JP5920879B2 - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車エンジンなどの内燃機関の燃焼制御装置に関し、特に、コロナノイズなどの影響を排除して特異的にノッキングを検出できる燃焼制御装置に関する。
一般に、内燃機関のノッキング(以下ノックと略す)とは、混合気の自然発火(プレ・イグニッション)によって発生した爆発と、点火プラグによって発生した爆発とがぶつかり合い、衝撃波を発生する異常状態を意味する。そして、このような異常状態を素早く解消して内燃機関を保護する燃焼制御が必要であり、混合気の燃焼時に発生するイオンに基づいて、ノック発生を検出可能であることが知られている。
但し、イオン信号には、コロナノイズなどのノイズがランダムなタイミングで重畳されるので、これらの影響を排除して、本来のイオン信号だけを検出することが必要であり、この点についての各種の手法も提案されている。
例えば、本発明者による特許文献4に記載の発明では、(a)ノック周波数を通過帯域とするイオン信号に対するBPF処理と、(b)ノック周波数より上側の周波数域を通過帯域とするイオン信号に対するHPF処理とを実行し、BPF処理(a)後の信号の積分値と、HPF処理(b)後の信号の積分値とを比較してノック判定をしている。そして、ノック判定時には点火時期を遅角するなどの制御によって、ノック音の発生を抑えると共にエンジンの破壊を防いでいる。
特開平06−159129号公報 特開平10−089216号公報 特開平10−103210号公報 特開2011−140881号公報
しかし、本発明者の更なる研究によると、何れの手法でも、正常燃焼であるにも拘らず、時として、コロナノイズによってノックが発生したと誤判定してしまうことがあった。ここで、コロナノイズは、点火プラグ表面に帯電した電荷が放電することに起因するため放電態様が一様でなく、ノック周波数帯域の振動が同程度の強度で生じる場合には、ノック信号との峻別が困難であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、コロナノイズの放電態様に関係なく、確実にノック判定ができる燃焼制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、種々の実験を繰り返した結果、ノック周波数帯域についてノックBPF処理を実行すると共に、ノック周波数帯域を遮断帯域とする一方で、ノック周波数帯域の上側帯域と下側帯域とを通過帯域とするノイズBPF処理を実行し、ノックBPF処理とノイズBPF処理の処理結果を適宜に平滑化して差分値を採ることで、確実にコロナノイズの影響を排除できることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、一次コイルと二次コイルとを有する点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例した検出信号を出力するイオン電流検出回路と、を有して構成され、前記制御装置は、前記スイッチング素子がOFF状態である所定のデータ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を通過帯域とするノックBPF処理を実行するノック抽出手段と、前記データ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を遮断帯域とする一方でノック周波数帯域の上側帯域と下側帯域とを通過帯域とするノイズBPF処理を実行するノイズ抽出手段と、前記ノックBPF処理後の各信号値を、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化する第一平滑手段と、前記ノイズBPF処理後の各信号値を、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化する第二平滑手段と、前記第一平滑手段と第二平滑手段の演算結果を対比して、その差分値を特定する差分特定手段と、前記差分特定手段が特定する差分値に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定する判定手段と、を設け、前記ノックBPF処理及びノイズBPF処理の通過帯域の設計特性を、BPFの中心周波数における通過特性の20%位置で評価した場合に、前記ノックBPF処理及びノイズBPF処理の周波数帯域は、ノックBPFの通過帯域の両端にノイズBPFの通過帯域が重複する程度に近接して設けられている
本発明を自動車エンジンに適用する場合に、本発明の制御装置は、必ずしもECU(Engine Control Unit)単独を意味せず、ECUの制御下で動作する専用コンピュータ回路、例えば、DSP(Digital Signal Processor)回路なども含んだ概念である。
本発明では、ノックBPF処理、及び/又は、ノイズBPF処理の通過帯域(設計上の周波数特性における通過帯域)は、便宜上、BPF中心周波数に対する20%フィルタゲイン位置で評価される。そして、通過帯域をこのようにした定義した場合、ノックBPFの通過帯域を4kHz以下の狭帯域に設定する。
また、このような狭帯域のノックBPF処理に対応して、ノックBPFの通過帯域の両端に重複する程度に、ノイズBPFの通過帯域を近接させるのが好ましい。そして、3つの通過帯域を互いに近接させることによって、微弱なコロナノイズであっても、その影響も排除することができる。図1(a)は、実施例におけるノックBPF処理及びノイズBPF処理の通過帯域の設計特性を図示したものである。
この実施例の場合には、ノックBPFの中心周波数は8kHzである。また、ノイズBPFの下側と上側の中心周波数は、各々、5.5kHzと10.5kHzに設定されている。そして、ノックBPFの通過帯域は、6.5kHz〜9.5kHz、ノイズBPFの通過帯域は、下側領域で4kHz〜7kHz、上側領域で9kHz〜12kHzとなっている(図1(b)参照)。すなわち、実施例では、ノックBPF及びノイズBPFの通過帯域は、全て3kHzであり、ノックBPFの通過帯域の両端に、ノイズBPFの通過帯域が0.5kHz重複している。
なお、実施例では、単一の処理(ノイズBPF処理)で、図1(a)に示す処理を実現しているが、必ずしも限定されず、2回の処理に分けて、下側領域のBPF処理と上側領域のBPF処理とを繰り返しても良い。
本発明において、第一平滑手段と第二平滑手段の演算結果を対比して特定される差分値は、好ましくは、第一平滑手段の平滑化処理後の信号値D1(i)と、第二平滑手段の平滑化処理後の信号値D2(i)とのレベル差(差分値)を、時間軸上で累積して算出されるべきである。
本発明では、ノイズBPF処理における下側と上側の通過帯域は、ノックBPF処理の通過帯域に近接して設定するのが好適であるが、更に好ましくは、下側の通過帯域の中心周波数FLは、ノック周波数帯域の中心周波数F0[kHz]の0.6*F0〜0.8*F0に設定されるべきである。この場合、ノイズBPF処理における上側の通過帯域の中心周波数FHは、FH=2*F0−FLに設定するのが好ましい。
因みに、本実施例では、ノックBPFの中心周波数F0が8kHz、下側ノイズBPFの中心周波数FLが5.5kHzであり、FL=0.69*F0程度に設定されている。また、上側ノイズBPFの中心周波数FHは10.5kHzであり、FH=2*F0−FLの関係式に適合している。
ところで、3つのBPFの通過帯域を狭帯域として、互いに近接させるには、各々、通過帯域の両端が急峻な周波数特性を採るのが望ましく、このような周波数特性を実現するには、各BPF処理は、30次以上65次以下の次数Mを有するFIRフィルタで構成するのが好適である。
前記所定個数の信号値は、FIRフィルタの次数Mに対して、M*(0.75〜1.25)個の信号値であり、自己の前後の個数が同数であるのが更に好適である。
因みに、実施例では、BPFフィルタの次数が53次であるので、第一平滑手段は、時間軸前方の28個のデータと、時間軸後方の28個のデータに、自らを加えた57個のデータを平滑化して自らのデータに置き換えている。また、第二平滑手段では、時間軸前方の24個のデータと、時間軸後方の24個のデータに、自らを加えた49個のデータを平滑化して自らのデータに置き換えている。
この程度の範囲で平滑化することで、微細レベルのランダムノイズの影響を確実に排除することができ、ノック信号の精密な抽出が可能となることは実験的に確認している。
また、微弱なノック信号を読み落とすことなく取得してノック検出精度を上げるには、30kHzより高いサンプリング周波数で検出信号を取得するのが好適である。
なお、ノイズBPF処理における上側領域と下側領域の通過帯域幅は、設計値として同一幅に設定するのが効果的であり、第一平滑手段及び第二平滑手段による平滑化処理は、各BPF処理後の信号値を、所定時間範囲の中央値(median)で置き換えるメディアン処理とするのが好適である。この場合、中央値は、各BPF処理後の信号値を、その絶対値で評価して抽出するのが好適である。また、本発明のデータ解析区間は、内燃機関の着火動作が終了して熱発生が本格化したことを示す検出信号の第二ピークの位置と、その後方の領域とを含んで、運転状態毎に予め設定されるのが検出性能を上げる意味で好適である。
上記した本発明によれば、コロナノイズの放電態様に関係なく、確実にノック判定ができる燃焼制御装置を実現することができる。
実施例で使用するBPF処理の周波数特性を説明する図面である。 実施例に係る燃焼制御装置の構成を示す回路図である。 燃焼制御装置の動作を説明するタイムチャートである。 燃焼制御装置の動作を説明するフローチャートである。
以下、実施例について更に詳細に説明する。図2は、実施例に係る燃焼制御装置DETを示す回路図であり、図3は、燃焼制御装置DET各部の概略波形を示すタイムチャートである。
図2に示す通り、この燃焼制御装置DETは、内燃機関の電子制御ユニットたるECU(Engine Control Unit)と、一次コイルL1と二次コイルL2からなる点火コイルCLと、ECUから受ける点火パルスPLSに基づく遷移動作によって一次コイルL1の電流ic1をON/OFF制御するスイッチング素子Qと、二次コイルL2の誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグPGと、イオン信号検出回路IONと、を中心に構成されている。
イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、ECUのA/Dコンバータ(不図示)に供給され、デジタルレベルのイオン信号としてECUのメモリに記憶される。ここで、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、点火パルスPLSの立下りタイミングからイオン電流が消滅するまでのデータ取得区間において取得される。そして、全データが取得された後で、運転状態毎に決定されているデータ解析区間WINにおいて、後述するノックBPF処理やノイズBPF処理が実行される。
そのため、ECUには、解析開始位置Aから解析終了位置Cに至るデータ解析区間WINを、運転状態毎に特定する参照テーブルTBLが設けられている。なお、運転状態は、例えば、エンジンの吸気管圧力と、エンジンの回転数で特定され、これらを検索パラメータとして参照テーブルTBLを検索することで、データ解析区間WINが特定される。
内燃機関が正常に燃焼している場合には、イオン電流は第一ピークを示した後、上死点TDCの手前で減少して再び増加し、燃焼圧が最大となるクランク角の近傍で最大となり、イオン電流の第二ピークを示す。ここで、第一ピーク付近の波形は、燃焼開始時のケミカルイオンの挙動を示し、第二ピーク付近の波形は、燃焼開始後の熱発生により発生するサーマルイオンの挙動を示していると思われる。
そこで、本実施例では、解析開始位置Aが、イオン電流の第二ピーク位置の少し手前の位置となるよう、また、解析終了位置Cが、燃焼反応が完了した位置となるよう実験的に特定されて、ECUの参照テーブルTBLに規定されている。
以下、回路構成について詳述すると、スイッチング素子Qは、ここではIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が使用されている。そして、スイッチング素子Qのコレクタ端子は、一次コイルL1を経由してバッテリ電圧VBを受けており、エミッタ端子は、グランドに接続されている。
イオン信号検出回路IONは、電流検出回路として機能するOPアンプAMPを中心に構成され、コンデンサC1、ツェナーダイオードZD、ダイオードD1,D2、抵抗R1〜R3を有して構成されている。コンデンサC1とツェナーダイオードZDの並列回路によって、イオン電流検出時のバイアス電圧が生成される。
二次コイルL2の高圧端子は、点火プラグPGに接続され、低圧端子は、前記バイアス電圧を生成するコンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路に接続されている。そして、コンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路は、ダイオードD1を通して、グランドに接続されている。図示の通り、ダイオードD1のカソード端子がグランドに接続されている。
一方、ダイオードD1のアノード端子は、電流制限抵抗R1を経由してOPアンプの反転入力端子(−)に接続されている。そして、OPアンプAMPの反転入力端子(−)と出力端子の間に、電流検出抵抗R2が接続され、出力端子のグランド間には、負荷抵抗R3が接続されている。また、OPアンプの非反転端子(+)は、グランドに接続され、反転端子(−)には、ダイオードD2のカソード端子が接続されている。なお、ダイオードD2のアノード端子はグランドに接続されている。
上記した構成の燃焼制御装置DETでは、タイミングT0において、点火パルスPLSがHレベルからLレベルに変化すると、二次コイルL2に誘起される高電圧によって点火プラグPGが放電する。この放電電流は、点火プラグPG→二次コイルL2→コンデンサC1→ダイオードD1の経路で流れるので、コンデンサC1は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧により規定される電圧値に充電される。
点火プラグPGの放電によって燃焼室の混合気が着火されると、その後、急速に燃焼反応が進行するが、イオン電流iは、電流検出抵抗R2→電流制限抵抗R1→コンデンサC1→二次コイルL2→点火プラグPGの経路で流れる。したがって、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、Vo=R2*iとなり、イオン電流iに比例した値となる。
続いて、燃焼制御装置DETの動作内容について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
ECUは、各点火サイクル毎に、点火パルスPLSを立下げて(T0)、一次コイルL1の電流を遮断状態にした後、データ取得区間について、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voを、デジタル変換してイオン電流の検出信号SG(i)としてメモリに記憶する(ST1)。
サンプリング周波数は、特に限定されないが、この実施例では、精密なノック判定を実現するべく50kHzに設定されている。なお、データ取得区間は、燃焼反応が確実に完了するタイミングで終了するが、この終期は、運転状態に対応して予め実験的に決定されている。
ステップST1の処理で取得される検出信号SG(i)は、ノック信号が重畳されて異常燃焼状態の挙動を示す場合と、ノック信号が重畳されることなく正常燃焼状態の挙動を示す場合とがある。また、ノック信号とは別に、燃焼状態の適否に拘らず、ノック信号と区別困難なコロナノイズなどが重畳されている場合もある。しかし、本実施例の構成によれば、ノック信号だけを特異的に取得して燃焼状態を正しく判定することができる。
ステップST1の処理が終われば、次に、参照テーブルTBLを参照して、その時々の運転状態に対応する解析区間WIN=[A,C]について、解析開始位置Aと解析終了位置Cを特定し、解析区間WINについて、ノック周波数を通過帯域とするノックBPF処理を実行する(ST2)。
本実施例の場合には、ノック周波数は、予め実験的に8kHzであると特定されており、ノックBPF処理の中心周波数8kHzに対する20%フィルタゲイン位置を、ノックBPF処理の帯域幅と定義すると、帯域幅の設計値は、図1(a)に示す通り、6.5kHz〜9.5kHzの3kHzとなる。なお、実施例では、上記した周波数特性を実現するべく、窓関数法によるフィルタ設計手法をとっており、具体的には、ハミング窓を使用して、53次(=2*X+1)のFIRデジタルフィルタ係数を特定している。このデジタルフィルタは、そのインパルス応答h(n)が、左右対称h{(X+m)}=h{(X−m)}(但し、m=0,1,・・・,X)であり、X=26である。
ステップST2のノックBPF処理が終われば、次に、ノックBPF処理後のデータSG1(i)の絶対値ABS(SG1(i))について、第一平滑化処理としてノック・メディアン処理を実行する(ST3)。本実施例のノック・メディアン処理では、ノックBPF処理後の全てのデータSG1(i)が、所定の時間幅D(自己を含んだ前後57個の時間幅)の絶対値データ列ABS(SG1(i−28))・・・ABS(SG1(i+28))の中央値D1(i)に置き換えられる。
すなわち、本実施例のノック・メディアン処理では、各データSG1(i)に先行する28点と、各データSG1(i)に続く28点と、自己データSG1(i)とを含んだ時間幅Dの57個のデータ(絶対値ABS)の中央値D1(i)が特定され、各データSG1(i)が中央値D1(i)に変換されることで平滑化される。なお、本実施例のサンプリング周期は、20μS(=1/50kHz)であるので、ノック・メディアン処理の時間幅Dは、57×20=1140μSとなる。
ステップST3の処理が終われば、次に、ノック周波数帯域を減衰帯域とする一方で、ノック周波数帯域の上側領域と下側領域を通過帯域とするノイズBPF処理を実行する(ST4)。図1(a)に示す通り、実施例のノイズBPF処理は、フィルタゲイン=1の中心周波数(5.5kHz、10.5kHz)を2つ設けた双峰特性を有しており、双峰特性の通過帯域の間に、フィルタゲイン20%以下の減衰領域を設けている。
実施例の場合、図1(a)に示す双峰特性の通過帯域は、6.5kHz〜9.5kHzを通過帯域とする下側BPFと、9kHz〜12kHzを通過帯域とする上側BPFとを組合せて構成されて、上側及び下側とも通過帯域幅を3kHzとしている。このような構成を採ることで、図1(b)に示すような、低レベルで広帯域になだらかに延びるスペクトル分布を示すコロナノイズについても、その成分を確実に取得できることになる。
なお、図1(b)に示すスペクトル分布は、多数のコロナノイズの実測データの一例であり、他の実測データは、低レベルで広帯域になだらかに延びる点では共通するものの、具体的なスペクトル形状は全く相違している。したがって、ノック周波数帯域を遮断帯域とすると共にノック周波数帯域の上側帯域と下側帯域とを通過帯域とする本実施例のノイズBPF処理の意義は大きい。
そして、実施例では、図1(a)に示すノイズBPFの周波数特性を実現するべく、窓関数法によるフィルタ設計手法をとっており、ハミング窓を使用して、53次(=2*X+1)のFIRデジタルフィルタ係数を特定している。このデジタルフィルタも、そのインパルス応答h(n)が、左右対称h{(X+m)}=h{(X−m)}(但し、m=0,1,・・・,X)であり、X=26である。
以上のノイズBPF処理(ST4)が終われば、続いて、ノイズBPF処理後のデータSG2(i)の絶対値ABS(SG2(i))について、第二平滑化処理としてノイズ・メディアン処理を実行する(ST5)。このノイズ・メディアン処理は、ノック・メディアン処理と類似の手法であり、ノイズBPF処理後の全てのデータSG2(i)が、自己を含んだ前後49個の時間幅Dの絶対値データ列ABS(SG2(i−24))・・・ABS(SG2(i+24))の中央値D2(i)に置き換えられる。
次に、ステップST3のノック・メディアン処理の結果データD1(i)と、ステップST5のノイズ・メディアン処理の結果データD2(i)とを、時間軸上に対比して、D1(i)>D2(i)なる場合には、2つのメディアン処理の結果データの差分値D1(i)−D2(i)を累積する(ST6)。この差分累積処理SUM=Σ(D1(i)−D2(i))によって、コロナノイズなどの影響が排除されたノック情報SUMが抽出される。
なお、ノック・メディアン処理及びノイズ・メディアン処理は、何れもBPF処理後のデータの絶対値について実行されているので、累積演算SUM=ΣD(i)−D2(i)において、各結果データD1(i),D2(i)は、必ず正の値を示す。
続いて、解析区間[A,C]の検出信号SG(i)について、その評価値Xを特定する(ST7)。評価値Xの具体的な特定手法は、特に限定されないが、例えば、解析区間WINの検出信号SG(i)について、その時間軸上の積分値を算出するか、或いは、イオン電流の第二ピーク位置の検出信号値PK(イオンピーク値)を特定して評価値Xとする。
そして、ステップST7の処理で特定された評価値Xを、判定式A*X+Bに代入し、この判定式への代入結果と、ステップST6で算出された累積値SUMとを対比する(ST8)。ここで、判定式は、評価値Xがノック発生を意味しているか否かを規定する一次式であり、評価値Xについてのノック判定の判定閾値を意味する。この判定式A*X+Bにおいて、定数A,Bは、予め実験的に特定されおり、差分値D1(i)−D2(i)の累積値SUMが大きく、SUM>A*X+Bとなる場合にはノック発生と判定される。
そして、ノック発生時には、次回の点火サイクルでは点火時期を遅角させるなどの燃焼制御を実行することで内燃機関の破損を防止する(ST10)。
以上の通り、この実施例では、第一平滑化処理と第二平滑化処理の処理結果D1(i),D2(i)の差分値を累積演算Σ(D1(i)−D2(i))することでコロナノイズなどの影響を排除して特異的にノック発生を判定している。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではない。例えば、実施例では、イオン信号検出回路として、最も簡易な回路構成を例示したが、より複雑な回路構成と採っても良いのは勿論である。
L1 一次コイル
L2 二次コイル
CL 点火コイル
Q スイッチング素子
ECU 制御装置
PG 点火プラグ
ION イオン信号検出回路
ST2 ノックBPF手段
ST4 ノイズBPF手段
ST3 第一平滑手段
ST5 第二平滑手段
ST6 差分特定手段
ST7〜ST8 判定手段

Claims (11)

  1. 一次コイルと二次コイルとを有する点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例した検出信号を出力するイオン電流検出回路と、を有して構成され、
    前記制御装置は、
    前記スイッチング素子がOFF状態である所定のデータ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を通過帯域とするノックBPF処理を実行するノック抽出手段と、
    前記データ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を遮断帯域とする一方でノック周波数帯域の上側帯域と下側帯域とを通過帯域とするノイズBPF処理を実行するノイズ抽出手段と、
    前記ノックBPF処理後の各信号値を、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化する第一平滑手段と、
    前記ノイズBPF処理後の各信号値を、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化する第二平滑手段と、
    前記第一平滑手段と第二平滑手段の演算結果を対比して、その差分値を特定する差分特定手段と、
    前記差分特定手段が特定する差分値に基づいてノッキングが発生しているか否かを判定する判定手段と、を設け、
    前記ノックBPF処理及びノイズBPF処理の通過帯域の設計特性を、BPFの中心周波数における通過特性の20%位置で評価した場合に、前記ノックBPF処理及びノイズBPF処理の周波数帯域は、ノックBPFの通過帯域の両端にノイズBPFの通過帯域が重複する程度に近接して設けられていることを特徴とする燃焼制御装置。
  2. 前記差分特定手段は、第一平滑手段の平滑化処理後の信号値と、第二平滑手段の平滑化処理後の信号値とのレベル差を、時間軸上で累積することで前記差分値を特定する請求項1に記載の燃焼制御装置。
  3. 前記ノイズBPF処理における下側帯域の中心周波数FLは、ノック周波数帯域の中心周波数F0[kHz]の0.6*F0〜0.8*F0に設定される請求項1又は2に記載の燃焼制御装置。
  4. 前記ノイズBPF処理における上側帯域の中心周波数FHは、FH=2*F0−FLに設定されている請求項1〜の何れかに記載の燃焼制御装置。
  5. 前記各BPF処理は、30次以上65次以下の次数Mを有するFIRフィルタで構成されている請求項1〜の何れかに記載の燃焼制御装置。
  6. 前記所定個数の信号値は、FIRフィルタの次数Mに対して、M*(0.75〜1.25)個の信号値であり、自己の前後の個数が同数である請求項に記載の燃焼制御装置。
  7. 前記検出信号は、30kHzより高いサンプリング周波数で取得される請求項1〜の何れかに記載の燃焼制御装置。
  8. 前記ノイズBPF処理における上側帯域と下側帯域の通過帯域幅とは、設計値として同一幅に設定されている請求項1に記載の燃焼制御装置。
  9. 第一平滑手段及び第二平滑手段による平滑化処理は、各BPF処理後の信号値を、前記所定個数の信号値の中央値で置き換えることで実現される請求項1〜の何れかに記載の燃焼制御装置。
  10. 前記中央値は、各BPF処理後の信号値を、その絶対値で評価して抽出される請求項に記載の燃焼制御装置。
  11. 前記データ解析区間は、内燃機関の着火動作が終了して熱発生が本格化したことを示すイオン信号の第二ピークの位置と、その後方の領域とを含んで、運転状態毎に予め設定されている請求項1〜10の何れかに記載の燃焼制御装置。
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