JP5646502B2 - 神経因性疼痛を治療するための臍帯組織由来細胞 - Google Patents

神経因性疼痛を治療するための臍帯組織由来細胞 Download PDF

Info

Publication number
JP5646502B2
JP5646502B2 JP2011542518A JP2011542518A JP5646502B2 JP 5646502 B2 JP5646502 B2 JP 5646502B2 JP 2011542518 A JP2011542518 A JP 2011542518A JP 2011542518 A JP2011542518 A JP 2011542518A JP 5646502 B2 JP5646502 B2 JP 5646502B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
umbilical cord
tissue
derived
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2011542518A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012512909A (ja
JP2012512909A5 (ja
Inventor
クレイマー・ブライアン・シー
ハーツバーグ・ユリ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DePuy Synthes Products Inc
Original Assignee
DePuy Synthes Products Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DePuy Synthes Products Inc filed Critical DePuy Synthes Products Inc
Publication of JP2012512909A publication Critical patent/JP2012512909A/ja
Publication of JP2012512909A5 publication Critical patent/JP2012512909A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5646502B2 publication Critical patent/JP5646502B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K35/00Medicinal preparations containing materials or reaction products thereof with undetermined constitution
    • A61K35/12Materials from mammals; Compositions comprising non-specified tissues or cells; Compositions comprising non-embryonic stem cells; Genetically modified cells
    • A61K35/44Vessels; Vascular smooth muscle cells; Endothelial cells; Endothelial progenitor cells
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P21/00Drugs for disorders of the muscular or neuromuscular system
    • A61P21/02Muscle relaxants, e.g. for tetanus or cramps
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/04Centrally acting analgesics, e.g. opioids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/08Antiepileptics; Anticonvulsants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/14Drugs for disorders of the nervous system for treating abnormal movements, e.g. chorea, dyskinesia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P29/00Non-central analgesic, antipyretic or antiinflammatory agents, e.g. antirheumatic agents; Non-steroidal antiinflammatory drugs [NSAID]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0634Cells from the blood or the immune system

Description

開示の内容
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2008年12月19日出願の米国仮特許出願第61/139,169号の利益を主張し、この仮特許出願の内容は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
〔発明の分野〕
本発明は、概して、細胞の投与により神経因性疼痛を治療するための組成物、方法およびキットに関する。具体的には、本発明は、炎症もしくは変性、または神経系の病態の状態を正常化するため、患者に、局所的または全身に細胞を投与することを提供する。そのような病態は、細胞内、細胞および組織の環境で起こり、それにより、ニューロン相互作用を変え、疼痛を低減する。
〔発明の背景〕
様々な特許および他の文献が、この明細書全体にわたって言及される。これらの文献はそれぞれ、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
慢性疼痛は、概して、全アメリカ人の30〜60%に影響を与えている、社会全体の健康問題である。ほとんどの場合、客観的な疾患所見(疼痛領域のX線、MRIおよびCTスキャン)と主観的な疼痛の訴えとの間に、相互関係はほとんどない。慢性疼痛は、疾患または傷害の正常な治癒時間を超えて続く疼痛、慢性変性疾患または持続的な神経学的状態に関わる疼痛、識別可能な原因もなく数ヶ月から数年にわたり現れるかまたは持続し、さらには再発する疼痛、あるいは癌に関連する疼痛を含む。
慢性疼痛は、ニューロパチーもしくは神経因性疼痛としても知られる、神経系障害によって、しばしば生じる。神経因性疼痛は、典型的には、損傷するか、機能障害また傷害を受けた神経線維を含む組織損傷を伴う。神経因性疼痛は、病理的病変、神経変性プロセス、または末梢もしくは中枢神経系部分の長期機能障害を含む、さまざまな問題により生じ得る。神経因性疼痛はまた、検出可能な損傷が評価されないかもしくは定められない場合にも存在することがある。
臨床的および科学的文献が、2つの成分:末梢神経における中枢可塑性および変化、を有するものとして、神経因性疼痛を挙げている。中枢可塑性は、任意のCNSレベルでのレセプター集団またはレセプター感受性の変化の結果であり得る。さらに、ニューロンおよびミクログリアにおいて起こる変化を指摘する証拠がある。実際、最近のデータは、脊髄の中枢性感作の重要な媒介者としてミクログリア活性を挙げている。そのような中枢性感作は、慢性炎症性疼痛ならびに神経因性疼痛を媒介するのに重要な役割を果たすことが知られている。末梢では、シュワン細胞−軸索相互作用の変化は、神経因性疼痛の導入および維持において役割を果たすことが知られている。
慢性疼痛の治療の標準過程は、踏み台アプローチを含み、このアプローチは、非オピオイド鎮痛剤で始まり、中程度オピエートから強力なオピエートへと進む。オピエートは、他の薬剤と組み合わせてしばしば使用される。このように、医師は、薬剤の用量をモニターおよび調節して、オピオイドの望ましくない副作用を制限することができる。そのような副作用には、鎮静、認知障害、ミオクローヌス、中毒、耐性、および呼吸抑制が含まれる。しかしながら、オピオイドはまた、吐き気、便秘、錯乱、呼吸抑制、および依存症を誘発し得る。さらに、オピエート耐性は、慢性疼痛患者において観察される、十分説明されてきた副作用である。
慢性疼痛の治療に使用される他の薬剤は、抗炎症性および鎮痛性である非ステロイド性抗炎症薬剤(NSAID)、抗うつ薬、抗痙攣薬、局所薬、カンナビノイド、ボツリヌストキシン、NMDAアンタゴニスト、抗てんかん薬、抗うつ薬および食物由来サプリメントを含む。これらの化合物は、しかしながら、全てが、CNS抑制、心血管作用、胃腸障害、潰瘍、腎臓損傷、リビドーの減少、および過敏症反応を含む、衰弱させ得る副作用を有する。さらに、これらの化合物は、繰り返し、典型的には、1日に2回以上摂取しなければならず、一部の化合物は、時間と共に有効でなくなり、結果として薬剤への耐性を生じる。
さらに、現在の治療は、多くの臨床的に深刻な慢性ニューロパチー障害、例えば糖尿病性ニューロパチー、頸部神経根症、神経痛性筋萎縮症、HIVニューロパチー、神経痛性筋萎縮症、またはヘルペス後神経痛において、疼痛を緩和することができない。現在の医療戦略に抵抗性である他の慢性状態は、脊髄後傷害、筋ジストロフィー、三叉神経痛、幻肢痛、線維筋痛症候群、灼熱痛、ならびに糖尿病性およびアルコール性多発ニューロパチーなど、末梢および/または中枢疼痛双方に関する。脊髄由来の痙攣は、複数の硬化症または脊髄傷害から生じるが、現在の治療にしばしば耐え、かつ慢性疼痛を生じ得る、別の状態である。
現在、神経細胞損傷の修復または回復を助けるため、神経の損傷部位で移植細胞を使用することに関心がもたれている。例えば、一部の研究者が、感覚神経経路障害もしくは傷害を有する患者の傷害部位に、神経細胞を移植した。米国特許第6,444,205号として特許となった米国特許出願第09/163,684号を参照。他の研究者は、標的組織を再構築し、それにより生理学的および解剖学的機能性を回復するため、幹細胞移植に焦点を当てている。例えば、Klassは、幹細胞集団を含有する骨髄単核細胞を神経因性疼痛モデルに投与し、疼痛が低減されるかどうかを調べた。Klass et al. Anesth Analg.,2007;104:944−49を参照。神経因性疼痛を低減するため細胞を投与する、実行可能で確実な方法が、現在は存在しない。
慢性および神経因性疼痛を治療する上での現在の制約を考慮して、毎日投与する必要のない治療で、個体の慢性および神経因性疼痛を軽減する必要性がある。
〔発明の概要〕
提示した問題は、本明細書で説明する例示的な実施形態の組成物、方法およびキットにより解決することができる。これらの実施形態は、細胞集団の投与により慢性および神経因性疼痛を治療する方法を提供する。任意の作用機序に拘束されることを望むものではないが、発明者らは、投与される細胞が、シュワン細胞−軸索相互作用および/またはミクログリア−ニューロン相互作用において炎症性または変性細胞および組織環境を正常化し疼痛を低減する能力を有すると考える。さらに、細胞投与は、異所性のニューロン発火を阻止し、ゆえに、疼痛を低減することができる。本発明は、ヒト臍帯組織由来の細胞を含む細胞が、慢性疼痛治療を必要としている患者に対して局所的または全身に投与され得るという発見に、少なくとも部分的に基づいている。
本発明の特定の実施形態は、神経の損傷、傷害および/または疼痛の治療のための、神経細胞の直接修復、再生、置換、または神経細胞の修復、再生、もしくは置換の支援、に関する。
別の実施形態では、本発明は、損傷、傷害および/または疼痛が治療されるように、神経の損傷、傷害および/または疼痛を有する被験者を、有効量の細胞集団を投与することによって治療する方法に関する。さまざまな実施形態では、投与される細胞は、臍帯組織由来細胞である。
いくつかの実施形態では、細胞集団は、疼痛エリアおよび/または神経の損傷部位に、局所的に投与される。投与部位は、医療従事者が最も効果的であると判断した任意の場所であってよく、したがって、疼痛または神経の損傷の部位に近位または遠位であってよい。細胞投与は、針および/またはカテーテルを有する注射器による皮下、円板内、神経内、もしくは筋肉内送達、ならびに液体、ヒドロゲル、もしくは足場の植え込み、を含むがこれらに限定されない、任意の手段によるものであってよい。さらに、いくつかの特定の実施形態では、細胞集団は、ヒドロゲルと共に投与される。さらなる実施形態は、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン構築物、およびトロンビン−フィブリン構築物などの特定のヒドロゲルに対するものである。さらに、いくつかの実施形態は、平行して、連続してヒドロゲル内に注入されるか、または直接処方される、1つまたは複数の成長因子の使用を含む。
他の実施形態では、細胞は、全身投与される。これらの実施形態では、細胞は、細胞の全身分布を可能にする任意の手段により投与されてよく、それには、ポンプ装置を備えるかもしくは備えない針および/またはカテーテルを有する注射器による、筋肉内、静脈内、または動脈内送達が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの特定の実施形態では、細胞集団は、ヒドロゲルと共に投与される。さらなる実施形態は、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン構築物、トロンビン−フィブリン構築物など、特定のヒドロゲルに関するものである。さらに、いくつかの実施形態は、並行して、連続してヒドロゲル内に注入されるか、または直接ヒドロゲル内に処方される、1つまたは複数の成長因子の使用を含む。
いくつかの実施形態では、細胞集団は、in vitroで誘導され、特定の細胞型に分化する。他の実施形態では、細胞は、遺伝子操作されて、慢性疼痛の治療を促進する遺伝子産物を産生する。
いくつかの実施形態では、細胞集団は、少なくとも1つの他の薬剤と共に投与され、そのような薬剤には、選択された細胞外マトリックス成分、抗アポトーシス薬、抗炎症化合物、免疫抑制または免疫調節薬、局所麻酔薬、および他の血管新生因子が含まれるが、これらに限定されない。他の薬剤は、細胞集団と同時に、その前または後に投与されてよい。一実施形態では、組成物は、神経栄養因子からなる群から選択された薬剤または因子のうち少なくとも1つをさらに含む。一実施形態では、細胞集団は、細胞が所定の所望の神経細胞に分化するのを促進する、成長因子および/または他の薬剤と共に投与される。別の実施形態では、所望の神経細胞は、1つまたは複数の神経伝達物質を分泌することができる。
本発明の他の実施形態は、慢性疼痛を有する患者を治療する組成物およびキットを特徴としており、これらは、少なくとも細胞集団および医薬的に許容可能な担体を含む。他の組成物およびキットの実施形態は、組織の成長および/または治癒を促進する他の薬剤、成長因子、および化合物を含んでよく、慢性疼痛の重症度および長さを低減させる。医薬組成物およびキットは、前記および以下に概説する本発明の方法を実施するために設計および/または処方される。
例示的な実施形態の他の目的、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照すれば、明らかになるであろう。
〔発明の詳細な説明〕
以下の、例示的な実施形態の詳細な説明では、この一部を形成する添付図面について参照を行う。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるよう十分詳細に説明してあり、他の実施形態を使用してよいこと、ならびに、本発明の主旨または範囲から逸脱せずに、論理的、構造的、機械的、電気的および化学的変更がなされてよいこと、が理解される。本明細書に記載する実施形態を当業者が実施できるようにするのに必要ない詳細を回避するために、この説明は、当業者に既知の、ある情報を省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で理解されるものではない。
本発明をより明確にするため、以下の定義を提供する。
本明細書で交換可能に使用される用語「慢性疼痛」および「神経因性疼痛」は、概して、疼痛が持続し、従来の治療に反応できない状態を指す。これらの用語は、長く持続する疼痛、および医学的に不応性であり得る疼痛を含む。これらの用語はまた、ニューロン興奮性レベルの持続的な増加、または罹患エリアにおける異常な感覚の存在により特徴付けられる疼痛も含む。例示的な慢性疼痛状態は、糖尿病性ニューロパチー、頸部神経根症、神経痛性筋萎縮症、HIVニューロパチー、神経痛性筋萎縮症、ヘルペス後神経痛、脊髄後傷害、筋ジストロフィー、三叉神経痛、幻肢痛、灼熱痛、脊髄由来の痙攣、ならびに糖尿病性およびアルコール性多発ニューロパチーを含む。
本明細書で使用される用語「組織部位」、「神経の損傷」、「神経の傷害」および「神経の損傷部位」は、交換可能であり、概して、個体の神経組織上、内部、またはそれに隣接して位置する創傷または欠陥を指し、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、脂肪組織、筋組織、腱または靭帯を含み得るがこれらに限定されない。これらの用語は、必ずしも創傷や欠陥性のない任意の組織のエリアであるが、さらなる組織の成長を加えるか、または促進することが望ましいエリアをさらに指す場合もある。この用語は、明らかな損傷がないが、臨床的観察、試験および患者の報告が異常の存在を示す、神経組織も指す場合がある。
本明細書で使用される用語「個体」、「患者」、または「被験者」は、任意の形態の動物を含み、それには、ヒトおよびサルなどの哺乳動物が含まれ、医薬組成物または治療組成物によって、あるいは記載される方法に従って、治療される。本明細書で使用される用語「異種」は、1つの種のドナーからの細胞が、異なる種の被験者に移植されることを指す。
本明細書で使用される用語「治療する(treat)」、「治療している(treating)」または「治療(treatment)」は、概して、慢性疼痛をわずらっている被験者に細胞集団を投与した後のある期間にわたる、疼痛または傷害の軽減または低減を指す。軽減または低減は、症状の寛解、緩解、減弱、または傷害、病態もしくは状態が患者にとってより耐えられるものとなること、変性もしくは減退の速度が遅くなること、変性の最終地点があまり衰弱させるものでなくなる(less debilitating)こと、被験者の身体的もしくは精神的幸福の改善、または生存長さが長くなること、などの客観的または主体的なパラメータを含む。症状の治療または回復は、身体検査、または神経学的検査の結果を含む、客観的または主観的なパラメータに基づいていてよい。
用語「有効期間(effective period)」、「有効時間(effective period of time)」または「有効条件」は、概して、意図する結果を達成するために、薬剤または医薬組成物に必要であるかまたは好ましい、時間、または他の制御可能な条件(例えば、in vitroでの方法の温度、湿度)を指す。
本明細書で使用する用語「有効量」は、概して、特定の生物学的結果を達成するのに有効な、本明細書に記載する化合物、材料、または組成物の濃度または量を指す。そのような結果は、神経組織の再生、修復、もしくは改善、血流の改善、ならびに/または、慢性疼痛の患者における炎症の低減を含むが、これらに限定されない。このような有効な活性は、例えば、慢性疼痛を有する患者に、本発明の細胞および/または組成物を投与することにより達成され得る。患者に投与される細胞集団に関して、有効量は、概して約10個の細胞/体重kg超であり、局所送達の場合、約10個の細胞/体重kg〜約10個の細胞/体重kgの範囲であってよく、全身送達の場合、約10〜約10個の細胞/体重kgであってよい。特定の実施形態では、有効量は、約10〜約10個の細胞/体重kgの範囲であってよい。投与されるべき細胞数は、医薬生物学者によく知られている他の要因の中でも、治療される大きさまたは総体積/表面積、治療される領域の場所に対する投与部位の近さを含むがこれらに限定されない、治療されるべき障害の詳細によって異なることが認識されるであろう。
幹細胞は、自己再生前駆体、非再生前駆体、および最終分化細胞を含む子孫細胞を産生するため自己再生および分化する、単一の細胞の能力により定められる未分化細胞である。幹細胞はまた、複数の胚葉(内胚葉、中胚葉および外胚葉)からさまざまな細胞系統の機能細胞へin vitroで分化し、かつ移植後、複数の胚葉の組織を生じさせ、また、胚盤胞への注射後、全部ではなくても大部分の組織に実質的に貢献する、それら幹細胞の能力により特徴付けられる。
幹細胞は、それらの発生能に従って、(1)全能性;(2)多能性;(3)多分化能性;(4)寡能性(oligopotent);および(5)単能性と分類される。全能性細胞は、全ての胚細胞型および胚体外細胞型を生じることができる。多能性細胞は、全ての胚細胞型を生じさせることができる。多分化能細胞は、細胞系統のサブセットではあるが、全てが特定の組織、臓器、もしくは生理系内にあるものを生じさせることができるものを含む。例えば、造血性幹細胞(HSC)が、HSC(自己再生性)、血液細胞に制限された寡能性前駆体、ならびに、血液の正常な成分である全ての細胞型および要素(例えば、血小板)を含む子孫を産生することができる。寡能性の細胞は、多分化能幹細胞よりも制限された、細胞系統のサブセットを生じさせることができる。単能性の細胞は、単一の細胞系統(例えば、精子形成幹細胞)を生じさせることができる。
幹細胞はまた、幹細胞を入手する供給源に基づいて分類される。「成体幹細胞」は、概して、複数の分化細胞型を含む組織に見られる、多分化能未分化細胞である。成体幹細胞は、それ自体で再生することができる。通常環境下では、起源を発する組織の特殊化された細胞型、および恐らくは他の組織型を生じるように分化することもできる。「胚幹細胞」は、胚盤胞期胚の内側細胞集団からの多能性細胞である。胎児幹細胞は、胎児組織または膜から生じるものである。「分娩後幹細胞」は、出生後利用可能な胚外組織、すなわち胎盤および臍帯から実質的に生じる多分化能または多能性細胞である。これらの細胞は、急速な増殖、および多くの細胞系統に分化する可能性を含む、多能性幹細胞に特有の特徴を有することが分かっている。分娩後幹細胞は、血液由来(例えば、臍帯血から得られるもの)、または非血液由来(例えば、臍帯および胎盤の非血液組織から得られるもの)であってよい。
培養中の細胞を説明するため、さまざまな用語が使用される。「細胞培養」は、概して、生物から採取され制御条件下で成長した(「培養中」または「培養された」)細胞を指す。「初代細胞培養」は、生物から直接採取された細胞、組織または臓器を、最初の二次培養前に培養することである。細胞は、細胞増殖および/または分裂を促進する条件下で成長培地に入れられると、培養中に「増殖(expanded)」し、結果として、大きな細胞集団をもたらす。細胞が培養中に増殖すると、細胞増殖速度は、時には、細胞が2倍の数になるのに必要な時間の長さで測定される。これを、「倍加時間」という。
本明細書で使用される用語「標準的な成長条件」は、5%のCO、および約100%に維持された相対湿度を含む標準大気において37℃で細胞を培養することを指す。前述した条件は、培養に有用であるが、そのような条件は、細胞を培養するために当技術分野で利用可能なオプションを認識するであろう当業者によって変えられ得ることが理解される。
「馴化培地」は、特定の細胞または細胞集団が培養され、その後取り除かれる培地である。細胞が培地で培養されると、細胞因子を分泌することができ、この細胞因子は、他の細胞に栄養に関する支援を与えることができる。そのような栄養因子には、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)、タンパク質、小胞、抗体、および顆粒が含まれるがこれらに限定されない。細胞因子を含む培地は、馴化培地である。
「分化」は、分化していない(unspecialized)(「コミットしていない(uncommitted)」)かまたはあまり分化していない(less specialized)細胞が例えば神経細胞もしくは筋細胞などの、分化した細胞の特徴を取得するプロセスである。例えば、「分化」細胞は、細胞系統内で、より分化した(「コミットした」)位置についたものである。用語「コミットした(committed)」は、分化のプロセスに使用される場合、通常環境下で特定の細胞型または細胞型のサブセットに分化し続け、また、通常環境下で、異なる細胞型に分化したり、あまり分化していない細胞型に戻ったりできない時点まで、分化経路を進んできた細胞を指す。「脱分化」は、細胞が細胞系統内で、あまり分化していない(またはコミットした)位置に戻るプロセスを指す。本明細書で使用される、細胞「系統」は、細胞の遺伝形質、すなわち、どの細胞から生じたか、また、何の細胞を生じさせることができるのかを定める。細胞系統は、発生および分化の遺伝的スキームの中にその細胞を位置付ける。
広義には、「前駆細胞」は、それ自身よりも分化した子孫を作る能力を有するが、前駆体の集まり(pool)を補充する能力を有する、細胞である。その定義により、幹細胞自体は、最終分化細胞に対してより直接的な前駆体であるので、これも前駆細胞である。本発明の細胞について言及する場合、以下でさらに詳細に説明するように、前駆細胞の、この広義の定義を使用することができる。狭義では、前駆細胞は、分化経路における中間体である細胞としばしば定義される。すなわち、前駆細胞は、幹細胞から生じており、成熟細胞型または細胞型のサブセットの産生における中間体である。この型の前駆細胞は、概して、自己再生することができない。したがって、この型の細胞に本明細書中で言及する際、「非自己再生前駆細胞」または「中間前駆細胞」もしくは「中間前駆体細胞」と呼ぶ。
細胞もしくは組織移植、または細胞置換療法に関して、いくつかの用語を本明細書で使用する。用語「自家移転」、「自家移植」、「自家移植片(autograft)」などは、細胞または移植ドナーが細胞または移植レシピエントでもある処理を指す。用語「同種移転」、「同種移植」、「同種移植片」などは、細胞または移植ドナーがレシピエントと同じ種であるが、同じ個体ではない処理をさす。ドナーの細胞がレシピエントと組織適合的に一致している細胞移転は、時には、「同系移転」と呼ばれる。用語「異種移転」、「異種移植」、「異種移植片」などは、細胞または移植ドナーがレシピエントとは異なる種である処理を指す。
本明細書で使用される語句「神経細胞」は、神経細胞(すなわちニューロン、例えば、単極、双極、もしくは多極ニューロン)ならびにそれらの前駆体およびグリア細胞(例えば、乏突起膠細胞、シュワン細胞、および星状細胞などの大グリア細胞、またはミクログリア)およびそれらの前駆体を含む。
本発明で使用する細胞は、概して「分娩後細胞」または「分娩後由来細胞」(PPDC)と呼ばれる。これらの細胞は、より具体的には、「臍由来細胞」、または「臍帯由来細胞」(UDC)、または「臍帯組織由来細胞」(UTC)である。さらに、この細胞は、幹細胞または前駆細胞として記載されてよく、前駆細胞という用語は、広い意味で使用される。用語「由来(derived)」は、細胞が、それらの生物学的起源から得られ、in vitroで成長または別様に処置された(例えば、成長培地で培養され、集団を増殖させ、かつ/もしくは細胞株を産生した)ことを示すのに使用される。本発明の臍幹細胞のin vitro処置、および臍由来細胞の独自の特徴は、以下で詳細に説明する。
本明細書で使用される用語「単離する」は、概して、自然環境から分離されている細胞を指す。この用語は、自然環境からの全体的な物理的分離(gross physical separation)、例えば、ドナー動物からの除去、を含む。好適な実施形態では、単離した細胞は、組織に存在しない、すなわち、その細胞は、通常は接触している隣接細胞から分離または解離する。好ましくは、細胞は、細胞懸濁液として投与される。本明細書で使用される語句「細胞懸濁液」は、培地に接触していて、また、例えば組織片を穏やかな粉砕(gentle trituration)にかけることによって、解離されている、細胞を含む。
本明細書で使用される用語「成長培地」は、概して、臍帯組織由来細胞を培養するのに十分な培地を指す。具体的には、本発明の細胞を培養する1つの培地は、ダルベッコ変法基本培地(DMEM)を含む。特に好ましいのは、DMEM−低グルコース(DMEM−LG)(Invitrogen,Carlsbad,Ca.)である。DMEM−LGは、好ましくは、血清、最も好ましくは、ウシ胎仔血清またはヒト血清を補充される。典型的には、15%(v/v)のウシ胎仔血清(例えば、規定のウシ胎仔血清,Hyclone,Logan UT)が、抗生物質/抗真菌薬(好ましくは100単位/mLのペニシリン、100mg/mLストレプトマイシン、および0.25μg/mLアンホテリシンB;(Invitrogen,Carlsbad,Ca.)、ならびに0.001%(v/v)の2−メルカプトエタノール(Sigma,St. Louis Mo.)と共に加えられる。場合によっては、異なる成長培地を使用するか、または異なる補充物(supplementations)が提供され、これらは通常、成長培地への補充物として本文中で示される。化学的に定義されたある培地では、細胞は、血清が全く存在しない状態で成長することができる。そのような場合、細胞は、ある成長因子を必要としてよく、この成長因子は、培地に加えられて、細胞を支持および維持することができる。無血清培地で成長するために加えられるべき、現在好ましい因子は、bFGF、EGF、IGF−I、およびPDGFのうち1つまたは複数を含む。さらに好適な実施形態では、これらの因子のうち2つ、3つ、または4つ全てが無血清培地または化学的に定義された培地に加えられる。他の実施形態では、LIFを無血清培地に加えて、細胞の成長を支持または改善する。
「細胞株」という用語は、概して、初代細胞培養の1回または複数回の二次培養により形成された細胞集団を指す。二次培養の各ラウンドは、継代と呼ばれる。細胞が二次培養されると、それらは、「継代され」てきたと言われる。特定の細胞集団、または細胞株は、時には、継代されてきた回数で呼ばれるか、またはそれによって特徴付けられる。例えば、10回継代されてきた培養細胞集団は、P10培養物と呼ばれ得る。初代培養物、すなわち、組織から細胞を単離した後の最初の培養物は、P0と呼ばれる。最初の二次培養の後、細胞は、2度目の培養物(P1または1代継代)と説明される。2度目の二次培養後、細胞は、第3培養物(P2または2代継代)になる、等である。継代期間中に多くの集団倍加があり得、そのため、培養物の集団倍加数は、継代数より大きいことが、当業者には理解されるであろう。継代相互間の時間中の細胞増殖(すなわち、集団倍加数)は、播種密度、基質、培地、成長条件、および継代相互間の時間を含むがこれらに限定されない多くの要因に依存している。
用語「医薬的に許容可能な担体」または「薬剤的に許容可能な培地」は、用語「生物学的に適合性の担体」または「生物学的に適合性の培地」と交換して使用されてよく、概して、治療的に投与されるべき細胞および他の薬剤と適合性があるだけでなく、妥当なリスク/ベネフィット比に比例した過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の合併症なしで、ヒトおよび動物の組織と接触して使用されるのに適している、試薬、細胞、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。本明細書でさらに詳細に説明するように、本発明で使用するのに適した、医薬的に許容可能な担体は、液体、半固体(例えばゲル)、および固体材料(例えば、細胞足場およびマトリックス、チューブ、シート、ならびに、当技術分野で既知であり、本明細書でさらに詳細に説明される、他のそのような材料)を含む。これらの半固体および固体材料は、体内での分解に抵抗するよう設計されてよく(非生分解性)、またはそれらは、体内で分解するように設計されてもよい(生分解性、生体侵食性)。生分解性材料は、さらに、生体再吸収性(bioresorbable)または生体吸収性(bioabsorbable)であってよい。すなわち、生分解性材料は、体液中に溶解および吸収されてよく(水溶性インプラントが1例である)、または他の材料への変換、もしくは天然経路を通じた崩壊および排除によって、分解され、最終的には体から排除される。生分解速度は、いったん体内に植え込まれたら、所望の放出速度に応じて変えられてよい。
本明細書で使用される用語「マトリックス」は、概して、細胞と共に患者に投与される、生分解性および/または生体再吸収性材料を指す。マトリックスは、新たに成長した細胞により置き換えられるまで、一時的な足場として作用することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、細胞と関連して使用される神経栄養因子または他の薬剤の徐放をもたらすことができ、患者の体内の組織成長を促す構造体を提供することができる。他の実施形態では、マトリックスは単に、発達している組織の一時的な足場を提供するだけである。マトリックスは、粒子形態(直径が10μm(10ミクロン)超のマクロ粒子、または直径が10μm(10ミクロン)未満の微小粒子)であってよく、あるいは、構造的に安定した3次元インプラント(例えば足場)の形態であってもよい。マトリックスは、スラリー、ヒドロゲル、または3次元構造体、例えば、立方体、円筒、チューブ、ブロック、フィルム、シート、もしくは適切な解剖学的な形態、であってよい。
本明細書で使用される用語「足場」は、概して、細胞成長のテンプレートを提供する3次元の多孔性構造体を指す。足場は、体内で時間とともに分解する生分解性および/または生体再吸収性材料で作られる。足場が分解するのにかかる時間の長さは、材料の分子量に依存していてよい。したがって、より高い分子量の材料は、より長い期間にわたって構造的完全性を維持するポリマー足場を生じることができ、一方、より低い分子量のものは、遅い放出、および短い足場寿命を生じる。足場は、当技術分野で既知の任意の手段により作られてよい。足場を形成するのに使用され得るポリマーの例には、天然および合成ポリマーが含まれる。
本発明のいくつかの実施形態では、足場は、細胞成長を促進するために、細胞集団、成長因子、または他の栄養素を注入されるか、それらでコーティングされるか、またはそれらで構成されてよい。いくつかの好適な実施形態では、足場は、ニューロトロフィンを含む成長誘発剤を含有する。さらに、成長誘発剤は、合成または自然に産生されてよく、成長誘発剤の断片、誘導体もしくは類似体であってよい。
「神経栄養因子」または「栄養因子」は、細胞の生存、成長、増殖および/もしくは成熟を促進するか、または細胞の活性増加を刺激する物質として定義される。
〔特定の実施形態〕
本明細書に記載するその様々な実施形態では、本発明は、慢性および神経因性疼痛の治療のための方法および医薬組成物を特徴とする。これらの方法および医薬組成物は、神経組織の成長または治癒を刺激および支持するように、かつ神経組織の周りの組織の再生および修復を改善するように設計され、周りの組織には、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、脂肪組織、筋組織、腱または靭帯が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の細胞は、分娩後組織、具体的には臍組織などの由来の前駆細胞および細胞集団を含むがこれらに限定されない。好適な細胞の、より詳細な説明は、以下に見ることができる。
細胞
本発明の好適な細胞の単離および特徴付けの説明が、米国特許出願公開第2005/0032209号、2005/0058631号および2005/0054098号に記載されており、これらは、全体として組み込まれる。
いくつかの実施形態では、細胞は幹細胞である。幹細胞は、自己再生前駆体、非再生前駆体、および最終分化細胞を含む子孫細胞を産生するため自己再生および分化する、単一の細胞の能力により定められる未分化細胞である。
好適な一実施形態では、幹細胞は、臍帯組織由来細胞である。臍帯組織由来細胞を単離するため、臍帯が、満期妊娠または早産の終了の際もしくは直後、例えば、後産(after birth)の娩出後に、回収される。臍帯組織は、分娩場所から研究室まで、フラスコ、ビーカー、培養皿、または袋などの無菌容器に入れて運ばれてよい。容器は、塩類溶液、例えばダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)(ダルベッコ最小基本培地としても知られる)もしくはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、または、University of Wisconsin液もしくは全フッ素置換化合物溶液(perfluorochemical solution)など、移植に使用される臓器の輸送に使用される任意の溶液を含むがこれらに限定されない、溶液または培地を有してよい。ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、およびニスタチンなどであるがこれらに限定されない、1つまたは複数の抗生物質および/または抗真菌薬を、培地または緩衝液に加えることができる。臍帯組織を、ヘパリン含有溶液などの抗凝固溶液ですすぐことができる。細胞の抽出前は、組織を約4〜約10℃に保つのが好ましい。細胞の抽出前は、組織を凍らせないことがさらに好ましい。
臍帯組織由来細胞は、好ましくは無菌環境で単離される。臍帯は、当技術分野で既知の手段によって、胎盤から分離され得る。血液および残骸は、好ましくは、臍帯組織由来細胞の単離前に分娩後組織から除去される。例えば、分娩後組織は、リン酸緩衝生理食塩水を含むがこれに限定されない、緩衝溶液で洗浄されてよい。洗浄用緩衝液はまた、ペニシリン、ストレプトマイシン、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、およびニスタチンを含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の抗真菌薬および/または抗生物質を含むこともできる。
臍全体、またはその破片もしくは断片を含む分娩後組織は、好ましくは、機械の力(刻む力または剪断力)によって脱凝集される。現在好適な実施形態では、単離処置はまた、酵素消化プロセスを用いることができる。多くの酵素が培養中の成長を促進するため複合組織マトリックスからの個々の細胞の単離に有用であることが、当技術分野で既知である。消化酵素は、消化性の弱いもの(例えば、デオキシリボヌクレアーゼおよび中性プロテアーゼ、ディスパーゼ)から、消化性の強いもの(例えば、パパインおよびトリプシン)までさまざまであり、市販されている。そのような酵素の限定的なリストには、粘液溶解酵素活性、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、もしくはエラスターゼなど)、およびデオキシリボヌクレアーゼが含まれる。現在好適なのは、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、および粘液溶解活性から選択される酵素活性である。例えば、コラゲナーゼは、さまざまな細胞を組織から単離するのに有用であることが知られている。デオキシリボヌクレアーゼは、単鎖DNAを消化でき、単離中、細胞凝集を最小限に抑えることができる。好適な方法は、コラゲナーゼおよびディスパーゼ、またはコラゲナーゼ、ディスパーゼ、およびヒアルロニダーゼによる酵素処理を含む。当業者は、さまざまな組織源から細胞を単離する、そのような多くの酵素処理が当技術分野で知られていることを認識するであろうし、本発明の細胞単離における有用性について、新しいかまたは追加の酵素または酵素の組み合わせを評価する知識を身につけている。好適な酵素処理は、約0.5〜2時間以上であってよい。他の好適な実施形態では、組織は、解離工程の酵素処理中、37℃でインキュベートされる。
最も適切な培養培地、培地製剤、および細胞培養技術を選択する方法は、当技術分野で周知であり、Doyle et al.,(eds.),1995, Cell & Tissue Culture: Laboratory Procedures, John Wiley & Sons, Chichester;およびHo and Wang (eds.),1991, Animal Cell Bioreactors, Butterworth−Heinemann, Boston、を含むさまざまな出典に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明のいくつかの実施形態では、細胞は、継代されるか、または最初に使用したものと同じかまたは異なる種類の新鮮培地を含む別個の培養容器へと除去され、ここで細胞集団は、有糸分裂的に増殖し得る。本発明の細胞は、0代継代と老化との間のどの時点でも使用されてよい。細胞は、好ましくは、約3〜約25回継代され、さらに好ましくは約4〜約12回継代され、好ましくは、10または11回継代される。クローン化および/またはサブクローン化は、細胞のクローン集団が単離したことを確認するために行われてよい。
本発明のいくつかの態様では、分娩後組織に存在する異なる細胞型は、部分集団に分割され、その部分集団から臍帯組織由来細胞を単離することができる。分割または選択は細胞分離の標準技術を用いて達成することができる。そのような技術は、分娩後組織をその構成細胞に解離する酵素処理、それに続く特定の細胞型のクローン化および選択(これには、形態学的および/または生化学的マーカーに基づいた選択;所望の細胞の選択的成長(ポジティブ選択);不必要な細胞の選択的破壊(ネガティブ選択);例えば大豆アグルチニンによる、混合集団における差次的細胞凝集力に基づいた分離;凍結融解処置;混合集団における細胞の差次的接着特性;ろ過;従来の、およびゾーン遠心分離;遠心性水簸(流動に対抗する遠心分離(counter−streaming centrifugation));単位重力分離;向流分配;電気泳動;および蛍光励起細胞選別(FACS)が含まれるがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない。
培養培地は、例えば、ピペットで培地を皿から注意深く吸引し、新鮮培地を補充することにより、必要に応じて変えられる。インキュベーションは、十分な数または密度の細胞が皿に蓄積するまで続けられる。その後、存在する任意の元の外植組織切片を除去してよく、残りの細胞は、標準技術を用いたトリプシン処理によって、または細胞スクレーパーを使用することによって、皿から分離される。トリプシン処理後、細胞は、前記のとおり、収集され、新鮮培地へと除去され、インキュベートされる。いくつかの実施形態では、培地は、トリプシン処理後の約24時間で、少なくとも1回変えられて、浮遊細胞を除去する。培養物に残る細胞は、臍帯組織由来細胞であると考えられる。
臍帯組織由来細胞は、冷凍保存されてよい。したがって、以下でさらに詳細に説明する好適な実施形態では、自家移転(母もしくは子)のための臍帯組織由来細胞は、子供を出産した後の適切な分娩後組織由来であってよく、その後、移植のため後で必要になった場合に利用可能となるよう、冷凍保存され得る。
臍帯組織由来細胞は、例えば、成長特性(例えば、集団倍加能力、倍加時間、老化までの継代)、核型分析(例えば、正常な核型;母系性もしくは新生児系列)、フローサイトメトリー(例えば、FACS分析)、免疫組織化学および/または免疫細胞化学(例えば、エピトープ検出のため)、遺伝子発現プロファイリング(例えば、遺伝子チップアレイ;ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、および従来のPCR))、タンパク質アレイ、タンパク質分泌(例えば、血漿凝固アッセイまたはPDC−馴化培地の分析による、例えば酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)による)、混合リンパ球反応(例えば、PBMC刺激の指標として)、ならびに/または当技術分野で既知の他の方法によって、特徴付けられ得る。
臍帯組織由来細胞の例は、2004年6月10日にAmerican Type Culture Collectionが預かっており、以下のとおりATCC受入番号が割り当てられている:(1)菌株表示UMB022803(P7)は、受入番号PTA−6067を割り当てられ;(2)菌株表示UMB022803(P17)は、受入番号PTA−6068を割り当てられた。
様々な実施形態では、臍帯組織由来細胞は、以下の成長特徴のうち1つまたは複数を有する:(1)培養中、成長のためL−バリンを必要とする;(2)約5%〜約20%の酸素を含有する大気中で、成長することができる;(3)老化に達する前に、培養中、少なくとも約40倍加する可能性を有する;(4)コーティングされていない組織培養容器、またはゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチンもしくはフィブロネクチンでコーティングされた組織培養容器に付着し、その容器上で増殖する。
ある実施形態では、臍帯組織由来細胞は、細胞が継代するときに維持される正常な核型を有する。核型分析方法が利用可能であり、また、当業者に既知である。
他の実施形態では、臍帯組織由来細胞は、(1)組織因子、ビメンチン、およびα−平滑筋アクチンのうち少なくとも1つの産生、ならびに(2)フローサイトメトリーにより検出されたときに、CD1O、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、PD−L2、およびHLA−A、B、C細胞表面マーカーのうち少なくとも1つの産生、を含む、あるタンパク質の産生により特徴付けられることができる。他の実施形態では、臍帯組織由来細胞は、フローサイトメトリーにより検出されたときに、CD31、CD34、CD45、CD80、CD86、CD117、CD141、CD178、B7−H2、HLA−G、およびHLA−DR、DP、DQ細胞表面マーカーのうち少なくとも1つの産生がないことにより特徴付けられ得る。いくつかの適用で特に好ましいのは、組織因子;ビメンチン;およびα−平滑筋アクチンのうち少なくとも2つを産生する細胞である。さらに好ましいのは、:組織因子;ビメンチン;およびα−平滑筋アクチンの3つ全てのタンパク質を産生する細胞である。
他の実施形態では、臍帯組織由来細胞は、線維芽細胞、間葉系幹細胞、もしくは腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞に関する遺伝子発現により特徴付けられることができ、遺伝子発現は、interleukin 8; reticulon 1; chemokine (C-X-C motif) ligand 1 (melonoma growth stimulating activity, alpha); chemokine (C-X-C motif) ligand 6 (granulocyte chemotactic protein 2); chemokine (C-X-C motif) ligand 3; およびtumor necrosis factor, alpha-induced protein 3のうちの少なくとも1つをコード化する遺伝子について、増加する。
さらに他の実施形態では、臍帯組織由来細胞は、線維芽細胞、間葉系幹細胞、または腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞に関する遺伝子発現により特徴付けられてよく、遺伝子発現は、short stature homeobox 2; heat shock 27 kDa protein 2; chemokine (C-X-C motif) ligand 12 (stromal cell-derived factor 1); elastin (supravalvular aortic stenosis, Williams-Beuren syndrome); Homo sapiens mRNA; cDNA DKFZp586M2022 (from clone DKFZp586M2022); mesenchyme homeo box 2 (growth arrest-specific homeo box); sine oculis homeobox homolog 1 (Drosophila); crystallin, alpha B; disheveled associated activator of morphogenesis 2; DKFZP586B2420 protein; similar to neuralin 1; tetranectin (plasminogen binding protein); src homology three (SH3) and cysteine rich domain; cholesterol 25 -hydroxylase; runt-related transcription factor 3; interleukin 11 receptor, alpha; procollagen C-endopeptidase enhancer; frizzled homolog 7 (Drosophila); hypothetical gene BC008967; collagen, type VIII, alpha 1; tenascin C (hexabrachion); iroquois homeobox protein 5; hephaestin; integrin, beta 8; synaptic vesicle glycoprotein 2; neuroblastoma, suppression of tumorigenicity 1; insulin-like growth factor binding protein 2, 36kDa; Homo sapiens cDNA FLJ12280 fis, clone MAMMA1001744; cytokine receptor-like factor 1 ; potassium intermediate/small conductance calcium-activated channel, subfamily N, member 4; integrin, beta 7; transcriptional co-activator with PDZ-binding motif (TAZ); sine oculis homeobox homolog 2 (Drosophila); KIAA 1034 protein; vesicle- associated membrane protein 5 (myobrevin); EGF-containing fibulin-like extracellular matrix protein 1; early growth response 3; distal-less homeo box 5; hypothetical protein FLJ20373; aldo-keto reductase family 1, member C3 (3-alpha hydroxysteroid dehydrogenase, type II); biglycan; transcriptional co-activator with PDZ-binding motif (TAZ); fibronectin 1 ; proenkephalin; integrin, beta-like 1 (with EGF-like repeat domains); Homo sapiens mRNA full length insert cDNA clone EUROIMAGE 1968422; EphA3; KIAA0367 protein; natriuretic peptide receptor C/guanylate cyclase C (atrionatriuretic peptide receptor C); hypothetical protein FLJ14054; Homo sapiens mRNA; cDNA DKFZp564B222 (from clone DKFZp564B222); BCL2/adenovirus ElB 19kDa interacting protein 3 -like; AE binding protein 1; および/または cytochrome c oxidase subunit VIIa polypeptide 1 (muscle)のうち少なくとも1つをコード化する遺伝子について、減少する。
他の実施形態では、臍帯組織由来細胞は、MCP−1;IL−6;IL−8;GCP−2;HGF;KGF;FGF;HB−EGF;BDNF;TPO;MIP1b;I309;MDC;RANTES;およびTIMP1のうち少なくとも1つの分泌により特徴付けられ得る。いくつかの実施形態では、臍帯組織由来細胞は、ELISAにより検出されたときにTGF−β2;ANG2;PDGFbb;MIP1a;VEGFのうち少なくとも1つの分泌がないことにより特徴付けられ得る。
いくつかの好適な実施形態では、臍帯組織由来細胞は、血液が実質的にない臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができ、成長のためL−バリンを必要とし、少なくとも約5%の酸素中で成長でき、以下の特徴のうち少なくとも1つを含む。その特徴とは、(1)培養中に少なくとも約40倍加する能力;(2)コーティングされていない組織培養容器、またはゼラチン、ラミニン、コラーゲン、ポリオルニチン、ビトロネクチン、またはフィブロネクチンでコーティングされた組織培養容器上で付着および増殖する能力;(3)ビメンチンおよびα−平滑筋アクチンの産生;(4)CD1O、CD13、CD44、CD73、およびCD90の産生;ならびに(5)線維芽細胞、間葉系幹細胞、または腸骨稜骨髄細胞であるヒト細胞に関し、インターロイキン8(interleukin 8)およびレティキュロン1(reticulon 1)をコード化する遺伝子について増加する、遺伝子発現である。いくつかの実施形態では、そのような臍帯組織由来細胞は、CD45およびCD117を産生しない。
好適な実施形態では、細胞は、前述した成長、タンパク質/表面マーカー産生、遺伝子発現または物質分泌特徴のうち2つまたは3つ以上を含む。さらに好ましいのは、それらの特徴のうち3つ、4つ、5つ、またはそれ以上を含む細胞である。さらに、より好ましいのは、それらの特徴のうち6つ、7つ、8つ、またはそれ以上を含む臍帯組織由来細胞である。現在さらにいっそう好ましいのは、前記の特徴を全て含む細胞である。
本発明の態様のうちいくつかにおいて、本発明で使用されるのに現在好ましい細胞の中には、前述した特徴を有する臍帯組織由来細胞、さらに具体的には、細胞が正常な核型を有し、継代と共に正常な核型を維持し、さらには、細胞がマーカーCD1O、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、およびHLA−A、B、Cのそれぞれを発現し、細胞が列挙したマーカーに対応する免疫学的に検出可能なタンパク質を産生するものがある。さらにいっそう好ましいのは、前記に加え、フローサイトメトリーにより検出されたときに、マーカーCD31、CD34、CD45、CD117、CD141、またはHLA−DR、DP、DQの任意のものに対応するタンパク質を産生しない細胞である。
さまざまな表現型を生じさせる株(lines)に沿って分化する能力を有する、ある細胞は、不安定であるので、自発的に分化し得る。本発明で使用されるのに現在好ましいのは、例えば、筋芽細胞、骨格筋、血管平滑筋、周皮細胞、血液脈管新生(hemangiogenic)、血管新生、血管原生、または血管内皮の株に沿って、自発的に分化しない細胞である。好適な細胞は、成長培地で成長すると、例えば、GENECHIP(Affymetrix, Inc.,Santa Clara,CA)の商品名で販売されている医療診断試験を用いて判断したときに、細胞表面で産生された細胞マーカーに対して、また、さまざまな遺伝子の発現パターンに対して、実質的に安定する。細胞は、継代中にわたり、また、複数回の集団倍加にわたって、例えばそれらの表面マーカー特徴においては、実質的に一定のままである。
本発明の別の態様は、前述の臍帯組織由来細胞集団の使用を特徴とする。いくつかの実施形態では、細胞集団は、異種性である。本発明の異種性細胞集団は、本発明の臍帯組織由来細胞を少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%含んでよい。本発明の異種性細胞集団は、幹細胞または他の前駆細胞、例えば、筋芽細胞または他の筋前駆細胞、血管芽細胞、または血管前駆細胞をさらに含んでよく、あるいは、完全に分化した骨格筋細胞、平滑筋細胞、周皮細胞、または血管内皮細胞をさらに含んでよい。いくつかの実施形態では、集団は、実質的に同種であり、すなわち臍帯組織由来細胞(好ましくは、少なくとも約96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の臍帯組織由来細胞)のみを実質的に含む。本発明の同種細胞集団は、臍由来細胞を含んでよい。臍由来細胞の同種集団は、好ましくは、母系性系統の細胞がない。細胞集団の同種性は、当技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、細胞選別(例えば、フローサイトメトリー)によって、または既知の方法に従ったクローン増殖によって、達成され得る。よって、好適な同種臍帯組織由来細胞集団は、臍帯組織由来細胞のクローン細胞株を含むことができる。そのような集団は、非常に望ましい機能性を備えた細胞クローンが単離されたときに、特に有用である。
一実施形態では、細胞は、未分化細胞として、すなわち成長培地で培養されたものとして、投与される臍帯組織由来細胞である。あるいは、臍帯組織由来細胞は、培養中に、所望の神経組織に向けて、分化を刺激する条件にさらされた後で、投与されることができる。好適な一実施形態では、細胞はUTCである。別の実施形態では、細胞はhUTCである。
さらに、細胞集団は、2つ以上の細胞型を含み得る。実際、いくつかの実施形態は、神経細胞を取り囲み支持する細胞の投与を含む。そのような細胞は、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、脂肪組織、筋組織、腱または靭帯を含み得るがこれらに限定されない。
臍帯組織由来細胞の一般的プロトコル、単離および特徴付けは実施例5〜15で見ることができる。
遺伝子操作細胞
本発明で使用される細胞は、治療的に有用な遺伝子産物を産生するため、神経組織形成、治癒および/または成長を促進または支持する薬剤を産生するため、あるいは前駆細胞を神経の損傷エリアに補充する因子を産生するために、遺伝子操作されてよい。
遺伝子操作は、組み込みウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター、もしくは、アデノ随伴ウイルスベクター;非組み込み複製ベクター、例えば、パピローマウイルスベクター、SV40ベクター、アデノウイルスベクター;もしくは、複製欠陥ウイルスベクターを含むがこれらに限定されない、様々なベクターのいずれかを使用して達成され得る。DNAを細胞に導入する他の方法は、リポソーム、エレクトロポレーション、パーティクルガンの使用、または直接的なDNA注入によるものを含む。
例えば、細胞は、外来分子(例えば、細胞により正常に作られなかった異種分子)を発現および/または分泌するため、あるいは慢性疼痛を治療する分子の産生を改変するために、遺伝子操作されてよい。そのような分子は、当技術分野で周知の技術を用いて異種核酸分子を導入する際に、細胞により産生され得る。
一実施形態では、本発明の細胞は、神経伝達物質に対するレセプターを発現するように操作され得る。別の実施形態では、本発明の細胞は、神経伝達物質を産生するように奏さされ、神経伝達物質には、セロトニン、ヒスタミン、γアミノ酪酸、グルタメート、アスパラギン酸、グリシン、ニューロペプチドY、ATP、GRP、アデノシン、エピネフリン、ニューロエピネフリン、ドーパミン、アセチルコリン、メラトニン、n−アセチルアスパルチルグルタメート、オクトパミン、チラミン、ガストリン、コレシストキニン(cholecytokinin)、バソプレシン、オキシトシン、ニューロフィジン(neurphysin)IおよびII、膵臓ポリペプチド、ペプチドYY、コルチコトロピン、ダイノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、セクレチン、モチリン、グルカゴン、血管作動性腸ペプチド、成長ホルモン放出因子、ソマトスタチン、ニューロキニンAおよびB、P物質、ボンベシン、胃放出ペプチド(gastric releasing peptide)、一酸化窒素、一酸化炭素、およびアナンダミドが含まれるが、これらに限定されない。さらに他の実施形態では、本発明の細胞は、C終端またはN’終端からの断片を含むがこれに限定されない、神経伝達物質の断片を産生するよう操作される。
別の実施形態では、外来分子は、移植細胞の神経再生能力を高め、GABA介在ニューロンの感覚神経性伝達の再建を助け、かつ/または、被験者の興奮性/抑制神経伝達物質バランスの再建を助ける。
さらに他の実施形態では、細胞は、被験者の疼痛を直接減少させ、移植の成功を促進し(例えば、被験者における免疫反応の発現低下により)、かつ/または移植細胞の生存もしくは機能を促進する、外来分子を発現および/または分泌するように、遺伝子操作される。例示的な分子は、例えば、神経栄養因子、または神経保護薬を含む。
さらに他の実施形態では、非操作または操作細胞が、有用な機能を行うために遺伝子操作された他の細胞型と共に導入されてよい。例えば、ニューロンの成長を促進するため、細胞は、例えば神経栄養因子を分泌するか、または分泌するように操作された他の細胞と共に、投与されてよい。被験者への導入遺伝子の担体として作用する細胞の例は、線維芽細胞、副腎クロマフィン細胞、星状細胞、および筋芽細胞を含む。そのような細胞、例えば線維芽細胞およびグリア細胞は、ヘルペス単一性チミジンキナーゼ遺伝子などの遺伝子を含むレトロウイルスを送達するのに使用することもでき、その遺伝子産物は、標的細胞に対して、ガンシクロビルなどの他の治療薬または薬剤の標的である。
宿主細胞は、とりわけプロモーターもしくはエンハンサー配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位などの1つまたは複数の適切な発現制御要素によって制御されるか、またはそれらと操作的に関連するDNA、および選択可能なマーカーで、形質転換もしくは形質移入され得る。任意のプロモーターが、挿入遺伝子の発現を駆動するために用いられてよい。例えば、ウイルスプロモーターは、CMVプロモーター/エンハンサー、SV40、パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、またはエラスチン遺伝子プロモーターを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、目的の遺伝子の発現を制御するのに使用される制御要素により、遺伝子の発現を調節することができ、産物は、in vivoで必要とされる場合にのみ合成される。一時的な発現を望むならば、非組み込みベクターおよび/もしくは複製欠陥ベクターに、好ましくは、構成的プロモーターを用いる。あるいは、必要ならば、誘導プロモーターを、挿入遺伝子の発現を駆動するために用いることができる。誘導プロモーターは、メタロチオネイン、もしくは、ヒートショックタンパク質と関連したものを含むがこれらに限定されない。
外来DNA導入後、操作された細胞を、強化培地で成長させ、その後、選択培地に切り換えることができる。外来DNA中の選択可能なマーカーは、選択物に対する耐性を与え、細胞が(例えば、プラスミド上の)外来DNAを染色体中に安定的に組み込み、巣(foci)を形成するよう成長することを可能にし、この巣は、クローン化し、細胞株中へと増殖することができる。この方法は、遺伝子産物を発現する細胞株を操作するために、有利に用いることができる。
本発明の細胞は、炎症および植え込み部位の拒絶反応を促進する因子の発現を「ノックアウト」もしくは「ノックダウン」するように遺伝子操作されてもよい。標的遺伝子の発現レベルもしくは標的遺伝子産物の活性レベルを低減するための陰性調節技術を、以下で説明する。本明細書で用いられる「陰性調節」は、調節処理の不存在下の標的遺伝子産物のレベルおよび/もしくは活性に対する、標的遺伝子産物のレベルおよび/もしくは活性の低減をいう。骨格筋細胞、血管平滑筋細胞、周皮細胞、血管内皮細胞、神経細胞、またはその前駆細胞に固有の遺伝子の発現は、いくつかの技術を用いて、低減するか、またはノックアウトすることができる。その技術には、例えば、相同的組み換え技術を用いて遺伝子を不活性化することによる発現の抑制が含まれる。典型的には、標的遺伝子からの正常なmRNAの産生を阻害し、結果的に遺伝子の不活性化を生じる陽性選択可能マーカー、例えばneo、によって、タンパク質の重要な領域をコードするエキソン(すなわち、その領域の5’側エキソン)が、割り込まれる。また、遺伝子の一部に欠失を作り出すことで、もしくは、全体の遺伝子を欠失することによって、遺伝子を不活性化してもよい。ゲノム中で、離れた、標的遺伝子と相同な2つの領域を備えた構築物を用いることによって、その2つの領域に介在する配列を欠失することができる(Mombaerts et al.,Proc. Nat. Acad. Sci U.S.A.,1991;88:3084)。また、アンチセンス、DNAザイム、リボザイム、低分子干渉RNA(small interfering RNA)(siRNA)、および、標的遺伝子の発現を抑制する他のこのような分子を、標的遺伝子活性のレベルを低減するために用いることができる。例えば、主要組織適合性遺伝子複合体(HLA)の発現を抑制するアンチセンスRNA分子は、免疫反応について、最も多用途であることが示されてきた。さらに、三重らせん分子を、標的遺伝子活性のレベルを低減する上で利用することができる。これらの技術は、Davis,L. G. et al. (eds),Basic Methods in Molecular Biology,2nd ed.,1994、Appleton & Lange,Norwalk,Ct.に詳細に説明されている。
他の態様では、本発明は、臍帯組織由来細胞から準備した細胞可溶化液および細胞溶解性画分を利用する。そのような可溶化液およびその分画には多くの実用性がある。そのような可溶化液可溶性分画(すなわち実質的に膜がない)のin vivoでの使用は、例えば、拒絶反応もしくは他の逆免疫反応の誘因となる可能性が最も高い細胞表面タンパク質を相当量導入することなしに、患者において、有利な細胞内環境を同種的に用いることを可能にする。細胞を可溶化する方法は、当技術分野では周知であり、機械的破砕、酵素的破砕、化学的破砕、またはそれらの組み合わせといった様々な手段を含む。そのような細胞可溶化液は、それらの成長培地において直接細胞から準備されてよく、したがって、分泌された成長因子などを含んでよく、あるいは、例えばPBSもしくは他の溶液中で、洗浄され培地を含まない細胞から準備されてもよい。洗浄された細胞は、好適な場合、元の集団密度より高い濃度で再懸濁されてもよい。
一実施形態では、例えば細胞画分を後に分離せずに、細胞を破砕することによって、全体的な細胞可溶化液が準備される。別の実施形態では、細胞膜分画は、当技術分野で既知の所定の方法、例えば、遠心分離、ろ過もしくは同様の方法、によって、細胞の可溶性分画から分離される。
分娩後由来細胞集団から準備した細胞可溶化液または細胞可溶性分画は、そのまま使用されるか、例えば限外ろ過もしくは凍結乾燥によってさらに濃縮されるか、あるいは、乾燥して、部分的に精製して、当技術分野において既知の製薬上許容できる担体もしくは希釈剤と組み合わせるか、または、例えば、製薬上有用なタンパク質組成物といった生物製剤のような他の化合物と組み合わせてもよい。細胞可溶化液またはその分画は、in vitroまたはin vivoで、単独で、または、例えば自家もしくは同系の生細胞と共に、使用されることができる。可溶化液は、in vivoで導入される場合、治療部位で局所的に導入してもよいし、あるいは、例えば、患者に必要とされる細胞成長因子を提供するために、遠隔的に導入してもよい。
さらなる実施形態では、UTCは、in vitroで培養されて、生物学的産物を高い収量で産生することができる。目的の特定の生物学的産物(例えば、栄養因子)を天然で産生するか、またはそのような生物学的産物を産生するよう遺伝子操作した臍帯組織由来細胞は、本明細書で説明する培養技術を用いて、クローン的に増殖することができる。あるいは、細胞は、神経細胞への分化を誘導する培地中で増殖することができる。いずれの場合も、細胞によって産生され、培地中に分泌された生物学的産物を、標準的分離技術、例えば、数例挙げると、差次的タンパク質沈殿、イオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過クロマトグラフィ、電気泳動、および、HPLCを用いて、馴化培地から容易に単離することができる。「バイオリアクター」を、フィーディング(feeding)のためのフロー法、例えば、in vitroでの3次元培養、を利用するために用いてもよい。基本的に、新鮮培地が3次元培養を通過するので、生物学的産物が培養物から洗い出され、その後、上記のように流出物から単離されてもよい。
あるいは、目的の生物学的産物は、細胞の中にとどまってもよい。したがって、その収集には、上記で説明したように、細胞を可溶化する必要があるかもしれない。生物学的産物を、その後、前記に列記した技術のうち任意の1つまたは複数を用いて、精製してもよい。
他の実施形態では、本発明は、以下に説明するように、in vitroおよびin vivoで使用されるように培養された臍帯組織由来細胞由来の馴化培地を利用する。臍帯組織由来細胞馴化培地の使用により、拒絶反応もしくは他の逆免疫反応の誘因となりうる無処理細胞を導入することなしに、臍帯組織由来細胞によって分泌された有利な栄養因子を、患者において同種的に使用することができる。培養培地中で細胞を培養し、その後、培地から細胞を取り除くことによって、馴化培地を準備する。
臍帯由来細胞集団から準備した馴化培地は、そのまま使用されるか、例えば限外ろ過もしくは凍結乾燥によってさらに濃縮するか、あるいは、乾燥して、部分的に精製して、当技術分野において既知の製薬上許容できる担体もしくは希釈剤と組み合わせるか、または、例えば、製薬上有用なタンパク質組成物といった生物製剤のような他の化合物と組み合わせてもよい。馴化培地を、in vitroもしくはin vivoで、単独で使用するか、または、例えば、自家もしくは同系生細胞と組み合わせることができる。馴化培地は、in vivoで導入される場合、治療部位で局所的に導入してもよいし、患者に必要とされる細胞成長もしくは栄養因子を提供するために、遠隔的に導入してもよい。
別の実施形態では、液体、固体、半固体の基質上で臍帯組織由来細胞を培養することで産生された細胞外マトリックス(ECM)を、神経細胞の修復、置換もしくは再生を必要とする被験者に生細胞を埋め込む代替物として、準備し、収集し、利用する。臍帯組織由来細胞は、in vitroで、本明細書中で別の箇所で説明するような3次元フレームワーク上で、所望の量のECMをそのフレームワーク上へ分泌するような条件下で、培養される。新組織を含む細胞を取り除き、例えば注入可能な製剤として更に使用するために、ECMを加工する。これを達成するために、フレームワーク上の細胞を殺し、フレームワークから任意の細胞壊死破片を取り除いた。このプロセスは、いくつかの異なる方法で実行されてもよい。例えば、生組織を低温保存することなしに液体窒素中で急速冷凍することができるか、または、組織を無菌蒸留水に浸すことができ、細胞は浸透圧に反応して破裂する。
一度細胞を殺すと、細胞膜は破砕されて、EDTA、CHAPS、もしくは、双性イオン洗剤のような中性洗剤によるすすぎ処理をすることによって、細胞壊死破片が取り除かれる。あるいは、細胞膜を破壊し、細胞内容物を除去することのできる試薬によって、組織を酵素的に消化し、かつ/もしくは抽出することができる。このような酵素の例は、ヒアルロニダーゼ、ディスパーゼ、プロテアーゼ、ヌクレアーゼを含むがこれらに限定されない。洗剤の例は、例えば、アルキルアリルポリエーテルアルコール(トリトンX−100)、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Rohm and Haas Philadelphia,Pa.)、BRIJ−35、ポリエトキシエタノールラウリルエーテル(Atlas Chemical Co.,San Diego,Ca.)、ポリソルベート20 (TWEEN 20)、ポリエトキシエタノールソルビタンモノラウレート(Rohm and Haas,Philadelphia,Pa.)、ポリエチレンラウリルエーテル(Rohm and Haas,Philadelphia,Pa.)のような非イオン性洗剤、および、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、硫酸化高級脂肪族アルコール、スルホン酸化アルカン、枝分かれ鎖もしくは非枝分かれ鎖中に7〜22個の炭素原子を含むスルホン酸化アルキルアーレンのようなイオン性洗剤を含む。
少なくとも部分的に、新しい組織が、生分解性もしくは非生分解性の3次元フレームワーク上で形成されたかどうかに応じて、金属の場合のように、様々な方法で、ECMの収集を達成することができる。例えば、フレームワークが非生分解性の場合、フレームワークを超音波処理、高圧力水噴流、機械的剥離、または、洗剤もしくは酵素での軽い処理、あるいは、上記の任意の組み合わせにかけることによって、ECMを取り除くことができる。
フレームワークが生分解性である場合、ECMは、例えば、フレームワークを溶液中に分解もしくは溶解させることによって、収集され得る。あるいは、生分解性フレームワークがECMとともに注入することが可能な材料から構成される場合、フレームワークおよびECMは全体として、その後の注入のために加工することができる。あるいは、上記で説明した非生分解性フレームワークからECMを収集するための方法のいずれかによって、ECMを生分解性フレームワークから除去することができる。好ましくは、全収集プロセスが、ECMを変性することがないように設計される。
収集後、ECMを更に加工してもよい。例えば、超音波処理のような当技術分野で周知の技術を用いて、ECMを細かい粒子に均質化することができ、外科用針を通過することが可能である。所望の場合、ガンマ線照射によって、ECMの成分を架橋することもできる。好ましくは、ECMを滅菌し架橋するために、0.25〜2メガラドで、ECMを照射することができる。グルタルアルデヒドのような有毒な薬剤を用いた化学的架橋は可能であるが、概して好適ではない。
ECM中に存在するさまざまな型のコラーゲンのような、タンパク質の量および/もしくは割合は、本発明の細胞によって産生されたECMを1つまたは複数の他の細胞型のECMと混ぜることによって調整してもよい。さらにタンパク質、成長因子、および/もしくは、薬剤のような生物活性物質を、ECM中に取り込むことができる。例示的な生物活性物質は、注入部位での治癒および組織修復を促進する組織成長因子、例えばTGF−βおよび同様のもの、を含む。このような追加的な薬剤は、本明細書において前記で説明したような実施形態のいずれか、例えば、臍帯組織由来細胞によって産生された全細胞可溶化液、可溶性細胞分画、もしくは、さらに精製した成分および産物とともに利用してもよい。
細胞培養
単離した細胞は、細胞培養を開始するかまたは播種するために使用されてよい。単離した細胞は、コートされていないか、または細胞外マトリックス、またはラミニン、コラーゲン(天然、変性、もしくは架橋)、ゼラチン、フィブロネクチン、および他の細胞外マトリックスタンパク質などのリガンドでコートされた、無菌組織培養容器に移される。細胞は、DMEM(高または低グルコース)、先端的なDMEM(advanced DMEM)、DMEM/MCDB 201、イーグルの基本培地、ハムF10培地(F10)、ハムF−12培地(F12)、イスコフ改変ダルベッコ培地、間葉系幹細胞成長培地(MSCGM)、DMEM/F12、RPMI1640、およびCELL−GRO−FREE(Mediatch, Inc.,Herndon,Va.)の商品名で販売される血清/培養液のない培地などであるがこれらに限定されない、細胞の成長を維持できる任意の培養培地で培養される。培養培地は、例えば、ウシ胎仔血清(FBS)、好ましくは約2〜15%(v/v);ウマ血清(ES);ヒト血清(HS);β−メルカプトエタノール(BMEもしくは2−ME)、好ましくは約0.001%(v/v);1つもしくは複数の成長因子、例えば、血小板由来成長因子(PDGF)、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、インスリン様成長因子−1(IGF−I)、白血球阻害因子(LIF)、およびエリスロポエチン(EPO);L−バリンを含むアミノ酸;ならびにペニシリンG、ストレプトマイシン硫酸塩、アンホテリシンB、ゲンタマイシン、およびニスタチンなど、微生物汚染を制御する1つもしくは複数の抗生物質および/または抗真菌薬を含む、1つまたは複数の成分を、単独または組み合わせて、補充されることができる。培養培地は、好ましくは、成長培地(例えば、DMEM低グルコース、血清、BME、および抗生物質)を含む。
細胞は、細胞成長させる密度で培養容器に播種される。好適な実施形態では、細胞は、空気中、約0〜約5容量%のCO2で、培養される。いくつかの好適な実施形態では、細胞は、空気中、約2〜約25%のO2で、好ましくは空気中、約5〜約20%のO2で培養される。細胞は、好ましくは約25℃〜約40℃の温度で培養され、さらに好ましくは、37℃で培養される。細胞は、好ましくはインキュベーターで培養される。培養容器中の培地は、静止しているか、または例えばバイオリアクターを使用して、攪拌されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞は、好ましくは、低酸化的ストレス下で(例えば、グルタチオン、ビタミンC、カタラーゼ、ビタミンE、N−アセチルシステインを加えて)成長する。本明細書で使用される「低酸化的ストレス」は、培養される細胞に対して、フリーラジカルによるダメージが全くないかまたは最小限である状態を指す。
局所投与
本発明の全実施形態について、神経因性疼痛を有する個体は、疼痛を治療するのに有効な量の細胞集団を投与される。本発明の特定の実施形態は、神経の損傷、傷害および/または疼痛の治療のための、神経細胞の直接修復、再生、置換、または神経細胞の修復、再生、もしくは置換の支援のための、細胞集団の局所投与に関する。個体に投与される組成物は、細胞集団、および医薬的に許容可能な担体を含む。そのような組成物は、本明細書に記載され例示されるそのような方法および医薬組成物を作り、使用し、実行するためのキットで使用され得る。キットは、細胞集団の投与を助ける装置をさらに含んでよく、それは例えば、針、チューブ、マイクロピペットなどである。一実施形態では、キットは、少なくとも1つの細胞集団、構築物、および注射装置を含む。さらに、いくつかの実施形態では、キットは、細胞の正確な配置を示す画像化装置と連結されることもできる。細胞は、細胞の配置の検出を可能にするエネルギーを放出するようさらに操作され得る。
一実施形態では、細胞集団は、疼痛エリアおよび/もしくは神経の損傷部位、または疼痛を媒介する病態もしくは異常の部位に、局所投与される。投与部位は、医療従事者が最も有効であると決めた任意の部位であってよく、そのため、疼痛または神経の損傷の部位に近位または遠位であってよい。細胞投与は、部位の近位または遠位で細胞集団を置く任意の手段によって投与されてよく、その手段には、カテーテル、注射器、シャント、ステント、マイクロカテーテル、ポンプ、装置による植え込み、または足場による植え込みが含まれる。
細胞集団を含む医薬組成物は、液体、半固体(例えばゲル)、または固体(例えば、血管または骨格筋組織工学に適切なマトリックス、足場など)として処方され得る。
液体組成物は、細胞集団の標的神経組織への送達を達成するため、当技術分野で既知である任意の許容できる経路による投与のため処方される。典型的には、これらは、ポンプ装置を備えるかもしくは備えない針および/またはカテーテルを有する注射器による筋肉内、静脈内、または動脈内送達を含むがこれらに限定されない投与経路によって、拡散性の方法の、または末梢虚血性傷害、損傷、または苦痛の部位を標的とした、注射または注入を含む。
例えば、一実施形態では、細胞集団は、直接定位注射、例えば、針によって投与される。針は、中空ボアの中の細胞の移動を容易にするような任意のサイズであってよい。針は、目的の組織部位への皮膚を直接通して挿入されてよく、あるいは、針は、例えばガイドワイヤなどの装置と共に使用されて、針の組織部位への誘導を容易にすることができる。針および誘導装置は、予め組み立てられても、熟練した開業医に送達されてもよく、熟練した開業医は、使用直前または使用中に装置を組み立てることができる。
代替実施形態では、送達カテーテルを使用して、細胞集団を送達装置の中へ送達することができ、この送達装置は、例えば被験者への細胞の注射によって、導入を容易にするものである。このような送達装置は、細胞および流体をレシピエント被験者の体内に注入する、チューブ、例えばカテーテルを含む。一実施形態では、本発明の細胞は、マイクロピペットを使用して所望の場所で被験者に導入され得る。本発明の細胞は、溶液、例えば細胞懸濁液の形態で、そのような送達装置、例えばマイクロピペットまたは注射器の中に挿入され得る。さらに、本発明の細胞は、Bunge et al.,J. Neurology,1994;241:536に記載されるもののような、軸索の再生のガイドとして役立ち得る、誘導チャネル(例えば、ポリアクリロニトリル/ポリ塩化ビニル(PAN/PVC)誘導チャネル)に投与されてよい。
細胞集団、または細胞を含む組成物および/もしくはマトリックスは、マイクロカテーテル、カテーテル内法(intracatheterization)によって、またはミニポンプによって、部位まで送達されてよい。ビヒクル賦形剤または担体は、患者への投与、特に細胞の分化が誘導されるべき部位で局所的に投与するのに、医薬的に許容可能であることが知られる任意のものであってよい。
さらに、細胞集団は、任意の生理学的適合性担体、例えば緩衝生理食塩水溶液で、投与され得る。本開示で論じる医薬的に許容可能な担体および希釈剤は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒および/または分散培地を含むがこれらに限定されない。そのような担体および希釈剤の使用は、当技術分野で周知である。他の実施例は、液体培地、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、無菌生理食塩水、無菌リン酸緩衝生理食塩水、リーボビッツ培地(L15、Invitrogen,Carlsbad,Ca.)、滅菌ブドウ糖液、および任意の他の生理学的に許容可能な液体を含む。溶液は、好ましくは無菌であり、容易な注入性能(syringability)が存在する範囲で流体である。好ましくは、溶液は、製造および保管条件下で安定しており、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを使用することで、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される。本発明の溶液は、医薬的に許容可能な担体または希釈剤、および、必要に応じて、前記に列挙した他の成分を使用して準備され、次にろ過滅菌が続き、その後、本明細書に記載する細胞集団を組み込むことができる。
半固体または固体担体の細胞を含む医薬組成物は、典型的には、神経の傷害、損傷、または苦痛の部位で外科的に植え込まれるように処方される。液体組成物は外科的手法によっても投与されてよいことが理解されるであろう。特定の実施形態では、半固体または固体の医薬組成物は、非生分解性もしくは生分解性であってよい半透過性ゲル、マトリックス、細胞足場などを含むことができる。例えば、ある実施形態では、外因性細胞を、その周辺から隔離し、さらに細胞が生物学的分子(例えば、ノイロトロピン因子)を周辺神経細胞に対して分泌および送達できるようにすることが、望ましいかまたは適切である場合がある。これらの実施形態では、細胞は、移植細胞を宿主組織から物理的に分離する、非分解性で選択的に透過性の障壁により囲まれた臍帯組織由来細胞を含む自律性インプラントとして処方されてもよい。そのようなインプラントは、「免疫保護性」と呼ばれることもあり、これは薬理学的に誘導された免疫抑制の不存在下で、免疫細胞および巨大分子が移植細胞を殺すのを防ぐ能力を有するからである。
他の実施形態では、異なる分解性ゲルおよびネットワークを本発明の医薬組成物に使用する。例えば、特に適切な分解性材料は、本開示で論じられる任意のものを含み、それには、生体適合性ポリマー、例えばポリ(乳酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどが含まれるが、これらに限定されない。
別の実施形態では、1つまたは複数のヒドロゲルが医薬組成物に使用される。1つまたは複数のヒドロゲルは、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン構築物、親水性ビニル、およびアクリルポリマー、多糖類、例えばアルギン酸カルシウム、およびポリ(エチレンオキシド)を含み得る。さらに、ヒドロゲルは、互いに、また、メチルメタクリレート、酢酸ビニルなどの疎水性モノマーと共に、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、自己集合性ペプチド(例えば、RAD16)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)およびそれらのコポリマーから形成され得る。大きなポリ(エチレンオキシド)ブロックを含む親水性ポリウレタンも好ましい。他の好適な材料は、ポリマーの浸透ネットワークを含むヒドロゲルを含み、これは、追加または縮合重合によって形成されることができ、その成分は、列挙したものなど、親水性および疎水性モノマーを含むことができる。in situ形成分解ネットワークも、本発明での使用に適切である(例えば、Anseth,KS et al. J. Controlled Release,2002;78:199−209;Wang,D. et al,Biomaterials,2003;24:3969−3980;米国特許出願公開第2002/0022676号を参照)。これらのin situ形成材料は、注射に適切な流体として処方され、その後、in situもしくはin vivoでの温度、pH、光照射の変化のような様々な手段によってヒドロゲルを形成するよう誘導してもよい。一実施形態では、構築物は、フィブリン糊含有ゲルを含む。別の実施形態では、構築物は、アテロコラーゲン含有ゲルを含む。
本発明の1つの態様では、マトリックスを形成するために用いられるポリマーは、ヒドロゲルの形態である。概して、ヒドロゲルは、架橋ポリマー材料であり、これは、明らかな3次元構造を維持しながら、その重量の20%より多く吸水することができるものである。この定義は、水で膨脹した材料と同様に、水を含む環境下で膨脹するであろう乾燥した架橋ポリマーも含む。多くの親水性ポリマーは、ポリマーが生物起源、半合成性、全合成性であっても、ヒドロゲルを産生するために架橋されることが可能である。ヒドロゲルを、合成ポリマー材料から産生してもよい。このような合成ポリマーは、特性の範囲および予想できるロット間の一様性にあわせて調整されることが可能であり、概して免疫原性の心配がないような信頼できる材料源を示すことができる。マトリックスは、米国特許第5,670,483号および5,955,343号、米国出願公開第2002/0160471号、PCT出願WO02/062969号で論じられるように、自己集合性ペプチドから形成されるヒドロゲルを含んでもよい。
薬剤送達に係る適用において、ヒドロゲルを価値のあるものにする特性は、平衡膨張度、吸着動力学、溶質透過性、in vivoでの実行特性を含む。化合物に対する透過性は、一部には、膨張度もしくは含水量、生分解速度に依存する。ゲルの機械的強度は膨張度に比例して減少し得るため、合成方式が機械的強度を高めるように、ヒドロゲルが基質に付着することが可能なことは、本発明の意図の範囲内である。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの有用な送達特性と共に、基質の機械的強度を得るために、多孔性基質内に含浸することができる。
他の実施形態では、医薬組成物は、ホモポリマー、コポリマーおよびブロックポリマー、ならびにその組み合わせを含む、天然、改質天然または合成生分解性ポリマーで作られる、生体適合性マトリックスを含む。
適切な生分解ポリマーまたはポリマークラスの例は、フィブリン、I、II、III、IVおよびV型コラーゲン、エラスチン、ゼラチン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ラミニン、トロンビン、ポリ(アミノ酸)、酸化セルロース、トロポエラスチン、絹、リボ核酸、デオキシリボ核酸、タンパク質、ポリヌクレオチド、アラビアガム、再構成基底膜マトリックス、デンプン、テキストラン、アルギン酸、ヒアルロン、キチン、キトサン、アガロース、多糖類、ヒアルロン酸、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリエチレングリコール、脱細胞化組織、自己集合性ペプチド、ポリペプチド、グリコサミノグリカン、それらの誘導体、および、それらの混合物を含むがこれらに限定されない、本開示で論じる任意の生分解性ポリマーを含む。適切なポリマーは、L(+)およびD(−)ポリマーで形成され得るポリ(ラクチド)(PLA)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリウレタン、ポリフォスファゼン、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマー、分解性ポリシアノアクリレート、および分解性ポリウレタンも含む。グリコール酸および乳酸双方について、中間環状二量体が、重合前に準備され精製されてよい。これらの中間二量体は、それぞれ、グリコリドおよびラクチドと呼ばれる。
他の有用な生分解性ポリマーもしくはポリマークラスは、限定されないが、脂肪族ポリエステル、ポリ(シュウ酸アルキレン)、チロシン由来ポリカーボネート、ポリイミノカーボネート、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基を含むポリオキサエステル、ポリ(フマル酸プロピレン)、ポリフマル酸、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、ポリシュウ酸、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリ(エステル)、ポリウレタン、ポリ(ウレタンエステル)、ポリ(ウレタンエーテル)、ポリ無水物、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリアミノ酸、ポリアミド、ならびに、そのブレンドおよびそのコポリマーを含む。追加的な有用な生分解性ポリマーは、限定されないが、L−乳酸およびD−乳酸のステレオポリマー、ビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンとセバシン酸とのコポリマー、セバシン酸コポリマー、カプロラクトンのコポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(グリコール酸)/ポリエチレングリコールコポリマー、ポリウレタンとポリ(乳酸)とのコポリマー、α−アミノ酸のコポリマー、α−アミノ酸とカプロン酸とのコポリマー、α−ベンジルグルタミン酸塩とポリエチレングリコールとのコポリマー、コハク酸塩とポリ(グリコール)とのコポリマー、ポリフォスファゼン、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)、および、それらの混合物を含む。二成分系、三成分系もまた考えられる。
概して、マトリックスを形成するのに用いられる材料は、(1)意図された適用に適切な機械的な特性を有し、(2)組織が成長し治癒されるまで十分無処理のままであり、(3)炎症反応もしくは有毒反応を引き起こさず、(4)その目的を果たした後に体内で代謝され、(5)形成されるべき望ましい最終産物へと容易に加工され、(6)許容できる品質保持期間を示し、(7)容易に滅菌されるように、望ましく構成される。
別の実施形態では、細胞集団は、足場を用いて投与される。足場の組成、形状、および多孔性は、前記の任意のものであってよい。典型的には、これらの3次元の生体材料は、足場に付着するか、足場内に拡散するか、または足場の中にとらえられた細胞外マトリックスに取り込まれる、生細胞を含む。いったん体の標的領域に植え込まれると、これらのインプラントは、宿主組織と統合されるようになり、移植細胞は段階的に定着するようになる。
本発明に使用され得る足場の非限定的な例は、織物、編み物、組みひも、メッシュ、不織布、ねじれ編みのような織物構造、多孔性フォーム、半多孔性フォーム、有孔フィルムもしくはシート、微粒子、ビーズ、球、および、上記の構造体の組み合わせである複合構造体を含む。不織マットを、例えば、商品名VICRYL縫合糸(Ethicon,Inc.,Somerville,N.J.)で販売されているグリコール酸と乳酸との合成吸収性コポリマー(PGA/PLA)から構成される繊維を用いて、形成してもよい。例えば、ポリ(ε−カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーから構成され、フリーズドライのようなプロセスによって形成されるかまたは凍結乾燥され、米国特許第6,355,699号で論じられているようなフォームをも利用してよい。
別の実施形態では、フレームワークは、生体吸収性材料から作られたマルチフィラメント糸から構成されることが可能なフェルトである。糸は、圧着、裁断、梳綿、穿刺から成る標準的な織物加工技術を用いて、フェルトへと製造される。別の実施形態では、複合構造体として使用されてもよいフォーム足場上に、細胞を播種する。
前記の実施形態の多くでは、フレームワークを、組織の空隙を埋めるように、有用な形状に成型してもよい。したがって、フレームワークは、神経成長のチャネルを与えるだけでなく、支持する周りの組織、例えば血管組織、筋組織などの足場を提供するように形成され得る。さらに、細胞集団は、前形成された、非分解性の外科的なもしくは植え込み可能な装置上で培養され得ることが、理解されるであろう。
本発明の医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体または培地と共に処方された細胞から作られた製剤を含み得る。適切な医薬的に許容可能な担体は、水、塩類溶液(例えばRinger溶液)、アルコール、油、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、炭水化物、例えばラクトース、アミロース、もしくはでんぷん、脂肪酸エステル、およびヒドロキシメチルセルロースを含むがこれらに限定されない、本開示で論じた任意のものを含む。そのような製剤は、滅菌され、所望であれば、補助薬、例えば潤滑剤、保存料、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、および浸透圧に影響する塩類、緩衝液、および着色料と混合されることができる。本発明で使用するのに適した医薬的担体は、当技術分野で既知であり、例えば、Pharmaceutical Sciences(17th Ed., Mack Pub. Co.,Easton,Pa.)およびWO96/05309に記載される。
別の実施形態では、投与前に、細胞集団は、1つまたは複数の因子の存在下で、あるいは、神経細胞経路に沿って幹細胞分化を刺激する、他の条件下で、インキュベートされる。そのような因子は、当技術分野で既知であり、当業者は、適切な分化条件の決定が、所定の実験で達成され得ることを認識するであろう。そのような条件の最適化は、統計学的な実験デザインおよび分析により達成することができ、例えば、応答曲面法は、例えば生物学的培養における複数の変数を同時に最適化することができる。現在好適な因子は、例えば、血管新生、血液血管新生、血管原生、骨格筋、血管平滑筋、周皮細胞もしくは血管内皮の経路もしくは系統に沿った細胞集団の分化を刺激することが現在既知であるか、または後に決定される、成長因子または栄養因子、ケモカイン、サイトカイン、細胞産物、脱メチル化薬、および他の刺激物を含むがこれらに限定されない。あるいは、患者に投与される組成物は、神経細胞経路に沿った細胞分化を刺激する1つまたは複数の因子を有する細胞集団を含み、細胞分化は、組織部位においてin vitroで生じる。
細胞集団を投与するための剤形および方法、または本明細書に記載する他の治療もしくは医薬組成物のいずれかは、個々の患者の状態、例えば、神経の傷害もしくは損傷の性質および範囲、年齢、性別、体重および全身病状、ならびに開業医に既知の他の因子、を考慮して、適切な医療行為に従って開発される。したがって、患者に投与すべき医薬組成物の有効量は、当技術分野で既知のこれらの事柄により判断される。
全身投与
一実施形態では、細胞集団は、神経損傷の疼痛および/または部位を治療するため、全身投与される。投与部位は、医療従事者が最も良いと決定した任意のところでよく、ゆえに、静脈内、筋系内、腹腔内などであってよい。細胞は、注射および注入を含むがこれらに限定されない任意の手段によって、投与され得る。
本発明の特定の実施形態は、神経の損傷、傷害および/または疼痛の治療のための、神経細胞の直接修復、再生、置換、または神経細胞の修復、再生、もしくは置換の支援のための、細胞集団の全身投与に関する。
本発明の細胞またはその組成物の全身投与経路は、静脈内、腹腔内、動脈内、または、ポンプ装置を備えるかもしくは備えない針もしくはカテーテルを有する注射器によるもの、を含むがこれらに限定されない。細胞集団の遊走は、個体の身体内の流体の移動、例えば血液またはリンパ液の移動、ならびに化学信号、成長因子などにより誘導され得る。
特定の一実施形態では、送達カテーテルを使用して、細胞集団を送達装置の中へ送達することができ、この送達装置は、例えば被験者への細胞の注射によって、導入を容易にするものである。このような送達装置は、細胞および流体をレシピエント被験者の体内に注入する、チューブ、例えばカテーテルを含む。さらに、細胞集団は、任意の生理学的適合性担体、例えば緩衝生理食塩水溶液で、投与され得る。医薬的に許容可能な担体および希釈剤は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒および/または分散培地を含む。好ましくは、溶液は、製造および保管条件下で安定しており、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどを含む抗菌剤および抗真菌薬を使用することで、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保存される。本発明の溶液は、医薬的に許容可能な担体または希釈剤、および、必要に応じて、前記に列挙した他の成分を使用して準備され、次にろ過滅菌が続き、その後、本明細書に記載する細胞集団を組み込むことができる。
局所および全身投与される細胞について、細胞集団、または本明細書に記載する他の治療もしくは医薬組成物のいずれかを投与するための剤形および療法は、個々の患者の状態、例えば、神経の傷害もしくは損傷の性質および範囲、年齢、性別、体重および全身病状、ならびに開業医に既知の他の因子、を考慮して、適切な医療行為に従って開発される。したがって、患者に投与すべき医薬組成物の有効量は、当技術分野で既知のこれらの事柄により判断される。
医療従事者が使用する細胞集団が臍帯組織由来細胞である場合、同種、またはさらには異種の細胞の移植は、場合によっては許容され得る。これは、これらの細胞が混合リンパ球反応で同種PBMCを刺激しないことが分かっているためである。したがって、細胞自体は、免疫反応抑制効果をもたらし、それにより、移植された細胞集団の宿主拒絶を防ぐことが認識される。そのような場合、細胞療法中の薬理学的免疫反応抑制は、必要ないであろう。
しかしながら、他の場合には、細胞療法を開始する前に、薬理学的に患者の免疫反応を抑制することが望ましいかまたは適切である場合がある。これは、全身または局所免疫抑制剤の使用によって達成でき、あるいは、前述のとおり、被包装置に細胞を送達することによって、達成することができる。移植細胞に対する免疫反応を低減または排除する、これらの、および他の手段は、当技術分野で既知である。代替手段として、細胞集団は、前記のとおり、遺伝子操作されて、免疫原性を減少させることができる。
さらに、生きている患者中の移植細胞集団の生存は、様々なスキャン技術、例えば、コンピューター断層撮影(CATもしくはCT)スキャン、磁気共鳴映像(MRI)または陽電子放射断層撮影(PET)スキャン、の使用により判断され得る。移植物の生存の判断は、神経組織および周囲組織を除去し、それを視覚的にもしくは顕微鏡で調べることによって、死後行われてもよい。あるいは、細胞は、神経細胞もしくはその周囲組織に特異的な染料で処理されてよい。移植細胞はまた、ローダミンまたはフルオレセイン標識したミクロスフィア、ファストブルー(fast blue)、三価鉄微粒子、ビスベンザミド、または、β−ガラクトシダーゼもしくはβ−グルクロニダーゼのような遺伝的に導入されたレポーター遺伝子産物のような、トレーサー染料を前もって取り込むことで、識別され得る。
細胞集団と共に投与される薬剤または化合物
本発明の細胞は、移植のためにそれらを準備する任意の段階で、例えば、切開、限られた消化、解離、播種、および/または移植用の細胞懸濁液の産生中に、いくつかの薬剤または因子でインキュベートおよび/または処理されてよく、その薬剤または因子は、in vitroおよび/またはレシピエント被験者における細胞の生存、成長、分化および/または統合を促進するか、あるいは慢性疼痛の治療をさらに支援するものである。追加薬剤の投与は、細胞の移植前に始まってよく、移植時に始めてよく、あるいは移植後に始めてもよい。追加薬剤の投与は、持続時間が限られてよく(例えば、薬剤の単回投与のみからなってよい)、あるいは、長期間持続するものであってもよい(例えば、長時間にわたり繰り返し被験者に与えられてよい)。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の化合物もしくは成分が、細胞集団と並行して、連続して投与されるか、またはそれと直接所方される。投与細胞に追加されてよい他の成分の例は、以下を含むがこれらに限定されない:(1)他の神経栄養因子、例えば脳由来神経栄養因子、絨毛神経栄養因子、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン4/5、神経成長因子、酸性線維芽細胞成長因子、塩基性線維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、上皮成長因子、アンフィレギュリン、形質転換成長因子、形質転換成長因子、インスリン様成長因子;(2)選択された細胞外マトリックス成分、例えば、当技術分野で既知のコラーゲン、および/または成長因子、多血小板血漿、および薬剤のうち1つまたは複数の種類(あるいは、臍帯組織由来細胞は遺伝子操作されて成長因子を発現および産生することができる);(3)抗アポトーシス薬(例えば、エリスロポエチン(EPO)、EPOミメティボディ、トロンボポエチン、インスリン様成長因子(IGF)−I、IGF−II、肝細胞成長因子、カスパーゼ抑制物質);(4)抗炎症化合物(例えば、p38 MAPキナーゼ抑制物質、TGF−β抑制物質、スタチン、IL−6およびIL−1抑制物質、ペミロラスト、トラニラスト、レミケード(Centocor、Inc.,Malvern,Pa.)、シロリムス、および非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)(例えばTepoxalin、トルメチン、およびSuprafen);(5)免疫抑制もしくは免疫調節剤、例えばカルシニューリン抑制物質、mTOR抑制物質、抗増殖性薬、副腎皮質ステロイドおよび様々な抗体;(6)局所麻酔薬;ならびに(7)他の血管新生因子、血管新生薬、または筋再生もしくは筋保護因子もしくは薬剤。
一実施形態では、そのような薬剤または因子は、本発明の細胞がレシピエント被験者に移植された後で、その被験者の移植部位にて加えられてよい。場合によっては、例えば、これらの薬剤は、移植のため細胞を準備するのに使用した手順から生じた、細胞に対する有害な影響を最小限に抑えるか、またはそれに対抗することができる。例えば、移植のため準備された細胞は、細胞外傷および/または低酸素症を受ける場合があり、これらは、スーパーオキシドラジカルアニオン、過酸化水素、およびヒドロキシルフリーラジカルといった活性酸素種(ROS)の産生をもたらすものである。ROSは、恐らくは、イオンチャネル、膜脂質、Na/K ATPアーゼおよびNa/グルタメート交換輸送などの輸送メカニズム、およびグルタミンシンターゼなどの細胞質内酵素を含む、様々な膜および細胞内成分に影響を及ぼすことにより、細胞機能に悪影響を与えることが知られている。さらに活性酸素種は、膜脂質過酸化をもたらし、したがって、移植片における細胞の生存を低減する場合がある。
移植用細胞の調製中にこれらの種類の酸化ストレスの悪影響を最小限に抑え、かつ/または対抗するため、本発明の細胞は、調製中の任意の段階で抗酸化剤によりインキュベートおよび/または処理されてよい。そのような抗酸化剤の例は、酵素抗酸化剤スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、およびグルタチオンペルオキシダーゼ、ならびにグルタチオン形成を促進する薬剤、例えば、N−アセチルシステイン(NAC)を含む。他の抗酸化剤は、ラザロイド(lazaroids)、例えば、U−74389GおよびU−83836Eを含み、これらは、細胞膜に局在し、脂質過酸化を阻むと共にフリーラジカルを除去するようにデザインされたアミノステロイドである。細胞培養および細胞懸濁液に加えられ得る抗酸化剤の他の例は、TGF、ビタミンE、ビタミンC、βカロテン、およびROSを除去し、ROSの産生を阻止しかつ/または脂質過酸化を阻止する他の化合物を含む。
抗酸化酵素、例えばSODは、ROSを除去し、一酸化窒素とスーパーオキシドが反応して、培養細胞に対して毒性であることが分かっているペルオキシナイトライトアニオンを形成するのを防ぐ。これらの酵素は、前述のとおり、本発明の細胞でインキュベートされてよい。これらの酵素を本発明の細胞製剤に導入する他の方法は、そのような酵素をコードする核酸を含有するように細胞を遺伝子操作することである。遺伝子操作細胞は、レシピエント被験者において移植細胞の生存、成長、および分化を高める物質を産生することができる。例えば、本発明の細胞は、酸素フリーラジカルの解毒における中心的な酵素(pivotal enzyme)であるCu/Znスーパーオキシドジスムターゼに対するヒト遺伝子を形質移入されてよく、その結果、形質移入細胞は、SODを発現し、したがって、組織準備および移植中生成されたROSを効果的に解毒し、それにより移植細胞の生存を増大させる。
さらに、in vitroの細胞の酸化環境は、細胞酸化ストレスを阻むように改変されてよい。例えば、移植前、細胞環境における酸素分圧が、正常な酸素分圧、すなわち約2.0×10Pa(約150トル)O2から、減少酸素分圧、すなわち5.1×10Pa(38トル)O2(約5% O2)まで減少され得る。この酸化ストレスを減少させる方法は、前記抗酸化剤のうち1つまたは複数と共に細胞の治療と組み合わせられてよい。
NOS抑制物質、例えばガングリオシド、FK506、およびシクロスポリンA、は、細胞製剤に加えられて、NOの産生を阻止し、それにより、ペルオキシナイトライトおよびその誘導体の産生を減少させることができる。スーパーオキシドジスムターゼは、NOの過剰産生の悪影響、およびそれが媒介する有毒作用を減少させ得る、別の物質である。
外傷および関連する悪影響、例えば、膜過酸化、植え込みのため本発明の細胞の調製により誘導されたフリーラジカル誘導細胞損傷を防ぐため、本発明の細胞は、抗アポトーシス遺伝子産物、例えばbcl−2および/またはcrmA遺伝子産物をコードする核酸を形質移入され得る。さらに、本発明の形質移入細胞は、これらの遺伝子産物の発現または機能を調節しない(unregulate)物質、例えば、bcl−2の発現をアップレギュレートするTGF1およびTGF3、神経成長因子(NGF)ならびに血小板由来成長因子(PDGF)、で処理されてよい。さらに、本発明の細胞は、これらの因子をコードする核酸を形質移入されてもよい。
レシピエント被験者において本発明の細胞の生存をさらに促進するため、細胞は、血管新生薬と共に移植されるか、または、血管新生薬をコードする核酸を形質移入されてよい。移植の際、血管新生薬は、細胞集団内への血管の内殖を促進する。この血管内殖の結果、移植細胞は、レシピエント被験者体内での増殖および生存のため十分な栄養を得る。多くの成長因子は、血管新生活性を示す。例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、PDGF、酸性および塩基性線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮成長因子(EGF)、およびK−FGFは、血管新生活性を有し、本発明の移植細胞への血管内殖を助長するため、本発明の方法に使用することができる。
神経発達、神経線維形成、およびニューロン維持に貢献する他の因子、例えば神経栄養因子が、移植のための準備中にin vitroで本発明の細胞に、かつ/または本発明の細胞と共に個々の被験者へ導入するため細胞懸濁液自体に、加えられてよい。本発明の細胞は、遺伝子操作されて、本明細書に記載するそのような神経栄養因子を産生することもできる。本発明の細胞に加えられ得る神経栄養因子は、移植されるべき細胞上での、そのレセプターの存在に基づいて選択されてよい。例えば、中脳細胞は、以下の神経栄養因子に対するレセプターを保有する。その神経栄養因子は、中脳細胞の生存、形態学的分化、および中脳細胞への高親和性ドーパミン取り込みを促進するグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF);脳由来神経栄養因子(BDNF);中脳細胞の軸索切断誘導変性を防ぐ絨毛神経栄養因子(CNTF);中脳細胞の生存および分化を促進するミッドカイン;中脳細胞の生存および成熟を増大させるEGF;インスリン様成長因子IおよびIIならびにインスリン;酸性FGF;塩基性FGF(神経突起を有する細胞数、ならびにそれらの線維ネットワークの度合いを著しく増大させる);ニューロトロフィン−3(NT−3)およびニューロトロフィン4/5(NT−4/5);ならびに形質転換成長因子−2(TGF2)および形質転換成長因子−3(TGF3)である。
神経細胞の生存を促進する神経栄養因子は、細胞上のレセプターの存在に基づいて選択されてよい。塩基性FGF、BDNF、NT−3およびNT−4/5のレセプターは、ある神経細胞で見ることができる。ゆえに、一実施形態では、本発明の細胞は、これらの因子のうち1つまたは複数をコードする核酸を形質移入されることができる。別の実施形態では、これらの因子のうち1つまたは複数は、移植前に神経細胞の製剤に加えられてよい。これらの神経栄養因子は、レシピエント被験者における本発明の細胞の生存を高める。同様に、皮質細胞に対して特異性を示し、したがって、レシピエント被験者への移植の際にそのような細胞の生存を促進するのに使用され得る、神経栄養因子は、神経成長因子(NGF)(例えば、軸索切断した前脳コリン作動性ニューロンの萎縮を防ぐ);BDNF、ならびにNT−3およびNT−4/5を含む。
別の実施形態では、本明細書に記載する神経栄養因子は、他の化合物、例えば神経伝達物質と共に、または組み合わせて使用されて、それらの神経栄養効果を増強することができる。さらに、本明細書に記載する神経栄養因子の様々な組み合わせが、相乗的に作用でき、したがって、共に使用されて本発明の移植細胞の生存を促進できることが、企図される。
ある薬物も、神経栄養活性を有する。そのような薬物の例は、FK506およびシクロスポリンAを含み、これは、例えばNOSのリン酸化レベル増強することによって、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターにおいて作用するグルタメートにより引き出された神経毒性を遮断する。リン酸化NOSは、その触媒活性を阻害するので、これらの薬物は、NO形成を有効に減少させ、これらの細胞に対するNMDAの神経有毒作用を防ぐ。神経栄養を有し、本発明で使用され得る他の薬物は、FK506および/またはシクロスポリンAと同じ結合タンパク質に結合し、したがって、同様の神経保護作用を媒介する、小分子である。一実施形態では、これらの薬物は、慢性疼痛および/または痙攣を治療するため、細胞集団に加えて、被験者に投与される。
一実施形態では、前述した薬物および因子のうち1つまたは複数の組み合わせを使用して、細胞がレシピエント被験者に移植される前または後の、本発明の細胞の生存を促進することができる。例えば、本発明の細胞は、本発明に記載の薬物または因子のうち1つまたは複数と接触して、in vitroおよび/またはin vivoの細胞の生存を促進することができる。別の実施形態では、本発明の細胞は、本明細書に記載の薬物または因子のうち1つまたは複数のものの核酸を形質移入されてよく、また、本明細書に記載の薬物または因子のうち1つまたは複数と接触してよい。さらに、本明細書に記載の神経栄養因子の多くが、特定の細胞型に特異的であるが、そのような細胞型とのこれらの因子の関連は、異なる細胞型を備える因子の使用を排除するものではない。本明細書に記載の薬物または因子による本発明の細胞の処理は、同時に、または連続して行われてよい。
別の実施形態では、慢性疼痛を治療するための細胞集団の投与は、これらの状態の従来の療法の投与(例えば、オピオイド(opiods)またはバクロフェン)と結び付けてもよい。ある被験者では、そのような組み合わせ療法は、最適な症状寛解を結果として生じ得る。
別の実施形態では、被験者においてT細胞活性を抑制する薬剤は、主題の細胞に加えて投与されてよい。本明細書で使用される、T細胞活性を抑制する薬剤とは、被験者においてT細胞の除去または破壊を生じるか、あるいは被験者体内のT細胞機能を抑制し、したがって、T細胞が被験者内に存在し得るが非機能的状態であり、増殖できず、またはサイトカイン産生、細胞毒性などといったエフェクター機能を引き出したり実行したりすることができない、薬剤として定義される。用語「T細胞」は、成熟末梢血Tリンパ球を含む。T細胞活性を抑制する薬剤は、また、未成熟T細胞の活性または成熟も抑制できる。
以下の実施例は、本発明を、より詳細に説明する。これらの実施例は、本明細書で説明した発明の態様をさらに例示することを意図しており、限定することを意図するものではない。
実施例1
フィブリノーゲン−トロンビン構築物での細胞播種
ヒトUTCを低温貯蔵から取り出し、凍結保護物質から取り出し、Ca/Mgを含有するPBSで洗浄した。細胞を、200〜300μLの容量に再懸濁した。フィブリノーゲンおよびトロンビンが50μmアリコート中で希釈され、50μLのトロンビンおよび50μLのフィブリノーゲンの、細胞への追加が、それぞれ1:133および1:8の最終希釈をもたらした。トロンビン成分を追加してすぐに、材料が低クラスター細胞培養皿に分配され、先に述べたように培養培地と共にインキュベーターの中に置かれた。細胞および構築物は、5%CO2で4日間、37℃のインキュベーターに置かれた。生存率を評価するため、細胞は、製造者の説明書を用いてLive/Dead染料(Invitrogen,Carlsbad CA)により、インキュベートされ、蛍光顕微鏡で観察された。
ヒトUTCは、トロンビンおよびフィブリノーゲンと共に蒔かれた。4日後、hUTCは、実行可能な染料を塗布した後で、蛍光顕微鏡検査により生存度についてチェックされた。構築物は、hUTCの送達に適していた。これは、hUTCが4日間in vitroで、フィブリノーゲン−トロンビン構築物中で生存可能であるためである。
細胞生存率を示す写真を図1に示す。
実施例2
局所および全身的な細胞の投与
動物に対するhUTCの局所および全身投与が疼痛作用を低減したことを示すため、発明者らは、動物に慢性絞扼損傷(CCI)を加えた。CCIは、神経因性疼痛のための薬剤および療法を試験する一般モデルである(Bennett and Xie,Pain,1988;33:87−107)。Sprague−Dawleyラット(体重200〜225g)は、最初にキシラジンおよびケタミンで麻酔された。動物の坐骨神経を単離した。坐骨神経が坐骨の切痕から出ると、4−0クロム腸線縫合糸を用いた4本の緩い結紮糸を、坐骨神経に置いた。ベースライン作用(Semmes Weinsteinフィラメントに対する機械的感受性)が、手術前に全動物について得られた。手術から5または6日後、動物は、再試験され、群を層別化し、各群が同様の疼痛行動を表し、各群における疼痛重症度の分布が同様になるようにした。
手術後5〜6日後、試験直後に、動物は、以下のうち1つで処理された:
1. 8匹の動物が改変トロンビン−フィブリノーゲン構築物で処理された。この構築物(改変止血剤)は、傷害を受けた神経に塗布された:麻酔下にある間、300μL〜400μLのゲル材料が、傷害を受けた神経近傍に注入された。ゲルは以下のとおり準備された:300μLの、カルシウムおよびマグネシウムを含有するPBSが、トロンビン50μL(1:133、最終)および50μLフィブリノーゲン(1:8、最終)と混合された。
2. 8匹の動物が、細胞の局所製剤で処理された。この製剤は、300μLの、カルシウムおよびマグネシウムを含有するPBS、50μLトロンビン(1:133、最終)および50μLフィブリノーゲン(1:8、最終)中、3e個の細胞の投与量で構成された。麻酔下にある間、300μL〜400μLのゲル材料が、傷害を受けた神経近傍に注入された。
3. 8匹の動物が、2mLの、カルシウムおよびマグネシウムを含有するPBS中、3e個細胞のIV用量で、処理された。
4. 8匹の動物が、2mLの、カルシウムおよびマグネシウムを含有するPBSのIV用量で、処理された。
5. CCIを受けた16匹の対照動物は、処理されないままであった。
局所投与
局所投与の結果を図2に示す。
前処理ベースラインスコアは、予測正常値とは大きく異ならなかった(差異スコア「ゼロ」)。さらに、ベースラインスコアについて、グループ間の大きな差異が見られなかった。
手術から5日後、3群全てが、ベースラインレベル(CCI群:−0.02±0.01log10gm、ビヒクル群:−0.05±0.02log10gm、構築物群:−0.06±0.04log10gm)と比べて、著しい機械的アロディニアを発症した(CCI群:−0.36±0.08log10gm、ビヒクル群:−0.31±0.07log10gm、構築物群:−0.34±0.08log10gm)。投与後11日目および20日目、CCI群(処理無し)は、ベースラインレベル(それぞれ−0.54±0.12log10gmおよび−0.78±0.14log10gm)に比べ、著しく過敏性のままであった。ビヒクル群は、投与後11日目および20日目において、ベースラインに比べ、著しく過敏性のままであったが、CCI群よりはかなり感受性が低かった(それぞれ−0.18±0.01log10gmおよび−0.27±0.12log10gm)。構築物群は、投与後11日目に、著しい低感受性(0.21±0.19log10gm)を表し、20日目には過敏性が著しく減少した(−0.08±0.03log10gm)。
全身(LV.)投与
全身(i.v.)投与の結果を図3に示す。
前処理ベースラインスコアは、予測正常値とは大きく異ならなかった(差異スコア「ゼロ」)。さらに、ベースラインスコアについて、グループ間の大きな差異が見られなかった。
手術から5日後、3群全てが、ベースラインレベル(CCI群:−0.02±0.01log10gm、ビヒクル群:−0.01±0.01log10gm、構築物群:−0.00±0.01log10gm)と比べて、著しい機械的アロディニアを発症した(CCI群:−0.35±0.08log10gm、ビヒクル群:−0.40±0.05log10gm、構築物群:−0.55±0.09log10gm)。投与後10日目および20日目、CCI(処理無し)およびビヒクル群は、ベースラインレベルに比べて、著しく過敏性のままであった(CCI:それぞれ−0.53±0.11log10gmおよび−0.76±0.10log10gm、ビヒクル:それぞれ−0.61±0.14log10gmおよび−0.83±0.11log10gm)。構築物群の過敏症は、他の2群と比べて、10日および20日目において、著しく減少した(−0.33±0.10log10gm、−0.41±0.11log10gm)。
実施例3
神経因性疼痛を軽減する上での生物学的構築物の有効性
疼痛行動が、局所注射後、および尾静脈への投与後に、調べられた。
材料および方法
全ラットが前述のとおりCCIを受けた。端的には、シラジン/ケタミン麻酔下で、動物の坐骨神経を単離した。坐骨神経が坐骨切痕から出ると、4−0クロム腸線縫合糸を用いた4本の緩い結紮糸が坐骨神経に置かれた。ベースライン行動(Semmes Weinsteinフィラメントに対する機械的感受性)が、手術前に全動物について得られた。手術から6日後、動物は、再試験され、群を層別化し、各群が同様の疼痛行動を表し、各群における疼痛重症度の分布が同様になるようにした。
手術から6日後(神経因性疼痛が触覚アロディニアの存在により確認されたとき)、動物は、以下のうち1つで処理された:
1. 約2mLの流体含有細胞または担体の、尾静脈への全身投与(表3−1)
2. 細胞または担体の局所投与(表3−2)
3. 試験前にガバペンチンで対照動物が処理された。
動物は、その後、処理後7、10、14、17および21日目に、機械的感受性(触覚アロディニア)について試験された。試験者は、処理について盲目であった;コードは、研究を管理する医師に結果が提出された後で、研究の最後にのみオープンにされた。
研究を3つの別個のセッションで行った。
Figure 0005646502
安楽死後、関連する神経を回収し、ホルマリン中に保管した。構築物投与および行動試験が、処理群に盲目の人間によって行われた。
統計学的分析:各動物は、それ自体のベースラインに対して(ベースライン疼痛行動を評価するため)、またそれ自体の疼痛行動に対して評価され、手術前の機械的感受性と対比されて、回復を評価した。データは、神経因性疼痛段階のレベルからの変化率として表される(手術後5〜6日)。治療の反復測定のため、ANOVAが行われ、その後、Fisher’s PLSD試験を行った。罹患側の足および反対側の足について別個のデータを提供する。
結果:
局所投与
前処理ベースラインスコアは、予測正常値とは大きく異ならなかった(2つの足間で差異スコア「ゼロ」)。さらに、ベースラインスコアについて、群間の大きな差異が見られなかった。手術から5日後、3群全てが、ベースラインレベルに比べて、著しい機械的アロディニアを発症した(未加工データ参照)。
罹患側:
調べたコラーゲン(Colbar)について図4に示すように、ガバペンチンは疼痛を低減した。ビヒクルおよび細胞単独では、疼痛行動に対する効果がなかった。低用量(群4)は、投与後10日まで、短期間の効果があった。高用量(群2)は、最も著しい効果があり、これは全体の分析(Fisher’s PLSD試験)にわたり、ガバペンチンによる成功した処理と有意差がなかった。しかしながら、この処理は他の群の効果と有意差がないことに注意することが重要である(統計学的分析は図10に提供する)。
反対側の足は、著しい触覚アロディニアを示さず、処理群のいずれも、こちら側の試験には有意な効果がなかった(図5の結果および統計学的分析が図11に示される)。
Evicel(Omrix)
Evicel(Omrix)について図6に示すように、ガバペンチン処理により疼痛が低減された。低用量(群8)は、ガバペンチンと同じぐらい有効であり、14日目にはわずかにそれを上回った。ビヒクル(群9)は、緩和効果を全く有さなかった2つの高用量(群6および7)よりも効果的であった(結果は図6に図示。統計学的分析は図12に示す)。
反対側の足は、触覚アロディニアを示さず、処理群のいずれも、こちら側の試験には有意な効果を有していなかった(統計学的分析は図7に示す)。
全身投与
罹患側:全身投与罹患側(左)、神経因性疼痛からの変化
図8に示すように、ガバペンチンは疼痛を低減した。1e7(群B)の効果はガバペンチンの効果に近かった。他の2群(AおよびD)の効果は、pbs効果と違いがなかった(統計学的分析を図14に示す)。
反対側:全身投与反対側(右)、神経因性疼痛からの変化
反対側の足は、触覚アロディニアを示さず、処理群のいずれも、機械的感受性に対する有意な効果を有していなかった(結果は図9に図示。統計学的分析は図15に示す)。
結論
疼痛は、1e7個のhUTC細胞の全身投与により、およびColbarビヒクル中の高用量(1.00E+065)細胞の局所投与により、著しく減少した。しかしながら、最も有意な効果は、Evicelビヒクルとの低用量(1.00E+05)の細胞の局所投与により誘導された。この効果は、一般的な神経因性疼痛薬物であるガバペンチンにより誘導される効果より劣っていなかった。
実施例4
ラットにおける疼痛のChungモデルに全身的に注射された細胞の、治療および鎮痛効果の評価
この研究は、神経因性疼痛のChungモデルにおけるuHTC細胞の抗侵害受容性効果を調べるものであった。細胞処理が、手術後6研究日において、全身投与により施され、疼痛反応に対するそれらの効果を測定した。この研究は、特定の規制ガイドラインに従っていない。結果は、所定の用量のhUTC細胞全てにおいて有意な疼痛緩和効果があったことを示した。150mg/kgの用量で投与され陽性対照として役に立ったガバペンチンは、ビヒクルと比べて、全試験日において鎮痛剤化合物として疼痛減少に著しく活性であった。
研究の初めに、研究での全動物の総平均体重は、192.62±1.42gであった。全動物は、研究全体にわたって体重が増加し、体重増加には有意差が見られなかった。
Von Freyを使用して、疼痛に対する動物の反応を評価した。結果は、以下の3つの異なる方法を使用して計算した。
log分割により計算されたVon Frey結果。疼痛に対する反応は、Von Frey機器(Touch試験(登録商標))を使用して評価された。足を後退させるのに必要な力のグラム数は、Touch試験(登録商標)により得られた値に従ってlog力に変換された。健康な足(右)を後退させるのに必要なlog力は、手術する足(左)を後退させるのに必要なlog力で割られた。各測定時点におけるビヒクル対照群に対する各処理群の比較は、いくつかの時点で、ビヒクル群に対して全処理群で著しい疼痛緩和を示した(p<0.01およびp<0.05)。陽性対照品目、ガバペンチン(群5M)での処理は、ビヒクル処理群(群4M;p<0.01)に比べ、全試験日において疼痛緩和化合物として活性であった。
単純な引き算により計算されたVon Frey結果。Von Frey値を計算する他の方法は、右側の健康な足を引っ込めるのに必要な力から、左の疼痛のある足を引っ込めるのに必要な力を引くという単純な引き算によるものであった。各処理群と、ビヒクル対照群とで、各測定時点におけるVon Frey値を比較すると、結果は、いくつかの時点で、ビヒクル群に対して全処理群で著しい疼痛緩和を示した。陽性対照の、ガバペンチン(群5M)は、ビヒクル処理群(群4M;p<0.01)に比べ、全試験日において著しい疼痛緩和時点を有した。
前処理に対する単純な引き算により計算されたVon Frey結果。5研究日に測定された前処理Von Frey値に対して、各測定時点での各処理群のVon Frey値の比較は、いくつかの時点で、ビヒクル群に対して全処理群で著しい疼痛緩和を示した。陽性対照のガバペンチン(群5M)は、処理前5研究日における同じ群と比べて、全試験日において著しい疼痛緩和効果を有した(p<0.01)。
この研究の目的は、ラットのChung神経因性疼痛モデルにおいて手術後6日目に尾静脈を通じて全身投与により与えられたhUTC細胞の治療活性を評価することであった。
実験試験項目:
Figure 0005646502
全身注射のためのhUTCの準備:
全工程が、認定BSL IIバイオセーフティキャビネット中で、無菌技術を使用してhUTCの開口バイアルにより行われた。
hUTCの解凍(細胞は−80℃で保管した):
hUTCのクライオバイアルは、ちょうど解凍されるまで約1〜2分間、37℃水浴中で、そのバイアルを穏やかに回旋させることにより、解凍された。バイアルは、エタノールでスプレーされ、キムワイプで乾燥され、バイオセーフティキャビネットに入れられた。クライオバイアルのキャップが外され、1mLピペットを使用して2回上下にピペット操作することにより、中身を穏やかに混ぜた。1mLの解凍hUTC懸濁液が次に、ピペットを用いて、15mLチューブに移された。新しい1mLピペットを使用して、1mLの無菌PBSをクライオバイアルに加えた。残りの解凍hUTC細胞を懸濁させるため、PBSを2回上下にピペット操作した。1mLの残りのhUTC懸濁液が、解凍hUTC懸濁液を含有する15mLチューブの中にピペットで入れられた。
新しい10mLピペットを使用して、11mLのPBSをhUTC懸濁液に加え、全部で13mLにした。細胞の各バイアルでは、1mLの洗浄液+12mLの洗浄液を使用した。
hUTC懸濁液を室温で5分間、250g(または1200rpm)で遠心分離した。チューブを遠心分離機から出し、ペレット操作したhUTCを妨害しないように注意しながら、12.7mLの上澄みを、ピペットで取り、1つの10mLピペットを使用して廃棄した。
1mLの無菌PBSを、解凍hUTCペレットのバイアル1個当たり加えて、無菌の5mLピペットを用いて約1mL/バイアルの総容量にした。ペレットは、気泡を作らないように穏やかに上下にピペット操作することで、再懸濁された。
50μLのトリパンブルー溶液を、hUTC微小遠心カウントチューブに加えた。P200 Pipetmanを使用して、細胞を、PBS中で、1:10(500μL中50μL)に希釈した。P200 Pipetmanを使用し、50μLの希釈hUTC懸濁液を微小遠心チューブにおいてトリパンブルー溶液に加えた。チューブの中身を穏やかに、しかし徹底的に、ピペットで混ぜ、10μLのトリパンブルー染色hUTCを、血球計数器に入れた。hUTCは、最も外側の4つの大きな血球計数器グリッド(girds)を用いてカウントした。数、ならびに無色(生存)およびブルー染色された(生存でない)hUTCの合計を記録した。生存hUTC濃度、細胞懸濁液の合計生存hUTC量、および生存hUTC%を、以下のとおり計算した:
1. 全無色hUTC÷4*20*10,000=hUTC/mL中の生存hUTC濃縮物
2. 最終容量*hUTC/mL中の生存hUTC濃縮物=合計生存hUTC
3. 合計無色hUTC÷合計無色およびブルー染色hUTC*100=生存hUTC%
適切な濃度のhUTC/μLを達成するために再懸濁hUTCの容量を計算した。
2mL/動物について:
1*106:5*105/mL
3*106:1.5*106/mL
10*106:5*106/mL
細胞を前もって注射器で引き上げ、氷上で水平に保管し、注射直前に穏やかに回して混合した。
試験システム
種/系統:Sprague Dawley系ラット
供給源:Harlan Laboratories Israel、Ltd. (ISO 9001 :2000 Certificate No.:US2002/3081)
性別:オス
動物の合計数:n=60
年齢:若い成体;研究開始時の体重160〜189g
体重:処理開始時の動物の体重偏差は平均体重の±20%を超えなかった。
動物の健康:この研究で使用した動物の健康状態は、到着時に調べた。健康状態のよい動物のみが、研究室条件に気候順応され、研究に使用された。
気候順応:5日間。
住居:気候順応中、および研究期間全体にわたって、動物は、アクセス制限されたげっ歯類施設に入れられ、ポリプロピレンのケージ1個当たりに最大5匹のラットの集団で維持された。ケージには、中実の底が嵌めてあり、ベッド材として無菌の木のかんなくずが入れてあった。
食物および水:動物は、適宜、市販のげっ歯類用無菌食物を与えられ、飲料水を自由に飲むことができた。飲料水は、ステンレススチールシッパー(sipper)チューブの付いたポリエチレンボトルにより、各ケージに供給された。研究で使用した食物バッチの食料ロット分析が、研究データと共に記録に含まれた。水は定期的に観察した。
環境:自動制御環境条件を設定し、20〜24℃の温度、相対湿度(RH)30〜70%、a12:12時間の明暗サイクル、15〜30換気/時間を研究室で維持した。温度およびRHは、毎日観察した。制御コンピューターが明サイクル(light cycle)を観察した。
同定:動物は、独自の動物識別用耳標を与えられた。この番号は、ケージのカードにも書かれており、各ケージの前で見ることができた。ケージカードは、処理群に関する、他の研究番号関連項目全ても含んだ。
ランダム化:動物は、ランダムに実験群に割り当てられた。
終了:研究終了時、生存していた動物をCO2窒息により安楽死させた。
正当化:ラットは、この実験動物モデルの種の選択を表していたので、選択された。
試験群の構成および用量レベル:
以下の表は、この研究を構成する5つの実験群を挙げたものである。
Figure 0005646502
試験手順:
研究スケジュール:
Figure 0005646502
神経因性疼痛誘導:麻酔下で、ラットを腹臥位に置き、左の傍脊柱筋群を棘突起からL4−S2の高さで分離した。L6横突起は、小さな骨鉗子で注意深く取り除かれ、L4−L6脊髄神経を視覚的に識別する。左L5およびL6脊髄神経を単離し、3−0絹糸できつく結紮し、その後ブレードで切断した。手術後、ラットをケージに戻し、覚醒するまで加熱灯の下に維持した。
同種処理群を形成し、ランダム化を固守するため、手術した全ラットは、包含/除外基準に従って、群化した。手術した動物わずか60匹が、包含/除外基準に従って、Chung処置後5研究日目において選択された。
包含基準:
− 手術した足をなめる。これには、口で軽く噛んだり、爪を引っ張ったりすることを伴う;
− 足を宙に浮かせる;
− 神経傷害の反対側に体重をかける;
− 後ろ足の変形、ならびに異常な姿勢および歩行;
− 左後ろ足が弱い
排除基準:
足を動かせなかった動物は、L4が分裂したしるしを示した。これらの動物は、研究から除外した。
処理:
Chung手術後6研究日目に、動物(群1M、2M、3M、4M)は、尾静脈への全身注射により、それぞれの処理を受けた。群5Mの動物は、7研究日目に開始した行動評価の120分前に、IPにより、150mg/kgの用量でガバペンチンによる処理を受けた。全ての場合において、投薬はすべて単回投与として与えられた。研究終了時、動物をCO2にさらすことで安楽死させた。
観察および検査:
Von Frey検査:
機械的アロディニアについて、疼痛への反応が、Von Frey機器(Touch試験(登録商標))を用いて評価された。ラットは、金属メッシュ表面で封じられた位置(enclosure positioned)に置かれたが、自由に動くことができた。ラットのキャビンは、赤いセロファンで覆われ、環境分布を減少させた。試験は、探索性行動の休止後に始められた。1組のモノフィラメントが、実際の力(actual force)のおおよその対数目盛り、および知覚強度の均等目盛りを与えた。計算に使用した対数目盛りは以下に示す:
Figure 0005646502
手術原理:所定の長さおよび直径の繊維の先端が、直角に皮膚に押し付けられると、加える力は、繊維が曲がるまで研究者がプローブを進め続ける限り増大する。繊維は曲がるので、プローブは進み続けることができ、これにより繊維がさらに曲がるが、追加の力を加えることはない。この原理により、研究者がハンドヘルド型プローブを使用して、再現力を、広い許容度内で足に加えることが可能になる。
げっ歯類は、足に不意に触れられると足引っ込め反射を呈する。Touch試験(商標)Sensory Evaluatorを、ラットの足の足底表面に対して用いることができ、動物は、その足を引っ込めることで、感覚を示すであろう。引っ込め反射を高めるのに必要な最小限の力は、基準値として考えられる。
計算方法: Von Frey力(グラム単位)の未加工データが、前記の表に従ってlog力に変換された。さらに、最大値(60g)を加えて、2つの足の間の任意の高いギャップを減少させる。健康な足(右)を引っ込めさせるのに必要なlog力を、手術した足(左)を引っ込めるのに必要なlog力で割った。
計算により、各足の力間の割合が同様である場合、1に近い、健康状態の足の値が示される。値の増加は、より疼痛のある状態を示す。ベースライン値の結果は、1の値を示した。
体重: 動物の個々の体重の判断を、各試験日に行った。
統計学的分析: 全パラメータが、平均、および平均値の標準偏差(SEM)として表され、T−検定(対応のあるT検定および対応のないT検定、両側)(Microsoft Excel)を使用して分析された。0.05または0.01未満の確率(p)値が、有意と考えられた。
ヒトエンドポイント: 研究終了時、動物をCO2にさらすことで安楽死させた。
結果: 研究開始時、全動物の総平均体重は192.62±1.42gであった。全動物が研究期間中に体重増加したが、群間に有意差は見られなかった(図17、18)。
Von Frey検査: 機械的アロディニアについて、疼痛への反応が、Von Frey機器(Touch試験(登録商標))を使用して評価された。引っ込める力(グラム単位)は、Touch試験(登録商標)により得られた値に従ってlog力に変換した(参考文献セクション7.1)。健康な足(右)を引っ込めるのに必要なlog力を、手術した足(左)を引っ込めるのに必要なlog力で割った。この計算により、各足の力間の割合が同様である場合、1に近い、健康状態の足の値が示された。値の増加は、より疼痛のある状態を示す。(図19、20、21)。
log分割により計算されたVon Frey結果: 各時点でビヒクル対照群に対して各処理群を比較すると、処理群は、以下のとおり有意な疼痛緩和を示した:
低濃度の細胞で処理した動物(群1M)は、ビヒクル処理群(群4M)と比べて、7、10、26、30研究日目において、有意な疼痛緩和を示した:1.10±0.03対1.17±0.02(群4M)7研究日目(p<0.05)。
中濃度の細胞で処理した動物(群2M)は、ビヒクル処理群(群4M)と比べて、7、10、26研究日目に、p<0.05で有意な疼痛緩和を示し、17、30研究日目に、p<0.01で有意な疼痛緩和を示した:1.10±0.02対1.17±0.02(群4M)7研究日目(p<0.05)。
高濃度の細胞で処理した動物(群3M)は、ビヒクル処理群(群4M)に比べて、7、21、26、30研究日目に有意な疼痛緩和を示した:1.07±0.02対1.17±0.02(群4M)7研究日目(p<0.01)。
陽性対照項目、ガバペンチン(群5M)での処理は、ビヒクル処理群に比べ、全試験日において疼痛緩和化合物として活性であった:1.04±0.02対1.17±0.02(群4M)7研究日目(p<0.01)。
単純な引き算により計算されたVon Frey結果: Von Frey結果も、単純な引き算を用いて計算された:右側の健康な足を引っ込めるのに必要な力から、左の疼痛のある足を引っ込めるのに必要な力を引いた。
各時点での、ビヒクル対照群に対する各処理群のVon Frey値の比較は、以下のとおり、有意な疼痛緩和を示した。
低濃度の細胞で処理した動物(群1M)は、ビヒクル処理群(群4M)と比べて、7研究日(p<0.05)に、そして10、26研究日目(p<0.01)に、有意な疼痛緩和を示した:15.67±6.18g対40.25±5.82g(群4M)10研究日目(p<0.01)。中濃度の細胞で処理した動物(群2M)は、ビヒクル処理群(群4M)と比べて、7、10、17研究日目(p<0.05)に、そして30研究日目(p<0.01)に、有意な疼痛緩和を示した:17.33±6.73g対40.25±5.82g(群4M)10研究日目(p<0.05)。高濃度の細胞で処理した動物(群3M)は、ビヒクル処理群(群4M)に比べて、7、21、26、30研究日目(p<0.01)に有意な疼痛緩和を示した:18.83±8.25g対46.67±2.68g(群4M)26研究日目(p<0.01)。陽性対照項目、ガバペンチン(群5M)での処理は、ビヒクル処理群(群4M)に比べ、全試験日において疼痛緩和化合物として活性であった:7.92±5.35g対40.25±5.82g(群4M)10研究日目(p<0.01)。
処理前に対する単純な引き算により計算されたVon Frey結果: 5研究日に測定された処理前Von Frey値に対して、各測定時点での各処理群のVon Frey値の比較は、以下のとおり有意な疼痛緩和を示した。低濃度の細胞で処理した動物(群1M)は、処理前5研究日目の同じ群と比べて、7、21、26研究日(p<0.05)に、そして10、14、17研究日目(p<0.01)に、有意な疼痛緩和を示した:28.08±7.30g(7研究日目)対46.67±2.79g(5研究日目)(p<0.05)。中濃度の細胞で処理した動物(群2M)は、処理前5研究日目の同じ群と比べて、14研究日目(p<0.05)、および10、17、30研究日(p<0.01I)に、有意な疼痛緩和を有した:17.33±6.73g(10研究日目)対47.25±2.77g(5研究日目)(p<0.01)。高濃度の細胞で処理した動物(群3M)は、処理前5研究日目の同じ群と比べて、全試験日(7、10、14、17、21、26、30)に有意な疼痛緩和を有した:23.58±6.26g(7研究日目)対46.58±2.30g(5研究日目)(p<0.01)。
陽性対照項目、ガバペンチン(群5M)での処理は、処理前5研究日目の同じ群と比べて、全試験日において、有意な疼痛緩和を有した:14.92±6.46g(7研究日目)対45.17±3.66g(5研究日目)(p<0.01)。
この研究の条件下で得られ、生きているデータに限定された発見を考慮すると、低用量、中用量、および高用量でのhUTCは、Von Frey試験のパラメータに反映されるように、疼痛鎮痛剤品目として有効であった。
実施例5
細胞の単離
臍細胞単離。臍帯を、National Disease Research Interchange(NDRI,Philadelphia,PA)から入手した。組織は、通常の運送に従って入手された。細胞単離プロトコルが、層流フードにおいて無菌で行われた。血液および残骸を除去するため、臍帯は、100単位/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシン、および0.25μg/mLのアンホテリシンB(Invitrogen Carlsbad,CA)の存在下で、リン酸緩衝生理食塩水(PBS;Invitrogen,Carlsbad,CA)中で洗浄された。組織は次に、組織が細かな柔らかい塊(fine pulp)に刻まれるまで、50mLの培地(DMEM−低グルコースおよびDMEM−高グルコース;Invitrogen)の存在下で、150cm2組織培養プレート中で機械的に解離された。切り刻まれた組織は、50mLの円錐チューブ(チューブ当たり約5gの組織)に移された。
組織が、次に、DMEM−低グルコース培地もしくはDMEM−高グルコース培地のいずれかで消化された。これらの培地はそれぞれ、100単位/mLのペニシリン、100mg/mLのストレプトマイシン、0.25μg/mLのアンホテリシンB、および消化酵素を含有する。いくつかの実験では、コラゲナーゼおよびディスパーゼの酵素混合物を使用した(「C:D」)(コラゲナーゼ(Sigma,St Louis,MO)、500単位/mL;およびディスパーゼ(Invitrogen)、50単位/mL、DMEM−低グルコース培地中)。他の実験では、コラゲナーゼ、ディスパーゼ、およびヒアルロニダーゼ(「C:D:H」)の混合物を使用した(C:D:H=コラゲナーゼ、500単位/mL;ディスパーゼ、50単位/mL;およびヒアルロニダーゼ(Sigma)、5単位/mL、DMEM−低グルコース中)。組織、培地および消化酵素を含む円錐チューブは、オービタルシェーカー(Environ,Brooklyn,NY)中、37℃で、225rpmで2時間インキュベートされた。
消化後、組織を、150xgで5分間遠心分離し、上澄みを吸引した。ペレットが、20mLの成長培地(DMEM:低グルコース(Invitrogen)、15%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS;規定のウシ胎仔血清;ロット番号AND18475;Hyclone,Logan,UT)、0.001%(v/v)2−メルカプトエタノール(Sigma)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、および0.25μg/mLのアンホテリシンB(それぞれInvitrogen,Carlsbad,CAより))中で再懸濁された。細胞懸濁液は、70μm(70ミクロン)のナイロンBD FALCON細胞ろ過器(BD Biosciences,San Jose,CA)を通してろ過された。成長培地を含む、5mLの追加のリンス剤を、ろ過器に通した。細胞懸濁液を次に、40μmナイロン細胞ろ過器(BD Biosciences,San Jose,CA)に通し、追加の5mLの成長培地のリンス剤がその後に入れられる(chased)。
ろ過液は、成長培地(総容量50mL)に再懸濁され、150xgで5分間遠心分離される。上澄みを吸引し、細胞を、50mLの新鮮な成長培地に再懸濁した。このプロセスを、さらに2回繰り返した。
最終的な遠心分離の後、上澄みを吸引し、細胞ペレットを、5mLの新鮮な成長培地に再懸濁した。トリパンブルー染色を用いて、生存細胞数を判断した。次に細胞を、標準条件下で培養した。
臍帯組織から単離された細胞を、成長培地において、5,000個の細胞/cmで、ゼラチンコートT−75フラスコ(Corning Inc.,Corning,NY)上に播種した。2日後、使用済み培地、および未付着細胞を、フラスコから吸引した。付着細胞を、PBSで3回洗浄し、残骸および血液由来細胞を除去した。次に、細胞は、成長培地を補充され、コンフルエンスまで成長した(0代継代から1代継代まで約10日)。次の継代では(1から2代継代まで、など)、細胞は、4〜5日でサブコンフルエンス(75〜85%コンフルエンス)に達した。続いて起こるこれらの継代では、細胞を、5,000個の細胞/cmで播種した。細胞は、加湿インキュベーター中、5%の二酸化炭素により、37℃で成長した。
いくつかの実験では、細胞が、LIBERASE(商標)(2.5mg/mL、Blendzyme3;Roche Applied Sciences,Indianapolis,IN)およびヒアルロニダーゼ(5単位/mL Sigma)での消化後、DMEM−低グルコース培地中で臍帯組織から単離された。組織の消化、および細胞の単離は、他のプロテアーゼ消化について前述したとおりであるが、LIBERASE(商標)/ヒアルロニダーゼ混合物を、C:DもしくはC:D:H酵素混合物の代わりに使用した。LIBERASE(商標)による組織消化は、直ちに増殖した分娩後組織からの細胞集団単離をもたらした。
異なる酵素の組み合わせを用いて、臍帯から細胞を単離する処置を比較した。消化について比較された酵素は以下を含んだ:i)コラゲナーゼ;ii)ディスパーゼ;iii)ヒアルロニダーゼ;iv)コラゲナーゼ:ディスパーゼ混合物(C:D);v)コラゲナーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:H);vi)ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(D:H);vii)コラゲナーゼ:ディスパーゼ:ヒアルロニダーゼ混合物(C:D:H)。これらの異なる酵素消化条件を使用した細胞単離の差異を観察した(表4−1)。
異なるアプローチによって臍帯から細胞の集まりを単離する、他の試みを行った。ある場合には、臍帯をスライスし、成長培地で洗浄して、血餅およびゼラチン質の材料を取り除いた。血液、ゼラチン質の材料、および成長培地の混合物を収集し、150xgで遠心分離した。ペレットを再懸濁し、成長培地において、ゼラチンコートフラスコ上に播種した。これらの実験から、容易に増殖した細胞集団を単離した。
細胞はまた、NDRIから入手した臍帯血サンプルからも単離された。使用した単離プロトコルは、Ho, et al.による国際特許出願PCT/US2002/029971のものである。臍帯血のサンプル(それぞれ50mLおよび10.5mL)(NDRI,Philadelphia PA)を、溶解緩衝液(ろ過滅菌された(filter−sterilized)155ミリモルの塩化アンモニウム、10ミリモルの炭酸水素カリウム、0.1ミリモルの、pH7.2に緩衝化されたEDTA(全成分はSigma, St. Louis, MOより))と混合した。細胞は、臍帯血と溶解緩衝液が1:20の割合で溶解された。結果として得られた細胞懸濁液を5秒間ボルテックスし、周囲温度で2分間インキュベートした。可溶化液を遠心分離した(200xgで10分間)。細胞ペレットは、10%のウシ胎仔血清(Hyclone,Logan UT)、4ミリモルのグルタミン(Mediatech Herndon,VA)、100単位/mLのペニシリン、および100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco, Carlsbad,CA)を含有するComplete Minimal Essential培地(Gibco,Carlsbad CA)中で再懸濁された。再懸濁した細胞を遠心分離し(200xgで10分間)、上澄みを吸引し、細胞ペレットを完全培地中で洗浄した。細胞を、T75フラスコ(Corning,NY)、T75ラミニンコートフラスコ、またはT175フィブロネクチンコートフラスコ(2つともBecton Dickinson,Bedford,MA)中に直接播種した。
細胞集団が異なる条件下で単離し、単離直後にさまざまな条件下で増殖できるかどうかを判断するため、細胞が、0.001%(v/v)2−メルカプトエタノール(Sigma,St. Louis,MO)を含むかまたは含まない成長培地で、C:D:Hの酵素組み合わせを用いて、前記の手順に従って消化された。100単位/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンの存在下で全ての細胞が成長した。全試験条件下で、細胞は、0代継代と1代継代との間で、十分に付着し増殖した(表4−2)。5〜8および13〜16の条件での細胞は、播種後、細胞が低温保存される4回目の継代までは十分増殖したことが示された。
C:D:Hの組み合わせは、単離後、最もよい細胞の収量を提供し、他の条件よりも多くの世代にわたって培養中に増殖した細胞を生成した(表4−1)。増殖可能な細胞集団は、コラゲナーゼまたはヒアルロニダーゼ単独では、得られなかった。この結果が試験したコラゲナーゼに特異的なものであるかどうかを判断する試みは行っていない。
Figure 0005646502
略語:+=良い、 ++=非常に良い、 +++=極めて良い、 X=成功せず
細胞は、酵素消化および成長について試験した全条件下において、0代継代と1代継代との間で十分付着および増殖した(表4−2)。実験条件5〜8および13〜16の細胞は、低温保存される4回目の継代までは、播種後十分に増殖した。全ての細胞をさらなる分析のため、低温保存した。
Figure 0005646502
有核細胞が、急速に付着および成長した。これらの細胞は、フローサイトメトリーにより分析され、酵素消化により得られた細胞と同様であった。
製剤は、赤血球および血小板を含有した。最初の3週間は、有核細胞は付着および分裂しなかった。培地は、播種後3週間で変えられ、付着および成長した細胞は観察されなかった。
細胞集団は、酵素の組み合わせ、すなわち、コラゲナーゼ(メタロプロテアーゼ)、ディスパーゼ(中性プロテアーゼ)およびヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸を分解する粘液溶解酵素)を用いて、効果的に臍組織から単離できた。コラゲナーゼと中性プロテアーゼとのブレンドであるLIBERASEも使用することができる。コラゲナーゼ(4Wunsch単位/g)およびサーモリシン(1714カゼイン単位/g)である、Blendzyme 3もヒアルロニダーゼと共に使用されて、細胞を分離した。これらの細胞は、成長増殖培地においてゼラチンコートプラスチック上で培養されると、多くの継代にわたり容易に増殖した。
細胞は、臍帯中の残りの血液からも単離されたが、臍帯血からは分離されなかった。使用した条件下で付着および成長した、組織から洗浄された血餅中の細胞の存在は、切開プロセス中に放出されている細胞によるものであろう。
実施例6
細胞の成長特性
臍帯組織由来細胞の細胞増殖能力を、他の単離された幹細胞集団と比較した。老化までの細胞増殖プロセスは、ヘイフリックの限界と呼ばれる(Hayflick L.,J. Am. Geriatr. Soc. 1974; 22(1):1−12;Hayflick L.,Gerontologist,1974;14(1):37−45)。
組織培養プラスチックフラスコは、室温で、20分間、20mLの2%(w/v)ゼラチン(タイプB:225 Bloom;Sigma,St Louis,Mo.)をT75フラスコ(Corning Inc.,Corning,N.Y.)に加えることによってコートされた。ゼラチン溶液の除去後、10mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Invitrogen,Carlsbad,Ca.)が加えられ、その後吸引された。
成長増殖能力比較のため、以下の細胞集団を利用した;i)間葉系幹細胞(MSC;Cambrex,Walkersville,Md.);ii)脂肪由来細胞(米国特許第第6,555,374 B1;米国特許出願公開US20040058412);iii)正常な皮膚線維芽細胞(cc−2509 ロット# 9F0844;Cambrex,Walkersville,Md.);iv)臍由来細胞。細胞は、最初に5,000個の細胞/cmで、ゼラチンコートT75フラスコに成長培地において播種された。その後の継代では、細胞培養を以下のとおり処理した。トリプシン処理後、トリパンブルー染色の後で生存細胞をカウントした。細胞懸濁液(50μL)を、トリパンブルー(50μL,Sigma,St. Louis Mo)と混ぜ合わせた。生存細胞数は、血球計数器を用いて見積もった。
カウントの後、細胞は、5,000個の細胞/cmで、ゼラチンコートT75フラスコに、25mLの新鮮な成長培地中で播種された。細胞は、37℃で、標準大気(5%(v/v)二酸化炭素)中で成長した。成長培地は、1週間に2回変えた。細胞が約85%のコンフルエンスに達すると、細胞を継代した;このプロセスは、細胞が老化に達するまで繰り返された。
各継代で、細胞をトリプシン処理してカウントした。生存細胞収量、集団倍加[ln(最終の細胞/最初の細胞)/ln2]、および倍加時間(培養中の時間/集団倍加)を計算した。最適な細胞増殖を決定する目的で、継代当たりの総細胞収量が、各継代の増殖因子に、前の継代の総収量を掛け合わせることにより、決定された(すなわち、増殖因子=最終的な細胞/最初の細胞)。
10代継代で保存された(banked)の細胞の増殖能力も試験した。異なる1組の条件を使用した。正常な皮膚の線維芽細胞(cc−2509 ロット#9F0844;Cambrex,Walkersville,Md)および臍由来細胞を試験した。これらの細胞集団は、その前に10代継代で保存されており、各継代5,000個の細胞/cmで、その時点まで培養されていた。10代継代での細胞解凍後の細胞集団に対する細胞密度の影響を決定した。細胞は、標準条件下で解凍され、トリパンブルー染色を用いてカウントされた。解凍した細胞は次に、成長培地中、1,000個の細胞/cmで播種された。細胞は、37℃で、通常の大気条件下で成長した。成長培地は1週間に2回変えられた。細胞は、約85%コンフルエンスに達すると、継代された。細胞は、その後、老化まで、すなわち、それ以上増殖できなくなるまで、継代された。細胞は、各継代で、トリプシン処理されカウントされた。細胞収量、集団倍加(ln(最終的な細胞/最初の細胞)/ln2)および倍加時間(培養中の時間)/集団倍加)を計算した。継代当たりの総細胞収量は、各継代の増殖因子に、その前の継代の総収量を掛け合わせることにより決定された(すなわち、増殖因子=最終的な細胞/最初の細胞)。
低細胞播種条件下での、新たに単離された臍帯組織由来細胞培養物の増殖能力を、別の実験で試験した。臍由来細胞は、実施例4に記載のとおり、単離された。細胞は、1,000個の細胞/cmで播種され、老化するまで前記のように継代された。細胞は、37℃で、標準的な大気条件下で成長した。成長培地は、1週間に2回変えられた。細胞は、約85%コンフルエンスに達すると、継代された。各継代で、細胞をトリプシン処理して、トリパンブルー染色によりカウントした。細胞収量、集団倍加(ln(最終的な細胞/最初の細胞)/ln2)、および倍加時間(培養中の時間/集団倍加)を、各継代について計算した。継代当たりの総細胞収量は、各継代の増殖因子と、先の継代の総収量を掛け合わせることにより決定された(すなわち、増殖因子=最終的な細胞/最初の細胞)。細胞は、ゼラチンコートフラスコ、および非ゼラチンコートフラスコで成長した。
低O細胞培養条件が、ある場合には、細胞増殖を改善し得ることが証明されている(米国特許出願公開第US20040005704)。臍由来細胞の細胞増殖が細胞培養条件を変えることで改善できるかどうかを判断するため、臍由来細胞の培養物が、低酸素条件で成長させられた。細胞を、成長培地中、ゼラチンコートフラスコ上で、5,000細胞/cmで播種した。細胞は、最初は、5代継代にわたり標準的な大気条件下で培養され、5代継代の時点で、低酸素(5% O)培養条件に移された。
他の実験では、細胞は、コート無しプレート、コラーゲンコートプレート、フィブロネクチンコートプレート、ラミニンコートプレート、およびマトリゲルコートプレート上で増殖された。培養物は、これらの異なるマトリックス上で十分増殖することが示された。
臍由来細胞は、40継代超にわたり増殖し、60日で>1E17個の細胞の細胞収量を生成した。それとは対照的に、MSCおよび線維芽細胞は、<25日後、および<60日後にそれぞれ老化した。脂肪由来細胞および網細胞は双方、ほぼ60日にわたり増殖したが、これらは、4.5x1012および4.24x1013個の総細胞収量をそれぞれ生成した。したがって、使用した実験条件下で、5,000個細胞/cmで播種されると、臍由来細胞は、同じ条件下で成長した他の細胞型よりも、はるかによく増殖した(表6−1)。
Figure 0005646502
臍由来細胞および線維芽細胞は、10継代超にわたり増殖し、60日で>1E11個の細胞の細胞収量を生成した(表6−2)。これらの条件下で60日後、線維芽細胞は老化したが、臍由来細胞は、80日後に老化し、>50集団倍加を完了した。
Figure 0005646502
細胞は低酸素条件下で十分に増殖するが、低酸素条件下での培養は、臍帯組織由来細胞の細胞増殖に対してはあまり効果がないようである。標準的大気条件は、十分な数の細胞を成長させるのにうまくいくことが既に証明されており、低酸素培養は、臍帯組織由来細胞の成長には必要でない。
標準的な大気中酸素の下、約5,000個の細胞/cm密度で、成長培地中で、ゼラチンコートされるかまたはコートされないフラスコ上で、単離された臍帯組織由来細胞を成長させる現在の細胞増殖条件は、多数の細胞を11代継代で生成するのに十分である。さらに、データは、細胞が低密度培養条件(例えば、1,000個細胞/cm)で容易に増殖し得ることを示唆している。低酸素条件における臍帯組織由来細胞増殖も、細胞増殖を促進するが、細胞増殖能力の漸進的改善は、これらの成長条件を使用した場合に、観察されていない。現在、標準的な大気条件下で臍帯組織由来細胞を培養することが、細胞の大きな集まりを生成するのに好ましい。しかしながら、培養条件を変えた場合、臍帯組織由来細胞増殖は同様に変えられることができる。このストラテジーを用いて、これらの細胞集団の増殖および分化能力を高めることができる。
利用した条件下で、MSCおよび脂肪由来細胞の増殖能力は限られているが、臍帯組織由来細胞は、容易に多くの数まで増殖した。
実施例7
D‐バリン含有培地での細胞成長
通常のL−バリンアイソフォームの代わりにD−バリンを含有する培地を用いて、培養中の線維芽細胞様細胞の成長を選択的に抑制できることが報告されている(Hongpaisan,Cell Biol Int.,2000;24:1−7;Sordillo et al,Cell Biol Int Rep.,1988;12:355−64)。実験を行って、臍帯組織由来細胞が、D−バリンを含有する培地で成長できるかどうか判断した。
臍由来細胞(P5)および線維芽細胞(P9)を、5,000個細胞/cmで、ゼラチンコートT75フラスコ(Corning,Corning,N.Y.)において播種した。24時間後、培地を取り除き、細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco,Carlsbad,Ca.)で洗浄して、残りの培地を取り除いた。培地は、修飾成長培地(D−バリンを含むDMEM(特注品 Gibco)、15%(v/v)透析ウシ胎仔血清(Hyclone,Logan,UT)、0.001%(v/v)βメルカプトエタノール(Sigma)、50単位/mLのペニシリン、および50mg/mLのストレプトマイシン(Gibco))と取り替えられた。
D−バリン含有培地に播種された臍由来細胞および線維芽細胞は、透析血清を含有する成長培地に播種された細胞と異なり、増殖しなかった。線維芽細胞は形態学的に変化し、サイズが大きくなり、形状が変わった。細胞は全て死滅し、最終的には、4週間後にフラスコ表面から離れた。したがって、臍帯組織由来細胞は、細胞成長のため、および長期間の生存を維持するために、L−バリンを必要とすると結論付けることができる。L−バリンは、好ましくは、臍帯組織由来細胞については成長培地から取り除かれない。
実施例8
細胞の核型分析
細胞療法に使用される細胞株は、好ましくは、同種であり、汚染細胞型を含まない。細胞療法に使用されるヒト細胞は、正常な構造を有する、正常な数(46個)の染色体を有していなければならない。同種であり、分娩後組織由来でない細胞を含まない、臍帯組織由来細胞株を識別するため、細胞サンプルの核型を分析した。
オスの新生仔(male neonate)の分娩後組織からの臍帯組織由来細胞を成長培地で培養した。オスの新生仔からの臍帯組織(X、Y)は、新生児由来細胞と母系由来細胞(X、X)との間で識別を行うように選択された。細胞は、1平方センチ当たり5,000個の細胞で、T25フラスコ(Corning,Corning,N.Y)中、成長培地において播種され、80%コンフルエンスまで増殖された。細胞を含有するT25フラスコは、ネック部分まで成長培地を入れられた。サンプルは、臨床組織遺伝学研究所までクーリエにより送達された(研究所間の輸送時間は1時間と予測される)。染色体分析は、ニュージャージー州ニューアークのNew Jersey Medical SchoolにあるCenter for Human & Molecular Geneticsにより行われた。細胞は、染色体が最もよく見える分裂中期の間に分析された。カウントされた分裂中期の20個の細胞のうち、5個が、正常な同種核型数(2)について分析された。細胞サンプルは、2つの核型が観察された場合に同種であると特徴付けられた。細胞サンプルは、3つ以上の核型が観察された場合に異種であると特徴付けられた。異種性の核型数(4)が識別されると、追加の分裂中期細胞をカウントし、分析した。
染色体分析に送られた全細胞サンプルは、細胞遺伝学研究室のスタッフによって、正常外見を呈していると解釈された。分析された16の細胞株のうち3つが、異種性の表現型(XXおよびXY)を表し、これは、新生児由来および母系由来の双方に由来する細胞が存在することを示している(表8−1)。細胞サンプルはそれぞれ、同種であると特徴付けられた(表8−1)。
Figure 0005646502
略語: N:新生児側; V:絨毛領域; M:母系側; C:クローン
染色体分析は、臨床細胞遺伝学研究室により解釈されたように、核型が正常である臍由来細胞を識別した。核型分析はまた、同種核型により判断される、母系性細胞を含まない細胞株も識別した。
実施例9
細胞表面マーカーのフローサイトメトリー評価
フローサイトメトリーによる細胞表面タンパク質または「マーカー」の特徴づけを用いて、細胞株の同一性を判断することができる。発現の一貫性は、複数のドナーから、異なる処理および培養条件にさらされた細胞において、判断され得る。臍から単離された細胞株は、フローサイトメトリーにより特徴付けられ、これらの細胞株の同定のプロファイルを与えた。
細胞は、プラズマ処理されたT75、T150、およびT225組織培養フラスコ(Corning,Corning,NY)中、成長培地で、コンフルエントまで培養された。フラスコの成長表面は、2%(w/v)ゼラチン(Sigma,St. Louis,Mo.)を20分間室温でインキュベートすることにより、ゼラチンによりコートされた。
フラスコ中の付着細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS);(Gibco,Carlsbad,MO)で洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco)で分離した。細胞を回収し、遠心分離し、PBS中の3%(v/v)FBSで、1x10/mLの細胞濃度で再懸濁した。製造業者の仕様書に従って、目的の細胞表面マーカーに対する抗体(以下参照)が、100μLの細胞懸濁液に加えられ、混合物が、30分間4℃で暗所においてインキュベートされた。インキュベーション後、細胞を、PBSで洗浄し、遠心分離して、非結合抗体を除去した。細胞を、500μLのPBS中に再懸濁して、フローサイトメトリーにより分析した。フローサイトメトリー分析は、FACS calibur 器具(Becton Dickinson,San Jose,Ca.)を用いて行った。
細胞表面マーカーに対する以下の抗体を使用した。
Figure 0005646502
臍帯細胞は、8代継代、15代継代、および20代継代で分析された。
ドナー間の差異を比較するため、異なるドナー由来の臍帯由来細胞を互いに比較した。
ゼラチンコートフラスコで培養された臍帯由来細胞が、非コートフラスコで培養された臍帯由来細胞と比較された。
細胞の単離および準備に使用される4つの処理を比較した。1)コラゲナーゼ;2)コラゲナーゼ/ディスパーゼ;3)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ;4)コラゲナーゼ/ヒアルロニダーゼ/ディスパーゼでの処理による、分娩後組織由来の細胞を比較した。
フローサイトメトリーで分析した、8代継代、15代継代、および20代継代における臍帯由来細胞は全て、IgG対照に対する蛍光の増大で示される、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−αおよびHLA−A、B、Cを発現した。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA−DR、DP、DQに対して陰性であり、これは、IgG対照と一致する蛍光値により示される。
フローサイトメトリーにより分析された別個のドナーから単離された臍帯由来細胞はそれぞれ、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、およびHLA−A、B、Cの産生に対して陽性を示し、これは、IgG対照に対する蛍光値の増大に反映される。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA−DR、DP、DQの産生に対して陰性であり、蛍光値はIgG対照と一致した。
フローサイトメトリーにより分析された、ゼラチンコートフラスコおよび非コートフラスコで増殖した臍帯由来細胞は全て、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、およびHLA−A、B、Cの産生に対して陽性であり、IgG対照に対する蛍光値は増大した。これらの細胞は、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA−DR、DP、DQの産生に対して陰性であり、蛍光値はIgG対照と一致した。
フローサイトメトリーによる臍帯由来細胞分析は、これらの細胞株の同一性を証明した。これらの臍帯由来細胞は、CD10、CD13、CD44、CD73、CD90、PDGFr−α、およびHLA−A、B、Cに対して陽性であり、CD31、CD34、CD45、CD117、CD141、およびHLA−DR、DP、DQに対して陰性である。この同一性は、ドナー、継代、培養容器表面コーティング、消化酵素および胎盤層を含む変数の変動間で一致していた。個々の蛍光値のヒストグラム曲線平均および範囲におけるいくらかの変動が観察されたが、試験した全条件下での全ての正の曲線(positive curves)は、正常であり、IgG対照より大きな蛍光値を発現したため、細胞は、マーカーの陽性発現を有する同種集団を含むことが、確認される。
実施例10
オリゴヌクレオチドアレイによる細胞の分析
オリゴヌクレオチドアレイを使用して、臍由来細胞および胎盤由来細胞の遺伝子発現プロファイルを、線維芽細胞、ヒト間葉系幹細胞、およびヒト骨髄由来の別の細胞株と比較した。この分析により、分娩後由来細胞の特徴付けがもたらされ、これらの細胞に対する独自の分子マーカーが識別された。
分娩後組織由来細胞。ヒト臍帯および胎盤が、患者の同意を得て、正常満期分娩から、National Disease Research Interchange(NDRI,Philadelphia,Pa.)によって入手された。組織を受け取り、C:D:H混合物による消化後、実施例4に記載するように細胞を単離した。細胞は、成長培地において、ゼラチンコートプラスチック組織培養フラスコ上で培養された。培養物は、37℃、5%のCOでインキュベートされた。
線維芽細胞。ヒトの皮膚の線維芽細胞を、Cambrex Incorporated(Walkersville,MD;ロット番号9F0844)およびATCC CRL−1501(CCD39SK)から購入した。いずれの株も、10%(v/v)ウシ胎仔血清(Hyclone)、およびペニシリン/ストレプトマイシン(Invitrogen)を含むDMEM/F12培地(Invitrogen,Carlsbad,Ca.)で培養した。細胞は、標準の組織処理プラスチック上で成長した。
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)。hMSCsを、Cambrex Incorporated(Walkersville,Md;ロット番号2F1655、2F1656および2F1657)から購入し、製造業者の仕様書に従って、MSCGM培地(Cambrex)で培養した。細胞は、標準の組織培養プラスチック上で37℃、5%COで成長した。
ヒト腸骨稜骨髄細胞(ICBM)。ヒト腸骨稜骨髄は、患者の同意を得てNDRIから受け取った。骨髄を、Ho, et al.により概説された方法に従って処理した(WO03/025149)。骨髄は、溶解緩衝液(155mMのNHCl、10mMのKHCO、および0.1mMのEDTA、pH7.2)と、1部の骨髄:20部の溶解緩衝液の割合で混合された。細胞懸濁液は、ボルテックスされ、周囲温度で2分間インキュベートされ、500xgで10分間遠心分離された。上澄みを廃棄し、細胞ペレットを、10%(v/v)ウシ胎仔血清および4mMのグルタミンを補充された、最小基本培地−α(Invitrogen)中で再懸濁した。細胞をもう一度遠心分離し、細胞ペレットを、新鮮培地で再懸濁した。生存単核細胞が、トリパンブルー排除(Sigma,St. Louis,Mo.)を用いてカウントされた。単核細胞は、プラスチック組織培養フラスコ中、5x10個の細胞/cmで播種された。細胞は、37℃、5%COで、標準の周囲Oもしくは5%Oで、インキュベートされた。細胞は、培地を変えずに5日間培養された。培地および非付着細胞を、培養から5日後に除去した。付着細胞は、培養物中に維持された。
細胞の、活発に成長する培養物は、冷たいリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、細胞スクレーパーによりフラスコから除去された。細胞を、300xgで5分間遠心分離した。上澄みを除去し、細胞を新鮮なPBS中に再懸濁し、再び遠心分離した。上澄みを除去し、細胞ペレットをすぐに冷凍し、−80℃で保管した。細胞mRNAが抽出され、cDNAに転写された。cDNAは次に、cRNAに転写され、ビオチン標識された。ビオチン標識cRNAは、Affymetrix GENECHIP HG−U133A オリゴヌクレオチドアレイ(Affymetrix,Santa Clara,Ca.)によりハイブリダイズされた。ハイブリダイゼーションおよびデータ収集を、製造業者の仕様書に従って行った。ハイブリダイゼーションおよびデータ収集を、製造業者の仕様書に従って行った。データ分析が、「Significance Analysis of Microarrays」(SAM)バージョン1.21コンピューターソフトウェア(Tusher, V.G. et al., 2001, Proc. Natl. Acad. Sci USA 98:5116−5121)を用いて行われた。
異なる細胞集団を、この研究では分析した。継代情報、培養基質、および培養培地と共に細胞を表9−1に挙げる。
Figure 0005646502
データは、前記のようにSAMソフトウェアで、主要成分分析によって評価された。分析により、試験した細胞において異なる相対量で発現した290個の遺伝子が明らかになった。この分析により、集団間の相対比較がもたらされた。
表10−2は、細胞対の比較のために計算されたユークリッド距離を示す。ユークリッド距離は、細胞型間で差次的に発現した290個の遺伝子に基づいた細胞の比較に基づいていた。ユークリッド距離は、290個の遺伝子の発現間の類似性に反比例している。
Figure 0005646502
表10−3、10−4、および10−5は、臍組織由来細胞で増加した遺伝子の発現(表10−3)、胎盤由来細胞で増加した遺伝子の発現(表10−4)、および臍帯および胎盤由来細胞で減少した遺伝子の発現(表10−5)を示す。
Figure 0005646502
Figure 0005646502
Figure 0005646502
Figure 0005646502
表10−6、10−7、および10−8は、ヒト線維芽細胞(表10−6)、ICBM細胞(表10−7)、およびMSC(表10−8)で増加した遺伝子の発現を示す。
Figure 0005646502
Figure 0005646502
Figure 0005646502
本実施例は、臍帯および胎盤由来の細胞の分子の特徴づけをもたらすために実行された。この分析は、3つの異なる臍帯および3つの異なる胎盤由来の細胞を含んだ。研究はまた、2つの異なる皮膚線維芽細胞株、3つの間葉系幹細胞株、および3つの腸骨稜骨髄細胞株も含んだ。これらの細胞により発現されたmRNAは、オリゴヌクレオチドプローブを含むGENECHIPオリゴヌクレオチドアレイにおいて、22,000個の遺伝子について分析された。
分析により、290個の遺伝子の転写物が、これらの5つの異なる細胞型に、異なる量で存在することが明らかになった。これらの遺伝子は、臍組織由来細胞で特に増加した7個の遺伝子、および胎盤由来細胞で特に増加した10個の遺伝子を含む。54個の遺伝子が、胎盤由来細胞および臍帯由来細胞において特に低い発現レベルを有することが分かった。
選択された遺伝子の発現は、実施例10に示すように、PCRで確認された。一般的には、分娩後由来細胞、詳細には臍由来細胞は、例えば、ここで試験した骨髄由来細胞および線維芽細胞などの、他のヒト細胞と比較すると、別個の遺伝子発現プロファイルを有する。
実施例11
細胞マーカー
臍帯由来の細胞の遺伝子発現プロファイルが、Affymetrix GENECHIPを用いて、他の供給源由来の細胞のものと比較された。6つの「シグネチャー(signature)」遺伝子が識別された、すなわち、酸化LDLレセプター1(oxidized LDL receptor 1)、インターロイキン−8(interleukin-8)(IL−8)、レニン(renin)、レティキュロン(reticulon)、ケモカインレセプターリガンド3(chemokine receptor ligand 3)(CXCリガンド3(CXC ligand 3))、および顆粒球走化性タンパク質2(granulocyte chemotactic protein 2)(GCP−2)である。これらの「シグネチャー」遺伝子は、臍由来細胞において比較的高いレベルで発現した。
この実施例で説明される手順は、マイクロアレイデータを確認し、遺伝子およびタンパク質の発現についてデータを比較するため、ならびに、臍帯組織由来細胞について独自の識別子を検出する一連の確実なアッセイを確立するために、実行された。
臍由来細胞(4つの分離物(isolates))、および正常なヒトの皮膚線維芽細胞(NHDF;新生児および成体)を、ゼラチンコートT75フラスコで、成長培地において成長させた。間葉系幹細胞(MSC)が、間葉系幹細胞成長培地Bulletキット(MSCGM;Cambrex,Walkerville,MD)で成長した。
IL−8実験について、細胞が、液体窒素から解凍され、ゼラチンコートフラスコに、5,000個の細胞/cmで蒔かれ、成長培地で48時間成長し、10mLの血清飢餓培地[DMEM−低グルコース(Gibco,Carlsbad,Ca)、ペニシリン(50単位/mL)、ストレプトマイシン(50μg/mL)(Gibco)、および0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma,St. Louis,Mo.)]で8時間さらに成長した。RNAを次に抽出し、上澄みを、150xgで5分間、遠心分離して、細胞の残骸を除去した。上澄みを、ELISA分析まで−80℃で凍らせた。
臍帯由来細胞、ならびに、ヒト新生児包皮由来のヒト線維芽細胞を、ゼラチンコートT75フラスコにおいて、成長培地で培養した。細胞は、液体窒素中で、11代継代において凍らせた。細胞を解凍し、15mL遠心分離チューブに移した。150xgで5分間の遠心分離の後、上澄みを捨てた。細胞を、4mLの培養培地中に再懸濁し、カウントした。細胞は、15mLの成長培地を含む75cmフラスコにおいて、375,000個の細胞/フラスコで24時間、成長した。培地は、8時間かけて血清飢餓培地に変えた。血清飢餓培地は、インキュベーションの最後に収集され、14,000xgで5分間遠心分離された(そして−20℃で保管された)。
各フラスコ内の細胞数を見積もるため、2mLのトリプシン/EDTA(Gibco,Carlsbad,Ca.)を各フラスコに加えた。細胞がフラスコから離れた後、トリプシン活性が、8mLの成長培地で中和された。細胞を、15mL遠心分離チューブに移し、150xgで5分間、遠心分離した。上澄みを除去し、1mLの成長培地を各チューブに加えて、細胞を再懸濁させた。細胞の数は、血球計数器により判断された。
細胞が血清飢餓培地中に分泌したIL−8の量は、ELISAアッセイ(R&D Systems,Minneapolis,Mn.)を使用して分析された。全てのアッセイは、製造業者が提供する説明書に従って行われた。
RNAを、コンフルエントの臍帯由来細胞および線維芽細胞から、またはIL−8発現のため、前記のとおり処理された細胞から、抽出した。細胞は、製造業者の説明書(RNeasy Mini Kit;Qiagen,Valencia,Ca.)に従って、βメルカプトエタノールを含有する、350μLの緩衝液RLT(Sigma,St. Louis,Mo.)で溶解した。RNAは、製造業者の説明書(RNeasy Mini Kit;Qiagen,Valencia,Ca.)に従って抽出され、デオキシリボヌクレアーゼ処理にかけられた(2.7単位/サンプル)(Sigma St. Louis,Mo.)。RNAは、50μLのDEPC処理水により溶出し、−80℃で保管された。RNAはまた、ヒト臍帯からも抽出された。組織(30mg)は、βメルカプトエタノールを含有する700μLの緩衝液RLT中に懸濁された。製造業者の仕様書に従って、サンプルを機械的に均質化し、RNA抽出を進めた。RNAは、50μLのDEPC処理水で抽出され、−80℃で保管された。
RNAは、TaqMan逆転写試薬(Applied Biosystems,Foster City,CA)と共にランダムヘキサマーを使用して、25℃で10分間、37℃で60分間、95℃で10分間、逆転写された。サンプルを−20℃で保管した。
cDNAマイクロアレイによって、臍帯細胞で特異的に調節されたとして識別された遺伝子(シグネチャー遺伝子‐酸化LDLレセプター、インターロイキン−8、レニン、およびレティキュロンを含む)は、リアルタイムPCRおよび従来のPCRを使用して、さらに調べられた。
PCRは、商品名Assays−on−Demand(Applied Biosystems)遺伝子発現産物として販売される遺伝子発現産物を用いて、cDNAサンプルに対して行われた。酸化LDLレセプター(Hs00234028);レニン(HsOO166915);レティキュロン(Hs00382515);CXCリガンド3(Hs00171061);GCP−2(Hs00605742);IL−8(Hs00174103);およびGAPDHが、7000配列検出システムをABI Prism 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)と共に使用して、製造業者の説明書(Applied Biosystems)に従って、cDNAおよびTaqMan Universal PCRマスターミックスと混合された。熱サイクル条件は、最初は、50℃で2分間、および95℃で10分間で、その後、95℃で15秒間、および60℃で1分間の40サイクルが続いた。PCRデータは、製造業者の仕様書(ABI Prism 7700 Sequence Detection SystemについてApplied BiosystemsからのUser Bulletin #2)に従って分析された。
従来のPCRは、リアルタイムPCRからの結果を確認するため、ABI PRISM 7700(Perkin Elmer Applied Biosystems,Boston,Ma.)を用いて行われた。PCRは、2μLのcDNA溶液(1xTaqポリメラーゼ(商品名:AMPLITAQ GOLD)ユニバーサルミックスPCR反応緩衝液(Applied Biosystems)および初期変性を使用して、94℃で5分間行われた。増幅が、各プライマーセットについて最適化された。IL−8、CXCリガンド3、およびレティキュロン(94℃で15秒間、55℃で15秒間、および72℃で30秒を30サイクル);レニン(94℃で15秒間、53℃で15秒間、および72℃で30秒間を38サイクル);酸化LDLレセプターおよびGAPDH(94℃で15秒間、55℃で15秒間、および72℃で30秒間を33サイクル)。増幅に使用したプライマーを表11−1に挙げる。最終PCR反応におけるプライマー濃度は1マイクロモルであったが、これは、0.5マイクロモルであったGAPDHを除く。GAPDHプライマーは、製造業者のTaqManプローブが最終PCR反応に加えられなかったことを除けば、リアルタイムPCRと同じであった。サンプルは、2%(w/v)アガロースゲル上で分離され、臭化エチジウム(Sigma,St. Louis,Mo.)で染色された。画像が、単焦点POLAROIDカメラ(VWR International,South Plainfield,N.J.)を使用して、667フィルム(Universal Twinpack,VWR International,South Plainfield,N.J.)に取り込まれた。
Figure 0005646502
臍帯由来細胞が、4%(w/v)の冷パラホルムアルデヒド(Sigma−Aldrich,St. Louis,Mo.)で10分間、室温にて固定された。0代継代(P0)(単離直後)および11代継代(P11)における臍帯由来細胞のそれぞれ1つの単離物(臍帯由来細胞の2つの単離物)、ならびに線維芽細胞(P11)の単離物を使用した。免疫細胞化学は、以下のエピトープに対する抗体を用いて行った。エピトープは、ビメンチン(1:500,Sigma,St. Louis,MO)、デスミン(1:150;Sigma − ウサギに対して産生;または1:300;Chemicon,Temecula,CA− マウスに対して産生)、α平滑筋アクチン(SMA;1:400;Sigma)、サイトケラチン18(CK18;1:400;Sigma)、フォン・ヴィルブランド因子(vWF;1:200;Sigma)、およびCD34(ヒトCD34クラスIII;1:100;DAKOCytomation,Carpinteria,Ca.)である。さらに、以下のマーカーを、11代継代臍帯由来細胞に対して試験した:抗−ヒトGROα−PE(1:100;Becton Dickinson,Franklin Lakes、N.J.)、抗−ヒトGCP−2(1:100;Santa Cruz Biotech,Santa Cruz,Ca.)、抗−ヒト酸化LDLレセプター1(ox−LDL R1;1:100;Santa Cruz Biotech)、および抗−ヒトNOGA−A(1:100;Santa Cruz,Biotech)。
培養物を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、PBS、4%(v/v)ヤギ血清(Chemicon,Temecula,Ca.)、および0.3%(v/v)トリトン(トリトンX−100;Sigma,St. Louis,Mo.)を含むタンパク質遮断溶液に30分間さらして、細胞内抗原にアクセスした。目的のエピトープ(CD34,ox−LDL R1)が細胞表面に位置する場合、トリトンX−100は、エピトープ損失を防ぐために手順の全工程で省略した。さらに、一次抗体がヤギに対して産生された場合(GCP−2,ox−LDL R1,NOGO−A)、3%(v/v)のロバ血清をプロセス全体にわたって、ヤギ血清の代わりに使用した。遮断溶液中で希釈された一次抗体を次に、1時間にわたり室温で培養物に加えた。一次抗体溶液を除去し、ヤギ抗マウスIgG−Texas Red(1:250;Molecular Probes,Eugene,OR)および/またはヤギ抗ウサギIgG−Alexa488(1:250;Molecular Probes)またはロバ抗ヤギIgG−FITC(1:150,Santa Cruz Biotech)と共に遮断溶液(block)を含む二次抗体溶液(室温で1時間)を加える前に、培養物をPBSで洗浄した。培養物は次に洗浄され、10マイクロモルのDAPI(Molecular Probes)を10分間適用して、細胞核を可視化する。
免疫染色後、Olympus倒立落射蛍光顕微鏡(Olympus,Melville,N.Y.)上で適切な蛍光フィルターを用いて、蛍光を可視化した。すべての場合において、陽性染色は、一次抗体溶液を適用したことを除いて前記に概説した手順全体に従った場合、対照染色を超えて蛍光信号を表した(1°対照なし)。代表的な画像が、デジタルカラービデオカメラ、およびImageProソフトウェア(Media Cybernetics,Carlsbad,Ca.)を用いて取り込まれた。三重染色(triple−stained)サンプルでは、各画像は、1回にただ1つの放出フィルターを使用して撮られた。層をなすモンタージュが次に、Adobe Photoshopソフトウェア(Adobe,San Jose,Ca.)を用いて準備された。
フラスコ中の付着細胞が、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco,Carlsbad,Ca.)中で洗浄され、トリプシン/EDTA(Gibco,Carlsbad,Ca.)により分離された。細胞を回収し、遠心分離し、1x10/mLの細胞濃度で、PBS中3%(v/v)FBSで再懸濁させた。100μLのアリコートを円錐チューブへ送った。細胞内抗原について染色された細胞は、Perm/Wash緩衝液(BD Pharmingen,San Diego,Ca.)で透過処理された。製造業者の仕様書のとおり、抗体を、アリコートに加え、細胞を、暗所で30分間、4℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、余分な抗体を除去した。二次抗体を必要とする細胞を、100μLの3%FBSで再懸濁した。二次抗体を、製造業者の仕様書に従って加え、細胞を、暗所で30分間、4℃でインキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、遠心分離して、余分な二次抗体を除去した。洗浄した細胞を、0.5mLのPBSで再懸濁し、フローサイトメトリーにより分析した。以下の抗体を使用した:酸化LDLレセプター1(sc−5813;Santa Cruz,Biotech)、GROa(555042;BD Pharmingen,Bedford,Ma.)、マウスIgG1κ(P−4685およびM−5284;Sigma)、ならびにロバ抗ヤギIgG(sc−3743;Santa Cruz,Biotech.)。フローサイトメトリー分析が、FACScalibur(Becton Dickinson San Jose,Ca.)によって行われた。
ヒト臍帯由来の細胞、成体および新生児線維芽細胞、ならびに間葉系幹細胞(MSC)からのcDNAに対して行われた、選択された「シグネチャー」遺伝子に関するリアルタイムPCRの結果は、レティキュロンおよび酸化LDLレセプター双方の発現が、臍由来細胞の方が、その他の細胞に比べて高かったことを示している。リアルタイムPCRから得られたデータは、ΔΔCT方法によって分析され、対数尺度で表示された。分娩後細胞と対照との間では、CXCリガンド3およびGCP−2の発現レベルに有意な差は見られなかった。リアルタイムPCRの結果が、従来のPCRにより確認された。PCR産物の配列決定が、これらの観察をさらに確認した。表11‐1に挙げた従来のPCR CXCリガンド3プライマーを使用して、分娩後細胞と対照との間で、CXCリガンド3の発現レベルに有意差は見られなかった。
臍帯由来細胞におけるサイトカイン、IL−8の発現は、成長培地で培養した臍帯由来細胞、および血清が欠乏した臍帯由来細胞の双方で、上昇した。リアルタイムPCRデータ全てが、従来のPCRで、またPCR産物を配列決定することによって、有効であった。
無血清培地で成長した後、馴化培地が、IL−8の存在について調べられた。最も多い量のIL−8が、臍細胞が成長した培地で検出された(表11−2)。ヒトの皮膚線維芽細胞が成長した培地では、IL−8が検出されなかった。
Figure 0005646502
0代継代でのヒト臍帯由来の細胞が、免疫細胞化学的分析によって、選択されたタンパク質の産生について調べられた。単離(0代継代)直後、細胞は、4%パラホルムアルデヒドで固定され、6個のタンパク質の抗体に曝露された。それらのタンパク質とは、フォン・ヴィルブランド因子、CD34、サイトケラチン18、デスミン、α−平滑筋アクチン、およびビメンチンである。臍帯由来細胞は、α−平滑筋アクチンおよびビメンチンに対して陽性であり、染色パターンは、11代継代にわたり一貫していた。
11代継代での臍帯由来細胞におけるGROα、GCP−2、酸化LDLレセプター1およびレティキュロン(NOGO−A)の産生を、免疫細胞化学により調べた。臍帯由来細胞は、GCP−2陽性であったが、GROαの産生は、この方法では検出されなかった。さらに、細胞は、NOGO−A陽性であった。
マイクロアレイおよびPCR(リアルタイムおよび従来のもの)により測定された遺伝子発現レベル間の一致が、4つの遺伝子:酸化LDLレセプター1、レニン、レティキュロン、およびIL−8について証明された。これらの遺伝子の発現は、臍帯由来細胞において、mRNAレベルで差次的に調節され、IL−8も、タンパク質レベルで差次的に調節された。GCP−2およびCXCリガンド3の差次的発現は、mRNAレベルでは確認されなかった。この結果は、マイクロアレイ実験からもともと入手されたデータを支持するものではないが、これは、方法の感受性における違いによるものであろう。
0代継代でのヒト臍帯由来の細胞が、α−平滑筋アクチンおよびビメンチンの発現について調べられ、この双方について陽性であった。染色パターンは、11代継代にわたり保たれた。
結論として、完全なmRNAデータは、マイクロアレイ実験から入手したデータを、少なくとも部分的に検証した。
実施例12
細胞表現型の免疫組織化学的特徴付け
ヒト臍帯内で発見された細胞の表現型を、免疫組織化学的検査により分析した。
ヒト臍帯組織を回収し、4%(w/v)パラホルムアルデヒドで一晩、4℃で浸漬固定した。免疫組織化学的検査が、以下のエピトープに対する抗体を用いて行われた(表12−1を参照)。エピトープは、ビメンチン(1:500;Sigma,St. Louis,Mo.)、デスミン(1:150,ウサギに対して産生;Sigma;または1:300,マウスに対して産生;Chemicon,Temecula,Ca.)、α−平滑筋アクチン(SMA;1:400;Sigma)、サイトケラチン18(CK18;1:400;Sigma)、フォン・ヴィルブランド因子(vWF;1:200;Sigma)、およびCD34(ヒトCD34クラスIII;1:100;DAKOCytomation,Carpinteria,Ca.)である。さらに、以下のマーカーを試験した。そのマーカーは、抗ヒトGROα−PE(1:100;Becton Dickinson,Franklin Lakes,N.J.)、抗ヒトGCP−2(1:100;Santa Cruz Biotech,Santa Cruz、Ca.)、抗ヒト酸化LDLレセプター1(ox−LDL R1;1:100;Santa Cruz Biotech)、および抗ヒトNOGO−A(1:100;Santa Cruz Biotech)である。固定された検体は、メスで刈り込まれ、エタノールを含むドライアイス浴上で、OCT包埋化合物(Tissue−Tek OCT;Sakura,Torrance,Ca.)の中に置かれた。凍結ブロックは、標準のクリオスタット(Leica Microsystems)を用いて切開され(10μm(10ミクロン)厚さ)、染色のため、スライドガラスに載せられた。
免疫組織化学的検査が、先の研究と同様に行われた(例えば、Messina,et al. Exper. Neurol,2003;184:816−829)。組織切片を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、PBS、4%(v/v)ヤギ血清(Chemicon,Temecula,Ca.)、および0.3%(v/v)トリトン(トリトンX−100;Sigma)を含むタンパク質遮断溶液に1時間さらして、細胞内抗原にアクセスした。目的のエピトープが細胞表面上にある場合(CD34,ox−LDL R1)、トリトンは、エピトープ損失を防ぐために、手順の全工程で省略された。さらに、一次抗体がヤギに対して産生される場合(GCP−2,ox−LDL R1,NOGO−A)、3%(v/v)ロバ血清が、手順全体にわたってヤギ血清の代わりに使用された。遮断溶液で希釈された一次抗体は、次に、切片に4時間、室温で適用された。一次抗体溶液を除去し、培養物は、ヤギ抗−マウスIgG−Texas Red(1:250;Molecular Probes,Eugene,Or.)および/またはヤギ抗−ウサギIgG−Alexa 488(1:250;Molecular Probes)またはロバ抗−ヤギIgG−FITC(1:150;Santa Cruz Biotech)と共に、遮断溶液を含有する二次抗体溶液を適用する(室温で1時間)前に、PBSで洗浄された。培養物を洗浄し、10マイクロモルのDAPI(Molecular Probes)を10分間適用し、細胞核を可視化した。
免疫染色後、Olympus倒立落射蛍光顕微鏡(Olympus,Melville,N.Y.)上で適切な蛍光フィルターを用いて蛍光を可視化した。ポジティブ染色は、対照染色を上回って、蛍光信号により表された。代表的な画像が、デジタルカラービデオカメラ、およびImageProソフトウェア(Media Cybernetics,Carlsbad,Ca.)を用いて取り込まれた。三重染色サンプルでは、各画像は、1回にただ1つの放出フィルターを使用して撮られた。層をなすモンタージュが次に、Adobe Photoshopソフトウェア(Adobe,San Jose,Ca.)を用いて準備された。
Figure 0005646502
ビメンチン、デスミン、SMA、CK18、vWFおよびCD34マーカーが、臍帯内で発見された細胞の部分集団で発現した(データは不図示)。具体的には、vWFおよびCD34の発現は、臍帯に含まれる血管に制限された。CD34+細胞は、最も内側の層(管腔側)にあった。ビメンチン発現は、臍帯のマトリックスおよび血管全体で見られた。SMAは、動脈および静脈のマトリックスおよび外壁に限定されたが、血管自体には含まれなかった。CK18およびデスミンは、血管内部のみで観察され、デスミンは、中間および外側の層に限定された。
これらのマーカーのいずれも臍帯内で観察されなかった(データは不図示)。
ビメンチン、デスミン、α−平滑筋アクチン、サイトケラチン18、フォン・ヴィルブランド因子、およびCD34は、ヒト臍帯内部の細胞で発現した。ビメンチンおよびα−平滑筋アクチンのみが発現したことを示す、in vitroでの特徴付けの研究に基づいて、データは、臍帯由来細胞単離の現行のプロセスにより細胞の部分集団が回収されること、または単離細胞が、マーカーの発現を変えて、ビメンチンおよびα−平滑筋アクチンを発現することを示唆している。
実施例13
細胞による栄養因子の分泌
臍由来細胞からの、選択された栄養因子の分泌を測定した。血管新生活性を有する因子が選択された。それらは、例えば、肝細胞成長因子(HGF)(Rosen et al,. Ciba Found. Symp.,1997;212:215−26)、単球走化性タンパク質1(MCP−1)(Salcedo et al.,Blood,2000;96;34−40)、インターロイキン−8(IL−8)(Li et al.,J. Immunol.,2003;170:3369−76)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血管内皮成長因子(VEGF)(Hughes et al.,Ann. Thorac. Surg.,2004;77:812−8)、組織マトリックスメタロプロテアーゼ抑制物質1(TIMP1)、アンジオポエチン2(ANG2)、血小板由来成長因子(PDGFbb)、トロンボポエチン(TPO)、ヘパリン結合上皮成長因子(HB−EGF)、間質由来因子1α(SDF−1α)、神経栄養/神経保護活性(脳由来神経栄養因子(BDNF)(Cheng et al,Dev. Biol、2003;258;319−33)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球走化性タンパク質−2(GCP−2)、形質転換成長因子β2(TGFβ2))、またはケモカイン活性(マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP1α)、マクロファージ炎症性タンパク質1β(MlP1β)、単球走化性因子−1(MCP−1)、Rantes(活性時に調節、発現および分泌された正常なT細胞)、I309、胸腺および活性調節ケモカイン(TARC)、エオタキシン、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、ならびにIL−8である。
臍帯由来の細胞、ならびにヒト新生児の皮膚由来のヒト線維芽細胞が、成長培地中で、ゼラチンコートT75フラスコにおいて培養された。細胞は、11代継代で冷凍保存され、液体窒素中に保存された。解凍後、成長培地が細胞に加えられ、その後、15mL遠心分離チューブに移され、細胞の遠心分離を150xgで5分間行った。細胞ペレットが、4mLの成長培地で再懸濁され、細胞をカウントした。細胞を、5,000個の細胞/cmで、15mLの成長培地をそれぞれ含むT75フラスコに播種し、24時間培養した。培地を、無血清培地(低グルコース(Gibco)、0.1%(w/v)ウシ血清アルブミン(Sigma)、ペニシリン(50単位/mL)およびストレプトマイシン(50μg/mL,Gibco))に8時間かけて変えた。馴化無血清培地が、14,000xgで5分間の遠心分離によるインキュベーションの終わりに収集され、‐20℃で保管された。
各フラスコ内の細胞数を見積もるため、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、2mLのトリプシン/EDTA(Gibco)を用いて分離した。8mLの成長培地を加えることにより、トリプシン活性が抑制された。細胞を150xgで5分間、遠心分離した。上澄みを除去し、細胞を、1mL成長培地で再懸濁した。細胞数は、血球計数器を用いて見積られた。
細胞は、5%二酸化炭素および大気中酸素中で、37℃で成長した。各細胞サンプルにより産生されたMCP−I、IL−6、VEGF、SDF−Iα、GCP−2、IL−8、およびTGF−β2の量は、ELISA(R&D Systems,Minneapolis,Mn)によって判断された。すべてのアッセイは、製造業者の説明書に従って行われた。示された値は、100万個の細胞当たりのピコグラム/mL(n=2,sem)であった。
ケモカイン(MIP1α、MlP1β、MCP−1、Rantes、I309、TARC、エオタキシン、MDC、IL8)、BDNF、および血管新生因子(HGF、KGF、bFGF、VEGF、TIMP1、ANG2、PDGFbb、TPO、HB−EGFが、Searchlight Proteome Arrays(Pierce Biotechnology Inc.)を用いて測定された。Proteome Arraysは、1つのウェル当たり2〜16個のタンパク質の定量的測定をするための、多重サンドイッチELISAである。アレイは、2x2、3x3、または4x4パターンの、4〜16個の異なる捕捉抗体を、96ウェルプレートの各ウェルにスポッティングすることにより産生される。サンドイッチELISA手順の後、プレート全体が画像化され、プレートの各ウェル内部の各スポットで生成された化学発光信号を捕捉する。各スポットで生成された信号は、元の標準またはサンプルにおける標的タンパク質の量に比例する。
MCP−1およびIL−6が、臍由来細胞および皮膚線維芽細胞から分泌された(表13−1)。SDF−1αおよびGCP−2が線維芽細胞により分泌された。GCP−2およびIL−8は、臍由来細胞により分泌された。TGF−β2は、ELISAによってはいずれの細胞型からも検出されなかった。
Figure 0005646502
略語:ND:不検出、=/−sem
SearchLight多重ELISAアッセイ。TIMP1、TPO、KGF、HGF、FGF、HBEGF、BDNF、MIP1β、MCP1、RANTES、I309、TARC、MDC、およびIL−8が臍由来PPDCから分泌された(表13−2、13−3)。Ang2、VEGF、またはPDGFbbは検出されなかった。
Figure 0005646502
略語:hFB(ヒト線維芽細胞)、U1(臍由来PPDC(022803))、U3(臍由来PPDC(071003))
ND:不検出
Figure 0005646502
略語:hFB(ヒト線維芽細胞)、U1(臍由来PPDC(022803))、U3(臍由来PPDC(071003))
ND:不検出
臍由来細胞は、いくつかの栄養因子を分泌した。これらの栄養因子の一部、例えばHGF、bFGF、MCP−1およびIL−8、は血管新生において重要な役割を果たす。他の栄養因子、例えば、BDNFおよびIL−6は、神経再生または保護に重要な役割を有する。
実施例14
In Vitroでの免疫学
免疫学的反応を予測しようとして、臍帯細胞株が、それらの免疫学的特徴についてin vitroで評価され、もしあれば、これらの細胞は、in vivo移植の際に引き出すであろう。臍帯細胞株は、HLA−DR、HLA−DP、HLA−DQ、CD80、CD86、およびB7−H2の発現についてフローサイトメトリーによりアッセイされた。これらのタンパク質は、抗原提示細胞(APC)により発現され、未処理のCD4T細胞(Abbas & Lichtman, Cellular and Molecular Immunology, 5th Ed. (2003) Saunders, Philadelphia, p.171)の直接刺激のために必要である。細胞株はまた、HLA−G(Abbas & Lichtman,Cellular and Molecular Immunology,5th Ed. (2003) Saunders,Philadelphia,p.171)、CD178(Coumans et.al., Journal of Immunological Methods,1999; 224: 185−196)、およびPD−L2(Abbas & Lichtman, Cellular and Molecular Immunology,5th Ed. (2003) Saunders、Philadelphia,p.171;Brown,et. al. The Journal of Immunology,2003;170,1257−1266)の発現について、フローサイトメトリーによって分析された。胎盤組織にある細胞によるこれらのタンパク質の発現は、子宮内での胎盤組織の免疫特権状態を媒介すると考えられる。どの程度まで分娩後臍由来細胞株がin vivoで免疫反応を引き出すかを予測するため、細胞株は、一方向混合リンパ球反応(MLR)で試験された。
細胞は、2%ゼラチン(Sigma,St. Louis,Mo.)でコートされたT75フラスコ(Corning,Corning,N.Y.)でコンフルエントまで、成長培地(DMEM−低グルコース(Gibco,Carlsbad,Ca.)、15%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS);(Hyclone,Logan,Ut.)、0.001%(v/v)βメルカプトエタノール(Sigma,St. Louis,Mo.)、50単位/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシン(Gibco,Carlsbad,Ca.)で培養された。
細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco,Carlsbad,Ca.)で洗浄し、トリプシン/EDTA(Gibco,Carlsbad,Ca.)で分離した。細胞を回収し、遠心分離し、PBS中の3%(v/v)FBSで、1x1O/mLの細胞濃度で再懸濁した。抗体(表14−1)は、製造業者の仕様書のとおりに、100μLの細胞懸濁液に加えられ、暗所で30分間、4℃でインキュベートされた。インキュベーション後、細胞を、PBSで洗浄し、遠心分離して、非結合抗体を除去した。細胞は、500μLのPBS中で再懸濁され、FACSCalibur器具(Becton Dickinson,San Jose,Ca.)を用いてフローサイトメトリーによって分析された。
Figure 0005646502
細胞株「A」と標識された、10代継代の臍帯由来細胞の冷凍保存バイアルが、ドライアイス上で包装され、CTBR(Senneville,Quebec)に送られて、CTBR SOP no.CAC−031を用いて混合リンパ球反応を行った。末梢血液単核細胞(PBMC)が、複数の男性および女性のボランティアドナーから収集された。刺激剤(ドナー)同種PBMC、自家PBMC、および臍帯組織由来細胞株が、マイトマイシンCで処理された。自家およびマイトマイシンCで処理した刺激細胞が、反応者(レシピエント)PBMCに加えられ、4日間培養された。インキュベーション後、[H]チミジンが各サンプルに加えられ、18時間培養された。細胞の回収後、放射標識DNAが抽出され、[H]チミジンの取り込みが、シンチレーションカウンターを用いて測定された。
同種ドナー(SIAD)の刺激指数が、レシーバー+マイトマイシンC処理同種ドナーをレシーバーのベースライン増殖で割ったものの平均増殖として、計算された。臍帯由来細胞の刺激指数が、レシーバーのベースライン増殖で割った、レシーバー+マイトマイシンC処理臍帯組織由来細胞株の平均増殖として計算された。
6個のヒトボランティア血液ドナーがスクリーニングされて、残りの5つの血液ドナーとの混合リンパ球反応で強い増殖反応を示すであろう単一の同種ドナーを識別した。このドナーは、同種陽性対照ドナーとして選択された。残りの5つの血液ドナーは、レシピエントとして選択された。同種陽性対照ドナーおよび臍帯由来細胞株は、マイトマイシンC処理され、5個の個々の同種レシーバーとの混合リンパ球反応において培養された。反応は、プレート当たり3つのレシーバーで2つの細胞培養プレートを用いて3回行われた(表14−2)。平均刺激指数は、6.5(プレート1)〜9(プレート2)の範囲であり、同種ドナー陽性対照は、42.75(プレート1)〜70(プレート2)の範囲であった(表14−3)。
Figure 0005646502
Figure 0005646502
フローサイトメトリーにより分析された臍帯由来細胞のヒストグラムは、IgG対照と一致した蛍光値により示されるように、HLA−DR、DP、DQ、CD80、CD86、およびB7−H2の陰性発現を示し、このことは、臍帯由来細胞株には、同種PBMCを直接刺激するのに必要な細胞表面分子がないこと(例えば、CD4T細胞)を示している。
フローサイトメトリーにより分析された臍帯由来細胞のヒストグラムは、IgG対照に対する蛍光値の増大に示されるように、PD−L2の陽性発現を示し、また、IgG対照と一致した蛍光値により示されるように、CD178およびHLA−Gの陰性発現を示した。
臍帯由来細胞株で実施された混合リンパ球反応では、平均刺激指数は、6.5〜9の範囲であり、同種陽性対照では、42.75〜70の範囲であった。臍帯由来細胞株は、フローサイトメトリーにより測定された場合に、刺激タンパク質HLA−DR、HLA−DP、HLA−DQ、CD80、CD86、およびB7−H2の発現について陰性であった。臍帯由来細胞株はまた、フローサイトメトリーにより測定された場合に、免疫調節タンパク質HLA−GおよびCD178の発現には陰性で、PD−L2の発現には陽性であった。同種ドナーPBMCは、HLA−DP、DR、DQ、CD80、CD86、およびB7−H2を発現する抗原提示細胞を含み、それにより、同種PBMCの刺激を可能にする(例えば未処理CD4T細胞)。同種のPBMC(例えば未処理CD4T細胞)の直接刺激に必要な臍帯由来細胞上の抗原提示細胞表面分子がないこと、ならびにPD−L2、免疫調節タンパク質の存在は、同種対照と比較した場合に、MLR中でこれらの細胞により示される低い刺激指数の説明となる。
実施例15
テロメラーゼは、染色体の完全性を保護し、また細胞の複製寿命を延ばすのに役立つ、テロメア繰り返し体を合成するよう機能する(Liu,K、et al,PNAS,1999:96:5147−5152)。テロメラーゼは、2つの成分、テロメラーゼRNAテンプレート(hTER)、およびテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)のみからなる。テロメラーゼの調節は、hTERではなく、hTERTの転写により決定される。hTERT mRNAのリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、ゆえに、細胞のテロメラーゼ活性を決定する、認められた方法である。
細胞単離
リアルタイムPCR実験が行われ、ヒト臍帯組織由来細胞のテロメラーゼ産生が決定された。ヒト臍帯組織由来細胞が、実施例4〜14、および、米国特許第7,510,873号として特許となった米国特許出願第10/877,012号(’012号出願)に記載される実施例に従って、準備された。概して、正常な運搬後にNational Disease Research Interchange(Philadelphia,Pa.)から入手された臍帯が洗浄され、血液および残骸を除去し、機械的に解離される。組織は次に、コラゲナーゼ、ディスパーゼおよびヒアルロニダーゼを含む消化酵素で、培養培地において37℃でインキュベートされる。ヒト臍帯組織由来細胞は、‘012号出願の実施例に記載された方法に従って培養された。間葉系幹細胞および正常な皮膚線維芽細胞(cc−2509 ロット# 9F0844)が、Cambrex、Walkersville、Md.から入手された。多能性ヒト精巣胎児性癌(テラトーマ)細胞株nTera−2細胞(NTERA−2 cl.Dl)(Plaia et al, Stem Cells,2006;24(3):531−546を参照)を、ATCC(Manassas,Va.)から購入し、’012号出願に記載した方法に従って培養した。
全RNA単離
RNAが、RNeasy(登録商標)kit(Qiagen,Valencia,Ca.)を用いて細胞から抽出された。RNAは、50μLのDEPC−処理水で溶出され、−8O℃で保管された。RNAは、TaqMan(登録商標)逆転写試薬(Applied Biosystems,Foster City,Ca.)により、25℃で10分間、37℃で60分間、95℃で10分間、ランダムヘキサマーを用いて逆転写された。サンプルを−20℃で保管した。
リアルタイムPCR
PCRが、Applied Biosystems Assays−On−Demand(商標)(TaqMan(登録商標)遺伝子発現アッセイとしても知られる)を用いて、製造業者の仕様書(Applied Biosystems)に従って、cDNAサンプルに対して行われた。この市販のキットは、ヒト細胞のテロメラーゼのアッセイに広く使われる。端的には、hTERT(ヒトテロメラーゼ遺伝子)(Hs00162669)およびヒトGAPDH(内部対照)が、ABI prism 7000 SDSソフトウェア(Applied Biosystems)と共に7000配列検出システムを用いて、cDNAおよびTaqMan(登録商標)Universal PCRマスターミックスと混合された。熱サイクル条件は、最初は、50℃で2分、95℃で10分、その後、95℃で15秒および60℃で1分の40サイクルであった。PCRデータは、製造業者の仕様書に従って分析された。
ヒト臍帯組織由来細胞(ATCC受入番号 PTA−6067)、線維芽細胞、および間葉系幹細胞は、hTERTおよび18S RNAについてアッセイされた。表15−1に示すように、hTERT、したがってテロメラーゼは、ヒト臍帯組織由来細胞では検出されなかった。
Figure 0005646502
ND:不検出; +:信号検出
ヒト臍帯組織由来細胞(isolate 022803,ATCC受入番号PTA−6067)およびnTera−2細胞が、アッセイされ、結果は、ヒト臍帯組織由来細胞の2つのロットではテロメラーゼの発現を示さず、一方、テラトーマ細胞株は、高レベルの発現を表した(表15−2)。
Figure 0005646502
したがって、ヒト臍組織由来細胞は、テロメラーゼを発現しないと結論付けることができる。
〔実施の態様〕
(1) 神経因性疼痛を有する被験者を治療する方法において、
神経因性疼痛が治療されるように、単離した臍帯組織由来細胞集団を含む組成物を前記被験者に投与すること、
を含む、方法。
(2) 神経の痙攣を有する被験者を治療する方法において、
神経の痙攣が治療されるように、単離した臍帯組織由来細胞集団を含む組成物を前記被験者に投与すること、
を含む、方法。
(3) 神経因性疼痛を有する被験者を治療する方法において、
神経因性疼痛を治療するのに有効な量の臍帯組織由来細胞を前記患者に投与すること、
を含み、
前記細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができる、方法。
(4) 実施態様3に記載の方法において、
前記臍帯組織由来細胞は、hTERTまたはテロメラーゼを発現しない、方法。
(5) 実施態様3に記載の方法において、
前記臍帯組織由来細胞は、CD117に陰性である、方法。
(6) 実施態様1または2に記載の方法において、
前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、組織部位に局所投与される、方法。
(7) 実施態様6に記載の方法において、
前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、カテーテル、注射器、シャント、ステント、マイクロカテーテル、ポンプ、装置による植え込み、または足場による植え込みを使用することで、前記組織部位の近位または遠位で投与される、方法。
(8) 実施態様1または2に記載の方法において、
前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、全身投与される、方法。
(9) 実施態様8に記載の方法において、
前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、静脈内、腹腔内的、動脈内に、または、ポンプ装置を備えるかもしくは備えない針もしくはカテーテルを備えた注射器によって、投与される、方法。
(10) 実施態様6または8に記載の方法において、
前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、分散培地組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む、方法。
(11) 実施態様6または8に記載の方法において、
前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン、トロンビン−フィブリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、1つまたは複数のヒドロゲルをさらに含む、方法。
(12) 実施態様1〜11のいずれかに記載の方法において、
前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、治療的に有用な遺伝子産物を産生するため、または神経組織形成もしくは成長を促進もしくは支援する薬剤を産生するために、遺伝子操作された細胞を含む、方法。
(13) 慢性疼痛を治療するのに使用される組成物において、
臍帯組織由来細胞集団、
を含む、組成物。
(14) 神経因性疼痛を治療するのに使用される組成物において、
臍帯組織由来細胞集団、
を含む、組成物。
(15) 痙攣を治療するのに使用される組成物において、
臍帯組織由来細胞集団、
を含む、組成物。
(16) 実施態様13〜15のいずれかに記載の組成物において、
前記組成物は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、分散培地組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む、組成物。
(17) 実施態様13〜15のいずれかに記載の組成物において、
前記組成物は、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン、トロンビン−フィブリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、1つまたは複数のヒドロゲルをさらに含む、組成物。
(18) 実施態様13〜15のいずれかに記載の組成物において、
前記組成物は、以下の組織:すなわち、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、脂肪組織、筋組織、腱もしくは靭帯のうち1つまたは複数に由来する細胞集団をさらに含む、組成物。
(19) 実施態様13〜15のいずれかに記載の組成物において、
前記細胞集団は、治療的に有用な遺伝子産物を産生するか、神経組織形成もしくは成長を促進もしくは支援する薬剤を産生するか、または前駆細胞を神経損傷エリアに補充する因子を産生する、遺伝子操作細胞を含む、組成物。
(20) 慢性疼痛、神経因性疼痛または痙攣を治療するのに使用されるキットにおいて、
臍帯組織由来細胞集団と、
医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤と、
ヒドロゲルと、
を含む、キット。
(21) 慢性疼痛、神経因性疼痛または痙攣を治療するのに使用されるキットにおいて、
hUTC細胞集団と、
医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤と、
コラーゲンまたはフィブリン−トロンビン構築物と、
を含む、キット。
構築物への植え込みから4日後のhUTC細胞生存率を示すカラー写真である。 構築物、ビヒクル、および傷害の群に分けられた動物に対する局所注射の効果を示すグラフである。 構築物、ビヒクル、および傷害の群に分けられた動物に対する全身注射の効果を示すグラフである。 コラーゲン(Colbar)での結果を示すグラフである。投与は、罹患側(左)に対して局所的に行った。神経因性疼痛からの変化は、(投与後の試験日におけるスコア−神経因性疼痛のスコア/神経因性疼痛のスコアx100)である。 コラーゲン(Colbar)での結果を示すグラフである。投与は、反対側(右)に対して局所的に行った。神経因性疼痛からの変化は、(投与後の試験日におけるスコア−神経因性疼痛のスコア/神経因性疼痛のスコアx100)である。 Evicel(Omrix)での結果を示すグラフである。投与は、罹患側(左)に対して局所的に行った。神経因性疼痛からの変化は、(投与後の試験日におけるスコア−神経因性疼痛のスコア/神経因性疼痛のスコアx100)である。 Evicel(Omrix)での結果を示すグラフである。投与は、反対側(右)に対して局所的に行った。神経因性疼痛からの変化は、(投与後の試験日におけるスコア−神経因性疼痛のスコア/神経因性疼痛のスコアx100)である。 hUTCの結果を示すグラフである。投与は全身であり、神経因性疼痛からの変化は、(投与後の試験日におけるスコア−神経因性疼痛のスコア/神経因性疼痛のスコアx100)である。 hUTCの結果を示すグラフである。投与は全身であり、神経因性疼痛からの変化は、(投与後の試験日におけるスコア−神経因性疼痛のスコア/神経因性疼痛のスコアx100)である。 図4の統計的結果を含む。 図4の統計的結果を含む。 図4の統計的結果を含む。 図5の統計的結果を含む。 図5の統計的結果を含む。 図5の統計的結果を含む。 図6の統計的結果を含む。 図6の統計的結果を含む。 図6の統計的結果を含む。 図7の統計的結果を含む。 図7の統計的結果を含む。 図7の統計的結果を含む。 図8の統計的結果を含む。 図8の統計的結果を含む。 図8の統計的結果を含む。 図9の統計的結果を含む。 図9の統計的結果を含む。 図9の統計的結果を含む。 実施例4の試験手順の操作および処理の概略的描写である。 群の平均体重を提供する。 Chung手術および全身投与によるhUTC治療後の体重増加である。 Von Frey反応の平均Δである。使用した計算は:右足平均−左足平均であった。 6研究日目における、Chung手術後およびhUTCの全身投与後の、足後退のVon Frey反応の平均Δである。 6日目における、Chung手術後およびhUTCの全身投与後の、足後退のVon Frey反応の平均Δである。 平均Von Frey検査である。 Chung手術後6研究日目のhUTC全身投与後の足間の差(左足のLog力で割った右足の最小後退Log力で現される)である。 個々の体重の個々のデータ表である。 個々の体重の個々のデータ表である。 個々の体重の個々のデータ表である。 Von Frey反応の個々のデータ表である。 Von Frey反応の個々のデータ表である。 Von Frey反応の個々のデータ表である。

Claims (17)

  1. 神経因性疼痛を治療するための薬剤において、
    単離した臍帯組織由来細胞集団、
    を含み、
    前記細胞集団は、実質的に血液のないヒト臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができ、CD117に陰性であり、hTERTまたはテロメラーゼを発現しない、薬剤。
  2. 神経因性疼痛を治療するための薬剤において、
    臍帯組織由来細胞、
    を含み、
    前記細胞は、実質的に血液のないヒト臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができ、CD117に陰性であり、hTERTまたはテロメラーゼを発現しない、薬剤。
  3. 請求項1または2に記載の薬剤において、
    前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、組織部位に局所投与される、薬剤。
  4. 請求項3に記載の薬剤において、
    前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、カテーテル、注射器、シャント、ステント、マイクロカテーテル、ポンプ、装置による植え込み、または足場による植え込みを使用することで、前記組織部位の近位または遠位で投与される、薬剤。
  5. 請求項1または2に記載の薬剤において、
    前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、全身投与される、薬剤。
  6. 請求項5に記載の薬剤において、
    前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、静脈内、腹腔内、動脈内に、または、ポンプ装置を備えるかもしくは備えない針もしくはカテーテルを備えた注射器によって、投与される、薬剤。
  7. 請求項3または5に記載の薬剤において、
    前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、分散培地組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤を含む、薬剤。
  8. 請求項3または5に記載の薬剤において、
    前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン、トロンビン−フィブリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、1つまたは複数のヒドロゲルをさらに含む、薬剤。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の薬剤において、
    前記単離した臍帯組織由来細胞集団は、治療的に有用な遺伝子産物を産生するため、または神経組織形成もしくは成長を促進もしくは支援する薬剤を産生するために、遺伝子操作された細胞を含む、薬剤。
  10. 慢性疼痛を治療するための組成物において、
    医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤と、
    臍帯組織由来細胞集団と、
    を含み、
    前記細胞集団は、実質的に血液のないヒト臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができ、CD117に陰性であり、hTERTまたはテロメラーゼを発現しない、組成物。
  11. 神経因性疼痛を治療するための組成物において、
    医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤と、
    臍帯組織由来細胞集団と、
    を含み、
    前記細胞集団は、実質的に血液のないヒト臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができ、CD117に陰性であり、hTERTまたはテロメラーゼを発現しない、組成物。
  12. 請求項10または11に記載の組成物において、
    前記医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤は、生理食塩水、緩衝水溶液、溶媒、分散培地組成物、およびこれらの混合物からなる群から選択される、組成物。
  13. 請求項10または11に記載の組成物において、
    前記組成物は、コラーゲン、アテロコラーゲン、フィブリン、トロンビン−フィブリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、1つまたは複数のヒドロゲルをさらに含む、組成物。
  14. 請求項10または11に記載の組成物において、
    前記組成物は、以下の組織:すなわち、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、脂肪組織、筋組織、腱もしくは靭帯のうち1つまたは複数に由来する細胞集団をさらに含む、組成物。
  15. 請求項10または11に記載の組成物において、
    前記細胞集団は、治療的に有用な遺伝子産物を産生するか、神経組織形成もしくは成長を促進もしくは支援する薬剤を産生するか、または前駆細胞を神経損傷エリアに補充する因子を産生する、遺伝子操作細胞を含む、組成物。
  16. 慢性疼痛または神経因性疼痛を治療するのに使用するためのキットにおいて、
    臍帯組織由来細胞集団と、
    医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤と、
    ヒドロゲルと、
    を含み、
    前記細胞集団は、実質的に血液のないヒト臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができ、CD117に陰性であり、hTERTまたはテロメラーゼを発現しない、キット。
  17. 慢性疼痛または神経因性疼痛を治療するのに使用するためのキットにおいて、
    hUTC細胞集団と、
    医薬的に許容可能な担体および/または希釈剤と、
    コラーゲンまたはフィブリン−トロンビン構築物と、
    を含み、
    前記細胞集団は、実質的に血液のないヒト臍帯組織由来であり、培養中に自己再生および増殖することができ、CD117に陰性であり、hTERTまたはテロメラーゼを発現しない、キット。
JP2011542518A 2008-12-19 2009-12-19 神経因性疼痛を治療するための臍帯組織由来細胞 Expired - Fee Related JP5646502B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US13916908P 2008-12-19 2008-12-19
US61/139,169 2008-12-19
PCT/US2009/068879 WO2010071862A1 (en) 2008-12-19 2009-12-19 Umbilical cord tissue derived cells for treating neuropathic pain and spasticity

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2012512909A JP2012512909A (ja) 2012-06-07
JP2012512909A5 JP2012512909A5 (ja) 2012-07-19
JP5646502B2 true JP5646502B2 (ja) 2014-12-24

Family

ID=41682583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011542518A Expired - Fee Related JP5646502B2 (ja) 2008-12-19 2009-12-19 神経因性疼痛を治療するための臍帯組織由来細胞

Country Status (13)

Country Link
US (1) US20190105351A9 (ja)
EP (1) EP2379087B1 (ja)
JP (1) JP5646502B2 (ja)
CN (1) CN102481321B (ja)
AU (1) AU2009327382B2 (ja)
BR (1) BRPI0923177A2 (ja)
CA (1) CA2747757C (ja)
CY (1) CY1116344T1 (ja)
DK (1) DK2379087T3 (ja)
ES (1) ES2520393T3 (ja)
PT (1) PT2379087E (ja)
SI (1) SI2379087T1 (ja)
WO (1) WO2010071862A1 (ja)

Families Citing this family (29)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8518390B2 (en) 2003-06-27 2013-08-27 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Treatment of stroke and other acute neural degenerative disorders via intranasal administration of umbilical cord-derived cells
EP1641914B1 (en) 2003-06-27 2016-07-20 DePuy Synthes Products, Inc. Postpartum cells derived from placental tissue, and methods of making and using the same
US8790637B2 (en) * 2003-06-27 2014-07-29 DePuy Synthes Products, LLC Repair and regeneration of ocular tissue using postpartum-derived cells
US8491883B2 (en) * 2003-06-27 2013-07-23 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Treatment of amyotrophic lateral sclerosis using umbilical derived cells
US9592258B2 (en) 2003-06-27 2017-03-14 DePuy Synthes Products, Inc. Treatment of neurological injury by administration of human umbilical cord tissue-derived cells
US7875272B2 (en) * 2003-06-27 2011-01-25 Ethicon, Incorporated Treatment of stroke and other acute neuraldegenerative disorders using postpartum derived cells
EP1933852B1 (en) 2005-09-27 2018-12-19 TissueTech, Inc. Amniotic membrane preparations and purified compositions and methods of use
US9125906B2 (en) 2005-12-28 2015-09-08 DePuy Synthes Products, Inc. Treatment of peripheral vascular disease using umbilical cord tissue-derived cells
WO2008060541A2 (en) 2006-11-13 2008-05-22 Ethicon, Incorporated In vitro expansion of postpartum-derived cells using microcarriers
AU2008308531B2 (en) * 2007-10-05 2014-04-24 Ethicon, Incorporated Repair and regeneration of renal tissue using human umbilical cord tissue-derived cells
US8236538B2 (en) 2007-12-20 2012-08-07 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Methods for sterilizing materials containing biologically active agents
AU2009327384B2 (en) 2008-12-19 2014-07-10 DePuy Synthes Products, LLC Treatment of lung and pulmonary diseases and disorders
US10179900B2 (en) 2008-12-19 2019-01-15 DePuy Synthes Products, Inc. Conditioned media and methods of making a conditioned media
CN102498204B (zh) * 2009-03-26 2015-02-04 德普伊新特斯产品有限责任公司 人脐带组织细胞作为用于阿尔茨海默病的疗法
CN113559126A (zh) * 2011-06-01 2021-10-29 人类起源公司 利用胎盘干细胞治疗疼痛
BR112014003071A2 (pt) * 2011-08-10 2017-02-21 Depuy Synthes Products Llc tratamento de doença vascular periférica com o uso de células derivadas do tecido do cordão umbilical
EP2863927A4 (en) 2012-06-26 2015-12-02 Rusty Property Holdings Pty Ltd COMPOSITIONS AND METHODS FOR REDUCING THE FREQUENCY AND / OR INTENSITY OF THE CEPHALA
EP2756754B1 (de) 2013-01-17 2017-01-04 Vita 34 Ag Verfahren zur Behandlung von Nabelschnurgewebe, insbesondere im Zusammenhang mit der Konservierung des Gewebes
US10039792B1 (en) * 2013-03-16 2018-08-07 Brahm Holdings, Llc Methods for the treatment of inflammation and pain using human birth tissue material composition
SG11201700753YA (en) * 2014-07-29 2017-02-27 Ingeneron Inc Method and apparatus for recovery of umbilical cord tissue derived regenerative cells and uses thereof
US20160243288A1 (en) 2015-02-23 2016-08-25 Tissuetech, Inc. Apparatuses and methods for treating ophthalmic diseases and disorders
CN106906180A (zh) * 2016-12-28 2017-06-30 里程 一种具有生物活化作用的复合添加剂及其制备方法和用途
CN110772535A (zh) * 2018-07-12 2020-02-11 南通大学 多系分化持续应激细胞在制备镇痛药物中的应用
US20220380731A1 (en) * 2019-11-08 2022-12-01 Kansas State University Research Foundation Isolation, preservation, and expansion of canine umbilical cord mesenchymal stromal cells
CN112190694B (zh) * 2020-09-17 2023-11-10 南通大学 细胞因子活化素c在治疗神经病理性疼痛方面的应用
WO2022186946A1 (en) * 2021-03-03 2022-09-09 Axogen Corporation Human umbilical cord-derived compositions and uses thereof for treating neuropathy
US20220280573A1 (en) * 2021-03-03 2022-09-08 Axogen Corporation Human umbilical cord-derived compositions and uses thereof for treating neuropathy
CN114561355B (zh) * 2022-01-23 2023-04-11 四川大学华西医院 一种脊髓瘢痕组织细胞急性快速分离方法
WO2024025912A2 (en) * 2022-07-26 2024-02-01 Biostem Technologies, Inc. Human umbilical cord compositions and methods for intra-articular therapy

Family Cites Families (98)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3665061A (en) * 1969-07-16 1972-05-23 United States Banknote Corp Process for producing collagen sponges
JPS5651747B2 (ja) * 1973-05-31 1981-12-08
US5863531A (en) * 1986-04-18 1999-01-26 Advanced Tissue Sciences, Inc. In vitro preparation of tubular tissue structures by stromal cell culture on a three-dimensional framework
US5902741A (en) * 1986-04-18 1999-05-11 Advanced Tissue Sciences, Inc. Three-dimensional cartilage cultures
US5004681B1 (en) * 1987-11-12 2000-04-11 Biocyte Corp Preservation of fetal and neonatal hematopoietic stem and progenitor cells of the blood
US5192553A (en) * 1987-11-12 1993-03-09 Biocyte Corporation Isolation and preservation of fetal and neonatal hematopoietic stem and progenitor cells of the blood and methods of therapeutic use
US20030032178A1 (en) * 1988-08-04 2003-02-13 Williams Robert Lindsay In vitro propagation of embryonic stem cells
US4925677A (en) * 1988-08-31 1990-05-15 Theratech, Inc. Biodegradable hydrogel matrices for the controlled release of pharmacologically active agents
US5486359A (en) * 1990-11-16 1996-01-23 Osiris Therapeutics, Inc. Human mesenchymal stem cells
US5286632A (en) * 1991-01-09 1994-02-15 Jones Douglas H Method for in vivo recombination and mutagenesis
US6399369B1 (en) * 1991-07-08 2002-06-04 Neurospheres Holdings Ltd. Multipotent neural stem cell cDNA libraries
US5320962A (en) * 1992-07-22 1994-06-14 Duke University DNA encoding the human A1 adenosine receptor
US5955343A (en) 1992-12-28 1999-09-21 Massachusetts Institute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
US5670483A (en) 1992-12-28 1997-09-23 Massachusetts Insititute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
US5707643A (en) * 1993-02-26 1998-01-13 Santen Pharmaceutical Co., Ltd. Biodegradable scleral plug
JP3680114B2 (ja) * 1993-09-17 2005-08-10 敏一 中村 脳神経障害治療剤
US6686198B1 (en) * 1993-10-14 2004-02-03 President And Fellows Of Harvard College Method of inducing and maintaining neuronal cells
US6703017B1 (en) * 1994-04-28 2004-03-09 Ixion Biotechnology, Inc. Reversal of insulin-dependent diabetes by islet-producing stem cells, islet progenitor cells and islet-like structures
ATE247933T1 (de) * 1994-06-06 2003-09-15 Univ Case Western Reserve Biomatrix für geweberegenaration
US6309853B1 (en) 1994-08-17 2001-10-30 The Rockfeller University Modulators of body weight, corresponding nucleic acids and proteins, and diagnostic and therapeutic uses thereof
US5725493A (en) * 1994-12-12 1998-03-10 Avery; Robert Logan Intravitreal medicine delivery
US5843780A (en) * 1995-01-20 1998-12-01 Wisconsin Alumni Research Foundation Primate embryonic stem cells
US5906934A (en) * 1995-03-14 1999-05-25 Morphogen Pharmaceuticals, Inc. Mesenchymal stem cells for cartilage repair
US5869079A (en) * 1995-06-02 1999-02-09 Oculex Pharmaceuticals, Inc. Formulation for controlled release of drugs by combining hydrophilic and hydrophobic agents
US5641750A (en) * 1995-11-29 1997-06-24 Amgen Inc. Methods for treating photoreceptors using glial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF) protein product
US6200606B1 (en) * 1996-01-16 2001-03-13 Depuy Orthopaedics, Inc. Isolation of precursor cells from hematopoietic and nonhematopoietic tissues and their use in vivo bone and cartilage regeneration
US6358737B1 (en) * 1996-07-31 2002-03-19 Board Of Regents, The University Of Texas System Osteocyte cell lines
US6787355B1 (en) * 1996-08-26 2004-09-07 Mcgill University Multipotent neural stem cells from peripheral tissues and uses thereof
EP0983062A4 (en) * 1997-05-21 2002-10-23 Sloan Kettering Inst Cancer METHOD FOR INCREASING THE CONCENTRATION OF ASCOBIC ACID IN PERSONAL BRAIN TISSUE
AU738334B2 (en) * 1997-05-30 2001-09-13 Osteobiologics, Inc. Fiber-reinforced, porous, biodegradable implant device
US5902598A (en) * 1997-08-28 1999-05-11 Control Delivery Systems, Inc. Sustained release drug delivery devices
EP1036163B1 (en) * 1997-12-02 2010-08-18 Artecel Sciences, Inc. Differentiation of adipose stromal cells into osteoblasts and uses thereof
US6059968A (en) * 1998-01-20 2000-05-09 Baxter International Inc. Systems for processing and storing placenta/umbilical cord blood
WO1999046366A1 (en) * 1998-03-13 1999-09-16 Osiris Therapeutics, Inc. Uses for humane non-autologous mesenchymal stem cells
US6171610B1 (en) * 1998-04-24 2001-01-09 University Of Massachusetts Guided development and support of hydrogel-cell compositions
JP2002513545A (ja) * 1998-05-07 2002-05-14 ザ ユニヴァーシティー オブ サウス フロリダ 脳および脊髄修復のためのニューロン源としての骨髄細胞
ATE368731T1 (de) * 1998-05-29 2007-08-15 Osiris Therapeutics Inc Menschliche cd45+ und/oder fibroblasten+ mesenchymale stammzellen
US20040037818A1 (en) * 1998-07-30 2004-02-26 Brand Stephen J. Treatment for diabetes
US5958767A (en) * 1998-08-14 1999-09-28 The Children's Medical Center Corp. Engraftable human neural stem cells
US6610540B1 (en) * 1998-11-18 2003-08-26 California Institute Of Technology Low oxygen culturing of central nervous system progenitor cells
US20030007954A1 (en) * 1999-04-12 2003-01-09 Gail K. Naughton Methods for using a three-dimensional stromal tissue to promote angiogenesis
ATE321803T1 (de) * 1999-04-16 2006-04-15 Univ Wm Marsh Rice Funktionalisiertes polypropylenfumarat und polypropylenfumarat-co-ethylenglykol
US6372494B1 (en) * 1999-05-14 2002-04-16 Advanced Tissue Sciences, Inc. Methods of making conditioned cell culture medium compositions
US6287340B1 (en) * 1999-05-14 2001-09-11 Trustees Of Tufts College Bioengineered anterior cruciate ligament
US6333029B1 (en) * 1999-06-30 2001-12-25 Ethicon, Inc. Porous tissue scaffoldings for the repair of regeneration of tissue
US7621606B2 (en) * 2001-08-27 2009-11-24 Advanced Cell Technology, Inc. Trans-differentiation and re-differentiation of somatic cells and production of cells for cell therapies
US6355699B1 (en) * 1999-06-30 2002-03-12 Ethicon, Inc. Process for manufacturing biomedical foams
US6555374B1 (en) 1999-08-19 2003-04-29 Artecel Sciences, Inc. Multiple mesodermal lineage differentiation potentials for adipose tissue-derived stromal cells and uses thereof
US20030129745A1 (en) * 1999-10-28 2003-07-10 Robl James M. Gynogenetic or androgenetic production of pluripotent cells and cell lines, and use thereof to produce differentiated cells and tissues
US20010046489A1 (en) * 1999-12-06 2001-11-29 Habener Joel E. Stem cells of the islets of langerhans and their use in treating diabetes mellitus
US20030082155A1 (en) * 1999-12-06 2003-05-01 Habener Joel F. Stem cells of the islets of langerhans and their use in treating diabetes mellitus
US7544509B2 (en) * 2000-01-24 2009-06-09 Mcgill University Method for preparing stem cell preparations
AU4346401A (en) * 2000-03-09 2001-09-17 Cryo Cell Int Human cord blood as a source of neural tissue for repair of the brain and spinalcord
US6673606B1 (en) * 2000-04-12 2004-01-06 The Children's Hospital Of Philadelphia Therapeutic uses for mesenchymal stromal cells
US6375972B1 (en) * 2000-04-26 2002-04-23 Control Delivery Systems, Inc. Sustained release drug delivery devices, methods of use, and methods of manufacturing thereof
US6759039B2 (en) * 2000-06-30 2004-07-06 Amcyte, Inc. Culturing pancreatic stem cells having a specified, intermediate stage of development
DE60230593D1 (de) 2001-02-06 2009-02-12 Massachusetts Inst Technology Peptidgerüstverkapselung von gewebszellen und verwendungen davon
US7449180B2 (en) 2001-02-06 2008-11-11 John Kisiday Macroscopic scaffold containing amphiphilic peptides encapsulating cells
EP2336299A1 (en) * 2001-02-14 2011-06-22 Anthrogenesis Corporation Post-partum mammalian placenta, its use and placental stem cells therefrom
SG125066A1 (en) * 2001-04-19 2006-09-29 Lintec Corp Adhesive sheet for precision electronic member
US20030022369A1 (en) * 2001-05-18 2003-01-30 Helen Fillmore Differentiation of specialized dermal and epidermal cells into neuronal cells
EP1401282A4 (en) * 2001-05-25 2005-03-30 Cythera Inc DIFFERENTIATION OF STEM CELLS
US6835711B2 (en) * 2001-06-28 2004-12-28 Yeda Research And Development Co. Ltd. Use of poly-Glu,Tyr for neuroprotective therapy
US20030104997A1 (en) * 2001-09-05 2003-06-05 Black Ira B. Multi-lineage directed induction of bone marrow stromal cell differentiation
US9969980B2 (en) 2001-09-21 2018-05-15 Garnet Biotherapeutics Cell populations which co-express CD49c and CD90
US7129034B2 (en) * 2001-10-25 2006-10-31 Cedars-Sinai Medical Center Differentiation of whole bone marrow
JP3728750B2 (ja) * 2001-11-22 2005-12-21 ニプロ株式会社 培養皮膚及びその製造方法
JP2005512592A (ja) * 2001-12-21 2005-05-12 マウント・シナイ・ホスピタル 細胞性組成物ならびに細胞性組成物の作製法および細胞性組成物の使用法
US20030162290A1 (en) * 2002-01-25 2003-08-28 Kazutomo Inoue Method for inducing differentiation of embryonic stem cells into functioning cells
US20040029269A1 (en) * 2002-05-07 2004-02-12 Goldman Steven A Promoter-based isolation, purification, expansion, and transplantation of neuronal progenitor cells, oligodendrocyte progenitor cells, or neural stem cells from a population of embryonic stem cells
WO2003094965A2 (en) * 2002-05-08 2003-11-20 Neuronova Ab Modulation of neural stem cells with s1p or lpa receptor agonists
US20040028660A1 (en) * 2002-05-30 2004-02-12 Anthrogenesis Corporation Methods of using JNK or MKK inhibitors to modulate cell differentiation and to treat myeloproliferative disorders and myelodysplastic syndromes
WO2003104423A2 (en) * 2002-06-11 2003-12-18 Roy Ogle Meningeal-derived stem cells
US7285415B2 (en) * 2002-07-11 2007-10-23 The Regents Of The University Of California Oligodendrocytes derived from human embryonic stem cells for remyelination and treatment of spinal cord injury
US7390659B2 (en) * 2002-07-16 2008-06-24 The Trustees Of Columbia University In The City Of New York Methods for inducing differentiation of embryonic stem cells and uses thereof
AU2003265856A1 (en) * 2002-08-28 2004-03-19 University Of Florida Neurogenesis from hepatic stem cells
US9969977B2 (en) * 2002-09-20 2018-05-15 Garnet Biotherapeutics Cell populations which co-express CD49c and CD90
US20090169597A1 (en) * 2007-12-27 2009-07-02 Ethicon, Incorporated Treatment of intervertebral disc degeneration using human umbilical cord tissue-derived cells
NZ566132A (en) * 2003-02-13 2009-09-25 Anthrogenesis Corp Use of umbilical cord blood to treat inflammation, ParkinsonÆs disease or diabetes
US7875272B2 (en) * 2003-06-27 2011-01-25 Ethicon, Incorporated Treatment of stroke and other acute neuraldegenerative disorders using postpartum derived cells
US8518390B2 (en) * 2003-06-27 2013-08-27 Advanced Technologies And Regenerative Medicine, Llc Treatment of stroke and other acute neural degenerative disorders via intranasal administration of umbilical cord-derived cells
EP1641914B1 (en) * 2003-06-27 2016-07-20 DePuy Synthes Products, Inc. Postpartum cells derived from placental tissue, and methods of making and using the same
US20050089513A1 (en) * 2003-10-28 2005-04-28 Norio Sakuragawa Side population cells originated from human amnion and their uses
RU2434636C2 (ru) * 2004-11-17 2011-11-27 Ньюралстем, Инк. Трансплантация нервных клеток для лечения нейродегенеративных состояний
EP1827108B1 (en) * 2004-11-29 2015-04-08 Yeda Research And Development Co., Ltd. Induction of neurogenesis and stem cell therapy in combination with copolymer 1
US7833513B2 (en) * 2004-12-03 2010-11-16 Rhode Island Hospital Treatment of Alzheimer's Disease
WO2006071802A2 (en) * 2004-12-23 2006-07-06 Ethicon Incorporated Treatment of stroke and other acute neural degenerative disorders using postpartum derived cells
GB2440089B8 (en) * 2005-05-05 2012-09-05 Univ Goettingen Georg August Regeneration system, its production and use
WO2007016245A2 (en) * 2005-07-29 2007-02-08 Vivicells International, Llc Reprogramming of adult or neonic stem cells and methods of use
AU2006236006B2 (en) * 2006-04-13 2012-09-06 The University Of Queensland Cyclised a-conotoxin peptides
EP2046946B8 (en) * 2006-06-26 2017-01-25 Lifescan, Inc. Pluripotent stem cell culture
US8372399B2 (en) * 2006-08-31 2013-02-12 Cardiac Pacemakers, Inc. Bispecific antibodies and agents to enhance stem cell homing
PL2078073T3 (pl) * 2006-10-12 2013-12-31 Ethicon Inc Komórki pochodzące z nerki oraz sposoby ich zastosowania w leczeniu i regeneracji tkanki
US20080092653A1 (en) * 2006-10-18 2008-04-24 Scintrex Limited Method of reducing the drift rate of accelerometer and accelerometer with reduced drift rate
US8747905B2 (en) * 2006-10-27 2014-06-10 Emory University Therapeutic use of CD31 expressing cells
NZ578819A (en) * 2007-02-12 2012-02-24 Anthrogenesis Corp Treatment of inflammatory diseases using placental stem cells
US20080305148A1 (en) * 2007-03-19 2008-12-11 National Yang Ming University Treatment of spinal injuries using human umbilical mesenchymal stem cells
CN102498204B (zh) * 2009-03-26 2015-02-04 德普伊新特斯产品有限责任公司 人脐带组织细胞作为用于阿尔茨海默病的疗法

Also Published As

Publication number Publication date
ES2520393T3 (es) 2014-11-11
AU2009327382B2 (en) 2014-07-17
DK2379087T3 (da) 2014-11-10
CN102481321A (zh) 2012-05-30
CN102481321B (zh) 2017-12-19
CA2747757C (en) 2020-11-03
JP2012512909A (ja) 2012-06-07
CY1116344T1 (el) 2017-02-08
AU2009327382A1 (en) 2011-08-11
SI2379087T1 (sl) 2015-01-30
EP2379087A1 (en) 2011-10-26
WO2010071862A1 (en) 2010-06-24
US20100159025A1 (en) 2010-06-24
BRPI0923177A2 (pt) 2020-08-25
PT2379087E (pt) 2014-12-02
US20190105351A9 (en) 2019-04-11
EP2379087B1 (en) 2014-08-20
CA2747757A1 (en) 2010-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5646502B2 (ja) 神経因性疼痛を治療するための臍帯組織由来細胞
JP6095893B2 (ja) 傷害後の神経組織の再生および修復
JP5908394B2 (ja) アルツハイマー病の療法としてのヒト臍帯組織細胞
JP5518893B2 (ja) 肺ならびに肺の疾患および障害の治療
JP5425399B2 (ja) 産褥由来細胞を用いたパーキンソン病および関連の障害の治療
RU2645079C2 (ru) Лечение дегенеративных изменений межпозвоночных дисков с использованием клеток, полученных из ткани пуповины человека
JP5323845B2 (ja) ヒト臍帯組織由来細胞を用いた腎組織の修復および再建
JP2018118984A (ja) 肺疾患及び肺障害の炎症促進性メディエータのhUTC調節
RU2612391C2 (ru) Лечение амиотрофического бокового склероза с использованием полученных из пуповины клеток
JP2014097995A (ja) 分娩後由来細胞を用いた末梢血管疾患の治療
US9592258B2 (en) Treatment of neurological injury by administration of human umbilical cord tissue-derived cells

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120330

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131023

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140324

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20140723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140826

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140911

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141007

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20141105

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5646502

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees