JP2014040788A - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】確実にノッキング発生を検出できるノック検出装置を提供する。
【解決手段】点火コイルの通電を制御するスイッチング素子QをON/OFF動作させる制御装置ECUは、ノック周波数帯域を通過帯域とするノックBPF処理(ST2)と、ノック周波数帯域を遮断帯域とするノイズBPF処理(ST4)と、ノックBPF処理後の信号値と、ノイズBPF処理後の信号値とに基づいて、判定用抽出値(Y)を特定する処理(ST6)と、検出信号の信号累積値を判定パラメータ(X)とする処理(ST9)と、正常燃焼時における判定用抽出値Yと判定パラメータXとの相関式(Y=a*X+b)を規定する倍率係数aに対応する補正係数Aで、判定用抽出値(Y)を補正してノックパラメータ(K)とする補正処理(ST10)と、ノックパラメータ(K)に基づいてノック発生を判定する処理(ST11)とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車エンジンなどの内燃機関の燃焼制御装置に関し、特に、運転状態や検出回路の回路感度などの相違に拘らず、確実にノック判定ができる燃焼制御装置に関する。
一般に、内燃機関のノッキング(以下ノックと略す)とは、混合気の自然発火(プレ・イグニッション)によって発生した爆発と、点火プラグによって発生した爆発とがぶつかり合い、衝撃波を発生する異常状態を意味する。そして、このような異常状態を素早く解消して内燃機関を保護する燃焼制御が必要であり、混合気の燃焼時に発生するイオンに基づいて、ノック発生を検出することが考えられる。
すなわち、内燃機関が正常に燃焼している場合には、イオン信号は第一ピークを示した後、上死点TDCの手前で減少して再び増加し、燃焼圧が最大となるクランク角の近傍で、サーマルイオンの挙動に対応して第二ピークを示すので、例えば、この第二ピークに着目してノック発生を検出することが考えられる。
そして、かかる観点から本発明者が検討したところ、イオン波形の振動成分の強度は、ノック強度だけでなくイオン濃度などの影響も受けるので、特に、イオン電流が低レベル化するとノック判定の精度が劣ることが明らかとなった。また、ノック信号との区別が困難なコロナノイズが発生することがあり、このような場合にも、ノック判定の精度が劣化する。そこで、出願人は、この問題点を解決するべく検討を深めて、特許文献1に記載の発明を完成させている。
特許文献1に記載の発明は、所定のデータ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を通過域とするノックBPF処理を実行すると共に、そのBPF処理出力を平滑化する第一処理と、前記検出信号について、ノック周波数帯域を遮断域とするノイズBPF処理を実行すると共に、そのBPF処理出力を平滑化する第二処理と、第一処理と第二処理の差分値を時間軸上で累積して判定用抽出値Yを算出する第三処理と、前記検出信号について信号累積値Xを算出する第四処理と、判定式Y=AX+Bに基づいて、判定用抽出値Yが、信号累積値Xに対応する最低抽出値Yを超えるか否かを評価する第五処理と、を有して構成されている(図6、図7参照)。
この発明によれば、ノック信号と区別困難なノイズの重畳したイオン検出信号であっても、正確にノック判定をすることができる。
特願2012−026513号
しかし、本発明者による更なる研究によると、イオン濃度の違いや、イオン信号の検出回路の機器毎の感度差などに基づいて、十分な検出精度が維持できない場合があることが明らかとなった。図8は、この点を説明する図面であり、正常燃焼状態(Tr-y)と、意図的に発生させた、軽微レベル(trace )から重度レベル(knk3)までのノック状態におけるノックパラメータが、検出回路の感度の違いに対応して、どのように変化するかを示している。なお、判定式Y=A*X+Bにおいて、判定パラメータXを、解析区間におけるノック信号の累積値(信号累積値)とする場合(図8(a))と、ノック信号の二次ピーク値とする場合(図8(b))とを図示している。
図示の通り、同じノック状態(トレースtrace 、ライトknk1〜ヘビーknk3)でありながら、図8(a)の場合には、ノックパラメータ(判定用抽出値Y)が、回路感度に対応して1.5倍程度まで増加し、図8(b)の場合には、2倍程度まで増加することが確認される。
そもそも、イオン濃度は、運転状態に応じて種々変化し、また回路感度についても個々の自動車毎に多少相違するので、このような違いを吸収したノック判定の手法が強く望まれるところである。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、運転状態や検出回路の回路感度などの相違に拘らず、確実にノック判定ができる燃焼制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、一次コイルと二次コイルとを有する点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例した検出信号を出力するイオン電流検出回路と、を有して構成され、前記制御装置は、前記スイッチング素子がOFF状態である所定のデータ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を通過帯域とするノックBPF処理を実行するノック抽出手段と、前記データ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を遮断帯域とする一方でノック周波数帯域の外側領域を通過帯域とするノイズBPF処理を実行するノイズ抽出手段と、前記ノックBPF処理後の信号値と、前記ノイズBPF処理後の信号値とに基づいて、判定用抽出値(Y)を特定する第一特定手段と、前記所定のデータ解析区間の検出信号について、その時間軸上の信号累積値か、時間軸上のピーク値を特定して、その何れかを判定パラメータ(X)とする第二特定手段と、所定レベルを超える判定用抽出値Yについて、正常燃焼時における判定用抽出値Yと判定パラメータXとの相関式(Y=a*X+b)を規定する比例係数aに対応する補正係数Aで補正してノックパラメータ(K)とする補正手段と、補正手段が算出したノックパラメータ(K)に基づいてノック発生を判定する判定手段と、を有して燃焼制御動作を実行している。
前記ノイズ抽出手段は、ノック周波数帯域の上側帯域と下側帯域とを通過帯域とするのが好適である。また、第一特定手段は、前記ノックBPF処理後の各信号値について、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化し、平滑化後の信号値に基づいて判定用抽出値(Y)を特定すること、及び/又は、前記ノイズBPF処理後の各信号値について、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化し、平滑化後の信号値に基づいて判定用抽出値(Y)を特定することが好ましい。
ここで、第一特定手段は、ノックBPF処理後の各信号値を平滑化した後の各信号値と、ノイズBPF処理後の各信号値を平滑化した後の各信号値とを、時間軸上で順番に対比して、その差分値を算出すると共に、算出した差分値を時間軸上に累積して判定用抽出値(Y)とするのが更に好ましい。また、補正係数Aは、比例係数aと同一か、比例係数aより大きい値であるのが典型的である。
前記所定のデータ解析区間は、内燃機関の着火動作が終了して熱発生が本格化したことを示す検出信号の第二ピークの位置と、その後方の領域とを含んで、運転状態毎に予め設定されるのが好適であり、前記平滑化処理は、各BPF処理後の信号値を、前記所定個数の信号値の中央値で置き換えるのが好適である。
ここで、前記中央値は、各BPF処理後の信号値を、その絶対値で評価して抽出されるのが更に好ましい。前記各BPF処理は、30次以上65次以下の次数を有するFIRフィルタで構成されるのが好適であり、前記所定個数の信号値は、FIRフィルタの次数Mに対して、M*(0.75〜1.25)個の信号値であり、自己の前後の個数が同数であるのが好ましい。また、検出信号は、30kHzより高いサンプリング周波数で取得されるのが好適である。
上記した本発明によれば、運転状態や検出回路の回路感度などの相違に拘らず、確実にノック判定ができる燃焼制御装置を実現することができる。
実施例に係る燃焼制御装置の構成を示す回路図である。 燃焼制御装置の動作を説明するタイムチャートである。 燃焼制御装置の動作を説明するフローチャートである。 実施例で使用するBPF処理の周波数特性を説明する図面である。 実施例の効果を示す図面である。 先行発明におけるノック判定式Y=A*X+Bを説明する図面である。 イオン波形の終盤にノック信号と区別困難なコロナノイズが重畳しているイオン波形を例示したものである。 先行発明の問題点を説明する図面である。
以下、実施例について更に詳細に説明する。図1は、実施例に係る燃焼制御装置DETを示す回路図であり、図2は、燃焼制御装置DET各部の概略波形を示すタイムチャートである。
図1に示す通り、この燃焼制御装置DETは、内燃機関の電子制御ユニットたるECU(Engine Control Unit )と、一次コイルL1と二次コイルL2からなる点火コイルCLと、ECUから受ける点火パルスPLSに基づく遷移動作によって一次コイルL1の電流ic1をON/OFF制御するスイッチング素子Qと、二次コイルL2の誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグPGと、イオン信号検出回路IONと、を中心に構成されている。
イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、ECUのA/Dコンバータ(不図示)に供給され、デジタルレベルのイオン信号としてECUのメモリに記憶される。ここで、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、点火パルスPLSの立下りタイミングからイオン電流が消滅するまでのデータ取得区間において取得される。そして、全データが取得された後で、運転状態毎に決定されているデータ解析区間WINにおいて、後述するノックBPF処理やノイズBPF処理が実行される。
そのため、ECUには、解析開始位置Aから解析終了位置Cに至るデータ解析区間WINを、運転状態毎に特定する参照テーブルTBLが設けられている。なお、運転状態は、例えば、エンジンの吸気管圧力と、エンジンの回転数と、EGR制御時のEGR量などで特定され、これらを検索パラメータとして参照テーブルTBLを検索することで、データ解析区間WINが特定される。
内燃機関が正常に燃焼している場合には、イオン電流は第一ピークを示した後、上死点TDCの手前で減少して再び増加し、燃焼圧が最大となるクランク角の近傍で最大となり、イオン電流の第二ピークを示す。ここで、第一ピーク付近の波形は、燃焼開始時のケミカルイオンの挙動を示し、第二ピーク付近の波形は、燃焼開始後の熱発生により発生するサーマルイオンの挙動を示していると思われる。
そこで、本実施例では、解析開始位置Aが、イオン電流の第二ピーク位置の少し手前の位置となるよう、また、解析終了位置Cが、燃焼反応が完了した位置となるよう実験的に特定されて、ECUの参照テーブルTBLに規定されている。
以下、回路構成について詳述すると、スイッチング素子Qは、ここではIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )が使用されている。そして、スイッチング素子Qのコレクタ端子は、一次コイルL1を経由してバッテリ電圧VBを受けており、エミッタ端子は、グランドに接続されている。
イオン信号検出回路IONは、電流検出回路として機能するOPアンプAMPを中心に構成され、コンデンサC1、ツェナーダイオードZD、ダイオードD1,D2、抵抗R1〜R3を有して構成されている。コンデンサC1とツェナーダイオードZDの並列回路によって、イオン電流検出時のバイアス電圧が生成される。
二次コイルL2の高圧端子は、点火プラグPGに接続され、低圧端子は、前記バイアス電圧を生成するコンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路に接続されている。そして、コンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路は、ダイオードD1を通して、グランドに接続されている。図示の通り、ダイオードD1のカソード端子がグランドに接続されている。
一方、ダイオードD1のアノード端子は、電流制限抵抗R1を経由してOPアンプの反転入力端子(−)に接続されている。そして、OPアンプAMPの反転入力端子(−)と出力端子の間に、電流検出抵抗R2が接続され、出力端子のグランド間には、負荷抵抗R3が接続されている。また、OPアンプの非反転端子(+)は、グランドに接続され、反転端子(−)には、ダイオードD2のカソード端子が接続されている。なお、ダイオードD2のアノード端子はグランドに接続されている。
上記した構成の燃焼制御装置DETでは、タイミングT0において、点火パルスPLSがHレベルからLレベルに変化すると、二次コイルL2に誘起される高電圧によって点火プラグPGが放電する。この放電電流は、点火プラグPG→二次コイルL2→コンデンサC1→ダイオードD1の経路で流れるので、コンデンサC1は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧により規定される電圧値に充電される。
点火プラグPGの放電によって燃焼室の混合気が着火されると、その後、急速に燃焼反応が進行するが、イオン電流iは、電流検出抵抗R2→電流制限抵抗R1→コンデンサC1→二次コイルL2→点火プラグPGの経路で流れる。したがって、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、Vo=R2*iとなり、イオン電流iに比例した値となる。
続いて、燃焼制御装置DETの動作内容について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
ECUは、各点火サイクル毎に、点火パルスPLSを立下げて(T0)、一次コイルL1の電流を遮断状態にした後、データ取得区間について、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voを、デジタル変換してイオン電流の検出信号SG(i)としてメモリに記憶する(ST1)。
サンプリング周波数は、特に限定されないが、この実施例では、精密なノック判定を実現するべく50kHzに設定されている。なお、データ取得区間は、燃焼反応が確実に完了するタイミングで終了するが、この終期は、運転状態に対応して予め実験的に決定されている。
ステップST1の処理で取得される検出信号SG(i)は、ノック信号が重畳されて異常燃焼状態の挙動を示す場合と、ノック信号が重畳されることなく正常燃焼状態の挙動を示す場合とがある。また、ノック信号とは別に、燃焼状態の適否に拘らず、ノック信号と区別困難なコロナノイズなどが重畳されている場合もある。しかし、本実施例の構成によれば、ノック信号だけを特異的に取得して燃焼状態を正しく判定することができる。
ステップST1の処理が終われば、次に、参照テーブルTBLを参照して、その時々の運転状態に対応する解析区間WIN=[A,C]について、解析開始位置Aと解析終了位置Cを特定し、解析区間WINについて、ノック周波数を通過帯域とするノックBPF処理を実行する(ST2)。
本実施例の場合には、ノック周波数は、予め実験的に8kHzであると特定されており、ノックBPF処理の中心周波数8kHzに対する20%フィルタゲイン位置を、ノックBPF処理の帯域幅と定義すると、帯域幅の設計値は、図4(a)に示す通り、6.5kHz〜9.5kHzの3kHzとなる。なお、実施例では、上記した周波数特性を実現するべく、窓関数法によるフィルタ設計手法をとっており、具体的には、ハミング窓を使用して、53次(=2X+1)のFIRデジタルフィルタ係数を特定している。このデジタルフィルタは、そのインパルス応答h(n)が、左右対称h{(X+m)}=h{(X−m)}(但し、m=0,1,・・・,X)であり、X=26である。
ステップST2のノックBPF処理が終われば、次に、ノックBPF処理後のデータSG1(i)の絶対値ABS(SG1(i))について、第一平滑化処理としてノック・メディアン処理を実行する(ST3)。本実施例のノック・メディアン処理では、ノックBPF処理後の全てのデータSG1(i)が、所定の時間幅D(自己を含んだ前後28個の時間幅)の絶対値データ列ABS(SG1(i−28))・・・ABS(SG1(i+28))の中央値D1(i)に置き換えられる。
すなわち、本実施例のノック・メディアン処理では、各データSG1(i)に先行する28点と、各データSG1(i)に続く28点と、自己データSG1(i)とを含んだ時間幅Dの57個のデータ(絶対値ABS)の中央値D1(i)が特定され、各データSG1(i)が中央値D1(i)に変換されることで平滑化される。なお、本実施例のサンプリング周期は、20μS(=1/50kHz)であるので、ノック・メディアン処理の時間幅Dは、57×20=1.14mSとなる。
ステップST3の処理が終われば、次に、ノック周波数帯域を減衰帯域とする一方で、ノック周波数帯域の上側領域と下側領域を通過帯域とするノイズBPF処理を実行する(ST4)。図4(a)に示す通り、実施例のノイズBPF処理は、フィルタゲイン=1の中心周波数(5.5kHz、10.5kHz)を2つ設けた双峰特性を有しており、双峰特性の通過帯域の間に、フィルタゲイン20%以下の減衰領域を設けている。
実施例の場合、図4(a)に示す双峰特性の通過帯域は、6.5kHz〜9.5kHzを通過帯域とする下側BPFと、9kHz〜12kHzを通過帯域とする上側BPFとを組合せて構成されて、上側及び下側とも通過帯域幅を3kHzとしている。このような構成を採ることで、図4(b)に示すような、低レベルで広帯域になだらかに延びるスペクトル分布を示すコロナノイズについても、その成分を確実に取得できることになる。
なお、図4(b)に示すスペクトル分布は、多数のコロナノイズの実測データの一例であり、他の実測データは、低レベルで広帯域になだらかに延びる点では共通するものの、具体的なスペクトル形状は全く相違している。したがって、ノック周波数帯域を遮断帯域とすると共にノック周波数帯域の上側帯域と下側帯域とを通過帯域とする本実施例のノイズBPF処理の意義は大きい。
そして、実施例では、図4(a)に示すノイズBPFの周波数特性(双峰特性)を実現するべく、窓関数法によるフィルタ設計手法をとっており、ハミング窓を使用して、53次のFIRデジタルフィルタ係数を特定している。このデジタルフィルタも、そのインパルス応答h(n)が、左右対称h{(X+m)}=h{(X−m)}(但し、m=0,1,・・・,X)であり、X=26である。
以上のノイズBPF処理(ST4)が終われば、続いて、ノイズBPF処理後のデータSG2(i)の絶対値ABS(SG2(i))について、第二平滑化処理としてノイズ・メディアン処理を実行する(ST5)。このノイズ・メディアン処理は、ノック・メディアン処理と類似する手法であり、ノイズBPF処理後の全てのデータSG2(i)が、自己を含んだ前後49個の時間幅Dの絶対値データ列ABS(SG2(i−24))・・・ABS(SG2(i+24))の中央値D2(i)に置き換えられる。
次に、ステップST3のノック・メディアン処理の結果データD1(i)と、ステップST5のノイズ・メディアン処理の結果データD2(i)とを、時間軸上に対比して、D1(i)>D2(i)なる場合には、2つのメディアン処理の結果データの差分値D1(i)−D2(i)を累積して判定用抽出値Yを算出する(ST6)。この累積処理Σ(D1(i)−D2(i))によって、コロナノイズなどの影響が排除されたノック情報として、判定用抽出値Yが算出される。
なお、ノック・メディアン処理及びノイズ・メディアン処理は、何れもBPF処理後のデータの絶対値について実行されているので、累積演算Y=Σ(D(i)−D2(i))において、各結果データD1(i),D2(i)は、必ず正の値を示す。
続いて、判定用抽出値Yが、バックグランド値BGを上回るか否かを判定する(ST7)。ここで、バックグランド値BGは、明らかに、ノック信号が重畳していないと思われる判定用抽出値Yを、その後のノック判定から排除するための閾値である。
バックグランド値BGの決定は適宜であるが、例えば、正常燃焼状態において算出した多数の判定用抽出値(正常値)Yから決定される。より具体的には、バックグランド値BGは、正常燃焼状態における判定用抽出値Yの上限ラインに設定される。したがって、ステップST6で算出した判定用抽出値Yが、Y≦BGとなる場合には、ノックが発生していないとして、ノックパラメータKを、K=0に設定する(ST8)。
一方、ステップST6で算出した判定用抽出値Yが、Y>BGとなる場合には、解析区間[A,C]の検出信号SG(i)について、その、時間軸上の信号累積値X=ΣSG(i)を算出して判定パラメータXとする(ST9)。なお、判定パラメータXは、必ずしも信号累積値ΣSG(i)である必要はなく、検出信号SG(i)の二次ピーク値を判定パラメータXとしても良い(ST9’)。
何れにしても、判定パラメータXと、予め実験的に特定されている補正係数Aとで、判定用抽出値Yを補正演算して、その演算結果Y/(A*X)をノックパラメータKとする(ST10)。ここで、補正係数Aは、正常燃焼状態において算出した多数のサンプルデータに基づいて決定される。具体的には、正常燃焼状態における多数のサンプルデータから、判定パラメータXと、判定用抽出値(正常値)Yとの相関式をY=a*X+bと特定し、特定した相関式の比例係数aをk倍することで補正係数Aを決定する。ここで、適合係数kは、実験的に最適値が選択されるが、何れの場合もk≧1となる。
次に、ステップST10の処理で算出したノックパラメータK(=Y/(A*X))を、閾値THと比較し、K>THとなる場合にはノック発生と判定する。そして、ノック発生時には、次回の点火サイクルでは点火時期を遅角させるなどの燃焼制御を実行することで内燃機関の破損を防止する(ST12)。なお、補正係数Aや閾値THは、運転状態毎に参照テーブルTBLに記憶されている。
以上の通り、この実施例では、第一平滑化処理と第二平滑化処理の処理結果D1(i),D2(i)の差分値を累積した判定用抽出値Y=Σ(D1(i)−D2(i))を使用することでコロナノイズなどの影響を排除している。また、判定用抽出値Yを、補正係数Aと判定パラメータXとで補正演算して、その演算結果Y/(A*X)をノックパラメータKとするので、検出信号(イオン信号)のレベルの相違に拘らず、ノック発生を高精度に判定することができる。
この点を特許文献1に記載の先行発明と対比すると、先行発明では、判定パラメータXと、判定用抽出値Yとの相関式をY=a*X+bと特定し、相関式の全体をk倍することで(k[a*X+b])、判定式Y=A*X+Bを構築していた(図6参照)。
そのため、適合計数kを大きく設定すると、Y切片であるk*b=Bが大きい分だけ低レベルのイオン信号に重畳したノック信号を見逃すおそれがあった。すなわち、本実施例のように、ノックBPF処理とノイズBPF処理とを併用するアルゴリズムを採ると、相関式Y=a*X+bの比例係数aが1に近い値となるので、これに対応して適合係数kが1より大きい値となり、その結果、Y切片(k*b)が判定結果に与える影響が大きいものとなる(図3(b)の破線参照)。
一方、低レベルのイオン信号に重畳したノック信号の見逃しを避けるために、適合係数kを小さく設定すると、判定式Y=A*X+Bの傾斜(比例係数A)が緩やかとなるので、正常燃焼をノック発生と誤判定するおそれがあった。
しかし、本実施例では、そのような点が解消される。すなわち、本実施例では、Y切片(=B)の無い判定式(Y=A*X)を仮想的に設け、この判定式Yとの離間距離を正規化して評価しているので(K=Y/Y)、イオン濃度などに基づいて検出信号(イオン信号)が低レベル化しても、これに重畳したノック信号を見逃すことがなく、また、適合係数kを最適に設定することができ、ノック判定の判定精度を上げることができる。
また、イオン信号の検出回路の感度が、自動車毎に異なった場合でも、ノック検出精度を維持することができる。図5(a)は、イオン信号の検出回路の感度が変化しても、本実施例のノックパラメータKが、殆ど変化しないことを示すものであり、先行発明に関する図8(a)や図8(b)に対応する図面である。
図5(b)に示す通り、ノックレベルが相違する3段階のノック状態(knk1-knk3 )において、イオン信号の検出感度が変っても、ノックパラメータKの値が変化していないことが確認される。すなわち、図5(b)は、検出倍率1の場合のノックパラメータKに対する、検出倍率2と検出倍率4の場合のノックパラメータKの相対比率を示しており、相対比率が、ほぼ1であることが示されている。なお、同一サンプルを対比する必要性から、同一サンプルデータを、コンピュータ処理で2倍又は4倍した仮想サンプルデータについて、同一の処理を施してイオンパラメータKを算出している。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではない。例えば、実施例では、イオン信号検出回路として、最も簡易な回路構成を例示したが、より複雑な回路構成と採っても良いのは勿論である。
L1 一次コイル
L2 二次コイル
CL 点火コイル
Q スイッチング素子
ECU 制御装置
PG 点火プラグ
ION イオン信号検出回路
ST2 ノック抽出手段
ST4 ノイズ抽出手段
ST6 第一特定手段
ST9 第二特定手段
ST10 補正手段
ST11 判定手段

Claims (12)

  1. 一次コイルと二次コイルとを有する点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例した検出信号を出力するイオン電流検出回路と、を有して構成され、
    前記制御装置は、
    前記スイッチング素子がOFF状態である所定のデータ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を通過帯域とするノックBPF処理を実行するノック抽出手段と、
    前記データ解析区間の検出信号について、ノック周波数帯域を遮断帯域とする一方でノック周波数帯域の外側領域を通過帯域とするノイズBPF処理を実行するノイズ抽出手段と、
    前記ノックBPF処理後の信号値と、前記ノイズBPF処理後の信号値とに基づいて、判定用抽出値(Y)を特定する第一特定手段と、
    前記所定のデータ解析区間の検出信号について、その時間軸上の信号累積値か、時間軸上のピーク値を特定して、その何れかを判定パラメータ(X)とする第二特定手段と、
    所定レベルを超える判定用抽出値Yについて、正常燃焼時における判定用抽出値Yと判定パラメータXとの相関式(Y=a*X+b)を規定する比例係数aに対応する補正係数Aで補正してノックパラメータ(K)とする補正手段と、
    補正手段が算出したノックパラメータ(K)に基づいてノック発生を判定する判定手段と、
    を有して燃焼制御動作を実行することを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 前記ノイズ抽出手段は、ノック周波数帯域の上側帯域と下側帯域とを通過帯域とする請求項1に記載の燃焼制御装置。
  3. 第一特定手段は、前記ノックBPF処理後の各信号値について、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化し、平滑化後の信号値に基づいて判定用抽出値(Y)を特定する請求項1又は2に記載の燃焼制御装置。
  4. 第一特定手段は、前記ノイズBPF処理後の各信号値について、自己の前後に連続する所定個数の信号値に基づいて平滑化し、平滑化後の信号値に基づいて判定用抽出値(Y)を特定する請求項1〜3の何れかに記載の燃焼制御装置。
  5. 第一特定手段は、
    ノックBPF処理後の各信号値を平滑化した後の各信号値と、ノイズBPF処理後の各信号値を平滑化した後の各信号値とを、時間軸上で順番に対比して、その差分値を算出すると共に、算出した差分値を時間軸上に累積して判定用抽出値(Y)とする請求項4に記載の燃焼制御装置。
  6. 補正係数Aは、比例係数aと同一か、比例係数aより大きい値である請求項1〜5の何れかに記載の燃焼制御装置。
  7. 前記所定のデータ解析区間は、内燃機関の着火動作が終了して熱発生が本格化したことを示す検出信号の第二ピークの位置と、その後方の領域とを含んで、運転状態毎に予め設定されている請求項1に記載の燃焼制御装置。
  8. 前記平滑化処理は、各BPF処理後の信号値を、前記所定個数の信号値の中央値で置き換えることで実現される請求項3又は4に記載の燃焼制御装置。
  9. 前記中央値は、各BPF処理後の信号値を、その絶対値で評価して抽出される請求項8記載の燃焼制御装置。
  10. 前記各BPF処理は、30次以上65次以下の次数を有するFIRフィルタで構成されている請求項1〜9の何れかに記載の燃焼制御装置。
  11. 前記所定個数の信号値は、FIRフィルタの次数Mに対して、M*(0.75〜1.25)個の信号値であり、自己の前後の個数が同数である請求項8に記載の燃焼制御装置。
  12. 前記検出信号は、30kHzより高いサンプリング周波数で取得される請求項1〜11の何れかに記載の燃焼制御装置。
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