JP6756074B2 - 転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 - Google Patents

転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 Download PDF

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Description

本発明は、転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法に関する。
従来より、製鋼工程においては、脱りん炉や転炉といった転炉型精錬容器において、溶銑の脱りん処理、脱炭処理などが行われている。
この転炉型精錬容器を構成する鉄皮の内側には、高温の溶銑が炉内に装入されるため、耐火物(煉瓦)が施工されている。その耐火物のうち、炉底の全体に施工されている耐火物のことを「炉底耐火物」と呼び、炉底の底吹き羽口及びその周辺部に施工されている耐火物のことを「底吹き羽口耐火物」と呼んでいる。
底吹き羽口耐火物は、高温の溶銑に接しており、且つ底吹きガス撹拌による溶銑流動による摩耗が大きい、すなわち実操業上の負荷が大きいため、他の箇所(例えば、炉内壁上部など)より優先的に損傷することとなる。このような、底吹き羽口耐火物の損傷状況を考慮した上で、転炉型精錬容器の耐火物の寿命を決定している。そのため、底吹き羽口耐火物の管理及び補修をする技術が重要となってくる。
転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている底吹き羽口耐火物を補修する技術としては、例えば、特許文献1〜3に開示されているものがある。
特許文献1は、スラグコーティング時における底吹きノズルの閉塞事故を無くし且つ必要に応じた厚さのスラグコーティング層を転炉々底部に形成することを目的としている。
具体的には、底吹きノズルを備えた転炉における炉底部を空炉時にコーティングして保護する方法において、溶融及び半溶融スラグのコーティング工程で、底吹きノズル1孔当たり0.025Nm3/トン・min.以上の底吹き速度で不活性ガスを吹きこむこととしている。
特許文献2は、熱間補修方法であって、底吹き機能を有する転炉においても、耐用性にすぐれ、吹錬時の上底吹きの効果を低下させないことを目的としている。
具体的には、底吹き機能を有する転炉の内張り耐火物の熱間補修方法において、炉底部から0.1〜3.0Nm3/min.の底吹きガスを流しながら前記転炉内に残留させた溶融スラグ100重量部に対し大きさが30〜100mmの塊状の含MgO耐火物を10〜100重量部投入し、該転炉を揺動した後静置することとしている。
特許文献3は、底吹き機能を有する転炉型精錬容器の炉底羽口を溶射補修又は吹付け補修による補修する際に、補修体に大きな開口を確保せしめて、操業中におけるマッシュルーム及び補修体の剥離脱落を予防して羽口周辺の溶損を防ぎ、且つ、炉底羽口の寿命を延長せしめることを目的としている。
具体的には、底吹き機能を有する転炉型精錬容器の底吹きガス吹き込み羽口からガスを吹き込みながら行う不定型耐火物による熱間補修方法において、該羽口から底吹きガスを線流速50Nm/sec.〜500Nm/sec.の範囲で通入しつつ、熱間補修を行うこととしている。
特開昭63−153209号公報 特開平03−082705号公報 特開平07−090340号公報
しかしながら、特許文献1においては、炉底に対してスラグコーティングを行う場合における底吹きガスの流量の規定(特に上限値)に関する記載も示唆もされていない。そのため、底吹きガスの流量の多さによっては、後述するような問題が生じる虞がある。
具体的には、例えば、スラグコーティングする際の底吹きガス流量が大きい場合、スラグ中に形成されるガスの通気孔が大きくなってしまい、実操業において転炉吹錬中の大きいガス圧力よりスラグの接着強度が弱められる、或いは、転炉吹錬中にガスの通気孔に溶融鉄が差し込んでしまうことで、コーティングスラグの炉底からの剥離が発生し、底吹き羽口耐火物の損傷速度が大きくなる虞がある。
また、同文献においては、底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さに応じた底吹きガス流量の基準についての記載が全くされていない。それ故、この同文献に開示の方法で炉底のスラグコーティングを実施したとしても、底吹き羽口耐火物の損耗が進んだ場合、底吹きガスの突出位置からコーティングスラグと溶融鉄が接触する面までの距離、すなわち付着した補修材の上下方向における厚みが、大きくなり過ぎてしまうこととなる。この状況下で、実操業の転炉吹錬時に高流量の底吹きガスを吐出させた場合に、その底吹きガスの大きい圧力よりスラグの接着強度が弱められることとなるので、コーティングスラグが炉底から剥離してしまい、炉底の底吹き羽口耐火物の損傷速度が大きくなる虞がある。
特許文献2においては、炉底のノズル及び羽口煉瓦の上部に形成される補修層の厚みに応じた底吹きガス流量の基準に関する記載も示唆もされていない。そのため、形成される補修層の厚みによっては、後述するような問題が生じる虞がある。
具体的には、例えば、補修層の厚みが大きくなった場合、実操業において転炉吹錬中のガス流量を確保するためにガス圧力を上昇させたとき、その大きくなったガス圧力より補修層の接着強度が弱められてしまい、形成された補修層の炉底からの剥離が誘発される虞がある。
一方、補修層の厚みが小さい場合、実操業において通常のガス圧力でも補修層の接着強度を弱めてしまう可能性があり、形成された補修層が炉底から剥離してしまう虞がある。
また、同文献においては、底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さに応じた底吹きガス流量の基準についての記載が全くされていない。それ故、この同文献に開示の方法で底吹き羽口耐火物の補修を実施したとしても、底吹き羽口耐火物の損耗が進んだ場合、すなわち深くえぐれた状況なった場合においては、補修層の厚みが大きくなりすぎることとなる。このようになると、実操業の転炉吹錬中にガス圧力を増加させることとなる。
つまり、実操業において大きくしたガス圧力より補修層の接着強度が弱められることとなるので、補修層が炉底から剥離してしまい、炉底の底吹き羽口耐火物の損耗が進んでしまう虞がある。
特許文献3においては、炉底のノズル及び羽口煉瓦の上部に形成される補修体の厚みに関する規定に関する記載も示唆もされていない。そのため、形成される補修体の厚みによっては、後述するような問題が生じる虞がある。
具体的には、例えば、補修体の厚みが大きくなった場合、実操業において転炉吹錬中のガス流量を確保するためにガス圧力を上昇させたとき、その大きくなったガス圧力より補修体の接着強度が弱められてしまい、形成された補修体の炉底からの剥離が誘発される虞がある。
一方、補修体の厚みが小さい場合、実操業において通常のガス圧力でも補修体の接着強度を弱めてしまう可能性があり、形成された補修体が炉底から剥離してしまう虞がある。
また、同文献においては、底吹き羽口耐火物の厚み(上下)方向における損傷距離(損傷深さ)に応じた底吹きガスの線流速の基準についての記載が全くされていない。それ故、この同文献に開示の方法で底吹き羽口耐火物の補修を実施したとしても、底吹き羽口耐火物の損傷深さが大きい場合においては、底吹き羽口から炉内へ吐出させる底吹きガスの突出位置(露出した底吹きノズルの上端)から補修体の表面までの距離、すなわち付着した補修体の上下方向における厚みが、大きくなり過ぎてしまう。このような状況下になると、実操業の転炉吹錬中にガス圧力を増加させなければならなくなる。
つまり、上記の状況下で、実操業において高流量の底吹きガスを吐出させた場合に、その底吹きガスの圧力により補修体が炉底から剥離してしまい、底吹き羽口耐火物の損耗が進んでしまうこととなる。
このように、補修材を用いて底吹き羽口耐火物を補修する時に、付着させる補修材の厚み、及び、補修実施時に底吹き羽口から炉内へ吐出させる底吹きガス流量を規定しないと、実操業の転炉吹錬時に、補修材の剥離などの底吹き羽口の損耗が進んでしまうこととなる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、補修材を用いて底吹き羽口に施工されている耐火物を補修するに際して、損傷した耐火物に付着させる補修材の厚み、及び、炉内へ吐出する底吹きガス流量を規定することで、実操業において、付着補修材の剥離が無く且つ、羽口耐火物の損傷速度を低減させることができる転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法は、転炉型反応容器の底部の底吹き羽口に施工されている耐火物に対して、MgO系耐火物補修材を用いて補修するに際して、前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、0.35x/y+0.50≦A(Nm3/分)≦0.55x/y+0.70の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込み、前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの範囲においては、前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、1.40x/y-0.40≦A(Nm3/分)≦1.10x/y+0.43の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込むことを特徴とする。
本発明によれば、補修材を用いて底吹き羽口に施工されている耐火物を補修するに際して、損傷した耐火物に付着させる補修材の厚み、及び、炉内へ吐出する底吹きガス流量を規定することで、実操業において、付着補修材の剥離が無く且つ、羽口耐火物の損傷速度を低減させることができる。
底吹き羽口耐火物の通常及び損傷の状況を模式的に示した図である。 MgO系耐火物補修材を用いた底吹き羽口の補修方法の概略を模式的に示した図である。 底吹き羽口(耐火物)の損傷距離を測定するFMセンサーの構造の概略を模式的に示した図である。 損傷の最深部(底吹きガスの突出位置)から、付着した補修材の表面(補修材と溶融鉄との接触面)までの距離y、すなわち付着補修材の厚みyの算出方法の概略を模式的に示した図である。 厚みyが下限を外れた場合における付着補修材の剥離状況を模式的に示した図である。 厚みyが上限を外れた場合における付着補修材の剥離状況を模式的に示した図である。 補修実施時における底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aが下限を外れた場合における付着補修材の剥離状況を模式的に示した図である。 補修実施時における底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aが上限を外れた場合における付着補修材の剥離状況を模式的に示した図である。 炉底の底吹き羽口耐火物、底吹きノズル、及び、FMセンサーの配置状況を詳細に示した模式図である。 損傷の最深部(底吹きガスの突出位置)から、付着した補修材の表面(補修材と溶融鉄との接触面)までの距離y、すなわち付着補修材の厚みyの算出方法を詳細に示した図である。 底吹き羽口耐火物の損傷距離の測定方法、その測定に用いられるFMセンサーの構造、及び、底吹き羽口耐火物の損傷速度の算出方法を詳細に示した図である。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの場合の実施例(実験番号1〜37)と、比較例(実験番号38〜49)を比較したグラフである。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの場合の実施例(実験番号1〜37)と、比較例(実験番号50〜65)を比較したグラフである。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの場合の実施例(実験番号66〜101)と、比較例(実験番号102〜121)を比較したグラフである。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの場合の実施例(実験番号66〜101)と、比較例(実験番号122〜141)を比較したグラフである。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの場合の実施例(実験番号1〜37)の結果をまとめたヒストグラムである。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの場合の比較例(実験番号38〜65)の結果をまとめたヒストグラムである。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの場合の実施例(実験番号66〜101)の結果をまとめたヒストグラムである。 底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの場合の比較例(実験番号102〜141)の結果をまとめたヒストグラムである。 底吹き羽口耐火物に付着している付着補修材の有無状況の観察方法の概略を模式的に示した図である。 補修実施後〜1ch処理後に、底吹きノズルの付着補修材の有無(剥離の有無)の評価をする際に用いた、底吹き羽口の保護状況の一例を示した図である。
以下、本発明にかかる転炉型反応容器1の底吹き羽口5に施工されている耐火物7の補修方法の実施形態を、図を参照して説明する。
また、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
脱りん炉、転炉などの転炉型反応容器1は、製鋼工程で脱りん又は脱炭を行う目的で、酸素を炉内に吹き込んで溶融鉄14の撹拌を行う上吹きランスを上方に備え、底吹きガス(不活性ガス)を炉内に吹き込んで溶融鉄14の撹拌を行う底吹きノズル6を有する底吹き羽口5を炉底3に備えている。
この転炉型反応容器1を構成する鉄皮2の内側には、高温の溶銑14(溶融鉄)が炉内に装入されるため、MgO-C耐火物4(耐火煉瓦)が施工されている。その耐火物4のうち、炉底3の全体に施工されている耐火物4のことを「炉底耐火物9」と呼び、炉底3に備えられていて、不活性ガスを吹き込む底吹き羽口5及びその周辺部に施工されている耐火物4のことを「底吹き羽口耐火物7」と呼んでいる。
なお以降、本実施形態の説明において、本発明の名称を「底吹き羽口耐火物7の補修方法」と呼ぶこともある。
本発明の底吹き羽口耐火物7の補修方法は、転炉型反応容器1を用いた実操業において、炉底3の底吹き羽口耐火物7、及び、不活性ガスを流通させる底吹きノズル6(底吹き羽口5)の損傷を抑制するために、MgO系耐火物補修材8を用いた底吹き羽口耐火物7の補修条件を、底吹き羽口耐火物7の損傷部位の損傷度合いごとに場合分けし、その損傷部位に付着させるMgO系耐火物補修材8(以降、付着補修材8と呼ぶこともある。)の厚みと、補修実施時における底吹き羽口5の底吹きノズル6、1本当たりのガス流量と、を規定することとしている。
図1に示すように、底吹き羽口耐火物7及び付着補修材8は、実操業において、底吹きガスによる摩耗、底吹きガス撹拌により溶融鉄14が流動することによる摩耗、煉瓦(耐火物4)温度と、炉内に装入されている溶融鉄14、或いは、生成される溶融スラグ15との温度差による熱応力による損傷、そのスラグ15による溶損などにより、損傷が進行する。
このように、底吹き羽口耐火物7の損傷が進み、その底吹き羽口耐火物7(煉瓦)の残寸が0に近づくと、底吹き羽口耐火物7及び底吹きノズル6の交換が必要となる。なお、炉内に装入されている溶融鉄14と、生成されるスラグ15の反応速度は、底吹きガス撹拌により溶融鉄14の撹拌動力を付与することで、向上する。
それ故、損傷による底吹きノズル6の交換などの頻度を低減するために、MgO系耐火物補修材8を用いて、底吹き羽口耐火物7、或いは、底吹き羽口耐火物7の損傷部位に、耐火物の付着物8を形成させることとする。これにより、底吹き羽口耐火物7の摩耗・溶損を抑制すると共に、その損傷速度を低減させることができる。
図2に示すように、MgO系耐火物補修材8としては、高温になっている転炉型反応容器1内(炉内)へ投入し、その炉内に施工されている炉内耐火物4の熱を利用して、炉底3の補修箇所(損傷部位)に付着させる焼き付け材16(焼付補修)や、MgO系耐火物と水とを混合して、炉底3の補修箇所に吹付機18の吹付パイプ19より吹き付けて、付着させる吹き付け材17(吹付補修)などが挙げられる。
なお、転炉型反応容器1の炉底3には、底吹き羽口耐火物7と、円筒状の外管6a内に、その外管6aより小径の内管6bが挿入されている二重管状の底吹きノズル6(SAノズル)を有する底吹き羽口5が設けられている(図3など参照)。実操業において、SAノズル6の外管6aと内管6bとの間に形成された隙間に底吹きガスを通過させて炉内へ吐出させることで、炉内に装入された溶融鉄14の撹拌を促進し、反応効率を向上させている。
そこで、本実施形態においては、転炉型反応容器1の炉底3(底部)の底吹き羽口5に施工されている耐火物7に対して、MgO系耐火物補修材8を用いて補修するに際して、底吹き羽口耐火物7の損傷部位の損傷度合いを、底吹き羽口耐火物7の損傷部位における厚み方向の損傷深さxとし、その損傷深さxを、0.00m≦x≦0.30mの場合と、0.30m<x≦0.80mの場合とに分けて、損傷部位の付着補修材8の厚みyと、補修実施時における底吹き羽口5の底吹きノズル6、1本当たりのガス流量A、すなわち底吹き羽口耐火物7の補修条件を規定している。
まず、損傷部位の損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における底吹き羽口耐火物7の補修条件について、述べる。
底吹き羽口耐火物7の損傷部位における厚み方向の損傷深さxの測定については、当業者常法を用いている。なお以降、単に「損傷深さx」と呼ぶこともある。
図3に示すように、例えば、底吹きガスの通気管(SAノズル6)内に予め、検知点12bの距離の異なる熱電対12a(FMセンサー12)を設置しておき、その熱電対12aが断線したタイミングで、定量的に測定する。なお、図示はしないが、炉内耐火物の残厚測定装置(レーザー距離計)で、損傷深さxを測定するようにしてもよい。
具体的には、FMセンサー12の場合、SAノズル6の内管6bの内側に施工されている粉状耐火物10内に予め、長さの異なる熱電対12aを複数本(少なくとも2本以上)埋設しておき、底吹き羽口耐火物7及びSAノズル6が損耗すると、その損耗した位置に埋設されている熱電対12aが断線することとなり、損耗位置が検知される。
損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、底吹き羽口耐火物7の損傷部位に付着させるMgO系耐火物補修材8の厚みyを、0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲としている。なお以降、単に「付着補修材8の厚みy」と呼ぶこともある。
この付着補修材8の厚みyは、底吹きガスが吐出される位置(SAノズル6の上端、又は、えぐれた損傷部位の最深部)から、付着補修材8と溶融鉄14(実操業において炉内に装入された場合)との接触面(炉内側表面)までの距離ともいえる。
付着補修材8の厚みyは、補修する時点での損傷深さxの最大値から算出する。そして、規定した付着補修材8の厚みyの範囲内となるように、補修量を決定する。この補修量については、補修実施前に、レーザープロフィール計で測定した炉内形状を用いて、幾何学計算により算出する。或いは、補修実施前と補修実施後における付着補修材8の厚みyの過去実績10回分の測定値の差分と補修量との近似式を用いて、規定した付着補修材8の厚みyの範囲内となるように、補修量を算出する。
すなわち、損傷部位に施工する付着補修材8の厚みyを規定することにより、MgO系耐火物補修材8の使用量が定まることとなる。
図4に示すように、付着補修材8の厚みyの算出については、まず、処理回数0ch(処理前)において、炉口の上方に備えたマイクロ波レベル計11(測定器)を用いて、その測定器から損傷深さxの基準点(0m)までの距離α(m)を測定する。なお、損傷深さxの基準点は、施工後の耐火物7の表面(初期の煉瓦厚み)であり、常に一定である。
次に、補修実施直後に、マイクロ波レベル計11から付着耐火物8の表面までの距離β(m)を測定する。この距離βを測定した時点におけるFMセンサー12の断線検知距離の最大値x、すなわち損傷深さの最大値xを求める。この損傷深さの最大値x(m)を用いて、y=x+β−αにより、付着補修材8の厚みyを算出する。なお、付着補修材8の厚みyの基準点(0m)は、損傷部位の最深部であり、損傷状況によって変動する。
この付着補修材8の厚みyが、規定した範囲から外れると、補修実施後の実操業において、以下に示すような問題が発生する虞がある。
図5に示すように、付着補修材8の厚みy(m)<0.50x+0.20となる場合においては、底吹き羽口耐火物7に対する付着補修材8の接触面積が小さいため、底吹きガスの突出圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなるため、付着補修材8の炉底3からの剥離が発生し、底吹き羽口耐火物7が露出してしまう虞がある。なお状況によっては、底吹きノズル6までも露出することもある。
このような状況下になると、実操業において炉内に装入された溶融鉄14、生成されるスラグ15などと直接接触する時間が長くなるため、底吹き羽口耐火物7の損傷が進むこととなる。
一方、図6に示すように、付着補修材8の厚みy(m)>0.50x+0.40となる場合においては、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、その底吹きガスの圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなるため、付着補修材8が炉底3の底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう虞がある。
損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、補修実施時において、炉内へ底吹きガスを吹き込む底吹き羽口5の底吹きノズル6、1本当たりのガス流量Aを、0.35x/y+0.50≦A(Nm3/分)≦0.55x/y+0.70の範囲としている。なお以降、単に「底吹きガス流量A」と呼ぶこともある。
さて、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14、或いは、生成されるスラグ15が炉内に存在する場合においては、溶融鉄14・溶融スラグ15の差し込みによる底吹きノズル6の溶損、熱応力による底吹きノズル6の損傷、底吹きノズル6の閉塞などを防止する目的として、溶湯静圧よりも高い圧力を確保することができる流量の不活性ガスを、炉内へ吐出させることとする。
なお、溶湯静圧(MPa)=溶湯高さ(m)×重力加速度×溶湯密度+大気圧(MPa)とする。
また、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14が炉内に存在する場合においては、上吹き酸素ランスによる溶融鉄14の表面への酸素ガスの吹き付けと底吹きガスによる溶融鉄14の撹拌、及び、石灰系造さい材・酸化鉄、或いは、それらの混合物を、溶湯表面又は溶湯中に添加することにより、吹錬を実施する。
一方、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が炉内に存在しない(出銑された)場合においては、耐火物4の温度が下がり過ぎないように抑制する、或いは、流通させるガスの原単位を抑制するなどを目的として、溶湯14が炉内にある場合よりも、吹き込むガスの流量を低減させることとする。
また、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が炉内に存在しない場合においては、底吹き羽口耐火物7及び底吹きノズル6を保護するために、主にMgO系耐火物で構成される補修材を、底吹き羽口耐火物7の表面に付着させることとする。
この底吹きガス流量Aが、規定した範囲から外れると、補修実施後の実操業において、以下に示すような問題が発生する虞がある。
図7に示すように、底吹きガス流量A(Nm3/分)<0.35x/y+0.50となる場合においては、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が小さくなってしまうため、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、底吹きガスの圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなり、その接着強度が弱められるので、付着補修材8が炉底3の底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう虞がある。
一方、図8に示すように、底吹きガス流量A(Nm3/分)>0.55x/y+0.70となる場合においては、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が大きくなり、付着補修材8の接着強度が低下してしまうため、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、付着補修材8の接着強度が底吹きガスの圧力より小さくなり、その接着強度が弱められるので、付着補修材8の損傷・剥離が発生する虞がある。
また、底吹きガスの通気孔13の内径が大きくなるため、実操業において炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が大径の通気孔13に差し込み、付着補修材8が接着面から剥離し、底吹き羽口耐火物7の損傷が進むこととなる。
次に、損傷部位の損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲における底吹き羽口耐火物7の補修条件について、述べる。
この範囲の場合においても、損傷部位の損傷深さxの測定については、当業者常法を用いている。先述したように、例えば、底吹きガスの通気管(SAノズル6)内に予め、距離の異なる熱電対12a(FMセンサー12)を設置しておき、その熱電対12aが断線したタイミングで、定量的に測定する(図3など参照)。なお、図示はしないが、炉内耐火物の残厚測定装置(レーザープロフィール計)で、損傷深さxを測定するようにしてもよい。
損傷深さx(m)>0.30の場合においては、実操業において付着補修材8が剥離したとき、炉内に装入された溶融鉄14の静圧が大きくなり、損傷深さx(m)≦0.30mの場合よりも、溶銑14が差し込まれやすくなるため、底吹き羽口耐火物7の損傷が促進されてしまう虞がある。
損傷部位の損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲においては、損傷部位の付着補修材8の厚みyを、0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27の範囲としている。
なお、この付着補修材8の厚みyの算出方法は、上記した損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における付着補修材8の厚みyの算出方法と略同じである。
この付着補修材8の厚みyが、規定した範囲から外れると、補修実施後の実操業において、以下に示すような問題が発生する虞がある。
付着補修材8の厚みy(m)<0.93x+0.07となる場合においては、底吹き羽口耐火物7に対する付着補修材8の接触面積が小さくなるため、底吹きガスの突出圧力が付着補修材8の接着力よりも大きくなり、その接着力が弱められるので、付着補修材8の炉底3からの剥離が発生し、底吹き羽口耐火物7が露出してしまう虞がある。なお状況によっては、底吹きノズル6までも露出することもある。このような状況下になると、実操業において炉内に装入された溶融鉄14、生成されるスラグ15などと直接接触する時間が長くなるため、底吹き羽口耐火物7の損傷が進むこととなる(図5など参照)。
一方、付着補修材8の厚みy(m)>0.93x+0.27となる場合においては、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、付着補修材8の接着力よりも底吹きガスの圧力が増加し、その接着力が弱められるので、付着補修材8が炉底3の底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう虞がある(図6など参照)。
このような付着補修材8の厚みyは、例えば、補修実施前に測定した炉底形状と炉内形状からに基づいて、幾何学計算により算出する。或いは、過去実績5回分の補修実施前後の炉底高さの差の平均を用いて、補修量と付着補修材8の厚みyを、算出して決定する。
損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲においては、補修実施時において、炉内へ底吹きガスを吹き込む底吹き羽口5の底吹きノズル6、1本当たりのガス流量Aを、1.40x/y-0.40≦A(Nm3/分)≦1.10x/y+0.43の範囲としている。
なお、この補修実施時における底吹きノズル6、1本当たりのガス流量Aの算出方法は、上記した損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における底吹きガス流量Aの算出方法と略同じである。
さて、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14、或いは、生成されるスラグ15が炉内に存在する場合においては、溶融鉄14・スラグ15の差し込みによる底吹きノズル6の損傷、底吹きノズル6の閉塞などを防止する目的として、溶湯14或いはスラグ15の静圧よりも高い圧力を確保することができる流量の不活性ガスを、炉内へ吐出させることとする。
また、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14が炉内に存在する場合においては、上吹き酸素ランスによる溶融鉄14の表面への酸素ガスの吹き付けと底吹きガスによる溶融鉄14の撹拌、及び、石灰系造さい材、酸化鉄、或いは、それらの混合物を、溶湯表面又は溶湯中に添加することにより、吹錬を実施する。
一方、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が炉内に存在しない(出銑された)場合においては、耐火物4の温度を下がり過ぎないように抑制する、或いは、流通させるガスの原単位を抑制するなどを目的として、溶湯14が炉内にある場合よりも、吹き込むガスの流量を低減させることとする。
また、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が炉内に存在しない場合においては、底吹き羽口耐火物7及び底吹きノズル6を保護するために、主にMgO系耐火物で構成される補修材8を、底吹き羽口耐火物7の表面に付着させることとする。
この底吹きガス流量Aが、規定した範囲から外れると、補修実施後の実操業において、以下に示すような問題が発生する虞がある。
底吹きガス流量A(Nm3/分)<1.40x/y-0.40となる場合においては、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が小さくなってしまうため、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、底吹きガスの圧力が付着補修材8の接着力よりも増加し、その接着力が弱められるので、付着補修材8が炉底3の底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう虞がある(図7など参照)。
一方、底吹きガス流量A(Nm3/分)>1.0x/y+0.43場合においては、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が大きくなり、付着補修材8の接着力が低下してしまうため、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、その高いガス圧力により付着補修材8の損傷・剥離が発生する虞がある。また、底吹きガスの通気孔13の内径が大きくなるため、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が大径の通気孔13に差し込み、付着補修材8が接着面から剥離し、底吹き羽口耐火物7の損傷が進むこととなる(図8など参照)。
[実施例]
以下に、本発明の底吹き羽口耐火物7の補修方法に従って実施した実施例及び、本発明と比較するために実施した比較例について、説明する。
本実施例における実施条件については、以下の通りである。
脱りん炉の構造条件について、転炉型のものを用いている。処理量は、1バッチ当たり230〜280tonである。炉体高さは、10400mmであり、炉内径は7820mmである。煉瓦内容積は、210Nm3である。上吹き酸素ガス流量は、最大で400Nm3/min.である。
焼き付け材16(MgO系耐火物補修材8)については、以下の通りである。
組成は、MgO=40〜60質量%であり、C=5〜20質量%である。なお、性質については、窯炉内の熱によりピッチ等の成分が反応、溶融、燃焼して固化するものである。これを、粉体を袋に詰めてまとめて炉内に投下した(図2参照)。1回当たりの使用量は、500kg〜1500kgであり、1回当たりの焼付時間は、15〜100分である。補修間隔は、5ch〜30chに1回である。
吹き付け材17(MgO系耐火物補修材8)については、以下の通りである。
組成は、MgO=70〜90質量%、C=5〜20質量%である。なお、性質については、窯炉内の熱によりピッチやりん酸等の固化剤が固化するものである。これを、粉体の吹き付け材17と水を混合して補修対象の底吹き羽口耐火物7に圧縮空気で吹き付ける(図2参照)。1回当たりの使用量は、1個の底吹き羽口5につき100kg〜500kgであり、1回当たりの焼付時間は、15〜100分である。補修間隔は、5ch〜16chに1回である。
底吹き羽口耐火物7については、以下の通りである。
組成は、MgO=70〜80質量%、C=10〜20質量%である。形状は、円柱形状である。その円柱形の底吹き羽口耐火物7の中心には、内径φ25〜60mmの孔がある。その孔の内部に設けられている貫通孔に、SAノズル6を配置している。圧縮強度は、20〜60MPaであり、使用温度1300℃での実験で求めた測定値である。嵩比重は、2〜4であり、常温での物性値である。なおこの嵩比重は、使用前に測定した。見かけ気孔率は、1〜2体積%であり、常温での物性値である。なおこの見かけ気孔率は、使用前に測定した。
図9に示すように、底吹き羽口耐火物7の構造は、スリーブ形状である。その厚みは1180mmであり、直径は300〜450mmである。施工本数は4本〜10本である。
底吹きノズル6の構造は、外管6aと内管6bからなる二重管の環状構造のノズル(SAノズル6)を採用している。この内管6bの内側には、粉状耐火物10が詰められている。内管6bの外径はφ18であり、外管6aの内径はφ22である。ガス突出隙間は、2mmである。材質については、JIS規格、SUS 304相当品である。
底吹きガス流量Aについては、以下の通りである。
脱りん処理中においては、底吹きノズル6、1本当たりのガス流量A=4.5〜7.0Nm3/min.である。なお、底吹きノズル6、1本当たりの流量Aは、底吹きガスを流している底吹きノズル5の全数の流量Nm3/min.÷底吹きガスを流している底吹きノズル6の本数(本)にて算出した。
ガス種は、N2であり、純度99.9%以上である。流量測定については、流量調節弁の下流側に設置した流量計で測定した。この流量は、流量計で測定した値をNm3/分に変換した値である。
なお、底吹きノズル6、1本当たりの流量A=測定した全ガス流量÷底吹きノズル6の本数である。
付着補修材8の厚みyの測定方法については、以下の通りである。
図10に示すように、炉底3までの距離を測定する測定器については、マイクロ波レベル計11、レーザープロフィール計などを用いてもよい。測定位置については、固定式としている。測定対象については、処理回数0chの時において、測定器からx=0(基準点)までの距離αと、補修実施後において、測定器から付着補修材8の表面までの距離βとした。
なお、付着補修材8の厚みyの算出方法については、y=x+β−αとした。また、損傷深さxについては、補修実施後に、損耗位置が測定可能な熱電対12a(FMセンサー12)が断線した時点での最大値とした。
底吹き羽口耐火物7の損傷部位の損傷深さxの測定方法については、以下の通りである。
図11に示すように、測定機器として、FMセンサー12(熱電対12a)を採用している。なお、熱電対12aの抵抗値から電気の導通を測定する。
損傷深さxの測定方法について、予め取り付け位置を決めて底吹きノズル6内に設置した熱電対12a、8本の断線により、損傷深さxを検知する。詳しくは、底吹き羽口耐火物7が損耗してゆくと、溶銑14が熱電対12a(検知点12b)に接触し、その熱電対12aが溶融して電気伝導が遮断されて、熱電対12aの抵抗値が∞となり断線を検知することで、損傷深さxが測定される。
溶銑14との接触面から底吹き羽口耐火物7の煉瓦厚み方向に、つまり炉内側から炉外側へと順に、100mm、200mm、300mm、400mm、500mm、600mm、700mm、800mmの位置に、熱電対12aの先端を配置する。
なお、底吹き羽口耐火物7の損傷速度(mm/ch)=底吹き羽口耐火物7の損耗距離(mm)÷{前回断線炉回数(ch)−今回断線炉回数(ch)} である。つまり、まず熱電対12aが断線検知した位置と処理回数を記録して羽口耐火物の損傷距離を求める。次に、損傷距離を前回断線処理回数から今回断線処理回数までの間の処理回数で除算して羽口損傷速度を算出する。処理回数のカウントは、空炉の状態で溶銑14を装入して脱りん処理を行い、別容器に溶銑14を出銑するまでを1chとする。
表1、2に、本発明の底吹き羽口耐火物7の補修方法に従って、実施した実施例を示す。なお、表1、2は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
表1は、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の実施例(実験番号1〜17)の結果を示したものである。
表1の実施例(実験番号1)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.40(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.20(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.20≦y(m)≦0.40となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.20mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=0.70(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.50(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.50≦A(Nm3/min.・本)≦0.70となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.5Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表1の実施例(実験番号9)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.45(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.25(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.25≦y(m)≦0.45となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.25mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=0.92(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.64(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.64≦A(Nm3/min.・本)≦0.92となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.7Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
以上、本実施例(実験番号1〜17)の結果より、付着補修材8の厚みyの範囲と、底吹きガス流量Aの範囲の両方を満たすと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7に確実に付着して存在しており、良好であることを確認した。
表2は、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の実施例(実験番号18〜37)の結果を示したものである。
表2の実施例(実験番号18)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.50(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.30(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.30≦y(m)≦0.50となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.30mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=1.07(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.73(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.73≦A(Nm3/min.・本)≦1.07となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.8Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表2の実施例(実験番号29)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.50(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.30(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.30≦y(m)≦0.50となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.30mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=1.17(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.80(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.80≦A(Nm3/min.・本)≦1.17となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.8Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
以上、本実施例(実験番号18〜37)の結果より、付着補修材8の厚みyの範囲と、底吹きガス流量Aの範囲の両方を満たすと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7に確実に付着して存在しており、良好であることを確認した。
表3、4に、本発明と比較するために実施した比較例を示す。なお、表3、4は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
表3は、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の比較例(実験番号38〜49)の結果を示したものである。
表3の比較例(実験番号38)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.40(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.20(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.20≦y(m)≦0.40となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.16mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を下回ってしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
表3の比較例(実験番号44)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.40(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.20(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.20≦y(m)≦0.40となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.45mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を超えてしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
以上、比較例(実験番号38〜49)の結果より、規定した範囲(付着補修材8の厚みy)を満たさないと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまい、不良な結果となった。
表4は、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の比較例(実験番号50〜65)の結果を示したものである。
表4の比較例(実験番号50)を参照すると、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=0.70(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.50(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.50≦A(Nm3/min.・本)≦0.70となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.3Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を下回ってしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
表4の比較例(実験番号58)を参照すると、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=0.70(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.50(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.50≦A(Nm3/min.・本)≦0.70となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.8Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を超えてしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
以上、比較例(実験番号50〜65)の結果より、規定した範囲(底吹きガス流量A)を満たさないと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまい、不良な結果となった。
図12に、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における実施例(実験番号1〜37)と、比較例(実験番号38〜49)をまとめたグラフを示す。
図12に示すように、付着補修材8の厚みyの下限を下回る(y(m)<0.50x+0.20)、すなわち付着補修材8が薄く形成されると、脱りん処理(実操業)中において、付着補修材8の接着強度が底吹きガスの圧力よりも小さくなるので、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
一方、付着補修材8の厚みyの上限を超える(y(m)>0.50x+0.40)、すなわち付着補修材8が厚く形成されると、脱りん処理(実操業)中において、底吹きガスの圧力が上昇したときに、付着補修材8の接着強度よりも上昇した底吹きガスの圧力の方が大きくなるので、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
つまり、比較例(実験番号38〜49)のように、付着補修材8の厚みyが上限乃至は下限から外れてしまうと、付着補修材8の剥離が発生することとなる。
図13に、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における実施例(実験番号1〜37)と、比較例(実験番号50〜65)をまとめたグラフを示す。
図13に示すように、底吹きガス流量Aの下限を下回る(A(Nm3/分)<0.35x/y+0.50)と、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が小さくなるので、脱りん処理(実操業)中において、付着補修材8の接着強度よりも底吹きガスの圧力の方が大きくなり、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
一方で、底吹きガス流量Aの上限を超える(A(Nm3/分)>0.55x/y+0.70)と、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が大きくなるので、付着補修材8の接着強度が小さくなり、脱りん処理中(実操業)において、底吹きガスの圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなる、或いは、溶銑14やスラグ15の差し込みが発生し、その接着強度が弱められることとなり、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
つまり、比較例(実験番号50〜65)のように、底吹きガス流量Aが上限乃至は下限から外れてしまうと、付着補修材8の剥離が発生することとなる。
以上、本実施例(実験番号1〜37)のように、付着補修材8の厚みyの範囲(0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40)と、底吹きガス流量Aの範囲(0.35x/y+0.50≦A(Nm3/min.・本)≦0.55x/y+0.70)の両方を満たすと、付着補修材8の剥離は発生しない。
表5、6に、本発明の底吹き羽口耐火物7の補修方法に従って、実施した実施例を示す。なお、表5、6は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
表5は、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の実施例(実験番号66〜83)の結果を示したものである。
表5の実施例(実験番号66)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.64(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.44(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.44≦y(m)≦0.64となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.44mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.43(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.87(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.87≦A(Nm3/min.・本)≦1.43となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.9Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表5の実施例(実験番号75)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.74(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.54(min.)と算出されている。
つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.54≦y(m)≦0.74となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.54mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.45(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.90(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.90≦A(Nm3/min.・本)≦1.45となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、1.0Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
以上、本実施例(実験番号66〜83)の結果より、付着補修材8の厚みyの範囲と、底吹きガス流量Aの範囲の両方を満たすと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7に確実に付着して存在しており、良好であることを確認した。
表6は、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の実施例(実験番号84〜101)の結果を示したものである。
表6の実施例(実験番号84)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.83(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.63(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.63≦y(m)≦0.83となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.63mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.48(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.93(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.93≦A(Nm3/min.・本)≦1.48となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、1.0Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表6の実施例(実験番号92)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.92(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.72(min.)と算出されている。
つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.72≦y(m)≦0.92となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.72mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.50(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.96(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.96≦A(Nm3/min.・本)≦1.50となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、1.2Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
以上、本実施例(実験番号84〜101)の結果より、付着補修材8の厚みyの範囲と、底吹きガス流量Aの範囲の両方を満たすと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7に確実に付着して存在しており、良好であることを確認した。
表7、8に、本発明と比較するために実施した比較例を示す。なお、表7、8は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
表7は、損傷深さxが0.3m<x≦0.8mの場合の比較例(実験番号102〜121)の結果を示したものである。
表7の比較例(実験番号102)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.64(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.44(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.44≦y(m)≦0.64となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.40mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を下回ってしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
表7の比較例(実験番号112)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.64(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.44(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.44≦y(m)≦0.64となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.70mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を超えてしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
以上、比較例(実験番号102〜121)の結果より、規定した範囲(付着補修材8の厚みy)を満たさないと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまい、不良な結果となった。
表8は、損傷深さxが0.3m<x≦0.8mの場合の比較例(実験番号122〜141)の結果を示したものである。
表8の比較例(実験番号122)を参照すると、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.31(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.72(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.72≦A(Nm3/min.・本)≦1.31となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.7Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を下回ってしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
表8の比較例(実験番号132)を参照すると、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.35(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.77(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.77≦A(Nm3/min.・本)≦1.35となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、1.4Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を超えてしまい満たさない。これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6から剥離していた。
以上、比較例(実験番号122〜141)の結果より、規定した範囲(底吹きガス流量A)を満たさないと、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまい、不良な結果となった。
図14に、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲における実施例(実験番号66〜101)と、比較例(実験番号102〜121)をまとめたグラフを示す。
図14に示すように、付着補修材8の厚みyの下限を下回る(y(m)<0.93x+0.07)、すなわち付着補修材8が薄く形成されると、脱りん処理(実操業)中において、付着補修材8の接着強度が底吹きガスの圧力よりも小さくなるので、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
一方、付着補修材8の厚みyの上限を超える(y(m)>0.93x+0.27)、すなわち付着補修材8が厚く形成されると、脱りん処理(実操業)中において、底吹きガスの圧力が上昇したときに、付着補修材8の接着強度よりも上昇した底吹きガスの圧力の方が大きくなるので、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
つまり、比較例(実験番号102〜121)のように、付着補修材8の厚みyが上限乃至は下限から外れてしまうと、付着補修材8の剥離が発生することとなる。
図15に、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲における実施例(実験番号66〜101)と、比較例(実験番号122〜141)をまとめたグラフを示す。
図15に示すように、底吹きガス流量Aの下限を下回る(A(Nm3/分)<1.40x/y-0.40)と、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が小さくなるので、脱りん処理(実操業)中において、付着補修材8の接着強度よりも底吹きガスの圧力の方が大きくなり、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
一方で、底吹きガス流量Aの上限を超える(A(Nm3/分)>1.0x/y+0.43)と、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が大きくなるので、付着補修材8の接着強度が小さくなり、脱りん処理(実操業)中において、底吹きガスの圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなる、或いは、溶銑14やスラグ15の差し込みが発生し、その接着強度が弱められることとなり、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
つまり、比較例(実験番号122〜141)のように、底吹きガス流量Aが上限乃至は下限から外れてしまうと、付着補修材8の剥離が発生することとなる。
以上、本実施例(実験番号66〜101)のように、付着補修材8の厚みyの範囲(0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27)と、底吹きガス流量Aの範囲(1.40x/y-0.40≦A(Nm3/min.・本)≦1.10x/y+0.43)の両方を満たすと、付着補修材8の剥離は発生しない。
図16に、本実施例(実験番号1〜37)の結果をまとめたヒストグラムを示す。
図16に示すように、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の本実施例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.08mm/chとなった。
図17に、比較例(実験番号38〜65)の結果をまとめたヒストグラムを示す。
図17に示すように、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の比較例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.24mm/chとなった。また、大きくばらついている。
以上述べた0.00m≦x≦0.30mの場合の本実施例のように、本発明で規定した方法に従って底吹き羽口耐火物7の補修を実施した場合、底吹き羽口耐火物7の損傷速度を0.1mm/ch以下とすることができ、良好になることを確認した。
なお、比較例のように、補修条件が適正なものではない場合、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が0.2〜0.3mm/chとなり、不良となってしまった。
図18に、本実施例(実験番号66〜101)の結果をまとめたヒストグラムを示す。
図18に示すように、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の本実施例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.07mm/chとなった。
図19に、比較例(実験番号102〜141)の結果をまとめたヒストグラムを示す。
図19に示すように、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の比較例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.21mm/chとなった。また、大きくばらついている。
以上述べた0.30m<x≦0.80mの場合の本実施例のように、本発明で規定した方法に従って底吹き羽口耐火物7の補修を実施した場合、底吹き羽口耐火物7の損傷速度を0.1mm/ch以下とすることができ、良好になることを確認した。
なお、比較例のように、補修条件が適正なものではない場合、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が0.2〜0.3mm/chとなり、不良となってしまった。
図20に、底吹き羽口耐火物7に付着している付着補修材8の有無状況を作業床20から観察する方法を示す。図21に、補修実施後〜1ch処理後に、底吹きノズル6の付着補修材8の有無(剥離の有無)の評価をする際に用いた、底吹き羽口5の保護状況の一例を示す。
以上述べた本実施例(実験番号1〜37、66〜101)のように、本発明で規定した方法に従って補修を実施した場合、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7及び底吹きノズル6に、確実に付着して存在していることを確認した。
本発明よれば、MgO系耐火物補修材8を、底吹き羽口耐火物7の損傷部分に確実に付着させると共に、補修後の実操業において、高流量の底吹きガスによる高い圧力がかかっても、付着させた付着補修材8(MgO系耐火物補修材8)が炉底3から剥離せずに、且つ、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が低減するように、底吹き羽口耐火物7を補修することができる。
ここで本発明をまとめると、MgO系耐火物補修材8を用いて、炉底3の底吹き羽口耐火物7の損傷部位を補修するに際しての補修条件を、以下に示す(1)、(2)とする。
(1)損傷部位の損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、損傷部位の付着補修材8の厚みyを0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲とし且つ、炉内へ吹き込む底吹きガス流量Aを0.35x/y+0.50≦A(Nm3/分)≦0.55x/y+0.70の範囲とする。
(2)損傷部位の損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲においては、損傷部位の付着補修材8の厚みyを0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27の範囲とし且つ、炉内へ吹き込む底吹きガス流量Aを1.40x/y-0.40≦A(Nm3/分)≦1.10x/y+0.43の範囲とする。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 転炉型反応容器
2 鉄皮
3 炉底
4 耐火物
5 底吹き羽口
6 底吹きノズル(SAノズル)
6a 外管
6b 内管
7 底吹き羽口耐火物
8 MgO系耐火物補修材(付着補修材)
9 炉底耐火物
10 粉状耐火物
11 マイクロ波レベル計
12 FMセンサー
12a 熱電対
12b 検知点
13 通気孔(付着補修材)
14 溶融鉄(溶銑)
15 スラグ
16 焼き付け材
17 吹き付け材
18 吹付機
19 吹付パイプ
20 作業床

Claims (1)

  1. 転炉型反応容器の底部の底吹き羽口に施工されている耐火物に対して、MgO系耐火物補修材を用いて補修するに際して、
    前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、
    前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、0.35x/y+0.50≦A(Nm3/分)≦0.55x/y+0.70の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込み、
    前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの範囲においては、
    前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、1.40x/y-0.40≦A(Nm3/分)≦1.10x/y+0.43の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込む
    ことを特徴とする転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法。
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