JP2004326889A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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    • G11B5/7369Two or more non-magnetic underlayers, e.g. seed layers or barrier layers

Abstract

【課題】1平方インチあたり70ギガビット以上の超高密度記録が可能な大容量の面内磁気記録媒体を安価に提供する。
【解決手段】本発明の面内磁気記録媒体は,非磁性基板上に第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層,磁性層が順次形成された面内磁気記録媒体において,第二シード層には少なくともAlと,RuもしくはReのいずれか一方を含ませた材料を用い,第一下地層には少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含ませた材料で構成される。さらに,第二シード層をCr,もしくはCrと構成元素群A:Ti,Mo,Wから選ばれた少なくとも1種の元素を含むCr合金で構成することも可能である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,磁気ドラム,磁気テープ,磁気ディスク,磁気カード等の面内磁気記録媒体及び磁気記憶装置に係り,特に1平方インチあたり70ギガビット以上の超高密度記録に適した面内磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のインターネットの普及により,パソコンの出荷台数の伸びと共に,磁気ディスク装置の需要が伸びている。インターネットへの接続はパソコンだけでなく,携帯端末からも可能であるが,携帯端末自体にさらなる利便性を追求するためには,磁気ディスク装置を内蔵させることが不可欠であり,将来的にはこちらの分野での需要も伸びることが予想される。また,テレビ放送のディジタル化を間近に控え,磁気ディスク装置を録画装置として用いる動きが本格化している。このように,磁気ディスク装置の利用分野は益々拡大しているが,ユーザからはさらなる小型・大容量化が求められている。
【0003】
磁気ディスク装置の高記録密度化には,面内磁気記録媒体の低ノイズ化が有効な手段であり,これを実現するためには磁性結晶粒の微細化が極めて重要である。しかし,磁性結晶粒の微細化によって,結晶粒の体積が極端に小さくなると,常温においても熱エネルギーの影響を相対的に受けやすくなり,記録した磁化が時間と共に次第に減衰する。この現象を一般に磁化の熱揺らぎと呼ぶ。熱揺らぎの耐性を示す指標として,Ku・v/kTが用いられる。これは磁性体の異方性エネルギーKuと磁性結晶粒の体積vの積が,室温のエネルギーkTの何倍であるかを示すものである。この値が大きなほど熱的に安定となる。Ku・v/kTの測定には様々な手法があるが,本発明の実施例においてはレマネンス保磁力(Hr)の時間依存性から求めた。
【0004】
記録した情報が消えてしまっては,記憶装置としての性能を満足できないため,これに対処するため,(特許文献1)に記載される構造の媒体が考案されている。
【0005】
この構造の媒体は一般にAFC媒体と呼ばれており,磁性層をRu等の中間層を介して少なくとも二層としている。外部から磁界が印加されていない状態では,上部磁性層と下部磁性層はRuを介して反強磁性的に結合している。すなわち,上層と下層とでは磁化の向きが反平行となっている。このような特異な磁気的結合は,Ruの膜厚を最適化することで実現する。また,媒体ノイズは磁化遷移領域に生ずる反磁界が小さいほど小さくなるため,媒体の残留磁束密度と磁性膜厚の積(Brキt)を小さくすればよい。AFC媒体では上層と下層の磁性層が反強磁性的に結合しているため,実効的なBrキtは上下の磁性層の差分となる。したがって,AFC媒体では磁性結晶粒の体積を極端に小さくすることなく,Brキtを低減できるため,熱揺らぎ耐性を確保して媒体ノイズを小さくすることができる。
【0006】
最近,磁気ディスク媒体の基板としてガラスが用いられることが多くなってきた。ガラス基板を用いる場合,その上に形成するシード層材料が磁性層の結晶配向性を制御する上で重要な役割をする。一般的な面内磁気記録媒体では,磁性材料の主成分としてhcp結晶構造を有するCoを用いる場合が多く,その磁化容易軸はc軸方向である。面内磁気記録媒体で耐熱揺らぎ性能を確保し,かつ,記録密度を向上させるためには,磁化容易軸を膜面内に強く配向させることが特に重要である。hcp構造を有する磁性層のc軸を強く面内配向させるシード層(基板上に直接形成させる)材料として,(特許文献2)と(特許文献3)ではTiAlが提案されている。
【0007】
(特許文献2)に開示されている媒体構成は,基板上にTiAlを形成し,この上に直接,もしくはCrあるいはCr合金からなる下地膜を介して磁性膜を形成するというものである。
【0008】
(特許文献3)で開示されている媒体もほぼ同様である。但し,(特許文献3)ではTiAlが基板上に直接形成されない実施例が開示されている。例えば,実施例1(3頁(0014)〜4頁(0021))には,Cr系下地層 / TiAl下地層 / Cr−Xシ−ド層 / NiP層 / 基板という媒体構成が開示されている。さらに,実施例3(5頁(0036))には磁性膜 / CoCr層 / Cr系中間層 / TiAl下地層 / B2構造シ−ド層 / 基板という構成が開示されている。
【0009】
また,TiAl,CrTa,AlTaシード層の上にRuAlシード層を形成した二層シード層の例が(特許文献4)に開示されている。(特許文献4)に開示される媒体では,RuAlシード層の上に設ける下地層としてCrTiが開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−56924号公報(4頁(0013)〜(0016))
【特許文献2】
再公表特許 WO00/60583(4頁 5〜13行,図3)
【特許文献3】
特開2001−143250(5頁(0041))
【特許文献4】
US 2001/0018136(3頁(0027),Table1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
記録媒体を上述のごときAFC構造とし,さらに,磁性膜の磁化容易軸を膜面内に強く配向させることで,耐熱揺らぎ性能と高密度記録特性を兼ね備えた媒体の実現を試みた。我々の検討によると,磁気ディスク装置としての性能を保証,特に,熱揺らぎの影響による記録情報の劣化を防ぐためには,Ku・v/kTの値を70以上にする必要がある。(特許文献4)に開示されるようなRuAlを用いた二層シード層について検討したところ,磁性膜の配向性が向上し,充分な熱揺らぎ性能が得られることが確認された。Ku・v/kT は第一シード層材料とRuAlシード層の膜厚に強く依存し,RuAlシード層厚を少なくとも12nm以上にする必要があることがわかった。しかしながら,Ru元素は非常に高価な材料であり,Alとの元素比で約1:1も含むことになるため,媒体の原価が著しく上がってしまうといった問題が発生した。また,RuAlシード層を厚く形成するためには,スパッタリングでは投入電力を大きくする必要があるが,この場合,発塵が多く,欠陥が多いという問題が発生した。
【0012】
本発明の目的は,耐熱揺らぎ性能を確保した上で高密度記録を実現し,さらには欠陥数が少ない面内磁気記録媒体を安価に提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は,非磁性基板上に第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層,磁性層が順次形成された面内磁気記録媒体において,第二シード層には少なくともAlと,RuもしくはReのいずれか一方を含ませた材料を用い,第一下地層には少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含ませた材料とすることで実現する。
【0014】
このとき,磁性層はAFC構造とすることが好ましく,この場合,中間層はRu,Cr,Rh,Ir,Cu,もしくはこれらの合金で構成し,下部磁性層と上部磁性層は反強磁性的に結合させている。また,AFC構造以外の磁性層構造でも本発明は実現できる。
【0015】
第一シード層として用いる最適な材料のひとつはTiAlである。TiとAlの元素比を1:1の近傍とすることが,この上に形成する第二シード層の配向性を制御する上で好ましい。TiAlの構造は形成方法によって異なる。TiAl形成後も基板温度を比較的長い時間高温に保つとL10型の結晶質となる。一方,基板温度を比較的短時間で下げると微結晶,あるいは非晶質となる。本発明の実施形態においては,一枚当たりの作製時間が短い量産設備を用いた。この場合は基板温度を比較的急速に冷却させるため,TiAlは微結晶,あるいは非晶質となった。バッチ式のスパッタ装置を使った際は結晶質の膜ができた。これらの結果から,TiAlの構造によって磁性膜の配向性が変わらないことを確認しており,TiAlという材料を用いることが重要である。また,TiAlにBを添加したものも検討したが,その構造的な変化を明確にすることはできなかったが,媒体ノイズが僅かに減少する傾向が認められた。TiAlの組成を1:1から外した範囲(35at.%以上65at.%以下,Alを35at.%以上65at.%以下)についても検討も行ったが,構造的にもノイズにも差は認められなかった。以上のことから,TiAlをシード層として用いる場合には,第三元素の添加も考慮してTiを35at.%以上65at.%以下,Alを35at.%以上65at.%以下とすることが好ましい。TiやAlの組成がこの範囲から外れると,TiあるいはAlが単独で形成する粒子が存在する,所謂偏析構造となるため好ましくない。この理由によって,TiとAl組成の上限及び下限が設定される。
【0016】
また,第一シードには少なくともCrと,Ti,Taのいずれか一方もしくは両方を含む材料を用いても良い。具体的にはCrTi,CrTa,CrTiTa,及びこれらに添加元素を加えたものである。全ての材料で共通に含まれる元素はCrであるが,その濃度を35at.%以上70at.%以下とすることが,この上に形成する第二シード層の配向性を制御する上で好ましい。
【0017】
第二シード層としてB2型の結晶構造を有するRuAl,もしくはReAlを用いることが重要である。RuとAl,ReとAlの元素比はいずれも1:1の近傍であることが好ましい。しかし,これらの組成比を1:1の近傍から外すことで結晶粒が微細化することもあり,必ずしも1:1である必要はない。また,結晶粒径微細化を目的とした第三元素の添加も可能である。本発明では主たる組成がRuとAl,もしくはReとAlであることが重要であり,第三元素の種類や濃度は問わない。但し,第二シード層の結晶性を損ねると磁性層の結晶配向性が劣化するため,B2構造である必要があり,そのためには他の元素添加は10at.%以下とすることが望ましい。以上のことを考慮すると,第二シード層はRuもしくはReのいずれか一方を35at.%以上65at.%以下とし,Alを35at.%以上65at.%以下とすることが好ましい。この組成範囲を外れると,第二シード層のB2構造の結晶性が低下し,結果として磁性層の結晶配向性が劣化する不具合が生じる。
【0018】
第二シード層のAlと並ぶ主成分であるRu,あるいはReはいずれも非常に高価な材料である。コストの問題に限れば,第一下地層をなくして第二シード層を厚くすれば良い。これらの材料を用いたシード層の特徴は,結晶粒が微細であり,かつ,結晶成長初期の段階から(100)優先配向していることである。また,シード層は,その膜厚を増すに従い次第に結晶粒径が大きくなるが,RuまたはReを用いたシード層は,一般に下地膜等に用いられるCr合金に比べると肥大化の程度が小さく,低ノイズ,かつ,熱揺らぎ耐性に優れた媒体が実現できる。熱揺らぎ耐性が確保できる結晶粒径にするためには,第二シード層厚を少なくとも12nm以上にする必要がある。しかし,本発明の目的の一つは安価な媒体を提供することであり,そのためには第二シード層厚を薄くする必要があり,少なくとも10nm以下であることが好ましい。さらに,5nm以下とすることが特に好ましい。膜厚の下限としては,0.3nm未満では第一シード層の配向制御が困難となることから,0.3nm以上とする必要がある。
【0019】
また,RuAlやReAlの第二シード層を厚くするには,スパッタリングの投入電力を多くするため発塵が増加し,欠陥数が増える。このため,欠陥数を低減するためにもRuAlやReAlを薄くする必要があり,少なくとも10nm以下であることが好ましい。RuAlやReAlで発塵が多い理由として,高融点元素であるRu,Reと,低融点のAlからなる化合物材料であることが原因と推察される。本発明では,RuAlやReAlの第二シード層の膜厚を5nm以下(0.3nm以上)とすることで,発塵による影響を大幅に低減することができ,媒体の製造上の歩留まりを飛躍的に向上させることができる。
【0020】
第一下地層はB2構造を有するCoAl,CoTi,NiAl,NiTi,または,L21構造を有するCoAlTi,NiAlTiとすることが,本発明の最も重要なポイントの一つである。RuAl,あるいはReAlからなる第二シード層によって,第一下地層は(100)が優先配向する。また,第二シード層によって結晶のひな形ができるため,第二シード層がない場合に比べて第一下地層の結晶性は向上する。さらに,第二シード層の結晶粒が微細なため,第一下地層の初期の結晶粒も小さくなる。第一下地層に求める性能としては,第二シード層と同様に,膜厚による粒径制御が容易で,異常な粒成長が起こらないことである。様々な材料の検討を行った結果,第二シード層の有する優先配向面の制御や結晶性の制御の容易さ,第一下地層自体の膜厚による粒径制御の容易さを兼ね備える材料はかなり限定され,上述した材料が好適であることが判明した。第一下地層にも結晶性を損なわない程度に他の元素添加が可能である。それを踏まえた上での組成は次の通りである。B2結晶構造を有する材料の場合には,CoあるいはNiを40at.%以上60at.%以下,AlあるいはTiを40at.%以上60at.%以下とする必要がある。L21型結晶構造を有する材料の場合には,CoあるいはNiを30at.%以上60at.%以下,Alを20at.%以上30at.%以下,Tiを20at.%以上30at.%以下とする必要がある。各元素の組成が上記範囲内でないとB2構造又はL21構造が崩れ,結晶性の低下を招き,磁性層の磁化容易軸の面内配向性が劣化する。
【0021】
第二下地層は第一下地層までの良好な結晶配向性をそのまま磁性層に反映させ,第一下地層と磁性層との格子のミスマッチを解消して,磁性層の配向性を高めることを目的に設ける。したがって,第二下地層に求められる性能は,結晶性が良いことと,組成による格子定数の調整が容易なことである。第二下地層と好適な材料はCr合金であり,従来から使用されているものをそのまま使用できる。具体的な材料としては,CrTi,CrV,CrMo,CrW,あるいはこれらのCr合金にB元素を添加したものである。本発明の媒体では,材料の組み合わせを限定し,第一下地層まで微細な結晶粒径を保っているため,第二下地層を形成することで粒径が肥大化しては意味がない。このためには, 第二下地層を極力薄くし,2nm以上10nm以下とすることが好ましく,特に,2nm以上5nm以下とすることが望ましい。2nmより薄くすると,格子整合による磁性層の配向制御膜として機能せず,10nmを超えると,粒径が著しく肥大化し,好ましくない。
【0022】
さらに,上記の目的は,非磁性基板上に第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層,磁性層が順次形成された面内磁気記録媒体において,第二シード層をCr,もしくはCrと構成元素群A:Ti,Mo,Wから選ばれた少なくとも1種の元素を含むCr合金で構成し,第一下地層を少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含む構造としても実現できる。
【0023】
この媒体構造と先に説明した媒体との違いは,第二シード層に用いる材料が異なる点である。この構造の媒体では,第二シード層としてCr,もしくはCr合金を用いる。Cr合金の構成元素はかなり限定されており,構成元素群A:Ti,Mo,Wから選ばれた少なくとも1種の元素を含む組成である。先に述べたように,Cr系の材料は膜厚を厚くすると結晶粒が著しく肥大化する。しかし,(100)が優先配向するため,磁性膜の配向性は良好である。そこで,第二シード層を非常に薄くし,粒成長が起こる前に膜形成を止めてしまえば良い。これには,第二シード層の膜厚を7.5nm以下とすることが好ましい。さらに,2.5nm以下とすることが,粒成長を抑え媒体ノイズを低減する上で特に好ましい。このような極薄膜でも(100)配向が強いCr合金はその組成が限定され,上述した材料のみが選ばれた。
【0024】
以上,本発明の第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層の媒体構成,各層の組成に関して詳細に説明した。磁性層の構成はAFC媒体であることが好ましいが,本発明の第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層を用いることで,充分なKu・v/kTを得られるのであれば,磁性層を単層としても構わない。
【0025】
磁性層をAFC媒体の構成とする場合の例を次に示す。上部磁性層と下部磁性層に用いる磁性材料は特に限定されないが,下部磁性層は少なくとも70at.%以上のCoを含むことが望ましい。これは,下部磁性層の役割として,上部磁性膜のBr1・t1の一部を下部磁性層のBs2・t2でキャンセルし,媒体としてのBr・tを小さくするためである。この際,下部磁性層のCo濃度を低くすると,Bs2が小さくなり,下部磁性層の膜厚を厚くしないとキャンセル量が少なくなってしまう。下部磁性層の膜厚を厚くすると,結合磁界(Hx)が小さくなり,結晶粒の肥大化につながり好ましくない。そのため,下部磁性層のCo濃度は70at.%以上とすることが好ましい。下部磁性層への添加元素としては,Cr,Pt,C,B,Si,Ta,Ti,Nbなどが結晶粒を微細化する上で好ましい。また,上部磁性層に関しては,実際に情報の記録を担う層であることから,少なくとも15at.%以上25at.%以下のCrと,4at.%以上23at.%以下のPtを含むことが媒体の高保磁力,低ノイズ化する上で好ましい。さらに,C,B,Si,Ta,Ti,Nbから選ばれた元素の少なくとも1種を0.5at.%以上12at.%以下含むことが,低ノイズ,かつ,高保磁力を実現する上で好ましい。特に,C,B,Si,Taは磁性膜中においてCrの結晶粒界への偏析を促進させる効果があり好ましい。磁性膜組成の内,少なくともCoは54at.%以上である必要がある。Co濃度が54at.%以下となると残留磁束密度の低下が著しく,媒体から漏洩する磁束が減少し,磁気ヘッドでの信号の読み出しが困難となる。
【0026】
本発明の媒体は,基本的には従来の技術で述べたAFC媒体を改良したものである。上部磁性層と下部磁性層を反強磁性的に結合させる中間層としては,Ru,Cr,Rh,Ir,Cu,もしくはこれらの合金からなる材料とすることが良く知られている。したがって,本発明の媒体もAFC構造とすることから,これらの材料を用いることが望ましい。
【0027】
また,AFC媒体のさらなる低ノイズ化の手段としては,上部磁性層を多層化することが有効である。上部磁性層を複数の磁性層によって構成し,その間に非磁性材料からなる中間層を挿入する。この場合,熱減磁耐性が劣化するため,通常のAFC媒体の上部磁性層よりも厚くする必要がある。多層化した上部磁性層の間に設ける中間層の材料には,磁性層のエピタキシャル成長が損なわれない非磁性材料であれば,材質は特に問わない。例えば,AFC媒体の中間層として用いられるRu,Cr,Rh,Ir,Cu,もしくはこれらの合金からなる材料としても良い。あるいは,第二下地層に用いられるCr合金,従来からよく知られている非磁性CoCrやCoRu合金などを用いても構わない。
【0028】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕
初めに,第一シード層と第二シード層の最適な組み合わせを見つけるための検討を行った。ここで検討した面内磁気記録媒体の断面図を図2に示す。層構成は以下の通りである。なお,各層は全てDCマグネトロンスパッタリング手法にて形成し,各層は独立したスパッタリングチャンバにて形成できる,所謂枚葉式のスパッタリング装置を用いた。主たるスパッタガスとしてArを用いた。
【0029】
外径65mmφのガラス基板10上に,Ti−52at.%Alからなる第一シード層11を30nm形成する。次いで,シード層11の表面を赤外線ランプで300℃まで加熱した後,各種材料による第二シード層12を30nm形成した。第二シード層12の上にはCr−20at.%Moからなる第二下地層14を5nm形成した。さらにこの上に,Co−19at.%Cr−8at.%Ptからなる下部磁性層15を形成し,Ru中間層16を0.6nm程度形成し,続いてCo−18at.%Cr−13at.%Pt−8at.%Bからなる上部磁性層17を15.5nm形成し,最後に窒素を含有したC保護膜18を3.5nm形成した。
【0030】
第二シード層12の材料として,Co−25at.%Al−25at.%Ti,Co−25at.%Al−25at.%Nb,Co−25at.%Al−25at.%Zr,Co−25at.%Al−25at.%Ta,Ni−25at.%Al−25at.%Ti,Ni−25at.%Al−25at.%Nb,Ni−25at.%Al−25at.%Zr,Ni−25at.%Al−25at.%Ta,Ru−50at.%Alを用いた場合の結果を一例に説明する。第二シード層12の材料の違いによる結晶配向性の変化を図3に示す。この図から明らかなように,第二シード層12にRu−50at.%Alを用いた場合にのみ,CoCrPtB(11.0)の回折強度が著しく強く,磁性膜の面内配向性が良好であることがわかる。他の材料ではCoCrPtB(11.0)が確認できるものもあるが,Ru−50at.%Alに比べると配向性が極めて弱い。
【0031】
Ru−50at.%Alはそれ自身の(100),(200)回折が明確であり,優れた結晶性を有していると言える。図3では示さなかったが,第二シード層12としてRe−50at.%Alを用いた場合にも,Ru−50at.%Alと同様な結果が得られた(R/W特性を後で示す)。一方,他の材料では明確な第二シード層12の回折ピークが確認できず,結晶性が悪いと考えられる。これと同様な結果は,Co−50at.%Ti,Co−50at.%Al,Ni−50at.%Ti,Ni−50at.%Al,Fe−50at.%Ti,Fe−50at.%Al,Fe−50at.%V,Mn−50at.%Vを用いた場合にも得られた。すなわち,Ru−50at.%AlとRe−50at.%Al以外は良好な結果が得られなかった。
【0032】
第二シード層12として検討した材料はすべてbcc構造を基本とした金属間化合物であり,B2構造,あるいはL21構造を有するものである。様々な文献を調査した結果,Alと混合させることでB2構造となる元素は,VIII族元素(Fe,Co,Ni,Ru,Rh, Pd,Os,Ir,Pt)とReである。Alは単体元素ではfcc構造を有しており,RuとReは単体元素では共にhcp構造を有する材料である。CoとNiも温度によってはhcp構造を取りうるが,別な温度ではfcc構造に変態する。これらの元素の中では,Ru,Re,Osだけが全温度領域に渡ってhcp構造だけを取りうる。fcc(Al)とhcp(Ru,Re,Os)の化合物からなるB2構造材料を用いた場合に,結晶性に優れた第二下地層として最適な材料になると考えている。但し,Osは非常に毒性が強い元素であり,工業生産に適さないことから検討対象としなかった。また,RuとReは融点がそれぞれ2334℃,3186℃と高く,このことも結晶性に影響している可能性がある。高融点材料は結晶粒を微細化することが多く,この面からも最適な材料と考えている。以上の理由から,Alと,RuあるいはReからなる材料だけを第二シード層12として用いることができる。
【0033】
次に,図2に示す媒体構造のまま,第二シード層12に良好な配向性が得られたRu−50at.%Alを用い,第一シード層11の材料を変える検討を行った。第一シード層11としてCr−35at.%Ti−10at.%Ta,Cr−40at.%Ti−5at.%Ta,Ti−52at.%Al,Ti−50at.%Al−5at.%Bを用いた場合の保磁力(Hc),Ku・v/kT,S/Nを図4に示す。ここで,S/Nは377kFCIの信号を記録し,そのときの再生出力をノイズ(システム系ノイズと媒体ノイズを合わせたノイズ)で割ったものである。1平方インチあたり70ギガビット以上の記録密度を実現するためには,再生特性上19dB以上のS/Nが必要とされる。また,磁気ディスク装置として熱減磁を保障するためには,Ku・v/kTは70以上である必要がある。
【0034】
図4に示す結果から,CrTiTa系,TiAl系での違いはあるが,それぞれの材料系の中では組成の微妙な違いによる差はほとんど認められない。S/Nに関してはすべての媒体が仕様を満たしている。しかし,Ku・v/kTの仕様を満たすためには,CrTiTa系の場合にはRuAl第二シード層厚を20nm以上,TiAl系の場合には12.5nm以上とする必要があることがわかった。ここでは,第一シード層11としてCrTiTa,TiAlの結果を一例として示したが,CrTi,CrTaを用いても同様な結果が得られ,S/NとKu・v/kTの値はCrTiTaと良く似た値であった。しかし,Cr,NiTa,Ta,CoCrZr,NiCrZrを第一シード層として用いた場合には,S/Nが著しく悪く,好ましくない材料であることがわかった。これらの材料では第二シード層の結晶粒が著しく肥大化してしまうと考えられる。以上より,第一シード層11としては,Crと,Ti,Taのいずれか一方もしくは両方を含む材料,またはTiAl系の材料とする必要がある。
【0035】
RuAl RuAlの第二シード層12の膜厚と欠陥数の関係を調べた結果を図5に示す。第一シード層11に30nmのTi−50at.%Al−5at.%B を用い,第二シード層12にはRu−50at.%Alを用いた。それ以外の構造は図2と同様である。グラフの縦軸は記録再生ヘッドを用い,トラック方向の長さ0.1μm以上にわたって再生出力が80%以上減少している領域をひとつの欠陥としてカウントし,面あたりの欠陥数を調べた結果である。RuAlの膜厚の増加に伴い,欠陥数が増加することがわかる。十分な再生出力を得るためには,欠陥数は面あたり100個以下にする必要があり,そのためにはRuAlの第二シード層12の膜厚を10nm以下にする必要がある。また,第二シード層12の膜厚を5nm以下とすると,更に大幅な欠陥数の低減を実現することができるため,RuAlの膜厚は5nm以下(0.3nm以上)とすることがより好ましい。第二シード層12としてRe−50at.%Alを用いた場合にも同様な結果が得られ,膜厚は10nm以下にする必要があることがわかった。
【0036】
また,RuやReは非常に高価な材料であるため,媒体の原価を下げる上でも,第二シード層12を薄くすることが好ましい。そこで,第二シード層12の膜厚を薄くし,その代わりに安価な材料からなる第一下地層13を設けることを検討した。第一下地層13としては,Cr合金等のbcc構造を有する材料よりも,bcc構造を基本とする金属間化合物とした方が,膜厚を厚くしても結晶粒が微細であるため好ましい。本発明の基本的構造を有する媒体の断面図を図1に示す。先に説明した図2の膜構成との違いは,第二シード層12と第二下地層14との間に第一下地層13を設けたことである。
【0037】
第一下地層としてCo−50at.%Ti,Co−25at.%Al−25at.%Ti,Ni−25at.%Al−25at.%Ti,Co−25at.%Al−25at.%Ta,Ni−25at.%Al−25at.%Taを用いた場合のHc,Ku・v/kT,S/Nを図6に示す。ここでは,第一下地層厚を30nmに固定し,第一シード層には30nmのTiAlを用い,RuAl第二シード層の膜厚を変化させた。また,比較例として,第一下地層を設けずにRuAl第二シード層を厚くした場合のデータも示す(図中×印のグラフ)。比較例の媒体構成では,RuAl第二シード層厚を12.5nm以上としなければ,Ku・v/kT,S/Nを満足できていない。しかし,第一下地層13をCoTi,CoAlTi,NiAlTiとした場合には,RuAl第二シード層12の膜厚を薄くしてもKu・v/kT,S/Nの仕様を満たしていることが分かる。一方,CoAlTa,NiAlTa第一下地層は,Ku・v/kTの仕様は満たすが,S/Nの仕様を満たしていない。
【0038】
第二シード層12の膜厚に関し,厚さの上限は欠陥数とコストの面から制限され,10nm以下とする必要がある。より望ましくは5nm以下とすることが好ましい。一方,薄さの下限は,第二下地層13の結晶性,優先配向面を制御できるか否かによって決まる。図6に示す結果では2.5nmでは問題がないことが分かる。スパッタで形成した膜が現実的な膜として機能する極限を調べたところ,0.3nm以上は必要であった。したがって,第二シード層の膜厚は0.3nm以上10nm以下,より好ましくは0.3nm以上5nm以下とする必要がある。
【0039】
本発明の媒体の結晶配向性を調べた結果を図7に示す。第一下地層13をCoTi,CoAlTi,NiAlTiとした試料では第一下地層の(100),(200)回折ピークが明瞭であり,磁性層の(11.0)が強く配向している。CoAlTaは第一下地の(100)と(200),磁性層の(11.0)を確認できるが,CoTi,CoAlTi,NiAlTiに比べると強度が弱い。NiAlTaは磁性層の磁化容易軸が垂直に配向している。これらの配向性の違いが図7に示すような結果をもたらしたと考えられる。
【0040】
さらに,上記媒体構成において,RuAl第二シード層12の厚さを5nmに固定し,各種第一下地層材料を検討した結果を表1に示す。ここに示す試料のKu・v/kTはすべて70以上であり,仕様を満たしている。一方,S/Nに関しては,Co−50at.%Ti,Co−50at.%Al,Co−25at.%Al−25at.%Ti,Ni−50at.%Ti,Ni−50at.%Al,Ni−25at.%Al−25at.%Tiとした場合には仕様を満たすが,これ以外の材料のS/Nは仕様を満たさない。
【0041】
【表1】
Figure 2004326889
以上の結果から,第一下地層13に用いることができる材料は,B2構造やL21構造を有する金属間化合物であれば何でも良いというわけではなく,ある特定の材料だけであることがわかる。少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含ませたものである必要がある。CoとNiはhcp構造を取りうる材料であり,AlとTiはfcc構造を取りうる材料である。第一下地層13の下に配置された第二シード層12によって,結晶のひな型が作られ,さらに優先配向面が決められた場合には,このような材料の組合せによる第二下地層14は結晶性,結晶配向性に優れると考えられる。
【0042】
表2は第二シード層12として,RuAlの代わりにRe−50at.%Alを用いた場合の結果である。RuAlで結果が良好な第一下地層は,ReAlでも同様な結果が得られることを確認した。
【0043】
【表2】
Figure 2004326889
最後に,第一下地層13の膜厚に関する検討結果を図8に示す。第一シード層11は30nmのCr−35at.%Ti−10at.%Ta,第二シード層12は5nmのRu−50at.%Al,第一下地層13にはCo−25at.%Al−25at.%Tiを用いて,その膜厚を変化させた結果である。膜厚を5nm未満とすると,Ku・v/kTが70を下回り,好ましくないことが分かる。一方,厚い方は40nmでもKu・v/kTと S/Nの仕様を満たしているが,厚くするに従い発塵のおそれや,コストの面から好ましくなく,30nm以下とすることが好ましい。
〔実施例2〕
図1に示す媒体断面図を用いて,本実施例の媒体の層構成を説明する。外径65mmφのガラス基板10上に,Cr−35at.%Ti−10at.%Taからなる第一シード層11を膜厚を変えて形成する。次いで,第一シード層の表面を赤外線ランプのパワーを2.18kWに固定して加熱した後,Crからなる第二シード層12を5nm形成した。第二シード層12の上にはCo−25at.%Al−25at.%Ti からなる第一下地層13を30nm,Cr−20at.%Moからなる第二下地層14を5nmの厚さで順次形成した。さらにこの上に,Co−14at.%Cr−4at.%Ptからなる下部磁性層15を形成し,Ru中間層16を0.6nm程度形成し,続いてCo−18at.%Cr−14at.%Pt−8at.%Bからなる上部磁性層17を15.5nm形成し,最後に窒素を含有したC保護膜18を3.5nm形成した。
【0044】
赤外線ランプのパワーを固定して加熱すると,第一シード層の膜厚によって到達温度が異なる。第一シード層が薄いと熱容量が小さくなるため,より低いパワーで温度が高くなる。つまり,暖めやすいということである。このことから分かるように,赤外線ランプによる加熱は,基板全体を加熱しているのではなく,第一シード層,あるいは基板表面の温度を瞬間的に高めているだけである。赤外線ランプのパワーを2.18kWに固定すると,第一シード層厚が30nmのときに300℃,5nmのときには440℃となる。
【0045】
図9はCrTiTa第一シード層の膜厚を変えたときのHc,,Ku・v/kT,S/Nの変化を示す。CrTiTaが厚い(温度が低い)ときにはS/Nが悪いが,薄くしていく(温度を高くしていく)とS/Nが高まり,5nmで仕様の範囲内となることがわかる。この変化を結晶配向性の観点から調べた結果を図10に示す。CrTiTaの薄膜化に伴い,結晶性や結晶配向性が高まっていくことがわかる。これは,基板表面温度を高めることで,第二シード層による結晶のひな形の完全性が増す,所謂テンプレート効果を充分に発揮できる構造となることを意味している。このような効果を発揮する材料に関して検討した結果を表3に示す。
【0046】
【表3】
Figure 2004326889
これは,Crに代えてbcc構造を有する各種Cr合金を用いた結果である。CrTiTa第一シード層の膜厚は5nmとし,第二シード層厚も5nmとした。Cr以外の材料では,CrTi,CrMo,CrWを用いると,テンプレート効果によって,優れたS/Nを有する媒体が実現できる。一方,同じCr合金でもCrVやCrNbではテンプレート効果が発揮できないことがわかる。CrVでは粒径の肥大化,CrNbでは結晶性が悪いことが原因と考えている。
【0047】
このようなテンプレート効果が発揮できる,第二シード層の膜厚に関する検討結果を図11に示す。ここでは第二シード層としてCrを用いた結果を一例として示す。第二シード層がない場合には,第一下地層の結晶性や配向性が劣化するためS/Nが著しく悪い。0nmを越えて0.3nm未満では結晶粒が微細すぎて,Ku・v/kTが小さくなりすぎる。一方,7.5nmを越えると結晶粒が肥大化してS/Nが劣化する。最適な膜厚の範囲は0.3nm以上7.5nm以下である。
【0048】
本実施例の媒体においても,第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層の各層の組成が限定され,その組合せが重要であった。第一下地層以外の組成は実施例1と同様なものに限定される。本実施例の媒体では,RuやReといった高価な材料を使用しないため,さらに安価な媒体を提供できるが,S/Nは実施例1の媒体に比べて若干劣る。
【0049】
【発明の効果】
本発明の面内磁気記録媒体は,非磁性基板上に第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層,磁性層が順次形成された面内磁気記録媒体において,第二シード層には少なくともAlと,RuもしくはReのいずれか一方を含ませた材料を用い,第一下地層には少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含ませた材料で構成される。さらに,第二シード層をCr,もしくはCrと構成元素群A:Ti,Mo,Wから選ばれた少なくとも1種の元素を含むCr合金で構成することも可能である。
【0050】
上記のような第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層の構成とすることで,磁性層の結晶粒径が微細,かつ,強い磁化容易軸の面内配向性を有するため,1平方インチあたり70ギガビット以上の記録密度を有する面内磁気記録媒体を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による面内磁気記録媒体の一実施例の断面模式図である。
【図2】従来構造の面内磁気記録媒体の断面模式図である。
【図3】実施例1の第二シード層の材料の違いによる結晶配向性を比較した図である。
【図4】実施例1の第一シード層の材料の違いによるHc,Ku・v/kT,S/Nを比較した図である。
【図5】実施例1の第二シード層厚と欠陥数の関係を示す図である。
【図6】実施例1の第一下地層の材料の違いによるHc,Ku・v/kT,S/Nを比較した図である。
【図7】実施例1の第一下地層の材料の違いによる結晶配向性を比較した図である。
【図8】実施例1の第一下地層厚の違いによるHc,Ku・v/kT,S/Nを比較した図である。
【図9】実施例2の第一シード層厚の違いによるHc,Ku・v/kT,S/Nを比較した図である。
【図10】実施例2の第一シード層厚の違いによる結晶配向性を比較した図である。
【図11】実施例2の第二シード層厚の違いによるKu・v/kT,S/Nを比較した図である。
【符号の説明】
10…基板,11…第一シード層,12…第二シード層,13…第一下地層,14…第二下地層,15…下部磁性層,16…中間層,17…上部磁性層,18…保護潤滑層。

Claims (16)

  1. 基板上に磁性層を有する磁気記録媒体であって,該基板上に第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層,磁性層を有し,該第二シード層は少なくともAlと,RuもしくはReのいずれか一方を含み,該第一下地層は少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 上記第二シード層の膜厚が0.3nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 上記第二シード層の膜厚が0.3nm以上5nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 上記第一下地層の膜厚が5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 上記第一シード層は少なくともTiを35at.%以上65at.%以下,Alを35at.%以上65at.%以下含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 上記第一シード層は少なくともCrと,Ti,Taのいずれか一方もしくは両方を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  7. 基板上に磁性層を有する磁気記録媒体であって,該基板上に第一シード層,第二シード層,第一下地層,第二下地層,磁性層を有し,該第二シード層はCr,もしくはCrと構成元素群A:Ti,Mo,Wから選ばれた少なくとも1種の元素を含むCr合金で構成され,該第一下地層は少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  8. 上記第二シード層の膜厚が0.3nm以上7.5nm以下であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  9. 上記第二シード層の膜厚が0.3nm以上2.5nm以下であることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  10. 上記第一シード層は少なくともTiを35at.%以上65at.%以下,Alを35at.%以上65at.%以下含むことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  11. 上記第一シード層は少なくともCrと,Ti,Taのいずれか一方もしくは両方を含むことを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  12. 基板上に磁性層を有する磁気記録媒体であって,該基板上に多層シード層,多層下地層を有し,該多層シード層の最上層は少なくともAlと,RuもしくはReのいずれか一方を含み,該多層下地層の最下層は少なくともCoあるいはNiのいずれか一方と,Al,Tiのいずれか一方もしくは両方を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  13. 上記第二シード層の膜厚が0.3nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項12記載の磁気記録媒体。
  14. 上記第二シード層の膜厚が0.3nm以上5nm以下であることを特徴とする請求項12記載の磁気記録媒体。
  15. 上記第一下地層の膜厚が5nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項12記載の磁気記録媒体。
  16. 上記磁性層は複数の磁性層によって構成され,各磁性層の間にはRu,Cr,Rh,Ir,Cu,もしくはこれらを主成分とする合金からなる非磁性中間層が設けられていることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の磁気記録媒体。
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