JP4672198B2 - 測温用羽口のガス吹き込み方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐火物容器内の溶融金属の温度を連続的に測定する方法に関し、特に、転炉、AOD炉などによる精錬において、溶鋼温度を放射測温により連続的に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
転炉、AOD炉等による精錬では、溶鋼中に上吹きランスおよび底吹き羽口から酸素ガス(以後、単に酸素という)を吹き込むことで、特に[C]を酸化させて除去するとともに、酸化による発熱反応により高温の溶鋼を造る処理が行なわれる。溶鋼温度は精錬制御と製造した鋼の品質造り込みの両面で重要であり、溶鋼温度を連続的に把握し、鋼種ごとに定められた温度推移パターンにコントロールすることは精錬を効率よく行う上で重要である。
【0003】
溶鋼温度を連続的に測定する方法として、例えば、特開昭60−129628号公報や特開昭61−17919号公報には、転炉や取鍋の耐火物を貫通した測温用羽口の後端に放射温度計を設け、測温用羽口から溶鋼にガスを噴出させながら、羽口先端に面する溶鋼の熱放射光から溶鋼温度を測定する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では羽口から噴出するガスにより、羽口先端近傍の耐火物及び溶鋼界面が常に冷却されるため、羽口先端付近にマッシュルームと呼ばれる凝固した鋼が生成し、その成長により羽口閉塞が頻発する。その結果、放射温度計は溶鋼より温度が低いマッシュルームを観測することになり、測定値に大きな誤差を生じる。
【0004】
マッシュルームを溶解する方法として、吹き込むガスに酸素を混合し、酸化反応熱によりマッシュルームを溶解させる方法が考えられるが、この方法で溶鋼温度の上昇により羽口の溶損が急激に進行して測温できなくなることがわかった。一方、マッシュルームの成長を抑える方法として不活性ガスの流量を少なくすることで溶鋼界面の冷却を極力抑える方法が考えられるが、流量が不足すると羽口内に溶鋼が進入して受光器が破壊されるばかりか、溶鋼が外部に流出すると重大事故を引き起こす。
【0005】
測温用羽口内への溶鋼の進入を防止する方法として、特開平11−281485号公報には、測温用羽口の内径を3〜5mmとし、かつ測温用羽口から溶鋼に向けて噴出させる不活性ガスの流量を、羽口先端でマッシュルームが成長せず、かつ溶鋼進入がない範囲とする方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、この方法では、羽口内径が3〜5mmと非常に小さく、かつ羽口が貫通する耐火物の厚みが1m前後もあることから、耐火物の熱変形により羽口に曲がりが生じると、観察できる視野を十分に確保できないという問題がある。また、精錬炉では酸素吹き込みによる発熱と冷却材等の添加による抜熱のアンバランスにより溶鋼温度変化が大きいため、マッシュルームによる羽口先端の閉塞を完全に防止できないという問題があり、羽口開口のために酸素を吹き込んだ場合は、この方法で用いる羽口は単管であるため、羽口の溶損が急激に進行して測温できなくなることがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、精錬炉の炉壁を貫通して設けた測温用羽口から溶鋼に不活性ガスを吹き込みながら該羽口の先端に面する溶鋼の熱放射から溶鋼温度を連続的に測定する方法において、該羽口に曲がりが生じた場合でも観察視野を十分に確保し、また、マッシュルームの成長による羽口閉塞を極力低減し、さらには、羽口閉塞が生じた場合でもマッシュルームを酸素により溶解できるように構成することにより、溶鋼の連続測温を1炉代通して可能とすることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明による測温用羽口のガス吹き込み方法は、
(1)溶鋼の脱炭精錬において、精錬炉の炉壁及び/又は炉底を貫通して設けた測温用羽口から溶鋼に不活性ガスを吹き込みながら該測温用羽口の先端に面する溶鋼の熱放射光から溶鋼温度を連続的に測定する方法において、前記測温用羽口を内管と外管の二重管で形成し、該内管のガス流速を400m/sec以上とし、前記外管のガス圧力を2.5kg/cm 2 以上とし、前記脱炭精錬の初期、末期および前記内管のガス圧力が定常時の圧力よりも0.5kg/cm2以上2.0kg/cm2以下上昇したときに、該内管に酸素ガスを吹き込むとともに、内管のガス圧力を15kg/cm2以上とし、かつガス流量を前記外管のガス流量との比で30以下とすることを特徴とする。
(2)前記不活性ガスが、Arガスまたは窒素ガスまたはこれらの混合ガスであるか、または、前記内管の内径が、8mmφ以上であることを特徴とする。
(3)前記測温用羽口の先端に溶鋼が存在しないときは、該測温用羽口から空気を吹込むことを特徴とする。
【0009】
従来、測温用羽口を単管とし、成長したマッシュルームの溶解のために吹き込むガスに酸素を混合した場合には、羽口の溶損が急激に進行して測定が不可能となっていた。本発明においては、測温用羽口を二重管とし、マッシュルームが成長した場合には、外管のガスは不活性ガスとしたまま内管のガスを酸素に切り替えることにより、羽口溶損を起こさずにマッシュルームを溶解することが可能になり、羽口寿命を改善することができた。さらに、羽口への溶鋼の差し込みが起こらないための最適なガス吹き込み条件を明らかにし、安定した開口条件が得られた。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細な内容について説明する。
図1は、溶鋼温度を連続的に測定する装置を模式的に示す図であり、図2は図1に示す測温用羽口の部分を拡大して示す断面図である。図2に示すように、内管1と外管2の二重管で形成された測温用羽口3は精錬炉4の鉄皮5及び耐火物6を貫通し、その先端が溶鋼7に達するように配設されている。図1に示すように、測温用羽口3の後端に取り付けられた測温治具8には内管1に連なる不活性ガス管及び酸素ガス管9と、外管2に連なる不活性ガス管10が連結されており、各管9及び10は圧力計および流量調節弁を有しており、吹き込むガスの種類および流量を任意に調整可能である。
【0011】
図2に示す測温用羽口3の内管1および外管2にはArガスや窒素ガス等の不活性ガスが吹き込まれる結果、溶鋼7と接する羽口先端部で気泡柱13が形成される。放射測温による連続測温では、この気泡柱13を通して観察される熱放射光より溶鋼温度を測定することになる。
【0012】
気泡柱13を通して得られた熱放射光は、図1のイメージファイバー12を通してCCDカメラ11により撮影され、カメラケーブル14を通して画像処理装置15に送られる。画像処理装置15は得られた画像の処理を行って溶鋼温度の演算を行うとともに、測温用羽口3から溶鋼に供給されているガスによる冷却分の補正を行い、溶鋼温度を出力する。
【0013】
図2の内管1及び外管2に供給されるガスが不活性ガスのみの場合は、溶鋼7が冷却され、外管2の先端部よりマッシュルーム16が成長し始める。溶鋼の冷却が極端に強く溶鋼温度が低い場合には、マッシュルーム16は内管1側にも成長し、内管1の先端から溶鋼7を観察できなくなる。このような場合は、測温用羽口3の内管1から溶鋼に向けて酸素を噴出させることにより、マッシュルーム16を溶解することができる。このとき、外管2から冷却ガスとして不活性ガスが噴出しているので測温用羽口3の溶損を防止できる。なお、測温中において内管1及び外管2に供給する不活性ガスとしてArガス及び窒素ガスを用いたが、この外に COガス等を用いてもよい。また、測温用羽口3の先端に溶鋼が存在しないとき、具体的には、精錬を終了して出鋼のために精錬炉4を傾けることで測温用羽口3が溶鋼7から露出した後、出鋼を完了し次の精錬のために受鋼するまでの間の、測温用羽口3が溶鋼7から露出している間は、測温用羽口3から吹込むガスをArガスや窒素ガスに代えて空気を吹込むことで、高価な不活性ガスの消費量を少なくしてガスコストの削減を達成することができる。
【0014】
測温用羽口3の内管1から溶鋼に向けて酸素を噴出させることにより、マッシュルーム16を溶解することができるが、酸素を噴出させている間は溶鋼温度が高くなるため、定常時の測温ができない。そのため、マッシュルームの成長を極力抑える必要があるが、マッシュルームの成長を抑えるために、内管1および外管2から吹き込むガスの流量あるいは圧力を小さくした場合、ないしは溶鋼流動により気泡柱13が安定しない場合には、外管2あるいは内管1内に溶鋼が差し込む現象が起きて溶鋼7の熱放射光を観察できなくなり、この場合、内管から酸素を吹き込んでも差し込んだ鋼を溶解できない。このような場合は、後述するように、内管のガス流速及び外管のガス圧力を所定値以上に高めることにより外管2あるいは内管1内への溶鋼の差し込みを防止することができる。
【0015】
本発明者らは、図1の装置において、精錬炉にAOD炉を採用し、外管と内径が8mmφ以上の内管の二重管からなる測温用羽口を用いたSUS304ステンレス鋼(18mass%Cr−8mass%Ni)の精錬中において、内管および外管への溶鋼の差し込みを完全に防止する条件を検討した。
【0016】
内管内径を8mmφ以上としたのは、測温用羽口を精錬炉に施工した場合、炉の耐火物の熱変形により最大5mm程度の曲がりを生ずることから、内管内径が8mmφ以上であれば、観察視野を十分確保でき、安定して測温を行えることによる。
【0017】
図3に内管のガス流速と100チャージ当たりの溶鋼差し込み頻度の関係を示す。なお、外管のガス吹き込みは2.5kg/cm2以上の圧力で行い、内管のガス流速は内管からのガス吹き込み流量(標準状態)を内管の断面積で除して求めた。また、溶鋼差し込みの有無は、前記画像処理装置での画像より判断した。
【0018】
図3より、内管のガス流速が400m/sec以上では溶鋼の差し込みは全く起こらない。これは、ガス流速が大きい場合にはジェット流を形成し、羽口先端での気泡柱が安定した状態となり、溶鋼が入り込めないためである。内管ガス流速が400m/sec未満では流速の低下に伴い、溶鋼の差し込み頻度が増大する。以上より、内管から吹き込むガス流速は400m/sec以上が必要である。なお、ガス流速があまり大きいと、ガスによる冷却能が大きくなってマッシュルームが成長し易くなること、および吹き込むガス流量が増大することになり、ガスコストの増大を招くことになることから、内管のガス流速は700m/sec以下が望ましい。
【0019】
図4に外管のガス圧力と100チャージ当たりの溶鋼差し込み頻度の関係を示す。なお、内管のガス流速は400m/sec〜700m/secの範囲で行った。溶鋼差し込み頻度を外管のガス圧力を用いて評価した理由は、外管には内管とのクリアランスを維持するために、リブ加工等が施されているため、流速が管内で均一にならないことにより、溶鋼の差込みが発生することを考慮したものである。
【0020】
図4より、外管ガスの圧力が2.5kg/cm2以上では溶鋼の差し込みは全く起こらない。これは前述の内管のガス流速の考え方と同様である。また、外管ガスの圧力が5.0kg/cm2以上では冷却能が大きくなってマッシュルームが成長し易くなること、およびガスコストの増大を招くことから、この値以下とすることが望ましい。
【0021】
以上より、内管のガス流速を400m/sec以上、外管ガスの圧力を2.5kg/cm2以上とすることで、溶鋼の測温用羽口への差し込みを完全に抑え、安定した開口状態が得られることを確認した。
【0022】
本発明者らは、次に不可避的に発生するマッシュルームによる羽口の閉塞傾向を回復する手段として、内管からの酸素の吹き込みを行うことを考え、酸素吹き込みにより閉塞傾向を完全に回復する条件の検討した。
【0023】
図5に精錬炉で脱炭精錬を行った場合の脱炭精錬開始からの経過時間と内管の羽口開口面積率および溶鋼の測定温度と凝固点温度の差の関係を示す。なお、この場合の脱炭精錬は40minにて終了し、測温用羽口からは内管および外管ともに不活性ガスのみの供給を行った。なお、羽口開口面積率は、画像処理装置の画像から内管の実際の開口面積を完全開口状態での面積で除した値であり、また、凝固点温度は各時間毎で溶鋼のサンプリングを行って組成分析を行い、組成より計算で求めた温度である。
【0024】
図5より、脱炭精錬の初期と末期において、溶鋼の測定温度と凝固点温度の差(以後、ΔTという)が小さいことから、測温用羽口のマッシュルームによる閉塞傾向が認められる。ΔTが小さいことは溶鋼を冷却した場合、容易に凝固することを意味するから、マッシュルームが容易に成長し、羽口の閉塞傾向が認められることになる。
【0025】
脱炭精錬の初期では、[C]濃度が高く凝固点温度は1350℃程度と低いが、溶鋼温度も1500℃程度と低いためにΔTが小さくなる。一方、脱炭精錬の末期では、溶鋼温度は1700℃近傍と高いが、[C]濃度が下がることで凝固点温度が1500℃近傍まで上昇するためにΔTが小さくなる。従って、脱炭精錬の初期と末期ではマッシュルームが成長し易く、測温用羽口が閉塞傾向を示すことになる。このような場合に、測温用羽口の内管より酸素を吹き込むことで、酸化発熱によりマッシュルームを溶解し、羽口を開口状態にすることが可能になる。なお、脱炭精錬の初期とは脱炭精錬開始から5min以内、脱炭末期は脱炭終了までの5min以内が適正である。
【0026】
図6に脱炭精錬期の不定期に酸素吹き込みによる羽口の開口操作を行った場合の、酸素吹き込み前の内管圧力と定常の内管圧力との差(以後、ΔPという)と酸素吹き込み後の羽口開口面積率の関係を示す。なお、定常の内管圧力とは殆どマッシュルームの生成がない場合の内管圧力を指し、この値は溶鋼量、羽口長さあるいは溶鋼温度により若干の変動がある。なお、ΔPは内管から酸素の吹き込みのない場合には、脱炭精錬中マッシュルームが徐々に成長するために、次第に大きくなってくる。
【0027】
図6より、ΔPが2.0kg/cm2以下であれば、酸素吹き込み後の羽口開口面積率は1.0であり、羽口は殆ど開口状態となるが、2.0kg/cm2以上では酸素吹き込みを行っても羽口は完全には開口しない。これは、酸素吹き込み前のΔPが大きいことは、マッシュルームが大きく成長していることを意味し、この状態で酸素吹き込みを行っても完全にマッシュルームを溶解できないことによる。従って、酸素吹き込みによる羽口の開口操作を行う場合には、ΔPが2.0kg/cm2以下で行う必要がある。なお、ΔPが小さい場合には、容易に酸素吹き込みによる羽口の開口が可能であるが、あまり小さい値で酸素吹き込みを行うことは、精錬中頻繁に酸素吹き込みを行うことになり、連続測温が中断されることになるため、ΔPが0.5kg/cm2以上で酸素吹き込みを行うことが必要である。
【0028】
図7に内管からの酸素吹き込みによる羽口の開口操作を行った時の、内管酸素と外管Arガスの流量比(以後、単に流量比という)と羽口溶損指数の関係を示す。羽口溶損指数は流量比30で開口操作を行った場合の羽口溶損長さを1として比例換算した値である。
【0029】
図7より、流量比が30を超えると急激に羽口溶損指数が増大する。これは、内管から酸素を吹き込む場合、管自体の発熱・溶解を抑えるために、外管から不活性ガスを供給し冷却する必要があるが、流量比が30を超えると、不活性ガスが不足して冷却量が足りなくなり、羽口の溶損が起きるためである。そのため、流量比を30以下にする必要がある。なお、通常、精錬炉で使用されている酸素の圧力は20kg/cm2程度であり、15kg/cm2以上を確保しているから、マッシュルームの溶解は容易に行えるが、試験溶解炉等で用いられている15kg/cm2未満の圧力ではマッシュルームの溶解が不十分になる場合があることが確認された結果、内管から吹き込む酸素の圧力は15kg/cm2以上とする必要がある。
【0030】
以上より、精錬炉の炉壁及び/又は炉底を貫通して設けた測温用羽口から溶鋼に不活性ガスを吹き込みながら該測温用羽口の先端に面する溶鋼の熱放射光から溶鋼温度を連続的に測定する方法において、観察視野を十分に確保するためには測温用羽口の内管の内径を8mmφ以上とし、測温用羽口への溶鋼の差し込みを完全に抑えるためには内管のガス流速を400m/sec以上とし、かつ外管のガス圧力を2.5kg/cm2以上とする必要がある。
【0031】
また、不可避的に起きるマッシュルームによる内管の閉塞傾向を解消するためには、脱炭精錬の初期、末期および内管のガス圧力が定常の圧力よりも0.5kg/cm2以上2.0kg/cm2以下上昇した時に、内管の酸素ガス圧力を15kg/cm2以上とし、かつ流量を外管ガスとの流量比で30以下とする必要がある。
【0032】
【実施例】
図1に示す連続測温装置を用いて、60tonAOD炉でのSUS304ステンレス鋼(18mass%Cr−8mass%Ni)の精錬において連続測温を実施した。AOD炉での精錬は電気炉にて溶解した粗溶鋼([C]=約2.0mass%,[Si]=約0.3mass%,[Ni]=約8.0mass%,[Cr]=約19mass%,温度=約1450℃)55tonを装入した後、精錬羽口からの酸素および不活性ガスの吹き込みにより脱炭精錬を実施し、目標[C]濃度(約0.04mass%)までの脱炭後、還元剤および造滓剤を添加し、還元精錬を実施した。還元精錬後、取鍋に溶鋼を出鋼し、1チャージの精錬を終了した。このような操作を繰り返し、1炉代(約300チャージ)の精錬を実施した。
【0033】
なお、連続測温羽口には内管内径10mmφ、内管肉厚1mm、内管と外管のクリアランス1mm、外管肉厚1mmの二重管羽口を用い、使用する不活性ガスは精錬用羽口で使用されるガスと同じ不活性ガスを使用した。また、各ガス吹き込み条件で、各10チャージ連続の精錬を行い、羽口状況の観察を行った。内管のガス流速については、標準状態におけるガス流量をノズル先端断面積で割ることによって算出した。
【0034】
表1に実施結果について、測温羽口の内管ガスの流速、外管ガスの圧力、マッシュルームによる閉塞傾向がある場合の酸素吹込みの有無及び酸素圧力、酸素吹込み時の内管圧力と定常圧力の差、酸素吹込み時の内管酸素と外管ガスの流量比を示す。なお、酸素吹込み時の内管からの酸素の吹き込み圧力は20kg/cm2であった。表1のNo.1〜No.5の例は本発明例、No.6〜No.10の例は本発明の条件外の例を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表2に実施結果について、10チャージ連続しての測温可否、羽口への溶鋼の差し込み有無、1チャージ当たりの酸素吹込み回数、1チャージ当たりの測温可能な時間比率および羽口の溶損指数を示す。なお、羽口溶損指数はNo.1の例を1として比例換算した値である。
【0037】
【表2】
【0038】
本発明例では10チャージ連続しての連続測温が可能であり、溶鋼の差し込みが少なく、安定した酸素吹込みによる開口操作が行えるために、連続測温が可能な時間比率も0.85以上と高く、羽口の溶損量も低位安定する。一方、比較例では、溶鋼の差し込みが起きてしまい、かつ酸素吹込みによる開口操作も不安定であるために、10チャージ通して連続測温できた例が少なく、できた場合は測温可能な時間比率が非常に小さいか、あるいは羽口の溶損量が非常に大きい等の問題を生じる。また、測温用羽口3が溶鋼7から露出して測温用羽口3の先端に溶鋼が存在しないときの間、測温用羽口3から空気を吹込んだ本発明例では、この間でArガスを吹込んだ場合と比べて、1ケ月当たりのArガス消費量を15%ほど節約できた。
【0039】
【発明の効果】
本発明の測温用羽口のガス吹き込み方法を採用することで、安定した連続測温が可能になり、連続測温値を用いた精錬制御がはかれるために、精錬コストの低減および生産性の向上をはかることが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射測温による連続測温装置の装置構成の模式図である。
【図2】図1の測温用羽口の部分を拡大して示す断面図である。
【図3】連続測温用羽口の内管ガスの流速と溶鋼の差し込み発生頻度の関係を示す図である。
【図4】連続測温用羽口の外管ガスの圧力と溶鋼の差し込み発生頻度の関係を示す図である。
【図5】脱炭精錬開始からの時間と連続測温用羽口の開口面積率および溶鋼温度と凝固点温度の差の関係を示す図である。
【図6】連続測温用羽口の酸素吹き込み前の内管圧力の定常圧力の差と酸素吹き込み後の羽口開口面積率の関係を示す図である。
【図7】連続測温用羽口の内管酸素と外管Arガスとの流量比と羽口溶損指数の関係を示す図である。
【符号の説明】
1:内管
2:外管
3;測温用羽口
4;精錬炉
5:精錬炉鉄皮
6;耐火物
7:溶鋼
8;測温治具
9:不活性ガス管及び酸素ガス管
10;不活性ガス管
11; CCDカメラ
12:イメージファイバー
13:気泡柱
14:カメラケーブル
15:画像処理装置
16:マッシュルーム
17:スラグ
Claims (4)
- 溶鋼の脱炭精錬において、精錬炉の炉壁及び/又は炉底を貫通して設けた測温用羽口から溶鋼に不活性ガスを吹き込みながら該測温用羽口の先端に面する溶鋼の熱放射光から溶鋼温度を連続的に測定する方法において、前記測温用羽口を内管と外管の二重管で形成し、該内管のガス流速を400m/sec以上とし、前記外管のガス圧力を2.5kg/cm 2 以上とし、前記脱炭精錬の初期、末期および前記内管のガス圧力が定常時の圧力よりも0.5kg/cm2以上2.0kg/cm2以下上昇したときに、該内管に酸素ガスを吹き込むとともに、内管のガス圧力を15kg/cm2以上とし、かつガス流量を前記外管のガス流量との比で30以下とすることを特徴とする測温用羽口のガス吹き込み方法。
- 前記不活性ガスが、Arガスまたは窒素ガスまたはこれらの混合ガスであることを特徴とする請求項1に記載の測温用羽口のガス吹き込み方法。
- 前記内管の内径が、8mmφ以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の測温用羽口のガス吹き込み方法。
- 前記測温用羽口の先端に溶鋼が存在しないときは、該測温用羽口から空気を吹込むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の測温用羽口のガス吹き込み方法。
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