以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態の説明においては、本発明に係る画像形成装置としてのプリンタ1の構成について説明する。プリンタ1は、電子写真方式のプロセスユニットを複数備え、ホストコンピュータといった外部端末から入力された印刷データに基づくカラー画像を記録媒体としての用紙2に印刷することが可能な中間転写方式の画像形成装置である。
図1は、プリンタ1の要部構成を説明するための側面断面図である。プリンタ1は、印刷前の用紙2を収納する媒体カセット3と、用紙2を図1中D方向に繰り出すピックアップローラ40と、ピックアップローラ40により繰り出された用紙2を搬送するレジストローラ41,レジストローラ42と、用紙2の斜行を矯正しながら搬送する搬送ローラ43,搬送ローラ44と、搬送ローラ43,搬送ローラ44により搬送された用紙2を転写ベルトユニット20に搬送するローラ45,ローラ46と、各現像剤色に対応した現像剤画像を形成する電子写真プロセスユニット10と、電子写真プロセスユニット10において形成された現像剤画像を中間転写ベルト21上に一次転写するとともに、中間転写ベルト21上に転写された現像剤画像を用紙2に二次転写する転写ベルトユニット20と、転写ベルトユニット20により転写された用紙2上の現像剤画像を定着させる定着ユニット30と、定着ユニット30により搬送された用紙2を搬送する搬送ローラ51,搬送ローラ52と、用紙2を装置外部に排出する排出ローラ53,排出ローラ54と、用紙2の通過を検出するインセンサ60,インセンサ61,書き込みセンサ62,排出センサ63とを備える。
媒体カセット3は内部に用紙2を積層した状態で収納し、プリンタ1の下部に着脱自在に装着されている。媒体カセット3の上部には、用紙2を1枚ずつ分離して繰り出すピックアップローラ40が配設されている。
レジストローラ41,レジストローラ42は互いに圧接した状態で設けられ、後述するモータ駆動制御部119を介して図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、媒体カセット3から繰り出された用紙2を図1中矢印E方向に搬送する。
搬送ローラ43,搬送ローラ44は互いに圧接した状態で設けられ、モータ駆動制御部119を介して図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、用紙2の斜行を矯正するとともに、用紙2を図1中矢印F方向に搬送する。
ローラ45,ローラ46は互いに圧接した状態で設けられ、モータ駆動制御部119を介して図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転する。ローラ45,ローラ46は転写ベルトユニット20が備える二次転写ローラ47,二次転写ローラ48の直前に配接され、回転、停止することで二次転写のタイミングを制御する。
電子写真プロセスユニット10は、各現像剤色に対応した現像剤画像を形成するプロセスユニット11,プロセスユニット12,プロセスユニット13,プロセスユニット14,プロセスユニット15を備える。各プロセスユニットは各色の現像剤としてのトナーを収納し、入力された印刷データに基づく現像剤画像であるトナー画像を後述する感光ドラム表面上に形成する。本実施形態に係るプロセスユニット11は特色で白やクリアのトナーを、プロセスユニット12はシアンのトナーを、プロセスユニット13はマゼンタのトナーを、プロセスユニット14はイエローのトナーを、プロセスユニット15はブラックのトナーをそれぞれ収納し、各トナー色に対応したトナー画像を感光ドラム表面上に形成するものとする。
転写ベルトユニット20は中間転写ベルトユニットであり、電子写真プロセスユニット10において形成されたトナー画像を中間転写ベルト21上に一次転写するとともに、中間転写ベルト21上に転写されたトナー画像を用紙2に二次転写する。このような転写ベルトユニット20は、中間転写ベルト21と、電子写真プロセスユニット10の各プロセスユニットが備える感光ドラム表面上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト21に一次転写する一次転写ローラ22,一次転写ローラ23,一次転写ローラ24,一次転写ローラ25,一次転写ローラ26と、中間転写ベルト21に転写されたトナー画像を用紙2に二次転写する二次転写ローラ47,二次転写ローラ48とを備える。
中間転写ベルト21は、ローラ27、ローラ28、及び二次転写ローラ48により張架された無端のベルト部材であり、一次転写が行われる際には、後述する転写ベルト駆動制御部300による制御に基づき、各ローラが回転することで図1中矢印A方向、矢印B方向、矢印C方向に駆動する。
一次転写ローラ22,一次転写ローラ23,一次転写ローラ24,一次転写ローラ25,一次転写ローラ26は、それぞれ、電子写真プロセスユニット10のプロセスユニット11,プロセスユニット12,プロセスユニット13,プロセスユニット14,プロセスユニット15が備える各感光ドラムと中間転写ベルト21を介し、圧接して配設されている。一次転写ローラ22,一次転写ローラ23,一次転写ローラ24,一次転写ローラ25,一次転写ローラ26には、後述する転写制御部302による制御に基づき、高圧電源部303から所定の転写電圧が印加されており、各感光ドラム表面上に形成されたトナー画像は当該転写電圧によって中間転写ベルト21に転写される。
二次転写ローラ47,二次転写ローラ48は中間転写ベルト21を介して互いに圧接して配設されている。二次転写ローラ47,二次転写ローラ48には、後述する転写制御部302による制御に基づき、高圧電源部303から所定の転写電圧が印加されており、中間転写ベルト21に転写されたトナー画像は、用紙2が二次転写ローラ47及び二次転写ローラ48から形成されるニップ部を通過するタイミングに合わせて当該用紙2に転写される。
定着ユニット30は、互いに圧接して配設された定着ベルト50と加圧ローラ49とを内蔵し、用紙2上に転写されたトナー画像に熱及び圧力を付与して定着させる。温度検出素子31,温度検出素子32は、それぞれ後述する面状ヒータ83の裏面の温度と、定着ベルト50の内側温度を検出する、例えば、サーミスタといった温度検出素子である。なお、本実施形態においては、加圧ローラ49の表面温度を検出する温度検出素子は存在しない。定着ユニット30の詳細な構成については、後述する。
搬送ローラ51,搬送ローラ52は互いに圧接した状態で設けられ、後述するモータ駆動制御部119を介して図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、定着ユニット30により図1中矢印G方向に搬送された用紙2を図1中矢印H方向に搬送する。
排出ローラ53,排出ローラ54は互いに圧接した状態で設けられ、後述するモータ駆動制御部119を介して図示せぬ駆動源から伝達された駆動力により回転し、搬送ローラ51,搬送ローラ52により搬送された用紙2を図1中矢印I方向に搬送することで、当該用紙2を装置外筐を利用して形成されたスタッカ4に排出する。
インセンサ60,インセンサ61,書き込みセンサ62,排出センサ63は用紙2の通過を検出するためのメカセンサであり、用紙2が通過する度に機械的に動作する。用紙2が通過すると、インセンサ60,インセンサ61,書き込みセンサ62,排出センサ63は、その検出結果を後述する制御部106に出力する。
次に、プリンタ1のシステム構成について説明する。図2は、本実施形態に係るプリンタ1のシステム構成を説明するブロック図である。
図2に示すように、プリンタ1は、CPU(Central Processing Unit)90と、ROM(Read Only Memory)91と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)92と、RAM(Random Access Memory)93と、I/O94と、外部I/F95と、システムタイマ96とを備える。
CPU90はROM91に格納されているプログラムを読み出し、実行することでプリンタ1の機能を実現する演算装置である。
ROM91は、CPU90が実行するプログラムを格納する読み出し用のメモリである。
EEPROM92はCPU90によって書き換え可能なROMであり、例えば、装置の設定情報等を格納する不揮発性メモリである。
RAM93はCPU90によって一時的な読み出し、書き換え可能な揮発性メモリであり、主にCPU90のワーキングエリアとして使用される。
I/O94は、センサやモータ等のデバイスの入出力を制御する入出力ポートである。
外部I/F95は、プリンタ1に対して印刷を要求するホストコンピュータとの印刷データや制御コマンド等の送受を制御するインタフェースである。
システムタイマ96は、システムクロックにより刻まれている時間であり、例えば、日時表示や、現時刻情報の取得等に用いられる。
次に、プリンタ1の機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係るプリンタ1の機能構成を説明するブロック図である。
制御部106は、定着温度制御部118、パネル制御部160、媒体情報管理部163、インタフェース部150、用紙搬送制御部114、計時部181、タイマ108を制御する。さらに、制御部106は、記憶部107に対して、定着温度制御部118が備える温度設定部117、パネル制御部160、媒体情報管理部163、インタフェース部150、用紙搬送制御部114、タイマ108からの情報を必要に応じて格納させることができる。
温度制御部としての定着温度制御部118は、温度検出部115及び温度検出部116を用いて、面状ヒータ83の裏面の温度及び定着ベルト50の内側温度を取得する。定着温度制御部118は、定着ベルト50が回転しているときには、温度検出部116を介して取得した定着ベルト50の内側温度を元に、温度設定部117で設定された温度のうち、制御目標温度Tgなる目標定着温度に定着ベルト50の内側温度が近づくように、電源部112へヒータ制御信号を出力する。
温度設定部117は、制御目標温度Tg、ウォームアップ終了温度Teを設定する。本実施形態においては、制御目標温度Tgを165℃、ウォームアップ終了温度Teを160℃とする。
温度検出部115は、温度検出素子31の出力から面状ヒータ83の裏面の温度を検出し、定着温度制御部118に温度情報を出力する。温度検出部116は、温度検出素子32の出力から定着ベルト50の内側温度を検出し、定着温度制御部118に温度情報を出力する。
電源部112は、定着温度制御部118からのヒータ制御信号の入力を受け、当該制御信号を元に、商用AC電源200から供給される電流を後述する面状ヒータ83が備える抵抗体830−M又は抵抗体830−Sに対して通電するものである。
回転制御部としての定着部回転制御部113は、回転時間設定部180の制御に基づき、定着部回転機構173の回転を制御する。なお、ここでいう定着部回転機構173とは、図1で示した定着ローラ80、加圧ローラ49、及び定着ローラ80、圧力パット81、及び熱拡散部材82により張架された定着ベルト50といった定着工程において回転駆動する定着部回転機構全般を示すものとする。
回転時間設定部180は制御部106により設定された定着部回転機構173の空回し時間に基づき、定着部回転制御部113を駆動させる。
計時部181は、タイマ108から定着ベルト50のウォームアップ開始から終了までの経過時間を読み出す。
用紙搬送制御部114は制御部106からの用紙搬送信号の入力を受け、モータ駆動制御部119に駆動信号を出力する。用紙搬送機構174は、モータ駆動制御部119から出力される駆動信号によって、用紙2が所定方向に搬送されるように動作する。なお、ここでいう用紙搬送機構174とは、図1で示したピックアップローラ40、レジストローラ41,レジストローラ42、搬送ローラ43,搬送ローラ44、ローラ45,ローラ46、搬送ローラ51,搬送ローラ52、排出ローラ53,排出ローラ54といった用紙2の搬送に係る搬送機構全般を示すものとする。
転写ベルト駆動制御部300は制御部106からのベルト駆動信号の入力を受け、転写ベルト駆動機構301を駆動させる。なお、ここでいう転写ベルト回転機構301とは、図1で示したローラ27、ローラ28、及び二次転写ローラ48といった中間転写ベルト21を張架するとともに、当該中間転写ベルト21の駆動に係る駆動機構全般を示すものとする。
転写制御部302は、制御部106からの転写制御信号の入力を受け、高圧電源部303に制御信号を出力する。制御信号が入力された高圧電源部303は、当該制御信号を元に、一次転写ローラ22,一次転写ローラ23,一次転写ローラ24,一次転写ローラ25,一次転写ローラ26、又は二次転写ローラ47,二次転写ローラ48に転写電圧を印加する。本実施形態においては、例えば、転写電圧は1kV〜3kV程度であるものとする。
画像形成制御部400も転写制御部302と同様に、制御部106からの画像形成制御信号の入力を受け、高圧電源部303に制御信号を出力する。制御信号が入力された高圧電源部303は、当該制御信号を元に、電子写真プロセスユニット10のプロセスユニット11,プロセスユニット12,プロセスユニット13,プロセスユニット14,プロセスユニット15が備える各ローラに電圧を印加し、トナー画像を形成させる。ここで、図4を用いて各プロセスユニットにおける電子写真方式による画像形成プロセスについて説明する。
図4は、プロセスユニットの構成例を説明する図である。本実施形態に係るプロセスユニット11,プロセスユニット12,プロセスユニット13,プロセスユニット14,プロセスユニット15は収納するトナーのみが異なり、その他は全て同一構成とすることができる。したがって、ここでの説明は、プロセスユニット11とプロセスユニット11が備える感光ドラムに圧接して配設された一次転写ローラ22について説明する。
プロセスユニット11は、ドラム状に形成された有機感光体を用いた静電潜像担持体たる感光ドラム900の周囲に、感光ドラム900の回転方向(図2中矢印方向)上流側から下流側にかけて帯電ローラ901、現像ローラ902、クリーニングブレード903が配設されている。そして、感光ドラム900の直上には、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子等の発光素子とレンズアレイとを有するLEDヘッドからなる露光部904が配設されている。露光部904は、印刷データに基づきLED素子から出力される照射光が感光ドラム900表面に結像する位置となるように配設されている。
感光ドラム900は、導電性支持体と光導電層によって構成され、例えば、導電性支持体としてのアルミニウム等の金属シャフトに光導電層としての電荷発生層及び電荷輸送層が順次積層されて構成された有機感光体である。
帯電ローラ901は、例えば、金属シャフトと半導電性エピクロロヒドリンゴムとによって構成されたローラ部材である。帯電ローラ901は、感光ドラム900に対して接触又は所定の圧力をもって当接しており、高圧電源部303からの印加電圧に基づき、感光ドラム900の表面を一様均一に帯電させる。例えば、帯電ローラ901に−1050Vを印加すると、近接放電により感光ドラム900表面を−500V程度に帯電させる。そして、露光部904によって露光された箇所は、例えば、−50V程度となる。
現像ローラ902は、例えば、ステンレス等の金属シャフトの外周にカーボンブラックを分散させたウレタンゴムを配設し、その表面はイソシアネート処理が施されている。現像ローラ902は、感光ドラム900表面に圧接するように配設され、露光部904により照射された照射光に基づき形成された静電潜像に現像電圧や摩擦帯電によって帯電したトナー123を供給し、トナー画像を現像する。現像ローラ902に印加される現像電圧は、例えば、−200V程度であり、トナー123の電位と感光ドラム900表面の露光部904により露光された箇所の電位との大小関係により、トナー123が感光ドラム900表面に付着する。
クリーニングブレード903は、例えば、ウレタンゴム等のゴムを保持するブラケットにホットメルト等の接着方法で強力に接着したものである。クリーニングブレード903は、感光ドラム900の表面に残留しているトナー123を掻きとって処理するために、感光ドラム900の表面に接触して設けられている。
前述したように、一次転写ローラ22には、転写制御部302による制御に基づき、高圧電源部303から所定の転写電圧が印加されており、各感光ドラム表面上に形成されたトナー画像は当該転写電圧によって中間転写ベルト21に転写される。
このようにして、プロセスユニット11からプロセスユニット15にかけて電子写真方式による画像形成プロセスを順次行うことにより、カラーのトナー画像を中間転写ベルト21上に形成することができる。
再び、図3に戻り、パネル制御部160は、ユーザによりパネル部161を介して入力された操作情報を制御部106に出力し、さらに、表示部162に対してユーザにより入力された情報を元に、表示情報を出力する。表示部162は、その情報を元に、ユーザが操作するための文字又は絵等の情報を表示する。なお、表示部162は、例えば、液晶やLED等に代表される表示デバイスであればよい。
図5は、パネル部161と表示部162とを備えた表示パネルの構成例の一例である。本実施形態においては、表示部162は液晶で構成され、パネル部161には各種ボタンが配置された構成となっている。パネル部161の「↑」、「←」、「→」は、各々入力キーとして割り当てられており、表示部162の図示せぬカーソル等の操作に対応している。さらに、パネル部161の「OK」、「ONLINE」、「CANCEL」も各々入力キーとして割り当てられており、「決定」や「取り消し」等の操作に用いられる。
次に、図3に示す媒体情報管理部163は、ユーザが操作するパネル部161の操作情報のうち、用紙2に関する情報、例えば、媒体サイズ、媒体厚さ、媒体種類、媒体重さ(坪量)等の媒体情報を管理する。なお、制御部106は媒体情報管理部163が管理している媒体情報を読み出すことができる。
インタフェース部150は、ホストコンピュータ151からの印刷データを受信し、制御部106に出力することができる。一方では、インタフェース部150は制御部106の情報をホストコンピュータ151に送信することができるインタフェースである。インタフェース部150としては、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、USB(Universal Serial Bus)、セントロニクスI/F等のハードウェア資源を用いることができる。
記憶部107は制御部106が媒体情報管理部163から読み出した媒体情報を格納するEEPROM92、RAM93等の記憶装置である。
タイマ108は所定時間を計時するためのタイマである。
書き込みセンサ62は、二次転写される直前の用紙2の位置を制御部106が認識するためのメカセンサである。又、排出センサ63は、定着ユニット30を通過した用紙2の位置を制御部106が認識するためのメカセンサである。
環境値検出部500は、温度センサ501又は湿度検出手段としての湿度センサ502から得られる信号を元に、装置周辺の温度又は湿度である雰囲気温度又は雰囲気湿度を検出するユニットである。なお、制御部106は必要に応じて、環境検出部500が検出した環境データ(雰囲気温度、雰囲気湿度)を読み出すことができる。
次に、本実施形態に係る定着ユニット30の構成について説明する。図6は、定着ユニット30の要部構成を説明するための側面断面図であり、トナー123が付着した用紙2が図6中矢印方向に搬送され、定着部材としての定着ベルト50と加圧部材としての加圧ローラ49とで形成されるニップ部を通過する様子を示す図である。
定着ユニット30は、定着ベルト50と加圧ローラ49とが圧接して配設されている。定着ベルト50内部には定着ローラ80と、圧力パット81と、面状ヒータ83を格納した熱拡散部材82と、面状ヒータ83の裏面の温度を検出する温度検出素子31と、定着ベルト50の内側温度を検出する温度検出素子32とを備える。
定着ベルト50は、定着ローラ80、圧力パット81、及び熱拡散部材82により張架される無端のベルト部材であり、定着ローラ80の回転に従動して図6中矢印x方向に駆動可能となるように構成されている。定着ベルト50は、当接する熱拡散部材82を介して面状ヒータ83により加熱されながら駆動する。このような定着ベルト50は、例えば、ポリイミドの基材に対して、その外周をシリコーンゴムで被覆し、さらにその外周をPFA(テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブで被覆することによって形成することができる。
加圧ローラ49は、芯金部49aと弾性層49bとを有する。本実施形態に係る加圧ローラ49としては、弾性層49bをシリコーンスポンジ等の断熱性スポンジ素材で構成し、その外周をPFAチューブで被覆したローラ形状として構成することができる。なお、加圧ローラ49の芯金部49a内部にはヒータは内蔵されず、空洞若しくは、当該芯金部49aの両端部が塞がれた中空タイプとして構成することも可能である。加圧ローラ49は定着ベルト50と圧接しており、その潰れ変形領域がニップ部として形成される。加圧ローラ49は定着ベルト50の駆動に従動し、ニップ部を形成した状態で図6中矢印y方向に回転することができる。
定着ローラ80は、芯金部80aと弾性層80bとを有する。本実施形態に係る定着ローラ80としては、弾性層80bをシリコーンスポンジで構成したローラ形状として構成することができる。芯金部80aの端部には図示せぬ定着ギアが設けられており、図3で示した定着部回転制御部113の制御に基づき、伝達された駆動力により図6中z方向に回転することで定着ベルト50を図6中x方向に駆動させることができる。
圧力パット81は定着ベルト50の張架及びガイド目的とし、定着ベルト50の短手方向長さを長手方向長さとする棒状部材であり、その両端は定着ユニット30の図示せぬサイドフレームに支持されている。
熱拡散部材82は面状ヒータ81から発せられた熱の伝達、定着ベルト50の張架及びガイドを兼ねた金属部材である。
面状ヒータ83は、略平面状に形成された板状の基材の上に抵抗体が設けられた構成を有しており、当該抵抗体に電流が流れることで発熱する加熱体である。本実施形態に係る面状ヒータ83は、図7に示すように、ステンレスやアルミニウム等に代表される基材としての金属の板831に、電気的絶縁を確保するためのガラス層832が載置され、さらにその上に抵抗体830−Mと抵抗体830−Sとが塗布されて形成されている。抵抗体830−Mと抵抗体830−Sとには違いがあり、通電したときの出力において「830−Mの出力」≧「830−Sの出力」の関係を有する。抵抗体830−M及び抵抗体830−Sに通電するための銀や金等からなる電極830−L1、電極830−L2、及び電極830−Cを塗布することで抵抗体との導電性を確保し、さらに、これらの電極をガラス833等で覆うことで、本実施形態に係る面状ヒータ83は構成されている。
温度検出素子31及び温度検出素子32は、図8に示すように、定着ベルト50の内側、長手方向の略中央部に配設されている。前述したように、温度検出素子31及び温度検出素子32は、例えば、サーミスタ等で構成することができ、当該温度検出素子31及び温度検出素子32の出力は温度検出部115及び温度検出部116において、各々面状ヒータ83の裏面の温度及び定着ベルト50の内側温度として検出され、定着温度制御部118に温度情報として出力される。なお、図8においては、各々の温度検出素子が定着ベルト50内部に配設されていることが把握できるよう、配設位置を破線で囲んで示した。
次に、本実施形態に係るプリンタ1の動作について図9(a),図9(b)、図10、図11、図12、及び図13等を用いて説明する。図9(a),図9(b)は、電子写真プロセスユニット10が画像形成を終えるまでの動作を説明するフローチャートである。図10は、画像形成制御、転写制御、並びに書込みセンサ62及び排出センサ63の信号出力タイミングと、定着ベルト50の温度制御とを説明するタイミングチャートである。図11は、定着ベルト及び加圧ローラとを用いた場合の一般的な定着良好限界範囲の傾向を説明する模式図である。図12は、ウォームアップ時間から空回し時間を算出する計算概要を説明する図である。図13は電子写真プロセスユニット10による画像形成が終了した後の動作を説明するフローチャートである。
まず、図9(a)のステップS101において、印刷データの受信を待機する制御部106は、インタフェース部150を介してホストコンピュータ151から印刷データを受信すると(ステップS102)、媒体情報管理部163が管理する媒体サイズ、媒体厚さ、媒体種、媒体重さ(坪量)類等の媒体情報を読み出し、記憶部107に格納させる(ステップS103)。ここでの説明においては、印刷に供する記録媒体の媒体サイズは「A4」で「横送り」、媒体重さ設定は「普通紙(坪量80g/m2)とする。
次に、制御部106は、環境値検出部500により検出された環境データの内、雰囲気温度を読み出し、当該雰囲気温度が所定温度よりも低いか否かを判断する。ここでの説明においては、所定温度を16℃とし、所謂、低温環境の例について説明する。
雰囲気温度が所定温度よりも低い場合(ステップS104 Yes)、制御部106はその旨を定着温度制御部118の温度設定部117に通知する。通知を受けた温度設定部117は、制御部106が記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、制御目標温度Tg、ウォームアップ終了温度Teを設定する(ステップS105)。ここでの説明においては、温度設定部117は制御目標温度Tgを165℃、ウォームアップ終了温度Teを160℃と設定する。
ステップS106において、制御部106は記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、中間転写ベルト21と定着ユニット30の駆動を開始させる。
次に、定着温度制御部118は、電源部112に対して面状ヒータ83に通電するように制御し、ウォームアップを開始させる(ステップS107)。
ステップS108において、計時部181は、タイマ108を用いウォームアップ開始をトリガに時間計時を開始する。図10における、タイマ108による時間計時の開始タイミングは図中"m"のタイミングである。
そして、定着温度制御部118は、定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達したか否かを判断する(ステップS109)。図10における、定着温度制御部118による判断タイミングは図中"n"のタイミングである。このとき、温度検出部を実装していない加圧ローラ49の表面温度をイメージすると、図10中の破線で示したラインとなり、実験により求めた必要温度である加圧ローラ終了温度Tbuに到達していないことが分かる。したがって、加圧ローラ49の表面温度を加圧ローラ終了温度Tbuに到達させるためには、図10中"n"のタイミングから、定着部回転機構173の空回しをさらに延長する必要がある。
ここで、図11を用いて定着ベルト及び加圧ローラとを用いた場合の一般的な定着良好限界範囲の傾向について説明する。低温環境に馴染んだ用紙2を定着ベルト50と加圧ローラ49とで形成されるニップ部を通紙させるときのベルト温度ドロップを示すと、図11に示すようになり、定着良好限界範囲(境界)を示す実線との間で交点が生じる。本実施形態においては、この交点における加圧ローラ49の表面温度を加圧ローラ終了温度Tbuとして設定した。この交点は実験により求められ、本実施形態では125℃とする。そして、加圧ローラ49の表面温度が加圧ローラ終了温度Tbuよりも高い領域において、定着を行えば定着性は良好であることを意味する。一方、加圧ローラ49の表面温度が加圧ローラ終了温度Tbuよりも低い領域において、定着を行えば定着性は悪化し、定着不良となることを意味する。なお、上記交点における定着ベルト50の内側温度Td1は140℃とする。
そして、良好な定着性を得るためには、加圧ローラ49の表面温度が加圧ローラ終了温度Tbuに到達する必要がある。本実施形態においては、加圧ローラ49の表面温度を検出する手段を有していないため、定着部回転機構173の空回し時間にて制御を行う必要がある。どれだけの空回し時間が必要かは図12に示したグラフより算出することができる。
図12において、定着ベルト50のベルトウォームアップ時間をt1、計算して求められる図10の"m"から"o"までのトータルウォームアップ時間をtb、計算用ウォームアップ時間をtaとする。ここで、計算用ウォームアップ時間taはta=t1とし、トータルウォームアップ時間tbは、tb=N*taで与えられる。ここで、係数Nは、N=3.75とする。ただし、ウォームアップ時間t1≦5のときは、N=1とする。
そして、本実施形態においては、トータルウォームアップ時間tbが上限値を超えないようにYmaxなる上限値を設定するものとする。このYmaxの値は、加圧ローラ49の表面温度が加圧ローラ終了温度Tbuに到達するために必要な時間を想定した値である。Ymaxの値は、加圧ローラ49の物性や面状ヒータ83の出力、定着ローラ80の回転速度、印刷モードによって変更することができるが、本実施形態においては、Ymaxの値を110秒と設定する。
そして、tb≦Ymaxのとき、tb−taを残りの空回し時間とする。一方、tb>Ymaxのとき、t1を含め図10の"m"から"o"までの区間のトータルウォームアップ時間をYmaxで示される時間となるように残りの空回し時間を設定する。
ここで、係数NのN=3.75なる値は、加圧ローラ49の表面温度が加圧ローラ終了温度Tbuに到達するまでの時間を算出するために、定着ベルト50のベルトウォームアップ時間にどれだけの値を乗じればよいかを実測データから求めた値である。また、t1≦5のときは、定着ベルト50や加圧ローラ49が十分温まっていることが予測できるため、定着部回転機構173の空回しは不必要であるという意図で係数Nの値は1と設定されている。
再び、図9(a)に戻り、定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達した場合(ステップS109 Yes)、計時部181は、タイマ108からウォームアップ終了までに経過した時間を読み出す(図9(b)ステップS110)。
そして、制御部106は、計時部181により読み出された時間の値からトータルウォームアップ時間tbを算出する(ステップS111)。
次に、制御部106は算出したトータルウォームアップ時間tbが上限値であるYmaxよりも小さいか否かを判断する。ここで、トータルウォームアップ時間tbがYmaxよりも小さい場合(ステップS112 Yes)、制御部106は、算出したトータルウォームアップ時間tbから定着部回転機構173の残りの空回し時間を設定する(ステップS113)。一方、トータルウォームアップ時間tbがYmax以上である場合(ステップS112 No)、制御部106は、トータルウォームアップ時間がYmaxとなるように定着部回転機構173の残りの空回し時間を設定する(ステップS114)。
ステップS115において、回転時間設定部180は制御部106により設定された空回し時間分だけ、回転を継続するように定着部回転制御部113を駆動させる。
そして、制御部106は定着部回転制御部113が駆動させる定着ローラ80等の定着部回転機構173が求められた空回し時間分回転したか否かを判断する。定着部回転機構173が求められた空回し時間分回転した場合(ステップS116 Yes)、制御部106はその旨を画像形成制御部400に通知し、通知を受けた画像形成制御部400は電子写真プロセスユニット10を制御し画像形成を行わせる(ステップS120)。一方、定着部回転機構173が求められた空回し時間分回転していない場合(ステップS116 No)、定着部回転制御部113は定着部回転機構173の回転を継続させる。
ところで、ステップS104において、雰囲気温度が所定温度以上である場合(ステップS104 No)、制御部106はその旨を定着温度制御部118の温度設定部117に通知する。通知を受けた温度設定部117は、制御部106が記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、制御目標温度Tg、ウォームアップ終了温度Teを設定する(ステップS117)。
次に、制御部106は記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、中間転写ベルト21と定着ユニット30の駆動を開始させる(ステップS118)。
そして、定着温度制御部118は、定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達したか否かを判断する。定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達した場合(ステップS119 Yes)、制御部106はその旨を画像形成制御部400に通知し、通知を受けた画像形成制御部400は電子写真プロセスユニット10を制御し画像形成を行わせる(ステップS120)。図10における、電子写真プロセスユニット10による画像形成開始タイミングは図中"o"のタイミングである。
次に、図13を用いて電子写真プロセスユニット10による画像形成が終了した後の動作について説明する。
まず、制御部106は電子写真プロセスユニット10により画像形成がなされたか否かを判断する。電子写真プロセスユニット10により画像形成がなされたと判断した場合(ステップS150 Yes)、制御部106はその旨を転写制御部302に通知する。通知を受けた転写制御部302は、高圧電源部303を制御し、一次転写ローラ22,一次転写ローラ23,一次転写ローラ24,一次転写ローラ25,一次転写ローラ26に転写電圧を印加させ、中間転写ベルト21に電子写真プロセスユニット10により形成されたトナー画像を一次転写させる(ステップS151)。本実施形態においては、例えば、一次転写ローラ22,一次転写ローラ23,一次転写ローラ24,一次転写ローラ25,一次転写ローラ26に印加される転写電圧は3kV程度であるものとする。一方、電子写真プロセスユニット10により画像形成がなされていないと判断した場合(ステップS150 No)、制御部106は画像形成が終了するまで待機する。
次に、ステップS152において、用紙搬送制御部114は制御部106からの用紙搬送信号の入力を受け、モータ駆動制御部119に駆動信号を出力する。用紙搬送機構174は、モータ駆動制御部119から出力される駆動信号によって、用紙2の搬送を開始する。
用紙2の先端が書込みセンサ62の位置に到達すると、書込みセンサ62がONとなる(ステップS153)。書込みセンサ62がONとなり、用紙2の位置を制御部106が認識すると、制御部106はその旨を転写制御部302に通知する。通知を受けた転写制御部302は、高圧電源部303を制御し、二次転写ローラ47,二次転写ローラ48に転写電圧を印加させ、搬送されてきた用紙2に中間転写ベルト21上のトナー画像を転写させる(ステップS154)。本実施形態においては、例えば、二次転写ローラ47,二次転写ローラ48に印加される転写電圧は1kV程度であるものとする。
そして、トナー画像が転写された用紙2は定着ユニット30に搬送され、当該定着ユニット30において熱及び圧力が付与され、用紙2上のトナー像は定着される(ステップS155)。
次に、ステップS156において、制御部106は定着された用紙2を排出するように定着部回転制御部113を制御し、当該定着回転制御部113は定着部回転機構173を駆動させることにより、用紙2を排出する。このとき、用紙2は排出センサ63を通過するため、制御部106は用紙2が排出されたことを認識することができる。
以降、連続して用紙2が定着ユニット30に搬送されてくる。このときの用紙搬送速度は例えば、235mm/s、用紙2の後端と次の用紙2の先端との間隔(所謂、紙間)は70mmとすることができる。なお、このときの定着ベルト50の内側温度は、制御目標温度Tgに近づくように面状ヒータ83の制御が行われる。
以上のように、第1の実施形態によれば、検出した雰囲気温度と、定着ベルトのウォームアップ時間の情報とから定着ユニットの空回し時間を算出することにより、加圧ローラの表面温度の検出結果を省略しても、印刷初期の定着不良の発生を抑制することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るプリンタの構成は第1の実施形態に係るプリンタ1と略同一である。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と同一な部材、動作については同一の符号を付してその説明は省略する。
図14は本実施形態に係るプリンタの機能構成を説明するブロック図である。図14に示すように、本実施形態においては、第1の実施形態に係るプリンタ1の機能構成に加え、制御モード設定部600を備える。
制御モード設定部600は、ユーザがパネル部161を操作し設定して得られた情報や、制御部106が環境値検出部500から読み出した環境データを元に、制御部106が設定した制御モードを格納する。制御部106は制御モード設定部600が格納した制御モードを読み出すことが可能である。
次に、本実施形形態に係るプリンタの動作について図15、図16、図17、図18(a),図18(b)、図19、図20、及び図21等を用いて説明する。図15は制御モードの設定を説明するフローチャートである。図16は制御モードの例を説明するテーブルである。図17は環境パラメータの決定のために用いられる温度湿度テーブルである。図18(a),図18(b)は、電子写真プロセスユニット10が画像形成を終えるまでの動作を説明するフローチャートである。図19は、画像形成制御、転写制御、並びに書込みセンサ62及び排出センサ63の信号出力タイミングと、定着ベルト50の温度制御とを説明するタイミングチャートである。図20は、定着ベルト及び加圧ローラとを用いた場合の一般的な用紙変形(カール)の傾向を説明する図である。図21は、ウォームアップ時間から空回し時間を算出する計算概要を説明する図である。
まず、図15のステップS200において、ユーザは所望の制御モードを選択するために、図5で示した表示パネルの表示部162に制御モードの選択肢が表示されるまでパネル部161のキーを操作する。
ステップS201において、制御部106はユーザにより操作されたパネル部161の情報を元に、パネル制御部160を介して表示部162に制御モードの選択肢を表示させる。
そして、ユーザはパネル部161を操作し、図16に示すような幾つかの制御モードから1つの制御モードを選択する。本実施形態においては、ユーザは制御モードとして"Mode1"を選択したものとする。図16のテーブルにおいて、制御モードとは、ユーザが選択するプリンタの制御モードを表し、本実施形態においては、デフォルトの制御モードである"OFF"と、"Mode1"と、"Mode2"との3種類が設けられているものとする。コード番号とは、パネル制御部160と制御部106とが情報をやり取りするために用いる情報である。コード番号は、パネル制御部160と制御部106とが互いに制御モードを認識するために用いられるものであり、独立した値であればよい。本実施形態においては、 "OFF"のコード番号として"0"が、"Mode1"のコード番号として"1"が、 "Mode2"のコード番号として"2"が割り振られている。環境パラメータ条件とは、図17に示す温度湿度テーブルにおいて、雰囲気温度(範囲)、雰囲気湿度(範囲)のそれぞれに対応して設定された環境パラメータである。例えば、制御モードが"Mode1"である場合、環境パラメータ条件の値は"1〜2"として設定されており、当該環境パラメータ条件に対応する雰囲気温度、雰囲気湿度が制御モード"Mode1"の動作条件に必須であることを意味している。また、例えば、制御モードが"Mode2"である場合、環境パラメータ条件の値は"問わず"として設定されており、制御モード"Mode2"の動作条件には雰囲気温度、雰囲気湿度は必須ではないことを意味している。Ymax値は、第1の実施形態で説明したトータルウォームアップ時間の上限値であり、例えば、制御モードが"Mode1"の場合、60秒が設定され、制御モードが"Mode2"の場合、90秒が設定される。なお、"Mode1"及び"Mode2"のそれぞれの制御モードにおいて設定されるYmax値は実験的に求められた値である。そして、制御モードが"OFF"の場合、Ymax値は設定されないものとする。
再び、図15に戻り、ステップS203において、パネル制御部160はパネル部161を介してユーザにより選択された制御モードのコード番号を制御部106に通知する。
そして、制御部106は通知を受けたコード番号から制御モードとして"Mode1"が選択された情報と、環境パラメータ条件と、Ymax値とを制御モード設定部600に格納させる(ステップS204)。
次に、制御部106は、環境値検出部500により検出された環境データ(雰囲気温度と雰囲気湿度)を読み出し(ステップS205)、図17で示した温度湿度テーブルから環境パラメータを参照する(ステップS206)。
次に、制御部106は、ステップS206において参照した結果が、ステップS204で制御モード設定部600に格納させた環境パラメータ条件である、"1"又は"2"であるか否かを判断する。ここで、参照した結果が"1"又は"2"である場合(ステップS207 Yes)、制御部106は、制御モードを"Mode1"と確定して制御モード設定部600に格納させる。一方、参照した結果が"1"又は"2"でない場合(ステップS207 No)、制御部106は、制御モードを"通常モード"と確定して制御モード設定部600に格納させる。なお、環境パラメータ"1"又は"2"は、高湿の条件であるため、制御モード"Mode1"は、高湿モードとも言い換えることができる。
次に、本実施形態に係る電子写真プロセスユニット10が画像形成を終えるまでの動作について説明する。なお、第1の実施形態の図9で説明した動作と同一な箇所については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
まず、図18(a)のステップS101において、印刷データの受信を待機する制御部106は、インタフェース部150を介してホストコンピュータ151から印刷データを受信すると(ステップS102)、媒体情報管理部163が管理する媒体サイズ、媒体厚さ、媒体種、媒体重さ(坪量)類等の媒体情報を読み出し、記憶部107に格納させる(ステップS103)。ここでの説明においては、印刷に供する記録媒体の媒体サイズは「A4」で「横送り」、媒体重さ設定は「普通紙(坪量80g/m2)とする。
次に、制御部106は、制御モードの判断と、媒体重さ設定の判断を行う。まず、制御部106は、図15で説明した制御モードを制御モード設定部600から読み出し、当該制御モードが高湿モードであるか否か判断する。なお、ここでの説明においては、高湿モードとは、制御モードが"Mode1"又は"Mode2"の何れかであるかを示す。 "Mode1"は高湿条件(環境パラメータ"1"又は"2")にマッチする条件であるため、高湿モードであるとし、"Mode2"は制御上、制御モード"Mode1"の延長線上にある制御であるため、高湿モードであるものとみなす。また、"通常モード"とは制御モードが"OFF"である場合を示す。さらに、制御部106は、媒体重さ設定(坪量)が所定量以下であるか否かを判断する。
制御モードが高湿モードで、かつ、媒体重さ設定(坪量)が所定量以下である場合(ステップS224 Yes)、制御部106はその旨を定着温度制御部118の温度設定部117に通知する。通知を受けた温度設定部117は、制御部106が記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、制御目標温度Tg、ウォームアップ終了温度Teを設定する(ステップS105)。ここでの説明においては、温度設定部117は制御目標温度Tgを165℃、ウォームアップ終了温度Teを160℃と設定した。
ステップS106において、制御部106は記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、中間転写ベルト21と定着ユニット30の駆動を開始させる。
次に、定着温度制御部118は、電源部112に対して面状ヒータ83に通電するように制御し、ウォームアップを開始させる(ステップS107)。
ステップS108において、計時部181は、タイマ108を用いウォームアップ開始をトリガに時間計時を開始する。図19における、タイマ108による時間計時の開始タイミングは図中"m'"のタイミングである。
そして、定着温度制御部118は、定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達したか否かを判断する(ステップS109)。図19における、定着温度制御部118による判断タイミングは図中"n'"のタイミングである。このとき、温度検出部を実装していない加圧ローラ49の表面温度をイメージすると、図19中の破線で示したラインとなり、実験により求めた必要温度である加圧ローラ終了温度Tbu2に到達していないことが分かる。したがって、加圧ローラ49の表面温度を加圧ローラ終了温度Tbu2に到達させるためには、図19中"n'"のタイミングから、定着部回転機構173の空回しをさらに延長する必要がある。
ここで、図20を用いて定着ベルト及び加圧ローラとを用いた場合の一般的な用紙変形(カール)の傾向について説明する。用紙変形(カール)は、用紙に含まれる水分量の変化(放湿)によって用紙が伸縮し、紙端部が中央部に引っ張られて反り返る現象である。用紙変形は、用紙が置かれる周囲の温度や湿度によって表される環境変化に影響され、特に、薄手の用紙、かつ、湿度変化に大きく影響される。
吸湿された水分が用紙の表裏で均等に放湿されれば、用紙変形はできるだけ抑えられることができると考えられることから、可能な限り定着ベルト50と加圧ローラ49との温度差を縮めることが有効であると考えられている。このような考え方から、横軸に定着ベルト温度と加圧ローラとの温度差、縦軸に用紙変形量をとり、グラフ化したものが図20である。仕様として許容できる変形量をC1とすると、用紙変形の閾値となる定着ベルト50と加圧ローラ49との温度差は、図19に示すTup−buとなる。このとき、変化量とは、平面に用紙を置き、用紙端部と平面との距離のことを指すものとする。
ところで、定着ベルト50と加圧ローラ49との温度差Tup−buという値は変動する値であり、制御上、扱い難いものである。そこで、制御目標温度Tg−加圧ローラ終了温度Tbu2≒定着ベルトと加圧ローラとの温度差Tup−buの傾向があることから、加圧ローラ表面温度がTbu2に到達すると、定着ベルト50と加圧ローラ49との温度差は、用紙変形の閾値となる定着ベルト50と加圧ローラ49との温度差Tup−buよりも小さくなると見なすものとする。
よって、良好な反用紙変形性を得るためには、加圧ローラ49の表面温度がTbu2に到達する必要があると考えられる。本実施形態においては、加圧ローラ49の表面温度を検出する手段を有していないため、定着部回転機構173の空回し時間にて制御を行う必要がある。どれだけの空回し時間が必要かは図21に示したグラフより算出することができる。
図21において、定着ベルト50のベルトウォームアップ時間をt1、計算して求められる図19の"m'"から"o'"までのトータルウォームアップ時間をtb、計算用ウォームアップ時間をtaとする。ここで、計算用ウォームアップ時間taはta=t1とし、トータルウォームアップ時間tbは、tb=N*taで与えられる。ここで、係数Nは、N=3.75とする。ただし、ウォームアップ時間t1≦5のときは、N=1とする。
そして、本実施形態においては、トータルウォームアップ時間tbが上限値を超えないようにYmaxなる上限値を設定するものとする。このYmaxの値は、加圧ローラ49表面温度が加圧ローラ終了温度Tbu2に到達するために必要な時間を想定した値である。Ymaxの値は、加圧ローラ49の物性や面状ヒータ83の出力、定着ローラ80の回転速度、印刷モードによって変更することができるが、本実施形態においては、制御モードが"Mode1"に設定されているため、Ymaxの値は60となる。
そして、tb≦Ymaxのとき、tb−taを残りの空回し時間とする。一方、tb>Ymaxのとき、t1を含め図19の"m'"から"o'"までの区間のトータルウォームアップ時間をYmaxで示される時間となるように残りの空回し時間を設定する。
ここで、係数NのN=3.75なる値は、加圧ローラ49の表面温度が加圧ローラ終了温度Tbu2に到達するまでの時間を算出するために、定着ベルト50のベルトウォームアップ時間にどれだけの値を乗じればよいかを実測データから求めた値である。また、t1≦5のときは、定着ベルト50や加圧ローラ49が十分温まっていることが予測できるため、定着部回転機構173の空回しは不必要であるという意図で係数Nの値は1と設定されている。
再び、図18(a)に戻り、定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達した場合(ステップS109 Yes)、計時部181は、タイマ108からウォームアップ終了までに経過した時間を読み出す(図18(b)ステップS110)。
そして、制御部106は、計時部181により読み出された時間の値からトータルウォームアップ時間tbを算出する(ステップS111)。
次に、制御部106は算出したトータルウォームアップ時間tbが上限値であるYmaxよりも小さいか否かを判断する。ここで、トータルウォームアップ時間tbがYmaxよりも小さい場合(ステップS112 Yes)、制御部106は、算出したトータルウォームアップ時間tbから定着部回転機構173の残りの空回し時間を設定する(ステップS113)。一方、トータルウォームアップ時間tbがYmax以上である場合(ステップS112 No)、制御部106は、トータルウォームアップ時間がYmaxとなるように定着部回転機構173の残りの空回し時間を設定する(ステップS114)。
ステップS115において、回転時間設定部180は制御部106により設定された空回し時間分だけ、回転を継続するように定着部回転制御部113を駆動させる。
そして、制御部106は定着部回転制御部113が駆動させる定着ローラ80等の定着部回転機構173が求められた空回し時間分回転したか否かを判断する。定着部回転機構173が求められた空回し時間分回転した場合(ステップS116 Yes)、制御部106はその旨を画像形成制御部400に通知し、通知を受けた画像形成制御部400は電子写真プロセスユニット10を制御し画像形成を行わせる(ステップS120)。一方、定着部回転機構173が求められた空回し時間分回転していない場合(ステップS116 No)、定着部回転制御部113は定着部回転機構173の回転を継続させる。
ところで、ステップS224において、制御モードが高湿モードで、かつ、媒体重さ設定(坪量)が所定量以下でない場合(ステップS224 No)、制御部106はその旨を定着温度制御部118の温度設定部117に通知する。通知を受けた温度設定部117は、制御部106が記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、制御目標温度Tg、ウォームアップ終了温度Teを設定する(ステップS117)。
次に、制御部106は記憶部107に格納させた媒体情報を参照し、中間転写ベルト21と定着ユニット30の駆動を開始させる(ステップS118)。
そして、定着温度制御部118は、定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達したか否かを判断する。定着ベルト50の内側温度がウォームアップ終了温度Teに到達した場合(ステップS119 Yes)、制御部106はその旨を画像形成制御部400に通知し、通知を受けた画像形成制御部400は電子写真プロセスユニット10を制御し画像形成を行わせる(ステップS120)。図19における、電子写真プロセスユニット10による画像形成開始タイミングは図中"o'"のタイミングである。
電子写真プロセスユニット10による画像形成が終了した後の動作については、第1の実施形態の図13を用いて説明した動作と同様に行うことができるため、ここでの説明は省略する。
以上のように、第2の実施形態によれば、検出した雰囲気温度と雰囲気湿度、媒体情報を条件として、定着ベルトのウォームアップ時間の情報から定着ユニットの空回し時間を算出することにより、加圧ローラの表面温度の検出結果を省略しても、用紙変形の発生を抑制することができる。
本実施形態の説明においては、好適な画像形成装置の一例としてプリンタについて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、MFP装置、ファクシミリ装置、あるいは複写機といった熱定着を実施している装置にも適用可能である。