JP5923324B2 - 熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 - Google Patents

熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記録再生装置 Download PDF

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Description

本発明は、ハードディスク装置(HDD)等に用いられる熱アシスト磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記録再生装置に関する。
近年、磁気記録媒体に近接場光等を照射して表面を局所的に加熱し、この磁気記録媒体の保磁力を低下させて書き込みを行う熱アシスト記録が、1Tbit/inchクラスの面記録密度を実現できる次世代記録方式として注目されている。
この熱アシスト記録を用いた場合、室温における保磁力が数十kOeの磁気記録媒体でも、現状ヘッドの記録磁界により容易に書き込みを行うことができる。このため、熱アシスト磁気記録媒体では、磁性層に10J/m台の高い結晶磁気異方性(Ku)を有する材料を使用することが可能となり、熱安定性を維持したまま、磁性粒径を6nm以下にまで微細化することができる。このような高Ku材料としては、L1型の結晶構造を有するFePt合金(Ku:約7×10J/m)や、L1型の結晶構造を有するCoPt合金(Ku:約5×10J/m)等が知られている。
ところで、FePt合金を規則化させてL1構造をとらせるには、基板温度を600〜700℃以上に加熱する必要がある。しかしながら、ガラス基板の耐熱性の観点から基板温度は、概ね600℃以下とすることが望ましい。上記規則化温度は、FePtに第三元素を添加することによって低減できる。例えば、下記非特許文献1には、FePtにCuを添加することによって、規則化温度を大幅に低減できることが記載されている。また、下記非特許文献2には、Cuに加えて、Ag、Au添加することによって、規則化温度を低減できることが記載されている。
Appl. Phys. Lett. 80, 2147 (2002) J. Appl. Phys. 92, 6104 (2002)
上述したように、熱アシスト磁気記録媒体に用いるFePt合金、若しくはCoPt合金を規則化させてL1構造をとらせるためには、基板を600〜700℃以上に加熱する必要がある。また、規則化温度は、FePt合金にCu、Ag、Au等の第三元素を添加することによって低減できる。
しかしながら、この場合、Kuの低下を招くことになる。更に、第三元素を添加した場合、この第三元素の濃度分布に伴い、保磁力分散ΔHc/Hcが増大する。このため、FePt合金、若しくはCoPt合金に第三元素を添加することなく、規則化温度をガラス基板の耐熱温度である600℃以下に低減する必要がある。
また、熱アシスト磁気記録媒体の磁性層にFePt合金、若しくはCoPt合金を用いる場合、これらの合金膜は、規則度の高いL1構造をとると同時に、(001)面を基板面と平行とした配向をとっている必要がある。
FePt合金に(001)配向をとらせるには、このFePt合金を(100)配向したMgO下地層の上に形成することが望ましい。MgOは、通常、ガラス基板上に直接、若しくはTaなどの下地層の上に形成することによって(100)配向をとることが知られている。
但し、良好な(100)配向を実現するには、MgO下地層の厚みを10nm以上に厚くする必要がある。また、生産効率の観点からMgO下地層の厚みは、5nm以下、望ましくは3nmが好ましい。さらに、パーティクル発生抑止の観点からも、MgO下地層は薄い方が望ましい。このため、厚みが3nm以下で、且つ、良好な(100)配向を示すMgO下地層を形成する必要がある。
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、規則化温度が低く、MgO下地層の膜厚を5nm以下まで低減可能とした熱アシスト磁気記録媒体、並びに、そのような熱アシスト磁気記録媒体を備えた磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の手段を提供する。
(1) 基板と、
前記基板の上に形成された下地層と、
前記下地層の上に形成された磁性層とを備え、
前記磁性層が、L1構造を有する合金を主成分として含み、
前記下地層が、非晶質合金、若しくは微結晶構造を有する合金からなる第1の下地層と、Cr、若しくはCrを主成分とするBCC構造を有する合金からなる第2の下地層と、格子定数が2.98A以上のBCC構造を有する金属又は合金からなる第3の下地層と、MgOからなる第4の下地層とから構成され
前記第3の下地層の格子定数が、前記第2の下地層の格子定数より大きいことを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
(2) 前記第1の下地層が、非磁性、若しくは磁化が100emu/cc以下のNiTa、NiTi、CoTa、CoTi、CrTa、CrTi、CoCrZr、CoCrTa合金からなることを特徴とする前項(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(3) 前記第2の下地層が、Crを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Ru、Mnの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(4) 前記第2の下地層が、Crを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Ru、Mnの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、且つ、B、Si、Cの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする前項(1)〜(3)の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(5) 前記第2の下地層の格子定数が、2.98A以下であることを特徴とする前項(1)〜(4)の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(6) 前記第3の下地層が、V、Mo、W、Ta、Nbの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(7) 前記第3の下地層が、V、Mo、W、Ta、Nbの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、且つ、Cr、Mn、Ru、Tiの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(8) 前記第3の下地層が、Mo、若しくはWの金属からなることを特徴とする前項(1)〜(5)の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
) Co、若しくはFeを主成分とし、Ta、B、Si、Zr、Al、Cの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する軟磁性合金からなる下地層が、第1の下地層と第2の下地層との間、若しくは基板と第1の下地層との間に形成されていることを特徴とする前項(1)〜()の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
10) 前記磁性層が、L1構造を有するFePt又はCoPt合金を主成分とし、且つ、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cの中から選ばれる少なくとも1種の酸化物、若しくは元素を含有する合金からなることを特徴とする前項(1)〜()の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
11) 前記磁性層の上に形成されたキャップ層を備え、
前記キャップ層が、Co、Ni、若しくはFeを主成分とし、且つ、前記磁性層よりも磁気異方性が低い合金からなることを特徴とする前項(1)〜(10)の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
12) 前項(1)〜(11)の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体と、
前記熱アシスト磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
前記熱アシスト磁気記録媒体を加熱するレーザー発生部と、前記レーザー発生部から発生したレーザー光を先端部へと導く導波路とを有して、前記熱アシスト磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、
前記磁気ヘッドを前記熱アシスト磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド移動部と、
前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドから出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系とを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
以上のように、本発明によれば、規則化温度が低く、MgO下地層(第4の下地層)の膜厚を5nm以下まで低減した熱アシスト記録媒体が実現され、これを用いた大容量の磁気記録再生装置を提供することが可能となる。
第1の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。 第1の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体のX線回折スペクトルを示すグラフである。 第2の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。 第3の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体の層構成の一例を示す断面図である。 第4の実施例において本実施例媒体及び比較例媒体の保磁力(Hc)とMgOの膜厚との関係を示すグラフである。 第5の実施例において用いた磁気記録再生装置の構成の一例を示す斜視図である。 図6に示す磁気記録再生装置が備える磁気ヘッドの構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を適用した熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記録再生装置について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本発明を適用した熱アシスト磁気記録媒体は、基板と、基板の上に形成された下地層と、下地層の上に形成された磁性層とを備え、磁性層が、L1構造を有する合金を主成分として含み、下地層が、非晶質合金、若しくは微結晶構造を有する合金からなる第1の下地層と、Cr、若しくはCrを主成分とするBCC合金からなる第2の下地層と、格子定数が2.98A以上のBCC合金からなる第3の下地層と、MgOからなる第4の下地層とから構成されていることを特徴とする。
本発明では、基板の上に、非晶質合金、若しくは微結晶構造を有する合金からなる第1の下地層を形成した後、この基板を150〜200℃以上に加熱する。そして、この第1の下地層の上に、Cr、若しくはCrを主成分とするBCC合金からなる第2の下地層を形成することによって、この第2の下地層に(100)配向をとらせることができる。
第1の下地層は、非晶質、若しくは微結晶構造を有する合金からなるものであれば特に制限はなく、例えば、NiTa、NiTi、CoTa、CoTi、CrTa、CrTi、CoCrZr、CoCrTa合金等を用いることができる。また、第1の磁性層は、非磁性であることが望ましいが、100emu/cc以下であれば微弱な磁化を有していても問題ない。したがって、上記合金のうち、Ni、Co等の磁性元素を含有するものは、その含有量を70原子%以下とすることが好ましく、更には60原子%以下とすることが好ましい。
第2の下地層には、Cr、若しくはCrを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Ru、Mnの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金、例えば、CrTi、CrV、CrMo、CrMo、CrW、CrRu、CrMn等のCr合金を用いることができる。
さらに、第2の下地層には、上記Cr合金に、B、C、Si等の元素を添加したものを用いてもよい。これらの元素を添加することにより、第2の下地層の粒径を微細化することができる。また、第2の下地層の上に形成される第3の下地層及び第4の下地層の粒径も微細化することができ、最終的に下地層の上に形成される磁性層の粒径を均一化することができる。
上記元素のCr合金への添加量は、このCr合金がBCC構造をとる範囲内であれば特に制限はないものの、多量の添加は第2の下地層の(100)配向を劣化させるため望ましくない。したがって、添加元素の合計は概ね40at%以下程度が望ましい。
本発明では、上記第2の下地層の上に、MgO下地層を形成することにより、このMgO下地層に(100)配向をとらせることができる。また、(100)配向したMgO下地層の上に、FePt合金又はCoPt合金(磁性層)を形成することにより、これらの合金に(001)配向したL1構造をとらせることができる。
但し、この場合、基板温度を600〜700℃以上まで加熱する必要がある。本発明者らは、種々の下地層の構成を検討した結果、第2の下地層の上に、格子定数が2.98A以上のBCC合金からなる第3の下地層を形成し、この第3の下地層の上に、MgO下地層(第4の下地層)を形成することによって、規則化温度を低減できることを見出した。
これにより、600℃以下の基板加熱で、高い保磁力を有する熱アシスト磁気記録媒体を得ることが可能となる。この規則化温度を低減できる理由については、以下のように考えられる。
すなわち、L1構造を有するFePt合金又はCoPt合金は、膜面垂直方向に縮んだFCT構造をとる。この場合、膜面内方向に引っ張り応力を導入することより、規則化が促進され、規則化温度を低減できる。MgO下地層の格子定数は、L1−FePt合金又はL1−CoPt合金のa軸長より約10%大きい。したがって、L1−FePt合金又はL1−CoPt合金がMgO下地層上にエピタキシャル成長した場合、これらの合金には、膜面内方向に引っ張り応力が導入される。本発明のように、格子定数の√2倍の値がMgOの格子定数より大きなBCC構造を有する第3の下地層の上に、MgOからなる第4の下地層をエピタキシャル成長させた場合、このMgOの格子定数を膜面内方向に拡げることができる。これにより、FePt合金又はCoPt合金に加わる面内引っ張り応力を更に増大させることができる。このため、FePt合金又はCoPt合金の規則化が促進され、規則化温度を低減することが可能となる。
第3の下地層は、格子定数が2.98A以上のBCC構造を有する金属又は合金であれば、特に制限されるものではない。BCC(100)配向した第3の下地層(UL3)の上に、MgOがエピタキシャル成長して(100)配向する場合、面内方向にUL3<110>//MgO<100>の方位関係が成り立つ。このため、第3の下地層の格子定数(a)が2.98A以上であれば、√2aは4.23以上となり、MgOの格子定数を上回る。これにより、MgOの膜面内方向に引っ張り応力を導入し、格子定数を拡大することができる。また、これによってFePt合金又はCoPt合金の面内方向に引っ張り応力を導入し、規則化を促進することができる。
第3の下地層の格子定数の上限については特に制限はないものの、第2の下地層の上にエピタキシャル成長させて(100)配向をとる必要があるため、第2の下地層に用いる合金との格子ミスフィットが概ね10%を下回らない範囲内とすることが望ましい。そのような第3の下地層には、V、Mo、W、Ta、Nbの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金、具体的には、VCr、VTi、MoCr、MoTi、MoV、MoMn、MoRu、MoW、MoTa、MoNb、WCr、WTi、WV、WMn、WRu、WTa、WNb、TaCr、TaTi、TaZr、TaNb、NbCr、NbTi、NbZr等を用いることができる。また、これらV、Mo、W、Ta、Nbを単体で用いてもよい。
なお、第2の下地層に2.98A以上のCr合金を用いることによって、第3の下地層を設けなくてもMgOに引っ張り応力を導入できる可能性が考えられる。しかしながら、これは実現困難である。すなわち、Crに他元素を添加して、格子定数を2.98A以上とするには、元素の添加量を概ね40at%とする必要があるが、この場合、第2の下地層の結晶性、配向性が大幅に劣化する。このため、第3の下地層を設けずにMgOに引っ張り応力を導入するのは困難である。
MgOからなる第4の下地層は、上記第3の下地層の上に形成することにより、MgOの配向性、結晶性を劣化させることなく、このMgOの厚みを5nm以下まで薄くすることができる。これにより、MgOの膜厚が5nm以下で、且つ、規則化温度が600℃以下の、熱アシスト磁気記録媒体を得ることができる。
磁性層には、L1構造を有するFePt合金、若しくはCoPt合金を用いることができる。磁性層は、上記FePt合金、若しくはCoPt合金が、粒界偏析材料で囲まれたグラニュラー構造をとっていることが望ましい。粒界偏析材料としては、例えば、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、C、若しくはこれらの混合物を用いることができる。
上記磁性層の上には、キャップ層を設けてもよい。この場合、キャップ層を介して、磁性層中の粒子間に交換結合を導入し、保磁力分散を低減することができる。但し、過度の交換結合は、クラスターサイズを増加させるため、キャップ層のMsと膜厚は、これらを考慮して設計する必要がある。また、キャップ層のKuは、磁性層より低く設定することが望ましい。これにより、磁性層の磁化反転を容易にし、書き込み特性を改善することができる。
上記以外にも、Cu、Ag、Al、若しくはこれらを主成分とする熱伝導率の高い合金材料をヒートシンク層として形成してもよい。ヒートシンク層は、第1の下地層と基板との間に設けることが好ましい。
また、書き込み特性を改善するため、Co、又はCoを主成分とする、非晶質若しくは微結晶構造を有する軟磁性下地層を設けてもよい。軟磁性下地層には、Co、若しくはFeを主成分とし、Ta、B、Si、Zr、Al、Cの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する軟磁性合金、例えば、CoTaZr、CoNbZr、CoFeTaZr、CoFeTaB、CoFeTaSi、CoFeZrSi、CoFeZrB、FeAlSi、FeTaC合金等を用いることができる。さらに、軟磁性下地層は、上記合金の単層構造であっても、Ruを挟んで反強磁性結合させた積層構造であってもよい。
非晶質若しくは微結晶構造を有する軟磁性合金層は、第2の下地層に(100)配向をとらせる機能を有するため、第1の下地層と第2の下地層の間に設けることができる。また、第1の下地層と基板の間に設けてもよい。それ以外にも、基板との密着性を改善するための密着層を基板上に形成してもよい。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(第1の実施例)
第1の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体(以下、実施例媒体という。)の層構成の一例を図1に示す。
本実施例媒体を作製する際は、ガラス基板101上に、層厚100nmのNi−38at%Taからなる第1の下地層102と、層厚10nmのCr−15at%Ti−5at%Bからなる第2の下地層103と、層厚10nmのMo−40at%Cr(実施例1−1)、Mo−20at%Cr(実施例1−2)、若しくはMo(実施例1−3)からなる第3の下地層104と、層厚2nmのMgOからなる第4の下地層105と、層厚10nmの(Fe−55at%Pt)−40at%Cからなる磁性層106と、層厚3nmのカーボン(C)からなる保護層107とを順次積層して形成した。また、第1の下地層102の形成後と第4の下地層105の形成後に、2度の基板加熱を行っており、加熱温度は、それぞれ150℃と500℃である。また、比較例1として、第3の下地層104を形成せず、第2の下地層(Cr)103上に、第4の下地層(MgO)105を直接形成した熱アシスト磁気記録媒体(以下、比較例媒体という。)を作製した。
本実施例媒体(実施例1−1〜1−3)のX線回折スペクトルを図2に示す。
図2に示すように、第2の下地層103として用いたCrからの(200)ピークと、第3の下地層104として用いたMoCr、若しくはMoからの(200)ピークが確認できる。このことは、第1の下地層(NiTa)102上に形成された第2の下地層(Cr)103が(100)配向をとり、その上に形成される第3の下地層(CrMo若しくはMo)104がエピタキシャル成長していることを示している。また、第1の下地層(NiTa)102からは、明瞭な回折ピークが観察されなかった。したがって、第1の下地層102は、非晶質構造、若しくは微結晶構造をとっていると考えられる。
本実施例媒体(実施例1−1〜1−3)の第3の下地層104に用いたMoCr合金、若しくはもしくはMoの格子定数a、及び√2aの値を表1に示す。
Figure 0005923324
ここで、aは、CrMo(200)ピーク、若しくはMo(200)ピークから見積もった面間隔d200から、a=2×d200として算出した。(100)配向した第3の下地層(MoCr、若しくはMo)104上に、第4の下地層(MgO)105がエピタキシャル成長して(100)配向する場合、面内方向にCrMo<110>//MgO<100>、若しくはMo<110>//MgO<100>の方位関係が成り立つ。
表1に示すように、本実施例媒体(実施例1−1〜1−3)の√2aは、何れもMgOの格子定数が4.21Aを上回っており、第4の下地層(MgO)105に膜面内方向の引っ張り応力を及ぼしていると考えられる。
磁性層106からは、L1−FePt(001)ピーク、及びL1−FePt(002)ピークとFCC−FePt(200)ピークの混合ピークが観察された。後者の積分強度に対する前者の積分強度比は、いずれも1.8以上であった。このことは、磁性層106中のFePt合金は規則度の高いL1型構造を有し、且つ、(001)配向をとっていることを示している。MgOからの回折ピークは確認されなかったが、磁性層106中のFePt合金が強い(001)配向を示していることから、(100)配向をとっていると考えられる。
一方、第3の下地層104を形成していない比較例媒体(比較例1)の磁性層106からも、実施例媒体と同様、L1−FePt(001)ピーク、及びL1−FePt(002)ピークとFCC−FePt(200)ピークの混合ピークが観察された。但し、後者の積分強度に対する前者の積分強度比は1.3程度であった。これより、第3の下地層104として格子定数が、2.98A以上の第3の磁性層(CrMo、若しくはMo)104を形成することによって、規則度を大幅に改善できることがわかった。
本実施例媒体(実施例1−1〜1−3)及び比較例媒体(比較例1)の保磁力(Hc)を表2に示す。
Figure 0005923324
表2に示すように、第3の下地層104中のMo濃度の増加と共に、Hcが増加しており、純Moを使用した場合には、17.7kOeのHcが得られた。この値は、第3の下地層104を形成しない比較例媒体のHcより、6kOe程度高い値である。これは、本実施例媒体の方がL1−FePt合金の規則度が高いためと考えられる。
以上により、第3の下地層104として、格子定数が2.98A以上のCrMo合金、若しくはMoを形成することにより、600℃以下の基板加熱でも規則度が良好で、高いHcを示す熱アシスト磁気記録媒体が得られることがわかった。
なお、第1の下地層102として、Ni−38at%Ta合金の代わりに、Ni−50at%Ti、Co−45at%Ta、Co−50at%Ti、Cr−55at%Ti、Cr−40at%Ta等の非晶質合金を用いてもよい。また、磁性層106には、FePt合金にSiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO等の酸化物を10〜20mol%添加した材料を用いることもできる。
(第2の実施例)
第2の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体(以下、実施例媒体という。)の層構成の一例を図3に示す。
本実施例媒体を作製する際は、ガラス基板201上に、層厚5nmのCo−50at%Tiからなる第1の下地層202と、層厚100nmのCo−15at%Ta−3at%Zrからなる軟磁性下地層203と、層厚10nmのCr−20at%Ti(実施例2−1)、Cr−20at%Mo(実施例2−2)、Cr−30at%V(実施例2−3)、Cr−15at%Mn(実施例2−4)、Cr−15at%Ru(実施例2−5)、Cr−15at%W(実施例2−6)、Cr−15at%Ti−5at%B(実施例2−7)、Cr−15at%Mo−10at%B(実施例2−8)、Cr−20at%V−5at%B(実施例2−9)、Cr−16at%V−10at%C(実施例2−10)、Cr−25at%Mn−3at%B(実施例2−11)、Cr−15at%Mn−10at%C(実施例2−12)、Cr−15at%Mn−5at%Si(実施例2−13)、Cr−10at%Ru−8at%B(実施例2−14)、Cr−5at%Mn−10at%C(実施例2−15)、若しくはCr−30at%W−5at%B(実施例2−16)からなる第2の下地層204と、層厚9nmのWからなる第3の下地層205と、層厚2nmのMgOからなる第4の下地層206と、層厚10nmの(Fe−55at%Pt)−40at%TiOからなる磁性層207と、層厚4nmのCo−20at%Nb−10at%Zrからなるキャップ層208と、層厚3nmのカーボン(C)からなる保護層209とを順次積層して形成した。また、第1の下地層202の形成後と第4の下地層206の形成後に、2度の基板加熱を行っており、加熱温度は、それぞれ180℃と450℃である。また、比較例2として、第2の下地層204を形成せず、第1の下地層(CoTaZr合金)202上に、第3の下地層(W)205を直接形成した熱アシスト磁気記録媒体(以下、比較例媒体という。)を作製した。
本実施例媒体(実施例2−1〜2−10)のX線回折測定を行ったところ、第2の下地層204に用いたCr合金、及び第3の下地層205に用いたWは、何れも(100)配向していることがわかった。また、第3の下地層205として用いたWの(200)ピークから求めた格子定数は、3.17Aであった。
磁性層207からは、L1−FePt(001)ピーク、及びL1−FePt(002)ピークとFCC−FePt(200)ピークの混合ピークが観察された。後者の積分強度に対する前者の積分強度比、保磁力Hc、保持力分散ΔHc/Hcの値を表3に示す。
なお、ΔHc/Hcは、「IEEE Trans. Magn., vol.27, pp4975-4977, 1991」に記載の方法で測定した。具体的には、メジャーループ及びマイナーループにおいて、磁化の値が飽和値の50%となるときの磁界を測定し、両者の差分から、Hc分布がガウス分布であると仮定してΔHc/Hcを算出した。ΔHc/Hcは、反転磁界分散に相当するパラメーターであり、この値が低いほど、反転磁界分散が狭くなるため、良好な媒体SNRが得られる。
Figure 0005923324
表3に示すように、本実施例媒体(実施例2−1〜2−10)の積分強度比は、何れも1.6以上であった。このことは、本実施例媒体の磁性層207中のFePt合金が、高い規則度を有していることを示している。また、本実施例媒体の保磁力が、何れも15kOe以上の高い値を示しているのは、このためと考えられる。
また、第2の下地層204に、B、C、若しくはSiを含有した合金を用いた媒体(実施例2−7〜2−16)は、上記元素を添加しない媒体(実施例2−1〜2−6)に比べてΔHc/Hcが低い傾向が見られる。特に、第2の下地層204に、CrVB、CrVC、CrMnB、CrRuBを用いた媒体が、0.2以下の低いΔHc/Hcを示した。
一方、比較例媒体(比較例2)のX線回折測定を行ったところ、第3の下地層205に用いたWは、(100)配向を示さず、(110)配向をとっていた。また、磁性層207からは、L1−FePt(001)ピークが観察されず、FePt合金の規則度が不十分であることがわかった。このため、保磁力も9kOe程度と、本実施例媒体に比べて大幅に低かった。
以上により、第2の下地層203として、(100)配向したCr合金を用い、第3の下地層205として、Wを形成することによって、磁性層207中のFePt合金の規則度が良好で、高い保磁力を有する熱アシスト磁気記録媒体が得られることがわかった。また、第2の下地層204に、CrVB、CrVC、CrMnB、CrRuBを用いることにより、特にΔHc/Hcを低減できることがわかった。
なお、第1の下地層202には、CoTaZr合金以外にも、CoTaZr、CoNbZr、CoFeTaZr、CoFeTaB、CoFeTaSi、CoFeZrSi、CoFeZrB、FeAlSi、FeTaC等の軟磁性合金を用いることができる。また、ガラス基板201と第1の下地層202との間に密着性改善を目的とした接着層を形成してもよい。接着層には、NiTa、NiTi、CoTa、CoTi、CrTi、CrTa合金等、ガラス基板201との密着性の良い非晶質合金を用いることができる。
(第3の実施例)
第3の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体(以下、実施例媒体という。)の層構成の一例を図4に示す。ガラス基板301上に、層厚50nmのCo−30at%Cr−10at%Zrからなる第1の下地層302と、層厚10nmのCr−20at%Mo−5at%Bからなる第2の下地層303と、層厚10nmのV−15at%Cr(実施例3−1)、V−15at%Ti(実施例3−2)、Mo−20at%Cr(実施例3−3)、Mo−30at%V(実施例3−4)、Mo−20at%Ta(実施例3−5)、Mo−10at%Nb(実施例3−6)、Mo−20at%Ti(実施例3−7)、Mo−45at%W(実施例3−8)、W−20at%Cr(実施例3−9)、W−20at%V(実施例3−10)、W−30at%Ta(実施例3−11)、W−25at%Nb(実施例3−12)、W−30at%Ti(実施例3−13)、Ta−20at%Cr(実施例3−14)、Ta−30at%V(実施例3−15)、Ta−25at%Ti(実施例3−16)、Ta−20at%Zr(実施例3−17)、Ta−30at%Nb(実施例3−18)、Mo(実施例3−19)、若しくはW(実施例3−20)からなる第3の下地層304と、層厚1.5nmのMgOからなる第4の下地層305と、層厚6nmの(Fe−55at%Pt)−8mol%SiO−4mol%Crからなる磁性層306と、層厚3nmのFe−15at%Al−3at%Siからなるキャップ層307と、層厚3.2nmのカーボン(C)からなる保護層308とを順次積層して形成した。また、第1の下地層302の形成後と第4の下地層305の形成後に、2度の基板加熱を行っており、加熱温度は、それぞれ180℃と450℃である。また、第1の下地層(CoCrZr合金)302を形成した後、チャンバー中に1PaのAr+1%Oガスを導入し、第1の下地層302の表面酸化を行った。
また、比較例3として、第2の下地層303を形成せず、第1の下地層(CoCrZr合金)302上に、上記各実施例3−1〜3−20に対応する第3の下地層304を直接形成した熱アシスト磁気記録媒体(以下、比較例媒体という。)を作製した。
本実施例媒体(実施例3−1〜3−20)のX線回折測定を行ったところ、第2の下地層303に用いたCrTiB合金は、(100)配向をとっていた。また、第3の下地層304もBCC構造をとっており、且つ、(100)配向をとっていた。(200)ピークから見積もった第3の下地層304の格子定数は、何れも2.98A以上であった。磁性層306からは、強いL1−FePt(001)ピークが観察され、FePt合金が規則度の高いL1構造をとっていることがわかった。
一方、比較例媒体の第3の下地層304は、(100)配向を示さず、(110)配向を示した。また、磁性層306からは、L1−FePt(001)ピークが観察されなかった。
本実施例媒体(実施例3−1〜3−20)の保磁力(Hc)を表4に示す。
Figure 0005923324
表4に示すように、何れの実施例媒体も15kOe以上の高い保磁力を示している。これは、上述したように、磁性層306中のFePt合金が規則度の高いL1構造をとっているためと考えられる。特に、第3の下地層304にMo、Wを用いた媒体が高い保磁力を示している。
一方、第2の下地層303を形成していない比較例媒体の保磁力は、何れも10kOe以下と低かった(表4において記載せず。)。これは、第1の下地層(CoCrZr合金)302上に直接形成した第3の下地層303が(100)配向を示さなかったため、磁性層306中のFePt合金の規則度が不十分であることに起因していると考えられる。
以上により、第2の下地層303として、(100)配向したCr合金を用い、この第2の下地層303上に、格子定数が2.98A以上のBCC構造を有する第3の下地層304を形成することにより、500℃以下の基板加熱でも良好な規則度を示し、高い保磁力を示す熱アシスト磁気記録媒体が得られることがわかった。
なお、第1の下地層302の下には、ヒートシンク層として、Al、Cu、Ag等を主成分とする熱伝導率の高い合金層を形成してもよい。
(第4の実施例)
第4の実施例では、第3の下地層304に、層厚10nmのMo−20at%W(実施例4)を使用した以外は、上記図4に示す実施例媒体と同様の構成を有する熱アシスト磁気記録媒体(以下、実施例媒体という。)を作製した。また、比較例4として、第2の下地層303を形成せず、第1の下地層302上に、層厚10nmのMo−20at%Wからなる第3の下地層304を直接形成した熱アシスト磁気記録媒体(以下、比較例媒体という。)を作製した。上記以外の各層の膜厚は、上記第3の実施例の実施例媒体と同一であるが、第4の下地層(MgO)305の膜厚のみ、1〜5nmまで変化させた。
本実施例媒体(実施例4)及び比較例媒体(比較例4)の保磁力(Hc)とMgOの膜厚との関係を図5に示す。
図5に示すように、本実施例媒体(実施例4)は、比較例媒体(比較例4)の保磁力よりも高く、MgOを1nmまで薄くしても高い保磁力を維持している。これに対して、比較例媒体(比較例4)の保磁力は、MgOの膜厚が減少すると共に、保磁力が急激に低下した。第3の下地層304は、膜厚が5nmと薄いため、X線回折測定によって格子定数を見積もることは困難であった。但し、MoW合金は全率固溶系であるため、Vegard則から、Mo−20at%W合金の格子定数は、概ね3.15A程度と見積もられる。
以上により、格子定数が2.98A以上のBCC構造を有する第3の下地層304を形成することにより、その上に形成される第4の下地層(MgO)305の膜厚を5nm以下まで薄くしても、高い保磁力を示す熱アシスト磁気記録媒体が得られることがわかった。
なお、第3の下地層304には、格子定数が2.98A以上となる、VCr、VTi、MoCr、MoTi、MoV、MoMn、MoRu、MoW、MoTa、MoNb、WCr、WTi、WV、WMn、WRu、WTa、WNb、TaCr、TaTi、TaZr、TaNb、NbCr、NbTi、NbZr等を用いた場合でも、同様な効果が得られる。
(第5の実施例)
実施例5においては、上記第1〜第4の実施例において作製した熱アシスト磁気記録媒体の表面にパーフルオルポリエーテル系の潤滑剤を塗布した後、図6に示す磁気記録再生装置に組み込んだ。この磁気記録再生装置は、熱アシスト磁気記録媒体501と、熱アシスト磁気記録媒体を回転させるための媒体駆動部502と、熱アシスト磁気記録媒体501に対して記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッド503と、磁気ヘッド503を熱アシスト磁気記録媒体501に対して相対移動させるためのヘッド駆動部504と、磁気ヘッド503への信号入力と磁気ヘッド503から出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系505とから概略構成される。なお、上記磁気記録再生装置には、図6に図示されていないものの、レーザー光を発生させるレーザー発生装置と、発生したレーザー光を磁気ヘッド503まで伝達するための導波路とが配置されている。
また、上記磁気記録再生装置に組み込んだ磁気ヘッド503の構造を図7に模式的に示す。この磁気ヘッド503は、記録ヘッド601と再生ヘッド602とを備え、記録ヘッド601は、主磁極603、補助磁極604、及び両者の間に挟まれたPSIM(Planar Solid Immersion Mirror)605から構成される。PSIM605は、例えば「Jpn.,J.Appl.Phys.,Vol145,no.2B,pp1314−1320(2006)」に記載されているような構造のものを用いることができる。記録ヘッド601は、PSIM605のグレーティング部606にレーザーダイオードなどのレーザー光源607が発する波長650nmのレーザー光Lを照射し、PSIM605の先端部(近接場光発生部)から発生した近接場光NLにより熱アシスト磁気記録媒体501を加熱しながら記録を行う。一方、再生ヘッド602は、上部シールド608と下部シールド609で挟まれたTMR素子610で構成されている。
上記磁気ヘッド503により、熱アシスト磁気記録媒体501を加熱し、線記録密度1800kFCI(kilo Flux changes per Inch)で記録し、電磁変換特性を測定したところ、15dB以上の高い媒体SN比と良好な重ね書き特性が得られた。また、軟磁性合金を形成した上記第2の実施例の熱アシスト磁気記録媒体は、特に良好な重ね書き特性を示した。
なお、本実施例では、導波路と近接場光発生部を、主磁極603のリーディング側に配置したが、主磁極603のトレーリング側に配置することもできる。また、記録ヘッド601と再生ヘッド602との間に配置してもよい。
101…ガラス基板
102…第1の下地層
103…第2の下地層
104…第3の下地層
105…第4の下地層
106…磁性層
107…保護層
201…ガラス基板
202…第1の下地層
203…第2の下地層
204…第3の下地層
205…第4の下地層
206…磁性層
207…キャップ層
208…保護層
301…ガラス基板
302…第1の下地層
303…第2の下地層
304…第3の下地層
305…第4の下地層
306…磁性層
307…キャップ層
308…保護層
501…熱アシスト磁気記録媒体
502…媒体駆動部
503…磁気ヘッド
504…ヘッド駆動部
505…記録再生信号処理系
601…記録ヘッド
602…再生ヘッド
603…主磁極
604…補助磁極
605…PSIM(Planar Solid Immersion Mirror)
606…グレーティング部
607…レーザー光源
608…上部シールド
609…下部シールド
610…TMR素子
L…レーザー光
NL…近接場光

Claims (12)

  1. 基板と、
    前記基板の上に形成された下地層と、
    前記下地層の上に形成された磁性層とを備え、
    前記磁性層が、L1構造を有する合金を主成分として含み、
    前記下地層が、非晶質合金、若しくは微結晶構造を有する合金からなる第1の下地層と、Cr、若しくはCrを主成分とするBCC構造を有する合金からなる第2の下地層と、格子定数が2.98A以上のBCC構造を有する金属又は合金からなる第3の下地層と、MgOからなる第4の下地層とから構成され
    前記第3の下地層の格子定数が、前記第2の下地層の格子定数より大きいことを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
  2. 前記第1の下地層が、非磁性、若しくは磁化が100emu/cc以下のNiTa、NiTi、CoTa、CoTi、CrTa、CrTi、CoCrZr、CoCrTa合金からなることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  3. 前記第2の下地層が、Crを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Ru、Mnの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  4. 前記第2の下地層が、Crを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Ru、Mnの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、且つ、B、Si、Cの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  5. 前記第2の下地層の格子定数が、2.98A以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  6. 前記第3の下地層が、V、Mo、W、Ta、Nbの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  7. 前記第3の下地層が、V、Mo、W、Ta、Nbの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有し、且つ、Cr、Mn、Ru、Tiの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する合金からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  8. 前記第3の下地層が、Mo、若しくはWの金属からなることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  9. Co、若しくはFeを主成分とし、Ta、B、Si、Zr、Al、Cの中から選ばれる少なくとも1種の元素を含有する軟磁性合金からなる下地層が、第1の下地層と第2の下地層との間、若しくは基板と第1の下地層との間に形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  10. 前記磁性層が、L1構造を有するFePt又はCoPt合金を主成分とし、且つ、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cの中から選ばれる少なくとも1種の酸化物、若しくは元素を含有する合金からなることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  11. 前記磁性層の上に形成されたキャップ層を備え、
    前記キャップ層が、Co、Ni、若しくはFeを主成分とし、且つ、前記磁性層よりも磁気異方性が低い合金からなることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  12. 請求項1〜11の何れか一項に記載の熱アシスト磁気記録媒体と、
    前記熱アシスト磁気記録媒体を記録方向に駆動する媒体駆動部と、
    前記熱アシスト磁気記録媒体を加熱するレーザー発生部と、前記レーザー発生部から発生したレーザー光を先端部へと導く導波路とを有して、前記熱アシスト磁気記録媒体に対する記録動作と再生動作とを行う磁気ヘッドと、
    前記磁気ヘッドを前記熱アシスト磁気記録媒体に対して相対移動させるヘッド移動部と、
    前記磁気ヘッドへの信号入力と前記磁気ヘッドから出力信号の再生とを行うための記録再生信号処理系とを備えることを特徴とする磁気記録再生装置。
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