JP5506604B2 - 熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents

熱アシスト磁気記録媒体及び磁気記憶装置 Download PDF

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本発明は熱アシスト磁気記録媒体、及びそれを用いた磁気記憶装置に関する。
媒体に近接場光等を照射して表面を局所的に加熱し、媒体の保磁力を低下させて書き込みを行う熱アシスト記録は、1Tbit/inchクラスの面記録密度を実現できる次世代記録方式として注目されている。熱アシスト記録を用いた場合、室温における保磁力が数十kOeの記録媒体でも、現状ヘッドの記録磁界により容易に書き込みを行うことができる。このため、記録層に10J/m台の高い結晶磁気異方性Kuを有する材料を使用することが可能となり、熱安定性を維持したまま、磁性粒径を6nm以下まで微細化できる。このような高Ku材料としては、L1型結晶構造を有するFePt合金(Ku〜7×10J/m)や、CoPt合金(Ku〜5×10J/m)等の規則合金が知られている。
磁性層に、L1型結晶構造を有するFePt合金を用いる場合、該FePt層は(001)配向をとっている必要がある。これは、下地層に適切な材料を用いることによって実現できる。特許文献1にはMgO下地層を用いることによって、FePt磁性層が(001)配向を示すことが示されている。MgOはNaCl構造をとり、格子定数は0.421nmと、L1構造のFePt合金のa軸長と近い。このため、(100)配向したMgO下地層上にFePt磁性層を形成することにより、該磁性層に(001)配向をとらせることができる。また、非特許文献1には、TiN下地層を用いることにより、FePt磁性層が(001)配向を示すことが記載されている。TiNもMgO同様、NaCl構造をとり、格子定数もMgOと近い。このため、MgOの場合と同様、FePt磁性層に(001)配向をとらせることができる。
熱アシスト磁気記録媒体においても、高い媒体SN比を得るには、磁性層中の磁性結晶粒間の交換結合を十分に低減する必要がある。このため、磁性層には、磁性結晶粒を分断するための粒界相が添加されている。粒界相としては、SiO、TiO、MgO等の酸化物やC等が用いられている。
特開平11−353648号公報
J. Vac. Sci. Technol. B 25 (6), 1892−1895 (2007)
上述のように、磁性層にFePt合金を用いる場合、MgO下地層が広く用いられている。しかし、FePtに粒界相としてCを添加したFePtC磁性層をMgO下地層上に5−6nm以上形成した場合、該磁性層はコラム構造をとらない。この場合、磁性層は、MgO下地層上にエピタキシャル成長した1次成長粒子と、該1次成長粒子上にC粒界相を介して成長した2次成長粒子からなる二段構造となる。すなわち、1次成長粒子は概ねドーム状のFePt粒子で、2次成長粒子は球状のFePt粒子となる。1次成長粒子と2次成長粒子間には、C粒界相が形成されており、両者は分断されている。
2次成長粒子は、MgO下地層上にエピタキシャル成長しておらず、また、規則度も低いため、1次成長粒子に比べて結晶磁気異方性が著しく低い。よって、反転磁界分散(SFD:Switching Field Distribution)が増大し、媒体SN比が大幅に劣化することが懸念される。よって、上記磁性層を用いる場合、下地層にMgOを用いるのは好ましくない。
MgO下地層の代替として、TiN下地層が挙げられる。TiNはNaCl構造を有し、格子定数も0.423nmと、MgOに近い。このため、(100)配向したTiN下地層上にFePt磁性層を形成することにより、該磁性層に(001)配向をとらせることができる。但し、TiNに(100)配向をとらせるのは容易ではない。非特許文献1には、基板上に非晶質Si下地層を形成し、該Si下地層上にTiNを形成することにより、(001)配向したTiN層が得られることが記載されている。但し、この場合、TiN下地層上に形成されたFePt結晶粒の粒径分散は著しく広がっており、bimodal分布となっている。良好な媒体SNRを実現するには、磁性粒径分布を狭くする必要がある。
上記課題は、基板と、該基板上に形成された複数の下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、該下地層の少なくとも一つが、TiNであり、かつ、該TiNが、BCC構造、もしくはNaCl構造を有する下地層上に形成されていることを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体を用いることによって解決できる。
すなわち、本願発明は次の構成による。
(1)基板と、該基板上に形成された複数の下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、該下地層の少なくとも一つが、TiNであり、かつ、該TiNが、BCC構造、もしくはNaCl構造を有する下地層上に形成されていることを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
(2)上記BCC構造を有する下地層が、Cr、V、Mo、W、Mnのうちの少なくとも1種類を含有していることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(3)上記BCC構造を有する下地層が、CrTi、CrMo、CrV、CrMn、CrRuもしくはCrW合金であることを特徴とする(2)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(4)上記BCC構造を有する下地層が、Cr、V、Mo、W、Mnのうちの少なくとも1種類を含有し、更にホウ素を含有していることを特徴とする(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(5)上記BCC構造を有する下地層が、CrTiB、CrMoB、CrVB、CrMnB、CrRuBもしくはCrWB合金であることを特徴とする(4)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(6)上記NaCl構造を有する下地層が、MgOである(1)に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(7)TiNが(100)面を基板面と平行とした配向をとっていることを特徴とする(1)乃至(6)の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(8)磁性層がL1構造を有するFePt、もしくはCoPt合金を主成分とし、かつ、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cから選択される少なくとも一種類の酸化物、もしくは元素を含有していることを特徴とする(1)乃至(7)の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
(9)磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を回転させるための駆動部と、該磁気記録媒体を加熱するためのレーザー発生部と、該レーザー発生部から発生したレーザー光をヘッド先端まで導く導波路と、ヘッド先端に取り付けられた近接場光発生部を備えた磁気ヘッドと、該磁気ヘッドを移動させるための駆動部と、記録再生信号処理系から構成さる磁気記憶装置において、該磁気記録媒体が(1)乃至(8)の何れか1項に記載の熱アシスト媒体であることを特徴とする磁気記憶装置。
本発明により、SFDが低い熱アシスト記録媒体が実現され、これを用いた磁気記憶装置を提供することができる。
本発明の磁気記録媒体の層構成の一例を表す図である。 本発明の磁気記録媒体のX解回折プロファイルを表す図である。 本発明の磁気記録媒体の層構成の一例を表す図である。 本発明の磁気記憶装置の傾視図である。 本発明の磁気ヘッドを表す図である。
本願発明の熱アシスト磁気記録媒体は、基板と、この基板上に形成された複数の下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、前記下地層の少なくとも一つを、TiN膜とし、かつ、このTiN膜を、BCC構造、もしくはNaCl構造を有する下地層上に形成することを特徴とする。
そして発明者らは、種々の材料を検討した結果、TiN膜を、Cr、V、Mo、W、Mn、Ta、Nbのうちの少なくとも1種類を含有した(100)配向を有するBCC合金膜上に形成することにより、該TiNが極めて良好な(100)配向を示すことを見出した。これにより、L1構造を有する磁性層に良好な(001)配向をとらせることができる。また、磁性層中の結晶粒の粒径が均一化され、反転磁界分散(SFD:Switching Field Distribution)を低減できる。TiN膜に(100)配向をとらせるための上記BCC合金層を、以後、配向制御層と記す。具体的な配向制御層材料としては、CrV、CrMo、CrW、CrTi、CrRu、CrMn、CrTa、CrNb、VMo、VW、VMn、VTa、VNb、MoW、MoMn、MoNb、MoTa、WMn、WTa、WNb、MnTa、MnNb、TaNb合金膜等が挙げられる。
また、Cr、V、Mo、Mn、W、Ta、Nb単層膜を配向制御層に用いてもよい。更に、上記BCC合金にホウ素を添加した材料でもよい。具体的には、CrB、VB、MoB、WB、MnB、TaB、NbB、CrTiB、CrMoB、CrVB、CrMnB、CrRuB合金等が挙げられる。ホウ素を添加することにより、配向制御層の粒径を10nm以下に微細化できると同時に、粒径分布をより均一化できる。ホウ素を添加した配向制御層上にTiN下地層を形成することにより、TiN結晶粒が均一化され、磁性粒をより均一化できる。これによって、SFDを大幅に低減できる。
上記BCC合金からなる配向制御層の格子定数は、TiNの格子定数とのミスフィットが15%以下となるよう選定することが望ましい。具体的には、0.254nm以上、0.344nm以下が望ましい。
配向制御層として、Cr、もしくはCrを含有するCrV、CrMo、CrW、CrTi、CrRu、CrMn、CrTa、CrNb等のBCC合金を用いる場合、該配向制御層は、非晶質合金からなる下地層上に形成するのが望ましい。但し、このとき、基板を150℃以上に加熱する必要がある。また本願発明の配向制御層は、前述のように、その上に形成するTiNとの格子定数とのミスフィットが15%以下とするのが望ましいので、Crに添加するV、Mo、W、Ti、Ru、Mn、Ta、Nbは合金の格子定数がその範囲内となるように選定するのが望ましい。
これにより、上記配向制御層に良好な(100)配向をとらせることができる。これに対して、Crを含有しないBCC合金を配向制御層に用いる場合、上記手法で得られた(100)配向したCr、もしくはCr合金膜上に形成することが望ましい。これにより、Crを含有しないBCC合金膜に(100)配向をとらせることができる。この場合、配向制御層は、Cr、もしくはCr合金層と、その上に形成されたCrを含有しない合金層との二層構造となる。Cr、もしくはCr合金層の下に形成する非晶質合金には、例えばCoTi、CoTa、NiTi、NiTa合金等を用いることができる。
配向制御層として、上記BCC合金の替わりにMgOを用いてもよい。MgOの格子定数はTiNに近いため、(100)配向したMgO下地層上にTiNを形成することにより、該TiNに(100)配向をとらせることができる。MgO下地層の場合も、Cr、もしくはCr合金の場合と同様、非晶質合金下地層上に形成することにより、(100)配向をとらせることができる。このとき、基板加熱は必ずしも必要ではない。また、(100)配向させたBCC合金下地層上に、MgOを形成してもよい。この場合も、エピタキシャル成長により、MgOは(100)配向をとる。
上記手法で形成したTiN下地層上に、L1構造を有するFePtを主成分とし、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO等の酸化物、もしくはCを含有する磁性層を形成することにより、磁性層が強いL1(001)配向を示すと同時に、磁性粒径が均一化される。これにより、SFDが大幅に低減され、高い媒体SN比を示す熱アシスト媒体が得られる。
磁性層には、L1構造を有するFePtの他、L1構造を有するCoPtを用いることもできる。この場合も、粒界相材料には、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cを用いることができる。粒界相材料の添加量は、体積比率で20vol%以上、60vol%以下が望ましい。20vol%を下回ると、粒界幅が狭くなり、磁性粒子間の交換結合を十分に低減できない。一方、60vol%を上回ると、磁性結晶粒のL1構造の規則度が低下するため、好ましくない。
磁性層の上にキャップ層を形成してもよい。これにより、磁性結晶粒間に適度な交換結合を導入し、反転磁界分散(SFD)を更に低減できる。キャップ層としては、CoCrPt、CoCrPtB等のHCP合金や、NiFe、NiCr、FePt等のBCC合金、もしくはFCC合金を用いることができる。また、Co、もしくはFeを含有する非晶質合金でもよい。
熱アシスト記録においては、記録時に近接場光により加熱された磁性層は、記録後、速やかに冷却されることが望ましい。このため、ヒートシンク層を形成して冷却速度を高めることが望ましい。ヒートシンク層としては、Cu、Ag、Al、Au等の熱伝導率の高い材料が好ましい。また、上記元素を組み合わせた合金材料であってもよい。
更に書き込み特性を改善するため、軟磁性下地層を形成することもできる。軟磁性下地層としては、CoTaZr、CoNbZr、FeTaC、FeAlSi、CoFeTaSi、CoFeTaB、CoFeZrSi等の軟磁性合金を用いることができる。また、軟磁性下地層は、上記合金からなる単層膜でもよいし、Ruを挟んで反強磁性結合した積層膜でもよい。
(実施例1.1〜1.7、比較例1)
図1に本実施例で作製した磁気記録媒体の層構成を示す。ガラス基板101上に、50nmのCo−50at%Tiシード層102、12nmのCr、もしくはCr合金からなる配向制御層(下地層)103、2nmのTiN下地層104、10nmの88mol%(Fe−45at%Pt−5at%Ag)−12mol%TiO磁性層105、5nmのCo−10at%Cr−10at%Ptキャップ層106、4nmのDLC保護膜107を順次形成した。また、Cr下地層形成前に250℃、FePtAg−TiO磁性層形成前に450℃の基板加熱を行った。また、Cr合金下地層には、CrMn、CrMo、CrW、CrTi、CrV、CrRuを用いた。TiNは窒素雰囲気中でDCスパッタにより形成した。比較例として、配向制御層に3nmのSi層を用いた媒体を作製した。
上記比較例媒体の断面TEM観察を行ったところ、Si層中には明瞭な格子縞が観察されなかった。よって、比較例媒体で用いたSi配向制御層は非晶質構造であると考えられる。
表1に配向制御層(下地層)に上記CrもしくはCr合金を用いた媒体の保磁力Hc、及び保磁力分散ΔHc/Hcを示す。ここで、Hc、及びΔHc/HcはPPMSにより70kOeの磁界を印加して測定した。尚、ΔHc/Hcは、「IEEE Trans. Magn., vol.27, pp4975−4977, 1991」に記載の方法で測定した。具体的には、メジャーループ及びマイナーループにおいて、磁化の値が飽和値の50%となるときの磁界を測定し、両者の差分から、Hc分布がガウス分布であると仮定してΔHc/Hcを算出した。ΔHc/Hcは、反転磁界分散に相当するパラメーターであり、この値が低いほど、SFDが狭くなるため、良好な媒体SNRが得られる。表に示す様に、本実施例媒体は何れも19kOe以上の高いHcを示し、ΔHc/Hcは0.33以下であった。特にCrMn下地層とCrMo下地層を用いた媒体が24kOe以上の高いHcを示した。また、CrW下地層とCrTi下地層を用いた媒体が0.28以下の低いΔHc/Hcを示した。一方、比較例媒体のHcは12.5kOeと実施例媒体を大幅に下回っており、ΔHc/Hcも0.47と高く、SFDが大きいことがわかった。
本実施例媒体のX線回折測定を行ったところ、配向制御層からはBCC(200)ピークのみが観察され、BCC(110)ピークは観察されなかった。これより本実施例媒体の配向制御層は、良好な(100)配向をとっていることがわかった。
Figure 0005506604
図2(a)にTiN下地層の直下にCrV下地層を形成した実施例1.6の媒体のXRDスペクトルを示す。2θ=24°付近に明瞭なL1−FePt(001)ピークが確認できる。また、L1−FePt(002)ピークとFCC−FePt(200)ピークとの混合ピークも確認できる。上記L1−FePt(002)ピークとFCC−FePt(200)ピークの混合ピークに対する、L1−FePt(001)ピークの積分強度比は1.8であった。このことは、L1−FePt合金の規則度が極めて良好であることを示している。
また、上記以外にFePtからの回折ピークは確認されず、FePt合金は良好な(001)配向をとっていることがわかる。尚、膜厚が極めて薄いためTiN下地層からの回折ピークは観察されなかったが、磁性層が良好な(001)配向をとっているため、該TiN下地層は良好な(100)配向をとっていると考えられる。実施例1.6以外の全ての実施例媒体についても、XRD測定を行ったところ、上記積分強度比は1.7以上であり、磁性層中のFePt合金が良好なL1規則度を有していることがわかった。一方、配向制御層にSiを用いた比較例媒体では、明瞭なL1−FePt(001)ピークが確認できなかった(図2(b))。このことは、比較例媒体では、FePt合金のL1規則度、及びL1(001)配向が不十分であることを示している。比較例媒体のHcが著しく低かったのは、このためと考えられる。
以上より、配向制御層にCr、もしくはCr合金を用いることにより、磁性層中のFePtが良好な規則度を有し、Hcが高く、かつ、ΔHc/Hcが低い媒体が得られることがわかった。
(実施例2)
図3に本実施例で作製した磁気記録媒体の層構成を示す。ガラス基板301上に、5nmのNi−50at%Ti接着層302、50nmのCuヒートシンク層303、20nmのCo−50at%Tiシード層304、10nmのMgO配向制御層305、5nmのTiN下地層306、8nmの(Fe−50at%Pt)−50at%C磁性層307、Co−18at%Cr−16at%Pt−4at%Bキャップ層308、DLC保護膜309を形成した。基板加熱は、磁性層形成前にのみ、基板温度が520℃となるように行った。TiN下地層は、TiN複合ターゲットを用いてAr雰囲気中で作製した。また、比較例として、TiNを形成せず、MgO配向制御層上に直接磁性層を形成した媒体を作製した。
本実施例、及び比較例媒体のHcとΔHc/Hcを、実施例1で示した手法と同様の手法で測定した。実施例媒体のHc、ΔHc/Hcは、それぞれ22.3kOe、0.33であった。一方、比較例媒体のHcは13.3kOeと実施例媒体より著しく低く、また、ΔHc/Hcも0.44と実施例媒体より著しく高かった。
断面TEM観察により、磁性層の断面構造を観察したところ、磁性層は、初期成長部から連続的に成長したコラム構造をとっていた。一方、比較例媒体は、MgO配向制御層上にエピタキシャル成長した1次粒子と、その上にC粒界相で分断された2次粒子が観察された。実施例媒体のΔHc/Hcが著しく大きかったのは、このためと考えられる。以上より、TiN下地層上にFePtC磁性層を形成することにより、磁性層がコラム成長し、Hc分散の低い媒体が得られることがわかった。
尚、ヒートシンク層には、Cu以外にも、Ag、Au、Al、もしくはこれらの合金を用いることができる。更に、軟磁性下地層として、CoTaZr、CoNbZr、FeTaC、FeAlSi、CoFeTaSi、CoFeTaB、CoFeZrSi等の軟磁性合金を用いても良い。軟磁性下地層は、ヒートシンク層の上部(磁性層側)に形成することが望ましいが、ヒートシンク層の膜厚が30nm以下の場合は、ヒートシンク層の下部(基板側)に形成しても良い。
(実施例2.1〜2.8、比較例2)
実施例2と同一層構成で、MgOの代わりに表2に示すBCC合金からなる単層、もしくは二層の配向制御層を用いた媒体を作製した。尚、表中の二層下地の表記は、右側が基板側で左側が磁性層側である。このとき、配向制御層に(100)配向をとらせるため、配向制御形成前に280℃の基板加熱を行った。上記以外の層構成、及び成膜プロセスは実施例2と同一とした。また、比較例として、MgOの代わりにSi配向制御層を用いた媒体を作製した。
Figure 0005506604
本実施例媒体のX線回折測定を行ったところ、配向制御層からはBCC(002)ピークのみが観察され、BCC(110)ピークは観察されなかった。また、磁性層からは、L1−FePt(001)ピーク、及び、L1−FePt(002)ピークとFCC−FePt(200)ピークとの混合ピークが観察された。後者の混合ピークに対する、前者のL1−FePt(002)ピークの積分強度比は1.9であった。これより、磁性層中のFePt合金は良好なL1規則度を有していることがわかった。
本実施例媒体、及び比較例媒体の磁性層の平面TEM観察を行った。ここで、磁性層の粒径解析を精密に行うため、キャップ層を形成しないサンプルを作製してTEM観察を行った。表2に平均粒径<D>、及び平均粒径で規格化した粒径分散σ/<D>を示す。本実施例の平均粒径は何れも6.4nm以下であった。また、粒径分散は0.24以下であった。これに対し、Si配向制御層を用いた比較例媒体の平均粒径は6.3nmと実施例媒体とほぼ同程度であったが、粒径分散は0.38と著しく高かった。これより、配向制御層にBCC構造の合金からなる単層膜、もしくは二層膜を用いることにより、粒径分散が低減された媒体が得られることがわかった。また、配向制御層にホウ素を添加した実施例2.6、実施例2.7、実施例2.8は0.25以下の特に低い粒径分散を示した。これにより、配向制御層にホウ素を添加することにより、粒径を著しく均一化できることがわかった。
(実施例3)
実施例1で示した媒体(実施例媒体1.1〜1.7)にパーフルオルポリエーテル系の潤滑剤を塗布したのち、図4に示した磁気記憶装置に組み込んだ。本磁気記憶装置は、磁気記録媒体401と、磁気記録媒体を回転させるための駆動部402と、磁気ヘッド403と、ヘッドを移動させるための駆動部404と、記録再生信号処理系405から構成される。図5に磁気ヘッドの詳細を示す。ヘッドは、主磁極501、補助磁極502、磁界を発生させるためのコイル503、レーザーダイオードLD504、LDから発生したレーザー光505を近接場発生素子506まで伝達するための導波路507から構成される記録ヘッド508、及びシールド509で挟まれた再生素子510から構成される再生ヘッド511からなる。近接場光素子から発生した近接場光により媒体512を加熱し、媒体の保磁力をヘッド磁界以下まで低下させて記録できる。また、LD、導波路、近接場発生素子からなる加熱機構513を主磁極と補助磁極の間に配置しても良い。但し、この場合、主磁極のリーディング側を加熱する必要があるため、媒体の進行方向は図とは逆に右側となる。
表3に1400kFCIの信号を記録し、記録再生特性を評価したときのSNRと記録トラック幅MWWを示す。ここで、記録トラック幅はトラックプロファイルの半値幅と定義した。実施例媒体はいずれも15dB以上の高いSNRと、70nm以下の狭いMWWを示した。中でも、ΔHc/Hcが特に小さかった実施例媒体1.4、実施例媒体1.5が16dB以上の高いSNRを示した。また、実施例媒体1.6、実施例媒体1.7が特に狭いMWWを示した。よって、トラック密度を上げる場合は、CrV、CrRu下地層上にTiN下地層を形成することが望ましいことがわかった。
Figure 0005506604
101…ガラス基板
102…CoTiシード層
103…配向制御層
104…TiN下地層
105…磁性層
106…キャップ層
107…DLC保護膜
301…ガラス基板
302…NiTi接着層
303…Cuヒートシンク層
304…CoTiシード層
305…配向制御層
306…TiN下地層
307…磁性層
308…キャップ層
309…DLC保護膜
401…磁気記録媒体
402…媒体駆動部
403…磁気ヘッド
404…ヘッド駆動部
405…記録再生信号処理系
501…主磁極
502…補助磁極
503…コイル
504…半導体レーザーダイオード
505…レーザー光
506…近接場光発生部
507…導波路
508…記録ヘッド
509…シールド
510…再生素子
511…再生ヘッド
512…媒体
513…加熱機構

Claims (9)

  1. 基板と、該基板上に形成された複数の下地層と、L1構造を有する合金を主成分とする磁性層からなる磁気記録媒体において、該下地層の少なくとも一つが、TiNであり、かつ、該TiNが、BCC構造、もしくはNaCl構造を有する下地層上に形成されていることを特徴とする熱アシスト磁気記録媒体。
  2. 上記BCC構造を有する下地層が、Cr、V、Mo、W、Mnのうちの少なくとも1種類を含有していることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  3. 上記BCC構造を有する下地層が、CrTi、CrMo、CrV、CrMn、CrRuもしくはCrW合金であることを特徴とする請求項2に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  4. 上記BCC構造を有する下地層が、Cr、V、Mo、W、Mnのうちの少なくとも1種類を含有し、更にホウ素を含有していることを特徴とする請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  5. 上記BCC構造を有する下地層が、CrTiB、CrMoB、CrVB、CrMnB、CrRuBもしくはCrWB合金であることを特徴とする請求項4に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  6. 上記NaCl構造を有する下地層が、MgOである請求項1に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  7. TiNが(100)面を基板面と平行とした配向をとっていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  8. 磁性層がL1構造を有するFePt、もしくはCoPt合金を主成分とし、かつ、SiO、TiO、Cr、Al、Ta、ZrO、Y、CeO、MnO、TiO、ZnO、Cから選択される少なくとも一種類の酸化物、もしくは元素を含有していることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の熱アシスト磁気記録媒体。
  9. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体を回転させるための駆動部と、該磁気記録媒体を加熱するためのレーザー発生部と、該レーザー発生部から発生したレーザー光をヘッド先端まで導く導波路と、ヘッド先端に取り付けられた近接場光発生部を備えた磁気ヘッドと、該磁気ヘッドを移動させるための駆動部と、記録再生信号処理系から構成さる磁気記憶装置において、該磁気記録媒体が請求項1乃至8の何れか1項に記載の熱アシスト媒体であることを特徴とする磁気記憶装置。

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