JP6939828B2 - 溶鉄の送酸精錬方法 - Google Patents

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本発明は、溶鉄の送酸精錬方法に関する。より詳細には、本発明は、反応容器に装入した溶鉄に上吹きランスから酸素含有ガスを吹き付けて溶鉄に送酸精錬を行う方法に関する。
近年、生産性向上や安価原料の使用を目的に、鉄鋼精錬工程において、スクラップを大量に使用することが知られている。スクラップを大量に使用する精錬工程においては、スクラップを溶解するための熱余裕創出が必要である。これまでに、熱余裕創出のための技術開発として二次燃焼を促進させる種々の上吹きランスやその使用方法が検討されてきた。
特許文献1に開示された転炉型精錬炉には、酸素吹き込む上吹きランスの側面に、二次燃焼に用いられる酸素を供給するための副孔ノズルを設けた例が開示されている。また、特許文献1に開示された上吹きランスは、当該上吹きランスの底面部に設けられた主孔ノズルから噴出される酸素噴流による溶鉄凹み深さを調整するために、主孔ノズル径、主孔ノズル数、および上吹きランスと溶鉄面との距離のいずれか一つ以上を、所定の関係を満たすように調整している。これにより、含鉄原料の転炉溶解方法において、二次燃焼率を増加させつつ、ダストの発生量を低減できるという効果が得られている。
特許文献2に開示された転炉型精錬炉における精錬方法では、ランス側壁に配置された副孔ノズルから噴出する酸素噴流の最大流速が30m/sに減速する地点までの副孔ノズル出口からの水平方向距離が、上吹きランス中心から転炉型精錬炉側壁までの距離の0.10以上0.75以下の範囲となるように調整している。これにより、炉内二次燃焼を促進させつつ、炉口地金を溶解することができるという効果が得られている。
特開2017−20072号公報 特開2008−138271号公報
特許文献1には、ダスト発生を低減させるための条件が開示されている。しかし、高い二次燃焼率を維持するための副孔ノズルから噴出される噴流の条件は開示されておらず、二次燃焼熱を高効率で溶鉄に着熱させる条件についても開示されていない。
特許文献2の精錬方法を使用すれば、炉口地金を溶解するための二次燃焼熱を、炉口付近ではなく溶鉄へと着熱させることで、精錬工程での熱余裕を創出できるようにも思える。しかし、酸素を含有する噴流が溶鉄に一定以上の流速で接触した場合、溶鉄中の炭素または鉄等を酸化させる反応に酸素が消費され、二次燃焼を促進させることが難しい。
一般に、ランス高さ(鉄浴表面と上吹きランス先端との距離)を長くすることで、二次燃焼が促進されることが知られている。一方で、ランス高さを長くすると、二次燃焼熱の溶鉄への着熱効率が低下することが知られている。したがって、単にランス高さを長くしても熱余裕を効率的に創出できない。
また、二次燃焼熱を効率よく溶鉄へ着熱させるには、溶鉄表面に到達した酸素含有噴流の流速を一定以下に抑え、溶鉄に到達する前にCOガス燃焼反応に酸素が消費される必要がある。
非特許文献(本田尚士監修、「環境圏の新しい燃焼工学」、フジ・テクノシステム株式会社、1999年12月、p.4〜5,215)には、COガスを燃焼させるために吹き付けられる酸素ガスの流速が記載されている。しかし、精錬炉内でのCOガス発生等乱流の影響を考慮すると、燃焼が起こる流速を推定することは困難である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二次燃焼率が高く、かつ着熱効率が高い、溶鉄の送酸精錬方法を提供することである。
また、本発明において、着熱効率が高いとは、二次燃焼熱が溶鉄に着熱する効率が高いということを意味する。
本発明者らは、特に大きな発熱を伴うCOガスの燃焼反応によって燃焼熱の着熱を促進させ、安価な固体鉄源であるスクラップを大量に溶解できるようにするために、転炉型精錬炉を用いて精錬条件の検討を行った。
そして、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、主孔ノズルと副孔ノズルが設けられた上吹きランスを用いて、当該副孔ノズルから噴射する酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速を7m/s以上20m/s以下となるように調整することによって、二次燃焼率が高く、かつ着熱効率が高い、溶鉄の送酸精錬方法を実現できることを見出し本発明に至った。
本発明の溶鉄の送酸精錬方法では、副孔ノズルから噴射された酸素含有ガスを、浴面到達前にCOガスの燃焼に消費されるよう調整できたので、COガスの燃焼熱の溶鉄への着熱を効率的に促進でき、高い二次燃焼率および高い着熱効率が両立できたと推定される。
上記課題は、以下の手段によって解決される。
[1]反応容器に装入した溶鉄に上吹きランスから酸素含有ガスを吹き付けて前記溶鉄に送酸精錬を行う、溶鉄の送酸精錬方法であって、
前記上吹きランスは、前記上吹きランスの底面から鉛直下向き方向又は斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する主孔ノズルと、前記上吹きランスの側面から斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する副孔ノズルと、が設けられており、
前記副孔ノズルから噴射される酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速が、7m/s以上20m/s以下である、溶鉄の送酸精錬方法。
[2]前記上吹きランスは、前記主孔ノズルへの酸素含有ガス供給路と、前記副孔ノズルへの酸素含有ガス供給路とが独立して設けられている、[1]に記載の溶鉄の送酸精錬方法。
本発明によれば、二次燃焼率が高く、かつ着熱効率が高い、溶鉄の送酸精錬方法を提供することができる。
転炉型精錬炉の一例を示す模式図である。 上吹きランスの一例の断面を示した模式図である。 上吹きランスの他の一例の断面を示した模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
[転炉型精錬炉]
図1は、送酸精錬方法に用いることができる転炉型精錬炉(以下、単に精錬炉という。)の一例を示した模式図である。
精錬炉10は、上吹きランス20と、反応容器としての転炉11と、出湯口13と、底吹き羽口14と、を備えている。
転炉11は、鉄製の反応容器であり、内側には耐火物12が貼り付けられている。
出湯口13は、収容した溶鉄16または生成した溶鋼を出湯するための出口であり、精錬炉10の上部側面部に設けられている。
底吹き羽口14は、撹拌用ガスの吹き込み口であり、精錬炉の底部に設けられている。底吹き羽口14は、撹拌用ガスを導入するための導入管15と接続されている。
上吹きランス20は、精錬炉10の内部に上下方向に移動可能に設けられている。上吹きランス20には、少なくとも酸素ガスの配管(図示せず)が接続されており、配管を介して任意の流量で上吹きランス20から転炉型精錬炉10の内部に酸素含有ガスが供給される。
精錬炉10を用いた送酸精錬は、精錬炉10に溶鉄16を装入し、必要に応じてスラグ17を形成するための造滓剤を装入し、底吹き羽口14から窒素やArガスなどの撹拌用ガスを吹きこみながら、上吹きランス20から酸素含有ガスを吹き付けることによって行われる。
図2に、上吹きランス20の一例の断面を示した模式図を示す。図2は、図1の点線で囲った部分に対応する断面図であり、説明の都合上、各構成部分を簡略化して示している。
上吹きランス20には、上吹きランス20の底面から鉛直下向き方向又は斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する主孔ノズル21と、上吹きランス20の側面から斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する副孔ノズル22と、が設けられている。
図2には、上吹きランス20の底面B1から斜め下向き方向D2に酸素含有ガスを噴射する主孔ノズル21の例を示している。主孔ノズル21は、これに限られず、上吹きランス20の底面から鉛直下向き方向D1に酸素含有ガスを噴射するノズルであってもよい。本発明でいう「鉛直下向き方向」は、図2に符号D1を付した矢印で示すように、上吹きランス20が設けられた方向(図2の図面の上下方向)のうち、上吹きランス20の底面から溶鉄側に酸素含有ガスが噴き出す方向のことをいう。また、斜め下向き方向は、上記鉛直下向き方向に交差する方向であり、かつ上吹きランス20の底面から溶鉄側に酸素含有ガスが噴き出す方向のことをいう。図2には、斜め下向き方向の一例を、符号D2を付した矢印で示している。
主孔ノズル21から溶鉄16の表面に向けて噴射される酸素含有ガスは、溶鉄16の脱炭処理または脱リン処理の酸化精錬に使用される。また、副孔ノズル22から噴出する酸素含有ガスは、溶鉄の酸化精錬により発生するCOガスの二次燃焼に使用され、二次燃焼により転炉11の内部は高温雰囲気となるので、転炉11の内部の側壁に付着した地金の溶解が進行する。
つまり、主孔ノズル21および副孔ノズル22を備える上吹きランス20を用いて酸素含有ガスを噴出すれば、溶鉄の精錬と同時に、二次燃焼熱によって転炉11の内部の側壁に付着した地金を効率的に溶解することが可能である。
溶鉄16の脱炭処理とは、溶鉄中の炭素を除去して溶鉄16から溶鋼を製造する処理であり、溶鉄16の脱リン処理とは、溶鉄中に含まれるリンを、例えば0.04質量%程度まで除去した溶鉄を製造する処理である。
主孔ノズル21は、例えば、図2に示したような断面が縮小する部分と、断面が拡大する部分の2つの円錐体で構成されたラバールノズルである。主孔ノズル21の形状はこれに限られず、例えば、断面形状が一定のストレートノズルであってもよい。また、図2には、主孔ノズル21が2個の例を示したが、1個以上であれば、個数は限定されない。
副孔ノズル22も、ラバールノズルであってもよく、ストレートノズルであってよい。図2には、副孔ノズル22がストレートノズルである例を示している。また、図2には、副孔ノズル22の数が2個であり、ランス先端からそれぞれの副孔ノズル22までの距離が同じである例を示しているが、必要な熱量に応じて、数や位置を変更することができる。
また、上述したとおり、副孔ノズル22から噴出させた酸素含有ガスがCOガスの二次燃焼に使用され、二次燃焼熱で地金の溶解が進行する。ここで、飛散した地金が副孔ノズル22の内部に入り込まないように、二次燃焼が起こりにくい期間であっても、副孔ノズル22から、一定以上のガスを噴出し続けることが好ましい。
主孔ノズル21への酸素含有ガス供給路31と、副孔ノズル22への酸素含有ガス供給路32とは、図2に示すように独立して設けられていることが好ましい。これらの経路が独立して設けられていれば、副孔ノズル22の酸素ガス流量を個別に調整することができるため、吹錬中に二次燃焼反応量を調整しやすくなる。例えば、溶鉄中のSi濃度が高く脱炭反応が起こりにくい吹錬開始時等、副孔ノズル22から酸素含有ガスを吹き付けても二次燃焼が起こりにくい期間中に、副孔ノズル22からのガス供給量のみを減少させることができる。
図3に、上吹きランス20の他の一例として、主孔ノズル21への酸素含有ガス供給路31と、副孔ノズル22への酸素含有ガス供給路32とが、同一経路である場合の酸素含有ガス供給路33を有する場合の模式図を示している。主孔ノズル21および副孔ノズル22から吹き出されるガス供給量をそれぞれ個別に調整しなくてよい場合には、これらの経路を同一経路となるように構成してもよい。
[溶鉄の送酸精錬方法]
本発明は、反応容器(転炉11)に装入した溶鉄16に上吹きランス20から酸素含有ガスを吹き付けて前記溶鉄に送酸精錬を行う溶鉄の送酸精錬方法であって、上吹きランス20には、上吹きランス20の先端に鉛直下向き方向又は斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する主孔ノズル21と、上吹きランス20側面に、斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する副孔ノズル22と、が設けられており、副孔ノズル22から噴射する酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速が、7m/s以上20m/s以下である。
ここで、「酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速」は、酸素含有ガスが溶鉄浴面の表面に到達する際に流速が最大となる点での流速を意味する。溶鉄浴面位置は、公知の測定技術を用いて測定した値を使用でき、例えば、湯面測定用プローブで測定した値を使用できる。なお、後述する実施例では、当該湯面測定用プローブで測定した値を使用して求めた値を使用しているが、これに限られず、浴形状と溶鋼量から計算される推定湯面高さも使用できる。
副孔ノズルから噴射する酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速は、下記(1)〜(5)式を用いて、算出することができる。下記(1)〜(5)式は、一般的な圧縮性流体力学の式に、非特許文献(鷲見 郁宏、外4名、「ISIJ International」、2007年、Volume 47、Issue 1、p.73〜79)に記載の出口流速補正式、および非特許文献(今井 寮一郎、「LD転炉の吹練反応におよぼす吹練条件の影響」、日本鋼管技報、1967年、39、p.19〜30)に記載の流速減衰式を組み込んだものである。
Figure 0006939828
上記(1)〜(5)式において、Vは副孔ノズルから噴射する酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速(m/s)、dは副孔ノズルの出口径(mm)、Vは副孔ノズルの出口での酸素含有ガスの速度(m/s)、Pは副孔ノズルへの酸素含有ガスの供給圧力(kgf/cm)、Tは副孔ノズル出口の温度(K)、Tは溶鉄温度(K),Lは溶鉄からのランス高さ(m),Lは副孔ノズルとランス先端との距離(m),θは副孔ノズルの傾斜角度(°),Mは酸素含有ガスのモル質量(kg/mole)、Fは副孔ノズル1個当たりの酸素含有ガス供流量(Nm/hr)、Athは副孔ノズルスロート断面積(mm)、γは酸素含有ガスの比熱比(−)、Mは副孔ノズル出口のマッハ数(−)を示す。なお、(−)は無次元数であることを意味する。
上記副孔ノズルの傾斜角度θは、図2に示すように、上吹きランス20の側面における鉛直下向き方向D1に対する傾斜角度(°)を意味する。
本発明の送酸精錬方法では、副孔ノズルから噴射する酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速(以下、単に最大流速Vという。)を7m/s以上20m/s以下に調整している。
最大流速Vを20m/s以下とすることで、二次燃焼率を向上させることができる。これは、最大流速Vを20m/s以下と遅くすることで、酸素が、脱炭反応ではなく、二次燃焼で効率的に消費されるようになるためと推定される。また、最大流速Vを7m/s以上とすることで、二次燃焼熱の着熱効率を向上させることができる。これは、最大流速Vが7m/s未満では、流速が遅すぎて、溶鉄ではなく側壁耐火物への着熱が大きくなるため、二次燃焼熱の着熱効率が低下するためと推定される。したがって、最大流速Vを7m/s以上20m/s以下とすることで、二次燃焼率を高め、かつ着熱効率を高めることができる。
最大流速Vを7m/s以上20m/s以下とするためには、例えば、副孔ノズルの出口径d、副孔ノズルの出口での酸素含有ガスの速度V、溶鉄からのランス高さL、副孔ノズルの傾斜角度θ、副孔ノズル1個当たりの酸素含有ガス供流量F、副孔ノズルスロート断面積Ath、副孔ノズルの設置数、副孔ノズルの設置位置等を調整し、上記(1)〜(5)式に基づいて、最大流速Vが7m/s以上20m/s以下となるようにすればよい。ここで、例えば、副孔ノズルの設置数を変化させると、副孔ノズル1個当たりの酸素含有ガス供流量Fを調整できる。また、副孔ノズルの設置位置を変化させると、副孔ノズルとランス先端との距離Lを調整できる。
上記(1)〜(5)式を満たせば、各構成条件は適宜変更可能である。上記式(1)〜(5)を満たし、本発明の効果を得る観点からは、例えば、副孔ノズルの設置数は、4〜20個であることが好ましい。また、副孔ノズルの出口径dは、5〜20mmであることが好ましい。また、副孔ノズルとランス先端との距離Lは、300mm以上とすることが好ましい。
主孔ノズルおよび副孔ノズルから噴射される酸素含有ガスは、一般的な溶鉄の送酸精錬方法に用いることができる酸素を含有するガスを用いることができ、例えば、酸素のみであってもよく、酸素およびアルゴンを含有する混合ガスであってもよい。
以上で説明した本発明の実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。すなわち、本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
図1で示したような転炉型精錬炉を用いて、溶鉄に上吹きランスから酸素含有ガスを吹き付けて、以下のとおり溶鉄に送酸精錬を行った。
図1に示すような350t転炉型精錬炉の反応容器(転炉)に、スクラップおよび溶鉄を装入し、次いでフラックスを供給し、主孔ノズルおよび副孔ノズルを備えた上吹きランスを用いて酸素ガスを溶鉄に吹き付けて、溶鉄の脱リン処理を行った。
表1に本発明例および比較例として実施した各実施条件と、その結果を示す。各実施条件において、上吹きランスの底面に設けられた主孔ノズルから供給する溶鉄1t当たりの精錬酸素の流量は1.0〜1.7Nm/(min・t)とした。また、底吹き羽口から、撹拌用ガスとしてのArガスを溶鉄1t当たり0.1〜0.13Nm/(min・t)の流量で吹きこんだ。各実施条件において、以下で特に説明がない限りは、表1に示す条件以外は同一である。
また、表1中の流路の欄には、主孔ノズルへの酸素含有ガス供給路と、副孔ノズルへの酸素含有ガス供給路とが独立に存在している場合(図2参照)を、独立と記載している。また、これらの流路が同一の場合(図3参照)を、同一と記載している。
また、主孔ノズルへの酸素含有ガス供給路と、副孔ノズルへの酸素含有ガス供給路とを独立とした場合は、吹錬開始後吹錬時間の30%未満までの期間では,副孔ノズルからのガス供給量を7Nm/minとした。次いで、吹錬開始後吹錬時間の30%以降の期間では、表1に記載のとおりに副孔ノズルから酸素含有ガスを噴出させた。
なお、吹錬開始後吹錬時間の30%未満までの期間も表1に記載の条件で副孔ノズルから酸素含有ガスを噴出させてもよいが、吹錬開始後吹錬時間の30%未満までの期間は、溶銑のSiを燃焼させる期間であり、COガスの発生量が少ないため、本発明による影響は小さい。そのため、本実施例では、吹錬開始後吹錬時間の30%以降の期間で、表1に記載の条件で副孔ノズルから酸素含有ガスを噴出させた。
主孔ノズルへの酸素含有ガス供給路と、副孔ノズルへの酸素含有ガス供給路とを同一とした場合は、吹錬開始後から表1の条件で副孔ノズルから酸素含有ガスを噴出させた。
着熱効率の評価で用いた「単位副孔酸素ガスあたりの副孔二次燃焼着熱量の指標」は、1つの副孔ノズルから噴出される酸素ガスがCOガスの燃焼に消費された際の燃焼熱の熱量のうち、溶鉄へ着熱した熱量の割合の相対値を意味する。ここでの相対値は、表1の精錬条件5の場合を1とした場合の相対値である。
「単位副孔酸素ガスあたりの副孔二次燃焼着熱量の指標」が大きいと、単位副孔ノズルからの酸素ガス流量を同一として比較した場合に、二次燃焼率が高く、かつ着熱効率が高いこと意味する。二次燃焼率および着熱効率をそれぞれ個別に計算することは困難であるため、本評価方法では、上記の二次燃焼着熱量を用いて、二次燃焼率および着熱効率を両方含めた指標を用いて評価している。
「単位副孔酸素ガスあたりの副孔二次燃焼着熱量の指標」は、具体的には、各精錬条件における二次燃焼着熱量から、副孔ノズルのない上吹きランスを用いた場合の二次燃焼着熱量の平均値を差し引いた値を、副孔酸素ガス流量で割ることで算出できる。
ここで、「二次燃焼着熱量」は、予め行った熱バランス計算に基づいて算出している。熱バランス計算は、従来公知の方法で計算したものであり、例えば、特開2002−12907号公報に開示されている方法と同じである。熱バランス計算において、入熱項には、溶鉄顕熱、潜熱、副原料燃焼熱、および鉄燃焼熱を考慮し、出熱項には、溶鉄顕熱、潜熱、スクラップ溶解熱、副原料顕熱、および排ガス顕熱を考慮した。入熱量と出熱量を比較すると、出熱量の方が高位となるため、これらの差分が二次燃焼着熱量に相当するとして、各試験操業における二次燃焼着熱量と定義した。
また、「副孔ノズルのない上吹きランスを用いた場合での二次燃焼着熱量の平均値」は、副孔ノズルのない上吹きランスで少なくとも3回操業実験をして、その平均をとったものである。
また、「副孔酸素ガス流量」は、1つの副孔ノズルから供給される酸素ガス供給量と、副孔ノズル数との積のことである。
Figure 0006939828
表1の結果より、本発明例の溶鉄の送酸精錬方法は、二次燃焼率が高く、かつ着熱効率が高いことが分かった。したがって、本発明の送酸精錬方法を使用すれば、精錬工程における熱余裕が飛躍的に向上し、大量の安価固体鉄源であるスクラップを溶解させることができ、プロセスコストを低減できる。
10 精錬炉(転炉型精錬炉)
11 転炉(反応容器)
12 耐火物
13 出湯口
14 底吹き羽口
15 導入管
16 溶鉄
17 スラグ
20 上吹きランス
21 主孔ノズル
22 副孔ノズル
31 主孔ノズルへの酸素含有ガス供給路
32 副孔ノズルへの酸素含有ガス供給路
33 酸素含有ガス供給路

Claims (2)

  1. 反応容器に装入した溶鉄に上吹きランスから酸素含有ガスを吹き付けて前記溶鉄に送酸精錬を行う、溶鉄の送酸精錬方法であって、
    前記上吹きランスは、前記上吹きランスの底面から鉛直下向き方向又は斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する主孔ノズルと、前記上吹きランスの側面から斜め下向き方向に酸素含有ガスを噴射する副孔ノズルと、が設けられており、
    前記副孔ノズルから噴射される酸素含有ガスが溶鉄浴面位置に到達するときの最大流速が、7m/s以上20m/s以下である、溶鉄の送酸精錬方法。
  2. 前記上吹きランスは、前記主孔ノズルへの酸素含有ガス供給路と、前記副孔ノズルへの酸素含有ガス供給路とが独立して設けられている、請求項1に記載の溶鉄の送酸精錬方法。
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