JP6756074B2 - 転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 - Google Patents
転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6756074B2 JP6756074B2 JP2017139277A JP2017139277A JP6756074B2 JP 6756074 B2 JP6756074 B2 JP 6756074B2 JP 2017139277 A JP2017139277 A JP 2017139277A JP 2017139277 A JP2017139277 A JP 2017139277A JP 6756074 B2 JP6756074 B2 JP 6756074B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- repair material
- blown
- refractory
- thickness
- adhesive
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Description
この転炉型精錬容器を構成する鉄皮の内側には、高温の溶銑が炉内に装入されるため、耐火物(煉瓦)が施工されている。その耐火物のうち、炉底の全体に施工されている耐火物のことを「炉底耐火物」と呼び、炉底の底吹き羽口及びその周辺部に施工されている耐火物のことを「底吹き羽口耐火物」と呼んでいる。
特許文献1は、スラグコーティング時における底吹きノズルの閉塞事故を無くし且つ必要に応じた厚さのスラグコーティング層を転炉々底部に形成することを目的としている。
具体的には、底吹きノズルを備えた転炉における炉底部を空炉時にコーティングして保護する方法において、溶融及び半溶融スラグのコーティング工程で、底吹きノズル1孔当たり0.025Nm3/トン・min.以上の底吹き速度で不活性ガスを吹きこむこととしている。
具体的には、底吹き機能を有する転炉の内張り耐火物の熱間補修方法において、炉底部から0.1〜3.0Nm3/min.の底吹きガスを流しながら前記転炉内に残留させた溶融スラグ100重量部に対し大きさが30〜100mmの塊状の含MgO耐火物を10〜100重量部投入し、該転炉を揺動した後静置することとしている。
具体的には、底吹き機能を有する転炉型精錬容器の底吹きガス吹き込み羽口からガスを吹き込みながら行う不定型耐火物による熱間補修方法において、該羽口から底吹きガスを線流速50Nm/sec.〜500Nm/sec.の範囲で通入しつつ、熱間補修を行うこととしている。
具体的には、例えば、スラグコーティングする際の底吹きガス流量が大きい場合、スラグ中に形成されるガスの通気孔が大きくなってしまい、実操業において転炉吹錬中の大きいガス圧力よりスラグの接着強度が弱められる、或いは、転炉吹錬中にガスの通気孔に溶融鉄が差し込んでしまうことで、コーティングスラグの炉底からの剥離が発生し、底吹き羽口耐火物の損傷速度が大きくなる虞がある。
具体的には、例えば、補修層の厚みが大きくなった場合、実操業において転炉吹錬中のガス流量を確保するためにガス圧力を上昇させたとき、その大きくなったガス圧力より補修層の接着強度が弱められてしまい、形成された補修層の炉底からの剥離が誘発される虞がある。
また、同文献においては、底吹き羽口耐火物の厚み方向における損傷深さに応じた底吹きガス流量の基準についての記載が全くされていない。それ故、この同文献に開示の方法で底吹き羽口耐火物の補修を実施したとしても、底吹き羽口耐火物の損耗が進んだ場合、すなわち深くえぐれた状況なった場合においては、補修層の厚みが大きくなりすぎることとなる。このようになると、実操業の転炉吹錬中にガス圧力を増加させることとなる。
特許文献3においては、炉底のノズル及び羽口煉瓦の上部に形成される補修体の厚みに関する規定に関する記載も示唆もされていない。そのため、形成される補修体の厚みによっては、後述するような問題が生じる虞がある。
一方、補修体の厚みが小さい場合、実操業において通常のガス圧力でも補修体の接着強度を弱めてしまう可能性があり、形成された補修体が炉底から剥離してしまう虞がある。
このように、補修材を用いて底吹き羽口耐火物を補修する時に、付着させる補修材の厚み、及び、補修実施時に底吹き羽口から炉内へ吐出させる底吹きガス流量を規定しないと、実操業の転炉吹錬時に、補修材の剥離などの底吹き羽口の損耗が進んでしまうこととなる。
本発明にかかる転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法は、転炉型反応容器の底部の底吹き羽口に施工されている耐火物に対して、MgO系耐火物補修材を用いて補修するに際して、前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、0.35x/y+0.50≦A(Nm3/分)≦0.55x/y+0.70の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込み、前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの範囲においては、前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、1.40x/y-0.40≦A(Nm3/分)≦1.10x/y+0.43の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込むことを特徴とする。
また、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
脱りん炉、転炉などの転炉型反応容器1は、製鋼工程で脱りん又は脱炭を行う目的で、酸素を炉内に吹き込んで溶融鉄14の撹拌を行う上吹きランスを上方に備え、底吹きガス(不活性ガス)を炉内に吹き込んで溶融鉄14の撹拌を行う底吹きノズル6を有する底吹き羽口5を炉底3に備えている。
本発明の底吹き羽口耐火物7の補修方法は、転炉型反応容器1を用いた実操業において、炉底3の底吹き羽口耐火物7、及び、不活性ガスを流通させる底吹きノズル6(底吹き羽口5)の損傷を抑制するために、MgO系耐火物補修材8を用いた底吹き羽口耐火物7の補修条件を、底吹き羽口耐火物7の損傷部位の損傷度合いごとに場合分けし、その損傷部位に付着させるMgO系耐火物補修材8(以降、付着補修材8と呼ぶこともある。)の厚みと、補修実施時における底吹き羽口5の底吹きノズル6、1本当たりのガス流量と、を規定することとしている。
それ故、損傷による底吹きノズル6の交換などの頻度を低減するために、MgO系耐火物補修材8を用いて、底吹き羽口耐火物7、或いは、底吹き羽口耐火物7の損傷部位に、耐火物の付着物8を形成させることとする。これにより、底吹き羽口耐火物7の摩耗・溶損を抑制すると共に、その損傷速度を低減させることができる。
底吹き羽口耐火物7の損傷部位における厚み方向の損傷深さxの測定については、当業者常法を用いている。なお以降、単に「損傷深さx」と呼ぶこともある。
図3に示すように、例えば、底吹きガスの通気管(SAノズル6)内に予め、検知点12bの距離の異なる熱電対12a(FMセンサー12)を設置しておき、その熱電対12aが断線したタイミングで、定量的に測定する。なお、図示はしないが、炉内耐火物の残厚測定装置(レーザー距離計)で、損傷深さxを測定するようにしてもよい。
損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、底吹き羽口耐火物7の損傷部位に付着させるMgO系耐火物補修材8の厚みyを、0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲としている。なお以降、単に「付着補修材8の厚みy」と呼ぶこともある。
付着補修材8の厚みyは、補修する時点での損傷深さxの最大値から算出する。そして、規定した付着補修材8の厚みyの範囲内となるように、補修量を決定する。この補修量については、補修実施前に、レーザープロフィール計で測定した炉内形状を用いて、幾何学計算により算出する。或いは、補修実施前と補修実施後における付着補修材8の厚みyの過去実績10回分の測定値の差分と補修量との近似式を用いて、規定した付着補修材8の厚みyの範囲内となるように、補修量を算出する。
図4に示すように、付着補修材8の厚みyの算出については、まず、処理回数0ch(処理前)において、炉口の上方に備えたマイクロ波レベル計11(測定器)を用いて、その測定器から損傷深さxの基準点(0m)までの距離α(m)を測定する。なお、損傷深さxの基準点は、施工後の耐火物7の表面(初期の煉瓦厚み)であり、常に一定である。
図5に示すように、付着補修材8の厚みy(m)<0.50x+0.20となる場合においては、底吹き羽口耐火物7に対する付着補修材8の接触面積が小さいため、底吹きガスの突出圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなるため、付着補修材8の炉底3からの剥離が発生し、底吹き羽口耐火物7が露出してしまう虞がある。なお状況によっては、底吹きノズル6までも露出することもある。
一方、図6に示すように、付着補修材8の厚みy(m)>0.50x+0.40となる場合においては、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、その底吹きガスの圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなるため、付着補修材8が炉底3の底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう虞がある。
さて、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14、或いは、生成されるスラグ15が炉内に存在する場合においては、溶融鉄14・溶融スラグ15の差し込みによる底吹きノズル6の溶損、熱応力による底吹きノズル6の損傷、底吹きノズル6の閉塞などを防止する目的として、溶湯静圧よりも高い圧力を確保することができる流量の不活性ガスを、炉内へ吐出させることとする。
また、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14が炉内に存在する場合においては、上吹き酸素ランスによる溶融鉄14の表面への酸素ガスの吹き付けと底吹きガスによる溶融鉄14の撹拌、及び、石灰系造さい材・酸化鉄、或いは、それらの混合物を、溶湯表面又は溶湯中に添加することにより、吹錬を実施する。
また、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が炉内に存在しない場合においては、底吹き羽口耐火物7及び底吹きノズル6を保護するために、主にMgO系耐火物で構成される補修材を、底吹き羽口耐火物7の表面に付着させることとする。
図7に示すように、底吹きガス流量A(Nm3/分)<0.35x/y+0.50となる場合においては、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が小さくなってしまうため、補修実施後の脱りん処理(実操業)において、高流量で且つ高圧の底吹きガスが炉内へ吐出されると、底吹きガスの圧力が付着補修材8の接着強度よりも大きくなり、その接着強度が弱められるので、付着補修材8が炉底3の底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう虞がある。
次に、損傷部位の損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲における底吹き羽口耐火物7の補修条件について、述べる。
損傷部位の損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲においては、損傷部位の付着補修材8の厚みyを、0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27の範囲としている。
この付着補修材8の厚みyが、規定した範囲から外れると、補修実施後の実操業において、以下に示すような問題が発生する虞がある。
付着補修材8の厚みy(m)<0.93x+0.07となる場合においては、底吹き羽口耐火物7に対する付着補修材8の接触面積が小さくなるため、底吹きガスの突出圧力が付着補修材8の接着力よりも大きくなり、その接着力が弱められるので、付着補修材8の炉底3からの剥離が発生し、底吹き羽口耐火物7が露出してしまう虞がある。なお状況によっては、底吹きノズル6までも露出することもある。このような状況下になると、実操業において炉内に装入された溶融鉄14、生成されるスラグ15などと直接接触する時間が長くなるため、底吹き羽口耐火物7の損傷が進むこととなる(図5など参照)。
このような付着補修材8の厚みyは、例えば、補修実施前に測定した炉底形状と炉内形状からに基づいて、幾何学計算により算出する。或いは、過去実績5回分の補修実施前後の炉底高さの差の平均を用いて、補修量と付着補修材8の厚みyを、算出して決定する。
なお、この補修実施時における底吹きノズル6、1本当たりのガス流量Aの算出方法は、上記した損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における底吹きガス流量Aの算出方法と略同じである。
一方、実操業において、炉内に装入された溶融鉄14や、生成されるスラグ15が炉内に存在しない(出銑された)場合においては、耐火物4の温度を下がり過ぎないように抑制する、或いは、流通させるガスの原単位を抑制するなどを目的として、溶湯14が炉内にある場合よりも、吹き込むガスの流量を低減させることとする。
この底吹きガス流量Aが、規定した範囲から外れると、補修実施後の実操業において、以下に示すような問題が発生する虞がある。
[実施例]
以下に、本発明の底吹き羽口耐火物7の補修方法に従って実施した実施例及び、本発明と比較するために実施した比較例について、説明する。
脱りん炉の構造条件について、転炉型のものを用いている。処理量は、1バッチ当たり230〜280tonである。炉体高さは、10400mmであり、炉内径は7820mmである。煉瓦内容積は、210Nm3である。上吹き酸素ガス流量は、最大で400Nm3/min.である。
焼き付け材16(MgO系耐火物補修材8)については、以下の通りである。
組成は、MgO=70〜90質量%、C=5〜20質量%である。なお、性質については、窯炉内の熱によりピッチやりん酸等の固化剤が固化するものである。これを、粉体の吹き付け材17と水を混合して補修対象の底吹き羽口耐火物7に圧縮空気で吹き付ける(図2参照)。1回当たりの使用量は、1個の底吹き羽口5につき100kg〜500kgであり、1回当たりの焼付時間は、15〜100分である。補修間隔は、5ch〜16chに1回である。
組成は、MgO=70〜80質量%、C=10〜20質量%である。形状は、円柱形状である。その円柱形の底吹き羽口耐火物7の中心には、内径φ25〜60mmの孔がある。その孔の内部に設けられている貫通孔に、SAノズル6を配置している。圧縮強度は、20〜60MPaであり、使用温度1300℃での実験で求めた測定値である。嵩比重は、2〜4であり、常温での物性値である。なおこの嵩比重は、使用前に測定した。見かけ気孔率は、1〜2体積%であり、常温での物性値である。なおこの見かけ気孔率は、使用前に測定した。
底吹きノズル6の構造は、外管6aと内管6bからなる二重管の環状構造のノズル(SAノズル6)を採用している。この内管6bの内側には、粉状耐火物10が詰められている。内管6bの外径はφ18であり、外管6aの内径はφ22である。ガス突出隙間は、2mmである。材質については、JIS規格、SUS 304相当品である。
脱りん処理中においては、底吹きノズル6、1本当たりのガス流量A=4.5〜7.0Nm3/min.である。なお、底吹きノズル6、1本当たりの流量Aは、底吹きガスを流している底吹きノズル5の全数の流量Nm3/min.÷底吹きガスを流している底吹きノズル6の本数(本)にて算出した。
ガス種は、N2であり、純度99.9%以上である。流量測定については、流量調節弁の下流側に設置した流量計で測定した。この流量は、流量計で測定した値をNm3/分に変換した値である。
付着補修材8の厚みyの測定方法については、以下の通りである。
図10に示すように、炉底3までの距離を測定する測定器については、マイクロ波レベル計11、レーザープロフィール計などを用いてもよい。測定位置については、固定式としている。測定対象については、処理回数0chの時において、測定器からx=0(基準点)までの距離αと、補修実施後において、測定器から付着補修材8の表面までの距離βとした。
底吹き羽口耐火物7の損傷部位の損傷深さxの測定方法については、以下の通りである。
損傷深さxの測定方法について、予め取り付け位置を決めて底吹きノズル6内に設置した熱電対12a、8本の断線により、損傷深さxを検知する。詳しくは、底吹き羽口耐火物7が損耗してゆくと、溶銑14が熱電対12a(検知点12b)に接触し、その熱電対12aが溶融して電気伝導が遮断されて、熱電対12aの抵抗値が∞となり断線を検知することで、損傷深さxが測定される。
なお、底吹き羽口耐火物7の損傷速度(mm/ch)=底吹き羽口耐火物7の損耗距離(mm)÷{前回断線炉回数(ch)−今回断線炉回数(ch)} である。つまり、まず熱電対12aが断線検知した位置と処理回数を記録して羽口耐火物の損傷距離を求める。次に、損傷距離を前回断線処理回数から今回断線処理回数までの間の処理回数で除算して羽口損傷速度を算出する。処理回数のカウントは、空炉の状態で溶銑14を装入して脱りん処理を行い、別容器に溶銑14を出銑するまでを1chとする。
表1は、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の実施例(実験番号1〜17)の結果を示したものである。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=0.70(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.50(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.50≦A(Nm3/min.・本)≦0.70となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.5Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
表1の実施例(実験番号9)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.45(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.25(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.25≦y(m)≦0.45となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.25mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表2は、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の実施例(実験番号18〜37)の結果を示したものである。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=0.55x/y+0.70=1.07(max.)と算出され、A=0.35x/y+0.50=0.73(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.73≦A(Nm3/min.・本)≦1.07となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.8Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
表2の実施例(実験番号29)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.50x+0.40=0.50(max.)と算出され、y=0.50x+0.20=0.30(min.)と算出されている。つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.30≦y(m)≦0.50となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.30mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表3、4に、本発明と比較するために実施した比較例を示す。なお、表3、4は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
表4は、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の比較例(実験番号50〜65)の結果を示したものである。
図12に、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における実施例(実験番号1〜37)と、比較例(実験番号38〜49)をまとめたグラフを示す。
図13に、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲における実施例(実験番号1〜37)と、比較例(実験番号50〜65)をまとめたグラフを示す。
図13に示すように、底吹きガス流量Aの下限を下回る(A(Nm3/分)<0.35x/y+0.50)と、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が小さくなるので、脱りん処理(実操業)中において、付着補修材8の接着強度よりも底吹きガスの圧力の方が大きくなり、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
以上、本実施例(実験番号1〜37)のように、付着補修材8の厚みyの範囲(0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40)と、底吹きガス流量Aの範囲(0.35x/y+0.50≦A(Nm3/min.・本)≦0.55x/y+0.70)の両方を満たすと、付着補修材8の剥離は発生しない。
表5は、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の実施例(実験番号66〜83)の結果を示したものである。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.43(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.87(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.87≦A(Nm3/min.・本)≦1.43となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、0.9Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
表5の実施例(実験番号75)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.74(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.54(min.)と算出されている。
つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.54≦y(m)≦0.74となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.54mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表6は、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の実施例(実験番号84〜101)の結果を示したものである。
また、底吹きガス流量A(Nm3/min.・本)の計算値について、A=1.10x/y+0.43=1.48(max.)と算出され、A=1.40x/y-0.40=0.93(min.)と算出されている。つまり、底吹きガス流量Aの範囲は、0.93≦A(Nm3/min.・本)≦1.48となる。一方で、底吹きガス流量Aの実績値は、1.0Nm3/min.・本と導出され、底吹きガス流量Aの範囲を満たす。
表6の実施例(実験番号92)を参照すると、付着補修材8の厚みy(m)の計算値について、y=0.93x+0.27=0.92(max.)と算出され、y=0.93x+0.07=0.72(min.)と算出されている。
つまり、付着補修材8の厚みyの範囲は、0.72≦y(m)≦0.92となる。一方で、付着補修材8の厚みyの実績値は、0.72mと導出され、付着補修材8の厚みyの範囲を満たす。
これより、1ch処理後に付着補修材8を観察した結果、付着補修材8が底吹きノズル6に存在していた。
表7、8に、本発明と比較するために実施した比較例を示す。なお、表7、8は、それぞれ一続きのものであり、見やすくするため、分割して上下に配置している。
表8は、損傷深さxが0.3m<x≦0.8mの場合の比較例(実験番号122〜141)の結果を示したものである。
図14に、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲における実施例(実験番号66〜101)と、比較例(実験番号102〜121)をまとめたグラフを示す。
図15に、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの範囲における実施例(実験番号66〜101)と、比較例(実験番号122〜141)をまとめたグラフを示す。
図15に示すように、底吹きガス流量Aの下限を下回る(A(Nm3/分)<1.40x/y-0.40)と、付着補修材8内に形成される底吹きガスの通気孔13の内径が小さくなるので、脱りん処理(実操業)中において、付着補修材8の接着強度よりも底吹きガスの圧力の方が大きくなり、その接着強度が弱められ、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7から剥離してしまう。その結果、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が、増加してしまうこととなる。
以上、本実施例(実験番号66〜101)のように、付着補修材8の厚みyの範囲(0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27)と、底吹きガス流量Aの範囲(1.40x/y-0.40≦A(Nm3/min.・本)≦1.10x/y+0.43)の両方を満たすと、付着補修材8の剥離は発生しない。
図16に示すように、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の本実施例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.08mm/chとなった。
図17に、比較例(実験番号38〜65)の結果をまとめたヒストグラムを示す。
図17に示すように、損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの場合の比較例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.24mm/chとなった。また、大きくばらついている。
なお、比較例のように、補修条件が適正なものではない場合、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が0.2〜0.3mm/chとなり、不良となってしまった。
図18に示すように、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の本実施例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.07mm/chとなった。
図19に、比較例(実験番号102〜141)の結果をまとめたヒストグラムを示す。
図19に示すように、損傷深さxが0.30m<x≦0.80mの場合の比較例によれば、底吹き羽口耐火物7の損傷速度の平均は、0.21mm/chとなった。また、大きくばらついている。
なお、比較例のように、補修条件が適正なものではない場合、底吹き羽口耐火物7の損傷速度が0.2〜0.3mm/chとなり、不良となってしまった。
以上述べた本実施例(実験番号1〜37、66〜101)のように、本発明で規定した方法に従って補修を実施した場合、補修実施後〜1ch処理後において、付着補修材8が底吹き羽口耐火物7及び底吹きノズル6に、確実に付着して存在していることを確認した。
(1)損傷部位の損傷深さxが0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、損傷部位の付着補修材8の厚みyを0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲とし且つ、炉内へ吹き込む底吹きガス流量Aを0.35x/y+0.50≦A(Nm3/分)≦0.55x/y+0.70の範囲とする。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
2 鉄皮
3 炉底
4 耐火物
5 底吹き羽口
6 底吹きノズル(SAノズル)
6a 外管
6b 内管
7 底吹き羽口耐火物
8 MgO系耐火物補修材(付着補修材)
9 炉底耐火物
10 粉状耐火物
11 マイクロ波レベル計
12 FMセンサー
12a 熱電対
12b 検知点
13 通気孔(付着補修材)
14 溶融鉄(溶銑)
15 スラグ
16 焼き付け材
17 吹き付け材
18 吹付機
19 吹付パイプ
20 作業床
Claims (1)
- 転炉型反応容器の底部の底吹き羽口に施工されている耐火物に対して、MgO系耐火物補修材を用いて補修するに際して、
前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.00m≦x≦0.30mの範囲においては、
前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.50x+0.20≦y(m)≦0.50x+0.40の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、0.35x/y+0.50≦A(Nm3/分)≦0.55x/y+0.70の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込み、
前記耐火物の損傷部位における厚み方向の損傷深さxが、0.30m<x≦0.80mの範囲においては、
前記損傷部位に付着する前記MgO系耐火物補修材の厚みyを、0.93x+0.07≦y(m)≦0.93x+0.27の範囲になるようにし、且つ、補修実施時における前記底吹き羽口の底吹きノズル1本当たりのガス流量Aを、1.40x/y-0.40≦A(Nm3/分)≦1.10x/y+0.43の範囲で、前記転炉型反応容器内へ前記底吹きガスを吹き込む
ことを特徴とする転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017139277A JP6756074B2 (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017139277A JP6756074B2 (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019019381A JP2019019381A (ja) | 2019-02-07 |
JP6756074B2 true JP6756074B2 (ja) | 2020-09-16 |
Family
ID=65355086
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017139277A Active JP6756074B2 (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6756074B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7211128B2 (ja) | 2019-02-06 | 2023-01-24 | トヨタ紡織株式会社 | 積層構造体の製造方法 |
CN110408738A (zh) * | 2019-08-30 | 2019-11-05 | 攀钢集团攀枝花钢钒有限公司 | 炼钢转炉化炉底方法 |
CN111074038B (zh) * | 2019-12-27 | 2022-03-08 | 安徽工业大学 | 一种转炉溅渣护炉靶向溅渣枪位控制的方法 |
CN113930574B (zh) * | 2020-06-29 | 2022-12-16 | 宝山钢铁股份有限公司 | 利于炉底维护的溅渣补炉方法 |
-
2017
- 2017-07-18 JP JP2017139277A patent/JP6756074B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019019381A (ja) | 2019-02-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6756074B2 (ja) | 転炉型反応容器の底吹き羽口に施工されている耐火物の補修方法 | |
US9238846B2 (en) | Reduction processing apparatus for steel-making slag and reduction processing system for steel-making slag | |
CN107083469A (zh) | 降低炼钢转炉炉底的方法 | |
JP4731451B2 (ja) | 溶銑鍋の耐火物補修要否の判断方法 | |
JP5552846B2 (ja) | 転炉の内張り耐火物保護方法 | |
JP4689782B2 (ja) | 転炉炉壁へのスラグコーティング方法およびスラグコーティング実施時の転炉炉底管理方法 | |
JP2010031338A (ja) | 転炉の操業方法 | |
JP2003193123A (ja) | 転炉内張耐火物の補修方法 | |
JP5601185B2 (ja) | Rh真空脱ガス装置の操業方法 | |
JP2003155512A (ja) | 炉内耐火物のコーティング方法 | |
JP2002332513A (ja) | 溶融容器炉の炉口地金除去方法 | |
ITTO940907A1 (it) | Metodo e miscela di polveri per riparare corpi refrattari a base di od sidi. | |
JP5929632B2 (ja) | 転炉精錬方法 | |
JP2018024911A (ja) | 溶銑予備処理における鍋内付着地金溶解方法 | |
JP6790952B2 (ja) | 転炉炉底耐火物の内張り方法 | |
JP6939828B2 (ja) | 溶鉄の送酸精錬方法 | |
JP2000313912A (ja) | 転炉スラグコ−ティング方法 | |
JP2002115007A (ja) | 高炉の炉下部内壁面構造 | |
JP5251020B2 (ja) | 取鍋の漏鋼防止方法 | |
JP4672198B2 (ja) | 測温用羽口のガス吹き込み方法 | |
JP2010090453A (ja) | 竪型溶解炉の操業方法 | |
JP2002012910A (ja) | 転炉内張り耐火物の保護方法 | |
JP2533815B2 (ja) | 底吹き転炉の操業方法 | |
KR20120032940A (ko) | 래들의 습식 보수재 및 이를 이용한 보수방법 | |
JPH04131311A (ja) | 高炉の原料装入方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190930 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200720 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200728 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200731 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6756074 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |