉄やダスト粒子の飛散は、基本的に上吹ランスから吹き込まれる酸素ジェットの溶鉄表面への衝突に起因するものであるから、単位時間当たりの送酸量が多いほどそれらの飛散が多くなる傾向にある。
このように転炉上方へスピッティング粒鉄やダスト粒子が飛散すると、転炉の炉口や、転炉の炉口部に設置されたスカート部、フード部に飛散メタル(以下、地金ともいう)が付着してしまうため、これを極力回避するような操業を行う必要がある。しかしながら、単位時間当たりの送酸量を増やさなければならない高能率な脱炭精錬においては、それは容易ではない。
転炉の炉口や、転炉の炉口部に設置されたスカート部に地金が付着することの問題点は以下のとおりである。
先ず、炉口まわりに地金が付着して堆積すると炉口が小さくなってしまうので、転炉内にスクラップを装入する際に使用するスクラップシュートが炉口に詰まり、スクラップを装入できないという問題が発生する。また、精錬中に溶鉄の温度および炭素濃度を測定するサブランスを炉内に挿入する際、炉口に付着、堆積した地金にサブランスが衝突する可能性がある。
スカート部に地金が付着すると、炉口部での密閉化が困難となり、ガス回収率が低下したり、大気中の窒素を巻き込んで炉内の窒素濃度が上昇し、結果として製品鋼中の窒素濃度の増加を引き起こす。このため、炉口やスカート部の地金取り作業や、そのための特別な装置の設置が必要になる。
このように、転炉の炉口や、炉口部に設置されたスカート部に地金が付着して堆積すると様々な問題を引き起こすことから、転炉の操業を行う際には、炉口やスカート部に出来る限り地金が付着しないようにする必要がある。その一例として、地金が激しく付着して堆積しない程度に、上吹きランスから吹き込む酸素ガスの衝突時のエネルギーを弱める、すなわち送酸速度を低下させて操業を行ったりしているが、この場合、転炉での精錬効率が低下する。
そこで、地金の付着や堆積を防ぐために種々の手段が講じられている。例えば、上吹きランスのチップの改善等を行うことで、スピッティング粒鉄が炉口へ付着しないようにする技術が考えられているが、十分な効果が得られていないのが実状である。
一方、転炉内の溶鉄表面と炉口上端との距離(以下、有効炉高さという。)を大きくすれば、理論的には上記のような炉口やスカート部への地金の付着を回避または低減することができる。しかしながら、設備的に有効炉高さを大きくする場合、炉の高さは設備全体の高さや傾転のバランスに大きく影響を与え、また、設備費の増大につながるため、炉の高さを高くして地金の付着を抑制するには限界がある。
転炉の炉高をH、炉腹径をDoutとすると、炉高と炉腹径の比H/Doutは、非特許文献1に示すように、1.2〜1.6程度とするのが一般的である。また、転炉内に装入する溶鉄量を少なくしても有効炉高さは大きくなるが、転炉での精錬効率が低下するという問題が生じる。
また、前記の有効炉高さは、転炉の使用回数の増加に伴い、炉内耐火物の溶損や剥離により炉体内径や深さが大きくなることにより増加していく。従って、上吹きランスへの送酸速度は徐々に増加することが可能であるが、炉内耐火物の溶損や剥離の状況は内部に付着したスラグや溶鉄の精錬方法等により一定ではないので、その時々における最適な送酸速度を決定することは困難である。
日本鉄鋼協会編 鉄鋼便覧 第3版 II 製銑・製鋼 p459の図8・38
本発明は、上吹きランスからの送酸速度が3.5〜7.0(Nm3/分/トン)という高能率な転炉精錬条件において、スピッティング粒鉄やダスト粒子の転炉上方への飛散を抑制しつつ、上吹きランスからの送酸速度を適切に高める方法を提供することを課題としている。
本発明の転炉精錬方法は、上記課題を解決するために、
上吹きランスを有する、炉高Hと炉腹径Doutの比H/Doutが1.2〜1.6の転炉を用いた転炉操業において、
上吹きランスからの送酸速度Qが3.5〜7.0(Nm3/分/トン)、1チャージ当りの主原料装入量Wが230〜400(トン)の範囲で、前記送酸速度Q(Nm3/分/トン)、転炉の内径(以下、炉内径ともいう。)Din(m)、有効炉高さL(m)、および主原料装入量W(トン)の関係が下記(1)式を満たすように調整することを最も主要な特徴としている。
3.5≦Q≦3.4×10-6×{Din8×L8/3×W-1}…(1)
本発明の転炉吹錬方法においては、精錬時の塩基度(CaO質量/SiO2質量)を3.0〜4.0に調整すればより安定した転炉操業が行えるので望ましい。
本発明によれば、上吹きランスからの送酸速度が3.5〜7.0(Nm3/分/トン)という高能率な転炉精錬条件において、スピッティング粒鉄やダスト粒子の転炉上方への飛散を抑制しつつ上吹きランスからの送酸速度を適切に高めることができるので、その結果、転炉精錬を安定的に高能率・高効率化することができる。
本発明の転炉精錬方法の実施状況を説明する概略図である。 スピッティング指数と有効炉高さ比の関係を示した図である。 有効炉高さLを一定とし、炉腹径Doutは一定で耐火物の厚みを変化させた場合と、耐火物の厚みは一定で炉腹径Doutが異なる場合の限界送酸速度Qlimと炉内径比の関係を示した図である。 炉内径Din、主原料装入量Wを一定とし、炉高Hまたは炉底部耐火物の厚みを変化させた場合の限界送酸速度Qlimと有効炉高さ比の関係を示した図である。 主原料装入量Wを変化させた場合の限界送酸速度Qlimと主原料装入量Wの関係を示した図である。 図5と同じ条件下での限界送酸速度Qlimと有効炉高さ比の関係を示した図である。
先ず、本発明の精錬方法に適用する転炉の炉体について説明する。図1は本発明の精錬方法の実施状況を示した概要図である。
1は、炉上に備え付けた上吹きランス2から酸素を吹き込むとともに、底部に設置したノズル3から底吹ガスの吹き込みが可能な上底吹き転炉であり、精錬時には炉内に溶銑およびスクラップ等を装入する。
転炉1の炉体は、鉄皮1a、およびその内部に内張りされた耐火物1bから構成されている。鉄皮1aは、炉底1aaから炉口側へ向うにつれ徐々に拡大していく拡大部1abと、拡大部1abから連続して内外径がほぼ一定となる直胴部1ac、そして、直胴部1acから連続して炉口1cに向かって内外径が小さくなっていく絞り部1adで構成される。前記耐火物1bは炉底1aa、拡大部1ab、直胴部1ac、および絞り部1adのそれぞれに沿うように内張りされており、直胴部1acには精錬後の溶鉄を出鋼(または出湯)するための出鋼孔(または出湯孔)1aeが設けられている。
次に、本発明の精錬方法における各因子の変化要因について説明する。
転炉1の内径Dinとは、転炉1の直胴部1acに設けた耐火物1bの内径である。詳しくは、図1中の紙面左側の直胴部1acの耐火物1bの内面から紙面右側の直胴部1acの耐火物1bの内面までの距離である。また、転炉1の有効炉高さLは、主原料(溶銑およびスクラップ)を転炉内に装入した際の浴面から炉口1cの上端までの距離である。
炉体形状を示す因子である前記炉内径Dinおよび有効炉高さLは、転炉の使用に伴って内壁耐火物の溶損により徐々に変化していく。特に炉底部等はスラグの付着によっても大きく変化するため、有効炉高さLが変化する。さらには、炉体寿命を維持するため、補修用の耐火物を吹き付けや焼き付け等の方法により内壁にコーティングしており、これによっても炉内径Dinや有効炉高さLは変化する。
一方、内壁の耐火物の溶損が進行して耐火物自体の劣化が激しくなって、機能の再生が必要となった場合は、耐火物の張り替えを実施する。製鋼工場では、およそ3000〜5000回使用するごとに、炉修作業が実施される。
また、転炉内に装入する1チャージ当りの主原料装入量Wの変化によっても有効炉高さLは変化するし、さらには、炉体を新設する場合においても、炉体自体の大きさと設置する耐火物の厚みによってこれらの因子は変化する。
次に、転炉の炉口上端にスピッティング粒鉄が付着しない限界送酸速度(以下、単に限界速度という。)Qlimを決定するに当たり、各因子の把握方法ついて説明する。
転炉の使用初期(転炉新設時、あるいは炉内耐火物張り替え直後)においては、炉体の形状および使用する耐火物の寸法がわかれば、炉内径Dinを把握することは可能である。有効炉高さLは、主原料装入量Wに応じて計算により算出することも可能であるし、湯面高さの測定結果を使用して求めてもよい。
一方、転炉の使用初期以降は、耐火物厚みあるいは主原料装入時の湯面高さの実測結果を使用して把握する。実操業においては、これらの実測は毎チャージ実施すると転炉の生産性を阻害するため、10数チャージに1回程度の頻度で実施する。この場合、耐火物の厚みは、過去の実績から算出される耐火物の溶損速度を参照して推定しても構わない。また、湯面高さは、主原料装入量Wが170〜400トンにおいて、いずれの装入量においても浴面位置が直胴部に位置していれば、下記の計算式により計算した結果でも構わない。
有効炉高さL(m)=湯面測定時の有効炉高さ(m)
+(1/π)×{(W−Wo)/ρ}×(2/Din)2 …(2)
但し、Woは湯面測定時の主原料装入量(トン)、ρは溶鋼密度(=6.9g/cm3
次に、本発明の転炉精錬方法にかかる因子について説明する。以下、本明細書で説明する転炉の基準となる形状は、炉内径Dinが5.73m、有効炉高さLは主原料装入量Wが1チャージ当り300トンの時の7.29mとした。なお、基準となる炉内径をDin’、主原料装入量をW’、有効炉高さをL’と記す。
発明者らは、先ず、転炉形状(炉内径Din、有効炉高さL)および上吹きランスへの送酸速度Qがスピッティング発生速度に及ぼす影響について調査した。
脱りん処理を実施した溶鉄を用い、基準炉形状(炉内径Din’、有効炉高さL’)のもとで上吹きランスへの送酸速度Qを4.7Nm3/分/トン、主原料装入量Wを170トン〜400トンの間で変動させて吹錬を実施し、スピッティング発生速度を測定した。
さらに、同様の溶鉄条件のもと、鉄皮および耐火物厚みが同じで炉内径Dinの異なる転炉で主原料装入量Wを種々変更し、上吹きランスへの送酸速度Qを5.6Nm3/分/トンとして吹錬を実施し、スピッティング発生速度を測定した。
このとき、基準炉形状での吹錬時における、主原料装入量Wが230トンの場合におけるスピッティング発生速度を基準としてスピッティング指数を定義する。図2には、このように定義したスピッティング指数と有効炉高さ比の関係を示す。有効炉高さLは転炉へ主原料を装入した後、湯面高さを測定した結果より算出した。
図2より、スピッティング指数は有効炉高さLの増加あるいは炉内径Dinの増加に伴い減少することが明らかである。また、上吹きランスへの送酸速度Qの増加に伴いスピッティング指数が増加することも分かる。
そこで、図2に示したスピッティング粒鉄が炉口上端に付着しないスピッティング発生速度(スピッティング指数=1.0)を元に、種々の条件での、転炉の炉口上端にスピッティング粒鉄が付着しない限界送酸速度(以下、単に限界速度という。)Qlimを見積もるため、発明者らは、炉内径Din、主原料装入量W、および有効炉高さLの変動と限界速度Qlimの関係について複数の試験と物理的な計算の組合せにより検討した。
物理的な計算とは、スピッティングに対する操業可能限界性能の観点から、有効炉高さLと転炉内で発生するガスの流速Vの関係が下記(3)式のように表せると仮定し、炉内径Din、主原料装入量W、有効炉高さLのうち、いずれか1つの因子が変動した場合、転炉内で発生するガスの線流速変化分だけ縮尺比を変化させればよく、2つの相似な炉内形状の計算として、下記(4)〜(5)式により限界速度Qlimを決定するものである。なお、下記(3)〜(5)式におけるnの値を種々変更した計算結果と試験結果のフィッティングより下記(3)〜(5)式におけるnの値は1.5となることが分かった。
2/V1=(L2/L11/n …(3)
2/L1=(Qlim2/Qlim1n/(2n+1) …(4)
Din2/Din1=(Qlim2/Qlim11/(4n+2) …(5)
但し、V,Qlim,L,Dinに付した添字の1は変化前、2は変化後を示す。
先ず、転炉の炉腹径Doutあるいは炉腹部の耐火物厚みの変化により炉内径Dinが変化した場合について検討した。
図3は有効炉高さLを一定とし、炉腹径Doutは一定で耐火物の厚みを変化させた場合と、耐火物の厚みは一定で炉腹径Doutが異なる転炉において、上吹きランスへの送酸速度Qを2.5〜7.0Nm3/分/トンで吹錬を実施した際の限界速度Qlimと炉内径比の関係を示したものである。
図3より、基準となる転炉形状の限界速度Qlim’(=2.6Nm3/分/トン)に対して、変化前後の炉内径比の増加に伴い限界速度Qlimが増加しても安定した吹錬が可能であることが分かる。また、炉内径比の変動は炉腹径Dout、または耐火物の厚みの変化に関わらず同様であることも分かる。図3より、各点の最下限を通る曲線の近似式を求めると、曲線は下記(6)式で示す通りであった。
Qlim=Qlim’×(Din/Din’)8 …(6)
また、炉内径Dinおよび主原料装入量Wを固定したまま、炉体形状により炉高Hを増加、または炉底部の耐火物厚みを変えて直接有効炉高さLを変化させた場合について検討した。
図4は炉内径を基準の5.73m(Din’)、主原料装入量Wを300トンとし、炉高H、または炉底部の耐火物厚みを変えて吹錬を実施した際の限界速度Qlimと有効炉高さLの比の関係を示したものである。
図4より、有効炉高さLを基準となる有効炉高さL’(=7.29m)より増加するに伴って限界速度Qlimが上昇することが分かる。図4に示した各点の最下限を通る曲線の近似式を求めると、曲線は下記(7)式で示す通りであった。
Qlim=Qlim’×(L/L’)8/3 …(7)
さらに、発明者らは、同一転炉で主原料装入量Wを変化させた場合について検討した。基準となる炉形状は、前記したように、炉内径Din’が5.73m、有効炉高さL’は主原料装入量Wが300トンの時の7.29mである。
図5は170〜400トンの間で主原料装入量Wを変化させた場合の限界速度Qlimと主原料装入量Wの関係を示した図である。また、図6は、図5と同じ条件下での限界速度Qlimと有効炉高さLの比の関係を示した図である。
図5より、主原料装入量Wの増加に伴い、限界速度Qlimが低下することが分かる。すなわち、主原料装入量Wの増加分だけ溶鉄浴面レベルが上昇し、有効炉高さLが減少したため、同一の送酸速度Qでは炉口へスピッティング粒鉄が付着してしまうのである。
上記の通り、炉内径Din、有効炉高さLを、基準に対して変化させた前後の縮尺比が変化前後の送酸速度Qの比に比例することを利用すると、種々の炉形状や主原料装入量Wに対して限界速度Qを見積もることが可能となり、その時々における最適送酸速度Qを決定することができるのである。すなわち、限界速度Qlim’(=2.6Nm3/分/トン)、炉内径Din’(=5.73m)を基準として、上記(6)式より炉内径Dinの変化分の限界速度Qlimは下記(8)式となる。
Qlim1=Qlim’×(Din/Din’)8=2.6×(Din/5.73)8 …(8)
次に、上記(8)式の限界速度Qlim1と、有効炉高さLi’(=7.29m)を基準として上記(7)式より有効炉高さL変化分の変化を補正した限界速度Qlim2は下記(9)式となる。
Qlim2=Qlim1×(L/L’)8/3=2.6×(Din/5.73)8×(L/7.29)8/3 …(9)
さらに基準限界速度Qlim’は主原料装入量Wが300トンの時の限界速度であるから、主原料装入量Wの変化を補正し、最終の限界速度Qlimを決定する。
Qlim=Qlim2×(W’/W)=2.6×(Din/5.73)8×(L/7.29)8/3×(300/W)
=3.4×10-6×(Din8×L8/3×W-1) …(10)
上記のように(10)式が定義でき、種々の条件での限界速度が、(10)式で計算される限界速度を下回っていれば地金付着がなく、安定して吹錬が実施可能となるのである。
但し、上記(10)式は、先に説明したように、送酸速度をQ(Nm3/分/トン)、炉内径をDin(m)、有効炉高さをL(m)、主原料装入量をW(トン)とし、有効炉高さLは主原料装入量Wが300トンの時を基準とした際の装入量変化による高さ変化と、炉形状変化による高さ変化の合計とする。
発明者らは、上記の限界速度Qlimを満たす条件の中で、安定して効果を発揮可能な塩基度についても検討を行った。ここで、塩基度とは転炉に装入したCaOとSiO2の質量比(CaO質量/SiO2質量)のことを示す。
上記で実施した種々の条件において、塩基度を2.5〜5.0として吹錬を実施した結果、いずれも高能率な転炉精錬条件においてスピッティングを抑制し、転炉精錬を安定的に高能率化することができると分かったが、塩基度3.0〜4.0の範囲では一層安定した吹錬が可能であった。
塩基度が3.0未満の場合、生成するスラグが低塩基性となりすぎるため、低融点のスラグとなってスロッピングを助長し、転炉の炉口や炉体へスラグが付着することによる操業トラブルを引き起こす危険性があり、歩留の悪化により生産性が悪化することがある。また、塩基度が4.0を超えるとスラグが高融点化することで、スピッティング粒鉄の飛散を抑制するカバースラグを生成できず、炉口等への地金付着を助長してしまう傾向にある。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、本発明の要旨とするところは、上吹きランスを有する、炉高Hと炉腹径Doutの比H/Doutが1.2〜1.6の転炉を用いた転炉操業において、上記のようにして把握した炉体形状因子、炉内径Dinと有効炉高さL、および1チャージ当りの主原料装入量Wを用いて、上吹きランスからの送酸速度Qが3.5〜7.0(Nm3/分/トン)、主原料装入量Wが230〜400(トン)の範囲で、下記(1)式を満たすように送酸速度Qを決定するものである。
3.5≦Q≦3.4×10-6×{Din8×L8/3×W-1}…(1)
上記本発明によれば、上吹きランスからの送酸速度が3.5〜7.0(Nm3/分/トン)という高能率な基本条件において、転炉の炉口やスカート部に地金が付着し難く、安定した高能率操業を行うことが可能になる。
本発明の転炉吹錬方法においては、精錬時の塩基度を3.0〜4.0に調整すればより安定した転炉操業が行えるので望ましい。
以下、本発明の転炉の吹錬方法を実施した場合の結果について説明する。
下記表1は、炉体の形状、装入量、送酸速度および塩基度を変えて操業を実施した際の結果をまとめたものである。下記表1に示す結果は、それぞれの炉体形状因子を測定した後、同一条件で10チャージ吹錬を実施した際のもので、スピッティングの程度は、10チャージ吹錬を実施した後の炉口への地金付着の程度を示し、スロッピング頻度は、10チャージの中でスロッピングが発生した頻度を示している。
下記表1に記載したスピッティング程度の評価は、10チャージ中で炉口またはメインランス孔・サブランス孔の地金除去が不要か、またはそれらの実施が2回以下だった場合を小、10チャージ中で炉口またはメインランス孔・サブランス孔の地金除去を合わせて3〜7回実施した場合を中、10チャージ中で炉口またはメインランス孔・サブランス孔の地金除去を8回以上の頻度で実施しなければ、操業継続が不可能なほどスピッティング粒鉄の飛散が多かった場合を大とした。また、スロッピング頻度の評価は、スロッピングがほとんど発生しなかった場合を小、スロッピング発生頻度は高いが、10チャージ程度の連続操業は可能なレベルを中、スロッピング発生頻度が高く、スラグ・地金が大量に流出するため連続操業が不可能なレベルを大とした。
Figure 0005929632
先ず、発明例1〜4と比較例1〜4を対比して説明する。
比較例1〜4は、発明例1〜4とほぼ同等の炉形状(炉内径Din、有効炉高さL)、装入量Wおよび塩基度の条件で、上記(1)式で計算される送酸速度Qの範囲を外れる送酸速度で操業した結果である。
比較例1〜4は、送酸速度が(1)式を満たさないため、炉口やスカート部への地金付着が激しく、操業継続が不能であった。
これに対して、発明例1〜4ではいずれも送酸速度が上記(1)式を満たしており、かつ塩基度も3.0〜4.0の間に調整していたので、スピッティングが低減され、安定した操業が可能であった。
次に、発明例1〜4と発明例5〜8を対比して説明する。
発明例5〜8は、発明例1〜4とほぼ同等の炉形状(炉内径Din、有効炉高さL)、装入量Wとし、かつ上記(1)式の送酸速度Qを満たした上で、塩基度を3.0未満、あるいは4.0を超える条件としたものである。
発明例1,2と発明例5,6の比較より、塩基度が3.0を下回ると、スピッティングの程度は抑えられるが、スロッピングの頻度が若干増加した。一方、発明例3,4と発明例7,8の比較より、塩基度が4.0を超えた場合は、スピッティングの程度がやや大きくなり、発明例3,4ほどの効果は見られなかった。
この原因は、上述したとおり、塩基度が3.0未満の場合、生成するスラグが低塩基性となりすぎ、低融点のスラグとなってスロッピングが助長され、炉口や炉体へスラグが付着しやすくなるからである。
また、塩基度が4.0を超えると、スラグが高融点化することで、スピッティング粒鉄の飛散を抑制するカバースラグの生成ができ難くなり、炉口等への地金付着を助長する場合があるからである。
以上の結果より、本発明の転炉精錬方法により、1チャージ当りの主原料装入量Wが170〜400(トン)、送酸速度が3.5〜7.0Nm3/分/トンの範囲で、スピッティング粒鉄が炉口やスカート部へ付着し難くなって、安定的な操業が可能となる。
その際、精錬時の塩基度(CaO質量/SiO2質量)を3.0〜4.0に調整すればより安定した転炉操業を行うことができる。
本発明は上記した例に限らないことは勿論であり、請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
1 転炉
1c 炉口
2 上吹きランス
3 ノズル

Claims (2)

  1. 上吹きランスを有する、炉高Hと炉腹径Doutの比H/Doutが1.2〜1.6の転炉を用いた転炉操業において、
    上吹きランスからの送酸速度Qが3.5〜7.0(Nm3/分/トン)、1チャージ当りの主原料装入量Wが230〜400(トン)の範囲で、前記送酸速度Q(Nm3/分/トン)、転炉の内径Din(m)、転炉の炉口上端から溶鉄浴面までの距離L(m)、および主原料装入量W(トン)の関係が下記式を満たすように調整することを特徴とする転炉精錬方法。
    3.5≦Q≦3.4×10-6×{Din8×L8/3×W-1
  2. 前記精錬時の塩基度(CaO質量/SiO2質量)を3.0〜4.0に調整することを特徴とする請求項1に記載の転炉精錬方法。
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