JP5908394B2 - アルツハイマー病の療法としてのヒト臍帯組織細胞 - Google Patents

アルツハイマー病の療法としてのヒト臍帯組織細胞 Download PDF

Info

Publication number
JP5908394B2
JP5908394B2 JP2012502310A JP2012502310A JP5908394B2 JP 5908394 B2 JP5908394 B2 JP 5908394B2 JP 2012502310 A JP2012502310 A JP 2012502310A JP 2012502310 A JP2012502310 A JP 2012502310A JP 5908394 B2 JP5908394 B2 JP 5908394B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
umbilical cord
derived
human umbilical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012502310A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012522014A (ja
Inventor
キーム・アンソニー・ジェイ
ゴシーウスカ・アンナ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DePuy Synthes Products Inc
Original Assignee
DePuy Synthes Products Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DePuy Synthes Products Inc filed Critical DePuy Synthes Products Inc
Publication of JP2012522014A publication Critical patent/JP2012522014A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5908394B2 publication Critical patent/JP5908394B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/48Reproductive organs
    • A61K35/51Umbilical cord; Umbilical cord blood; Umbilical stem cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/48Reproductive organs
    • A61K35/50Placenta; Placental stem cells; Amniotic fluid; Amnion; Amniotic stem cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0603Embryonic cells ; Embryoid bodies
    • C12N5/0605Cells from extra-embryonic tissues, e.g. placenta, amnion, yolk sac, Wharton's jelly
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2509/00Methods for the dissociation of cells, e.g. specific use of enzymes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2510/00Genetically modified cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/10Cells modified by introduction of foreign genetic material

Description

開示の内容
〔関連出願の相互参照〕
本出願は、2009年3月26日出願の米国仮特許出願第61/163619号の利益を主張するものであり、この仮特許出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
〔背景〕
1.発明の分野
本発明は、概して、細胞または細胞誘導体の投与によりアルツハイマー病を処置する組成物、方法、およびキットに関する。特に、本発明は、プラークタンパク質の蓄積を低減し、神経細胞死を低減する支持因子(support factors)を提供するための、患者への細胞または細胞誘導体の投与を提供する。本発明は、アルツハイマー病の症状を処置するための、患者への細胞または細胞誘導体の投与も提供する。
2.関連技術の説明
アルツハイマー病は、北米およびヨーロッパでは、認知症の、最も一般的な原因である。概して、アルツハイマー病は、成人発症型の進行性認知症により特徴付けられる、一般的で複雑な障害である。この疾患は、通常、65歳以降に始まり、アルツハイマー病の危険性は、年齢と共に高まる。実際、70歳を超えた人の約10%に、著しい記憶消失があり、このような個人の半分以上が、アルツハイマー病である。85歳を超えた個人における認知症有病率は、約25〜45%と推定される。さらに、アルツハイマー病は、高齢者の主な死因の第4位であると考えられる。
今後数十年で、高齢者となる人は史上最多になる。有効な予防および治療の方法が医薬産業界により開発されない限り、アルツハイマー病は、次世紀中ごろまでに蔓延するかもしれない。寿命が伸びているため、高齢者におけるアルツハイマー病の発生は、今日ヘルスケア産業が直面している、医学的、経済的、社会的な恐ろしい問題を呈するものである。
アルツハイマー病は、脳の変性疾患であり、そこから回復することはない。この疾患は、脳の皮質の全部、ならびに周囲の構造および組織の一部において、神経細胞を攻撃する。典型的には、アルツハイマー病は、かすかで不十分に認識される記憶力の減退から始まる。アルツハイマー病の初期症状は見過ごされる場合があり、これは、そのような症状が、自然の老化の表れに似ているためである。これらの症状には、物忘れ、集中力の低下、説明のつかない体重減少、および、軽い歩行困難を含む運動障害が含まれる。健康な個人では、疲労、悲嘆もしくは落ち込み(depression)、疾病、視力もしくは聴力低下、特定の薬物と共にアルコールを使用すること、または単に一度に複雑な項目を覚えられないこと、により、同様の症状が生じる場合がある。付随する感覚の問題、例えば聴力低下、および読解力の衰え、ならびに一般的な肉体的衰弱は、寿命が短いことを示す。他の症状には、錯乱、判断力の低下、言語障害、興奮、禁断症状(withdrawal)、および幻覚が含まれる。一部の患者は、発作、パーキンソン病型の特徴、筋緊張の低下、ミオクローヌス、失禁、および無言症を生じる場合がある。患者は、定型業務を遂行できないこと、言語スキルの低下、計画を立てられないこと、および、性格の変化などの症状を呈する場合もある。時間と共に、これらの変化は、非常に重篤、かつ欠陥的(impairing)になっていくので、患者は、中枢神経系(CNS)が完全に崩壊し、規則的な(regulated)循環および呼吸機能が停止するほどに、全ての記憶および精神機能を損失する。
臨床的には、アルツハイマー病は、神経病理学的疾患である。認識される臨床的兆候には、神経画像処理研究により立証され(established)得る進行性認知症および皮質性小脳萎縮症が含まれる。さらに、神経病理学的な所見には、通常、顕微鏡的Aβアミロイド老人斑、ニューロン内神経原線維変化、およびアミロイド血管症が含まれる。いくつかの研究では、アルツハイマー病が、皮質性小脳萎縮症、βアミロイド斑の組織学的所見、および、脳の皮質領域内におけるニューロン内神経原線維変化の所見に関連していることが示されている。
神経原線維変化は、神経細胞(ニューロン)を通して栄養分を流す構造を支持している、脳の皮質領域内の微小管の損傷残骸(damaged remains)であるもつれた線維である。βアミロイドは、不溶性タンパク質であり、これは、より大きなタンパク質(APP)の断片である。APP自体は、神経保護において重要であるようだ。APPをβアミロイドの断片に切断するのに関わる酵素が機能できなくなった場合、APPは、脳内でニューロン機能および信号伝達を低減させる、老人斑と呼ばれる粘着性の斑点を形成することが分かっている。概して、このような老人斑は、死にかけているニューロン(dying neurons)の残骸(debris)に囲まれた神経細胞の外側で見られる。
さらに、高レベルのβアミロイドは、神経伝達物質であるアセチルコリンのレベルの減少に関連している。神経伝達物質は、CNSのさまざまな領域内でさまざまな信号、メッセージ、および神経化学的情報を伝達する、脳内の化学的メッセンジャーである。アセチルコリンは、コリン作動系の一部であり、これは、記憶および学習に必須であり、また、アルツハイマー病を患っている患者では次第に破壊される。よって、老人斑の形態をしたβアミロイドが、神経伝達物質であるアセチルコリンの減少を引き起こし、アルツハイマー病の進行をもたらすことが、理論化されている。
現在、アルツハイマー病の処置は、各個人の疾患進行について、疾患の総合的症状を管理することに基づいている。アルツハイマー病を処置する薬物が存在するが、その疾患の治療法はない。処置には、CNSにおける神経伝達物質有効性を変える薬物が含まれる。例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤など、一部の薬物は、脳内のアセチルコリンを増加させ、ドーパミン受容体拮抗薬および非競合性のNMDA受容体拮抗薬として作用する。他の薬物は、アルツハイマー病患者の攻撃性および精神障害を処置するのに使用される。
現在利用可能な処置には副作用があり、それには、悪心、下痢、肝毒性、腹部疝痛、潰瘍、胃腸出血、起立性低血圧、傾眠、眩暈、性機能障害、および不眠が含まれる。時には、それらの副作用が非常に重篤で、医師が処置をやめてしまう。
アルツハイマー病処置における現在の制限を考慮すれば、対費用効果が高く、副作用の可能性が最小限であり、記憶、認知機能、および日々の生活行動を行う能力を確かに増大させる、個人のアルツハイマー病の症状の軽減に対する必要性がある。
〔発明の概要〕
提示した問題は、本明細書に記載する例示的な実施形態の組成物、方法、およびキットにより解決される。これらの実施形態は、細胞、細胞の集団または細胞誘導体を投与することにより、アルツハイマー病またはアルツハイマー病の症状を処置する方法を提供する。いかなる作用メカニズムにも束縛されることを望まないが、発明者らは、アルツハイマー病患者に投与される細胞または細胞誘導体が、斑の蔓延を減少させ、老人斑の進行を低減するだけでなく、神経保護を増大させると考える。さらに、発明者らは、細胞または細胞誘導体の投与が、食作用メカニズムにより斑の除去を促進すると考える。本発明は、ヒトの胎盤もしくは臍帯組織(「hUTC」)由来の幹細胞および/または分娩後由来細胞を含む細胞を、アルツハイマー病の患者に局所投与または全身投与できるという発見に、少なくとも部分的に基づいている。特に、本発明は、アルツハイマー病の患者へのhUTCまたはhUTC誘導体の投与に関する。
本発明の特定の実施形態は、物忘れ、集中力の低下、説明のつかない体重減少および運動障害、歩行困難、聴力低下、読み取りもしくは言語能力の低下、錯乱、判断力の低下、興奮、禁断症状、幻覚、発作、パーキンソン病型の特徴、筋緊張の減少、ミオクローヌス、失禁、無言症、定型業務を実行できないこと、計画を立てられないこと、および性格の変化を含む、アルツハイマー病の兆候/症状の処置に関する。
一実施形態では、本発明は、アルツハイマー病を処置するため、有効量の細胞集団を投与することにより、アルツハイマー病を有する被験者を処置する方法に関する。別の実施形態では、投与する細胞は、分娩後由来細胞である。いくつかの実施形態では、分娩後由来細胞は、ヒトの胎盤に由来し、他の実施形態では、分娩後由来細胞は、臍帯組織に由来する。別の実施形態では、投与する細胞は、幹細胞である。一実施形態では、細胞はhUTCである。
別の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病の兆候および/または症状を処置するため、有効量の細胞集団を投与することによって、アルツハイマー病の兆候および/または症状を有する被験者を処置する方法に関する。別の実施形態では、投与する細胞は、分娩後由来細胞である。いくつかの実施形態では、分娩後由来細胞は、ヒトの胎盤に由来し、他の実施形態では、分娩後由来細胞は、臍帯組織に由来する。別の実施形態では、投与する細胞は、幹細胞である。一実施形態では、細胞はhUTCである。
いくつかの実施形態では、細胞集団は、1回の注射で投与される。他の実施形態では、細胞集団は、2回以上の注射で投与される。一実施形態では、細胞は、脳脊髄液(CSF)を経由してCNSに投与される。別の実施形態では、細胞は、斑形成エリアでCNSに局所投与される。別の実施形態では、細胞は、扁桃体(amygdale)、線条体、乳頭体、例えば海馬および間脳、側頭皮質、視床、視床下部、末梢皮質、ならびに新皮質を含むがこれらに制限されない、記憶および学習に関わる脳の領域に局所投与される。
投与部位は、医療専門家が最も有効であると判断したいかなるところであってもよく、したがって、斑形成部位であっても、それに対して近位または遠位であってもよい。
細胞投与は、CSF、大脳組織などを含むがこれらに限定されない任意の手段によるものであってよい。送達は、ポンプ装置を備えるかもしくは備えない針および/またはカテーテルを有する注射器によって行われてよい。送達には、生理食塩水、コラーゲン、架橋コラーゲン、ヒアルロン酸、合成ポリマーベースの系、液体、ヒドロゲル、または足場などの、医薬的に許容可能なキャリアの使用を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態は、並行して、連続して注入されるか、または1つまたは複数の医薬的に許容可能なキャリアへと直接調剤される、1つまたは複数の成長因子の使用を含む。
いくつかの実施形態では、細胞集団は、少なくとも1つの他の薬剤と共に投与され、他の薬剤には、選択された細胞外マトリックス成分、マイクロキャリア、抗アポトーシス剤、抗炎症化合物、免疫抑制剤もしくは免疫調節剤、抗酸化剤を含む、微粒子系、ならびに、細胞の生存、増殖および他の細胞機能を促進する他の因子が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、組成物は、神経栄養因子からなる群から選択される薬剤または因子のうち少なくとも1つをさらに含む。
いくつかの実施形態では、細胞は、投与前に電気刺激で事前処理される。
他の実施形態では、細胞は、それら細胞の神経系細胞の生存、分化または食作用活性を高める1つまたは複数の遺伝子を発現するよう修飾される。
全実施形態で、可溶化液または馴化培地などの細胞誘導体は、その細胞集団(instant population of cells)と共に同時投与されるか、またはその代わりに投与されることができる。
本発明の他の実施形態は、少なくとも細胞集団と、医薬的に許容可能なキャリアとを含む、アルツハイマー病の患者を処置する組成物およびキットを特徴とする。他の組成物およびキットの実施形態は、他の薬剤、成長因子、および、抗アポトーシス剤、抗炎症化合物、免疫抑制剤もしくは免疫調節剤、抗酸化剤などの化合物、ならびに細胞の生存、増殖および他の細胞機能を高める他の因子を含み得る。医薬組成物およびキットは、前記または以下に概説する本発明の方法を実施するために設計および/または処方される。
例示的な実施形態の他の目的、特徴、および利点は、図面、および以下の詳細な説明を参照すれば明らかとなるであろう。
〔発明の詳細な説明〕
例示的な実施形態に関する以下の詳細な説明では、その一部を形成する添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実行できるよう、十分詳細に説明されており、他の実施形態を利用できること、および、本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに、論理的、構造的、機械的、電気的、化学的変更を行い得ることが、理解される。本明細書に記載する実施形態を当業者が実行できるように不要な項目を回避するため、説明では、当業者に既知の特定の情報を省略している場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味で理解されるべきではなく、例示的な実施形態の範囲は、請求項によってのみ定められる。
本発明をさらに明確にするため、以下の定義を設ける。
本明細書で使用される用語「斑部位」「老人斑」、「神経傷害」および「神経損傷の部位」は、交換可能であり、概して、アミロイド斑が個人の神経組織で、またはそれに隣接して蓄積している中枢神経系のエリアを指し、結合組織および血管組織を含み得るがこれらに限定されない。これらの用語は、必ずしも傷ついていないかまたは欠陥のない任意の組織のエリアをさらに指す場合があるが、斑の成長の減少が望ましいエリアである。この用語は、明らかな斑形成がない状態で、臨床観察、事前調査または目下の個人患者のもの(current individual patient's)が、記憶、学習、運動機能、視聴覚機能、言語学機能などの変化によって観察される、神経組織機能の異常の存在を示す、神経組織を指すこともできる。
本明細書で使用される用語「個人(individual)」、「患者」または「被験者」は、概して、医薬もしくは治療組成物で、または説明する方法に従って処置される、ヒトおよびサルなどの哺乳動物を含む、任意の形態の動物を指す。本明細書で使用される用語「異種の(xenogeneic)」は、1つの種のドナーから異なる種の被験者への投与または細胞の投与を指す。
本明細書で使用される用語「処置する(treat)」、「処置している(treating)」または「処置(treatment)」は、概して、アルツハイマー病を患う被験者に細胞集団を投与した後しばらくの間にわたる、アルツハイマー病の任意の症状の改善もしくは低減、斑形成の低減、および斑の漸減を指す。改善または低減には、任意の客観的もしくは主観的なパラメータ、例えば、症状の寛解、緩解、漸減、またはアルツハイマー病が患者にとって、より容認できるものになること、変性もしくは減退の速度の低下、変性の最終地点があまり衰弱させるものでなくなる(less debilitating)こと、被験者の肉体的もしくは精神的幸福の改善、または生存長さが長くなること、も含まれる。症状の処置または改善は、身体検査または神経学的検査の結果を含む、客観的または主観的なパラメータに基づいていてよい。
用語「有効期間(effective period)」、「有効時間(effective period of time)」または「有効条件(effective conditions)」は、概して、意図する結果を達成するために、薬剤または医薬組成物に必要であるかまたは好ましい、時間、または他の制御可能な条件(例えば、in vitroでの方法の温度、湿度)を指す。
本明細書で使用される用語「有効量」は、概して、特定の生物学的結果を達成するのに有効な、本明細書に記載する化合物、材料、または組成物の濃度または量を指す。そのような結果は、ある患者のアルツハイマー病の症状の改善および/または低減を含むが、これに限定されない。そのような有効活性は、例えば、本発明の細胞および/または組成物をアルツハイマー病の患者に投与することによって、達成することができる。患者に投与される細胞集団に関して、有効量は、局所投与で300,000〜200万個の細胞/kgの範囲であってよく、全身に送達される場合、16万個の細胞/kg〜1000万個の細胞/kgの範囲であってよい。投与される細胞の数は、処置すべき大きさまたは総容量/表面積、および処置すべき領域の場所に対して投与部位が近接していること、送達方法、すなわち、例えばCSFへの送達 対(versus) 神経内処置、などを含むがこれらに限定されない、処置エリアの特性に応じて変わることが、理解される。
本明細書で使用される用語「幹細胞」は、概して、自己再生前駆体、非再生前駆体、および最終分化細胞を含む子孫細胞を産生するため、単一の細胞が自己再生および分化する能力により定められる未分化細胞を指す。幹細胞はまた、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉および外胚葉)からさまざまな細胞系統の機能細胞へin vitroで分化し、かつ投与後、複数の胚葉の組織を生じさせ、また、胚盤胞への注射後、全部ではなくても大部分の組織に実質的に貢献する、それら幹細胞の能力により特徴付けられる。幹細胞は、胚および胎性の供給源、分娩後組織、例えば臍帯および胎盤、ならびに脂肪細胞を含むがこれらに限定されない、任意の供給源に由来していてよい。幹細胞は、それらの発生能に従って、全能性、多能性、多分化能性、寡能性(oligopotent)、単能性と分類され得る。幹細胞はまた、幹細胞を入手する供給源に基づいて分類されることができ、成体幹細胞、胚幹細胞、胎性幹細胞、分娩後幹細胞を含み得る。
本明細書で使用される用語「胚組織」は、概して、胚から生じる組織を指す(ヒトでは、受精から、発生約6週目までの期間を指す)。さらに、用語「胎性組織」は、胎児から生じる組織を指し、ヒトでは、発生約6週目から出産までの期間を指し、「胚外組織」は、胚または胎児に関連するが、それらからは生じない、組織を指す。胚外組織は、胚外膜(コリオン、羊膜、卵黄嚢および尿膜)、臍帯、ならびに胎盤(これ自体が、コリオンおよび母系性基底脱落膜から形成される)を含む。
本明細書で使用される語句「神経系細胞」は、神経細胞(すなわち、ニューロン、例えば単極、双極、もしくは多極ニューロン)およびそれらの前駆体と、グリア細胞(例えば、マクログリア、例えばオリゴデンドロサイト、Schwann細胞、およびアストロサイト、またはミクログリア)およびそれらの前駆体と、の双方を含む。
本明細書で使用される用語「前駆細胞」は、概して、それ自身よりも分化した子孫を作る能力を有するが、前駆体の集まり(pool)を補充する能力を有する、細胞を指す。その定義により、幹細胞自体は、最終分化細胞に対してより直接的な前駆体であるので、これも前駆細胞である。以下でさらに詳細に説明する、本発明の細胞に言及する際、「前駆細胞」の、この広範な定義を使用してよい。より狭い意味では、前駆細胞は、分化経路における中間体である細胞としばしば定義される。すなわち、前駆細胞は、幹細胞から生じており、成熟細胞型または細胞型のサブセットの産生の中間にある。この型の前駆細胞は、概して、自己再生することができない。したがって、この型の細胞に本明細書中で言及する際、「非自己再生前駆細胞」または「中間前駆体もしくは前駆細胞」と呼ぶ。
本明細書で使用される語句「分化」は、概して、分化していない(unspecialized)(「コミットしていない(uncommitted)」)かまたはあまり分化していない(less specialized)細胞が例えば神経細胞もしくは筋細胞などの、分化した細胞の特徴を取得するプロセスを意味する。分化細胞は、細胞系統内で、より分化した(「コミットした」)位置についたものである。用語「コミットした(committed)」は、分化のプロセスに使用される場合、通常環境下で特定の細胞型または細胞型のサブセットに分化し続け、また、通常環境下で、異なる細胞型に分化したり、あまり分化していない細胞型に戻ったりできない時点まで、分化経路を進んできた細胞を指す。脱分化は、細胞が細胞系統内で、あまり分化していない(またはコミットした)位置に戻るプロセスを指す。本明細書で使用される、細胞の系統は、細胞の遺伝形質、すなわち、どの細胞から生じたか、また、何の細胞を生じさせることができるのかを定める。細胞系統は、発生および分化の遺伝的スキームの中にその細胞を位置付ける。
本発明で使用する細胞は、「分娩後細胞」または「分娩後由来細胞」と呼ばれるものを含み得る。これらの細胞は、臍由来細胞、または胎盤由来細胞であってよい。さらに、これらの細胞は、幹細胞または前駆細胞として記載されてよく、前駆細胞という用語は、広義に使用される。用語「由来(derived)」は、細胞がそれらの生物学的供給源から得られ、in vitroで成長するか、または別様に操作された(例えば、成長培地で培養されて集団を増殖させ、かつ/もしくは細胞株を産生した)ことを示すために使用される。本発明の、臍幹細胞のin vitro操作、および臍由来細胞の独自の特徴を、以下で詳細に説明する。さらに、本明細書で使用される「hUTC」は、概して、ヒト臍帯由来細胞を指し、ヒト臍組織由来細胞と同じである。
「集団」または「細胞集団」は、概して、2つまたは3つ以上の細胞を指す。細胞集団は、同じかまたは異なる供給源、例えば同じドナーまたはいくつかの異なるドナー、から得ることができる。さらに、集団内の細胞は、必ずしも同じ細胞型のものではない。細胞集団は、例えば、臍由来細胞と胎盤由来細胞との混合物を含むことができる。
本明細書で使用される用語「単離する(isolate)」は概して、自然環境から分離されている細胞を指す。この用語は、自然環境からの全体的な物理的分離(gross physical separation)、例えば、ドナー動物からの除去、を含む。好適な実施形態では、単離した細胞は、組織に存在しない、すなわち、その細胞は、通常は接触している隣接細胞から分離または解離される。好ましくは、細胞は、細胞懸濁液として投与される。本明細書で使用される語句「細胞懸濁液」は、培地に接触していて、また、例えば組織片を穏やかな粉砕(gentle trituration)にかけることによって解離された、細胞を含む。
本明細書で使用される用語「成長培地」は、概して、分娩後由来細胞を培養するのに十分な培地を指す。具体的には、本発明の細胞を培養する1つの培地は、ダルベッコ変法基本培地(DMEM)を含む。特に好ましいのは、DMEM−低グルコース(DMEM-LG)(Invitrogen, Carlsbad, CA)である。DMEM-LGは、好ましくは血清、最も好ましくはウシ胎仔血清またはヒト血清を補充される。典型的には、15%(v/v)のウシ胎仔血清(例えば、defined fetal bovine serum, Hyclone, Logan UT)を、抗生物質/抗真菌薬(好ましくは、100ユニット/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシン、0.25μg/mLのアンホテリシンB;Invitrogen, Carlsbad, CA)、ならびに0.001%(v/v)の2−メルカプトエタノール(Sigma, St. Louis MO)と共に加える。場合によっては、異なる成長培地を使用するか、または異なる補充物(supplementations)を提供し、これらは通常、成長培地への補充物として本文中で示される。ある合成培地では、細胞を、血清が全く存在しない状態で成長させることができる。そのような場合、細胞は、ある成長因子を必要としてよく、この成長因子を、培地に加えて、細胞を支持および維持することができる。無血清培地で成長するために加えられるべき、現在好ましい因子は、bFGF、EGF、IGF-I、およびPDGFのうち1つまたは複数を含む。さらに好適な実施形態では、これらの因子のうち2つ、3つ、または4つ全てを無血清培地または合成培地に加える。他の実施形態では、LIFを無血清培地に加えて、細胞の成長を支持または改善する。
「細胞誘導体」は、馴化培地または細胞可溶化液を指す。
「馴化培地」は、特定の細胞または細胞集団が培養され、その後取り除かれる培地である。細胞を培地で培養すると、細胞因子を分泌することができ、これらの細胞因子は、他の細胞に栄養に関する支援を与えることができる。そのような栄養因子には、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)、タンパク質、小胞、抗体、および顆粒が含まれるがこれらに限定されない。細胞因子を含む培地は、馴化培地である。
用語「初代細胞培養」は、生物から直接採取された細胞、組織または臓器を、最初の二次培養前に培養することである。
「細胞株」という用語は、概して、初代細胞培養の1回または複数回の二次培養により形成された細胞集団を指す。二次培養の各ラウンドは、継代と呼ばれる。細胞が二次培養されると、それらは、「継代されて」きたと言われる。特定の細胞集団、または細胞株は、時には、継代されてきた回数で呼ばれるか、またはそれによって特徴付けられる。例えば、10回継代されてきた培養細胞集団は、P10培養物と呼ばれ得る。初代培養物、すなわち、組織から細胞を単離した後の最初の培養物は、P0と呼ばれる。最初の二次培養の後、細胞は、第2培養物(P1または1代継代)と説明される。2度目の二次培養後、細胞は、第3培養物(P2または2代継代)になる、等である。継代期間中に多くの集団倍加があり得、そのため、培養物の集団倍加数は継代数より大きいことが、当業者には理解されるであろう。継代相互間の時間中の細胞増殖(すなわち、集団倍加数)は、播種密度、基質、培地、成長条件、および継代相互間の時間を含むがこれらに限定されない多くの要因に依存している。
本明細書で使用される用語「医薬的に許容可能なキャリア」または「医薬的に許容可能な培地」は、概して、治療的に投与されるべき細胞および他の薬剤と適合性があるだけでなく、妥当なリスク/ベネフィット比に比例した過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の合併症なしで、正しい医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触して使用されるのに適している、試薬、細胞、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
本明細書でさらに詳細に説明するように、本発明で使用するのに適した、医薬的に許容可能なキャリアには、液体、半固体(例えばゲル)、および固体材料(例えば、細胞足場およびマトリックス、チューブ、シート、ならびに、当技術分野で既知であり、本明細書でさらに詳細に説明される、他のそのような材料)が含まれる。これらの半固体および固体材料は、体内での分解に抵抗するよう設計されてよく(非生分解性)、または、体内で分解するように設計されてもよい(生分解性、生体侵食性)。生分解性材料は、さらに、生体再吸収性(bioresorbable)または生体吸収性(bioabsorbable)であってよい。すなわち、生分解性材料は、体液中に溶解および吸収されてよく(水溶性インプラントが1例である)、または他の材料への変換、もしくは天然経路を通じた崩壊および排除によって、分解され、最終的には体から排除されてよい。生分解速度は、いったん体内に植え込まれたら、所望の放出速度によって変わることができる。
本明細書で使用される用語「マトリックス」は、概して、細胞と共に患者に投与される、生分解性および/または生体再吸収性材料の混合物を指す。一実施形態では、マトリックスは、細胞と関連して使用される神経栄養因子または他の薬剤の徐放をもたらし、患者における組織成長を展開する構造体を提供することができる。他の実施形態では、マトリックスは単に、組織を発達させる一時的な足場を提供するだけである。マトリックスは、粒子形態(直径が10μm(10ミクロン)超のマクロ粒子、または直径が10μm(10ミクロン)未満の微小粒子)であってよく、あるいは、構造的に安定した3次元インプラント(例えば足場)の形態であってもよい。マトリックスは、スラリーもしくはヒドロゲルであってよく、あるいは、3次元構造体であってよい。
本明細書で使用される用語「足場」は、概して、細胞成長のテンプレートを提供する3次元の多孔性構造体を指す。足場は、体内で時間と共に分解する生分解性および/または生体再吸収性材料で作られる。足場が分解するのにかかる時間の長さは、材料の分子量に依存していてよい。したがって、より高い分子量の材料は、より長い期間にわたって構造的完全性を維持するポリマー足場を生じることができ、一方、より低い分子量のものは、遅い放出、および短い足場寿命を生じる。足場は、当技術分野で既知の任意の手段により作られてよい。足場を形成するのに使用され得るポリマーの例には、天然および合成ポリマーが含まれる。本発明のいくつかの実施形態では、足場は、細胞集団、成長因子、もしくは他の栄養素を注がれるか、それらでコーティングされるか、またはそれらで構成されて、細胞成長を促進することができる。いくつかの好適な実施形態では、足場は、ニューロトロフィンを含む成長誘発剤を含有する。さらに、成長誘発剤は、合成であるか、または天然に産生されてよく、また、成長誘発剤の断片、誘導体、または類似体であってよい。
「神経栄養因子」または「栄養因子」は、細胞の生存、成長、増殖および/もしくは成熟化を促進するか、または細胞の活性増大を刺激する、物質として定義される。
〔具体的な実施形態〕
本発明の全実施形態について、アルツハイマー病と診断されるか、またはアルツハイマー病の症状を呈する個人が、アルツハイマー病またはその症状を処置するのに有効な量の細胞集団を投与される。本発明の具体的な実施形態は、斑形成の進行を低減し、かつ神経組織の成長および/もしくは治癒を刺激および支持する、食作用メカニズムおよび/または活性な内因性メカニズムによって、斑の除去を促進するための、細胞集団の局所投与に関する。細胞は、幹細胞、分娩後由来細胞、臍由来または胎盤由来細胞を含む、以下に論じるいずれであってもよい。一実施形態では、細胞はhUTCである。好適な細胞についての、さらに詳細な説明は、以下の明細書に記載する。いくつかの実施形態は、個人に投与される組成物に関し、この組成物は、細胞集団、および医薬的に許容可能なキャリアを含む。そのような組成物は、本明細書で説明され例証される方法および医薬組成物を作り、使用し、実行するキットに使用され得る。このキットは、細胞集団の投与の促進を助ける装置、例えば、針、チューブ、マイクロピペットなど、をさらに収容することができる。一実施形態では、キットは、少なくとも1つの細胞集団、構築物、および注入装置を含む。さらに、いくつかの実施形態では、キットは、細胞の正確な配置を示す画像化装置と連結されてもよい。
一実施形態では、細胞集団は、アルツハイマー病と診断された個人に投与され、投与は、CNS内の既知の斑形成エリアに対するものである。アルツハイマー病は、CSF内のアミロイドβおよびタウ(tau)、またはその前駆体、断片、もしくは代謝化合物の測定を含む、当技術分野で既知の任意の手段で、診断され得る。アルツハイマー病は、尿および血液を含む個人の体液中のイソプロスタン(isoprosanes)の測定により診断することもできる。他の診断方法は、脳画像化技術、例えば、脳萎縮を検査する磁気共鳴画像(MRI)、アルツハイマー病の斑および神経原線維変化(tangles)を画像化する陽電子放出トポグラフィー(positron emission topography)(PET)、ならびに海馬または脳内の他の記憶および/もしくは学習エリアにおける血中の酸素濃度を測定する機能的MRI(fMRI)、の使用を含み得る。
投与される細胞集団を作り上げる細胞の厳密な型は、医療専門家の判断次第である。一実施形態では、投与される細胞は、分娩後由来細胞である。いくつかの実施形態では、分娩後由来細胞は、ヒト胎盤組織に由来し、他の実施形態では、分娩後由来細胞は、臍帯組織に由来する。別の実施形態では、投与される細胞は、幹細胞である。好適な一実施形態では、細胞はhUTCである。本発明に適切な細胞型の詳細な説明は、以下に記載する。
細胞集団は、斑が個人の神経組織上もしくはそれに隣接して蓄積している、脳のエリアで、またはその近位、またはその遠位で投与されてよい。このような脳のエリアには、記憶および学習に関わる任意のものが含まれてよく、扁桃体(amygdale)、線条体(straitum)、乳頭体、例えば海馬および間脳、側頭皮質、視床、視床下部、末梢皮質、ならびに新皮質が含まれるが、これらに限定されない。厳密な投与部位は、医療専門家が最も有効であると判断した任意の場所であってよい。別の実施形態では、細胞集団は、CSFに直接投与される。
細胞投与は、医療専門家が最も有効であると判断した任意の手段によって投与されてよく、カテーテル、注射器、シャント、ステント、マイクロカテーテル、ポンプ、装置による植え込み、または足場による植え込みの使用を含むことができる。さらに、細胞投与は、鼻腔内送達、血管内送達、脳内注射、および脳室内注射によるものであってよい。一実施形態では、細胞集団は、1回のみの注射で投与されるだけであってよい。いくつかの実施形態では、細胞集団は、2回以上の注射で投与される。さらに別の実施形態では、ポンプを使用して、細胞集団のゆっくりとした連続的投与を確実にする。
細胞集団を含む医薬組成物は、液体、半固体(例えばゲル)または固体(例えば、マトリックス、足場など)として調剤されてよい。液体組成物は、標的神経組織への細胞集団の送達を達成するため、当技術分野で既知の任意の許容可能なルートによって投与されるよう調剤される。典型的には、これらは、拡散方式の、または老人斑(neuritic plaque)形成部位を標的とした、注入もしくは注射を含む。例えば、一実施形態では、細胞集団は、直接定位注射、例えば針、によって投与される。針は、中空ボアを通る細胞の動きを容易にするよう、任意のサイズであってよい。針は、頭蓋の穴を通して、脳の神経組織を通して、目的の神経部位まで直接挿入され得るか、あるいは、針は、組織部位までの針のガイドを容易にする装置、例えばガイドワイヤなど、と共に使用されてよい。針およびガイダンス装置は、事前に組み立てられるか、または熟練した施術者に送達されてよく、熟練した施術者が、使用直前または使用中にその装置を自分で組み立ててよい。
代替的な実施形態では、細胞集団を送達するのに使用され得る送達カテーテルが、例えば被験者への細胞の注入により導入を促進する送達装置に挿入され得る。このような送達装置には、細胞および流体をレシピエント被験者の体内に注入するための、チューブ、例えばカテーテルが含まれる。一実施形態では、本発明の細胞は、マイクロピペットを使用して所望の場所で被験者に導入され得る。本発明の細胞は、溶液、例えば細胞懸濁液の形態で、そのような送達装置、例えばマイクロピペットまたは注射器に挿入されることができる。さらに、本発明の細胞は、Bunge et al., J Neurology, 1994; 241:536に記載されたもののような、ガイダンスチャネル(例えばポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)ガイダンスチャネル)に投与され得る。
細胞集団、または、細胞を含む組成物および/もしくはマトリックスは、マイクロカテーテル、カテーテル内挿入(intracatheterization)によって、またはミニポンプによって、部位まで送達され得る。ビヒクル賦形剤またはキャリアは、特に細胞分化が誘導されるべき部位で局所的に、患者に投与されるのに医薬的に許容可能であることが知られている、任意のものであってよい。
《馴化培地および細胞可溶化液》
一実施形態では、馴化培地が、細胞に加えて、またはその代わりに、個人に投与される。別の実施形態では、細胞可溶化液が、細胞に加えて、またはその代わりに個人に投与される。さらに別の実施形態では、馴化培地および細胞可溶化液が、細胞に加えて、またはその代わりに個人に投与される。
培養PPDC由来の馴化培地を、in vitro、およびin vivoで使用することができる。PPDCまたは他の馴化培地の使用により、拒絶または他の有害な免疫反応を誘発し得る無傷細胞を導入することなく、PPDCにより分泌された有益な栄養因子を同種的に患者で使用することができる。、培養培地で細胞を培養し、その後その培地から細胞を除去することにより、馴化培地を準備する。
分娩後由来細胞集団から準備された馴化培地は、当技術分野で既知の医薬的に許容可能なキャリアもしくは希釈液と組み合わせて、または生物製剤(biologicals)、例えば医薬的に有用なタンパク質組成物などの他の化合物と組み合わせて、そのまま使用されるか、例えば限外濾過もしくは凍結乾燥により、さらに濃縮されるか、あるいは、乾燥され、部分的に精製されてもよい。馴化培地は、単独で、または例えば自己もしくは同系の生細胞と組み合わせて、in vitroまたはin vivoで使用され得る。馴化培地は、in vivoで導入された場合、処置部位で局所的に導入されるか、または必要な細胞成長因子もしくは栄養因子を患者に提供するため、遠隔的に導入されることができる。
本発明の実施形態によると、安定でスケーラブルなプロセスを提供して、血清減少(reduced serum)hUTC-馴化培地を製造する。簡潔には、この方法は、血清減少条件下でhUTCを培養することを含む。その後、hUTCを洗浄し、無血清基本培地で成長させる。約24時間後、馴化培地を収集し、濾過し、約8.3×10−21g(約5kDa)または同様の分子量カットオフ膜(molecular weight cut-off membrane)を使用して濃縮する。
ヒト臍組織由来細胞(hUTC)は、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0054098号および2005/0058631号に記載される方法に従って、単離され得る。単離した細胞は、次に、馴化培地が準備されるまで、米国特許出願公開第2005/0054098号および2005/0058631号に記載されるような方法に従うことにより、静置培養で成長させられてよい。
馴化培地は、細胞の任意の集団倍加で準備することができる。別の実施形態では、馴化培地は、約20〜約44の集団倍加で準備される。さらに別の実施形態では、馴化培地は、約30の集団倍加で準備される。
馴化培地は、まず、細胞が成長した標準培養培地から細胞を単離することで、準備される。次に、細胞を、任意の播種密度で静置培養に播種する。一実施形態では、細胞を、約1,000細胞/cm〜約10,000細胞/cmの密度で播種する。さらに別の実施形態では、細胞を、約5,000細胞/cmの密度で播種した。
約5,000細胞/cmでの細胞播種後、細胞は、細胞が基本培地でのみ成長するまで徐々に培地のウシ血清含量を減らすことにより、約15%のウシ血清含量を有する標準培養培地から離される(weaned)。ウシ血清を、約5〜約60%の増分で減少させてよい。一実施形態では、ウシ血清を、約50%(すなわち培地中、15%、7.5%、3.25%、および0%のウシ血清)の増分で減少させる。細胞は、約1〜約3継代にわたり各血清減少培地で成長することができる。一実施形態では、細胞は、約2継代にわたり、各血清減少培地で成長する。最終的なウシ血清減少培地を加える前に、細胞を、約10,000細胞/cmで播種する。基本培地(0%ウシ血清)を細胞に加えると、細胞は、24時間以下にわたり、培地に維持される。
次に馴化培地を、細胞から単離し、約0.22μm(約0.22ミクロン)または同様のフィルタを用いて濾過する。フィルタは滅菌されてもされなくてもよい。濾過された馴化培地を、次に、約5Kのカットオフフィルタまたは類似装置を用いて濃縮する。濾液を廃棄し、フィルタ上に保持された、濃縮馴化培地を収集する。
別の実施形態では、単離されたhUTCは、馴化培地が準備される時点まで、参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0166328号に記載のような方法(実施例を参照)に従って、マイクロキャリアビーズ培養で成長する。
馴化培地を、細胞の任意の集団倍加で準備することができる。別の実施形態では、馴化培地は、約20〜約44の集団倍加で準備される。さらに別の実施形態では、馴化培地は、約30の集団倍加で準備される。
マイクロキャリアビーズ培養における約10,000細胞/cmでの細胞播種後、標準培養培地を細胞に加え、約2日間培養する。その後、標準培養培地を除去し、基本培地と取り替える。あるいは、マイクロキャリアビーズ培養は、静置培養と同様に、標準培養培地から離されてよい。基本培地(0%ウシ血清)を細胞に加えると、細胞は培地で24時間以下にわたり保たれる。
次に馴化培地を細胞から単離し、約0.22μm(約0.22ミクロン)または同様のフィルタを用いて濾過する。フィルタは滅菌されてもされなくてもよい。濾過された馴化培地を、次に、約5Kのカットオフフィルタまたは類似装置を用いて濃縮する。濾液を廃棄し、フィルタ上に保持された、濃縮馴化培地を収集する。
従来の馴化培地は、培養された細胞型からのタンパク質に富んでいるが、培地に存在するウシ血清からのタンパク質にも富んでいる。前記の方法により準備された馴化培地は、ヒトタンパク質に凝縮されている。ウシタンパク質は、SDS-PAGEおよびウエスタンブロット分析など、標準的な特徴付け方法の検出を下回る量で、存在する。馴化培地中のウシタンパク質の、検出を下回る量は、その後の、ウシ疾患およびウイルスの感染のリスクの減少、ならびに異物免疫反応(xenoimmune reaction)のリスクの減少のため、有利である。
細胞可溶化液は、開業医に既知の任意の任意の手段により準備され得る。一実施形態では、例えば、細胞分画をその後分離することなく、細胞を分裂させることによって、全細胞可溶化液を準備する。別の実施形態では、細胞膜分画が、当技術分野で既知の日常的方法、例えば遠心分離、濾過、もしくは同様の方法によって、細胞の可溶性分画から分離される。可溶性の細胞分画をin vivoで使用することで、拒絶または有害な反応を誘発せずに、有益な細胞内環境を患者に使用することができる。細胞を溶解する方法は、当技術分野で周知であり、凍結融解分裂、浸透圧分裂、機械的分裂、酵素分裂(例えば、ヒアルロニダーゼ、ディスパーゼ、プロテアーゼ、およびヌクレアーゼ(例えば、デオキシリボヌクレアーゼ、およびリボヌクレアーゼ))、または化学分裂(非イオン系洗剤、例えば、アルキルアリールポリエーテルアルコール(alkylaryl polyether alcohol)(TRITON(登録商標)X-100)、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(octylphenoxy polyethoxy-ethanol)(Rohm and Haas Philadelphia, PA)、BRIJ-35、ポリエトキシエタノールラウリルエーテル(polyethoxyethanol lauryl ether)(Atlas Chemical Co., San Diego, CA)、ポリソルベート20(TWEEN 20(登録商標))、ポリエトキシエタノールソルビタンモノラウレート(polyethoxyethanol sorbitan monolaureate)(Rohm and Haas)、ポリエチレンラウリルエーテル(polyethylene lauryl ether)(Rohm and Haas);およびイオン系洗剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸化高級脂肪族アルコール(sulfated higher aliphatic alcohols)、分岐または非分岐鎖において7〜22個の炭素原子を含有するスルホン化アルカン(alkanes)およびスルホン化アルキレン(alkylarenes)など)、またはそれらの組み合わせの、さまざまな手段を含む。そのような細胞可溶化液は、それらの成長培地において細胞から直接準備されるため、分泌された成長因子などを含有することができるか、あるいは、例えばPBSもしくは他の溶液中で、培地なしで洗浄された細胞から準備されることができる。洗浄された細胞は、好適な場合、元の集団密度より大きい濃度で再懸濁され得る。分娩後由来細胞集団から準備された細胞可溶化液は、当技術分野で既知の医薬的に許容可能なキャリアもしくは希釈液と組み合わせるか、または生物製剤、例えば、医薬的に有用なタンパク質組成物などの他の化合物と組み合わせて、そのまま使用されるか、例えば限外濾過もしくは凍結乾燥によってさらに濃縮されるか、または乾燥され、部分的に精製されてよい。いくつかの実施形態では、細胞膜を、例えば遠心分離によって、可溶化液から除去して、膜分画、および上清分画(supernate fraction)を生じる。膜分画または上清は、本発明の方法に従って使用され得る。いくつかの実施形態では、細胞残骸が、中性洗剤リンス剤、例えばEDTA、CHAPS、もしくは両性イオン洗剤で処理することにより除去される。細胞可溶化液を、単独で、または例えば細胞と共に、in vitroまたはin vivoで使用することができる。細胞可溶化液は、in vivoで導入された場合、処置部位で局所的に導入されるか、または、例えば必要な細胞成長因子を患者に与えるため、遠隔的に導入されることができる。
タンパク質の量および/または比率は、本発明のPPDC産物を、細胞と、あるいは1つまたは複数の他の細胞型のECMもしくは細胞分画と、混合することにより、調節され得る。さらに、生物活性物質、例えばタンパク質、成長因子および/または薬物を、PPDC産物製剤に組み込み得る。例示的な生物活性物質は、治癒および組織修復を促進する抗炎症剤および成長因子を含む。細胞は、本発明のPPDC産物と同時投与されてよい。
前述した、PPDC産物を調製するプロセスは、無菌材料を使用して無菌条件下で行われるのが好ましい。
《投与される薬剤または化合物》
本発明の細胞または細胞誘導体は、いくつかの薬剤または因子と共に投与されるように、調製の任意の段階で、インキュベーションおよび/または処置されてよい。これらの薬剤または因子は、in vitroおよび/またはレシピエント被験者における、細胞の生存、成長、分化、および/または統合の促進を助ける。あるいは、薬剤または因子は、斑形成の減少を助けるか、斑の分解を促進するか、または、アルツハイマー病の症状の処置を助ける。細胞、細胞可溶化液、および馴化培地の投与について、細胞は、切開、限られた消化、解離、プレーティング(plating)、および/または細胞懸濁液の生成中の任意の時点で、追加の薬剤または化合物によりインキュベーション/処置され得る。
追加の薬剤の投与は、細胞または細胞誘導体の投与前に開始してよく、その投与時に開始してよく、あるいは、その投与後に開始してよい。追加の薬剤の投与は、持続時間が限られていてよく(例えば、薬剤の単回投与のみからなってよく)、あるいは持続時間が長期であってもよい(例えば、長い期間にわたり、被験者に繰り返し与えられてよい)。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の化合物または成分が、細胞集団または細胞誘導体と、並行して投与されるか、連続して投与されるか、またはそれらと直接調剤される。投与され得る他の成分の例は、以下を含むが、これらに限定されない:(1)他の神経栄養因子、例えば、脳由来神経栄養因子、繊毛神経栄養因子、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン4/5、神経成長因子、酸性線維芽細胞成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、上皮成長因子、アンフィレギュリン、形質転換成長因子、形質転換成長因子、インスリン様成長因子;(2)選択された細胞外マトリックス成分、例えば、当技術分野で既知のコラーゲン、および/または成長因子、多血小板血漿、および薬剤のうち1つまたは複数の種類(あるいは、分娩後由来細胞は遺伝子操作されて成長因子を発現および産生することができる);(3)抗アポトーシス剤(例えば、エリスロポエチン(EPO)、EPOミメティボディ(mimetibody)、トロンボポエチン、インスリン様成長因子(IGF)-I、IGF-II、肝細胞成長因子、カスパーゼ抑制物質);(4)抗炎症化合物(例えば、p38 MAPキナーゼ抑制物質、TGF-β抑制物質、スタチン、IL-6およびIL-1抑制物質、ペミロラスト、トラニラスト、レミケード(Centocor, Inc., Malvern, PA)、シロリムス、および非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)(例えばTepoxalin、トルメチン、およびSuprafen);(5)免疫抑制もしくは免疫調節剤、例えばカルシニューリン抑制物質、mTOR抑制物質、抗増殖性薬、副腎皮質ステロイドおよびさまざまな抗体;(6)局所麻酔薬;ならびに(7)他の血管新生因子、血管新生薬、または筋再生もしくは筋保護因子もしくは薬剤。
一実施形態では、そのような薬剤または因子は、本発明の細胞または細胞誘導体を投与した後で、投与される。場合によっては、例えば、これらの薬剤は、投与のための細胞を準備するのに使用した手順から生じた、細胞に対する有害な影響を最小限に抑えるか、またはそれに対抗することができる。例えば、細胞は、細胞外傷および/または低酸素症を受ける場合があり、これらは、スーパーオキシドラジカルアニオン、過酸化水素、およびヒドロキシルフリーラジカルといった活性酸素種(ROS)の産生をもたらすものである。ROSは、恐らくは、イオンチャネル、膜脂質、Na/K ATPアーゼおよびNa/グルタメート交換輸送などの輸送メカニズム、およびグルタミンシンターゼなどの細胞質内酵素を含む、さまざまな膜および細胞内成分に影響を及ぼすことにより、細胞機能に悪影響を与えることが知られている。さらに、ROSは、膜脂質過酸化をもたらし、したがって、投与において細胞の生存を低減する場合がある。
投与用の調製中にこれらの種類の酸化ストレスの悪影響を最小限に抑え、かつ/または対抗するため、本発明の細胞は、調製中の任意の段階で抗酸化剤によりインキュベーションおよび/または処置されてよい。そのような抗酸化剤の例は、酵素抗酸化剤のスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、およびグルタチオンペルオキシダーゼ、ならびにグルタチオン形成を促進する薬剤、例えば、N−アセチルシステイン(NAC)を含む。他の抗酸化剤は、ラザロイド(lazaroids)、例えば、U-74389GおよびU-83836Eを含み、これらは、細胞膜に局在し、脂質過酸化を阻むと共にフリーラジカルを除去するようにデザインされたアミノステロイドである。細胞培養および細胞懸濁液に加えられ得る抗酸化剤の他の例は、TGF、ビタミンE、ビタミンC、βカロテン、およびROSを除去し、ROSの産生を阻止しかつ/または脂質過酸化を阻止する他の化合物を含む。
抗酸化酵素、例えばSODは、ROSを除去し、一酸化窒素とスーパーオキシドが反応して、培養細胞に対して毒性であることが分かっているペルオキシナイトライトアニオンを形成するのを防ぐ。これらの酵素は、前述のとおり、本発明の細胞でインキュベーションされてよい。これらの酵素を本発明の細胞製剤に導入する別の方法は、そのような酵素をコードする核酸を含有するように細胞を遺伝子組み換えすることである。そうすると、遺伝子組み換え細胞は、レシピエント被験者において移植細胞の生存、成長、および分化を高める物質を産生することができる。例えば、本発明の細胞は、酸素フリーラジカルの解毒における中心的な酵素(pivotal enzyme)であるCu/Znスーパーオキシドジスムターゼに対するヒト遺伝子を形質移入されてよく、その結果、形質移入細胞は、SODを発現し、したがって、組織準備および植え込み中生成されたROSを効果的に解毒し、それにより、投与された細胞の生存を増大させる。
さらに、in vitroの細胞の酸化環境は、細胞酸化ストレスを阻むように改変されてよい。例えば、投与前、細胞環境における酸素分圧が、正常な酸素分圧、すなわち約2.0×10Pa(約150トル)O2から、減少酸素分圧、すなわち5.1×10Pa(38トル)O2(約5% O2)まで減少され得る。この酸化ストレスを減少させる方法は、前記抗酸化剤のうち1つまたは複数による細胞の処置と組み合わせられてよい。
NOS抑制物質、例えばガングリオシド、FK506、およびシクロスポリンA、は、細胞製剤に加えられて、NOの産生を阻止し、それにより、ペルオキシナイトライトおよびその誘導体の産生を減少させることができる。スーパーオキシドジスムターゼは、NOの過剰産生の悪影響、およびそれが媒介する毒性作用を減少させ得る、別の物質である。
外傷および関連する悪影響、例えば、膜過酸化、植え込みのため本発明の細胞の調製により誘導されたフリーラジカル誘導細胞損傷を防ぐため、本発明の細胞は、抗アポトーシス遺伝子産物、例えばbcl-2および/またはcrmA遺伝子産物をコードする核酸を形質移入され得る。さらに、本発明の形質移入細胞は、これらの遺伝子産物の発現または機能をアップレギュレートする物質、例えば、bcl-2の発現をアップレギュレートするTGF1およびTGF3、神経成長因子(NGF)ならびに血小板由来成長因子(PDGF)、で処置されてよい。さらに、本発明の細胞は、これらの因子をコードする核酸を形質移入されてもよい。
レシピエント被験者において本発明の細胞の生存をさらに促進するため、細胞は、血管新生薬と共に投与されるか、または、血管新生薬をコードする核酸を形質移入されてよい。投与の際、血管新生薬は、細胞集団内への血管の内殖を促進する。この血管内殖の結果、投与細胞は、レシピエント被験者体内で増殖および生存するのに十分な栄養を得る。多くの成長因子は、血管新生活性を示す。例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、PDGF、酸性および塩基性線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、およびK-FGFは、血管新生活性を有し、本発明の投与細胞への血管内殖を助長するため、本発明の方法に使用することができる。
神経発達、神経線維形成、およびニューロン維持に貢献する他の因子、例えば神経栄養因子が、投与のための準備中にin vitroで本発明の細胞に、かつ/または本発明の細胞と共に個人被験者へ導入するための細胞懸濁液自体に、加えられてよい。本発明の細胞は、遺伝子組み換えされて、本明細書に記載するような神経栄養因子を産生することもできる。本発明の細胞に加えられる神経栄養因子は、投与されるべき細胞上での、そのレセプターの存在に基づいて選択されてよい。例えば、中脳細胞は、以下の神経栄養因子に対するレセプターを保有する。その神経栄養因子は、中脳細胞の生存、形態学的分化、および中脳細胞への高親和性ドーパミン取り込みを促進するグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、中脳細胞の軸索切断誘導変性を防ぐ絨毛神経栄養因子(CNTF)、中脳細胞の生存および分化を促進するミッドカイン、中脳細胞の生存および成熟化を増大させるEGF、インスリン様成長因子IおよびIIならびにインスリン、酸性FGF、塩基性FGF(神経突起を有する細胞数、ならびにそれらの線維ネットワークの度合いを著しく増大させる)、ニューロトロフィン-3(NT-3)およびニューロトロフィン4/5(NT-4/5)、ならびに形質転換成長因子-2(TGF2)および形質転換成長因子-3(TGF3)である。
神経細胞の生存を促進する神経栄養因子は、細胞上のレセプターの存在に基づいて選択されてよい。塩基性FGF、BDNF、NT-3およびNT-4/5のレセプターを、ある神経細胞で見ることができる。ゆえに、一実施形態では、本発明の細胞は、これらの因子のうち1つまたは複数をコードする核酸を形質移入されることができる。別の実施形態では、これらの因子のうち1つまたは複数を、投与前に神経細胞の製剤に加えてよい。これらの神経栄養因子は、レシピエント被験者における本発明の細胞の生存を高める。同様に、皮質細胞に対して特異性を示し、したがって、レシピエント被験者への移植の際にそのような細胞の生存を促進するのに使用され得る、神経栄養因子は、神経成長因子(NGF)(例えば、軸索切断した前脳コリン作動性ニューロンの萎縮を防ぐ)、BDNF、ならびにNT-3およびNT-4/5を含む。
別の実施形態では、本明細書に記載する神経栄養因子は、他の化合物、例えば神経伝達物質と共に、または組み合わせて使用されて、それらの神経栄養効果を増強することができる。さらに、本明細書に記載する神経栄養因子のさまざまな組み合わせが、相乗的に作用でき、したがって、共に使用されて本発明の投与細胞の生存を促進できることが、企図される。
ある薬物も、神経栄養活性を有する。そのような薬物の例には、FK506およびシクロスポリンAが含まれ、これらは、例えばNOSのリン酸化レベル増強することによって、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)レセプターにおいて作用するグルタメートにより引き出された神経毒性を遮断する。リン酸化NOSは、その触媒活性を阻害するので、これらの薬物は、NO形成を有効に低減し、これらの細胞に対するNMDAの神経毒性作用を防ぐ。神経栄養活性を有し、本発明で使用され得る他の薬物は、FK506および/またはシクロスポリンAと同じ結合タンパク質に結合し、したがって、同様の神経保護作用を媒介する、小分子である。一実施形態では、これらの薬物は、慢性疼痛および/または痙攣を処置するため、細胞集団に加えて、被験者に投与される。
一実施形態では、前述した薬剤および因子のうち1つまたは複数の組み合わせを使用して、細胞がレシピエント被験者に投与される前または後の、本発明の細胞の生存を促進することができる。例えば、本発明の細胞は、本明細書に記載の薬剤または因子のうち1つまたは複数と接触して、in vitroおよび/またはin vivoの細胞の生存を促進することができる。別の実施形態では、本発明の細胞は、本明細書に記載の薬剤または因子のうち1つまたは複数のものの核酸を形質移入されてよく、また、本明細書に記載の薬剤または因子のうち1つまたは複数と接触してよい。さらに、本明細書に記載の神経栄養因子の多くが、特定の細胞型に特異的であるが、そのような細胞型とのこれらの因子の関連により、異なる細胞型と共にその因子を使用することが排除されるものではない。
本明細書に記載の薬剤または因子による本発明の細胞の処理は、同時に、または連続して行われてよい。さらに、いくつかの実施形態は、細胞投与と並行して、または連続して注入されるか、あるいは1つまたは複数の医薬的に許容可能なキャリアへと直接調剤される、1つまたは複数の薬剤または因子の使用を含む。
一実施形態では、細胞は、投与前に、電気刺激で事前処理される。電界へのhUTCの暴露は、hUTCの増殖および生存率を増大させることにより、標的組織の修復を改善することができる。電気刺激は、栄養因子の分泌、細胞外マトリックス(ECM)タンパク質の発現、および植え込まれたhUTCの生着を高めることもできる。さらに、電気刺激は、植え込み部位で常在細胞を動かすかまたは誘導して、修復プロセスを開始することができる。
hUTCは、単回投与、持続投与(sustained dose)、または異なる期間にわたる複数回投与を用いて電界を加えることにより、電気刺激され得る。刺激は、hUTCの植え込み前または後に行うことができる。異なる電気刺激パラメータを使用して、hUTCの効果を最適化することが考えられる。電気刺激は、3次元環境またはバイオリアクターで成長した細胞または組織に加えられることもできる。
本発明の別の態様では、細胞または刻んだ組織を、微弱電流(microcurrent)源と結合することができる。微弱電流対(microcurrent couple)が、エネルギー源としての亜鉛および銅の微粒子(0.01μm(0.01ミクロン)〜0.1μm(0.1ミクロン))または微弱電流を生成できる他の要素のガルバーニ対として、細胞に送達される。あるいは、銅および亜鉛または他の要素のガルバーニ対は、ポリマーマイクロキャリア/足場に組み込まれてよく、細胞は、移植のためマイクロキャリア/足場と組み合わせられる。
開業医が使用する細胞集団は、分娩後由来細胞であり、同種細胞または異種細胞による投与は、これらの細胞が混合リンパ球反応で同種PBMCを刺激しないことが分かっているので、場合によっては許容的(tolerated)であり得る。したがって、細胞自体は免疫抑制作用を提供し、それにより、投与された細胞集団の宿主拒絶を妨げることが認識されている。そのような場合、細胞療法中の薬理学的免疫抑制は不要となるかもしれない。
しかしながら、他の場合には、細胞療法を始める前に患者の免疫反応を薬理学的に抑制することが望ましいか、または適切であるかもしれない。これは、全身または局所免疫抑制剤を使用することで達成でき、あるいは、前述したように、被包装置内で細胞を送達することにより達成できる。投与された細胞に対する免疫反応を低減または排除する、これらの手段および他の手段は、当技術分野で既知である。代替案として、前述したように、細胞集団を遺伝子組み換えして、それらの免疫原性を低減させることができる。
さらに、生きている患者内での、投与された細胞集団の生存は、さまざまなスキャン技術、例えば、コンピューター断層撮影(CATもしくはCT)スキャン、磁気共鳴画像(MRI)または陽電子放出断層撮影(PET)スキャンを使用することで、判断できる。細胞の生存の判断は、神経組織および周囲組織を除去し、それを視覚的に、または顕微鏡により検査することによって、死後行われることもできる。あるいは、細胞は、神経組織、またはその周囲組織に特異的な染色で処理され得る。投与細胞は、トレーサー染料、例えば、ローダミンまたはフルオレセイン標識したミクロスフェア、ファストブルー(fast blue)、三価鉄微小粒子、ビスベンズアミド(bisbenzamide)、または遺伝的に導入されたレポーター遺伝子産物(genetically introduced reporter gene products)、例えば、β−ガラクトシダーゼもしくはβ−グルクロニダーゼを前もって取り込むことで、識別され得る。
別の実施形態では、アルツハイマー病を処置するために細胞集団を投与することは、アルツハイマー病、またはアルツハイマー病の症状を処置するのに使用される従来の薬物の投与と組み合わせられてよい。ある被験者では、このような組み合わせ療法により、症状の最適な改善がもたらされ得る。細胞集団と共に投与されてもよい薬物は、物忘れ、集中力の低下、体重減少、運動機能問題、聴力低下、読み取りもしくは言語能力の低下、錯乱、判断力の低下、興奮、禁断症状、幻覚、発作、パーキンソン病型の特徴、筋緊張の低下、ミオクローヌス、失禁、無言症、および精神障害の症状を処置するのに使用される、任意の薬物を含む。
本明細書に記載する細胞集団または他の治療もしくは医薬組成物のいずれかを投与するための剤形およびレジメンが、個人患者の状態、例えば、神経損傷もしくは障害の性質および程度、年齢、性別、体重および全身病状、ならびに開業医が知っている他の要因、を考慮して、適正な医療行為に従って開発される。したがって、患者に投与されるべき医薬組成物の有効量は、当技術分野で既知のこれらの事柄により決定される。
別の実施形態では、被験者におけるT細胞活性を阻害する薬剤を、主題の細胞(subject cells)に加えて投与することができる。本明細書で使用される、T細胞活性を阻害する薬剤は、被験者体内のT細胞の除去もしくは破壊を生じるか、または被験者体内でのT細胞機能を阻害する薬剤として定義され、それゆえ、T細胞は、被験者の中に依然として存在し得るが、非機能状態であり、増殖できないか、またはサイトカイン産生、細胞毒性などといった、エフェクター機能を引き出すか、もしくは実行することができない。用語「T細胞」は、成熟末梢血Tリンパ球を含む。T細胞活性を阻害する薬剤は、未成熟T細胞の活性または成熟化を阻害することもできる。
《医薬的に許容可能なキャリア》
さらに、細胞集団は、緩衝生理食塩溶液などの、生理学的に適合性のある任意のキャリアに投与され得る。医薬的に許容可能なキャリアおよび希釈液は、本開示で論じられており、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒および/または分散媒を含むがこれらに限定されない。このようなキャリアおよび希釈液の使用は、当技術分野で周知である。他の例には、液体培地、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、無菌生理食塩水、無菌リン酸緩衝生理食塩水、リーボビッツ(Leibovitz's)培地(L15, Invitrogen, Carlsbad, CA)、無菌ブドウ糖液(dextrose in sterile water)、および任意の他の生理学的に許容可能な液体が含まれる。溶液は、好ましくは無菌であり、容易な注射可能性(easy syringability)が存在する程度において流体である。好ましくは、溶液は、製造および保管条件下で安定しており、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール(thimerosol)などを使用することで、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から、保護される。本発明の溶液は、医薬的に許容可能なキャリアまたは希釈液、および必要な場合には、前述した他の成分を使用し、その後、濾過滅菌(filtered sterilization)し、次に本明細書に示す細胞集団を組み込むことによって、調製され得る。
本発明の医薬組成物は、医薬的に許容可能なキャリアまたは培地と共に調合される細胞から作られた製剤を含み得る。適切な医薬的に許容可能なキャリアは、本開示で論じた任意のものを含み、水、食塩水(例えばリンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidine)、炭水化物、例えばラクトース、アミロース、もしくはでんぷん、脂肪酸エステル、およびヒドロキシメチルセルロースを含むが、これらに限定されない。このような製剤は、滅菌されてよく、所望ならば、潤滑剤、保存料、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝液、および着色剤といった、補助薬と混合されてよい。本発明で使用するのに適する医薬キャリアは、当技術分野で既知であり、例えば、Pharmaceutical Sciences (17th Ed., Mack Pub. Co., Easton, PA)、および、WO96/05309に記載され、これは参照により全体として本明細書に組み込まれる。
好適な一実施形態では、細胞集団は、人工CSFに投与される。本発明に適合性のある人工CSFは、脳に送達するための適切な薬剤安定性、溶解性、薬物動態を含む任意のものを含む。例示的な1つのCSF溶液は、NaCl、KCl、CaCl2 x 2 H2O、およびMgCl2 x 6 H2Oを含み、これらのおおよその測定値は、500mLのddH2Oにつき、それぞれ、約8.66g、0.224g、0.204g、および0.163gである。別の例示的なCSF溶液は、Na2HPO4 x 7 H2O、およびNaH2PO4 x H2Oを含み、これらのおおよその測定値は、500mLのddH2Oにつき、それぞれ、約0.214および0.027である。別の例示的なCSF溶液は、およそ187.5 Na:2.6 K:1.1 Ca:1.1 Mg:0.8 P:119 Cl:23.3 HCO3の割合(mM単位)を含む。好適な一実施形態では、CSF溶液は、現実のCSF電解質濃度を模倣しており、そのため、mM単位のおおよその濃度が、154 Na:3.0 K:1.3 Ca:0.9 Ca:0.9 Mg:0.4 P:136 Cl:24.1 HCO3である。
半固体または固体キャリアの細胞も準備され、老人斑(neuritic plaque)形成部位で、外科的に植え込まれてよい。液体組成物も外科処置により投与されてよいことが、認識されるであろう。特定の実施形態では、半固体または固体の医薬組成物は、非生分解性または生分解性であってよい、半透過性ゲル、マトリックス、細胞足場などを含み得る。例えば、ある実施形態では、外因性細胞を周辺から隔離するが、それらの細胞が生物分子(例えばノイロトロピン因子)を周辺細胞に分泌および送達できるようにすることが、望ましいか、または適切である場合がある。これらの実施形態では、細胞は、投与細胞を宿主組織から物理的に分離する、非分解性で選択的透過性のバリアで囲まれた分娩後由来細胞を含む、自律性インプラントとして調合され得る。そのようなインプラントは、薬理学的に誘導された免疫抑制の不存在下で免疫細胞および巨大分子が投与細胞を殺すのを妨げる能力を有するので、「免疫保護的(immunoprotective)」と言われることもある。他の実施形態では、異なるさまざまな分解性ゲルおよびネットワークが、本発明の医薬組成物に利用される。例えば、特に適した分解性材料には、本開示で論じた任意のものが含まれ、生体適合性ポリマー、例えばポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、1つまたは複数のヒドロゲルを、医薬組成物に使用する。この1つまたは複数のヒドロゲルには、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン構築物、親水性ビニルおよびアクリルポリマー、多糖類、例えばアルギン酸カルシウム、およびポリ(エチレンオキシド)が含まれ得る。さらに、ヒドロゲルは、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、自己集合性ペプチド(例えば、RAD16)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)およびそれらの、互いとのコポリマー、メチルメタクリレート、酢酸ビニルなどといった疎水性モノマーとのコポリマー、から形成され得る。大きなポリ(エチレンオキシド)ブロックを含有する親水性ポリウレタンも好ましい。他の好適な材料には、ポリマーの相互浸透ネットワークを含むヒドロゲルが含まれ、これは、まさに列挙したもののような、親水性および疎水性モノマーを含み得る成分の添加または濃縮重合によって形成され得る。in situ形成分解性ネットワークも本発明での使用に適している(例えば、Anseth, KS et al. (2002) J. Controlled Release 78: 199-209; Wang, D. et al. (2003) Biomaterials 24:3969-3980; He et al.の米国特許出願公開第2002/0022676号を参照:これらはすべて、参照により全体として本明細書に組み込まれる)。これらのin situ形成材料は、注入に適した流体として処方され、次に、温度、pHの変化、およびin situもしくはin vivoでの光への暴露などのさまざまな手段により、ヒドロゲルを形成するよう誘導され得る。
他の実施形態では、医薬組成物は、ホモポリマー、コポリマー、およびブロックポリマー、並びにそれらの組み合わせを含む、天然、改質天然、または合成の生分解性ポリマーで作られた生体適合性マトリックスを含む。適切な生分解性ポリマーまたはポリマークラスの例は、本開示で論じる任意の生分解性ポリマーを含み、フィブリン、I型、II型、III型、IV型およびV型コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、トロンビン、ポリ(アミノ酸)、酸化セルロース、トロポエラスチン、絹、リボ核酸、デオキシリボ核酸、タンパク質、ポリヌクレオチド、アラビアゴム、再構築基底膜マトリックス、でんぷん、デキストラン、アルギン酸、ヒアルロン(hyaluron)、キチン、キトサン、アガロース、多糖類、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリエチレングリコール、脱細胞組織(decellularized tissue)、自己集合性ペプチド、ポリペプチド、グリコサミノグリカン、それらの誘導体および混合物を含むが、これらに限定されない。適切なポリマーは、L(+)およびD(−)ポリマーで形成され得るポリ(ラクチド)(PLA)、ポリヒドロキシブチレート、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ラクチド-co-グリコリド)コポリマー、分解性ポリシアノアクリレート、および分解性ポリウレタンも含む。グリコール酸および乳酸双方について、中間環式二量体が、重合前に調製および精製されてよい。これらの中間二量体は、それぞれグリコリドおよびラクチドと呼ばれる。
他の有用な生分解性ポリマーまたはポリマークラスは、脂肪族ポリエステル、ポリ(アルキレンオキサレート)チロシン由来ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含むポリオキサエステル、ポリ(フマル酸プロピレン)、ポリフマレート、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリオキサレート、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリ(エステル)、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ酸無水物、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミド、ならびにそれらのブレンドおよびコポリマーを含むが、これに限定されるものではない。さらなる有用な生分解性ポリマーは、L-およびD-乳酸のステレオポリマー(stereopolymers)、ビス(パラ-カルボキシフェノキシ)プロパンおよびセバシン酸のコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタンおよびポリ(乳酸)のコポリマー、αアミノ酸のコポリマー、αアミノ酸およびカプロン酸のコポリマー、αベンジルグルタメートおよびポリエチレングリコールのコポリマー、コハク酸およびポリ(グリコール)のコポリマー、ポリホスファゼン、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ならびにそれらの混合物を含むが、これに限定されるものではない。二成分および三成分系も考えられる。
概して、マトリックスを形成するのに使用される材料は、意図する適用に適した機械特性を有し、組織が内部成長および治癒するまで十分に未変化のままであり、炎症もしくは毒性反応を誘発せず、その目的を果たした後で体内に代謝され、形成されるべき所望の最終産物へと容易に加工され、許容可能な保存可能期間を示し、かつ容易に滅菌されるように、構成されるのが望ましい。
別の実施形態では、細胞集団は、足場の使用により投与される。足場の組成、形状、および多孔度は、前述したいずれであってもよい。これらの3次元生体材料は、足場に付着するか、足場内部に分散するか、または足場に捕捉された細胞外マトリックスに取り込まれる生細胞を含有する。いったん身体の標的領域に植え込まれると、これらのインプラントは、宿主組織と統合され、投与された細胞は、徐々に定着される(established)。本発明で使用され得る足場の非限定的な例は、織地(weaves)、編地、編組、メッシュ、不織布、および捻じ曲がった編地(warped knits)などの織物構造;多孔性フォーム、半多孔性フォーム、穿孔フィルムもしくはシート、微小粒子、ビーズ、および球体、ならびに前述の構造の組み合わせである複合構造を含む。不織マットは、例えば、VICRYL縫合糸(Ethicon, Inc., Somerville, NJ)の商標名で販売される、グリコール酸および乳酸(PGA/PLA)の吸収性合成コポリマーで構成された繊維を使用して、形成され得る。米国特許第6,355,699号(Bruder et al.、参照により全体として本明細書に組み込まれる)で論じられたような、フリーズドライまたは凍結乾燥などのプロセスにより形成される、例えばポリ(ε-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーで構成されたフォームも、利用され得る。別の実施形態では、フレームワークは、生体吸収性材料から作られたマルチフィラメント糸で構成されてもよい、フェルトである。この糸は、クリンプ、切断、カーディング、および穿刺からなる標準的な織物加工技術を用いて、フェルトへと製造される。別の実施形態では、細胞は、複合構造体として使用され得るフォーム足場上へ播種される。前述した実施形態の多くで、フレームワークは、例えば組織空隙を埋めるよう、有用な形状へと成型され得る。さらに、細胞集団は、事前形成された非分解性の外科用または植え込み可能な装置上で培養され得ることが認識されるであろう。
別の実施形態では、投与前、細胞集団は、幹細胞分化を刺激する、1つまたは複数の因子の存在下、または条件下で、インキュベーションされる。そのような因子は、当技術分野で既知であり、当業者は、適切な分化条件の決定が、日常的な実験で達成され得ることを、認識するであろう。そのような条件の最適化は、統計的実験デザインおよび分析により達成することができ、例えば、応答曲面法により、例えば生物培養において、複数の変数を同時に最適化することができる。現在好適な因子には、成長因子もしくは栄養因子、ケモカイン、サイトカイン、細胞産物、脱メチル化剤、および、分化を刺激することが分かっているかもしくは後に判断される他の刺激、が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、患者に投与される組成物は、細胞分化を刺激する1つまたは複数の因子を有する細胞集団を含み、この細胞分化は、in vitroで組織部位において生じる。
《hUTCを含む幹細胞および分娩後由来細胞》
本発明の好適なhUTCの単離および特徴付けの説明を、全体として組み込まれる米国特許出願公開第2005/0032209号、2005/0058631号、および2005/0054098号で見ることができる。
いくつかの実施形態では、細胞は幹細胞である。前述のとおり、幹細胞は、単一の細胞が、自己再生前駆体、非再生前駆体、および最終分化細胞を含む子孫細胞を産生するため自己再生および分化する能力により定められる、未分化細胞である。
好適な一実施形態では、幹細胞は分娩後由来細胞である。分娩後由来細胞を単離するため、哺乳動物の胎盤または臍帯を、満期妊娠または早産の終了の際もしくは直後、例えば、後産(after birth)の娩出後に、回収する。分娩後組織は、分娩場所から研究室まで、フラスコ、ビーカー、培養皿、または袋などの無菌容器に入れて運ばれてよい。容器は、食塩水、例えばダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(ダルベッコ最小基本培地としても知られる)もしくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または、University of Wisconsin液もしくは全フッ素置換化合物溶液(perfluorochemical solution)など、投与に使用する臓器の輸送に使用される任意の溶液を含むがこれらに限定されない、溶液または培地を有してよい。ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、およびニスタチンなどであるがこれらに限定されない、1つまたは複数の抗生物質および/または抗真菌薬を、培地または緩衝液に加えることができる。分娩後組織を、ヘパリン含有溶液などの抗凝固溶液ですすぐことができる。細胞の抽出前は、組織を約4〜10℃に保つのが好ましい。細胞の抽出前は、組織を凍らせないことがさらに好ましい。
分娩後由来細胞は、好ましくは無菌環境で単離される。臍帯は、当技術分野で既知の手段によって、胎盤から分離され得る。あるいは、臍帯および胎盤は、分離せずに使用される。血液および残骸は、好ましくは、分娩後由来細胞の単離前に分娩後組織から除去される。例えば、分娩後組織は、リン酸緩衝生理食塩水を含むがこれに限定されない、緩衝溶液で洗浄されてよい。洗浄用緩衝液はまた、ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、およびニスタチンを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の抗真菌薬および/または抗生物質を含むこともできる。
胎盤全体、またはその破片もしくは断片を含む分娩後組織は、好ましくは、機械の力(刻む力または剪断力)によって脱凝集される。単離処置はまた、酵素消化プロセスを用いることができる。多くの酵素が、培養中の成長を促進するため複合組織マトリックスからの個々の細胞の単離に有用であることが、当技術分野で知られている。消化酵素は、消化性の弱いもの(例えば、デオキシリボヌクレアーゼおよび中性プロテアーゼ、ディスパーゼ)から、消化性の強いもの(例えば、パパインおよびトリプシン)までさまざまであり、市販されている。本明細書に適合する酵素の限定的なリストには、粘液溶解酵素活性、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、もしくはエラスターゼなど)、およびデオキシリボヌクレアーゼが含まれる。現在好適なのは、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、および粘液溶解活性から選択される酵素活性である。例えば、コラゲナーゼは、さまざまな細胞を組織から単離するのに有用であることが知られている。デオキシリボヌクレアーゼは、単鎖DNAを消化でき、単離中、細胞凝集を最小限に抑えることができる。好適な方法は、例えば、コラゲナーゼおよびディスパーゼ、またはコラゲナーゼ、ディスパーゼ、およびヒアルロニダーゼによる、酵素処理を含む。ある実施形態では、コラゲナーゼと中性プロテアーゼディスパーゼとの混合物を、解離工程で使用する。さらに具体的な実施形態は、ヒストリチクム菌由来の少なくとも1つのコラゲナーゼの存在下、ならびにプロテアーゼ活性、ディスパーゼおよびサーモリシンのうちいずれかの存在下での消化を利用する。さらに他の実施形態は、コラゲナーゼおよびディスパーゼ双方の酵素活性による消化を利用する。コラゲナーゼおよびディスパーゼの活性に加えてヒアルロニダーゼ活性による消化を含む方法も利用される。当業者は、そのような多くの酵素処理が、当技術分野で、さまざまな組織供給源から細胞を単離することで知られていることを、認識するであろう。例えば、LIBERASE(商標)(Roche, Indianapolis, IN)の商標名で販売される、組織解離用の酵素ブレンドが、この方法での使用に適している。他の酵素供給源が既知であり、当業者は、そのような酵素をそれらの天然供給源から直接入手してもよい。当業者は、本発明の細胞の単離における有用性について、新しいかまたは追加の酵素または酵素の組み合わせを評価する知識を身につけている。好適な酵素処理は、0.5、1、1.5、もしくは2時間の長さであるか、またはそれより長い。他の好適な実施形態では、組織は、解離工程の酵素処理中、37℃でインキュベーションされる。
本発明のいくつかの実施形態では、分娩後組織は、例えば、組織のさまざまな相(aspects)、例えば新生児、新生児/母系、および胎盤の母系相(maternal aspects)を含む切片へと分離される。次に、分離された切片は、本明細書に記載の方法に従って、機械的および/または酵素解離により解離される。新生児または母系統の細胞は、当技術分野で既知の任意の手段によって、例えば、核型分析によって、もしくはY染色体のin situハイブリダイゼーションによって、識別され得る。
最も適切な培養培地、培地製剤、および細胞培養技術を選択する方法は、当技術分野で周知であり、参照により本明細書に組み込まれる、Doyle et al., (eds.), 1995, CELL & TISSUE CULTURE: LABORATORY PROCEDURES, John Wiley & Sons, Chichester、Ho and Wang (eds.), 1991, ANIMAL CELL BIOREACTORS, Butterworth-Heinemann, Bostonを含む、さまざまな資料に記載されている。
単離細胞または組織断片を、十分な時間にわたり培養した後、分娩後由来細胞は、分娩後組織からの遊走もしくは細胞分裂のいずれか、またはそれら両方の結果として、成長している。本発明のいくつかの実施形態では、分娩後由来細胞は、継代されるか、または最初に使用したものと同じかもしくは異なる種類の新鮮培地を含む別個の培養容器へと移動され、ここで細胞集団は、有糸分裂的に増殖し得る。本発明の細胞は、0代継代と老化との間のどの時点でも使用されてよい。細胞は、好ましくは、約3〜約25回継代され、さらに好ましくは約4〜約12回継代され、好ましくは、10または11回継代される。クローン化および/またはサブクローン化は、細胞のクローン集団が単離したことを確認するために行われてよい。
本発明のいくつかの態様では、分娩後組織に存在する異なる細胞型は、部分集団に分割され、その部分集団から分娩後由来細胞を単離することができる。分割または選択は細胞分離の標準技術を用いて達成することができる。そのような技術には、分娩後組織をその構成細胞に解離する酵素処理、それに続く特定の細胞型のクローン化および選択(これには、形態学的および/または生化学的マーカーに基づいた選択が含まれるがこれに限定されない);所望の細胞の選択的成長(陽性選択)、望ましくない細胞の選択的破壊(陰性選択);混合集団における異なる細胞凝集力に基づく分離(例えば、ダイズアグルチニン);凍結解凍法;混合集団における細胞の異なる付着特性;濾過;従来の遠心分離およびゾーン遠心分離;遠心分離の水簸(centrifugal elutriation)(向流遠心分離);単位重力分離;向流分布;電気泳動;蛍光標識細胞分取(FACS)が含まれるが、これらに限定されない。適切なクローン選択および細胞分離技術は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Freshney, 1994, CULTURE OF ANIMAL CELLS: A MANUAL OF BASIC TECHNIQUES, 3rd Ed., Wiley-Liss, Inc., New Yorkに記載されている。
培養培地は、例えばピペットで、培地を皿から注意深く吸引し、新鮮培地を補充することにより、必要に応じて変えられる。インキュベーションは、十分な数または密度の細胞が皿に蓄積するまで続けられる。その後、元の外植組織切片を除去してよく、残りの細胞は、標準技術を用いるか、または細胞スクレーパーを使用して、トリプシン処理される。トリプシン処理後、細胞は、前記のとおり、収集され、新鮮培地へと移動され、インキュベーションされる。いくつかの実施形態では、培地は、トリプシン処理後の約24時間で、少なくとも1回変えられて、浮遊細胞を除去する。培養に残る細胞は、分娩後由来細胞であると考えられる。
分娩後由来細胞は、凍結保存されてよい。したがって、以下でさらに詳細に説明する好適な実施形態では、自家移転(母もしくは子)のための分娩後由来細胞は、子供を出産した後の適切な分娩後組織由来であってよく、その後、投与のため後で必要になった場合に利用可能となるよう、凍結保存され得る。
分娩後由来細胞は、例えば、成長特性(例えば、集団倍加能力、倍加時間、老化までの継代)、核型分析(例えば、正常な核型;母系性もしくは新生児系列)、フローサイトメトリー(例えば、FACS分析)、免疫組織化学および/または免疫細胞化学(例えば、エピトープ検出のため)、遺伝子発現プロファイリング(例えば、遺伝子チップアレイ;ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、および従来のPCR))、タンパク質アレイ、タンパク質分泌(例えば、血漿凝固アッセイまたはPDC-馴化培地の分析による、例えば酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)による)、混合リンパ球反応(例えば、PBMC刺激の指標として)、ならびに/または当技術分野で既知の他の方法によって、特徴付けられ得る。
胎盤組織由来の分娩後由来細胞の例は、2004年6月10日にAmerican Type Culture Collection(ATCC, Manassas, VA)に供託した。割り当てられたATCCアクセッション番号は以下のとおりである:(1)系統名PLA 071003 (P8):2004年6月15日に供託:アクセッション番号PTA-6074、(2)系統名PLA 071003 (P11):2004年6月15日に供託:アクセッション番号PTA-6075、(3)系統名PLA 071003 (P16):2004年6月16日に供託:アクセッション番号PTA-6079。臍組織由来の分娩後由来細胞の例は、2004年6月10日にAmerican Type Culture Collectionに供託され、以下のとおりATCCアクセッション番号が割り当てられた:(1)系統名UMB 022803 (P7):アクセッション番号PTA-6067、(2)系統名UMB 022803 (P17):アクセッション番号PTA-6068。
さまざまな実施形態では、分娩後由来細胞は、以下の成長特性のうちの1つまたは複数を有する。それは、(1)培養において成長のためにL−バリンを必要とすること、(2)約5%から少なくとも約20%の酸素を含む大気中で成長できること、(3)老化に達する前に、培養において少なくとも約40回倍加する能力を有すること、(4)コーティングした組織培養容器またはコーティングしていない組織培養容器上に付着し増殖することであって、コーティングした組織培養容器が、ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチン、またはフィブロネクチンのコーティングを含む、ことである。
ある実施形態では、分娩後由来細胞は正常な核型を有し、細胞が継代される間、維持される。胎盤に由来する母系細胞から新生児細胞を同定し区別するために、核型決定は特に有用である。核型決定するための方法は、当業者に利用可能であり、既知である。
他の実施形態では、特定のタンパク質の産生により、分娩後由来細胞を特徴付けることができる。それには、(1)tissue factor、vimentin、およびalpha-smooth muscle actinのうちの少なくとも1つの産生と、(2)CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、PD-L2、およびHLA-A,B,C細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生とが含まれ、そのことはフローサイトメトリーによって検出される。他の実施形態では、分娩後由来細胞は、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7-H2、HLA-G、ならびにHLA-DR、HLA-DP、、HLA-DQ細胞表面マーカーのうちの少なくとも1つの産生がないことによって特徴付けされてもよく、そのことはフローサイトメトリーによって検出される。特に好ましいのは、tissue factor、vimentin、およびalpha-smooth muscle actinのうちの少なくとも2つを産生する細胞である。さらに好ましいのは、tissue factor、vimentin、およびalpha-smooth muscle actinの3つのタンパク質すべてを産生する細胞である。
他の実施形態では、分娩後由来細胞は、interleukin 8、reticulon 1、chemokine (C-X-C motif) ligand 1 (melonoma growth stimulating activity, alpha)、chemokine (C-X-C motif) ligand 6 (granulocyte chemotactic protein 2)、chemokine (C-X-C motif) ligand 3、tumor necrosis factor, alpha-induced protein 3、C-type lectin superfamily member 2、Wilms tumor 1、aldehyde dehydrogenase 1 family member A2、renin、oxidized low density lipoprotein receptor 1、Homo sapiens clone IMAGE:4179671、protein kinase C zeta、hypothetical protein DKFZp564F013、downregulated in ovarian cancer 1、およびHomo sapiens gene from clone DKFZp547k1113のうちの少なくとも1つをコードする遺伝子について、線維芽細胞、間葉系幹細胞、または腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比べて増加する、遺伝子発現により特徴付けられ得る。
さらに他の実施形態では、分娩後由来細胞は、short stature homeobox 2、heat shock 27 kDa protein 2、chemokine (C-X-C motif) ligand 12 (stromal cell-derived factor 1)、elastin (supravalvular aortic stenosis, Williams-Beuren syndrome)、Homo sapiens mRNA、cDNA DKFZp586M2022 (from clone DKFZp586M2022)、mesenchyme homeo box 2 (growth arrest-specific homeo box)、sine oculis homeobox homolog 1 (Drosophila)、crystallin, alpha B、disheveled associated activator of morphogenesis 2、DKFZP586B2420 protein、similar to neuralin 1、tetranectin (plasminogen binding protein)、src homology three (SH3) and cysteine rich domain、cholesterol 25-hydroxylase、runt-related transcription factor 3、interleukin 11 receptor, alpha、procollagen C-endopeptidase enhancer、frizzled homolog 7 (Drosophila)、hypothetical gene BC008967、collagen, type VIII, alpha 1、tenascin C (hexabrachion)、iroquois homeobox protein 5、hephaestin、integrin, beta 8、synaptic vesicle glycoprotein 2、neuroblastoma, suppression of tumorigenicity 1、insulin-like growth factor binding protein 2, 36kDa、Homo sapiens cDNA FLJ12280 fis, clone MAMMA 1001744、cytokine receptor-like factor 1、potassium intermediate/small conductance calcium-activated channel, subfamily N, member 4、integrin, beta 7、transcriptional co-activator with PDZ-binding motif (TAZ)、sine oculis homeobox homolog 2 (Drosophila)、KIAA1034 protein、vesicle-associated membrane protein 5 (myobrevin)、EGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein 1、early growth response 3、distal-less homeo box 5、hypothetical protein FLJ20373、aldo-keto reductase family 1, member C3 (3-alpha hydroxysteroid dehydrogenase, type II)、biglycan、transcriptional co-activator with PDZ-binding motif (TAZ)、fibronectin 1、proenkephalin、integrin, beta-like 1 (with EGF-like repeat domains)、Homo sapiens mRNA full length insert cDNA clone EUROIMAGE 1968422、EphA3、KIAA0367 protein、natriuretic peptide receptor C/guanylate cyclase C (atrionatriuretic peptide receptor C)、hypothetical protein FLJ 14054、Homo sapiens mRNA、cDNA DKFZp564B222 (from clone DKFZp564B222)、BCL2/adenovirus E1B 19kDa interacting protein 3-like、AE binding protein 1、およびcytochrome c oxidase subunit VIIa polypeptide 1 (muscle)のうちの少なくとも1つをコードする遺伝子について、線維芽細胞、間葉系幹細胞、または腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比べて低下した遺伝子発現により特徴付けられ得る。
他の実施形態では、分娩後由来細胞は、MCP-1、IL-6、IL-8、GCP-2、HGF、KGF、FGF、HB-EGF、BDNF、TPO、MIP1a、RANTES、およびTIMP1のうちの少なくとも1つの分泌により特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、分娩後由来細胞は、TGF-beta2、ANG2、PDGFbb、MIP1b、I309、MDC、およびVEGFのうちの少なくとも1つの分泌がないことにより特徴付けることができ、そのことはELISAにより検出される。
いくつかの好適な実施形態では、分娩後由来細胞は、実質的に血液を含まない臍帯組織に由来し、培養において自己再生および増殖が可能であり、成長のためにL−バリンを必要とし、少なくとも約5%の酸素中で成長することができ、以下の特徴のうち少なくとも1つを含む:それらは、培養において少なくとも約40回倍加する能力を有すること、コーティングした組織培養容器またはコーティングしていない組織培養容器上に付着し増殖すること(コーティングした組織培養容器は、ゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチン、またはフィブロネクチンのコーティングを含む)、vimentinおよびalpha-smooth muscle actinの産生、CD10、CD13、CD44、CD73、およびCD90の産生、ならびに、interleukin 8およびreticulon 1をコードする遺伝子について、線維芽細胞、間葉系幹細胞、または腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞と比べて増加した遺伝子の発現、である。いくつかの実施形態では、このような分娩後由来細胞は、CD45、CD117を産生しない。
好適な実施形態では、細胞は、前記のような成長、タンパク質/表面マーカーの産生、遺伝子発現、または物質−分泌特性のうちの2つまたは3つ以上を含む。さらに好ましいのは、それらの特性のうちの3つ、4つ、5つ、または6つ以上を含む細胞である。なおより好ましいのは、それらの特性のうちの6つ、7つ、8つ、または9つ以上を含む分娩後由来細胞である。現在なおより好ましいのは、上記のような特性すべてを含む細胞である。
本発明の態様のいくつかに使用するのに現在好ましい細胞の中には、前記のような特性を有する分娩後細胞があり、より具体的には、正常な核型を有し、継代とともに正常な核型を維持する細胞であって、さらに、その細胞は、マーカーCD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cのそれぞれを発現し、挙げられたマーカーに対応する、免疫学的に検出可能なタンパク質を産生する、細胞がある。なおより好ましいのは、上記のものに加えて、マーカーCD31、CD34、CD45、CD117、CD141、またはHLA-DR,DP,DQのうちの任意のものに対応するタンパク質を産生しない細胞であり、そのことはフローサイトメトリーにより検出される。
さまざまな表現型をもたらす系統に沿って分化する能力を有する特定の細胞は、不安定であり、それゆえに、自発的に分化することができる。現在のところ、本発明の使用のために好ましいのは、例えば、筋芽細胞、骨格筋、血管平滑筋、周皮細胞、血管原性(hemangiogenic)、血管新生(angiogenic)、血管性(vasculogenic)、または血管の(vascular)内皮の系統に沿って、自発的に分化しない細胞である。好適な細胞は、成長培地で成長する場合、それらの表面上に産生される細胞マーカーに関して、また、さまざまな遺伝子の発現パターン(例えば、GENECHIP (Affymetrix, Inc., Santa Clara, CA)の商標名で販売される医療診断用試験で決定されるような発現パターン)に関して、実質的に安定である。細胞は、継代の間中、複数の集団倍化を通じて、例えば、その表面マーカー特性において、実質的に不変のままである。
本発明の別の態様は、前述した分娩後由来細胞集団の使用を特徴とする。いくつかの実施形態では、細胞集団は異種性である。本発明の異種性細胞集団は、本発明の分娩後由来細胞を少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%含んでよい。本発明の異種性細胞集団は、幹細胞または他の前駆細胞、例えば、筋芽細胞または他の筋前駆細胞、血管芽細胞、または血管前駆細胞をさらに含んでよく、あるいは、完全に分化した神経系細胞をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、集団は、実質的に同種であり、すなわち分娩後由来細胞のみ(好ましくは、少なくとも約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の分娩後由来細胞)を実質的に含む。本発明の同種細胞集団は、臍または胎盤由来細胞を含んでよい。臍由来細胞の同種集団は、好ましくは、母系性系統の細胞がない。胎盤由来細胞の同種集団は、新生児または母系性系統のものであってよい。細胞集団の同種性は、当技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、細胞選別(例えば、フローサイトメトリー)によって、または既知の方法に従ったクローン増殖によって、達成され得る。よって、好適な同種分娩後由来細胞集団は、分娩後由来細胞のクローン細胞株を含むことができる。そのような集団は、非常に望ましい機能性を備えた細胞クローンが単離されたときに、特に有用である。
一実施形態では、細胞は、未分化細胞として、すなわち成長培地で培養されたものとして、投与される分娩後由来細胞である。あるいは、分娩後由来細胞は、培養中に、所望の神経組織に向けた分化を刺激する条件にさらされた後で、投与されることができる。
好適な一実施形態では、細胞はhUTCである。
さらに、細胞集団は、2つ以上の細胞型を含み得る。実際、いくつかの実施形態は、血管組織などの神経系細胞を取り囲み支持する細胞の投与を含む。
《遺伝子組み換え細胞》
本発明で使用される細胞は、治療的に有用な遺伝子産物を産生するため、神経組織の生存、分化、食作用活性を促進または支持する薬剤を産生するため、あるいは前駆細胞を老人斑エリアに補充する因子を産生するために、遺伝子組み換えされてよい。
遺伝子組み換えは、組み込みウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、もしくは、アデノ随伴ウイルスベクター;非組み込み複製ベクター(non-integrating replicating vectors)、例えば、パピローマウイルスベクター、SV40ベクター、アデノウイルスベクター;もしくは、複製欠陥ウイルスベクターを含むがこれらに限定されない、さまざまなベクターのうちいずれかを使用して達成され得る。DNAを細胞に導入する他の方法は、リポソーム、エレクトロポレーション、パーティクルガンの使用、または直接的なDNA注入によるものを含む。
例えば、細胞は、外来分子(例えば、細胞により正常に作られなかった異種分子)を発現および/または分泌するため、あるいは慢性疼痛を治療する分子の産生を改変するために、遺伝子操作されてよい。そのような分子は、当技術分野で周知の技術を用いて異種核酸分子を導入する際に、細胞により産生され得る。
一実施形態では、本発明の細胞は、神経伝達物質のレセプターを発現するように改変され得る。別の実施形態では、本発明の細胞は、神経伝達物質を産生するように改変される。さらに別の実施形態では、本発明の細胞は、C’終端またはN’終端からの断片を含むがこれに限定されない、神経伝達物質の断片を産生するよう改変される。別の実施形態では、外来分子は、投与細胞の神経再生能力を高め、GABA介在ニューロンの感覚神経性伝達の再建を助け、かつ/または、被験者の興奮性/抑制神経伝達物質バランスの再建を助ける。
さらに別の実施形態では、細胞は、投与の成功を促進し(例えば、被験者における免疫反応の発現低下により)、かつ/または投与細胞の生存もしくは機能を促進する、外来分子を発現および/または分泌するように、遺伝子操作される。例示的な分子は、例えば、神経栄養因子、または神経保護薬を含む。
さらに別の実施形態では、非改変または改変細胞が、有用な機能を行うために遺伝子組み換えされた他の細胞型と共に導入されてよい。例えば、ニューロンの成長を促進するため、細胞は、例えば神経栄養因子を分泌する他の細胞、または神経栄養因子を分泌するように改変された他の細胞と共に、投与されてよい。被験者への導入遺伝子のキャリアとして作用する細胞の例は、線維芽細胞、副腎クロマフィン細胞、星状細胞、および筋芽細胞を含む。そのような細胞、例えば線維芽細胞およびグリア細胞は、ヘルペス単一性チミジンキナーゼ遺伝子(herpes simplex thymidine kinase gene)などの遺伝子を含むレトロウイルスを送達するのに使用することもでき、その遺伝子産物は、標的細胞に対して、ガンシクロビルなどの他の治療薬または薬剤の標的である。
宿主細胞は、とりわけプロモーターもしくはエンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位などの1つまたは複数の適切な発現制御要素によって制御されるか、またはそれらと操作的に関連するDNA、および選択可能なマーカーで、形質転換もしくは形質移入され得る。任意のプロモーターが、挿入遺伝子の発現を駆動するために用いられてよい。例えば、ウイルスプロモーターは、CMVプロモーター/エンハンサー、SV40、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、またはエラスチン遺伝子プロモーターを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子の発現を制御するのに使用される制御要素により、遺伝子の発現を調節することができ、産物は、in vivoで必要とされる場合にのみ合成される。一時的な発現を望むならば、非組み込みベクターおよび/もしくは複製欠陥ベクターに、好ましくは、構成的プロモーターを用いる。あるいは、必要ならば、誘導プロモーターを、挿入遺伝子の発現を駆動するために用いることができる。誘導プロモーターは、メタロチオネイン、もしくは、ヒートショックタンパク質と関連したものを含むがこれらに限定されない。
外来DNA導入後、操作された細胞を、強化培地で成長させ、その後、選択培地に切り換えることができる。外来DNA中の選択可能なマーカーは、選択物に対する耐性を与え、細胞が(例えば、プラスミド上の)外来DNAを染色体中に安定的に組み込み、巣(foci)を形成するよう成長することを可能にし、この巣は、クローン化し、細胞株中へと増殖することができる。この方法は、遺伝子産物を発現する細胞株を操作するために、有利に用いることができる。
本発明の細胞は、植え込み部位での炎症および拒絶反応を促進する因子の発現を「ノックアウト」もしくは「ノックダウン」するように遺伝子操作されてもよい。標的遺伝子発現レベルまたは標的遺伝子産物の活性レベルを減少させるための負の調節技術を以下に説明する。本明細書で用いる「負の調節(Negative modulation)」とは、調節処理がない標的遺伝子産物のレベルおよび/または活性と比較した際の、標的遺伝子産物のレベルおよび/または活性の減少を言う。神経細胞またはその前駆細胞に存在する遺伝子の発現を、いくつかの技術(例えば、相同組換え技術を用いて遺伝子を不活性化することによる発現の抑制を含む)を用いて減少、または、ノックアウトすることができる。典型的には、陽性選択マーカー(例えば、neo)により、タンパク質の重要な領域をコードするエキソン(すなわち、その領域の5’側エキソン)が阻害され、標的遺伝子からの正常なmRNAの産生を阻害し、結果的に遺伝子の不活化を生じる。また、遺伝子の一部を欠失させることにより、または、遺伝子全体を欠失させることにより、遺伝子は不活化される。参照により全体として本明細書に組み込まれるMombaerts et al, 1991, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 88:3084-3087に記載されるように、ゲノム内で非常に離れた標的遺伝子に対してホモロジーの2つの領域を備えたコンストラクトを使用することにより、その2つの領域に介在する配列を欠失させることができる。標的遺伝子活性のレベルを減少させるために、標的遺伝子の発現を抑制するアンチセンス、DNAザイム、リボザイム、低分子干渉RNA(siRNA)、および他のそのような分子も用いることができる。例えば、主要組織適合遺伝子複合体(HLA)の発現を抑制するアンチセンスRNA分子は、免疫応答の観点で、最も多用途であることが分かっている。さらに、三重らせん分子は、標的遺伝子活性のレベルを減少させる際に利用することができる。これらの技術は、おり、L.G. Davis et al. (eds), 1994, BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 2nd ed., Appleton & Lange, Norwalk, CNに詳細に説明されており、参照によりその全体を本明細書に組み入れる。
《細胞培養》
単離した細胞は、細胞培養を開始または播種するために使用されてよい。単離した細胞は、コーティングされていない無菌組織培養容器、または細胞外マトリックスもしくはリガンド、例えばラミニン、コラーゲン(天然、変性、もしくは架橋)、ゼラチン、フィブロネクチン、および他の細胞外マトリックスタンパク質などでコーティングされた無菌組織培養容器に移される。細胞の成長を持続させ得る任意の培養培地で、細胞を培養する。その培地は、例えば、DMEM(高グルコースまたは低グルコース)、アドバンストDMEM、DMEM/MCDB201、イーグル基礎培地、ハムF10培地(F10)、ハムF12培地(F12)、イスコブ変法ダルベッコ培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)、DMEM/F12、RPMI1640、および商標名CELL-GRO-FREE(Mediatech, Inc., Herndon, VA)で販売される、血清/培養液の無い培地(serum/media free medium)であるが、これらに限定されない。培養培地には、1つまたは複数の成分を補うことができる。その成分は、例えば、ウシ胎仔血清(FBS)[好ましくは、約2〜15%(v/v)]、ウマ血清(ES)、ヒト血清(HS)、β−メルカプトエタノール(BMEもしくは2-ME)[好ましくは、約0.001%(v/v)]、1つまたは複数の成長因子[例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、白血球阻害因子(LIF)、およびエリスロポエチン(EPO)]、アミノ酸(L−バリンを含む)、ならびに、細菌汚染を制御するための1つまたは複数の抗生剤および/または抗真菌剤(例えば、ペニシリンG、硫酸ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、およびニスタチン)を、単独または組み合わせのいずれかで、含む。培養培地は、好ましくは成長培地を含む。
細胞成長が可能な密度で、培養容器に細胞を播種する。好適な実施形態では、約0〜約5容量%の大気CO2で、細胞を培養する。いくつかの好適な実施形態では、約2〜約25%の大気O2で、好ましくは約5〜約20%の大気O2で、細胞を培養する。好ましくは、細胞を、約25〜約40℃の温度で培養し、より好ましくは、37℃で培養する。好ましくは、細胞をインキュベーターで培養する。培養容器中の培地は、静止状態であるか、または、例えばバイオリアクターを用いて、撹拌することができる。いくつかの実施形態では、低酸化ストレス下で(例えば、グルタチオン、ビタミンC、カタラーゼ、ビタミンE、N−アセチルシステインを添加して)、細胞を成長させる。本明細書で使用される「低酸化ストレス」は、培養される細胞に対して、フリーラジカルによるダメージが全くないかまたは最小限である状態を指す。
前記の説明から、相当の利点を有する発明がもたらされていることが、明らかとなるはずである。本発明は、その形態のうちいくつかだけが示されているが、限定的なものではなく、本発明の趣旨から逸脱せずにさまざまな変更および改変が可能である。本発明の趣旨では、以下の実施例を提供する。
《実施例1 アルツハイマー病のアミロイド注入モデルにおけるhUTC》
この研究の目的は、アルツハイマー病(AD)のアミロイド注入モデルにおけるhUTCの有効性を判断することであった。記憶、アミロイド蓄積、および脳内における他の有効性指標に対する、hUTC投与の効果を、アミロイドタンパク質の注射後に評価した。ラットのアミロイドβタンパク質(βアミロイド)脳室内注入は、ADのモデル相を作ることができる。βアミロイドの正常な血漿キャリアである、高密度リポタンパク質(HDL)を使用して、βアミロイド依存性毒性および認知障害を引き起こすβアミロイドの凝集を減弱させる。ラットのin vivo注入モデルは、新しいAD療法をスクリーニングするための、有用で対費用効果の高い方法である。
I. 方法および材料
スプラーグドーリーラットに、カニューレおよび送達装置を植え込んだ。この動物の脳に、組み換えアミロイドタンパク質(実験群)またはリン酸緩衝生理食塩水(シャム対照)を2週間注入した。注入をやめ、動物は、1週間かけて回復させた。細胞を、100,000細胞/μLで準備し、ICVアクセスカニューレ経由の、100,000細胞/μL溶液2μLまたは100,000細胞/μL溶液5μLの1回注入で、動物を処理した。
合計で5つの処置群があった:
1群は、2週間、不活性タンパク質を与えられ、その後、細胞ビヒクル(生理食塩水)を1回注射された(「シャム対照」)。
2群は、2週間、不活性タンパク質で処理され、その後、500,000個のhUTCを1回注射された。
3群は、2週間、組み換えβアミロイドで処理され、その後細胞ビヒクル(生理食塩水)で処理された。
4群は、組み換えβアミロイドで処理され、その後、200,000個の試験細胞を1回注射された。
5群は、組み換えβアミロイドで処理され、その後、500,000個の試験細胞を1回注射された。
動物は、参照により全体として本明細書に組み込まれるWinkler et al, Neurobiol Aging, 1994; 15(5):601-607に記載のとおり、処置から回復させ、直径2mのタンクを用いて26℃の水温でモーリス水迷路試験により評価した。遠位固定キュー(cues)が部屋の壁周囲に置かれ、トライアル中、実験者はラットには見えないので、近位または可動キューは存在しない。毎日1回目のトライアル前に、動物は、空間的定位(spatial orientation)のために60秒間プラットフォーム上に置かれた。動物を、プラットフォームから移動させ、頭部は、動物が無作為のスタート位置に着いてタンクの壁に向かい合うまで、掛け布で覆われた。動物はまず、可視プラットフォーム試験(ブロック当たりトライアル4回、朝に1ブロック、午後にもう1ブロック;合計3ブロック)において1日半にわたり訓練された。次に、隠れプラットフォーム獲得(Hidden platform acquisition)を、その後の5日間にわたり試験した(ブロック当たり4回の水泳トライアル、1日当たり2ブロック)。動物は次に、プローブトライアルを受けた。プローブトライアルを行うため、プラットフォームをタンクから除去し、ラットを、20秒間タンク内に入れる。長期記憶が、逆隠れプラットフォーム位置(reverse hidden platform position)での、3日間の取得によって試験された(ブロック当たり4回のトライアル、1日当たり2ブロック)。この作業記憶は、試験6日目および7日目にプラットフォーム位置を変えることによって、試験された。獲得の最後のブロックに続き、別のプローブトライアルを行った。通路(Path)の長さおよび獲得は、HVS画像ソフトウェアおよび動画追跡システムHVS Image Ltd(Buckingham, UK)によって判断した。
全動物を、アミロイド注入開始から10週後(hUTC注入から7週後)に、屠殺した。動物を、ペントバルビタールナトリウムで麻酔し、プロテアーゼ阻害薬含有緩衝液での心灌流を行った。組織診断のために組織を回収した。脳を、矢状に分離し、1つの半球を免疫組織化学的検査のために凍結し、残りは、4%のPFAで浸水固定し、その後、パラフィンろうに封入した。
II. 結果
1日目、全処置群は、泳ぐスピードで評価した場合に、同様の能力を示した。泳ぐスピードは、1秒当たり0.21〜0.31mの範囲で、平均が0.24〜0.26であった。これらの結果は、インプラント処置による、肉眼でみえる運動障害がないことを示した(図1)。
2〜6日の隠れ獲得試験(Hidden acquisition testing)も、処置群間での一貫した能力を示し、泳ぐスピードの平均は1秒当たり0.25〜0.30mであった。ラットがプラットフォームを見つけるのにかかる時間である潜伏期(Latency)の測定値、およびギャラガー累積試験(Gallagher Cumulative testing)におけるスコアは、2〜5日において、処置群間で一貫した測定値を示した(図2および図3)。
5日目および6日目に、ギャラガー累積スコアは、陰性対照(1群および2群;ビヒクルとビヒクル、またはビヒクルとhUTC)ならびに細胞処理したコホート(4群および5群)と比べて、3群の動物(アミロイドと細胞ビヒクル)で上昇した(図3)。これらの差は、研究9日目まで維持され、8日および9日目に統計学的有意に達した。3群のスコアは、1、2、5群に比べ著しく高かった(図4)。潜伏期の測定値についても同様に、全群で時間と共に潜伏期が減少したが、3群は、残りの対照および処理コホートよりも、スコアが著しく高かった(図5)。
要するに、結果は、アミロイド処理が有効であり、傷害を誘発したこと、傷害のない動物を細胞処理することは、否定的反応を誘発しないこと、細胞処理により、局所投与されたアミロイドタンパク質による傷害を低減できることを、示している。
《実施例2 アルツハイマー病の遺伝的モデルにおけるhUTC》
この研究の目的は、アルツハイマー病の遺伝的モデルにおけるhUTCの有効性を判断することである。
I. 材料および方法
アルツハイマー病表現型を模倣し得る、消失遺伝子もしくは付加遺伝子(added genes)を有するげっ歯類モデルを使用する。これらの動物は、脳内でタンパク質の蓄積および堆積を誘発する、単一または複数の突然変異体を有する場合があり、脳内のタンパク質の蓄積および堆積は、脳内におけるいくつかのタンパク質の変質および蓄積の可能性につながり、これは、AD患者の脳に蓄積するアミロイドおよびタウなどのいくつかのタンパク質の変質および蓄積の可能性につながるものである。これらのモデルの例には、APP+PS1ダブルトランスジェニックマウス、プレセニリン(presenillin)でノックアウトした動物(アポEトランスジェニックマウス)が含まれるが、これらに限定されない。これらのタンパク質の蓄積は、細胞死および認知障害につながる。hUTCは、脳内への直接注射、または全身注射によって、投与され得る。水迷路能力などの機能試験、または同様の試験により、病態および細胞有効性を評価することができる。細胞は、1回の注射により、または複数回の注射の後で、投与され得る。これらは、免疫抑制薬療法を伴っていてもいなくてもよい。動物は、細胞有効性の大きさおよび持続期間を明確に評価するため、細胞注射後数週間にわたり評価される。これらの動物を、剖検後、組織診断により評価する。組織を収集して、アミロイド蓄積、および神経原線維変化の存在を評価することができる。細胞生存率および細胞死の典型的な評価は、TUNEL染色などの試験でも行うことができる。
II. 結果
実験は、ANOVAを使用して分析する。hUTCによる処理は、対照と比べて、機能試験に関する著しい改善がある場合に、有効である。これは、単一または複数の時点において証明され(established)得る。組織診断の結果は、対照と比べて、細胞処理動物において、アミロイドまたは神経原線維変化の罹患率が減少したことを示し得る。この結果は、単独であってもよいし、TUNEL、核濃縮核もしくは活性型カスパーゼなど、壊死性もしくはアポトーシス性の細胞死の主要指標を示す細胞の罹患率減少と共に観察されてもよい。これらのマーカーは、細胞処理動物の病態が低減しているかもしれないことを示唆し得る。
《実施例3 細胞の単離》
分娩後の臍帯および胎盤を、満期妊娠または早産の出産時に入手した。細胞を、臍帯および胎盤組織の5人の別々のドナーから採取した。異なる細胞単離方法が、1)幹細胞に共通している特徴である、異なる表現型を有する細胞へと分化する能力、または2)他の細胞および組織に有用である、重要な栄養因子を提供する能力、を備えた細胞をもたらす能力について、試験された。
臍細胞単離。臍帯を、National Disease Research Interchange(NDRI, Philadelphia, PA)から入手した。組織を、正常分娩の後に入手した。層流フードにおいて、細胞単離プロトコルを無菌で実行した。血液および残骸を取り除くために、ペニシリン 100ユニット/mL、ストレプトマイシン 100mg/mL、アンホテリシンB 0.25μg/mL(Invitrogen Carlsbad, CA)の存在下で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS; Invitrogen, Carlsbad, CA)で臍帯を洗浄した。その後、培地(DMEM-Low glucoseまたはDMEM-High glucose;Invitrogen)50mLを入れた150cm組織培養プレートにおいて、組織を機械的に解離させ、細かいパルプ状になるまで組織を刻んだ。刻まれた組織を50mLコニカルチューブへと移した(組織 約5g/チューブ)。
その後、組織を、ペニシリン 100ユニット/mL、ストレプトマイシン 100mg/mL、アンホテリシンB 0.25μg/mL、および消化酵素をそれぞれが含む、DMEM-Low glucose培地またはDMEM-High glucose培地のいずれかの中で消化した。いくつかの実験では、コラゲナーゼおよびディスパーゼの酵素混合物を用いた(「C:D」)(コラゲナーゼ(Sigma, St Louis, MO) 500ユニット/mL、およびディスパーゼ(Invitrogen) 50ユニット/mLを含むDMEM-Low glucose培地)。他の実験では、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、およびヒアルロニダーゼの混合物(「C:D:H」)を用いた(C:D:H=コラゲナーゼ 500ユニット/mL、ディスパーゼ 50ユニット/mL、およびヒアルロニダーゼ(Sigma)5ユニット/mLを含むDMEM-Low glucose)。組織、培地、および消化酵素を含むコニカルチューブを、37℃、225rpmのオービタルシェイカー(Environ, Brooklyn, NY)で2時間インキュベーションした。
消化の後、150×gで5分間、組織を遠心分離し、上澄みを吸引した。成長培地 20mL[DMEM: Low glucose(Invitrogen)、15%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS; defined fetal bovine serum;ロット番号AND18475;Hyclone, Logan, UT)、0.001%(v/v)2−メルカプトエタノール(Sigma)、ペニシリン 100ユニット/mL、ストレプトマイシン 100μg/mL、アンホテリシンB 0.25μg/mL(それぞれInvitrogen, Carlsbad, CAより)]に、ペレットを再懸濁した。細胞懸濁液を70μmナイロンBD FALCONセルストレイナー(70-micron nylon BD FALCON Cell Strainer)(BD Biosciences, San Jose, CA)でろ過した。成長培地を含む追加のリンス液 5mLを、ストレイナーに通した。その後、細胞懸濁液を40μmナイロンセルストレイナー(40-micrometer nylon cell strainer)(BD Biosciences, San Jose, CA)に通過させ、追加の成長培地 5mLのリンス液を追加した。
濾液を成長培地(全容量50mL)に再懸濁し、150×gで5分間、遠心分離した。上澄みを吸引し、細胞を新しい成長培地50mLに再懸濁した。この手順をさらに2回くり返した。
最後の遠心分離の後、上澄みを吸引し、細胞ペレットを新しい成長培地5mLに再懸濁した。トリパンブルー染色を用いて、生存細胞の数を決定した。その後、細胞を標準条件で培養した。
成長培地を入れた、ゼラチンコーティングしたT−75フラスコ(Corning Inc., Corning, NY)に、臍帯組織から単離した細胞を5,000細胞/cmで播種した。2日後、使用後の培地、および付着しなかった細胞をフラスコから吸引した。付着細胞を、PBSで3回洗浄し、残骸および血液由来細胞を取り除いた。その後、細胞に成長培地を補充し、コンフルエントまで成長させ、1代継代とした(0代継代から約10日)。その後の継代では(1代継代から2代継代等)、4〜5日で、細胞はサブコンフルエント(75〜85%コンフルエント)に到達した。これらのその後の継代については、細胞を5,000細胞/cmで播種した。5%二酸化炭素を含む加湿インキュベーターにおいて、37℃で細胞を成長させた。
LEBERASE(商標)(2.5mg/mL、Blendzyme 3(商標);Roche Applied Sciences, Indianapolis, IN)およびヒアルロニダーゼ(5ユニット/mL、Sigma)を含むDMEM-Low glucose培地において、臍帯組織から細胞を単離した。組織の消化、および細胞の単離は、他のプロテアーゼ消化について前述したとおりであるが、LIBERASE(商標)/ヒアルロニダーゼ混合物を、C:DまたはC:D:H酵素混合物の代わりに使用した。LIBERASE(商標)による組織消化は、容易に増殖した分娩後組織からの細胞集団の単離を結果としてもたらした。
異なる酵素の組み合わせを用いて、臍帯から細胞を単離する処置を比較した。消化について比較された酵素は以下を含んだ:i)コラゲナーゼ;ii)ディスパーゼ;iii)ヒアルロニダーゼ;iv)コラゲナーゼ:ディスパーゼ混合物(C:D);v)コラゲナーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:H);vi)ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(D:H);vii)コラゲナーゼ:ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:D:H)。これらの異なる酵素消化条件を使用した細胞単離の差異を観察した(表3−1)。
異なるアプローチによって臍帯から細胞の集まり(pools)を単離する、他の試みを行った。ある場合には、臍帯をスライスし、成長培地で洗浄して、血餅およびゼラチン質の物質を取り除いた。血液、ゼラチン質の物質、および成長培地の混合物を収集し、150xgで遠心分離した。ペレットを再懸濁し、成長培地において、ゼラチンでコーティングされたフラスコ上に播種した。これらの実験から、容易に増殖した細胞集団を単離した。
細胞はまた、NDRIから入手した臍帯血サンプルからも単離された。使用した単離プロトコルは、Ho et al.による国際特許出願WO 2003/025149のものである(Ho, T. W., ef al, "Cell Populations Which Co-Express CD49C and CD90," 出願番号PCT/US02/29971, 参照によりその全体を本明細書に組み込む)。臍帯血のサンプル(それぞれ50mLおよび10.5mL)(NDRI, Philadelphia PA)を、溶解緩衝液(濾過滅菌された(filter-sterilized)155ミリモルの塩化アンモニウム、10ミリモルの炭酸水素カリウム、0.1ミリモルの、pH7.2に緩衝化されたEDTA(全成分はSigma, St. Louis, MOより))と混合した。細胞は、臍帯血と溶解緩衝液が1:20の割合で溶解された。結果として得られた細胞懸濁液を5秒間ボルテックスし、周囲温度で2分間インキュベーションした。可溶化液を遠心分離した(200xgで10分間)。細胞ペレットは、10%のウシ胎仔血清(Hyclone, Logan UT)、4ミリモルのグルタミン(Mediatech, Herndon, VA)、100ユニット/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco, Carlsbad, CA)を含有するComplete Minimal Essential培地(Gibco, Carlsbad CA)中で再懸濁された。再懸濁した細胞を遠心分離し(200xgで10分間)、上澄みを吸引し、細胞ペレットをcomplete培地中で洗浄した。細胞を、T75フラスコ(Corning, NY)、T75ラミニンコーコーティングフラスコ、またはT175フィブロネクチンコーティングフラスコ(2つともBecton Dickinson, Bedford, MA)中に直接播種した。
細胞集団が異なる条件下で単離され、単離直後にさまざまな条件下で増殖できるかどうかを判断するため、0.001%(v/v)2−メルカプトエタノール(Sigma, St. Louis, MO)を含むかまたは含まない成長培地で、C:D:Hの酵素組み合わせを用いて、前記の手順に従って細胞を消化した。ペニシリン 100ユニット/mLおよびストレプトマイシン 100μg/mLの存在下で全ての細胞を成長させた。全試験条件下で、細胞は、0代継代と1代継代との間で、十分に付着し増殖した(表3−2)。5〜8および13〜16の条件での細胞は、播種後、細胞が低温保存される4代継代までは十分増殖したことが示された。
C:D:Hの組み合わせは、単離後、最もよい細胞の収量を提供し、他の条件よりも多くの世代にわたって培養中に増殖した細胞を生成した(表3−1)。増殖可能な細胞集団は、コラゲナーゼまたはヒアルロニダーゼ単独では、得られなかった。この結果が試験したコラゲナーゼに特異的なものであるかどうかを判断する試みは行っていない。
Figure 0005908394
略語:+=良い、 ++=非常に良い、 +++=極めて良い、 X=成功せず
細胞は、酵素消化および成長について試験した全条件下において、0代継代と1代継代との間で十分付着および増殖した(表3−2)。実験条件5〜8および13〜16の細胞は、低温保存される4代継代までは、播種後十分に増殖した。全ての細胞を、さらなる分析のため、低温保存した。
Figure 0005908394
有核細胞が、急速に付着および成長した。これらの細胞は、フローサイトメトリーにより分析され、酵素消化により得られた細胞と同様であった。
製剤は、赤血球および血小板を含有した。最初の3週間は、有核細胞は付着および分裂しなかった。培地を、播種後3週間で変え、付着および成長した細胞は観察されなかった。
細胞集団は、酵素の組み合わせ、すなわち、コラゲナーゼ(メタロプロテアーゼ)、ディスパーゼ(中性プロテアーゼ)およびヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を分解する粘液溶解酵素)を用いて、効果的に臍組織から単離できた。コラゲナーゼと中性プロテアーゼとのブレンドであるLIBERASE(商標)も使用することができる。コラゲナーゼ(4Wunschユニット/g)およびサーモリシン(1714カゼインユニット/g)である、Blendzyme 3(商標)もヒアルロニダーゼと共に使用されて、細胞を単離した。これらの細胞は、成長増殖培地においてゼラチンコーティングされたプラスチック上で培養されると、多くの継代にわたり容易に増殖した。
細胞は、臍帯中の残りの血液からも単離されたが、臍帯血からは分離されなかった。使用した条件下で付着および成長した、組織から洗浄された血餅中の細胞の存在は、切開プロセス中に放出されている細胞によるものであろう。
《実施例4 分娩後由来細胞の成長特性》
分娩後由来細胞の細胞増殖能力を、他の単離された幹細胞集団と比較した。老化までの細胞増殖プロセスは、ヘイフリックの限界と呼ばれる(Hayflick L., The longevity of cultured human cells. J. Am. Geriatr. Soc. 22(1): 1-12, 1974; Hayflick L., The strategy of senescence. Gerontologist 14(1):37-45), 1974)。
I. 材料および方法
ゼラチンコーティングしたフラスコ。20mLの2%(w/v)ゼラチン(Type B: 225 Bloom; Sigma, St Louis, MO)をT75フラスコ(Corning Inc., Corning, NY)に、室温で20分間添加することによって、組織培養プラスチックフラスコをコーティングした。ゼラチン溶液の除去後、10mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を添加し、その後吸引した。
分娩後由来細胞と、他の細胞集団との、増殖能力の比較。成長増殖能力の比較のため、以下の細胞集団を用いた;i)間葉系幹細胞(MSC; Cambrex, Walkersville, MD);ii)脂肪由来細胞(米国特許第6,555,374B1;米国特許出願公開US20040058412);iii)正常な皮膚線維芽細胞(cc-2509 ロット番号9F0844;Cambrex, Walkersville, MD);iv)臍由来細胞。細胞は、最初に、成長培地中、ゼラチンコーティングしたT75フラスコ上に、5,000細胞/cmで播種された。その後の継代では、細胞培養物を以下のように処理した。トリプシン処理後、生存細胞を、トリパンブルー染色の後でカウントした。細胞懸濁液(50μL)を、トリパンブルー(50μL、Sigma, St. Louis MO)と配合した。血球計数器を使用して、生存細胞数を予測した。
カウント後、細胞は、25mLの新鮮な成長培地中、ゼラチンコーティングしたT75フラスコ上に5,000細胞/cmで播種された。細胞を、標準大気(5%(v/v)の二酸化炭素)中、37℃で成長させた。成長培地を、1週間に2回変えた。細胞が約85%のコンフルエントに達したら、細胞を継代させた。このプロセスを、細胞が老化に達するまで繰り返した。
各継代で、細胞をトリプシン処理してカウントした。生存細胞収量、集団倍加[ln(最終の細胞/最初の細胞)/ln2]、および倍加時間(培養中の時間/集団倍加)を計算した。最適な細胞増殖を決定する目的で、継代当たりの総細胞収量が、各継代の増殖因子に、前の継代の総収量を掛け合わせることにより、決定された(すなわち、増殖因子=最終の細胞/最初の細胞)。
低密度での、細胞バンク(cell banks)の増殖能力。10代継代で預けられた(banked)の細胞の増殖能力も試験した。異なる1組の条件を使用した。正常な皮膚線維芽細胞(cc-2509 ロット番号 9F0844; Cambrex, Walkersville, MD)、臍由来細胞、および胎盤由来細胞を試験した。これらの細胞集団は、その前に10代継代で預けられており、各継代5,000細胞/cmで、その時点まで培養されていた。10代継代での細胞解凍後の細胞集団に対する細胞密度の影響を判断した。細胞は、標準条件下で解凍され、トリパンブルー染色を用いてカウントされた。解凍した細胞は次に、成長培地中、1,000細胞/cmで播種された。細胞は、37℃で、通常の大気条件下で成長した。成長培地を1週間に2回変えた。細胞は、約85%コンフルエンスに達すると、継代された。細胞は、その後、老化まで、すなわち、それ以上増殖できなくなるまで、継代された。細胞は、各継代で、トリプシン処理されカウントされた。細胞収量、集団倍加(ln(最終の細胞/最初の細胞)/ln2)および倍加時間(培養中の時間)/集団倍加)を計算した。継代当たりの総細胞収量は、各継代の増殖因子に、その前の継代の総収量を掛け合わせることにより決定された(すなわち、増殖因子=最終の細胞/最初の細胞)。
最初の細胞播種からの、低密度での分娩後由来細胞の増殖。低細胞播種条件下での、新たに単離された分娩後由来細胞培養物の増殖能力を、別の実験で試験した。臍由来細胞および胎盤由来細胞を、前の実施例に記載のとおり、単離した。細胞は、1,000細胞/cmで播種され、老化まで前記のように継代された。細胞は、37℃で、標準的な大気条件下で成長した。成長培地を、1週間に2回変えた。細胞は、約85%コンフルエンスに達すると、継代された。各継代で、細胞をトリプシン処理して、トリパンブルー染色によりカウントした。細胞収量、集団倍加(ln(最終の細胞/最初の細胞)/ln2)、および倍加時間(培養中の時間/集団倍加)を、各継代について計算した。継代当たりの総細胞収量は、各継代の増殖因子と、先の継代の総収量を掛け合わせることにより決定された(すなわち、増殖因子=最終の細胞/最初の細胞)。細胞は、ゼラチンコーティングフラスコ、および非ゼラチンコーティングフラスコで成長した。
低酸素培養条件における細胞の増殖。低O細胞培養条件が、ある場合には、細胞増殖を改善し得ることが証明されている(Csete, Marie; Doyle, John; Wold, Barbara J.; McKay, Ron; Studer, Lorenz. Low oxygen culturing of central nervous system progenitor cells. US20040005704)。臍由来細胞の細胞増殖が細胞培養条件を変えることで改善できるかどうかを判断するため、分娩後由来細胞の培養物を、低酸素条件で成長させた。細胞を、成長培地中、ゼラチンコーティングフラスコ上で、5,000細胞/cmで播種した。細胞は、最初は、5代継代にわたり標準的な大気条件下で培養され、5代継代の時点で、低酸素(5% O)培養条件に移された。
他の成長条件。他の実験では、細胞は、コーティング無しプレート、コラーゲンコーティングプレート、フィブロネクチンコーティングプレート、ラミニンコーティングプレート、およびマトリゲルコーティングプレート上で増殖された。培養物は、これらの異なるマトリックス上で十分増殖することが示された。
II. 結果
分娩後由来細胞と、他の細胞集団との、増殖能力の比較。臍由来細胞および胎盤由来細胞は、40継代超にわたり増殖し、60日で>1E17個の細胞の細胞収量を生成した。それとは対照的に、MSCおよび線維芽細胞は、<25日後、および<60日後にそれぞれ老化した。脂肪由来細胞および網細胞は双方、ほぼ60日にわたり増殖したが、これらは、4.5E12および4.24E13個の総細胞収量をそれぞれ生成した。したがって、使用した実験条件下で、5,000細胞/cmで播種されると、分娩後由来細胞は、同じ条件下で成長した他の細胞型よりも、はるかによく増殖した(表4−1)。
Figure 0005908394
低密度での、細胞バンクの増殖能力(Expansion of potential)。臍由来細胞、胎盤由来細胞、および線維芽細胞は、10代継代超にわたり増殖し、60日で>1E11個の細胞の細胞収量を生成した(表4−2)。これらの条件下で60日後、線維芽細胞は老化したが、臍由来細胞および胎盤由来細胞集団は、80日後に老化し、>50、>40集団倍加をそれぞれ完了した。
Figure 0005908394
低酸素培養条件における細胞の増殖。細胞は低酸素条件下で十分に増殖したが、低酸素条件下での培養は、分娩後由来細胞の細胞増殖に対してはあまり効果がないようである。標準的大気条件は、十分な数の細胞を成長させるのにうまくいくことが既に証明されており、低酸素培養は、分娩後由来細胞の成長には必要でない。
概要。標準的な大気中酸素の下、約5,000細胞/cm密度で、成長培地中、ゼラチンコーティングされるかまたはコーティングなしのフラスコ上で、単離された分娩後由来細胞を成長させる現在の細胞増殖条件は、多数の細胞を11代継代で生成するのに十分である。さらに、データは、細胞が低密度培養条件(例えば、1,000細胞/cm)を用いて容易に増殖し得ることを示唆している。低酸素条件における分娩後由来細胞増殖も、細胞増殖を促進するが、細胞増殖能力の漸進的改善は、これらの成長条件を使用した場合に、観察されていない。現在、標準的な大気条件下で分娩後由来細胞を培養することが、細胞の大きな集まりを生成するのに好ましい。しかしながら、培養条件を変えた場合、分娩後由来細胞増殖は同様に変えられることができる。このストラテジーを用いて、これらの細胞集団の増殖および分化能力を高めることができる。
利用した条件下で、MSCおよび脂肪由来細胞の増殖能力は限られているが、分娩後由来細胞は、容易に多くの数まで増殖した。
《実施例5 D‐バリン含有培地での分娩後由来細胞の成長》
通常のL−バリンアイソフォームの代わりにD−バリンを含有する培地を用いて、培養中の線維芽細胞様細胞の成長を選択的に抑制できることが報告されている(Hongpaisan, Inhibition of proliferation of contaminating fibroblasts by D-valine in cultures of smooth muscle cells from human myometrium. Cell Biol Int. 2000; 24:1-7; Sordillo et al., Culture of bovine mammary epithelial cells in D-valine modified medium: selective removal of contaminating fibroblasts. Cell Biol Int Rep. 1988; 12:355-64)。実験を行って、分娩後由来細胞が、D−バリンを含有する培地で成長できるかどうか判断した。
III. 方法および材料
胎盤由来細胞(P3)、臍由来細胞(P5)および線維芽細胞(P9)を、5,000細胞/cmで、ゼラチンコーティングしたT75フラスコ(Corning, Corning, NY)において播種した。24時間後、培地を取り除き、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco, Carlsbad, CA)で洗浄して、残りの培地を取り除いた。培地は、修飾成長培地(D−バリンを含むDMEM(特注品 Gibco)、15%(v/v)透析ウシ胎仔血清(Hyclone, Logan, UT)、0.001%(v/v)βメルカプトエタノール(Sigma)、50ユニット/mLのペニシリン、および50mg/mLのストレプトマイシン(Gibco))と取り替えられた。
IV. 結果
D−バリン含有培地に播種された胎盤由来細胞、臍由来細胞および線維芽細胞は、透析血清を含有する成長培地に播種された細胞と異なり、増殖しなかった。線維芽細胞は形態学的に変化し、サイズが大きくなり、形状が変わった。細胞は全て死滅し、最終的には、4週間後にフラスコ表面から離れた。したがって、分娩後由来細胞は、細胞成長のため、および長期間の生存を維持するために、L−バリンを必要とすると結論付けることができる。L−バリンは、分娩後由来細胞については成長培地から除去されないのが好ましい。
《実施例6 PPDCの核型分析》
細胞療法に使用される細胞株は、好ましくは、同種であり、汚染細胞型を含まない。細胞療法に使用されるヒト細胞は、正常な構造を有する、正常な数(46)の染色体を有していなければならない。同種であり、分娩後組織由来でない細胞を含まない、分娩後由来細胞の胎盤および臍帯の株を識別するため、細胞サンプルの核型を分析した。
V. 材料および方法
オスの新生仔(male neonate)の分娩後組織由来のPPDCを成長培地で培養した。オスの新生仔由来の分娩後組織(X、Y)は、新生仔由来細胞と母系由来細胞(X、X)との間で識別を行うように選択された。細胞は、1平方センチ当たり5,000細胞で、T25フラスコ(Corning, Corning, NY)中、成長培地において播種され、80%コンフルエントまで増殖された。細胞を含有するT25フラスコは、ネック部分まで成長培地を入れられた。サンプルは、臨床組織遺伝学研究所までクーリエにより送達された(研究所間の輸送時間は1時間と予測される)。染色体分析は、ニュージャージー州ニューアークのNew Jersey Medical SchoolにあるCenter for Human & Molecular Geneticsにより行われた。細胞は、染色体が最もよく見える分裂中期の間に分析された。カウントされた分裂中期の20個の細胞のうち5個を、正常な同種核型数(2)について分析した。細胞サンプルは、2つの核型が観察された場合に同種であると特徴付けられた。細胞サンプルは、3つ以上の核型が観察された場合に異種であると特徴付けられた。異種性の核型数(4)が識別されると、追加の分裂中期細胞をカウントし、分析した。
VI. 結果
染色体分析のため送られた全細胞サンプルは、細胞遺伝学研究室のスタッフによって、正常外見を呈していると解釈された。分析された16の細胞株のうち3つが、異種性の表現型(XXおよびXY)を表し、これは、新生仔起源および母系起源の双方に由来する細胞が存在することを示している(表6−1)。組織胎盤-N由来の細胞を、新生仔相(neonatal aspect)の胎盤から単離した。0代継代において、この細胞株は、同種のXYのようであった。しかしながら、9代継代では、細胞株は異種性(XX/XY)であり、母系起源の細胞が、先に検出されずに存在していること(previously undetected presence)を示している。細胞サンプルはそれぞれ、同種であると特徴付けられた(表6−1)。
Figure 0005908394
略語: N:新生仔側; V:絨毛領域; M:母系側; C:クローン
概要。染色体分析は、臨床細胞遺伝学研究室により解釈されたときに核型が正常であるように思われる胎盤由来および臍由来PPDCを識別した。核型分析はまた、同種核型により判断される、母系性細胞を含まない細胞株も識別した。
《実施例7 ヒト分娩後由来細胞表面マーカーのフローサイトメトリー評価》
フローサイトメトリーによる細胞表面タンパク質または「マーカー」の特徴付けを用いて、細胞株の同一性を判断することができる。発現の一貫性は、複数のドナーから、異なる処理および培養条件にさらされた細胞において、判断され得る。臍から単離された分娩後細胞株は、フローサイトメトリーにより特徴付けられ、これらの細胞株の同定のプロファイルを与えた。
VII. 材料および方法
培地および培養容器。細胞は、プラズマ処理されたT75、T150、T225組織培養フラスコ(Corning, Corning, NY)中、成長培地で、コンフルエントまで培養された。フラスコの成長表面は、2%(w/v)ゼラチン(Sigma, St. Louis, MO)を20分間室温でインキュベーションすることにより、ゼラチンによりコーティングされた。
抗体染色。フラスコ中の付着細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS);(Gibco, Carlsbad, MO)で洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco)で分離した。細胞を回収し、遠心分離し、3%(v/v)FBSを含むPBSで、1x10/mLの細胞濃度で再懸濁した。製造業者の仕様書に従って、目的の細胞表面マーカーに対する抗体(以下参照)を、100μLの細胞懸濁液に加え、混合物を、30分間4℃で暗所においてインキュベーションした。インキュベーション後、細胞を、PBSで洗浄し、遠心分離して、非結合抗体を除去した。細胞を、500μLのPBS中に再懸濁して、フローサイトメトリーにより分析した。
フローサイトメトリー分析。フローサイトメトリー分析は、FACScalibur(商標)器具(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて行った。
細胞表面マーカーに対する抗体。細胞表面マーカーに対する以下の抗体を使用した。
Figure 0005908394
胎盤由来細胞および臍帯由来細胞の比較。胎盤由来細胞を、8代継代で臍帯由来細胞と比較した。
継代間の比較。胎盤細胞および臍帯細胞を、8代継代、15代継代、20代継代で分析した。
ドナー間の比較。ドナー間の差異を比較するため、異なるドナー由来の胎盤由来細胞を互いに比較し、異なるドナー由来の臍帯由来細胞を互いに比較した。
表面コーティングの比較。ゼラチンコーティングしたフラスコで培養された胎盤由来細胞を、コーティングなしフラスコで培養された胎盤由来細胞と比較した。ゼラチンコーティングしたフラスコで培養された臍帯由来細胞を、コーティングなしフラスコで培養された臍帯由来細胞と比較した。
VIII. 結果
消化酵素比較。細胞の単離および準備に使用される4つの処理を比較した。1)コラゲナーゼ;2)コラゲナーゼ/ディスパーゼ;3)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ;4)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ/ディスパーゼでの処理による、分娩後組織由来の細胞を比較した。
胎盤層比較。母系相(maternal aspect)の胎盤組織から単離した細胞を、胎盤組織の絨毛領域から単離した細胞、および新生仔胎児相(neonatal fetal aspect)の胎盤から単離した細胞と、比較した。
胎盤由来細胞を、臍帯由来細胞と比較した。フローサイトメトリーにより分析された胎盤由来細胞および臍帯由来細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、HLA-A,B,Cの産生に対して陽性を示し、これは、IgG対照に対する蛍光値の増大で示される。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの検出可能な発現について陰性であり、そのことは、IgG対照と同程度の蛍光値によって示された。陽性曲線の蛍光値における変動が説明された。陽性曲線の平均(すなわち、CD13)および範囲(すなわち、CD90)が、変動を示していたが、曲線は正常に見えており、同種集団であることを確認した。両方の曲線のそれぞれが、IgG対照よりも高い値を示していた。
胎盤由来細胞の継代間比較。フローサイトメトリーにより分析した、8代継代、15代継代、20代継代の胎盤由来細胞はすべて、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cの産生について陽性であり、そのことは、IgG対照に対する蛍光値の増大に反映された。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの産生について陰性であり、蛍光値は、IgG対照と一致していた。
臍帯由来細胞の継代間比較。フローサイトメトリーにより分析した、8代継代、15代継代、20代継代の臍帯由来細胞はすべて、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cを発現し、そのことは、IgG対照に比べて増加した蛍光により示された。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQに対して陰性であり、そのことは、IgG対照と一致する蛍光値により示されていた。
胎盤由来細胞のドナー間比較。フローサイトメトリーにより分析した、別々のドナーから単離した胎盤由来細胞はそれぞれ、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cを発現し、IgG対照に比べて蛍光値が増加していた。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの産生については陰性であり、それらは、IgG対照と一致する蛍光値で示されていた。
臍帯由来細胞のドナー間比較。フローサイトメトリーにより分析した、別々のドナーから単離した臍帯由来細胞はそれぞれ、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cの産生について陽性を示し、そのことは、IgG対照に比べて増加した蛍光値に反映された。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの産生については陰性であり、蛍光値はIgG対照と一致していた。
胎盤由来細胞に対する、ゼラチンによる表面コーティングの効果。フローサイトメトリーにより分析された、ゼラチンコーティングされたフラスコまたはコーティングなしフラスコのいずれかで増殖した、胎盤由来細胞はすべて、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cを発現し、そのことは、IgG対照に比べて増加した蛍光値に反映された。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの産生については陰性であり、そのことは、IgG対照と一致する蛍光値により示された。
臍帯由来細胞に対する、ゼラチンによる表面コーティングの効果。フローサイトメトリーにより分析された、ゼラチンコーティングされたフラスコまたはコーティングなしフラスコのいずれかで増殖した、臍帯由来細胞はすべて、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cの産生について陽性であり、IgG対照に比べて蛍光値が増加していた。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの産生については陰性であり、蛍光値はIgG対照と一致していた。
細胞表面マーカープロファイルに対する、細胞の準備および単離に使用される酵素消化処置の効果の評価。フローサイトメトリーにより分析された、さまざまな消化酵素を用いて単離した胎盤由来細胞はすべて、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cを発現し、そのことは、IgG対照と比べて増加した蛍光値により示される。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの産生については陰性であり、そのことは、IgG対照と一致する蛍光値により示された。
胎盤層比較。胎盤の母系、絨毛、および新生児の層それぞれに由来し、フローサイトメトリーにより分析された細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cの産生について陽性を示し、そのことは、IgG対照と比べて増加した蛍光値により示される。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQの産生については陰性であり、そのことは、IgG対照と一致する蛍光値により示された。
概要。フローサイトメトリーによる胎盤および臍帯由来の分娩後細胞の分析により、これらの細胞株の同一性が確立された。胎盤および臍帯由来の分娩後細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr-alpha、およびHLA-A,B,Cについて陽性であり、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA-DR,DP,DQについては陰性であった。この同一性は、ドナー、継代、培養容器表面コーティング、消化酵素、および胎盤層を含む変数の変動間で一致していた。個人の蛍光値ヒストグラム曲線の平均および範囲にはいくつかの変動が見られたが、試験したすべての条件下のすべての陽性曲線は正常であったし、IgG対照よりも高い蛍光値を示していた。したがって、細胞は、マーカーの陽性発現を有する同種集団を含むことが確認された。
《実施例8 オリゴヌクレオチドアレイによる細胞の分析》
臍由来細胞および胎盤由来細胞の遺伝子発現プロファイルを、線維芽細胞、ヒト間葉系幹細胞、およびヒト骨髄に由来した別の細胞株と比較するために、オリゴヌクレオチドアレイを用いた。この分析により、分娩後由来細胞の特徴が提供されるとともに、これらの細胞について特有の分子マーカーが同定された。
IX. 材料および方法
細胞の単離および培養。
分娩後組織由来細胞。患者の同意を得た正常分娩のヒト臍帯および胎盤を、National Disease Research Interchange(NDRI, Philadelphia, PA)から入手した。実施例1に説明したように、組織を受領し、細胞を単離した。ゼラチンコーティングした組織培養プラスチックフラスコ上の成長培地で、細胞を培養した。37℃、5%COで、培養物をインキュベーションした。
線維芽細胞。ヒト皮膚線維芽細胞を、Cambrex Incorporated(Walkersville, MD;ロット番号9F0844)、およびATCC CRL-1501(CCD39SK)から購入した。10%(v/v)ウシ胎仔血清(Hyclone)およびペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を含むDMEM/F12培地(Invitrogen, Carlsbad, CA)で、両方の細胞株を培養した。細胞を標準組織処理プラスチック上で成長させた。
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)。hMSCを、Cambrex Incorporated(Walkersville, MD;ロット番号2F1655、2F1656、および2F1657)から購入し、MSCGM培地(Cambrex)で製造業者の説明書に従って培養した。37℃、5%COで、標準組織培養プラスチック上で、細胞を成長させた。
ヒト腸骨稜骨髄細胞(ICBM)。患者の同意を得て、ヒト腸骨稜骨髄をNDRIから受領した。Ho, et al.(WO03/025149)により概説された方法に従って、骨髄を処理した。可溶化バッファー(155mM NHCl、10mM KHCO、および0.1mM EDTA,pH7.2)と骨髄を、可溶化バッファー20部に対して骨髄1部の比率で、混合した。細胞懸濁液をボルテックスし、2分間、大気温度でインキュベーションし、500×gで10分間、遠心分離した。上澄みを捨て、10%(v/v)ウシ胎仔血清および4mM グルタミンを補った最小必須培地α(Invitrogen)に、細胞ペレットを再懸濁した。細胞を再び遠心分離し、細胞ペレットを新鮮な培地に再懸濁した。トリパンブルー排除(Sigma, St. Louis, MO)を用いて、生存可能な単核細胞をカウントした。組織培養プラスチックフラスコに、単核細胞を5×10細胞/cmで播種した。37℃、5%CO、および、標準大気Oまたは5%Oのいずれかで、細胞をインキュベーションした。培地交換なしに、細胞を5日間培養した。培養5日後に、培地および非付着細胞を取り除いた。付着細胞は、培養中で維持された。
mRNAの単離およびGENECHIP分析。活発に成長している細胞の培養物を、冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で、細胞スクレーパーにより、フラスコから取り除いた。300×gで5分間、細胞を遠心分離した。上澄みを取り除き、細胞を新鮮なPBSに再懸濁し、再び遠心分離した。上澄みを取り除き、細胞ペレットを瞬間凍結し、−80℃で保管した。細胞のmRNAを抽出し、cDNAに転写した。その後、cDNAはcRNAへと転写され、ビオチン標識された。ビオチン標識cRNAをAffymetrix GENECHIP HG-U 133 Aオリゴヌクレオチドアレイ(Affymetrix, Santa Clara, CA)とハイブリダイズさせた。製造業者の説明書に従って、ハイブリダイゼーションおよびデータ収集を実行した。製造業者の説明書に従って、ハイブリダイゼーションおよびデータ収集を実行した。「マイクロアレイの有意性分析(Significance Analysis of Microarrays)(SAM)」1.21版コンピュータソフトウェア(Tusher, V.G. et al., 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 5116-5121)を用いて、データ分析を実行した。この分析ソフトウェアのライセンスは、Office of Technology Licensing, Stanford Universityを通じて入手でき、さらなる情報は、Stanford University; Tusher, V.G. et al., 2001, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 5116-5121で入手可能である。
II. 結果
14個の異なる細胞集団をこの研究で分析した。細胞を、継代情報、培養基質、および培養培地とともに、表8−1に一覧にした。
Figure 0005908394
前述のとおり、SAMソフトウェアを用いて、主成分分析により、データを評価した。分析により、試験した細胞で、異なる相対量で発現している290個の遺伝子が明らかとなった。この分析は、集団間での相対的な比較をもたらした。
表8−2は、細胞対の比較について計算されたユークリッド距離を示している。ユークリッド距離は、細胞型間で異なって発現した290個の遺伝子に基づいた細胞の比較に基づいている。ユークリッド距離は、290個の遺伝子の発現間の類似性と反比例している。
Figure 0005908394
表8−3、表8−4、および表8−5は、胎盤由来細胞において増加した遺伝子の発現(表8−3)、臍組織由来細胞において増加した遺伝子の発現(表8−4)、ならびに臍帯および胎盤由来細胞で減少した遺伝子の発現(表8−5)を示している。
Figure 0005908394
Figure 0005908394
Figure 0005908394
Figure 0005908394
表8−6、表8−7、表8−8は、ヒト線維芽細胞(表8−6)、ICBM細胞(表8−7)、およびMSC(表8−8)において増加した遺伝子発現を示している。
Figure 0005908394
Figure 0005908394
Figure 0005908394
概要。本研究は、臍帯および胎盤に由来する分娩後細胞の分子的特徴付けをもたらすために行われた。この分析には、異なる3つの臍帯および異なる3つの胎盤に由来する細胞が含まれた。この研究には、異なる2つの皮膚線維芽細胞株、3つの間葉系幹細胞株、および3つの腸骨稜骨髄細胞株も含まれた。22,000個の遺伝子についてのオリゴヌクレオチドプローブを含むGENECHIPオリゴヌクレオチドアレイ上で、これらの細胞により発現したmRNAを分析した。
分析により、290個の遺伝子の転写物が、これらの5つの異なる細胞型中に異なる量で存在したことが明らかになった。これらの遺伝子には、胎盤由来細胞で特異的に増加した10個の遺伝子、および臍組織由来細胞で特異的に増加した7個の遺伝子が含まれる。胎盤および臍帯において、54個の遺伝子が、特に低い発現レベルを有することが見出された。
実施例7に示すように、選択された遺伝子の発現をPCRで確認した。一般には分娩後由来細胞、具体的には臍由来細胞が、例えば、ここで試験した骨髄由来細胞および線維芽細胞などの他のヒト細胞と比べて、異なる遺伝子発現プロファイルを有する。
《実施例9 分娩後由来細胞における細胞マーカー》
ヒトの胎盤および臍帯に由来する細胞の遺伝子発現プロファイルを、Affymetrix GENECHIPを用いて、他の供給源由来の細胞のものと比較した。6個の「特徴」遺伝子を同定した。それらはoxidized LDL receptor 1、interleukin-8(IL-8)、rennin、reticulon、chemokine receptor ligand 3 (CXC ligand 3)、およびgranulocyte chemotactic protein 2 (GCP-2)である。これらの「特徴」遺伝子は、臍由来細胞において相対的に高いレベルで発現した。
本実施例で説明する手法を実行して、マイクロアレイデータを検証し、遺伝子発現およびタンパク質発現のデータを比較し、また、分娩後由来細胞に特有の同定因子の検出のための一連の信頼性のある解析を確立した。
X. 方法および材料
細胞。胎盤由来細胞(3つの単離物)(主に新生児の1つの単離物を含む(核型分析により決定))、臍由来細胞(4つの単離物)、および正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF:新生児および成人)を、ゼラチンコーティングしたT75フラスコ内で成長培地中で成長させた。間葉系幹細胞(MSC)を、間葉系幹細胞成長培地Bulletキット(Mesenchymal Stem Cell Growth Medium Bullet kit)(MSCGM; Cambrex, Walkerville, MD)で成長させた。
IL-8実験のために、細胞を液体窒素から解凍し、5,000細胞/cmでゼラチンコーティングフラスコに蒔き、48時間、成長培地中で成長させ、その後、血清枯渇培地 10mL[DMEM-low glucose(Gibco, Carlsbad, CA)、ペニシリン(50ユニット/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)(Gibco)、および0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA)(Sigma, St. Louis, MO)]中で8時間さらに成長させた。次にRNAを抽出し、150×gで5分間、上澄みを遠心分離して、細胞残骸を取り除いた。ELISA分析まで、上澄みを−80℃で凍結した。
ELISA分析のための細胞培養。ヒト新生児包皮由来のヒト線維芽細胞と同様に、ゼラチンコーティングしたT75フラスコ中の成長培地において、ヒトの胎盤および臍帯由来の分娩後細胞を培養した。11代継代で、細胞を液体窒素により凍結した。細胞を解凍し、15mL遠心分離チューブに移した。150×gで5分間遠心分離した後、上澄みを廃棄した。培養培地4mLに細胞を再懸濁し、カウントした。成長培地15mLを含む75cmフラスコにおいて、37,500細胞/フラスコで、細胞を24時間成長させた。培地を、8時間の血清枯渇培地に変更した。インキュベーションの終了時に血清枯渇培地を収集し、14,000×gで5分間、遠心分離した(そして、−20℃で保管した)。
各フラスコにおける細胞数を推定するために、トリプシン/EDTA(Gibco, Carlsbad, CA)2mLを各フラスコに加えた。細胞をフラスコから分離した後、トリプシン活性を成長培地8mLで中和した。細胞を15mL遠心分離チューブに移し、150×gで5分間、遠心分離した。上澄みを取り除き、成長培地1mLを各チューブに加え、細胞を再懸濁した。血球計数器を用いて、細胞数を判断した。
ELISA分析。ELISA分析(R&D Systems, Minneapolis, MN)を用いて、細胞から血清枯渇培地に分泌されたIL-8の量を分析した。製造業者から提供された説明書に従って、すべての分析を行った。
全RNA単離。コンフルエント状態の分娩後由来細胞および線維芽細胞から、または、IL-8発現のために、上記に説明したように処理した細胞から、RNAを抽出した。製造業者の説明書(RNeasy(登録商標)ミニキット;Qiagen, Valencia, CA)に従って、β−メルカプトエタノール(Sigma, St. Louis, MO)を含む緩衝液RLT 350μLにより、細胞を溶解した。製造業者の説明書(RNeasy(登録商標)ミニキット;Qiagen, Valencia, CA)に従って、RNAを抽出し、DNase処理(2.7ユニット/サンプル)(Sigma St. Louis, MO)にさらした。DEPC処理水 50μLでRNAを溶出し、−80℃で保管した。RNAをヒト臍帯からも抽出した。組織(30mg)を、β−メルカプトエタノールを含む緩衝液RLT 700μLに懸濁した。サンプルを機械的にホモジェナイズし、製造業者の説明書に従って、RNA抽出を進めた。DEPC処理水 50μLでRNAを抽出し、−80℃で保管した。
逆転写。TaqMan(商標)逆転写試薬(Applied Biosystems, Foster City, CA)と共にランダムヘキサマーを用いて、25℃10分間、37℃60分間、および95℃10分間で、RNAを逆転写した。サンプルを−20℃で保管した。
分娩後細胞で独自に制御されているものとしてcDNAマイクロアレイにより同定された遺伝子(oxidized LDL receptor、interleukin-8、rennin、およびreticulonを含む特徴遺伝子)を、リアルタイムPCRおよび慣習的なPCRを用いてさらに調査した。
リアルタイムPCR。ASSAYS-ON-DEMAND(Applied Biosystems)遺伝子発現産物の商標名で販売される遺伝子発現産物を用いて、cDNAサンプルに対してPCRを実行した。ABI Prism 7000 SDSソフトウェアを含む7000配列検出システム(7000 sequence detection system)(Applied Biosystems)を用いて、製造業者の説明書(Applied Biosystems)に従って、oxidized LDL receptor (Hs00234028)、rennin (Hs00166915)、reticulon (Hs00382515)、CXC ligand 3 (Hs00171061)、GCP-2 (Hs00605742)、IL-8 (Hs00174103)、およびGAPDHを、cDNAおよびTaqMan(商標)ユニバーサルPCRマスターミックスと混合した。サーマルサイクル条件は、最初に、50℃2分間および95℃10分間、その後、95℃15秒間および60℃1分間を40サイクルであった。製造業者の説明書(Applied BiosystemsのABI Prism 7700配列検出システムのためのユーザー紀要第2)に従って、PCRデータを分析した。
従来のPCR。リアルタイムPCRの結果を確認するために、ABI PRISM 7700(Perkin Elmer Applied Biosystems, Boston, MA)を用いて、従来のPCRを実行した。cDNA溶液 2μL(1×Taqポリメラーゼ(商標名 AMPLITAQ GOLD)ユニバーサルミックスPCR反応緩衝液(Applied Biosystems)、および初期変性を用いて、94℃で5分間、PCRを実施した。各プライマーセットについて、増幅を最適化した。IL-8、CXC ligand 3、およびreticulon:94℃15秒間、55℃15秒間、および72℃30秒間を30サイクル、rennin:94℃15秒間、53℃15秒間、および72℃30秒間を38サイクル、oxidized LDL receptorおよびGAPDH:94℃15秒間、55℃15秒間、および72℃30秒間を33サイクル。増幅に用いたプライマーを表9−1に一覧にする。最終PCR反応におけるプライマー濃度は、0.5μMであったGAPDH以外、1μMであった。GAPDHプライマーについては、製造業者のTaqMan(商標)プローブが最終PCR反応に加えられなかった点を除いて、リアルタイムPCRと同じものであった。サンプルを2%(w/v)アガロースゲル上で分離し、エチジウムブロマイド(Sigma, St. Louis, MO)で染色した。固定焦点距離ポラロイドカメラ(focal-length POLAROID camera)(VWR International, South Plainfield, NJ)を用いて、667フィルム(Universal Twinpack, VWR International, South Plainfield, NJ)で、画像を撮影した。
Figure 0005908394
免疫蛍光法。4%(w/v)冷パラホルムアルデヒド(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)により、室温で10分間、分娩後由来細胞を固定した。0代継代(P0)(単離後直接)および11代継代(P11)の、臍帯および胎盤由来細胞それぞれの1つの単離物(胎盤由来細胞の2つの単離物、臍帯由来細胞の2つの単離物)、ならびに線維芽細胞(P11)を用いた。以下のエピトープに対する抗体を用いて、免疫細胞化学を実行した:vimentin(1:500;Sigma, St. Louis, MO)、desmin(1:150;Sigma− 対ウサギ(raised against rabbit)、または1:300;Chemicon;Temecula, CA− 対マウス)、alpha-smooth muscle actin(SMA)(1:400;Sigma)、cytokeratin 18(CK18)(1:400;Sigma)、von Willebrand Factor(vWF)(1:200;Sigma)、およびCD34(human CD34 Class III)(1:100;DAKOCytomation;Carpinteria, CA)。さらに、11代継代の分娩後由来細胞に対して、以下のマーカーを試験した:抗ヒトGROalpha-PE(1:100;Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)、抗ヒトGCP-2(1:100;Santa Cruz Biotech, Santa Cruz, CA)、抗ヒトoxidized LDL receptor 1(ox-LDL R1)(1:100;Santa Cruz Biotech)、および抗ヒトNOGA-A(1:100;Santa Cruz Biotech)。
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で培養物を洗浄し、PBS、4%(v/v) ヤギ血清(Chemicon, Temecula, CA)、および0.3%(v/v) Triton(Triton X-100;Sigma, St. Louis, MO)を含むタンパク質ブロッキング溶液に30分間さらし、細胞内抗原にアクセスさせた。目的のエピトープが細胞表面上に位置する場合(CD34、ox-LDL R1)には、エピトープの損失を防ぐために、手順のすべての段階でTriton X-100を省略した。さらに、一次抗体が、対ヤギ(raised against goat)である場合(GCP-2、ox-LDL R1、NOGO-A)には、プロセス全体を通じて、ヤギ血清に代えて3%(v/v) ロバ血清を用いた。その後、ブロッキング溶液に希釈した一次抗体を、室温で1時間、培養物に適用した。一次抗体溶液を除去し、培養物をPBSで洗浄し、ヤギ抗マウスIgG-Texas Red(1:250;Molecular Probes, Eugene, OR)、および/または、ヤギ抗ウサギIgG-Alexa488(1:250;Molecular Probes)、もしくは、ロバ抗ヤギIgG-FITC(1:150;Santa Cruz Biotech)とブロックとを含む二次抗体溶液を適用した(室温で1時間)。その後、培養物を洗浄し、10μM DAPI(Molecular Probes)を10分間適用して、細胞核を可視化した。
免疫染色後、Olympus倒立エピ蛍光顕微鏡(Olympus, Melville, NY)の適当な蛍光フィルタを用いて、蛍光を可視化した。すべての場合において、陽性染色が、対照染色を超える蛍光シグナルを示した。ここで、対照染色においては、一次抗体溶液の適用を除いて、上記に概説した全体の手順が実施されていた(1°対照なし)。デジタルカラービデオカメラおよびImageProソフトウェア(Media Cybernetics, Carlsbad, CA)を用いて、代表的な画像を取り込んだ。三重染色サンプルについては、1つの発光フィルタのみを用いて、各画像を一度に撮影した。その後、層状モンタージュを、Adobe Photoshopソフトウェア(Adobe, San Jose, CA)を用いて用意した。
FACS分析のための細胞の準備。フラスコ中の付着細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco, Carlsbad, CA)で洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco, Carlsbad, CA)で分離した。細胞を採集し、遠心分離し、1×10細胞/mLの細胞濃度で、3%(v/v) FBSを含むPBSに再懸濁した。100μLアリコートをコニカルチューブに移した。細胞内抗原を染色した細胞をPerm/Wash緩衝液(BD Pharmingen, San Diego, CA)で透過性にした。製造業者の説明書に従って、アリコートに抗体を加え、4℃で30分間、暗所で、細胞をインキュベーションした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、余分な抗体を取り除いた。二次抗体を必要とする細胞を、3%FBS 100μLに再懸濁した。製造業者の説明書に従って、二次抗体を加え、4℃で30分間、暗所で、細胞をインキュベーションした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、余分な二次抗体を取り除いた。洗浄した細胞を、PBS 0.5mLに再懸濁し、フローサイトメトリーにより分析した。以下の抗体を用いた:oxidized LDL receptor 1(sc-5813;Santa Cruz, Biotech)、GROa(555042;BD Pharmingen, Bedford, MA)、マウスIgG1 kappa(P-4685およびM-5284;Sigma)、ロバ抗ヤギIgG(sc-3743;Santa Cruz, Biotech)。
FACS分析。フローサイトメトリー分析をFACScalibur(商標)(Becton Dickinson, San Jose, CA)により実行した。
XI. 結果
ヒト臍帯、成人および新生児線維芽細胞、ならびに間葉系幹細胞(MSC)由来の細胞からのcDNAに対して行われた、選択された「特徴」遺伝子に関するリアルタイムPCRの結果は、reticulonおよびoxidized LDL receptor双方の発現が、他の細胞と比べて、臍由来細胞で高かったことを示す。リアルタイムPCRから得られたデータを、ΔΔCT法により分析し、対数尺度で表現した。CXC ligand 3およびGCP-2の発現レベルには、分娩後細胞と対照との間に有意差は見られなかった。リアルタイムPCRの結果を通常のPCRで確認した。さらに、PCR産物の配列決定により、これらの観察をさらに確認した。表9−1に挙げた従来のPCR CXC ligand 3プライマーを用いた場合には、CXC ligand 3の発現レベルには、分娩後細胞と対照との間で有意差が見られなかった。
分娩後細胞におけるcytokine、IL-8の発現は、成長培地培養の分娩後由来細胞および血清涸渇の分娩後由来細胞の両方で上昇した。従来のPCRおよびPCR産物の配列決定により、すべてのリアルタイムPCRデータを確認した。
無血清培地での成長後、馴化培地を、IL-8の存在について調べた。臍細胞、および胎盤由来細胞の一部の単離物が成長した培地で、最も多い量のIL-8が検出された(表9−2)。ヒト皮膚線維芽細胞を成長させた培地ではIL-8は検出されなかった。
Figure 0005908394
oxidized LDL receptor、GCP-2、およびGROalphaの発現について、FACS分析により胎盤由来細胞も調べた。細胞は、GCP-2の検査で陽性であった。Oxidized LDL receptorおよびGROは、この方法では検出されなかった。
免疫細胞化学分析により、選択されたタンパク質の産生についても、胎盤由来細胞を試験した。単離直後(0代継代)、4%パラホルムアルデヒドで、ヒト胎盤に由来の細胞を固定し、6つのタンパク質(von Willebrand Factor、CD34、cytokeratin 18、desmin、alpha-smooth muscle actin、およびvimentin)に対する抗体にさらした。細胞は、alpha-smooth muscle actinおよびvimentin双方について陽性に染色された。このパターンは、11代継代全体で保たれた。0代継代のわずかな細胞(<5%)のみが、cytokeratin 18について陽性に染色された。
免疫細胞化学分析により、選択されたタンパク質の産生について、0代継代のヒト臍帯由来の細胞を探索した。単離直後(0代継代)、4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、6つのタンパク質(von Willebrand Factor、CD34、cytokeratin 18、desmin、alpha-smooth muscle actin、およびvimentin)に対する抗体にさらした。臍帯由来細胞は、alpha-smooth muscle actinおよびvimentinについて陽性であり、11代継代を通じて、染色パターンが一貫していた。
11代継代の胎盤由来細胞も、GROalphaおよびGCP-2の産生について、免疫細胞化学で調べた。胎盤由来細胞は、GCP-2陽性であったが、GROalphaの産生は、この方法では検出されなかった。
11代継代での、臍帯由来細胞におけるGROalpha、GCP-2、oxidized LDL receptor 1、およびreticulon (NOGO-A)の産生を、免疫細胞化学で調べた。臍帯由来細胞は、GCP-2陽性であったが、GRO alphaの産生は、この方法では検出されなかった。さらに、細胞は、NOGO-A陽性であった。
概要。マイクロアレイおよびPCR(リアルタイムPCRおよび従来のPCRの両方)により測定された遺伝子発現レベルの一致は、以下の4つの遺伝子について確立された:oxidized LDL receptor 1、rennin、reticulon、およびIL-8。これらの遺伝子の発現は、分娩後由来細胞におけるmRNAレベルで異なるように制御されており、IL-8もまたタンパク質レベルで異なるように制御されている。oxidized LDL receptorの存在は、胎盤由来の細胞では、FACS分析により、タンパク質レベルで検出されなかった。GCP-2およびCXC ligand 3の差次的発現は、mRNAレベルで確認されなかったが、GCP-2は、胎盤由来細胞においてFACS分析により、タンパク質レベルで検出された。この結果は、マイクロアレイ実験から最初に得たデータを支持するものではないが、これは、方法の感受性の違いによるものであろう。
単離直後(0代継代)、ヒト胎盤由来の細胞が、alpha-smooth muscle actinおよびvimentinの双方について、陽性に染色された。このパターンは、11代継代の細胞でも観察された。これらの結果は、vimentinおよびalpha-smooth muscle actinの発現が、少なくともここで使用する成長培地では、継代と共に細胞で保管され得ることを示唆している。
0代継代の、ヒト臍帯由来の細胞を、alpha-smooth muscle actinおよびvimentinの発現について探索し、その細胞は、これら双方について陽性であった。染色パターンは11代継代にわたり保存された。
結論として、完全なmRNAデータは、マイクロアレイ実験から得たデータを、少なくとも部分的に立証する。
《実施例10 PPDC表現型の免疫組織化学的特徴付け》
ヒト分娩後組織(胎盤および臍帯)内に見られる細胞の表現型を、免疫組織化学により分析した。
XII. 材料および方法
組織の準備。ヒト臍帯および胎盤組織を採取し、4℃で一晩、4%(w/v) パラホルムアルデヒド中で浸漬固定した。以下のエピトープに対する抗体を用いて、免疫組織化学を実行した(表10−1を参照):vimentin(1:500;Sigma, St. Louis, MO)、desmin(1:150、対ウサギ;Sigma、または1:300、対マウス;Chemicon, Temecula, CA)、alpha-smooth muscle actin(SMA)(1:400;Sigma)、cytokeratin 18(CK18)(1:400;Sigma)、von Willebrand Factor(vWF)(1:200;Sigma)、およびCD34(human CD34 Class III)(1:100;DAKOCytomation;Carpinteria, CA)。さらに、以下のマーカーを試験した:抗ヒトGROalpha-PE(1:100;Becton Dickinson, Franklin Lakes, NJ)、抗ヒトGCP-2(1:100;Santa Cruz Biotech, Santa Cruz, CA)、抗ヒトoxidized LDL receptor 1(ox-LDL R1)(1:100;Santa Cruz Biotech)、および抗ヒトNOGO-A(1:100;Santa Cruz Biotech)。固定した標本を外科用メスで刈り込み、エタノールを含むドライアイスバス上のOCT包埋用化合物(Tissue-Tek OCT;Sakura, Torrance, CA)中に置いた。その後、標準クリオスタット(Leica Microsystems)を用いて、凍結ブロックを切片化し(10μm厚)、染色のためにスライドガラス上に乗せた。
免疫組織化学。免疫組織化学をこれまでの研究と同様に実行した(例えば、Messina et al. (2003) Exper. Neurol. 184:816-29)。組織切片をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、PBS、4%(v/v) ヤギ血清(Chemicon, Temecula, CA)、および0.3%(v/v) Triton(Triton X-100;Sigma)を含むタンパク質ブロッキング溶液に1時間さらし、細胞内抗原にアクセスした。目的のエピトープが細胞表面に位置する場合(CD34、ox-LDL R1)には、エピトープの損失を防ぐために、手順のすべての段階でtritonを省略した。さらに、一次抗体が、対ヤギ(raised against goat)である場合(GCP-2、ox-LDL R1、NOGO-A)には、手順全体にわたり、ヤギ血清の代わりに3%(v/v)ロバ血清が用いられた。その後、ブロッキング溶液で希釈した一次抗体を、室温で4時間、切片に適用した。一次抗体溶液を除去し、培養物をPBSで洗浄し、ヤギ抗マウスIgG-Texas Red(1:250;Molecular Probes, Eugene, OR)、および/または、ヤギ抗ウサギIgG-Alexa488(1:250;Molecular Probes)、もしくは、ロバ抗ヤギIgG-FITC(1:150;Santa Cruz Biotech)とブロックとを含む二次抗体溶液を適用した(室温で1時間)。培養物を洗浄し、10μM DAPI(Molecular Probes)を10分間適用して、細胞核を可視化した。
免疫染色後、Olympus倒立エピ蛍光顕微鏡(Olympus, Melville, NY)の適当な蛍光フィルタを用いて、蛍光を可視化した。陽性染色は、対照染色より上の蛍光シグナルによって示された。デジタルカラービデオカメラおよびImageProソフトウェア(Media Cybernetics, Carlsbad, CA)を用いて、代表的な画像を取り込んだ。三重染色サンプルについては、1つの発光フィルタのみを用いて、各画像を一度に撮影した。その後、層状モンタージュを、Adobe Photoshopソフトウェア(Adobe, San Jose, CA)を用いて用意した。
Figure 0005908394
XIII. 結果
臍帯の特徴付け。臍帯内に見られた細胞のサブセットにおいて、Vimentin、desmin、SMA、CK18、vWF、およびCD34マーカーが発現していた(データは不図示)。特に、vWFおよびCD34の発現は、臍帯内に含まれる血管に限定された。CD34+細胞は、最も内側の層(管腔側)に存在した。Vimentinの発現は、臍帯のマトリックスおよび血管全体に見られた。SMAは、マトリックスと動脈および静脈の外壁とに限定されたが、血管自体には含まれていなかった。CK18およびdesminは、血管内のみで観察され、desminは、中層および外層に限定された。
胎盤の特徴付け。Vimentin、desmin、SMA、CK18、vWF、およびCD34はすべて胎盤で観察され、領域特異的(regionally specific)であった。
GROalpha、GCP-2、ox-LDL R1、NOGO-Aの組織発現。これらのマーカーはいずれも、臍帯または胎盤組織内部に観察されなかった(データは不図示)。
概要。Vimentin、desmin、alpha-smooth muscle actin、cytokeratin 18、von Willebrand Factor、CD34が、ヒト臍帯および胎盤内の細胞に発現する。vimentinおよびalpha-smooth muscle actinのみが発現されたことを示す、in vitroでの特徴付け研究に基づくと、データは、分娩後由来細胞単離の現在のプロセスで、細胞の分集団を採取すること、または、単離された細胞が、マーカーの発現を変えて、vimentinおよびalpha-smooth muscle actinを発現すること、を示唆している。
《実施例11 分娩後由来細胞による栄養因子の分泌》
胎盤および臍由来PPDCからの、選択された栄養因子の分泌を測定した。以下を有する因子が選択された:血管新生活性(すなわち、肝細胞成長因子(HGF)(Rosen et al. (1997) Ciba Found. Symp. 212:215-26)、単球走化タンパク質1(MCP-1)(Salcedo et al. (2000) Blood 96;34-40)、インターロイキン−8(IL-8)(Li et al. (2003) J. Immunol. 170:3369-76)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血管内皮成長因子(VEGF)(Hughes et al. (2004) Ann. Thorac. Surg. 77:812-8)、組織マトリックスメタロプロテアーゼ阻害物質1(TIMP1)、アンジオポエチン2(ANG2)、血小板由来成長因子(PDGFbb)、トロンボポエチン(TPO)、ヘパリン結合上皮成長因子(HB-EGF)、ストロマ細胞由来因子1α(SDF-1alpha))、神経栄養/神経保護活性(脳由来神経栄養因子(BDNF)(Cheng et al. (2003) Dev. Biol. 258;319-33)、インターロイキン−6(IL-6)、顆粒球走化性タンパク質2(GCP-2)、形質転換成長因子β2(TGFbeta2))、またはケモカイン活性(マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1 alpha)、マクロファージ炎症性タンパク質1β(MIP1 beta)、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、Rantes(regulated on activation, normal T cell expressed and secreted)、I309、胸腺および活性化制御ケモカイン(TARC)、Eotaxin、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、IL-8)。
XIV. 方法および材料
細胞培養。ヒト新生児包皮に由来するヒト線維芽細胞と同様に、胎盤および臍帯に由来するPPDCを、ゼラチンコーティングしたT75フラスコ上において成長培地で培養した。11代継代で細胞を凍結保存し、液体窒素中で保存した。解凍後、成長培地を細胞に加え、その後、15mL遠心分離チューブに移し、150×gで5分間、細胞を遠心分離した。成長培地4mLに細胞ペレットを再懸濁し、細胞をカウントした。それぞれが成長培地15mLを含むT75フラスコにおいて5,000細胞/cmで、細胞を播種し、24時間培養した。8時間にわたって、無血清培地[DMEM-low glucose (Gibco)、0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(Sigma)、ペニシリン(50ユニット/mL)およびストレプトマイシン(50μg/mL, Gibco)]に、培地を変えた。無血清馴化培地を、14,000×gで5分間、遠心分離して、インキュベーションの終了時に収集し、−20℃で保管した。
各フラスコにおける細胞の数を推定するために、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco) 2mLを用いて分離した。成長培地 8mLを加えることにより、トリプシン活性を抑制した。150×gで5分間、細胞を遠心分離した。上澄みを取り除き、成長培地 1mLに細胞を再懸濁した。血球計数器を用いて、細胞数を推定した。
ELISA解析。5%二酸化炭素および大気酸素中、37℃で、細胞を成長させた。各細胞サンプルにより産生されたMCP-1、IL-6、VEGF、SDF-1alpha、GCP-2、 IL-8、およびTGF-beta2の量を、ELISA(R&D Systems, Minneapolis, MN)により測定した。製造業者の説明書に従って、すべての解析を実行した。示した値は、pg/mL/100万個細胞(n=2, sem)。
SEARCHLIGHTマルチプレックスELISA解析。SEARCHLIGHTプロテオームアレイ(Pierce Biotechnology Inc.)を用いて、ケモカイン(MIP1 alpha、MIP1 beta、MCP-1、Rantes、I309、TARC、Eotaxin、MDC、IL8)、BDNF、および血管新生因子(HGF、KGF、bFGF、VEGF、TIMP1、ANG2、PDGFbb、TPO、HB-EGF)を測定した。プロテオームアレイは、ウェル当たり2〜16個のタンパク質を量的測定するためのマルチプレックスサンドイッチELISAである。そのアレイは、96ウェルプレートの各ウェルに、4〜16個の異なる捕捉抗体を2×2、3×3、または4×4のパターンでスポッティングすることにより作られる。サンドイッチELISA手順の後、プレート全体を画像化して、プレートの各ウェル内の各スポットに生成された化学蛍光シグナルを取り込む。各スポットにおいて生成されたシグナルは、もともとの標準またはサンプルにおける標的タンパク質の量に比例する。
XV. 結果
ELISA解析。MCP-1およびIL-6は、臍由来PPDCおよび皮膚線維芽細胞によって分泌された(表11−1)。SDF-1alphaおよびGCP-2は、線維芽細胞によって分泌された。GCP-2およびIL-8は、臍由来PPDCによって分泌された。TGF-beta2は、ELISAではどちらの細胞型からも検出できなかった。
Figure 0005908394
略語:ND:不検出、=/-sem
SEARCHLIGHTマルチプレックスELISA解析。TIMP1、TPO、KGF、HGF、FGF、HBEGF、BDNF、MIP1beta、MCP1、RANTES、I309、TARC、MDC、およびIL-8は、臍由来PPDCから分泌された(表11−2および表11−3)。Ang2、VEGF、またはPDGFbbは、検出されなかった。
Figure 0005908394
略語:hFB(ヒト線維芽細胞)、U1(臍由来PPDC(022803))、U3(臍由来PPDC(071003))
ND:不検出
Figure 0005908394
略語:hFB(ヒト線維芽細胞)、U1(臍由来PPDC(022803))、U3(臍由来PPDC(071003))
ND:不検出
概要。臍由来細胞は、いくつかの栄養因子を分泌した。これらの栄養因子のいくつか、例えば、HGF、bFGF、MCP-1およびIL-8、は、血管形成において重要な役割を果たしている。他の栄養因子、例えばBDNFおよびIL-6は、神経再建または保護において、重要な役割を有している。
《実施例12 In Vitro免疫学》
分娩後細胞がin vivoでの投与の際に引き起こすかもしれない免疫応答を予測する目的で、分娩後細胞株をin vitroでその免疫学的特性について評価した。HLA-DR、HLA-DP、HLA-DQ、CD80、CD86、およびB7-H2の発現について、分娩後細胞株をフローサイトメトリーにより分析した。これらのタンパク質は、抗原提示細胞(APC)により発現され、ナイーブCD4+T細胞の直接刺激に必要とされる(Abbas & Lichtman, CELLULAR AND MOLECULAR IMMUNOLOGY, 5th Ed. (2003) Saunders, Philadelphia, p. 171)。また、HLA-G(Abbas & Lichtman, CELLULAR AND MOLECULAR IMMUNOLOGY, 5th Ed. (2003) Saunders, Philadelphia, p. 171)、CD178(Coumans, et al., (1999) Journal of Immunological Methods 224, 185-196)、およびPD-L2(Abbas & Lichtman, CELLULAR AND MOLECULAR IMMUNOLOGY, 5th Ed. (2003) Saunders, Philadelphia, p. 171; Brown, et. al. (2003) The Journal of Immunology 170, 1257-1266)の発現について、この細胞株をフローサイトメトリーにより分析した。胎盤組織に存在する細胞による、これらのタンパク質の発現は、子宮内の胎盤組織の免疫特権的な状態を仲介すると考えられている。分娩後臍由来細胞株がin vivoで免疫応答を引き起こす程度を予測するために、一方向混合リンパ球反応(MLR)により、細胞株を試験した。
XVI. 材料および方法
細胞培養。2%ゼラチン(Sigma, St. Louis, MO)でコーティングしたT75フラスコ(Corning, Corning, NY)中で、成長培地(DMEM-low glucose (Gibco, Carlsbad, CA)、15%(v/v) ウシ胎仔血清(FBS);(Hyclone, Logan, UT)、0.001%(v/v) βメルカプトエタノール(Sigma, St. Louis, MO)、50ユニット/mL ペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン(Gibco, Carlsbad, CA))において、細胞をコンフルエントまで培養した。
抗体染色。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco, Carlsbad, CA)で細胞を洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco, Carlsbad, CA)で分離した。細胞を採取し、遠心分離し、3%(v/v)FBSを含むPBSに、1×10個/mLの細胞濃度で再懸濁した。製造業者の説明書に従って、細胞懸濁液100μLに抗体(表12−1)を加え、4℃で30分間、暗所で、インキュベーションした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、非結合抗体を取り除いた。PBS 500μLに細胞を再懸濁し、FACSCalibur(商標)器具(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて、フローサイトメトリーにより分析した。
Figure 0005908394
混合リンパ球反応。細胞株Aとラベルした10代継代の臍帯由来PPDCおよび細胞株Bとラベルした11代継代の胎盤由来PPDCの凍結保存バイアルを、ドライアイス上でCTBR(Senneville, Quebec)に送り、CTBR SOP No. CAC-031を用いて混合リンパ球反応を実施した。複数の男女のボランティアドナーから、末梢血単核球(PBMC)を収集した。マイトマイシンCにより、刺激(ドナー)同種PBMC、自家PBMC、および分娩後由来細胞株を処理した。自家およびマイトマイシンC処理した刺激細胞を、応答(レシピエント)PBMCに加え、4日間培養した。インキュベーション後、各サンプルに[H]チミジンを加え、18時間培養した。細胞を採取した後、放射性標識されたDNAを抽出し、シンチレーションカウンターを用いて、[H]チミジン取込みを測定した。
レシーバーおよびマイトマイシンC処理した同種ドナーの平均増殖を、レシーバーの基準増殖で割ることにより、同種ドナーに対する刺激指数(SIAD)を計算した。レシーバーおよびマイトマイシンC処理した分娩後由来細胞株の平均増殖を、レシーバーの基準増殖で割ることにより、分娩後由来細胞の刺激指数を計算した。
II. 結果
混合リンパ球反応−胎盤。7人のヒトボランティア血液ドナーをスクリーニングして、他の6つの血液ドナーとの混合リンパ球反応において、ロバストな増殖応答を示すだろう単一の同種ドナーを同定した。このドナーを、同種陽性対照ドナーとして選択した。残りの6つの血液ドナーを、レシピエントとして選択した。同種陽性対照ドナーおよび胎盤由来細胞株をマイトマイシンC処理し、6つの個々の同種レシーバーとの混合リンパ球反応で培養した。プレートあたり3つのレシーバーを有する2つの細胞培養プレートを用いて、反応を3回行った(表12−2)。平均刺激指数は、1.3(プレート2)〜3(プレート1)の範囲であり、同種ドナー陽性対照は、46.25(プレート2)〜279(プレート1)の範囲であった(表12−3)。
Figure 0005908394
Figure 0005908394
混合リンパ球反応−臍帯。6人のヒトボランティア血液ドナーをスクリーニングして、他の5つの血液ドナーとの混合リンパ球反応において、ロバストな増殖応答を示すだろう単一の同種ドナーを同定した。このドナーを、同種陽性対照ドナーとして選択した。残りの5つの血液ドナーを、レシピエントとして選択した。同種陽性対照ドナーおよび臍帯由来細胞株をマイトマイシンC処理し、5つの個々の同種レシーバーとの混合リンパ球反応で培養した。プレートあたり3つのレシーバーを有する2つの細胞培養プレートを用いて、反応を3回行った(表12−4)。平均刺激指数は、6.5(プレート1)〜9(プレート2)の範囲であり、同種ドナー陽性対照は、42.75(プレート1)〜70(プレート2)の範囲であった(表12−5)。
Figure 0005908394
Figure 0005908394
抗原提示細胞マーカー−胎盤。フローサイトメトリーにより分析された胎盤由来細胞のヒストグラムは、HLA-DR,DP,DQ、CD80、CD86、およびB7-H2の陰性発現を示し、そのことは、IgG対照と一致した蛍光値により示される。このことは、胎盤由来細胞株が、同種PBMC(例えばCD4+T細胞)を直接刺激するのに必要とされる細胞表面分子を欠いているということを示している。
免疫調節マーカー−胎盤由来細胞。フローサイトメトリーにより分析された胎盤由来細胞のヒストグラムは、PD-L2の陽性発現を示し、そのことは、IgG対照に対して増加した蛍光値により示されており、また、そのヒストグラムは、CD178およびHLA-Gの陰性発現を示し、そのことは、IgG対照と一致した蛍光値により示されている(データは不図示)。
抗原定時細胞マーカー−臍帯由来細胞。フローサイトメトリーにより分析された臍帯由来細胞のヒストグラムは、HLA-DR,DP,DQ、CD80、CD86、およびB7-H2の陰性発現を示し、そのことは、IgG対照と一致した蛍光値により示される。このことは、臍帯由来細胞株が、同種PBMC(例えばCD4+T細胞)を直接刺激するのに必要とされる細胞表面分子を欠いているということを示している。
免疫調節マーカー−臍帯由来細胞。フローサイトメトリーにより分析された臍帯由来細胞のヒストグラムは、PD-L2の陽性発現を示し、そのことは、IgG対照に対して増加した蛍光値により示されており、また、そのヒストグラムは、CD178およびHLA-Gの陰性発現を示し、そのことは、IgG対照と一致した蛍光値により示されている。
概要。胎盤由来細胞株により実行された混合リンパ球反応において、平均刺激指数は1.3〜3の範囲であり、同種陽性対照の刺激指数は、46.25〜279の範囲であった。臍帯由来細胞株により実行された混合リンパ球反応において、平均刺激指数は6.5〜9の範囲であり、同種陽性対照の刺激指数は、42.75〜70の範囲であった。胎盤および臍帯由来細胞株は、刺激タンパク質HLA-DR、HLA-DP、HLA-DQ、CD80、CD86、およびB7-H2の発現について陰性であり、そのことは、フローサイトメトリーにより測定された。胎盤および臍帯由来細胞株は、免疫調節タンパク質HLA-GおよびCD178の発現については陰性、また、PD-L2の発現については陽性であり、そのことは、フローサイトメトリーにより測定された。同種ドナーPBMCは、HLA-DP,DR,DQ、CD8、CD86、およびB7-H2を発現している抗原提示細胞を含んでおり、それにより、同種PBMC(例えばナイーブCD4+T細胞)の刺激を可能にする。胎盤由来細胞および臍帯由来細胞上の、同種PBMC(例えばナイーブCD4+T細胞)の直接刺激に必要とされる抗原提示細胞表面分子の不存在、および、免疫調節タンパク質PD-L2の存在によって、同種対照と比較した場合の、MLRにおけるこれらの細胞により示された低い刺激指数が、説明されるかもしれない。
《実施例13 血漿凝固解析》
療法に有用な細胞を、それらの細胞が作用部位を標的にできる特定の適用のため、全身に注入することができる。注入した細胞は、致死的であるかもしれないので、血栓症を引き起こさないことが重要である。組織因子、膜結合凝血原糖タンパク質が、in vivoの主な凝固経路である、外因性凝血カスケードのイニシエーターである。組織因子はまた、胚性血管形成において、例えば原始的血管壁(primitive vascular wall)の形成においても、重要な役割を果たす(Brodsky et al. (2002) Exp. Nephrol. 10:299-306)。PPDCが凝固を開始する能力を判断するため、臍由来PPDCを、組織因子発現について、およびPPDCが血漿凝固を開始する能力について、評価した。
XVII. 方法および材料
ヒト組織因子。ヒト組織因子(SIMPLASTIN, Organon Teknika Corporation, Durham, NC)を20mLの蒸留水で再建した。貯蔵溶液は、8個の管で連続的に希釈した(1:2)。正常なヒト血漿(George King Bio-Medical, Overland Park, KS)は、水浴において、37℃で解凍され、その後、使用前に氷の中に保存される。100μLmのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、10μLの希釈したSIMPLASTIN、30μLの0.1モル塩化カルシウム、および100μLの正常なヒト血漿を、96ウェルプレートの各ウェルに加えた。陰性対照のウェルにはSIMPLASTINを与えなかった。プレートを、直ちに温度制御マイクロプレートリーダーに入れ、吸収度は、40秒間隔で30分間、405nmであった。
J-82および臍由来細胞。10%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS; Hyclone, Logan UT)、1mM ピルビン酸ナトリウム(sodium pyruvate)(Sigma Chemical, St. Louis, MO)、2mM L−グルタミン(Mediatech Herndon, VA)、1x非必須アミノ酸(Mediatech Herndon, VA)を含有するイスコブ変法ダルベッコ培地(Iscove's modified Dulbecco's medium)(IMDM; Gibco, Carlsbad, CA)で、J-82細胞(ATCC, MD)を成長させた。約70%コンフルエントで、細胞を、100,000、50,000および25,000細胞/ウェルで、96ウェルプレートのウェルに移した。臍由来細胞を、ゼラチンコーティングしたT75フラスコ(Corning, Corning, NY)内で成長培地において培養した。18代継代の臍由来細胞を、50,000細胞/ウェルの密度で、ウェルに移した。150xgで5分間遠心分離をした後で、培養培地を各ウェルから取り除いた。細胞を、カルシウムおよびマグネシウムを含まないPBSに懸濁させた。抗組織因子抗体細胞でインキュベーションした細胞を、20μg/mL CNTO 859(Centocor, Malvern, PA)で30分間インキュベーションした。塩化カルシウム(30μL)を各ウェルに加えた。プレートを、温度制御マイクロプレートリーダーの中に迅速に置き、吸収度は、40秒間隔で30分間、405nmであった。
抗体染色。細胞をPBSで洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco, Carlsbad, CA)でフラスコから分離させた。細胞を採集し、遠心分離し、3%(v/v)FBSを含むPBSで、1x10/mLの細胞濃度で再懸濁した。製造業者の説明書に従って、細胞懸濁液100μLに抗体を加えた。細胞を、4℃で30分間、暗所で、インキュベーションした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、150xgで5分間遠心分離して、非結合抗体を取り除いた。3%PBS 100μLに細胞を再懸濁し、製造業者の説明書に従って、二次抗体を加えた。4℃で30分間、暗所で、細胞をインキュベーションした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、非結合二次抗体を取り除いた。洗浄した細胞を、PBS 500μLに再懸濁し、フローサイトメトリーにより分析した。
フローサイトメトリー分析。FACSCalibur(商標)器具(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いて、フローサイトメトリー分析を行った。
XVIII. 結果
フローサイトメトリー分析により、臍由来分娩後細胞が、J82細胞より、血漿凝固を促進する際の活性が弱いことが明らかになった。血漿凝固解析により、臍由来細胞に存在する組織因子が活性であるが、凝固には、J-82細胞の場合よりも長い時間がかかることが立証され、これは、最大半量の吸収度までの長い時間により明白となった(T1/2 to max;表13−1)。T1/2 to maxは、J-82細胞の数に反比例する。臍由来細胞は、T1/2 to maxで示すように、凝固速度を低減した。凝固は、早期継代細胞(P5)および後期継代細胞(P18)の双方で観察された。組織因子に対する抗体であるCNTO 859による臍細胞のプレインキュベーションにより、凝固反応が阻害され、組織因子が凝固に関与したことが証明された。
Figure 0005908394
概要。臍由来PPDCはいくつかの組織因子を産生するが、組織因子に対する抗体の添加により、組織因子の凝固活性を阻害することができる。組織因子は、不活性であるが機械的もしくは化学的(例えばLPS)ストレスにより活性化される構造の細胞で通常見られる(Sakariassen et al. (2001) Thromb. Res. 104:149-74; Engstad et al. (2002) Int. Immunopharmacol. 2:1585-97)。したがって、PPDC調製プロセス中にストレスを最小限に抑えることにより、組織因子の活性化を妨げることができる。血栓形成活性に加え、組織因子は、血管新生活性とも関連している。このため、組織因子活性は、臍由来PPDCを組織に投与した場合に有用となり得るが、PPDCが静脈内注射された場合には阻害されなければならない。
《実施例14 分娩後由来細胞の凍結保存培地》
この研究の目的は、分娩後由来細胞の凍結保存に適した凍結保存培地を決定することであった。
XIX. 方法および材料
ゼラチンコーティングしたT75フラスコ内で、成長培地(DMEM-low glucose (Gibco, Carlsbad CA)、15%(v/v)ウシ胎仔血清(カタログ番号SH30070.03, Hyclone, Logan, UT)、0.001%(v/v)βメルカプトエタノール(Sigma, St. Louis, MO)、50ユニット/mLペニシリン、50μg/mL ストレプトマイシン(Gibco))で成長した胎盤由来細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS; Gibco)で洗浄し、1mL トリプシン/EDTA(Gibco)を用いてトリプシン処理した。成長培地10mLを加えることで、トリプシン処理を止めた。細胞を150xgで遠心分離し、上澄みを除去し、成長培地1mLにおいて細胞ペレットを再懸濁した。細胞懸濁液のアリコート、60μLを取り出し、60μLのトリパンブルー(Sigma)に加えた。血球計数器を用いて生存細胞数を推定した。細胞懸濁液を4つの等しいアリコートに分割し、それぞれは88x10個の細胞を含んだ。細胞懸濁液を遠心分離し、以下の各培地1mLで再懸濁し、クライオバイアル(Cryovials)(Nalgene)の中に移した:
1.)成長培地+10%(v/v)DMSO(Hybrimax, Sigma, St. Louis, MO)
2.)細胞凍結培地とDMSOとメチルセルロース、無血清(C6295, Sigma, St. Louis, MO)
3.)細胞凍結培地 無血清(C2639, Sigma, St. Louis, MO)
4.)細胞凍結培地とグリセロール(C6039, Sigma, St. Louis, MO)。
製造業者の説明書に従って(Nalgene, Rochester, NY)「Mr Frosty」凍結容器を用いて−80℃のフリーザーの中で一晩、約1℃/分で、細胞を冷却した。37℃の水浴で急速解凍する前に2日間、細胞のバイアルを液体窒素の中へ移した。細胞数および生存率を前記のとおり推定する前に、細胞を成長培地10mLに加え、遠心分離した。細胞を、5,000細胞/cmで、ゼラチンコーティングしたフラスコ上に播種し、細胞が付着および増殖したかどうかを判断した。
XX. 結果
凍結保存されるべき細胞の初期生存率を、トリパンブルー染色により100%と評価した。
細胞の溶解のため、C6295の細胞数が、生存率と同等に減少した。4つの溶液すべてで凍結保存した生存細胞は、3日以内に、付着し、分裂し、コンフルエントな単層をもたらした。推定した成長速度に、識別可能な差はなかった。
概要。細胞の凍結保存は、細胞バンクまたは細胞産物を調製するのに利用可能な1つの処置である。4つの凍結保存混合物を、ヒト胎盤由来細胞を凍結ダメージから保護する能力について比較した。ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)および10%(v/v)ジメチルスルホキシド(DMSO)が、胎盤由来細胞の凍結保存について比較したもののうち、好適な培地である。
〔実施の態様〕
(1)アルツハイマー病と診断されるか、またはアルツハイマー病の症状を有する被験者を処置する方法において、
アルツハイマー病を処置するために、単離されたヒト臍帯由来細胞の集団を含む組成物を前記被験者に投与すること、
を含み、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織から入手され、
前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現しない、方法。
(2) アルツハイマー病と診断されるか、またはアルツハイマー病の症状を有する被験者を処置する方法において、
単離されたヒト臍帯由来細胞誘導体を含む組成物を前記被験者に投与すること、
を含み、
前記細胞誘導体は、単離されたヒト臍帯由来細胞から入手され、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織から入手され、
前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現しない、方法。
(3) 実施態様1に記載の方法において、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、老人斑部位に局所投与される、方法。
(4) 実施態様1に記載の方法において、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、脳脊髄液に投与される、方法。
(5) 実施態様1に記載の方法において、
前記方法は、前記ヒト臍帯由来細胞の集団を電気刺激で予め処置することをさらに含む、方法。
(6) 実施態様2に記載の方法において、
前記細胞誘導体は、老人斑部位に局所投与される、方法。
(7) 実施態様2に記載の方法において、
前記細胞誘導体は、脳脊髄液に投与される、方法。
(8) 実施態様2に記載の方法において、
前記細胞誘導体は、細胞可溶化液、馴化培地、またはそれらの混合物からなる群から選択される、方法。
(9) 実施態様1に記載の方法において、
前記組成物は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、人工脳脊髄液、分散媒組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液をさらに含む、方法。
(10) 実施態様1に記載の方法において、
前記ヒト臍帯由来細胞は、治療に有用な遺伝子産物をもたらすか、または前記細胞の神経系細胞の生存、分化、もしくは食作用活性を高める薬剤をもたらすために、遺伝子組み換えされた細胞を含む、方法。
(11) 実施態様1に記載の方法において、
前記ヒト臍帯由来細胞は、治療に有用な遺伝子産物をもたらすか、またはアミロイド斑の分解を高めるか、もしくはアミロイド斑の形成を妨げる薬剤をもたらすために、遺伝子組み換えされた細胞を含む、方法。
(12) アルツハイマー病またはアルツハイマー病の症状を処置するのに使用される組成物において、
ヒト臍帯由来細胞の集団、
を含み、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織から入手され、
前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現しない、組成物。
(13) アルツハイマー病またはアルツハイマー病の症状を処置するのに使用される組成物において、
ヒト臍帯由来細胞誘導体、
を含み、
前記細胞誘導体は、単離されたヒト臍帯由来細胞から入手され、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織から入手され、
前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現しない、組成物。
(14) 実施態様12に記載の組成物において、
前記組成物は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、人工脳脊髄液、分散媒組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液をさらに含む、組成物。
(15) 実施態様13に記載の組成物において、
前記組成物は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、人工脳脊髄液、分散媒組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液をさらに含む、組成物。
(16) 実施態様12に記載の組成物において、
前記組成物は、前記細胞の神経系細胞の生存、分化、もしくは食作用活性を高めるように治療に有用な遺伝子産物をもたらす、遺伝子組み換え細胞をさらに含む、組成物。
(17) 実施態様13に記載の組成物において、
前記組成物は、前記細胞の神経系細胞の生存、分化、もしくは食作用活性を高めるように治療に有用な遺伝子産物をもたらす、遺伝子組み換え細胞をさらに含む、組成物。
(18) 実施態様12に記載の組成物において、
前記組成物は、アミロイド斑の分解を高めるか、もしくはアミロイド斑の形成を妨げるように治療に有用な遺伝子産物をもたらす、遺伝子組み換え細胞をさらに含む、組成物。
(19) 実施態様13に記載の組成物において、
前記組成物は、アミロイド斑の分解を高めるか、もしくはアミロイド斑の形成を妨げるように治療に有用な遺伝子産物をもたらす、遺伝子組み換え細胞をさらに含む、組成物。
(20) アルツハイマー病またはアルツハイマー病の症状を処置するのに使用されるキットにおいて、
分娩後由来細胞の集団、ならびに医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液、
を含み、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織から入手され、
前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現しない、キット。
(21) アルツハイマー病またはアルツハイマー病の症状を処置するのに使用されるキットにおいて、
分娩後由来細胞誘導体、ならびに医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液、
を含み、
前記細胞誘導体は、単離されたヒト臍帯由来細胞から入手され、
前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織から入手され、
前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現しない、キット。
泳ぐスピードで評価される可視プラットフォーム試験(visible platform test)において、1日の間の全処置群にわたるモーリス水迷路試験の結果を示す。 経時的な隠れプラットフォーム獲得(hidden platform acquisition)のためPBSまたはhUTCで処理されたラットの全処置群の、ギャラガー累積試験(Gallagher Cumulative test)のスコアを示す。 経時的な隠れプラットフォーム獲得のためPBSまたはhUTCで処理されたラットの全処置群の、潜伏期測定値を示す。 7〜9日目にPBSまたはhUTCで処理されたラットの全処置群の、逆隠れプラットフォーム獲得(reverse hidden platform acquisition)におけるギャラガー累積試験のスコアである。 7〜9日目にPBSまたはhUTCで処理されたラットの全処置群の、逆隠れプラットフォーム獲得における潜伏期測定値である。

Claims (14)

  1. 患者の脳中のアミロイドタンパク質からの傷害を軽減させるか減少させるかするための薬剤において、
    単離されたヒト臍帯由来細胞の集団を含む組成物、
    を含み、
    前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のない分娩後ヒト臍帯組織から入手され、
    前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現せず、
    前記薬剤は、アミロイドタンパク質による傷害を受けた脳部位への局所投与のために処方される、
    薬剤。
  2. 患者の脳中のアミロイドタンパク質からの傷害を軽減させるか減少させるかするための薬剤において、
    単離されたヒト臍帯由来細胞誘導体を含む組成物、
    を含み、
    前記細胞誘導体は、単離されたヒト臍帯由来細胞から入手され、
    前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のない分娩後ヒト臍帯組織から入手され、
    前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現せず、
    前記細胞誘導体は、細胞可溶化液、馴化培地およびそれらの混合物からなる群から選択され、
    前記薬剤は、アミロイドタンパク質による傷害を受けた脳部位への局所投与のために処方される、
    薬剤。
  3. 請求項1に記載の薬剤において、
    前記ヒト臍帯由来細胞の集団は、電気刺激で予め処置される、薬剤。
  4. 請求項1,2または3に記載の薬剤において、
    前記組成物は、医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液をさらに含む、薬剤。
  5. 請求項4に記載の薬剤において、
    前記医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液は、生理食塩水、緩衝水溶液、ヒドロゲル、生物基質、足場、溶媒、人工脳脊髄液、分散媒組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、薬剤。
  6. 請求項1に記載の薬剤において、
    前記ヒト臍帯由来細胞は、治療に有用な遺伝子産物をもたらすか、または前記細胞の神経系細胞の生存、分化、もしくは食作用活性を高める薬剤をもたらすために、遺伝子組み換えされた細胞を含む、薬剤。
  7. 請求項1に記載の薬剤において、
    前記ヒト臍帯由来細胞は、治療に有用な遺伝子産物をもたらすか、またはアミロイド斑の分解を高めるか、もしくはアミロイド斑の形成を妨げる薬剤をもたらすために、遺伝子組み換えされた細胞を含む、薬剤。
  8. 患者の脳中のアミロイドタンパク質からの傷害を軽減させるか減少させるかするために使用される組成物において、
    単離されたヒト臍帯由来細胞の集団、
    を含み、
    前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のない分娩後ヒト臍帯組織から入手され、
    前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現せず、
    前記組成物は、アミロイドタンパク質による傷害を受けた脳部位への局所投与のために処方される、
    組成物。
  9. 患者の脳中のアミロイドタンパク質からの傷害を軽減させるか減少させるかするために使用される組成物において、
    ヒト臍帯由来細胞誘導体、
    を含み、
    前記細胞誘導体は、単離されたヒト臍帯由来細胞から入手され、
    前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のない分娩後ヒト臍帯組織から入手され、
    前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現せず、
    前記細胞誘導体は、細胞可溶化液、馴化培地、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
    前記組成物は、アミロイドタンパク質による傷害を受けた脳部位への局所投与のために処方される、
    組成物。
  10. 請求項8または9に記載の組成物において、
    前記組成物は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、人工脳脊髄液、分散媒組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液をさらに含む、組成物。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の組成物において、
    前記組成物は、前記細胞の神経系細胞の生存、分化、もしくは食作用活性を高めるように治療に有用な遺伝子産物をもたらす、遺伝子組み換え細胞をさらに含む、組成物。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の組成物において、
    前記組成物は、アミロイド斑の分解を高めるか、もしくはアミロイド斑の形成を妨げるように治療に有用な遺伝子産物をもたらす、遺伝子組み換え細胞をさらに含む、組成物。
  13. 患者の脳中のアミロイドタンパク質からの傷害を軽減させるか減少させるかするために使用されるキットにおいて、
    単離されたヒト臍帯由来細胞の集団、ならびに医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液、
    を含み、
    前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のない分娩後ヒト臍帯組織から入手され、
    前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現せず、
    前記キットは、アミロイドタンパク質による傷害を受けた脳部位への局所投与のために使用される、キット。
  14. 患者の脳中のアミロイドタンパク質からの傷害を軽減させるか減少させるかするために使用されるキットにおいて、
    ヒト臍帯由来細胞誘導体、ならびに医薬的に許容可能なキャリアおよび/または希釈液、
    を含み、
    前記細胞誘導体は、単離されたヒト臍帯由来細胞から入手され、
    前記単離されたヒト臍帯由来細胞は、実質的に血液のない分娩後ヒト臍帯組織から入手され、
    前記単離された細胞は、培養中に自己再生および増殖し、CD117を発現せず、
    前記細胞誘導体は、細胞可溶化液、馴化培地、およびそれらの混合物からなる群から選択され、
    前記キットは、アミロイドタンパク質による傷害を受けた脳部位への局所投与のために使用される、
    キット。
JP2012502310A 2009-03-26 2010-03-26 アルツハイマー病の療法としてのヒト臍帯組織細胞 Expired - Fee Related JP5908394B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US16361909P 2009-03-26 2009-03-26
US61/163,619 2009-03-26
PCT/US2010/028930 WO2010111663A1 (en) 2009-03-26 2010-03-26 Human umbilical cord tissue cells as therapy for alzheimer' s disease

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012522014A JP2012522014A (ja) 2012-09-20
JP5908394B2 true JP5908394B2 (ja) 2016-04-26

Family

ID=42320689

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012502310A Expired - Fee Related JP5908394B2 (ja) 2009-03-26 2010-03-26 アルツハイマー病の療法としてのヒト臍帯組織細胞

Country Status (11)

Country Link
US (2) US8722034B2 (ja)
EP (1) EP2411504B1 (ja)
JP (1) JP5908394B2 (ja)
CN (1) CN102498204B (ja)
AU (1) AU2010229651B2 (ja)
BR (1) BRPI1013409A2 (ja)
CA (1) CA2756600C (ja)
ES (1) ES2629003T3 (ja)
PL (1) PL2411504T3 (ja)
SG (1) SG174551A1 (ja)
WO (1) WO2010111663A1 (ja)

Families Citing this family (26)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7875272B2 (en) 2003-06-27 2011-01-25 Ethicon, Incorporated Treatment of stroke and other acute neuraldegenerative disorders using postpartum derived cells
US9592258B2 (en) 2003-06-27 2017-03-14 DePuy Synthes Products, Inc. Treatment of neurological injury by administration of human umbilical cord tissue-derived cells
US8518390B2 (en) 2003-06-27 2013-08-27 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Treatment of stroke and other acute neural degenerative disorders via intranasal administration of umbilical cord-derived cells
US8790637B2 (en) 2003-06-27 2014-07-29 DePuy Synthes Products, LLC Repair and regeneration of ocular tissue using postpartum-derived cells
US8491883B2 (en) 2003-06-27 2013-07-23 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Treatment of amyotrophic lateral sclerosis using umbilical derived cells
WO2005038012A2 (en) 2003-06-27 2005-04-28 Ethicon Incorporated Cartilage and bone repair and regeneration using postpartum-derived cells
US9572840B2 (en) 2003-06-27 2017-02-21 DePuy Synthes Products, Inc. Regeneration and repair of neural tissue using postpartum-derived cells
US9125906B2 (en) 2005-12-28 2015-09-08 DePuy Synthes Products, Inc. Treatment of peripheral vascular disease using umbilical cord tissue-derived cells
CN101611139B (zh) * 2006-11-13 2012-07-04 伊西康公司 利用微载体的产后来源的细胞的体外扩增
UA99152C2 (ru) 2007-10-05 2012-07-25 Этикон, Инкорпорейтед Восстановление и регенерация почечной ткани с использованием клеток, полученных с человеческой ткани пупочного канатика
US8236538B2 (en) 2007-12-20 2012-08-07 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Methods for sterilizing materials containing biologically active agents
BRPI0821489A2 (pt) * 2007-12-27 2015-06-16 Ethicon Inc Tratamento de degeneração do disco intervetebral com o uso de células derivadas de tecido de cordão umbilical humano
US10179900B2 (en) 2008-12-19 2019-01-15 DePuy Synthes Products, Inc. Conditioned media and methods of making a conditioned media
US20130302283A1 (en) * 2012-05-14 2013-11-14 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc hUTC MODULATION OF PRO-INFLAMMATORY MEDIATORS OF LUNG AND PULMONARY DISEASES AND DISORDERS
PL2379088T3 (pl) 2008-12-19 2018-07-31 DePuy Synthes Products, Inc. Leczenie płuca oraz chorób i zaburzeń płucnych
SI2379087T1 (sl) * 2008-12-19 2015-01-30 DePuy Synthes Products, LLC Celice, izpeljane iz popkovniäśnega tkiva, za zdravljenje nevropatske boleäśine in spastiäśnosti
BRPI0923070A2 (pt) * 2008-12-19 2016-06-14 Atrm Llc "usos de composições para regeneração e reparo de tecido neural após lesão, as referidas composições, e kit"
AU2010229651B2 (en) 2009-03-26 2014-05-08 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Human umbilical cord tissue cells as therapy for Alzheimer' s disease
AU2011374879C1 (en) * 2011-08-10 2018-06-14 DePuy Synthes Products, Inc. Treatment of peripheral vascular disease using umbilical cord tissue-derived cells
US20130157365A1 (en) * 2011-12-20 2013-06-20 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Induced pluripotent stem cells from human umbilical cord tissue-derived cells
KR101981450B1 (ko) * 2011-12-23 2019-08-28 디퍼이 신테스 프로덕츠, 인코포레이티드 인간 제대 조직-유래된 세포의 검출
GB201204263D0 (en) * 2012-03-12 2012-04-25 Renishaw Plc Giloma treatment
US20180280447A1 (en) * 2014-10-29 2018-10-04 Sungkwang Medical Foundation Placenta-derived cells excreting c3 or c1r complement and composition containing same
US10767164B2 (en) 2017-03-30 2020-09-08 The Research Foundation For The State University Of New York Microenvironments for self-assembly of islet organoids from stem cells differentiation
CN110286080A (zh) * 2018-10-25 2019-09-27 中国科学院苏州生物医学工程技术研究所 精液细胞快速分型检测试剂盒及检测方法
JP6967308B1 (ja) * 2020-06-30 2021-11-17 国立大学法人高知大学 胎児付属物由来組織細胞培養上清を含む脳神経障害治療剤

Family Cites Families (257)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US2003021A (en) * 1930-05-29 1935-05-28 North East Appliance Corp Electromagnetic switch
US3665061A (en) 1969-07-16 1972-05-23 United States Banknote Corp Process for producing collagen sponges
CH635748A5 (fr) 1977-08-16 1983-04-29 Cellorgan Laboratoires Sa Procede d'obtention de cellules placentaires de brebis.
US4216144A (en) 1977-10-20 1980-08-05 Ashmead H H Soluble iron proteinates
US4352883A (en) 1979-03-28 1982-10-05 Damon Corporation Encapsulation of biological material
US4657866A (en) 1982-12-21 1987-04-14 Sudhir Kumar Serum-free, synthetic, completely chemically defined tissue culture media
US5863531A (en) 1986-04-18 1999-01-26 Advanced Tissue Sciences, Inc. In vitro preparation of tubular tissue structures by stromal cell culture on a three-dimensional framework
US5266480A (en) 1986-04-18 1993-11-30 Advanced Tissue Sciences, Inc. Three-dimensional skin culture system
US4963489A (en) 1987-04-14 1990-10-16 Marrow-Tech, Inc. Three-dimensional cell and tissue culture system
US5902741A (en) 1986-04-18 1999-05-11 Advanced Tissue Sciences, Inc. Three-dimensional cartilage cultures
CA1322262C (en) 1987-06-26 1993-09-21 Yoshito Ikada Artificial skin
NZ226750A (en) 1987-10-29 1990-09-26 Amrad Corp Ltd Immortalisation of neural precursor cells by introducing a retrovirus vector containing a myc-oncogene
US5004681B1 (en) * 1987-11-12 2000-04-11 Biocyte Corp Preservation of fetal and neonatal hematopoietic stem and progenitor cells of the blood
US5192553A (en) * 1987-11-12 1993-03-09 Biocyte Corporation Isolation and preservation of fetal and neonatal hematopoietic stem and progenitor cells of the blood and methods of therapeutic use
US20030032178A1 (en) * 1988-08-04 2003-02-13 Williams Robert Lindsay In vitro propagation of embryonic stem cells
FR2646438B1 (fr) 1989-03-20 2007-11-02 Pasteur Institut Procede de remplacement specifique d'une copie d'un gene present dans le genome receveur par l'integration d'un gene different de celui ou se fait l'integration
US5437994A (en) 1989-06-15 1995-08-01 Regents Of The University Of Michigan Method for the ex vivo replication of stem cells, for the optimization of hematopoietic progenitor cell cultures, and for increasing the metabolism, GM-CSF secretion and/or IL-6 secretion of human stromal cells
US5574205A (en) 1989-07-25 1996-11-12 Cell Genesys Homologous recombination for universal donor cells and chimeric mammalian hosts
US5840580A (en) 1990-05-01 1998-11-24 Becton Dickinson And Company Phenotypic characterization of the hematopoietic stem cell
JPH06506105A (ja) 1990-08-29 1994-07-14 ファーミング ビーブイ 哺乳動物細胞における相同性組換え
US5342761A (en) 1990-10-01 1994-08-30 Research Development Foundation Oncofetal gene, gene product and uses therefor
US5811094A (en) 1990-11-16 1998-09-22 Osiris Therapeutics, Inc. Connective tissue regeneration using human mesenchymal stem cell preparations
US5486359A (en) * 1990-11-16 1996-01-23 Osiris Therapeutics, Inc. Human mesenchymal stem cells
US5286632A (en) * 1991-01-09 1994-02-15 Jones Douglas H Method for in vivo recombination and mutagenesis
NL9100038A (nl) 1991-01-11 1992-08-03 Stamicarbon Enzym-gekatalyseerde bereiding van optisch aktieve carbonzuren.
US6399369B1 (en) * 1991-07-08 2002-06-04 Neurospheres Holdings Ltd. Multipotent neural stem cell cDNA libraries
WO1993004169A1 (en) 1991-08-20 1993-03-04 Genpharm International, Inc. Gene targeting in animal cells using isogenic dna constructs
AU4543193A (en) 1992-06-22 1994-01-24 Henry E. Young Scar inhibitory factor and use thereof
US5320962A (en) * 1992-07-22 1994-06-14 Duke University DNA encoding the human A1 adenosine receptor
US5589376A (en) 1992-07-27 1996-12-31 California Institute Of Technology Mammalian neural crest stem cells
US20040224409A1 (en) 1992-09-25 2004-11-11 Laurent Pradier Recombinant adenoviruses coding for brain-derived neurotrophic factor (BDNF)
EP0669988B2 (en) 1992-10-29 2009-07-08 The Australian National University Angiogenesis inhibitory antibodies
US5955343A (en) 1992-12-28 1999-09-21 Massachusetts Institute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
US5670483A (en) 1992-12-28 1997-09-23 Massachusetts Insititute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
US5707643A (en) * 1993-02-26 1998-01-13 Santen Pharmaceutical Co., Ltd. Biodegradable scleral plug
WO1994025584A1 (en) 1993-04-28 1994-11-10 Johns Hopkins University School Of Medicine Chronic endothelial cell culture under flow
IL110589A0 (en) 1993-08-10 1994-11-11 Bioph Biotech Entw Pharm Gmbh Growth/differentiation factor of the TGF- beta family
JP3680114B2 (ja) * 1993-09-17 2005-08-10 敏一 中村 脳神経障害治療剤
US6686198B1 (en) * 1993-10-14 2004-02-03 President And Fellows Of Harvard College Method of inducing and maintaining neuronal cells
US6432711B1 (en) 1993-11-03 2002-08-13 Diacrin, Inc. Embryonic stem cells capable of differentiating into desired cell lines
US5456835A (en) 1993-11-08 1995-10-10 Hemasure, Inc. Device and process for removing free hemoglobin from blood
DE4406073A1 (de) 1994-02-24 1995-08-31 Univ Ludwigs Albert Verfahren zur Herstellung von humanen, klonogenen Fibroblasten, Verfahren zur Gentransfizierung von Fibroblasten und so erhaltene Fibroblasten
US5698518A (en) 1994-03-30 1997-12-16 Oklahoma Medical Research Foundation Method for regulating inflammation and tumor growth with calmodulin, calmodulin analogues or calmodulin antagonists
US6703017B1 (en) * 1994-04-28 2004-03-09 Ixion Biotechnology, Inc. Reversal of insulin-dependent diabetes by islet-producing stem cells, islet progenitor cells and islet-like structures
US6001647A (en) 1994-04-28 1999-12-14 Ixion Biotechnology, Inc. In vitro growth of functional islets of Langerhans and in vivo uses thereof
US5834308A (en) 1994-04-28 1998-11-10 University Of Florida Research Foundation, Inc. In vitro growth of functional islets of Langerhans
DE69531638T2 (de) 1994-06-06 2004-06-17 Osiris Therapeutics, Inc. Biomatrix für geweberegenaration
IL114397A0 (en) 1994-07-01 1995-10-31 Bioph Biotech Entw Pharm Gmbh Growth/differentiation factor of the TGF-beta-family
US6309853B1 (en) 1994-08-17 2001-10-30 The Rockfeller University Modulators of body weight, corresponding nucleic acids and proteins, and diagnostic and therapeutic uses thereof
US5789147A (en) 1994-12-05 1998-08-04 New York Blood Center, Inc. Method for concentrating white cells from whole blood by adding a red cell sedimentation reagent to whole anticoagulated blood
US5725493A (en) * 1994-12-12 1998-03-10 Avery; Robert Logan Intravitreal medicine delivery
US5684032A (en) 1994-12-13 1997-11-04 Smithkline Beecham Corporation Compounds
US5843780A (en) 1995-01-20 1998-12-01 Wisconsin Alumni Research Foundation Primate embryonic stem cells
US5736396A (en) 1995-01-24 1998-04-07 Case Western Reserve University Lineage-directed induction of human mesenchymal stem cell differentiation
US5906934A (en) * 1995-03-14 1999-05-25 Morphogen Pharmaceuticals, Inc. Mesenchymal stem cells for cartilage repair
US5869079A (en) * 1995-06-02 1999-02-09 Oculex Pharmaceuticals, Inc. Formulation for controlled release of drugs by combining hydrophilic and hydrophobic agents
US5641750A (en) * 1995-11-29 1997-06-24 Amgen Inc. Methods for treating photoreceptors using glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF) protein product
US6200606B1 (en) * 1996-01-16 2001-03-13 Depuy Orthopaedics, Inc. Isolation of precursor cells from hematopoietic and nonhematopoietic tissues and their use in vivo bone and cartilage regeneration
US5842477A (en) 1996-02-21 1998-12-01 Advanced Tissue Sciences, Inc. Method for repairing cartilage
JP4307552B2 (ja) 1996-03-15 2009-08-05 ミューニン コーポレイション 細胞外マトリックスシグナリング分子
JP2000508922A (ja) 1996-04-26 2000-07-18 ケース ウエスターン リザーブ ユニバーシティ 間葉幹細胞を用いる皮膚再生
US6358737B1 (en) 1996-07-31 2002-03-19 Board Of Regents, The University Of Texas System Osteocyte cell lines
US6787355B1 (en) * 1996-08-26 2004-09-07 Mcgill University Multipotent neural stem cells from peripheral tissues and uses thereof
US5919702A (en) 1996-10-23 1999-07-06 Advanced Tissue Science, Inc. Production of cartilage tissue using cells isolated from Wharton's jelly
AU7481098A (en) 1997-05-13 1998-12-08 Case Western Reserve University Osteoarthritis cartilage regeneration using human mesenchymal stem ce lls
EP0983062A4 (en) 1997-05-21 2002-10-23 Sloan Kettering Inst Cancer METHOD FOR INCREASING THE CONCENTRATION OF ASCOBIC ACID IN PERSONAL BRAIN TISSUE
ATE412383T1 (de) * 1997-05-30 2008-11-15 Osteobiologics Inc Faserverstärkte,poröse,biologisch abbaubare implantatvorrichtung
CA2296704C (en) 1997-07-14 2010-10-19 Osiris Therapeutics, Inc. Cardiac muscle regeneration using mesenchymal stem cells
US5902598A (en) * 1997-08-28 1999-05-11 Control Delivery Systems, Inc. Sustained release drug delivery devices
CN100529063C (zh) * 1997-12-02 2009-08-19 泽恩比奥公司 使脂肪基质细胞分化为成骨细胞的方法
US6059968A (en) 1998-01-20 2000-05-09 Baxter International Inc. Systems for processing and storing placenta/umbilical cord blood
US6291240B1 (en) 1998-01-29 2001-09-18 Advanced Tissue Sciences, Inc. Cells or tissues with increased protein factors and methods of making and using same
CA2323073C (en) * 1998-03-13 2010-06-22 Osiris Therapeutics, Inc. Uses for human non-autologous mesenchymal stem cells
US6171610B1 (en) * 1998-04-24 2001-01-09 University Of Massachusetts Guided development and support of hydrogel-cell compositions
JP2002513545A (ja) * 1998-05-07 2002-05-14 ザ ユニヴァーシティー オブ サウス フロリダ 脳および脊髄修復のためのニューロン源としての骨髄細胞
US6387367B1 (en) * 1998-05-29 2002-05-14 Osiris Therapeutics, Inc. Human mesenchymal stem cells
US6323188B1 (en) 1998-07-01 2001-11-27 Donald L. Weissman Treatment and prevention of cardiovascular diseases, heart attack, and stroke, primary and subsequent, with help of aspirin and certain vitamins
US20040037818A1 (en) * 1998-07-30 2004-02-26 Brand Stephen J. Treatment for diabetes
AU776514B2 (en) 1998-08-10 2004-09-09 General Hospital Corporation, The Differentiation of non-insulin producing cells into insulin producing cells by GLP-1 or exendin-4 and uses thereof
US5958767A (en) * 1998-08-14 1999-09-28 The Children's Medical Center Corp. Engraftable human neural stem cells
US6284245B1 (en) 1998-08-25 2001-09-04 Diacrin, Inc. Neural retinal cells and retinal pigment epithelium cells and their use in treatment of retinal disorders
US6444205B2 (en) 1998-09-30 2002-09-03 Diacrin, Inc. Transplantation of neural cells for the treatment of chronic pain or spasticity
US6610540B1 (en) * 1998-11-18 2003-08-26 California Institute Of Technology Low oxygen culturing of central nervous system progenitor cells
CA2359821A1 (en) 1999-02-04 2000-08-10 Mcgill University Platform for the differentiation of cells
WO2000047720A2 (en) 1999-02-10 2000-08-17 Curis, Inc. Pancreatic progenitor cells, methods and uses related thereto
KR100979664B1 (ko) 1999-03-10 2010-09-02 유니버시티 오브 피츠버그 오브 더 커먼웰쓰 시스템 오브 하이어 에듀케이션 지방 유래 간세포 및 격자
US20030007954A1 (en) * 1999-04-12 2003-01-09 Gail K. Naughton Methods for using a three-dimensional stromal tissue to promote angiogenesis
EP1194463B1 (en) * 1999-04-16 2009-11-11 Wm. MARSH RICE UNIVERSITY Poly(propylene fumarate) cross linked with poly(ethylene glycol)-dimethacrylate
US6287340B1 (en) * 1999-05-14 2001-09-11 Trustees Of Tufts College Bioengineered anterior cruciate ligament
US6372494B1 (en) * 1999-05-14 2002-04-16 Advanced Tissue Sciences, Inc. Methods of making conditioned cell culture medium compositions
AU4860900A (en) 1999-06-02 2000-12-18 Lifebank Services, L.L.C. Methods of isolation, cryopreservation, and therapeutic use of human amniotic epithelial cells
US6261841B1 (en) 1999-06-25 2001-07-17 The Board Of Trustees Of Northwestern University Compositions, kits, and methods for modulating survival and differentiation of multi-potential hematopoietic progenitor cells
US6333029B1 (en) * 1999-06-30 2001-12-25 Ethicon, Inc. Porous tissue scaffoldings for the repair of regeneration of tissue
US6355699B1 (en) 1999-06-30 2002-03-12 Ethicon, Inc. Process for manufacturing biomedical foams
IL147990A0 (en) 1999-08-05 2002-09-12 Mcl Llc Multipotent adult stem cells and methods for isolation
US6429013B1 (en) 1999-08-19 2002-08-06 Artecel Science, Inc. Use of adipose tissue-derived stromal cells for chondrocyte differentiation and cartilage repair
US6555374B1 (en) * 1999-08-19 2003-04-29 Artecel Sciences, Inc. Multiple mesodermal lineage differentiation potentials for adipose tissue-derived stromal cells and uses thereof
WO2001019379A2 (en) 1999-09-14 2001-03-22 Children's Medical Center Corporation, The Methods for treating muscular dystrophy with bone marrow cells
US6331313B1 (en) 1999-10-22 2001-12-18 Oculex Pharmaceticals, Inc. Controlled-release biocompatible ocular drug delivery implant devices and methods
US20030129745A1 (en) * 1999-10-28 2003-07-10 Robl James M. Gynogenetic or androgenetic production of pluripotent cells and cell lines, and use thereof to produce differentiated cells and tissues
EP1099754A1 (en) 1999-11-10 2001-05-16 Universiteit Leiden Mesenchymal stem cells and/or progenitor cells, their isolation and use
CN100475953C (zh) 1999-12-06 2009-04-08 通用医疗公司 胰腺干细胞
US20030082155A1 (en) * 1999-12-06 2003-05-01 Habener Joel F. Stem cells of the islets of langerhans and their use in treating diabetes mellitus
US20020164307A1 (en) 1999-12-06 2002-11-07 Habener Joel F. Stem cells of the islets of langerhans and their use in treating diabetes mellitus
US7785882B2 (en) 2000-01-18 2010-08-31 Cornell Research Foundation, Inc. Neuronal progenitor cells from hippocampal tissue and a method for isolating and purifying them
US7544509B2 (en) * 2000-01-24 2009-06-09 Mcgill University Method for preparing stem cell preparations
US6610535B1 (en) 2000-02-10 2003-08-26 Es Cell International Pte Ltd. Progenitor cells and methods and uses related thereto
JP2003521935A (ja) 2000-02-11 2003-07-22 フイラデルフイア・ヘルス・アンド・エデユケーシヨン・コーポレーシヨン 骨髄細胞のニューロン細胞への分化およびそのための使用
JP2003521910A (ja) 2000-02-11 2003-07-22 ザ スキーペンズ アイ リサーチ インスティテュート インコーポレイテッド 網膜幹細胞の分離及び移植
WO2001066698A1 (en) * 2000-03-09 2001-09-13 Cryo-Cell International, Inc. Human cord blood as a source of neural tissue for repair of the brain and spinal cord
US6436704B1 (en) 2000-04-10 2002-08-20 Raven Biotechnologies, Inc. Human pancreatic epithelial progenitor cells and methods of isolation and use thereof
US6673606B1 (en) * 2000-04-12 2004-01-06 The Children's Hospital Of Philadelphia Therapeutic uses for mesenchymal stromal cells
US6375972B1 (en) * 2000-04-26 2002-04-23 Control Delivery Systems, Inc. Sustained release drug delivery devices, methods of use, and methods of manufacturing thereof
AU2001264598B2 (en) 2000-05-12 2006-07-06 University Of Utah Research Foundation Compositions and methods for tissue dedifferentiation and regeneration
US8273570B2 (en) 2000-05-16 2012-09-25 Riken Process of inducing differentiation of embryonic cell to cell expressing neural surface marker using OP9 or PA6 cells
US7049072B2 (en) 2000-06-05 2006-05-23 University Of South Florida Gene expression analysis of pluri-differentiated mesenchymal progenitor cells and methods for diagnosing a leukemic disease state
US6759039B2 (en) * 2000-06-30 2004-07-06 Amcyte, Inc. Culturing pancreatic stem cells having a specified, intermediate stage of development
US6984522B2 (en) 2000-08-03 2006-01-10 Regents Of The University Of Michigan Isolation and use of solid tumor stem cells
AU2001293586A1 (en) 2000-09-29 2002-04-08 Vincent Tropepe Primitive neural stem cells and method for differentiation of stem cells to neural cells
WO2002036749A2 (en) * 2000-11-06 2002-05-10 The Salk Institute For Biological Studies Postmortem stem cells
JP2004532648A (ja) 2000-11-30 2004-10-28 ステムロン インコーポレイテッド 単離されたホモ接合性幹細胞、これ由来の分化細胞、ならびにこれを作製及び使用するための材料及び方法
US7311905B2 (en) 2002-02-13 2007-12-25 Anthrogenesis Corporation Embryonic-like stem cells derived from post-partum mammalian placenta, and uses and methods of treatment using said cells
KR100915482B1 (ko) 2000-12-06 2009-09-03 하리리 로버트 제이 태반 줄기 세포의 회수 방법
US6599323B2 (en) * 2000-12-21 2003-07-29 Ethicon, Inc. Reinforced tissue implants and methods of manufacture and use
JP2005503759A (ja) 2001-01-24 2005-02-10 アメリカ合衆国 幹細胞の膵臓内分泌細胞への分化方法
JP5057629B2 (ja) 2001-02-06 2012-10-24 マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー ペプチド足場での組織細胞のカプセル化およびその使用
US7449180B2 (en) 2001-02-06 2008-11-11 John Kisiday Macroscopic scaffold containing amphiphilic peptides encapsulating cells
EP1367899A4 (en) 2001-02-14 2004-07-28 Leo T Furcht TOTIPOTENT ADULT STEM CELLS, SOURCES OF SUCH CELLS, METHODS FOR OBTAINING AND MAINTAINING SAME, METHODS FOR DIFFERENTIATING THESE CELLS, METHODS OF USING SAME, AND CELLS DERIVED FROM THE ABOVE-MENTIONED CELLS
NZ528035A (en) 2001-02-14 2005-07-29 Robert J Hariri Renovation and repopulation of decellularized tissues and cadaveric organs by stem cells
EP1362095B1 (en) * 2001-02-14 2015-05-27 Anthrogenesis Corporation Post-partum mammalian placenta, its use and placental stem cells therefrom
US7838292B1 (en) 2001-03-29 2010-11-23 University Of Louisville Research Foundation, Inc. Methods for obtaining adult human olfactory progenitor cells
EP1385935A4 (en) 2001-03-29 2004-09-15 Ixion Biotechnology Inc METHOD FOR TRANSDIFFERENTIATION OF NON-PANCREATIC STEM CELLS IN THE PANCREAS DIFFERENTIATION PATHWAY
JP2004527249A (ja) 2001-04-19 2004-09-09 デヴェロゲン アクチエンゲゼルシャフト フュア エントヴィックルングスビオローギッシェ フォルシュング 幹細胞をインスリン産生細胞に分化する方法
US20030211605A1 (en) 2001-05-01 2003-11-13 Lee Sang-Hun Derivation of midbrain dopaminergic neurons from embryonic stem cells
US20030022369A1 (en) * 2001-05-18 2003-01-30 Helen Fillmore Differentiation of specialized dermal and epidermal cells into neuronal cells
JP2005515753A (ja) * 2001-05-25 2005-06-02 サイセラ,インコーポレイテッド 幹細胞分化
US6835711B2 (en) 2001-06-28 2004-12-28 Yeda Research And Development Co. Ltd. Use of poly-Glu,Tyr for neuroprotective therapy
WO2003014317A2 (en) * 2001-08-08 2003-02-20 Celmed Biosciences Usa Compositions and methods for isolation, propagation, and differentiation of human stem cells and uses thereof
US20030211603A1 (en) 2001-08-14 2003-11-13 Earp David J. Reprogramming cells for enhanced differentiation capacity using pluripotent stem cells
AU2002313817A1 (en) * 2001-08-27 2003-03-10 Advanced Cell Technology, Inc. Trans-differentiation and re-differentiation of somatic cells and production of cells for cell therapies
US20030104997A1 (en) * 2001-09-05 2003-06-05 Black Ira B. Multi-lineage directed induction of bone marrow stromal cell differentiation
CN1195055C (zh) 2001-09-06 2005-03-30 周胜利 从胎盘组织中提取造血干细胞用于建立造血干细胞库的新方法
US20050064587A1 (en) 2001-09-07 2005-03-24 Lawrence Rosenberg Pancreatic small cells and uses thereof
US9969980B2 (en) 2001-09-21 2018-05-15 Garnet Biotherapeutics Cell populations which co-express CD49c and CD90
EP1298201A1 (en) 2001-09-27 2003-04-02 Cardion AG Process for the production of cells exhibiting an islet-beta-cell-like state
AU2002333022C1 (en) 2001-09-28 2011-06-16 Es Cell International Pte Ltd Methods of derivation and propagation of undifferentiated human embryonic stem (HES) cells on feeder-free matrices and human feeder layers
JP2005506074A (ja) * 2001-10-18 2005-03-03 イクシオン・バイオテクノロジー・インコーポレーテッド 肝臓の幹細胞および前駆細胞の膵臓機能細胞への転換
US7129034B2 (en) * 2001-10-25 2006-10-31 Cedars-Sinai Medical Center Differentiation of whole bone marrow
MXPA04004311A (es) 2001-11-09 2005-03-31 Artecel Sciences Inc DIFERENCIACION DEL PáNCREAS ENDOCRINOS DE CELULAS ESTROMALES DERIVADAS DEL TEJIDO ADIPOSO Y USOS DE LAS MISMAS.
DE60233248D1 (de) 2001-11-15 2009-09-17 Childrens Medical Center Verfahren zur isolierung, expansion und differenzierung fötaler stammzellen aus chorionzotte, fruchtwasser und plazenta und therapeutische verwendungen davon
JP3728750B2 (ja) * 2001-11-22 2005-12-21 ニプロ株式会社 培養皮膚及びその製造方法
US7763591B2 (en) 2001-11-28 2010-07-27 Anges Mg, Inc. Hepatocyte growth factor gene therapy for parkinson's disease
ATE532854T1 (de) 2001-12-04 2011-11-15 Organogenesis Inc Kultivierte zellen aus den langerhansschen inseln
US20030109036A1 (en) * 2001-12-06 2003-06-12 The Regents Of The University Of California Method for differentiating islet precursor cells into beta cells
CN101240262A (zh) * 2001-12-07 2008-08-13 杰龙公司 源自人胚胎干细胞的胰岛细胞
JP3934539B2 (ja) 2001-12-12 2007-06-20 独立行政法人科学技術振興機構 胎盤等由来の成体又は生後組織の前駆細胞
US20030113910A1 (en) * 2001-12-18 2003-06-19 Mike Levanduski Pluripotent stem cells derived without the use of embryos or fetal tissue
ATE464373T1 (de) * 2001-12-21 2010-04-15 Mount Sinai Hospital Corp Zelluläre zusammensetzungen und verfahren zur deren bereitung und verwendung
US7101546B2 (en) 2001-12-21 2006-09-05 Amcyte, Inc. In situ maturation of cultured pancreatic stem cells having a specified, intermediate stage of development
US20050095703A1 (en) 2001-12-28 2005-05-05 Henrik Semb Method for the establishment of a pluripotent human blastocyst - derived stem cell line
EP1471918B1 (en) 2002-01-14 2017-07-19 The Board Of Trustees Of The University Of Illinois Use of modified pyrimidine compounds to promote stem cell migration and proliferation
US20030162290A1 (en) 2002-01-25 2003-08-28 Kazutomo Inoue Method for inducing differentiation of embryonic stem cells into functioning cells
AU2003217357A1 (en) 2002-02-07 2003-09-02 The Research Foundation Of The State University Of New York Generation of new insulin cells from progenitor cells present in adult pancreatic islets
AU2003217350A1 (en) 2002-02-08 2003-09-02 University Of Chile Proliferated cell lines and uses thereof
MXPA04007732A (es) 2002-02-13 2004-10-15 Anthrogenesis Corp Celulas madre similares a las embrionarias, derivadas de la placenta de mamiferos despues del parto y usos y metodos de tratamiento usando dichas celulas.
WO2003070189A2 (en) 2002-02-15 2003-08-28 Cornell Research Foundation, Inc. Enhancing neurotrophin-induced neurogenesis by endogenous neural progenitor cells by concurrent overexpression of brain derived neurotrophic factor and an inhibitor of a pro-gliogenic bone morphogenetic protein
AU2003207399A1 (en) 2002-02-19 2003-09-09 Medipost Co., Ltd. Isolation and culture-expansion methods of mesenchymal stem/progenitor cells from umbilical cord blood, and differentiation method of umbilical cord blood-derived mesenchymal stem/progenitor cells into various mesenchymal tissues
US7029915B2 (en) 2002-02-22 2006-04-18 University Of Florida Research Foundation, Inc. Method for differentiating rat hepatic stem cells to insulin-producing cells
US7736892B2 (en) * 2002-02-25 2010-06-15 Kansas State University Research Foundation Cultures, products and methods using umbilical cord matrix cells
US20030161818A1 (en) 2002-02-25 2003-08-28 Kansas State University Research Foundation Cultures, products and methods using stem cells
US7150990B2 (en) 2002-03-06 2006-12-19 Reprocell, Inc. Self-renewing pluripotent hepatic stem cells
WO2003080822A1 (fr) 2002-03-27 2003-10-02 Nipro Corporation Cellules mesenchymales placentaires et leur utilisation medicale
US7498171B2 (en) 2002-04-12 2009-03-03 Anthrogenesis Corporation Modulation of stem and progenitor cell differentiation, assays, and uses thereof
CA2481385A1 (en) 2002-04-12 2003-10-23 Celgene Corporation Modulation of stem and progenitor cell differentiation, assays, and uses thereof
JP4136434B2 (ja) 2002-04-17 2008-08-20 進 清野 インスリン産生細胞の誘導
US20040161419A1 (en) 2002-04-19 2004-08-19 Strom Stephen C. Placental stem cells and uses thereof
CA2483010A1 (en) 2002-04-19 2003-10-30 University Of Pittsburgh Of The Commonwealth System Of Higher Education Placental derived stem cells and uses thereof
US20030228295A1 (en) 2002-04-25 2003-12-11 Svendsen Clive N. Use of human neural stem cells secreting GDNF for treatment of parkinson's and other neurodegenerative diseases
US20040029269A1 (en) * 2002-05-07 2004-02-12 Goldman Steven A Promoter-based isolation, purification, expansion, and transplantation of neuronal progenitor cells, oligodendrocyte progenitor cells, or neural stem cells from a population of embryonic stem cells
WO2003094965A2 (en) * 2002-05-08 2003-11-20 Neuronova Ab Modulation of neural stem cells with s1p or lpa receptor agonists
EP1507848A4 (en) 2002-05-28 2005-11-23 Becton Dickinson Co EXPANSION AND TRANSDIFFERENCING OF HUMAN AZINUS CELLS
EP1525308A4 (en) 2002-05-30 2006-11-02 Celgene Corp METHODS OF USING JNK OR MKK INHIBITORS TO MODULATE CELL DIFFERENTIATION AND TREAT MYELOPROLIFERATIVE DISORDERS AND MYELODYSPLASIC SYNDROMES
WO2003104442A1 (en) 2002-06-07 2003-12-18 Es Cell International Pte Ltd Methods of regulating differentiation in stem cells
WO2003104423A2 (en) * 2002-06-11 2003-12-18 Roy Ogle Meningeal-derived stem cells
US7285415B2 (en) 2002-07-11 2007-10-23 The Regents Of The University Of California Oligodendrocytes derived from human embryonic stem cells for remyelination and treatment of spinal cord injury
AU2003242976A1 (en) 2002-07-16 2004-02-02 Yissum Research Development Company Of The Hebrew University Of Jerusalem Methods of implanting mesenchymal stem cells for tissue repair and formation
US7390659B2 (en) * 2002-07-16 2008-06-24 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Methods for inducing differentiation of embryonic stem cells and uses thereof
US20040110287A1 (en) 2002-07-29 2004-06-10 Es Cell International Pte Ltd. Multi-step method for the differentiation of insulin positive, glucose responsive cells
CA2493363A1 (en) 2002-07-29 2004-02-05 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Stem cells for treating pancreatic damage
US20040063204A1 (en) 2002-08-14 2004-04-01 Lijun Yang Bone marrow cell differentiation
WO2004018655A2 (en) 2002-08-26 2004-03-04 Neuronova Ab Method for culturing stem cells
US20040063202A1 (en) * 2002-08-28 2004-04-01 Petersen Bryon E. Neurogenesis from hepatic stem cells
AU2003268534A1 (en) 2002-09-06 2004-03-29 Amcyte Inc. Cd56 positive human adult pancreatic endocrine progenitor cells
US9969977B2 (en) * 2002-09-20 2018-05-15 Garnet Biotherapeutics Cell populations which co-express CD49c and CD90
JP2004165912A (ja) * 2002-11-12 2004-06-10 Canon Inc エリア撮像素子の駆動方法及び装置
JP4571387B2 (ja) 2003-02-07 2010-10-27 宣男 櫻川 ヒト羊膜由来サイドポピュレーション細胞及びその用途
DE602004028803D1 (de) * 2003-02-11 2010-10-07 John E Davies Vorläuferzellen aus der wharton sulze von humanen nabelschnüren
NZ542127A (en) 2003-02-13 2008-04-30 Anthrogenesis Corp Use of umbilical cord blood to treat individuals having a disease, disorder or condition
US7521481B2 (en) 2003-02-27 2009-04-21 Mclaurin Joanne Methods of preventing, treating and diagnosing disorders of protein aggregation
US7875272B2 (en) * 2003-06-27 2011-01-25 Ethicon, Incorporated Treatment of stroke and other acute neuraldegenerative disorders using postpartum derived cells
WO2005038012A2 (en) 2003-06-27 2005-04-28 Ethicon Incorporated Cartilage and bone repair and regeneration using postpartum-derived cells
US8491883B2 (en) 2003-06-27 2013-07-23 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Treatment of amyotrophic lateral sclerosis using umbilical derived cells
JPWO2005007176A1 (ja) 2003-06-27 2006-08-31 株式会社レノメディクス研究所 間葉系細胞を有効成分とする体内投与用脳神経疾患治療薬
US20060210544A1 (en) 2003-06-27 2006-09-21 Renomedix Institute, Inc. Internally administered therapeutic agents for cranial nerve diseases comprising mesenchymal cells as an active ingredient
US8790637B2 (en) 2003-06-27 2014-07-29 DePuy Synthes Products, LLC Repair and regeneration of ocular tissue using postpartum-derived cells
US9572840B2 (en) 2003-06-27 2017-02-21 DePuy Synthes Products, Inc. Regeneration and repair of neural tissue using postpartum-derived cells
US8518390B2 (en) 2003-06-27 2013-08-27 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Treatment of stroke and other acute neural degenerative disorders via intranasal administration of umbilical cord-derived cells
AU2004269409A1 (en) 2003-08-29 2005-03-10 Regents Of The University Of Minnesota Kidney derived stem cells and methods for their isolation, differentiation and use
US20050089513A1 (en) * 2003-10-28 2005-04-28 Norio Sakuragawa Side population cells originated from human amnion and their uses
GB0404656D0 (en) 2004-03-02 2004-04-07 Univ Manchester Treatment of spinal conditions
US8039258B2 (en) * 2004-09-28 2011-10-18 Ethicon, Inc. Tissue-engineering scaffolds containing self-assembled-peptide hydrogels
CA2585547A1 (en) 2004-10-29 2006-05-11 Centocor, Inc. Chemically defined media compositions
ES2537004T3 (es) 2004-11-17 2015-06-01 Neuralstem, Inc. Trasplante de células neurales humanas para el tratamiento de afecciones neurodegenerativas
US20090191173A1 (en) 2004-11-29 2009-07-30 Michal Eisenbach-Schwartz Induction Of Neurogenesis And Stem Cell Therapy In Combination With Copolymer 1
US7833513B2 (en) 2004-12-03 2010-11-16 Rhode Island Hospital Treatment of Alzheimer's Disease
US20060171930A1 (en) 2004-12-21 2006-08-03 Agnieszka Seyda Postpartum cells derived from umbilical cord tissue, and methods of making, culturing, and using the same
US20060153815A1 (en) 2004-12-21 2006-07-13 Agnieszka Seyda Tissue engineering devices for the repair and regeneration of tissue
US20060166361A1 (en) 2004-12-21 2006-07-27 Agnieszka Seyda Postpartum cells derived from placental tissue, and methods of making, culturing, and using the same
PL1831356T3 (pl) 2004-12-23 2017-07-31 DePuy Synthes Products, Inc. Komórki poporodowe pochodzące z tkanki pępowinowej i sposoby ich wytwarzania i stosowania
CA2589063C (en) 2004-12-23 2016-08-09 Ethicon Incorporated Treatment of parkinson's disease and related disorders using postpartum derived cells
EP1838842A2 (en) 2004-12-23 2007-10-03 Ethicon, Incorporated Treatment of osteochondral diseases using postpartum-derived cells and products thereof
EP1831355A2 (en) 2004-12-23 2007-09-12 Ethicon, Inc. Soft tissue repair and regeneration using postpartum-derived cells and cell products
US7741311B2 (en) 2005-01-03 2010-06-22 Shaker Mousa Composition and method for treating occlusive vascular diseases, nerve regeneration, and wound healing
CN103361303B (zh) 2005-03-31 2015-09-30 斯丹姆涅恩有限公司 制备一种高度纯化来自羊膜的细胞群的方法
WO2006117237A2 (en) 2005-05-05 2006-11-09 Georg-August-Universität-Göttingen Regeneration system, its production and use
US20070025973A1 (en) 2005-07-29 2007-02-01 Fitzsimmons Frederick J Reprogramming of adult or neonic stem cells and methods of use
US7923007B2 (en) * 2005-08-08 2011-04-12 Academia Sinica Brain tissue damage therapies
ES2452595T3 (es) 2005-10-13 2014-04-02 Anthrogenesis Corporation Inmunomodulación usando células madre de la placenta
US20100034779A1 (en) 2005-11-02 2010-02-11 Kaomei Guan Compositions and methods for producing pluripotent cells from adult testis
WO2007070870A1 (en) 2005-12-16 2007-06-21 Ethicon, Inc. Compositions and methods for inhibiting adverse immune response in histocompatibility-mismatched transplantation
EP1976975B1 (en) * 2005-12-19 2012-08-01 Ethicon, Inc. In vitro expansion of postpartum derived cells in roller bottles
US9125906B2 (en) 2005-12-28 2015-09-08 DePuy Synthes Products, Inc. Treatment of peripheral vascular disease using umbilical cord tissue-derived cells
EP1979050B1 (en) 2005-12-28 2017-04-19 DePuy Synthes Products, Inc. Treatment of peripheral vascular disease using postpartum-derived cells
PL2471904T3 (pl) 2005-12-29 2019-08-30 Celularity, Inc. Populacje komórek macierzystych łożyska
US8455250B2 (en) 2005-12-29 2013-06-04 Anthrogenesis Corporation Co-culture of placental stem cells and stem cells from a second source
US20070253931A1 (en) * 2006-01-12 2007-11-01 Osiris Therapeutics, Inc. Use of mesenchymal stem cells for treating genetic diseases and disorders
EP1993477A4 (en) 2006-01-20 2010-03-03 Univ California TRANSPLANTATION OF NERVE CELLS
US20070178073A1 (en) 2006-02-01 2007-08-02 Samsung Life Public Welfare Foundation Composition Comprising Separated or Proliferated Cells from Umbilical Cord Blood for Treating Developmental and/or Chronic Lung Disease
HUE028796T2 (en) 2006-03-23 2017-01-30 Pluristem Ltd A method for expanding cells and using cells and their conditioned medium in medicine
US9456979B2 (en) 2006-04-27 2016-10-04 Sri International Adminstration of intact mammalian cells to the brain by the intranasal route
WO2007142651A1 (en) 2006-06-09 2007-12-13 Caritas St. Elizabeth Medical Center Of Boston, Inc. Methods and compositions for the treatment of neuropathy
WO2008002250A1 (en) 2006-06-30 2008-01-03 Elena Kozlova Improved stem cells for transplantation and methods for production thereof
WO2008021196A2 (en) 2006-08-09 2008-02-21 The Mclean Hospital Corporation Methods and compositions for the treatment of medical disorders
US8372399B2 (en) 2006-08-31 2013-02-12 Cardiac Pacemakers, Inc. Bispecific antibodies and agents to enhance stem cell homing
SI2078073T1 (sl) 2006-10-12 2013-11-29 Ethicon, Inc. Celice, pridobljene iz ledvice, in postopki uporabe pri popravljanju tkiv in regeneraciji
WO2008085221A2 (en) 2006-10-27 2008-07-17 Caritas St. Elizabeth Medical Center Of Boston, Inc. Therapeutic use of cd31 expressing cells
CN101611139B (zh) 2006-11-13 2012-07-04 伊西康公司 利用微载体的产后来源的细胞的体外扩增
AU2008216749B2 (en) 2007-02-12 2014-03-13 Celularity Inc. Treatment of inflammatory diseases using placental stem cells
US20080305148A1 (en) 2007-03-19 2008-12-11 National Yang Ming University Treatment of spinal injuries using human umbilical mesenchymal stem cells
UA99152C2 (ru) 2007-10-05 2012-07-25 Этикон, Инкорпорейтед Восстановление и регенерация почечной ткани с использованием клеток, полученных с человеческой ткани пупочного канатика
US8236538B2 (en) 2007-12-20 2012-08-07 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Methods for sterilizing materials containing biologically active agents
BRPI0821489A2 (pt) 2007-12-27 2015-06-16 Ethicon Inc Tratamento de degeneração do disco intervetebral com o uso de células derivadas de tecido de cordão umbilical humano
US10179900B2 (en) * 2008-12-19 2019-01-15 DePuy Synthes Products, Inc. Conditioned media and methods of making a conditioned media
PL2379088T3 (pl) * 2008-12-19 2018-07-31 DePuy Synthes Products, Inc. Leczenie płuca oraz chorób i zaburzeń płucnych
BRPI0923070A2 (pt) * 2008-12-19 2016-06-14 Atrm Llc "usos de composições para regeneração e reparo de tecido neural após lesão, as referidas composições, e kit"
SI2379087T1 (sl) * 2008-12-19 2015-01-30 DePuy Synthes Products, LLC Celice, izpeljane iz popkovniäśnega tkiva, za zdravljenje nevropatske boleäśine in spastiäśnosti
AU2010229651B2 (en) * 2009-03-26 2014-05-08 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Human umbilical cord tissue cells as therapy for Alzheimer' s disease

Also Published As

Publication number Publication date
US20140234277A1 (en) 2014-08-21
PL2411504T3 (pl) 2017-10-31
US20100247499A1 (en) 2010-09-30
BRPI1013409A2 (pt) 2018-01-16
EP2411504B1 (en) 2017-05-10
CA2756600C (en) 2019-08-20
AU2010229651B2 (en) 2014-05-08
SG174551A1 (en) 2011-10-28
EP2411504A1 (en) 2012-02-01
JP2012522014A (ja) 2012-09-20
CA2756600A1 (en) 2010-09-30
US9943552B2 (en) 2018-04-17
WO2010111663A1 (en) 2010-09-30
ES2629003T3 (es) 2017-08-07
AU2010229651A1 (en) 2011-11-10
CN102498204A (zh) 2012-06-13
CN102498204B (zh) 2015-02-04
US8722034B2 (en) 2014-05-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5908394B2 (ja) アルツハイマー病の療法としてのヒト臍帯組織細胞
AU2009327383B2 (en) Regeneration and repair of neural tissue following injury
JP5646502B2 (ja) 神経因性疼痛を治療するための臍帯組織由来細胞
AU2005322133B2 (en) Treatment of Parkinson's disease and related disorders using postpartum derived cells
EP1641915B1 (en) Repair and regeneration of ocular tissue using postpartum-derived cells
JP6000982B2 (ja) 臍由来細胞を使用する筋萎縮性側索硬化症の治療
US9592258B2 (en) Treatment of neurological injury by administration of human umbilical cord tissue-derived cells
JP2019501888A (ja) 前駆細胞を用いた網膜変性の治療
JP2019524688A (ja) 前駆細胞を用いた網膜血管疾患の治療

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131023

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131120

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140416

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20140416

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140416

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140513

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20140606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160323

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5908394

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees