JP5919028B2 - 鱗片状の金属酸化物微粒子を含む硬化層を形成する方法 - Google Patents

鱗片状の金属酸化物微粒子を含む硬化層を形成する方法 Download PDF

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Description

本発明は、基体上に耐摩耗性に優れる硬化層を形成する方法を提供する方法に関する。
砂塵などによる物理的刺激が多い場面にも適した硬度を有することを目的として、基体層の表面に鱗片状の酸化チタン微粒子(チタニアナノシート)を含むコーティング剤が焼成された積層体が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1によると、ナノシートの硬度は焼成する温度によって大きく異なり、400℃以上での焼成を行わないと十分な硬度が発現していない。
しかし、このような高温での焼成を行なうと基体が劣化するなど好ましくない影響がある。このため、高温での焼成によらない熱負荷の少ない方法が求められていた。
特開2005−290369号公報
本発明の目的は、砂塵などによる物理的刺激が多い場面にも好適な、耐摩耗性に優れる硬化層を高温で焼成することなく、基体上に形成する方法を提供することにある。
本発明によれば、上記課題は、下記構成により解決される。
1. 基体上に鱗片状の金属酸化物微粒子を含む硬化層を形成する方法であって、
(工程−i)基体を準備する工程、
(工程−ii)基体上に、厚みが10nm以下の鱗片状の金属酸化物微粒子分散液を塗布して塗布層を形成する工程、
(工程−iii)塗布層を乾燥して乾燥層を形成する工程、並びに
(工程−iv)乾燥層中の鱗片状の金属酸化物微粒子を、電離物質線照射により硬化して硬化層を形成する工程、
を含む前記方法。
2. 工程−ivは、プラズマ照射で行う前項1に記載の方法。
3. 基体は、ガラス、金属、セラミック、プラスチックよりなる群から選ばれる一種である前項1または2に記載の方法。
4. 基体は、透明基体である前項1〜のいずれか一項に記載の方法。
5. 鱗片状の金属酸化物粒子は、最短幅10nm以上、厚み10nm以下、最短幅/厚み10以上である前項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
基体上に鱗片状の金属酸化物微粒子を含む硬化層を有する部材の製造方法であって、
(工程−i)基体を準備する工程、
(工程−ii)基体上に、厚みが10nm以下の鱗片状の金属酸化物微粒子の分散液を塗布して塗布層を形成する工程、
(工程−iii)塗布層を乾燥して乾燥層を形成する工程、並びに
(工程−iv)乾燥層中の鱗片状の金属酸化物微粒子を、電離物質線照射により硬化して硬化層を形成する工程、
を含む前記製造方法。
工程−ivは、プラズマ照射で行う前項6に記載の製造方法。
基体は、ガラス、金属、セラミック、プラスチックよりなる群から選ばれる一種である前項6または7に記載の製造方法。
基体は、透明基体である前項6〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
10. 部材が窓用途である前項6〜9のいずれか一項記載の製造方法。
11. 部材が車両窓用途である前項6〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
12. 鱗片状の金属酸化物粒子は、最短幅10nm以上、厚み10nm以下、最短幅/厚み10以上である前項6〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明の方法よれば、砂塵などによる物理的刺激が多い場面にも好適な、優れた耐摩耗性を有する硬化層を高温での焼成を行なうことなく基体上に形成することができる。本発明の方法では、基体が高温に曝され劣化することが抑制される利点がある。本発明の方法で得られる硬化層は、優れた耐摩耗性に加えて光触媒性機能による防汚性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、(工程−i)〜(工程−iv)を含む。
<(工程−i)基体を準備する工程>
工程−iは、基体を準備する工程である。基体は、ガラス、金属、セラミックおよびプラスチックよりなる群から選ばれる1種であることが好ましい。
プラスチックとしては、特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリジシクロペンタジエン等のアモルファスポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、フェノール樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。中でも優れた透明性を有するポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンが好ましい。更に、高い衝撃強度を有するポリカーボネート樹脂がより好ましい。
基体の厚みは、特に制限はないが、0.05〜20mmが好ましく、1〜10mmがより好ましい。
また、基体がプラスチックの場合は基体にハードコート層が形成されている場合、より優れた耐摩耗性が得られるため好ましい。ハードコート層に用いるハードコート剤としては、特に制限はないが、シリコーン樹脂系ハードコート剤や有機樹脂系ハードコート剤などが例示される。これら中でも、コロイダルシリカまたはアルコキシシラン加水分解縮合物を含むハードコート剤を用いてハードコート層を形成すると、ハードコート層の表面に鱗片状の金属酸化物微粒子を用いてなるトップコート層を形成させた際に、特に優れた耐摩耗性が得られるため好ましい。シリコーン樹脂系ハードコート剤は、プライマー層とトップ層から構成されるいわゆる2コートタイプ、並びに一層のみから形成されるいわゆる1コートタイプのいずれも選択できる。ハードコート層の厚みは2〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましく、4〜10μmが更に好ましい。下限以上では、基材の耐摩耗性が得られ、上限以下では、硬化ムラが生じづらく基材との密着性が良好である。
ハードコート層表面は通常撥水性であり、そのままの状態ではナノシート分散液をはじいてしまうことが多い。このためハードコート層表面を親水化した後にナノシート分散液を塗布することが好ましい。ハードコート層表面の親水化法としては酸化セリウム研磨、コロナ放電処理、バーナー処理、大気圧プラズマ処理、真空紫外線照射処理等が挙げられる。このような方法でハードコート層表面を処理することによってトップコート層を均質な厚みにコートすることができる。また、親水性を制御することによってトップコート層の堆積方向を制御することが好ましい。
<(工程−ii)塗布工程>
工程−iiは、基体上に、厚みが10nm以下の鱗片状の金属酸化物微粒子分散液を塗布して塗布層を形成する工程である。
鱗片状の金属酸化物微粒子(以下ナノシートと称することがある)は、厚さは僅か10nm足らずの高いアスペクト比を持つシート状の金属酸化物微粒子である。
ナノシート分散液は、最短幅10nm以上、厚み10nm以下、最短幅/厚み10以上のシート状物質を溶媒中に分散させた分散液で、鉱物結晶を層間剥離物質および分散剤と共に処理する等の方法で調製される。用いる溶媒としては、特に制限はないが、水およびメタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール等のアルコール類、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキソラン等のエーテル類、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が好ましく、水が特に好ましく用いられる。これらの溶媒は単独で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
ナノシート分散液中のナノシートの濃度は好ましくは0.01〜10%、より好ましくは0.1〜2%である。(基材の表面状態、コート法にもよるが)下限以上の濃度の分散液を使用することでナノシートを隙間なくコートすることができ、上限以下の濃度の分散液を使用することで適切な厚みのナノシート層を得ることができる。
ナノシート分散液は雲母など層状結晶をとる鉱物にアミン類等の層間剥離、分散安定剤を加えて粉砕、攪拌して得ることができる。このとき層間剥離、分散安定剤がナノシートの両面に配位してナノシート同士が再度結合するのを防いでいる。
このような分散液を塗布、乾燥して作成したナノシート層はナノシート間に剥離、分散安定に使用したアミンが残存した状態になっている。このようなナノシートにエネルギーを加えることでナノシート間物質の除去を行い、ナノシート同士およびナノシートと基体の密着を確保すると共に、ナノシート結晶相の相転位を行い必要な機能を確保する。
ナノシート分散液のコート法には特に制限はなく、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基体の形状に応じて適宜選択することができる。
鱗片状の金属酸化物微粒子は、Ti、Nb、Al、Si、W、Fe、Mn、Cr、Ca、およびMgからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を構成元素とすることが、優れた耐摩耗性が得られる点から好ましい。さらに、防汚性を付与する場合は、光触媒性を有する元素を構成元素とする。そのような構成元素からなる鱗片状の金属酸化物微粒子を使用することでバンドギャップに相当するエネルギー(紫外光等)吸収により価電子帯の電子が伝導帯に励起され、価電子帯には電子の抜け殻である正孔(ホール:h+)が、伝導帯には電子(e-)が生じる。この電子とホールは酸化チタン表面の水や酸素と反応して極めて強い酸化力を有するラジカルを生成し、そのラジカルは汚れやバクテリアを構成するほとんど全ての有機物を分解する。また、紫外光吸収により構造変化が起こり、表面が高度に親水化して、水で容易に汚れを洗い流せるようになる。このような作用により紫外光照射により、容易に汚れを除去できる表面が形成される。構成元素としては、なかでもTi、Nbが、光触媒性に優れ、表面が超親水性となり、防汚性に優れるため好ましい。
構成元素がTiである場合、たとえばチタン酸カリウム、チタン酸カリウムマグネシウム、チタン酸セシウム等の層状チタン酸塩をイオン交換および層間剥離して得られる鱗片状金属酸化物微粒子を好適に用いることができる。さらに、レピドクロサイト型構造を有するチタン酸セシウム(Cs0.7Ti1.8250.175、□は空孔)から合成したナノシートは、アスペクト比の大きい板状構造を有しており、分散性に優れていることから、良質なコート膜を形成するため特に好ましい。構成元素がNbである場合においては、組成式KNbまたはKNb17で表わされる層状ニオブ酸カリウムをイオン交換および層間剥離して得られる鱗片状金属酸化物微粒子を好適に用いることができる。特に[Nbの組成で表わされるナノシートは、対称性の高い構造を有しており、ロール状に巻きあがることがなく、シート構造が安定に保たれるため、良質なコート膜を得るのに特に優れている。
<(工程−iii)乾燥工程>
工程−iiiは、塗布層を乾燥して乾燥層を形成する工程である。乾燥は、特に制限はないが、常温から該基体の熱変形温度以下の温度下で加熱し除去して行なう。
<(工程−iv)硬化工程>
工程−ivは、乾燥層中の鱗片状の金属酸化物微粒子を硬化して硬化層を形成する工程である。硬化は、電離物質線照射により行う。
(電離物質線照射による硬化)
電離物質線とは、プラズマ、イオン、電子等の電離性物質の放射線の総称のことであり、電離性物質は電荷を持っているので電場でその状態を制御することができ、高エネルギーを局所的に加えることができるため好ましい。プラズマ(状態)とは物質がイオンと電子に分離して自由に動き回っている状態、およびその状態における自由電子とイオンを指す。プラズマ状態は高温下、もしくは放電環境下で形成されるのが一般的であり、真空下グロー放電やタウンゼント放電、大気圧下高周波電源による放電、高温下アーク放電を行うことなどで形成される。中でも真空下グロー放電やタウンゼント放電で形成される低温プラズマはキャリアガスイオンの温度と電子温度に極端に大きな違いがあるのが特徴であり、基体の温度上昇を抑えながら表面に高エネルギーを加えることができるため特に好ましい。
プラズマ形成ガスの種類としては、特に制限はないがヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス類、水素、窒素、酸素、二酸化炭素等が挙げられ、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガス類および酸素がナノシートの性能維持のため好ましい。
プラズマ形成は通常0.001〜1000Paの圧力下で行うのが好ましく、0.01〜20Paがより好ましく、0.01〜10Paが更に好ましく、特に0.1〜5Paが好ましい。下限以上では、安定してプラズマ放電状態を形成できるため好ましく、上限以下では、ナノシートの硬化に必要なエネルギーを持ったプラズマ粒子の割合が高くなるため好ましい。装置のサイズ、用いる真空ポンプの能力にもよるので一概には言えないが、このような圧力を実現するためにガスの流量として電極1cmあたり通常0.01〜3sccm程度プラズマ形成ガスが装置に導入される。
プラズマ状態を形成するのに一般的に行なわれるグロー放電は通常0.4〜10Paの状態で安定して放電を行うことができるため好ましく、装置の工夫で0.001〜1000Paで放電状態が安定的に維持される。プラズマ状態に関係するガス圧、投入電力は共に自由電子の量、個々の自由電子の運動エネルギーに、ガス圧は自由電子の数に大きく影響し、投入電力は自由電子全体のエネルギー量に大きく影響する。同じ投入電力の場合、ガス圧が低い方が自由電子の数は少なく、個々の自由電子のエネルギーは大きくなる。
ナノシートにプラズマを照射している際は、自由電子がナノシートに衝突することでナノシートの硬化を起こすと共に、そのエネルギーを基体に伝えて、基体の温度上昇を引き起こす。個々の自由電子のエネルギーが大きいほどナノシートの硬化に有利であり、自由電子全体のエネルギーが小さいほど基体温度の上昇抑制に有利である。
ガス圧5Pa以下かつ投入電力0.4W/cm以上で個々の自由電子の運動エネルギーがナノシートの硬化に好ましい運動エネルギーになり、5W/cm以下の投入電力で基体の温度上昇を抑制することができるため好ましい。またガス圧0.4〜5Paとすることで投入電力0.1〜5W/cmの範囲でグロー放電できる。該ガス圧および投入電力の範囲では、で基体の温度上昇を抑えながらナノシートの硬化を効率的に進めることができるため好ましい。
プラズマ照射時間は長ければ長いほどナノシートの硬化が進み好ましいが、プラズマ照射中基体の温度は上昇を続けるので、プラズマ照射時間は基体の耐熱性が許容する範囲で設定する必要がある。プラズマ照射が可能な時間はガス圧、投入電力によるが、例えばガス圧0.5Pa、投入電力1W/cmの場合は、5分以上10分以下であると基体の温度上昇を抑えながらナノシートの硬化を効率的に進めることができるため好ましい。
離物質線照射基体の温度上昇抑制の点で好ましく、プラズマ照射が特に好ましい。
一方、トップコート層(硬化層)の厚さは、硬化後に3〜100nmとなることが好ましく、4〜30nmがより好ましく、5〜20nmが特に好ましい。トップコート層の厚みが下限以上では、耐摩耗性に優れるため好ましく、上限以下では、トップコート層を十分に固定化できるため好ましい。
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、何らこれに限定されるものではない。なお実施例、比較例中の評価は下記の方法に従った。
<評価>
(1)外観
目視にて試験片のコート層外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無、および基体層の状態を確認した。外観が良好である場合を○、外観が不良である場合を×とした。
(2)密着性
コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ”(登録商標))を圧着し、垂直に強く引き剥がして基体上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5600−5−6に準拠)。
(3)鉛筆硬度
試験片に対して45°の角度に鉛筆をセットし、750gの荷重で鉛筆を押し当てながら引っかき試験片にキズがつくかどうか外観を確認した。キズがつかなかった最も硬い鉛筆の硬度をその試験片の鉛筆硬度とした(JIS K5600−5−4に準拠)。
(4)スチールウール硬度(SW)
#0000の粗さのスチールウールを直径1mmの円形の治具に貼り付け1kg荷重で、前後5cmの幅で20往復させて傷のつき具合を以下の5段階で目視評価した。
5:全くキズがつかない。
4:長さ3mm以内のキズが1〜5本発生
3:長さ3mm以内のキズが6〜20本発生
2:キズが20〜50本発生
1:キズが50本以上発生
(5)耐摩耗性
Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Htを測定して評価した(ASTM D1044に準拠)。
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
(6)光照射後の水接触角測定
試験片に1mW/cmの紫外線を1時間照射した後、水滴の接触角を接触角計(協和界面科学製ドロップマスターM−301型)を用いて測定した。
<I.ハードコート層に用いるサンプル調製>
(参考例1)アクリルプライマーコート剤(A−1)の調製
還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にエチルメタクリレート(以下EMAと省略する)79.9部、シクロヘキシルメタクリレート(以下CHMAと省略する)33.6部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと省略する)13.0部、メチルイソブチルケトン126.6部(以下MIBKと省略する)および2−ブタノール(以下2−BuOHと省略する)63.3部を添加混合した。混合物に窒素ガスを15分間通気して脱酸素した後、窒素ガス気流下にて70℃に昇温し、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと省略する)0.33部を加え、窒素ガス気流中、70℃で5時間攪拌下に反応させた。さらにAIBN0.08部を加えて80℃に昇温し3時間反応させ、不揮発分濃度が39.6%のアクリル共重合体溶液(A)を得た。アクリル共重合体の重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で125,000であった。
得られたアクリル共重合体溶液(A)100部に、メチルイソブチルケトン43.2部、2−ブタノール21.6部、1−メトキシ−2−プロパノール83.5部を加えて混合し、チヌビン400(BASF(株)製トリアジン系紫外線吸収剤)5.3部、アクリル樹脂溶液(A)中のアクリル共重合体のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.0当量になるようにVESTANAT B1358/100(デグサ・ジャパン(株)製ポリイソシアネート化合物前駆体)10.6部を添加し、さらにジメチルジネオデカノエート錫0.015部を加えて25℃で1時間攪拌し、アクリルプライマーコート剤(A−1)を得た。
(参考例2)シリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)の調製
水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成工業(株)製 カタロイドSN−35、固形分濃度30重量%)133部に1Mの塩酸1.3部を加えよく攪拌した。この分散液を10℃まで冷却し、氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン162部を滴下して加えた。メチルトリメトキシシランの滴下直後から反応熱で混合液の温度は上昇を開始し、滴下開始から5分後に60℃まで温度上昇した後、冷却の効果で徐々に混合液温度が低下した。混合液の温度が30℃になった段階でこの温度を維持するようにして30℃で10時間攪拌し、これに、硬化触媒としてコリン濃度45重量%のメタノール溶液0.8部、pH調整剤として酢酸5部、希釈溶剤として2−プロパノール200部を混合し、シリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を得た。
(参考例3)紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−2)の調製
多官能アクリレートオリゴマー(新中村化学(株)製U−15HA)100部、フェニル−1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン(BASF(株)製Irgacure184)7部、1−メトキシ−2−プロパノール250部、2−プロパノール100部、有機溶剤分散コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製IPA−ST 固形分濃度30%)50部を混合して紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−2)を得た。
(参考例4)メラミン樹脂ハードコート剤(I−3)の調製
ヘキサメトキシメチロールメラミン(三井化学(株) 製サイメル350)100部、ポリエチレングリコール(分子量200)25部、1,4−ブタンジオール45部、イソプロピルアルコール118部、イソブタノール244部、マレイン酸7部、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン6部を混合してメラミン樹脂ハードコート剤(I−3)を得た。
<II.トップコート層に用いるサンプル調製>
(参考例5)チタニアナノシートコート剤(II−1)の調製
炭酸セシウム、酸化チタンをモル比1:5.3の割合で混合し、800℃、20時間の焼成を2回行った。生成したチタン酸セシウムを希塩酸中で撹拌、ろ過、乾燥するという一連の処理を4回繰り返し、セシウムイオンを水素イオンに置き換えた層状チタン酸を得た。これに、層間剥離剤としてテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を加え、14日間撹拌した後、純水で希釈して固形分濃度3重量%のチタニアナノシート水分散液を調製した。得られたチタニアナノシート水分散液をエタノールで希釈して固形分濃度0.3重量%のチタニアナノシートコート剤(II−1)を得た。
コート剤(II−1)をさらにエタノールで希釈して0.01重量%とし、石英ガラス板上に引き上げ速度毎秒3cmの速さで、ディップコート法で塗布した。
得られた試験片表面を原子間力顕微鏡で観察して、サイズおよび厚みの測定を行ったところ、得られたナノシートは面方向の寸法が10〜50μm、厚み2〜5nmであった。
(参考例6)ニオビアナノシートコート剤(II−2)の調製
硝酸カリウム、酸化ニオブをモル比1:3(K:Nb)の割合で混合し、600℃、2時間の仮焼を行った。粉末を粉砕混合し、再度900℃、20時間の本焼成を行い、徐冷してニオブ酸カリウム(KNb)を得た。生成したニオブ酸カリウムを1Mの硝酸中で懸濁・撹拌して24時間イオン交換を行い、遠心分離で上澄みを除去した後、純水で洗浄した。この一連のイオン交換処理を4回繰り返し、カリウムイオンを水素イオンに置き換えた層状ニオブ酸を得た。これに、層間剥離剤として3−メトキシプロピルアミン水溶液を加え、14日間撹拌した後、純水で希釈して固形分濃度3重量%のニオビアナノシート水分散液を調製した。得られたニオビアナノシート水分散液をエタノールで希釈して固形分濃度1重量%のニオビアナノシートコート剤(II−2)を得た。
コート剤(II−2)をさらにエタノールで希釈して0.01重量%とし、石英ガラス板上に引き上げ速度毎秒3cmの速さで、ディップコート法で塗布した。
得られた試験片表面を原子間力顕微鏡で観察して、サイズおよび厚みの測定を行ったところ、得られたナノシートは面方向の寸法が20〜50μm、厚み3〜8nmであった。
(参考例7)マイカナノシートコート剤(II−3)の調製
炭酸カリウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムをモル比1:4:3:3の割合で混合し、800℃、20時間の焼成を行った。生成した各種雲母類を希塩酸中で撹拌、ろ過、乾燥するという一連の処理を4回繰り返し、過剰の酸化カリウムを洗い流し、カリウムイオンを水素イオンに置き換えた雲母類混合物を得た。これに、層間剥離剤としてテトラブチルアンモニウム塩酸塩水溶液を加え、14日間撹拌した後、純水で希釈して固形分濃度6重量%のマイカナノシート水分散液を調製した。得られたマイカナノシート水分散液を2−プロパノールで希釈して固形分濃度0.5重量%のマイカナノシートコート剤(II−3)を得た。
コート剤(II−3)をさらにエタノールで希釈して0.01重量%とし、石英ガラス板上に引き上げ速度毎秒3cmの速さで、ディップコート法で塗布した。
得られた試験片表面を原子間力顕微鏡で観察して、サイズおよび厚みの測定を行ったところ、得られたナノシートは面方向の寸法が20〜80μm、厚み1〜4nmであった。
実施例1
ポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と略称する)製シート(帝人化成(株)製PC−1111シート、150×150×5mm)に、参考例1で得られたアクリルプライマーコート剤(A−1)を、熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、130℃で1時間熱硬化させた。
次いで、該成形板の被膜表面上に参考例2で得られたシリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間熱硬化させた。該被覆シート表面にキセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで1分照射して親水化した。
その後、参考例5で得られたチタニアナノシートコート剤(II−1)を硬化後の膜厚が20nmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で5分静置後、容量結合型内部電極方式のプラズマ発生装置でプラズマキャリアガス:アルゴンガス、プロセス真空度0.5Pa、RF電源13.56MHz3600W、電極面積3600cmの条件でプラズマを発生させて該被覆成形板表面に7分間照射して硬化し、ポリカーボネート樹脂積層体を得た。硬化終了時の基体の温度を基体表面に取り付けた熱伝対により測定したところ、130℃であった。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例2
参考例6で得られたニオビアナノシートコート剤(II−2)を硬化後の膜厚が15nmになるようにディップコート法で塗布した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例3
プラズマを9分間照射した以外は実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例4
ナノシートコート剤の硬化後の膜厚が5nmになるように塗布して、プラズマキャリアガス:アルゴンガス、プロセス真空度1.1Pa、RF電源13.56MHz3600W、電極面積3600cmの条件でプラズマを発生させて該被覆成形板表面に7分間照射して、硬化した以外は実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例5
PC樹脂製シート(150×150×5mm)に、参考例3で得られた紫外線硬化型アクリレートハードコート剤(I−2)を、硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で1分、80℃で1分静置後、積算照度が600mJ/cmになるように高圧水銀ランプで紫外線を照射して硬化させた以外は実施例2と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例6
PC樹脂製シート(150×150×5mm)に、0.2%の2−アミノエタノールのメタノール溶液を流しかけて乾燥し、表面の汚れを除去すると共に表面に官能基を露出させた。該シートに参考例4で得られたメラミン樹脂ハードコート剤(I−3)を、硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間熱硬化させた以外は実施例2と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例7
参考例7で得られたマイカナノシートコート剤(II−3)を硬化後の膜厚が10nmになるようにディップコート法で塗布した以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例8
実施例1と同様にしてシリコーン樹脂ハードコート被覆PCシートを作成し、該被覆シート表面にブタンガスバーナーを2秒間照射して親水化した。
その後、参考例6で得られたニオビアナノシートコート剤(II−2)を、固定化後の膜厚が15nmになるようにディップコート法で塗布、25℃で5分静置後、1000Wのハロゲン赤外線ランプ2灯を備えた集光式ランプハウス中を分速5mの速さで4回通過させてナノシートを硬化しPC樹脂積層体を得た。
得られた積層体の各評価結果を表1に示した。尚、集光式ランプハウス内では明るい部分と暗い部分の境目の目視評価で幅5cmまで集光できていた。分速5mの速さでランプ内を通過させることでサンプルは0.6秒赤外線が集光した高温部を通過することになる。この赤外線の集光点(線)では静置サンプルの温度は最終的に1000℃まで上昇した。
比較例9
チタニアナノシートコート剤(II−1)を固定化後の膜厚が20nmになるようにディップコート法で塗布する以外は比較例8と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例10
実施例1と同様にしてシリコーン樹脂ハードコート被覆PCシートを作成し、該被覆シート表面にキセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで30秒照射して親水化した。
その後、チタニアナノシートコート剤(II−1)を、固定化後の膜厚が20nmになるようにディップコート法で塗布、25℃で5分静置後、ArFエキシマランプを用いて10mW/cmの条件で10分間真空紫外線を照射して固定化してPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例11
実施例6のPC樹脂製シート(150×150×5mm)をポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA,三菱レイヨン(株)製ダイアライトL)からなるシート(150×150×2mm)に変更した以外は、実施例6と同様にしてプラスチック積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例12
実施例6のPC樹脂製シート(150×150×5mm)をポリエチレン樹脂(PE)からなるシート(150×150×1mm)に変更した以外は、実施例6と同様にしてプラスチック積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。ポリエチレン樹脂が不透明なためテーバー摩耗試験は実施していないが、スチールウール硬度評価により、優れた耐摩耗性が得られていることを確認した。
実施例13
実施例3のPC樹脂製シート(150×150×5mm)をポリエーテルスルホン樹脂(PES,住友化学(株)製スミカエクセル)からなるシート(150×150×1mm)に変更した以外は、実施例3と同様にしてプラスチック積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
実施例14
ガラス板(150×150×3mm)に参考例6で得られたニオビアナノシートコート剤(II−2)を硬化後の膜厚が15nmになるようにディップコート法で塗布し、実施例1と同様のプラズマ照射条件でガラス積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。の各評価結果を表1に示した。尚、密着性テストに関してはガラス板にカッターナイフで碁盤目の傷をつけることはできなかったので実施していない。
実施例15
銅板(150×150×3mm)を0.1Mシュウ酸次いで純水で洗浄した後、参考例6で得られたニオビアナノシートコート剤(II−2)を硬化後の膜厚が15nmになるようにディップコート法で塗布し、実施例1と同様のプラズマ照射条件で銅積層体を得た。得られた銅積層体のスチールウール硬度(SW)を測定した結果を表1に示す。また、得られた銅積層体を60℃95%RH環境に2週間放置した後、取り出して外観を観察した。元の金属光沢を保ち外観変化は見られなかった。
実施例16
銅板(150×150×3mm)を0.1Mシュウ酸次いで純水で洗浄した後、参考例6で得られたニオビアナノシートコート剤(II−2)を硬化後の膜厚が20nmになるようにディップコート法で塗布し、プラズマキャリアガス:アルゴンガス、プロセス真空度0.5Pa、RF電源13.56MHz1800W、電極面積3600cmの条件でプラズマを発生させて該被覆ステンレス板表面に20分間照射して硬化し、銅積層体を得た。得られた銅積層体のスチールウール硬度を測定した結果を表1に示す。また、得られた銅積層体を60℃95%RH環境に2週間放置した後、取り出して外観を観察した。元の金属光沢を保ち外観変化は見られなかった。
実施例17〜24
表1に示す条件でプラズマ照射した以外は実施例1と同様にしてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例1
PC樹脂製シート(150×150×5mm)の各評価結果を表1に示した。
比較例2
PC樹脂製シート(150×150×5mm)にアクリルプライマーコート剤(A−1)を、熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、130℃で1時間熱硬化させた。次いで、該成形板の被膜表面上に参考例2で得られたシリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間熱硬化させてPC樹脂積層体を得た。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例3
銅板(150×150×3mm)を0.1Mシュウ酸次いで純水で洗浄して表面の不純物を除去した。スチールウール硬度を測定した結果を表1に示す。該銅板を60℃95%RH環境に2週間放置した後、取り出して外観を観察したところ腐蝕が進行して金属光沢を失い、緑青色に変色していた。
比較例4
PC樹脂製シート(150×150×5mm)にアクリルプライマーコート剤(A−1)を、熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、130℃で1時間熱硬化させた。次いで、該成形板の被膜表面上に参考例2で得られたシリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間乾燥させた。該被覆シート表面にキセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで30秒照射して親水化した。
その後、ニオビアナノシートコート剤(II−2)を、固定化後の膜厚が15nmになるようにディップコート法で塗布、25℃で5分静置してPC樹脂積層体を得た。ニオビアナノシートはハードコート層上で固定化されておらず、布で拭き取ることで容易に除去できた。耐摩耗性の評価ではナノシート層が容易に剥れて除去されるので下地のハードコート層の性能がそのまま反映された結果になった。得られた積層体の各評価結果を表1に示した。
比較例5
PC樹脂製シート(150×150×5mm)にアクリルプライマーコート剤(A−1)を、熱硬化後の膜厚が5.0μmになるようにディップコート法によって両面塗布し、25℃で20分静置後、130℃で1時間熱硬化させた。次いで、該成形板の被膜表面上に参考例2で得られたシリコーン樹脂系ハードコート剤(I−1)を熱硬化後の膜厚が4.0μmになるようにディップコート法で塗布し、25℃で20分静置後、120℃で1時間熱硬化させた。該被覆シート表面にキセノンエキシマランプからの照射光(40nW/cm)をランプからの距離0.5mmで30秒照射して親水化した。
その後、ニオビアナノシートコート剤(II−2)を、固定化後の膜厚が15nmになるようにディップコート法で塗布、25℃で5分静置後、400℃の電気炉中で2分間加熱した。加熱中、PC樹脂中の水分が急激に気化して発泡した。
Figure 0005919028
本発明の基体に鱗片状の金属酸化物微粒子を用いてなる層を硬化する方法は、ハードコート被覆プラスチックに極めて高い耐摩耗性、優れた防汚性を付与できる。従って、航空機、車輛、自動車の窓、建設機械の窓、ビル、家、ガレージ、温室、アーケードの窓、前照灯レンズ、光学用のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、カーブミラー、風防、銘板、その他各種シート、フィルム等に好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. 基体上に鱗片状の金属酸化物微粒子を含む硬化層を形成する方法であって、
    (工程−i)基体を準備する工程、
    (工程−ii)基体上に、厚みが10nm以下の鱗片状の金属酸化物微粒子分散液を塗布して塗布層を形成する工程、
    (工程−iii)塗布層を乾燥して乾燥層を形成する工程、並びに
    (工程−iv)乾燥層中の鱗片状の金属酸化物微粒子を、電離物質線照射により硬化して硬化層を形成する工程、
    を含む前記方法。
  2. 工程−ivは、プラズマ照射で行う請求項1に記載の方法。
  3. 基体は、ガラス、金属、セラミック、プラスチックよりなる群から選ばれる一種である請求項1または2に記載の方法。
  4. 基体は、透明基体である請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 鱗片状の金属酸化物粒子は、最短幅10nm以上、厚み10nm以下、最短幅/厚み10以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 基体上に鱗片状の金属酸化物微粒子を含む硬化層を有する部材の製造方法であって、
    (工程−i)基体を準備する工程、
    (工程−ii)基体上に、厚みが10nm以下の鱗片状の金属酸化物微粒子の分散液を塗布して塗布層を形成する工程、
    (工程−iii)塗布層を乾燥して乾燥層を形成する工程、並びに
    (工程−iv)乾燥層中の鱗片状の金属酸化物微粒子を、電離物質線照射により硬化して硬化層を形成する工程、
    を含む前記製造方法。
  7. 工程−ivは、プラズマ照射で行う請求項6に記載の製造方法。
  8. 基体は、ガラス、金属、セラミック、プラスチックよりなる群から選ばれる一種である請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 基体は、透明基体である請求項6〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 部材が窓用途である請求項6〜9のいずれか一項記載の製造方法。
  11. 部材が車両窓用途である請求項6〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 鱗片状の金属酸化物粒子は、最短幅10nm以上、厚み10nm以下、最短幅/厚み10以上である請求項6〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
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