JP3502580B2 - 内燃機関のノック検出装置 - Google Patents

内燃機関のノック検出装置

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JP3502580B2
JP3502580B2 JP26162799A JP26162799A JP3502580B2 JP 3502580 B2 JP3502580 B2 JP 3502580B2 JP 26162799 A JP26162799 A JP 26162799A JP 26162799 A JP26162799 A JP 26162799A JP 3502580 B2 JP3502580 B2 JP 3502580B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関の燃焼
時に点火プラグを介して流れるイオン電流のレベル変化
から内燃機関のノッキング発生を判定する内燃機関のノ
ック検出装置に関し、特にノック信号の積分値を判定対
象とした場合において、低振幅で且つ長期間にわたるノ
イズ成分を排除することにより、積分値のS/N比を向
上させて、ノイズをノックとして誤検出することを確実
に防止した内燃機関のノック検出装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】周知のように、内燃機関においては、燃
焼室内に導入された空気と燃料の混合気をピストンの上
昇により圧縮し、燃焼室内に設置された点火プラグに高
電圧を印加して電気火花を発生させ、混合気を燃焼させ
ることによって発生したピストンの押し下げ力を出力と
して取り出している。
【0003】このとき、燃焼室内において燃焼が行われ
ると、燃焼室内の分子が電離(イオン化)するので、燃
焼室内に設置した点火プラグ(イオン電流検出用電極)
に高電圧を印加すると、電荷を有するイオンにより電流
(イオン電流)が流れる。
【0004】このイオン電流は、燃焼室内の圧力変動に
より敏感に変化するため、イオン電流にはノック発生量
に対応した振動成分が含まれることが知られている。し
たがって、イオン電流に基づいてノックの有無を判定す
ることができる。
【0005】従来より、内燃機関の燃焼時により生じる
イオン量の変化からノック発生を判定する内燃機関のノ
ック検出装置は種々提案されており、たとえば、イオン
電流から抽出されたノック信号のピークホールド値に基
づいてノック判定を行う装置が提案されている。
【0006】しかし、ピークホールド値を判定対象に用
いた場合は、イオン電流のステップ的な変化の影響によ
りS/N比が低下して誤判定し易いので、イオン電流の
瞬時変化による影響を抑制するために、ノック信号の積
分値に基づいてノック判定を行う装置も提案されてい
る。
【0007】図4はたとえば特開平6−159129号
公報に記載された従来の内燃機関のノック検出装置の要
部を概略的に示すブロック図であり、ノック判定対象と
して積分信号Kmを算出する回路のみが示されている。
【0008】図4において、点火装置(図示せず)と関
連するイオン電流検出回路1は、点火装置を介してイオ
ン電流を流すためのバイアス電源を含み、イオン電流を
増幅して検出し、イオン電流検出信号Eiを出力する。
【0009】イオン電流検出回路1は、最終的にノック
周波数帯のノック信号Kiを出力する回路であれば、ど
のように構成されていてもよい。なお、ここでは、図示
されないが、周知のように、バイアス電源は、点火プラ
グに接続されている。
【0010】バンドパスフィルタ2は、ノック振動に対
応した所定周波数特性を有し、イオン電流検出信号Ei
からノック信号Kiを増幅して抽出する。絶対値回路3
は、イオン電流検出信号Eiから分離されたノック信号
Kiを絶対値化する。
【0011】積分回路4は、絶対値化されたノック信号
Kiを積分処理して積分信号Kmを算出する。積分信号
Kmは、比較手段5(ノック判定手段)に入力されて、
バックグランドレベル(ノック判定レベル)と比較さ
れ、ノック発生の有無の判定に用いられる。
【0012】図5は従来の内燃機関のノック検出装置の
動作を示す波形図である。図5において、点火信号P
は、内燃機関の各点火サイクル毎に点火装置に印加さ
れ、周知のように、パワートランジスタ(図示せず)を
オンオフして、点火コイルの一次巻線(図示せず)を通
電遮断する。
【0013】イオン電流検出信号Eiは、点火信号Pが
オンした直後および点火信号Pがオフした後の燃焼期間
において生成される。ノック信号Kiは、イオン電流検
出信号Eiに重畳された高周波振動成分のみが抽出され
ることにより生成される。
【0014】積分信号Kmは、ノック信号Kiの絶対値
成分を積分してピークホールドし、各データ取得タイミ
ングt1、t2毎にリセットされる。
【0015】たとえば、積分信号Kmにおいて、ノック
発生時の波形Kmaは、バックグランドレベルBG以上
のレベルに達している。また、低振幅で且つ長期間にわ
たるノイズ振動Knが発生したときの積分信号の波形K
mbは、ノック発生時の波形Kmaよりも低レベルであ
るが、比較的高レベルに達している。
【0016】図5において、イオン電流検出信号Eiに
は、ノックが発生していない正常な燃焼の場合において
も、低振幅のノイズ振動が重畳して、低レベルのノイズ
振動Knがノック信号Kiとして検出されることがあ
る。
【0017】また、イオン電流検出信号Eiのステップ
的な変化に起因して、ノック発生時と同レベルのピーク
波形がノック信号Kiに重畳することがある。このよう
に、非常に短時間のうちに変化するステップ状の電流
は、積分値に対する影響が小さく、ノック発生時の積分
値に比べて小さいので、正確なノック検出を維持するこ
とができる。
【0018】しかし、低振幅で且つ長期間にわたるノイ
ズ振動Knが発生した場合には、ノックの有無に対応し
た各積分信号の波形レベルKma、Kmbの間に大きな
レベル差が生じないので、ノック検出が困難となり得
る。
【0019】特に、電源やグランド電位の変動、電波の
影響、または、イオン電流自体の変動などにより、イオ
ン電流検出信号Eiには、ノック周波数帯の近傍のノイ
ズ振動Knが重畳することがある。
【0020】このような場合、低振幅で且つ長期間にわ
たるノイズ成分により積分信号Kmが上昇し、ノック判
定を良好に行うためのS/N比を確保することは極めて
困難となる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】従来の内燃機関のノッ
ク検出装置は以上のように、ノック周波数帯の近傍のノ
イズ振動Knが低振幅で且つ長期間にわたってイオン電
流検出信号Eiに重畳した場合、積分信号Kmがバック
グランドレベルBG以上に上昇してしまい、ノイズをノ
ックとして誤判定するおそれがあるという問題点があっ
た。
【0022】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、低振幅で且つ長期間にわたるノ
イズ成分がイオン電流検出信号に重畳しても、ノイズを
ノック誤判定することを防止して、良好なノック検出状
態を確保した内燃機関のノック検出装置を得ることを目
的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る内燃機関のノック検出装置は、内燃機関の燃焼時に点
火プラグを介して流れるイオン電流を検出するイオン電
流検出手段と、イオン電流からノック信号を抽出するフ
ィルタ手段と、ノック信号に基づいて内燃機関のノック
状態を判定するノック判定手段とを備えた内燃機関のノ
ック検出装置において、ノック信号を積分処理して第1
の積分値を算出する第1の積分手段と、第1の積分値に
基づいて基本スレッショルドを設定するスレッショルド
設定手段と、ノック信号のうち下限レベル以上の振幅の
ノック信号のみを積分処理して第2の積分値を算出する
第2の積分手段と、基本スレッショルドを下限レベルと
して設定する下限レベル設定手段とを設け、ノック判定
手段は、第2の積分値に基づいてノック発生を判定する
ものである。
【0024】また、この発明の請求項2に係る内燃機関
のノック検出装置は、請求項1において、スレッショル
ド設定手段は、内燃機関の点火サイクル毎の第1の積分
値を平均化処理した値に基づいて基本スレッショルドを
設定するものである。
【0025】また、この発明の請求項3に係る内燃機関
のノック検出装置は、請求項2において、ノック判定手
段は、1つの点火サイクルにおいてノック発生が判定さ
れた場合には、スレッショルド設定手段による平均化処
理を禁止するものである。
【0026】また、この発明の請求項4に係る内燃機関
のノック検出装置は、請求項2において、ノック判定手
段は、1つの点火サイクルにおいてノック発生が判定さ
れた場合には、基本スレッショルドを前回値にホールド
するものである。
【0027】また、この発明の請求項5に係る内燃機関
のノック検出装置は、請求項1において、ノック判定手
段は、1つの点火サイクルにおいてノック発生が判定さ
れた場合には、第1の積分回路による積分処理を禁止す
るものである。
【0028】また、この発明の請求項6に係る内燃機関
のノック検出装置は、請求項1において、第1の積分手
段に対する上限レベルを設定する上限レベル設定手段を
設け、スレッショルド設定手段は、基本スレッショルド
に基づいてバックグランドレベルを設定し、上限レベル
設定手段は、バックグランドレベルを上限レベルとして
設定し、第1の積分手段は、ノック信号のうち上限レベ
ル以下の振幅のノック信号のみを積分処理して第1の積
分値を算出するものである。
【0029】また、この発明の請求項7に係る内燃機関
のノック検出装置は、請求項6において、スレッショル
ド設定手段は、基本スレッショルドに基づいてオフセッ
ト値を設定し、オフセット値を基本スレッショルドに加
算することにより、バックグランドレベルを設定するも
のである。
【0030】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、この発明の
実施の形態1を図について説明する。図1はこの発明の
実施の形態1を概略的に示すブロック図であり、前述
(図4参照)と同様のものについては、前述と同一符号
を付して詳述を省略する。
【0031】図1において、点火プラグ8に接続された
点火装置7は、パワートランジスタおよび点火コイルな
ど(図示せず)を含み、点火プラグ8に点火用の高電圧
を印加する。ここでは、代表的に、1つの点火プラグ8
のみが示されている。
【0032】イオン電流検出回路1は、前述のバイアス
電源を有し、内燃機関の燃焼時に点火プラグ8を介して
流れるイオン電流iを検出し、バンドパスフィルタ2に
イオン電流検出信号Eiを出力する。バンドパスフィル
タ2を介して抽出されたノック信号Kiは、第1および
第2の積分回路11、12に入力される。
【0033】第1の積分手段11は、上限レベル(後述
する)以下の振幅のノック信号Kiを積分処理して第1
の積分値Km1を算出する。また、第2の積分手段12
は、下限レベル(後述する)以上の振幅のノック信号K
iを積分処理して第2の積分値Km2を算出する。
【0034】第1および第2の積分値Km1、Km2
は、それぞれA/D変換器13、14を介してデジタル
値となり、マイクロコンピュータからなるECU20に
入力される。
【0035】ECU20は、ノック信号Kiに基づいて
内燃機関のノック状態を判定するために、スレッショル
ド設定手段21と、ノック判定手段22と、点火時期補
正手段23とを備えている。
【0036】スレッショルド設定手段21は、第1の積
分値Km1に基づいて、基本スレッショルドTHおよび
バックグランドレベルBGLを設定する。
【0037】スレッショルド設定手段21は、平均化手
段を含み、内燃機関の点火サイクル毎の第1の積分値K
m1を平均化処理した値に基づいて基本スレッショルド
THを設定する。スレッショルド設定手段21における
平均化処理としては、基本スレッショルドTH(平均
値)が算出されれば、どのような算式が用いられてもよ
い。
【0038】また、スレッショルド設定手段21は、基
本スレッショルドTHに基づいてオフセット値を設定
し、オフセット値を基本スレッショルドTHに加算する
ことにより、バックグランドレベルBGLを設定する。
【0039】ノック判定手段22は、比較手段を含み、
第2の積分値Km2がバックグランドレベルBGLを越
えた場合にノック発生を判定し、点火時期補正手段23
に判定信号Hを入力する。
【0040】また、ノック判定手段22は、1つの点火
サイクルにおいてノック発生が判定された場合には、判
定信号Hを禁止指令とすることにより、スレッショルド
設定手段21における基本スレッショルドTHの算出
(平均化処理)を禁止する。
【0041】点火時期補正手段23は、ノック判定手段
22の判定結果(判定信号H)に基づいて点火時期(エ
ンジン制御量)を遅角側(ノック抑制側)に補正し、点
火信号Pを出力する。
【0042】スレッショルド設定手段21から生成され
た基本スレッショルドTHは、D/A変換器31を介し
てアナログ値となり、下限レベル設定手段32に入力さ
れる。
【0043】下限レベル設定手段32は、基本スレッシ
ョルドTHを第2の積分回路12に対する下限レベルと
して設定し、第2の積分回路12において積分処理対象
となるノック信号Kiを、基本スレッショルドTH(下
限レベル)以上のノック信号のみに制限する。
【0044】一方、スレッショルド設定手段21から生
成されたバックグランドレベルBGLは、D/A変換器
33を介してアナログ値となり、上限レベル設定手段3
4に入力される。
【0045】上限レベル設定手段34は、バックグラン
ドレベルBGLを第1の積分回路11に対する上限レベ
ルとして設定し、第1の積分回路11において積分対象
となるノック信号Kiを、バックグランドレベルBGL
(上限レベル)以下のノック信号のみに制限する。
【0046】なお、図示されないが、ECU20には、
クランク角センサなどを含む各種センサが接続されてお
り、エンジンの運転状態を示す各種情報をECU20に
入力している。また、ECU20と点火装置7との間に
は、出力インターフェイスが挿入されている。
【0047】次に、図1に示したこの発明の実施の形態
1の動作について説明する。前述のように、ECU20
から点火信号Pが生成されると、点火装置7から発生し
た高電圧が点火プラグ8に印加され、点火プラグ8のキ
ャップ間で放電が起こり、エンジン気筒内の混合気が着
火される。
【0048】このとき、点火エネルギの一部は、イオン
電流検出回路1内にバイアス電圧として充電される。こ
のバイアス電圧は、点火装置7を介して点火プラグ8に
印加され、混合気の燃焼時に発生したイオンを移動させ
てイオン電流iを流す。
【0049】イオン電流iは、イオン電流検出回路1に
よりイオン電流検出信号Eiとして検出され、さらに、
バンドパスフィルタ2を介してノック信号Kiが抽出さ
れ、第1および第2の積分回路11、12に入力され
る。
【0050】第1および第2の積分回路11、12は、
それぞれ、エンジンの各点火サイクル毎にノック信号K
iの絶対値(または、正電圧側のみ)を積分処理して、
第1および第2の積分値Km1、Km2を算出する。
【0051】また、各A/D変換器13、14は、各積
分値Km1、Km2をA/D変換してデジタル値に変換
し、ECU20に入力する。
【0052】ECU20内のスレッショルド設定手段2
1は、各点火サイクル毎に、第1の積分値Km1を平均
化処理して基本スレッショルドTHを求める。また、ス
レッショルド設定手段21は、基本スレッショルドTH
から算出されるオフセット値を基本スレッショルドTH
に加算して、ノック判定用のバックグランドレベルBG
Lを算出する。
【0053】ECU20内のノック判定手段22は、各
点火サイクル毎に読み込まれる第2の積分値Km2をバ
ックグランドレベルBGLと比較し、Km2>BGLが
判定された場合に、ノック発生を判定して判定信号Hを
出力する。
【0054】一方、基本スレッショルドTHおよびバッ
クグランドレベルBGLは、それぞれ、D/A変換器3
1、33を介してアナログ値に変換され、下限レベル設
定回路32および上限レベル設定回路34に入力され
る。
【0055】下限レベル設定回路32は、基本スレッシ
ョルドTHに基づいて、第2の積分回路12による積分
処理対象を制限し、ノック信号Kiのうち基本スレッシ
ョルドTH(下限レベル)以上の振幅を有する部分のみ
を積分対象とする。
【0056】また、上限レベル設定回路34は、バック
グランドレベルBGLに基づいて、第1の積分回路11
による積分処理対象を制限し、ノック信号Kiのうちバ
ックグランドレベルBGL(上限レベル)以下の振幅を
有する部分のみを積分対象とする。
【0057】次に、図2および図3の波形図を参照しな
がら、この発明の実施の形態1による動作について、さ
らに具体的に説明する。図2および図3は、それぞれ前
述(図5参照)と同様に、点火信号P、イオン電流検出
信号Ei、ノック信号Kiおよび第2の積分値Kmの時
間変化を示している。
【0058】図2および図3において、各時刻t1、t
2は、第2の積分値Km2のA/D変換(データ取得)
タイミングおよびリセットタイミングである。
【0059】図2内の第2の積分値Km2においては、
前述の図5と同様に、ノック発生時の波形Kmaと、低
振幅で且つ長期間のノイズ振動Kn(ノックなし)がイ
オン電流検出信号Eiに重畳した場合の波形(0レベ
ル)とを示している。
【0060】図2において、第2の積分回路12により
積分処理されるノック信号Kiは、基本スレッショルド
TH以上の部分のみなので、基本スレッショルドTHよ
りも小さいレベルのノイズ振動Knは、継続期間が長く
ても積分処理対象となることはない。
【0061】したがって、第2の積分値Km2のノック
発生時の値Kmaは、ノックが発生しない場合の値(ほ
ぼ「0」)と比べて差が大きく、S/N比が向上してお
り、第2の積分値Km2とバックグランドレベルBGL
との比較により、確実にノック判定可能なことが分か
る。
【0062】一方、図3においては、高レベルのノック
信号Kiが連続的に発生した場合を示しており、第2の
積分値Km2は、連続的にノック発生時の波形レベルK
maに達している。
【0063】このとき、第1の積分回路11が高レベル
部分を含むノック信号Kiを積分処理して第1の積分値
Km1を算出すると、第1の積分値Km1の平均化処理
により算出される基本スレッショルドTHは異常上昇し
てしまう。
【0064】この結果、第2の積分値Km2を算出する
ためのノック信号Kiの積分処理対象となる基本スレッ
ショルドTH以上の部分が抑制され過ぎてしまい、第2
の積分値Km2が異常減小してしまうことになる。
【0065】しかし、この場合、第1の積分回路11の
積分処理対象は、バックグランドレベルBGL以下の部
分に制限されるので、スレッショルド設定手段21にお
いて、ノック信号Kiのうち、バックグランドレベルB
GL以上の部分は基本スレッショルドTHの算出(平均
化処理)に用いられない。
【0066】したがって、図3のようにノックレベルの
ノック信号Kiが連続しても、基本スレッショルドTH
が異常上昇することがなく、第2の積分値Km2(ノッ
ク強度の反映値)の減小を防止することができ、ノック
判定手段22は、ノックレベルKma(>BGL)の第
2の積分値Km2に基づいて、確実にノック発生を判定
することができる。
【0067】また、最初の第2の積分値Km2によりノ
ック判定された場合に、判定信号Hによりスレッショル
ド設定手段21の平均化処理を禁止することにより、基
本スレッショルドTHの異常上昇をさらに抑制すること
ができる。
【0068】このように、基本スレッショルドTHを設
定して第2の積分値Km2を算出することにより、ノッ
ク判定において、低振幅で且つ長期間にわたるノイズ成
分の積分をキャンセルして、ノイズ成分の第2の積分値
Km2への混入を最小限に留めることができ、ノック検
出用の第2の積分値Km2のS/N比を向上させて、ノ
ック判定の信頼性を向上させることができる。
【0069】また、ノック発生時において、基本スレッ
ショルドTHの異常上昇を抑制(または、平均化処理演
算を禁止)して、基本スレッショルドTHの上昇度を低
減することにより、第2の積分値Km2の異常低減を防
止することができ、確実なノック判定が可能な状態を維
持することができる。
【0070】さらに、ノック信号Kiを積分処理した第
2の積分値Km2を用いているので、ステップ状のイオ
ン電流変化により発生するノイズ振動の混入時において
も、高いS/N比を確保することができ、ノック判定の
信頼性を確保することができる。
【0071】なお、各積分回路11、12は、ノック信
号Kiの正電圧側の半波を積分電圧変換してもよく、ま
たは、絶対値回路を追加することにより、正負両方向の
電圧を全波積分してもよい。
【0072】また、各積分回路11、12の積分対象区
間として、たとえばエンジンのクランク角度において、
ノック発生の可能性が高いATDC15°〜ATDC6
5°などに設定してもよい。
【0073】また、図1においては、簡略化のために1
気筒分のみの回路構成を示したが、多気筒エンジンにお
いては、補正量演算手段25を含む同様の制御回路手段
を用いて、各気筒の情報に基づいて全気筒に対するパラ
メータの補正制御を実行してもよい。
【0074】また、ノック判定手段22が判定信号Hの
みを出力する場合を示したが、判定信号Hのみならず、
バックグランドレベルBGL(ノック判定レベル)と第
2の積分値Km2との偏差(または、比率)を出力し、
制御補正量に反映させてもよい。
【0075】また、第1の積分値Km1から算出される
バックグランドレベルBGLをノック判定レベルとして
用いたが、点火サイクル毎に得られる第2の積分値Km
2の平均化処理値をノック判定レベルとして用いてもよ
い。
【0076】実施の形態2.なお、上記実施の形態1で
は、1つの点火サイクルにおいて、ノック判定手段22
がノック発生を判定した場合に、スレッショルド設定手
段21の平均化処理を禁止したが、基本スレッショルド
THを前回値にホールドしてもよい。
【0077】実施の形態3.また、ノック判定手段22
がノック発生を判定した場合に、判定信号Hにより第1
の積分回路11による積分処理を禁止してもよい。
【0078】実施の形態4.なお、上記実施の形態1で
は、ECU20内のスレッショルド設定手段21の平均
化処理により基本スレッショルドTHを設定したが、E
CU20の外部に配設されたアナログ回路を用いた平均
化処理により基本スレッショルドTHを設定してもよ
い。
【0079】また、ECU20内のスレッショルド設定
手段21において、バックグランドレベルBGLを設定
したが、ECU20の外部に配設されたアナログ回路に
より算出された基本スレッショルドTHを用いてバック
グランドレベルBGLを設定してもよい。
【0080】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1によ
れば、内燃機関の燃焼時に点火プラグを介して流れるイ
オン電流を検出するイオン電流検出手段と、イオン電流
からノック信号を抽出するフィルタ手段と、ノック信号
に基づいて内燃機関のノック状態を判定するノック判定
手段とを備えた内燃機関のノック検出装置において、ノ
ック信号を積分処理して第1の積分値を算出する第1の
積分手段と、第1の積分値に基づいて基本スレッショル
ドを設定するスレッショルド設定手段と、ノック信号の
うち下限レベル以上の振幅のノック信号のみを積分処理
して第2の積分値を算出する第2の積分手段と、基本ス
レッショルドを下限レベルとして設定する下限レベル設
定手段とを設け、ノック判定手段は、第2の積分値に基
づいてノック発生を判定するようにしたので、低振幅で
且つ長期間にわたるノイズ成分がイオン電流検出信号に
重畳しても、ノイズをノック誤判定することを防止し
て、良好なノック検出状態を確保した内燃機関のノック
検出装置が得られる効果がある。
【0081】また、この発明の請求項2によれば、請求
項1において、スレッショルド設定手段は、内燃機関の
点火サイクル毎の第1の積分値を平均化処理した値に基
づいて基本スレッショルドを設定するようにしたので、
良好なノック検出状態を確保した内燃機関のノック検出
装置が得られる効果がある。
【0082】また、この発明の請求項3によれば、請求
項2において、ノック判定手段は、1つの点火サイクル
においてノック発生が判定された場合には、スレッショ
ルド設定手段による平均化処理を禁止するようにしたの
で、基本スレッショルドの異常上昇を抑制して、良好な
ノック検出状態を確保した内燃機関のノック検出装置が
得られる効果がある。
【0083】また、この発明の請求項4によれば、請求
項2において、ノック判定手段は、1つの点火サイクル
においてノック発生が判定された場合には、基本スレッ
ショルドを前回値にホールドするようにしたので、基本
スレッショルドの異常上昇を抑制して、良好なノック検
出状態を確保した内燃機関のノック検出装置が得られる
効果がある。
【0084】また、この発明の請求項5によれば、請求
項1において、ノック判定手段は、1つの点火サイクル
においてノック発生が判定された場合には、第1の積分
回路による積分処理を禁止するようにしたので、基本ス
レッショルドの異常上昇を抑制して、良好なノック検出
状態を確保した内燃機関のノック検出装置が得られる効
果がある。
【0085】また、この発明の請求項6によれば、請求
項1において、第1の積分手段に対する上限レベルを設
定する上限レベル設定手段を設け、スレッショルド設定
手段は、基本スレッショルドに基づいてバックグランド
レベルを設定し、上限レベル設定手段は、バックグラン
ドレベルを上限レベルとして設定し、第1の積分手段
は、ノック信号のうち上限レベル以下の振幅のノック信
号のみを積分処理して第1の積分値を算出するようにし
たので、基本スレッショルドの異常上昇を抑制して、良
好なノック検出状態を確保した内燃機関のノック検出装
置が得られる効果がある。
【0086】また、この発明の請求項7によれば、請求
項6において、スレッショルド設定手段は、基本スレッ
ショルドに基づいてオフセット値を設定し、オフセット
値を基本スレッショルドに加算することにより、バック
グランドレベルを設定するようにしたので、基本スレッ
ショルドの異常上昇を抑制して、良好なノック検出状態
を確保した内燃機関のノック検出装置が得られる効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を概略的に示すブロ
ック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1の動作を示す波形図
である。
【図3】 この発明の実施の形態1の動作を示す波形図
である。
【図4】 従来の内燃機関のノック検出装置の要部を概
略的に示すブロック図である。
【図5】 従来の内燃機関のノック検出装置の動作を示
す波形図である。
【符号の説明】
1 イオン電流検出回路、2 バンドパスフィルタ(フ
ィルタ手段)、7 点火装置、8 点火プラグ、11
第1の積分回路、12 第2の積分回路、20ECU、
21 スレッショルド設定手段、22 ノック判定手
段、32 下限レベル設定手段、34 上限レベル設定
手段、Ei イオン電流検出信号、H判定信号、i イ
オン電流、Ki ノック信号、Km1 第1の積分値、
Km2第2の積分値、P 点火信号、TH 基本スレッ
ショルド、BGL バックグランドレベル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02P 17/12 G01M 15/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の燃焼時に点火プラグを介して
    流れるイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、 前記イオン電流からノック信号を抽出するフィルタ手段
    と、 前記ノック信号に基づいて前記内燃機関のノック状態を
    判定するノック判定手段とを備えた内燃機関のノック検
    出装置において、 前記ノック信号を積分処理して第1の積分値を算出する
    第1の積分手段と、 前記第1の積分値に基づいて基本スレッショルドを設定
    するスレッショルド設定手段と、 前記ノック信号のうち下限レベル以上の振幅のノック信
    号のみを積分処理して第2の積分値を算出する第2の積
    分手段と、 前記基本スレッショルドを前記下限レベルとして設定す
    る下限レベル設定手段とを設け、 前記ノック判定手段は、前記第2の積分値に基づいてノ
    ック発生を判定することを特徴とする内燃機関のノック
    検出装置。
  2. 【請求項2】 前記スレッショルド設定手段は、前記内
    燃機関の点火サイクル毎の第1の積分値を平均化処理し
    た値に基づいて前記基本スレッショルドを設定すること
    を特徴とする請求項1に記載の内燃機関のノック検出装
    置。
  3. 【請求項3】 前記ノック判定手段は、1つの点火サイ
    クルにおいてノック発生が判定された場合には、前記ス
    レッショルド設定手段による前記平均化処理を禁止する
    ことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のノック検
    出装置。
  4. 【請求項4】 前記ノック判定手段は、1つの点火サイ
    クルにおいてノック発生が判定された場合には、前記基
    本スレッショルドを前回値にホールドすることを特徴と
    する請求項2に記載の内燃機関のノック検出装置。
  5. 【請求項5】 前記ノック判定手段は、1つの点火サイ
    クルにおいてノック発生が判定された場合には、前記第
    1の積分回路による積分処理を禁止することを特徴とす
    る請求項1に記載の内燃機関のノック検出装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の積分手段に対する上限レベル
    を設定する上限レベル設定手段を設け、 前記スレッショルド設定手段は、前記基本スレッショル
    ドに基づいてバックグランドレベルを設定し、 前記上限レベル設定手段は、前記バックグランドレベル
    を上限レベルとして設定し、 前記第1の積分手段は、前記ノック信号のうち前記上限
    レベル以下の振幅のノック信号のみを積分処理して前記
    第1の積分値を算出することを特徴とする請求項1に記
    載の内燃機関のノック検出装置。
  7. 【請求項7】 前記スレッショルド設定手段は、前記基
    本スレッショルドに基づいてオフセット値を設定し、前
    記オフセット値を前記基本スレッショルドに加算するこ
    とにより、前記バックグランドレベルを設定することを
    特徴とする請求項6に記載の内燃機関のノック検出装
    置。
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