JP2011012671A - 内燃機関用の燃焼制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の動作状態に拘わらず、イオン電流のピーク位置を正確に抽出できる燃焼制御装置を提供する。
【解決手段】点火コイルCLをON/OFF制御するスイッチング素子QのOFF遷移後に発生する検出信号Voのピーク位置PKに基づき、ピーク位置PKより所定の後方位置(+α)を検索開始点BGに特定する第1手段(ST2)と、検索開始点BGから時間軸上を後方向きに検索して、検出信号Voが最低値を示す最深点DPを特定する第2手段(ST4)と、最深点DPから時間軸上を後方向きに探索して、検出信号Voが最大値になる頂点位置を第二ピーク位置TOPに特定する第3手段(ST5)と、第二ピーク位置TOPに基づいてその後の判定処理を実行する判定手段とを有する。
【選択図】図3
【解決手段】点火コイルCLをON/OFF制御するスイッチング素子QのOFF遷移後に発生する検出信号Voのピーク位置PKに基づき、ピーク位置PKより所定の後方位置(+α)を検索開始点BGに特定する第1手段(ST2)と、検索開始点BGから時間軸上を後方向きに検索して、検出信号Voが最低値を示す最深点DPを特定する第2手段(ST4)と、最深点DPから時間軸上を後方向きに探索して、検出信号Voが最大値になる頂点位置を第二ピーク位置TOPに特定する第3手段(ST5)と、第二ピーク位置TOPに基づいてその後の判定処理を実行する判定手段とを有する。
【選択図】図3
Description
本発明は、自動車エンジンなどの内燃機関において、その燃焼を適切に制御できる装置に関し、特に、内燃機関の動作状態に拘わらず、イオン電流の第二ピーク位置を正確に抽出できる燃焼制御装置に関する。
一般に、内燃機関の燃焼室に発生するイオン電流は、点火放電後の放電ノイズ収束後に第一ピークを示し、上死点TDCの手前で減少して再び増加し、燃焼圧が最大となるクランク角の近傍で最大となり、イオン電流も第二ピークを示すことが知られている。図11(a)は、この関係を図示したものであり、筒内圧が最大値Pmaxとなる位置と、イオン電流の第二ピーク位置とがほぼ一致している。
そして、この第二ピークの位置より後半のイオン電流波形を解析することで、ノッキング(以下ノックという)の発生を検出することが可能となる。また、第二ピークの位置に基づいて、適切なMBT(Minimum advance for the Best Torque)制御も可能となる。
そこで、この第二ピーク位置を正確に特定するべく、各種の方法が提案されている(特許文献1)。例えば、特許文献1には、点火放電時に発生する放電ノイズの終了タイミングを正確に把握する方法が開示されている。
しかし、この方法では、放電ノイズの終了タイミングを特定するための特別のソフトウェア処理が必要となり、その処理時間が無視できないという問題がある。そこで、一般には、簡易性を重視して、第二ピーク位置を検出すべき判定区間(検出ウインド)を予め特定しておく手法が採られる。そして、この検出ウインドの始点と終点とは、運転条件に対応して予め特定されている。なお、運転条件は、例えば、エンジンの回転数、エンジンの吸気管圧力、車速、エンジン冷却水温度などに基づいて特定される。
しかしながら、本発明者の研究によると、運転条件が同一でも、遅角制御などによって点火タイミングが変わると、検出ウインド内で、第二ピーク位置を特定できないことがあることが判明した。図11(b)と図11(c)は、この点を説明する図面であり、2つのイオン電流波形を、点火放電時(t=0)を始点として図示している。なお、遅角制御中であり、点火タイミングは各々相違する。
図示例の場合、従来技術では、運転条件が同一であるため、同一の検出ウインドが当て嵌められる。そのため、検出ウインド内で第二ピーク位置が正確に特定できる場合(図11(b))だけでなく、検出ウインド内で、矢印で示す第二ピーク位置を特定できない場合(図11(c))も生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、イオン電流波形の第二ピーク位置を比較的容易且つ高精度に検出して適切な燃焼制御を実現できる燃焼制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る内燃機関の燃焼制御装置は、一次コイルと二次コイルとからなる点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例した検出信号を出力するイオン電流検出回路と、を有して構成され、前記制御装置は、前記スイッチング素子のOFF遷移に対応して検出信号の取得処理を開始し、取得値が非有意レベルに収束するまでの一連の検出信号を取得する取得手段と、前記スイッチング素子のOFF遷移後に発生する検出信号のピーク位置PKに基づき、前記ピーク位置より所定の後方位置(+α)を検索開始点BGに特定する第1手段と、前記検索開始点BGから時間軸上を後方向きに検索して、前記検出信号が最低値を示す最深点DPを特定する第2手段と、前記最深点DPから時間軸上を後方向きに探索して、前記検出信号が最大値になる頂点位置を第二ピーク位置TOPに特定する第3手段と、前記第二ピーク位置TOPに基づいてその後の判定処理を実行する判定手段と、を有して構成される。
前記所定の後方位置(+α)は、その時々の運転条件に対応して決定されるのが好ましい。また、第3手段は、鋭角的で急峻な頂点を除いて第二ピーク位置を特定するのが好ましい。
前記判定処理は、燃焼室でノッキングが発生しているか否かのノック判定であって、前記検出信号は、所定の補正区間[ts,te]について、窓関数による補正演算を経た上で、BPF(Band Pass Filter)処理が施され、前記補正区間の始点tsは、前記最深点DPに設定されるのが好適である。
また、前記補正区間の終点teは、前記第二ピーク位置TOPより付加時間δだけ手前に設定され(Te=TOP−δ)、前記BPF処理後のデータについて前記終点te以降を評価してノック判定が実行されるのが好ましい。
前記窓関数は、ハニング窓又はハミング窓であるのが好適であり、前記判定手段は、前記補正区間の補正終了点te以降のデータを評価してノック判定をするのが好ましい。また、前記判定手段は、第二ピーク位置に基づいて、MTB評価を実行するのも好適である。
ところで、正常燃焼時と全く同一の運転条件でも、時として、ノック信号と同じ周波数域において同様の挙動を示す定在波が発生することがある。そして、ノック信号を見落とすことが許されない一方で、逆に、定在波をノック信号と誤認したのでは、その後、内燃機関がノック回避の燃焼制御に移行することで十分な運転性能を発揮できない弊害が生じる。
そこで、本発明者は、打撃音が発生しない正常燃焼時における正常なイオン信号(第1グループ)、打撃音が発生しない正常燃焼時において定在波が重畳したイオン信号(第2グループ)、及び、検出対象のノック信号が重畳したノック発生時のイオン信号(第3グループ)、の各イオン信号波形について、ウェーブレット解析を繰返した。
その結果、ノック信号の周波数帯域を通過させるBPF(band pass filter)で処理しただけでは、第2グループと第3グループのイオン信号を峻別できないものの、BPF処理後の信号の包落線に着目すると、第2グループと第3グループのイオン信号を峻別できることが明らかとなった。
そこで、内燃機関の燃焼時に燃焼室に発生するイオン信号を取得する信号取得部と、取得されたイオン信号から、ノック信号の周波数帯域の信号を抽出する一次フィルタ部と、一次フィルタ部で抽出された一次処理信号の包落線に対応する包絡信号から、所定の周波数帯域の評価信号を抽出する二次フィルタ部と、二次フィルタ部で抽出された前記評価信号に基づいて、ノック発生の有無を評価する判定部と、を設けてノック判定をするのが好ましい。
この場合、一次フィルタ部では、予め実験的に特定されるノック信号の周波数(通常は5〜10kHz程度)を通過域とするBPFとされる。そして、一次フィルタ部から出力される一次処理信号は、二次フィルタ部において、一次処理信号の包絡線に対応する包絡信号に成形される。本発明者の研究結果によれば、一次処理信号の包絡線には、ノック発生時だけ特異的な信号(評価信号と称することにする)が重畳することが確認されている。この評価信号の周波数は、予めウェーブレット解析などによって特定されるが、通常の内燃機関では、1.0kHz〜2.5kHzの範囲内の周波数帯域を有している。したがって、後述する実施例では、二次フィルタ部として、1.6kHz〜2.2kHzの周波数帯域を通過域とするBPFを採用している。
一次フィルタ部や二次フィルタ部は、通常のデジタルフィルタであっても良いが、好ましくは、適宜に周波数設計されたウェーブレットと、被処理信号(イオン信号や判定信号)との畳み込み演算によって実現される。
より好ましくは、一次フィルタ部では、所望のバンドパスフィルタ特性Ψ(i)を逆フーリエ変換して得られる抽出関数HRe(j),HIm(j)と、イオン信号F(k)に対して、(式1a)(式1b)の演算が実行される。
X1(n)=ΣF(k)*HRe(n−k+L/2)・・・(式1a)
Y1(n)=ΣF(k)*HIm(n−k+L/2)・・・(式1b)
なお、(式1a)及び(式1b)では下記(1)〜(4)が成立する。
(1)バンドパスフィルタ特性Ψ(i)において、
サンプリング周波数fs、周波数f、フィルタ係数の総数Lに対して、
整数値i=L*f/fsであって、i=0,1,2,・・・,(L−1)
(2)抽出関数H(j)の実数部HRe(j)と虚数部HIm(j)において、
整数値j=0,1,2,・・・,(L/2−1)
(3)(式1a)(式1b)で算出されるデータは、整数値n=0〜N−1
(4)Σの数値範囲は、k=−L/2+1+nからk=L/2+nまでの整数範囲
Y1(n)=ΣF(k)*HIm(n−k+L/2)・・・(式1b)
なお、(式1a)及び(式1b)では下記(1)〜(4)が成立する。
(1)バンドパスフィルタ特性Ψ(i)において、
サンプリング周波数fs、周波数f、フィルタ係数の総数Lに対して、
整数値i=L*f/fsであって、i=0,1,2,・・・,(L−1)
(2)抽出関数H(j)の実数部HRe(j)と虚数部HIm(j)において、
整数値j=0,1,2,・・・,(L/2−1)
(3)(式1a)(式1b)で算出されるデータは、整数値n=0〜N−1
(4)Σの数値範囲は、k=−L/2+1+nからk=L/2+nまでの整数範囲
一次フィルタ部2’について上記した点は、二次フィルタ部4’についても同様であり、好ましくは、二次フィルタ部4’では、所定の周波数帯域のバンドパスフィルタ特性Ψ’(i)を逆フーリエ変換して得られる抽出関数HRe’(j),HIm’(j)と、包絡信号SG1(k)に対して、
(式2a)(式2b)の畳み込み演算が実行される。
(式2a)(式2b)の畳み込み演算が実行される。
X2(n)=ΣSG1(k)*HRe’(n−k+L/2)・・・(式2a)
Y2(n)=ΣSG1(k)*HIm’(n−k+L/2)・・・(式2b)
なお、(式2a)及び(式2b)では下記(1)〜(4)が成立する。
(1)バンドパスフィルタ特性Ψ’(i)において、
サンプリング周波数fs、周波数f、フィルタ係数の総数L’に対して、
整数値i=L’*f/fsであって、i=0,1,2,・・・,(L’−1)
(2)抽出関数H’(j)の実数部HRe’(j)と虚数部HIm’(j)において、
整数値j=0,1,2,・・・,(L’/2−1)
(3)(式2a)(式2b)で算出されるデータは、整数値n=0〜N’−1
(4)Σの数値範囲は、k=−L’/2+1+nからk=L’/2+nまでの整数範囲
Y2(n)=ΣSG1(k)*HIm’(n−k+L/2)・・・(式2b)
なお、(式2a)及び(式2b)では下記(1)〜(4)が成立する。
(1)バンドパスフィルタ特性Ψ’(i)において、
サンプリング周波数fs、周波数f、フィルタ係数の総数L’に対して、
整数値i=L’*f/fsであって、i=0,1,2,・・・,(L’−1)
(2)抽出関数H’(j)の実数部HRe’(j)と虚数部HIm’(j)において、
整数値j=0,1,2,・・・,(L’/2−1)
(3)(式2a)(式2b)で算出されるデータは、整数値n=0〜N’−1
(4)Σの数値範囲は、k=−L’/2+1+nからk=L’/2+nまでの整数範囲
本発明の包絡信号SG1(n)は、一次処理信号の包落線に対応する形状を有するものであれば、特に限定されないが、好ましくは、一次フィルタ部における実数出力X1(n)と、虚数出力Y1(n)の二乗和の平方根であって、SG1(n)=SQRT(X12(n)+Y12(n))で与えられる。或いは、演算量を抑制する趣旨から、本発明の包絡信号は、一次フィルタ部における実数出力X1(n)または虚数出力Y1(n)に対する絶対値SG1(n)=ABS(X1(n))又はSG1(n)=ABS(Y1(n))で与えられるのも好適である。
また、本発明の評価信号SG2は、燃焼室の点火プラグがt=0で点火放電してから所定時間(通常は2mS程度)経過した後に発生することが確認されている。したがって、少なくとも、点火放電の終了直後の振動波を排除して一次フィルタ部を機能させるのが好ましく、また、判定部についても、点火放電開始からの経過時間2mS〜4mSあたりの評価区間について評価信号SG2を判定するのが好ましい。そのため、点火放電の終了直後の振動波を0に抑制すると共に、評価区間の開始点に向けて信号レベルを漸増させるべく、信号取得部1で取得したイオン信号に、適宜なハニング窓を利用した補正関数を作用させるのが好ましい。
上記した本発明によれば、イオン電流波形の第二ピーク位置を容易且つ高精度に検出してノック判定ができるなど、適切な燃焼制御を実現することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、実施例に係る燃焼制御装置DETを示す回路図であり、図2は、燃焼制御装置DET各部の概略波形を示すタイムチャートである。
図1に示す通り、この燃焼制御装置DETは、内燃機関の電子制御ユニットたるECU(Engine Control Unit)と、一次コイルL1と二次コイルL2からなる点火コイルCLと、ECUから受ける点火パルスSGに基づく遷移動作によって一次コイルL1の電流ic1をON/OFF制御するスイッチング素子Qと、二次コイルL2の誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグPGと、イオン電流検出回路IONと、を中心に構成されている。
そして、イオン電流検出回路IONの出力電圧Voは、ECUのA/Dコンバータ(不図示)に供給され、デジタルレベルの検出信号としてECUのメモリに記憶される。ここで、イオン電流検出回路IONの出力電圧Voは、点火パルスSGの立下りタイミングからイオン電流が消滅するまでのデータ取得区間において取得される。なお、点火放電直後に、放電ノイズとも称されるLC振動波が発生する(図2(c))。
以下、回路構成について詳述すると、スイッチング素子Qは、ここではIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が使用されている。そして、スイッチング素子Qのコレクタ端子は、一次コイルL1を経由してバッテリ電圧VBを受けており、エミッタ端子は、グランドに接続されている。
イオン電流検出回路IONは、電流検出回路として機能するOPアンプAMPを中心に構成され、コンデンサC1、ツェナーダイオードZD、ダイオードD1,D2、抵抗R1〜R3を有して構成されている。コンデンサC1とツェナーダイオードZDの並列回路によって、イオン電流検出時のバイアス電圧が生成される。
二次コイルL2の高圧端子は、点火プラグPGに接続され、低圧端子は、前記バイアス電圧を生成するコンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路に接続されている。そして、コンデンサC1及びツェナーダイオードZDの並列回路は、ダイオードD1を通して、グランドに接続されている。図示の通り、ダイオードD1のカソード端子がグランドに接続されている。
一方、ダイオードD1のアノード端子は、電流制限抵抗R1を経由してOPアンプの反転入力端子(−)に接続されている。そして、OPアンプAMPの反転入力端子(−)と出力端子の間に、電流検出抵抗R2が接続され、出力端子のグランド間には、負荷抵抗R3が接続されている。また、OPアンプの非反転端子(+)は、グランドに接続され、反転端子(−)には、ダイオードD2のカソード端子が接続されている。なお、ダイオードD2のアノード端子はグランドに接続されている。
上記した構成の燃焼制御装置DETでは、タイミングT0において、点火パルスSGがHレベルからLレベルに変化すると、二次コイルL2に誘起される高電圧によって点火プラグPGが放電する。この放電電流は、点火プラグPG→二次コイルL2→コンデンサC1→ダイオードD1の経路で流れるので、コンデンサC1は、ツェナーダイオードZDの降伏電圧により規定される電圧値に充電される。
点火プラグPGの放電によって燃焼室の混合気が着火されると、その後、急速に燃焼反応が進行するが、イオン電流iは、電流検出抵抗R2→電流制限抵抗R1→コンデンサC1→二次コイルL2→点火プラグPGの経路で流れる。したがって、イオン電流検出回路IONの出力電圧(イオン検出信号)Voは、Vo=R2*iとなり、イオン電流iに比例した値となる。
続いて、燃焼制御装置DETの動作のうち、特に、イオン検出信号Voの第二ピーク位置TOPの特定方法を説明する。図3は、この特定方法を説明するフローチャートであり、ECUによって実行される。
ECUは、点火サイクル毎に、データ取得区間におけるイオン検出信号Voを取得した後、運転条件に対応して、第1基準点A及び第1基準点Bである基準パラメータを特定する。これらの基準パラメータは、第1基準点Aまでの区間に、必ず、放電ノイズ区間が含まれるよう設定され、また、第2基準点Bまでの区間に、必ず、第二ピーク位置が含まれるよう設定されて、ECUの記憶装置に記憶されている。
ここで、基準パラメータの値(時間位置)は、点火パルスSGの立下りエッジ(T0)を基準位置として、実験的に最適値が特定されており、運転条件毎に異なる。なお、運転条件には、エンジン回転数と、エンジンの吸気管圧力とが含まれるが、点火タイミングは含まれない。したがって、ECUに、基準パラメータを膨大に格納しておく必要はない。なお、第1基準点Aは、放電ノイズ区間のピーク位置を検出するための検索範囲を規定するに過ぎないので、固定的な値を採っても良く、この場合には、ECUの記憶装置の記憶量が大きく抑制される。
図4(a)は、運転条件が同一で、点火タイミングが相違する2つのイオン検出信号(第1波形、第2波形)について、第1基準点Aと第2基準点Bとを図示したものである。この実施例では、運転条件に基づき、第1基準点A=1.5mS、第2基準点B=3mSに設定されている。
ステップST1の処理が終われば、次に、放電ノイズのピーク位置を特定し、このノイズピーク位置PKを基準に、検索開始点BGを特定する(ST2)。このステップST2の処理は、第二ピーク位置の検索範囲から、放電ノイズ区間を除去するための処理であり、具体的には、[検索開始点BG←ノイズピーク位置PK+補正値α]の演算が実行される。なお、放電ノイズ区間は、LC振動区間であって、それほど変化しないが、補正値αとして、運転条件に応じた最適値が実験的に特定されるのが好ましい。図示の実施例では、図4(b)に示すように、第1波形、第2波形とも、補正値α=0.3mSに設定されている。
ところで、ステップST2の処理では、放電ノイズのピーク位置PKが問題になるが、このノイズピーク値は、突出して高レベルであるので、これを検出することに、特段のソフトウェア負担は生じない。また、必ずしも、ステップST2のタイミングで、ノイズピーク位置PKを特定する必要はなく、例えば、イオン検出信号Voの取得処理に並行して、ノイズピーク位置PKを特定しても良い。
何れにしても、ステップST2に続いて、第2基準点Bから時間軸を前方方向に探索して、最初に検出される頂点を検索終了点FNとする(ST3)。なお、イオン検出信号Voにノイズ成分が重畳していることも考慮して、ステップST3の頂点検索処理では、鋭角的で急峻な頂点は、これを排除して評価するのが好ましい。例えば、100μS程度離間した2つのデータについて、各データの時間微分値(探索方向の値)が、正から負に変化した場合であって、各微分値が所定の数値範囲内であれば、その間に頂点が存在すると判定する。
図5(a)は、ステップST3の処理によって特定された検索終了点FNを、第1波形及び第2波形について示している。ステップST3の処理で特定される検索終了点FNは、これが第二ピーク位置TOPであることも多いが、本実施例では、敢えて検索終了点FNとして、更に検索を継続している。そのため、例えば、図11(a)の波形のように、第二ピーク位置の後段に脈動部分(破線部参照)が存在する場合でも、正しく第二ピーク位置を特定することができる。
ステップST3の処理が終われば、次に、検索開始点BGから検索終了点FNの間で最小位置を特定して、最深点DPとする(ST4)。本実施例では、イオン検出信号Voの時間軸上の傾きを問題にすることなく、イオン検出信号の最小位置によって最深点DPを特定できるので、ステップST4の処理が極めて容易である。
この最深点DPは、点火放電(T0)により発生した火炎核が、乱流伝播火炎に成長して、実際に熱が発生し始めるタイミングに対応するので、最深点DPを正確に特定できることは、その後の燃焼制御やノック判定において有益である。
次に、ステップST3の処理で特定した最深点DPから検索終了点FNとの間で、イオン検出信号Voの最大位置を特定して、これを第二ピーク位置TOPとする(ST5)。ここでも、イオン検出信号Voの時間軸上の傾きを問題にすることなく、イオン検出信号の最大位置によって第二ピーク位置TOPを特定できるので、ステップST5の処理が極めて容易である。
もっとも、イオン検出信号Voにノイズ成分が重畳していることも考慮して、ステップST5の処理では、鋭角的で急峻な頂点は、これを排除して評価しても良い。例えば、100μS程度離間した2つのデータについて、各データの時間微分値(時間軸の正方向の値)が、正から負に変化した場合であって、各微分値が所定の数値範囲内であれば、その間に第二ピーク位置がが存在すると判定する。
図5(b)には、第1波形と第2波形について、最深点DPと、検索終了点FNと、第二ピーク位置TOPとを示している。本実施例では、探索第1波形は、従来技術では、第二ピーク位置を特定することが困難な形状を示しているが、本実施例によれば、正確に第二ピーク位置TOPを検出することができる。
燃焼制御装置DETは、以上のようにして第二ピーク位置TOPを特定した後、第二ピーク位置に基づいてMBT制御を実行する。例えば、点火時期がMBTに適合している場合には、燃焼圧の最大値となる圧力ピーク位置PKが、上死点TDCから特定のクランク角度だけ遅角した点(目標位置)に一致するので、第二ピーク位置が、目標位置となるよう適宜なフィードバック制御(進角/遅角制御)を実行すれば良い。
また、燃焼制御装置DETは、第二ピーク位置TOP前後のイオン検出信号Voに基づいて、ノック発生の有無を判定することもできす。そして、ノックが発生していると判定される場合には、次の点火サイクルにおいてノック発生を解消する適宜な燃焼制御を実行する。
図6は、ノック発生を判定するアルゴリズムを示すフローチャートである。ECUでは、点火サイクル毎に、点火放電から所定時間のイオン信号Diを取得して記憶する(ST11)。特に限定されないが、ここでは、サンプリング周波数fsを30kHzとし、点火開始(t=0)からt=5mSまでのイオン信号Diを取得している。
図7は、打撃音が発生しない正常燃焼時における正常なイオン信号(a)と、同様の正常燃焼時において定在波が重畳したイオン信号(b)と、ノック信号が重畳したノック発生時のイオン信号(c)と、を示している。図7(c)に示す通り、ノック信号は、2mS〜4mS程度の区間に出現するが、同様の振動波が図7(b)にも現れるので、両者を峻別することは容易ではない。なお、この実施例では、点火開始タイミングt=0は、点火パルスSGの立下り時であり、その後、t=0.7mS程度までの区間は、点火放電が継続されるので、イオン信号が検出されない。
その後、イオン信号が検出されるが、点火放電の終了直後に出現する振動波の影響を排除して、その後の一次フィルタ処理を実行するのが好ましい。そのため、本実施例では、取得したイオン信号D(i)に、ハニング窓を利用した補正関数W(i)を作用させて、F(i)←D(i)*W(i)の演算を実行している(ST12)。
ここで、補正関数W(i)は、is<i≦ieの区間では、
W(i)=0.5−0.5*COS[π*(i−is)/{(ie−is)}]であり、その他の区間ではW(i)=0である。
W(i)=0.5−0.5*COS[π*(i−is)/{(ie−is)}]であり、その他の区間ではW(i)=0である。
上式において、i=is+1〜ieであり(is<i≦ie)、is及びieは、補正開始タイミングtsと、補正終了タイミングteと、サンプリング周波数fs(=30kHz)とに対応して、is≦fs*tsや、ie≦fs*teの条件を満たす最大の整数値となる。
補正開始タイミングtsは、イオン信号D(i)の二次ピーク位置TOPの手前に存在する最深点DP(図5参照)に設定される。なお、図3に関して説明した通り、最深点DPは、放電ノイズ区間を除いたイオン信号D(i)が最低値となる位置である。
一方、補正終了タイミングteは、二次ピーク位置TOPより付加時間δだけ手前(TOP−δ)に設定するのが好適である。図3に関して説明した通り、二次ピーク位置TOPは、最深点DPと探索終了点FNとの間で、イオン信号D(i)が最大値を示す位置である。
また、補正終了タイミングteを規定する付加時間δは、内燃機関の運転条件に対応して個々的に規定するのが理想的であるが、通常は、0.1mS〜0.6mSの範囲で最適値が実験的に確定される。但し、補正終了タイミングteを、補正開始タイミング(信号最深点)tsに対応して、ts+Tに設定しても良く、この場合には、補正区間(te−ts)が固定的な時間幅Tとなる。
また、付加時間δを、補正開始タイミング(信号最深点)Tsと、二次ピーク位置TOPに基づいて決定しても良い。この場合には、付加時間δは、例えば、δ=(TOP−Ts)/2に決定される。
図8(a)〜図8(c)は、付加時間δ=0.3mSに設定した補正区間[ts,te]と、補正関数たる窓関数W(i)と、窓関数W(i)を作用させた補正演算後のイオン信号F(i)とを図示したものである。
なお、上記の実施例では、F(i)←D(i)*W(i)の演算を実行したが、補正区間[ts,te]のデータを、補正終了タイミングteの接線で直線補完した上で、直線補完後のイオン信号D(i)’に窓関数を作用させるのも好適である。図8(d)は、補正終了タイミングteにおける接線を破線で示している。
以上のような補正演算が終われば、補正後のイオン信号F(i)に、BPF1による一次フィルタ処理を施す(ST13)。なお、BPF1の通過帯域は、予め実験的に特定されるノック周波数に対応して決定されるが、この実施例では、5.8〜7.6kHzの通過帯域に設定している。
また、この実施例では、所望のバンドパスフィルタ特性Ψ(i)を実現する抽出関数H(j)の実数部HRe(j)及び虚数部HIm(j)と、補正後のイオン信号F(k)との畳み込み演算によってBPF処理を実行している。具体的には、
X1(n)=ΣF(k)*HRe(n−k+L/2)・・・(式1a)
Y1(n)=ΣF(k)*HIm(n−k+L/2)・・・(式1b)
の一次フィルタ処理を実行してn=0,1,2,・・・・,N−1の一次処理信号X1(0)・・・X1(N−1)と、Y1(0)・・・Y1(N−1)を得ている。
X1(n)=ΣF(k)*HRe(n−k+L/2)・・・(式1a)
Y1(n)=ΣF(k)*HIm(n−k+L/2)・・・(式1b)
の一次フィルタ処理を実行してn=0,1,2,・・・・,N−1の一次処理信号X1(0)・・・X1(N−1)と、Y1(0)・・・Y1(N−1)を得ている。
ここで、(式1a)(式1b)におけるΣの数値範囲は、k=−L/2+1+nからk=L/2+nまでの整数範囲である。なお、(式1a)(式1b)では、バンドパスフィルタ特性Ψ(i)において、サンプリング周波数fs、周波数f、フィルタ係数の総数Lに対して、整数値i=L*f/fsであって、i=0,1,2,・・・,(L−1)である。また、抽出関数H(j)の実数部HRe(j)と虚数部HIm(j)において、整数値j=0,1,2,・・・,(L/2−1)である。
ここで、一次処理信号X1(n),Y1(n)について、具体的に確認すると、
X1(0)=F(1−L/2)*HRe(L−1)+F(2−L/2)*HRe(L−2)+・・・+F(0)*HRe(L/2)+F(1)*HRe(L/2−1)+・・・+F(L/2)*HRe(0)、
X1(1)=F(2−L/2)*HRe(L−1)+F(1−L/2)*HRe(L−2)+・・・+F(0)*HRe(L/2+1)+F(1)*HRe(L/2)+・・・+F(L/2+1)*HRe(0)、
・
・
・
X1(N−1)=F(N−L/2)*HRe(L−1)+F(N+1−L/2)*HRe(L−2)+・・・+F(0)*HRe(L/2+N−1)+F(1)*HRe(L/2+N−2)+・・・+F(L/2+N−1)*HRe(0)となる。
X1(0)=F(1−L/2)*HRe(L−1)+F(2−L/2)*HRe(L−2)+・・・+F(0)*HRe(L/2)+F(1)*HRe(L/2−1)+・・・+F(L/2)*HRe(0)、
X1(1)=F(2−L/2)*HRe(L−1)+F(1−L/2)*HRe(L−2)+・・・+F(0)*HRe(L/2+1)+F(1)*HRe(L/2)+・・・+F(L/2+1)*HRe(0)、
・
・
・
X1(N−1)=F(N−L/2)*HRe(L−1)+F(N+1−L/2)*HRe(L−2)+・・・+F(0)*HRe(L/2+N−1)+F(1)*HRe(L/2+N−2)+・・・+F(L/2+N−1)*HRe(0)となる。
また、Y1(0)=F(1−L/2)*HIm(L−1)+F(2−L/2)*HIm(L−2)+・・・+F(0)*HIm(L/2)+F(1)*HIm(L/2−1)+・・・+F(L/2)*HIm(0)、
Y1(1)=F(2−L/2)*HIm(L−1)+F(1−L/2)*HIm(L−2)+・・・+F(0)*HIm(L/2+1)+F(1)*HIm(L/2)+・・・+F(L/2+1)*HIm(0)、
・
・
・
Y1(N−1)=F(N−L/2)*HIm(L−1)+F(N+1−L/2)*HIm(L−2)+・・・+F(0)*HIm(L/2+N−1)+F(1)*HIm(L/2+N−2)+・・・+F(L/2+N−1)*HIm(0)となる。
Y1(1)=F(2−L/2)*HIm(L−1)+F(1−L/2)*HIm(L−2)+・・・+F(0)*HIm(L/2+1)+F(1)*HIm(L/2)+・・・+F(L/2+1)*HIm(0)、
・
・
・
Y1(N−1)=F(N−L/2)*HIm(L−1)+F(N+1−L/2)*HIm(L−2)+・・・+F(0)*HIm(L/2+N−1)+F(1)*HIm(L/2+N−2)+・・・+F(L/2+N−1)*HIm(0)となる。
本実施例では、前記した通り、所望のバンドパスフィルタ特性Ψ(i)を実現する抽出関数H(j)を利用してBPF処理を実行するが、図9は、抽出関数H(j)の生成手順を説明する図面である。便宜上、以下では、変数iを変数nに変えて説明する。
本実施例では、先ず、BPFの周波数特性Ψ(n)を以下の通りに決定した。
過渡領域n<nsartでは、Ψ(n)=EXP{−(n−nsart)2/2*σ2}
通過領域nsart≦n≦nendでは、Ψ(n)=1
減衰領域nend<n<N/2では、Ψ(n)=EXP{−(n−nend)2/2*σ2}
ゼロ領域N/2≦n<Nでは、Ψ(n)=0
過渡領域n<nsartでは、Ψ(n)=EXP{−(n−nsart)2/2*σ2}
通過領域nsart≦n≦nendでは、Ψ(n)=1
減衰領域nend<n<N/2では、Ψ(n)=EXP{−(n−nend)2/2*σ2}
ゼロ領域N/2≦n<Nでは、Ψ(n)=0
なお、通過領域の下端nsartと上端nendとは、通過領域の最小周波数fsartと最大周波数fendとに対応して、nsart=fsart*N/fs、nend=fend*N/fsとされる。また、σは、通過領域の両端の急峻度を決定するパラメータであり、実験的に最適な値が選択される。
次に、この周波数特性Ψ(n)を逆フーリエ変換して、フィルタ処理用のウェーブレット(抽出関数H(k))を生成する。逆フーリエ変換は、具体的には、図10に示す演算式を使用し、その結果、抽出関数H(j)の実数部HRe(j)と虚数部HIm(j)とが得られる。なお、図10では、虚数単位jとの区別のために、変数jに変えて変数kを使用している。
次に、抽出関数H(j)の中央位置(L/2)が最大振幅となり、その両端位置が0に収束するよう、データ位置をシフトさせ、フィルタ係数L個の抽出関数HRe(j)とHIm(j)とを特定する。この実施例では、イオン信号Diのデータ個数Nが150個(=5ms*fs)程度であるが、フィルタ係数の個数Lは、好ましくは、32個又は64個程度に抑制される。なお、周波数特性を決定するパラメータσが小さいほど、通過域両端の急峻度が高まるので、個数Lを増加させるべきである。
また、各抽出関数HRe(j)、HIm(j)は、各々、SQRT{ΣHRe 2(j)}と、SQRT{ΣHIm 2(j)}の値で正規化するのが好ましい。なお、Σの演算範囲は、j=0〜(L−1)である。
さて、上記の抽出関数を利用した一次フィルタ処理(ST13)が終われば、次に、BPF処理後の実数部X1(i)と、虚数部Y1(i)とに基づいて、出力値SG1(i)を算出する(ST14)。具体的には、SG1(i)=SQRT(X1(i)2+Y1(i)2)によるが、演算範囲はi=0〜(N−1)である。
このステップST14の処理では、一次フィルタ処理(ST13)の実数出力X1(i)と、虚数出力Y1(i)との瞬時相関を算出することになるが、この瞬時相関は、BPF処理後の一次処理信号の包絡線を特定する処理に他ならない。したがって、計算負荷を軽減する趣旨から、簡易的には、一次フィルタ処理(ST13)の実数出力X1(i)の絶対値SG1(i)=ABS(X1(i))を算出したのでも良い(ST14’)。
何れにしても、ステップST14又はST14’の処理によって、一次処理信号X1(i),Y1(i)の包落線に対応する包絡信号SG1(i)が得られるので、次に、この包絡信号SG1(i)についてBPF2による二次フィルタ処理を施す(ST15)。
この二次フィルタ処理は、不要なノイズ成分(定在波成分)を除去して、本来のノック信号のみを特異的に抽出する処理である。そして、本発明者の検討によれば、(a)包絡信号SG1の1kHz以下の周波数成分、特に、200Hz〜1kHz成分を確実に除去すること、及び(b)1.1kHz〜2.3kHz程度の周波数成分が極めて重要であることが明らかとなった。
そこで、本実施例では、二次フィルタ処理の通過帯域を1.6kHz〜2.2kHz程度に設定している。また、この二次フィルタ処理でも、このバンドパスフィルタ特性Ψ’(i)を実現する抽出関数H’(j)の実数部HRe’(j)及び虚数部HIm’(j)と、包絡信号SG1(k)との畳み込み演算によってBPF処理を実行している。具体的には、
X2(n)=ΣSG1(k)*HRe’(n−k+L/2)・・・(式2a)
Y2(n)=ΣSG1(k)*HIm’(n−k+L/2)・・・(式2b)
の二次フィルタ処理を実行してn=0,1,2,・・・・,N−1の二次処理信号X2(0)・・・X2(N−1)と、Y2(0)・・・Y2(N−1)を得る。
X2(n)=ΣSG1(k)*HRe’(n−k+L/2)・・・(式2a)
Y2(n)=ΣSG1(k)*HIm’(n−k+L/2)・・・(式2b)
の二次フィルタ処理を実行してn=0,1,2,・・・・,N−1の二次処理信号X2(0)・・・X2(N−1)と、Y2(0)・・・Y2(N−1)を得る。
ここで、(式2a)(式2b)におけるΣの数値範囲は、k=−L/2+1+nからk=L/2+nまでの整数範囲である。なお、(式2a)(式2b)では、バンドパスフィルタ特性Ψ’(i)において、サンプリング周波数fs、周波数f、フィルタ係数の総数L’に対して、整数値i=L’*f/fsであって、i=0,1,2,・・・,(L’−1)である。また、抽出関数H’(j)の実数部HRe’(j)と虚数部HIm’(j)において、整数値j=0,1,2,・・・,(L’/2−1)である。なお、抽出関数HRe’(j)やHIm’(j)についても正規化されたものが使用される。
続いて、BPF処理後の実数部X2(i)と、虚数部Y2(i)とに基づいて、評価信号SG2(i)を算出する(ST16)。具体的には、SG2(i)=SQRT(X2(i)2+Y2(i)2)によるが、その演算範囲は、予め特定されている評価区間(i=a〜b)である。評価区間[a,b]の始点aは、好ましくは、ステップST13の補正演算における補正終了タイミングteに設定され、評価区間[a,b]の終点bは、好ましくは、イオン信号D(i)十分に低レベルとなる収束位置に設定される。
次に、評価信号SG2(i)の評価区間内の総和SUM=ΣSG2(i)を算出し(ST17)、この総和値SUMと、実験的に最適設定されている閾値THと対比して、総和値SUMが閾値THより大きい場合には、その点火サイクルにおいてノックが発生していると判定する(ST18)。
先に説明した通り、評価区間の始点aは、補正終了タイミングte(=TOP−δ)に設定されるので、第二ピーク位置TOPより付加時間δだけ手前から評価信号が評価されることになる。したがって、万一、第二ピーク位置TOPの特定位置に誤差が生じても、正確なノック判定をすることができる。
以上説明した、図6の実施例によれば、同じ周波数域において同様の挙動を示す定在波成分を、検出対象のノック信号と峻別できる。なお、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではなく、適宜な改変が可能である。特に、フィルタ処理については、例示した方法に限定されないのは勿論である。但し、実施例の方法によれば、通常のデジタルフィルタを使用する場合より高精度のBPF処理を実現することができる。
また、上記の実施例では、燃焼制御動作の全てをECUが担当したが、燃焼制御の一部を、自動車用DSP(Digital Signal Processor)などで構成された専用のコンピュータ回路が担当しても良い。
EQU 燃焼制御装置
L1 一次コイル
L2 二次コイル
CL 点火コイル
Q スイッチング素子
ECU 制御装置
Vo 検出信号
ION イオン電流検出回路
PK ノイズピーク位置
BG 検索開始点
ST2 第1手段
DP 最深点
ST4 第2手段
TOP 第二ピーク位置
ST5 第3手段
L1 一次コイル
L2 二次コイル
CL 点火コイル
Q スイッチング素子
ECU 制御装置
Vo 検出信号
ION イオン電流検出回路
PK ノイズピーク位置
BG 検索開始点
ST2 第1手段
DP 最深点
ST4 第2手段
TOP 第二ピーク位置
ST5 第3手段
Claims (8)
- 一次コイルと二次コイルとからなる点火コイルと、前記一次コイルの通電を制御するスイッチング素子と、前記スイッチング素子に点火信号を供給してON/OFF動作させる制御装置と、前記二次コイルの誘起電圧を受けて放電動作をする点火プラグと、内燃機関の燃焼状態を示すイオン電流に比例した検出信号を出力するイオン電流検出回路と、を有して構成され、
前記制御装置は、
前記スイッチング素子のOFF遷移に対応して検出信号の取得処理を開始し、取得値が非有意レベルに収束するまでの一連の検出信号を取得する取得手段と、
前記スイッチング素子のOFF遷移後に発生する検出信号のピーク位置PKに基づき、前記ピーク位置より所定の後方位置(+α)を検索開始点BGに特定する第1手段と、
前記検索開始点BGから時間軸上を後方向きに検索して、前記検出信号が最低値を示す最深点DPを特定する第2手段と、
前記最深点DPから時間軸上を後方向きに探索して、前記検出信号が最大値になる頂点位置を第二ピーク位置TOPに特定する第3手段と、
前記第二ピーク位置TOPに基づいてその後の判定処理を実行する判定手段と、を有して構成されることを特徴とする内燃機関の燃焼制御装置。 - 前記所定の後方位置(+α)は、その時々の運転条件に対応して決定される請求項1に記載の燃焼制御装置。
- 第3手段は、鋭角的で急峻な頂点を除いて第二ピーク位置を特定する請求項1又は2に記載の燃焼制御装置。
- 前記判定処理は、燃焼室でノッキングが発生しているか否かのノック判定であって、
前記検出信号は、所定の補正区間[ts,te]について、窓関数による補正演算を経た上で、BPF(Band Pass Filter)処理が施され、
前記補正区間の始点tsは、前記最深点DPに設定される請求項1に記載の燃焼制御装置。 - 前記補正区間の終点teは、前記第二ピーク位置TOPより付加時間δだけ手前に設定され(Te=TOP−δ)、前記BPF処理後のデータについて前記終点te以降を評価してノック判定が実行される請求項4に記載の燃焼制御装置。
- 前記窓関数は、ハニング窓又はハミング窓である請求項4又は5に記載の燃焼制御装置。
- 前記判定手段は、前記補正区間の補正終了点te以降のデータを評価してノック判定をする請求項4〜6の何れかに記載の燃焼制御装置。
- 前記判定手段は、第二ピーク位置に基づいて、MTB評価を実行する請求項1〜3の何れかに記載の燃焼制御装置。
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