JP5911060B2 - 放射性セシウムまたは放射性ストロンチウム除去材料及び放射性セシウムまたは放射性ストロンチウム除去方法 - Google Patents
放射性セシウムまたは放射性ストロンチウム除去材料及び放射性セシウムまたは放射性ストロンチウム除去方法 Download PDFInfo
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Description
1.シクロデキストリン類と、有機二塩基酸または有機二塩基酸ハロゲン化物とを反応させて得たシクロデキストリン縮合ポリマーに、水、多価アルコール類、多価アリールアルコール類、または多価カルボン酸類を反応させて得たポリマーを含む、放射性物質除去材料。
2.有機二塩基酸または有機二塩基酸ハロゲン化物が、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、ジグリコール酸またはこれらのハロゲン化物から選択される、上記1に記載の材料。
3.多価アルコール類が、炭素数1〜10を有する二価アルコール類、三価アルコール類、または四価アルコール類から選択され、多価アリールアルコール類がヒドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ビスフェノール類または置換ビスフェノール類から選択され、多価カルボン酸類が、ジカルボン酸類、トリカルボン酸類、またはテトラカルボン酸類から選択される、上記1または2に記載の材料。
4.放射性物質が、放射性セシウム及び/又はストロンチウムである、上記1〜3のいずれか1つに記載の材料。
5.シクロデキストリンと有機二塩基酸または有機二塩基酸ハロゲン化物とを反応させて得たシクロデキストリン縮合ポリマーの末端に、水、多価アルコール類、多価アリールアルコール類または多価カルボン酸類を反応させて得たポリマーを含有する、放射性物質除去材料と、放射性物質を含有する水とを接触させ、該水に含有された放射性物質を該放射性物質除去材料に固着させて、放射性物質を含有しない水を得ることを特徴とする、方法。
6.有機二塩基酸または有機二塩基酸ハロゲン化物が、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、ジグリコール酸またはこれらのハロゲン化物から選択される、上記5に記載の方法。
7.多価アルコール類が、炭素数1〜10を有する二価アルコール類、三価アルコール類、または四価アルコール類から選択され、多価アリールアルコール類がヒドロキノン類、カテコール類、レゾルシノール類、ビスフェノール類または置換ビスフェノール類から選択され、多価カルボン酸類が、ジカルボン酸類、トリカルボン酸類、またはテトラカルボン酸類から選択される、上記5または6に記載の方法。
8.放射性物質が、放射性セシウム及び/又はストロンチウムである、上記5〜7のいずれか1つに記載の方法。
α−シクロデキストリン(以下、「α−CD」と称する。)を有機溶媒(例えばピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等。好ましくは乾燥ピリジン)に分散させる。一方、二塩化テレフタロイルを有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,4−ジオキサン等。好ましくは乾燥テトラヒドロフラン)に溶解させ、これを先に用意したα−CD分散液に滴下する。この際、縮合反応による熱が発生するので、α−CD分散液を氷浴などで冷却しながら滴下することが望ましい。その後50〜100℃の湯浴に反応器をつけて、反応液を激しく撹拌する。反応終了後、湯浴をはずし、さらに必要に応じて冷却して反応容器内温を0〜10℃に下げ、水、多価アルコール類(トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、グルコース等)、多価アリールアルコール類(ヒドロキノン、フロログルシノール、ベンゼンジメタノール等)、または多価カルボン酸類(イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グルタミン酸等)を加え、さらに撹拌を続ける。得られた固体をアルコール類、水、アセトンなどの洗浄液体で洗浄し、乾燥すると、本発明で使用するポリマーを得ることができる。この際、溶媒として用いたピリジン等や、原料である二塩化フタロイルがメチル化したフタル酸ジメチル等の副生物がポリマー内に残存することを防止する観点から、得られたポリマーを、吸引濾過用漏斗上に溜め、ここにアルコール類/水混合溶媒を添加して吸引し、該漏斗上にアセトンを添加して吸引し、これらの工程を少なくとも2回以上繰り返す洗浄方法を採用することが望ましい。
本明細書では、このように得たポリマーを「TC3−WA−αCD」(α−CDと二塩化フタロイルとを1:3のモル比で反応させて得た縮合ポリマーの末端を水でエンドキャップしたポリマー)、「GC10−WA−βCD」(β−CDとジグリコリルクロリドとを1:10のモル比で反応させて得た縮合ポリマーの末端を水でエンドキャップしたポリマー)、「TC10−IA−βCD」(β−CDと二塩化フタロイルとを1:10のモル比で反応させて得た縮合ポリマーの末端をイミノ二酢酸でエンドキャップしたポリマー)、あるいは「TC10−TG−βCD」(β−CDと二塩化フタロイルとを1:10のモル比で反応させて得た縮合ポリマーの末端をトリエチレングリコールでエンドキャップしたポリマー)等と表す。これらはいずれも本発明の放射性物質除去材料の活性成分たるポリマーである。
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥α-シクロデキストリン(以下、「α−CD」と称する。0.97 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)とを入れて、室温で15分間撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(0.61 g、3.0 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.11 g、6.0 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。1.28 gのTC3−WA−αCDが得られた。
IR 3445, 2979, 1716, 1268, 1096, 1044, 1016, 730 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥α−CD(0.97 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(1.02 g、5.0 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.18 g、10 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。1.52 gのTC5−WA−αCDが得られた。
IR 3423, 2971, 1716, 1268, 1098, 1044, 1017, 729 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥α−CD(0.97 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.36 g、20 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。2.14 gのTC10−WA−αCDが得られた。
IR 3480, 2985, 1717, 1268, 1097, 1045, 1017, 729 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−シクロデキストリン(以下、「β−CD」と略す、1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(0.61 g、3.0 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.11 g、6.0 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。1.41 gのTC3−WA−βCDが得られた。
IR 3384, 2923, 1716, 1272, 1127, 1079, 1049, 731 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(1.02 g、5.0 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.18 g、10 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。1.64 gのTC5−WA−βCDが得られた。
IR 3394, 2909, 1717, 1271, 1082, 1043, 1017, 730 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.36 g、20 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。2.25 gのTC10−WA−βCDが得られた。
IR 3279, 2936, 1716, 1271, 1099, 1045, 1017, 729 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、イミノ二酢酸(2.66 g、20 mmol、東京化成工業)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。4.14 gのTC10−IA−βCDが得られた。
IR 3381, 2936, 1716, 1270, 1097, 1044, 1017, 730 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解したイソフタロイルクロライド(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.36 g、20 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。2.51 gのIC10−WA−βCDが得られた。
IR 3381, 2940, 1717, 1270, 1139, 1074, 1044, 728 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解したジグリコリルクロリド(1.71 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.36 g、20 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。2.02 gのGC10−WA−βCDが得られた。
IR 3380, 2946, 1747, 1243, 1136, 1077, 998 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、トリエチレングリコール(1.50 g、10 mmol、ALDRICH)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。3.32 gのTC10−TG−βCDが得られた。
IR 3381, 2928, 1717, 1270, 1096, 1043, 1017, 729 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、ヘキサエチレングリコール(2.82 g、10 mmol、ALDRICH)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。4.26 gのTC10−HG−βCDが得られた。
IR 3610, 2941, 1717, 1270, 1098, 1045, 1017, 730 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、2,2’-ビフェノール(1.86 g、10 mmol、ALDRICH)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。3.57 gのTC10−BP−βCDが得られた。
IR 3610, 2937, 1719, 1271, 1099, 1046, 1017, 729 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥γ−シクロデキストリン(以下、「γ−CD」と称する。1.30 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(0.61 g、3.0 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.11 g、6.0 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。1.55 gのTC3−WA−γCDが得られた。
IR 3385, 2922, 1715, 1271, 1149, 1080, 1018, 731 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥γ−CD(1.30 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(1.02 g、5.0 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.18 g、10 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。1.77 gのTC5−WA−γCDが得られた。
IR 3386, 2923, 1712, 1269, 1149, 1081, 1017, 730 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥γ−CD(1.30 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、蒸留水(0.36 g、20 mmol)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。2.37 gのTC10−WA−γCDが得られた。
IR 3386, 2941, 1716, 1269, 1097, 1043, 1017, 729 cm-1
滴下ロート、風船付き三方コック及びセプタムの付いた200mlの3つ口フラスコに、β-シクロデキストリン(5.0 g、4.4 mmol、和光純薬工業)と乾燥ピリジン(44 mL、和光純薬工業)とを入れた。フラスコを氷浴につけた後、乾燥ピリジン(26 mL)に溶解したtert-ブチルジメチルシリルクロリド(6.03 g、40 mmol、東京化成工業)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、室温で11時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を水(200 mL)に注ぎ、析出してきた白い結晶を濾取した。この白い結晶をジクロロメタンに溶かし、水で洗浄した。ジクロロメタン層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた白い結晶をシリカゲルカラム精製とアセトンによる再結晶によりTBDMS−β−CD(2.3g、収率:27%)を単離した。
β−シクロデキストリンと二塩化テレフタロイルの縮合シクロデキストリンをジエチレングリコールモノメチルエーテルでエンドキャップして得たポリマー(以下、「TC10−MG−βCD」と称する。)の合成
滴下ロート、風船付き三方コック、活栓の付いた200 mLの三つ口フラスコに、乾燥β−CD(1.13 g、1.0 mmol、含水量1%以下、純正化学)と特級ピリジン(50 mL、和光純薬工業)を入れて室温で15分撹拌した。フラスコを氷浴につけた後、特級テトラヒドロフラン(40 mL、和光純薬工業)に溶解した二塩化テレフタロイル(2.03 g、10 mmol、東京化成工業)を30分かけて滴下した。滴下後、氷浴を外し、湯浴(80℃)で3時間撹拌した。反応終了後、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(2.40 g、20 mmol、ALDRICH)を加え、1時間撹拌した。結晶を吸引濾過した後、得られた結晶を蒸留水(50 mL×3)、1級アセトン(50 mL×3、純正化学)の順で洗浄し、得られた固体を70℃で終夜真空乾燥した。4.26 gのTC10−MG−βCDが得られた。
IR 3605, 2933, 1715, 1260, 1105, 1040, 1006, 730 cm-1
本発明の放射性物質除去材料に使用するポリマーが、放射線の照射に耐えうるものであるかを確かめるために、以下の合成例では、本発明に使用するポリマーに放射線を照射した試料を作成することとした。
ねじ口試験管に、合成例1、6、7、9、10及び比較合成例1で得られたポリマー350 mg、(TC3−WA−αCD、TC10−WA−βCD、TC10−IA−βCD、GC10−WA−βCD、TC10−TG−βCD、TBDMS−aCD)を入れた後、5 mLの脱イオン水を入れた。準備した6本のねじ口試験管に0.61 kGyのγ線を照射した。γ線を照射したポリマーを吸引濾過した後、1級アセトン(50 mL、純正化学)で洗浄し、70℃で終夜真空乾燥した。約350 mgのγ線を照射したポリマー(TC3−WA−αCD−SS、TC10−WA−βCD−SS、TC10−IA−βCD−SS、GC10−WA−βCD−SS、TC10−TG−βCD−SS、およびTBDMS−βCD−SS)が得られた。
ねじ口試験管に合成例1、6、7、9、10及び比較合成例1で得られたポリマー350 mg(TC3−WA−αCD、TC10−WA−βCD、TC10−IA−βCD、GC10−WA−βCD、TC10−TG−βCD、TBDMS−βCD)を入れた後、15 mLの脱イオン水を入れた。準備した6本のねじ口試験管に0.61 kGyのγ線を照射した。γ線を照射したポリマーを吸引濾過した後、1級アセトン(50 mL、純正化学)で洗浄し、70℃で終夜真空乾燥した。約350 mgのγ線を照射したポリマー(TC3−WA−αCD−SL、TC10−WA−βCD−SL、TC10−IA−βCD−SL、GC10−WA−βCD−SL、TC10−TG−βCD−SL、およびTMDMS−βCD−SL)が得られた。
ねじ口試験管に合成例1、6、7、9、10及び比較合成例1で得られたポリマー350 mg(TC3−WA−αCD、TC10−WA−βCD、TC10−IA−βCD、GC10−WA−βCD、TC10−TG−βCD、TBDMS−βCD)を入れた後、5 mLの脱イオン水を入れた。準備した6本のねじ口試験管に3.91 kGyのγ線を照射した。γ線を照射したポリマーを吸引濾過した後、1級アセトン(50 mL、純正化学)で洗浄し、70℃で終夜真空乾燥した。約350 mgのγ線を照射したポリマー(TC3−WA−αCD−LS、TC10−WA−βCD−LS、TC10−IA−βCD−LS、GC10−WA−βCD−LS、TC10−TG−βCD−LS、およびTBDMS−βCD−LS)が得られた。
ねじ口試験管に合成例1、6、7、9、10及び比較合成例1で得られたポリマー350mg(TC3−WA−αCD、TC10−WA−βCD、TC10−IA−βCD、GC10−WA−βCD、TC10−TG−βCD、TBDMS−βCD)を入れた後、15 mLの脱イオン水を入れた。準備した6本のねじ口試験管に3.91 kGyのγ線を照射した。γ線を照射したポリマーを吸引濾過した後、1級アセトン(50 mL、純正化学)で洗浄し、70℃で終夜真空乾燥した。約350 mgのγ線を照射したポリマー(TC3−WA−αCD−LL、TC10−WA−βCD−LL、TC10−IA−βCD−LL、GC10−WA−βCD−LL、TC10−TG−βCD−LL、およびTBDMS−βCD−LL)が得られた。
本発明の放射性物質除去材料の放射性物質除去性能を、以下の方法に従い、評価した。
脱イオン水に塩化セシウム(ALDRICH)を溶解し、セシウム水溶液(脱イオン水)を作製した。25 gのセシウム水溶液(脱イオン水)を50 mLのサンプル管に入れた後、5 gのセシウム水溶液(脱イオン水)を採取した。サンプル管に、上記合成例にて作製した各ポリマー(20 mg)を入れ、500 rpmで30分撹拌した。撹拌終了後、ろ過を行い、水溶液を回収した。回収した水溶液中のセシウム濃度をICP発光分析装置で測定し、セシウムの吸着率を算出した。図1には、本評価法を模式的に説明する図を示した。使用したポリマーの種類と、セシウム吸着率の結果を表1に示した。
本発明に使用するポリマーをシリンジに充填し、ここに放射性物質を含有する水を流通させることにより、簡易に放射性物質を除去することができることを確かめるために、実施例5を行った。なお、本実施例は、本発明に使用するポリマーをカラムに充填し、ここに放射性物質を含有する水を流通させる方法による放射性物質除去方法のモデルとなるものである。
脱イオン水に塩化セシウム(ALDROICH)を溶解し、セシウム水溶液(脱イオン水)を作製した。シリンジに、γ線を照射したポリマー(200 mg、合成例16〜19)を充填した後、20 gのセシウム水溶液(脱イオン水)を流した。ポリマーを充填したシリンジを通過した水溶液を回収した後、水溶液中のセシウム濃度をICP発光分析装置で測定し、セシウムの吸着率を算出した。使用したポリマーの種類と、セシウム吸着率の結果を表3〜6にそれぞれ示した。
脱イオン水に塩化ストロンチウム(ALDRICH)を溶解し、ストロンチウム水溶液(脱イオン水)を作製した。25 gのストロンチウム水溶液(脱イオン水)を50 mLのサンプル管に入れた後、5 gのストロンチウム水溶液(脱イオン水)を採取した。サンプル管に、上記合成例にて作製した各ポリマー(20 mg)を入れ、500 rpmで30分撹拌した。撹拌終了後、ろ過を行い、水溶液を回収した。回収した水溶液中のストロンチウム濃度をICP発光分析装置で測定し、ストロンチウムの吸着率を算出した。図3には、本評価法を模式的に説明する図を示した。ポリマーの種類と、ストロンチウム吸着率の結果を表8に示した。
実施例4にて最も良い吸着率を示したポリマー(合成例6)について、吸着時間を延長することにより吸着率を向上させることができるかどうかを測定した。
実施例4にて最も良い吸着率を示したポリマー(合成例6)について、ポリマーの量を増やすことにより吸着率を向上させることができるかどうかを測定した。
実施例4にて最も良い吸着率を示したポリマー(合成例6)について、ポリマーの量を増やし、かつ吸着時間を延長することにより吸着率を向上させることができるかどうかを測定した。
実施例4にて最も良い吸着率を示したポリマー(合成例6)が、地下水中の放射性物質を除去することができるかどうかを確かめるために、実施例8を行った。
実施例8の方法にて、ポリマーの量を500mg(実施例9)、ならびに1g(実施例10)に増やした。ポリマーの種類と、ストロンチウム吸着率の結果を表13(実施例9)ならびに表14(実施例10)に示した。
なお、上記各実施例1〜10における分析方法は、以下の通りである:
合成した各ポリマーの性状は、Spectrum 100 FT-IR Spectrometer (PerkinElmer)で、赤外分光法により測定し、同定した。また、水溶液中のセシウムおよびストロンチウム濃度は、ICPS-7510(SHIMADZU)を使用し、IPC(誘導結合プラズマ)発光分析法により行った。
サンプル管中のセシウム水溶液に本発明のポリマーを直接添加し攪拌する方法(サンプル管法)により、セシウムを吸着することができた。しかしながら、フェロシアン化鉄やA型ゼオライト等、無機物質の吸着率には及ばなかった。これに対し、シリンジに本発明のポリマーを充填し、セシウム水溶液を流す方法(シリンジ法)によると、フェロシアン化鉄やA型ゼオライトに匹敵するレベルのセシウムを吸着することができた。本発明のポリマー末端のカルボキシル基と、水溶液中のセシウムイオンは、吸着と脱着を繰り返していると考えられ、本発明のポリマーに一度吸着されたセシウムイオンがすぐに脱着してしまう可能性がある。本発明のポリマーを使用して、サンプル管法により無機物質と同等レベルにてセシウムイオンを吸着除去することは、困難である可能性があると推察される。
Claims (2)
- シクロデキストリン類に、テトラヒドロフランに溶解した、テレフタル酸、イソフタル酸、ジクリコ−ル酸またはこれらのハロゲン化物から選択される有機二塩基酸または有機二塩基酸ハロゲン化物を滴下することにより反応させて得たシクロデキストリン縮合ポリマーに、水、トリエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールから選択される多価アルコール類、2,2’−ビスフェノールから選択される多価アリールアルコール類またはイミノ二酢酸から選択される多価カルボン酸を反応させて得たポリマーを含む、放射性セシウムまたは放射性ストロンチウム除去材料。
- シクロデキストリンに、テトラヒドロフランに溶解した、テレフタル酸、イソフタル酸、ジクリコ−ル酸またはこれらのハロゲン化物から選択される有機二塩基酸または有機二塩基酸ハロゲン化物を滴下することにより反応させて得たシクロデキストリン縮合ポリマーの末端に、水、トリエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールから選択される多価アルコール類、2,2’−ビスフェノールから選択される多価アリールアルコール類またはイミノ二酢酸から選択される多価カルボン酸を反応させて得たポリマーを含有する、放射性セシウムまたは放射性ストロンチウム除去材料と、放射性セシウムまたは放射性ストロンチウムを含有する水とを接触させ、該水に含有された放射性セシウムまたは放射性ストロンチウムを該放射性セシウムまたは放射性ストロンチウム除去材料に固着させて、放射性セシウムまたは放射性ストロンチウムを含有しない水を得ることを特徴とする、方法。
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