JP2010031338A - 転炉の操業方法 - Google Patents

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【課題】転炉吹錬において、炉寿命が長く、生産性の高い操業を安定的に行うために、耐火物損耗の不均一性の改善、地金付着の良好な状態での維持管理を安価な方法で実現する方法を提供する。
【解決手段】上吹きまたは上底吹き転炉における吹錬に際し、上吹きに用いるランスのノズルチップの内径、数、ピッチ円径、および、噴出角の少なくとも1つ以上が異なる複数のランスを用いて、該複数のランスを交換しながら使用することを特徴とする転炉操業方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、炉寿命が長く、生産性の高い転炉の操業方法に関するものである。
転炉吹錬では、ランスから吐出する酸素噴流により、炭素等の不純物を燃焼除去して、精錬を行っているが、耐火物と地金付着の両方を良好な状態に維持管理することは、炉寿命が長く、生産性の高い操業を安定的に行う上で、非常に重要なポイントである。
まず、第一のポイントである耐火物について述べる。耐火物の損耗の原因として、スラグによる侵食、炭素等の燃焼反応で発生する高温雰囲気による溶損、酸化性ガスによる侵食、スクラップや溶銑の装入に伴う衝撃等が挙げられるが、通常、損耗は、転炉内全体の耐火物で均一に進行するのではなく、損耗が局所的に顕著となる箇所(以降、「ネック箇所」と記載する場合がある。)が存在する場合が多い。
ネック箇所の耐火物が薄くなると、耐火物の張り替えが必要となるが、ネック箇所以外の耐火物には、十分な残厚がある場合、耐火物を均一に損耗させ、ネック箇所を解消することができれば、炉寿命の延長が可能となる。
そこで、耐火物施工面からの対策として、予めネック箇所になりやすい耐火物の材質や厚みを変更するなどの対策がとられているが、損耗の原因は、上記のように、多岐に亘り、また、それらの要因が複合しているため、耐火物施工面の対策だけでは不十分であるというのが現状である。
一方、操業面からの対策として、1)1対の上吹きランス(以降、「ランス」と記載する場合がある。)を使用するランス装置において、複数のノズルの転炉本体に対する周方向位置が、一方のランスと他方のランスで異なるようにノズルチップが取り付けられているランス装置(特許文献1、参照)、2)複数のノズルを、ランスの中心軸に対して非対称に配置し、耐火物の損耗状況に応じて、ランスを中心軸の回りに所定角度変位させる方法(特許文献2、参照)等が提案されている。
これらは、両者とも、ランスから吐出する酸素噴流の転炉水平断面における位置を適宜変更することにより、耐火物を均一に損耗させることを狙いとしたものであるが、吐出する酸素噴流の水平断面における位置を変更するだけであるため、耐火物の損耗の周方向の不均一性を改善することはできるが、高さ方向の不均一性を改善することはできない。
次に、第二のポイントである炉口近傍の地金付着について述べる。地金付着は、酸素噴流の衝突や、脱炭で発生するCOガス気泡の破裂による溶鉄やスラグの飛散(=スピッティング)、急激なCOガス発生により泡立った溶鉄とスラグの懸濁物が炉口近傍に達する現象(=スロッピング)等により、溶鉄やスラグが炉口近傍の耐火物に付着することで進行する。
吹錬回数を重ねるに従い、地金が成長する場合、地金がスクラップや溶銑等の原料装入の障害となったり、地金が溶鉄中に落下する際に、溶鉄の成分や温度に予測不能な変動をもたらしたりするなど、操業に悪影響を与える。さらに、地金が落下する際に、地金の下にある耐火物を同伴剥離させることがあり、炉口近傍の耐火物を著しく損耗させる。
これらの問題を防止するため、地金が成長する場合は、地金の状況を見ながら地金を適切な頻度で除去する必要が生じる。
地金除去の最も簡便な方法としては、スクラップシュ−トの先端を地金に衝突させ、物理的衝撃で除去する方法がよく知られている。しかし、この方法では、スクラップシュ−トを衝突させる際の衝撃で、炉口近傍の耐火物を、同時に損傷させる危険があるため、強い衝撃を与えることができず、地金除去の効率は低い。
その他、比較的効率の高い方法としては、ランス側面にノズルを設置した地金溶解専用ランスから横方向に酸素を吐出させて、地金を溶解除去する方法が提案されている(例えば、特許文献3、参照)。しかし、この方法は、転炉の非吹錬中にしか実施できないため、頻繁に実施すると転炉の非稼動時間の増加による生産性低下を招く。
そこで、生産性を維持するため、吹錬中に炉内で発生するCOガスをCO2まで二次燃焼させ、その燃焼熱で地金を溶解除去する方法が提案されている(例えば、特許文献4、5、参照)。しかし、これらの方法は、吹錬による成分や温度の制御と二次燃焼による地金の溶解除去の制御を同時に行うことから、制御が難しい上、制御の自由度も低いため、二次燃焼による燃焼熱で、耐火物まで損耗させてしまう危険性がある。
以上、地金が及ぼす悪影響とその除去方法について述べたが、一方で、地金は、その下にある耐火物を保護する役割も担っている。例えば、適切な地金厚みを確保することにより、その下にある耐火物が炉内の高温雰囲気やCO2のような酸化性ガスに晒されて損耗することを防止することが可能である。
そこで、地金の下にある耐火物を損耗させることなく、地金付着を良好な状態に管理する方法として、「吹錬専用ランス」と「地金溶解用ノズルを併設したランス」を交互に使用する方法が提案されている(特許文献6、参照)。
この方法では、通常の「吹錬専用ランス」と「吹錬用酸素ガスの供給と同時に吹錬用酸素ガスと独立して流量制御が可能である地金溶解用酸素ガスを供給できるノズルを有するランス」を適宜使い分けることで、制御の自由度が向上し、地金を適量かつ均一に分布させておくことができる。
しかし、「地金溶解用ノズルを併設したランス」において、地金溶解用ノズルの目詰まり防止のためのパージガス供給系統が必要になること、ガス系統が増加するため、ランス構造が複雑になること、さらに、ランス側面の「地金溶解用ノズル」が損耗した場合、交換範囲が広範となり、整備負荷が大きいこと、などの問題があるため、現実的ではない。
特開昭63−290215号公報 特許3876537号公報 特許3196235号公報 特開平8−127812号公報 特許2917848号公報 特開2000−96122号公報
本発明は、転炉吹錬において、炉寿命が長く、生産性の高い操業を安定的に行うために、耐火物の損耗の不均一性を改善すること、地金付着を良好な状態に維持管理すること、さらに、それらを安価な方法で実現すること、を目的とする。
前述した耐火物の損耗の原因の中で、スラグによる侵食、炭素等の燃焼反応で発生する高温雰囲気による溶損、酸化性ガスによる侵食については、ランスのノズルから吐出した酸素噴流が溶鉄やスラグに衝突し、燃焼反応により、COガスやCO2ガスとなって炉内を上昇して、炉口から排出される過程における転炉内の「ガス流れ」や「燃焼反応帯」の分布が大きく影響していると考えられる。
例えば、酸素噴流がスラグに衝突すると、スラグの飛散位置は、酸素噴流の衝突位置や衝突方向、即ち「ガス流れ」の影響を受けるはずであり、スラグの飛散位置近傍にある耐火物は、スラグによる侵食で局所的に損耗し易くなる。
同様に、燃焼反応が起こっているゾ−ン、即ち「燃焼反応帯」で発生する高温雰囲気に晒されやすい箇所や、燃焼反応により生成するCO2などの酸化性ガスの流路近傍にある耐火物も、局所的に損耗し易くなるはずである。
また、地金付着についても、耐火物と同様に考えられ、例えば、地金の付着原因となるスピッティングの飛散位置や、地金の溶解原因となる高温雰囲気に晒され易い箇所は、「ガス流れ」や「燃焼反応帯」の分布によって影響されるはずである。
そこで、本発明者らは、この転炉内の「ガス流れ」と「燃焼反応帯」の分布に着目し、耐火物の損耗状況、地金の付着状況に応じて、「ガス流れ」と「燃焼反応帯」の分布を制御することにより、転炉吹錬における前述の課題に対応することができると考えて検討した。
その結果、ランスのノズルチップの内径、数、ピッチ円径、噴出角(以降、これらを総称して「ノズル配置」と記載する場合がある。)が異なる複数のランスを交換しながら使用することにより、「ガス流れ」と「燃焼反応帯」の分布を変更できることを知見し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、ノズル配置の異なるノズルチップを取り付けた複数のランスを使い分けることにより、耐火物の損耗状況、地金の付着状況に応じて、転炉内の「ガス流れ」と「燃焼反応帯」の分布を変更し、ネック箇所の耐火物の負荷を解消して、耐火物の損耗の不均一性を改善すること、さらに、地金付着を良好な状態に維持管理することを特徴とする。
また、複数のランスの使い分け方法を規定することにより、前述した効果を最大限享受しつつ、吹錬の安定性も確保することを特徴とする。
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)上吹きまたは上底吹き転炉における吹錬に際し、上吹きに用いるランスのノズルチップの内径、数、ピッチ円径、および、噴出角の少なくとも1つ以上が異なる複数のランスを用いて、該複数のランスを交換しながら使用することを特徴とする転炉の操業方法。
(2)前記複数のランスを交換しながら使用する際に、吹錬中の噴流強度の差異が所定の範囲となるように、ランス高さを調整することを特徴とする前記(1)に記載の転炉の操業方法。
(3)前記複数のランスを交換しながら使用し、転炉内のガス流れと、燃焼反応帯の分布を変更することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の転炉の操業方法。
本発明によれば、耐火物の損耗の不均一性を改善することができ、炉寿命を延長することが可能となる。また、地金付着を良好な状態に維持管理することにより、地金落下時の耐火物の同伴剥離、高温雰囲気や酸化性ガスへの暴露による耐火物の損耗を改善することができ、炉寿命を延長することができる。
さらに、地金による原料装入への障害、地金落下時の溶鉄成分や温度への予測不能な変動等の操業障害を解消するとともに、地金除去に伴う非稼働時間の増加を防止できるので、生産性が向上する。また、本発明は、設備改造や整備負荷の増加なしに、安価かつ簡便に実現できるので、コスト削減、生産性向上、操業安定化の効果を享受できる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下に説明する。
通常の転炉設備では、1基の転炉に対して2つのランス台車があり、それぞれの台車がランス1本を把持している。ランスの先端には、ノズルチップが取り付けられている。ノズルチップの下面には、複数のノズルが配置され、それらのノズルから酸素噴流を吐出させて吹錬を行う。
吹錬回数を重ねるに従い、ノズルチップが損耗するので、その都度、ランスを台車から取り外して、ノズルチップを交換する必要があるが、台車が2つあるのは、ノズルチップ交換時等の予備のためである。
ノズルチップ部分の断面の詳細を、図1に拡大して示す。図1(a)に、ノズルチップ部分の断面の一態様を示し、図1(b)に、別のノズルチップ部分の断面の一態様を示す。図1に示すように、本発明のノズルチップ部分は、ノズル内径1、ピッチ内径2、および/または、ノズル噴出角3を変更して構成する。
ノズルチップのノズル配置は、ノズルの内径、数、ピッチ円径、および/または、噴出角により決定されるが、従来は、ノズル配置が同一のノズルチップを、2つのランスに取り付けて使用することが、通常行われていた。
なお、従来技術として、1)1対のランスを使用するランス装置において、複数のノズルの転炉本体に対する周方向位置が、一方のランスと他方のランスで異なるようにノズルチップが取り付けられているランス装置、2)複数のノズルを、ランスの中心軸に対して非対称に配置し、耐火物の損耗状況に応じて、ランスを中心軸の回りに所定角度変位させる方法があることは前述したが、これらは、両者とも、ノズル配置が同一のノズルチップの取り付け位置を周方向に変位させるだけであり、同一のノズルチップを使用することに変わりはない。
従って、ランスから吐出する酸素噴流の転炉水平断面における位置を変更することで、水平断面におけるガス流れを変更し、耐火物の損耗の周方向の不均一性を改善することはできるが、高さ方向の不均一性を改善することはできなかった。
これに対して、本発明では、ノズル配置、即ち、ノズルチップのノズルの内径、数、ピッチ円径、噴出角のうち少なくとも一つを変更したランスを交換しながら使用することにより、酸素噴流が溶鉄やスラグに衝突する際の転炉垂直断面の角度や位置を変更し、垂直断面における「ガス流れ」や「燃焼反応帯」の分布も変更することができる。
そのため、それらの分布の影響を受けるスラグの飛散位置、高温雰囲気、酸化性ガスの流路の垂直断面位置を変更することができ、複数のランスを使い分けることで、高さ方向の局所的な損耗も防止できることを、本発明者らは新たに見出した。
また、地金付着についても、同様に、垂直断面のガス流れや燃焼反応帯の分布の変更により、地金の付着原因となるスピッティングの飛散位置、地金の溶解原因となる高温雰囲気に晒されやすい箇所の垂直断面位置を変更することができ、複数のランスを使い分けることで、高さ方向の地金の付着位置や量を制御できることを、本発明者らは新たに見出した。
なお、ノズルチップのノズル噴出角を変更することにより、酸素噴流が溶鉄やスラグに衝突する際の垂直断面の角度を変更することができるのは自明であるが、ノズルの内径、数、および/または、ピッチ円径を変更することでも、当該角度を変更することができる。
その理由は、ノズルから吐出した噴流は、周囲の雰囲気を巻き込みながら進行するので、複数のノズルから吐出した噴流間には引力が作用するが、ノズルの内径、数、および/または、ピッチ円径を変更することで、引力の作用が変化し、噴流の進行方向が変化するということである。
具体的には、ノズル配置として、ノズルの内径、数、ピッチ円径、および、噴出角があるが、ノズルの内径と数については、酸素ガスの供給速度と供給圧力によって、断面積がある程度規定されるため、通常、内径を小さくする場合は、数が増加し、反対に内径を大きくする場合は、数が減少する。
噴流は、ノズルの内径が小さいほど、周囲の雰囲気を巻き込んで減衰し易くなるため、内径が小さい、すなわち、ノズルの数の多いノズルチップほど、噴流強度が低下し易い。
従って、内径が小さい、すなわち、ノズルの数の多いノズルチップのランスに交換した場合は、溶鉄やスラグ面に衝突する際の噴流強度が低く、また、周囲の雰囲気を巻き込み易い「ガス流れ」となり、「燃焼反応帯」も、ランスにより近い位置で周囲の雰囲気を巻き込むため、ランスにより近い位置に位置するようになる。
一方、ピッチ円径や、噴出角が大きくなると、通常、噴流間の距離が離れ、噴流同士が合体し難くなることから、噴流が中央に寄り難くなり、噴流が溶鉄やスラグに衝突する際の垂直断面の角度が浅くなる。従って、衝突して反転したガス流れや、ガス流れに同伴されて飛散する溶鉄やスラグ(=スピッティング)は、低い位置の炉壁に衝突し易くなる。
従って、ピッチ円径や噴出角が大きいノズルチップのランスに交換した場合は、反転した「ガス流れ」は、より低い位置で炉壁衝突するように変化し、「燃焼反応帯」は、より炉壁に近い位置に位置するようになる。
上述のように、ノズル配置を変更することで、「ガス流れ」や「燃焼反応帯」を変更して、炉内の熱負荷の大きい位置や、スピッティングが飛散し易い位置を、高さ方向で、変更、制御することができる。
ただし、上記のノズル配置が及ぼす影響の傾向は、あくまで、一般的な傾向であり、ノズルの内径、数、ピッチ円径、および/または、噴出角は、それぞれが相互に影響しあい、また、酸素ガスの供給速度の影響もあるため、常に、上述の傾向が成り立つとは限らない。例えば、過度にノズルの数を増やした場合、噴流間の距離が近づき、噴流同士の干渉や合体が促進され、噴流強度が増加することなどもある。
従って、実施に際しては、ノズル配置の影響を、操業経験や数値解析に基づいて、予め把握しておくことが重要である。なお、数値解析については、市販のソフトウエア(例えば、FLUENT等)を用いて計算することができる。
本発明の実施の形態の一例を、図2に示す。図2(a)に所要のノズルチップ(例えば、図1(a)に示すノズルチップ)を取り付けたランス6(ランス台車5に把持されている)を用いて、転炉4に収容した溶鉄8とスラグ9に酸素を吹き付けて行なう吹錬の態様を示し、図2(b)に、上記吹錬の後に、別のノズルチップ(例えば、図1(b)に示すノズルチップ)を取り付けたランス6’(ランス台車5’に把持されている)を用いて行なう次の吹錬の態様を示す。なお、図2中、10は、付着地金である。
本発明の実施に際しては、まず、ノズル配置の異なるノズルチップ(図1、参照)を取り付けた複数のランス6,6’を用意し、ランス台車に取り付ける。
どちらか一方のランス(例えば、図2中、ランス6)を用いて、1チャージ以上の吹錬を行った後、転炉内の耐火物の損耗状況や、地金の付着状況を、操作者による目視、炉内プロフィールメータによる測定等で把握しながら、次に使用するランスを選定し、ランスを交換して、次チャージの吹錬を行い、以降、同様の作業を繰り返す。
なお、使用するランスの選定基準は、転炉のサイズ、操業条件、および/または、転炉の使用回数に応じた耐火物の損耗状況等によっても異なるため、一概に述べることはできないが、ノズルチップ種によるガス流れや燃焼反応帯の分布への影響と、耐火物の損耗状況、地金の付着状況の関係を、予め、従来の操業経験や上述の数値解析等に基づいて把握しておき、決定する。
また、使い分けるノズルチップ種は、少なくとも2つであるが、3つ以上のノズルチップ種を使い分けてもよい。
さらに、複数のランスを交換しながら使用する場合、吹錬中に、ほぼ一定の噴流強度となるように、ランス高さを調整することで、吹錬の安定性を確保しつつ、前述した効果を最大限享受することができる。また、ランス高さを変更することで、「ガス流れ」や「燃焼反応帯」の分布も変更することができ、操作因子の自由度を向上させることができる。
以下に、詳細に説明する。まず、ノズルチップの内径が小さくなり、ノズル数が多くなるとノズル周長の総和が大きくなるため、ノズルから吐出した噴流と雰囲気との接触部が増え、噴流が減衰しやすくなり、酸素噴流の噴流強度は通常低下(=ソフトブロー化)する。
一方、ノズルのピッチ円径や噴出角が大きくなると、複数のノズルから吐出した噴流間の距離が広がり、噴流間の引力が弱まるため、噴流同士が合体し難くなり、この場合も、酸素噴流はソフトブロー化する。
ここで、ランスからの酸素噴流は、酸素の供給源としての役割だけでなく、転炉内の溶鉄やスラグを攪拌することにより、反応を促進する役割も担っているため、ノズルチップ種の異なるランスを使用した際に、酸素噴流の強度が変化し、攪拌状況が変化することは、吹錬の安定性の面から望ましくない。
従って、ノズル配置の異なるノズルチップを取り付けたランスを交換しながら使用する場合、ランス高さを変更して、吹錬中の噴流強度をほぼ一定とし、吹錬の安定性を確保することが望ましい。なお、吹錬中の噴流強度を、ほぼ一定とするにあたり、複数のランスでの噴流強度の差異が、安定吹錬を実現できる所定の範囲内とすることが好ましい。
ここで、噴流強度とは、溶鉄面に衝突する際の酸素噴流の流速分布の中で最大となる部分の流速と定義され、モデル実験や数値解析等に基づいて推測することができる。また、所定の範囲とは、一般的に、±10%の範囲であるが、転炉のサイズ、操業条件等によって異なるため、一概に述べることはできず、実際の操業の中で、微修正を行うのが妥当な方法である。
以上、本発明の方法により、耐火物の損耗の不均一性、特に、従来の方法では困難であった高さ方向の不均一性を改善すること、地金付着を良好な状態に維持管理することが可能となった、また、地金付着の管理については、地金溶解専用のランスやノズルが必要ないため、パージガス供給系統、や複雑なランス構造が不要となり、安価かつ簡便に実現することができる。
本発明の操業方法による実施例について説明する。
試験は、370t転炉において実施した。スクラップおよび溶銑を装入した後、塩基度が約3〜3.5となるように生石灰等の副原料を投入して、吹錬を行った。上吹きランスからは、140〜200Nm3/h/tの酸素ガス、底吹き羽口からは、約8Nm3/h/tの底吹きガスを供給した。表1に、使用したノズルチップを示し、表2に、試験水準および試験結果を示す。
実験は、同一の酸素ガス供給パターン(吹錬初期は、約140Nm3/h/t、吹錬中期は、約200Nm3/h/t、吹錬末期は、約160Nm3/h/tで酸素を供給)で、各水準につき、数百チャージずつ吹錬を行い、耐火物、地金付着、吹錬の状況を評価した。
噴流強度は、溶鉄面に衝突する際の酸素噴流の流速分布を数値解析により求め、水準1の噴流強度を1とした場合の比率で示した。
評価方法としては、耐火物については、炉口近傍、炉腹上部、炉腹下部の定点の耐火物厚みを炉内プロフィールメータで測定して、各部位の周方向平均損耗速度を計算した。
地金付着については、炉口部の地金量を操作者の目視により、5段階で、「多」、「やや多」、「適度」、「やや少」、「少」として評価した。
評価基準は、スクラップ装入時のスクラップシュートと炉口付着地金との間隔を目視で測定し、その間隔(間隔が狭い場合は、地金量が多く、広い場合は、地金量が少ない)を地金量に対応させ、評価期間中の平均的な地金量を評価した。
吹錬状況については、吹錬終了時点のスラグ中全鉄分(T.Fe)の値を、吹錬終了時点の炭素濃度で補正(「吹錬終了時炭素濃度」と(T.Fe)の関係を操業データをもとに回帰式化し、吹錬終了時の炭素濃度の差異を補正)して、平均値を計算したが、通常、ソフトブローの場合に、(T.Fe)の値が高くなる。
Figure 2010031338
Figure 2010031338
水準1〜3は、ともに、同一のノズルチップ3種類を、それぞれ使用した本発明の範囲外の比較例、水準4〜6は、水準1〜3で使用したノズルチップを取り付けた複数のランスを交換しながら使用した本発明例で、それぞれ、組み合わせが異なる。さらに、水準5、6は、ノズル配置の異なるランスを使用する場合に、ランス高さを変更した本発明例である。
耐火物については、周方向平均耐火物損耗速度で比較すると、比較例の水準1〜3に比べ、本発明例の水準4〜6で、いずれも、最大値が低くなっており、このことは、耐火物の損耗の不均一性が改善されたことを示している。
また、地金付着については、水準1〜3では、適度な地金付着がなかったのに対し、水準5、6では、適度に地金が付着していた。特に、地金が付着しにくい条件である水準1または水準2の条件と、地金付着が付着しやすい水準3の条件を組み合わせた水準5、水準6では、地金付着を良好な状態に維持管理することができることがわかる。
また、水準4〜6で、2つのそれぞれのランスを用いた場合の(T.Fe)を比較すると、2つのランスの噴流強度の比が最も近い水準6で、(T.Fe)の差異が小さくなっており、噴流強度をほぼ一定とすることで、吹錬間の差異が小さくなり、吹錬の安定性が確保できていた。
本発明のノズルチップ部分の断面の態様を示す図である。(a)は、ノズルチップ部分の断面の一態様を示し、(b)は、別のノズルチップ部分の断面の一態様を示す。 本発明の実施の形態を示す図である。(a)は、所要のノズルチップ(例えば、図1(a)に示すノズルチップ)を取り付けたランスを用いて行う吹錬の態様を示し、(b)は、別のノズルチップ(例えば、図1(b)に示すノズルチップ)を取り付けたランスを用いて行う吹錬の態様を示す。
符号の説明
1 ノズル内径
2 ピッチ円径
3 ノズル噴出角
4 転炉
5 ランス台車(ランス6を把持)
5’ ランス台車(ランス6’を把持)
6,6’ ランス
7 ノズルチップ(ランス6に取付)
7’ ノズルチップ(ランス6’に取付)
8 溶鉄
9 スラグ
10 付着地金

Claims (3)

  1. 上吹きまたは上底吹き転炉における吹錬に際し、上吹きに用いるランスのノズルチップの内径、数、ピッチ円径、および、噴出角の少なくとも1つ以上が異なる複数のランスを用いて、該複数のランスを交換しながら使用することを特徴とする転炉の操業方法。
  2. 前記複数のランスを交換しながら使用する際に、吹錬中の噴流強度の差異が所定の範囲となるように、ランス高さを調整することを特徴とする請求項1に記載の転炉の操業方法。
  3. 前記複数のランスを交換しながら使用し、転炉内のガス流れと、燃焼反応帯の分布を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の転炉の操業方法。
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