JP5730047B2 - 熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents

熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記憶装置 Download PDF

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本発明は熱アシスト磁気記録媒体、及びそれを用いた磁気記憶装置に関する。
媒体に近接場光等を照射して表面を局所的に加熱し、媒体の保磁力を低下させて書き込みを行う熱アシスト記録は、1Tbit/inchクラスの面記録密度を実現できる次世代記録方式として注目されている。熱アシスト記録を用いた場合、室温における保磁力が数十kOeの記録媒体でも、現状ヘッドの記録磁界により容易に書き込みを行うことができる。このため、記録層に10J/m台の高い結晶磁気異方性Kuを有する材料を使用することが可能となり、熱安定性を維持したまま、磁性粒径を6nm以下まで微細化できる。このような高Ku材料としては、L1型結晶構造を有するFePt合金(Ku〜7×10J/m)や、CoPt合金(Ku〜5×10J/m)等の規則合金が知られている。
磁性層に、L1型結晶構造を有するFePt合金を用いる場合、該FePt層は(001)配向をとっている必要がある。これは、下地層に適切な材料を用いることによって実現できる。特許文献1にはMgO下地層を用いることによって、FePt磁性層が(001)配向を示すことが示されている。MgOはNaCl構造をとり、格子定数は0.421nmと、L1構造のFePt合金のa軸長と近い。このため、(100)配向したMgO下地層上にFePt磁性層を形成することにより、該磁性層に(001)配向をとらせることができる。また、非特許文献1には、TiN下地層を用いることにより、FePt磁性層が(001)配向を示すことが記載されている。TiNもMgO同様、NaCl構造をとり、格子定数もMgOと近い。このため、MgOの場合と同様、FePt磁性層に(001)配向をとらせることができる。
熱アシスト磁気記録媒体においても、高い媒体SN比を得るには、磁性層中の磁性結晶粒間の交換結合を十分に低減する必要がある。このため、磁性層には、磁性結晶粒を分断するための粒界相が添加されている。粒界相としては、SiO、TiO、MgO等の酸化物やC等が用いられている。
特開平11−353648号公報
J. Vac. Sci. Technol. B 25 (6), 1892−1895 (2007)
磁性層がL1型FePt合金と、SiO、TiO、MgO等の酸化物、もしくはCからなる熱アシスト媒体は、現状の垂直磁気記録媒体に比べて反転磁界分散(SFD:Switching Field Distribution)が著しく大きい。これは、磁性結晶粒の粒径分散が大きいためである。上記、粒径分散を低減し、如何にしてSFDを低減するかが熱アシスト記録媒体のSNRを高める上で重要な課題となっている。
上記課題は、基板と、該基板上に形成された複数の下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、該下地層を、TiCとすることで解決できる。すなわち本願発明は下記に関する。
(1)基板と、該基板上に形成された下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、該下地層が、TiCであることを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
(2)前記下地層を複数層から形成し、前記TiCが、BCC構造を有する下地層の上に形成されていることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(3)前記TiCが、Cr、もしくはCrを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Mn、Ruのうちの少なくとも1種類を含有したBCC構造を有する下地層の上に形成されていることを特徴とする(2)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(4)前記TiCが、Cr、もしくはCrを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Mn、Ruのうちの少なくとも1種類を含有し、更に、B、C、Siのうちの少なくとも1種類を含有したBCC構造を有する下地層の上に形成されていることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(5)前記TiCが、BCC構造を有する第一の下地層と、前記第一の下地層の上に形成されたBCC構造を有する第二の下地層の上に形成されており、前記第二の下地層の格子定数が、0.306nm以上であることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(6)前記TiCが、B2構造を有するNiAl、もしくはRuAlからなる第一の下地層と、前記第一の下地層の上に形成されたBCC構造を有する第二の下地層の上に形成されており、前記第二の下地層の格子定数が、0.306nm以上であることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(7)格子定数が0.306nm以上である第二の下地層が、Mo、W、Ta、Nb、もしくはこれらを含有するBCC構造を有する合金であることを特徴とする(5)または(6)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(8)前記TiCが、MgO下地層の上に形成されていることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(9)磁性層がL1構造を有するFePt、もしくはCoPt合金を主成分とし、かつ、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cから選択される少なくとも一種類の酸化物、もしくは元素を含有していることを特徴とする(1)1乃至(8)の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(10)磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を回転させるための駆動部と、該磁気記録媒体を加熱するためのレーザー発生部と、該レーザー発生部から発生したレーザー光をヘッド先端まで導く導波路と、ヘッド先端に取り付けられた近接場光発生部を備えた磁気ヘッドと、該磁気ヘッドを移動させるための駆動部と、記録再生信号処理系から構成さる磁気記憶装置において、該磁気記録媒体が(1)乃至(9)の何れか1項に記載の熱アシスト媒体であることを特徴とする磁気記憶装置。
本発明により、SFDが低い熱アシスト記録媒体が実現され、これを用いた磁気記憶装置を提供することができる。
本発明の磁気記録媒体の層構成の一例を表す図である。 本発明の磁気記録媒体の層構成の一例を表す図である。 本発明の磁気記録媒体のXRD回折測定結果を表す図である。 本発明の磁気記憶装置の傾視図である。 本発明の磁気ヘッドを表す図である。
本願発明の熱アシスト磁気記録媒体は、基板と、該基板上に形成された下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、下地層をTiCとすることを特徴とする。 TiCはMgOと同様、NaCl構造をとり、格子定数は0.432nmとMgOの格子定数に近い。このため、(100)配向したTiC下地層上にL1型FePt合金からなる磁性層を形成した場合、エピタキシャル成長により該FePtは(001)配向を示す。発明者らは、種々の材料をL1型FePt合金の下地層材料として検討した結果、TiC下地層を用いることによって、FePt合金の粒径を均一化できることを見出した。
磁性層中のL1−FePt合金に(001)配向をとらせるため、TiC下地層は、(100)配向をとっている必要がある。これを実現するため、下地層を多層構造とし、TiC下地層を、Cr、もしくはCrを主成分とし、Ti、V、Mn、Mo、W、Ruのうちの少なくとも1種類を含有したBCC構造を有する合金からなる下地層上に形成することが望ましい。TiC下地層に(100)配向をとらせるために、TiC下地層の直下に形成する下地層を、以後、配向制御層と記す。配向制御層はBCC構造を有し、かつ、(100)配向をとっていることが望ましい。これは、配向制御層を、非晶質合金からなるシード層上に形成することによって実現できる。非晶質合金としては、例えばCo−50at%Ti、Co−50at%Ta、Ni−50at%Ti、Ni−50at%Ta、Cr−50at%Ti、Cr−50at%Ta等を用いることができる。また、非晶質合金層上に、配向制御層を形成する際には、150℃以上の基板加熱を行うことが望ましい。これによって、配向制御層に良好な(100)配向をとらせることができる。
配向制御層には、上記Crを主成分とした合金にB、C、Si等を添加した材料を用いても良い。上記元素を添加することにより、配向制御層の粒径を10nm以下に微細化できると同時に、粒径分布をより均一化できる。TiC下地層は、配向制御層上にエピタキシャル成長し、磁性層はTiC下地層上にエピタキシャル成長するため、配向制御層の粒径を微細・均一化することにより、磁性粒径を微細・均一化することができる。Crを主成分とする配向制御層への添加元素の添加量は、BCC構造を大幅に劣化させない範囲内であれば、特に制限はない。
配向制御層を二層構成としてもよい。第一の配向制御層(基板側)には、上述のCr、もしくはBCC構造を有するCr合金を用いることができる。また、B2構造のRuAl、NiAlを用いても良い。第二の配向制御層(TiC側)には、格子定数が0.306nm以上であるBCC構造の金属、もしくは合金を用いることができる。第二の配向制御層の格子定数を0.306nm以上とすることによって、TiC層の膜面内方向に引っ張り応力を導入し、L1構造を有するFePtの規則度を改善できる。第二の配向制御の格子定数の上限は、第一の配向制御層との格子ミスフィットが15%以下となるように設定することが望ましい。格子ミスフィットが15%を上回ると、第二の配向制御層の(100)配向が劣化するため、好ましくない。
第二の配向制御層には、具体的に、CrMo、CrW、CrTa、CrNb、VMo、VW、VTa、VNb、MoW、MoTa、MoNb、WTa、WNb、TaNb等のBCC合金を用いることが出来る。但し、上記合金のうち、Cr、もしくはVを含有する合金を用いる場合は、格子定数が0.306nm以上となるように組成を調整する必要がある。また、Mo、W、Ta、Nb等の単体金属を第二の配向制御層に用いてもよい。
TiCを(100)配向したMgO下地層の上に形成しても良い。MgOは化学的に安定で、下地層からの拡散バリア層として機能するため、金属、もしくは合金からなる下地層の上に形成した場合よりも基板温度を高く設定できる。
磁性層には、L1構造を有するFePtの他、L1構造を有するCoPtを用いることもできる。また磁性層を、磁性結晶粒を粒界相で分断した構造とする場合は、粒界相材料には、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cを用いることができる。粒界相材料の添加量は、体積比率で20体積%以上、60体積%以下が望ましい。20体積%を下回ると、粒界幅が狭くなり、磁性粒子間の交換結合を十分に低減できない。一方、60体積%を上回ると、磁性結晶粒のL1構造の規則度が低下するため、好ましくない。
磁性層の上にキャップ層を形成することができる。これにより、磁性結晶粒間に適度な交換結合を導入し、反転磁界分散(SFD)を更に低減できる。キャップ層としては、CoCrPt、CoCrPtB等のHCP合金や、NiFe、NiCr、FePt等のBCC合金、もしくはFCC合金を用いることができる。また、Co、もしくはFeを含有する非晶質合金でもよい。
Cu、Ag、Al、Au等の熱伝導率の高い材料をヒートシンク層として形成してもよい。また、上記元素を組み合わせた合金材料からなるヒートシンク層を用いることもできる。ヒートシンク層は、基板と下地層の間に形成するのが望ましい。また後述の軟磁性層を設ける場合、ヒートシンク層は軟磁性層の上下何れに設けることも可能であるが、ヒートシンク層が厚いときは、軟磁性下地層の下、薄いときは上に設けるのが望ましい。
書き込み特性を改善するため、軟磁性下地層を形成することもできる。軟磁性下地層としては、CoTaZr、CoNbZr、FeTaC、FeAlSi、CoFeTaSi、CoFeTaB、CoFeZrSi等の軟磁性合金を用いることができる。また、軟磁性下地層は、上記合金からなる単層膜でもよいし、Ruを挟んで反強磁性結合した積層膜でもよい。
(実施例1、比較例1)
図1に本実施例で作製した磁気記録媒体の層構成の一例を示す。ガラス基板101上に、4nmのSi下地層102、10nmのTiC下地層103、10nmの(Fe−50at%Pt−8at%Ag)−15mol%SiO磁性層104、3nmのDLC−C保護膜105が順次形成されている。基板には、ガラス転移温度が700℃以上の耐熱ガラス基板を用い、TiC下地層形成前に640℃の基板加熱を行った。また、比較例として、TiC下地層の代わりにMgO下地層を形成した媒体を作製した。
本実施例媒体のX線回折測定を行ったところ、TiC下地層は、NaCl構造をとっており、(200)ピークのみが観察された。また、磁性層からは、L1(001)ピーク、及び、L1(002)とFCC(200)の混合ピークが観察された。後者の混合ピーク強度に対する前者のピーク強度比は、1.9であった。このことより、磁性層中のFePtAg合金は、良好な規則度を有していることがわかる。Si下地層からは明瞭な回折ピークが確認されなかったが、断面TEM観察を行った結果、非晶質構造であることがわかった。
一方、MgO下地層を用いた比較例媒体のX線回折測定を行ったところ、MgO下地層からも(200)ピークが観察された。磁性層からは、L1(001)ピーク、及び、L1(002)とFCC(200)の混合ピークが観察されたが、後者の混合ピーク強度に対する前者のピーク強度比は1.3と、実施例媒体に比べて低かった。
実施例媒体、及び比較例媒体の保磁力を、PPMSにより7Tの磁界を印加して測定したところ、それぞれ31kOe、23kOeであった。以上より、MgO下地層の代わりにTiC下地層を用いることにより、磁性層の規則度が向上し、30kOe以上の高い保磁力を有する媒体が得られることがわかった。
(実施例2、比較例2)
図2に本実施例で作製した磁気記録媒体の層構成の一例を示す。ガラス基板201上に、Ti−50at%Al接着層202、Ag−5at%Pdヒートシンク層203、Cr−50at%Tiシード層204、配向制御層205、TiC下地層206、(Fe−50at%Pt−8at%Cu)−45at%C磁性層207、Ni−20at%Feキャップ層208、DLC−C保護膜209が順次形成されている。
基板は、ガラス転移温度が650℃以上の耐熱ガラス基板を用いた。ヒートシンク層のAg合金膜はガラスとの密着性が悪いので、ヒートシンク層と基板に間に接着層として、5nmのTiAl合金膜を形成した。ヒートシンク層上に直接配向制御層を形成すると、配向制御層が(100)配向しないため、30nmのCrTiシード層を形成し、その上に配向制御層を形成した。尚、配向制御層の形成時には、250−350℃の基板加熱を行うことが望ましい。これにより、配向制御層に良好な(100)配向をとらせることができる。配向制御層には、12nmのCr(実施例2.1)、Cr−8at%Ti(実施例2.2)、Cr−20at%Mn(実施例2.3)、Cr−40at%V(実施例2.4)、Cr−25at%Mo(実施例2.5)、Cr−20at%W(実施例2.6)、Cr−20at%Ru(実施例2.7)、Cr−10at%Ti−3at%B(実施例2.8)、Cr−20at%Mo−5at%B合金(実施例2.9)を用いた。また、TiC下地層の膜厚は2nmとした。磁性層成膜前に、550−650℃の基板加熱を行うことが望ましい。これにより、FePtCu合金のL1規則化を促進できる。本実施例では、磁性層成膜前に620℃の基板加熱を行った。
磁性層、キャップ層の膜厚は、それぞれ、10nm、4nmとした。また、DLC−Cの膜厚は3nmとした。また、比較例として、配向制御層に5nmのSi層を使用した媒体を作製した(比較例2)。
本実施例媒体のX線回折測定を行ったところ、磁性層からは、L1(001)ピーク、及び、L1(002)とFCC(200)の混合ピークが観察された。後者の混合ピーク強度に対する前者のピーク強度比は、全ての実施例において2.1以上であった。
このことより、磁性層中のFePtCu合金は、良好な規則度を有していることがわかった。尚、上記以外に磁性層からの回折ピークは観察されなかった。一方、配向制御層からは、BCC(200)ピークのみが観察された。よって、本実施例で用いた配向制御層は、全てBCC構造を有し、良好な(100)配向をとっていることがわかった。TiC下地層からは膜厚が薄いため、明瞭な回折ピークが観察されなかったが、磁性層が良好な(001)配向をとっていることから、配向制御層上にエピタキシャル成長して(100)配向をとっていると考えられる。また、CrTiシード層からも明瞭な回折ピークが観察されなかった。よって、CrTiシード層は非晶質、もしくは微結晶構造であると考えられる。
比較例媒体のX線回折測定を行ったところ、実施例媒体と同様、磁性層からは、L1(001)ピーク、及び、L1(002)とFCC(200)の混合ピークのみが観察された。但し、後者の混合ピーク強度に対する前者のピーク強度比は、1.8と、実施例媒体に比べて低かった。Si下地層からは明瞭な回折ピークが確認されなかったが、断面TEM観察を行った結果、非晶質構造であることがわかった。以上より、配向制御層にCr、もしくはBCC構造を有するCr合金を用い、該配向制御層上にTiC下地層を形成することにより、L1構造を有する磁性合金の規則度を更に高められることがわかった。
次に、本実施例媒体、及び比較例媒体の磁性層の平面TEM観察を行った。表1に、TEM像から見積もった平均粒径<D>と、平均粒径で規格化した粒径分散σ/<D>を示す。本実施例媒体の磁性層の平均粒径は5−6nmで、規格化粒径分散は0.25以下であった。一方、配向制御層にSi下地層を用いた比較例媒体の平均粒径は、5.6nmで実施例媒体とほぼ同程度であったが、規格化粒径分散は0.32と、実施例媒体に比べて著しく大きかった。これより、配向制御層にBCC構造のCr、もしくはCr合金を用いることによって、粒径分散を大幅に改善できることがわかった。配向制御層にCrTi、CrMn合金を用いた実施例2.2と実施例2.3は、規格化粒径分散が特に小さかった。よって、配向制御層にCrTi、CrMn合金を用いることは、粒径均一化を図る上で有効であることがわかった。また、配向制御層にホウ素を添加した実施例2.8と実施例2.9は、平均粒径が特に小さかった。よって、ホウ素を含有した配向制御層とTiC下地層を組み合わせることによって、磁性結晶粒を微細化できることがわかった。
Figure 0005730047
表2に、本実施例媒体、及び比較例媒体の保磁力Hc、及び保磁力分散ΔHc/Hcを示す。ここで、HcはPPMSにより、7Tの磁界を印加して測定した。また、ΔHc/Hcは、「IEEE Trans. Magn., vol.27, pp4975−4977, 1991」に記載の方法で測定した。具体的には、メジャーループ、及びマイナーループにおいて、磁化の値が飽和値の50%となるときの磁界を測定し、両者の差分から、反転磁界分布がガウス分布であると仮定してΔHc/Hcを算出した。ΔHc/Hcは、反転磁界分布の半値幅に相当するパラメーターであり、この値が低いほど、SFDが狭くなり、良好な媒体SNRが得られる。本実施例媒体は、何れも19kOe以上の高いHcと、0.33以下の低いΔHc/Hcを示した。特に、配向制御層にCrMo合金、及びCrW合金を用いた実施例2.5と実施例2.6が高いHcを示した。また、規格化粒径分散が特に小さかった実施例2.2と実施例2.3のΔHc/Hcが特に低かった。一方、比較例媒体のHcは、実施例媒体とほぼ同等であったが、ΔHc/Hcは著しく大きかった。以上より、配向制御層にCr、もしくはCr合金を用いることによって、ΔHc/Hcが低い熱アシスト媒体が得られることがわかった。
Figure 0005730047
(実施例3)
実施例2と同一構成で、配向制御層を2種類のBCC合金からなる二層構造とした媒体を作製した。CrTiシード層の上に設ける第一の配向制御層(基板側)に、8nmのCrを使用し、第二の配向制御層(磁性層側)に、6nmのCrMo合金を使用しMo濃度を20at%から100at%(純Mo)まで変化させた。配向制御層以外の層構成、成膜プロセスは、実施例2と同様である。
XRD回折測定を行ったところ、上部、下部いずれの配向制御層からもBCC(200)ピークのみが観察された。磁性層からも、実施例2と同様、L1(001)ピーク、及び、L1(002)とFCC(200)の混合ピークが観察された。L1−FePt(200)ピークとFCC−FePt(200)ピークの混合ピークに対する、L1−FePt(001)ピーク強度比を、第二の配向制御層とTiC下地層の格子ミスフィットの関数として図3にプロットした。ここで、格子ミスフィットは、第二の配向制御層の格子定数aと、TiC下地層の格子定数aTiCから、格子ミスフィット=(√2×a−aTiC)/ aTiC(%)として算出した。aは、第二の配向制御層からのBCC(200)ピークからBraggの式を用いて算出し、aTiCは文献値から0.324nmとした。
ピーク強度比は、ミスフィットの増加と共に増加しており、ミスフィットが正の値になると大幅に高い値を示している。これより、ミスフィットを正の値にすることにより、L1−FePt合金の規則度を大幅に高められることがわかった。第二の配向制御層にBCC構造のCr合金を用いる場合、ミスフィットを正の値にするには、第二の配向制御層の格子定数を概ね0.306nm以上にする必要がある。この場合、Crに原子半径の大きな元素を大量に添加する必要がある。例えば、Mo添加の場合、Mo添加量は概ね65%以上となる。このため、第二の配向制御層は、Cr、もしくは添加元素の含有量の少ないCr合金からなる第一の配向制御層上に形成するのが望ましい。添加元素を大量に含有するCr合金からなる第二の配向制御層を、第一の配向制御層を形成せず、直接CrTiシード層上に形成すると(100)配向性が低下するため望ましくない。
TiC下地層との格子ミスフィットが正になるのであれば、第二の配向制御層の材料は特に制限しない。具体的には、CrMo、CrW、CrTa、CrNb、VMo、VW、VTa、VNb、MoW、MoTa、MoNb、WTa、WNb、TaNb等のBCC合金を用いることが出来る。
上記BCC合金の組成は、格子定数が0.306nm以上であれば特に制限はない。但し、第一の配向制御層とのミスフィットは、概ね15%以下とすることが望ましい。第一の配向制御層とのミスフィットが15%を上回ると、エピタキシャル成長が阻害され、第二の配向制御層の(100)配向が劣化するので好ましくない。また、第二の配向制御層にはMo、W、Ta、Nb等の単体金属を用いても良い。
第一の配向制御層の材料も特に制限はないが、BCC構造のCr合金を用いる場合は、Crへの添加元素の含有量は30%以下が望ましい。30%を上回ると、第一の配向制御層の(100)配向が劣化するので好ましくない。また、第一の配向制御層にB2構造のNiAl、RuAlなどを用いても良い。
(実施例4)
実施例2で示した媒体(実施例媒体2.1〜2.9)にパーフルオルポリエーテル系の潤滑剤を塗布したのち、図4に示した磁気記憶装置に組み込んだ。本磁気記憶装置は、磁気記録媒体401と、磁気記録媒体を回転させるための駆動部402と、磁気ヘッド403と、ヘッドを移動させるための駆動部404と、記録再生信号処理系405から構成される。図5に磁気ヘッドの詳細を示す。ヘッドは、主磁極501、補助磁極502、磁界を発生させるためのコイル503、レーザーダイオード(LD)504、LDから発生したレーザー光505を近接場発生素子506まで伝達するための導波路507から構成される記録ヘッド508、及びシールド509で挟まれた再生素子510から構成される再生ヘッド511からなる。近接場光素子から発生した近接場光により媒体512を加熱し、媒体の保磁力をヘッド磁界以下まで低下させて記録できる。また、LD、導波路、近接場発生素子からなる加熱機構513を主磁極と補助磁極の間に配置しても良い。但し、この場合、主磁極のリーディング側を加熱する必要があるため、媒体の進行方向は図とは逆に右側となる。
表3に1400kFCIの信号を記録し、記録再生特性を評価したときのSNRとオーバーライト特性OWを示す。ここで、記録時のLDパワーは、トラックプロファイルの半値幅と定義した記録トラック幅が75nmとなるように調整した。実施例媒体はいずれも15dB以上の高いSNRと、30dB以上の高いOWを示した。中でも、ΔHc/Hcが特に小さかった実施例媒体2.2、実施例媒体2.3が16dB以上の高いSNRを示した。また、実施例媒体2.6、実施例媒体2.7が特に高いOW特性を示した。よって、OW特性を上げる場合は、CrV、CrRu下地層上にTiC下地層を形成することが望ましいことがわかった。
Figure 0005730047
101…ガラス基板
102…Si下地層
103…TiC下地層
104…磁性層
105…DLC保護膜
201…ガラス基板
202…TiAl接着層
203…AgPdヒートシンク層
204…CrTiシード層
205…配向制御層
206…TiC下地層
207…磁性層
208…キャップ層
209…DLC保護膜
401…磁気記録媒体
402…媒体駆動部
403…磁気ヘッド
404…ヘッド駆動部
405…記録再生信号処理系
501…主磁極
502…補助磁極
503…コイル
504…半導体レーザーダイオード
505…レーザー光
506…近接場光発生部
507…導波路
508…記録ヘッド
509…シールド
510…再生素子
511…再生ヘッド

Claims (8)

  1. 基板と、該基板上に形成された複数の下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、前記下地層が、NaCl構造をとり(100)配向したTiC下地層を含み、前記TiC下地層が、Cr、もしくはCrを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Mn、Ruのうちの少なくとも1種類を含有したBCC構造を有する下地層の上に接して設けられ、前記TiC下地層の上に前記磁性層が(001)配向をとってエピタキシャル成長していることを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
  2. 前記Cr、もしくはCrを主成分とし、Ti、V、Mo、W、Mn、Ruのうちの少なくとも1種類を含有したBCC構造を有する下地層が、更に、B、C、Siのうちの少なくとも1種類を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  3. 前記BCC構造を有する下地層は、BCC構造を有する第一の下地層と、前記第一の下地層の上に形成されたBCC構造を有する第二の下地層とからなり、前記第二の下地層の格子定数が、0.306nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  4. 前記TiC下地層が、B2構造を有するNiAl、もしくはRuAlからなる第一の下地層と、前記第一の下地層の上に形成された前記BCC構造を有する下地層である第二の下地層の上に接して設けられ、前記第二の下地層の格子定数が、0.306nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  5. 格子定数が0.306nm以上である第二の下地層が、Mo、W、Ta、Nb、もしくはこれらを含有するBCC構造を有する合金であることを特徴とする請求項3または4に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  6. 前記TiC下地層が、MgO下地層の上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  7. 磁性層がL1構造を有するFePt、もしくはCoPt合金を主成分とし、かつ、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cから選択される少なくとも一種類の酸化物、もしくは元素を含有していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  8. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を回転させるための駆動部と、該磁気記録媒体を加熱するためのレーザー発生部と、該レーザー発生部から発生したレーザー光をヘッド先端まで導く導波路と、ヘッド先端に取り付けられた近接場光発生部を備えた磁気ヘッドと、該磁気ヘッドを移動させるための駆動部と、記録再生信号処理系から構成さる磁気記憶装置において、該磁気記録媒体が請求項1乃至7の何れか1項に記載の熱アシスト媒体であることを特徴とする磁気記憶装置。
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