JP5871364B2 - 内燃機関の燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車エンジンなどの内燃機関の燃焼制御装置に関し、特に、周期性ノイズの影響を排除して特異的にノッキングを検出できる燃焼制御装置に関する。
一般に、内燃機関のノッキング(以下ノックと略す)とは、混合気の自然発火(プレ・イグニッション)によって発生した爆発と、点火プラグによって発生した爆発とがぶつかり合い、衝撃波を発生する異常状態を意味する。そして、このような異常状態を素早く解消して内燃機関を保護する燃焼制御が必要であり、混合気の燃焼時に発生するイオンに基づいて、ノック発生を検出可能であることが知られている(特許文献1〜特許文献3)
但し、イオン信号には、コロナノイズなどのノイズがランダムなタイミングで重畳されるので、これらの影響を排除して、本来のイオン信号だけを検出することが必要であり、この点についての各種の手法も提案されている。
例えば、本発明者による特許文献4に記載の発明では、(1)ノック周波数を通過域とするイオン信号に対するBPF処理と、(2)ノック周波数より上側の周波数域を通過域とするイオン信号に対するHPF処理とを実行し、BPF処理(1)後の信号の積分値と、HPF処理(2)後の信号の積分値とを比較してノック判定をしている。そして、ノック判定時には点火時期を遅角するなどの制御によって、ノック音の発生を抑えると共にエンジンの破壊を防いでいる。
特開平06−159129号公報 特開平10−089216号公報 特開平10−103210号公報 特開2011−140881号公報
上記の発明によれば、インパルス性のノイズを確実に排除できる利点を有するが、更なる研究によると、時として、特許文献4の手法では排除できない周期性ノイズが発生することが明らかとなった。
すなわち、イオン信号に重畳するノイズには、インパルス性のものだけでなく、2〜3周期だけ持続する振動性のものもあり、その基本周波数がノック周波数に一致する場合には、従来の手法だけでは、これを除去できないことが明らかとなった。なお、問題となる周期性ノイズは、点火コイルなどのL成分と、その他のC成分とによるLC振動によるものと想像されるので、その振動周波数を大きく偏移させるような対策を採ることは事実上不可能である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、ノイズの種類に関係なく、確実にノック判定ができる燃焼制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、ノック周波数を通過域とするデジタルフィルタ処理を実行し、そのフィルタ後の信号を適宜に平均化すれば、周期性ノイズを除去できることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、一次コイルと二次コイルとを有する点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例したイオン信号を出力するイオン信号検出回路と、を有して構成され、前記制御装置は、前記スイッチング素子がOFF状態である領域のイオン信号を所定のサンプリング周期毎に取得する取得手段と、取得手段により取得されたイオン信号について、ノック周波数を通過域とするデジタルフィルタによるノックBPF処理を実行するノック抽出手段と、ノックBPF処理後の信号について、その絶対値を第一時間幅で平均化処理する第一平均化手段と、取得手段により取得されたイオン信号について、ノックBPF処理の通過域に隣接する周波数域についてノイズBPF処理を実行するノイズ抽出手段と、ノイズBPF処理後の信号について、その絶対値を第二時間幅で平均化処理する第二平均化手段と、第一平均化手段と第二平均化手段の処理結果の減算値を時間軸上に積分する積分演算の結果に基づいてノック判定をする判定手段と、を有して構成されている
なお、制御装置は、例えば、自動車エンジンの場合に、必ずしもECU(Engine Control Unit)単独を意味せず、ECUの制御下で動作する専用コンピュータ回路、例えば、DSP(Digital Signal Processor)回路なども含んだ概念である。
本発明を説明する前提として、先ず、本発明が問題とするインパルス性ノイズと周期性ノイズについて説明する。図1(b)と図1(d)は、各々、実機(実施例のエンジン)を動作させた場合に、実施例のイオン検出回路から検出されるインパルス性ノイズ(図1(a)参照)と、周期性ノイズ(図1(c)参照)について、各実測波形をFFT(Fast Fourier Transform)分析した結果を図示している。
図示の通り、周期性ノイズは、10kHz程度の基本波を中心に、実機で検出されるノック周波数(9kHz前後)と同一帯域の周波数成分を有しているので、ノック周波数帯域を通過域とするノックBPF処理だけでは、この周期性ノイズを除去できないことが確認される。
一方、この周期性ノイズは、緩やかに広がる周波数特性を有しているので、この特徴を利用することが考えられる。また、周期性ノイズの発生期間は、せいぜい1〜2周期程度である。そこで、これらの特徴を踏まえて、時間軸上に適切に平均化処理を施せば、インパルス性ノイズだけでなく、周期性ノイズについても、これを除去できる可能性がある。
そこで、この点を踏まえて更に検討した結果、ノックBPF処理後の信号に対して、周期性ノイズの特性に対応する適当な時間幅(ウインド幅)の平均化処理を実行することで、インパルス性ノイズと周期性ノイズを纏めて除去できることを確認して本発明を完成した。以下に説明する通り、この時間幅(第一時間幅)は、サンプリング周期の20倍〜30倍であり、典型的には0.67mS〜1.0mS程度である。
以下、イオン信号からノック信号を抽出するノックBPF処理を、FIR(有限インパルス応答Finite impulse response)フィルタで実現する場合について、BPF処理後の信号に対する平均化時間幅(ウインド幅)を決定する手順を説明する。
ノック信号の周波数は、エンジンの構造などに基づいて実験的に特定できるので、ここでは、ノック信号の周波数帯域を7kHz〜11.5kHzとして、この周波数帯域についてのノックBPF処理を先ず設計する。なお、図2(a)に示す通り、通過域=1、減衰域=0の理想的なBPF処理とし、サンプリング周波数Fsは、標本化定理に基づき、例えば30kHzとする(サンプリング周期≒33μS)。
そして、このBPF処理の周波数特性を逆フーリエ変換してインパルス応答を特定し、特定されたインパルス応答に基づいてフィルタ係数h(n)を求める。より具体的には、実機(車載状態)での処理速度などを考慮して、経験則からN=32次のFIRフィルタとし、逆フーリエ変換したインパルス応答(群遅延時間ゼロ)をシフトして32次のフィルタ係数h(n)を特定した。すなわち、インパルス応答の左端から17点(0,1/Fs,2/Fs・・・16/Fs)と、右端から切り出した16点(17/Fs・・・32/Fs)とを繋いでフィルタ係数h(n)を求めた。
但し、理論的には無限長であるべきデータを、有限長とするために生じる歪みを低減させるため、フィルタ係数に窓関数w(n)を作用させて、H(n)=h(n)*w(n)の演算を付加している。
窓関数w(n)は、適宜に選択されるが、実施例では、次式に示すハミング窓w(n)を使用している。w(n)=0.54−0.46*Cos(2*π*n/N)
図2(b)は、このようにして特定されたノックBPF処理のフィルタ係数H(n)を示しており、中心付近のフィルタ係数が大きく、フィルタ演算結果への影響が大きいことが確認される。ここで、フィルタ係数を絶対値化すると図3(a)となり、○で囲んだ7点の係数が支配的となるので、逆に、この7点の影響を周期性ノイズに対して抑制できれば、不要ノイズ(インパルス性ノイズや周期性ノイズ)の影響を抑制できることになる。
ところで、図2(b)のフィルタ係数は、デルタ関数δ(x)に対するインパルス応答に対応するので、図1(a)に示すインパルス性ノイズに対しても、図2(b)のフィルタ係数に類似する応答がある想定することができる。ここで、問題になる周期性ノイズは、例えば、図3(b)に示す通り、その基本周波数が10kHz程度であって、繰り返し周期が2〜3周期程度、ノイズの継続時間が200μS程度となっている。
そこで、図示の周期性ノイズを、図1(a)に示すようなインパルス性ノイズが連続したものである仮定すれば、図3(a)で特定される7点に、適当個数分を加算した(例えば12点分)の区間は、周期性ノイズのノックBPF処理への影響が持続していると考えることができる。
ここで、例えば、奇数n点の中央値((n−1)/2+1番目)を抽出する平均化処理を実行した場合には、仮に、(n−1)/2個のデータが連続して極端に大きな値を示しても、その影響を排除することができることになる。そこで、等式(n−1)/2=12を解くことで、ノックBPF処理後に実行すべき平均化処理のウインド幅WDが、WD=25/Fsと特定される。
すなわち、本発明の実施例では、ノックBPF処理後に実行すべき平均化処理のウインド幅WDを、WD≒2*([高位値を示すフィルタ係数の個数]*サンプリング周期+[周期性ノイズの継続時間])と決定している。ここで、フィルタ係数についての高位値とは、実施例のフィルタ構成では、フィルタ係数の絶対値で評価して、その最大値の1/3倍〜1/4以上の値を意味する。なお、平均化処理は、必ずしも、移動中央化処理に限定されず、移動平均処理でも良いことは実験的に確認している。
このようにして特定される平均化処理の実行結果データの扱いは適宜であるが、例えば、処理結果データを時間軸上に積分して、その値が有意な値を示すか否かによってノック発生か否かを判定することができる。
インパルス性ノイズや、これに類する特性を有する周期性ノイズだけが重畳するイオン信号については、上記の処理だけでノック判定をすることができる。しかし、平坦な周波数スペクトルを示す周期性ノイズ(図1(d)参照)が、イオン信号に重畳する場合には、上記したノックBPF処理の平均化処理だけでは除外し切れない部分が残存する。
そこで、好ましくは、ノイズ成分を特異的に抽出するべく、ノック信号の周波数帯域(7kHz〜11.5kHz)に隣接する外側領域について、ノイズBPF処理を設けるべきである。
ノイズBPF処理の通過帯域は、比較的高位のスペクトル値を示す周波数スペクトル範囲であって、ノック信号帯域に隣接する外側領域であれば特に限定されないが、実施例の場合には、図1(d)に示す周期性ノイズの周波数特性に基づいて、ノイズBPF処理の通過帯域を4.5kHz〜7.5kHzとしている。なお、12kHz〜15kHzを通過域とするノイズBPF処理であっても良いのは勿論である。
何れにしても、ノイズBPF処理の設計手順は、ノックBPF処理の場合と同一で足り、フィルタ次数も本実施例では、例えば、32次としている。なお、図3(c)は、設計されたノイズBPF処理のフィルタ次数について、その絶対値を示している。
次に、ノイズBPF処理後の信号についての平均化処理のウインド幅であるが、実施例の場合には、ノックBPF処理のフィルタ係数について、高位値と評価されないフィルタ係数の最大値は、約0.07であるので(図3(a)参照)、この程度の影響をノイズBPF処理で残すことを目的として、ノイズBPF処理後のウインド幅が設定される。具体的には、実施例の場合には、約0.1を超える係数である合計7点に、周期性ノイズの継続時間に対応する適当個数を加算した(例えば12点)の区間を考慮して、等式(n’−1)/2=12を解くことで、ノイズBPF処理後の平均化処理のウインド幅WD’が、WD’=25/Fsと算出される。
すなわち、本発明では、ノイズBPF処理後に実行すべき平均化処理のウインド幅WD’を、WD’≒2*([高位値を示すフィルタ係数の個数]*サンプリング周期+[周期性ノイズの継続時間])と決定している。ここで、ノイズBPF処理のフィルタ係数についての高位値とは、ノックBPF処理のフィルタ係数の高位値と同程度であって、やや低い値に設定される。なお、実施例のように、通過域の違いを除いて、ノイズBPF処理とノックBPF処理とを同一設計にすれば、WD≒WD’となる。典型的には、各ウインド幅WD,WD’は、0.65mS〜1.0mS程度となる。なお、ノイズBPF処理後に実行すべき平均化処理についても、移動平均処理又は移動中央化処理が採用可能であることは実験的に確認されている。
何れにしても、ノイズBPF処理後に実行される平均化処理の実行結果の扱いは適宜であるが、例えば、ノイズBPF処理後に実行される平均化処理の実行結果データと、ノックBPF処理後に実行される平均化処理の実行結果データとを対比して、その差の積分値に基づいてノック発生か否かを判定することができる。
なお、上記の説明では、FIRフィルタについて説明したが、これに変えて、IIR(Infinite impulse response)フィルタなどを採用しても良い。また、ハミング窓に代えて、カイザー窓、ハニング窓、ブラックマン窓などを使用しても良い。
以上、本発明の各種の実施形態を含めて説明したが、図4は、本発明の典型的な実施形態を構成1〜構成4として例示したものである。
上記した本発明によれば、ノイズの種類に関係なく、確実にノック判定ができる燃焼制御装置を実現することができる。
本発明の前提を説明する図面である。 ノックBPFのフィルタ係数を説明する図面である。 ノックBPFとノイズBPFのフィルタ係数を説明する図面である。 本発明の典型的な4つの実施形態を説明するブロック図である。 実施例に係る燃焼制御装置の構成を示す回路図である。 燃焼制御装置の動作を説明するタイムチャートである。 燃焼制御装置の動作を説明するフローチャートである。 周期性ノイズが重畳していないノック発生時のイオン信号の波形(a)と、ノックBPF処理後の波形(b)、及び、第一平均化処理後の波形(c)である。 周期性ノイズが重畳していないノック発生時のイオン信号について、ノイズBPF処理後の波形(a)、第二平均化処理後の波形(b)、及び、第一平均化処理後と第二平均化処理後の波形の比較図(c)である。 周期性ノイズが重畳するノック非発生時のイオン信号の波形(a)と、ノックBPF処理後の波形(b)、及び、第一平均化処理後の波形(c)である。 周期性ノイズが重畳するノック非発生時のイオン信号について、ノイズBPF処理後の波形(a)、第二平均化処理後の波形(b)、及び、第一平均化処理後と第二平均化処理後の波形の比較図(c)である。
以下、図4の構成4の実施例について更に詳細に説明する。図5は、実施例に係る燃焼制御装置DETを示す回路図であり、図6は、燃焼制御装置DET各部の概略波形を示すタイムチャートである。
図6に示す通り、この燃焼制御装置DETは、内燃機関の電子制御ユニットたるECU(Engine Control Unit)と、一次コイルL1と二次コイルL2からなる点火コイルCLと、ECUから受ける点火パルスSGに基づく遷移動作によって一次コイルL1の電流ic1をON/OFF制御するスイッチング素子Qと、二次コイルL2の誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグPGと、イオン信号検出回路IONと、を中心に構成されている。
そして、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、ECUのA/Dコンバータ(不図示)に供給され、デジタルレベルのイオン信号としてECUのメモリに記憶される。ここで、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、点火パルスSGの立下りタイミングからイオン電流が消滅するまでのデータ取得区間において取得される。そして、全データが取得された後で、運転状態毎に決定されているデータ解析区間WINにおいて、BPF処理やHPF処理が実行される。そのため、ECUには、解析開始位置Aから解析終了位置Cに至るデータ解析区間WINを、運転状態毎に特定する参照テーブルTBLが設けられている。
以下、回路構成について詳述すると、スイッチング素子Qは、ここではIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が使用されている。そして、スイッチング素子Qのコレクタ端子は、一次コイルL1を経由してバッテリ電圧VBを受けており、エミッタ端子は、グランドに接続されている。
イオン信号検出回路IONは、電流検出回路として機能するOPアンプAMPを中心に構成され、コンデンサC1、ツェナーダイオードZD、ダイオードD1,D2、抵抗R1〜R3を有して構成されている。コンデンサC1とツェナーダイオードZDの並列回路によって、イオン電流検出時のバイアス電圧が生成される。
二次コイルL2の高圧端子は、点火プラグPGに接続され、低圧端子は、前記バイアス電圧を生成するコンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路に接続されている。そして、コンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路は、ダイオードD1を通して、グランドに接続されている。図示の通り、ダイオードD1のカソード端子がグランドに接続されている。
一方、ダイオードD1のアノード端子は、電流制限抵抗R1を経由してOPアンプの反転入力端子(−)に接続されている。そして、OPアンプAMPの反転入力端子(−)と出力端子の間に、電流検出抵抗R2が接続され、出力端子のグランド間には、負荷抵抗R3が接続されている。また、OPアンプの非反転端子(+)は、グランドに接続され、反転端子(−)には、ダイオードD2のカソード端子が接続されている。なお、ダイオードD2のアノード端子はグランドに接続されている。
上記した構成の燃焼制御装置DETでは、タイミングT0において、点火パルスSGがHレベルからLレベルに変化すると、二次コイルL2に誘起される高電圧によって点火プラグPGが放電する。この放電電流は、点火プラグPG→二次コイルL2→コンデンサC1→ダイオードD1の経路で流れるので、コンデンサC1は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧により規定される電圧値に充電される。
点火プラグPGの放電によって燃焼室の混合気が着火されると、その後、急速に燃焼反応が進行するが、イオン電流iは、電流検出抵抗R2→電流制限抵抗R1→コンデンサC1→二次コイルL2→点火プラグPGの経路で流れる。したがって、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voは、Vo=R2*iとなり、イオン電流iに比例した値となる。
続いて、燃焼制御装置DETの動作内容について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
ECUは、各点火サイクル毎に、点火パルスSGを立下げて(T0)、一次コイルL1の電流を遮断状態にした後、データ取得区間について、イオン信号検出回路IONの出力電圧Voを、デジタル変換してイオン信号としてメモリに記憶する(ST1)。
サンプリング周波数は、特に限定されないが、先に説明した通り、この実施例では、30KHz程度に設定されている。なお、データ取得区間は、燃焼反応が確実に完了するタイミングで終了するが、この終期は、運転状態に対応して予め実験的に決定されている。
ステップST1の処理で取得されるイオン信号は、ノック信号が重畳されて異常燃焼状態の挙動を示す場合と、ノック信号が重畳されることなく正常燃焼状態の挙動を示す場合とがある。また、ノック信号とは別に、コロナノイズなどのインパルス性ノイズや、LC振動に起因すると思われる周期性ノイズなどが重畳されている場合もある。なお、図8(a)は、ノック信号は重畳されているものの(ノック発生)、不要ノイズは重畳されていないイオン電流波形であり、図10(a)は、ノック信号は重畳されていないが(正常燃焼時)、周期性ノイズが重畳したイオン電流波形を示している。
ステップST1の処理が終われば、次に、参照テーブルTBLを参照して、その時々の運転状態に対応する解析区間WINについて、解析開始位置Aと解析終了位置Cを特定し、解析区間WINについて、ノック周波数を通過域とするノックBPF処理を実行する(ST2)。なお、ノックBPF処理は、先に説明した32次のFIRデジタルフィルタによって実行される。また、ノック周波数は、予め実験的に特定されており、実施例では、周波数帯域7kHz〜11.5kHzのBPF処理を実行している。なお、解析開始位置Aは、必ず、イオン電流の第二ピーク位置PKより手前となるよう実験的に規定されている。
図8(b)と図10(b)は、図8(a)と図10(a)のイオン信号から、ノックBPF処理によって抽出されたノック周波数の抽出信号Siを示している。図8(b)と図10(b)に示す2つの波形を比較すると、図8(b)の波形より図10(b)の波形の方がやや低レベルで継続時間も短いが、ノックBPF処理後の抽出信号Siだけでは、ノック信号が認められない正常燃焼状態か、それとも、ノック信号が検出された異常燃焼状態(ノック状態)かを正確に特定することができない。
そこで、ステップST2の処理が終われば、次に、ノックBPF処理後の抽出信号Siの絶対値について、第一平均化処理を実行する(ST3)。第一平均化処理の時間幅WD(ウインド幅)は、サンプリング周期の25倍(WD=25/Fs)程度であり、過去WDのウインド内の平均値を採用する移動平均処理か、或いは、過去WDのウインド内の中央値を採用する移動中央値処理が実行される。
図8(c)と図10(c)の破線は、各々、第一平均化処理の処理結果を示しており、包絡線のレベルが顕著に相違することが確認される。したがって、第一平均化処理の処理結果を、例えば、時間軸上に積分(累積)すれば、その積分結果の大小によってノック発生か、単なる周期性ノイズの重畳かを特定することができる。
以上の通り、第一平均化処理の処理結果に基づいて、正確なノック判定をすることもできるが、実施例では、更に精度を上げるために、ステップST4以降の処理を付加している。
すなわち、解析区間WINについて、ノック周波数帯域の外側域を通過域とするノイズBPF処理を実行している(ST4)。先に説明した通り、ノイズBPF処理は、通過帯域を4.5kHz〜7.5kHzとする32次のFIRデジタルフィルタによって実現される。図9(a)と図11(a)は、各々、図8(a)と図9(a)のイオン信号についてのノイズBPF処理後の抽出信号Niを示している。この場合も、2つの波形を比較すると、図9(a)の波形より図11(a)の波形の方がやや低レベルであるが、それほど顕著な差異は認められない。
そこで、ノイズBPF処理後の抽出信号Niの絶対値について、第二平均化処理を実行する(ST5)。第二平均化処理の時間幅WD(ウインド幅)も、サンプリング周期の25倍(WD=25/Fs)程度であり、過去WDのウインド内の平均値を採用する移動平均処理か、或いは、過去WDのウインド内の中央値を採用する移動中央値処理が実行される。
図9(b)と図11(b)の破線は、各々、第二平均化処理の処理結果を示しており、包絡線に殆ど差異がないことが確認される。次に、第一平均化処理(ST3)の処理結果と、第二平均化処理(ST5)の処理結果とを時間軸上で減算する。図9(c)と図11(c)は、第一平均化処理の処理結果(破線)と、第二平均化処理の処理結果(実線)を対比して図示している。なお、ノック非発生であって、周期性ノイズが重畳している場合には(イオン信号は図10(a)参照)、第一平均化処理の処理結果(実線)と、第二平均化処理の処理結果(破線)との差異が生じないことが確認される(図11(c)参照)。
そこで、この特徴を活用するべく、第一平均化処理と第二平均化処理の処理結果の減算値を時間軸上に積分する(ST6)。そして、この積分結果を判定閾値THと比較して、判定閾値THより大きいか否かに応じてノック判定を実行する(ST7)。具体的には、積分値>THであれば、ノック発生状態であると判定され、積分値≦THであれば、ノックは発生していないと判定される。
そして、ノック発生時には、次回の点火サイクルでは点火時期を遅角させるなどの燃焼制御を実行することで内燃機関の破損を防止する(ST8)。以上の通り、この実施例では、第一平均化処理と第二平均化処理の処理結果を減算し、この減算値を累積することで周期性ノイズの影響を排除して特異的にノック発生を判定することができる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではない。例えば、実施例では、イオン信号検出回路として、最も簡易な回路構成を例示したが、より複雑な回路構成と採っても良いのは勿論である。
L1 一次コイル
L2 二次コイル
CL 点火コイル
Q スイッチング素子
ECU 制御装置
PG 点火プラグ
ION イオン信号検出回路
ST1 取得手段
ST2 ノック抽出手段
ST3 第一平均化手段

Claims (6)

  1. 一次コイルと二次コイルとを有する点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例したイオン信号を出力するイオン信号検出回路と、を有して構成され、
    前記制御装置は、
    前記スイッチング素子がOFF状態である領域のイオン信号を所定のサンプリング周期毎に取得する取得手段と、
    取得手段により取得されたイオン信号について、ノック周波数を通過域とするデジタルフィルタによるノックBPF処理を実行するノック抽出手段と、
    ノックBPF処理後の信号について、その絶対値を第一時間幅で平均化処理する第一平均化手段と、
    取得手段により取得されたイオン信号について、ノックBPF処理の通過域に隣接する周波数域についてノイズBPF処理を実行するノイズ抽出手段と、
    ノイズBPF処理後の信号について、その絶対値を第二時間幅で平均化処理する第二平均化手段と、
    第一平均化手段と第二平均化手段の処理結果の減算値を時間軸上に積分する積分演算の結果に基づいてノック判定をする判定手段と、
    を有して構成されている内燃機関の燃焼制御装置。
  2. 第一平均化手段は、移動平均処理又は移動中央化処理によって実現される請求項に記載の燃焼制御装置。
  3. 第二平均化手段は、移動平均処理又は移動中央化処理によって実現される請求項に記載の燃焼制御装置。
  4. ノイズBPF処理は、ノックBPF処理と同一構成のデジタルフィルタで構成され、第二時間幅は、第一時間幅とほぼ同一に設定される請求項に記載の燃焼制御装置。
  5. ノックBPF処理、及び/又は、ノイズBPF処理は、FIRフィルタで実現されている請求項に記載の燃焼制御装置。
  6. ノックBPF処理、及び/又は、ノイズBPF処理を実現するフィルタ係数は、カイザー窓、ハミング窓、ハニング窓、又はブラックマン窓から選択される窓関数が作用された後の値である請求項に記載の燃焼制御装置。
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