JP2011000723A - 遮熱性物品、遮熱性物品の製造方法及び屋外用建築部材 - Google Patents

遮熱性物品、遮熱性物品の製造方法及び屋外用建築部材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐光性、耐湿性、耐熱性に優れ、長寿命を有する遮熱性物品とその製造方法を提供し、更には該遮熱性物品を用いた屋外用建築部材を提供する。
【解決手段】基材の一方の面側に、金、銀、銅またはアルミニウムの単体もしくはこれらの合金からなる金属を含有する熱線遮断層を有する遮熱性物品において、該熱線遮断層と熱線入射面との間に水蒸気バリア層を有し、かつ該水蒸気バリア層と熱線入射面との間に、加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層を有することを特徴とする遮熱性物品。
【選択図】なし

Description

本発明は、高い熱線反射効果を奏する遮熱性物品に関し、更に詳しくは、優れた熱線反射性を有するとともに、人体に有害な紫外線を遮断し、また室外側への可視光の反射防止性を有する、視認性に優れる遮熱性物品である。特に屋外の外貼用フィルムとして使用する際、高い熱線及び紫外線遮断効果を有するとともに、建物の窓から不愉快な反射光より車の運転障害、ほかの建物の室内まで眩しい光を照らす障害を防止する。また、表示窓ガラスに貼ったとき、室内灯等の映り込みを防止する。特に屋外で使用する際、かかる効果が長期にわたり持続し得る、さらにフィルム表面の洗浄が不必要の遮熱性物品に関するものである。
遮熱性物品(以下、熱線反射フィルムともいう)とは、ガラスや樹脂基材などに熱線反射効果を奏する層を形成して、太陽光の中の熱線(赤外線)を遮断するものである。熱線反射フィルムは、一般の窓ガラス等に貼着して熱線を遮断する分野で利用されている。熱線反射フィルムは、熱輻射を低減したり、窓から入射する太陽エネルギーを遮断して冷暖房効果を向上させたり、冷凍冷蔵ケースにおける保冷効果を向上させたりする用途に利用されている。また、これらの熱線反射フィルムが貼り合わせられている場合、万一ガラスが破損した場合でも、熱線反射フィルムにより、ガラスの飛散を防止できるメリットもある。
従来技術として、樹脂からなる基材フィルムの表面に金属薄膜を形成することにより形成した熱線反射フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載されている熱線反射フィルムは、建物や車両等の窓ガラスに貼着されることにより、太陽光の中の熱線(赤外線)を遮断して、室内の温度上昇を防ぐことができる。しかしながら、上記開示されている熱線反射フィルムは、熱線をある程度は反射するものの、未だ熱線の透過率が高く、充分な熱線反射効果を有するとは言えない。
また、熱線反射フィルムは、窓等の透明開口部を断熱する方法として用いられている。従来、フィルムに断熱性を付与する方法としては、樹脂基材フィルムにアルミニウム、銀等の金属薄膜を設ける方法、あるいはフィルムに金、銀又は銅等の合金からなる金属薄膜を高屈折率誘電体層で挟んで積層する方法が開示されている(例えば、特許文献2、3参照。)。しかしながら、よく知られているように、金属薄膜層材料として好適に用いられる銀は、きわめて銀原子の凝集を生じやすいという大きな問題がある。銀薄膜層の銀原子が凝集すると、金属薄膜としての熱線遮断性が損なわれる他、銀白色の故障スポット(点状欠陥、又は反射性欠陥、白点とも称される。)を生じる。このような熱線遮断性劣化は、当該金属薄膜材料の有する高透明性や低抵抗性を喪失せしめる大きな問題となるとともに、大型の窓用熱線反射フィルムとしての商品価値を大幅に下落させるものである。従来技術では、銀薄膜層の銀原子の凝集の対策として、例えば、塩素イオンや異物(パーティクル)等の存在下において発生しやすいことが知られており、このような異物・塩素の除去を行う試みが報告されている(例えば、特許文献4、5参照。)が、同時に酸素や水分による劣化の防止はできていない。従って、満足な銀原子凝集の抑制効果が得られていないのが現状である。
一方、ビル、車、家屋の窓ガラスなどに貼って使用され、太陽光による採光を確保しつつ、人体に有害な紫外線と熱作用の強い赤外線を反射して遮断する技術が開示されている(例えば、特許文献6参照。)が、満足する効果を得るため莫大な製造コストがかかり、屋外での環境耐久性に実用的に問題があった。従って大型の窓用熱線反射フィルムとして、人体に有害の紫外線を遮断する効果を併有する遮熱性物品で満足できるものが今まで得られていなかった。
従って、熱線反射フィルムに対しては、水分や酸素などの影響による白濁等を生じ難く、可視光透過率が低下しにくく、また長期使用あるいは長期保管等の環境適性に優れた熱線反射フィルムの出現が求められている。加えて、窓等に貼り付ける工程でのハンドリング性能に優れた熱線反射フィルム、太陽光輻射に含まれる人体に有害な紫外線と熱作用の強い赤外線の透過を遮断し、健康と省エネに有効で、かつ屋外環境耐久性に優れる熱線反射フィルムが求められている。
熱線反射フィルムにおいては、表面を清掃する際にキズがつかないように熱線反射フィルム表面に保護層(ハードコート層)を設ける必要がある。ハードコート層としては、紫外線硬化性樹脂のような硬度が高い樹脂からなる層が知られている。しかし、これらの樹脂は赤外線を吸収する特性を有するものが多く、ハードコート層に入射した赤外線が吸収されて熱となり、熱線反射フィルムが発熱することにより、断熱効果(熱線反射効果)が発揮されなくなる問題がある。また、赤外線吸収により、ハードコート層の耐久性が低下する問題や、断熱効果の低下により結露が発生しやすくなる問題がある。
これらの問題を解決するため、赤外線吸収の少ない樹脂層を設けることも検討されているが、ハードコート性が不充分であり、両特性を満足するものが見出せていない。
また、光触媒を混合した樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法も提案されている。例えば、特開平7−171408号公報、特開平9−100437号公報および特開平11−188271号公報で提案されているフッ素樹脂やシリコーン樹脂、さらには特開平11−35887号公報、特開2000−53920号公報および特開2000−191960号公報で提案されているポリシラザン化合物等の、光触媒の作用によって分解されにくい樹脂を塗膜形成要素として含む樹脂塗料に光触媒を混合し、この樹脂塗料を用いて基材の表面をコーティングする方法が提案されている。しかしこれらの方法では、樹脂塗料に対する光触媒の分散性が悪いため、樹脂塗料が白濁してしまう。また、これらの方法によって良好な物性を示す皮膜を得るためには、上記の樹脂の使用量を多くする必要があるが、そのようにするとコーティングによって形成された皮膜中に光触媒が埋没してしまい、十分な活性を示さないという欠点がある。
さらに、特開平9−314052号公報では、樹脂塗料と、その樹脂塗料を構成する溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を併用する方法が提案されている。即ち、まず基材の表面に樹脂塗料を塗布し、次いでその樹脂塗料が硬化する前に、樹脂塗料の上に光触媒粒子を塗布する方法が提案されている。しかしこの方法では、工程が煩雑な上、均質で透明な塗膜が得られない欠点がある。なおこの特許公報中では、さらに、工程の簡略化を目的として、溶剤に対する濡れ性を調整した光触媒粒子を樹脂塗料中に混合したものを塗布することによりコーティングを行う方法も提案されている。しかし、溶剤に対する濡れ性を調整しただけでは、コーティングによって形成された皮膜の中への光触媒粒子の埋没を阻止することはできず、ほとんどの光触媒粒子が皮膜の中に完全に埋没してしまうので光触媒粒子が十分な活性を示さないという欠点がある。
特開2001−179887号公報 特公昭47−6315号公報 特開昭53−119987号公報 特公昭59−44993号公報 特開平9−331488号公報 特開2007−65232号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、耐光性、耐湿性、耐熱性及び自己洗浄効果に優れ、長寿命を有する遮熱性物品とその製造方法を提供し、更には該遮熱性物品を用いた屋外用建築部材を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.基材の一方の面側に、金、銀、銅、アルミニウムの単体及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属から構成される金属層を有する熱線遮断層を形成した遮熱性物品において、該熱線遮断層と熱線入射面との間に水蒸気バリア層を有し、かつ該水蒸気バリア層と熱線入射面との間に、加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層を有することを特徴とする遮熱性物品。
2.前記熱線遮断層は、金、銀、銅、アルミニウムの単体及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属層と、セラミック層とを交互に積層した積層ユニット構成であることを特徴とする前記1に記載の遮熱性物品。
3.前記加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層が熱線入射面側の最表面層であり、該最表面層は、加水分解性珪素化合物を含む変性光触媒組成物を含有し、該変性光触媒組成物は、光触媒粒子を、下記一般式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、下記一般式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位及び下記一般式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する加水分解性珪素化合物を用いて変性処理することによって得られるシロキサン結合含有組成物であることを特徴とする前記1または2に記載の遮熱性物品。
一般式(1)
Si−
〔式中、Rは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または水酸基を表す。〕
一般式(2)
−(RSiO)−
〔式中、Rは一般式(1)におけるRと同義である。〕
Figure 2011000723
〔式中、Rは一般式(1)におけるRと同義である。〕
4.少なくとも1層のポリマー層を有することを特徴とする前記1から3のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
5.前記基材を挟んで前記水蒸気バリア層を有する面とは反対側の面に、セルロース系樹脂からなるバックコート層を有することを特徴とする前記1から4のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
6.前記ポリマー層が、シランカップリング剤を含有することを特徴とする前記4または5に記載の遮熱性物品。
7.前記ポリマー層が、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする前記4から6のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
8.前記紫外線吸収剤を含有する層が、ヒンダードアミン系化合物から選ばれる少なくとも1種の光安定剤を含有することを特徴とする前記7に記載の遮熱性物品。
9.前記水蒸気バリア層が、珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒素酸化物または窒化物を主成分とすることを特徴とする前記1から8のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
10.前記水蒸気バリア層が、炭素含有量が0.1原子数%未満である酸化珪素膜と炭素含有量が1.0原子数%以上、40原子数%以下である酸化珪素膜をそれぞれ1層以上有する構成であることを特徴とする前記1から9のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
11.前記金属層の厚さが0.1nm以上、30nm未満であり、かつ前記セラミック層が、亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とする少なくとも1層の高屈折率セラミック層であることを特徴とする前記2から10のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
12.紫外線反射層を有し、該紫外線反射層が、屈折率が1.4以上、1.8以下で、厚みが5nm以上、1000nm以下の低屈折率層と、屈折率が1.8以上、2.4以下で、厚みが5nm以上、400nm以下の高屈折率膜層とを、交互に少なくとも3層以上積層された構成であり、該低屈折率層の少なくとも1層は、珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒酸化物を主成分とする層であり、該高屈折率層の少なくとも1層は、亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とする層であることを特徴とする前記1から11のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
13.前記基材は、厚さが10μm以上、250μm以下のポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムであることを特徴とする前記1から12のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
14.前記基材が、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有することを特徴とする前記1から13のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
15.前記12に記載の遮熱性物品を製造する遮熱性物品の製造方法であって、紫外線反射層が、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、基材を励起したガスに晒すことにより、該基材上に形成されることを特徴とする遮熱性物品の製造方法。
16.前記1から14のいずれか1項に記載の遮熱性物品を製造する遮熱性物品の製造方法であって、水蒸気バリア層が、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、基材を励起したガスに晒すことにより、該基材上に形成されることを特徴とする遮熱性物品の製造方法。
17.前記放電ガスが窒素ガスであり、放電空間に印加される高周波電界は、第1の高周波電界及び第2の高周波電界を重畳したものであり、該第1の高周波電界の周波数ω1より該第2の高周波電界の周波数ω2が高く、該第1の高周波電界の強さ(V1)、該第2の高周波電界の強さ(V2)及び放電開始電界の強さ(IV)との関係が、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2の関係を満たし、かつ、該第2の高周波電界の出力密度が1W/cm以上であることを特徴とする前記15または16に記載の遮熱性物品の製造方法。
18.前記15から17のいずれか1項に記載の遮熱性物品の製造方法により製造された遮熱性物品を、接着剤を介してガラスまたはガラス代替樹脂基材に貼合されていることを特徴とする屋外用建築部材。
本発明により、耐候性及び自己洗浄効果(セルフクリーニング)に優れて、長寿命を有する遮熱性物品とその製造方法を提供できる。更には該遮熱性物品を用いた屋外用建築部材を提供することができた。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 ロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 固定電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 実施例で作製した各遮熱性物品の層構成を示す概略断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基材の一方の面側に、金、銀、銅またはアルミニウムの単体もしくはこれらの合金からなる金属を含有する熱線遮断層を有する遮熱性物品において、該熱線遮断層と熱線入射面との間に水蒸気バリア層を有し、かつ該水蒸気バリア層と熱線入射面との間に、加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層を有することを特徴とする遮熱性物品により、耐光性、耐湿性、耐熱性及び自己洗浄効果に優れ、長寿命を有する遮熱性物品を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の遮熱性物品の構成要素の詳細について説明する。
本発明の遮熱性物品は、基材上に金、銀、銅またはアルミニウムの単体もしくはこれらの合金からなる金属を含有する熱線遮断層と、該熱線遮断層と熱線入射面との間に水蒸気バリア層と、水蒸気バリア層と熱線入射面との間に、加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層とを有していることを特徴とする。
《熱線遮断層》
本発明に係る熱線遮断層は、人体に有害な紫外線と熱作用の強い赤外線を反射して遮断する効果を有する層であり、金、銀、銅、アルミニウムの単体及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属層であることを特徴とする。
更には、金、銀、銅、アルミニウムの単体及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属から構成され、厚さが0.1nm以上、30nm未満の少なくとも1層の金属層と、亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とする少なくとも1層の高屈折率セラミック層から構成された積層体であることが好ましい。また、金属層とセラミック層とを交互に積層した積層ユニットを形成してもよい。
本発明に係る熱線遮断層において、金属層を構成する金属としては、金、銀、銅、アルミニウムの単体及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする。これらの金属の中でも、可視光線の吸収がほとんど無い金属銀が特に好ましい。
本発明に係る熱線遮断層の厚みは、本発明の遮熱性物品の第1の態様である金属層が単層で形成される場合において、積層の波長400〜750nmにおける積分可視光透過率(この波長領域での可視光線透過率の平均値)が55%以上、及び波長5〜30μmの積分赤外線反射率(この波長領域での赤外線反射率の平均値)が75%以上を満足するように設定することが好ましい。更に具体的には、熱線遮断層を金属層のみで構成する場合には、その厚みは5〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。この厚みが5nm未満であると、十分な熱線反射効果が発揮されず、赤外線透過率が高くなり、他方1000nmを超えると、可視光反射率が増加し、防眩性が悪くなるので好ましくない。
本発明に係る金属層の形成方法としては、特に制限はないが、気相成長法が好ましく、更に真空蒸着法、スパッタ法または大気圧プラズマCVD法が好ましい。
本発明に係る熱線遮断層においては、少なくとも1層の金属層及び少なくとも1層の高屈折率セラミック層を積層した構成層であることが好ましい。高屈折率セラミック層は、少なくとも亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とする構成層である。
本発明に係る熱線遮断構成層に用いる金属層及び高屈折率セラミック層を不規則に配置し、サンドイッチ状に挟む積層構造をとることにより、可視光が低反射でかつ透明性の改良効果が増すためより好ましい。好ましい層の配置は、金属層の両側に高屈折率セラミック層を配置したサンドイッチ構造である。また、金属層と高屈折率セラミック層を設けた2層構造の如く複数の金属層と複数の高屈折率セラミック層を交互に積層した3〜10層から構成される積層構造をとることが好ましく、より好ましい層数は3〜7層である。
また、本発明に係る熱線遮断層は、第1の酸化物層、第1の金属層、第2の酸化物層、第2の金属層、第3の酸化物層からなるファブリーペロ干渉フィルターであってもよい。ファブリーペロ干渉フィルター中の金属層は、主として銀であって、50%未満の金または銅合金であるかまたはクラッド層であって、化学的及び光耐久性を付与している。酸化物層にはインジウム酸化物が好ましいが、酸化物の屈折率が1.8以上で可視光線吸収レベルが10%未満の透明誘電層の場合には、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブなどの他の酸化物であってもよい。適当に透明でかつ屈折率が1.8より大きいならば、窒化物や弗化物なども使用できる。ファブリーペロフィルター製造のより詳細な設計、挙動及び手法などは、例えば、米国特許第4799745号明細書に記載されている。
本発明に係る熱線遮断層のうち、高屈折率セラミック層は、少なくとも亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒化酸化物、窒化物を主成分とする少なくとも1層以上からなり、例えば、アルキルチタネート等の加水分解により得られる、有機化合物由来の酸化チタンが加工性に優れるため好ましい。加えて、酸化亜鉛、酸化インジウムや酸化錫も単一層または多層にて適用できる。
高屈折率セラミック層の屈折率が、1.8以上2.4未満の層である。高屈折率セラミック層の厚みは、熱線遮断層の光学特性を満足するように積層される前述の金属層と併せて設定することが好ましい。高屈折率セラミック層の一層での厚みは2〜1000nmの範囲が好ましい。
高屈折率セラミック層の形成方法としては気相成長法が好ましく、更に真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、Cat−CVD法、またはプラズマCVD法が特に好ましい。また、後述する大気圧プラズマCVD法を用いて形成してもよい。
本発明の遮熱性物品(熱線反射フィルム)は、基材の少なくとも一方の面に熱線遮断層を積層してなる構成層を有し、例えば、透明な樹脂フィルム上に積層した場合、可視光線反射率が5%以下、赤外線反射率が75%以上であることが好ましい。
本発明における熱線遮断構成層は、高耐久性を得るために高屈折率セラミック層に加えて低屈折率セラミック層を有することが好ましい。屈折率を1.8未満にすることで、可視光透過率及び赤外線反射率に殆ど影響を及ぼさずに、耐久性やハンドリング性を向上させるために、低屈折率層の層設計を比較的自由に行うことができる。また、屈折率が1.3未満になると膜が緻密でなくなり、耐久性の向上が望めない。
《水蒸気バリア層》
本発明の遮熱性物品においては、本発明に係る上記熱線遮断層と、熱線入射面との間に水蒸気バリア層を有していることを特徴とし、かかる構成により本発明の効果を奏するものである。
本発明に係る水蒸気バリア層は、少なくとも珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒酸化物、窒化物を主成分とし、屈折率が1.4以上、1.8未満であるセラミック構成層であり、特に酸化珪素から構成されることが好ましい。なお、本発明においては、水蒸気バリア層は、後述する本発明に係る紫外線を反射するための紫外線反射層と兼ねてもよい。また、水蒸気バリア層に紫外線を遮断するための光安定剤を含有させてもよい。
本発明に係る水蒸気バリア層においては、炭素含有量が0.1原子数%未満である酸化珪素膜と炭素含有量が1.0原子数%以上、40原子数%以下である酸化珪素膜をそれぞれ1層以上有する構成とすることが好ましい。
水蒸気バリア層において、酸化珪素膜の密度は、微量成分である炭素含有量と密接に相関があり、例えば、炭素原子濃度が低い(0.1at%未満)膜は密度が高くガスバリア性が高い膜であるが、炭素原子濃度がこれよりも高い(1〜40at%)膜は、膜密度もより低くより柔らかい組成物である。
本発明において水蒸気バリア層の炭素含有量(at%)は、原子数濃度%(atomic concentration)を表す。炭素含有量を示す原子数濃度%(at%)は公知の分析手段を用いて求めることができるが、本発明においては下記のXPS法によって算出されるもので、以下に定義される。
原子数濃度%(atomic concentration)=炭素原子の個数/全原子の個数×100
XPS表面分析装置は、本発明ではVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。具体的には、X線アノードにはマグネシウムを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5eV〜1.7eVとなるように設定した。
測定としては、先ず結合エネルギー0eV〜1100eVの範囲をデータ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
次に、検出されたエッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンを行い、各元素のスペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、測定装置、あるいはコンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理を行い、各分析ターゲットの元素(炭素、酸素、珪素、チタン等)の含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。
定量処理を行う前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションを行い、5ポイントのスムージング処理を行った。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。また、Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
本発明に係る水蒸気バリア層は、形成する構成素材が膜内で均一分布した形態であっても、あるいは主成分の割合を膜厚方向に傾斜させた形態、あるいはそれらの積層体であっても、水蒸気バリア効果が発揮できる。
本発明に係る水蒸気バリア層の形成方法としては、気相成長法が好ましく、更に真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、触媒化学気相成長(Cat−CVD)法、またはプラズマCVD法が好ましい。特に大気圧もしくはその近傍の圧力下、対向する電極間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該電極間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、樹脂基材を励起したガスに晒すことにより、該樹脂基材上に薄膜を形成する大気圧プラズマCVD法により形成される膜は、低残留応力であり好ましい。また、大気圧プラズマCVD法において形成される水蒸気バリア層は、炭素含有量0.1原子数%未満である酸化珪素膜と、炭素含有量が1〜40原子数%である酸化珪素膜を少なくともそれぞれ1層ずつ有することが好ましい。これらの炭素含有量の異なる膜を積層して構成したセラミック膜である水蒸気バリア層は、水分またガス透過率低い(ガスバリア性の)比較的柔軟性に富んだ低屈折率の膜となり好ましい。例えば、これらの層を交互に2〜5層積層した構成が好ましい。
本発明に係る水蒸気バリア層の水蒸気透過率としては、JIS K7129:1992 B法に従って測定(MOCON製、水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W3/33 MGモジュールを使用)した水蒸気透過率が、0.01g/(m・24h)以下(40℃90%RH条件下)であり、より好ましくは1×10−3g/(m・24h)以下であり、より好ましくは1×10−5g/(m・24h)以下である。水蒸気バリア層の水蒸気透過度は、樹脂脂基材上に水蒸気バリア層のみを設けた構成の試料を用いて水蒸気透過率を測定することにより得られる。
本発明に係る水蒸気バリア層は、珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒素酸化物、窒化物を主成分とすることが好ましい。
大気圧プラズマCVD法において、原材料である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒化酸化物、窒化物を主成分とする水蒸気バリア層の組成を作り分けることができる。
例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また、シラザン等を原料化合物として用いれば、酸化窒化珪素が生成する。これは、プラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような酸化珪素膜の形成原料としては、珪素化合物であれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。また、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。なお、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
このような珪素化合物としては、例えば、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
また、これら珪素またアルミニウムを含む原料ガスを分解して酸化珪素、または酸化アルミニウム膜を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
例えば、珪素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、酸化珪素、また、窒化物、炭化物等を含有する酸化珪素膜を得ることができる。
プラズマCVD法においては、これらの反応性ガスに対して主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。このような放電ガスとしては、窒素ガス及び/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、薄膜形成(混合)ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
本発明に係る水蒸気バリア層を構成する積層された酸化珪素膜においては、例えば、上記有機珪素化合物に、更に酸素ガスや窒素ガスを所定割合で組み合わせて、酸素原子と窒素原子の少なくともいずれかと、珪素原子とを含む本発明に係る酸化珪素を主体とした酸化珪素膜を得ることができる。
本発明に係る前記水蒸気バリア層は、前記第1、第2等の酸化珪素膜からなる1組のユニットを、1組以上透明樹脂基材上に形成したものが好ましく、二組、またこれ以上のユニットが形成されていてもよい。例としては、樹脂基材上に、第1の酸化珪素膜、第2の酸化珪素膜といった1組のユニットのみを有する形態があり、また、例えば、樹脂基材上に、第1の、第2の酸化珪素膜、からなる前記ユニットを2、あるいは3つ有する構成でもよい。
水蒸気バリア層における各酸化珪素層の膜厚は、1〜500nmの範囲とすればよい。水蒸気バリア層全体としては10nm〜5μmの範囲が好ましい。
《紫外線反射層》
本発明に係る紫外線反射層は、基材の熱線入射側に複数の異なる屈折率を有する材料から構成される。該紫外線反射層は屈折率の異なる材料から成る層を交互に積層して、紫外線を反射できるように光学設計された積層体が代表的な構成であるが、積層体に限られるものではない。屈折率の異なる材料が均一又は主成分の割合を膜厚方向に傾斜させた場合でも、紫外線反射効果が発揮できる。また、紫外線反射層は、本発明に係る上述した水蒸気バリア層と別に設けてもよいが、両者を同一層として兼ねることも可能である。
本発明に係る紫外線反射層とは、透明な誘電体材料(屈折率をnとする)を、地上に到達する紫外線の波長として290nm〜400nm範囲内の特定の波長λに対して、例えば、λ/2n(nm)の厚さでコーティングすることにより、波長λの近傍の紫外光に対して、コーティング層の上下の界面からの反射光の位相を揃えることで、反射率を高めたものなどをいう。例えば、高屈折率膜と低屈折率膜の屈折率の異なる誘電体材料の膜を交互に多層コーティングすることで、反射率を上げたり、反射波長域を広げたりすることができる。例えば、透明フィルム上に高屈折率膜(酸化チタン(TiO)、n=2.10、厚み35nm)、低屈折率膜(酸化珪素(SiO)、n=1.46、厚み55nm)を交互に設けた15層(合計膜厚:685nm)の紫外線反射膜は、特に樹脂基材に悪影響を及ぼす300〜360nmの紫外線の95%程度を反射する。そのような紫外線反射層を設けることで、基材を透過する紫外線をカットすることができる。
本発明に係る紫外線反射層は、基材の十分な紫外線遮蔽性を得るために、屈折率1.4〜1.8、厚み5〜1000nmの低屈折率層、及び屈折率1.8〜2.4、厚み5〜400nmの高屈折率層を交互に、少なくとも3層以上積層されている構成が好ましく、更に好ましくは、5層以上、特に好ましくは7層以上である。
本発明に係る紫外線反射層の誘電体材料としては、金属酸化物、窒酸化物、窒化物を主成分とする材料を好適に使用できる。屈折率1.8〜2.4の高屈折率膜としては、少なくとも亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素、タンタルまたはア紫外線反射層ルミニウムを含む酸化物、窒酸化物、窒化物を主成分とする少なくとも1層からなることが好ましい。また、屈折率1.4〜1.8の低屈折率膜は、少なくとも珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒酸化物、窒化物を主成分とし、特に、酸化珪素から構成されることが好ましい。
本発明で規定する各屈折率層の屈折率は、具体的にはX線反射率法により求めた値である。X線反射率法の概要は、X線回折ハンドブック 151ページ(理学電機株式会社編 2000年 国際文献印刷社)や化学工業1999年1月No.22を参照して行うことができる。
本発明に有用な屈折率層の屈折率の測定方法の具体例を以下に示す。
これは、表面が平坦な物質に非常に浅い角度でX線を入射させ測定を行う方法で、測定装置としてはマックサイエンス社製MXP21を用いて行う。X線源のターゲットには銅を用い、42kV、500mAで作動させる。インシデントモノクロメータには多層膜パラボラミラーを用いる。入射スリットは0.05mm×5mm、受光スリットは0.03mm×20mmを用いる。2θ/θスキャン方式で0から5°をステップ幅0.005°、1ステップ10秒のFT法にて測定を行う。得られた反射率曲線に対し、マックサイエンス社製Reflectivity Analysis Program Ver.1を用いてカーブフィッティングを行い、実測値とフィッティングカーブの残差平方和が最小になるように各パラメータを求める。各パラメータから積層膜の屈折率、厚さ及び密度を求めることができる。本発明における積層膜の膜厚評価も、上記X線反射率測定より求めることができる。
本発明においては、紫外線反射層の形成方法としては、気相成長法が好ましく、さらに真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、触媒化学気相成長(Cat−CVD)法、またはプラズマCVD法が好ましい。特に、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、樹脂基材を励起したガスに晒すことにより、該樹脂基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法により形成する大気圧プラズマCVD法により形成される膜が低残留応力であり好ましい。低屈折率膜には、カルシウム、バリウム、リチウム、マグネシウムのフッ化物を主成分とする材料も用いる事ができる。また、本発明において、屈折率の異なる層のうち、少なくとも1層は主成分の割合を膜厚方向に傾斜させた構成とすることができる。
《大気圧プラズマCVD法》
本発明に係る熱線遮断層(金属層)、紫外線反射層あるいは水蒸気バリア層、またこれらの積層体の形成には、物理あるいは化学気相成長法を用いることが好ましく、その中でも、紫外線反射層あるいは水蒸気バリア層の形成に最も好ましい方法である大気圧プラズマCVD法について、以下説明する。
大気圧プラズマCVD法は、例えば、特開平10−154598号公報や特開2003−49272号公報、WO02/048428号パンフレット等に記載されているが、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、励起したガスに晒すことにより、薄膜を形成する。特に、特開2004−68143号公報に記載されている薄膜形成方法が、緻密なセラミックからなる水蒸気バリア層を形成するには好ましい。また、ロール状の元巻きからウエブ状の樹脂基材を繰り出して、組成の異なる層を連続的に形成することができる。
高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものをいう。
本発明に係る水蒸気バリア層の形成に用いられる上記の大気圧プラズマCVD法は、大気圧もしくはその近傍の圧力下で行われるプラズマCVD法であり、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20〜110kPa程度であり、本発明に記載の良好な効果を得るためには、93〜104kPaが好ましい。
本発明に係る大気圧プラズマCVD法における放電条件としては、高周波電界の周波数が1kHz〜2500MHzで、かつ供給電力が1〜50W/cmであることが好ましく、周波数が50kHz以上で、かつ供給電力が5W/cm以上であることがより好ましい。更に、放電空間に異なる周波数の電界を2つ以上印加し、重畳したものがより好ましい。
上記ではサイン波等の連続波の重畳について説明したが、これに限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方が連続波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に周波数の異なる第3の電界を有していてもよい。
本発明において、高周波電界を同一放電空間に印加する具体的な方法としては、例えば、対向電極を構成する第1の電極に周波数ω1の高周波電界を印加する第1電源を接続し、第2電極に周波数ω2の高周波電界を印加する第2電源を接続した大気圧プラズマ放電処理装置を用いる。
ここで、第1電源の周波数としては、1kHz〜1MHzであり、200kHz以下が好ましく用いることができる。またこの電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。
一方、第2電源の周波数としては、1MHz〜2500MHzが好ましく800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。
また、第1電極、第1電源またはそれらの間のいずれかには第2電源からの高周波電界の電流を通過しにくくする第1フィルターを、また第2電極、第2電源またはそれらの間のいずれかには第2フィルターを接続することが好ましい。
大気圧プラズマ放電処理装置には、対向電極間に、放電ガスと薄膜形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
本発明に用いられる大気圧プラズマ放電処理装置は、上述のように、対向電極の間で放電させ、前記対向電極間に導入したガスをプラズマ状態とし、前記対向電極間に静置あるいは電極間を移送される基材を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基材の上に薄膜を形成させるものである。また他の方式として、大気圧プラズマ放電処理装置は、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基材(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基材の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置がある。
図1は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
図1に記載のジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図1では図示してない(後述の図2に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω1の高周波電界が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω2の高周波電界が印加されるようになっている。
本発明に係る大気圧プラズマCVD法においては、放電ガスが窒素ガスであり、放電空間に印加される高周波電界は、第1の高周波電界及び第2の高周波電界を重畳したものであり、第1の高周波電界の周波数ω1より第2の高周波電界の周波数ω2が高く、かつ第1の高周波電界の強さV1と、第2の高周波電界の強さV2と、放電開始電界の強さIVとの関係がV1≧IV>V2、またはV1>IV≧V2を満たし、第2の高周波電界の出力密度が1W/cm以上であることが好ましい。高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを指す。
本発明において、放電開始電界の強さとは、実際の薄膜形成方法に使用される放電空間(電極の構成等)及び反応条件(ガス条件等)において放電を起こすことのできる最低電界強度のことを指す。放電開始電界強度は、放電空間に供給されるガス種や電極の誘電体種または電極間距離等によって多少変動するが、同じ放電空間においては、放電ガスの放電開始電界強度に支配される。
ここで、本発明でいう印加電界強度と放電開始電界強度は、下記の方法で測定されたものをいう。
印加電界強度V1及びV2(単位:kV/mm)の測定方法:
各電極部に高周波電圧プローブ(P6015A)を設置し、該高周波電圧プローブの出力信号をオシロスコープ(Tektronix社製、TDS3012B)に接続し、所定の時点の電界強度を測定する。
放電開始電界強度IV(単位:kV/mm)の測定方法:
電極間に放電ガスを供給し、この電極間の電界強度を増大させていき、放電が始まる電界強度を放電開始電界強度IVと定義する。測定器は上記印加電界強度測定と同じである。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、後述の図2に図示してあるようなガス供給手段から前述した薄膜形成ガスGを導入し、第1電源21と第2電源22により第1電極11と第2電極12間に、前述した高周波電界を印加して放電を発生させ、前述した薄膜形成ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図2に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、基材の幅手方向あるいは長手方向での温度ムラができるだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置を、樹脂基材Fの搬送方向と平行に複数台並べ、同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることにより、同一位置に複数層の薄膜を形成可能となり、短時間で所望の膜厚を形成可能となる。また樹脂基材Fの搬送方向と平行に複数台並べ、各装置に異なる薄膜形成ガスを供給して異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することもできる。
図2は、本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
ロール回転電極(第1電極)35と固定電極群(第2電極)36との対向電極間32(以下、対向電極間を放電空間32ともいう)で、樹脂基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極35と固定電極群36との間に形成された放電空間32に、ロール回転電極35には第1電源41から周波数ω1の高周波電界を、また固定電極群36には第2電源42から周波数ω2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
なお、本発明においては、ロール回転電極35を第2電極、また固定電極群36を第1電極としてもよい。いずれにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。
ガス供給手段50のガス発生装置51で発生させた薄膜形成ガスGは、不図示のガス流量調整手段により流量を制御して給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。
樹脂基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から矢印方向に搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら固定電極群36との間に移送する。
移送中にロール回転電極35と固定電極群36との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。樹脂基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。
なお、固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されており、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全ての固定電極のロール回転電極35と対向する面の面積の和で表される。
樹脂基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。放電処理済みの処理排ガスG′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極35及び固定電極群36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
図3は、図2に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。図3において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御し、また、樹脂基材Fの表面温度を所定値に保つため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。
図4は、固定電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。該電極の構造は図示しないが、ジャケット構造となっており、放電中の温度調節が行えるようになっている。図4において、固定電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図4同様の誘電体36Bの被覆を有している。図4に示した固定電極36aの形状は、特に限定されず、円筒型電極でも角筒型電極でも良い。
図3及び図4において、ロール電極35a及び電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることができる。
対向する第1電極及び第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことをいう。双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことをいう。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜5mmである。
図2に示すプラズマ放電処理容器31はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を貼り付けてもよく、該金属フレームにセラミックス溶射を行い、絶縁性をとってもよい。図3において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質のもので覆うことが好ましい。
本発明において、大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、神鋼電機社製SPG5−4500(5kHz)、春日電機製AGI−023(15kHz)、ハイデン研究所製PHF−6k(100kHz*)、パール工業製CF−2000−200k(200kHz)等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。
また、第2電源(高周波電源)としては、パール工業製CF−2000−800k(800kHz)、同CF−5000−13M(13.56MHz)、同CF−2000−150M(150MHz)等の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は、連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことができる電極を大気圧プラズマ放電処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成ガスに与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm、より好ましくは20W/cmである。下限値は、好ましくは1.0W/cmである。なお、放電面積(cm)は、電極間において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm以上の電力(出力密度)を供給することにより、更なる膜質を向上させることができる。好ましくは5W/cm以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cmである。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
《シロキサン結合含有組成物を含有する層》
本発明の遮熱性物品においては、水蒸気バリア層と熱線入射面との間に、加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層を有することを特徴とする。
更に好ましくは、加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層が熱線入射面側の最表面層であり、該最表面層は、加水分解性珪素化合物を含有する変性光触媒組成物を含有し、該変性光触媒組成物は、光触媒粒子を、前記一般式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、前記一般式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位及び前N記一般式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する加水分解性珪素化合物を用いて変性処理することによって得られるシロキサン結合含有組成物であることが好ましい。
〔加水分解性珪素化合物〕
本発明に係る加水分解性珪素化合物とは、単量体もしくは部分加水分解によって生成するオリゴマーの形で用いられ、オリゴマーとしては、一般式〔Sin−1(OR)2n+2〕(ただし、nは2〜6の整数、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す)で表されるアルキルシリケート縮合物が特に好ましい。これらのオリゴマーは混合物でも用いることができる。本発明に係る加水分解性珪素化合物は、加水分解された形態でチタン酸化物と組成物を形成してもよい。本発明に係る加水分解性珪素化合物の加水分解に適用する触媒としては、酸、アルカリのいずれもが使用できる。チタン酸化物分散体が酸性のときは、酸で加水分解したアルキルシリケートが好ましい。加水分解液の分散溶媒は、水または炭素数が1〜4のアルコールが用いられる。酢酸エチルなどのエステル類は、組成物液を不安定にするので好ましくない。本発明において用いられる加水分解性珪素化合物の加水分解物は、チタン酸化物を結合させる目的で用いられるものであるので、以下シリカバインダーとも称す。
チタン酸化物とシリカバインダーとの混合方法は、特に制限はないが、一例を示すと酸性下にある所定量の二酸化チタン水性分散液を10〜50℃の液温に保持し、これに秤量したアルキルシリケートもしくは部分加水分解物を一定時間かけて滴下添加する。滴下終了後、1〜5時間撹拌下で反応させて組成物液を調製する。アルキルシリケートもしくは部分加水分解物添加の際に、加水分解触媒を同時に加えても良いし、二酸化チタン分散液中に存在する酸分を利用して加水分解を進めても良い。分散媒体としてアルコール系の媒体を用いる場合は、二酸化チタンの水/アルコール混合媒体分散液と、アルコール媒体中でアルキルシリケートもしくは部分加水分解物を50〜1500%加水分解した液とを撹拌下で混合して、組成物を得ることもできる。
本発明において、加水分解率とは、アルキルシリケート1モルに対し水2モルの割合で使用した場合を加水分解率100%とし、水の使用量に対応して算出したものである。前記一般式〔Sin−1(OR)2n+2〕の部分加水分解物を用いた場合は、この縮合体1モルに対し、水をn+1モルの割合で使用した場合を加水分解率100%として算出する。
本発明における組成物中のチタン酸化物とシリカバインダーとの割合は、各々二酸化チタンと二酸化珪素に換算した質量比(SiO/(TiO+SiO)×100)で4〜70質量%とすることが好ましい。シリカの割合が70質量%を超えるとチタン酸化物の光触媒機能が小さくなってしまい、実用性が乏しくなる。これは、チタン酸化物粒子表面を覆うシリカの割合が大きくなり、チタン酸化物と酸化分解されるべき物質との接触を妨害することになるからと推測される。一方、シリカバインダーの混合割合が4質量%以下であると、基材およびチタン酸化物同士の接着強度が充分でなく、指触や振動で容易に脱落してしまい、塗膜として工業的に使用しにくいものになる懸念がある。シリカバインダーの更に好ましい割合は10〜50質量%である。
本発明に係る組成物には、少量のチタンアルコキシド、四塩化チタンを加えても良い。また、チタンあるいはシランカップリング剤などを加えても良い。更に、組成物の安定性確保および濡れ特性を改善するため、各種界面活性剤を加えても良い。また、アルコキシ基を2個以上含むアルキシランもしくはハイドロシランを少量添加しても良いが、これらチタン、シランの化合物は固形分算出の際のシリカ換算に加えるものとする。
本発明に係る組成物から光触媒機能層を形成する方法としては、組成物を含む塗液を塗布する方法が好ましい。さらに、組成物を含む塗液を塗布し、乾燥、必要により低温焼成されて塗膜化する方法が好ましい。塗布方法は、塗布すべき基材の形状によってスピンコーティング、スプレーコーティング、バーコート、ディップ法などが適宜に使用される。塗膜の厚さは0.1〜3μm、特に0.3〜2μmが好ましい。チタン酸化物の光触媒活性は、表面に露光し酸化分解されるべき化合物と接触可能なチタン酸化物の量に関係するので、本来は塗膜の厚さは関係ないが、現実には塗膜厚さに不均一があり、又粒子の分散は必ずしも理想とする均一性が得られず、余り薄くすると塗膜表面上のチタン酸化物量が少なく光触媒活性が充分でないので上記範囲の厚さにすることが好ましい。上記範囲の厚さであると、塗膜は透明となり、基材の持つ透明性や色などを損なうことなく、その表面に光活性を持つ被膜を形成することが出来る。
一般に、光触媒機能を有するチタン酸化物を有機物からなる基材あるいは被膜上に積層すると、光エネルギーによって有機物が分解され、チタン酸化物の密着性が低下し最終的には脱落してしまう。これを防止するため、有機物表面に光触媒反応に不活性な無機層を1層以上設けて密着性を改善する必要があった。これに対し、本発明の遮熱性物品の構成では、光触媒機能層は熱線遮断層の上に設けられ、特に熱線遮断層が金属層およびセラミック層からなる場合、上記無機層が不要となり、直接光触媒機能層を積層することが可能となる効果がある。
〔変性光触媒、光触媒粒子〕
本発明に係る変性光触媒は、光触媒粒子を、少なくとも1種の本発明に係る一般式(1)〜(3)で表される構造単位を有する加水分解性珪素化合物を用いて変性処理することによって得られる。
本発明でいう変性処理とは、少なくとも1種の加水分解性珪素化合物を、光触媒粒子の表面に固定化することを意味する。本発明における加水分解性珪素化合物の光触媒粒子表面への固定化は、ファン・デル・ワールス力(物理吸着)または化学結合によるものと考えられる。特に、化学結合を利用した変性は、加水分解性珪素化合物と光触媒との相互作用が強く、加水分解性珪素化合物が光触媒粒子の表面に強固に固定化されるので好ましい。
本発明において使用可能な光触媒粒子の例としては、例えば、TiO、ZnO、SrTiO、CdS、GaP、InP、GaAs、BaTiO、BaTiO、BaTi、KNbO、Nb、Fe、Ta、KTaSi、WO、SnO、Bi、BiVO、NiO、CuO、SiC、MoS、InPb、RuO、CeO、Ta等、さらにはTi、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば、特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)や、窒素ドープ酸化チタン(例えば、特開平13−278625号公報、特開平13−278627号公報、特開平13−335321号公報、特開平14−029750号公報、特開平13−207082号公報等参照)や、酸素欠陥型の酸化チタン(例えば、特開平13−212457号公報参照)の如き、可視光応答型酸化チタン光触媒も好適に使用することができる。また、TaON、LaTiON、CaNbON、LaTaON、CaTaON等のオキシナイトライド化合物やSmTi等のオキシサルファイド化合物は可視光による光触媒活性が大きく、好適に使用することができる。
更に、これらの光触媒粒子に、Pt、Rh、Ru、Nb、Cu、Sn、Ni、Feなどの金属又はこれらの酸化物を添加あるいは固定化したものや、多孔質リン酸カルシウム等で被覆された光触媒(例えば、特開平10−244166号公報参照)等を使用することもできる。
本発明に係る光触媒粒子の結晶粒子径(平均一次粒子径)は1〜400nmであることが好ましく、より好ましくは1〜50nmが好適に選択される。
これらの光触媒粒子のうち、酸化チタンは、無毒であり、化学的安定性にも優れると共に、光照射により、酸化チタン自体の親水性が非常に高まるため好ましい。
該酸化チタンとしては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のうち、いずれの結晶形を使用してもよい。また、可視光応答性である上記窒素ドープ酸化チタンや酸素欠陥型の酸化チタンも、該酸化チタンとして好適に使用できる。
本発明においては、用いる光触媒の性状が、変性光触媒の分散安定性、成膜性、及び種々の機能の発現にとって重要な因子となる。本発明に使用される光触媒粒子としては、一次粒子と二次粒子との混合物(一次粒子、二次粒子の何れかのみでも良い)の数平均分散粒子径が400nm以下の光触媒粒子が、変性後の光触媒の表面特性を有効に利用できるために望ましい。特に、数平均分散粒子径が100nm以下の光触媒粒子を使用した場合、生成する変性光触媒とシリカバインダー成分(加水分解性珪素化合物)からなる光触媒組成物からは、透明性に優れた皮膜を得ることができるため非常に好ましい。より好ましくは、数平均分散粒子径が3nm以上、80nm以下、さらに好ましくは3nm以上、50nm以下の光触媒粒子である。
これらの光触媒粒子としては、以下の理由から、光触媒粉体ではなく光触媒ゾルとして使用することが好ましい。一般に微細な粒子からなる粉体は、単結晶粒子(一次粒子)が強力に凝集した二次粒子を形成するため、無駄にする表面特性が多いが、一次粒子にまで分散させるのは非常に困難である。これに対して、光触媒ゾルの場合、光触媒粒子は溶解せずに一次粒子に近い形で存在しているため、表面特性を有効に利用でき、それから生成する変性光触媒は分散安定性、成膜性等に優れるばかりでなく、種々の機能を有効に発現することができる点で好ましい。ここで、本発明に用いる光触媒ゾルとは、光触媒粒子が水又は有機溶媒中に0.01〜70質量%、好ましくは0.1〜50質量%で一次粒子または二次粒子として分散されたものである。
ここで、上記光触媒ゾルに使用される上記有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等、さらにはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
光触媒ゾルとして酸化チタンのゾルを例にとると、例えば、実質的に水を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が解膠された酸化チタンヒドロゾル等を挙げることができる。ここで、実質的に水を分散媒とするとは、分散媒中に水が80質量%程度以上含有されていることを意味する。上記に示した様なゾルの調製方法は公知であり、容易に製造できる(例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等参照)。また、硫酸チタンや四塩化チタンの水溶液を加熱加水分解して生成したメタチタン酸をアンモニア水で中和し、析出した水酸化チタンを濾別、洗浄、脱水させることにより、酸化チタン粒子の凝集物が得られる。この凝集物を、硝酸、塩酸、あるいはアンモニア等の作用の下で解膠させ、水熱処理等を施すことにより、酸化チタンヒドロゾルが得られる。また、酸化チタンヒドロゾルとしては、酸化チタン粒子を酸やアルカリの作用の下で解膠させたものや、酸やアルカリを使用せず、必要に応じてポリアクリル酸ソーダなどの分散安定剤を使用し、強力なせん断力の下で水中に分散させたゾルも用いることができる。さらに、pHが中性付近の水溶液中においても分散安定性に優れる、粒子表面がペルオキソ基で修飾されたアナターゼ型酸化チタンゾルも例えば特開平10−67516号公報で提案された方法によって容易に得ることができる。
上述した酸化チタンヒドロゾルは、チタニアゾルとしても市販されている。例えば、石原産業株式会社製「STS−02」、田中転写株式会社製「TO−240」等を挙げることができる。
上記酸化チタンヒドロゾル中の酸化チタンは、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上、30質量%以下である。
このようなヒドロゾルの粘度(20℃)は比較的低く、本発明においては、ヒドロゾルの粘度は、0.5mPa・s〜2000mPa・s程度の範囲にあるのが好ましい。より好ましくは1mPa・s〜1000mPa・s、更に好ましくは1mPa・s〜500mPa・sである。
また、例えば、酸化セリウムゾル(例えば、特開平8−59235号公報参照)やTi、Nb、Ta、Vよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属原子を有する層状酸化物のゾル(例えば、特開平9−25123号公報、特開平9−67124号公報、特開平9−227122号公報、特開平9−227123号公報、特開平10−259023号公報等参照)等、様々な光触媒ゾルの製造方法についても酸化チタンゾルと同様に知られている。
また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に光触媒粒子が分散された光触媒オルガノゾルは、例えば、上記光触媒ヒドロゾルをポリエチレングリコール類の如き相間移動活性を有する化合物(異なる第1の相と第2相との界面に第3の相を形成し、第1の相、第2の相、第3の相を相互に溶解又は可溶化する化合物)で処理し、有機溶媒で希釈する方法(例えば、特開平10−167727号公報)や、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の陰イオン界面活性剤で、水に不溶性の有機溶剤中に分散移相させてゾルを調製する方法(例えば、特開昭58−29863号公報)や、ブチルセロソルブ等の水より高沸点のアルコール類を上記光触媒ヒドロゾルに添加した後、水を(減圧)蒸留等によって除去する方法等により得ることができる。また、実質的に有機溶媒を分散媒とし、その中に酸化チタン粒子が分散された酸化チタンオルガノゾルは、市販されている(例えば、テイカ株式会社製「TKS−251」)。ここで、実質的に有機溶媒を分散媒とするとは、分散媒中に有機溶媒が80質量%程度以上含有されていることを意味する。
本発明においては、変性光触媒を得るのに用いられる少なくとも1種の加水分解性珪素化合物は、一般式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、一般式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位、一般式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する化合物であることが好ましい。
一般式(1)
Si−
上記一般式(1)において、Rは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または水酸基を表す。
一般式(2)
−(RSiO)−
上記一般式(2)において、Rは一般式(1)におけるRと同義である。
Figure 2011000723
上記一般式(3)において、Rは一般式(1)におけるRと同義である。
上述した各構造単位を有する加水分解性珪素化合物で、光触媒粒子表面を変性処理した変性光触媒は、その粒子表面の表面エネルギーが非常に小さくなる。
本発明において、光触媒粒子の加水分解性珪素化合物による変性処理は、水または有機溶媒の存在、あるいは非存在下において、光触媒粒子と加水分解性珪素化合物を好ましくは質量比=1/99〜99.9/0.1、より好ましくは10/90〜99/1の割合で混合し、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜80℃の温度での加熱や、(減圧)蒸留等により該混合物の溶媒組成を変化させる等の操作をすることにより得ることができる。
ここで上記変性処理を行う場合、使用できる有機溶媒としては、例えば、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、イソプロパノール、n−ブタノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化合物類、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン等やこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明に係る変性光触媒を得るのに使用される上記加水分解性珪素化合物としては、例えば、Si−H基、加水分解性シリル基(例えば、アルコキシシリル基、ヒドロキシシリル基、ハロゲン化シリル基、アセトキシシリル基、アミノキシシリル基等)、エポキシ基、アセトアセチル基、チオール基、(環状)酸無水物基等の光触媒粒子と反応性を有する、珪素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
また、上記加水分解性珪素化合物の他の例としては、例えば、光触媒粒子とファン・デル・ワールス力、クーロン力等により相互作用する構造、例えば、ポリオキシアルキレン基等を有する、珪素化合物、フルオロアルキル化合物、フルオロオレフィン重合体等を挙げることができる。
《ポリマー層》
本発明の遮熱性物品においては、少なくとも1層のポリマー層を有することが好ましい。
本発明に係るポリマー層は、ポリマー成分としては、光硬化性樹脂と光重合開始剤とを含む光硬化性樹脂組成物から構成されていることが好ましい。本発明に係るポリマー層においては、光硬化性樹脂と光励起しやすい光重合開始剤を組み合わせて用い、紫外線による光重合開始剤の開裂や水素移動でラジカルやカチオンの活性種が生成され、該活性種が光硬化性樹脂に作用して重合または架橋反応が起こり、光硬化性樹脂は極短時間のうちに硬化してポリマー層を形成する。
本発明で使用される光硬化性樹脂組成物は、電磁波中の紫外領域(200〜600nm、好ましくは200〜400nm)を利用して硬化可能な樹脂組成物(プレポリマー、オリゴマーを含む。)であり、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する。このような光硬化性樹脂組成物から得られる樹脂のうち、本発明においては、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂などが好ましい。これらの光硬化性樹脂は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明では、反応性希釈剤を用いる場合には、上記光硬化性樹脂組成物と反応性希釈剤とを混合して使用することがより好ましい。
反応性希釈剤は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を1分子当たり1個または2個以上有する反応性モノマーであり、高粘度のオリゴマーを低粘度化する希釈剤の役割を果たすものである。
本発明では、反応性希釈剤として従来公知のものが使用できる。上記アクリロイル基またはメタクリロイル基を1分子当たり1個有する、単官能性反応希釈剤としては、例えば「ACMO」(商品名、興人(株))、「ライトアクリレート MTG−A」(商品名、共栄社化学(株))が挙げられる。上記アクリロイル基またはメタクリロイル基を1分子当たり2個有する、2官能性反応希釈剤としては、例えば「ビスコート 260」(商品名、大阪有機化学工業(株))、「ネオマー NA−305」(商品名、三洋化成工業(株))が挙げられる。上記アクリロイル基またはメタクリロイル基を1分子当たり3個以上有する、多官能性反応希釈剤としては、例えば「ニューフロンティア TEICA」(商品名、第一工業製薬(株))、「アロニックス M−400」(商品名、東亞合成(株))が挙げられる。
なお、単官能性反応希釈剤、2官能性反応希釈剤、3官能性以上の多官能性反応希釈剤は、それぞれ「単官能モノマー」、「2官能モノマー」、「多官能モノマー」と呼ばれることもある。
本発明で用いられる反応性希釈剤(R)は、単官能性反応希釈剤(R1)、2官能性反応希釈剤(R2)および多官能性反応希釈剤(R3)の混合物であることが好ましい。この混合物における(R1)、(R2)および(R3)の質量比は、単官能性反応希釈剤(R1)1質量部に対して、2官能性反応希釈剤(R2)が1.5〜3.0質量部、多官能性反応希釈剤(R3)が1.0〜2.5質量部の範囲であることが、得られる硬化塗膜の耐汚染性、耐傷性および耐クラック性などの点から好ましい。硬化された塗布膜が丈夫なマトリックス構造を取っているため、耐UV性、耐熱性および耐候性にも非常に優れている。
本発明で使用される光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、アセトフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、メチルフェニルグリオキシエステル類が挙げられる。後述する実施例で用いられている「イルガキュアー184」は、上記アセトフェノン類に属する光重合開始剤である。なお、光重合開始剤は、反応開始剤と呼ばれることもある。
光硬化性樹脂組成物と光重合開始剤との配合比は、塗布された未硬化塗膜の硬化速度などの点から、光重合性樹脂組成物100質量部に対して、光重合開始剤が通常は1〜25質量部であり、好ましくは5〜20質量部である。
本発明においては、光硬化性樹脂組成物には、上記の成分以外に、耐湿顔料、消泡剤、レベリング剤、流動調整剤などの各種添加剤等が適宜含まれていてもよい。
本発明の遮熱性物品において、ポリマー層(ハードコート層ともいう)を少なくとも1層設けることが好ましい。ポリマー層は、層間に設置すると、層間の密着性を向上することもできる。また、最表面層に設置すると、表面層の耐擦傷性が向上できる。日光(熱線)入射面側の最表面層にポリマー層を設けることが好ましい。構成層中の少なくとも1層のポリマー層に紫外線吸収剤及び光安定剤を含有させることが更に好ましい。本発明にかかるポリマー層を、前述の水蒸気バリア層と接する位置に設けることにより、屈折率の変化によってヘイズが低くなる特徴があり、光透過率が予測より飛躍的に高く改良される。
本発明に係るポリマー層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。塗布後、加熱乾燥し、UV硬化処理を行う。塗布膜の厚さは1μm〜20μmが好ましい。3μm〜10μmが特に好ましい。
ポリマー層の形成組成物には、溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。これらの成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜3質量%の範囲で添加することが好ましい。
ポリマー層は塗布乾燥後に、紫外線を照射して塗膜を硬化するが、必要な活性光線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜1分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。また、これら活性光線照射部の照度は0.05〜0.2W/mであることが好ましい。
本発明に係る光硬化性樹脂組成物からなる塗膜の硬化方法は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素およびアルゴン等の希ガス、ならびにこれらの混合気体が挙げられるが、特に窒素ガスまたは窒素含有ガスの使用が好ましい。また、本発明において、これらの不活性ガス中には酸素ガスが含まれていてもよい。該不活性ガス中の酸素濃度は、4体積%以下であることが好ましい。本発明に係る塗膜の硬化方法は、基材に塗布された光硬化性塗料組成物を、不活性ガス雰囲気下で無電極UVランプを照射することにより硬化させる方法が特に好ましい。
本発明に係るポリマー層は、紫外線吸収剤または酸化防止剤等の光安定剤を含んでいることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ポリメチレン系色素、アミニウム系色素、イミニウム系色素等がある。具体的な紫外線吸収剤の化合物には、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系等の紫外線吸収剤がある。本発明にかかる紫外線吸収剤はヒドロキシフェニルトリアジン系の化合物が特に好ましい。
具体例を以下に示すが、これら例示する化合物にのみ限定されるものではない。
2,4,6−トリス(2′−ヒドロキシ−4′−イソプロピルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン;2,4,6−トリス(2′−ヒドロキシ−4′−n−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン;2,4,6−トリス(2′−ヒドロキシ−4′−n−ヘプチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン;2,4,6−トリス(2′−ヒドロキシ−4′−エトキシカルボニルメトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
本発明においては、紫外線吸収剤はポリマー層の他に、粘着層に含有してもよく、バインダーに対して0.1質量%から30質量%の範囲が好ましい。含有量が少ないと効果が低い。また多すぎるとバインダーの層が保持できず、塗膜の脆性が高まる。更に好ましい含有量は、5質量%から10質量%の範囲である。
低分子量の紫外線吸収剤を適用する場合には、ポリマー層からブリードアウトすることがあるので、高分子紫外線吸収剤の併用が好ましい。
また、本発明に適用可能な光安定剤は、紫外線照射で紫外線吸収剤からラジカルが生成され、これらの酸化体が劣化のラジカル種を捕捉することにより、ポリマー層の耐紫外線機能が向上させる目的なものである。本発明にヒンダードアミン系(HALS)光安定剤が特に好ましい。
好適に用いられるヒンダードアミン系光安定剤の具体例を以下に示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、
N,N′,N″,N′″−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、
デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、
シクロヘキサンと過酸化N−ブチル2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、
コハク酸ジメチル1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
などが挙げられる。
また、市販の紫外線吸収剤及びHALS混合物も使用することができる。
本発明においては、上記具体例のうち、少なくともヒンダードアミン系酸化防止剤、ラジカル捕捉剤のいずれかを用いることが好ましく、更には、これらを併用して用いることがより好ましい。
本発明に係る紫外線吸収剤および光安定剤を含有するポリマー層の厚みは、特に限定しないが、0.5〜20μmが好ましく、より好ましくは1〜10μm、更には2〜7μmであることが最も好ましい。厚みがこの範囲内であれば、塗布層の耐久性が十分得られ、優れた特性が発揮される。
また、同様に基材に前記の紫外線吸収剤および光安定剤または酸化防止剤を含有させることも好ましい態様である。
また、本発明に係るポリマー層においては、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
本発明に係るポリマー層に適用可能なシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩及びアミノシラン配合物などが挙げられる。
《基材》
本発明に係る基材(例えば、ポリエステルフィルム等)の片面又は両面に、ポリマー層として紫外線吸収剤及またはヒンダードアミン系光安定剤を含有した水酸基導入アクリル樹脂の塗膜を設けてもよい。特に、屋外環境(外貼り用建材)で使用する場合、耐候性を高めるため、光安定剤を含有したポリマー層を用いることが好ましい。更に水酸基を有する紫外線吸収剤を使用し、イソシアネート化合物を添加すると、イソシアネート化合物がポリエステルフィルムとの密着性を向上させると共に、紫外線吸収剤が水酸基導入アクリル樹脂とウレタン結合で結ばれ、紫外線吸収剤がブリードアウトしにくくなるため、更なる耐候性向上を図ることができる。
本発明に係る遮熱性物品に用いられる基材は、上述した各種の層を保持することができるガラス、樹脂板、樹脂フィルムなどが挙げられる。特に限定されるものではない。
基材として利用する樹脂として、具体的には、エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂等のフィルムを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂及びこれらの混合物等を用いることも可能である。更に、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを樹脂フィルムとして用いることも可能である。
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することもできる。中でも、ゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)などの市販品を好ましく使用することができる。
また、樹脂フィルムは透明、高耐熱性、高耐候性であることが好ましい。また、上記に挙げた樹脂フィルムは、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に係る樹脂フィルムは、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
基材フィルムを構成する樹脂のうち、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレートに代表される芳香族ポリエステル、ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレンやポリプロピレンに代表されるポリオレフィン、ポリカーボネート等が好ましい。これらの中、芳香族ポリエステル、更にはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、及びポリエチレン−2,6−ナフタレート、特にポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
また、熱可塑性樹脂フィルムとしては機械強度を高めた二軸延伸フィルム、更には耐熱性及び機械的強度に優れる、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムや二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムが好ましく、特に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
前記芳香族ポリエステルには、必要により、適当なフィラーを含有させることができる。このフィラーとしては、従来からポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られているものが挙げられるが、その例を挙げると、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。かかる滑り性付与剤の平均粒径は、0.01〜10μm、含有量はフィルムが透明性を保持する量範囲であって、0.0001〜5質量%であることが好ましい。更に芳香族ポリエステルには、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒残渣微粒子なども適宜含有させることができる。
また、本発明の遮熱性物品においては、各層を形成する前に、基材をコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理などの表面処理を行ってもよい。
基材は樹脂フィルムの場合は、ロール状に巻き上げられた長尺品が便利である。樹脂フィルムの厚さは、遮熱樹脂基材としての適性から10〜400μm、中でも30〜200μmの範囲内とすることが好ましい。
《粘着剤層(接着剤層)》
本発明の遮熱性物品は、熱線入射面側に、基材の両面にポリマー層や紫外線反射層、水蒸気バリア層等を設置した物品を、接着層を介して積層することが好ましい。
本発明の遮熱性物品を建物の窓ガラス、自動車、電車などの窓ガラス、冷蔵庫の扉ガラスなどに貼り合わせるため接着剤層を塗設することが好ましい。接着剤層は、窓ガラスなどに貼り合わせたとき、熱線遮断層が窓ガラスと基材との間にあるように設置する。熱線遮断層を窓ガラスと基材との間に挟持すると、水分等周囲ガスから封止でき耐久性に好ましい。本発明の遮熱性物品を屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に係る接着層(接着剤層)に用いることの出来る粘着剤又は接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする粘着剤又は接着剤を用いることができる。
本発明に用いることの出来る粘着剤又は接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系及びエマルジョン系の中で溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
例えば、骨格としての主モノマーとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクリルアクリレート等のアクリル酸エステルを好ましく例示できる。凝集力を向上させるためのコモノマーとしては、酢酸ビニル、アクリルニトリル、スチレン、メチルメタクリレート等を好ましく例示できる。更に架橋を促進して安定した粘着力を付与させ、また水の存在下でもある程度の粘着力を保持するための官能基含有モノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等を好ましく例示できる。
粘着剤又は接着剤の製造は、公知の方法で行うことができる。例えば、酢酸エチルやトルエン等の有機溶剤の存在下で、反応釜内に所定の出発物質を投入し、ベンゾイルパーオキサイド等のパーオキサイド系やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾビス系を触媒として、加熱下で重合させることで製造できる。分子量を上げるためには、例えば反応初期にモノマーを一括投入する方法や、また使用する有機溶剤種では、連鎖移動係数が大きくポリマー成長を抑制するトルエンより酢酸エチルを使用すると良い。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は40万以上が好ましく、50万以上が更に好ましい。分子量が40万未満では、イソシアネート硬化剤で架橋されても、凝集力が十分なものが得られず、荷重をかけての保持力評価でもすぐに落下し、またはガラス板に貼り合せた後経時後に剥がしたとき、粘着剤又は接着剤がガラス板に残ることがある。
粘着剤及び接着剤の硬化剤としては、特にアクリル溶剤系では一般的なイソシアネート系硬化剤やエポキシ系硬化剤が使用できるが、均一な塗布膜を得るためには経時による粘着剤及び接着剤の流動性と架橋が必要なため、イソシアネート系硬化剤が好ましい。
接着層及び接着剤層には、添加剤として、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤等を含有させることもできる。接着層及び接着剤層の厚みは5〜50μmが好ましい。
接着層及び接着剤層の塗布形成方法としては、任意の公知の方法が使用でき、例えば、ダイコーター法、グラビアコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法などが挙げられる。更に接着層及び接着剤層の積層前に、必要に応じて密着性、塗工性向上の目的で、フィルム表面に火炎処理、コロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理、易接着性の有機または無機樹脂塗布などの化学的表面処理を行うことが好ましい。
《バックコート層》
本発明の遮熱性物品においては、基材を挟んで水蒸気バリア層を有する面とは反対側の面に、セルロース系樹脂からなるバックコート層を有することが好ましい。
バックトート層の形成に用いる親水性結合剤としては、親水性のものなら特に限定はされないが、親水性構造単位としてヒドロキシル基を有する樹脂であるポリビニルアルコール(PVA)、セルロース系樹脂{メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等}、キチン類、及び澱粉;エーテル結合を有する樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリビニルエーテル(PVE);アミド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルアミド(PAAM)及びポリビニルピロリドン(PVP)等を挙げることができる。又、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩及びゼラチン類;スルホン基を有するポリスチレンスルホン酸塩;アミノ基、イミノ基、第3アミン及び第4級アンモニウム塩を有するポリアリルアミン(PAA)、ポリエチレンイミン(PEI)、エポキシ化ポリアミド(EPAm)、ポリビニルピリジン及びゼラチン類を挙げることができるが、本発明では、その中でも、セルロース系樹脂、例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等により構成されていることが好ましい。
《遮熱性物品の応用分野》
本発明の遮熱性物品は、幅広い分野に応用することができる。例えば、鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護、光沢向上、変退色・劣化防止等を目的としたオーバーレイフィルムや、外装看板の表面保護用フィルム、液晶ディスプレイ反射防止用シート、太陽電池用バックシート、電子ペーパー用フィルム、プラズマディスプレイの電磁波遮蔽性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス用フィルム、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムの基材、反射板の基材、集光板の基材、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。特に、紫外線に晒される環境下で使用され、紫外線に晒されることにより、基材の光学性能、例えば、透過率、反射率、ヘイズ、色味等や、機械強度が変化することにより、その機能が大きく損なわれる光学部材に好適である。具体的には液晶ディスプレイ反射防止用シート、太陽電池用バックシート、電子ペーパー用フィルム、プラズマディスプレイの電磁波遮蔽性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス用フィルム、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルムの基材、反射板の基材、ビニールハウス用フィルム等の光学部材が挙げられる。特に、本発明に係る遮熱性物品が接着剤を介してガラスもしくはガラス代替樹脂基材に貼合されている建築部材には好適である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《基材の準備》
(基材1の準備)
紫外線吸収剤含有のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 HB3、厚み38μm)を基材1として用いた。
(基材2の準備)
紫外線吸収剤含有のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製 HB3、厚み25μm)を基材2として用いた。
《変性光触媒の調製》
〔フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の調製〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を備えた反応器に入れたジオキサン78gに、フェニルトリクロロシラン26.0gを添加した後、室温にて約10分間撹拌して、反応液を調製した。水3.2gとジオキサン12.9gからなる混合液を、反応液を10〜15℃に保ちながら約30分かけて滴下した後、さらに10〜15℃で約30分撹拌し、続いて反応液を60℃に昇温させ3時間撹拌した。得られた反応液を25〜30℃に降温させ、392gのトルエンを約30分かけて滴下した後、再度反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。
得られた反応液を10〜15℃に降温させ、メタノール19.2gを約30分かけて添加した。その後、更に25〜30℃にて約2時間撹拌を続行し、続いて反応液を60℃に昇温させ2時間撹拌した。得られた反応液を、60℃で、減圧下にて溶媒を溜去することにより、重量平均分子量2600のラダー骨格を有するフェニル基含有シリコーン(BSP−1)を得た。得られたフェニル基含有シリコーン(BSP−1)には、IRスペクトルにおけるラダー骨格の伸縮振動に由来する吸収(1130cm−1及び1037cm−1)が観測された。また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記フェニル基含有シリコーン(BSP−1)の平均組成式は、(Ph)(OCH0.58SiO1.21であった。(ここでPhはフェニル基を表す。)
〔アルキル基含有シリコーン(BSA−1)の調製〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を備えた反応器に入れたメタノール300gに、メチルトリメトキシシラン136g(1モル)、及びジメチルジメトキシシラン120g(1モル)を添加した後、室温にて約10分間撹拌した。これに、氷冷下で、0.05モル/Lの塩酸水溶液12.6g(0.7モル)とメタノール63gからなる混合液を、約40分かけて滴下し、加水分解を行った。滴下終了後、さらに10℃以下で約20分、室温で6時間それぞれ撹拌した。
その後、得られた反応液を、60℃で、減圧下にて溶媒を溜去することにより重量平均分子量3600のアルキル基含有シリコーン(BSA−1)を得た。得られたアルキル基含有シリコーン(BSA−1)の構造を29Si核磁気共鳴によって測定したところ、T構造とD構造を示すシグナルが確認され、その比率はT構造:D構造=1:1であった。また、29Si核磁気共鳴の測定結果より求めた上記アルキル基含有シリコーン(BSA−1)の平均組成式は、(CH1.5(OCH0.27SiO1.12であった。
〔変性光触媒オルガノゾル(A−1)の調製〕
還流冷却器、温度計および撹拌装置を備えた反応器にいれたTKS−251(酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製)、分散媒:トルエンとイソプロパノールの混合溶媒、TiO濃度20質量%、平均結晶子径6nm(カタログ値))40gに、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン8gを40℃にて約5分かけて添加し、さらに40℃で12時間撹拌を続けることにより、分散性の良好な変性光触媒オルガノゾル(A−1)を得た。この時、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシランの反応に伴い生成した水素ガス量は、23℃において718mlであった。また、得られた変性酸化チタンオルガノゾルをKBr板上にコーティングしてIRスペクトルを測定した結果、Ti−OH基の吸収(3630〜3640cm−1)の消失が観測された。
得られた変性光触媒オルガノゾル(A−1)の粒径分布は単一分散(数平均粒子径は17nm)であり、さらに変性処理前のTKS−251の単一分散(数平均粒子径は12nm)の粒径分布が完全に消失していることが分かる。
《光触媒組成物の調製》
〔光触媒組成物(C−1)の調製〕
20質量%のポリペルヒドロシラザンのm−キシレン溶液35.0gに、トルエン23.0gを添加し、これに上記調製した変性光触媒オルガノゾル(A−1)9.0gを室温にて、撹拌下で添加して光触媒組成物(C−1)を得た。
〔光触媒組成物(C−2)の調製〕
上記調製したフェニル基含有シリコーン(BSP−1)3.5gと、上記調製したアルキル基含有シリコーン(BSA−1)1.8gを混合した後、トルエン44.0gを添加し、室温で撹拌した後、20質量%のポリペルヒドロシラザンのm−キシレン溶液8.75gを添加した。これに、上記調製した変性光触媒オルガノゾル(A−1)9.0gを室温にて撹拌下で添加して、光触媒組成物(C−2)を得た。
〔光触媒組成物(C−3)の調製〕
上記光触媒組成物(C−1)の調製において、変性光触媒オルガノゾル(A−1)の9.0gに代えて、TKS−251(酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製))の6.2gを用いた以外は同様にして、光触媒組成物(C−3)を得た。
〔光触媒組成物(C−4)の調製〕
上記光触媒組成物(C−1)の調製において、変性光触媒オルガノゾル(A−1)の9.0gに代えて、TKS−251(酸化チタンオルガノゾルの商品名(テイカ製))の15.0gを用いた以外は同様にして、光触媒組成物(C−4)を得た。
〔光触媒組成物(C−5)の調製〕
上記光触媒組成物(C−2)の調製において、20質量%のポリペルヒドロシラザンのm−キシレン溶液8.75gの添加を除いた以外は同様にして、光触媒組成物(C−5)を得た。
《遮熱性物品の作製》
〔遮熱性物品1の作製〕
(ポリマー層1の形成)
上記準備した基材1(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み38μm)上に、下記ポリマー層塗布液aを、硬化後の膜厚が5μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布した。溶剤を蒸発乾燥した後、高圧水銀灯を用いて0.4J/cmの紫外線照射により硬化させポリマー層1を形成した。
〈ポリマー層塗布液a〉
JSR Z7535(JSR株式会社製)の光硬化樹脂のポリマー液に、シランカップリング剤として、KBM−903(信越シリコーン製)を0.5質量%添加して、ポリマー層塗布液aを調製した。
(バックコート層1(BC層)の形成)
上記基材1のポリマー層1を設けた面とは反対側の面(裏面ともいう)に、下記の方法に従って、バックコート層1を形成した。
〈バックコート層塗布液1の調製〉
メチルエチルケトン880gを撹拌しながら、セルロースアセテートブチレート(Eastman Chemical社、CAP141−20)106.6g、ポリメチルメタクリル酸(ローム&ハース社、パラロイドA−21)4.32g、ビニルスルホン化合物(1,3−{ビス(ビニルスルホニル)}−2−ヒドロキシプロパン)1.79g、ポリメタクリル酸エステル・ポリアルキルシロキサン共重合物(綜研化学製、アクトフローUTMM−LS2M)3.20g、脂肪族イソシアネート(モーベイ社製、DesmodurN3300)0.43gを、順次添加して溶解した。次に、シリカゾル(平均粒径40nm、日産科学工業(株)製、MEK−ST−L)4.26gを添加し、ディゾルバ型ホモジナイザにて8000rpmで30分間分散し、バックコート層塗布液1を調製した。
上記バックコート層塗布液1を、マイクログラビアコーターを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなる様に、基材1の裏面側に塗布し、次いで、乾燥温度75℃、露点温度10℃の熱風を用いて5分間乾燥して、バックコート層1を形成した。
(加水分解性珪素化合物含有層1の形成)
上記基材1に設けたポリマー層上に、下記の方法に従って、最表層として加水分解性珪素化合物含有層1を形成した。
基材1に設けたポリマー層上に、ポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製、アクアミカ NAX−120−20)を、硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布した。塗布、乾燥した後、40℃の環境で7日間放置し、シロキサン結合の層として硬化させた。
(熱線遮断層ユニット1の形成)
上記準備した基材2(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み25μm)上に、下記の方法に従って、金属層から構成される熱線遮断層と高屈折率セラミック構成層とを交互に積層した構成からなる熱線遮断層ユニット1を形成した。
〈第1高屈折率セラミック層の形成〉
基材2を、マグネトロンスパッタ装置にセットし、真空脱気した。次いで、チャンバー内にArガスに酸素ガスを2%添加した混合ガスを圧力0.40Paとなるように導入し、酸化亜鉛ターゲットをセットしたカソードに直流を印加してスパッタリングを引き起こし、厚さ25nmの酸化亜鉛膜からなる第1高屈折率セラミック層を形成した。第1高屈折率セラミック層の屈折率は、2.1であった。
〈第1金属層の形成〉
次いで、形成した第1高屈折率セラミック層上に、真空チャンバー中のガスをArガスに切り替え、圧力を0.45Paとなるようにし、銅を4質量%含有する銀ターゲットをセットしたカソードに直流を印加してスパッタリングを引き起こし、厚さ25nmの銀膜から構成される第1金属層を形成した。
〈第2高屈折率セラミック層の形成〉
形成した第1金属層上に、先に形成した第1高屈折率セラミック層と同様な条件で26nmの酸化亜鉛膜を形成した。次いで、チャンバー中の圧力を0.25PaとなるようにArガスを充填し、アルミニウムを10質量%含有する窒化珪素ターゲットをセットしたカソードに直流を印加して反応性スパッタリングを引き起こし、厚さ34nmの窒化珪素膜からなる第2高屈折率セラミック層を形成した。この第2高屈折率セラミック層の屈折率は、2.0であった。
〈第2金属層、第3高屈折率セラミック層の形成〉
更に、第2高屈折率セラミック層上に、第1金属層の形成と同条件で、厚さ9nmの銀膜から構成される第2金属層を形成し、最後に、第2金属層上に上記第2高屈折率セラミック層の形成と同様の方法で、30nmの窒化珪素膜から構成される第3高屈折率セラミック層を形成し、熱線遮断層ユニット1を作製した。
(粘着層による貼り合わせ)
上記作製した基材1上に形成したポリマー層1、加水分解性珪素化合物含有層1及びバックコート層1を有するユニットAと、基材2上に熱線遮断層ユニット1を設けたユニットBを、ユニットAのバックコート層1表面と、ユニットBの基材2裏面とが対向する用に配置し、粘着層を介して貼り合わせ、図5のa)に記載の構成からなる遮熱性物品1を作製した。
〔遮熱性物品2の作製〕
上記遮熱性物品1の作製において、ポリマー層1と加水分解性珪素化合物含有層1との間に、下記の方法に従って、ポリマー層1上に水蒸気バリア層ユニット1と紫外線反射層ユニット1とをこの順で設けた以外は同様にして、図5のb)に記載の構成からなる遮熱性物品2を作製した。
(水蒸気バリア層ユニット1の形成)
ポリマー層1上に、図1に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、以下の薄膜形成条件に従って、第1水蒸気バリア層(厚さ50nm)、第2水蒸気バリア層(厚さ50nm)、第3水蒸気バリア層(厚さ500nm)を順次形成し、水蒸気バリア層ユニット1(低屈折率セラミック層)の形成を行った。屈折率は1.46であった。
[第1水蒸気バリア層の形成]
〈混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.85体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.15体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度 90℃
[第2水蒸気バリア層の形成]
〈混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.99体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン 0.01体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは2kVであった)
電極温度 90℃
[第3水蒸気バリア層の形成]
〈混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素ガス 94.5体積%
薄膜形成ガス:ヘキサメチルジシロキサン 0.5体積%
添加ガス:酸素ガス 5.0体積%
〈成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度 90℃
(紫外線反射層1の形成)
上記形成した水蒸気バリア層1上に、図1に記載の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、下記条件で高屈折率層(厚み:35nm、屈折率:2.1)、低屈折率層(厚み:52nm、屈折率1.46)を交互に5層(高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層)を積層し、5層構成からなる紫外線反射層1を形成した。この紫外線反射層1から光を入射して測定したスペクトルの紫外線反射率は72%であった。
[高屈折率層の形成]
〈高屈折率層形成混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素 97.9体積%
薄膜形成ガス:テトライソプロポキシチタン 0.1体積%
添加ガス:水素 2.0体積%
〈高屈折率層成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 5W/cm(この時の電圧Vpは1kVであった)
電極温度 90℃
[低屈折率層の形成]
〈低屈折率層混合ガス組成物〉
放電ガス:窒素 98.9体積%
薄膜形成ガス:テトラエトキシシラン 0.1体積%
添加ガス:酸素 1.0体積%
〈低屈折率層成膜条件〉
第1電極側
電源種類 ハイデン研究所 100kHz(連続モード) PHF−6k
周波数 100kHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは7kVであった)
電極温度 120℃
第2電極側
電源種類 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
周波数 13.56MHz
出力密度 10W/cm(この時の電圧Vpは2kVであった)
電極温度 90℃
〔遮熱性物品3の作製〕
上記遮熱性物品2の作製において、ポリマー層1を下記ポリマー層2に変更し、更に、加水分解性珪素化合物含有層1上に下記組成からなる光触媒層1を形成した以外は同様にして、図5のc)に記載の構成からなる遮熱性物品3を作製した。
(ポリマー層2の形成)
基材1(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み38μm)上に、下記ポリマー層塗布液bを、硬化後の膜厚が5μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布した。溶剤を蒸発乾燥した後、高圧水銀灯を用いて0.4J/cmの紫外線照射により硬化させポリマー層2を形成した。
〈ポリマー層塗布液b〉
JSR Z7535(JSR株式会社製)の光硬化樹脂のポリマー液に、紫外線吸収剤1(TINUVIN479;チバ・ジャパン(株)製)を1質量%、高分子紫外線吸収剤2(XL−524;一方社油脂工業(株)製)を5質量%、光安定剤1(TINUVIN123;チバ・ジャパン(株)製)を1質量%、シランカップリング剤(KBM−903、信越シリコーン製)0.5質量%を添加し、溶解して、ポリマー層塗布液bを調製した。
Figure 2011000723
(光触媒層1の形成)
加水分解性珪素化合物含有層1上に、前記光触媒組成物(C−1)を、乾燥後の膜厚が1μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布、乾燥した後、40℃の環境で7日間放置し、シロキサン結合の層として硬化させて、光触媒層1を形成した。
〔遮熱性物品4の作製〕
上記遮熱性物品3の作製において、加水分解性珪素化合物含有層1及び光触媒層1の構成に代えて、最表層として下記加水分解性珪素化合物含有層2を設けた以外は同様にして、図5のd)に記載の構成からなる遮熱性物品4を作製した。
(加水分解性珪素化合物含有層2の形成)
水蒸気バリア層1上に、前記光触媒組成物(C−1)を、乾燥後の膜厚が1μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布、乾燥した後、40℃の環境で7日間放置し、シロキサン結合の層として硬化させて、最表層として加水分解性珪素化合物含有層2を形成した。
〔遮熱性物品5の作製〕
上記遮熱性物品3の作製において、加水分解性珪素化合物含有層1及び光触媒層1の構成に代えて、最表層として下記加水分解性珪素化合物含有層3を設けた以外は同様にして、図5のd)に記載の構成からなる遮熱性物品5を作製した。
(加水分解性珪素化合物含有層2の形成)
水蒸気バリア層1上に、前記光触媒組成物(C−2)を、乾燥後の膜厚が1μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布、乾燥した後、40℃の環境で7日間放置し、シロキサン結合の層として硬化させて、最表層として加水分解性珪素化合物含有層3−を形成した。
〔遮熱性物品6、7の作製〕
上記遮熱性物品4、5の作製において、ポリマー層2を下記ポリマー層3に変更した以外は同様にして、遮熱性物品6、7を作製した。
(ポリマー層3の形成)
基材1(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み38μm)上に、下記ポリマー層塗布液cを、硬化後の膜厚が5μmとなるようにマイクログラビアコーターを用いて塗布した。溶剤を蒸発乾燥した後、高圧水銀灯を用いて0.4J/cmの紫外線照射により硬化させポリマー層3を形成した。
〈ポリマー層塗布液c〉
JSR Z7535(JSR株式会社製)の光硬化樹脂のポリマー液に、紫外線吸収剤1(TINUVIN479;チバ・ジャパン(株)製)を1質量%、高分子紫外線吸収剤2(XL−524;一方社油脂工業(株)製)を5質量%、光安定剤1(TINUVIN123;チバ・ジャパン(株)製)を1質量%、下記表1に記載の組成からなるポリマー液シランカップリング剤を0.5質量%添加して、これをポリマー層塗布液cとした。
Figure 2011000723
〔遮熱性物品8〜10の作製〕
上記遮熱性物品6の作製において、加水分解性珪素化合物含有層で用いた光触媒組成物(C−1)を、それぞれ光触媒組成物(C−3)〜(C−5)に変更した以外は同様にして、遮熱性物品8〜10を作製した。
〔初期水蒸気透過率の測定〕
以上作製した各遮熱性物品1〜10について、下記の方法に準じて初期水蒸気透過率(g/m/day)を測定した。
水蒸気透過率は、JIS K 7129Bで規定の方法(40℃、90%RH)に準拠して、MOCON社製水蒸気透過率測定装置 PERMATRAN−W3/33MGモジュールにより測定した。
Figure 2011000723
《遮熱性物品の評価》
作製した各遮熱性物品について、下記の各評価を行った。
〔試料の作製〕
各耐久性を評価するため、作製した遮熱性物品1〜10を、それぞれ3mm厚の窓ガラスにシリコーン系接着剤を介して貼り合わせ、端部からの劣化を防止するため、市販コーキング剤を用いて端部接合部を隙間なく封止して、試料1〜10とした。
〔強制劣化処理試料の作製〕
下記の方法に従って、全く強制劣化処理を施していない試料を試料1A〜10Aとし、下記強制紫外線照射処理(耐久性評価1)を施した試料を試料1B〜10Bとし、下記高温高湿処理(耐久性評価2)を施した試料を試料1C〜10Cとした。
(強制紫外線照射処理:耐久性評価1)
各遮熱性物品について、紫外線劣化促進試験機アイスーパーUVテスターSUV−W131(岩崎電気(株)製)を用い、下記の条件で強制紫外線照射試験を行い、試料1B〜10Bを得た。
〈紫外線照射条件〉
照度:100mW/cm
温度:60℃
相対湿度:50%RH
照射時間:100時間(日射時間10年相当)
(高温高湿処理:耐久性評価2)
各遮熱性物品について、高加速寿命試験装置HAST CHAMBER EHS−211M(エスペック(株)製)を用い、下記の条件で高温高湿処理を行い、試料1C〜10Cを得た。
〈高温高湿処理条件〉
温度:120℃
相対湿度:100%RH、(2atm)
暴露時間:48時間
〔各試料の評価〕
上記作製した試料1A〜10A、1B〜10B、1C〜10Cについて、下記の各評価を行った。
(ヘイズの測定)
ヘイズメーターT−2600DA(東京電色(株)製)を用いて、各試料のフィルム厚み方向のヘイズ(%)を測定した。
(光学性能1:紫外線透過率の測定)
日立製作所製U−4000型分光光度計を使用して、JIS R5759に基づいて透過スペクトルを測定して、紫外線透過率(%)を算出した。
(光学性能2:可視光透過率)
日立製作所製U−4000型分光光度計を使用して、JIS R5759に基づいて透過スペクトルを測定して、可視光透過率(%)を算出した。
(光学特性3:遮蔽係数)
日立製作所製U−4000型分光光度計を使用して、JIS R5759に基づいてスペクトルを測定して、日光(熱線)遮蔽係数を算出した。遮蔽係数は、日差しを遮る効果を見る指標で、数値が低いほど遮蔽効果が高く、冷房負荷の低減に効果があると判定した。
(b値(黄変度)の測定)
分光式色差計SE−2000型(日本電色工業(株)製)を用い、JIS−K−7105に従った透過法で、各試料のL、a、bを測定し、黄変度としてb値の変動を評価した。b値の増加量が小さい程優れている。
(鉛筆硬度試験)
試料1A〜10Aについて、丸菱化学機械製作所製の鉛筆硬度試験機(PS−310)を用い、JIS K5400に基づき、初期試料の膜面鉛筆硬度を評価した。
(クラック耐性の評価)
強制劣化処理を施した試料1B〜10B、1C〜10Cの10cm×10cmの面積における膜面状態を目視観察し、下記の基準に従ってクラック耐性を評価した。
◎:面積100cmの全ての領域で亀裂(クラック)の発生が認められない
○:面積1cm以上、20cm未満の領域で、極弱い亀裂(クラック)の発生が認められる
△:面積20cm以上、50cm未満の領域で、亀裂(クラック)の発生が認められる
×:面積50cm以上の領域で、強い亀裂(クラック)の発生が認められる
以上により得られた結果について、試料1A〜10Aの評価結果を表3に、試料1B〜10Bの評価結果を表4に、試料1C〜10Cの評価結果を表5に示す。なお、各表における特性値は、それぞれの試料1A、1B、1Cを100とした相対値で表示した。
Figure 2011000723
Figure 2011000723
Figure 2011000723
上記記載の結果より明らかな様に、本発明の試料は、初期性能が高く、強制紫外線照射処理あるいは高温高湿処理を行った後でも、比較例に対し、ヘイズ、紫外線透過率、可視光透過率、遮蔽係数、黄変度b値の変動幅が小さく、長期間を経ても、光触媒組成物を含有した試料は屋外用建築部材用の熱線反射フィルムとして総合的に優れていることが分かる。
10 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
21 第1電源
22 第2電源
24 第2フィルター
30 プラズマ放電処理装置
32 放電空間
35 ロール回転電極
35a ロール電極
35A 金属質母材
35B 誘電体
36 固定電極群
40 電界印加手段
41 第1電源
42 第2電源
43 第1フィルター
44 第2フィルター
50 ガス供給手段
51 ガス発生装置
52 給気口
53 排気口
60 電極温度調節手段
G 薄膜形成ガス
G° プラズマ状態のガス
G′ 処理排ガス
F 基材

Claims (18)

  1. 基材の一方の面側に、金、銀、銅、アルミニウムの単体及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属から構成される金属層を有する熱線遮断層を形成した遮熱性物品において、該熱線遮断層と熱線入射面との間に水蒸気バリア層を有し、かつ該水蒸気バリア層と熱線入射面との間に、加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層を有することを特徴とする遮熱性物品。
  2. 前記熱線遮断層は、金、銀、銅、アルミニウムの単体及びこれらの合金から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する金属層と、セラミック層とを交互に積層した積層ユニット構成であることを特徴とする請求項1に記載の遮熱性物品。
  3. 前記加水分解性珪素化合物の加水分解により調製されたシロキサン結合含有組成物を含有する層が熱線入射面側の最表面層であり、該最表面層は、加水分解性珪素化合物を含む変性光触媒組成物を含有し、該変性光触媒組成物は、光触媒粒子を、下記一般式(1)で表されるトリオルガノシラン単位、下記一般式(2)で表されるモノオキシジオルガノシラン単位及び下記一般式(3)で表されるジオキシオルガノシラン単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を有する加水分解性珪素化合物を用いて変性処理することによって得られるシロキサン結合含有組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の遮熱性物品。
    一般式(1)
    Si−
    〔式中、Rは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のフルオロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニル基、フェニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または水酸基を表す。〕
    一般式(2)
    −(RSiO)−
    〔式中、Rは一般式(1)におけるRと同義である。〕
    Figure 2011000723
    〔式中、Rは一般式(1)におけるRと同義である。〕
  4. 少なくとも1層のポリマー層を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  5. 前記基材を挟んで前記水蒸気バリア層を有する面とは反対側の面に、セルロース系樹脂からなるバックコート層を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  6. 前記ポリマー層が、シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項4または5に記載の遮熱性物品。
  7. 前記ポリマー層が、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項4から6のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  8. 前記紫外線吸収剤を含有する層が、ヒンダードアミン系化合物から選ばれる少なくとも1種の光安定剤を含有することを特徴とする請求項7に記載の遮熱性物品。
  9. 前記水蒸気バリア層が、珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒素酸化物または窒化物を主成分とすることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  10. 前記水蒸気バリア層が、炭素含有量が0.1原子数%未満である酸化珪素膜と炭素含有量が1.0原子数%以上、40原子数%以下である酸化珪素膜をそれぞれ1層以上有する構成であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  11. 前記金属層の厚さが0.1nm以上、30nm未満であり、かつ前記セラミック層が、亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とする少なくとも1層の高屈折率セラミック層であることを特徴とする請求項2から10のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  12. 紫外線反射層を有し、該紫外線反射層が、屈折率が1.4以上、1.8以下で、厚みが5nm以上、1000nm以下の低屈折率層と、屈折率が1.8以上、2.4以下で、厚みが5nm以上、400nm以下の高屈折率膜層とを、交互に少なくとも3層以上積層された構成であり、該低屈折率層の少なくとも1層は、珪素またはアルミニウムを含む酸化物、窒酸化物を主成分とする層であり、該高屈折率層の少なくとも1層は、亜鉛、チタン、錫、インジウム、ニオブ、珪素及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種の金属原子を含む酸化物、窒酸化物または窒化物を主成分とする層であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  13. 前記基材は、厚さが10μm以上、250μm以下のポリエチレンテレフタレート二軸延伸フィルムであることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  14. 前記基材が、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の遮熱性物品。
  15. 請求項12に記載の遮熱性物品を製造する遮熱性物品の製造方法であって、紫外線反射層が、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、基材を励起したガスに晒すことにより、該基材上に形成されることを特徴とする遮熱性物品の製造方法。
  16. 請求項1から14のいずれか1項に記載の遮熱性物品を製造する遮熱性物品の製造方法であって、水蒸気バリア層が、大気圧もしくはその近傍の圧力下、放電空間に薄膜形成ガス及び放電ガスを含有するガスを供給し、該放電空間に高周波電界を印加することにより該ガスを励起し、基材を励起したガスに晒すことにより、該基材上に形成されることを特徴とする遮熱性物品の製造方法。
  17. 前記放電ガスが窒素ガスであり、放電空間に印加される高周波電界は、第1の高周波電界及び第2の高周波電界を重畳したものであり、該第1の高周波電界の周波数ω1より該第2の高周波電界の周波数ω2が高く、該第1の高周波電界の強さ(V1)、該第2の高周波電界の強さ(V2)及び放電開始電界の強さ(IV)との関係が、V1≧IV>V2またはV1>IV≧V2の関係を満たし、かつ、該第2の高周波電界の出力密度が1W/cm以上であることを特徴とする請求項15または16に記載の遮熱性物品の製造方法。
  18. 請求項15から17のいずれか1項に記載の遮熱性物品の製造方法により製造された遮熱性物品を、接着剤を介してガラスまたはガラス代替樹脂基材に貼合されていることを特徴とする屋外用建築部材。
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